JP4974343B2 - 水系ポリイソシアネート組成物及びそれを含有する水系塗料組成物 - Google Patents
水系ポリイソシアネート組成物及びそれを含有する水系塗料組成物 Download PDFInfo
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Description
一方、近年、地球環境、安全、衛生などの観点から水性塗料が注目されている。建築外装から産業製品、例えば食缶用、コイルコーティング用等の工業塗料に使用されるようになってきた。ポリイソシアネートを硬化剤とした技術が特許文献1、2に開示されている。しかしながら、これらに用いられているポリイソシアネートは、分散性と架橋性をともに達成できない場合があった。また、特許文献3、4は原料イソシアネートとして、イソシアネート基平均数が高いポリイソシアネートを開示している。この場合には、硬化性は良好であるが、高度な水分散性を付与した場合、塗膜硬度が低下する場合があった。
すなわち本発明は以下に記載するとおりの水系ポリイソシアネート組成物及びこれを含有する水系塗料組成物である。
(A)下記構造式で示され、イソシアネート基数nの平均数(nM)が2.3〜10であり、イソシアネート基数nの平均数(nM)と親水基数mの平均数(mM)がmM/(mM+nM)=0.02〜0.40の関係を有する水系ポリイソシアネート組成物。
(X)m−R−(NCO)n
X:親水基
m:親水基数
R:ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートのイソシアネート基を除く残基
(B)ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される、溶剤を含まない状態で下記条件をすべて満足する親水基を含まないポリイソシアネート組成物。
・ イソシアヌレート3量体濃度;60質量%〜95質量%。
・ ウレトジオン2量体濃度;2〜25質量%。
・ ジイソシアネートモノマー濃度;1質量%以下
・ 25℃における粘度;150〜800mPa・s。
・ イソシアネート基濃度;22.0〜25.0質量%。
(2)ポリイソシアネート組成物(B)のイソシアネート基平均数が2.5以上3.5以下である、上記(1)に記載のポリイソシアネート組成物。
(3)ポリイソシアネート組成物(B)がモノアルコールから誘導されるアロファネート基を更に含み、アロファネート基/イソシアヌレート基の官能基数比率;1〜20%であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のポリイソシアネート組成物。
(4)上記(1)〜(3)に記載の水系ポリイソシアネート組成物を硬化剤として含むことを特徴とする水系塗料組成物。
(5)ポリオールを含むことを特徴とする上記(4)に記載の水系塗料組成物。
本発明の水系ポリイソシアネート組成物(A)は、水系ポリイソシアネートの前駆体であるポリイソシアネートと親水基導入化合物との反応により得られる。
水系ポリイソシアネートの前駆体ポリイソシアネート(以下前駆体AAという)は、脂肪族及び/または脂環族ジイソシアネートから誘導される。本発明においては脂肪族及び/または脂環族ジイソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIという)を用いる。
その中で次式(1)に示されるイソシアヌレート基を有することが好ましい。
イソシアヌレート化触媒としては、例えば一般に塩基性を有するものが好ましく、
1)例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、2)例えばトリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、3)酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛等のアルカリ金属塩、4)例えばナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、5)例えばヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、6)マンニッヒ塩基類、7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、8)例えばトリブチルホスフィン等の燐系化合物等がある。
この中で4級アンモニウムの有機弱酸塩が好ましく、さらにテトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩がさらに好ましい。
また、前駆体AAは、ジイソシアネートモノマー2分子からなるウレトジオン2量体を含んでも構わない。ウレトジオン基とは、2つのイソシアネート基からなり、次式(2)で示される。
また、前記のような触媒を用いることなく、加熱で得ることもできる。
上記アルコールの中でi−ブタノールや2−エチルヘキサノール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール等の分岐アルコールが特に好ましい。
アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つアクリル酸エステル等、またはグリセリンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル等の群から選ばれた単独または混合物とメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つメタクリル酸エステル等の群から選ばれた単独または混合物を必須成分とし、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル等、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル等、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド、及びメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマーの群から選ばれた単独または混合物の存在下、あるいは非存在下において重合させて得られるアクリルポリオールが挙げられる。
(1)例えばジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなど
(2)例えばエリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等糖アルコール系化合物
(3)例えばアラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類、
(4)例えばトレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース
、ラクトース、メリビオースなどの二糖類、
(5)例えばラフィノース、ゲンチアノース、メレチトースなどの三糖類
(6)たとえはスタキオースなどの四糖類
などがある。
ポリオールの統計的1分子が持つ水酸基数(以下水酸基平均数)は2〜8であることが好ましく、更に好ましくは3〜5である。水酸基平均数が2未満であると、本発明のnの範囲が得られず、硬化性が低下する。また、8を超えると、得られた前駆体AAの粘度が非常に高くなるか、この粘度を低下させるためにポリオールの分子量を大きくすると、これで得られた水系ポリイソシアネート組成物を用いて形成した塗膜の硬化性の低下を招く場合がある。
低分子ポリオール、特にトリオールは高い塗膜硬度を得るために好ましい。また、ウレタン基、アロファネート基形成のためのアルコールは、イソシアヌレート化触媒と同時に添加することもできるし、触媒の添加に先立ち、添加することもできる。
反応終了後、未反応ジイソシアネートモノマーは薄膜蒸発缶、抽出などにより除去する。
前駆体AA中のジイソシアネートモノマー濃度としては1質量%以下、好ましくは0.7質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
上記に例示した親水基を前駆体AAに導入するためには親水基及び活性水素基をともに有する化合物を用いる。活性水素基とは、イソシアネート基と反応する官能基であり、例えば、水酸基、メルカプト基、カルボン酸基などがある。アニオン性基と活性水素基をともに有する化合物としては、水酸基とカルボン酸基をともに有する、オキシ酸があり、グリコール酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、オキシ酪酸、オキシ吉草酸、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、カルボン酸基を有するポリカプロラクトンなどが挙げられる。水酸基とスルホン酸基をともに有する化合物としては、例えばイセチオン酸などがある。活性水素基としメルカプト基とカルボン酸基をともに有する化合物としては、メルカプトカルボン酸であるメルカプト酢酸などがある。ノニオン性基と活性水素基をともに有する化合物としては、ポリエチレンオキサイドがある。ポリエチレンオキサイドは、例えばメタノール、エタノール、ブタノール等のモノアルコールにエチレンオキサイドを付加して得られ、プロピレンオキサイドを含んでも良い。
ポリエチレンオキサイド、ポリピレンオキサイド等の数平均分子量の好ましい範囲は、200〜1000であり、より好ましくは300〜800であり、その中でも400〜600が最も好ましい。
活性水素基としては水酸基が好ましい。
アニオン性基は、有機アミン、無機塩基で中和することが好ましい。この中和は水系ポリイソシアネート組成物に水分散性、水溶性を付与する。
また、前駆体AAのイソシアネート基nの平均数nMと親水基数mの平均数mMとの合計数に対する親水基平均数mMの比率mM/(mM+nM)は、0.02〜0.40であり、好ましくは0.02〜0.30であり、より好ましくは0.04〜0.20、最も好ましくは0.05〜0.10である。0.02未満の場合、水分散性が不足する場合があり、0.40を超える場合、架橋性が低下する場合がある。
また、この反応には、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩、及び、3級アミン系化合物、ナトリウムなどのアルカリ金属のアルコラート等を触媒として用いてもよい。
前駆体AAの製造前、製造中、製造後のいずれの段階においても上記に例示した親水基導入化合物を付加することにより、本発明の水系ポリイソシアネート組成物(A)が得られるが、前駆体AAの製造後に親水基を付加させることが好ましい。
上記の具体的な有機溶剤の例としては、例えば、1−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、ペンタン、iso−ペンタン、ヘキサン、iso−ヘキサン、シクロヘキサン、ソルベントナフサ、ミネラルスピリットなどを挙げることができ、2種以上を併用できる。有機溶剤としては、水への溶解度が5質量%以上のものが好ましい。水への溶解度が5質量%未満の有機溶剤を用いると、水系ポリイソシアネート組成物の水分散性が低下する場合がある。また、沸点が100℃以上のものが好ましく、沸点が100℃未満の有機溶剤を用いると、塗膜形成時に有機溶剤の揮発が速くなり、塗膜表面外観に影響を及ぼす場合がある。溶剤の使用量は、水系ポリイソシアネート組成物の0〜20質量%であり、好ましくは、0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。20質量%を超えると、塗料として使用する場合に、揮発する溶剤が多くなり、環境上好ましくない。
本発明に用いる水系ポリイソシアネート組成物(A)は分子量分布を有する。
本発明のポリイソシアネート組成物(B)中のイソシアヌレート構造を有するジイソシアネート3量体の濃度(以下イソシアヌレート3量体と言う)は60〜95質量%である。60質量%未満であるとポリイソシアネート組成物(B)の粘度が増加し、95質量%を超えるとポリイソシアネート組成物(B)の収率が低下する。ジイソシアネートモノマーからイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを誘導する場合は前述の前駆体AAに関する記載と同様の化合物を使用することができる。
イソシアヌレート化反応に用いる触媒はイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートの選択率の高い前記の1)、2)、3)が好ましい。5)はビウレット基含有ポリイソシアネートも生成し、また、意外なことにポリイソシアネート貯蔵時にジイソシアネートモノマーが遊離し、好ましくない。
ウレトジオン2量体は前述の前駆体AAに関する記載と同様のウレトジオン触媒を用いて得ることができる。
しかし、驚くべきことに触媒を使用せず、加熱のみにより得られるウレトジオン基含有ポリイソシアネートの貯蔵時に遊離するジイソシアネートモノマー量が格段に低いことが判明した。ウレトジオン基は加熱により分解しやすく、そのためウレトジオン基含有ポリイソシアネート貯蔵時にジイソシアネートモノマーが遊離すると考えられていた。本発明の構成成分の1つであるウレトジオン基含有ポリイソシアネートは加熱で製造することが好ましい。
また、前記のイソシアヌレート化触媒もアロファネート化触媒となり得る。前記のイソシアヌレート化触媒を用いて、アロファネート化反応を行う場合、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートも生成する。
前述した、イソシアヌレート化反応、アロファネート化反応、ウレトジオン化反応はそれぞれを逐次行うこともできるし、並行して行うこともできる。好ましくは、イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応を先行し、その後、ウレトジオン化反応を行うことが好ましく、イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応は共通した触媒を用い、ウレトジオン化反応を熱により行うことが製造工程を簡略でき好ましい。
これらの反応が終了した後、未反応ジイソシアネートモノマーを薄膜蒸発缶、抽出などで除去する。
本発明のポリイソシアネート組成物(B)の25℃における粘度は150〜800mPa・sであり、好ましくは、150〜700mPa・sである。150mPa・s未満であると、架橋性が低下し、800mPa・sを超えると塗料の固形分濃度が低下し、好ましくない。
本発明の水系ポリイソシアネート組成物は、上記水系ポリイソシアネート組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)を90:10〜10:90(質量比)で混合して得られ、好ましくは70:30〜10:90であり、より好ましくは50:50〜10:90である。90:10を超える場合、水分散性は満足するが、架橋性や塗膜硬度に劣る場合があり、10:90未満の場合、水分散性が低下する場合がある。
本発明の水系ポリイソシアネート組成物は、ポリオールとともに本発明の水系塗料組成物の主成分を構成する。水系ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基はこのポリオールの水酸基と反応して、架橋塗膜を形成することができる。
エポキシポリオールとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂をアミン変性、または、アミノアルコール変性したものが挙げられる。
フッ素ポリオールとしては、フッ素化エチレンと共重合可能なモノマーからなる樹脂が挙げられる。
好ましいポリオールはアクリルポリオール、ポリエステルポリオールである。
カルボキシル基、スルホン基などを中和するための化合物としては、有機アミン、無機塩基が挙げられる。有機アミンとしては、例えば、水溶性アミノ化合物である例えばモノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリンなどから選択される1種以上を用いることができる。無機塩基としては、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムを用いることができる。好ましくは、第3級アミンであるトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミンなどが好ましい。
ポリオールの水酸基価が20mgKOH/g未満の場合、イソシアネート基との反応による架橋性が劣る場合があり、水酸基価が300mgKOH/gを超えると、逆に架橋密度が増大し、塗膜の伸び等の物性が低下する場合がある。また、酸価が20mgKOH/g未満の場合、水分散性が低下する場合があり、100mgKOH/gを超える場合、得られた塗膜の耐水性等の物性が低下する場合がある。
必要に応じて、本発明の塗料組成物にウレタンディスパージョンなどの樹脂を併用することができる。
前記酸性化合物の具体例としては、例えば、酢酸、コハク酸等のカルボン酸類、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸類、ジオクチルホスフェート等の酸性リン酸エステルが挙げられる。
これらの酸性化合物はアミン化合物と反応させ、貯蔵安定性を向上させることができる。そのアミン化合物としては、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンなどがある。
塩基性化合物の具体例としては、例えばトリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロオクタンなどのアミン化合物、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸亜鉛金属カルボン酸塩などがある。
硬化促進剤の添加量は配合される塗料樹脂分に対して、0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
通常は、水系ポリイソシアネート組成物、ポリオール、添加剤等を混合し、水を主成分とする媒体を添加し、塗装方法に応じた塗料粘度に調整することにより水系塗料組成物となる。
また、用途としては、上中塗り、下塗り用として、建築外装塗料、バンパー等のプラスチック部品用塗料、自動車補修用塗料、プレコートメタル等の有機被覆用塗料等として有用である。
塗装方法としては、ベル塗装、スプレー塗装、ロール塗装、シャワー塗装、浸漬塗装等が挙げられる。
本発明の水系ポリイソシアネート組成物は塗料以外にインキ、接着剤、繊維・フィルム・セラミック等の無機材料・紙・木材・樹脂等の改質剤または表面処理剤としても有用である。
まず、測定方法について述べる。
(数平均分子量の測定)
数平均分子量は下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCという)測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。
装置:東ソー(株)HLC−8120GPC
カラム:東ソー(株)TSKgel superH1000×1本
TSKgel superH2000×1本
TSKgel superH3000×1本
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折計
前記GPC測定で得られる未反応ジイソシアネートモノマー相当の分子量(例えばHDIであれば168)のピーク面積%をその質量濃度として表した。
(イソシアヌレート3量体濃度の測定)
前記GPC測定で得られるジイソシアネートの3倍の分子量に相当するピーク面積%をイソシアヌレート3量体濃度として示した。
(モノアルコール由来のアロファネート基/イソシアヌレート基数比率)
日本電子社製JNM-LA400を用いた、プロトン核磁気共鳴スペクトルの測定から、アロファネート基とイソシアヌレート基の数比率を求めた。
(ウレトジオン2量体濃度の測定)
前記GPC測定で得られるジイソシアネートの2倍の分子量に相当するピーク面積%をウレトジオン2量体濃度として示した。
(イソシアヌレート化反応転化率の測定)
反応液屈折率の測定により求めた。
E型粘度計(東機産業株式会社製RE−80R)を用いて、25℃で測定した。
(水系ポリイソシアネート組成物の水分散性)
水系ポリイソシアネート組成物と純水を質量比2:10で混合し、その後の溶液状態を肉眼で観察した。混合液が均一で沈降物のない状態を〇とし、沈降物がある場合を×とした。結果を表2に示した。
(ゲル分率)
硬化塗膜を、アセトン中に20℃、24時間浸漬後、未溶解部質量の浸漬前質量に対する割合を計算し、60質量%未満の場合を×、60質量%以上の場合を〇で表した。結果を表3に示した。
(塗膜硬度)
ケーニッヒ硬度計(BYK Garder社の商品名Pendulum hardness tester)を用いて、測定温度20℃、塗膜膜厚40μmで測定した。塗膜硬度が20以上を〇、20未満を×とした。結果を表3に示した。
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 600部を仕込み、60℃、2Hr保持した。その後、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、イソシアヌレート化反応を行い、4時間後、転化率が40%になった時点で、リン酸を添加して反応を停止した。
その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーを薄膜蒸留装置により除去した。
得られた前駆体AAの物性を表1に示す。
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 1000部、3価アルコールであるポリカプロラクトンポリオール系ポリエステルポリオール「プラクセル303」(ダイセル化学の商品名 分子量300)50部を仕込み、攪拌下反応器内温度を90℃1時間保持しウレタン化反応を行った。その後反応器内温度を60℃に保持し、シソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、反応液の屈折率を測定し、HDIとポリオールを足した質量を100とした時の収率54質量%に相当する時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液を濾過した後、薄膜蒸留缶を用いて未反応HDIを除去した。得られた前駆体AAの物性を表1に示す。
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例1で得られた水性ポリイソシアネート前駆体(AA)を100部、分子量550のメトキシポリエチレングリコール(日本油脂の商品名「ユニオックスM550」)85部(前駆体AAの全イソシアネート基の30%と反応する)を仕込み、80℃で6時間保持した。得られた水系ポリイソシアネート組成物(A)の物性及び水分散性評価結果を表2に示す。
表2に示す以外は、製造例3と同様に行った。得られた水系ポリイソシアネート組成物(A)の物性を表2に示す。
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 600部、イソブタノール0.6部を仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2Hr保持した。その後、イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、イソシアヌレート化反応を行い、転化率が13%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。ウレトジオン2量体質量濃度の増加は1%以下であった。反応液を更に160℃、1Hr保持した。この加熱によりウレトジオン基含有ポリイソシアネートが生成した。反応液を冷却後、ろ過後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去した。得られたポリイソシアネート組成物(B)の特性を表3に示す。
イソシアヌレート化反応後の転化率を17%とした以外は製造例6と同様に行った。得られたポリイソシアネート組成物(B)の物性を表3に示す。
製造例3〜5に示された水系ポリイソシアネート組成物(A)と製造例6〜7に示されたポリイソシアネート組成物(B)を表4に示された質量比で混合した。その時の水分散性を表4に示す。
表4に示す以外は実施例1と同様に行った。その時の水分散性を表4にします。
ジメチルエタノールアミンでカルボン酸/アミンのモル比1.0で中和された水分散性アクリルポリオール(アクゾノーベル社の商品名「SETALUX6512」、樹脂分濃度42質量%、水酸基価69mgKOH/樹脂g、酸価16mgKOH/樹脂g)と実施例1−5で得られた水系ポリイソシアネート組成物を用いて、イソシアネート基/水酸基の当量比1.0で混合した。更に水を添加し塗料粘度が、フォードカップNo.4で30秒になるように調整した。この塗料をアプリケーター塗装し、80℃、30分で硬化させた。塗膜評価結果を表5に示す。
比較例1〜3で得られた水系ポリイソシアネート組成物を用いた以外は、実施例6と同様に行った。結果を表5に示す。
Claims (5)
- 下記水系ポリイソシアネート組成物(A)、ポリイソシアネート組成物(B)を90:10〜10:90の質量比で混合してなる、水に溶解または分散しうる水系ポリイソシアネート組成物。
(A)下記構造式で示され、イソシアネート基数nの平均数(nM)が2.3〜10であり、イソシアネート基数nの平均数(nM)と親水基数mの平均数(mM)がmM/(mM+nM)=0.02〜0.40の関係を有する水系ポリイソシアネート組成物。
(X)m−R−(NCO)n
X:親水基
m:親水基数
R:ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートのイソシアネート基を除く残基
(B)ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される、溶剤を含まない状態で下記条件をすべて満足する親水基を含まないポリイソシアネート組成物。
・ イソシアヌレート3量体濃度;60質量%〜95質量%。
・ ウレトジオン2量体濃度;2〜25質量%。
・ ジイソシアネートモノマー濃度;1質量%以下
・ 25℃における粘度;150〜800mPa・s。
・ イソシアネート基濃度;22.0〜25.0質量%。 - ポリイソシアネート組成物(B)のイソシアネート基平均数が2.5以上3.5以下である、請求項1記載のポリイソシアネート組成物。
- ポリイソシアネート組成物(B)がモノアルコールから誘導されるアロファネート基を更に含み、アロファネート基/イソシアヌレート基の官能基数比率;1〜20%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の水系ポリイソシアネート組成物を硬化剤として含むことを特徴とする水系塗料組成物。
- ポリオールを含むことを特徴とする請求項4に記載の水系塗料組成物。
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