以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1は、パルス幅変調(PWM)回路を適用するスイッチングアンプを示すブロック図である。図2は、図1に示すパルス幅変調回路の一実施例を示すブロック回路図である。このスイッチングアンプは、オーディオ信号発生源AUに接続されたパルス幅変調回路1と、スイッチング回路2と、ローパスフィルタ回路3と、正負の電源電圧+EB,−EBを供給する第1電源4及び第2電源5とを備えている。ローパスフィルタ回路3の出力には、負荷RLとしてのスピーカ(図略)が接続されている。
パルス幅変調回路1は、オーディオ信号発生源AUから出力された入力信号としてのオーディオ信号eSをパルス幅変調してパルス幅変調信号PWMoutを生成、出力するものである。パルス幅変調回路1から出力されたパルス幅変調信号PWMoutは、スイッチング回路2に入力される。
スイッチング回路2では、第1電源4及び第2電源5から正負の電源電圧+EB,−EBが供給され、パルス幅変調信号PWMoutに基づいて、電源電圧+EB,−EBが交互にスイッチングされる。すなわち、スイッチング回路2は、パルス幅変調信号PWMoutに基づいてオン、オフ動作するスイッチ素子SW−Aと、パルス幅変調回路1から出力されるパルス幅変調信号PWMoutの位相を反転させるインバータ2aと、このインバータ2aによってパルス幅変調信号PWMoutが反転されたパルス幅変調信号PWMout′に基づいてオン、オフ動作するスイッチ素子SW−Bと、両スイッチ素子SW−A,SW−Bの両端にそれぞれ接続されたダイオードD−A,D−Bとを備えている。
両スイッチ素子SW−A,SW−Bは、パルス幅変調信号PWMoutと、反転されたパルス幅変調信号PWMout′とによって交互にオン、オフ動作し、出力信号eout(すなわち、スイッチングされた正負の電源電圧+EB,−EB)をローパスフィルタ回路3及び負荷RLに対して供給する。また、スイッチング回路2の出力信号eoutは、後述する負帰還経路を介してパルス幅変調回路に負帰還されることによって、出力信号eoutに含まれるノイズ成分が除去される。
ローパスフィルタ回路3は、コイルL0及びコンデンサC0によるLC回路を含む。ローパスフィルタ回路3は、スイッチング回路2から出力される出力信号の高周波成分を除去して負荷RLに供給する回路であり、例えば60kHzのカットオフ周波数を有する。ローパスフィルタ回路3では、スイッチングされた正負の電源電圧+EB,−EBの高周波成分が除去され、その出力は、負荷RLに供給されることにより音声として負荷RLから出力される。
図2に示すように、パルス幅変調回路1は、クロック生成回路11と、デッドタイム生成回路12と、立下りエッジ検出回路42と、電圧電流変換回路13と、第1〜第4スイッチSW1〜SW4と、第1及び第2積分回路C1,C2と、放電用バイアス電流源14と、電流バイパス回路15と、信号出力回路16と、振幅減衰回路18と、反転回路19とを備える。
クロック生成回路11は、基準クロック信号MCLKを生成する回路である。基準クロック信号MCLKは、デューティ比がほぼ50%のクロック信号であり、第1及び第2スイッチSW1,SW2を切り換えるための第1及び第2切換信号φ1,φ2の基準信号となるものである。クロック生成回路11は、基準クロック信号MCLKをデッドタイム生成回路12に出力する。なお、クロック生成回路11は、パルス幅変調回路1の外部に設けられ、外部クロック信号として基準クロック信号MCLKをパルス幅変調回路1に対して与えるように構成されていてもよい。
デッドタイム生成回路12は、クロック生成回路11からの基準クロック信号MCLKに基づいて、第1切換信号φ1と、この第1切換信号φ1に対して逆位相の関係を有する第2切換信号φ2とを生成する回路である。より詳細には、デッドタイム生成回路12は、第1及び第2切換信号φ1,φ2の出力レベルが同時に一致しないように、第1及び第2切換信号φ1,φ2のレベル反転時を所定時間だけそれぞれ遅らせる回路である。
すなわち、第1切換信号φ1は、図3(a),(b)に示すように、基準クロック信号MCLKがローレベルからハイレベルに反転するときに所定期間Δtだけ遅れてローレベルからハイレベルに反転する。なお、第1切換信号φ1は、基準クロック信号MCLKがハイレベルからローレベルに反転するとき、同時にハイレベルからローレベルに反転する。一方、第2切換信号φ2は、図3(a),(c)に示すように、基準クロック信号MCLKがハイレベルからローレベルに反転するときに所定期間Δtだけ遅れてローレベルからハイレベルに反転する。なお、第2切換信号φ2は、基準クロック信号MCLKがローレベルからハイレベルに反転するとき、同時にハイレベルからローレベルに反転する。
このようにすれば、第1及び第2切換信号φ1,φ2によって第1及び第2スイッチSW1,SW2がそれぞれオン動作する際、同時にオン動作することが防止され、第1及び第2積分回路C1,C2が同時に充電動作を行うことによりパルス幅変調信号PWMoutの出力に誤差が生じることを防止することができる。第1及び第2切換信号φ1,φ2は、第1及び第2スイッチSW1,SW2にそれぞれ出力される。
なお、以下の説明では、その便宜のため、図3(a)に示すように、基準クロック信号MCLKが最初にハイレベルになる期間を第1期間T1、続くローレベルの期間を第2期間T2、続くハイレベルの期間を第3期間T3、その後のローレベルの期間を第4期間T4とする。
図2に戻り、立下りエッジ検出回路42は、後述する第1及び第2RSフリップフロップ回路43,44に出力する第1及び第2セット信号set1,set2を出力する回路である。すなわち、立下りエッジ検出回路42は、デッドタイム生成回路12からの第1及び第2切換信号φ1,φ2のハイレベルからローレベルに反転する際の立下りエッジを検出し、その検出したタイミングを第1及び第2セット信号set1,set2にして第1及び第2RSフリップフロップ回路43,44に出力する回路である。
電圧電流変換回路13は、オーディオ信号発生源AUからパルス幅変調回路1に供給されるオーディオ信号eSを電圧電流変換し、反転回路19から供給されるPWM信号−enfbを電圧電流変換し、これらの電流を加算する。また、電圧電流変換回路13は、充電用バイアス電流源(例えば、電源Voと抵抗R2とによって構成)を有している。電圧電流変換回路13は、上記加算した電流によって、第1及び第2積分回路C1,C2を基準電圧(例えばグランド電位)に対してマイナス方向に充電する。電圧電流変換回路13は、後述するように、第1及び第2スイッチSW1,SW2を介して第1及び第2積分回路C1,C2にそれぞれ接続されており、第1及び第2積分回路C1,C2に蓄積された電荷を引き込むことで第1及び第2積分回路C1,C2をマイナス方向に充電する。
ここで、電圧電流変換回路13における変換コンダクタンスをGmとすると、オーディオ信号eSが電圧電流変換回路13で変換される電流Δiは、Δi=Gm・eSで表すことができる。また、反転回路19からのPWM信号−enfbが電圧電流変換回路13で変換される電流Δinfbは、Gm・−enfbで表すことができる。充電用バイアス電流源における充電バイアス電流をIcとすると、第1及び第2積分回路C1,C2から引き込まれる電流は、Ic+Gm・eS+Gm・−enfb=Ic+Δi+Δinfbで表すことができる。
放電用バイアス電流源14は、放電バイアス電流Idを供給する回路である。放電用バイアス電流源14は、後述するように、第3及び第4スイッチSW3,SW4を介して第1及び第2積分回路C1,C2にそれぞれ接続されており、放電バイアス電流Idを第1及び第2積分回路C1,C2に供給することにより、第1及び第2積分回路C1,C2をプラス方向に放電する。
電流バイパス回路15は、ダイオードD1と電圧源17とからなる。電流バイパス回路15は、第1及び第2積分回路C1,C2が電圧電流変換回路13によってマイナス方向に充電されず、かつ放電用バイアス電流源14によってプラス方向に放電されないとき、放電用バイアス電流源14からの放電用電流Idが流れる回路である。
第1及び第2スイッチSW1,SW2は、第1及び第2積分回路C1,C2で蓄積された電圧をマイナス方向に充電させるためにオン、オフ動作される回路である。第1及び第2スイッチSW1,SW2は、デッドタイム生成回路12から出力される第1及び第2切換信号φ1,φ2に基づいてオン、オフ動作される。すなわち、第1スイッチSW1は、図3(b)に示すように、第1切換信号φ1がハイレベルの状態でオン動作し、第1切換信号φ1がローレベルの状態でオフ動作する。また、第2スイッチSW2は、図3(c)に示すように、第2切換信号φ2がハイレベルの状態でオン動作し、第2切換信号φ2がローレベルの状態でオフ動作する。
第3及び第4スイッチSW3,SW4は、放電用バイアス電流源14によって供給される放電バイアス電流Idを第1及び第2積分回路C1,C2にプラス方向に放電させるためにオン、オフ動作される回路である。第3及び第4スイッチSW3,SW4は、信号出力回路16からの制御信号φ3,φ4に基づいてオン、オフ動作される。すなわち、第3スイッチSW3は、制御信号φ3がハイレベルの状態でオン動作し、ローレベルの状態でオフ動作する。また、第4スイッチSW4は、制御信号φ4がハイレベルの状態でオン動作し、ローレベルの状態でオフ動作する。制御信号φ3,φ4は、信号出力回路16の後述する第2及び第4NAND回路NA2,NA4から出力される。
第1及び第2積分回路C1,C2は、それぞれ充電用コンデンサによって構成されており、所定の電荷を蓄えることにより充電し、電荷が放出されることにより放電する回路である。
具体的には、第1積分回路C1は、第1期間T1(厳密にはデッドタイムである所定時間Δtを除く)において、第1スイッチSW1がオン動作(このとき、第3スイッチSW3はオフ動作)することにより、第1積分回路C1に蓄積された電荷が電圧電流変換回路13に流れ、これによりマイナス方向に充電される。また、第1積分回路C1は、次の第2期間T2中において第3スイッチSW3がオン動作(このとき、第1スイッチSW1はオフ動作)することにより、放電用バイアス電流源14からの放電バイアス電流Idによってプラス方向に放電される。
一方、第2積分回路C2は、第1積分回路C1がプラス方向に放電される第2期間T2(厳密にはデッドタイムである所定時間Δtを除く)において、第2スイッチSW2がオン動作(このとき、第4スイッチSW4はオフ動作)することにより、第2積分回路C2に蓄積された電荷が電圧電流変換回路13に流れ、これによりマイナス方向に充電される。また、第2積分回路C2は、次の第3期間T3中において第4スイッチSW4がオン動作(この場合、第2スイッチSW2はオフ動作)することにより、放電用バイアス電流源14からの放電バイアス電流Idによってプラス方向に放電される。
このように、第1及び第2積分回路C1,C2では、第1及び第2切換信号φ1,φ2のレベルが維持される単位期間(例えば第1期間T1又は第2期間T2)ごとにおいて、交互に充電及び放電が行われる。
ここで、第1及び第2積分回路C1,C2の充放電に関する回路接続構成を説明すると、電圧電流変換回路13には、第1及び第2スイッチSW1,SW2の各一端が接続され、第1スイッチSW1の他端は、第1積分回路C1の一端(図2のA点参照)に接続されており、これにより、第1積分回路C1のマイナス方向への充電経路が形成される。なお、第1積分回路C1の他端はグランド電位に接続されている。第1積分回路C1の一端は、第3スイッチSW3の一端にも接続され、第3スイッチSW3の他端は、放電用バイアス電流源14に接続されており、これにより、第1積分回路C1のプラス方向への放電経路が形成される。
一方、第2スイッチSW2の他端は、第2積分回路C2の一端(図2のB点参照)に接続されており、これにより、第2積分回路C2のマイナス方向への充電経路が形成される。なお、第2積分回路C2の他端はグランド電位に接続されている。第2積分回路C2の一端は、第4スイッチSW4の一端にも接続され、第4スイッチSW4の他端は、放電用バイアス電流源14に接続されており、これにより、第2積分回路C2のプラス方向への放電経路が形成される。
信号出力回路16は、第1及び第2比較回路23,24と、第1及び第2RSフリップフロップ回路43,44と、第5NAND回路NA5とを含み、第1及び第2積分回路C1,C2の電圧に基づいて、パルス幅変調信号PWMout、第3及び第4切換信号φ3,φ4を出力する。
第1比較回路23は、その負(−)側入力端子が第1積分回路C1の一端に接続され、正(+)側入力端子が基準電圧Vrefの発生源に接続されている。第2比較回路24は、その負(−)側入力端子が第2積分回路C2の一端に接続され、正(+)側入力端子が基準電圧Vrefの発生源に接続されている。第1比較回路23の出力は、第1RSフリップフロップ回路43に第1リセット信号res1として入力される。第2比較回路24の出力は、第2RSフリップフロップ回路44に第2リセット信号res2として入力される。
第1及び第2RSフリップフロップ回路43,44は、第1及び第2比較回路23,24の出力を所定の期間それぞれ保持するための回路である。第1RSフリップフロップ回路43は、第1及び第2NAND回路NA1,NA2が組み合わされて構成され、第1RSフリップフロップ回路43内では、第1及び第2NAND回路NA1,NA2の各出力端子が互いの一方の入力端子に接続されている。
第1NAND回路NA1の他方の入力端子は、第1比較回路23の出力端子に接続され、RSフリップフロップとしての第1リセット信号res1が入力される端子であり、第2NAND回路NA2の他方の入力端子は、立下りエッジ検出回路42に接続され、RSフリップフロップとしての第1セット信号set1が入力される端子である。また、第2NAND回路NA2の出力端子は、第3スイッチSW3に接続されている。第3スイッチSW3の開閉は、第2NAND回路NA2の出力端子から出力される制御信号φ3によって制御される。
一方、第2RSフリップフロップ回路44は、第3及び第4NAND回路NA3,NA4が組み合わされて構成され、第2RSフリップフロップ回路44内では、第3及び第4NAND回路NA3,NA4の各出力端子が互いの一方の入力端子に接続されている。
第3NAND回路NA3の他方の入力端子は、第2比較回路24の出力端子に接続され、RSフリップフロップとしての第2リセット信号res2が入力される端子であり、第4NAND回路NA4の他方の入力端子は、立下りエッジ検出回路42に接続され、RSフリップフロップとしての第2セット信号set2が入力される端子である。また、第4NAND回路NA4の出力端子は、第4スイッチSW4に接続されている。第4スイッチSW4の開閉は、第2NAND回路NA2の出力端子から出力される制御信号φ4によって制御される。
第5NAND回路NA5の入力端子には、第1RSフリップフロップ回路43の第1NAND回路NA1の出力端子及び第2RSフリップフロップ回路44の第3NAND回路NA3の出力端子が接続されている。第1NAND回路NA1の出力端子からは、出力信号rsout1が出力され、第3NAND回路NA3の出力端子からは、出力信号rsout2が出力される。第5NAND回路NA5の出力端子からは、パルス幅変調信号PWMoutが出力される。
振幅減衰回路18は、スイッチング回路2から出力される出力信号eoutの振幅値を減衰し、減衰したパルス幅変調信号enfbを反転回路19に供給する回路である。すなわち、振幅減衰回路18は、スイッチング回路2によってスイッチング増幅された出力信号eoutを、負帰還してオーディオ信号eSに加算できる程度の振幅値に調整するものである。例えば、スイッチング回路2の出力信号eoutのハイレベルが+50V、ローレベルが−50Vである場合、振幅減衰回路18は、ハイレベルが+5V、ローレベルが−5Vであるパルス幅変調信号enfbを生成する。
振幅減衰回路18は、例えば、分圧用の抵抗R1及びR2を有しており、抵抗R1の一端はスイッチング回路2の出力端(図1のX点)に接続され、その他端は抵抗R2の一端及び反転回路19の入力に接続されている。抵抗R2の一端は抵抗R1の他端と反転回路19の入力に接続され、その他端は接地電位に接続されている。従って、振幅減衰回路18は、スイッチング回路2からの出力信号eoutの振幅をR2/(R1+R2)倍する。
反転回路19は、第1及び第2積分回路C1,C2を充電するオーディオ信号に基づく電流Ic+Δiから、振幅減衰回路18からのパルス幅変調信号enfbを電圧電流変換回路13で電圧電流変換された電流Δinfbを減算するために、振幅減衰回路18からのパルス幅変調信号enfbを反転し、パルス幅変調信号−enfbを生成する回路である。
反転回路19によって生成されたパルス幅変調信号−enfbは、電圧電流変換回路13において、電流Δinfbに変換され、第1及び第2積分回路C1,C2を充電するオーディオ信号に基づく電流Ic+Δiに加算される。
電圧電流変換回路13は、トランジスタQ1と、ダイオードD1と、抵抗R2,R3と、電源Voとを有する。トランジスタQ1のコレクタは電圧電流変換回路13の出力端(つまり、第1及び第2スイッチSW1,SW2)に接続され、そのベースはダイオードD1を介して接地電位に接続され、そのエミッタは抵抗R2及びR3の各一端に接続されている。抵抗R2の他端は電源電圧Voを介してオーディオ信号発生源AUに接続されている。抵抗R3の他端は反転回路19の出力端に接続されている。
電圧電流変換回路13は、このような構成によって、第1及び第2積分回路C1,C2からトランジスタQ1のコレクタ−エミッタを介して抵抗R2及び電源Vo側にオーディオ信号に基づく電流Ic+Δiが流れ、抵抗R3側に反転回路19からの信号に基づく電流Δinfbが流れ、その結果、これらの電流が加算された電流Ic+Δi+Δinfbによって第1積分回路C1、第2積分回路C2がマイナス方向に充電される。
ここで、第1,第2積分回路C1,C2の電圧波形について説明する。まず、簡単のため、無帰還時(反転回路19からの信号がないと仮定した場合)について図4を参照して説明する。図4は、無帰還時における、第1切換信号φ1のレベル変化と、第1積分回路C1の一端(図2のA点参照)の電圧波形との関係を示す図である。
第1積分回路C1は、第1切換信号φ1がハイレベルになると、第1スイッチSW1がオン動作するので、マイナス方向に充電される。この充電時における電圧波形(図2のA点の電圧)の傾きは、電流(Ic+Δi)の大きさ、すなわちオーディオ信号eSの正負の方向及び振幅の大きさに依存する。
図4の符号S0の電圧波形は、オーディオ信号eSが無信号のときの波形を示し、符号S1の電圧波形は、オーディオ信号eSが正であって振幅が比較的大きいときの波形を示し、符号S2の電圧波形は、オーディオ信号eSが負であって振幅が比較的大きいときの波形を示している。
同図によると、オーディオ信号eSが正であってその振幅が比較的大きいときの電圧波形S1は、その傾きがオーディオ信号eSが無信号のときの電圧波形S0に比べて大である。また、オーディオ信号eSが負であってその振幅が比較的大さいときの電圧波形S2は、その傾きがオーディオ信号eSが無信号のときの電圧波形S0に比べて小である。
すなわち、第1積分回路C1におけるマイナス方向への充電によって、充電開始時における電圧Vthは、第1切換信号φ1のレベルが反転するときに最小となる。例えばオーディオ信号eSが無信号のときには、図4に示すように、最小充電電圧はV0となる。また、オーディオ信号eSが正であってその振幅が比較的大きいときには、最小充電電圧はV1(<V0)となる。また、オーディオ信号eSが負であってその振幅が比較的大きいときには、最小充電電圧はV2(>V0)となる。
第1積分回路C1におけるマイナス方向への充電は、第1切換信号φ1のレベルが反転するまで継続され、第1切換信号φ1が反転してローレベルになると、第1スイッチSW1がオフ動作する。その時、制御信号φ3がローレベルからハイレベルに反転し、第3スイッチSW3に出力されるので、第3スイッチSW3がオン動作される。
第1積分回路C1のA点は放電用バイアス電流源14に接続されているので、第3スイッチSW3のオン動作によって、第1積分回路C1はプラス方向に放電される。この第2期間T2であって第1積分回路C1のプラス方向への放電時における電圧波形は、第1積分回路C1に流れる放電バイアス電流Idが常時一定であるので、オーディオ信号eSの正負の方向及び振幅の大きさにかかわらず、その傾きが一定となる。すなわち、図4に示すように、第1積分回路C1がプラス方向へ放電されるときの電圧波形の傾きは、第1積分回路C1のマイナス方向への充電時(第1期間T1)の電圧波形の傾きにかかわらず一定となる。
すなわち、第1期間T1において第1積分回路C1はマイナス方向に充電されるのであるが、この充電における電荷量は、オーディオ信号eSの正負の方向及び振幅の大きさに依存する。そして、第2期間T2においては第1積分回路C1はプラス方向に放電されるが、この場合の放電量は一定とされるため、第1積分回路C1のプラス方向への放電が開始されてから(第2期間T2に移行してから)、第1積分回路C1の端子電圧が閾値電圧Vthに至るまでの時間は、オーディオ信号eSの正負の方向及び振幅の大きさに依存することになる。
例えば、オーディオ信号eSが正であって振幅の大きさが比較的大きい場合には、プラス方向への放電が開始されるときの第1積分回路C1の端子電圧が最小充電電圧V1となる。この場合、第1積分回路C1の端子電圧が閾値電圧Vthに至るまでの時間(図4のt1参照)は、オーディオ信号eSが無信号の場合のそれ(図4のt0参照)と比べ長くなる。逆に、オーディオ信号eSが負であって振幅の大きさが比較的大きい場合には、プラス方向への放電が開始されるときの第1積分回路C1における端子電圧は最小充電電圧V2となる。この場合、第1積分回路C1の端子電圧が閾値電圧Vthに至るまでの時間(図4のt2参照)は、オーディオ信号eSが無信号の場合のそれ(図4のt0参照)と比べ短くなる。
従って、第1積分回路C1のプラス方向への放電が開始されてから第1積分回路C1の端子電圧が閾値電圧Vthに至るまでの時間tは、オーディオ信号eSの正負の方向及び振幅の大きさに依存し、第2積分回路C2のプラス方向への放電が開始されてから第2積分回路C2の端子電圧が閾値電圧Vthに至るまでの時間tも第1積分回路C1の端子電圧と同様に、オーディオ信号eSの正負の方向及び振幅の大きさに依存するので、クロック生成回路11〜電流バイパス回路15の回路でクロック信号MCLKの周期毎に第1積分回路C1と第2積分回路C1とによって交互に放電の時間tを生成し、信号出力回路16でその放電の時間tをオフ期間として組み合わせることによりパルス幅変調信号PWMoutを生成している。
ここで、第1及び第2積分回路C1,C2の容量を同一(=C)とし、第1及び第2積分回路C1,C2の充電時間である期間をT(例えば第1期間T1に相当)とすると、最小充電電圧(マイナス方向への充電が開始されてから終了するまでの電位差)Vcは、Vc=[(Ic+Δi)・T]/Cで表される。
第1積分回路C1(又は第2積分回路C2)のプラス方向への放電が開始されてから第1積分回路C1(又は第2積分回路C2)の電圧が閾値電圧Vthに至るまでの時間tは、t=[C・Vc/Ibであるので、t=[(Ic+Δi)・T]/Idとなる。この式にΔi=Gm・eSを代入すると、t=(Gm・T/Id)・eS+Ic・T/Idとなる。すなわち、時間tは、オーディオ信号eSに比例して変化することになる。
また、このパルス幅変調回路1における変調度mは、m=t/T−(T−t)/Tであるので、変形してt=[(Ic+Δi)・T]/Idを考慮すると、m=2Δi/Id+2Ic/Id−1となる。ここで、放電バイアス電流Idを充電バイアス電流Icの2倍に設定すると(Id=2Ic)、変調度mは、m=Δi/Ic=(Gm/Ic)・eSとなる。すなわち、変調度mは、オーディオ信号eSに依存することになる。なお、放電バイアス電流Idを充電バイアス電流Icの2倍に設定するのは、上式に示すように、変調度mとオーディオ信号eSとの比例関係が明確になって、オフセットが生じることを抑制できるからである。
第2期間T2においては、第1積分回路C1の放電が一定の電圧波形の傾きを有して継続され、第1積分回路C1のA点における電圧が閾値電圧Vthに達すると、制御信号φ3がローレベルになり、第3スイッチSW3がオフ動作される。これにより、第1積分回路C1におけるプラス方向への放電が終了する。
第3スイッチSW3がオフ動作すると、第1積分回路C1の一端には、充電用の電圧電流変換回路13及び放電用の放電用バイアス電流源14が接続されず、第1積分回路C1に対して次の充電動作が行われるまで、第1積分回路C1における端子電圧は閾値電圧Vthに維持される。すなわち、図4に示すように、オーディオ信号eSが無信号の場合、プラス方向への放電が終了してから次の充電が開始されるまで、第1積分回路C1の端子電圧は時間t0kだけ閾値電圧Vthに維持される。オーディオ信号eSが正であって振幅の大きさが比較的大きい場合、時間t1k(<t0k)だけ閾値電圧Vthに維持される。さらに、オーディオ信号eSが負であって振幅の大きさが比較的大きい場合、時間t2k(>t0k)だけ閾値電圧Vthに維持される。
このように、本実施形態では、オーディオ信号eSに基づいた電圧情報を時間情報に変換し、この時間情報をパルスのオフ期間に対応させることでパルス幅変調信号PWMoutのパルス幅を適切に生成することができる。したがって、例えばこのパルス幅変調回路1をマルチチャンネルのスイッチングアンプに適用する場合であっても、パルス幅変調回路1は第1及び第2切換信号φ1,φ2に同期したパルス幅変調を行うことができる。第1及び第2切換信号φ1,φ2は、例えば各チャンネルに対して同一のものを入力することができるため、オーディオ信号eSが入力されたときでも、チャンネル間同士でキャリア周波数fが微妙に異なることがなくなり、被変調信号(キャリア)間におけるビート成分が音声周波数に混在するといったことを抑制することができる。
次に、スイッチング回路2の出力信号の負帰還時(反転回路19からの信号がある場合)について図5Aを参照して説明する。図5Aは、負帰還時における、(a)第1切換信号φ1のレベル変化と、(b)第1積分回路C1の一端(図2のA点参照)の電圧波形と、(c)〜(e)スイッチング回路2の出力信号eoutとの関係を示す図である。
負帰還時には、第1積分回路C1を充電する電流の大きさはスイッチング回路2の出力信号eoutに基づく電流を減算した大きさになる。従って、スイッチング回路2の出力信号eoutがハイレベルの場合には、第1積分回路C1を充電する電流の大きさが小さくなり、スイッチング回路2の出力信号eoutがローレベルの場合には、第1積分回路C1を充電する電流の大きさが大きくなる。その結果、第1積分回路C1の電圧波形は2段階の傾きを有することになり、第1切換信号φ1がローレベルに反転する際の第1積分回路C1の充電電圧が無帰還時に対して変化する。
オーディオ信号eSが正の場合には、図5A(c)のように、スイッチング回路2の出力信号eoutはハイレベルの期間がローレベルの期間よりも長い。従って、図5A(b)のS1’のように、無帰還時と比較して、第1積分回路C1の電圧の傾きが小さくなる期間が電圧の傾きが大きくなる期間よりも長くなり、充電終了時の電圧V1’は無帰還時の充電終了時の電圧V1よりも高くなる。その結果、一定量の電流で放電した場合に、閾値電圧Vthに達するまでの時間t1’が無帰還時に比べて短くなり、パルス幅変調信号PWMoutのハイレベルの期間が無帰還時に比べて短くなる。
オーディオ信号eSが負の場合には、図5A(d)のように、スイッチング回路2の出力信号eoutはローレベルの期間がハイレベルの期間よりも長い。従って、図5A(b)のS2’のように、無帰還時と比較して、第1積分回路C1の電圧の傾きが大きくなる期間が電圧の傾きが小さくなる期間よりも長くなり、充電終了時の電圧V2’は無帰還時の充電終了時の電圧V2よりも低くなる。その結果、一定量の電流で放電した場合に、閾値電圧Vthに達するまでの時間t2’が無帰還時に比べて長くなり、パルス幅変調信号PWMoutのハイレベルの期間が無帰還時に比べて長くなる。
オーディオ信号eSが0の場合には、図5A(e)のように、スイッチング回路2の出力信号eoutはローレベルの期間とハイレベルの期間とが等しい。従って、図5A(b)のS0’のように、第1積分回路C1の電圧の傾きが大きくなる期間が電圧の傾きが小さくなる期間と等しくなり、充電終了時の電圧V0’は無帰還時の充電終了時の電圧V0と等しくなる。その結果、一定量の電流で放電した場合に、閾値電圧Vthに達するまでの時間t0’が無帰還時と同じであり、パルス幅変調信号PWMoutのハイレベルの期間が無帰還時と同じである。
なお、電圧電流変換回路13によって第1,第2積分回路C1,C2を充電する電流のシミュレーション結果を図5Bに示す。すなわち、スイッチング回路2の出力信号eoutを振幅減衰し、反転させた信号を変換した電流を加算することで、電流Ic+Δiを基準にしてパルス成分が重畳された電流波形になっている。
以上のように、オーディオ信号eSが正の場合にはパルス幅変調信号PWMoutのハイレベルの期間が短く、ローレベルの期間が長くなるように作用し、オーディオ信号eSが負の場合にはパルス幅変調信号PWMoutのハイレベルの期間が長く、ローレベル期間が短くなるように作用するので、スイッチングアンプの出力信号の振幅値が小さくなる。従って、上記のように、振幅減衰回路18及び反転回路19をパルス幅変調回路1に設けることによって、負帰還として作用することが分かる。
以下、全体のタイムチャートを用いて、パルス幅変調回路1の動作を説明する。
[基本動作]
まず、図6〜図8を参照して、反転回路19からのPWM信号−enfbがないと仮定して、基本的な動作について説明する。 図6〜図8は、上記パルス幅変調回路1における各信号のタイミングチャートを示す図である。図6は、オーディオ信号eSが無信号の場合(Gm・eS=0)を示しており、図7は、オーディオ信号eSが正の値の場合を示しており、図8は、オーディオ信号eSが負の場合を示している。
図6における第1期間T1では、デッドタイム生成回路12からの第1切換信号φ1がハイレベルであるので(図6(b)参照)、これによって第1スイッチSW1がオン動作する。そのため、第1積分回路C1は、電圧電流変換回路13による電流(Ic+Δi)によって、マイナス方向に充電される(図6(h)参照)。
第1切換信号φ1がハイレベルからローレベルに反転されると、第2期間T2に移行し、立下りエッジ検出回路42では、第1切換信号φ1の反転時の立下りを検出し、第1RSフリップフロップ回路43に第1セット信号set1として出力する(図6(d)参照)。
第1RSフリップフロップ回路43では、第1セット信号set1として瞬間的にローレベルに変化する信号が入力されると、第2NAND回路NA2は、その出力をローレベルからハイレベルに反転させる。第2NAND回路NA2の出力は、制御信号φ3として第3スイッチSW3に入力されるので(図6(f)参照)、第3スイッチSW3はオン動作する。これにより、第1積分回路C1は、放電用バイアス電流源14によって一定の放電量でプラス方向に放電される(図6(h)参照)。
また、第1RSフリップフロップ回路43では、第1セット信号set1として瞬間的にローレベルに変化する信号が入力されると、第1NAND回路NA1は、その出力をハイレベルからローレベルに反転させる。第1NAND回路NA1の出力は、出力信号rsout1として第5NAND回路NA5に入力される(図6(l)参照)。
第1比較回路23では、第1積分回路C1の端子電圧が正(+)側入力端子に入力される基準電圧Vrefに達するまでプラス方向に放電され、端子電圧が基準電圧Vrefに達すると、第1比較回路23は、その出力をハイレベルからローレベルに変化させる(図6(j)参照)。第1比較回路23の出力は、第1リセット信号res1として第1RSフリップフロップ回路43に入力される。
第1RSフリップフロップ回路43では、第1リセット信号res1がハイレベルからローレベルになると、出力信号rsout1は、逆にローレベルからハイレベルになり、第5NAND回路NA5に入力される(図6(l)参照)。第5NAND回路NA5では、他方の入力端子(rsout2)がハイレベルのため、出力信号rsout1を反転させてパルス幅変調信号PWMoutとしてスイッチング回路2に出力する(図6(n)参照)。また、第1リセット信号res1がハイレベルからローレベルになると、制御信号φ3もハイレベルからローレベルになる。その結果、第3スイッチSW3がオフ動作し、第1積分回路C1の放電が止まる。第3期間T3の開始まで第1積分回路C1はVref相当の電圧を保持する。
一方、第2期間T2においては、デッドタイム生成回路12からの第2切換信号φ2がハイレベルであるので(図6(c)参照)、これによって第2スイッチSW2がオン動作する。そのため、第2積分回路C2は、電圧電流変換回路13による電流(Ic+Δi)によって、マイナス方向に充電される(図6(i)参照)。
第2切換信号φ2がハイレベルからローレベルに反転されると、第3期間T3に移行し、立下りエッジ検出回路42では、第2切換信号φ2の反転時の立下りを検出し、第2RSフリップフロップ回路44に第2セット信号set2として出力する(図6(e)参照)。
第2RSフリップフロップ回路44では、第2セット信号set2として瞬間的にローレベルに変化する信号が入力されると、第4NAND回路NA4は、その出力をローレベルからハイレベルに反転させる。第4NAND回路NA4の出力は、制御信号φ4として第4スイッチSW4に入力されるので(図6(g)参照)、第4スイッチSW4はオン動作する。これにより、第2積分回路C2は、放電用バイアス電流源14によって一定の放電量でプラス方向に放電される(図6(i)参照)。
また、第2RSフリップフロップ回路44では、第2セット信号set2として瞬間的にローレベルに変化する信号が入力されると、第3NAND回路NA3は、その出力をハイレベルからローレベルに反転させる。第3NAND回路NA3の出力は、出力信号rsout2として第5NAND回路NA5に入力される(図6(m)参照)。
第2比較回路24では、第2積分回路C2の端子電圧が正(+)側入力端子に入力される基準電圧Vrefに達するまでプラス方向に放電され、端子電圧が基準電圧Vrefに達すると、出力をハイレベルからローレベルに変化させる。第2比較回路24の出力は、第2リセット信号res2として第2RSフリップフロップ回路44に入力される(図6(k)参照)。
第2RSフリップフロップ回路44では、第2リセット信号res2がハイレベルからローレベルになると、出力信号rsout2は、逆にローレベルからハイレベルになり、第5NAND回路NA5に入力される(図6(m)参照)。第5NAND回路NA5では、他方の入力端子(rsout1)がハイレベルのため、出力信号rsout2を反転させてパルス幅変調信号PWMoutとしてスイッチング回路2に出力する(図6(n)参照)。また、第2リセット信号res2がハイレベルからローレベルになると、制御信号φ4もハイレベルからローレベルになる。その結果、第4スイッチSW4がオフ動作し、第2積分回路C2の放電が止まる。第4期間T4の開始まで第2積分回路C2はVref相当の電圧を保持する。
図7に示すように、オーディオ信号eSが正の場合には、電流(Ic+Δi)の大きさが大となり、第1又は第2積分回路C1,C2の一端における電圧波形の傾きもオーディオ信号eSが無信号の場合に比べて大となる。そのため、第1又は第2切換信号φ1,φ2のレベルがハイレベルからローレベルに反転する時点での第1又は第2積分回路C1,C2の端子電圧は、オーディオ信号eSが無信号の場合に比べて、より低くなり、これらがプラス方向に放電されるとき、オーディオ信号eSが無信号の場合に比べて、放電が開始されてから基準電圧Vrefに達する時間tが長くなる。したがって、図7(n)に示すように、図6に示したオーディオ信号eSが無信号の場合に比べ、ハイレベルの時間が長いパルス幅変調信号PWMoutが出力される。このように、オーディオ信号eSの振幅に応じたパルス幅変調信号PWMoutが出力されることになる。
また、図8に示すように、オーディオ信号eSが負の場合には、電流(Ic+Δi)の大きさが小となり、第1又は第2積分回路C1,C2の一端における電圧波形の傾きも小となる。そのため、第1又は第2切換信号φ1,φ2のレベルがハイレベルからローレベルに反転する時点での第1又は第2積分回路C1,C2の端子電圧は、オーディオ信号eSが無信号の場合に比べて、より高くなり、これらがプラス方向に放電されるとき、オーディオ信号eSが無信号の場合に比べて、放電が開始されてから基準電圧Vrefに達する時間tが短くなる。したがって、図8(n)に示すように、図6に示したオーディオ信号eSが無信号の場合に比べ、ハイレベルの時間が短いパルス幅変調信号PWMoutが出力される。
[負帰還動作]
振幅減衰回路18および反転回路19によって、スイッチング回路2の出力信号eoutが電圧電流変換回路13に負帰還される際の動作を、図9および図10を参照して説明する。図9はオーディオ信号eSが正の場合を示す図であり、図10はオーディオ信号eSが負の場合を示す図である。
図9を参照して、図7と同様のオーディオ信号eSが正の場合を説明する。第1積分回路C1が充電される期間T1であって、パルス幅変調信号PWMout(すなわち、スイッチング回路2の出力信号eout)がハイレベルの期間T1aにおいては、スイッチング回路2の出力信号eoutのハイレベル(例えば+50V)が振幅減衰回路18で振幅減衰され、反転回路19で反転され(例えば−5Vの電圧になり)、電圧電流変換回路13で電流に変換され、第1積分回路C1を充電する電流に加算されるので、充電電流の大きさが無帰還時に比べて小さくなる。その結果、図9(h)に示すように、第1積分回路C1の一端における電圧波形の傾きが無帰還時に比べて小さくなる。
第1積分回路C1が充電される期間T1であって、パルス幅変調信号PWMout(すなわち、スイッチング回路2の出力信号eout)がローレベルの期間T1bにおいては、スイッチング回路2の出力信号eoutのローレベル(例えば−50V)が振幅減衰回路18で振幅減衰され、反転回路19で反転され(例えば+5Vの電圧になり)、電圧電流変換回路13で電流に変換され、第1積分回路C1を充電する電流に加算されるので、充電する電流の大きさが無帰還時に比べて大きくなる。その結果、図9(h)に示すように、第1積分回路C1の一端における電圧波形の傾きが、無帰還時に比べて大きくなる。
オーディオ信号eSが正の場合には、図9(n)に示すように、スイッチング回路2の出力信号eoutのハイレベルの期間は、ローレベルの期間よりも長いので、第1切換信号φ1のレベルがハイレベルからローレベルに反転する時点での第1積分回路C1の端子電圧は、無帰還の場合に比べて高くなり、これらがプラス方向に放電されるとき、無帰還の場合に比べて、放電が開始されてから基準電圧Vrefに達する時間tが短くなる。なお、第2積分回路C2が充電される期間T2a、T2bについても、第1積分回路C1が充電される期間T1a、T1bと同様である。したがって、図9(n)に示すように、図7に示した無帰還の場合に比べ、ハイレベルの期間が短く、ローレベルの期間が長いパルス幅変調信号PWMoutが出力される。
次に、図10を参照して、図8と同様のオーディオ信号eSが負の場合を説明する。第1積分回路C1が充電される期間T1であって、パルス幅変調信号PWMout(すなわち、スイッチング回路2の出力信号eout)がハイレベルの期間T1aにおいては、スイッチング回路2の出力信号eoutのハイレベル(例えば+50V)が振幅減衰回路18で振幅減衰され、反転回路19で反転され(例えば−5Vの電圧になり)、電圧電流変換回路13で電流に変換され、第1積分回路C1を充電する電流に加算されるので、充電する電流の大きさが無帰還時に比べて小さくなる。その結果、図10(h)に示すように、第1積分回路C1の一端における電圧波形の傾きが無帰還時に比べて小さくなる。
第1積分回路C1が充電される期間T1であって、パルス幅変調信号PWMoutがローレベル(すなわち、スイッチング回路2の出力信号eout)の期間T1bにおいては、スイッチング回路2の出力信号eoutのローレベル(例えば−50V)が振幅減衰回路18で振幅減衰され、反転回路19で反転され(例えば+5Vの電圧になり)、電圧電流変換回路13で電流に変換され、第1積分回路C1を充電する電流に加算されるので、充電する電流の大きさが無帰還時に比べて大きくなる。その結果、図10(h)に示すように、第1積分回路C1の一端における電圧波形の傾きが、無帰還時に比べて大きくなる。
オーディオ信号eSが負の場合には、図10(n)に示すように、パルス幅変調信号PWMout(すなわち、スイッチング回路2の出力信号eout)のハイレベルの期間はローレベルの期間よりも短いので、第1切換信号φ1のレベルがハイレベルからローレベルに反転する時点での第1積分回路C1の端子電圧は、無帰還の場合に比べて低くなり、これらがプラス方向に放電されるとき、無帰還の場合に比べて、放電が開始されてから基準電圧Vrefに達する時間tが長くなる。なお、第2積分回路C2が充電される期間T2a、T2bについては、第1積分回路C1が充電される期間T1a、T1bと同様である。したがって、図10(n)に示すように、図8に示した無帰還の場合に比べ、ハイレベルの期間が長く、ローレベルの期間が短いパルス幅変調信号PWMoutが出力される。
以上のように、オーディオ信号eSが正の場合にはパルス幅変調信号PWMoutのハイレベルの期間が短く、ローレベルの期間が長くなり、オーディオ信号eSが負の場合にはパルス幅変調信号PWMoutのハイレベルの期間が長く、ローレベル期間が短くなるので、スイッチングアンプの出力信号の振幅値が小さくなり、負帰還として機能し、ノイズを除去することができる。
図11は、本発明の別の好ましい実施形態のパルス幅変調回路51を示す回路図である。パルス幅変調回路51は、信号出力回路16の構成が異なることと、立下りエッジ検出回路42を備えない点で図2のパルス幅変調回路1と相違し、その他は一致する。
信号出力回路16は、第1〜第3NOR回路N1,N2,N3によって構成されている。第1NOR回路N1は、その一方の入力端子がデッドタイム生成回路12の第1切換信号φ1の出力端子に接続され、他方の入力端子が第1積分回路C1の一端に接続されている。一方、第2NOR回路N2は、その一方の入力端子がデッドタイム生成回路12の第2切換信号φ2の出力端子に接続され、他方の入力端子が第2積分回路C2の一端に接続されている。
第1NOR回路N1の出力端子は、第3NOR回路N3の一方の入力端子に接続されているとともに、第3スイッチSW3に接続されている。第2NOR回路N2の出力端子は、第3NOR回路N3の他方の入力端子に接続されているとともに、第4スイッチSW4に接続されている。第3NOR回路N3の出力端子は、パルス幅変調信号PWMoutとして後段のスイッチング回路2に接続される。
第1NOR回路N1は、第1切換信号φ1と、第1積分回路C1の端子電圧との否定論理和を演算することにより、すなわち、第1切換信号φ1がローレベルであってかつ第1積分回路C1の端子電圧が所定電圧Vth未満のとき、ハイレベルを出力する。第2NOR回路N2は、第2切換信号φ2と、第2積分回路C2の端子電圧との否定論理和を演算することにより、すなわち、第2切換信号φ2がローレベルであってかつ第2積分回路C2の端子電圧が所定電圧Vth未満のとき、ハイレベルを出力する。
第3NOR回路N3は、第1及び第2NOR回路N1,N2の各出力の否定論理和を演算し、第1及び第2NOR回路N1,N2の各出力を一つのパルス幅変調信号PWMoutにしてスイッチング回路2に出力するものである。その他の構成及び動作は前の実施形態と同様であるので、説明を援用する。
図12は、本発明の別の好ましい実施形態のパルス幅変調回路61を示す回路図である。パルス幅変調回路61は、第1及び第2比較回路23,24を備えない点、及び、第1及び第2積分回路C1,C2の充電及び放電の向きが逆である点で図2のパルス幅変調回路1と相違し、その他は一致する。すなわち、第1積分回路C1は、第1期間T1においてプラス方向に充電され、第2期間T2においてマイナス方向に放電された後、基準電圧Vrefに維持される。また、第2積分回路C2は、半周期ずれて第1積分回路C1と同様の充放電動作が行われる。また、第1及び第2比較回路による閾値電圧との比較は、第1及び第3NAND回路NA1,NA3によって行われる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。また、図4〜図10に示した電圧波形において、オーディオ信号eSはその正負が逆であってもよい。例えば、図4の電圧波形では、符号S1の波形がオーディオ信号eSが負のときの波形であり、符号S2の波形がオーディオ信号eSが正のときの波形であってもよい。また、図2、図11のパルス幅変調回路において、充電及び放電の電流の向きを図12のように逆にしてもよい。