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JP4934998B2 - 摺動部材、圧縮機の摺動部材および摺動部材の製造方法 - Google Patents

摺動部材、圧縮機の摺動部材および摺動部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自己潤滑性をもつ二硫化モリブデンで形成された摺動層を有する摺動部材およびその製造方法に関する。
圧縮機などの摺動部に使用される摺動部材は、一般に、金属製の基材と、その摺動面側に形成された摺動層と、からなり、摺動層により摺動部材の摺動性を向上させている。多くの場合、摺動層として、真空蒸着等により形成された固体潤滑材からなる被膜の他、固体潤滑材を保持する樹脂層が形成される。樹脂層は固体潤滑材の含有量に限界があるため、将来の圧縮機の小型化・高性能化に対しては、固体潤滑材の被膜からなる摺動層が有望である。
また、摺動層には、耐摩耗性や耐焼付き性、低摩擦性、なじみ性、等が要求される。なかでも、相手材に対する「なじみ性」は摺動において重要な特性である。摺動部材と相手材とが摺動に際してなじむ以前、つまり、新たに摺動を開始した初期状態や、加圧力が上昇した直後の状態においては、摺動面に大きな荷重が作用する。このとき、なじみ性が低いと、摩擦が大きくなり、摩耗や焼付きに繋がる。特に、硬質な摺動層をもつ摺動部材は、高硬度であり耐摩耗性に優れる反面、相手材に対するなじみ性が低く、相手材を摩耗させたり焼付きを起こしやすいという問題がある。
摺動層として固体潤滑材からなる被膜を有する摺動部材の一例として、特許文献1および特許文献2がある。特許文献1には、下地層と、その上に形成された表面層と、からなる被膜(摺動層)が開示されている。特許文献1では、たとえば、下地層としてTiCN膜、表面層として3.5at%のチタンを添加した二硫化モリブデン膜が用いられる(実施例1参照)。また、特許文献2には、母材と、母材に被覆された第1層と、第1層に被覆された第2層と、からなる固体潤滑材層をもつ自己潤滑摺動材料が開示されている。特許文献2では、たとえば、第1層は二硫化モリブデンにチタン等の金属元素が20at%混在する層であり、第2層は二硫化モリブデンで形成され金属元素を含まない層、または、第1層よりも少なく金属元素を含む層である(実施例1および3〜6参照)。
ところが、特許文献1の被膜は、表面層がチタンを含み硬質であるため、なじみ性が低い。特許文献2の摺動材料は、摺動面に位置する第2層が軟質ではあるが、加圧力の変動の大きな圧縮機などの摺動部材として用いる場合に、なじみ性が不足することがある。
また、各種空調装置の冷凍サイクルに適用される圧縮機には、環境問題の観点からCO2 が冷媒として用いられるようになっている。CO2 はR−12やR−134aといった従来の冷媒に比べて作動圧が高い。そのため、摺動部材には、さらなる摺動性の向上が求められている。
特開2000−1768号公報 特開2001−140057号公報
本発明者等は、摺動層のうち摺動面となる表面部を軟質にしても、内部の硬度が高いとなじみ性が十分に得られないことに着目した。そこで、摺動層に含まれる金属元素の割合を適切な量とすることにより、摺動性に優れた摺動部材が得られることに想到した。すなわち、本発明は、摺動性、特に、なじみ性に優れた摺動部材を提供することを目的とする。
また、本発明の摺動部材に好適な摺動部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の摺動部材は、基材と、該基材の少なくとも摺動面側に形成され二硫化モリブデンを含む摺動層と、該基材の表面に形成され該基材と該摺動層との間に位置する中間層と、を有する摺動部材であって、
前記摺動層は、前記中間層の表面に形成されチタン(Ti)および/またはTi化合物を含む第一摺動層と、該第一摺動層に積層されTiおよびTi化合物を含まない第二摺動層と、からなり、
前記第一摺動層は、全体を100at%としたときにTiおよび/またはTi化合物を10at%以下(Ti換算、ただし0を含まない)含
前記中間層は、Tiおよび/またはTi化合物からなり二硫化モリブデンを含まないことを特徴とする。
前記第一摺動層のTiおよび/またはTi化合物は、前記第一摺動層を100at%としたときに3〜7at%含まれるのが好ましい。
前記基材は、圧縮機の摺動部品であるのが望ましく、特に、車両用空調装置の圧縮機であるのが望ましい。
また、本発明の圧縮機の摺動部材は、基材と、該基材の少なくとも摺動面側に形成され二硫化モリブデンを含む摺動層と、該基材の表面に形成され該基材と該摺動層との間に位置する中間層と、を有する摺動部材であって、
前記摺動層は、前記中間層の表面に形成され全体を100at%としたときにチタン(Ti)および/またはTi化合物を10at%以下(Ti換算、ただし0を含まない)含み、
前記中間層は、Tiおよび/またはTi化合物からなり二硫化モリブデンを含まないことを特徴とする。
また、本発明の摺動部材の製造方法は、本発明の摺動部材を製造する製造方法であって、
成膜炉と、
該成膜炉内に配置され、二硫化モリブデンを含む二硫化モリブデンターゲットが載置されたマグネトロンと、チタン(Ti)および/またはTi化合物を含むTi含有ターゲットが載置されたマグネトロンと、からなる磁場手段と、
該各ターゲットに対向するように基材を保持する保持手段と、
該基材に電場を印加する電場手段と、
前記各ターゲットを放電させる電源装置と、
を具備するマグネトロンスパッタイオンプレーティング装置を用い、請求項1〜9のいずれかに記載の摺動部材を製造する製造方法であって、
前記電源装置を操作して前記Ti含有ターゲットのみを放電させて、前記基材の表面にTiおよび/またはTi化合物からなり二硫化モリブデンを含まない中間層を形成する中間層形成工程と、
前記電源装置を操作して前記二硫化モリブデンターゲットおよび前記Ti含有ターゲットを放電させて、前記中間層の表面に二硫化モリブデンを含み全体を100at%としたときにTiおよび/またはTi化合物を10at%以下(Ti換算、ただし0を含まない)含む第一摺動層を形成する第一成膜工程と、
前記電源装置を操作して前記Ti含有ターゲットの放電を停止し、該第一摺動層上に二硫化モリブデンを含みTiおよびTi化合物を含まない第二摺動層を形成する第二成膜工程と、
からなることを特徴とする。
あるいは、前記中間層形成工程と、前記電源装置を操作して前記二硫化モリブデンターゲットおよび前記Ti含有ターゲットを放電させて、前記中間層の表面に二硫化モリブデンを含み全体を100at%としたときにTiおよび/またはTi化合物を10at%以下(Ti換算、ただし0を含まない)含む摺動層を形成する成膜工程と、からなることを特徴とする。
本発明の摺動部材によれば、第一摺動層を100at%としたときのTiおよび/またはTi化合物(これ以降の「金属元素および/または金属元素の化合物」は「Tiおよび/またはTi化合物」のことである)を10at%以下、さらに好ましくは3〜7at%とすることにより、摺動面(第二摺動層の表面)が適切な表面硬度となり、TiおよびTi化合物を含まない第二摺動層がもつなじみ性が良好に発揮される。その結果、摺動中に生じる摩擦力の変動が低減され、摺動性が向上する。
さらに、基材と第一摺動層との間に、上記の中間層を形成することにより、基材と摺動層との密着性がよくなるため、摺動部材の摺動特性をさらに向上させることができる。
また、本発明の摺動部材は、圧縮機、特に、作動中の加圧力の変動が大きい車両用空調装置の圧縮機に適用するのが効果的である。
本発明の圧縮機の摺動部材は、摺動層を100at%としたときの金属元素および/または金属元素の化合物を10at%以下とすることにより、摺動面が摺動に最適な表面硬度となり、圧縮機の摺動部材に好適ななじみ性が良好に発揮される。その結果、摺動中に生じる摩擦力の変動が低減され、摺動性が向上する。
そして、本発明の摺動部材は、マグネトロンスパッタイオンプレーティング法(マグネトロンスパッタイオンプレーティング装置)を用いて摺動層を成膜して製造することができる。本発明の摺動部材の製造方法によれば、マグネトロンスパッタイオンプレーティング(以下「MSIP」と略記)のイオンアシスト効果により、高密度で耐摩耗性の高い摺動層が得られる。また、二硫化モリブデンを含むターゲットと金属元素および/または金属元素の化合物を含むターゲットとが同一の成膜炉内に配置されているため、第一摺動層と第二摺動層とを同一の成膜炉内で成膜することができる。
以下に、本発明の摺動部材を実施するための最良の形態を図1を用いて説明する。なお、図1は、本発明の摺動部材の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の摺動部材は、基材(1)と、基材(1)の少なくとも摺動面側に形成され二硫化モリブデンを含む摺動層(2)と、を有する。
基材は、各種装置の摺動部品であれば形状等に特に限定はないが、金属製であるのが好ましい。たとえば、鉄や鋼、アルミニウムやMg、Cu、Zn、Si、Mn等を含むアルミニウム合金、銅やZn、Al、Sn、Mn等を含む銅合金などが好ましい。
そして、基材は、特に、圧縮機の摺動部品であるのが好ましい。すなわち、本発明の摺動部材は、圧縮機の摺動部材とすることができる。具体的には、斜板やシューの他、駆動軸を支持する軸受にも用いることができる。また、ピストン式圧縮機の駆動軸に一体的に軸支されると共に駆動軸をピストン式圧縮機のハウジングに回転可能に枢支し、駆動軸と同期回転することで圧縮室と吸入圧力領域との間のガス通路を開閉可能とするロータリーバルブや、ピストン式圧縮機のピストンに用いることもできる。
基材の表面は、研削加工や研磨加工などにより表面粗さを低く加工するのが望ましい。具体的には、摺動層が形成される基材の表面の表面粗さRa(算術平均粗さ(JIS B 0601(1994)))が0.5μm以下であるのが好ましい。なお、摺動性は、基材の表面粗さが低いほど向上するが、製造コスト等の問題より、Raが0.05〜0.3μmであるのが好ましい。
また、基材の表面部は、各種熱処理により硬化された硬化層であってもよい。硬化層としては、鉄鋼材料への高周波焼入れ等により硬化された表層部や、浸炭や窒化処理により基材表面部に形成された炭化層、窒化層、炭窒化層などが挙げられる。また、アルミニウム系の基材であればNi−Pメッキを施してもよい。基材の表面硬度を高くすることにより、基材と摺動層との密着性が向上する。
そして、摺動層(2)は、基材(1)の少なくとも摺動面側に形成される。摺動層(2)は、基材(1)上に形成され全体を100at%としたときに金属元素および/または金属元素の化合物を10at%以下(ただし0を含まない)含む第一摺動層(21)と、第一摺動層(21)に積層され金属元素および金属元素の化合物を含まない第二摺動層(22)と、から構成される。この際、摺動層は、第一摺動層、第二摺動層、ともに、固体潤滑材である二硫化モリブデン(MoS)を含むため、本発明の摺動部材は、摺動中の摩擦係数や摺動により生じる摩擦力が低く保たれ、摺動性に優れる。
第一摺動層は、主として二硫化モリブデンを含む。二硫化モリブデンは、固体潤滑材の一種であるため、二硫化モリブデンを含む層は、高い潤滑性を有する。すなわち、第一摺動層における二硫化モリブデンの割合は、第一摺動層を100at%としたときに、好ましくは90at%以上、さらに好ましくは93at%以上である。
さらに、第一摺動層は、金属元素を含む。含まれる金属元素は、金属元素および/または金属元素の化合物であればよい。金属元素としては、周期律表の第IV族〜第VI族に属する元素の少なくとも1種からなるのが好ましい。第IV族〜第VI族に属する元素には、MoやMoに類似する性質を有する元素が含まれる。そのため、第一摺動層において、金属元素や金属元素の化合物を二硫化モリブデンに分散させ混在させるのに好都合である。なかでも、Ti、Cr、W、ZrおよびVのうちの少なくとも1種であるのが好ましい。
金属元素および/または金属元素の化合物は、第一摺動層を100at%としたときに10at%以下、好ましくは7at%以下含まれる。第一摺動層は、金属元素や金属元素の化合物を含むことにより摺動に最適な硬度となり、耐摩耗性に優れた摺動層を構成する。また、二硫化モリブデンは吸湿性を有するため湿気による変質が生じやすいが、金属元素や金属元素の化合物を含むことにより、第一摺動層の強度低下や基材からの剥離が抑制される。これらの効果は、二硫化モリブデンに金属元素や金属元素の化合物が少しでも含まれれば表れるが、金属元素および/または金属元素の化合物は、第一摺動層を100at%としたときに3at%以上含まれるのが好ましい。
第一摺動層のみからなる摺動層を有する摺動部材であっても優れた摺動性を発揮するが、本発明の摺動部材は、第一摺動層に積層された第二摺動層をもつ。第二摺動層は、二硫化モリブデンからなる層である。そして、摺動部材が相手材と摺動する際には、その最表面が摺動面となる。第二摺動層は、金属元素や金属元素の化合物を含まないため、第一摺動層に比べて硬度の低い軟質な層である。したがって、摺動の際の相手材に対して高いなじみ性を示す。さらに、本発明の摺動部材は、前述のように、第一摺動層の金属元素および/または金属元素の化合物の割合を10at%以下としたため、第二摺動層がもつなじみ性が良好に発揮される。たとえば、第一摺動層の金属元素や金属元素の化合物の割合を変更した他は同じ条件で作製した本発明の摺動部材においては、第一摺動層の金属元素や金属元素の化合物の割合が低い程、摺動層(第二摺動層)の表面硬度が低くなる傾向にある(後述の[評価1]参照)。そのため、第一摺動層の金属元素および/または金属元素の化合物が7at%以下であれば、なじみ性がさらに向上する。すなわち、第一摺動層の金属元素および/または金属元素の化合物が3〜7at%であれば、なじみ性と耐摩耗性とを両立することができる。
また、摺動層は、表面硬度が10GPa以下であるのが好ましい。摺動層の表面硬度とは、本発明の摺動部材の摺動面の表面硬度、すなわち、摺動層の最表面の硬度である。表面硬度の測定は、[実施例]の欄で詳説するナノインデンテーション法により測定することができる。ナノインデンテーション法によれば、摺動層の表層部の表面硬度のみを測定することができる。摺動層(第二摺動層)の表面硬度が8GPa以下であれば、なじみ性が良好となる。また、表面硬度が小さい程、なじみ性は向上するため、さらに好ましくは6GPa以下である。ただし、摺動層としての機能を保持するためには、3GPa以上の表面硬度を有するのがよい。
なじみ性が高い本発明の摺動部材は、定常状態に近い状態で摺動が行われる。定常状態で摺動する摺動部材は、摺動中に生じる摩擦力の変動が低減されるため、摩耗や焼付きも低減され、長期にわたって優れた摺動性を保つことができる。
摺動層、第一摺動層および第二摺動層の厚さに特に限定はないが、特に、第二摺動層の厚さが0.1〜0.5μmであれば、なじみ性がさらに向上する。すなわち、第一摺動層は、好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.7μm以上、第二摺動層は、0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上であり、摺動層全体としては、好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.6μm以上である。また、第一摺動層は、好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下、第二摺動層は、1.0μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下であり、摺動層全体としては、好ましくは3.0μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下である。
本発明の摺動部材は、基材と摺動層との密着性向上のために、さらに、基材(1)の表面に形成され基材(1)と第一摺動層(21)との間に位置し、金属元素および/または金属元素の化合物からなり二硫化モリブデンを含まない中間層(3)を有してもよい。金属元素や金属元素の化合物としては、第一摺動層と同様の金属元素(前述)が使用可能であるが、特に、金属元素が、Ti、Cr、W、ZrおよびVのうちの少なくとも1種であれば、密着性はさらに向上する。また、第一摺動層と中間層とは、同一の成分の金属元素を含んでいてもよいし、異なる成分であってもよい。中間層の具体例としては、周期律表の第IV族〜第VI族に属する単独の元素からなる金属系の中間層の他、TiN、TiC、TiCN、CrN、ZrN、VC、TiO2 、TiAlN、TiCNO、TiCrN、WC、W2 C、ZrO、ZrO2 などセラミックス系の中間層であってもよい。また、金属層と窒化物層とを組み合わせた中間層であってもよい。窒化物層は、高硬度であるため、摺動層の変形を抑制して摺動層に生じる亀裂や剥離を抑制することができ、さらに、耐摩耗性も向上するため好ましい。
また、中間層の厚さに特に限定はないが、好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは3.0μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下である。
なお、摺動層や中間層は、基材の表面に成膜された蒸着膜であるのがよい。蒸着方法としては、プラズマCVD法や熱CVD法などのCVD法(化学蒸着法)、真空蒸着法やスパッタリング等のPVD法(物理蒸着法)などにより成膜することができる。蒸着方法は、作製する各層の材質に合わせて適宜選択すればよいが、マグネトロンスパッタイオンプレーティング(MSIP)法や、クローズドフィールドアンバランストマグネトロンスパッタイオンプレーティング(CFUBMSIP)法が最適である。これらの方法によれば、イオン照射により二硫化モリブデンの膜質が改善(イオンアシスト効果)されるため、高密度で耐摩耗性の高い摺動層が得られる。
MSIP装置は、主として、成膜炉と、成膜炉内に配置された磁場手段と、摺動部品等の基材を保持する保持手段と、基材に電場を印加する電場手段と、ターゲットを放電させる電源装置と、を具備する。磁場手段は、主としてマグネトロンからなり、マグネトロンには、二硫化モリブデン等を含むターゲットが載置される。通常、マグネトロンは、中心軸に位置する内側極と、その外周に位置する外側極と、を有し内側極と外側極とが異なった極性となるように配置される。また、マグネトロンは、同一の成膜炉内に1つ以上配置される。この際、二硫化モリブデンを含むターゲットを載置したマグネトロンと、金属元素および/または金属元素の化合物を含むターゲットを載置したマグネトロンと、を同一の成膜炉内に配置すれば、第一摺動層および第二摺動層を同一の成膜炉内で成膜することができる。さらに、複数のマグネトロンの外側極が互いに異なる極性となるように、マグネトロンをリング状に配置すれば、全体として閉じられた磁界が形成されるため望ましい。
また、保持手段は、少なくとも基材の被成膜面が各ターゲットに対向するように、基材を保持できればよい。複数のマグネトロンがリング状に配置される場合には、基材をリングの中心部に配置するとよい。この際、リングの中心軸に対して、基材を回転させてもよい。
二硫化モリブデンを含むターゲットと、金属元素および/または金属元素の化合物を含むターゲットと、が同一の成膜炉内に配置されている場合には、はじめに、成膜炉内にアルゴンなどのスパッタガスを導入し、その後、電源装置を操作して二硫化モリブデンを含むターゲットならびに金属元素および/または金属元素の化合物を含むターゲットを放電させて第一摺動層を成膜する(第一成膜工程)。次に、電源装置を操作して金属元素および/または金属元素の化合物を含む前記ターゲットの放電を停止する(第二成膜工程)。放電しているターゲットは二硫化モリブデンを含むターゲットであるため、第二摺動層を形成することができる。さらに、摺動層の形成前に中間層を形成する場合には、中間層と第一摺動層の金属元素の成分が同一であれば、中間層と摺動層を同一の成膜炉内で成膜することができる。中間層や摺動層(第一摺動層、第二摺動層)を同一の成膜炉内で成膜することにより、摺動部材の製造工程数を少なくすることができる。また、成膜炉から取り出す際に付着する中間層や第一摺動層の表面の汚染も抑制することができ、次に積層される層との密着性が向上するため望ましい。
本発明の摺動部材は、圧縮機に好適に用いることができる。圧縮機の摺動部品は、高速、高面圧で摺動するとともに、運転条件によっては油膜が破壊されて潤滑状態が不良になるからである。特に、作動中の加圧力の変動が大きい車両用空調装置の圧縮機に適用するのが効果的である。本発明の摺動部材は、第一摺動層を100at%としたときの金属元素および/または金属元素の化合物の割合を10at%以下としたため、摺動を開始した初期状態だけでなく、加圧力が上昇した直後の状態においても、相手材に対するなじみ性に優れる。その結果、摺動中の摩擦力の変動が低減され、相手材に対する摩耗や焼付きが抑制される。また、既に説明したが、冷媒としてCO2 を用いる圧縮機は作動圧が高いため、なじみ性に優れた本発明の摺動部材を用いるのが望ましい。
本発明の摺動部材は、圧縮機のなかでも、斜板式圧縮機の斜板やシューに用いることが望ましい。斜板とシューとは、潤滑油がないドライな状態で相互に摺動する場合がある。このような非常に厳しい無潤滑状態で摺動する場合であっても、焼付きや摩耗などを起こさないことが望まれる。斜板やシューとして本発明の摺動部材を用いれば、なじみ性の向上により摩擦トルクの変動が低減されるため、優れた摺動性を有する斜板式圧縮機が構成され、斜板式圧縮機に要求される条件を十分に満たすことができる。
また、本発明の圧縮機の摺動部材は、第一摺動層を摺動層とし第二摺動層を形成しない他は、前述の本発明の摺動部材と同様の構成である。本発明の圧縮機の摺動部材において、摺動層を100at%としたときに金属元素および/または金属元素の化合物を10at%以下とすることにより、圧縮機の摺動部材として十分ななじみ性が得られる。また、摺動層の表面硬度が10GPa以下であれば、なじみ性が良好となる。
以上、本発明の摺動部材の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明摺動部材の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明の摺動部材の実施例を比較例とともに、表1および図2〜図9を用いて説明する。
[実施例1]
基材として、圧縮機の斜板(球状黒鉛鋳鉄品:FCD600(φ96mm×6mm))を準備した。斜板の両端面には、表面粗さRaが0.05〜0.3μmとなるように研削加工を施し、CFUBMSIP法により摺動層を成膜した。以下に、摺動層の成膜手順を説明する。なお、CFUBMSIP装置には、Teer Coatings Limited 社製UDP850/4を用いた。本装置は、チャンバー内に、1個のチタン(Ti)ターゲットと3個の二硫化モリブデン(MoS2 )ターゲットを有し、4個のターゲットは電源装置により、それぞれ独立に作動させて放電させることができる。
成膜装置のチャンバー内に斜板を載置して、チャンバー内を到達真空度が0.01mTorr(1.3×10-3Pa)まで排気した。つぎに、チャンバー内にアルゴンガスを供給し、成膜前の前処理としてイオンボンバード処理を行い、斜板の表面をエッチングした。
イオンボンバード処理の後、チャンバー内の真空度を6mTorr(0.8Pa)に調整した。そして、Tiターゲットのみをグロー放電させ、25分間の放電により0.1μmのTi膜を成膜した。引き続き、TiターゲットとMoS2 ターゲットをグロー放電させ、110分間の放電により1.0μmのTi含有MoS2 膜を成膜した。その後、MoS2 ターゲットのみをグロー放電させ、50分間の放電により0.5μmのMoS2 膜を成膜した。
以上の成膜により、中間層としてTi膜、第一摺動層としてTiを5at%含むMoS2 膜、第二摺動層としてMoS2 膜、を有する実施例1−1の斜板を得た。
また、第二摺動層を成膜しない他は実施例1−1と同様にして、実施例1−2の斜板を得た。
[実施例2]
第一摺動層をTiを10at%含むMoS2 膜とした他は、実施例1と同様にして実施例2−1および実施例2−2(第一摺動層のみ)の斜板を作製した。
[比較例1]
第一摺動層をTiを15at%含むMoS2 膜とした他は、実施例1と同様にして比較例1−1および比較例1−2(第一摺動層のみ)の斜板を作製した。
なお、表1に、上記の実施例、比較例の中間層、摺動層(第一摺動層および第二摺動層、第一摺動層)に含まれるTiの割合と膜厚を示す。
Figure 0004934998
[比較例2]
摺動層として、二硫化モリブデン、グラファイトおよびポリテトラフルオロエチレンの粉末からなる固体潤滑材をポリアミド樹脂により保持した樹脂層を形成した他は、実施例1と同様にして比較例2の斜板を作製した。
[評価1]
実施例1−1、1−2、実施例2−1、2−2および比較例1−1、1−2の斜板について、ナノインデンテーション法により摺動面の表面硬度を測定した。ナノインデンターには、原子間力顕微鏡(SHIMADZU社製SPM9500J2)に取り付けたHYSITORON社製Toriboscopeを用いた。なお、測定は、荷重250μNで行った。このとき、ナノインデンターの圧子押しこみ深さは、40nm程度であった。結果を図2に示す。
図2によれば、摺動層が第一摺動層のみからなる実施例1−2、2−2および比較例1−2では、摺動層のTiの割合が少ない程、摺動面の表面硬度は低下する傾向にある。そして、摺動層のTiが10at%以下である実施例1−2および2−2では、摺動層の表面硬度が7GPa以下であった。低い表面硬度を有する実施例1−2および2−2の斜板は、耐摩耗性に優れるとともに、なじみ性に優れる。
また、摺動層が第一摺動層と第二摺動層とからなる実施例1−1、2−1および比較例1−1では、第一摺動層のTiの割合が少ない程、摺動面の表面硬度は低下する傾向にある。比較例1−1では、摺動面の表面硬度は、第二摺動層にはTiが含まれないにもかかわらず、Tiを15at%含む第一摺動層(比較例1−2)と同程度の硬度を有した。一方、第一摺動層のTiが10at%以下である実施例1−1および2−1では、摺動面の表面硬度が6GPa以下となった。特に、第一摺動層のTiが5at%である実施例1−1の斜板は、第一摺動層の硬度が高く耐摩耗性に優れるとともに、摺動面の表面硬度が低減されてなじみ性に優れた斜板であった。
なお、実施例1−2および2−2は、第二摺動層を形成した比較例1−1の斜板よりも表面硬度低く、なじみ性に優れた斜板であった。
[評価2]
各実施例の斜板について、焼付き試験を行った。焼付き試験は、斜板の摺動面と、圧縮機用シュー(高Si含有アルミニウム合金基材の摺動面側にNiPBメッキを施した)の摺接面と、を当接させた状態で、斜板を回転させて行った。この際、冷凍機油(ND8)を摺動部に噴霧しながら摺動速度7.5m/sで斜板を回転させ、試験荷重を段階的に増圧させて試験を行った。結果を図3〜図6に示す。なお、図3〜図6は、各斜板の試験時間に対する摩擦トルクを示すグラフであって、摩擦トルクとともに試験荷重も示す。
実施例1−2(図5参照)では、試験重が4000Nを超えるまで焼付きが生じなかった。そして、実施例1−1(図3参照)では、試験荷重を増大しても、摩擦トルクの変動はほとんど見られず、試験時間が5000秒となっても、焼付きは生じなかった。つまり、実施例1−1の斜板は、第二摺動層を形成することにより、摺動層のシューに対するなじみ性がさらに良好となった。また、同様に、実施例2−1(図4参照)においても、摩擦トルクの変動が実施例2−2よりも小さく抑えられ、試験荷重が5000Nを超えるまで、焼付きは生じなかった。
[評価3]
実施例2−2および比較例2の斜板について、焼付き試験を行った。試験は、斜板の回転を1750rpmとし、試験荷重を500Nから5800Nまで試験開始から3000秒間で段階的に増圧させた他は、評価2と同様にして行った。試験時間に対する動摩擦係数を図7に示す。
また、実施例2−2および比較例2の斜板について、無潤滑(潤滑油の噴霧なし)とした他は、評価2と同様にして焼付き試験を行った。試験時間に対する摩擦トルクを図8に示す。
実施例2−2の斜板は、摺動層に樹脂を含む比較例2に比べ、耐久性に優れた。特に、潤滑油を噴霧しながらの試験(図7参照)において、実施例2−2の試験時間は、大幅に伸びた。また、実施例2−2では、摺動時の動摩擦係数や、無潤滑下での摩擦トルクの値が、比較例2よりも低く保たれた。なお、実施例2−2に比べ、なじみ性や耐久性に優れた実施例1−1、1−2および実施例2−1の斜板を用いれば、さらに優れた結果が得られることは、容易に推測される。
また、各実施例の斜板を斜板式圧縮機に適用した場合には、以下のような構成となる。
(斜板式圧縮機の構成)
図9に、斜板式圧縮機の構成を示す。図9に示すように、駆動軸90は、シリンダブロック92とフロントハウジング93により形成される斜板室94に収容されており、ラジアル軸受により回転自在に支持されている。そして、シリンダブロック92内には、駆動軸90を囲む位置に複数個のボア95が配設されている。各ボア95には、片頭形のピストン96がそれぞれ往復動可能に嵌挿されている。斜板室94内においては、駆動軸90にロータ97が結合され、そのロータ97の後方に斜板98が嵌合されている。特に、可変容量型の片頭型斜板式圧縮機では、斜板98は支点回りに傾動可能となっており、斜板室94の圧力変化に基づくピストン96の両端面に作用するガス圧の釣り合いによって、斜板98の傾角変位を制御するようになっている。また、斜板98は、両端面外周側に摺動層(図示せず)をもち、この摺動層の表面が摺動面98pとなる。摺動面98pにはシュー99の摺接面99pが当接されている。これらのシュー99は、ピストン96の半球面座96pと係合されている。このシューを介してピストン96が斜板98と連係することにより、斜板98の回転運動がピストン96の直線運動に変換されて媒体の圧縮が行われる。
本発明の摺動部材の一例を模式的に示す断面図である。 実施例1、2および比較例1の斜板の摺動面の表面硬度を示すグラフである。 焼付き試験における実施例1−1の斜板の摩擦トルクの変動を示すグラフである。 焼付き試験における実施例2−1の斜板の摩擦トルクの変動を示すグラフである。 焼付き試験における実施例1−2の斜板の摩擦トルクの変動を示すグラフである。 焼付き試験における実施例2−2の斜板の摩擦トルクの変動を示すグラフである。 焼付き試験における実施例2−2および比較例2の斜板の摩擦係数を示すグラフである。 無潤滑焼付き試験における実施例2−2および比較例2の斜板の摩擦トルクの変動を示すグラフである。 本発明の摺動部材を斜板に適用した斜板式圧縮機の断面を模式的に示す図である。
符号の説明
1:基材
2:摺動層 21:第一摺動層 22:第二摺動層
3:中間層

Claims (20)

  1. 基材と、該基材の少なくとも摺動面側に形成され二硫化モリブデンを含む摺動層と、該基材の表面に形成され該基材と該摺動層との間に位置する中間層と、を有する摺動部材であって、
    前記摺動層は、前記中間層の表面に形成されチタン(Ti)および/またはTi化合物を含む第一摺動層と、該第一摺動層に積層されTiおよびTi化合物を含まない第二摺動層と、からなり、
    前記第一摺動層は、全体を100at%としたときにTiおよび/またはTi化合物を10at%以下(Ti換算、ただし0を含まない)含み、
    前記中間層は、Tiおよび/またはTi化合物からなり二硫化モリブデンを含まないことを特徴とする摺動部材。
  2. 前記第一摺動層のTiおよび/またはTi化合物は、前記第一摺動層を100at%としたときに3〜7at%含まれる請求項1記載の摺動部材。
  3. 前記摺動層は、表面硬度が6GPa以下である請求項1または2記載の摺動部材。
  4. 前記摺動層は、蒸着膜である請求項1〜3のいずれかに記載の摺動部材。
  5. 前記摺動層は、マグネトロンスパッタイオンプレーティング法により成膜された蒸着膜である請求項4記載の摺動部材。
  6. 前記第二摺動層は、0.1〜0.5μmの厚さである請求項1〜5のいずれかに記載の摺動部材。
  7. 前記第一摺動層は、0.5〜2.0μmの厚さである請求項1〜6のいずれかに記載の摺動部材。
  8. 前記基材は、圧縮機の摺動部品である請求項1〜7のいずれかに記載の摺動部材。
  9. 前記圧縮機は、車両用空調装置の圧縮機である請求項8記載の摺動部材。
  10. 基材と、該基材の少なくとも摺動面側に形成され二硫化モリブデンを含む摺動層と、該基材の表面に形成され該基材と該摺動層との間に位置する中間層と、を有する摺動部材であって、
    前記摺動層は、前記中間層の表面に形成され全体を100at%としたときにチタン(Ti)および/またはTi化合物を10at%以下(Ti換算、ただし0を含まない)含み、
    前記中間層は、Tiおよび/またはTi化合物からなり二硫化モリブデンを含まないことを特徴とする圧縮機の摺動部材。
  11. 前記摺動層のTiおよび/またはTi化合物は、該摺動層を100at%としたときに3〜7at%含まれる請求項10記載の圧縮機の摺動部材。
  12. 前記摺動層は、表面硬度が10GPa以下である請求項10または11記載の圧縮機の摺動部材。
  13. 前記摺動層は、蒸着膜である請求項10〜12のいずれかに記載の圧縮機の摺動部材。
  14. 前記摺動層は、マグネトロンスパッタイオンプレーティング法により成膜された蒸着膜である請求項13記載の圧縮機の摺動部材。
  15. 前記圧縮機は、車両用空調装置の圧縮機である請求項10〜14のいずれかに記載の圧縮機の摺動部材。
  16. 斜板式圧縮機の斜板である請求項15記載の圧縮機の摺動部材。
  17. 斜板式圧縮機のシューである請求項15記載の圧縮機の摺動部材。
  18. 前記圧縮機は、冷媒として二酸化炭素を用いる請求項15〜17のいずれかに記載の圧縮機の摺動部材。
  19. 成膜炉と、
    該成膜炉内に配置され、二硫化モリブデンを含む二硫化モリブデンターゲットが載置されたマグネトロンと、チタン(Ti)および/またはTi化合物を含むTi含有ターゲットが載置されたマグネトロンと、からなる磁場手段と、
    該各ターゲットに対向するように基材を保持する保持手段と、
    該基材に電場を印加する電場手段と、
    前記各ターゲットを放電させる電源装置と、
    を具備するマグネトロンスパッタイオンプレーティング装置を用い、請求項1〜9のいずれかに記載の摺動部材を製造する製造方法であって、
    前記電源装置を操作して前記Ti含有ターゲットのみを放電させて、前記基材の表面にTiおよび/またはTi化合物からなり二硫化モリブデンを含まない中間層を形成する中間層形成工程と、
    前記電源装置を操作して前記二硫化モリブデンターゲットおよび前記Ti含有ターゲットを放電させて、前記中間層の表面に二硫化モリブデンを含み全体を100at%としたときにTiおよび/またはTi化合物を10at%以下(Ti換算、ただし0を含まない)含む第一摺動層を形成する第一成膜工程と、
    前記電源装置を操作して前記Ti含有ターゲットの放電を停止し、該第一摺動層上に二硫化モリブデンを含みTiおよびTi化合物を含まない第二摺動層を形成する第二成膜工程と、
    からなることを特徴とする摺動部材の製造方法。
  20. 成膜炉と、
    該成膜炉内に配置され、二硫化モリブデンを含む二硫化モリブデンターゲットが載置されたマグネトロンと、チタン(Ti)および/またはTi化合物を含むTi含有ターゲットが載置されたマグネトロンと、からなる磁場手段と、
    該各ターゲットに対向するように基材を保持する保持手段と、
    該基材に電場を印加する電場手段と、
    前記各ターゲットを放電させる電源装置と、
    を具備するマグネトロンスパッタイオンプレーティング装置を用い、請求項10〜18のいずれかに記載の摺動部材を製造する製造方法であって、
    前記電源装置を操作して前記Ti含有ターゲットのみを放電させて、前記基材の表面にTiおよび/またはTi化合物からなり二硫化モリブデンを含まない中間層を形成する中間層形成工程と、
    前記電源装置を操作して前記二硫化モリブデンターゲットおよび前記Ti含有ターゲットを放電させて、前記中間層の表面に二硫化モリブデンを含み全体を100at%としたときにTiおよび/またはTi化合物を10at%以下(Ti換算、ただし0を含まない)含む摺動層を形成する成膜工程と、
    からなることを特徴とする摺動部材の製造方法。
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