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JP4462077B2 - 組合せ摺動部材 - Google Patents

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Description

本発明は、摺動表面に非晶質炭素材料からなる被膜を形成した2つの摺動部材を組合せた組合せ摺動部材に係り、特に、これら部材の摺動面の摺動特性が向上する組合せ摺動部材に関する。
従来から、構造用鋼あるいは鋼合金鋼からなる摺動部材において、その摺動面に、耐摩耗性を向上させ、低摩擦特性を得るために、硬質炭素膜、非晶質炭素(DLC)膜をコーティングすることはよく知られている。
例えば、摺動面に非晶質硬質炭素(DLC)膜を有する摺動部材と、この摺動面と摺動する面がセラミックスからなる摺動部材と、を組合せた摺動部材において、セラミックスの摺動面を非晶質硬質炭素膜の表面粗さ(Ra)以下の表面粗さ(Ra)とした摺動部材が開示されている(特許文献1参照)。
またこの他にも、摺動部材に使用する最適な潤滑剤の特性を得るために、摺動部材の組合せの一例として、母材を鋼とした双方の摺動面に、同程度の表面硬度のDLCを被覆した組合せ摺動部材、また一方の摺動面にのみDLCを被覆した組合せ摺動部材が、実験例として開示されている(非特許文献1,2参照)。
特開2001−280497号公報 Urban WIKLUND,RUNNING−IN PHENOMENA OF DLC COATINGS,福井大学国際コングレス−トライボロジーに関するワークショップ予稿集,2002.9.12th,P.157−163 S.Jacobson,S.Hogmark,On the tribological character of boundary lubricated DLC coated components,28th Leeds−Lyon Symposium,Abstracts of papers,2001,P.801
ところで、近年、自動車のエンジンは、高出力及び高回転による高性能化が求められており、例えば、燃料噴射部品のシリンダとピストンとを組合せた摺動部材においては、これらの部材は小型化する一方、このような高性能化を図るために摺動面に作用する面圧は、高面圧化する傾向にある。そして、この高面圧化に伴い、これら部材の摺動面に油膜切れが発生し、その結果、シリンダとピストンの双方に著しい摩耗や焼付けが生じる虞がある。
しかし、前述した如く、摺動部材の一方にDLCを被膜し耐摩耗性等を向上させたとしても、そのDLCを被覆した摺動部材の耐摩耗性は向上するが、相手材料との関係において組合せた摺動部材全体としての摩擦係数の低減、耐焼付き性の向上などの諸性能を総合的に向上させることは難しい。
また、前記非特許文献1、2に記載のような組合せ摺動部材においては、摺動面にDLCを用いたことにより摩擦係数は低減されているが、双方の摺動面にDLCを被覆した場合も、一方の摺動面にのみDLCを被覆した場合においても、その摩擦係数は同程度であり、双方の摺動面に単にDCLを被覆しただけでは、画期的に組合せ摺動部材の摺動特性が向上するものではなかった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、上述した過酷な使用環境下においても組合せる摺動部材の双方の摩耗を低減すると共に、この組合せ摺動部材の焼付き特性、摩擦特性などの諸特性を向上することができる組合せ摺動部材を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく多くの実験と研究を行うことにより、組合せ摺動部材の双方の摺動面に非晶質炭素材料(ダイヤモンドライクカーボン:DLC)を被覆して摺動特性を向上させるためには、初期馴染み性を考慮して摺動面の初期表面状態を決定することが重要であるとの知見を得、この初期表面状態を決定するファクターとして、摺動面の表面硬度と表面粗さとに着眼した。
そして、これらの摺動部材の一方の表面を他方の表面よりも硬くすると共にこの他方の表面を一方の表面よりも粗くし、さらに、これらの摺動部材の表面硬度と表面粗さとが、相対的に所定の数値関係を満たしたときに画期的に摺動特性が向上するとの知見を得た。
本発明は、本発明者らが得た上記の新たな知見に基づくものであり、本発明の組合せ摺動部材は、摺動面に、表面粗さが中心線平均粗さRa0.05μm以下の非晶質炭素材料の被膜を形成した第一摺動部材と、該第一摺動部材の摺動面と摺動する摺動面に、表面粗さが中心線平均粗さRa0.1μm以下の非晶質炭素材料の被膜を形成した第二摺動部材と、を備え、前記第一摺動部材の被膜は、前記第二摺動部材の被膜に比べて表面硬度が高く、前記第二摺動部材の被膜は、前記第一摺動部材の被膜に比べて表面粗さが大きい、ことを特徴とする。
本発明の如き表面状態を有した組合せ摺動部材は、第二摺動部材に比べ第一摺動部材の表面を硬くしたので第二摺動部材の表面によって第一部材の表面は摩耗し難い。また、第二摺動部材の表面は、第一摺動部材に比べてその表面を粗くしたが、第一摺動面の表面が硬く滑らかであるので、第二摺動部材の表面は摩耗し難い。さらに、このように相対的に一方の表面を粗くすることにより、なじみ性が向上し、さらに摺動面の間に潤滑油が入り込みやすく、摺動面の潤滑性が向上し、より一層、摩耗し難くなる。
このような効果から、これらの組み合せ摺動部材は、初期馴染み性がよく、初期摩耗粉も発生し難いので、長時間摺動しても摺動面の摩耗が進行することなく、双方の組合せ摺動部材の耐摩耗性が向上する。また、組合せ摺動部材の焼付き特性及び摩擦特性も向上するので、部材の長寿命化を図ることができる。
この非晶質炭素材料の被膜を成膜する方法としては、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどを利用した物理的蒸着法(PVD)により成膜してもよく、プラズマ電解処理などを利用した化学気相成長法(CVD)により成膜してもよい。
また、第一摺動部材の被膜の表面粗さはRa0.05μm以下、第二摺動部材の被膜の表面粗さはRa0.1μm以下にする必要があり、この条件を満たさないと、少なくともいずれか一方の摺動面から摩耗粉が発生してしまい、摩耗を低減することができない。そして、このような表面粗さは、被膜前のこれら摺動部材の基材の表面粗さを調整することにより得ることができる。
また、第一摺動部材の被膜の表面硬度は、第二摺動部材の被膜の表面硬度よりも、Hv400以上高い表面硬度を有することが好ましい。そのような硬度差が得られない場合には、双方の摺動部材の摩耗が促進される。さらにまた好ましい態様としては、この硬度差はHv500以上である。
また、このような摺動部材の被膜の表面硬度は、Hv1000からHv4000の範囲内にあることが好ましく、Hv1000以下の場合には、この低硬度の被膜表面から摩耗が発生し、Hv4000以上の場合には、この被膜と摺動部材の基材との密着力が低下する。
よって、この表面硬度の範囲を満たしつつ、第一摺動部材の被膜の表面硬度が、第二摺動部材の被膜の表面硬度によりもHv400以上高い表面硬度を有するためには、第一摺動部材の被膜の表面硬度がHv1400からHv4000の範囲にあり、第二摺動部材の被膜の表面硬度がHv1000からHv3600の範囲にあることが好ましい。また、Hv500以上の硬度差とする場合には、第一摺動部材の被膜の表面硬度がHv1500からHv4000の範囲となり、第二摺動部材の被膜の表面硬度がHv1000からHv3500の範囲となる。
また、このような被膜の表面硬度は、バイアス電圧をかけてPVDにより成膜をする場合は、そのバイアス電圧の大きさを所定電圧に設定することにより、この被膜の表面硬度を調整することができる。この他にも、この非晶質炭素材料中に、Si、Ti、Cr、Mo、Fe、Wなどの添加元素を含有させて、被膜の表面硬度を調整することもできる。
さらに、上記表面硬度の条件を満たしつつ、第二摺動部材の被膜の表面粗さを、第一摺動部材の被膜の表面粗さよりも、Ra0.005μm以上大きい中心線平均粗さRaにすることが好ましく、このような表面粗さの差を設けることにより、摩耗を低減することができる。
さらに、この被膜を摺動部材に形成するにあたっては、摺動部材の基材とこの被膜との間に、中間層として、クロム(Cr)からなる層を設けることにより、この被膜の密着性を向上させることができる。また、このクロムの代わりに、チタン(Ti)またはタングステン(W)を用いてもよい。
また、これら摺動部材の被膜の膜厚は、0.1μm以上の厚みであることが好ましく、この膜厚よりも小さい場合には、摺動時にこの被膜がすぐに摩滅してしまい、所望の効果を得ることができない。
そして、このような摺動部材を、内燃機関を構成するピストンリングとシリンダブロックとに用いる場合には、当該内燃機関のピストンリングの摺動面に前記組合せ摺動部材の第一摺動部材が用い、シリンダブロックの摺動面には前記組合せ摺動部材の第二摺動部材を用いることが好ましい。
さらに、この機械装置を構成するピストンとシリンダとに、このような摺動部材を用いる場合には、当該機械装置のピストンの摺動面に前記組合せ摺動部材の第一摺動部材を用い、シリンダの摺動面に前記組合せ摺動部材の第二摺動部材を用いることが好ましい。
内燃機関のピストンリングとシリンダブロック、または、機械装置のピストンとシリンダに、この様な組合せ摺動部材を適用することにより、双方の部品の摩耗を低減し摺動特性を向上することができるので、これらの機器の長寿命化を図ることができる。
また、第一摺動部材の摺動面は、第二摺動部材の摺動面に比べて、表面硬度が高く、表面粗さが小さいので摩耗し難く、このような第一摺動部材を、摺動面が常に相手部材の摺動面と接触するピストンリング及びピストンに用いることで、双方の部材の摩耗をさらに抑えることができる。
本発明によれば、組合せた摺動部材の双方の摩耗を低減すると共に、組合せ摺動部材としての焼付き特性、摩擦特性など向上することができ、部材全体としての寿命を長寿命化することができる。
以下に、本発明を実施例により説明する。
(実施例1)
第一摺動部材として、ステンレス鋼(JIS規格SUS440C、焼入れ品、表面硬度Hv500)の棒材から、16mm×6mm×10mmのサイコロ試験片を製造した。このサイコロ試験片の表面粗さが中心線平均粗さRa0.007μmとなるように、表面粗さを調整し、アンバランスドマグネトロンスパッタリング装置(神戸製鋼所社製)を用いて、この表面に、非晶質炭素材料(DLC)からなる被膜を形成した。この被膜の成膜条件としては、アルゴン(Ar)にメタン(CH)を体積率で5%混合したガスをフローガスとして用い、雰囲気温度を100℃にしてサイコロ試験片にバイアス電圧100Vを印加し、グラファイトターゲットをスパッタ粒子にすることにより、表1に示す如くDLCの被膜の表面硬度:2000Hv、表面粗さRa(中心線平均粗さ)0.01μmとなるように、この粒子を試験片の表面に蒸着し、厚さ1.5μmのDLCの被膜を形成した。
一方、第二摺動部材として、ステンレス鋼(JIS規格SUS440C、焼入れ品、表面硬度Hv500)の棒材から、外形35mm×内径30mm×幅10mmの円筒試験片を製造した。このサイコロ試験片(母材)の表面粗さが中心線平均粗さRa0.015μmとなるように、表面粗さを調整し、プラズマCVD法により、この表面にDLCからなる被膜を形成した。具体的には、成膜用原料ガス:アセチレン(C)、成膜圧力:0.5×10−2Torr、高周波電力:2kW、印加電圧の周波数:2.5GHz、電力印加電極の温度:500℃の成膜条件により、表1に示す如く、表面硬度:1500Hv、表面粗さRa(中心線平均粗さ)0.016μmとなるように厚さ1.5μmのDLCの被膜を形成した。
尚、図1には、両者の試験片の表面硬度の差(硬度差)、及び表面粗さの差(粗さ差)も同時に示しており、表面硬度の差は、サイコロ試験片の表面硬度から円筒試験片の表面硬度を減算した値であり、表面粗さの差は、円筒試験片の表面粗さからサイコロ試験片の表面粗さを減算した値である。
(実施例2)
実施例1と同様に第一摺動部材と第二摺動部材とを製作した。実施例1と異なる点は、上記成膜条件のバイアス電圧、高周波電力、及びこの被膜を形成する前の各摺動部材の基材の表面粗さを調整し、表1に示す如く、第一摺動部材(サイコロ試験片)の表面硬度をHv3000、表面粗さRa0.02μm、第二摺動部材(円筒試験片)の表面硬度をHv2000、表面粗さRa0.03μmとなるように、DLCの被膜を各摺動部材に形成した点である。
Figure 0004462077
実施例1及び2の組合せ摺動部材に対して摩耗試験を行った。具体的には、DLCを被覆したサイコロ試験片の16mm×6mmの面と、DLCを被覆した円筒試験片の外周面とを接触させ、その接触した摺動面に潤滑油(SAE5W−30)を給油しながら、荷重30kgf、円筒試験片の回転数160rpmの条件で30分間連続試験を行った。そして、サイコロ試験片の摩耗痕深さ、円筒試験片の摩耗重量を測定し、これらの測定値をそれぞれの摩耗量とした。さらに、摩耗試験時におけるこれら組合せ摺動部材の摩擦係数μも同時に測定した。この試験結果を図1に示す。
図1に示すように、実施例1及び実施例2のサイコロ試験片の摩耗量は0.5μm程度、円筒試験片の摩耗量は0.35mg、摩擦係数は0.05であり、両者の試験結果に殆ど差異は認められなかった。
(比較例1)
実施例1と同様に第一摺動部材と第二摺動部材とを製作した。実施例1と異なる点は、第二摺動部材の成膜条件である高周波電力を2.5kWにし、さらに、この被膜を形成する前の各摺動部材の基材の表面粗さを調整し、表1に示す如く、第二摺動部材(円筒試験片)の表面硬度をHv2000、表面粗さRa0.01μmとなるように、DLCの被膜を各摺動部材に被覆した点である。
(比較例2)
実施例2と同様に第一摺動部材と第二摺動部材とを製作した。実施例2と異なる点としては、被膜を被覆する前の各摺動部材の基材の表面粗さを調整し、表1に示す如く、第二摺動部材(円筒試験片)の表面粗さRa0.02μmとなるように、DLCの被膜をこの摺動部材に形成した点である。
(比較例3)
実施例1と同様に第一摺動部材と第二摺動部材とを製作した。実施例1と異なる点は、表1に示す如く、第二摺動部材(円筒試験片)にはDLCの被膜を被覆せず、表面硬度をHv500、表面粗さRa0.016μmとなるように、この摺動面の表面を処理した点である。
(比較例4)
実施例1と同様に第一摺動部材と第二摺動部材とを製作した。実施例1と異なる点は、被膜を形成する前の各摺動部材の基材の表面粗さを調整し、表1に示す如く、第一摺動部材(サイコロ試験片)の表面粗さRa0.06μm、第二摺動部材(円筒試験片)の表面粗さRa0.12μmとなるように、DLCの被膜を各摺動部材に形成した点である。
これらの比較例1から4に対して、実施例1と同様の摩耗試験を行い、各試験片の摩耗量及び摩擦係数を求めた。この結果を図1に示す。
図1に示すように、比較例1から比較例4のサイコロ試験片、円筒試験片のいずれも、実施例1、2に比べて、その摩耗量は多く、摩擦係数も高かった。
(評価1)
実施例1と、比較例1とを比較すると、比較例1の如く、サイコロ試験片と円筒試験片の表面硬度、表面粗さを同程度する場合に比べ、実施例1の如く、サイコロ試験片と円筒試験片との表面硬度Hvに差(500Hv)を設け、さらに表面粗さRaに差(粗さ差Ra0.006)を設けた場合の方が、試験片の摩耗量が低減すると考えられる。
すなわち、摺動部材の一方の表面を他方の表面よりも硬くすること、又は、この他方の表面を一方の表面よりも粗くすること、の少なくとも一方の条件が成立した場合に、摺動部材の耐摩耗性は向上すると考えられる。
(評価2)
実施例2と、比較例2とを比較すると、比較例2の如く、サイコロ試験片と円筒試験片との表面硬度に差(硬度差1000Hv:実施例2と同じ硬度差)を設けたとしても、サイコロ試験片と円筒試験片との表面粗さに差を設けなければ、実施例2の如く、試験片の摩耗量が低減しないと考えられる。
以上の評価1及び評価2から、摺動部材の一方の表面を他方の表面よりも硬くすること、及び、この他方の表面を一方の表面よりも粗くすることの2条件を同時に満たした場合にのみ、摺動部材の耐摩耗性は向上すると考えられる。
(評価3)
さらに、実施例1と比較例4とを比較すると、比較例4の如く、サイコロ試験片と円筒試験片との表面硬度を実施例1と同じくしても、サイコロ試験片と円筒試験片の絶対的な表面粗さが大きすぎると、アブレッシブ摩耗によりDLCの摩耗粉が多く発生するために、摩耗は低減されないと考えられる。
よって、比較例4から、このサイコロ試験片の表面粗さは、Ra0.06μmよりも小さいことが好ましく、円筒試験片の粗さは、Ra0.12μmよりも小さいことが好ましい。またより好ましいサイコロ試験片の表面粗さは、Ra0.05μm以下、円筒試験片の粗さは、Ra0.1μm以下であると推定される。
(評価4)
実施例1と比較例3とを比較すると、比較例3の如く、サイコロ試験片と円筒試験片との表面粗度を実施例1と同じくしても、DLCの被膜を形成しない円筒試験片の表面硬度は低すぎる(Hv500)ため、摩耗量が多かったと考えられる。
このことから、摺動面にDLCを被覆すれば表面硬度Hv1000からHv4000の硬度が得られるので、この硬度の範囲において、表面硬度に差を設ければよいと考えられる。すなわち、表面硬度Hv1000以下であれば、この低硬度表面が摩耗してしまい、被膜を形成することによりHv4000以上の表面硬度を得たとしても、一般的に、被膜の密着性が悪化すると考えられている。
(評価5)
このような評価1から4から、第一摺動部材の被膜は、第二摺動部材の被膜に比べて表面硬度を高く、第二摺動部材の被膜は、第一摺動部材の被膜に比べて表面粗さを大きくすることにより、摺動部材の摩耗が低減されることがわかった。そして、表1に示すような実施例1及び実施例2の硬度差から、第一摺動部材の被膜の表面硬度は、第二摺動部材の被膜の表面硬度に比べて、およそHv400以上高い表面硬度がよいと推定され、さらに好ましくはこの硬度差はHv500以上とするのがよいと考えられる。
さらに、第二摺動部材の被膜の表面粗さは、第一摺動部材の被膜の表面粗さに比べて、およそRa0.005μm以上の大きい中心線平均粗さRaにするのがよいと推定され、さらに好ましくはこの粗さ差は、Ra0.006μm以上とするのがよいと考えられる。
本実施例の組合せ摺動部材は、エンジンのピストンリングとシリンダブロックからなる組合せ摺動部品、シリンダとピストンからなる組合せ摺動部品など、摺動する頻度が高く、摺動面の面圧が高い環境において使用される摺動部材に特に好適である。
実施例の組合せ摺動部材と比較例の組合せ摺動部材の摩耗試験結果を示した図。

Claims (3)

  1. 摺動面に、非晶質炭素材料の被膜を形成した第一摺動部材と、
    該第一摺動部材の摺動面と摺動する摺動面に、非晶質炭素材料の被膜を形成した第二摺動部材と、を備え、
    前記第一摺動部材の被膜は、前記第二摺動部材の被膜に比べて、表面硬度が高く、前記第二摺動部材の被膜は、前記第一摺動部材の被膜に比べて、表面粗さが大きく、
    前記第一摺動部材の被膜の表面硬度が、Hv1400からHv4000の範囲にあり、前記第二摺動部材の被膜の表面硬度が、Hv1000からHv3600の範囲にあり、前記第一摺動部材の被膜の表面硬度は、前記第二摺動部材の被膜の表面硬度よりも、Hv400以上高い表面硬度を有し、
    前記第一摺動部材の被膜の表面粗さが中心線平均粗さRa0.05μm以下であり、前記第二摺動部材の被膜の表面粗さが中心線平均粗さRa0.1μm以下であり、前記第二摺動部材の被膜の表面粗さは、前記第一摺動部材の被膜の表面粗さよりも、Ra0.005μm以上大きい中心線平均粗さRaを有する、
    ことを特徴とする組合せ摺動部材。
  2. 請求項に記載の組合せ摺動部材を用いた内燃機関であって、当該内燃機関を構成するピストンリングの摺動面には前記組合せ摺動部材の第一摺動部材が用いられ、シリンダブロックの摺動面には前記組合せ摺動部材の第二摺動部材が用いられていることを特徴とする内燃機関。
  3. 請求項に記載の組合せ摺動部材を用いた機械装置であって、当該機械装置を構成するピストンの摺動面には前記組合せ摺動部材の第一摺動部材が用いられ、シリンダの摺動面には前記組合せ摺動部材の第二摺動部材が用いられていることを特徴とする機械装置。
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