JP4837852B2 - 製鉄用原料の造粒処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄用原料の造粒処理方法に関するものであり、より詳しくは、製鉄用原料となる焼結鉱の製造方法に関わり、製鉄用原料を造粒処理する際、特に製鉄用原料の水分を調節して造粒し擬似粒化するのに好適な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
焼結鉱の製造においては、先ず焼結原料となる鉄鉱石、副原料、燃料等を混合し、ドラムミキサー、ペレタイザー、アイリッヒミキサー等の造粒機で水分を調節しながら造粒して擬似粒子を造る。擬似粒子とは、一般的に、0.5mm以下の微粒子が1〜3mmの核粒子に付着している粒子である。この際、造粒に求められる作用は、微粉粒子が核粒子の周りに付着する擬似粒化性を向上すること、擬似粒子が焼成過程における湿潤帯、乾燥帯等で崩壊し難いこと等である。焼結原料をこのように擬似粒子とすることで、焼結機上での焼結原料充填層(焼結ベッド)中の通気性を向上し、焼結機の生産性向上を図ることができる。
【0003】
焼結原料を焼結する焼結機は下方吸引式を採用しており、焼結原料の下側から吸引することによって焼結に必要な空気を流通させると共に、焼結原料の上側から下側へ向かって燃料を燃焼させることにより、焼結原料を焼結するようになっている。このため、焼結原料が微粉を多く含んでいると、目詰まりを起こす等して通気性が低下し、燃料であるコークスの燃焼速度が遅くなるので焼結機の生産効率が低下する。
【0004】
そこで、通気性を改善すべく、焼結原料を造粒(擬似粒化)する等の事前処理が行われている。該事前処理としては、例えば、焼結原料に少量の水を添加して攪拌する等の造粒操作が行われている。
【0005】
ところが、焼結原料に微粉の鉄鉱石が多く含まれている場合、あるいは造粒性が悪い焼結原料が多く含まれている場合等には、原料の造粒処理を十分に行うことができないという問題点がある。
【0006】
このために、従来から擬似粒化性を向上させる対策として、例えば、焼結原料を、鉄鉱石やコークス等の主原料群と返鉱や微粉鉄鉱石等のその他の群とに分け、主原料群とその他の群とを混合、造粒するに先立って、返鉱に含まれる焼結粉を核として造粒することにより核粒体を形成し、この核粒体を中心にして主原料群を混合、造粒する方法が提案されている。
【0007】
また、水だけを用いた造粒操作では、擬似粒化性を向上させる効果が乏しく、焼結原料に含まれる微粉の量をあまり低減することができないため、擬似粒化性を向上させる対策として、焼結原料中に粘結剤として種々の造粒添加剤を添加する方法が提案されている。造粒添加剤として用いられるものは、数多く知られている。例えば、ベントナイト、リグニン亜硫酸塩(パルプ廃液)、澱粉、砂糖、糖蜜、水ガラス、セメント、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース等が結合剤或いは増粘剤として、その使用が検討されている。これらは、焼結鉱の製造において、その添加量が比較的多くて高コストとなることや、使用する量の確保が困難である等の問題があり、工業的には使用されていない。
【0008】
現在実用化されている造粒添加剤としては、例えば、製鉄研究第288号(1976)9頁に開示されている生石灰が広く使われている。これによると、生石灰の効果は、次のように示されている。第一に、ミキサー内での擬似粒化の促進を図ることができる。第二に、擬似粒子よりなる焼結原料を特定の高さに充填し、焼結ベッドを形成した後に表層に点火した後の焼結過程において、乾燥、加熱する過程で擬似粒子が崩壊することを防止し、焼結層中の均一な風の流れを保つことができるとされている。
【0009】
このため、例えば、従来、焼結原料の事前処理方法として、焼結原料を、鉄鉱石やコークス等の主原料群と返鉱や微粉鉄鉱石等のその他の群とに分け、主原料群とその他の群とを混合、造粒するに先立って、その他の群を、生石灰をバインダーとして造粒し、さらにこれを主原料群と混合、造粒する方法が提案されている(特開平3−64422号公報、特開平4−74829号公報等)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、生石灰や糖蜜等のバインダーの使用は、一般に高価であるために製造コストの上昇を招く。また、生石灰を用いた造粒化は実用化されてはいるものの、生石灰は吸湿し易く、このとき発熱するため、取り扱いに注意を要するという問題点を有している。また、現在使用されている生石灰は、使用量を比較的多くしないと充分な効果が得られないため、コストが高くなる。よって、その使用量を極力減少させて操業しているのが現状である。そして、生石灰を2重量%以上添加しても、その擬似粒化性の向上効果は頭打ちとなる傾向にある。さらに、最近では、優良塊鉱の枯渇化と共に、粉鉱石の劣質化も激しく、焼結原料の造粒性が以前よりも悪化している問題がある。このために、生石灰添加による造粒を実施しても、その効果が以前よりも小さくなっている。さらに、生石灰以外のバインダーは、焼結原料に含まれる微粉の量を低減させる効果が不充分であり、焼結ベッドの通気性を向上させて焼結時間を短縮する効果が小さく、かつ、得られる焼結鉱の焼結鉱強度が弱い。焼結鉱強度が弱い焼結鉱は、例えば焼結後の破砕時に微粉が発生し易くなるので、返鉱が多くなり成品歩留が低下し、その生産効率が低下する。このため、生石灰以外のバインダーを用いた造粒化は実用化されていない。
【0011】
また、生石灰を用いた製鉄用造粒処理方法による焼結原料に含まれる微粉の量を低減させる効果はまだ充分とは言えない状態である。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、製鉄用原料を造粒処理するのに好適に用いられる、製鉄用原料の造粒処理方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記の課題を解決するために、微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料を造粒処理する方法において、製鉄用原料の一部を、造粒処理に使用する全添加水分のうちの一部を製鉄用造粒処理剤として用いて造粒処理した後、得られた造粒処理物と、残りの製鉄用原料と、高分子化合物および造粒処理に使用する全添加水分のうちの残りの水分を含む製鉄用造粒処理剤とを混合して造粒処理を行うことを特徴としている。
【0014】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、上記の課題を解決するために、上記高分子化合物が、酸基含有モノマーを重合または共重合したものであることを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料(焼結原料)を造粒処理するに際し、副原料や燃料等を含む製鉄用原料の各銘柄の粒度分布、造粒性、組成等に応じて、製鉄用原料の一部を混合・混練・造粒した後、これに残りの製鉄用原料を混合・混練して造粒するかあるいはこれを残りの製鉄用原料に混合・混練して造粒する処理方法(選択造粒)において、製鉄用原料の一部を、造粒処理に使用する全添加水分のうちの一部を、第1の製鉄用造粒処理剤(製鉄用造粒処理剤(A))として用いて造粒処理した後、得られた造粒処理物と、残りの製鉄用原料と、高分子化合物および造粒処理に使用する全添加水分のうちの残りの水分を含む第2の製鉄用造粒処理剤(製鉄用造粒処理剤(B))とを混合してさらに造粒処理を行う方法である。
【0016】
本発明において高分子化合物とは、重量平均分子量が1000よりも大きい有機または無機化合物を示す。本発明において用いられる高分子化合物としては、水溶性または親水性を備えている、有機または無機化合物が用いられ、水溶性または親水性が高い高分子化合物が、擬似粒化性の向上効果が高く良好である。
【0017】
本発明において用いられる高分子化合物としては、水溶性またはアルカリ可溶性高分子が好適であり、具体的には、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とアクリルアミドとの共重合体、スチレンとマレイン酸との共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体等の、酸基含有モノマーを重合または共重合してなるアニオン系合成ポリマー;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等のノニオン系合成ポリマー;ポリエチレンイミン、ポリ(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性モノマーを重合または共重合したカチオン系合成ポリマー;これらポリマーのグラフトあるいはブロックポリマー;でんぷん、セルロース、キチン、ゼラチン、リグニン、天然ゴム等の天然高分子カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、リグニンスルホン酸等の半合成高分子;等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。これら高分子化合物は、必要に応じて、一種類を用いてもよく、また、二種類以上を用いてもよい。
【0018】
そのなかでも、上記高分子化合物としては、酸基含有モノマーを重合または共重合してなるアニオン系高分子化合物が、擬似粒化性の向上効果が高く、より好適である。そのなかでも酸基を含有するアニオン系ポリマーが、造粒性が高く、特に好適である。
【0019】
本発明で用いることができる上記酸基含有モノマーとしては、上記例示の化合物に限定されるものではなく、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホ基含有単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェート等の酸性リン酸エステル基含有単量体;ビニルフェノール等の石炭酸系単量体;並びにそれらの塩等が挙げられる。上記酸基含有モノマーは、必要に応じて、一種類を用いてもよく、また、二種類以上を用いてもよい。
【0020】
上記例示の酸基含有モノマー由来の酸基のうち、カルボキシル基および/またはその塩が好ましく、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸基含有モノマーを重合または共重合させることによって導入されるものがさらに好ましい。
【0021】
上記酸基含有モノマーとして酸基含有モノマーの塩を使用する場合、その中和塩基としては、特に限定されるものではないが、カリウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウム、1級〜4級アミン等の窒素含有塩基;等が挙げられる。
【0022】
本発明において、酸基含有モノマーを重合または共重合するとは、酸基含有モノマーを含むモノマー成分(モノマー組成物)を重合することを示し、酸基含有モノマーを単独で、あるいは酸基含有モノマーと共重合可能なその他のモノマー(共重合成分)と(共)重合することを示す。
【0023】
上記酸基含有モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜18の一価アルコールとのエステル化物である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールとのモノエステル化物、等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル;ポリエチレングリコールモノメタアクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル;3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを付加してなるポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテル単量体;アリルアルコールにエチレンオキサイドを付加してなるポリエチレングリコールモノエテニルエーテル単量体;無水マレイン酸にポリエチレングリコールを付加させたマレイン酸ポリエチレングリコールハーフエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、クロロメチルスチレン、等のスチレンおよびその誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、等の(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニル−2−ピロリドン;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基含有単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の、架橋性を有する(メタ)アクリルアミド系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等の、加水分解性を有する基がケイ素原子に直結しているシラン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルアジリジン等のアジリジン基含有単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン基含有単量体:(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリル酸エステル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリルアミド;ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能アリル化合物;アリル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらモノマーは、必要に応じて、一種類を用いてもよく、また、二種類以上を用いてもよい。
【0024】
さらに、これら単量体の他に、分子量の調節を目的として、連鎖移動剤を用いることもできる。該連鎖移動剤としては、具体的には、例えば、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基含有化合物;四塩化炭素;イソプロピルアルコール;トルエン;等の連鎖移動係数の高い化合物が挙げられる。
【0025】
上記高分子化合物(ポリマー)に占める上記酸基含有モノマー由来の単位の割合は、特に限定されるものではないが、下限値が好ましくは10モル%であり、さらに好ましくは20モル%であり、上限値が好ましくは100モル%である。
【0026】
本発明にかかる上記高分子化合物の製造方法、つまり、酸基含有モノマーを少なくとも含む前記モノマー成分の重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重合法、例えば、水中油型乳化重合法、油中水型乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈澱重合法、溶液重合法、水溶液重合法、塊状重合法等を採用することができる。上記例示の重合方法の中でも、安全性が高く、また、生産コスト(重合コスト)を低減化することができることから、水溶液重合法、乳化重合法を採用することが好ましい。
【0027】
上記の重合法に用いられる重合開始剤は、熱または酸化還元反応によって分解し、ラジカル分子を発生させる化合物であればよい。また、水溶液重合法を採用する場合においては、水溶性を備えた重合開始剤が好ましい。該重合開始剤としては、具体的には、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス−(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解性開始剤;過酸化水素およびアスコルビン酸、t−ブチルハイドロパーオキサイドおよびロンガリット、過硫酸カリウムおよび金属塩、過硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素ナトリウム、等の組み合わせからなるレドックス系重合開始剤;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。なお、重合開始剤の使用量は、単量体成分の組成や重合条件等に応じて適宜設定すればよい。
【0028】
乳化重合法を採用する場合において用いられる乳化剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、或いはこれらの反応性界面活性剤等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら乳化剤は、必要に応じて、一種類を用いてもよく、また、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。尚、乳化剤を用いることなく、乳化重合を行うこともできる。
【0029】
アニオン系界面活性剤としては、具体的には、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート、等のアルキルスルホネート;長鎖アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物;ラウリル酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン、アビエチン酸トリエタノールアミン等の不飽和脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等の、不飽和基を有する反応性アニオン乳化剤;等が挙げられる。これらアニオン系界面活性剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0030】
ノニオン系界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル;グリセリンのモノラウレート等の、脂肪族モノグリセライド;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体;エチレンオキシドと、脂肪族アミン、アミドまたは酸との縮合物;等が挙げられる。これらノニオン系界面活性剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0031】
高分子界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリビニルアルコールおよびその変性物;(メタ)アクリル酸系水溶性高分子、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート系水溶性高分子、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート系水溶性高分子(但し、本発明にかかる共重合体とは異なる高分子);ポリビニルピロリドン;等が挙げられる。これら高分子界面活性剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0032】
反応温度や反応時間等の重合条件は、モノマー成分の組成や重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、反応温度は0〜100℃の範囲内であることがより好ましく、40〜95℃の範囲内であることがさらに好ましい。また、反応時間は3〜15時間程度が好適である。乳化重合法、水溶液重合法を採用する場合におけるモノマー成分(モノマー組成物)の反応系への供給方法としては、例えば、一括添加法、分割添加法、成分滴下法、プレエマルション法、パワーフィード法、シード法、多段滴下法等を行うことができるが、特に限定されるものではない。
【0033】
本発明において用いられる高分子化合物の重量平均分子量、特に前記したポリマーの重量平均分子量は、1000を超えて500万以下であることが好ましい。また、その下限値(重量平均分子量)は、1500であることがより好ましく、2000であることが特に好ましい。その上限値(重量平均分子量)は、300万であることがより好ましく、200万であることが特に好ましい。
【0034】
また、乳化重合法を採用した場合に得られるエマルションあるいは水溶液重合法を採用した場合に得られるポリマー水溶液中に含まれる、上記重合体を含む不揮発分の濃度は、60重量%以下であることがより好ましい。不揮発分の濃度が60重量%を越えるエマルションあるいはポリマー水溶液は、粘度が高くなり過ぎると共に、分散安定性を保つことができずに凝集を生じるおそれがある。
【0035】
また、乳化重合法を採用した場合に得られるエマルションに含まれる粒子の平均粒径は、30nm〜100μmの範囲内であることがより好ましく、50nm〜50μmの範囲内であることがさらに好ましい。粒子の平均粒径が30nm未満であるエマルションは、粘度が高くなり過ぎると共に、分散安定性を保つことができずに凝集を生じるおそれがある。
【0036】
本発明において用いられる前記ポリマーは、その少なくとも一部を塩基性の中和剤を用いて中和することによって、或いは、そのままで(中和しなくとも)、水に溶解または膨潤する。
【0037】
上記の中和剤としては、具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の塩基性炭酸塩;アンモニア水、モノエタノールアミン等の窒素含有塩基;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0038】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、副原料や燃料等を含む製鉄用原料の各銘柄の粒度分布、造粒性、組成等に応じて、製鉄用原料の一部を混合・混練・造粒した後、これに残りの製鉄用原料を混合・混練するかあるいはこれを残りの製鉄用原料に混合・混練する造粒することにより、2段階で、微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料(焼結原料)を造粒処理するいわゆる選択造粒方法において、1段目として、製鉄用原料の一部を、造粒処理に使用する全添加水分のうちの一部を製鉄用造粒処理剤(A)として用いて造粒処理する第1の造粒処理工程と、2段目として、第1の造粒処理工程により得られた造粒処理物と、残りの製鉄用原料と、上記高分子化合物および造粒処理に使用する全添加水分のうちの残りの水分を含む製鉄用造粒処理剤(B)とを混合して造粒処理する第2の造粒処理工程とを備え、例えば、製鉄用原料の一部が難造粒性を示す場合には、第1の造粒処理工程においてこの難造粒性の製鉄用原料に上記製鉄用造粒処理剤(A)を添加し、この難造粒性の製鉄用原料を加湿、造粒した後、第2の造粒処理工程において前記した高分子化合物を有効成分として含む製鉄用造粒処理剤(B)を用いて残りの製鉄用原料とともにさらに造粒を行うことにより、擬似粒化することができる。
【0039】
より具体的には、例えば、造粒する全製鉄用原料のうち、比較的微粉の鉄鉱石を多く含む製鉄用原料を選択し、この選択した製鉄用原料に、造粒に使用する全添加水分のうちの一部を添加してこの製鉄用原料を水(製鉄用造粒処理剤(A))にて造粒した後、この造粒物に、残りの製鉄用原料と、高分子化合物および造粒に使用する全添加水分のうちの残りの水分を含む製鉄用造粒剤(B)とを添加してさらに造粒することで、擬似粒化することができる。
【0040】
本発明にかかる上記の造粒処理方法を用いれば、造粒処理剤として水のみあるいは生石灰を用いた場合と比較して高い擬似粒化性を得ることができるのみならず、先に製鉄用原料の一部を加湿、造粒することなく上記高分子化合物を用いて造粒を行った場合と比較して、より一層、擬似粒化性を向上させることができる。
【0041】
1段目(第1の造粒処理工程)に選択される製鉄用原料の一部とは、具体的には、造粒処理される製鉄用原料に複数種類の製鉄用原料を使用する場合、この複数種の製鉄用原料のうち、他と比較して比較的微粉の鉄鉱石を多く含む製鉄用原料の少なくとも一種、つまり、比較的微粉の鉄鉱石を多く含む少なくとも一種の特定銘柄の製鉄用原料またはその一部であってもよく、造粒する全製鉄用原料を篩等により微粒子(平均粒子径0.25mm未満)とそれ以外とに分離したうちの微粒子であってもよいが、作業性の面から、比較的微粉の鉄鉱石を多く含む少なくとも一種の特定銘柄の製鉄用原料であることが好ましい。
【0042】
1段目において選択される製鉄用原料とは、より具体的には、微粉を多く含む褐鉄鉱(結晶水を多く含む鉄鉱石)を含む原料であり、一般的に微粉分を多く有し、造粒し難い鉱石が用いられる。このような鉱石としては、具体的には、例えばマラマンバ鉱等が挙げられる。1段目では、2段目において選択される製鉄用原料よりも微粉量が多い原料が使用される。
【0043】
製鉄用原料における全添加水量は、製鉄用原料中に予め含まれる水分(持ち込みによる水分)に応じて、一般的に、製鉄用原料に対する水の割合、言い換えれば、得られる擬似粒子中に含まれる水の割合が、最終的に、6重量%以上、8重量%以下、好適には7重量%となるように添加される。したがって、製鉄用原料の持ち込みによる水分が多いと、後から添加することができる添加水の量は、その分、少なくなる。
【0044】
本実施の形態において、1段目で添加される水分量、つまり、製鉄用造粒処理剤(A)の使用量は、焼結鉱の製造においては、1段目で用いられる焼結原料(鉄鉱石、副原料、燃料等)に対する水の割合が、5重量%以上、12重量%以下の範囲内となる量であることが好ましく、その下限値は6重量%であることがより好ましく、7重量%であることが特に好ましい。また、その上限値は11重量%であることがより好ましく、10重量%であることが特に好ましい。12重量%を越えて製鉄用造粒処理剤(A)、すなわち、水を添加すると、かえって擬似粒化性が低下する虞れがある。また、製鉄用造粒処理剤(A)の添加量が5重量%未満であれば、焼結原料(鉄鉱石、副原料、燃料等)を十分に加湿することができなくなり、1段目で水のみを用いて造粒を行い、2段目で水と高分子化合物とを用いて造粒を行うことによる効果を十分に得ることができなくなる虞れがある。
【0045】
本願発明者等が鋭意検討した結果、本発明によれば、前記したように選択造粒を行うに際し、乾燥状態にある製鉄用原料に高分子化合物を添加するよりも、先に製鉄用原料を湿らせておき、残りの製鉄用原料と高分子化合物とを添加して再度造粒を行うことで、高い造粒効果を得ることができることを見出した。
【0046】
上記1段目(第1の造粒処理工程)において得られた造粒物に対し、2段目(第2の造粒処理工程)で添加される製鉄用造粒処理剤(B)で用いられる水の量は、造粒処理に使用する全添加水分から上記第1の造粒処理工程で使用した水分を除く残りの水分であり、1段目の造粒処理工程において得られた造粒物に2段目で用いる原料を加え、2段目の添加水を調整し、2段目の造粒処理工程の終了後における、製鉄用原料に対する水の割合、つまり、前記したように、製鉄用原料に対する水の割合が、最終的に、6重量%以上、8重量%以下、好適には7重量%となるように添加される。
【0047】
また、上記製鉄用造粒処理剤(B)は、水以外に、少なくとも前記高分子化合物を有効成分として含んでいる。上記製鉄用造粒処理剤(B)における上記高分子化合物(割合)は、製鉄用原料の鉱石(鉄鉱石)の造粒性(種類)や、用いる化合物の種類、使用する造粒機等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、0.01重量%以上、90重量%以下であることが好ましく、その下限値が0.05重量%であることがより好ましく、0.07重量%であることが特に好ましい。また、その上限値は、85重量%であることがより好ましく、80重量%であることが特に好ましい。上記製鉄用造粒処理剤(B)における高分子化合物の含有量が0.01重量%未満であれば、製鉄用原料に対して充分な量の高分子化合物を添加できない虞れがある。一方、上記製鉄用造粒処理剤(B)における高分子化合物の含有量が90重量%を超えると、上記製鉄用造粒処理剤(B)の粘度が高くなりすぎ、造粒時に上記製鉄用造粒処理剤(B)が充分に製鉄用原料に拡散しない虞れがある。
【0048】
また、上記製鉄用造粒処理剤(B)は、上記高分子化合物とが有する性能、特に、擬似粒化性の向上効果を阻害しない範囲内で、必要に応じて、他の成分、例えば生石灰等の従来公知の他の造粒添加剤等を併用しても構わない。
【0049】
本実施の形態において、2段目で添加される製鉄用造粒処理剤(B)は、焼結鉱の製造においては、該製鉄用造粒処理剤(B)中に含まれる上記高分子化合物が、造粒処理される焼結原料(鉄鉱石、副原料、燃料等)に対して0.001重量%以上、10重量%以下の範囲内となるように添加されることが好ましく、その下限値が0.003重量%となるように添加されることがより好ましく、0.005重量%となるように添加されることが特に好ましい。また、その上限値が5重量%となるように添加されることがより好ましく、2重量%となるように添加されることが特に好ましい。焼結原料に対する上記製鉄用造粒処理剤(B)中に含まれる上記高分子化合物の添加量が10重量%を超えると、造粒過多となって焼結原料の固まりができてしまい、該焼結原料の固まり内部が焼結されなくなる等の悪影響が出てしまう。また、上記製鉄用造粒処理剤(B)の添加量の下限値は、焼結原料の鉱石の造粒性や、水分添加量、使用する造粒機等によって左右されるが、できるだけ少量となるように設計することが望ましい。
【0050】
上記製鉄用造粒処理剤(B)は、上記製鉄用造粒処理剤(B)を構成する、上記高分子化合物を含む、水以外の成分を、造粒機の添加水に混合するか、あるいは、上記造粒処理に使用する全添加水分から上記第1の造粒処理工程で使用した水分を除く残りの水分に溶解あるいは分散(乳化)させた状態で、攪拌されている製鉄用原料に噴霧することが、簡便かつ均一に添加することができるので特に好ましい。
【0051】
なお、上記1段目(第1の造粒処理工程)と2段目(第2の造粒処理工程)とは、それぞれ異なる造粒機を使用してもよいし、1段目で用いた造粒機を用いて2段目の造粒を行ってもよい。本発明によれば、製鉄用原料や造粒機、各成分を添加するタイミングや場所等の組み合わせを自由に選択することができ、従ってその組み合わせは、特に限定されるものではない。
【0052】
本発明によれば、造粒された擬似粒子のGI指数が高く、擬似粒化性に優れた、製鉄用原料の造粒処理方法を提供することができる。なお、造粒された擬似粒子のGI指数とは、核粒子の周りに付着する微粉粒子の割合を示す値であり、この値が大きいものほど造粒性が良好で、焼結時の通気性が向上し、焼結鉱の通気性が向上し、焼結鉱の生産効率が高くなる。GI指数の測定については、以下の実施例で説明する。
【0053】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。実施例および比較例における平均粒径およびGI指数は、下記方法により測定した。尚、実施例および比較例に記載の「部」は「重量部」を示し、「%」は「重量%」を示す。
【0054】
(平均粒径、GI指数)
造粒操作を行って得られた擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、その粒度(擬似粒度)並びに平均粒径を求めた。造粒された擬似粒子のGI指数とは、製鉄研究第288号(1976)9頁に開示されている評価方法の一つであり、前記したように核粒子の周りに付着する微粉粒子の割合を示す。
【0055】
以下に記載の実施例および比較例における焼結原料は、全て、絶乾状態のものを使用した。
【0056】
〔実施例1〕
滴下ロート、攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、イオン交換水199.1部と、乳化剤(日本乳化剤株式会社製、商品名;ニューコール707SF)9.8部と、酸基含有モノマーとしてのスチレンスルホン酸ナトリウム11.7部とを仕込んだ。次いで、75℃で攪拌することにより、乳化剤を完全に溶解させると共に、フラスコ内を窒索ガス置換した。一方、酸基含有モノマーとしてのメタクリル酸164.3部と、(メタ)アクリル酸エステルとしてのアクリル酸メチル117.4部とからなるモノマー組成物(モノマー成分)を、乳化剤(同上)9.8部およびイオン交換水460.5部に添加し、激しく攪拌することによりプレエマルションを調製した。そして、該プレエマルションを滴下ロートに仕込んだ。
【0057】
次いで、フラスコ内の水溶液に、上記滴下ロートからプレエマルション52.6部を滴下し、75℃で5分間攪拌した。続いて、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム5%水溶液13.7部をフラスコに投入し、75℃で20分間攪拌することにより、初期重合を行った。その後、反応温度を75℃に保ちながら、滴下ロートから残りのプレエマルション699.3部を2時間かけて滴下した。滴下終了から30分経過後、このフラスコ内の水溶液に、還元剤として0.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液13.8部を添加し、さらに1時間重合させた後、得られた反応液を冷卸して、共重合を終了した。
【0058】
これにより、共重合体としてアニオン系合成ポリマー(アクリル酸系ポリマー)を含む不揮発分の濃度が29.9%であるアルカリ水可溶性エマルションを得た。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した、上記共重合体の重量平均分子量は、約140万であった。そして、得られたエマルション96.9部を水4895.8部に添加し、次いで炭酸ナトリウム7.3部を添加してよく攪拌することにより、本発明にかかる製鉄用造粒処理剤(B)としてのポリマー水溶液(1)5500部を得た。一方、表1に示す組成を有する焼結原料(製鉄用原料)を調製した。
【0059】
【表1】
【0060】
表1に示した配合の焼結原料(製鉄用原料)10500部をドラムミキサーに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該焼結原料に、水420部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った(第1の造粒処理工程)。次いで、これに、表1に示す上記の焼結原料59500部をさらに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、この焼結原料に、予め調製した上記ポリマー水溶液(1)4830部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。全焼結原料に対する上記ポリマー水溶液(1)中の共重合体の割合は0.04%であった。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った(第2の造粒処理工程)。
【0061】
得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、平均粒径、並びに、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を、製鉄用原料の総量に対する上記共重合体の添加量と併せて表2に示す。
【0062】
〔比較例1〕
実施例1と同じ、表1に示した配合の焼結原料10500部をドラムミキサーに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該焼結原料に、水420部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った(第1の造粒処理工程)。次いで、これに実施例1と同じ、表1に示す焼結原料59500部をさらに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、この焼結原料に、水4830部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った(第2の造粒処理工程)。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、平均粒径、並びに、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を、製鉄用原料の総量に対する上記共重合体の添加量と併せて表2に示す。
【0063】
〔参考例1〕
実施例1で得られたエマルション98.2部を水5394.4部に添加し、次いで炭酸ナトリウム7.4部を添加してよく攪拌することにより、本発明にかかる製鉄用造粒処理剤(B)としてのポリマー水溶液(2)5500部を得た。
【0064】
実施例1と同じ、表1に示した配合の焼結原料10500部をドラムミキサーに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該焼結原料に、上記ポリマー水溶液(2)787部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った(第1の造粒処理工程)。次いで、これに実施例1と同じ、表1に示す焼結原料59500部をさらに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、この焼結原料に、上記ポリマー水溶液(2)4460部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った(第2の造粒処理工程)。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、平均粒径、並びに、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を、製鉄用原料の総量に対する上記共重合体の添加量と併せて表2に示す。
【0065】
〔参考例2〕
実施例1で得られたエマルション98.1部を水5394.5部に添加し、次いで炭酸ナトリウム7.4部を添加してよく攪拌することにより、本発明にかかる製鉄用造粒処理剤(B)としてのポリマー水溶液(3)5500部を得た。
【0066】
実施例1と同じ、表1に示した配合の焼結原料10500部と、実施例1と同じ、表1に示す焼結原料59500部とをドラムミキサーに投入し、回転速度24min-1で1分間、予備攪拌した。その後、同回転速度で攪拌しながら、該焼結原料に、上記ポリマー水溶液(3)5250部を霧吹きを用いて約1.5分間かけて噴霧した。噴霧後、さらに同回転速度で3分間攪拌することにより、造粒操作を行った(造粒処理工程)。得られた擬似粒子に含まれる水分を測定すると共に、該擬似粒子をふるいを用いて分級することにより、平均粒径、並びに、造粒後の粒径が0.25mm以下の擬似粒子のGI指数を求めた。この結果を、製鉄用原料の総量に対する上記共重合体の添加量と併せて表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
表2に示す結果から明らかなように、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法を用いることにより、擬似粒子の平均粒径、GI指数を大きく増加させることができることが判った。この結果から、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法が製鉄用原料を擬似粒化するのに優れた効果を発揮することが判ると共に、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法を用いることにより、擬似粒子を焼結してなる焼結鉱の生産率を向上させることができることが判る。
【0069】
【発明の効果】
本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、製鉄用原料の一部を、造粒処理に使用する全添加水分のうちの一部を製鉄用造粒処理剤として用いて造粒処理した後、得られた造粒処理物と、残りの製鉄用原料と、高分子化合物および造粒処理に使用する全添加水分のうちの残りの水分を含む製鉄用造粒処理剤とを混合して造粒処理を行う方法である。
【0070】
また、本発明にかかる製鉄用原料の造粒処理方法は、以上のように、上記高分子化合物が、酸基含有モノマーを重合または共重合したものである方法である。
【0071】
これにより、焼結鉱を得るべく微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料(焼結原料)を造粒処理(擬似粒化)するのに好適な造粒処理方法を提供することができるという効果を奏する。上記の造粒処理方法によれば、微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料(焼結原料)を造粒処理(擬似粒化)する際に、微粉粒子を核粒子の周りに付着させる効果に優れ、焼結機の生産効率を向上させることができる。
Claims (2)
- 微粉の鉄鉱石を含む製鉄用原料を造粒処理する方法において、
製鉄用原料の一部を、造粒処理に使用する全添加水分のうちの一部のみを製鉄用造粒処理剤として用いて造粒処理した後、得られた造粒処理物と、残りの製鉄用原料と、高分子化合物および造粒処理に使用する全添加水分のうちの残りの水分を含む製鉄用造粒処理剤とを混合して造粒処理を行うことを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法であって、
上記高分子化合物が、酸基含有モノマーを重合または共重合したものであることを特徴とする製鉄用原料の造粒処理方法。 - 上記高分子化合物が、水溶液重合法または乳化重合法で製造されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の製鉄用原料の造粒処理方法。
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