JP4804720B2 - 酸化チタン膜被覆粉体およびその製造方法 - Google Patents
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さらには、特許文献6(特開平01−224220号公報)では、塩化チタン(IV)溶液からペルオキソチタン溶液を作成し、該ペルオキソチタン溶液を基材粉体共存下で加熱することにより該基材粉体表面上に酸化チタン膜を被覆させる方法が公開されている。
また、特許文献7(特開平09−71418号公報)、特許文献8(特開平10−67516号公報)などでは、塩化チタン(IV)溶液などのチタン含有液体にアンモニア水などの塩基性物質を添加して水酸化チタンゲルを沈殿させ、沈殿物を濾過洗浄後に分散液とし、そこに過酸化水素水を添加することによりペルオキソチタン溶液を生成させ、該ペルオキソチタン溶液により粉体の表面処理を施す方法が公開されている。
また、特許文献9(国際公開第03/031683号パンフレット)では、塩化チタン(III)溶液を使用しての基材粉体上への酸化チタン膜被覆方法が公開されている。
まず、金属アルコキシドを酸化チタン膜被覆原料として使用した場合では、金属アルコキシドが不安定でありその加水分解反応が非常に早いため、反応系を恒温・恒湿度下で行わなければならないこと、さらに反応をアルコールなどの有機溶媒中で行わなければならず、反応装置が複雑になる。
そして、塩化チタン(IV)溶液を使用しての酸化チタン膜の被覆方法では、硫酸チタニル溶液を使用する場合よりも反応時間を大幅に短縮でき、しかも1回の酸化チタン膜被覆操作にてかなり厚く酸化チタン膜を被覆させることができるようになった。しかしながら、上記硫酸チタニル溶液や塩化チタン(IV)溶液を使用する従来の酸化チタン膜被覆方法は、反応液のpHが7以下の酸性であったり、塩化物イオンを含むため、鉄粉など耐酸性が弱いものや塩化物に対して腐食する基材粉体とした場合には、その基材粉体が変質されるなどの影響があり、適用することが難しい。
また、特許文献6(特開平01−224220号公報)、特許文献7(特開平09−71418号公報)などで公開されている酸化チタン膜被覆方法は、用途として粉体の表面処理が記載されているものの、被覆原料溶液であるペルオキソチタン溶液を得るためには、チタン含有液体に塩基性物質を添加した後の沈殿物を濾過洗浄し、その後に過酸化水素水を加えなければならないなど手間のかかること、一回の酸化チタン膜被覆操作により基材粉体上にどの程度の厚さの酸化チタン膜を被覆することができるのか、すなわち、本件が目的とする基材粉体上への酸化チタン膜を被覆する方法が紹介されていないので、光学的干渉作用を起こさせるような厚さの酸化チタン膜を被覆させうるかは難しい。
上記従来の技術の欠点および不足点のため、より容易かつ迅速に高精度な酸化チタン被覆粉体を製造する方法が求められた。
(1)テトライソプロポキシチタン溶液に過剰の塩基性物質を添加し、次いで過酸化物を加えて塩基性ペルオキソチタン酸溶液を生成させ、該ペルオキソチタン酸溶液を基材金属粉体懸濁液中に滴下する工程を含む、前記基材金属粉体上に酸化チタン膜を被覆して酸化チタン膜被覆粉体を製造する方法。
(2)上記基材金属粉体懸濁液がpH8〜12のアルカリ性緩衝液であることを特徴とする前記(1)記載の酸化チタン膜被覆粉体の製造方法。
また、製膜反応を短時間に、効率よく、しかも低い温度で行うことが可能となった。
(A)TPT溶液に過剰の塩基性物質を添加し、
(B)次いで過酸化物を加えて塩基性ペルオキソチタン酸溶液を生成させ、
(C)該ペルオキソチタン酸溶液を基材金属粉体懸濁液中に滴下する
工程を含む、基材金属粉体上に酸化チタン膜を被覆して酸化チタン膜被覆粉体を製造する方法に関する。
本発明によれば、チタン源であるTPT溶液に対して、塩基性物質、過酸化物を順次添加し、その反応液を基体粒子分散液に滴下するだけで容易に基体粒子上に酸化チタン膜を製膜することができる。本発明では、沈殿物を濾過洗浄したり、加熱、長時間の放置等の時間がかかり煩雑な工程を経ずして容易に酸化チタン膜を製膜しうる。
以下に、本発明の製造方法について詳しく説明する。
本発明において、TPT溶液は、市販のものを使う事ができ、Ti濃度を15.45質量%含む原液をそのまま使う事ができる。
本発明において、TPT溶液に添加する塩基性物質は、上記のTPT溶液に添加することで水酸化チタンゲルの沈殿物を形成させるものであれば特に限定されないが、例えばアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ金属水酸化物水溶液などのものが挙げられる。これらの塩基性物質は、混合して用いることもできる。
TPT溶液に添加する塩基性物質の量は、TPT溶液に対して過剰量であり、水酸化チタンゲルの沈殿物を形成させることができれば特に制限されない。
TPT溶液に塩基性物質を添加した後に加える過酸化物は、水酸化チタンゲルの沈殿物が溶解してペルオキソ錯体とすることができるものであれば特に制限されない。
過酸化物の添加量は、水酸化チタンゲルの沈殿物が溶解してペルオキソ錯体とすることができれば特に制限されないが、TPT溶液中のチタンに対して好ましくは3〜15倍モル数の過酸化物を添加することが望ましい。添加量が少ないと水酸化チタンゲルが十分に再溶解せず、水酸化チタンゲルの沈殿物となってしまう。また、添加する過酸化水素水の量が過剰に多すぎると、添加した過酸化物の過剰分が分解されて発生する泡により液が発泡してしまい、ペルオキソチタン水和物の沈殿物を生成する。
過酸化物を添加してペルオキソ錯体溶液とした後で、pHを調節するためにさらに塩基性物質を添加することもできる。pHを調節する物質に特に制限は無いが、アンモニア水などの塩基性物質を添加することが好ましい。ここで塩基性物質を添加する場合、以上のように調整して得られた過酸化物添加後のペルオキソチタン酸溶液のpHを9〜10までに上げるに十分な量加えることが好ましい。
ペルオキソチタン酸溶液を基材粉体懸濁液中に滴下していく際の滴下速度としては、ペルオキソチタン酸溶液の所定量を好ましくは20〜60分の間で終了させる速度、さらに好ましくは20〜40分程度で終了させる速度が好ましい。20分より短い滴下速度では、酸化チタンの析出が急激に起きてしまい、平滑な酸化チタン膜を被覆させることが難しくなることがある。60分より長い滴下速度では、被覆される酸化チタン膜の性状が20〜60分の滴下速度でされた場合とほとんど差がないために、被覆操作時間をいたずらに長くするのみである。
本発明の製膜方法は、従来技術と異なり酸に弱いものも用いることができるので、酸に弱い基体に対して本発明の製法を用いることが好ましい。酸に弱い基体としては、例えば金属粉末、特に鉄粉や鉄含有合金粉があげられる。
他の製膜方法と組み合わせて本発明の製膜方法を用いる場合、例えば他の製膜方法によって被覆した粉体の上に本発明の製膜方法を用いて酸化チタン膜を作る場合、他の製膜方法によって被覆した粉体を上述の基体粒子とみなして扱うことができる。同様に、本発明の方法で酸化チタン膜を被覆した粉体を基体粒子として、他の膜を被覆することもできる。
(C)の基材粉体懸濁液中への滴下後に、反応物を放置する熟成する工程をさらに設けることが好ましい。
熟成時の温度は、15〜65℃の間が好ましい。
熟成時間は、30分〜6時間の間が好ましい。反応時間と熟成時間の合計があまり短い場合、滴下されたペルオキソチタン溶液の反応が不十分となり、目的とする厚さの酸化チタン膜が被覆されていないことがある。あまり長い場合、滴下されたペルオキソチタン溶液の反応が既に終了しているために、被覆操作時間をいたずらに長くするのみである。
ただし、実際の基体の場合、基体の粒径、形状、膜物質および基体粒子物質の相互の界面での位相ずれ及び屈折率の波長依存性によるピークシフトなどを考慮して設計する必要がある。例えば、基体粒子表面にある酸化物層のためのピークシフトや屈折率の波長依存性によるピークシフトも加味することが好ましい。
幾何学的な膜厚だけを合わせてもピーク位置がずれるため、特にシアン色系に着色する際に色が淡くなる。これを防ぐためには、すべての膜に対する位相ずれの影響を加味し、コンピュータシミュレーションであらかじめ膜厚の組合せが最適になるように設計する。
不定形状の粉末に着色する場合も多層膜による干渉が起こり、球状粉体の干渉多層膜の条件を参考にし基本的な膜設計を行う。上記の多層膜を構成する各単位被膜のピーク位置は各層の膜厚により調整することができ、膜厚は基体粒子の表面に金属酸化物等の固相成分を形成させる被覆形成条件中、原料組成、固相析出速度および基体量などを制御することにより、精度良く膜厚を制御でき、均一な厚さの被膜を形成することができ、所望の色系に着色することができる。
また、カラーシフトを最大にするためには鋭い反射ピーク波長およびピークの数を最適化することが必要であり、各層の膜厚制御の最適化を行う。特に反射ピークが可視域外から、見る角度を変えることにより、可視域内に現れる場合、あるいは逆に、見る角度を変えることにより、可視域の反射ピークが現れる場合、鋭い反射ピークであれば、わずかに見る角度が変わることにより、色も同時に変化させることができ、有効である。
膜被覆粉体を製造するにあたり、予め、基体粒子の材質、基体粒子の粒径、被覆層の数、各被覆層の被覆順序、各被覆層の材質、所望の反射光波長を選定する必要がある。特に、基体粒子および各被覆層の材質を選定するということは、それらの屈折率を自ずと特定することとなる。基体粒子および各被覆層の屈折率の特定は、各層間のフレネル反射係数、振幅反射強度の算出に関与する。
被覆層の数を選定することにより、後述するRflat値の特定に関与する。
基体粒子が平板体の場合の多層膜反射強度Rflatは、予め選定された基体粒子の材質(屈折率)、被覆層数、各被覆層の被覆順序、各被覆層の材質(屈折率)、所望の反射光波長を、下記漸化式2に当てはめて解くことにより求められる。
j:1以上の整数(J−1=0は基盤を示す)、
i:虚数単位、
rj+1,j:下から第j番目の層とその直上の層との間の界面のフレネル反射係数、
Rj,j-1:下から第j−1番目の層とその直上の層との間の振幅反射強度、
2δj:下から第j番目の層における位相差、
λ:所望の反射光波長、
nj:下から第j番目の層の屈折率、
dj:下から第j番目の層の膜厚、
φj:下から第j番目の層への光の入射角。)
に適用させ、R(λ)値が所望の波長で最大値または最小値になるように各被覆層の膜厚を求めることにより行う手法が好ましい。
Rflat値を上記式3に適用させるということは、多層膜被覆粉体への光入射角の角度分布を1個の被覆半球への光入射角度分布に近似することにより上記式2の解を補正することを意味する。
この各被覆膜の膜厚を求める場合には、コンピュータによるシミュレーションで行うことが効率的である。
但し、先にも述べたが、多層膜被覆粉体における実際の製膜作業においては、設計値通りの膜厚になるまで実膜厚を直接監視しながら行うことは不可能であり、そのため、製膜作業中の膜厚の監視は、各被覆層を被覆した被覆物体の反射強度が最大値または最小値になる波長を分光光度計にて測定し、該膜厚に相対する最大または最小反射波長値に達した時点で製膜作業を終了させることが考えられる。
しかしながら基材が粉体の場合においては、その粒子形状および粒子径に依存する各被覆層の曲率によって、最大または最小反射波長測定値と膜厚との関係に狂いが生じ、分光光度計にて測定される最大または最小反射波長が所望の値になるように製膜すると、最終的に得られる多層膜被覆粉体が、所望の波長で所望の反射強度とならないという問題が生じる。
この補正手法としては、特に限定されないが、選定した基体粒子上に選定した各被覆層を段階的に数種類に膜厚を変えて被覆して粒径補正用膜被覆粉体とし、該粒径補正用膜被覆粉体の各被覆層の実膜厚値(dM)を測定し、また、該膜被覆粉体のそれぞれを分光光度計にて測定しそれぞれの粒径補正用膜被覆粉体の各被覆層の光学膜厚(nd)を求め、各粒径補正用膜被覆粉体の各被覆層の実膜厚値と屈折率(n)との積(ndM)に対する各被覆層の光学膜厚(nd)の比(nd/ndM)を求め、多層膜反射強度を求める上記漸化式2の2δjに上記比(nd/ndM)値を乗じて各被覆層を有する粉体の分光光度特性を補正し、該補正分光光度特性になるように各被覆層を製膜することにより行わうことが好ましい。
上記液状ポリマーとしては、ポリペンタジエン、ポリブタジエン等のジエン類、ポリエチレングリコール類、ポリアミド類、ポリプロピレン類、ワックス類あるいはこれらの共重合体編成体等を挙げることができる。
有機溶媒に溶解するモノマーとしては、スチレン、エチレン、ブタジエン、プロピレンなどを挙げることができる。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ケロシン、ベンジン炭化水素類、エステル類、エーテル類あるいはこれらの変性体や共重合体などを挙げることができる。
さらに、特定色系多層膜被覆粉体と樹脂、調色剤などの添加剤および溶剤をコロイドミルや3本ロールで液状化しインキ塗料などの液状特定色系塗料組成物とすることもできる。
この粉体状特定色系塗料組成物の場合、(a)上記粉砕法で製造する場合の樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリエステル、メラミン樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、スチレン、エチレン、ブタジエン、プロピレン及びこれらの誘導体の重合体または共重合体などが挙げられる。
(b)重合法の場合、エステル、ウレタン、酢酸ビニル、有機ケイ素、アクリル酸、メタアクリル酸、スチレン、エチレン、ブタジエン、プロピレン等のうち1種あるいは複数の混合物から重合を開始させ、重合体あるいはこれらの共重合体などが形成される。
また、流体状の場合には、特定色系インキ、塗料等であり、前記調色材、乾燥の遅い樹脂には固化促進剤、粘度を上げるために増粘剤、粘性を下げるための流動化剤、粒子同志の分散のために分散剤などの成分を含ませることができる。
(b)重合法を用いる場合には、前記調色材、重合開始剤、重合促進剤、粘度を上げるためには増粘剤、粒子同志の分散のためには分散剤、紙等への定着のための電荷調整剤、ワックスなどの成分を含ませることができる。
また、各色系インキあるいは塗料組成物中の各色系色材および樹脂を合わせた量と溶剤の量との関係は、体積比で1:0.5〜1:10であり、溶剤の量が少な過ぎると塗料の粘度が高く、均一に塗布できない。また、溶剤の量が多過ぎると塗膜の乾燥に時間を要し塗布作業の能率が極端に低下する。
実施例1
(1)緩衝液の調整
イオン交換水300ミリリットルに塩化カリウム(関東化学社製試薬特級)の29.82g(0.4モル量)とホウ酸(関東化学社製試薬特級)の24.23g(0.4モル量)を溶解し、イオン交換水で1000ミリリットルにメスアップしてA溶液とした。
イオン交換水300ミリリットルに水酸化ナトリウム(関東化学社製鹿1級試薬)の16.0g(0.4モル量)を溶解し、イオン交換水で1000ミリリットルにメスアツプしてB溶液とした。
上記A溶液200gおよびB溶液80gを混合し、緩衝液Cとした。この緩衝液CのpHは9.1であった。
TPT溶液(日本曹達社製)3.69グラム(TiO2量 1.038グラム)をTPT溶液量に対して5倍のイオン交換水で希釈した。次にこのTPT溶液にアンモニア水(関東化学社製鹿1級試薬)16グラムを添加し水酸化チタンスラリー液を作る。
次にこの酸化チタンスラリー液に過酸化水素水(関東化学社製試薬特級)10.0グラムをゆっくりと添加し、十分に攪拌して水酸化チタンを溶解させ、黄色透明のペルオキソチタン酸溶液を得る。
最後に、pH調整としてアンモニア水(関東化学社製鹿1級試薬)4.50グラムを添加し、ペルオキソチタン酸溶液を得る。
基材粉体として150グラムの板状鉄粉(平均粒径37μm)を、予め用意しておいた上記緩衝液Cの280グラムに懸濁させた。この懸濁液の入った容器を50℃に保温した恒温槽に浸け600rpmにて攪拌しながら上記ペルオキソチタン酸溶液53グラムを2.2ミリリットル/分の滴下速度で滴下する。滴下終了後、さらに120分攪拌を続け、基材粉体上に酸化チタン膜被覆を行う。所定時間経過後、酸化チタン膜被覆された粉体を含むスラリーを静置沈降させ、上澄みを除去した。さらに、脱イオン水による洗浄を行った上で、120℃で1時間乾燥し、チタニア被覆粉体を得た。
得られた酸化チタン膜被覆粉体の796kA/m(≒10kOe)での磁 化を振動試料型磁力計(玉川製作社製、TM VSM1014 MRO−N型)により測定した結果、192A・m2/kg(emu/g)であった。
膜厚値は、紫外/可視/近赤外域分光光度計(日本分光社製、ILN−472型積分分球付V−570型)で測定して得られた分光反射曲線ピーク、ボトム波長より算出される値であり、算出される膜厚は43nmである。
Claims (2)
- テトライソプロポキシチタン溶液に過剰の塩基性物質を添加し、次いで過酸化物を加えて塩基性ペルオキソチタン酸溶液を生成させ、該ペルオキソチタン酸溶液を基材金属粉体懸濁液中に滴下する工程を含む、前記基材金属粉体上に酸化チタン膜を被覆して酸化チタン膜被覆粉体を製造する方法。
- 上記基材金属粉体懸濁液がpH8〜12のアルカリ性緩衝液であることを特徴とする請求項1記載の酸化チタン膜被覆粉体の製造方法。
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