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JP2004269792A - 多層膜被覆粉体配合物およびそれを用いた着色物 - Google Patents

多層膜被覆粉体配合物およびそれを用いた着色物 Download PDF

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JP2004269792A
JP2004269792A JP2003065511A JP2003065511A JP2004269792A JP 2004269792 A JP2004269792 A JP 2004269792A JP 2003065511 A JP2003065511 A JP 2003065511A JP 2003065511 A JP2003065511 A JP 2003065511A JP 2004269792 A JP2004269792 A JP 2004269792A
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light
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JP2003065511A
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Takashi Shinko
貴史 新子
Katsuto Nakatsuka
勝人 中塚
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Nittetsu Mining Co Ltd
Original Assignee
Nittetsu Mining Co Ltd
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Abstract

【課題】偽造防止、真偽判別、目立ち効果を高めることが可能な多層膜被覆粉体配合物およびそれを用いた着色物を提供する。
【解決手段】分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体を含有する配合物および該配合物で着色された着色物であって、該多層膜被覆粉体として、少なくとも、その基体粒子が光透過性物質であるものと光不透過性物質であるものとの双方を含有することが好ましく、その光不透過性物質が磁性体であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多層膜被覆粉体配合物およびそれを用いた着色物に関し、特に、紙幣、有価証券等の偽造防止効果や、色をより鮮やかに見せて周囲からの目立ち効果を高めることが可能な多層膜被覆粉体配合物およびそれを用いた着色物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、経済、流通、市場の価値水準の指標やその円滑化を行うため、通貨紙幣をはじめ、その他商品券、ギフト券、イベントチケット並びに有価証券等が印刷物、塗布物等の形態で使用されている。これらの印刷物、塗布物等は、通常、紙片等に、その特徴を示す事項が、記載、印刷、塗工等によって付与されたものであり、軽量かつ小型で、携行、保管、使用にも便利である。しかし紙片などの一般人にとっても身近な素材を使用するため、不正に複写、偽造されることがあった。
【0003】
このような偽造防止を目的として、旧来より、発行者が所持する印の印影、署名による筆跡、透かし絵等を用いてその識別手段としていた。しかしこれらの識別手段は、特殊技能を持つ者や、近年発達した複写・印刷技術等によって、容易に模造されてしまう。現在も依然として使用されてはいるが、実質的な信用度は低くなりつつある。また、近年ではバーコード標識等も使用されている。しかしこのバーコード標識は、画線からなる無機的な模様図となるため、その有価証券が有する優美なイメージを損なったり、またさらに発達した画像解析・複製技術等によって容易に模造されてしまう欠点もある。
【0004】
また、該有価証券を磁気カードや磁性インキを用いて印刷した印刷物とし、その磁気を識別する方法が採られている。しかしながらこれらの磁気カードや磁性インキを用いた印刷物は、磁性粉体が一般的に持つ黒色または黒褐色の色調により、美観を損ねたり、磁気識別機能の使用が容易に判ってしまうため容易に偽造されるという問題もあった。さらに、印刷インキに蛍光物質を含ませその印刷物の可視蛍光色を識別する方法も採られている。しかしながらこの可視蛍光色を識別する方法は、通常、蛍光発色灯により照射しその発色を肉眼により識別するものであり、厳密な真偽判別、偽造防止には不適である。
【0005】
また、近年、ある対象物を周囲のものより目立たせることが望まれることがある。例えば、自己の存在感、アイデンティティー、個性、感性等を表出することを好む人々が多くなっている。その目的のためには、衣服及びその他の所有物・携行物、標識物に意匠性等を付与し、周囲より目立たせる等が行われている。
しかしながら、様々な個性が無数にあるため、従来のような意匠性の付与では十分な目立ち効果が得られなくなった。
【0006】
一方、本発明者らは、粉体の表面に、該粉体を構成する金属とは異種の金属を成分とする金属酸化物膜を複数層設け、本来の粉体だけが備える性質の外に別の性質を合わせ持ち、複合した機能を有する粉体を発明した(例えば、特許文献1参照。)。
この粉体において、前記の金属酸化物膜を複数層設ける場合には、前記膜の各層の厚さを調整することにより特別の機能を与えることができるものであって、例えば粉体粒子の表面に、屈折率の異なる被覆膜を、光の4分の1波長に相当する厚さづつ設けるようにすると、光は全て反射される。この手段を鉄、コバルト、ニッケルなどの金属粉末或いは金属の合金粉末、或いは窒化鉄の粉末などの磁性体を芯の粒子とするものに適用すると、光を全反射して白色に輝く磁性色材用磁性粉体を製造することができる。
【0007】
さらに、その粉体の上に着色層を設け、その上に樹脂層を設ければ、カラー磁性トナーを製造することができる。
また、本発明者らは、前記の粉体をさらに改良し、金属酸化物膜単独ではなく、金属酸化物膜と金属膜とを交互に複数層有するようにした粉体も発明しており(例えば、特許文献2参照。)、これはカラー磁性トナー等として優れた性質を有するものである。
これらの粉体を製造するには、粉体粒子の上に均一な厚さの金属酸化物膜を複数層設けることが必要であって、そのためには金属塩水溶液から金属酸化物又はその前駆体である金属化合物を沈殿させることが難しいので、本発明者らは、金属アルコキシド溶液中に前記の粉体を分散し、該金属アルコキシドを加水分解することにより、前記粉体上に金属酸化物膜を生成させる方法を開発し、この方法によって薄くてかつ均一な厚さの金属酸化物膜を形成することができるようになり、特に多層の金属酸化物膜を形成することが可能になった。
【0008】
この方法は、具体的には、金属アルコキシド溶液中に粉体、特に金属又は金属化合物粉体を分散し、該金属アルコキシドを加水分解することにより該粉体の表面において金属酸化物を生成させて、その表面の上に該金属酸化物膜を形成させ、その工程を繰り返すことで多層の金属酸化物膜を得ている。そして、その多層の金属酸化物膜について、その種類を変えることにより、その粉体の反射率を変更することができる。その上下の金属酸化物膜の組合せをその反射率が最大になるように選択すると、白色度の高い粉体を得ることができることがわかっている。
さらに、本発明者らは、基体粒子の表面に光を透過できる透明膜からなる多層被覆膜を設け、該多層被覆膜の光干渉作用により粉体を着色する技術を開示した(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−228604号公報
【特許文献2】
特開平7−90310号公報
【特許文献3】
国際公開第96/28269号パンフレット
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の技術を更に改善し、偽造防止、真偽判別、目立ち効果を高めることが可能な多層膜被覆粉体配合物およびそれを用いた着色物を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、下記構成を採ることにより上記課題を解決することができた。
即ち本発明は、以下の通りである。
(1)分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体を含有する配合物。
(2)前記多層膜被覆粉体として、少なくとも、その基体粒子が光透過性物質であるものと光不透過性物質であるものとの双方を含有することを特徴とする前記(1)の配合物。
(3)前記多層膜被覆粉体として、その光不透過性物質が磁性体であることを特徴とする前記(2)の配合物。
【0012】
(4)分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体を含有する配合物で着色された着色物。
(5)前記多層膜被覆粉体として、少なくとも、その基体粒子が光透過性物質であるものと光不透過性物であるものとの双方を用いたことを特徴とする前記(4)の着色物。
(6)前記多層膜被覆粉体として、その光不透過性物質が磁性体であることを特徴とする前記(5)の着色物。
【0013】
分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体を配合することにより、単一の多層膜被覆粉体を用いた場合とは異なる、特異的な分光光度特性を表わすことができるようになった。
これは、単一の多層膜被覆粉体は個別の分光光度特性を有するものであるが、分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体を配合することにより、それぞれの粉体が有する分光光度スペクトルが多重干渉を起こすためと推定される。
例えば、その1つの例として、図1に示すように、分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体の各分光光度スペクトルが単純に多重干渉して特異的な分光光度スペクトルを表す場合がある。
【0014】
また、その他の例として、図2に示すように、分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体の基体粒子が、それぞれ、光透過性物質と光不透過性物質であり、これらの複数種の多層膜被覆粉体が接触していると、光透過性物質を基体とする多層膜被覆粉体が、光不透過性物質を基体とする多層膜被覆粉体の光干渉膜のようになり、それらがあたかも1つの多層膜被覆粉体であるかのように、多重干渉して特異的な分光光度スペクトルを表す場合がある。
さらに、図3に示すように、分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体の基体粒子が、それぞれ、光透過性物質1と光不透過性物質2であり、これらの複数種の多層膜被覆粉体が疎に存在し、多重干渉して特異的な分光光度スペクトルを表す場合がある。
このような機能を利用して、特異的な分光スペクトルを創出し、着色に適用することによって、被着色物の偽造防止、真偽判別、目立ち効果を高めることができる。
【0015】
上記の機能を利用して、目的とする特異的な分光スペクトルを創出しようとする際には、以下のような工夫をすればよい。
例えば、図1に示すような、分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体の各分光スペクトルを単純に多重干渉させる場合には、単一の各多層膜被覆粉体の分光光度特性を参考とし、それぞれの分光スペクトルを組み合わせ、分光スペクトルによるカラーマッチングを行い調整する。
また、図2に示すような、分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体の基体粒子が、それぞれ、光透過性物質1と光不透過性物質2であり、これらの複数種の多層膜被覆粉体が接触させる場合には、光透過性物質1を基体と多層膜被覆粉体も光不透過性物質2を基体と多層膜被覆粉体の多層膜に含めたものとして考えなければならない。つまり、光透過性物質の基体も光干渉膜として扱うことになる。但し、分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体の間に樹脂等が入り色に影響がある場合には、樹脂の影響分を分光スペクトルとコンピュータシュミレーションから補正、調整する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の配合物および着色物について詳細に説明する。
本発明の配合物に含有される複数種の多層膜被覆粉体は、それぞれ個別の異なる分光光度特性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、国際公開第96/28299号公報に記載されたもの等が挙げられる。
該多層膜被覆粉体は、その多層膜の各被覆膜を金属水酸化物膜あるいは金属酸化物膜等の光透過性のものとし、該被覆膜の各層の厚さを調整することにより、適宜、個別の分光光度特性を付与することができる。
【0017】
例えば、基体の表面に、屈折率の異なる被覆を、膜の物質の屈折率と膜の厚さとの積が電磁波の4分の1に相当する厚さだけ設けると、干渉により光は大部分反射(フレネル反射)され、この作用を利用し、染料や顔料を用いずとも着色することができる。
詳細には、基体の表面に、屈折率の異なる交互被覆膜を、次の式(1)を満たすように、被膜を形成する物質の屈折率nと可視光の波長の4分の1の整数m倍に相当する厚さdを有する交互膜を適当な厚さと膜数設けると、特定の波長λの光(フレネルの干渉反射を利用したもの)が反射または吸収される。
【0018】
nd=mλ/4 (1)
【0019】
この作用を利用して、基体粒子の表面に目標とする可視光の波長に対し、式(1)を満たすような膜の厚みと屈折率を有する被膜を製膜し、さらにその上に屈折率の異なる膜を被覆することを1度あるいはそれ以上交互に繰り返すことにより可視光域に反射ピークを有する膜が形成される。このとき製膜する物質の順序は次のように決める。まず核となる基体の屈折率が高いときには第1層目が屈折率の低い膜、逆の関係の場合には第1層目が屈折率の高い膜とすることが好ましい。
【0020】
膜厚は、膜屈折率と膜厚の積である光学膜厚の変化を分光光度計などで反射波形として測定、制御するが、反射波形が最終的に必要な波形になるように各層の膜厚を設計する。例えば、多層膜を構成する各単位被膜の反射波形のピーク位置を特定の波長に精密に合わせると、染料や顔料を用いずとも青、緑、黄色などのの単色の着色粉体とすることができる。
ただし、実際の基体の場合、基体の粒径、形状、膜物質および基体物質の相互の界面での位相ずれ及び屈折率の波長依存性によるピークシフトなどを考慮して設計する必要がある。例えば、基体表面にある酸化物層のためのピークシフトや屈折率の波長依存性によるピークシフトも加味することが好ましい。
【0021】
また、金属や減衰係数の大きい基体あるいは膜を用いる場合についても、金属面減衰係数の大きい物質表面での反射光が楕円偏光する等、位相ずれが起こり、この干渉が核粒子と多層膜それぞれの粒子相互の位相に影響を及ぼすため、それを考慮する事が好ましい。
幾何学的な膜厚だけを合わせてもピーク位置がずれるため、特にシアン色系に着色する際に色が淡くなる。これを防ぐためには、すべての膜に対する位相ずれの影響を加味し、コンピュータシミュレーションであらかじめ膜厚の組合せが最適になるように設計する。
さらに、基体表面にある酸化物層のための位相ずれや、屈折率の波長依存性によるピークシフトがある。これらを補正するためには、分光光度計などで、反射ピークが最終目的膜数で目標波長になるよう最適の条件を見出すことが必要である。
【0022】
球状粉体などの曲面に形成された膜の干渉は平板と同様に起こり、基本的にはフレネルの干渉原理に従う。したがって、着色方法も特定の色系に設計することができる。ただし曲面の場合には、粉体に入射し反射された光が複雑に干渉を起こす。これらの干渉波形は膜数が少ない場合には平板とほぼ同じである。しかし、膜数が増えると多層膜内部での干渉がより複雑になる。多層膜の場合もフレネル干渉に基づいて、反射分光曲線をコンピュータシミュレーションであらかじめ膜厚の組合せが最適になるよう設計することができる。特に基体粒子表面への被膜形成の場合、基体粒子表面とすべての膜に対する位相ずれの影響を加味し、コンピュータシミュレーションであらかじめ膜厚の組合せが最適になるよう設計する。さらに、基体粒子表面にある酸化物層のためのピークシフトや屈折率の波長依存性によるピークシフトも加味する。実際のサンプル製造では設計した分光曲線を参考にし、実際の膜においてこれらを補正するために、分光光度計などで反射ピークが最終目的膜数で目標波長になるよう膜厚を変えながら最適の条件を見出さねばならない。
【0023】
また、金属や減衰係数の大きい核粒子あるいは膜を用いる場合についても、金属面減衰係数の大きい物質表面での反射光が楕円偏光する等、位相ずれが起こり、この干渉が核粒子と多層膜それぞれの粒子相互の位相に影響を及ぼすため、それぞれを最適化し、目標波形を得ることは非常に複雑であり、最適干渉反射波形を得るために、前記のように核粒子および多層膜各膜の物質の光学物性値を求め、それを基にコンピュータシミュレーションであらかじめ目標波形が得られる膜厚および膜の組合せを求めておかなければならない。
不定形状の粉末に着色する場合も多層膜による干渉が起こり、球状粉体の干渉多層膜の条件を参考にし基本的な膜設計を行う。上記の多層膜を構成する各単位被膜のピーク位置は各層の膜厚により調整することができ、膜厚は基体粒子の表面に金属酸化物等の固相成分を形成させる被覆形成条件中、原料組成、固相析出速度および基体量などを制御することにより、精度良く膜厚を制御でき、均一な厚さの被膜を形成することができ、所望の色系に着色することができる。
【0024】
以上のように、反射スペクトルのピーク、バレー波長が最終目的膜数で目標波長になるよう膜形成溶液などの製膜条件を変えながら最適の条件を見出すことにより、特定の色系の膜被覆体を得ることができる。また、多層膜を構成する物質の組合せおよび各単位被膜の膜厚を制御することにより多層膜干渉による発色を調整することができる。これにより、染料や顔料を用いなくても膜被覆体を所望の色系に鮮やかに着色することができる。
また、カラーシフトを最大にするためには鋭い反射ピーク波長およびピークの数を最適化することが必要であり、各層の膜厚制御の最適化を行う。
【0025】
また、カラーシフトによる色変化は、下記式2あるいは式2及び式3の組合せにおいて、入射角を変えた場合のピーク位置の計算値から予測することができる。
本発明に用いる膜被覆粉体を製造するにあたり、予め、基体の材質、基体粒子の粒径、被覆層の数、各被覆層の被覆順序、各被覆層の材質、所望の反射光波長を選定する必要がある。
特に、基体粒子および各被覆層の材質を選定するということは、それらの屈折率を自ずと特定することとなる。
基体粒子および各被覆層の屈折率の特定は、各層間のフレネル反射係数、振幅反射強度の算出に関与する。
【0026】
基体粒子の粒径を選定することにより、基体粒子および多層膜の曲率を特定する。曲率が特定されなければ、後述する膜厚監視用分光光度特性の補正が困難になる。
被覆層の数を選定することにより、後述するRflat値の特定に関与する。
基体粒子が平板体の場合の多層膜反射強度Rflatは、予め選定された基体粒子の材質(屈折率)、被覆層数、各被覆層の被覆順序、各被覆層の材質(屈折率)、所望の反射光波長を、下記漸化式3に当てはめて解くことにより求められる。
【0027】
【数1】
Figure 2004269792
【0028】
(式中、Rj+1,j:下から第j番目の層とその直上の層との間の振幅反射強度、
j:1以上の整数(j−1=0は基盤を示す)、
i:虚数単位、
j+1,j:下から第j番目の層とその直上の層との間の界面のフレネル反射係数、
j,j−1:下から第j−1番目の層とその直上の層との間の振幅反射強度、
2δ:下から第j番目の層における位相差、
λ:所望の反射光波長、
:下から第j番目の層の屈折率、
:下から第j番目の層の膜厚、
φ:下から第j番目の層への光の入射角。)
【0029】
上記の様にして得られた多層膜反射強度Rflatを基体粒子の形状により補正する手法としては特に限定されないが、該Rflat値をさらに下記式3
【0030】
【数2】
Figure 2004269792
【0031】
(式中、θ:最外層への入射角を示す)
に適用させ、R(λ)値が所望の波長で最大値または最小値になるように各被覆層の膜厚を求めることにより行う手法が好ましい。
flat値を上記式3に適用させるということは、多層膜被覆粉体への光入射角の角度分布を1個の被覆半球への光入射角度分布に近似することにより上記式2の解を補正することを意味する。
この各被覆膜の膜厚を求める場合には、コンピュータによるシミュレーションで行うことが効率的である。
【0032】
次いで、各被覆膜を、上記のようにして求められた膜厚になるように、基体粒子上に製膜する。
但し、先にも述べたが、多層膜被覆粉体における実際の製膜作業においては、設計値通りの膜厚になるまで実膜厚を直接監視しながら行うことは不可能であり、そのため、製膜作業中の膜厚の監視は、各被覆層を被覆した被覆物体の反射強度が最大値または最小値になる波長を分光光度計にて測定し、該膜厚に相対する最大または最小反射波長値に達した時点で製膜作業を終了させることが考えられる。
しかしながら基材が粉体の場合においては、その粒子形状および粒子径に依存する各被覆層の曲率によって、最大または最小反射波長測定値と膜厚との関係に狂いが生じ、分光光度計にて測定される最大または最小反射波長が所望の値になるように製膜すると、最終的に得られる多層膜被覆粉体が、所望の波長で所望の反射強度とならないという問題が生じる。
そのため、基体粒子の形状および粒子径に依存する各被覆層の曲率による補正が必要になる。
【0033】
この補正手法としては、特に限定されないが、選定した基体粒子上に選定した各被覆層を段階的に数種類に膜厚を変えて被覆して粒径補正用膜被覆粉体とし、該粒径補正用膜被覆粉体の各被覆層の実膜厚値(d)を測定し、また、該膜被覆粉体のそれぞれを分光光度計にて測定し、それぞれの粒径補正用膜被覆粉体における各被覆層の光学膜厚(nd)を求め、各粒径補正用膜被覆粉体の各被覆層の実膜厚値と屈折率(n)との積(nd)に対する各被覆層の光学膜厚(nd)の比(nd/nd)を求め、多層膜反射強度を求める上記漸化式2の2δに上記比(nd/nd)値を乗じて各被覆層を有する粉体の分光光度特性を補正し、該補正分光光度特性になるように各被覆層を製膜することにより行うことが好ましい。
【0034】
なお、上記粒径補正用膜被覆粉体の各被覆層の実膜厚値(d)を測定するさいの手法としては、特に限定されないが、該粒径補正用膜被覆粉体のそれぞれを切断しその切断面から測定することにより行うことが好ましい。また、前記粒径補正用膜被覆粉体を切断する際には、集束イオンビーム(FIB)加工により行うことが、その切断面が明瞭になり、各被覆層の実膜厚値(d)の測定に好適である。
【0035】
前記多層膜被覆粉体に使用される基体粉体としては、特に限定されないが、本発明においては、光透過性物質のものと光不透過性物質のものの双方に大別される。
光透過性物質としては、光を透過するものであれば特に限定されないが、 シリカ、ガラスビーズ、シラスバルーン(中空ケイ酸粒子)、微小炭素中空球(クレカスフェアー)、アエロジル、シリカ微小中空球、炭酸カルシウム微小中空球、パーライト、ベントナイト、合成雲母、白雲母など雲母類、カオリン等の無機物セルロースパウダー、酢酸セルロースパウダー、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリエステル、メラミン樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、スチレン、エチレン、プロピレン等の有機物等が挙げられる。
【0036】
光不透過性物質としては、光を透過しないものであれば特に限定されないが、鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム等の金属、また、鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素等の外、カルシウム、マグネシウム、バリウム等の金属の酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、金属フッ化物、金属炭酸塩、金属燐酸塩等、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、パーライト、タルク、ベントナイト、カオリン等の非金属無機物等を用いることができる。また、光不透過性物質の基体粒子の中でも、磁性体のものを用いることにより、本発明の配合物および着色物に磁性を付与し磁性トナー、磁性インク、磁性識別可能でかつ偽造防止効果のある着色物として適用できる。
【0037】
前記多層膜被覆粉体に使用される基体粒子の形状としては、球体、亜球状態、正多面体等の等方体、直方体、回転楕円体、菱面体、板状体、針状体(円柱、角柱)などの多面体、さらに粉砕物のような全く不定形な粉体も使用可能である。本発明の配合物および着色物において、基体粒子として板状体で、光透過性のものと光不透過性のものとを組合せて用いる際には、図2に示すように、光透過性物質を基体とする多層膜被覆粉体と光不透過性物質を基体とする多層膜被覆粉体とが接触し易くなり、それらがあたかも1つの多層膜被覆粉体であるかのように作用する。また、非接触でなくても、媒体を用いて該多層膜被覆粉体を配列させ、該多層膜被覆粉体濃度などを調整し、該粉体の積層状態、積層段数等を考慮し、所望の状態にすることができる。
【0038】
さらに、これらの基体は、粒径については特に限定するものでないが、0.01μm〜数mmの範囲のものが好ましい。
また、基体粒子の比重としては、0.1〜10.5の範囲のものが用いられるが、得られた粉体を液体等に分散させて使用する場合には、流動性、浮遊性の面から0.1〜5.5が好ましく、より好ましくは0.1〜2.8、更に、好ましくは0.5〜1.8の範囲である。得られた粉体を液体等に分散させて使用する場合、基体の比重が0.1未満では液体中の浮力が大きすぎるため、膜を多層あるいは非常に厚くする必要があり、不経済である。一方、10.5を超えると、浮遊させるための膜が厚くなり、同様に不経済である。
【0039】
本発明の配合物および着色物に用いられる多層膜被覆粉体においては、前記のように、上記粉体基体粒子を屈折率が互いに異なる複数の被膜層を用い、各被膜層の屈折率および層厚を適宜選択して被覆することにより、その干渉色により特定の色系に着色しかつカラーシフトを発現する粉体とすることができる。
このような多層膜を形成する方法としては、特に限定されず、国際公開WO96/28299号公報に記載された金属アルコキシドの加水分解による方法等が挙げられるが、この方法は、原材料が高く、危険物である有機性溶媒を反応溶媒として用いるため、製膜装置として防爆設備を施す必要があり、総括的に高コストとなった。このような観点から、近年は、有機溶媒を用いずに、基体粒子の表面上に金属塩の反応により金属水酸化物膜あるいは金属酸化物膜を析出させる水系製膜方法が特開平11−1311102号等に開示されている。この水系製膜方法では、固相析出反応の溶媒として緩衡溶液を用い、ある一定のpHで適当な速さで固相を析出させる。
【0040】
該製膜方法において、金属塩として使用される金属は、鉄、ニッケル、クロム、チタン、亜鉛、アルミニウム、カドミウム、ジルコニウム、ケイ素、錫、鉛、リチウム、インジウム、ネオジウム、ビスマス、セリウム、アンチモン等の他、カルシウム、マグネシウム、バリウム等が挙げられる。また、これら金属の塩としては、硫酸、硝酸、塩酸、シュウ酸、炭酸やカルボン酸の塩が挙げられる。さらにまた、前記金属のキレート錯体も含まれる。該膜被覆粉体の作成において使用される金属塩の種類は、その基体の表面に付与しようとする性質や製造に際して適用する手段に応じてそれに適するものが選択される。
【0041】
本発明の配合物および着色物に用いられる多層膜被覆粉体は、基本的に無色透明の膜を形成し、屈折率の異なる膜を積層させて着色するため、前記のような金属とその塩が挙げられているが、干渉による着色だけでは反射及び吸収スペクトルの波形が所望の色にならない場合は、次のような金属コバルト、イットリウム、硫黄、ユーロピウム、ディスプロシウム、アンチモン、サマリウム、銅、銀、金、白金、ロジウム、イリジウム、タングステン、鉄、マンガン等の金属の硫酸、硝酸、塩酸、シュウ酸、炭酸、カルボン酸の塩等を用いることが好ましい。さらに前記金属のキレート錯体も好ましい。これらの金属の膜中の含有率は10ppm〜15%、好ましくは10ppm〜15%、さらに望ましくは50ppm〜5%である。
これらの金属の含有率が小さいときには、着色が不十分となり、多すぎると着色が強すぎて暗い色となり、明るい色の粉体が得られないという不都合が生じる。
【0042】
これらの金属塩による金属酸化物等の膜は、複数層形成してもよく、またそれらの金属酸化物等の膜の上に、必要により金属アルコキシドの加水分解による金属酸化物等、また他の製膜方法による膜を形成することもできる。
このようにして、基体粒子の上に多層の膜を形成することができ、しかもその際、各層の厚さが所定の厚さをもつように形成条件を設定することにより、目的とする特性を得ることができる。また簡単な操作でかつ安価な原料である金属塩を用いて金属酸化物等の膜を多層に形成することができる。特に、高価な金属アルコキシドを原料とすることなく、多層膜被覆粉体とすることができる点は重要な利点である。
【0043】
本発明の配合物および着色物に用いられる多層膜被覆粉体を製造する方法では、多層被覆膜を連続した工程として製作しても良く、また、各被覆膜を1層ずつ製作、あるいは単層製作と複層連続製作を組み合わせるなど種々の方法で製作することができる。
本発明に配合物および着色物に用いられる多層膜被覆粉体の粒径は、特に限定されず、目的に応じて適宜調整することができるが、通常は0.1μm〜数mmが好ましく、より好ましくは0.1μm〜30μmの範囲である。
【0044】
本発明の配合物および着色物に用いられる多層膜被覆粉体の好ましい1層の厚さ範囲は、膜物質および基体となる粒子の大きさによって異なる。膜物質が金属あるいは不透明金属酸化物、金属硫化物など吸収係数の大きい物質の場合には、基体粒子が0.1μm〜1μmでは0.00001μm〜0.5μm、基体粒子が1μm〜10μmでは0.001μm〜0.7μm、基体粒子が10μm以上では0.001μm〜1.0μmであることが好ましい。
膜物質が透明酸化物等のように吸収係数が小さい場合には、基体粒子が0.1μm〜1μmでは0.01μm〜1.5μm、基体粒子が1μm〜10μmでは0.01μm〜3.0μm、基体粒子が10μm以上では0.01μm〜5.0μmであることが好ましい。
また、上記本発明の配合物および着色物に用いられる多層膜被覆粉体の総膜厚の好ましい厚さ範囲も、基体となる粒子の大きさによって異なる。基体粒子が0.1μm〜1μmでは0.1μm〜5μm、基体粒子が1μm〜10μmでは0.1μm〜8μm、基体粒子が10μm以上では0.1μm〜20μmであることが好ましい。
【0045】
本発明の配合物および着色物に用いられる多層膜被覆粉体は、上記のように、その製造方法における製膜反応の際に、特に水系溶媒中で製膜反応させる場合、製膜反応溶媒としてpH一定条件の水系溶媒を用い、同時に膜被覆反応を超音波分散条件下で、基体の表面への被膜形成反応により形成される。
上記多層膜被覆粉体の作製においては、製膜反応を一定にするために、水系溶媒に緩衝剤を添加し緩衝溶液とするかあるいはあらかじめ用意された緩衝溶液が用いられる。また製膜反応の際には緩衝溶液以外の膜原料を添加し製膜する。製膜原料添加により製膜を行う際に、pHが大きく変動する場合には、これを防ぐため、緩衝溶液を追加することが望ましい。
本発明で言うところのpH一定とは、pHが所定のpHの±2以内、好ましくは±1以内、より好ましくは±0.5以内を言う。
【0046】
緩衡溶液は種々の系が用いられ、特に限定されないが、まず基体粒子が十分に分散できることが重要であり、同時に基体の表面に析出した金属水酸化物あるいは金属酸化物の膜被覆粉体も電気2重層の働きで分散でき、かつ上記の緩やかな滴下反応により緻密な被膜が製膜できる条件を満足するように選択する。
製膜反応に使用される緩衡溶液としては、析出させる固相成分に依存し、特に限定されないが、Tris系、ホウ酸系、グリシン系、コハク酸系、乳酸系、酢酸系、酒石酸系、塩酸系等が挙げられる。
【0047】
次に一例として、特に水系溶媒中で製膜反応させる場合、高屈折率の金属酸化物と低屈折率の金属酸化物の交互多層膜を形成する方法について具体的に説明する。まず、酸化チタンあるいは酸化ジルコニウムなどの被膜を形成する場合、酢酸/酢酸ナトリウム系等の緩衡溶液中に基体粒子を浸漬し超音波発振により分散し、チタンあるいはジルコニウムなどの金属塩である硫酸チタン、硫酸ジルコニウム等を原料とし、これら金属塩の水溶液を反応系に緩やかに滴下し、生成する金属水酸化物あるいは金属酸化物を基体粒子のまわりに析出させることにより行うことができる。この滴下反応の間、pHは上記緩衡溶液のpH(5.4)に保持される。
反応終了後、この粉体を固液分離し、洗浄・乾燥後、熱処理を施す。乾燥手段としては真空乾燥、自然乾燥のいずれでもよい。また、不活性雰囲気中で噴霧乾燥機などの装置を用いることも可能である。
なお、この被覆される膜が酸化チタンである場合には、酸化チタンの形成は下記の反応式で示される。
【0048】
Ti(SO+2HO→TiO+2H(SO
【0049】
硫酸チタニルのTiO含有量は5g/リットル〜180g/リットルが好ましく、より好ましくは10g/リットル〜160g/リットルである。5g/リットル未満では製膜に時間がかかりすぎ、また粉体処理量が減り、不経済であり、180g/リットルを超えて高くなると希釈液が添加中に加水分解を起こし製膜成分にならず、共に不適である。
【0050】
続いて、二酸化ケイ素あるいは酸化アルミニウムなどの被膜を形成する場合、KCl/HBO系等にNaOHを加えた緩衡溶液中に上記のチタニアコート粒子を浸漬し分散し、ケイ素あるいはアルミニウムなどの金属塩であるケイ酸ナトリウム、塩化アルミニウム等を原料とし、これら金属塩の水溶液を反応系に緩やかに滴下し、生成する金属水酸化物あるいは金属酸化物を基体粒子の周りに析出させることにより行うことができる。この滴下反応の間、pHは上記緩衡溶液のpH(9.0)に保持される。
反応終了後、この粉体を固液分離し、洗浄・乾燥後、熱処理を施す。この操作により、基体粒子の表面に屈折率の異なる2層の、金属酸化物膜を形成する操作を繰り返すことにより、多層の金属酸化物膜をその表面上に有する粉体が得られる。
なお、この被覆される膜が二酸化ケイ素である場合には、二酸化ケイ素の形成は下記の反応式で示される。
【0051】
NaSi2X+1+HO → XSiO+2Na+2OH
【0052】
本発明の多層膜被覆粉体配合物は、分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体のみを含有するものであってもよいが、着色物に適用するための利点から、各種色材組成物の形態であることが好ましい。
色材組成物の代表例としては、(1)各特定色系インキあるいは塗料様組成物(流体)および(2)各特定色系トナー、各特定色系乾式インキ様組成物(粉体)等がある。以下にこれらについて説明する。
【0053】
(1)特定色系インキあるいは塗料様組成物(流体)の媒質(ビヒクル)としては、カラー印刷用、カラー磁気印刷用、カラー磁気塗料用に用いられる、従来公知のワニスを用いることができ、例えば液状ポリマー、有機溶媒に溶解したポリマーやモノマーなどを粉体の種類やインキの適用方法、用途に応じて適宜に選択して使用することができる。
【0054】
上記液状ポリマーとしては、ポリペンタジエン、ポリブタジエン等のジエン類、ポリエチレングリコール類、ポリアミド類、ポリプロピレン類、ワックス類あるいはこれらの共重合体変成体等を挙げることができる。
有機溶媒に溶解するポリマーとしては、オレフィン系ポリマー類、オリゴエステルアクリレート等のアクリル系樹脂類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイソシアネート類、アミノ樹脂類、キシレン樹脂類、ケトン樹脂類、ジエン系樹脂類、ロジン変性フェノール樹脂、ジエン系ゴム類、クロロプレン樹脂類、ワックス類あるいはこれらの変性体や共重合体などを挙げることができる。
有機溶媒に溶解するモノマーとしては、スチレン、エチレン、ブタジエン、プロピレンなどを挙げることができる。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ケロシン、ベンジン炭化水素類、エステル類、エーテル類あるいはこれらの変性体や共重合体などを挙げることができる。
【0055】
(2)特定色系トナー、特定色系乾式インキ、特定色系乾式塗料様組成物(粉体)は、上記分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体を、樹脂とあるいは必要に応じて調色材とを、スクリュー型押出機、ロールミル、ニーダなどで直接混練し、ハンマミル、カッターミルで粗粉砕したあと、ジェットミルなどで微粉砕し、エルボージェットなどで必要な粒度に分級することにより粉体状シアン色色材組成物を得ることができる。また、乳化重合法や懸濁重合法などの重合法を用いて、粉体状特定色系塗料組成物とすることもできる。
さらに、多層膜被覆粉体と樹脂、調色剤などの添加剤および溶剤をコロイドミルや3本ロールで液状化し、インキ塗料などの液状特定色系塗料組成物とすることもできる。
【0056】
明度を上げるための調色材としては、白色顔料(展色材)である、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化珪素、酸化アンチモン、酸化鉛等あるいはこれらの複合酸化物類、また炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩、あるいは硫酸バリウム、硫酸カルシウムのような硫酸塩類、硫酸亜鉛のような硫化物あるいは前記酸化物や炭酸塩および硫酸塩を焼結した複合酸化物、複合含水酸化物類が挙げられる。
【0057】
彩度、色相を調整するため、特にフルカラー用混色で色再現用に使用する場合の調色材としては、青色顔料である(有機染料・顔料)アルカリブルーレーキ、ピーコックレーキ、ピーコックレーキブルー等のレーキ染料およびレーキ顔料、オイルブルー等、オイル染料顔料、アルコールブルー等のアルコール染料、フタロシアニン、銅フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料等、(無機顔料)ウルトラマリン等の酸化物硫化物複合顔料、鉄青、ミロリーブルー等の銅系群青紺青顔料類、コバルトブルー、セルリアンブルー等の酸化コバルト系複合酸化物類青色顔料、青色系有機染料および顔料および青色無機顔料アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ等のレーキ染料、レーキ系顔料無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン等のフタロシアニン系染顔料および緑色顔料であるクロームグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、含水クロム(ビリジアン)等のクロム系酸化物および含水酸化物、エメラルドグリーン等の銅系酸化物、コバルトグリーン等のコバルト系酸化物等の無機顔料あるいは、ピグメントグリーン、ナフトールグリーンなどのニトロソ顔料、グリーンゴールド等のアゾ系顔料、フタロシアニングリーン、ポリクロム銅フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、マラカイトグリーンレーキ、アシッドグリーンレーキなどのレーキ系、オイルグリーン等、オイル染料顔料、アルコールブルー等のアルコール染料顔料等有機染顔料が挙げられる。しかし本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0058】
さらに、微妙な色調制御において、青色、黄色、赤紫色などの顔料や染料を用いて調色することが必要な場合は、これらの顔料を添加することにより最適の特定色とすることが好ましい。
この特定色系塗料組成物の場合、(a)上記粉砕法で製造する場合の樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリエステル、メラミン樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、スチレン、エチレン、ブタジエン、プロピレン及びこれらの誘導体の重合体または共重合体などが挙げられる。
(b)重合法の場合、エステル、ウレタン、酢酸ビニル、有機ケイ素、アクリル酸、メタアクリル酸、スチレン、エチレン、ブタジエン、プロピレン等のうち1種あるいは複数の混合物から重合を開始させ、重合体あるいはこれらの共重合体などが形成される。
【0059】
本発明の多層膜被覆粉体配合物からなる色材組成物の代表例としては、上記のように、(1)各特定色系インキあるいは塗料様組成物(流体)および(2)各特定色系トナー、各特定色系乾式インキ様組成物(粉体)の形をとる。
また、流体状の場合には、特定色系インキ、塗料等であり、前記調色材、乾燥の遅い樹脂には固化促進剤、粘度を上げるために増粘剤、粘性を下げるための流動化剤、粒子同志の分散のために分散剤などの成分を含ませることができる。
一方、粉体の場合には、(a)粉砕法で粉体を製造する場合には、前記調色材、乾燥の遅い樹脂には固化促進剤、混練の際の粘性を下げるためには流動化剤、粒子同志の分散のためには分散剤、紙等への定着のための電荷調整剤、ワックスなどの成分を含ませることができる。
(b)重合法を用いる場合には、前記調色材、重合開始剤、重合促進剤、粘度を上げるためには増粘剤、粒子同志の分散のためには分散剤、紙等への定着のための電荷調整剤、ワックスなどの成分を含ませることができる。
上記多層膜被覆粉体配合物は、湿式および乾式カラー印刷や湿式および乾式カラー磁気印刷に適用できるほか、可視光、非可視光(紫外域および赤外域)、蛍光発色および磁気、さらに電気(電場の変化)の種の組合せの識別機能を付与し、印刷物の偽造防止用カラー磁性インキなどセキュリティ機能を必要とする他の用途に適用することができる。
【0060】
前記各特定色系インキあるいは塗料様組成物または各特定色系トナー、各特定色系乾式インキ様組成物、各特定色系乾式塗料組成物を、基材に印刷、溶融転写または被塗装体に塗布する場合、塗料組成物中の多層膜被覆粉体と樹脂の含有量の関係は、体積比で1:0.5〜1:15である。媒質の含有量が少な過ぎると塗布した膜が被塗装体に固着しない。また、多過ぎると顔料の色が薄くなりすぎ良いインキまたは塗料といえない。
また、各色系インキあるいは塗料組成物中の各色系色材および樹脂を合わせた量と溶剤の量との関係は、体積比で1:0.5〜1:10であり、溶剤の量が少な過ぎると塗料の粘度が高く、均一に塗布できない。また、溶剤の量が多過ぎると塗膜の乾燥に時間を要し塗布作業の能率が極端に低下する。
【0061】
また、基材に印刷、溶融転写または被塗装体に塗料を塗布した際の塗膜の色の濃度は、被塗装体の単位面積当たりに載った顔料の量によって決まる。塗料が乾燥した後の被塗装体上の多層膜被覆粉体の量は、均一に塗布した場合の面積密度で、1平方メートルあたり0.1〜300gであり、好ましくは0.1〜100gであれば良好な塗装色が得られる。面積密度が前記の値より小さければ被塗装体の地の色が現れ、前記の値より大きくても塗装色の色濃度は変わらないので不経済である。すなわち、ある厚さ以上に顔料を被塗装体上に載せても、塗膜の下側の顔料にまでは光りが届かない。かかる厚さ以上に塗膜を厚くすることは、塗料の隠蔽力を越えた厚さであるので塗装の効果がなく不経済である。ただし、塗膜の磨耗を考慮し、塗膜の厚さが摩り減るため厚塗りする場合はこの限りではない。また特定の意匠等を部分的に形成する場合にもこの限りではない。
【0062】
なお、本発明の多層膜被覆粉体配合物およびそれを用いた着色物に蛍光発色性を付与することもできる。
その付与方法としては、特に限定されないが、多層膜被覆粉体に、特開2000−87103号公報に示すような蛍光物質を含有する被覆層を更に設ける方法や、カラーシフトする粉体と蛍光物質を配合して色材組成物とする方法がある。
【0063】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、勿論本発明の範囲は、これらによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
1.原料溶液の調整
(緩衡液Aの調整)
緩衡溶液Aは次の溶液濃度で調整した。
0.4モルの塩化カリウムと0.4モルのホウ酸を1リットルの脱イオン水に溶解し、溶液Cとした。
0.4モルの水酸化ナトリウムを1リットルの脱イオン水に溶解し溶液Bとした。
溶液B250gに対し溶液C115gを混合均一化し、緩衡液Aとした。
【0064】
(緩衡液Bの調整)
緩衡溶液Bは次の溶液濃度で調整した。
塩化カリウム29.8g、ホウ酸24.7gを脱イオン水1リットルに溶解して、溶液Dを得た。
次に、水酸化ナトリウム16.0gを、脱イオン水16gと脱イオン水1リットルに溶解して、溶液Eを得た。
溶液D200gと溶液E80gを混合し、緩衡液Bとした。
【0065】
(ケイ酸ナトリウム水溶液の調整)
ケイ酸ナトリウム水溶液は次の組成で調整した。
ケイ酸ナトリウムを脱イオン水に徐々に加え、均一化しSiO含有量が10%の溶液とした(以下「ケイ酸溶液」と呼ぶ)。
(チタニア滴下液の調整)
チタニア滴下液は次の組成で調整した。
20%塩化チタン〔III〕水溶液133gに、28%アンモニア水273g、さらに過酸化水素水133gを混合し、ペルオキソチタン酸溶液(以下「チタン溶液」と呼ぶ)を得た。
【0066】
2.不透明多色性磁性粉の作製(赤紫色から緑色に変化する粉体)
(第1層シリカ膜の形成)
あらかじめ用意した緩衡液A、2800gに、板状パーマロイ粉(平均粒径21μm)(福田箔粉工業製)を100g加え、十分撹拌して懸濁させた。
前記粉体懸濁溶液をウォーターバスに入れ30℃で保持しつつ、撹拌機により1000rpmで撹拌しながら、1400gのケイ酸ナトリウム水溶液を26.7ml/minで滴下し、滴下後2時間保持し、徐々に粉体表面にシリカ膜を形成した。
反応終了後、シリカ製膜粉を含むスラリーを十分な水でデカンテーションを繰り返し、洗浄した。
洗浄後、2度目として、あらかじめ用意した緩衡液A、2800gに該シリカ製膜粉を加え、十分撹拌して懸濁させた。前記粉体懸濁溶液をウォーターバスに入れ30℃で保持しつつ、撹拌機により1000rpmで撹拌しながら、1400gのケイ酸ナトリウム水溶液を26.7ml/minで滴下し、滴下後2時間保持し、徐々に粉体表面にシリカ膜を形成した。
洗浄後、沈降分離により固液分離し、固形分をバットに広げ、乾燥機で120℃で、8時間乾燥した。
得られた乾燥粉を回転式チューブ炉で、窒素雰囲気650℃で30分間熱処理を行い、酸化ケイ素被覆粉体A1を得た。
【0067】
(第2層酸化チタン膜の形成)
緩衡液B、4200mlの中に、酸化ケイ素被覆粉体A1、100gを十分に懸濁させ、温度調整機つき、28kHz、600Wの超音波槽で、温度30℃に保持し、超音波をかけ、撹拌機で撹拌しながら、チタニア滴下液1352gを15ml/minで滴下し、滴下後2時間保持し、徐々に粉体表面に酸化チタン膜を形成した。
反応終了後、シリカ製膜粉を含むスラリーを十分な水でデカンテーションを繰り返し、洗浄した。
洗浄後、沈降分離により固液分離し、固形分をバットに広げ、乾燥機で120℃で、8時間乾燥した。
得られた乾燥粉を回転式チューブ炉で、窒素雰囲気650℃で30分熱処理を行い、酸化ケイ素−酸化チタン被覆粉体A2を得た。
【0068】
(第3層シリカ膜の形成)
あらかじめ用意した緩衡液A、2800gに、酸化ケイ素−酸化チタン被覆粉体A2、100gを加え、十分撹拌して懸濁させた。
前記粉体懸濁溶液をウォーターバスに入れ30℃で保持しつつ、撹拌機により1000rpmで撹拌しながら、1400gのケイ酸ナトリウム水溶液を26.7ml/minで滴下し、滴下後2時間保持し、徐々に粉体表面にシリカ膜を形成した。
反応終了後、シリカ製膜粉を含むスラリーを十分な水でデカンテーションを繰り返し、洗浄した。
洗浄後、2度目として、あらかじめ用意した緩衡液A、2800gを加え、十分撹拌して懸濁させた。前記粉体懸濁溶液をウォーターバスに入れ30℃で保持しつつ、撹拌機により1000rpmで撹拌しながら、1320gのケイ酸ナトリウム水溶液を26.7ml/minで滴下し、滴下後2時間保持し、徐々に粉体表面にシリカ膜を形成した。
洗浄後、沈降分離により固液分離し、固形分をバットに広げ、乾燥機で120℃で、8時間乾燥した。
得られた乾燥粉を回転式チューブ炉で、窒素雰囲気650℃で30分熱処理を行い、酸化ケイ素−酸化チタン−酸化ケイ素被覆粉体A3を得た。
【0069】
3.塗布紙の作製
得られた酸化ケイ素−酸化チタン−酸化ケイ素被覆粉体A3、16gを10%ポリメタアクリルアミン水溶液、10mlに練りこみ、インキ様組成物LAとした。
インキ様組成物をコート紙にバーコーターで塗布し、乾燥後塗布紙CP1を得た。その色を見ると正面からの色は青であり、45度傾けると赤紫色となり、さらに傾けて見た色は暗い茶色であった。
【0070】
4.透明干渉粉体の作製
(酸化チタン膜の製膜)
緩衡液B、4200mlの中に白雲母(平均粒径21μm)(レプコ製)を220g加え、温度調整機につき、28kHz、600Wの超音波槽で温度30℃に保持し、超音波をかけ、撹拌機で撹拌しながら、チタニア滴下液1352gを15ml/minで滴下し、滴下後2時間保持し、徐々に粉体表面にシリカ膜を形成した。
反応終了後、シリカ製膜粉を含むスラリーを十分な水でデカンテーションを繰り返し、洗浄した。
洗浄後、沈降分離により固液分離し、固形分をバットに広げ、乾燥機で120℃で、8時間乾燥した。
得られた乾燥粉を回転式チューブ炉で、窒素雰囲気500℃で30分間熱処理を行い、酸化チタン被覆粉体Bを得た。
【0071】
5.塗布紙の作製
得られた酸化ケイ素−酸化チタン被覆粉体A3、16gをポリメタアクリルアミン水溶液、10mlに練りこみ、インキ様組成物LB1とした。
インキ様組成物LB1をコート紙にバーコーターで塗布し、乾燥後塗布紙CP2を得た。
チタン被覆粉体B、12gを10%ポリメタアクリルアミン水溶液、10mlに練りこみ、インキ様組成物LB2とした。インキ様組成物LB2を乾燥後塗布紙CP2にさらにバーコーターで塗布し、乾燥後塗布紙CP3を得た。
CP3の色を見ると正面からの色は黄緑であり、45度傾けると青色となり、さらに傾けて見た色は赤紫色であった。上記3.で作製した塗布紙CP1に比べ、CP3の方が鮮やかに色変化した。
【0072】
6.薄膜状物質1の形成
基体が光不透過性物性である膜被覆粉体A3、10gを、アクリル樹脂0.5gを溶解したアルコール溶液500mlに十分分散し、広さ200平方センチメートル、深さ5cmの底面が四角形のプラスチック容器に均一に入れ沈降させた。粉体が全て沈降した後、液分を吸引機で吸出し、60℃で12時間乾燥した。乾燥物は薄膜A1となった。
乾燥後、この薄膜が形成された容器に、基体が光透過性物質である膜被覆粉体B、10gを、アクリル樹脂0.5gを溶解したアルコール溶液500mlに十分分散し流し込み、粉体が全て沈澱した後60℃で12時間乾燥した。乾燥物は薄膜1Bとなった。
結果、この薄膜状物質は、顕著な多色性を有し、さらにこの薄膜1Bのその色を見ると正面からの色は黄緑であり、45度傾けると青色となり、さらに傾けて見た色は赤紫色であった。また薄膜の磁性は31A・m/kg(磁場790kA/m)であった。
【0073】
7.薄膜状物質2の形成
基体が光不透過性物性である膜被覆粉体A3、10gと基体が光透過性物質である膜被覆粉体B、10gを、アクリル樹脂0.5gを溶解したアルコール溶液500mlに十分分散し、広さ200平方センチメートル、深さ5cmの底面が四角形のプラスチック容器に均一に入れ沈降させた。粉体が全て沈降した後、液分を吸引機で吸出し、60℃で12時間乾燥した。
この薄膜を顕微鏡で観察すると、比重の重い基体が光不透過性物質である膜被覆粉体A3が先に沈降し層を形成し、後に比重の小さい基体が光透過性物質である膜被覆粉体Bが沈降した2重構造となっていた。
この薄膜状物質2は、顕著な多色性を有し、さらにこの薄膜状物質2の正面からの色は黄緑であり、45度傾けると青色となり、さらに傾けて見た色は赤紫色であった。また薄膜の磁性は33A・m/kg(磁場790kA/m)であった。
これらのような干渉色は単一種類の干渉粒子だけで出すことが難しく、複数の粒子の多重干渉を応用することにより、より複雑な偽造防止効果が得られると考えられる。
なおこの際、磁性体を含む不透明な干渉粉を下層に配置することにより、磁性粉体の吸収により反射色をより鮮明にできるという効果も認められた。
【0074】
実施例2(球状粉配向による多色性)
球状粉体を透過性粒子として使用するため、製膜を行なった。使用した緩衡溶液および製膜原料は実施例1と同様のものである。
(第1層シリカ膜の形成)
あらかじめ用意した緩衡液A、2800gにガラスビーズ(ユニオン社製UB13)500g加え、十分撹拌して懸濁させた。
前記粉体懸濁液をウォーターバスに入れ30℃で保持しつつ、撹拌機により1000rpmで撹拌しながら、1400gのケイ酸ナトリウム水溶液を26.7ml/minで滴下し、滴下後2時間保持し、徐々に粉体表面にシリカ膜を形成した。
反応終了後、シリカ製膜粉を含むスラリーを十分な水でデカンテーションを繰り返し、洗浄した。
洗浄後2度目として、あらかじめ用意した緩衡液A、2800gを加え、十分撹拌して懸濁させた。前記粉体懸濁液をウォーターバスに入れ30℃で保持しつつ、撹拌機により1000rpmで撹拌しながら、1400gのケイ酸ナトリウム水溶液を26.7ml/minで滴下し、滴下後2時間保持し、徐々に粉体表面にシリカ膜を形成した。
洗浄後3度目として、あらかじめ用意した緩衡液A、2800gを加え、十分撹拌して懸濁させた。前記粉体懸濁溶液をウォーターバスに入れ30℃で保持しつつ、撹拌機により1000rpmで撹拌しながら、1400gのケイ酸ナトリウム水溶液を26.7ml/minで滴下し、滴下後2時間保持し、徐々に粉体表面にシリカ膜を形成した。
洗浄後、沈降分離により固液分離し、固形分をバットに広げ、乾燥機で120℃で、8時間乾燥した。
得られた乾燥粉を回転式チューブ炉で、窒素雰囲気650℃で30分間熱処理を行い、酸化ケイ素被覆粉体C1を得た。
【0075】
(第2層目酸化チタン膜の形成)
緩衡液B、4200mlの中に酸化ケイ素被覆粉体C1、300gを十分に懸濁させ、温度調整機つき、28kHz、600Wの超音波槽で温度30℃に保持し、超音波をかけ、撹拌機で撹拌しながら、チタニア滴下液1352gを15ml/minで滴下し、滴下後2時間保持し、徐々に粉体表面に酸化チタン膜を形成した。
反応終了後、酸化チタン製膜粉を含むスラリーを十分な水でデカンテーションを繰り返し、洗浄した。
洗浄後、沈降分離により固液分離し、固形分をバットに広げ、乾燥機により120℃で、8時間乾燥した。
得られた乾燥粉を回転式チューブ炉で、窒素雰囲気650℃で30分間熱処理を行い、酸化ケイ素−酸化チタン被覆粉体C2を得た。
この粉体は435nm、553nm、687nmにピークを有し、表面色が淡いピンク色の粉体であった。
【0076】
(塗布紙の作製)
実施例1で得られた磁性粉A3粉16gを10%ポリメタアクリルアミン水溶液、15mlに練りこみ、インキ様組成物LD1とした。
インキ様組成物LD1をコート紙にバーコーターで塗布し、乾燥後塗布紙CP4を得た。
塗布物CP4の上にさらに、実施例2の粉体C2、9gに対し10%ポリメタアクリルアミン水溶液、15mlに練りこみ、インキ様組成物LEとした。
インキ様組成物LEを塗布紙CP4にバーコーターで塗布し、乾燥後、その塗布紙CP5の色を正面からみると赤紫色であり、傾けるにつれ、黄色、緑色と変化した。
この色変化は、球状被覆粉体と板状粉体の多重干渉によるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層膜被覆粉体配合物に含まれる粉体が有する分光光度スペクトルが多重干渉を起こす推定機構の1例を示す概念図。
【図2】本発明の多層膜被覆粉体配合物に含まれる粉体が有する分光光度スペクトルが多重干渉を起こす推定機構の他の1例を示す概念図。
【図3】本発明の多層膜被覆粉体配合物に含まれる粉体が有する分光光度スペクトルが多重干渉を起こす推定機構の別の他の1例を示す概念図。
【符号の説明】
1 光透過性物質
2 光不透過性物質

Claims (6)

  1. 分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体を含有する配合物。
  2. 前記多層膜被覆粉体として、少なくとも、その基体粒子が光透過性物質であるものと光不透過性物質であるものとの双方を含有することを特徴とする請求項1記載の配合物。
  3. 前記多層膜被覆粉体として、その光不透過性物質が磁性体であることを特徴とする請求項2記載の配合物。
  4. 分光光度特性の異なる複数種の多層膜被覆粉体を含有する配合物で着色された着色物。
  5. 前記多層膜被覆粉体として、少なくとも、その基体粒子が光透過性物質であるものと光不透過性物であるものとの双方を用いたことを特徴とする請求項4記載の着色物。
  6. 前記多層膜被覆粉体として、その光不透過性物質が磁性体であることを特徴とする請求項5記載の着色物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015042762A (ja) * 2007-12-19 2015-03-05 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングMerck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung 顔料の使用

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