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JP2000191942A - 蓄光顔料組成物 - Google Patents

蓄光顔料組成物

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JP2000191942A
JP2000191942A JP36762198A JP36762198A JP2000191942A JP 2000191942 A JP2000191942 A JP 2000191942A JP 36762198 A JP36762198 A JP 36762198A JP 36762198 A JP36762198 A JP 36762198A JP 2000191942 A JP2000191942 A JP 2000191942A
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film
coating
color
layer
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JP36762198A
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Takashi Shinko
貴史 新子
Marenobu Hoshino
希宜 星野
Katsuto Nakatsuka
勝人 中塚
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Nittetsu Mining Co Ltd
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Nittetsu Mining Co Ltd
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Priority to US09/856,947 priority patent/US6666991B1/en
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Priority to EA200100474A priority patent/EA004319B1/ru
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 青、緑、黄色などの単色の美麗で安定な色調
のカラー印刷、塗工用のインキ、フィラー、塗料および
高性能カラー磁気印刷用インキとして有用であり、しか
も新たに検査機器を用いずに、例えば、室内で蛍光灯あ
るいは紫外線ランプ、赤外線ランプのような光源を照射
するなどの簡便な方式によっても真偽判定でき、印刷物
等の偽造防止性能を更に高めることができる機能をも有
する蓄光顔料組成物を提供する。 【解決手段】 基体粒子上に複数の被覆膜を有しかつ該
被覆膜の少なくとも1層に蓄光物質を有する蓄光性多層
膜被覆粉体を含有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は蓄光顔料組成物に関
し、詳しくはカラー色と、蓄光性を併せ有し、印刷、塗
工用のインキ、フィラー、塗料およびトナーとした場合
に、偽造防止に有用な蓄光顔料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】粉体の表面を他の物質の膜で被覆するこ
とにより、その粉体の性質を改善したり、その性質に多
様性を与えることが知られ、従来そのための方法として
種々の手段が提案されている。例えば、物体の表面に保
護や装飾のために膜を形成する被覆技術には、塗着法、
沈着法、スパッタリング、真空蒸着法、電着法や陽極酸
化法等多くの手段が知られている。しかし、塗着法や沈
着法では膜の厚みを均一にすることが困難であり、スパ
ッタリングや真空蒸着法では膜厚の厚い被膜を得ること
が困難である。また、電着法や陽極酸化法は被処理物を
電極とする関係上粉体の処理には向かないという問題点
を有している。種々の技術分野における進歩に伴い、特
異な性質を備えた粉体、特に金属粉体或は金属化合物粉
体を求める要望が増しており、粉体、特に金属粉体また
は金属化合物粉体だけが備える性質の他に別の性質を合
わせ持ち、複合した機能を有する粉体が求められてい
る。例えば、カラー磁性トナーの原料磁性粉体では、従
来の黒い磁性トナーでは問題とならなかった磁性金属粉
体の色がそのままでは使用できないことになる。従来知
られている粉体の保護のためとか、粉体が合成樹脂など
との混合を容易にするためなどで表面を改質するため
に、粉体の表面に薄い金属酸化物の膜を形成する手段に
よったものでは、このような分野の新しい要求に耐えら
れるものではない。この点から、従来の粉体にはない新
しい構成の粉体を提供することが必要である。
【0003】上記のような新しい要求に応えられる複合
した性質を有し、複合した機能を果たし得る粉体、特に
金属または金属化合物粉体を提供するための金属酸化物
の形成方法の有用なものとして、先に、本発明者らは、
金属粉体又は金属酸化物粉体を金属アルコキシド溶液中
に分散し、該金属アルコキシドを加水分解することによ
り、金属酸化物の皮膜を形成し、金属または金属化合物
の基体の表面に、均一な0.01〜20μmの厚みの、
前記基体を構成する金属とは異種の金属を成分とする金
属酸化物膜を有する粉体を発明した(特開平6ー228
604号公報)。
【0004】この粉体において、前記の金属酸化物膜を
複数層設ける場合には、前記膜の各層の厚さを調整する
ことにより特別の機能を与えることができるものであっ
て、例えば、基体の表面に、屈折率の異なる被覆膜を、
光の4分の1波長に相当する厚さで設けるようにする
と、光はすべて反射される。この手段を鉄、コバルト、
ニッケルなどの金属粉末或は金属の合金粉末、或いは窒
化鉄の粉末などの磁性体を基体とするものに適用する
と、光を全反射して白色に輝く磁性トナー用磁性粉体を
得ることができる。さらに、その粉体の上に着色層を設
け、その上に樹脂層を設ければ、カラー磁性トナーが得
られることを開示している(特開平7ー90310号公
報)。
【0005】また、本発明者らは多層膜の物質の組み合
わせおよび膜厚を制御することにより、多層膜の反射光
干渉波形を調整できることを見出し、染料や顔料を用い
ずとも、長期保存においても安定な色調を有する多層膜
被覆粉体を提供することを開示した(WO96/282
69)。
【0006】前記したように、本発明者らは金属粉体又
は金属化合物粉体の表面に金属酸化物や金属の被膜を形
成して、基体になる金属又は金属化合物粉体が備えてい
る性質の他に別の性質を付与して機能性の高い金属又は
金属化合物粉体を開発することに努めてきた。近年需要
が伸びているギフト券やチケットカードなどのカラー印
刷やカラー磁気印刷の場合には、着色の優美さに加え
て、目視や磁気読み取りのほかに偽造防止のための特殊
な機能が求められている。この動向に対応して、上記の
多層膜の反射光干渉波形を調整することにより、染料や
顔料を用いずとも青、緑、黄色などの美麗で安定な色調
のインキとなり、しかも、可視光域以外にも干渉反射ピ
ークを有するため、紫外線や赤外線による反射光を用い
た読み取り機と組み合せることで、目視や磁気読み取り
以外の方式によって印刷物の偽造防止性能を高めること
ができる機能をも有するカラーインキ組成物を提供した
(特開平10ー60350号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
カラーインキ組成物においては、紫外線や赤外線による
反射光を用いた読み取り機と組み合せることで、真偽を
判別するため、検査機器が必要である。容易に真偽を判
別できることができ、新たな方式によって印刷物の偽造
防止性能を更に高めることができる機能が必須であり、
改良の余地があった。従って、本発明の目的は、これら
の問題点を解決し、青、緑、黄色などの単色の美麗で安
定な色調のカラー印刷、塗工用のインキ、フィラー、塗
料および高性能カラー磁気印刷用インキとして有用であ
り、しかも新たに検査機器を用いずに、例えば、室内で
蛍光灯あるいは紫外線ランプ、赤外線ランプのような光
源を照射するなどの簡便な方式によっても真偽判定で
き、印刷物等の偽造防止性能を更に高めることができる
機能をも有する蓄光顔料組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を進めた結果、粉体表面に屈折率の異なる多層の薄膜を
形成し多層膜の反射光干渉波形を調整すること、および
その多層膜の少なくとも一層にその色と同じまたは異な
る、蓄光を発する顔料を含有させるか、または光干渉に
関与しない蓄光物質の層(膜)を形成することにより、
単独で使用しても青、緑、黄色などの美麗で安定な色調
の顔料となり、しかも同時に蓄光の有無による印刷物の
簡易な識別で偽造防止が可能となることを見い出し、本
発明を完成するに至った。また、上記粉体の基体として
強誘電体や導電体など様々な性質を有するものを活用す
ることができ、基体として磁性体を使用した場合でも、
該多層膜被覆粉体が磁性を損なわずに鮮やかな着色およ
び蓄光発色性が得られることを見い出した。
【0009】すなわち、本発明は下記の通りである。 (1)基体粒子上に複数の被覆膜を有し、かつ該被覆膜
の少なくとも1層に蓄光物質を有する蓄光性多層膜被覆
粉体を含有することを特徴とする蓄光顔料組成物。 (2)前記多層膜が光干渉作用を示すことを特徴とする
前記(1)記載の蓄光顔料組成物。 (3)前記多層膜が可視光域以外にも特異的な干渉反射
ピークを発現することを特徴とする前記(1)記載の偽
造防止用蓄光顔料組成物。 (4)前記基体粒子が磁性粒子であることを特徴とする
前記(1)記載の蓄光顔料組成物。 (5)着色材が含有されていることを特徴とする前記
(1)記載の蓄光顔料組成物。
【0010】本発明の蓄光顔料組成物は上記のように、
蓄光を有するカラー印刷、塗工用のインキ、フィラーま
たは塗料として有用である。基体として磁性体を用いた
場合には、高性能カラー磁気印刷用インキの色材として
も適用可能であり、可視光、非可視光(紫外域および赤
外域)、蓄光発色および磁気、さらに電気(電場の変
化)の6種の組合せの識別機能を持ち、印刷物の偽造防
止効果を高めることが可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において用いる多層膜被覆
粉体の基体としては特に限定されるものではなく、磁
性、強誘電性、導電性など様々な性質を有する粉体を用
いることができる。物質の種類としては、金属、金属化
合物、有機物、無機物など広範な物質を用いることがで
きる。金属としては、鉄、ニッケル、クロム、チタン、
コバルト、銅、アルミニウム等の遷移金属、ネオジウ
ム、イットリウム等の希土類金属などの金属あるいはこ
れらの合金、例えば鉄−ニッケルや鉄−コバルト合金等
の前記金属の合金、さらには鉄・ニッケル合金窒化物や
鉄・ニッケル・コバルト合金窒化物、また金属酸化物と
しては例えば鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニ
ウム、ケイ素(この場合ケイ素は金属に分類するものと
する)等の酸化物の他、カルシウム、マグネシウム、バ
リウム等のアルカリ土類金属酸化物あるいはこれらの複
合酸化物、粘土類、ガラス類等が挙げられる。本発明に
おいては、その目的の一つがカラー磁性トナーやカラー
磁性インクのような磁性も共有する粉体を製造すること
にあるので、その場合本発明の蓄光顔料組成物中の多層
膜被覆粉体の基体としては強磁性体を使用することが好
ましい。強磁性体としては鉄、ニッケル、クロム、チタ
ン、コバルト、銅、アルミニウム等の遷移金属、ネオジ
ウム、イットリウム等の希土類金属あるいはこれらの金
属の合金等の磁化率の大きい金属でもよいが、マグネタ
イト、Baフェライト、Srフェライト、γ−ヘマタイ
ト、コバルトフェライトあるいはこれらの混合フェライ
トなどのような強磁性酸化物や強磁性合金も使用され
る。
【0012】また、有機物としては樹脂粒子が好まし
く、その具体例としては、セルロースパウダー、酢酸セ
ルロースパウダー、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリエ
ステル、メラミン樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル樹
脂、ケイ素樹脂、アクリル酸エステル、メタアクリル酸
エステル、スチレン、エチレン、プロピレン及びこれら
の誘導体の重合または共重合により得られる球状または
破砕の粒子などが挙げられる。特に好ましい樹脂粒子は
アクリル酸またはメタアクリル酸エステルの重合により
得られる球状のアクリル樹脂粒子である。
【0013】更に、無機物としてはシラスバルーン(中
空ケイ酸粒子)などの無機中空粒子、微小炭素中空球
(クレカスフェアー)、電融アルミナバブル、アエロジ
ル、ホワイトカーボン、シリカ微小中空球、炭酸カルシ
ウム微小中空球、炭酸カルシウム、パーライト、タル
ク、ベントナイト、カオリン、雲母、合成マイカ、ガラ
スビーズ等を用いることができる。粉体核粒子の形状と
しては、球体、亜球状態、正多面体等の等方体、直方
体、回転楕円体、菱面体、板状体、針状体(円柱、角
柱)などの多面体、さらに粉砕物のような全く不定形な
粉体も使用可能である。これらの基体は、粒径について
は特に限定するものでないが、0.01μm〜数mmの
範囲のものが好ましい。
【0014】本発明においては、屈折率が互いに異なる
複数の被膜層を用い、上記基体粒子を、各被膜層の屈折
率および層厚を適宜選択して被覆することにより、その
干渉色により着色させることができる。各被膜層を構成
する材料は無機金属化合物、金属または合金、および有
機物のうちから任意に選択することが望ましい。被膜層
を構成する無機金属化合物としては、その代表的なもの
として金属酸化物が挙げられ、具体例として例えば鉄、
ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素、カ
ルシウム、マグネシウム、バリウムなどの酸化物、ある
いはこれらの複合酸化物が挙げられる。さらに、金属酸
化物以外の金属化合物としてはフッ化マグネシウム、鉄
窒化物などの金属窒化物、金属炭化物などが挙げられ
る。被膜層を構成する金属単体としては金属銀、金属コ
バルト、金属ニッケル、金属パラジウム、金属イリジウ
ム、白金、金、金属鉄などが挙げられ、金属合金として
は銀−イリジウム、パラジウム−白金、銀−パラジウ
ム、白金−パラジウム等の合金などが挙げられる。
【0015】被膜層を構成する有機物としては、基体を
構成する上記の有機物と同一でも異なってもよく、特に
限定されるものではないが、好ましくは樹脂である。樹
脂の具体例としては、セルロース、酢酸セルロース、ポ
リアミド、エポキシ樹脂、ポリエステル、メラミン樹
脂、ポリウレタン、樹脂ビニル樹脂、ケイ素樹脂、アク
リル酸エステル、メタアクリル酸エステル、スチレン、
エチレン、プロピレン及びこれらの誘導体の重合体また
は共重合体などが挙げられる。このように、被膜層を構
成する材料として種々の材料を使用することができる
が、それらの材料の組合せは各被膜層の屈折率を考慮し
た上で、用途に応じて適宜選択することが必要である。
本発明に係わる多層膜被覆粉体の粒径は、特に限定され
ず、目的に応じて適宜調整することができるが、通常は
0.01μm〜数mmの範囲である。
【0016】本発明において、その1回に形成させる被
覆膜の膜の厚さとしては、5nm〜10μmの範囲とす
ることが可能であり、従来の形成法より厚くすることが
できる。複数回に分けて形成する被覆膜の合計の厚さと
しては、前記したカラー粉体の場合、その干渉による反
射率が良い被覆膜を形成するためには、10nm〜20
μmの範囲が好ましい、さらに好ましくは20nm〜5
μmの範囲とすることである。粒径が制限されるなど特
に薄い膜厚で可視光を干渉反射させるためには0.02
〜2.0μmの範囲とすることが好ましい。
【0017】また、前記複数の被膜層を構成する各単位
被膜層は、特定の同一波長の干渉反射ピークまたは干渉
透過ボトムを有するように各単位被膜層の膜厚を設定し
たものである。さらに好ましくは、各単位被膜層の膜厚
の設定は、下記式(1): N×d=m×λ/4 (1) 〔但し、Nは複素屈折率、dは基本膜厚、mは整数(自
然数)、λは前記干渉反射ピークまたは干渉透過ボトム
の波長を表し、Nは下記式(2): N=n+iκ (2) (nは各単位被膜層の屈折率、iは複素数、κは減衰係
数を表す)〕を満たす基本膜厚とし、屈折率の減衰係数
κによる位相ずれ、膜界面での位相ずれ、屈折率の分散
および粒子形状に依存するピークシフトからなる関数よ
り、各単位被膜層が前記特定の同一波長の干渉反射ピー
クまたは干渉透過ボトムを有するように、該各単位被膜
層の実膜厚を補正したものである。
【0018】その膜の形成方法としては、その形成する
物質に応じて次のような方法を挙げることができるが、
その外の方法を使用することもできる。 (1)有機物膜(樹脂膜)を形成する場合 a.液相中での重合法 基体となる粒子を分散させて乳化重合させることによ
り、その粒子の上に樹脂膜を形成させる方法などが使用
できる。 b.気相中での製膜法(CVD)(PVD) (2)無機金属化合物膜を形成する場合 a.液相中での固相析出法 基体となる粒子を金属アルコキシド溶液中に分散し、金
属アルコキシドを加水分解することにより、その粒子の
上に金属酸化物膜を形成する方法が好ましく、緻密な金
属酸化物膜を形成することができる。また、金属塩水溶
液の反応により粒子の上に金属酸化物膜等を形成するこ
とができる。 b.気相中での製膜法(CVD)(PVD)
【0019】(3)金属膜あるいは合金膜を形成する場
合 a.液相中での金属塩の還元法 金属塩水溶液中で金属塩を還元して金属を析出させて金
属膜を形成する、いわゆる化学メッキ法が使用される。 b.気相中での製膜法(CVD)(PVD) 金属の真空蒸着などにより、粒子の表面に金属膜を形成
することができる。
【0020】本発明の蓄光性顔料組成物において、蓄光
性物質を有する被覆層(以下、蓄光発色層という)と
は、前記多層膜被覆粉体に蓄光発色性を付与する層であ
る。蓄光発色層の含有物質としては、前記多層膜被覆粉
体の蓄光発色性、即ち、紫外線光や可視光を照射するこ
とにより、容易に判別できる蓄光を発する特性を有する
ものであれば特に限定されないが、長期に蓄光発色性を
保持できる蓄光性物質が好ましい。蓄光性物質は、光エ
ネルギーを蓄えることができ、太陽光や蛍光灯などの光
照射後、光源を無くしても発光が続くものであり、光源
の無い暗所(光の入らない部屋や箱など)に入れても、
一定時間(数十秒ないし数十時間)特定の波長の発光を
する物質である。古くから、蓄光性物質(蓄光性蛍光
体)としては金属の硫化物が知られており、例えば、C
aS:Bi(紫青色発光)、CaSrS:Bi(青色発
光)、ZnS:Cu(緑色発光)、ZnCdS:Cu
(黄色〜橙色発光)等が挙げられるが、これらは夜光時
計や避難誘導標識、その他の屋内用の夜間表示等に使用
されている。
【0021】上記蓄光発色層に適用される蓄光性物質の
具体例として次のものが挙げられるが、本発明はこれら
の具体例に限定されるものではない。蓄光性(燐光)顔
料は、硫化亜鉛などの顔料に銅、マンガン、水銀などの
活性剤を添加することにより、蓄光性を持たせたもので
ある。これらの例としては、ZnCdS:Cu、Ca
S:Bi、CaSrS:Bi等の微量金属含有硫化物粉
体、またAl23、SrCl2、BaCO3の酸化物、塩
類、SrAl24、CaAl24等のアルカリ土類金属
のアルミン酸等にEu,Dyなどの希土類金属等を添加
し、従来の硫化物に比べ発光時間が長く、これらは緑、
青、黄、橙色に発光するものが挙げられる。
【0022】本発明において、蓄光発色層は、蓄光性多
層膜被覆粉体の基体となる粒子の表面、基体の表面上に
形成された光干渉性多層被覆膜中、または多層膜被覆粉
体の表面上のいずれかに、形成させることができる。そ
のための蓄光発色層の構成としては、下記の三つの方法
がある。 (1)蓄光性物質を主成分とする層を設け、この蓄光発
色層が可視光干渉に関与する。 (2)蓄光性物質を主成分とする層を設け、この蓄光発
色層は可視光干渉に関与しない。(可視光干渉の効果を
減じないことが好ましい)。 (3)光干渉に関与する被覆膜中に蓄光性物質を分散さ
せて含有した層として設ける。
【0023】上記(1)、(2)および(3)の蓄光発
色層の形成法の概要としては、次の方法が挙げられる。 1)蓄光性物質を主成分とする層を設け、この蓄光発色
層が可視光干渉に関与する場合、屈折率の大小から干渉
の高屈折率層あるいは低屈折率層に用い、干渉条件が合
うように屈折率と膜厚を設計し、可視光干渉反射が起こ
り着色され、同時に蓄光を発する膜とする。製膜はゾル
−ゲル法や水溶液からの固層析出等の表面への析出を利
用する方法がある。これらの得られた粉体を必要によっ
ては熱処理することが望ましい。膜物質が熱分解する場
合には、最外層に蓄光発色層を形成することが望まし
い。 2)光干渉に関与しない蓄光性物質を主成分とする層を
設け、この蓄光発色層が可視光干渉に関与しない場合、
最外層に干渉が起こらないように十分薄く蓄光性物質膜
を形成する。この場合蓄光性物質膜は微粒子からなる膜
でもよい。製膜はゾル−ゲル法や水溶液からの固層析出
等の表面への析出を利用する方法がある。また、溶媒中
に分散した蓄光性物質微粒子(被覆される基体となる粒
子より粒径の小さい蓄光質粒子)を混合し、ヘテロ凝集
などで付着させる方法がある。上記の二つの方法の場
合、これらの得られた粉体を必要によっては熱処理する
ことが望ましい。膜物質が熱分解する場合には、最外層
に蓄光発色層を形成することが望ましい。
【0024】3)光干渉に関与する被覆膜中に蓄光性物
質を分散させて含有した層として設ける場合の一つの方
法は、原料組成物に蓄光性物質を溶解または分散により
混合し、これを用いて被膜形成を行う。干渉の高屈折率
層あるいは低屈折率層に蓄光性物質を含有させるため
に、製膜時に原料を含む溶媒中に蓄光性物質微粒子(被
覆される基体となる粒子より粒径の小さい蓄光質粒子)
を混合し、製膜し1層以上の層中に粒子を含有させる。
この場合より外側の層に含有させること、また、多くの
層に含有させることが望ましい。更に、ヘテロ凝集等に
より蓄光性物質微粒子を基体粒子に吸着させてから製膜
することも可能である。 4)光干渉に関与する被覆膜中に蓄光性物質を分散させ
て含有した層として設ける場合の他の方法は、多層膜被
覆粉体を形成し、熱処理をした後、多層膜被覆粉体を蓄
光性物質溶解液に浸漬し、含浸させる。最外層を熱処理
する場合、例えば、製膜時に添加剤をいれたり、温度や
熱処理時間を長くすることにより、最外層を多孔質と
し、その空隙に溶媒に分散あるいは溶解した蓄光性物質
を含浸させることにより形成する。
【0025】次に一例として、高屈折率の金属酸化物
と、低屈折率の蓄光性物質を含む金属酸化物の交互多層
膜を形成する方法について具体的に説明する。まず、チ
タンあるいはジルコニウムなどのアルコキシドを溶解し
たアルコール溶液に基体粒子を分散し、攪拌させながら
水とアルコール及び触媒の混合溶液を滴下し、前記アル
コキシドを加水分解することにより、基体粒子表面に高
屈折率膜として酸化チタン膜あるいは酸化ジルコニウム
膜を形成する。その後、この粉体を固液分離し、乾燥
後、熱処理を施す。乾燥手段としては、真空加熱乾燥、
真空乾燥、自然乾燥のいずれでもよい。また、雰囲気調
整しながら不活性雰囲気中で噴霧乾燥機などの装置を用
いることも可能である。熱処理は、酸化しない被膜組成
物は空気中で、酸化しやすい被膜組成物は不活性雰囲気
中で、150〜1100℃(粉体核粒子が無機粉体の場
合)または150〜500℃(粉体核粒子が無機粉体以
外の場合)で1分〜3時間熱処理する。続いて、ケイ素
アルコキシド、アルミニウムアルコキシドなどの、酸化
物になったときに低屈折率となる金属アルコキシドおよ
び蓄光性物質を溶解したアルコール溶液に、前記の高屈
折率膜を形成した粉体を分散し、攪拌させながら水とア
ルコール及び触媒の混合溶液を滴下し、前記アルコキシ
ドを加水分解することにより、前記高屈折率膜被覆粉体
表面に低屈折率膜として酸化ケイ素あるいは酸化アルミ
ニウムの膜を形成する。その後、粉体を固液分離し、真
空乾燥後、前記と同様に熱処理を施す。この操作によ
り、粉体基体粒子の表面に2層の、高屈折率の金属酸化
物膜を形成する操作を繰り返すことにより、多層の金属
酸化物膜を有する蓄光性多層膜被覆粉体が得られる。
【0026】また、基体粒子の表面に形成する屈折率の
異なる交互被覆膜の各層の厚さを調整することにより特
別の機能を与えることができる。例えば、基体粒子の表
面に、屈折率の異なる交互被覆膜を、次の式(3)を満
たすように、被膜を形成する物質(単位被覆層)の屈折
率nと可視光の波長の4分の1の整数m倍に相当する厚
さdを有する交互膜を適当な厚さと膜数設ける。これに
より、特定の波長λの光(フレネルの干渉反射を利用し
たもの)が反射または吸収される。 nd=mλ/4 (3) この作用を利用して、基体粒子の表面に目標とする可視
光の波長に対し式(3)を満たすような膜の厚みと屈折
率を有する膜を製膜し、さらにその上に屈折率の異なる
膜を被覆することを1度あるいはそれ以上交互に繰り返
すことにより可視光域に特有の反射あるいは吸収波長幅
をする膜が形成される。このとき製膜する物質の順序は
次のように決める。まず基体粒子自体の屈折率が高いと
きには第1層目が屈折率の低い膜、逆の関係の場合には
第1層目が屈折率の高い膜とすることが好ましい。
【0027】膜厚は、膜屈折率と膜厚の積である光学膜
厚の変化を分光光度計などで反射波形として測定、制御
するが、反射波形が最終的に必要な波形になるように各
層の膜厚を設計する。例えば、多層膜を構成する各単位
被膜の反射波形のピーク位置がずれた場合に白色の粉体
となるが、各単位被膜の反射波形のピーク位置を精密に
合わせると、染料や顔料を用いずとも青、緑、黄色など
の単色の着色粉体とすることができる。
【0028】ただし、実際の粉体の場合、粉体の粒径、
形状、膜物質および核粒子物質の相互の界面での位相ず
れ及び屈折率の波長依存性によるピークシフトなどを考
慮して設計する必要がある。例えば、核粒子の形状が平
行平板状である場合には、粒子平面に形成される平行膜
によるフレネル干渉は上記式(3)のnを次の式(4)
のNに置き換えた条件で設計する。特に、粉体の形状が
平行平板状である場合でも金属膜が含まれる場合には、
式(4)の金属の屈折率Nに減衰係数κが含まれる。な
お、透明酸化物(誘電体)の場合にはκは非常に小さく
無視できる。 N=n+iκ(iは複素数を表す) (4) この減衰係数κが大きいと、膜物質および核粒子物質の
相互の界面での位相ずれが大きくなり、さらに多層膜の
すべての層に位相ずれによる干渉最適膜厚に影響を及ぼ
す。
【0029】これにより幾何学的な膜厚だけを合わせて
もピーク位置がずれるため、特に単色に着色する際に色
が淡くなる。これを防ぐためには、すべての膜に対する
位相ずれの影響を加味し、コンピュータシミュレーショ
ンであらかじめ膜厚の組合せが最適になるように設計す
る。さらに、金属表面にある酸化物層のための位相ずれ
や、屈折率の波長依存性によるピークシフトがある。こ
れらを補正するためには、分光光度計などで、反射ピー
クや吸収ボトムが最終目的膜数で設定波長になるよう最
適の条件を見出すことが必要である。
【0030】球状粉体などの曲面に形成された膜の干渉
は平板と同様に起こり、基本的にはフレネルの干渉原理
に従う。したがって、着色方法も単色に設計することが
できる。ただし曲面の場合には、粉体に入射し反射され
た光が複雑に干渉を起こす。これらの干渉波形は膜数が
少ない場合には平板とほぼ同じである。しかし、総膜数
が増えると多層膜内部での干渉がより複雑になる。多層
膜の場合もフレネル干渉に基づいて、反射分光曲線をコ
ンピュータシミュレーションであらかじめ膜厚の組合せ
が最適になるよう設計することができる。特に基体粒子
表面への被膜形成の場合、基体粒子表面とすべての膜に
対する位相ずれの影響を加味し、コンピュータシミュレ
ーションであらかじめ膜厚の組合せが最適になるよう設
計する。さらに、基体粒子表面にある皮膜層のためのピ
ークシフトや屈折率の波長依存性によるピークシフトも
加味する。実際のサンプル製造では設計した分光曲線を
参考にし、実際の膜においてこれらを補正するために、
分光光度計などで反射ピークや吸収ボトムが最終目的膜
数で目標波長になるよう膜厚を変えながら最適の条件を
見出さねばならない。不定形状の粉末に着色する場合も
多層膜による干渉が起こり、球状粉体の干渉多層膜の条
件を参考にし基本的な膜設計を行う。上記の多層膜を構
成する各単位被膜のピーク位置は各層の膜厚により調整
することができ、膜厚は溶液組成および反応時間および
原料の添加回数による調整することができ所望の色に着
色することができる。以上のように、反射ピークや吸収
ボトムが最終目的膜数で目標波長になるよう膜形成溶液
などの製膜条件を変えながら最適の条件を見出すことに
より、単色の粉体を得ることができる。また、多層膜を
構成する物質の組合せおよび各単位被膜の膜厚を制御す
ることにより多層膜干渉による発色を調整することがで
きる。これにより、染料や顔料を用いなくても粉体を所
望の色に鮮やかに着色することができるが、必要に応じ
て、着色材を使用した被膜層または着色層を設けること
ができる。
【0031】上記の必要に応じて適用される着色材の具
体例として次のものが挙げられるが、本発明はこれらの
具体例に限定されるものではない。具体的には、例え
ば、ブルー色系着色材としては、(有機染料)フタロシ
アニン系染料、オイル系染料、レーキ系染料等、(シア
ン系顔料)フタロシアニン系顔料、レーキ系顔料等、
(無機顔料)チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニ
ア、セリア、酸化亜鉛などの金属酸化物粉体、コバルト
アルミネート等複合酸化物顔料等。イエロー色系着色材
としては、(有機染料)モノアゾ染料、アゾメチン系色
素、オイル系染料、レーキ系染料等、(顔料)ベンジジ
ン系黄色顔料、フォロンイエロー、アセト酢酸アニリド
系、不溶性顔料等。グリーン色系着色材としては、(有
機染料)フタロシアニン系緑色染料、マラカイトグリー
ンなどのレーキ染料、オイル染料等、(有機顔料)ピグ
メントグリーンなどのナフトール系緑色顔料、グリーン
ゴールドなどの緑色不溶性アゾ系顔料、フタロシアニン
緑色系顔料等、(無機顔料)コバルトグリーン(CoO
−Zn−MgO)、ビリジアン、エメラルドグリーン、
クロムグリーン等。レッド色系着色材としては、(有機
染料)レーキレッド染料、オイルレッド染料等、(有機
顔料)ナフトール系赤色不溶性アゾ系顔料、赤色不溶性
アゾ系顔料、赤色ナフトール顔料、 赤色レーキ顔料
等、(無機顔料)鉛丹、カドミウムレッド等。マゼンタ
色系着色材としては、(染料)アントラキノン系染料、
チオインジゴ、オイル系マゼンタ染料等、(顔料)キサ
ンテン系マゼンタ染料のリン−タングステン−モリブデ
ン酸レーキ顔料、2,9-ジメチルキナクリドン、ナフト−
ル不溶性アゾ系顔料、キサンテン系染料と有機カルボン
酸とからなる色材等。シアン色系着色材としては、(有
機染料)フタロシアニン系染料、オイル系染料、レーキ
染料等、(有機顔料)フタロシアニン系顔料、レーキ顔
料等、(無機顔料)チタニア、アルミナ、シリカ、ジル
コニア、セリア、酸化亜鉛などの金属酸化物粉体、コバ
ルトアルミネート等複合酸化物顔料等が挙げられる。
【0032】更に、必要に応じて調色材を用いることが
できる。調色材は基本的に色を調整するものであって、
複数の顔料を使用し所望の色をカラーマッチングさせる
ために使用するものである。適用される調色材の具体例
として次のものが挙げられるが、本発明はこれらの具体
例に限定されるものではなく、必要に応じ別の顔料や染
料を添加し調色することも可能である。具体的には、例
えば、ブルー色系調色材としては、(有機染料・顔料)
アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ等のレ
ーキ染料、レーキ系顔料、無金属フタロシアニン、銅フ
タロシアニン等のフタロシアニン系顔料等、(無機顔
料)ウルトラマリン等の酸化物、硫化物複合顔料、鉄
青、ミロリーブルー等の銅系群青紺青顔料類、コバルト
ブルー、セルリアンブルーなどの酸化コバルト系複合酸
化物類青色顔料等。イエロー色系調色材としては、(有
機染料)ファーストイエロー等のファースト染料等、
(有機顔料)ハンザーイエロー、ナフトールイエロー、
ピグメントイエロー、パーマネントイエロー等のアゾ系
顔料、(無機顔料)鉛、亜鉛およびバリウム等のクロム
酸塩(赤口黄鉛、クロムバーミリオン)類、硫化カドミ
ウム等の硫化物類、チタンイエロー等の複合酸化物系顔
料等。グリーン色系調色材としては、(有機染料)マラ
カイトグリーンレーキ、アシッドグリーンレーキなどの
レーキ染料等、(有機顔料)ピグメントグリーン、ナフ
トールグリーンなどのニトロソ顔料、グリーンゴールド
等のアゾ系顔料、フタロシアニングリーン、ポリクロム
銅フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料等、(無機
顔料)クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、
含水クロム(ビリジアン)等のクロム系酸化物および含
水酸化物、エメラルドグリーン等の銅系酸化物、コバル
トグリーン等のコバルト系酸化物等。レッド色系調色材
としては、(有機染料)エオシンレーキ、ローダミンレ
ーキ等のレーキ染料、Cinquasia Red等の
キナクリドン系染顔料等、(有機顔料)パーマネントレ
ッド、パラレッドなどのアゾ系顔料、ブリリアントファ
ストレッド、ファストスカーレッット等のファスト顔料
等、(無機顔料)カドミウムレッド、マーキュリーレッ
ドなどの硫化物類顔料等。橙色系調色材としては、(有
機顔料)パーマネントオレンジ、ベンジンオレンジ、ハ
ンザエローなどのアゾ系顔料等、(無機顔料)クロム酸
鉛などの酸化物(赤口黄鉛)類およびクロム酸と硫酸鉛
からなる複合物(クロムバーミリオン)など、紫色系調
色材としては、(有機染料)メチルバイオレットレーキ
などのレーキ染料等、(有機顔料)ファストバイオレッ
ト等のアゾ系顔料等、(無機顔料)コバルト燐酸塩、マ
ンガン燐酸塩などの燐酸塩類、コバルト砒素の複合酸化
物類などの顔料等が挙げられる。また、明度を上げるた
めの調色材として、白色顔料(展色材)である、例え
ば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化珪素、酸化ア
ンチモン、酸化鉛等あるいはこれらの複合酸化物類、ま
た炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等
の炭酸塩、あるいは硫酸バリウム、硫酸カルシウムのよ
うな硫酸塩類、硫酸亜鉛のような硫化物あるいは前記酸
化物や炭酸塩および硫酸塩を焼結した複合酸化物、複合
含水酸化物類が挙げられる。
【0033】次にかくして得られる本発明に係る蓄光顔
料組成物を調製する場合の(1)カラーインキあるいは
塗料様組成物(流体)および(2)カラートナー、カラ
ー乾式インキ様組成物(粉体)のそれぞれについて説明
する。 (1)本発明においてカラーインキあるいは塗料様組成
物(流体)の媒質(ビヒクル)としては、カラー印刷
用、カラー磁気印刷用、カラー磁気塗料用に用いられ
る、従来公知のワニスを用いることができ、例えば液状
ポリマー、有機溶媒に溶解したポリマーやモノマーなど
を粉体の種類やインキの適用方法、用途に応じて適宜に
選択して使用することができる。
【0034】上記液状ポリマーとしては、ポリペンタジ
エン、ポリブタジエン等のジエン類、ポリエチレングリ
コール類、ポリアミド類、ポリプロピレン類、ワックス
類あるいはこれらの共重合体編成体等を挙げることがで
きる。有機溶媒に溶解するポリマーとしては、オレフィ
ン系ポリマー類、オリゴエステルアクリレート等のアク
リル系樹脂類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイ
ソシアネート類、アミノ樹脂類、キシレン樹脂類、ケト
ン樹脂類、ジエン系樹脂類、ロジン変性フェノール樹
脂、ジエン系ゴム類、クロロプレン樹脂類、ワックス類
あるいはこれらの変性体や共重合体などを挙げることが
できる。有機溶媒に溶解するモノマーとしては、スチレ
ン、エチレン、ブタジエン、プロピレンなどを挙げるこ
とができる。有機溶媒としては、エタノール、イソプロ
パノール、ノルマルプロパノール等のアルコール類、ア
セトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、
ケロシン、ベンジン炭化水素類、エステル類、エーテル
類あるいはこれらの変性体や共重合体などを挙げること
ができる。
【0035】(2)カラートナー、カラー乾式インキ、
カラー乾式塗料様組成物(粉体)は、蓄光性多層膜被覆
粉体を、樹脂とあるいは必要に応じて着色材とを直接混
練し、この混合物を粉砕することにより粉体状蓄光顔料
組成物を得ることができる。また、乳化重合法や懸濁重
合法などの重合法を用いて、多層膜被覆粉体を粉体状蓄
光顔料組成物とすることもできる。この粉体状蓄光顔料
組成物の場合、(a)上記粉砕法で製造する場合の樹脂
としては、特に限定されるものではないが、ポリアミ
ド、エポキシ樹脂、ポリエステル、メラミン樹脂、ポリ
ウレタン、酢酸ビニル樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸エ
ステル、メタアクリル酸エステル、スチレン、エチレ
ン、ブタジエン、プロピレン及びこれらの誘導体の重合
体または共重合体などが挙げられる。 (b)重合法の場合、エステル、ウレタン、酢酸ビニ
ル、有機ケイ素、アクリル酸、メタアクリル酸、スチレ
ン、エチレン、ブタジエン、プロピレン等のうち1種あ
るいは複数の混合物から重合を開始させ、重合体あるい
はこれらの共重合体などが形成される。
【0036】本発明の蓄光顔料組成物は上記のように、
(1)カラーインキあるいは塗料様組成物(流体)と
(2)カラートナー、カラー乾式インキ様組成物(粉
体)の形をとる。また、流体状の場合には、カラーイン
キ、塗料等であり、前記着色材や調色材、乾燥の遅い樹
脂には固化促進剤、粘度を上げるために増粘剤、粘性を
下げるための流動化剤、粒子同志の分散のために分散剤
などの成分を含ませることができる。一方、粉体の場合
には、(a)粉砕法で粉体を製造する場合には、前記着
色材や調色材、乾燥の遅い樹脂には固化促進剤、混練の
際の粘性を下げるためには流動化剤、粒子同志の分散の
ためには分散剤、紙等への定着のための電荷調整剤、ワ
ックスなどの成分を含ませることができる。 (b)重合法を用いる場合には、前記着色材や調色材、
重合開始剤、重合促進剤、粘度を上げるためには増粘
剤、粒子同志の分散のためには分散剤、紙等への定着の
ための電荷調整剤、ワックスなどの成分を含ませること
ができる。本発明の蓄光顔料組成物中の多層膜被覆粉体
は、単一の粉体ないしは分光特性の異なる複数の粉体の
組み合せにより、湿式および乾式カラー印刷や湿式およ
び乾式カラー磁気印刷に適用できるほか、3原色の粉体
を用いて、可視光、非可視光(紫外域および赤外域)、
蓄光発色および磁気、さらに電気(電場の変化)の6種
の組合せの識別機能をもち、印刷物の偽造防止用カラー
磁性インキなどセキュリティ機能を必要とする他の用途
に適用することができる。
【0037】前記本発明の蓄光顔料組成物をカラーイン
キあるいは塗料組成物またはカラートナー、カラー乾式
インキ、カラー乾式塗料組成物として、基材に印刷、溶
融転写または被塗装体に塗布する場合、蓄光顔料塗料組
成物中の蓄光性多層膜被覆粉体と樹脂の含有量の関係
は、体積比で1:0.5〜1:15である。媒質の含有
量が少な過ぎると塗布した膜が被塗装体に固着しない。
また、多過ぎると顔料の色が薄くなりすぎ良いインキま
たは塗料といえない。 また、カラーインキあるいは塗
料組成物中の顔料および樹脂を合わせた量と溶剤の量と
の関係は、体積比で1:0.5〜1:10であり、溶剤
の量が少な過ぎると塗料の粘度が高く、均一に塗布でき
ない。また、溶剤の量が多過ぎると塗膜の乾燥に時間を
要し塗布作業の能率が極端に低下する。
【0038】また、基材に印刷、溶融転写または被塗装
体に塗料を塗布した際の塗膜の色の濃度は、被塗装体の
単位面積当たりに載った顔料の量によって決まる。塗料
が乾燥した後の被塗装体上の本発明の蓄光性多層膜被覆
粉体の量は、面積密度で1平方メートルあたり5〜30
0gであり、好ましくは10〜150gであれば良好な
塗装色が得られる。面積密度が前記の値より小さければ
被塗装体の地の色が現れ、前記の値より大きくても塗装
色の色濃度は変わらないので不経済である。すなわち、
ある厚さ以上に顔料を被塗装体上に載せても、塗膜の下
側の顔料にまでは光りが届かない。かかる厚さ以上に塗
膜を厚くすることは、塗料の隠蔽力を越えた厚さである
ので塗装の効果がなく不経済である。ただし、塗膜の磨
耗を考慮し、塗膜の厚さが摩り減るため厚塗りする場合
はこの限りではない。
【0039】
〔実施例1〕
(磁性体を用いた蓄光性多層膜被覆粉体1;第2層目チ
タニアコーティングに蓄光体含有の場合) (1層目シリカコーティング)BASF製カーボニル鉄
粉(平均粒径1.8μm,10kOeでの磁化は203emu
/g)10gをエタノール100ml中に分散し、容器をオ
イルバスで加熱して液の温度を55℃に保持した。これ
にシリコンエトキシド6gとアンモニア水(29%)8
gおよび水8gを添加し、攪拌しながら2時間反応させ
た。反応後エタノールで希釈洗浄し、濾過し、真空乾燥
機で110℃3時間乾燥した。乾燥後、回転式チューブ
炉を用いて加熱処理を650℃で30分施しシリカコー
ト粉体A 1 を得た。得られたシリカコート膜の膜厚は9
8nmであり、分散状態は非常に良かった。
【0040】(2層目チタニアコーティング)加熱処理
後再度、得られたシリカコート粉体A1 10g及び蓄光
物質である銅含有硫化亜鉛カドミウム微粒子(平均粒径
0.015μm)8gをエタノール200mlに分散し
た。容器をオイルバスで加熱して液の温度を55℃に保
持した。これにチタンエトキシド4.7g加え攪拌す
る。これにエタノール30mlと水8.0gの混合溶液を
60分かけて滴下した後、2時間反応させ、真空乾燥お
よび加熱処理を施しチタニア−シリカコート粉体A2
得た。得られたチタニア−蓄光体銅含有硫化亜鉛カドミ
ウム微粒子/シリカコート粉体A2は分散性が良く、そ
れぞれ単粒子であった。チタニア−シリカコート粉体A
2のチタニア膜の厚さは77nmであった。またこの粉体
の分光反射曲線のピーク波長は450nmであり、ピーク
波長での反射率は35%で、鮮やかなシアン色であっ
た。さらにこの粉体の10kOeでの磁化は167emu/gで
あった。
【0041】(3層目シリカコーティング)チタニア−
シリカコート粉体A2 10gをエタノール100ml中に
分散し、容器をオイルバスで加熱して液の温度を55℃
に保持した。これにシリカコンエトキシド6gとアンモ
ニア水(29%)8gおよび水8gを添加し、攪拌しな
がら2時間反応させた。反応後エタノールで希釈洗浄
し、濾過し、真空乾燥機で110℃3時間乾燥した。乾
燥後、回転式チューブ炉を用いて加熱処理を650℃で
30分施しシリカ−チタニアコード粉体A3を得た。得
られたシリカ−チタニアコート粉体A3の膜厚は99nm
であり、分散状態は非常に良かった。
【0042】(4層目チタニアコーティング)加熱処理
後再度、得られたシリカ−チタニアコート粉体A3 10
gをエタノール200mlを加え分散し、容器をオイルバ
スで加熱して液の温度を55℃に保持した。これにチタ
ンエトキシド5.3g加え攪拌する。これにエタノール
30mlと水8.0gの混合溶液を60分かけて滴下した
後、2時間反応させ、真空乾燥および加熱処理を施しチ
タニア−シリカコート粉体A4を得た。得られたチタニ
ア−シリカコート粉体A4は分散性が良く、それぞれ単
粒子であった。チタニア−シリカコート粉体A4のチタ
ニア膜の厚さは75nmであった。この粉体の反射ピーク
は553nmで、反射率は47%で鮮やかな緑色であっ
た。さらにこの粉体の10kOeでの磁化は146emu/gで
あった。
【0043】(カラーインキ組成物の調製および分光特
性)このようにして得られた粉体を、ポリエステル樹脂
系ワニス35部に対し、粉体65部で混合し、得られた
液状蓄光顔料組成物ALをブレードコーターで70g/
2 の塗布量で、A4版アート紙に塗布し、乾燥後、蓄
光顔料組成物の塗布紙を得た。この塗布紙1の色はピー
ク波長553nmで、反射率53%の明るい青緑となっ
た。また、塗布紙1を暗所で紫外線ランプを1時間照射
した後、暗所で目視した色は淡緑色の燐光の発した。さ
らに、この蓄光顔料組成物塗布紙の、磁場10kOeでの
磁化は6643emu/m2 であった。
【0044】〔比較例1〕 (磁性体を用いた多層膜被覆粉体1;蓄光体を含有しな
い場合)実施例1と同じ操作を行った。但し、2層目チ
タニアコーティングにおける反応液中に蓄光体銅含有硫
化亜鉛カドミウム微粒子を混合をしなかった。塗布した
紙の反射ピークは可視光域では553nmで、反射率は5
3%であったが、蛍光灯を照射しても、燐光の発色は認
められなかった。
【0045】〔実施例2〕 (樹脂含有乾式粉体蓄光顔料組成物;トナー用など場
合)実施例1と同様の方法で得られた、4層目チタニア
コーティング(前記チタニア−シリカコート粉体A4
の乾燥粉100gをシランカップリング剤表面処理をし
た後、ルチル型酸化チタン(シランカップリング剤表面
処理品、平均粒径0.2μm)40gとをスチレンモノ
マー110gとを混合し均一にした。この混合物をあら
かじめ70℃に保持し、n−ドデシル硫酸ナトリウム2
5gを蒸留水に溶解した溶液中に添加し、高速攪拌機で
エマルジョン化し、さらに10%過硫酸アンモニウム水
溶液を10g添加し低速で攪拌し、4時間反応させた。
反応終了後、蒸留水2リットルで希釈し、蒸留水を加え
ながら傾斜洗浄を繰り返し塩類を除き、濾過後、ケーキ
を真空乾燥機で30℃で8時間乾燥し、乾燥粉B1
た。乾燥粉Bは粒径10μm程度の球状粒子で、明緑色
で、反射ピークは555nmで、反射率は53%であった
更に、この蓄光顔料組成物粉体蓄光顔料組成物の10kO
eでの磁化は52emu/gであった。また、この蓄光顔料組
成物に、紫外線ランプを1時間照射した後、暗所でこの
塗布紙を見ると、淡い緑色の燐光の発色が認められた。
この粉体をガラスホルダーに詰め、暗所で紫外線ランプ
を照射すると、淡い緑色の燐光が認められた
【0046】〔実施例3〕 (磁性体を用いた蓄光性多層膜被覆粉体2;蓄光体含浸
の場合) (1層目シリカコーティング)BASF製カーボニル鉄
粉(平均粒径1.8μm,10kOeでの磁化は203emu
/g)20gを、あらかじめエタノール158.6gにシ
リコンエトキシド3.0gを溶解したエタノール溶液に
分散させた後、攪拌しながら、あらかじめ用意しておい
たアンモニア水8.0gと脱イオン水8.0gの混合溶
液を添加した。添加後5時間常温で反応し、十分のエタ
ノールで洗浄後、真空乾燥し、さらに回転式チューブ炉
を用いて、窒素雰囲気で500℃で、30分熱処理し、
シリカコートカーボニル鉄粉C1を得た。
【0047】(2層目チタニアコーティング)シリカコ
ートカーボニル鉄粉C1 20gを、あらかじめエタノー
ル198.3gにチタンエトキシド3.0gを溶解した
エタノール溶液に分散させた後、攪拌しながら、あらか
じめ用意しておいた脱イオン水3.0gとエタノール2
3.7gの混合溶液を1時間かけて滴下した。滴下後5
時間常温で反応し、十分のエタノールで洗浄後、真空乾
燥し、さらに回転式チューブ炉を用いて、窒素雰囲気で
500℃で、30分熱処理し、チタニア−シリカコート
カーボニル鉄粉C2を得た。
【0048】(3層目シリカコーティング)チタニア−
シリカコートカーボニル鉄粉C2 20gを、あらかじめ
エタノール158.6gにシリコンエトキシド3.0g
を溶解したエタノール溶液に分散させた後、攪拌しなが
ら、あらかじめ用意しておいたアンモニア水8.0gと
脱イオン水8.0gの混合溶液を添加した。添加後5時
間常温で反応し、十分のエタノールで洗浄後、真空乾燥
し、さらに回転式チューブ炉を用いて、窒素雰囲気で5
00℃で、30分熱処理し、シリカ−チタニアコートカ
ーボニル鉄粉C3を得た。
【0049】(4層目チタニアコーティング)シリカ−
チタニアコートカーボニル鉄粉C3 20gを、あらかじ
めエタノール198.3gにチタンエトキシド3.0g
を溶解したエタノール溶液に分散させた後、攪拌しなが
ら、あらかじめ用意しておいた脱イオン水3.0gとエ
タノール23.7gの混合溶液を1時間かけて滴下し
た。滴下後5時間常温で反応し、十分のエタノールで洗
浄後、真空乾燥し、さらに回転式チューブ炉を用いて、
窒素雰囲気で500℃で、30分熱処理し、チタニア−
シリカコートカーボニル鉄粉C4を得た。
【0050】(5層目シリカコーティング)チタニア−
シリカコートカーボニル鉄粉C4 20gを、あらかじめ
エタノール158.6gにシリコンエトキシド3.0g
を溶解したエタノール溶液に分散させた後、攪拌しなが
ら、あらかじめ用意しておいたアンモニア水8.0gと
脱イオン水8.0gの混合溶液を添加した。添加後5時
間常温で反応し、十分のエタノールで洗浄後、真空乾燥
し、さらに回転式チューブ炉を用いて、窒素雰囲気で5
00℃で、30分熱処理し、シリカ−チタニアコートカ
ーボニル鉄粉C5を得た。
【0051】(6層目チタニアコーティング)シリカ−
チタニアコートカーボニル鉄粉C5 20gを、あらかじ
めエタノール198.3gにチタンエトキシド3.0g
を溶解したエタノール溶液に分散させた後、攪拌しなが
ら、あらかじめ用意しておいた脱イオン水3.0gとエ
タノール23.7gの混合溶液を1時間かけて滴下し
た。滴下後5時間常温で反応し、十分のエタノールで洗
浄後、真空乾燥し、さらに回転式チューブ炉を用いて、
窒素雰囲気で500℃で、30分熱処理し、チタニア−
シリカコートカーボニル鉄粉C6を得た。
【0052】かくして得られた多層膜被覆粉体を蓄光物
質である銅含有硫化カドミウム微粒子(0.01μm)
を水に乳化分散させた濃度5g/100gの乳化液に浸
漬し、固液分離後、真空乾燥し、蓄光体含浸チタニア−
シリカコートカーボニル鉄粉C7を得た。
【0053】(カラーインキ組成物の調製および分光特
性)これをポリエステル樹脂系ワニス10gに対し、蓄
光体含浸チタニア−シリカコートカーボニル鉄粉C7
gを、さらに溶剤としてキシレン7gを混合し、インキ
とし、この組成のインキをブレードコーターで68g/
2 の塗布量で、A4版アート紙に一様に塗布し、乾燥
した。乾燥後得られた塗布紙の分光反射率曲線は図1の
ようになった。また塗布紙の色460nmで反射率64%
の鮮やかなシアン色となった。この蓄光顔料組成物塗布
紙の、磁場10kOeでの磁化は2595emu/m2 であっ
た。さらに、紫外域では324nm付近の光を55%程度
で反射し、同じく赤外域では920nm付近の光を53%
程度反射した。また、塗布紙を紫外線ランプで1時間照
射した後、暗所でこの塗布紙を見ると淡い黄緑色の燐光
の発色が認められた。この塗布紙を積分球付分光光度計
(日本分光製V−570)の光源を切ってその発光強度
を調べたところ、図2のような波形が認められた。また
その色は青緑であった。これらの紫外線の反射、赤外線
の反射、可視光域の実体色、暗所での燐光発色ならび
に、磁性、そのほかに基体粒子の導電体としての電場応
答性の6種の機能で識別が可能である。
【0054】〔実施例4〕 (磁性体を用いた蓄光性多層膜被覆粉体2、蓄光体、S
rAl2 4 :Eu,単独層被覆の場合) (1層目シリカコーティング)BASF製カーボニル鉄
粉(平均粒径1.8μm,10kOeでの磁化は203emu
/g)18gに対し、あらかじめエタノール158.6g
にシリコンエトキシド3.5gを溶解したエタノール溶
液に分散させた後、撹拌しながら、あらかじめ用意して
おいたアンモニア水8.5gと脱イオン水8.5gの混
合溶液を添加した。添加後,5時間常温で反応し、十分
のエタノールで洗浄後、真空乾燥し、さらに回転式チュ
ーブ炉を用いて、窒素雰囲気で800℃で、30分熱処
理し、冷却し、シリカコート鉄粉D1を得た。
【0055】(2層目Eu含有アルミン酸ストロンチウ
ムコーティング)セパラブルフラスコにシリカコート鉄
粉D1、20gを、あらかじめエタノール198.3g
に対し、アルミニウムエトキシド5.8gと、ストロン
チウムエトキシド4.5gとユーロピウムエトキシド
0.8gを混合し、十分均一化した後、撹拌しながら、
蒸留水5.3gをエタノール55.9gに混合した溶液
を1時間かけて滴下した。滴下後、6時間常温で反応
し、その後十分のエタノールで洗浄後、真空乾燥し、さ
らに回転式チューブ炉を用いて、窒素雰囲気で1000
℃で、30分熱処理し、急冷し、Eu含有アルミン酸ス
トロンチウムコート鉄粉D2を得た。このEu含有アル
ミン酸ストロンチウム膜の厚さは60nmであり、この
粉体D2の反射ピークは500nmで、反射率28%の緑
色であった。この粉体に蛍光灯を2時間当て、暗い箱の
中でこの粉体を見たところ、青色の燐光が見られた。
【0056】(3層目シリカコーティング)シリカ−E
u含有アルミン酸ストロンチウム被覆鉄粉D216g
を、あらかじめエタノール158.6gにシリコンエト
キシド4.0gを溶解したエタノール溶液に分散させた
後、撹拌しながら、あらかじめ用意しておいたアンモニ
ア水8.5gと脱イオン水8.5gの混合溶液を添加し
た。添加後,5時間常温で反応し、十分のエタノールで
洗浄後、真空乾燥し、さらに回転式チューブ炉を用い
て、窒素雰囲気で800℃で、30分熱処理し、冷却
し、シリカ−Eu含有アルミン酸ストロンチウム−シリ
カコート鉄粉D3を得た。
【0057】(4層目Eu含有アルミン酸ストロンチウ
ムコーティング)セパラブルフラスコにシリカコート鉄
粉D3、16gを、あらかじめエタノール198.3g
に対し、アルミニウムエトキシド5.8gと、ストロン
チウムエトキシド4.5gとユーロピウムエトキシド
0.8gを混合し、十分均一化した後、撹拌しながら、
蒸留水5.3gをエタノール55.9gに混合した溶液
を1時間かけて滴下した。滴下後、6時間常温で反応
し、その後十分のエタノールで洗浄後、真空乾燥し、さ
らに回転式チューブ炉を用いて、窒素雰囲気で1000
℃で、30分熱処理し、急冷し、Eu含有アルミン酸ス
トロンチウムコート鉄粉D4を得た。このEu含有アル
ミン酸ストロンチウム膜の厚さは60nmであり、この
粉体D4の反射ピークは480nmで、反射率38%の緑
色であった。この粉体に蛍光灯を2時間当て、暗い箱の
中に入れた際に、青色の燐光が見られ、上記2層被覆物
2より明るくなった。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の蓄光顔料
組成物は、カラー色と、蓄光性を併せ有し、青、緑、黄
色などの単色の美麗で安定な色調のカラー印刷、塗工用
のインキ、フィラー、塗料となる。しかも、可視光以外
にも干渉反射ピークを有するため、紫外線および赤外線
による反射光の検出、および特別な読取り機器を用いず
に真偽判定ができる蓄光の有無による印刷物の識別によ
り、確度の高い偽造防止が可能となる。これらの優れた
機能を有すると共に、基体として磁性体を活用すると、
高性能カラー磁気印刷用インキの色材としても適用可能
であり、可視光、非可視光(紫外域および赤外域)、燐
光発光および磁気、さらに電気(電場の変化)の6種の
組合せの識別機能をもち、印刷物の偽造防止効果を高め
ることが可能であり、極めて高い実用性を有するもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3で得られた蓄光顔料組成物の分光反射
率曲線を示したグラフである。
【図2】実施例3で得られた蓄光顔料組成物の蓄光分光
反射率曲線を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星野 希宜 東京都西多摩郡日の出町平井8−1 日鉄 鉱業株式会社内 (72)発明者 中塚 勝人 宮城県仙台市太白区茂庭台四丁目3番5の 1403号 Fターム(参考) 2H034 FA01 4J037 CA19 EE03 FF02 4J038 KA08 KA15 NA22 4J039 BA10 BA12 BA16 BA18 BA30 BA31 BA32 BA39 BE01 EA27 GA13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体粒子上に複数の被覆膜を有しかつ該
    被覆膜の少なくとも1層に蓄光物質を有する蓄光性多層
    膜被覆粉体を含有することを特徴とする蓄光顔料組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記多層膜が光干渉作用を示すことを特
    徴とする請求項1記載の蓄光顔料組成物。
  3. 【請求項3】 前記多層膜が可視光域以外にも特異的な
    干渉反射ピークを発現することを特徴とする請求項1記
    載の偽造防止用蓄光顔料組成物。
  4. 【請求項4】 前記基体粒子が磁性粒子であることを特
    徴とする請求項1記載の蓄光顔料組成物。
  5. 【請求項5】 着色材が含有されていることを特徴とす
    る請求項1記載の蓄光顔料組成物。
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