JP4795338B2 - 注入装置 - Google Patents

Description

【開示の内容】
【０００１】
〔背景技術〕
本発明は、注射器を受容し、注射器を延出させ、注射器の内容物を排出し、そして注射器を自動的に引き戻すタイプの注入装置に関する。このような装置は、国際公開第９５／３５１２６号および欧州特許出願公開第Ａ‐０５１６４７３号に記載されており、駆動ばねと、注射器の内容物が排出されたと判断すると駆動ばねの影響から注射器を解放して、注射器が戻しばねによって格納されるある種の形態の解放機構を利用する傾向にある。
【０００２】
多くの場合、このような注入装置は、皮下注射針を覆って注射器の内容物を無菌状態に維持する密封カバーすなわち「ブーツ（boot）」を通常は備えている密封皮下注射器と協働しなければならない。当然、投与する時まで、注射器の内容物を無菌状態に維持する必要がある。つまり、使い捨て用に設計されている装置の場合、注入装置の内部の注射器からブーツを除去しなければならない。
【０００３】
一般に、ブーツを注射器から除去するためには、ブーツを注射器から引っ張って注射器から分離するか、またはブーツを捩じって注射器から分離する操作が必要である。充填された注射器が、使用する前に長時間経過していると、注射器からブーツを除去するのが困難な場合が多く、２０Ｎを超える力が必要になることもよくある。
【０００４】
リュウマチ様関節炎の患者、高齢の患者、または虚弱な患者が注入装置を使用する場合、使用前にブーツを注射器から除去するのが困難である。加えて、ブーツが小さく、どの使用者も把持しにくく、特に、関節の柔軟性が衰えた患者や、手先が不器用な患者にとっては深刻である。注射器のブーツは、ハウジングの内側に配置されるため、ブーツへのアクセスが制限されることもある。
【０００５】
〔発明の概要〕
本発明の注入装置は、このような問題に対処するように設計されている。
【０００６】
本発明に従った注入装置は、
排出ノズルを有する注射器および排出ノズルを覆うブーツを受容するように構成されたハウジングであって、第１の軸を画定し、第１の端部および第２の端部を有して、第１の端部にカム面をさらに備えており、排出ノズルは、出口開口（exit aperture）を介してハウジングの第１の端部から延出することができる、ハウジングと、
ハウジングのカム面と協働するカム面を有するハウジング密閉部材であって、このハウジング密閉部材の軸を中心とした回転により、ハウジング密閉部材が、ハウジングから軸方向に離れる、ハウジング密閉部材と、
を含み、
ハウジング密閉部材は、このハウジング密閉部材をハウジングから取り外すことにより、ブーツを注射器から除去できるように、注射器のブーツに結合するための手段、をさらに含む。
【０００７】
ハウジングのカム面およびハウジング密閉部材のカム面は、一致する曲面を含むことができる。
【０００８】
ハウジング密閉部材は、外部グリップ構造をさらに含むことができ、使用者が、この外部グリップ構造を用いてハウジング密閉部材を把持することができる。
【０００９】
ハウジング密閉部材およびハウジングの一方は、このハウジング密閉部材をハウジングに固定するために、密閉部材およびハウジングの他方の対応する凹部に協働するリッジをさらに含むことができる。
【００１０】
結合するための手段は、内径が所定の形状の打抜きグリップワッシャー（pressed grip washer with a profiled internal diameter）を含むことができる。使用の際、ブーツをグリップワッシャーの中心に挿入すると、所定の形状の内径（profiled internal diameter）がやや変形してブーツを覆う。具体的には、グリップワッシャーは、切頭円錐形（frustroconical shape）に曲がることができる。しかしながら、キャップを取り外す際に、グリップワッシャーは、ブーツ内に食い込み、ブーツがキャップから外れるのが防止される。
【００１１】
グリップワッシャーの内径は、城郭型（castellate）にすることができる。別法では、グリップワッシャーは、内側に歯の付いた星型ワッシャー（internally toothed star washer）または菊座金（shakeproof washer）を含むことができる。
【００１２】
結合するための手段は、金属から形成することができる。
【００１３】
結合するための手段は、ハウジング密閉部材に成形された凹部に保持することができる。
【００１４】
結合するための手段は、ハウジング密閉部材の内側に成形された中心ボス内に受容することができる。結合するための手段は、中心ボス内に成形された凹部によってハウジング密閉部材内の所定の位置に保持することができる。
【００１５】
別法では、結合するための手段は、ハウジング密閉部材の内側に成形された中心ボスの一部として、ハウジング密閉部材と同じ材料から成形することができる。
【００１６】
結合するための手段は、中空端部を有する中心ボスを含み、この中空端部のリップは、その前縁は傾斜しているが、後縁は傾斜していない。使用の際、ブーツがハウジング密閉部材内に挿入される時に、ブーツは、傾斜した縁の上を移動する。しかしながら、ハウジング密閉部材が取り外される際に、その後縁がブーツ内に食い込み、このブーツがハウジング密閉部材から外れるのが防止されている。
【００１７】
ハウジング密閉部材は、注射器のブーツの端部を支持するための支持面をさらに含むことができる。
【００１８】
〔詳細な説明〕
本発明は、添付の図面を参照して、一例として以下に説明する。
【００１９】
図１‐図５および図９は、本発明の第１の実施形態に従った注入装置１１０を示している。この注入装置は、注入装置ハウジング１１２を有する。
【００２０】
ハウジング１１２は、一端が皮下注射針１１８まで延び、レザバーを画定している注射器本体１１６を含む、従来のタイプの皮下注射器１１４を受容している。注射器１１４は、皮下注射針１１８を覆って注射器の内容物を無菌状態に維持する密封カバーすなわち「ブーツ（boot）」を有する。このようなブーツは、通常は、プラスチック材料の軟質ゴムから形成されている。例示されている注射器は、皮下注射型であるが、必ずしも皮下注射型にする必要はない。経皮すなわちバリスティック皮膚注射器（transcutaneous or ballistic dermal syringe）および皮下注射器を、本発明の注入装置と共に用いることもできる。
【００２１】
注入装置は、さらにハウジング密閉部材としてのキャップ１３０を備えている。図１〜図３、および図７に最も良く示されているように、このキャップは、ハウジング１１２のリッジ１１３と、キャップ１３０の内側の対応する凹部１３１によってハウジング１１２に保持される。
【００２２】
皮下注射針が延びるハウジング１１２の端部に近接して、キャップ１３０の湾曲カム面１５２に一致する湾曲カム面１５０が設けられている。
【００２３】
図７および図８から分かるように、キャップ１３０の内部に、城郭型グリップワッシャー（castellated grip washer）１６０が設けられている。このグリップワッシャー１６０は、図６に示されている。グリップワッシャー１６０は、キャップ１３０の内側に成形された対応する凹部１６２によってキャップ１３０内の所定の位置に保持されている。
【００２４】
キャップ１３０の外側に、一対のグリップ面１７０が設けられている。これらのグリップ面１７０は、使用者がキャップ１３０を把持する面となる。
【００２５】
図９から分かるように、キャップ１３０の内側に、ブーツ１２０の端部を支持する支持面１８０を設けることができる。
【００２６】
注入装置１１０の製造の際に、注射器１１４とブーツ１２０を一体物としてハウジング内に挿入する。ブーツ１２０が城郭型ワッシャー１６０の中心に押し込まれ、ハウジングのリッジ１１３がキャップ１３０の凹部１３１に係合するように、キャップをハウジングに嵌める。加えて、２つのカム面１５０が整合される。ブーツ１２０を城郭型ワッシャー１６０内に押し込むことにより、城郭部分が変形して、ワッシャーがやや切頭円錐形状となる。ワッシャー１６０を形成している金属を、ブーツ１２０を形成している軟質のプラスチックまたはゴム材料内に食い込ませる。この結果、ブーツ１２０が、極めて強く把持される。
【００２７】
注入装置１１０を使用する場合、使用者が、一方の手でハウジングを保持し、他方の手をグリップ面１７０に当ててキャップ１３０を把持する。次に、使用者は、キャップ１３０を回転させる。キャップ１３０が回転すると、２つのカム面１５０と１５２が互いに対して移動し、キャップ１３０が、ハウジング１１２から軸方向に離れる。この回転および軸方向の運動により、また、ブーツ１２０が捩じられて、注射器１１４から引き離される。ブーツ１２０を捩じって注射器１１４から除去するために必要な力が、ブーツ１２０を城郭型ワッシャー１５０の中心から引き抜くために必要な力よりも著しく小さいため、ブーツ１２０は、城郭型ワッシャー１６０によってキャップ１３０内に保持される。支持面１８０が、キャップ１３０内でのブーツ１２０の軸方向の整合を維持して、ブーツ１２０が所与の角度で注射器１１４から抜けるのを防止するのに役立っている。
【００２８】
本発明は、従来技術の装置の問題を単純かつ効果的に解決する方法を提供する。注射器またはブーツに変更を加える必要がないため、標準的な注射器を用いることができ、製造コストを軽減することができる。さらに、一旦、ブーツが城郭型ワッシャー内に挿入されると、ブーツを除去できないため、注射器およびブーツをハウジング内に配置することに伴う許容差はそれほど重要ではない。ワッシャーがブーツを十分に把持する限り、ブーツがワッシャー内に延びる程度は問題ではない。刺入深さ（insertion depth）、および注射器やブーツの正確な大きさにはばらつきがあるため、これは重要な利点である。
【００２９】
加えて、キャップとブーツを除去するために別個の２つのステップを必要としないため、装置を使用するために必要な操作ステップの数が最小限になる。
【００３０】
〔実施の態様〕
（１）注入装置において、
排出ノズルを有する注射器および前記排出ノズルを覆うブーツを受容するように構成されたハウジングであって、第１の軸を画定し、第１の端部および第２の端部を有して、前記第１の端部にカム面をさらに備えており、前記排出ノズルは、出口開口（exit aperture）を介して前記ハウジングの第１の端部から延出することができる、ハウジングと、
前記ハウジングのカム面と協働するカム面を有するハウジング密閉部材であって、このハウジング密閉部材の前記軸を中心とした回転により、前記ハウジング密閉部材が、前記ハウジングから軸方向に離れる、ハウジング密閉部材と、
を含み、
前記ハウジング密閉部材は、このハウジング密閉部材を前記ハウジングから取り外すことにより、前記ブーツを前記注射器から除去できるように、前記注射器の前記ブーツに結合するための手段、をさらに含む、
注入装置。
（２）実施態様（１）に記載の注入装置において、
前記ハウジングのカム面および前記ハウジング密閉部材のカム面は、一致する曲面を有する、注入装置。
（３）実施態様（１）または（２）に記載の注入装置において、
外部グリップ構造であって、使用者が、この外部グリップ構造を用いてハウジング密閉部材を把持することができる、外部クリップ構造、をさらに含む、注入装置。
（４）実施態様（１）〜（３）のいずれかに記載の注入装置において、
前記ハウジング密閉部材および前記ハウジングの一方は、前記ハウジング密閉部材を前記ハウジングに固定するために、前記密閉部材および前記ハウジングの他方の対応する凹部に協働するリッジをさらに含む、注入装置。
（５）実施態様（１）〜（４）のいずれかに記載の注入装置において、
前記結合するための手段は、内径が所定の形状の打抜きグリップワッシャー（pressed grip washer with a profiled internal diameter）を含む、注入装置。
【００３１】
（６）実施態様（５）に記載の注入装置において、
前記グリップワッシャーの内径は城郭型である、注入装置。
（７）実施態様（５）に記載の注入装置において、
前記グリップワッシャーは、内側に歯の付いた星型ワッシャー（internally toothed star washer）または菊座金（shakeproof washer）を含む、注入装置。
（８）実施態様（５）〜（７）のいずれかに記載の注入装置において、
前記注射器の前記ブーツが前記ハウジング密閉部材に結合されると、前記グリップワッシャーは、切頭円錐形（frustroconical shape）に曲がる、注入装置。
（９）実施態様（１）〜（８）のいずれかに記載の注入装置において、
前記結合するための手段は、金属から形成されている、注入装置。
（１０）実施態様（１）〜（９）のいずれかに記載の注入装置において、
前記結合するための手段は、前記ハウジング密閉部材に成形された凹部に保持されている、注入装置。
【００３２】
（１１）実施態様（１）〜（１０）のいずれかに記載の注入装置において、
前記結合するための手段は、前記ハウジング密閉部材の内側に成形された中心ボス内に受容されている、注入装置。
（１２）実施態様（１１）に記載の注入装置において、
前記結合するための手段は、前記中心ボス内に成形された凹部によって前記ハウジング密閉部材内の所定の位置に保持されている、注入装置。
（１３）実施態様（１）〜（４）のいずれかに記載の注入装置において、
前記結合するための手段は、前記ハウジング密閉部材の内側に成形された中心ボスの一部として、前記ハウジング密閉部材と同じ材料から成形されている、注入装置。
（１４）実施態様（１３）に記載の注入装置において、
前記結合するための手段は、中空端部を有する中心ボスを含み、前記中空端部のリップは、その前縁は傾斜しているが、後縁は傾斜していない、注入装置。
（１５）実施態様（１）〜（１４）のいずれかに記載の注入装置において、
注射器のブーツの端部を支持するための支持面をさらに含む、注入装置。
【００３３】
（１６）注入装置において、
添付の図面を参照して本明細書に実質的に記載し、これらの図面に示されている、注入装置。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】キャップが取り外されて、針が延出した位置にある本発明にしたがった注入装置の斜視図である。
【図２】図１の注入装置の平面図である。
【図３】図１の注入装置の側面図である。
【図４】キャップが所定の位置に配置された、図１〜図３の注入装置の斜視図である。
【図５】図４の注入装置の平面図である。
【図６】本発明の一実施形態にしたがった注入装置に用いるための城郭型グリップワッシャーの斜視図である。
【図７】本発明の一実施形態にしたがった注入装置に用いるためのキャップの斜視図である。
【図８】本発明の一実施形態にしたがった注入装置に用いる注射器の注射器ブーツに係合した図７のキャップの斜視図である。
【図９】本発明の一実施形態にしたがった注入装置の部分的な断面図である。

Claims (11)

1. 注入装置において、
   排出ノズルを有する注射器および前記排出ノズルを覆うブーツを受容するように構成されたハウジングであって、第１の軸を画定し、第１の端部および第２の端部を有して、前記第１の端部にカム面をさらに備えており、前記排出ノズルは、出口開口（exit aperture）を介して前記ハウジングの第１の端部から延出することができる、ハウジングと、
   前記ハウジングのカム面と協働するカム面を有するハウジング密閉部材であって、このハウジング密閉部材の前記軸を中心とした回転により、前記ハウジング密閉部材が、前記ハウジングから軸方向に離れる、ハウジング密閉部材と、
   を含み、
   前記ハウジング密閉部材は、このハウジング密閉部材を前記ハウジングから取り外すことにより、前記ブーツを前記注射器から除去できるように、前記注射器の前記ブーツに結合するための手段、をさらに含む、
   注入装置。
2. 請求項１に記載の注入装置において、
   前記ハウジングのカム面および前記ハウジング密閉部材のカム面は、一致する曲面を有する、注入装置。
3. 請求項１または２に記載の注入装置において、
   外部グリップ構造であって、使用者が、この外部グリップ構造を用いてハウジング密閉部材を把持することができる、外部クリップ構造、をさらに含む、注入装置。
4. 請求項１〜３のいずれかに記載の注入装置において、
   前記ハウジング密閉部材および前記ハウジングの一方は、前記ハウジング密閉部材を前記ハウジングに固定するために、前記密閉部材および前記ハウジングの他方の対応する凹部に協働するリッジをさらに含む、注入装置。
5. 請求項１〜４のいずれかに記載の注入装置において、
   前記結合するための手段は、内径が所定の形状の打抜きグリップワッシャー（pressed grip washer with a profiled internal diameter）を含む、注入装置。
6. 請求項５に記載の注入装置において、
   前記グリップワッシャーの内径は城郭型である、注入装置。
7. 請求項５に記載の注入装置において、
   前記グリップワッシャーは、内側に歯の付いた星型ワッシャー（internally toothed star washer）または菊座金（shakeproof washer）を含む、注入装置。
8. 請求項５〜７のいずれかに記載の注入装置において、
   前記注射器の前記ブーツが前記ハウジング密閉部材に結合されると、前記グリップワッシャーは、切頭円錐形（frustroconical shape）に曲がる、注入装置。
9. 請求項１〜８のいずれかに記載の注入装置において、
   前記結合するための手段は、金属から形成されている、注入装置。
10. 請求項１〜９のいずれかに記載の注入装置において、
    前記結合するための手段は、前記ハウジング密閉部材に成形された凹部に保持されている、注入装置。
11. 請求項１〜１０のいずれかに記載の注入装置において、
    注射器のブーツの端部を支持するための支持面をさらに含む、注入装置。

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