JP4749679B2 - 吸水性樹脂およびその製造方法 - Google Patents
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Description
上記の吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリロニトリル共重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の共重合架橋体、ポリエチレンオキサイド架橋体、ポリアリルアミン架橋体、ポリエチレンイミン架橋体などが知られている。
これらの諸特性間の関係は必ずしも正の相関関係を示さず、例えば、無加圧下の吸収特性の高いものほど加圧下の吸収特性は低下してしまう傾向があった。
吸水性樹脂の諸特性をバランス良く改良する方法として、吸水性樹脂の表面近傍を架橋する、いわゆる表面架橋処理技術が知られている。
表面架橋処理で用いられる架橋剤としては、多価アルコール類、多価グリシジルエーテル類、ハロエポキシ化合物類、多価アルデヒド類、多価アミン類、多価金属塩類などが知られ、これらの架橋剤を用いて吸水性樹脂の表面近傍を架橋させる方法としては、代表的な方法として、架橋剤を水と親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋処理剤と吸水性樹脂とを混合して加熱する方法(例えば、特許文献1〜3参照)、吸水性樹脂を水と親水性有機溶媒の混合溶媒中に分散させて架橋剤を加えて反応させる方法(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
ところが、表面架橋処理の際に親水性有機溶媒を用いないで水のみを溶媒として吸水性樹脂を製造した場合(例えば、特許文献5参照)、親水性有機溶媒を用いる場合に比べて吸水性樹脂の諸特性、特に吸収特性が低下してしまうという問題があった。
さらに、これまで、吸水性樹脂自体の製造条件や吸水性樹脂に対する後加工としての表面処理条件などが検討され、多くの吸水性樹脂が、その前記した吸水量、吸収速度、通液性、ゲル強度、吸引力などの諸物性に着目して設計ないし製造されてきたが、最近、おむつなど糞尿・血液吸収用途の実使用面を考えると、これらの諸物性を満足するだけでは希望する高いレベルの吸収性能を発揮できないこともあることが分かってきた。すなわち、糞尿・血液吸収用途の吸収性物品に使用する吸水性樹脂については、いまだ、最適な吸水性樹脂が設計ないし製造できていないという問題があった。
本発明の課題はまた、おむつなどの吸収性物品に最適な吸水性樹脂を提供することにある。
本発明は、表面架橋処理の際に、表面架橋剤と水とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合を低減させた表面架橋処理剤を用いて、優れた吸収特性を有する吸水性樹脂を製造するためには、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加する操作の終了時から加熱を行う操作の開始時までの中間工程に費やす時間を極めて短時間に設定することが重要であることの知見があって初めて完成されたものである。
すなわち、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法は、アクリル酸および/またはその塩を主成分(ただし、アクリル酸および/またはその塩以外の単量体は、主成分として用いるアクリル酸および/またはその塩の合計量に対して、0〜30モル%)とする単量体成分を水溶液重合または逆相懸濁重合して含水ゲル状重合体を得る工程(1)、得られた含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して、質量平均粒子径が300〜600μmで粒子径150μm未満の粉末の割合が0〜10重量%の吸水性樹脂粉末を得る工程(2)、得られた吸水性樹脂粉末に、表面架橋剤0.001〜10質量%と水0.5〜20質量%とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合が該処理剤に対し0〜10質量%である表面架橋処理剤を混合機中で添加する工程(3)、および、加熱機中で加熱することにより表面架橋処理を行う工程(4)、
を含み、前記表面架橋処理剤を添加する時の吸水性樹脂粉末の温度が40〜80℃の範囲内であり、前記工程(3)の終了時から工程(4)の開始時までの時間が0秒を超えて5分以内である、ことを特徴とする。
ただし、トータル吸収倍率および加圧下吸収効率は、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(25℃)を吸収させた1時間値に基づき下式で規定される。
トータル吸収倍率(g/g)=無加圧下吸収倍率(g/g)+単層加圧下吸収倍率(g/g)
加圧下吸収効率(%)=単層加圧下吸収倍率(g/g)×100/無加圧下吸収倍率(g/g)
そして、粒度分布の対数標準偏差は、吸水性樹脂を、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるいで篩分けし、残留百分率Rを対数確率紙にプロットした結果からR=84.1質量%の時の粒子径X 1 および、R=15.9質量%の時の粒子径X 2 を求め、これらの値を下記の式に導入することによって得られる。
σζ=0.5×In(X 2 /X 1 )
さらに、本発明にかかる吸収性物品は、上記本発明の吸水性樹脂を含む、紙おむつである。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法は、
酸基含有不飽和単量体を必須成分とする単量体成分を重合して含水ゲル状重合体を得る工程(1)、
得られた含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して吸水性樹脂粉末を得る工程(2)、
得られた吸水性樹脂粉末に、表面架橋剤と水とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合が当該処理剤に対して0〜10質量%である表面架橋処理剤を添加する工程(3)、および、
加熱することにより表面架橋処理を行う工程(4)、
を含む。
本発明における吸水性樹脂を構成する水膨潤性水不溶性の架橋重合体としては、ポリアクリル酸部分中和物重合体、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カルボキシル基含有架橋ポリビニルアルコール変性物、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等の1種または2種以上を挙げることができるが、好ましくは、アクリル酸および/またはその塩(中和物)を主成分とする単量体成分を重合・架橋することにより得られるポリアクリル酸部分中和物重合体である。
本発明においては、単量体成分としてアクリル酸および/またはその塩を主成分とすることが好ましい。
単量体成分としてアクリル酸および/またはその塩を主成分とする場合、その他の単量体を併用してもよい。併用できる単量体としては、併用によっても本発明の効果を発揮できるものであれば特に限定されないが、例えば、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソブチレン、ラウリル(メタ)アクリレート等の水溶性または疎水性不飽和単量体が挙げられる。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、含水ゲル状重合体は架橋構造を有する。かかる架橋構造は、架橋剤を使用しない自己架橋型のものであってもよいが、一分子中に2個以上の重合性不飽和基や2個以上の反応性基を有する架橋剤(吸水性樹脂の内部架橋剤)を共重合または反応させて得られた架橋構造がさらに好ましい。
これら内部架橋剤の使用量は、前記単量体成分(架橋剤を除く)に対して、好ましくは0.001〜2モル%、より好ましくは0.005〜0.5モル%、さらに好ましくは0.01〜0.2モル%、特に好ましくは0.03〜0.15モル%である。内部架橋剤の使用量が0.001モル%よりも少ない場合、あるいは、2モル%よりも多い場合には、本発明の効果が十分に発揮できないおそれがあり、得られる吸水性樹脂が十分な吸収特性を発揮できないおそれがあるので好ましくない。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法において、含水ゲル状重合体を得るために単量体成分を重合する方法としては、特に限定されず、例えば、水溶液重合、逆相懸濁重合、バルク重合、沈殿重合などが挙げられるが、性能面、重合の制御の容易さ、膨潤ゲルの吸収特性の観点などから、単量体成分を水溶液とすることによる水溶液重合や逆相懸濁重合を行うことが好ましい。
逆相懸濁重合とは、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させる重合法であり、例えば、米国特許4093776号、同4367323号、同4446261号、同4683274号、同5244735号などの米国特許に記載されている。水溶液重合とは分散溶媒を用いずに単量体水溶液を重合する方法であり、例えば、米国特許4625001号、同4873299号、同4286082号、同4973632号、同4985518号、同5124416号、同5250640号、同5264495号、同5145906号、同5380808号などの米国特許や、欧州特許0811636号、同0955086号,同0922717号などの欧州特許に記載されている。これら重合法に例示の単量体成分や開始剤などを本発明に適用することもできる。
以上のように、酸基含有不飽和単量体を必須成分とする単量体成分を重合する工程により、含水ゲル状重合体が得られる。
本発明で好ましくは、乾燥は、粒子状の含水ゲル状重合体(例えば、質量平均粒子径が2cm以下、好ましくは1cm以下、より好ましくは5mm以下)に対して行われる。本発明において含水ゲル状重合体を粒子状とする為の細分化方法としては、ニーダーなどを用いて重合と同時に細分化を行ってもよいし、また、重合後に別途細分化してもよいし、重合時の細分化と重合後の細分化を併用してもよい。なお、含水ゲル状重合体が粒子状で乾燥されない場合、例えば、フィルム状などでは、物性が劣り粒度が好ましい範囲でなくなる場合がある。
細分化に適した装置としては、例えば、ニーダー、カッター刃を備えた縦切り型スリッター、カッター刃を備えた横切り型スリッター、回転刃を備えたカッター型の粉砕機、所定の孔径のミートチョパーなどが例示できる。
本発明で用いることができる乾燥方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風乾燥、ドラムドライヤー等を用いた薄膜乾燥、減圧乾燥法、攪拌乾燥、流動床乾燥などの乾燥方法の1種または2種以上を用いることができるし、乾燥の連続または回分は特に問わない。物性面や乾燥効率面からは、本発明においては、熱風乾燥、特に連続の熱風乾燥が好ましく用いられ、そのためには、例えば、ベルト上で静置乾燥するのがよい。
本発明において、含水ゲル重合体は、上記のように乾燥され、さらに粉砕もされる。粉砕は、乾燥の前でもよいし同時でもよいし後でもよいが、好ましくは乾燥の後に粉砕する。より好ましくは、粉砕されてさらに分級される。
本発明において、乾燥と粉砕、さらに必要により分級は、連続工程でなされることが好ましく、乾燥機出口から粉砕機入口までの時間は10分以内が好ましく、より好ましくは5分以内、さらに好ましくは2分以内である。
本発明においては、上記の粉砕の後、さらに必要により、好ましくは分級され、粗大粒子や微粉末が除去される。こうして得られる吸水性樹脂粉末の質量平均粒子径は目的に応じて決定されるが、本発明の効果を十分に発揮させるために、吸水性樹脂粉末は、その質量平均粒子径が、好ましくは300〜600μmの範囲、より好ましくは300〜550μmの範囲、特に好ましくは380〜550μmの範囲である。また、粒子径150μm未満の粉末の割合が、当該吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは0〜10質量%であり、より好ましくは0〜8質量%、さらに好ましくは0〜5質量%、特に好ましくは0〜3質量%である。また、粒子径150μm未満ないし850μm以上の粒子の合計が、当該吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは0〜15質量%、より好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。
吸水性樹脂粉末の嵩比重は、モノマー組成によって一義的に決まる真比重(g/cm3)で種々変化するが、例えば、吸水性樹脂がポリアクリル酸ナトリウム、特に、中和率50〜90モル%のポリアクリル酸ナトリウム、さらには中和率60〜80モル%のポリアクリル酸ナトリウムの場合は、その嵩比重が通常0.63g/ml以上であることが好ましく、特に0.65g/ml以上とすることが好ましい。なお、嵩比重はJIS K−3362の装置で測定すればよい。本発明においては、粉砕後の吸水性樹脂粉末は鱗片も少なく、より丸みを帯びて均一な形状となるので、嵩比重は高くなり易く、嵩比重は好ましくは0.65〜0.89g/ml、より好ましくは0.67〜0.88g/ml、さらに好ましくは0.73〜0.87g/ml、さらに好ましくは0.74〜0.86g/ml、さらに好ましくは0.75〜0.85g/mlに調整される。粉砕後の吸水性樹脂粉末の嵩比重が上記範囲を外れると、本発明の効果が十分に発揮されないおそれがある。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、得られた吸水性樹脂粉末に、表面架橋剤と水とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合が当該処理剤に対して0〜10質量%である表面架橋処理剤を添加する工程(3)、加熱することにより表面架橋処理を行う工程(4)を含む。
本発明で用いることができる表面架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、米国特許6228930号、同6071976号、同6254990号などに例示されている表面架橋剤を用いることができる。例えば、モノ,ジ,トリ,テトラまたはポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノールなどの多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルやグリシドールなどのエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン等の多価アミン化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;上記多価アミン化合物と上記ハロエポキシ化合物との縮合物;2−オキサゾリジノンなどのオキサゾリジノン化合物;環状尿素化合物;エチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネート化合物等が挙げられ、これらの1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明の効果を十分に発揮するためには、これらの表面架橋剤の中で多価アルコール化合物を必須に用いることが好ましい。多価アルコール化合物としては、炭素数2〜10のものが好ましく、炭素数3〜8のものがより好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法において用いられる表面架橋処理剤は、前記表面架橋剤と水とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合が当該処理剤に対して0〜10質量%である表面架橋処理剤である。
本発明において表面架橋処理剤に含まれる水の量は、使用する吸水性樹脂粉末の含水率にもよるが、吸水性樹脂粉末に対して0.5〜20質量%の範囲内が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは0.5〜7質量%、最も好ましくは0.5〜4質量%の範囲内である。
ここで、親水性有機溶媒としては、吸水性樹脂が有する酸基、好ましくはカルボキシル基と架橋反応を起こさない有機化合物(通常、官能基が0または1個)であればよく、具体的には、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、アルコキシ(ポリ)エチレングリコール、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ε−カプロラクタム等のアミド類;ジメチルスルホキサイド等のスルホキサイド類;などが挙げられる。
なお、架橋剤が有機化合物である場合の架橋剤と親水性有機溶媒との区別はつぎのとおりである。通常、ある選択した反応条件で吸水性樹脂と実質的に架橋反応を起こさない化合物(吸水性樹脂の物性を実質的に変化させることのない化合物)は親水性有機溶媒に分類し、他方、例えば、吸水性樹脂と有機化合物ないし有機化合物水溶液を混合して加熱を行うことにより架橋反応が進行する場合における前記有機化合物はこれを架橋剤と定義する。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法において、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加する方法は、特に限定されないが、例えば、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を滴下混合する方法や噴霧する方法が挙げられる。
吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加する際には、効果的に添加するために混合装置を使用することが好ましい。用いることができる混合装置としては、特に限定されないが、吸水性樹脂粉末と表面架橋処理剤を均一かつ確実に混合するために、大きな混合力を備えていることが好ましい。混合装置としては、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型炉ロータリーデスク型混合機、気流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機などが挙げられ、混合の際の速度は、高速、低速を問わない。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法においては、表面架橋処理剤を添加する時の表面架橋処理剤の温度は、特に限定されないが、実質的に、添加される吸水性樹脂粉末の温度を超えない温度であることが、本発明の効果を十分に発揮するために好ましい。
加熱の温度(材料温度ないし熱媒温度)は、好ましくは60〜260℃の範囲内、より好ましくは80〜240℃の範囲内、さらに好ましくは100〜220℃の範囲内、特に好ましくは120〜200℃の範囲内であり、加熱時間は、1分〜120分の範囲内が好ましく、より好ましくは10分〜100分の範囲内、さらに好ましくは20分〜90分の範囲内、特に好ましくは30〜60分の範囲内である。加熱温度と加熱時間の組み合わせの好適例としては、例えば、180℃で1分〜90分、200℃で1分〜60分である。
また、吸水性樹脂を連続生産する場合において、各工程間は搬送機が使用されて連結されているが、吸水性樹脂の製造スケールが年間数万トン〜数十万トンと大きくなるにつれて、上記貯蔵以外にも、各工程間の搬送距離(搬送時間)が一定以上必要となり、各工程間には、10分前後〜数10分、場合により数時間の中間工程(搬送や貯蔵)が存在することが実情であった。
本発明を達成するための製造設備上の手段としては、例えば、表面架橋処理剤を添加して混合する装置の下に、反応機(加熱機)を設置した設備レイアウトが挙げられる。つまり、吸水性樹脂粉末に表面架橋処理剤を添加する工程(3)の実施装置から、表面架橋処理剤が混合された吸水性樹脂が排出されて自由落下し、表面処理反応機(加熱機)へ投入される。これにより、工程(3)の終了時点から工程(4)の開始時点までの時間が短縮されるのである。
すなわち、アクリル酸および/またはその塩(中和物)を主成分とする単量体成分を重合・架橋することにより得られる吸水性樹脂であって、質量平均粒子径が300〜600μmであり、粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂に対して0〜10質量%であり、かつトータル吸収倍率が70(g/g)以上、加圧下吸収効率が70%以上である、ことを特徴とする、本発明の吸水性樹脂を与えるのである。
上記本発明の吸水性樹脂が新規である事実は、数多くの市販品(吸水性樹脂やおむつ)の世界的範囲での現状分析に加え、これまで提案されてきた多くの技術を対比評価することで確認されている。
トータル吸収倍率(g/g)=無加圧下吸収倍率(g/g)+単層加圧下吸収倍率(g/g)
加圧下吸収効率(%)=単層加圧下吸収倍率(g/g)×100/無加圧下吸収倍率(g/g)
本発明にかかる新規な吸水性樹脂は、前記の粒子径、トータル吸収倍率、加圧下吸収効率を有する吸水性樹脂であるが、好ましくは、表面架橋されているものであり、また、後述する粒子径要素(質量平均粒子径、粒子径150μm未満の粉末の割合、粒度分布)、無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、トータル吸収倍率、加圧下吸収効率を有しているものである。本発明にかかる新規な吸水性樹脂は、消臭剤、無機粉末などの添加剤と併用されることが好ましい。
以下、本発明の製造方法で得られる吸水性樹脂、ないし、本発明の新規な吸水性樹脂についてさらに説明する。
かかる粒度としては、好ましくは、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、より好ましくは、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上である。また、300μm以上の粒子がより好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは75質量%以上とされる。
本発明における吸水性樹脂の質量平均粒子径は、好ましくは200〜700μm、さらに好ましくは300〜600μm、特に好ましくは380〜550μm、最も好ましくは400〜500μmである。吸水性樹脂の質量平均粒子径は必要により造粒などで調整してもよい。
本発明における吸水性樹脂はまた、以下のようにして求められる粒度分布の対数標準偏差(σζ;値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する)が0.25〜0.50の範囲であることが好ましく、0.27〜0.48の範囲であることがより好ましく、0.30〜0.45の範囲であることがさらに好ましい。
粒度分布の対数標準偏差;吸水性樹脂を、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるいで篩分けし、残留百分率Rを対数確率紙にプロットした結果からR=84.1質量%の時の粒子径X1および、R=15.9質量%の時の粒子径X2を求め、これらの値を下記の式に導入することによって得られる値である。
σζが0.50を超えていることは、粉体の粒度分布が広いことを意味し、粉体の取り扱いにおいて、偏析、粉体供給量の誤差などの原因となるため、おむつなどの実使用であまり好ましくない。他方、σζが0.25未満であることは、粒度分布が狭いことを意味し、粉体の取り扱いにおいては好ましいが、粒度調整のために粗大粒子や微粉のリサイクル量が増え、単位時間当たりの生産量が低下する原因となるため、あまり好ましくない。
本発明における吸水性樹脂は、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に対する無加圧下吸収倍率が好ましくは33g/g以上、より好ましくは35g/g以上、さらに好ましくは38g/g以上、特に好ましくは40g/g以上、最も好ましくは45g/g以上である。0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に対する無加圧下吸収倍率が33g/gよりも小さいと、本発明の効果が十分に発揮できないおそれがあり、例えば、オムツに使用した場合に、吸収量が低く、実使用での漏れが多くなる。なお、無加圧下吸収倍率が80g/gを超えるようにすることは、内部架橋剤や表面架橋剤の使用量を少なくすることにつながり、本発明の効果が十分に発揮されなくなる惧れがあるので、あまり好ましくない。
本発明の吸水性樹脂の含水率や水可溶成分量は前述の範囲であり、残存モノマー量は通常0〜1000質量ppm、好ましくは0〜500質量ppm、より好ましくは0〜400質量ppmである。
本発明における吸水性樹脂には、さらに、必要に応じて、消臭剤、抗菌剤、香料、各種の無機粉末、発泡剤、顔料、染料、親水性短繊維、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、還元剤、キレート剤、酸化防止剤、水、水溶性高分子、バインダー、塩類等の添加剤を添加して、種々の機能を付与してもよい。
ただし、逆相懸濁重合では、得られた吸水性樹脂の形状が球状ないしその凝集物であるため、パルプとの混合や固定(ひっかかり)が不十分となる場合が多く、特に近年はやりの高濃度吸水性樹脂のおむつに適さないため、本発明の吸水性樹脂の形状は好ましくは不定形破砕状(すなわち粉砕粉末)である。
本発明の製造方法で得られた吸水性樹脂や本発明の新規な吸水性樹脂は、衛生材料用、土木・建築用、廃液固化用、農業・植物用、食品用など、吸水性樹脂の各種用途に使用可能である。
おむつの中の吸水性樹脂など、市販の吸水性樹脂が流通過程で吸湿している場合は、乾燥(例えば、60℃での減圧乾燥で16時間)して平衡含水状態(その量は、例えば、5質量%前後)とした後に物性を測定すればよい。
以下、詳細なデータは省略するが、本発明で得られた吸水性樹脂は、実質水不溶性であり、含水率がいずれも7質量%以下(固形分93%以上)、残存モノマー量が400質量ppm以下であった。
(a)無加圧下吸収倍率
吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋(60mm×80mm)に均一に入れ、25℃に調温した0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。60分後に袋を引き上げ、遠心分離機を用いて250Gで3分間水切りを行った後、袋の質量W2(g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂を用いないで行い、そのときの質量W1(g)を測定した。そして、これら質量W1、W2から、次式、
無加圧下吸収倍率(g/g)=((質量W2(g)−質量W1(g))/吸水性樹脂の質量(g))−1
に従って、無加圧下吸収倍率(g/g)を算出した。
400メッシュのステンレス製金網(目の大きさ38μm)を円筒断面の一辺(底)に溶着させた内径60mmのプラスチック製支持円筒の底の金網上に、吸水性樹脂0.20gを均一に散布し、その上に外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒の内壁面との間に隙間が生じずかつ上下の動きは妨げられないピストン(cover plate)を載置し、支持円筒と吸水性樹脂とピストンの質量W3(g)を測定した。このピストン上に、吸水性樹脂に対して、ピストンを含め20g/cm2(1.96kPa)の荷重を均一に加えることができるように調整された荷重を載置し、測定装置一式を完成させた。直径150mmのペトリ皿の内側に直径90mmのガラスフィルターを置き、25℃の0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)をガラスフィルターの上部面と同レベルになるように加えた。その上に直径9cmの濾紙(トーヨー濾紙(株)No.2)を載せ表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
これら質量W3、W4から、次式、
単層加圧下吸収倍率(g/g)=(質量W4(g)−質量W3(g))/吸水性樹脂の質量(g)
に従って単層加圧下吸収倍率(g/g)を算出した。
吸水性樹脂を目開き850μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μmなどのJIS標準ふるいで篩分けし、残留百分率を対数確率紙にプロットした。これにより、質量平均粒子径(D50)を読み取った。
篩分けは、吸水性樹脂粉末ないし吸水性樹脂10.00gを目開き850μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μmなどのJIS標準ふるい(The IIDA TESTING SIEVE:内径80mm)に仕込み、ロータップ型ふるい振盪機((株)飯田製作所製ES−65型ふるい振盪機)により10分間分級した。なお、質量平均粒子径(D50)とは、米国特許5051259号公報などにあるように一定目開きの標準ふるいで粒子全体の50質量%に対応する標準ふるいの粒子径のことであり、本実施例では、目開き850μm、600μm、300μm、150μmのJIS標準ふるいを用いて計算した。
吸水性樹脂の無加圧下吸収倍率と単層加圧下吸収倍率を(a)および(b)記載の方法で測定し、次式に従って加圧下吸収効率(%)を算出した。
加圧下吸収効率(%)=単層加圧下吸収倍率(g/g)×100/無加圧下吸収倍率(g/g)
(e)トータル吸収倍率
吸水性樹脂の無加圧下吸収倍率と単層加圧下吸収倍率を(a)および(b)記載の方法で測定し、次式に従ってトータル吸収倍率(g/g)を算出した。
(f)吸収性物品の評価(戻り量テスト)
後述する実施例および比較例で得られた吸収性物品を用い、吸収性物品全体に荷重1.96kPaをかけ室温で放置した。吸収性物品の中心部から直径70mm、高さ100mmの円筒より、37℃に調整した0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)を75gを入れた。荷重をかけたまま1時間放置後、同様の操作を行い、4回目の生理食塩水(生理食塩水を入れた総量300g)を入れた後、30分後、吸収性物品から荷重を外して、ペーパータオル(製造元:王子製紙株式会社、キッチンタオル エキストラドライ、120mm×450mmに裁断して30枚重ねたもの)を吸収性物品にのせ、その上に、37g/cm2(3.63kPa)の荷重を1分間かけ、ペーパータオルに戻る液量を測定した。
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度38質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)2.1gを溶解し反応液とした。次に、この反応液から溶存酸素を窒素ガス雰囲気下で30分間除去した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46gおよびL−アスコルビン酸0.10gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、170℃で50分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(1)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(1)の無加圧下吸収倍率は57(g/g)、質量平均粒子径は425μm、粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂粉末に対して2質量%であった。
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度36質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)2.2gを溶解し反応液とした。次に、この反応液から溶存酸素を窒素ガス雰囲気下で30分間除去した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46gおよびL−アスコルビン酸0.10gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、170℃で50分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(2)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(2)の無加圧下吸収倍率は56(g/g)、質量平均粒子径は370μm、粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂粉末に対して5質量%であった。
粉末温度60℃の製造例1で得られた吸水性樹脂粉末(1)100質量部に、プロピレングリコール0.4質量部、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02質量部、1,4−ブタンジオール0.25質量部、水2.5質量部からなる表面架橋処理剤をレディゲミキサーで混合して2分後に、195℃に調温した加熱処理装置に上記の混合物を入れ、45分間加熱処理することにより吸水性樹脂(1)を得た。
得られた吸水性樹脂(1)の無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、加圧下吸収効率、トータル吸収倍率、粒度分布、質量平均粒子径を表1に示した。
粉末温度60℃の製造例2で得られた吸水性樹脂粉末(2)100質量部に、プロピレングリコール0.4質量部、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02質量部、1,4−ブタンジオール0.25質量部、水2.5質量部からなる表面架橋処理剤をレディゲミキサーで混合して1分後に、195℃に調温した加熱処理装置に上記の混合物を入れ、45分間加熱処理することにより吸水性樹脂(2)を得た。
得られた吸水性樹脂(2)の無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、加圧下吸収効率、トータル吸収倍率、粒度分布、質量平均粒子径を表1に示した。
粉末温度60℃の製造例1で得られた吸水性樹脂粉末(1)100質量部に、プロピレングリコール0.4質量部、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02質量部、1,4−ブタンジオール0.25質量部、水2.5質量部からなる表面架橋処理剤をレディゲミキサーで混合して1時間後に、195℃に調温した加熱処理装置に上記の混合物を入れ、55分間加熱処理することにより比較用吸水性樹脂(1)を得た。
得られた比較用吸水性樹脂(1)の無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、加圧下吸収効率、トータル吸収倍率、粒度分布、質量平均粒子径を表1に示した。
粉末温度60℃の製造例2で得られた吸水性樹脂粉末(2)100質量部に、プロピレングリコール0.4質量部、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02質量部、1,4−ブタンジオール0.25質量部、水2.5質量部からなる表面架橋処理剤をレディゲミキサーで混合して10分後に、195℃に調温した加熱処理装置に上記の混合物を入れ、55分間加熱処理することにより比較用吸水性樹脂(2)を得た。
得られた比較用吸水性樹脂(2)の無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、加圧下吸収効率、トータル吸収倍率、粒度分布、質量平均粒子径を表1に示した。
粉末温度60℃の製造例2で得られた吸水性樹脂粉末(2)100質量部に、プロピレングリコール0.4質量部、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02質量部、1,4−ブタンジオール0.25質量部、水2.5質量部からなる表面架橋処理剤をレディゲミキサーで混合して20分後に、195℃に調温した加熱処理装置に上記の混合物を入れ、55分間加熱処理することにより比較用吸水性樹脂(3)を得た。
得られた比較用吸水性樹脂(3)の無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、加圧下吸収効率、トータル吸収倍率、粒度分布、質量平均粒子径を表1に示した。
実施例1で得られた吸水性樹脂(1)50質量部と、木材粉砕パルプ50質量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×400mmの大きさのウェブに成形した。さらに、このウェブを圧力196.14kPaで5秒間プレスすることにより、坪量が約0.05g/cm2の吸収体を得た。
続いて、液不透過性のポリプロピレンからなる、いわゆる背面シート(液不透過性シート)、上記吸収体、および、液透過性のポリプロピレンからなる不織布の表面シート(液透過性シート)を、両面テープを用いてこの順に互いに貼着することにより、衛生吸収性物品(つまり、紙オムツ)(1)を得た、この吸収性物品(1)の質量は45gであった。
[実施例4]
実施例3において、吸水性樹脂(1)を実施例2で得られた吸水性樹脂(2)に変更すること以外は実施例3と同様に行い、吸収性物品(2)を得た。
得られた吸収性物品(2)の戻り量テストを行なった。結果を表2にまとめた。
[比較例4〜6]
実施例3において、吸水性樹脂(1)を、比較例1、2、3で得られた比較用吸水性樹脂(1)、(2)、(3)に変更すること以外は実施例3と同様に行い、比較用吸収性物品(1)、(2)、(3)を得た。
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度38質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)2.5gを溶解し反応液とした。次に、この反応液から溶存酸素を、製造例1と同様にして除去したのち、製造例1と同一の反応器に供給し、反応液温度を30℃に保ちながら、系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を攪拌しながら、過硫酸ナトリウム2.98gおよびL一アスコルビン酸0.015gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、25〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約1〜5mmの粒子に細分化されていた。この含水ゲル状重合体を製造例1と同様にして乾燥した。次いで、乾燥物をロールミルを用いて粉砕し、目開き850μmの金網で分級し、該分級物から微粉を取り除くために目開き150μmの金網でさらに分級することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(3)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(3)の無加圧下吸収倍率は55g/g、質量平均粒子径は約420μm、粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂粉末に対して0.8質量%であった。
得られた吸水性樹脂(3)の無加圧下吸収倍率、単層加圧下吸収倍率、加圧下吸収効率およびトータル吸収倍率と、目開き850μm、600μm、300μm、150μmのJIS標準ふるいで篩分けして求めた質量平均粒子径(D50)を表3に示した。また、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるいで篩分けして求めた粒度分布の対数標準偏差(σζ)を表4に示した。
実施例3において、吸水性樹脂(1)を実施例5で得られた吸水性樹脂(3)に変更すること以外は実施例3と同様に行い、吸収性物品(3)を得た。
得られた吸収性物品(3)の戻り量テストを実施例3と同様にして行ったところ、戻り量は8gであった。
[実施例7]
実施例5で得られた吸水性樹脂(3)35質量部と、木材粉砕パルプ65質量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、実施例3と同様の装置を用いて120mm×400mmの大きさのウェブに成形した。さらに、このウェブを実施例3と同様の条件でプレスすることにより、坪量が約0.04g/cm2の吸収体を得た。
得られた吸収性物品(4)の戻り量テストを実施例3と同様にして行ったところ、戻り量は25gであった。
[比較例7]
実施例7において、吸水性樹脂(3)を、比較例1で得られた比較用吸水性樹脂(1)に変更すること以外は実施例7と同様に行い、比較用吸収性物品(4)を得た。
得られた比較用吸収性物品(4)の戻り量テストを実施例3と同様にして行ったところ、戻り量は39gであった。
Claims (12)
- アクリル酸および/またはその塩を主成分(ただし、アクリル酸および/またはその塩以外の単量体は、主成分として用いるアクリル酸および/またはその塩の合計量に対して、0〜30モル%)とする単量体成分を水溶液重合または逆相懸濁重合して含水ゲル状重合体を得る工程(1)、
得られた含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して、質量平均粒子径が300〜600μmで粒子径150μm未満の粉末の割合が0〜10重量%の吸水性樹脂粉末を得る工程(2)、
得られた吸水性樹脂粉末に、表面架橋剤0.001〜10質量%と水0.5〜20質量%とを必須成分とする表面架橋処理剤であって当該処理剤中の親水性有機溶媒の含有割合が該処理剤に対し0〜10質量%である表面架橋処理剤を混合機中で添加する工程(3)、および、
加熱機中で加熱することにより表面架橋処理を行う工程(4)、
を含み、
前記表面架橋処理剤を添加する時の吸水性樹脂粉末の温度が40〜80℃の範囲内であり、
前記工程(3)の終了時から工程(4)の開始時までの時間が0秒を超えて5分以内である、
ことを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法。 - 上記吸水性樹脂粉末が、中和率50〜90モル%のポリアクリル酸ナトリウムである、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 加熱温度が80〜240℃で、加熱時間は1分〜120分である、請求項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 前記吸水性樹脂粉末の無加圧下吸収倍率が40g/g以上である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 表面架橋剤が多価アルコール化合物を必須に含み、表面架橋処理剤中の水の量が吸水性樹脂に対して0.5〜20重量%である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- アクリル酸および/またはその塩を主成分(ただし、アクリル酸および/またはその塩以外の単量体は、主成分として用いるアクリル酸および/またはその塩の合計量に対して、0〜30モル%)とする単量体成分を重合・架橋することにより得られる吸水性樹脂であって、質量平均粒子径が300〜600μmであり、粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂に対して0〜10質量%であり、かつ、トータル吸収倍率が70(g/g)以上140(g/g)以下、加圧下吸収効率が70%以上、無加圧下吸収倍率が33g/g以上80g/g以下、吸収性樹脂の粒度分布の対数標準偏差σζが0.25〜0.50の範囲である、ことを特徴とする、吸水性樹脂。
ただし、トータル吸収倍率および加圧下吸収効率は、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(25℃)を吸収させた1時間値に基づき下式で規定される。
トータル吸収倍率(g/g)=無加圧下吸収倍率(g/g)+単層加圧下吸収倍率(g/g)
加圧下吸収効率(%)=単層加圧下吸収倍率(g/g)×100/無加圧下吸収倍率(g/g)
そして、粒度分布の対数標準偏差は、吸水性樹脂を、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるいで篩分けし、残留百分率Rを対数確率紙にプロットした結果からR=84.1質量%の時の粒子径X1および、R=15.9質量%の時の粒子径X2を求め、これらの値を下記の式に導入することによって得られる。
σζ=0.5×In(X2/X1) - 上記吸水性樹脂粉末が、中和率50〜90モル%のポリアクリル酸ナトリウムである、請求項6に記載の吸水性樹脂。
- 粒子径150μm未満の粉末の割合が当該吸水性樹脂に対して0〜3質量%である、請求項6または7に記載の吸水性樹脂。
- 質量平均粒子径が380〜550μmである、請求項6から8までのいずれか1項に記載の吸水性樹脂。
- 粒子形状が不定形破砕状である、請求項6から9までのいずれか1項に記載の吸水性樹脂。
- 吸水性樹脂の粒度が850μm未満で150μm以上の粒子の割合が全体の90重量%以上でかつ300μm以上の粒子が全体の60重量%以上である、請求項6から10までのいずれか1項に記載の吸水性樹脂。
- 請求項6から11までのいずれか1項に記載の吸水性樹脂を含む、紙おむつ。
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