JP4524858B2 - ラミネート用ポリエステルフィルム、ラミネート金属板および金属容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、清涼飲料、ビールなどの飲料や食品の缶詰用の金属板にラミネートするためのポリエステルフィルム、前記ポリエステルフィルムをラミネートした金属板、および前記フィルムラミネート金属板を成形した金属容器に関するものであり、特に2ピース缶の外壁面に好適に用いられるポリエステルフィルム、前記ポリエステルフィルムをラミネートした金属板、および前記フィルムラミネート金属板を成形した金属容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属缶の内壁面および外壁面の腐食防止方法として、熱可塑性樹脂フィルムをラミネートする方法がある。例えば特開平7-227946号公報に食品の缶詰用の金属板にラミネートするためのポリエステルフィルムが開示されている。
このポリエステルフィルムは、例えば、金属板を円筒成形し、この円筒の上下開口部分に蓋体を巻締め加工するという製罐工程においても、フィルム表面にスクラッチ傷が発生せず、また製缶後に食品を充填し、レトルト処理などの加熱処理を行ってもオリゴマーの溶出量が少ないので、金属容器の内外壁面にラミネートするのに適している。
【0003】
ところで、清涼飲料水用缶には、金属板を円筒成形してなる金属円筒の上下開口部に蓋体を取り付けてなる、いわゆる3ピース缶の他に、金属板を深絞り成形して容器部を形成し、この容器部の上面開口部に蓋体を巻締め加工してなる、いわゆる2ピース缶がある。
【0004】
しかし、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルフィルムを2ピース缶に適用すると、絞りしごき加工時の成形加工性および金属板に対するフィルムの密着性が不十分であり、デラミネート現象が起こったり、破れたりする場合がある。この傾向は、フィルムが配向状態にある2軸延伸フィルムにおいて、より顕著に現れる。
【0005】
したがって、2ピース缶に適用するためには、金属板の成形に追随して成形されるという良好な成形性を有し、金属板に対する密着性が優れている必要がある。成形性が不充分であったり、金属板に対するフィルムの密着性が不充分な場合には、フィルムが金属板から剥がれるという、いわゆるデラミネート現象が起こったり、2ピース缶の容器部の作製時にフィルムが破れてしまったりするからである。
【0006】
このためフィルムラミネート金属板をピース缶に適用する場合には、ラミネート後、ポリエステルフィルムの配向を除去するために、フィルムを構成するポリエステルの融点以上で加熱した後、急冷するというリメルト処理が行われることがある。リメルト処理後のX線観察による配向度は、10%以下で、実質的に無配向と言える。しかし、無配向フィルムは、一般に2軸延伸フィルムと比べて強度が低く、オリゴマーが析出し易くなったり、白化が起こり易くなる。
【0007】
さらに、外壁面にラミネートされるフィルムについては、絞りしごき加工を経て製缶後に行われるレトルト処理や印刷などの加熱処理によっても、オリゴマーの析出や白化が起こることがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、2ピース缶用のラミネートフィルムにも適用できるように、金属板との密着性および成形加工性に優れ、リメルト処理や金属容器の製造後の加熱処理によってもオリゴマーの析出や白化が起こらず、しかも強度的にも満足できるポリエステル積層フィルム、積層フィルムラミネート金属板および金属容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の昇温時の融解ピーク温度を有し、かつ特定の結晶化指数を有するポリエステルフィルムにより、上記目的が達成することができることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
本発明は、以下の通りである。
▲1▼ 昇温時の融解ピーク温度が190〜250℃の温度範囲に2つ以上あり、結晶化指数が0.30〜0.70のポリエステルからなることを特徴とするラミネート用ポリエステルフィルム。
▲2▼ 前記1記載のポリエステルフィルムにおいて、昇温時の融解ピーク温度が200〜260℃で、結晶化指数が0.30〜0.70のポリエステルをA層、昇温時の融解ピーク温度が180〜240℃で、結晶化指数が0.30〜0.70のポリエステルをB層として積層し、かつA層におけるポリエステルとB層におけるポリエステルとの融解ピーク温度差が5〜25℃であることを特徴とするラミネート用ポリエステルフィルム。
▲3▼ 前記1または2に記載のポリエステルフィルムにおいて2軸延伸ポリエステルフィルムであることを特徴とするラミネート用ポリエステルフィルム。
▲4▼ 前記1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルムを金属板の少なくとも片面にラミネートしてなる積層フィルムラミネート金属板。
▲5▼ 前記4に記載のフィルムラミネート金属板を成形してなる金属容器。
▲6▼ ポリエステルフィルムが、実質的に非晶・無配向となるように熱処理してなる前記4に記載のフィルムラミネート金属板。
▲7▼ ポリエステルフィルムが、実質的に非晶・無配向となるように熱処理してなる前記5に記載の金属容器。
▲8▼ 深絞り缶である前記5または7に記載の金属容器。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルフィルムは、以下に示すような、特定のポリエステル層で構成されているフィルムである。
本発明のポリエステルフィルムは昇温時の融解ピークが190〜250℃の温度範囲に2つ以上あり、結晶化指数が0.30〜0.70のポリエステルであることを特徴とするポリエステルフィルムである。昇温時の融解ピーク温度が190〜250℃とあるのは、金属板とのラミネート工程や、ラミネート工程後に行われるリメルト処理、さらに金属容器の製造後の加熱処理によってもポリエステルが溶融しないためである。さらに、融解ピークが2つ以上ありことにより上記製缶工程での白化が抑えられる。また、結晶化指数が0.30〜0.70とあるのは、加熱後急冷処理されたときに、白化や白化斑の原因となる粗大結晶が析出しないようにするためである。
【0012】
すなわち、一般的なポリエチレンテレフタレートの結晶化指数よりも小さい、つまり0.30未満であると、ラミネート後、実質的に無配向化するために行う溶融急冷の際に、結晶化する速度が遅く、粗大結晶ができやすい。したがって、レトルト処理工程時、粗大結晶生成に伴う白化や白化斑の生成を防止することができる。一方、結晶化指数が0.7より大きいと製膜性が低下するため好ましくない。
結晶化指数は、金属板へのラミネート前又は後、0.3〜0.7の範囲にあること必要であるが、ラミネート前後においてこの範囲にあっても良い。
フィルムを構成するポリエステルは、上記要件を満たすものであれば特に制限されないが・ポリエチレンテレフタレート共重合体および/またはポリブチレンテレフタレート共重合体が好適に使用される。
【0013】
上記ポリエステルフィルムは、積層フィルムであることが好ましい。各層に適した特性を付与することにより、金属板との密着性や成形加工性をさらに適したものにすることができる。
本発明のポリエステル積層フィルムの、金属板とラミネートされない側を構成するポリエステル層(以下、「ポリエステル層A」と略記する。)と金属板とラミネートされる側を構成するポリエステル層(以下、「ポリエステル層B」と略記する。)について説明する。
A層は、昇温時の融解ピーク温度が200〜260℃で、結晶化指数が0.30〜0.70のポリエステルで構成される。また結晶化指数が0.30〜0.70とあるのは、金属板とのラミネート工程や、ラミネート工程後に行われるリメルト処理、さらに金属容器の製造後の加熱処理およびそれに続く急冷処理されたときに、白化や白化斑の原因となる粗大結晶が析出しないためである。
B層は、昇温時の融解ピーク温度が180〜240℃で、結晶化指数が0.30〜0.70のポリエステルで構成される。昇温時の融解ピーク温度が180〜240℃とあるのは、ラミネート金属板の製造に際して、ポリエステルが溶融し金属板と十分に密着させるためである。
【0014】
さらに、B層におけるポリエステルの融解ピーク温度は、A層におけるポリエステルの融解ピーク温度よりも5〜25℃低くなるように選択する。これはラミネート金属板の製造に際して、B層のポリエステルが溶融するときに、A層のポリエステルが溶融しないためである。
【0015】
A層およびB層を構成するポリエステルは、上記要件を満たすものであれば特に制限されないが、ポリエチレンテレフタレート共重合体および/またはポリブチレンテレフタレート共重合体が好適に使用される。
【0016】
上記のポリエステルを構成する他の共重合体成分としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ジカルボキシルジフェニル、4,4'−ジカルボキシルベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシルフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、ダイマー酸などのジカルボン酸成分;プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノー一ルAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコール成分;p−オキシ安息香酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸成分等が挙げられる。また、これら以外の共重合体成分として少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合などを含有する化合物を使用してもよい。
【0017】
本発明におけるポリエステルは、直接エステル化法、エステル交換法などの従来公知の方法により合成される。これらの方法は、それぞれ回分式および連続式のいずれの方法で行ってもよい。あるいは、分子量を高めるために固相重合法を用いてもよい。なお積層フィルムにおけるそれぞれのポリエステルは、1種類のみでもよいし、2種以上が混合して含まれていてもよい。2種以上を混合する場合には、結晶化指数を最適化するためエステル交換度を調節することが好ましい。
このエステル交換度を調節する方法として、溶融滞留時間の減少、触媒の失活、酸化防止剤や熱安定剤などの添加等が挙げられるが、特に制限するものではない。
【0018】
またポリエステルは、前記要件を満たす範囲内で、必要に応じて滑剤、非相溶の熱可塑性樹脂、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、潤滑剤、結晶核剤などを含有してもよい。滑剤としては、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、酸化チタン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化リチウム、硫酸バリウム、力一ポンプラックなどの不活性無機微粒子を使用することができる。この滑剤を0.05〜1重量%含有させることにより、成形加工時の金型との雛型性を向上させることができる。
【0019】
本発明の積層フィルムラミネート金属板を2ピース缶に適用する場合、ラミネート後、ポリエステルの配向を除去するために、フィルムを構成するポリエステルの融点以上で加熱した後、急冷するというリメルト処理を行うことが好ましい。
このリメルト処理により、積層フィルムは実質的に非晶・無配向となるため、デラミネートや破れなどが生じることなく、2ピース缶のような金属板の塑性変形を伴う成形を行うことができるようになる。しかも本発明の積層フィルムでは、無配向であってもオリゴマーの析出や白化が起こらない。
【0020】
ポリエステルフィルムをラミネートしてなる2ピース缶に、飲料を充填し、レトルト処理などの加熱を行ったときに、ポリエステル層からオリゴマーが多量に溶出すると衛生上好ましくない。さらに、このオリゴマーが食品に移行して、食品の味やフレーバーに対して悪影響を及ぼすことになる。また、ポリエステル層が缶外壁にラミネートされている場合にオリゴマーが析出すると、外観が損なわれて好ましくない。
【0021】
特に、A層を構成するポリエステルは、フィルムにおけるオリゴマーの析出を抑制するためには、エチレンテレフタレート環状三量体が少ないことが望ましく、その含有量は好ましくは0.7重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。エチレンテレフタレート環状三量体の含有量を0.7重量%以下にする方法は特に限定せず、前記環状三量体の少ないポリエステルを用いてA層を形成する方法、積層フィルム形成後にこのフィルムから水または有機溶剤で該環状三量体を抽出する方法などが挙げられる。
【0022】
前記環状三量体の少ないポリエステルを製造する方法は、特に限定されず、固相重合法や重合後、減圧加熱処理あるいは水又は有機溶剤による抽出除去する方法、さらにはこれらの方法を組み合わせた方法などが挙げられる。特に固相重合法により環状三量体含有量の少ないポリエステルを製造した後、得られたポリエステルを水で抽出してさらに環状三量体を低減させる方法がフィルム形成工程での環状三量体の生成量が少なく好ましい。
【0023】
またA層を構成するポリエステルの極限粘度は、得られるフィルムの力学特性および原料ポリエステルの生産性からみて、0.6〜1.2の範囲が好ましい。
【0024】
積層フィルムの製造方法としては、特に限定されず、例えば多層押出し法、押出しラミネート法などが挙げられる。またA層およびB層の2層構造に限らず、A層とB層との間にさらに他のポリエステル層が積層された多層構造でもよい。多層構造の場合にも、積層フィルム全体として結晶化指数が0.30〜0.70であることが、白化および白化斑防止のために必要である。
【0025】
積層フィルムは、無延伸フィルムでもよいが、耐熱性および耐フレーバー性をさらに向上させるには2軸延伸することが好ましい。2軸延伸法としては、逐次2軸延伸、同時2軸延伸、それらを組合わせたいずれの方法でもよい。
【0026】
積層フィルムにおけるA層およびB層の厚みは、それぞれ3〜20μmが好ましい。A層の厚みが3μm未満では、絞り加工などにおいて十分な雛型性が得られず、またB層の厚みが3μm未満では、金属板に対する十分な密着性が得られないからである。積層フィルム全体としての厚みは、6〜40μmが好ましい。
【0027】
本発明の積層フィルムラミネート金属板は、ポリエステル積層フィルムのB層を金属板の少なくとも片面にラミネートして得られるが、ラミネートする方法としては特に限定されず、例えばドライラミネート法、サーマルラミネート法などを採用することができる。具体的には、B層のポリエステルが溶融しうる温度で、A層のポリエステルが溶融しない温度に加熱した金属板の表面に積層フィルムのB層を接触させ、かかる状態でニップロール間を通過させることによりB層のポリエステルを溶融させる。ついで10〜40℃で急冷硬化させることにより、ラミネートさせる。ニップロールを通過させた後、必要に応じてB層のポリエステルの融点以上で熱処理してもよい。ポリエステル積層フィルムを金属板の両面にラミネートする場合には、同時にラミネートしても逐次でラミネートしてもよい。
【0028】
本発明の金属容器は、2軸延伸または非晶・無配向の積層フィルムラミネート金属板を、適宜成形することによって得られる。金属容器の形状および成形方法は、特に限定されないが、例えば形状としては缶状、瓶状、樽状などであり、また成形方法としては絞り成形法、しごき成形法、絞りしごき成形法などを採用することができる。
【0029】
本発明の金属容器には、必要に応じて印刷などを施してもよい。なお印刷した場合、インクの焼き付けによりリメルト処理と同様の効果が得られるので、2ピース缶の胴部のように絞りしごき成形時に配向が生じても、印刷工程を経ることにより再び無配向状態に戻すことができる。したがって絞りしごき成形直後の2ピース缶のように、配向状態になっている場合には、印刷などによって再度リメルト処理を行って、フィルムの配向度をX線観察で10%未満にすることが好ましい。
【0030】
本発明における結晶化指数(CI)は、下記の測定方法で算出する。
試料約10mgを、50℃/分の昇温速度で300℃まで加熱し1分間保持した後、液体窒素で急冷し、示差走査型熱量計を使用して、20℃/分の昇温速度で昇温していき、結晶化熱(Hc)と融解熱(Hm)を測定し、下記式より算出する。
CI=(Hm一Hc)/Hm
【0031】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明の内容及び効果を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定するものではない。
(実施例)
(ポリエステル積層フィルムの製造)
A層用のポリエステルとして、下記の組成物A1、A2、A3、A4をそれぞれ40、40、20、0.7重量部の混合物を用いた。
この組成物の昇温時の融解ピークが220℃と240℃に現れ、結晶化指数は0.48であった。
B層用のポリエステルとして、下記の組成物B1、B2、B3、B4をそれぞれ42、26、26、6重量部の混合物を用いた。
この組成物の昇温時の融解ピークが205℃と216℃にショルダーとして現れ、結晶化指数は0.32であった。
A1:凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径2.5μm)を0.2wt%を含有させ、高温の窒素雰囲気下で低オリゴマー化させて得た極限粘度0.62、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4wt%のポリエチレンテレフタレート。
A2:重合後固相にて真空下で分子量を上げた極限粘度1.1のポリブチレンテレフタレート。
A3:ジカルボン酸成分がテレフタル酸単位が90モル%、ダイマー酸単位が10モル%よりなり、ジオール成分がエチレングリコール単位100モル%の極限粘度が0.7の共重合ポリエステル。
A4:リン化合物系の酸化防止剤(旭電化工業(株)製:商品名 「アデカスタグ/PEP−36」)
B1:ジカルボン酸成分がテレフタル酸単位が90モル%、ダイマー酸単位が10モル%よりなり、ジオール成分がエチレングリコール単位100モル%の共重合ポリエステル。
B2:重合後固相にて真空下で分子量を上げた極限粘度1.1のポリブチレンテレフタレート。
B3:ジカルボン酸成分がテレフタル酸単位が65モル%、イソフタル酸単位が10モル%、アジピン酸単位25モル%よりなり、ジオール成分がブタンジオール単位100モル%、極限粘度1.1の共重合ポリエステル。
B4:凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径2.5μm)を0.2wt%を含有させ、高温の窒素雰囲気下で低オリゴマー化させて得た極限粘度0.62、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4wt%のポリエチレンテレフタレート。
これらのA層用およびB層用のポリエステルを別々の押出し機で溶融させ、この溶融体をダイ内で合流させた後、押出し急冷して未延伸積層シートを得た。
【0032】
この未延伸積層シートを、予熱温度65℃、延伸温度100℃で、縦方向に3.3倍延伸し、さらにテンター中で予熱温度65℃、延伸温度90℃で、横方向に4.0倍延伸した後、210℃で8秒間熱処理、190℃で5%の弛緩処理を行い、厚み12μm(A層およびB層の厚みはそれぞれ6μm)の2軸延伸積層フィルムを得た。
このフィルムの昇温時の融解ピークが218℃と248℃に現れ、結晶化指数は0.52であった。
【0033】
(積層フィルムラミネート金属板の製造)
予熱したアルミニウム合金板の片面に、上記ポリエステル積層フィルムのB層が接するように、ニップロール間を通過させてラミネートした後、熱処理を行い、直後に10〜40℃の水槽中で急冷し、片面に積層フィルムがラミネートされたアルミニウム合金板を得た。ラミネート時には、初期密着性や張力変動、ニップロールヘの巻付き等もなく、本実施例の積層フィルムのラミネート適性は良好であった。
【0034】
(金属容器の製造)
上記で製造した積層フィルムラミネート金属板を、板厚減少率55%で、フィルムラミネート面が外壁面側となるように、絞りしごき成形を行って金属容器を製造した。成形時には、フィルムの剥離や破れがなく、金型との雛型性もよく、また熱処理後の急冷時にもフィルムの白化による外観変化はなかった。
【0035】
さらにフィルムがラミネートされた外壁面胴部を印刷した後、ニスを塗布し、加熱硬化後、冷風で急冷した。
【0036】
このようにして成形した金属容器に飲料を充填し、タブの付いた蓋を巻き締め接合後、125℃で30分間レトルト殺菌をして、2ピース飲料缶を製造した。得られた飲料缶の外壁面には、白化および白化斑もなかった。
(比較例)
リン化合物系の酸化防止剤を添加しない以外は実施例と同様にしてフィルムを得た。結晶化指数が0.3未満のために白化した。
【0037】
【発明の効果】
本発明のポリエステル積層フィルムは、構成するポリエステルの融解ピーク温度とその温度差を規定することにより、金属板と十分に密着させることができ、また結晶化指数を通常のポリエチレンテレフタレートよりも大きくすることにより、溶融後急冷して非晶無配向化してもオリゴマーの析出や白化することがないため、温水レトルト殺菌等が施される飲料や食品の缶詰に用いられるラミネートフィルム、特に2ピース缶の外壁面に好適に用いられる。
【0038】
本発明の積層フィルムラミネート金属板は、金属板との密着性および成形加工性に優れており、さらにラミネート後リメルト処理して実質的に非晶無配向化することにより、デラミネートや破れなどが生じることなく、2ピース缶のような金属板の塑性変形を伴う成形を行うことができる。
【0039】
本発明の金属容器は、容器の製造、飲料や食品の充填後に行われるレトルト処理および印刷処理によっても、オリゴマーの析出や白化が起こることがない。
Claims (7)
- 昇温時の融解ピーク温度が200〜260℃で、結晶化指数が0.30〜0.70のポリエステルをA層、昇温時の融解ピーク温度が180〜240℃で、結晶化指数が0.30〜0.70のポリエステルをB層として積層し、かつA層におけるポリエステルとB層におけるポリエステルとの融解ピーク温度差が5〜25℃であり、昇温時の融解ピーク温度が積層フィルム全体で190〜250℃の温度範囲に2つ以上あり、結晶化指数が0.30〜0.70のポリエステルからなるとともに、リン化合物系の酸化防止剤を含むことを特徴とするラミネート用ポリエステルフィルム。
- 請求項1に記載のポリエステルフィルムにおいて2軸延伸ポリエステルフィルムであることを特徴とするラミネート用ポリエステルフィルム。
- 請求項1または2に記載のラミネート用ポリエステルフィルムを金属板の少なくとも片面にラミネートしてなるラミネート金属板。
- 請求項3に記載のラミネート金属板を成形してなることを特徴とする金属容器。
- 請求項3に記載のラミネート用ポリエステルフィルムが、配向度が10%以下になるように熱処理してなることを特徴とするフィルムラミネート金属板。
- 請求項4に記載のラミネート用ポリエステルフィルムが、配向度が10%以下になるように熱処理してなることを特徴とする金属容器。
- 請求項4または6に記載の金属容器であって、深絞り缶であることを特徴とする請求項4または6に記載の金属容器。
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