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JP4273909B2 - 内燃機関 - Google Patents

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JP4273909B2
JP4273909B2 JP2003345366A JP2003345366A JP4273909B2 JP 4273909 B2 JP4273909 B2 JP 4273909B2 JP 2003345366 A JP2003345366 A JP 2003345366A JP 2003345366 A JP2003345366 A JP 2003345366A JP 4273909 B2 JP4273909 B2 JP 4273909B2
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Description

この発明は、内燃機関に関し、特に、エコラン制御やハイブリッド制御等によりエンジンが一時停止された場合に、触媒を含む排気浄化装置の温度が低下し、エンジン再始動後の排気の浄化が不十分になることを防止することができる内燃機関に関する。
自動車等の車両においては、エンジン排気中に含まれる有害成分であるNOX,HC,COの大気への排出を防止すべくこれらを同時に浄化する三元触媒のような触媒や、排気に含まれるパティキュレートを物理的に捕集するパティキュレートフィルタ(DPFなど)が用いられている。触媒やパティキュレートフィルタのような排気浄化装置は、エンジン排気によって加熱されて或る活性化温度以上に暖機(加熱)された状態でなければ有効に作動しない。
特開2002−285878号公報 特開2000−145512号公報 特許第3230438号公報 特開2000−97078号公報
ところが、近時、車両の運転中、信号待ちや道路渋滞による車両の一時停車時にエンジンを一時停止させるエコラン車や車両の運転状態に応じてエンジンと電気モータの2つの駆動源を適宜使い分けるハイブリッド車が注目されており、これらのエコラン車やハイブリッド車においては、エコラン制御やハイブリッド制御によりエンジンが一時停止されると、エンジンから排気浄化装置に高温の排気ガスが流入されず、長い時間熱源の流入が途絶えることになる。そのため、排気浄化装置の温度低下を招くおそれがあり、排気浄化装置の温度活性ウィンドウから外れることとなれば、エンジンが再始動した後の排気エミッションの悪化を招く。
なお、上記特許文献1(特開2002−285878号公報)には、エコラン車やハイブリッド車において、エンジンが一時停止され、エンジン排気浄化触媒の温度がその浄化機能維持のために必要な所定の下限しきい値まで低下したときには、所定の車両運転条件(エンジン一時停止条件)が成立していても、エンジンを再始動させる方法が開示されている。しかしながら、この方法によれば、モータのみで車両を駆動している時であっても、触媒温度を上昇させるためにエンジンを再始動させているので、燃費が悪化する。
本発明の目的は、エコラン制御やハイブリッド制御等によりエンジンが一時停止された場合に、触媒を含む排気浄化装置の温度が低下し、エンジン再始動後の排気の浄化が不十分になることを防止することができる内燃機関を提供することである。
本発明の他の目的は、エコラン制御やハイブリッド制御等によりエンジンが一時停止された場合に、触媒を含む排気浄化装置の温度が低下し、エンジン再始動後の排気の浄化が不十分になることを防止するとともに、内燃機関の停止時の振動を抑制することのできる内燃機関を提供することである。
本発明の内燃機関は、機関排気通路内に酸化機能を有する触媒を含む排気浄化装置が配置された内燃機関であって、機関を一時停止するために前記機関の一時停止指令が出力されると、前記排気浄化装置で前記機関の一時停止後に未燃HCあるいはCOの少なくともいずれか一方を含む発熱反応を起こす物質の発生量が増大する運転モードが前記機関の停直前に実行されることを特徴としている。
本発明の内燃機関は、燃焼室内の不活性ガス量を増大していくと煤の発生量が次第に増大してピークに達する内燃機関であって、機関排気通路内に酸化機能を有する触媒を含む排気浄化装置が配置され、機関を一時停止するために前記機関の一時停止指令が出力されると、前記排気浄化装置で前記機関の一時停止後に未燃HCあるいはCOの少なくともいずれか一方を含む発熱反応を起こす物質の発生量が増大する運転モードが前記機関の停止前に実行され、前記運転モードでは、煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内の不活性ガス量が多くなるように制御されることを特徴としている。前記運転モードが実行されるときには、他の運転モードから前記運転モードに切り換えられる。
本発明の内燃機関において、前記機関の停止前には少なくとも、設定された時間、前記運転モードが実行されることを特徴としている。
本発明の内燃機関において、前記排気浄化装置の温度に応じて、前記機関の停止前の前記運転モードの実行時間が変更されることを特徴としている。
本発明の内燃機関において、前記排気浄化装置の温度が設定された温度になるまで、前記機関の停止前の前記運転モードが実行されることを特徴としている。
本発明の内燃機関において、前記機関の停止前の前記運転モードでは、空燃比がリッチにされることを特徴としている。
本発明の内燃機関において、前記機関の停止前の前記運転モードでは、更に、排気ガス温が上昇する運転がなされることを特徴としている。
本発明によれば、エコラン制御やハイブリッド制御等によりエンジンが一時停止された場合に、触媒を含む排気浄化装置の温度が低下し、エンジン再始動後の排気の浄化が不十分になることを防止することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明を4ストローク圧縮着火式内燃機関に適用した場合を示している。図1において、符号1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートを夫々示す。吸気ポート8は、対応する吸気枝管11を介してサージタンク12に連結されている。サージタンク12は、吸気ダクト13およびインタークーラ14を介して過給機、例えば排気ターボチャージャ15のコンプレッサ16の出口部に連結されている。コンプレッサ16の入口部は、空気吸込管17を介してエアクリーナ18に連結されている。空気吸込管17内には、ステップモータ19により駆動されるスロットル弁20が配置されている。
排気ポート10は、排気マニホールド21および排気管22を介して、排気ターボチャージャ15の排気タービン23の入口部に連結されている。排気タービン23の出口部は、排気管24を介して酸化機能を有する触媒25a及びパティキュレートを捕集するパテ
ィキュレートフィルタ25bを内蔵した触媒コンバータ26に連結されている。触媒コンバータ26には、触媒25aの温度を検出するための温度センサ27が取付けられている。ここで、温度センサ27は、触媒25aの温度に代えて、パティキュレートフィルタ25bの温度を検出するセンサであってもよい。
触媒コンバータ26の出口部に連結された排気管28とスロットル弁20の下流の空気吸込管17とは、EGR通路29を介して互いに連結されている。EGR通路29内には、ステップモータ30により駆動されるEGR制御弁31が配置されている。また、EGR通路29内には、EGR通路29内を流れるEGRガスを冷却するためのインタークーラ32が配置されている。機関冷却水がインタークーラ32内に導びかれ、機関冷却水によってEGRガスが冷却される。
燃料噴射弁6は、燃料供給管33を介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレーン34に連結されている。このコモンレーン34内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ35から燃料が供給される。コモンレーン34内に供給された燃料は、各燃料供給管33を介して燃料噴射弁6に供給される。コモンレーン34には、コモンレーン34内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ36が取付けられている。燃料圧センサ36の出力信号に基づいて、コモンレーン34内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ35の吐出量が制御される。
クランクシャフト37は、自動変速機38に連結されている。電子制御ユニット40は、デジタルコンピュータからなり、双方向性バス41によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)42、RAM(ランダムアクセスメモリ)43、CPU(マイクロプロセッサ)44、入力ポート45および出力ポート46を具備している。温度センサ27の出力信号は、対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。燃料圧センサ36の出力信号も対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。サージタンク12内には、サージタンク12内の絶対圧を検出するための圧力センサ39が配置されている。スロットル弁20の上流の空気吸込管17内には、吸入空気の質量流量を検出するための質量流量計49が配置されている。これら圧力センサ39および質量流量計49の出力信号は、対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。
アクセルペダル50には、アクセルペダル50の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ51が接続されている。負荷センサ51の出力電圧は、対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。また、入力ポート45には、クランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ52が接続されている。更に、入力ポート45には、車速センサ53の車速を表す出力パルスが入力される。また、自動変速機38がニュートラル位置にあるか否かを検出するためのニュートラルセンサ54の出力信号が入力ポート45に入力される。出力ポート46は、対応する駆動回路48を介して燃料噴射弁6、スロットル弁制御用ステップモータ19、EGR制御弁制御用ステップモータ30および燃料ポンプ35に接続されている。
本実施形態では、エコラン制御やハイブリッド制御によりエンジンが一時停止される前には、本出願人が特許第3116876号公報,特開2000−97078号公報,特開2000−145512号公報等にて開示した、いわゆる低温燃焼を行う。ここで、低温燃焼とは、上記公報に記載されている通り、燃焼室内の不活性ガス量が増大していくと煤の発生量が次第に増大してピークに達する内燃機関であって、煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内の不活性ガス量を多くすることによって燃焼室内における燃焼時の燃料およびその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に抑制し、それにより燃焼室内において煤が生成されるのを抑制する(煤がほとんど発生しない)燃焼
のことである。
以下に、上記低温燃焼について、詳細に説明する。
図2は、機関低負荷運転時にスロットル弁20の開度およびEGR率を変化させることにより空燃比A/F(図2の横軸)を変化させたときの出力トルクの変化、およびスモーク、HC,CO,NOx の排出量の変化を示す実験例を表している。図2からわかるように、この実験例では、空燃比A/Fが小さくなるほどEGR率が大きくなり、理論空燃比(≒14.6)以下のときにはEGR率は65パーセント以上となっている。
図2に示されるように、EGR率を増大することにより、空燃比A/Fを小さくしていくとEGR率が40パーセント付近となり空燃比A/Fが30程度になったときにスモークの発生量が増大を開始する。次いで、更にEGR率を高め、空燃比A/Fを小さくするとスモークの発生量が急激に増大してピークに達する。次いで更にEGR率を高め、空燃比A/Fを小さくすると今度はスモークが急激に低下し、EGR率を65パーセント以上とし、空燃比A/Fが15.0付近になるとスモークがほぼ零となる。即ち、煤がほとんど発生しなくなる。このとき機関の出力トルクは若干低下し、またNOx の発生量がかなり低くなる。一方、このときHC,COの発生量は増大し始める。なお、図2の実験結果は、燃料の噴射時期を固定した状態で行ったものである。
図3−1は、空燃比A/Fが21付近で、スモークの発生量が最も多いときの燃焼室5内の燃焼圧変化を示している。図3−2は、空燃比A/Fが18付近で、スモークの発生量がほぼ零のときの燃焼室5内の燃焼圧の変化を示している。図3−1と図3−2とを比較すればわかるように、スモークの発生量がほぼ零である図3−2に示す場合は、スモークの発生量が多い図3−1に示す場合に比べて、燃焼圧が低いことがわかる。
図2および図3−1,図3−2に示される実験結果から次のことが言える。即ち、まず第1に、空燃比A/Fが15.0以下でスモークの発生量がほぼ零のときには、図2に示されるようにNOx の発生量がかなり低下する。NOx の発生量が低下したということは、燃焼室5内の燃焼温度が低下していることを意味しており、従って煤がほとんど発生しないときには、燃焼室5内の燃焼温度が低くなっていると言える。同じことが図3からも言える。即ち、煤がほとんど発生していない図3−2に示す状態では、燃焼圧が低くなっており、従ってこのとき燃焼室5内の燃焼温度は、低くなっていることになる。
第2に、スモークの発生量、即ち煤の発生量がほぼ零になると、図2に示されるようにHCおよびCOの排出量が増大する。このことは、炭化水素が煤まで成長せずに排出されることを意味している。即ち、燃料中に含まれる図4に示されるような直鎖状炭化水素や芳香族炭化水素は酸素不足の状態で温度上昇せしめられると、熱分解して煤の前駆体が形成され、次いで主に炭素原子が集合した固体からなる煤が生成される。この場合、実際の煤の生成過程は複雑であり、煤の前駆体がどのような形態をとるかは明確ではないが、いずれにしても図4に示されるような炭化水素は、煤の前駆体を経て煤まで成長することになる。従って、上述したように、煤の発生量がほぼ零になると、図2に示される如くHCおよびCOの排出量が増大するが、このときのHCは煤の前駆体又はその前の状態の炭化水素である(以下、未燃HCと称する)。
図2および図3−1,図3−2に示される実験結果に基づくこれらの考察をまとめると、燃焼室5内の燃焼温度が低いときには煤の発生量がほぼ零になり、このとき煤の前駆体又はその前の状態の炭化水素が燃焼室5から排出されることになる。このことについて更に詳細に実験研究を重ねた結果、燃焼室5内における燃料およびその周囲のガス温度が或る温度以下である場合には、煤の成長過程が途中で停止してしまい、即ち煤が全く発生せず、燃焼室5内における燃料およびその周囲の温度が或る温度以上になると煤が生成され
ることが判明したのである。
ところで、煤の前駆体の状態で炭化水素の生成過程が停止するときの燃料およびその周囲の温度、即ち上述の或る温度は、燃料の種類や空燃比や圧縮比等の種々の要因によって変化するので何度であるかということは言えないが、この或る温度はNOx の発生量と深い関係を有しており、従って、この或る温度は、NOx の発生量から或る程度規定することができる。即ち、EGR率が増大するほど、燃焼時の燃料およびその周囲のガス温度は低下し、NOx の発生量が低下する。このときNOx の発生量が10p.p.m 前後又はそれ以下になったときに煤がほとんど発生しなくなる。従って、上述の或る温度は、NOx の発生量が10p.p.m 前後又はそれ以下になったときの温度にほぼ一致する。
一旦、煤が生成されると、この煤は酸化機能を有する触媒を用いた後処理でもって浄化することはできない。これに対して、煤の前駆体又はその前の状態の炭化水素は、酸化機能を有する触媒を用いた後処理でもって容易に浄化することができる。このように酸化機能を有する触媒による後処理を考えると、炭化水素を煤の前駆体又はその前の状態で燃焼室5から排出させるか、或いは煤の形で燃焼室5から排出させるかについては極めて大きな差がある。本実施形態において採用されている、この燃焼システムは、燃焼室5内において煤を生成させることなく炭化水素を煤の前駆体又はその前の状態の形でもって燃焼室5から排出させ、この炭化水素を酸化機能を有する触媒により酸化せしめることを核としている。
さて、煤が生成される前の状態で炭化水素の成長を停止させるには、燃焼室5内における燃焼時の燃料およびその周囲のガス温度を、煤が生成される温度よりも低い温度に抑制する必要がある。この場合、燃料およびその周囲のガス温度を抑制するには、燃料が燃焼した際の燃料周りのガスの吸熱作用が極めて大きく影響することが判明している。
即ち、燃料周りに空気しか存在しないと蒸発した燃料はただちに空気中の酸素と反応して燃焼する。この場合、燃料から離れている空気の温度はさほど上昇せず、燃料周りの温度のみが局所的に極めて高くなる。即ち、このときには燃料から離れている空気は燃料の燃焼熱の吸熱作用をほとんど行わない。この場合には燃焼温度が局所的に極めて高くなるために、この燃焼熱を受けた未燃炭化水素は煤を生成することになる。
一方、多量の不活性ガスと少量の空気の混合ガス中に燃料が存在する場合には、若干状況が異なる。この場合には、蒸発燃料は、周囲に拡散して不活性ガス中に混在する酸素と反応し、燃焼することになる。この場合には、燃焼熱は、周りの不活性ガスに吸収されるために、燃焼温度は、さほど上昇しなくなる。即ち、燃焼温度を低く抑えることができることになる。即ち、燃焼温度を抑制するには、不活性ガスの存在が重要な役割を果しており、不活性ガスの吸熱作用によって、燃焼温度を低く抑えることができることになる。
この場合、燃料およびその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に抑制するにはそうするのに十分な熱量を吸収しうるだけの不活性ガス量が必要となる。従って燃料量が増大すれば必要となる不活性ガス量はそれに伴なって増大することになる。なお、この場合、不活性ガスの比熱が大きいほど吸熱作用は強力となり、従って不活性ガスは比熱の大きなガスが好ましいことになる。この点、CO2 やEGRガスは比較的比熱が大きいので不活性ガスとしてEGRガスを用いることは好ましいと言える。
図5は、不活性ガスとしてEGRガスを用い、EGRガスの冷却度合を変えたときのEGR率とスモークとの関係を示している。即ち、図5において、曲線Aは、EGRガスを強力に冷却してEGRガス温をほぼ90℃に維持した場合を示している。曲線Bは、小型の冷却装置でEGRガスを冷却した場合を示している。曲線Cは、EGRガスを強制的に
冷却していない場合を示している。
図5の曲線Aで示されるように、EGRガスを強力に冷却した場合には、EGR率が50パーセントよりも少し低いところで煤の発生量がピークとなり、この場合には、EGR率をほぼ55パーセント以上にすれば煤がほとんど発生しなくなる。一方、図5の曲線Bで示されるように、EGRガスを少し冷却した場合にはEGR率が50パーセントよりも少し高いところで煤の発生量がピークとなり、この場合には、EGR率をほぼ65パーセント以上にすれば煤がほとんど発生しなくなる。
また、図5の曲線Cで示されるように、EGRガスを強制的に冷却していない場合には、EGR率が55パーセントの付近で煤の発生量がピークとなり、この場合には、EGR率をほぼ70パーセント以上にすれば煤がほとんど発生しなくなる。なお、図5は、機関負荷が比較的高いときのスモークの発生量を示しており、機関負荷が小さくなると、煤の発生量がピークとなるEGR率は若干低下し、煤がほとんど発生しなくなるEGR率の下限も若干低下する。このように煤がほとんど発生しなくなるEGR率の下限は、EGRガスの冷却度合や機関負荷に応じて変化する。
図6は、不活性ガスとしてEGRガスを用いた場合において、燃焼時の燃料およびその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度にするために必要なEGRガスと空気の混合ガス量、およびこの混合ガス量中の空気の割合、およびこの混合ガス中のEGRガスの割合を示している。なお、図6において縦軸は、燃焼室5内に吸入される全吸入ガス量を示している。また、鎖線Yは、過給が行われないときに燃焼室5内に吸入しうる全吸入ガス量を示している。また、横軸は、要求負荷を示している。
図6を参照すると、空気の割合、即ち混合ガス中の空気量は、噴射された燃料を完全に燃焼せしめるのに必要な空気量を示している。即ち、図6に示される場合では、空気量と噴射燃料量との比は理論空燃比となっている。一方、図6において、EGRガスの割合、即ち混合ガス中のEGRガス量は、噴射燃料が燃焼せしめられたときに燃料およびその周囲のガス温度を煤が形成される温度よりも低い温度にするのに必要最低限のEGRガス量を示している。このEGRガス量は、EGR率で表すとほぼ55パーセント以上であり、図6に示す実施形態では、70パーセント以上である。即ち、燃焼室5内に吸入された全吸入ガス量を図6において実線Xとし、この全吸入ガス量Xのうちの空気量とEGRガス量との割合を図6に示すような割合にすると、燃料およびその周囲のガス温度は煤が生成される温度よりも低い温度となり、斯くして煤が全く発生しなくなる。また、このときのNOx 発生量は、10p.p.m 前後、又はそれ以下であり、従ってNOx の発生量は極めて少量となる。
燃料噴射量が増大すれば、燃料が燃焼した際の発熱量が増大するので、燃料およびその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に維持するためには、EGRガスによる熱の吸収量を増大しなければならない。従って、図6に示されるように、EGRガス量は、噴射燃料量が増大するにつれて増大せしめなければならない。即ち、EGRガス量は、要求負荷が高くなるにつれて増大する必要がある。
ところで、過給が行われていない場合には、燃焼室5内に吸入される全吸入ガス量Xの上限はYであり、従って、図6において要求負荷がL0 よりも大きい領域では、要求負荷が大きくなるにつれてEGRガス割合を低下させない限り空燃比を理論空燃比に維持することができない。云い換えると、過給が行われていない場合に、要求負荷がL0 よりも大きい領域において、空燃比を理論空燃比に維持しようとした場合には、要求負荷が高くなるにつれてEGR率が低下し、斯くして要求負荷がL0 よりも大きい領域では、燃料およびその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に維持しえなくなる。
ところが図1に示されるように、EGR通路29を介して過給機の入口側即ち排気ターボチャージャ15の空気吸込管17内にEGRガスを再循環させると、要求負荷がL0 よりも大きい領域においてEGR率を55パーセント以上、例えば70パーセントに維持することができ、斯くして燃料およびその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に維持することができる。即ち、空気吸込管17内におけるEGR率が例えば70パーセントになるようにEGRガスを再循環させれば、排気ターボチャージャ15のコンプレッサ16により昇圧された吸入ガスのEGR率も70パーセントとなり、斯くしてコンプレッサ16により昇圧しうる限度まで燃料およびその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に維持することができる。従って、低温燃焼を生じさせることのできる機関の運転領域を拡大することができることになる。
なお、この場合、要求負荷がL0 よりも大きい領域でEGR率を55パーセント以上にする際には、EGR制御弁31が全開せしめられ、スロットル弁20が若干閉弁せしめられる。前述したように、図6は、燃料を理論空燃比のもとで燃焼させる場合を示しているが、空気量を図6に示される空気量よりも少くしても、即ち空燃比をリッチにしても煤の発生を阻止しつつNOx の発生量を10p.p.m 前後又はそれ以下にすることができ、また空気量を図6に示される空気量よりも多くしても、即ち空燃比の平均値を17から18のリーンにしても煤の発生を阻止しつつNOx の発生量を10p.p.m 前後又はそれ以下にすることができる。
即ち、空燃比がリッチにされると燃料が過剰となるが、燃焼温度が低い温度に抑制されているために過剰な燃料は煤まで成長せず、斯くして煤が生成されることがない。また、このときNOx も極めて少量しか発生しない。一方、平均空燃比がリーンのとき、或いは空燃比が理論空燃比のときでも燃焼温度が高くなれば少量の煤が生成されるが、本実施形態では燃焼温度が低い温度に抑制されているので、煤は全く生成されない。更に、NOx も極めて少量しか発生しない。
このように低温燃焼が行われているときには、空燃比にかかわらずに、即ち空燃比がリッチであろうと理論空燃比であろうと、或いは平均空燃比がリーンであろうと煤が発生されず、NOx の発生量が極めて少量となる。従って、燃料消費率の向上を考えると、このとき平均空燃比をリーンにすることが好ましいと言える。ところで、燃焼室内における燃焼時の燃料およびその周囲のガス温度を、炭化水素の成長が途中で停止する温度以下に抑制しうるのは、燃焼による発熱量が比較的少ない機関中低負荷運転時に限られる。従って、本実施形態では、機関中低負荷運転時には、燃焼時の燃料およびその周囲のガス温度を炭化水素の成長が途中で停止する温度以下に抑制して第1の燃焼、即ち低温燃焼を行うようにし、機関高負荷運転時には第2の燃焼、即ち従来より普通に行われている燃焼を行うようにしている。
なお、ここで第1の燃焼、即ち低温燃焼とは、これまでの説明から明らかであり上述したように、煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内の不活性ガス量が多く煤がほとんど発生しない燃焼のことをいい、第2の燃焼、即ち従来より普通に行われている燃焼とは煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内の不活性ガス量が少い燃焼のことをいう。
図7は、第1の燃焼、即ち低温燃焼が行われる第1の運転領域Iと、第2の燃焼、即ち従来の燃焼方法による燃焼が行われる第2の燃焼領域IIとを示している。
なお、図7において、縦軸TQは要求トルクを示しており、横軸Nは機関回転数を示している。また、図7において、X(N)は、第1の運転領域Iと第2の運転領域IIとの第1の境界を示しており、Y(N)は、第1の運転領域Iと第2の運転領域IIとの第2の境界を示している。第1の運転領域Iから第2の運転領域IIへの運転領域の変化判断は、第
1の境界X(N)に基づいて行われ、第2の運転領域IIから第1の運転領域Iへの運転領域の変化判断は、第2の境界Y(N)に基づいて行われる。
即ち、機関の運転状態が第1の運転領域Iにあって低温燃焼が行われているときに要求トルクTQが機関回転数Nの関数である第1の境界X(N)を越えると、運転領域が第2の運転領域IIに移ったと判断され、従来の燃焼方法による燃焼が行われる。次いで、要求トルクTQが機関回転数Nの関数である第2の境界Y(N)よりも低くなると、運転領域が第1の運転領域Iに移ったと判断され、再び低温燃焼が行われる。
このように第1の境界X(N)と第1の境界X(N)よりも低トルク側の第2の境界Y(N)との二つの境界を設けたのは、次の二つの理由による。第1の理由は、第2の運転領域IIの高トルク側では比較的燃焼温度が高く、このとき要求トルクTQが第1の境界X(N)より低くなったとしても、ただちに低温燃焼を行えないからである。即ち、要求トルクTQがかなり低くなったとき、即ち第2の境界Y(N)よりも低くなったときでなければ、ただちに低温燃焼が開始されないからである。第2の理由は、第1の運転領域Iと第2の運転領域II間の運転領域の変化に対してヒステリシスを設けるためである。
ところで、機関の運転状態が第1の運転領域Iにあって低温燃焼が行われているときには煤はほとんど発生せず、その代り未燃炭化水素が煤の前駆体又はその前の状態の形でもって燃焼室5から排出される。このとき触媒25aやパティキュレートフィルタ25bが活性化していれば、燃焼室5から排出された未燃炭化水素は酸化機能を有する触媒25aやパティキュレートフィルタ25bにより良好に酸化せしめられる。本実施形態は、この作用を積極的に利用して、エコラン制御やハイブリッド制御によりエンジンが一時停止されたときの触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度低下を抑制し、エンジン再始動直後の排気エミッションの悪化を低減する。即ち、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bが温度活性ウインドウ(触媒活性化温度以上)に入っている状態において、エコラン制御やハイブリッド制御によりエンジンが一時停止されるときには、一時停止前に低温燃焼を実施し、低温燃焼により発生した炭化水素や一酸化炭素を触媒25aやパティキュレートフィルタ25bに供給することで、触媒25a内やパティキュレートフィルタ25b内で発熱反応を起こさせた後に、エンジンの一時停止を行う。これにより、エンジン停止時における触媒25a及びパティキュレートフィルタ25bの温度低下を抑制する。
触媒25aとしては酸化触媒、三元触媒、又はNOx 吸収剤を用いることができる。NOx 吸収剤は燃焼室5内における平均空燃比がリーンのときにNOx を吸収し、燃焼室5内における平均空燃比がリッチになるとNOx を放出する機能を有する。このNOx 吸収剤は例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少くとも一つと、白金Ptのような貴金属とが担持されている。
酸化触媒はもとより、三元触媒およびNOx 吸収剤も酸化機能を有しており、従って上述した如く三元触媒およびNOx 吸収剤を触媒25aとして用いることができる。
パティキュレートフィルタ25bについて、図12−1及び図12−2を参照しつつ説明する。なお、図12−1は、パティキュレートフィルタ25bの正面図を示しており、図12−2は、パティキュレートフィルタ25bの側面断面図を示している。
図12−1及び図12−2に示されるように、パティキュレートフィルタ25bは、ハニカム構造をなしており、互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路60,61を具
備している。これらの排気流通路は、下流端が栓62により閉塞された排気ガス流入通路60と、上流端が栓63により閉塞された排気ガス流出通路61とにより構成される。なお、図12−1において、ハッチングを付した部分は栓63を示している。排気ガス流入通路60および排気ガス流出通路61は、薄肉の隔壁64を介して交互に配置されている。云い換えると、排気ガス流入通路60および排気ガス流出通路61は、各排気ガス流入通路60が4つの排気ガス流出通路61によって包囲され、各排気ガス流出通路61が4つの排気ガス流入通路60によって包囲されるように配置される。
パティキュレートフィルタ25bは、例えばコージライトのような多孔質材料から形成されている。従って、排気ガス流入通路60内に流入した排気ガスは、図12−2において矢印で示されるように、周囲の隔壁64内を通って隣接する排気ガス流出通路61内に流出する。なお、本実施形態では、各排気ガス流入通路60および各排気ガス流出通路61の周壁面、即ち各隔壁64の両側表面上および隔壁64内の細孔内壁面上には、例えばアルミナからなる担体の層が形成されており、この担体上に白金Pt等の貴金属触媒が担持されている。
燃焼室5内では、主にカーボンCからなる微粒子(パティキュレート)が生成され、従って排気ガス中には、これらの微粒子が含まれている。排気ガス中に含まれるこれらの微粒子は、排気ガスがパティキュレートフィルタ25bの排気ガス流入通路60内を流れているときに、或いは排気ガス流入通路60から排気ガス流出通路61に向かうときに、パティキュレートフィルタ25b上に捕集される。
パティキュレートフィルタ25bの温度が高く、かつ排気ガス中の微粒子量がそれほど多くないときには、パティキュレートフィルタ25b上に捕集された微粒子は、数分から数10分程度でもって輝炎を発することなく酸化除去せしめられる。
次に、図8を参照しつつ、第1の運転領域Iおよび第2の運転領域IIにおける運転制御について、概略的に説明する。図8は、要求トルクTQに対するスロットル弁20の開度、EGR制御弁31の開度、EGR率、空燃比、噴射時期および噴射量を示している。図8に示されるように、要求トルクTQの低い第1の運転領域Iでは、スロットル弁20の開度は、要求負荷Lが高くなるにつれて、全閉近くから2/3開度程度まで徐々に増大せしめられ、EGR制御弁31の開度は、要求負荷Lが高くなるにつれて、全閉近くから全開まで徐々に増大せしめられる。また、図8に示される例では、第1の運転領域Iでは、EGR率がほぼ70パーセントとされており、空燃比はわずかばかりリーンなリーン空燃比とされている。
言い換えると、第1の運転領域Iでは、EGR率がほぼ70パーセントとなり、空燃比がわずかばかりリーンなリーン空燃比となるように、スロットル弁20の開度およびEGR制御弁31の開度が制御される。なお、第1の運転領域Iでは、圧縮上死点TDC前に燃料噴射が行われる。この場合、噴射開始時期θSは、要求負荷Lが高くなるにつれて遅くなる。また、噴射完了時期θEも噴射開始時期θSが遅くなるにつれて遅くなる。
なお、アイドリング運転時には、スロットル弁20は全閉近くまで閉弁され、このとき、EGR制御弁31も全閉近くまで閉弁せしめられる。スロットル弁20を全閉近くまで閉弁すると、圧縮始めの燃焼室5内の圧力が低くなるために、圧縮圧力が小さくなる。圧縮圧力が小さくなると、ピストン4による圧縮仕事が小さくなるために、機関本体1の振動が小さくなる。即ち、アイドリング運転時には、機関本体1の振動を抑制するために、スロットル弁20が全閉近くまで閉弁せしめられる。
一方、機関の運転領域が第1の運転領域Iから第2の運転領域IIに変わると、スロット
ル弁20の開度が、2/3開度程度から全開方向へステップ状に増大せしめられる。このとき図8に示す例では、EGR率がほぼ70パーセントから40パーセント以下までステップ状に減少せしめられ、空燃比がステップ状に大きくされる。即ち、EGR率が多量のスモークを発生するEGR率範囲(図5)を飛び越えるので、機関の運転領域が第1の運転領域Iから第2の運転領域IIに変わるときに、多量のスモークが発生することがない。
第2の運転領域IIでは、第2の燃焼、即ち従来から行われている燃焼が行われる。この燃焼方法では、煤およびNOx が若干発生するが低温燃焼に比べて熱効率は高く、従って機関の運転領域が第1の運転領域Iから第2の運転領域IIに変わると、図8に示されるように噴射量がステップ状に低減せしめられる。この第2の運転領域IIでは、スロットル弁20は一部を除いて全開状態に保持され、EGR制御弁31の開度は、要求トルクTQが高くなると次第に小さくされる。また、この運転領域IIでは、EGR率は、要求トルクTQが高くなるほど低くなり、空燃比は、要求トルクTQが高くなるほど小さくなる。ただし、空燃比は、要求トルクTQが高くなってもリーン空燃比とされる。また、第2の運転領域IIでは、噴射開始時期θSは、圧縮上死点TDC付近とされる。
図9は、要求トルクTQと、アクセルペダル50の踏込み量Lと、機関回転数Nとの関係を示している。なお、図9において、各曲線は等トルク曲線を表しており、TQ=0で示される曲線はトルクが零であることを示しており、残りの曲線はTQ=a,TQ=b,TQ=c,TQ=dの順に次第に要求トルクが高くなる。図9に示される要求トルクTQは、アクセルペダル50の踏込み量Lと機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM42内に記憶されている。本実施形態では、アクセルペダル50の踏込み量Lおよび機関回転数Nに応じた要求トルクTQがまず初めに算出され、この要求トルクTQに基づいて、燃料噴射量等が算出される。
図10は、第1の運転領域Iにおける空燃比A/Fを示している。図10において、A/F=15.5,A/F=16,A/F=17,A/F=18で示される各曲線は、夫々空燃比が15.5,16,17,18であるときを示しており、各曲線間の空燃比は、比例配分により定められる。図10に示されるように、第1の運転領域Iでは、空燃比がリーンとなっており、更に第1の運転領域Iでは、要求トルクTQが低くなるほど、空燃比A/Fがリーンとされる。
即ち、要求トルクTQが低くなるほど、燃焼による発熱量が少くなる。従って要求トルクTQが低くなるほど、EGR率を低下させても低温燃焼を行うことができる。EGR率を低下させると、空燃比は大きくなり、従って図10に示されるように、要求トルクTQが低くなるにつれて、空燃比A/Fが大きくされる。空燃比A/Fが大きくなるほど、燃料消費率は向上し、従ってできる限り空燃比をリーンにするために、本実施形態では、要求トルクTQが低くなるにつれて、空燃比A/Fが大きくされる。
第1の運転領域Iにおける噴射量Qは、要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数として、マップの形で予めROM42内に記憶されている。第1の運転領域Iにおける噴射開始時期θSも、要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数として、マップの形で予めROM42内に記憶されている。
また、空燃比を図10に示す目標空燃比とするのに必要なスロットル弁20の目標開度STが、要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数として、マップの形で予めROM42内に記憶されている。空燃比を図10に示す目標空燃比とするのに必要なEGR制御弁31の目標開度SEが、要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM42内に記憶されている。
更に本実施形態では、第1の運転領域Iにおける燃料噴射圧、即ちコモンレール34内の目標燃料圧Pが、要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM42内に記憶されている。図11は、第2の燃焼、即ち従来の燃焼方法による普通の燃焼が行われるときの目標空燃比を示している。なお、図11において、A/F=24,A/F=35,A/F=45,A/F=60で示される各曲線は、夫々目標空燃比24,35,45,60を示している。
第2の運転領域IIにおける噴射量Qは、要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM42内に記憶されている。第2の運転領域IIにおける噴射開始時期θSも、要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM42内に記憶されている。
また、空燃比を図11に示す目標空燃比とするのに必要なスロットル弁20の目標開度STが、要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数として、マップの形で予めROM42内に記憶されている。空燃比を図11に示す目標空燃比とするのに必要なEGR制御弁31の目標開度SEが、要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数として、マップの形で予めROM42内に記憶されている。
更に本実施形態では、第2の運転領域IIにおける燃料噴射圧、即ちコモンレール34内の目標燃料圧Pが、要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM42内に記憶されている。
ところで、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bは触媒等の種類に応じた活性化温度、例えば250℃よりも高くならないと良好な酸化・浄化機能を発揮せず、従って、排気ガス中に含まれる未燃炭化水素等を良好に酸化・浄化せしめるには、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度を活性化温度以上、例えば350℃以上に保持する必要がある。
ところが、エコラン車やハイブリッド車において、エコラン制御やハイブリッド制御によりエンジンが一時停止されると、エンジンから触媒25aやパティキュレートフィルタ25bに高温の排気ガスが流入されず、長い時間熱源の流入が途絶えることになる。そのため、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度低下を招くおそれがあり、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度活性ウィンドウから外れることとなれば、エンジンが再始動した後の排気エミッションの悪化の原因となる。
そこで、本実施形態では、通常燃焼(第2の運転領域IIでの第2の運転)の直後に、エコラン制御やハイブリッド制御等によりエンジンが一時停止される場合には、そのまま直ちにエンジンの一時停止を行うのではなく、一旦、低温燃焼(第1の運転領域Iでの第1の運転)を実施した後に、エンジンの一時停止を行う。
低温燃焼によって発生させた未燃HCやCOにより触媒25a内やパティキュレートフィルタ25b内で発熱反応を起こさせ、エンジン停止時における触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度低下を抑制し、エンジン再始動直後の排気エミッションの悪化を低減させるようにしている。
次に、図13を参照して、本実施形態の動作について説明する。以下に説明するフローチャートに示される制御は、本実施形態に係るエコラン車やハイブリッド車の電子制御ユニット40のROM42に作動プログラムの一部として組み込まれ、車両運転が開始されると同時に開始される。
図13に示すように、まず初めに低温燃焼を実施中か否かが判定される(ステップ90
)。ここでの低温燃焼は、上記において既に説明した低温燃焼であり、図7に示すように、要求トルクTQが機関回転数Nの関数である第2の境界Y(N)よりも低いために開始された低温燃焼であって、その後も、要求トルクTQが機関回転数Nの関数である第1の境界X(N)を超えていないために継続的に実行されている低温燃焼が含まれる。さらに、ステップ90の低温燃焼には、図7に示した上記条件に当てはまらない場合であっても、減速時に行われる低温燃焼も含まれる。この減速時の低温燃焼とは、減速時において要求トルクが増加しないような範囲の場合にも行われる。
ステップ90の結果、低温燃焼を実施中と判定されれば、低温燃焼の実施時間を計時するカウンタをインクリメントする(ステップ91)。一方、低温燃焼を実施中では無いと判定されれば、上記カウンタをリセットする(ステップ92)。ステップ91または92の後に、ステップ100に進む。
ステップ100では、エンジンの一時停止指令が出力されているか否かが判定される。ここで、エンジンの一時停止指令とは、エコラン制御やハイブリッド制御等によりエンジンが一時停止されるための指令である。本実施形態はハイブリッド車両であり、エンジンにかかる負荷を比較的自由に選択できるトランスミッションを備えているため、燃費や触媒25a等の温度を考慮して、エンジンが一時停止される時期が選択されたり、車速等に応じてハイギヤードにされて高負荷で運転されたりすることが行われる。例えば、本実施形態に係るディーゼルエンジンでは、低負荷でエンジンを回転させると、排気ガス温が低く触媒25a等が冷えてしまうため、触媒25aの温度維持のために、低負荷ではエンジンが一時停止されることが行われる。
エンジンの一時停止指令が出力されているとき(S100−YES)には、ステップ101に進む。エンジンの一時停止指令が出力されていないとき(S100−NO)には、以下のステップ101〜230までの処理を行わずに、図13の先頭のステップ90に戻る(リターン)。
ステップ101では、エンジンが駆動系から切り離されているか否かが判定される。ここでは、エンジンの一時停止指令が出力されているため(S100−YES)、エンジン出力を駆動系に伝達する必要が無いためである。ここでは、未だ、エンジンが駆動系から切り離されていないため(S101−NO)、ステップ102に進む。ステップ102では、エンジンを駆動系より切り離す操作が行われる。ステップ102の次は、ステップ105に進む。一方、ステップ101の結果、エンジンが駆動系から切り離されていれば(S101−YES)、ステップ102は実行されずにステップ105に進む。
ステップ105では、低温燃焼を実施中であるか否かが判別される。このステップ105の低温燃焼には、ステップ90と同様に、図7の上記条件に従って行われる低温燃焼と上記減速時に行われる低温燃焼の両方が含まれる。ステップ105の結果、低温燃焼を実施中では無いと判定されれば、ステップ200に進む。
ステップ200では、低温燃焼が行われる。その低温燃焼を行うべく、機関回転数N,スロットル弁20の開度ST,空燃比A/F,燃料噴射量Q,EGR制御弁31の開度SE等の各パラメータが低温燃焼用の所定値に制御される。この場合の制御の一例として、低温燃焼のもとでアイドリング運転が行われるように各パラメータを制御することができる。但し、ステップ200で行う低温燃焼としては、アイドリング運転に限定されるわけではなく、低温燃焼によって発生させるべき未燃HCやCOの量を考慮して、様々な運転状態が考えられる。以下に、ステップ200の一例として、低温燃焼のもとでアイドリング運転を行うための制御について説明する。
アイドリング運転時には、前述したようにスロットル弁20およびEGR制御弁31は、全閉近くまで閉弁せしめられる。アイドリング運転時には、機関のアイドリング回転数Nが目標アイドリング回転数tNとなるように制御されており、このアイドリング回転数の制御は、スロットル弁20の開度を制御することによって、即ち吸入空気量を制御することによって行われる。
一方、燃焼室5内に吸入される実際の吸入空気の質量流量Ga(以下、単に吸入空気量Gaという)が質量流量計49により検出されている。アイドリング運転時には、実際の吸入空気量Gaとアイドリング時の目標空燃比A/Fから、空燃比を目標空燃比A/Fとするのに必要な燃料噴射量Qが算出される。従って、アイドリング運転時には、機関回転数を上昇すべく吸入空気量が増大せしめられると燃料噴射量Qが増大せしめられ、機関回転数を低下すべく吸入空気量が減少せしめられると燃料噴射量Qが減少せしめられる。
また、アイドリング運転時には、EGR率がスロットル弁20の下流の吸気通路内の圧力PMに基づいて、アイドリング運転時の目標EGR率となるように制御される。即ち、吸入空気量GaとEGRガス量が定まると、スロットル弁20の下流の吸気通路内の圧力PMが定まる。アイドリング運転時には、吸入空気量Gaはほぼ一定であり、従ってこのときEGRガス量が目標量になっていたとすると、即ちEGR率が目標EGR率になっていたとすると、スロットル弁20の下流の吸気通路内の圧力PMは、或る一定の圧力となる。従って逆に言うと、スロットル弁20の下流の吸気通路内の圧力PMが、この或る一定圧力となるようにEGR量を制御すれば、EGR率が目標EGR率になることになる。
そこで、この吸気通路内の或る一定圧力を目標圧力PM0として予め記憶しておき、スロットル弁20の下流の吸気通路内の圧力PMがこの目標圧力PM0となるようにEGR制御弁31の開度を制御することによって、EGR率が目標EGR率となるようにする。これにより、低温燃焼のもとでのアイドリング運転が実施される。ステップ200の次には、ステップ210に進む。
なお、上記ステップ105において、低温燃焼を実施中であると判定された場合には、上記ステップ200は実行されずにステップ210に進む。現在、低温燃焼を実施中であれば、ステップ200で改めて低温燃焼を行うための制御は必要ないためである。
なお、図示はしないが、上記ステップ105において、低温燃焼を実施中であると判定された場合(S105−YES)に、ステップ210に進む前に、ステップ200と同様な低温燃焼の運転状態(上記例ではアイドリング運転)となるように上記各パラメータを所定値に制御し、その後にステップ210に進むことができる。
ステップ210では、上記カウンタのカウント値が所定のしきい値以上であるか否かが判定される。上記カウンタのカウント値は、上記ステップ91及び92で示したように、低温燃焼を継続的に実行している時間を示している。上記しきい値は、低温燃焼によって発生する未燃HCやCO、即ち、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bに供給される未燃HCやCO、が所望の量だけ得られるために必要な時間に設定される。即ち、未燃HCやCOの発生量が、触媒25a内やパティキュレートフィルタ25b内での発熱量・発熱時間に対応し、それに応じて、エンジン停止時における触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度低下の抑制効果が変わることから、その抑制効果が所望なレベルまで得られるように、上記しきい値を設定する。
ステップ210の結果、上記カウンタのカウント値が上記しきい値以上である場合(S210−YES)には、エンジンの一時停止の許可が出力される(ステップ220)。これにより、ステップ100のエンジン一時停止指令に基づく、エンジンの一時停止が実行
される。その後、ステップ230に進み、ステップ102にて行ったエンジンの駆動系からの切り離しが解除される。その後、図13の先頭のステップ90に戻って、上述のフローが繰り返し実行される(リターン)。
一方、ステップ210の結果、上記カウンタのカウント値が上記しきい値以上ではない場合(S210−NO)には、ステップ220及び230は実行されずに、図13の先頭のステップ90に戻って、上述のフローが繰り返し実行される(リターン)。
即ち、ステップ210の結果、上記カウント値が上記しきい値以上ではない場合には、低温燃焼を継続して行う時間が不足であり、未燃HCやCOの発生量が不足であると判断されて、エンジンの一時停止が許可されず、かつエンジンの駆動系からの切り離しが解除されずに、再度ステップ90に戻る。この戻った場合、ステップ90では、低温燃焼を実施中と判断されるので、上記カウンタのカウント値がインクリメントされる(S90−YES,S91)。その次のステップ100では、先のエンジン一時停止指令が実行されずに出力されたままであるので(前のステップ210はNOなのでステップ220は実行されていない)、エンジン一時停止指令が出力中であると判定され(S100−YES)、ステップ101に進む。
そのステップ101では、先にエンジンが駆動系から切り離された状態が継続しているので(S101−YES)、ステップ102を実行せずにステップ105に進む。そのステップ105では、低温燃焼を実施中であると判定されるので(S105−YES)、ステップ200を実行することなく、ステップ210に進む。ステップ210では、再度、上記カウンタ値が上記しきい値以上であるか否かが判定される。
そのステップ210の結果、上記しきい値以上ではないと判定された場合には(S210−NO)、エンジンの一時停止許可が出力されること無く、かつエンジンの駆動系からの切り離しが解除されずに、再び、ステップ90に戻る。それ以降は、ステップ210で上記カウンタ値が上記しきい値以上になるまで上記のフローが繰り返され、ステップ210で上記カウンタ値が上記しきい値以上になった時点でエンジンの一時停止許可が出力され(S220)、エンジンが駆動系から切り離されていた状態が解除される(S230)。
次に、図14を参照して、本実施形態の効果について説明する。
従来は、図14の破線に示すように、符号aの時点でエンジン一時停止指令が出力されてから直ちにエンジン一時停止の許可が出されてエンジンが停止していたため、そのエンジンが停止されたaの時点から触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度が下降し始め、エンジンが再始動するdの時点では、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度が活性化の最低温度Tccoよりも低下していた。そのため、エンジンが再始動後の排気エミッションが悪化していた。即ち、エンジンが再始動した後に、エンジンから排出される排ガス等により触媒25aやパティキュレートフィルタ25bが加熱されて、活性化最低温度Tccoを超えるまでの間の排気の浄化が不十分であった。
これに対し、本実施形態では、図14の実線で示すように、エンジン一時停止指令が出力されてからエンジン一時停止の許可が出されるまでに、必ず所定時間の低温燃焼が行われる。符号aの時点で低温燃焼が行われると、比較的多量の未燃HCやCOなどの触媒で反応する物質が発生し、その比較的多量の未燃HCやCOが触媒25aやパティキュレートフィルタ25bに供給されることにより、触媒25a内やパティキュレートフィルタ25b内で比較的発熱量の大きな発熱反応が起きる。そのため、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度が上昇する。触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度は、aの時点にて低温燃焼が開始された直後から上昇し始め、符号bで示す所定の低
温燃焼の時間(ステップ210)が経過し、cの時点にてエンジンの一時停止が許可されて、エンジンが停止された後も暫くは、符号bの期間内に触媒25aやパティキュレートフィルタ25bに供給された未燃HCやCOの酸化反応熱によって、上昇し続ける。エンジン停止後に、上昇しきったところから徐々に温度は下降するが、通常の殆ど全てのケースにおいて、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの活性化の最低温度Tccoよりも下降する前の、dの時点にてエンジンが再始動するので、再始動後の排気エミッションの悪化が低減される。
なお、低温燃焼を行う代わりに触媒の温度を上昇させる手段としては、噴射時期を遅らせる等により排ガス温度を上昇させる方法があるが、本実施形態のように、エンジンが停止された後にも長時間触媒の温度が高温に保持されるための方法としては必ずしも適当ではない。高い温度の排ガス温度を排出する方法は、エンジンが停止されるまでの間(排ガスが排出される間)しか有効ではないためである。これに対し、低温燃焼では、エンジン停止前に排出された排ガスに含まれる未燃HCやCOが触媒に供給されることによって、エンジン停止後においても触媒内での発熱が行われるため、エンジン停止後にも触媒の温度は上昇しつづけ、高い温度に保持された時間が長くなる。
また、本実施形態では、エンジン停止の直前に低温燃焼制御が行われることにより以下の効果を奏することもできる。低温燃焼時は、スロットル弁20の弁開度が低減することによりインテークマニホールド内の負圧が低減するため、燃焼音が低減し、エンジン自体の停止時振動を抑制することができる。アイドリング運転状態での低温燃焼が行われるときには、スロットル弁20の弁開度が全閉近くまで閉弁すると、圧縮始めの燃焼室5内の圧力が低くなるために圧縮圧力が小さくなる。圧縮圧力が小さくなるとピストン4による圧縮仕事が小さくなるために機関本体1の振動が小さくなる。
なお、低温燃焼を行うと、燃料およびその周囲のガス温は低くなるが排気ガス温は上昇する。これにより、エンジン停止前の触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度の上昇に貢献する。低温燃焼時の排気ガス温度の上昇について図15−1,図15−2を参照しつつ説明する。
図15−1の実線は、低温燃焼が行われたときの燃焼室5内の平均ガス温Tgとクランク角との関係を示している。図15−1の破線は、通常燃焼が行われたときの燃焼室5内の平均ガス温Tgとクランク角との関係を示している。また、図15−2の実線は、低温燃焼が行われたときの燃料およびその周囲のガス温Tfとクランク角との関係を示している。図15−2の破線は、通常燃焼が行われたときの燃料およびその周囲のガス温Tfとクランク角との関係を示している。
低温燃焼が行われているときには、通常燃焼が行われているときに比べてEGRガス量が多く、従って、図15−1に示されるように、圧縮上死点前は、即ち圧縮工程中は、実線で示す低温燃焼時における平均ガス温Tgのほうが破線で示す通常燃焼時における平均ガス温Tgよりも高くなっている。なお、このとき図15−2に示されるように、燃料およびその周囲のガス温Tfは、平均ガス温Tgとほぼ同じ温度になっている。
次いで、圧縮上死点付近において燃焼が開始されるが、この場合、低温燃焼が行われているときには、図15−2の実線で示されるように、EGRガスの吸熱作用により燃料およびその周囲のガス温Tfは、さほど高くならない。これに対して、通常燃焼が行われている場合には、燃料周りに多量の酸素が存在するために、図15−2の破線で示されるように、燃料およびその周囲のガス温Tfは、極めて高くなる。このように、通常燃焼が行われた場合には、燃料およびその周囲のガス温Tfは、低温燃焼が行われている場合に比べてかなり高くなるが、大部分を占めるそれ以外のガスの温度は、低温燃焼が行われてい
る場合に比べて、通常燃焼が行われている場合の方が低くなっており、従って、図15−1に示されるように、圧縮上死点付近における燃焼室5内の平均ガス温Tgは、低温燃焼が行われている場合の方が通常燃焼が行われている場合に比べて高くなる。その結果、図15−1に示されるように、燃焼が完了した後の燃焼室5内の既燃ガス温は、低温燃焼が行われた場合の方が通常燃焼が行われた場合に比べて高くなり、斯くして低温燃焼を行うと排気ガス温が高くなる。
次に、図16を参照して、第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、上記第1実施形態と動作フローの一部が異なるのみで、それ以外は共通である。共通点については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
図16に示すように、まず初めに低温燃焼を実施中か否かが判定される(ステップ90)。低温燃焼を実施中であれば、低温燃焼の実施時間を計時するカウンタをインクリメントする(ステップ91)。一方、低温燃焼を実施中で無ければ、上記カウンタをリセットする(ステップ92)。ステップ91または92の後に、ステップ100に進む。ステップ100では、エンジンの一時停止指令が出力されているか否かが判定される。エンジンの一時停止指令が出力されているとき(S100−YES)には、ステップ101に進む。エンジンの一時停止指令が出力されていないとき(S100−NO)には、以下のステップ101〜230までの処理を行わずに、図16の先頭のステップ90に戻る(リターン)。
ステップ101では、エンジンが駆動系から切り離されているか否かが判定される。ここでは、未だ、エンジンが駆動系から切り離されていないため(S101−NO)、ステップ102に進む。ステップ102では、エンジンを駆動系より切り離す操作が行われる。ステップ102の次には、ステップ301に進む。一方、ステップ101の結果、エンジンが駆動系から切り離されていれば(S101−YES)、ステップ102は実行されずにステップ301に進む。
ステップ301では、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcが予め設定された温度Tset1よりも低いか否かが判定される。ここで、温度Tset1は、活性化最低温度Tccoよりも高い温度である。ステップ301の結果、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcが予め設定された温度Tset1よりも低い場合には、フラグ1がセットされた後に(ステップ302)、ステップ105に進む。ステップ301の結果、温度Tcが温度Tset1よりも低くない場合には、そのままステップ105に進む。
ステップ105では、低温燃焼を実施中であるか否かが判別される。ステップ105の結果、低温燃焼を実施中で無ければ、ステップ200に進む。
ステップ200では、低温燃焼が行われる。その低温燃焼を行うべく、機関回転数N,スロットル弁20の開度ST,空燃比A/F,燃料噴射量Q,EGR制御弁31の開度SE等の各パラメータが低温燃焼用の所定値に制御される。ステップ200の次には、ステップ303に進む。なお、ステップ105の結果、低温燃焼を実施中であれば、ステップ200を実行することなくステップ303に進む。
なお、図示はしないが、上記ステップ105において、低温燃焼を実施中であると判定された場合(S105−YES)に、ステップ303に進む前に、ステップ200と同様な低温燃焼の運転状態となるように上記各パラメータを所定値に制御し、その後にステッ
プ303に進むことができる。
ステップ303では、フラグ1がセットされているか否かが判定される。フラグ1がセットされている場合には、ステップ304に進み、そうでない場合には、ステップ305に進む。
ステップ304では、上記カウンタのカウント値が第1の設定値以上であるか否かが判定される。ステップ305では、上記カウンタのカウント値が第2の設定値以上であるか否かが判定される。ここで、第1の設定値は、第2の設定値よりも大きな値である。ステップ304の結果、上記カウンタ値が第1の設定値以上と判定されると、エンジンの一時停止の許可が出力される(ステップ220)。同様に、ステップ305の結果、上記カウンタ値が第2の設定値以上と判定されると、エンジンの一時停止の許可が出力される(ステップ220)。ステップ220の後、ステップ230に進み、ステップ102にて行ったエンジンの駆動系からの切り離しが解除される。ステップ230の次には、ステップ306に進み、フラグ1がリセットされる。その後、図16の先頭のステップ90に戻って、上述のフローが繰り返し実行される(リターン)。
第2実施形態では、ステップ301にて触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcが設定温度Tset1以上ではなかった場合には、温度Tcが設定温度Tset1以上であった場合に比べて、より長い時間(第1の設定値)、低温燃焼が継続的に実施されなければ、エンジンの一時停止が許可されないように構成されている。これにより、エンジンの一時停止指令が出された時点で、比較的温度の低い触媒25a及びパティキュレートフィルタ25bには、比較的長い時間低温燃焼が行われ、その分、比較的多くの未燃HCやCOが触媒25aやパティキュレートフィルタ25bに供給されることにより、触媒25a内やパティキュレートフィルタ25b内での発熱量・発熱時間を比較的多くすることができ、触媒25a及びパティキュレートフィルタ25bの温度上昇を比較的大きく確保することができる。よって、その後のエンジンの一時停止後の触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度の下降に対しても十分に備えることができる。
次に、第3実施形態について説明する。
第3実施形態では、上記第1実施形態と動作フローの一部が異なるのみで、それ以外は共通である。共通点については、その詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第3実施形態では、図13に示す第1実施形態のステップ210において、上記カウンタ値が所定値以上であると判定されたときに、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcが予め設定された温度Tset2以上であるか否かが判定される。その判定の結果、温度Tcが予め設定された温度Tset2以上になるまで、図13のステップ220に進まず、低温燃焼が継続される。上記判定の結果、温度Tcが予め設定された温度Tset2以上になると、エンジンの一時停止許可が出力される(S220)。
第1実施形態では、ステップ210において、上記カウンタ値が所定値以上であると判定されたときに、直ちにエンジンの一時停止許可が出力されていたのに対し(S220)、第3実施形態では、ステップ210において、上記カウンタ値が所定値以上であっても、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcが予め設定された温度Tset2以上にまで上昇していなければ、低温燃焼を停止しない(エンジン一時停止を許可しない)というものである。これにより、更に、エンジン一時停止後に再始動したときの排気エミッションの悪化が確実に低減される。
次に、第4実施形態について説明する。
第4実施形態では、上記第1実施形態と動作フローの一部が異なるのみで、それ以外は共通である。共通点については、その詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第4実施形態では、第1実施形態のステップ200において、更に、低温燃焼が行われる際の空燃比をリッチにする。エンジンの一時停止の許可が出力される前の低温燃焼の際に、空燃比をリッチにすることにより、エンジンから更に多量の未燃HC、COを排出させることができ、その酸化反応熱により触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度を上昇させることができる。以下、詳しく説明する。
図7の条件に従って行われる第1の運転領域I、即ち、図7に示すように、要求トルクTQが機関回転数Nの関数である第2の境界Y(N)よりも低いために開始された低温燃焼であって、その後も、要求トルクTQが機関回転数Nの関数である第1の境界X(N)を超えていないために継続的に実行されている低温燃焼では、通常リーン空燃比のもとで、低温燃焼が行われている。従って、その排気ガス中には、過剰の酸素が含まれており、この過剰酸素は、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25b内に吸着される(O2ストレージ効果)。また、上記第1の運転領域Iではなく、図7の条件に従って第2の運転領域II(通常燃焼)が行われていた場合にも、通常、通常燃焼はリーンな空燃比で行われているため、その排気ガス中には、過剰の酸素が含まれており、その過剰酸素は、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25b内に吸着される(O2ストレージ効果)。従って、低温燃焼と通常燃焼のいずれの燃焼が行われていた場合であっても、O2ストレージ効果が十分に奏された状態となっており、その状態で、仮に燃焼室5から多量の未燃HC,COが排出されると、これら未燃HC,COは、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bに吸着されている多量の酸素によって酸化せしめられ、このときの酸化反応熱によって、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度が上昇せしめられることになる。
そこで、第4実施形態では、ステップ200aに示すように、、エンジンの一時停止の直前に行う低温燃焼において、空燃比をリッチにするようにしている。空燃比をリッチにすると、機関からは多量の未燃HC,COが排出され、斯くして酸化反応熱により触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcが上昇する。その結果、その後のエンジンの一時停止後の触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度の下降に対しても有効に備えることができる。また、エンジンの一時停止の直前に行う低温燃焼において、空燃比をリッチにすることで、エンジンの一時停止の直前に行う低温燃焼の実行時間が短くても、触媒25a等の温度を上昇させることができる。
次に、第5実施形態について説明する。
第5実施形態では、上記第2実施形態と動作フローの一部が異なるのみで、それ以外は共通である。共通点については、その詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
上記第2実施形態と異なり、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcが設定温度Tset1以上ではなくフラグ1がセットされている場合(S303−YES)には、低温燃焼の際の空燃比をリッチにし、温度Tcが設定温度Tset1以上であった場合(S303−NO)には、低温燃焼の際の空燃比をリッチにしない(通常はリーンとされる)。
これにより、エンジンの一時停止指令が出された時点で、比較的温度の低い触媒25a及びパティキュレートフィルタ25bには、エンジンの一時停止の直前に行う低温燃焼において、空燃比をリッチにすることで、機関から多量の未燃HC,COを排出させ、その
分の酸化反応熱により触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcを効果的に上昇させる。その結果、その後のエンジンの一時停止後の触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度の下降に対しても有効に備えることができる。
次に、第6の実施形態について説明する。
第6実施形態では、上記第5実施形態と動作フローの一部が異なるのみで、それ以外は共通である。共通点については、その詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第6実施形態では、次に述べる点のみが上記第5実施形態と異なっている。即ち、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcが設定温度Tset1以上ではなくフラグ1がセットされている場合(S303−YES)には、温度Tcが設定温度Tset1以上であった場合(S303−NO)と異なり、図17に示すように、低温燃焼の際の噴射開始時期θSが予め定められた値ΔθSだけ遅くされる。その結果、噴射開始時期を遅らせた分、熱エネルギーをトルクとして変換できない部分が残り、その部分が熱をもったまま排気されるので、排気ガス温が上昇せしめられ、斯くして触媒25の温度Tcが上昇せしめられる。
これにより、エンジンの一時停止指令が出された時点で、比較的温度の低い触媒25a及びパティキュレートフィルタ25bには、エンジンの一時停止の直前に行う低温燃焼において、噴射開始時期θSが予め定められた値ΔθSだけ遅くされることで、排気ガス温を上昇させて、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcを効果的に上昇させる。その結果、その後のエンジンの一時停止後の触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度の下降に対しても有効に備えることができる。
次に、第7の実施形態について説明する。
第7実施形態では、上記第5実施形態と動作フローの一部が異なるのみで、それ以外は共通である。共通点については、その詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第7実施形態では、次に述べる点のみが上記第5実施形態と異なっている。即ち、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcが設定温度Tset1以上ではなくフラグ1がセットされている場合(S303−YES)には、温度Tcが設定温度Tset1以上であった場合(S303−NO)と異なり、図18に示すように、主噴射Qm に先立って圧縮上死点前にパイロット噴射Qp が行われる。このパイロット噴射Qp の噴射量は、少量でかつ一定量である。一方、主噴射Qm は、圧縮上死点後に行われ、噴射量Qが増大したときには主噴射Qm の噴射量が増大せしめられる。
この場合、主噴射Qm の噴射時期が遅いので、機関の出力が低下し、斯くして機関回転数Nが低下する。機関回転数Nが低下すると、機関回転数Nを目標回転数N0(例えば、目標アイドリング回転数)まで上昇すべく吸入空気量が増量され、それに伴なって、燃料噴射量Qが増量される。燃料噴射量Qが増大せしめられると、排気ガス温が上昇し、斯くして触媒25の温度Tcが上昇する。
これにより、エンジンの一時停止指令が出された時点で、比較的温度の低い触媒25a及びパティキュレートフィルタ25bには、エンジンの一時停止の直前に行う低温燃焼において、パイロット噴射を行うと共に主噴射の噴射時期を圧縮上死点以後とすることで、排気ガス温を上昇させて、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcを効果的に上昇させる。その結果、その後のエンジンの一時停止後の触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度の下降に対しても有効に備えることができる。
次に、第8の実施形態について説明する。
第8実施形態では、上記第5実施形態と動作フローの一部が異なるのみで、それ以外は共通である。共通点については、その詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第8実施形態では、次に述べる点のみが上記第5実施形態と異なっている。即ち、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcが設定温度Tset1以上ではなくフラグ1がセットされている場合(S303−YES)には、温度Tcが設定温度Tset1以上であった場合(S303−NO)と異なり、燃料噴射圧を低下させる。
具体的には、コモンレール34内の目標燃料圧Pが予め定められた値ΔPだけ低下せしめられる。コモンール34内の目標燃料圧が低下せしめられると、燃料の噴射期間が長くなる。燃料の噴射期間が長くなると機関の出力が低下し、斯くして機関回転数Nが低下する。機関回転数Nが低下すると、機関回転数Nを目標回転数N0 (例えば、目標アイドリング回転数)まで上昇すべく吸入空気量が増量され、それに伴なって燃料噴射量Qが増量される。燃料噴射量Qが増大せしめられると、排気ガス温が上昇し、斯くして触媒25の温度Tcが上昇する。
これにより、エンジンの一時停止指令が出された時点で、比較的温度の低い触媒25a及びパティキュレートフィルタ25bには、エンジンの一時停止の直前に行う低温燃焼において、燃料噴射圧を低下させることで、排気ガス温を上昇させて、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcを効果的に上昇させる。その結果、その後のエンジンの一時停止後の触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度の下降に対しても有効に備えることができる。
次に、第9の実施形態について説明する。
第9実施形態では、上記第5実施形態と動作フローの一部が異なるのみで、それ以外は共通である。共通点については、その詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第9実施形態では、次に述べる点のみが上記第5実施形態と異なっている。即ち、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcが設定温度Tset1以上ではなくフラグ1がセットされている場合(S303−YES)には、温度Tcが設定温度Tset1以上であった場合(S303−NO)と異なり、機関の目標回転数(例えば、目標アイドリング回転数)を上昇させる。
上記においては、目標回転数(例えば、目標アイドリング回転数)tNが上昇せしめられる。目標回転数tNが上昇せしめられれば、吸入空気量が増大され、それに伴なって燃料噴射量Qが増量される。燃料噴射量Qが増大せしめられると、排気ガス温が上昇し、斯くして触媒25の温度Tcが上昇する。
これにより、エンジンの一時停止指令が出された時点で、比較的温度の低い触媒25a及びパティキュレートフィルタ25bには、エンジンの一時停止の直前に行う低温燃焼において、機関の目標回転数(例えば、目標アイドリング回転数)を上昇させることで、排気ガス温を上昇させて、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tcを効果的に上昇させる。その結果、その後のエンジンの一時停止後の触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度の下降に対しても有効に備えることができる。
次に、第10の実施形態について説明する。
第10実施形態では、上記第1実施形態と動作フローの一部が異なるのみで、それ以外は共通である。共通点については、その詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
上記第1実施形態では、エンジン一時停止の直前に、低温燃焼を実施したが、第10実施形態では、低温燃焼に代えて、いわゆるビゴム(VIGOM)噴射が行われる。以下、ビゴム噴射について説明する。
図19に示されるように、吸気行程の初期に第1回目の燃料噴射Qi が行われ、圧縮行程末期に第2回目の燃料噴射、即ち主噴射Qm が行われる(ビゴム噴射)。図17に示す実施形態では、第1回目の燃料噴射Qi の噴射量は、少量でかつ一定量とされ、燃料噴射量Qが増大すると、主噴射Qm の噴射量が増大せしめられる。
これに対し、第10実施形態では、図19に示されるように、第1回目の燃料噴射Qi を吸気行程中に行うと、この燃料は燃焼室5内全体に広がる予混合気を形成する。このように予混合気が形成されると、主噴射Qm が行われたときの着火遅れが短かくなるが、一部の予混合気は燃焼せしめられることなく機関から排出される。即ち、このようなビゴム噴射を行うと、機関からは多量の未燃HC,COが排出される。その結果、酸化反応熱により触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度Tc が上昇せしめられる。
ビゴム噴射が行われると、比較的多量の未燃HCやCOが発生し、その比較的多量の未燃HCやCOが触媒25aやパティキュレートフィルタ25bに供給されることにより、触媒25a内やパティキュレートフィルタ25b内で比較的発熱量の大きな発熱反応が起きる。そのため、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度が上昇する。その温度の推移は、図14と同様となる。即ち、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度は、ビゴム噴射が開始された直後から上昇し始め、所定のビゴム噴射の時間が経過した時点で、エンジンの一時停止が許可されて、エンジンが停止された後も暫くは上昇し続ける。上昇しきったところから徐々に温度は下降するが、通常の殆ど全てのケースにおいて、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの活性化の最低温度Tccoよりも下降する前の時点にてエンジンが再始動するので、再始動後の排気エミッションの悪化が低減される。
次に、第11の実施形態について説明する。
第11実施形態では、上記第10実施形態と動作フローの一部が異なるのみで、それ以外は共通である。共通点については、その詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第11実施形態では、次に述べる点のみが上記第10実施形態と異なっている。低温燃焼を実施中でない場合には、瞬時に空燃比をリッチにし、その後、予め定められた期間は空燃比をリーンにする。例えば一回の燃料噴射時だけ空燃比が大巾にリッチとされる。即ち、この実施形態では、多量の未燃HC,COを一気に触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bに送り込み、このときの酸化反応熱でもって触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度を急激に上昇させるようにしている。
ステップ400aでは、比較的多量の未燃HCやCOが発生し、その比較的多量の未燃HCやCOが触媒25aやパティキュレートフィルタ25bに供給されることにより、触媒25a内やパティキュレートフィルタ25b内で比較的発熱量の大きな発熱反応が起きる。そのため、触媒25aやパティキュレートフィルタ25bの温度が上昇する。その温度の推移は、図14と同様となる。
次に、第12の実施形態について説明する。
第12実施形態では、上記第10実施形態と動作フローの一部が異なるのみで、それ以外は共通である。共通点については、その詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第12実施形態では、次に述べる点のみが上記第10実施形態と異なっている。低温燃焼を実施中でない場合には、膨張行程又は排気工程中に追加の燃料を追加する。例えば一回の燃料噴射時だけ、追加の燃料Qadd が、膨張行程後半又は排気行程中に噴射される。この追加の燃料Qadd は、燃焼することなく機関から排出される。従って、この実施形態でも、多量の未燃HC,COを一気に触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bに送り込み、このときの酸化反応熱でもって触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度を急激に上昇させるようにしている。その温度の推移は、図14と同様となる。
上記各実施の形態では、排気浄化装置の一例として、触媒25a,パティキュレートフィルタ25bを説明したが、公知の酸化触媒、ディーゼルパティキュレートフィルタ、吸蔵還元型NOx触媒、吸蔵還元型NOx触媒を担持したディーゼルパティキュレートフィルタ、酸化触媒を担持したディーゼルパティキュレートフィルタなどであってもよい。
上記第6〜第9の各実施形態では、エンジンの一時停止指令が出された時点で、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度が比較的低い場合に限って上記第6〜第9の各実施形態に特有の動作を実施している。これらに代えて、エンジンの一時停止指令が出された時点での、触媒25a又はパティキュレートフィルタ25bの温度に関わらず常に、上記第6〜第9の各実施形態に特有の動作を実施する構成にすることができる。
上記第10〜第12の各実施形態では、エンジンが一時停止される直前に低温燃焼が行われること無く、上記第10〜第12の各実施形態に特有の動作が実施されるが、エンジンが一時停止される直前に低温燃焼が行われ、かつその低温燃焼を実施するに際して上記第10〜第12の各実施形態に特有の動作の運転をすることができる。
以上のように、特に、エコラン制御やハイブリッド制御等によりエンジンが一時停止された場合に、触媒を含む排気浄化装置の温度が低下し、エンジン再始動後の排気の浄化が不十分になることを防止することができる内燃機関に適用可能である。
圧縮着火式内燃機関の全体図である。 スモークおよびNOxの発生量等を示す図である。 空燃比が21付近でスモークの発生量が最も多いときの燃焼室内の燃焼圧変化を示す図である。 空燃比が18付近でスモークの発生量がほぼ零のときの燃焼室内の燃焼圧変化を示す図である。 燃料分子を示す図である。 スモークの発生量とEGR率との関係を示す図である。 噴射燃料量と混合ガス量との関係を示す図である。 第1の運転領域Iと第2の運転領域IIを示す図である。 スロットル弁の開度等を示す図である。 要求トルクとアクセルペダルの踏み量と機関回転数との関係を示す図である。 第1の運転領域Iにおける空燃比を示す図である。 第2の運転領域IIにおける空燃比を示す図である。 パティキュレートフィルタの正面図である。 パティキュレートフィルタの側面断面図である。 第1実施形態の動作を示すフローチャートである。 第1実施形態における触媒温度と時間的推移を示す図である。 低温燃焼および通常燃焼のそれぞれが行われたときの燃焼室内の平均ガス温とクランク角との関係を示す図である。 低温燃焼および通常燃焼のそれぞれが行われたときの燃料およびその周囲のガス温とクランク角との関係を示す図である。 第2実施形態の動作を示すフローチャートである。 第6実施形態での噴射時期を示す図である。 第7実施形態での噴射時期を示す図である。 第10実施形態での噴射時期を示す図である。
符号の説明
5 燃焼室
6 電気制御式燃料噴射弁
7 吸気弁
8 吸気ポート
9 排気弁
10 排気ポート
11 吸気枝管
12 サージタンク
17 空気吸込管
19 スロットル弁制御用ステップモータ
20 スロットル弁
21 排気マニホルド
22 排気管
24 排気管
25a 触媒
25b パティキュレートフィルタ
26 触媒コンバータ
27 温度センサ
28 排気管
29 EGR通路
30 EGR制御弁制御用ステップモータ
33 燃料供給管
34 コモンレール
35 燃料ポンプ
36 燃料圧センサ
39 圧力センサ
40 電子制御ユニット
42 ROM
43 RAM
44 CPU
45 入力ポート
46 出力ポート
49 質量流量計
50 アクセルペダル
51 負荷センサ
52 クランク角センサ

Claims (7)

  1. 機関排気通路内に酸化機能を有する触媒を含む排気浄化装置が配置された内燃機関であって、
    機関を一時停止するために前記機関の一時停止指令が出力されると、前記排気浄化装置で前記機関の一時停止後に未燃HCあるいはCOの少なくともいずれか一方を含む発熱反応を起こす物質の発生量を増大する運転モードが前記機関の停止前に実行される
    ことを特徴とする内燃機関。
  2. 燃焼室内の不活性ガス量を増大していくと煤の発生量が次第に増大してピークに達する内燃機関であって、
    機関排気通路内に酸化機能を有する触媒を含む排気浄化装置が配置され、
    機関を一時停止するために前記機関の一時停止指令が出力されると、前記排気浄化装置で前記機関の一時停止後に未燃HCあるいはCOの少なくともいずれか一方を含む発熱反応を起こす物質の発生量が増大する運転モードが前記機関の停止前に実行され、
    前記運転モードでは、煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内の不活性ガス量が多くなるように制御される
    ことを特徴とする内燃機関。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関において、
    前記機関の停止前には少なくとも、設定された時間、前記運転モードが実行される
    ことを特徴とする内燃機関。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関において、
    前記排気浄化装置の温度に応じて、前記機関の停止前の前記運転モードの実行時間が変更される
    ことを特徴とする内燃機関。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の内燃機関において、
    前記排気浄化装置の温度が設定された温度になるまで、前記機関の停止前の前記運転モードが実行される
    ことを特徴とする内燃機関。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の内燃機関において、
    前記機関の停止前の前記運転モードでは、空燃比がリッチにされる
    ことを特徴とする内燃機関。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載の内燃機関において、
    前記機関の停止前の前記運転モードでは、更に、排気ガス温が上昇する運転がなされる
    ことを特徴とする内燃機関。
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