JP4246858B2 - ミリ波レーダ装置及び車間距離制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自車両と前方車両もしくは障害物などの物標との距離あるいは相対速度を検出するミリ波レーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ミリ波等の電波を用いた電波レーダは、雨,霧等が存在する悪天候でも電波ビームの減衰量が小さく、遠距離まで到達するので、航空管制,気象観測の分野で広く用いられてきた。最近では、自動車の予防安全の分野において、前方車との車間距離,相対速度を計測するミリ波レーダが研究開発され、商品化されつつある。その用途は電波レーダの変調方式にはいくつかあるが、代表的なものとしては、公知例昭49−107491号に示す、ダイプレックスドップラ方式のレーダがある。この方式の図9、図10を用い検知原理を説明する。図9はこの方式のブロック図を示しており、ミリ波発振器901は矩形波変調信号902を発生する変調器903により変調され、時分割でf1,f2(Δf:f2−f1)の2つの周波数の送信信号を送信アンテナ904から発射する。送信信号は前方車905に反射し受信信号となり、受信アンテナ906に入力される。このとき、前方車905とミリ波レーダ装置907間に相対速度Vがある場合、ドップラ周波数fd1,fd2が発生し、受信信号の周波数はf1+fd1,f2+fd2となる。受信信号がミキサ908を通過すると、fd1,fd2のそれぞれの情報を含む、時分割した信号(中間周波数信号(以下IF信号とする)914)となる。IF信号914はアンプ909により増幅されたのち、矩形波変調信号902に同期したスイッチ910により2つのS/H(サンプルホールド回路)911の方向に分配される。図10に矩形波変調信号902とIF信号914の関係を示す。S/H911を通過したIF信号914は、通過する前の時分割したIF信号914の方絡線からなる2つの信号となり、すなわちこの信号が変調周波数f1,f2に対するドップラ信号である。このドップラ信号をA/D912により離散値化し、信号処理装置913によりFFT解析すると、周波数fd1,fd2と位相差φ1,φ2が求まる。前方車905との相対速度Vは次式より求めることができる。
【0003】
V=C・fd1/(2・f1)またはC・fd2/(2・f2) …(式1)
C:電波伝播速度
fd1≪f1,fd2≪f2,Δf≪f1の場合、fd1≒fd2としてよい。よって、
V≒C・fd1/(2・f0) ここで、f0=(f1+f2)/2
である。
【0004】
また、車間距離Rは次式により表せる。
R=C・(φ1−φ2)/(4πΔf) …(式2)
【0005】
ここで、図2に示すように、自車両201と、その前方に乗用車A202及びトラックB203があり、それぞれの走行速度がV1,V2及びV3(V1>V3>V2)あるとき、相対速度は(V1−V2),(V1−V3)となる。この時、それぞれの相対速度に対するドップラ信号周波数をfd1A,fd2A,及びfd1B,fd2Bとした場合、その信号をFFT解析した結果を図3に示す(ここで、fd1A≒fd2A,fd1B≒fd2Bとしてよい)。それぞれのドップラ周波数fd1A,fd1Bに対応した周波数軸にスペクトルが表れる。この周波数情報と位相情報から、2台の車両の相対速度(V1−V2),(V1−V3)及びD1,D2を求めることができる。
【0006】
このダイプレックスドップラ方式の信号処理は、FFT解析の結果からスペクトルを検出し、一つ前方車両に対して、対応した一つスペクトルが存在し、その周波数情報から相対速度、また位相情報から距離を同時に求める事が可能であるため、複雑な信号処理を用いずとも、安定した、前方車両検知が可能となる利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、次のような点で問題があった。図4を用いて説明する。
【0008】
自車両401の前方に停止状態の乗用車A402とトラックB403とがある場合、自車両401に対する乗用車A402にトラックB403の相対速度は自車両速度V1に等しく、したがってドップラ信号の周波数fdA,fdBも等しくなる。この時のドップラ信号のスペクトルを図5に示す。
【0009】
このときトラックB403のドップラ信号の電力は乗用車A402のドップラ信号より大きいとき、トラックB403のスペクトルが、乗用車A402のスペクトルを隠してしまう。そのため自車両401に近い距離にある乗用車A402の反射信号を検出できなくなる。
【0010】
すなわち、前方に静止物標が複数ある場合、反射電力がもっとも強い物標のスペクトルが他のスペクトルを隠してしまう。
【0011】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ダイプレックスドップラ方式の利点を生かしつつ、自車両の前方にある複数の静止物標(停止車両を含む)のスペクトルを効果的に分離し、かつ負担の小さい信号処理で複数の静止物標の距離を検知する装置およびその応用方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明はこ前述の問題点を解決するために、従来の矩形波変調信号と発振周波数を時間的に小さくなるように線形変調するノコギリ波変調信号を効果的に組み合わせることにより、静止物標のスペクトルを分離し、なおかつ負荷の軽い信号処理により、その相対速度,及び距離を求めることにある。
【0013】
本発明は、具体的には次に掲げる装置および方法を提供する。
【0014】
本発明の第1の発明は、車両前方に設置され、前方車両もしくは障害物などの物標との距離あるいは相対速度を計測するミリ波レーダ装置において、ミリ波発振器と、そのミリ波発振器を2つの周波数f1,f2で瞬時に切替える矩形波を発生する矩形波変調回路と、変調したミリ波信号を送信するアンテナと前方車両もしくは障害物から反射したミリ波信号を受信するアンテナと、受信した信号からIF信号を生成するミキサと、周波数f1、f2の送信信号から得られる2つのIF信号の周波数より自車と前方車両もしくは障害物との相対速度、及び位相差より距離を算出する信号処理装置をそなえ、またミリ波発振器の発振周波数を時間的に連続に変化する連続波の変調信号をもちいた連続波変調回路と、変調したミリ波信号を送信するアンテナと、前方車両もしくは障害物から反射したミリ波信号を受信するアンテナと、受信した信号からIF信号を得るミキサと、そのIF信号の周波数より自車両と前方車両もしくは障害物の距離を算出する信号処理装置と、上記の2つの変調回路の切り替え、及び本ミリ波レーダ装置を搭載する車両の走行速度を検知する制御装置をそなえることを特徴とするミリ波レーダ装置を提供する。
【0015】
本発明の第2の発明は連続波変調回路の変調信号に、ミリ波発振器の発振周波数が、時間的に線形に変化する波形を含む連続波を用いたことを特徴とするミリ波レーダ装置を提供する。
【0016】
本発明の第3の発明は連続波変調手段の変調信号に、ミリ波発振器の発振周波数が、時間的に線形に下がるように変化する波形を含む連続波を用いたことを特徴とするミリ波レーダ装置を提供する。
【0017】
本発明の第4の発明は矩形波変調回路の変調信号による反射信号の周波数から計算した前方車両もしくは障害物の相対速度と車両の走行速度を比較し、その比較した結果をもとに静止物標の有無を判定して、矩形波変調回路と連続波変調回路を切替る制御装置をそなえることを特徴とするミリ波レーダ装置を提供する。
【0018】
本発明の第5の発明は矩形波変調回路の変調信号による、静止物標に対応したIF信号の周波数fdの結果をもとに、連続波変調回路の変調信号によるIF信号の、信号処理に用いる周波数範囲を、周波数fdを基準として限定し、距離を検出する信号処理装置をそなえることを特徴としたミリ波レーダ装置を提供する。
【0019】
本発明の第6の発明は、第1の発明であるミリ波レーダ装置により検知した、複数の前方車両もしくは障害物のうち、最も近い距離にある物標の距離情報をもとに、その物標とミリ波レーダを搭載する自車両との車間距離を一定に保つように、ブレーキアクチュエータとアクセルスロットルを制御する装置を備えることを特徴とする車間距離制御装置。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明のミリ波レーダ装置120を示すブロック図である。まず前方に静止物標(停止車両)がないときの前方車検知方法について説明する。
【0022】
ミリ波発振器101から発生する送信信号(周波数f)は,方向性結合器102を通過して送信アンテナ103から放射される。ミリ波発振器101は矩形波変調回路115の矩形波変調信号117もしくはノコギリ波変調回路116のノコギリ波変調信号118のいずれかより変調される。変調信号の切り替えは変調信号切替スイッチ114により行われる。ここで前方に静止物標がない場合は、矩形波変調信号117のみが選択される。この変調信号の選択は制御装置113により行なわれるが、制御方法については後述する。
【0023】
矩形波変調回路115はミリ波発振器101の発振周波数がf1,f2の二種類の周波数に交互に切り替わるように変調し、方向性結合器102は送信信号の一部をミキサ104に分配する。送信アンテナ103から放射された送信信号は前方車105にあたりのドップラシフトを受けた反射信号(周波数f0+fd)となる。その反射信号は受信アンテナ106によって受信され、受信信号となる。この受信信号は、ミキサ104により、送信信号の一部とミキシングされ、IF信号(ドップラ信号(周波数fd)を含む)となり、アンプ107により増幅される。
【0024】
変調信号が矩形波信号117のときは、アナログスイッチ108は矩形波変調信号117と同期してスイッチングされる。すなわちミリ波発振器101の周波数がf1のときは、LPF1109の方向へ、f2のときはLPF2110の方向へ、IF信号が流れるように切り替わる。LPF1109はミリ波発振器101の周波数がf1の時のドップラ信号(周波数fd1)を、LPF2110はミリ波発振器101の周波数がf2のときのドップラ信号(周波数fd2)を生成する。そのドップラ信号はA/Dコンバータ111により離散値化され、信号処理装置112よりFFT解析されて、ドップラ信号の周波数fd1と位相φ1及び周波数fd2と位相φ2を求めることができる。
【0025】
ここで、前方車105との車間距離R及び相対速度Vは次式により求まる。
【0026】
相対速度Vは、次式より計算する。
V=C・fd1/(2・f1)またはC・fd2/(2・f2) …(式3)
C:電波伝播速度
【0027】
また、車間距離Rは次式により計算する。
R=C・(φ1−φ2)/(4πΔf) …(式4)
【0028】
図2に示すように、自車両201の前方に乗用車A202、及びトラックB203があり、それぞれの相対速度が異なる場合、図3に示すように、周波数fd1A、fd1B及びfd2A、fd2Bのそれぞれの車両に対応したスペクトルが存在するので、同時に複数車両の相対速度、及び距離を計算することが可能である。
【0029】
ここで、検知した前方車両の車間距離及び相対速度の情報はシリアル通信等を用いて外部のACC(Adaptive Cruse Control: 車間距離制御)装置等に送られ、車両の制御を行なう。
【0030】
次に、前方に静止物標(停止車両)があるときの前方車検知方法について説明する。
【0031】
まず静止物標の有無の判断方法について説明する。図4に示すように、自車両401の前方に複数の停止車両(乗用車A402、トラックB403)があり、前述の図1の矩形波変調信号117を用いたとき、それぞれのドップラ信号の周波数を図5に示す。乗用車A402、トラックB403との相対速度Vは、自車両401の車両速度V1と等しいため、ドップラ信号の周波数fdA、fdBは等しくなる。これら周波数から相対速度を計算する。また自車両速度は車速センサの車速信号から求めることができる。つまり自車両の速度V1に等しい相対速度Vを持つ前方車両を停止車両と判断することができる。
【0032】
上記の判断は図1に示す制御装置113より行われる。制御装置113は信号処理装置112の計算結果と、車速信号114を入力し、停止車両の有無を判断する。停止車両を検知した場合、次の信号処理を行なう。
【0033】
制御装置113は変調信号切替スイッチ114において、変調信号にノコギリ波信号118を選択するように切り替える。ノコギリ波変調回路116はミリ波発振器101の発振周波数を時間的に線形に周波数が下がるように変調する。送信アンテナ103から放射された送信信号は前方車両105にあたりのドップラシフトを受けた反射信号(周波数f0+fd)となる。その反射信号は受信アンテナ106によって受信され、受信信号となる。この受信信号は、ミキサ104により、送信信号の一部とミキシングされ、IF信号となり、アンプ107により増幅される。ここで、制御装置113はアナログスイッチ108の極性をLPF1109の方向へ、IF信号が流れるように一方向に固定する。LPF1109は前方車105とレーダ120車両間の距離の情報を含む周波数(前方車両が2台のときはfdA、fdB)をもつIF信号を生成する。そのIF信号はA/Dコンバータ111により離散値化され、信号処理装置112よりFFT解析されて、周波数fdA、fdBを求めることができる。
【0034】
ノコギリ波変調信号を使った、信号処理方法について説明する。図4のように前方に停止車両A、及びBがあるとき、図6に示すように送信信号を矩形波変調信号で変調する場合(区間A)とノコギリ波変調信号(区間B)で変調する場合の受信信号の周波数を示す。区間Aにおいては、IF信号の周波数fdは送信信号の周波数f0と受信信号の周波数fの差をとることで求めることができる。
【0035】
区間AのIF信号周波数: fd=f−f0 …(式5)
【0036】
また区間Bにおいて、前方車両A、及びBのIF信号周波数は次式のように表すことができる。
【0037】
fdA=4・Δf・Fm・D1/C+fd …(式6)
fdB=4・Δf・Fm・D2/C+fd …(式7)
fd=2・V/C・f0 …(式8)
Fm=1/(2・T) …(式9)
Δf: ノコギリ波変調信号による変調周波数幅
Fm: ノコギリ波変調信号の繰り返し周波数
T : ノコギリ波の繰り返し周期
fd: ドップラ周波数
fdA: 停止車両AのIF信号周波数
fdB: 停止車両BのIF信号周波数
D1: 停止車両Aの車間距離
D2: 停止車両Bの車間距離
【0038】
ノコギリ波変調信号を用いたときの(区間B)、周波数スペクトルを図7に示す。停止車両AとBは車間距離が異なるため、送信信号と受信信号の周波数差(fdA、fdB)が異なる。すなわち停止車両AとBの周波数スペクトルが分離する。
【0039】
次にこれらの停止車両のスペクトルを検出する方法について説明する。図7において、停止車両に対応するスペクトルを検出するためには、距離0m以上の周波数に相当する周波数領域のスペクトルを検知すればよい。ノコギリ波変調時ではfdが距離0mに相当する周波数であるので、それより大きい周波数帯域からスペクトルを検出すればよいことになる。また、最大検知距離の閾値を設ければ、信号処理に用いる上限周波数も式6、7から決定する。すなわちfdから、最大検知距離に対応した周波数fMAXまでの範囲からスペクトルを探すことで、停止車両のスペクトルを抽出することが可能であり、検知に用いる周波数帯域が限定されるため信号処理の負荷が軽くなる利点がある。
【0040】
これに付け加え、信号処理に用いる周波数帯域を限定することができるため、不要な反射信号により、誤検知が少なくなるという利点もある。
【0041】
また、本方式では周波数が線形に下がるノコギリ波変調信号により、fdより高い周波数領域にドップラ信号をシフトして分離しているが、周波数が線形に上がるノコギリ波変調で、fdより低い周波数領域にスペクトルを分離することも可能である。
【0042】
周波数が線形に下がるノコギリ波では、fdより高い周波数に車両のドップラ信号の周波数を発生し、周波数が線形に上がるノコギリ波では、fdより低い周波数に車両のドップラ信号の周波数を発生する。図7において、fdより低い周波数域は、路面から不要反射による反射信号のドップラ信号の周波数スペクトルが存在しノイズレベルを引き上げているため、検知すべきスペクトルがノイズうもれやすくなる。fd以上の領域では回路熱雑音等が存在するが、周波数が高くなるほどノイズレベルが低くなる。したがって周波数が線形に下がるノコギリ波変調波の方が、ドップラ信号がノイズに埋もれにくくなるという特徴がある。
【0043】
また、矩形波変調時と同様に、ノコギリ波変調時でも検知した前方車両の車間距離の情報はシリアル通信等を用いて外部のACC装置等に送られる。
【0044】
ノコギリ波変調による距離検知の信号処理において、一例として、下記のパラメータ設定を説明する。
【0045】
1)各パラメータの設定
Δf:ミリ波レーダの場合、Δf>100MHz以上は、線形変調の難しさや、温度ドリフトの問題があり、選択が困難であるため、Δf=50MHzと仮定する。
【0046】
Fm:A/Dコンバータのサンプリング周波数を96kHz、FFTpoint数2048として、ノコギリ波の右下がり区間(B)をFFTの1フレーム(2048point)として取込んだ場合、次式によりFmが求まる。
【0047】
1/(2・Fm)=2048×1/(96×103)=0.021333sec
∴Fm=23.4375Hz
【0048】
2)車両速度、車間距離の設定
V:車両速度100km/h(27.777m/s)
D1:60m(図4の乗用車Aとの車間距離)
D2:120m(図4のトラックBとの車間距離)
D3:150m(レーダの最大検知距離の閾値)
よって、fd、fdA、fdB、fMAXは以下のように計算できる。
【0049】
fd=2・(V/C)・f0 = 2×(27.777/(3×108))×76.5×109
=14166.27(FFT解析結果の302point目)
fdA=4・Δf・Fm・D1/C+fd
=4・50×106×23.4375×60/(3×108)+14166.27
=937.5+14166.27=15103.77Hz(FFT解析結果の322point目)
fdB=4・Δf・Fm・D2/C+fd
=4・50×106×23.4375×120/(3×108)+14166.27
=1875+14166.27=16041.27Hz (FFT解析結果の342point目)
fMAX=4・Δf・Fm・D3/C+fd
=4・50×106×23.4375×150/(3×108)+14166.27
=2343.75+14166.27=16510.02Hz(FFT解析結果の352point目)
【0050】
ここで、fdとfdB(120m地点の停止車両の周波数)とのFFTポイント数差は40pointであることから、停止車両の距離分解能は3m(120m/40point)となり、すなわち車両間の距離が3m以上であれば、複数の停止車両を検知が可能である。
【0051】
また、信号処理に用いる周波数帯域はfd(距離0mに相当)からfMAX(距離150mに相当)であるので、FFTポイント数では、302pointから352pointまで範囲内でスペクトルを検出すれば良いことになる。
【0052】
またサンプリング周波数96kHzはオーディオ用機器用の周波数帯域であり、安価なA/Dコンバータを適用することができる。
【0053】
次に、本発明の検知方法を図8のフローチャートに示す。
【0054】
処理801:矩形波変調信号を選択する。
【0055】
処理802:IF信号をFFT解析する。
【0056】
処理803:FFT解析結果から前方車のスペクトルを抽出する。
【0057】
処理804:スペクトルの周波数情報から前方車の相対速度、位相情報から距離を計算する。
【0058】
処理805:車速信号から自車速度を計算する。
【0059】
処理806:自車速度に等しい相対速度の車両(停止車両)の有無の判断をする 。(停止車両が存在した場合は、変調信号を切り替える処理にジャ ンプする。)
処理807:前方車情報をACC装置に送信する。
【0060】
処理808:ノコギリ波変調信号を選択する。
【0061】
処理809:IF信号をFFT解析する。
【0062】
処理810:fdからfMAXまで周波数帯域でスペクトルを抽出する。
【0063】
処理811:スペクトルの周波数から距離を計算する。
【0064】
処理812:前方車情報をACC装置に送信する。
【0065】
以上の処理をまとめると、前方に停止車両が無い場合は、矩形波変調信号処理のみを実行するが、停止車両を検出した場合、ノコギリ波変調による信号処理も並行して実行する。すなわち前者の信号処理では、走行状態にある複数の前方車両の距離及び相対速度を同時に計測し、停止車両が存在したとき後者の信号処理で複数の停止車両の距離情報を検知する。
【0066】
次に、本実施例にあるミリ波レーダ装置を搭載したACC装置の実施例を図11、図12を用い説明する。
【0067】
自車両1107の前方には、前方車両1108及び1109が走行している。ミリ波レーダ装置1102は前方車両1108、1109との距離を計測して、その情報を通信線を経由してACC装置1101に伝達する。運転者1110はコントロールパネル1106により、前方車両との確保すべき車間距離を設定する。ACC装置1101は設定した車間距離を確保すべく、運転者が設定した車間距離とミリ波レーダ装置1102の測定距離を比較しながら、エンジン1105の出力を制御するアクセルスロットル1103及び車輪1111の制動を行なうブレーキアクチュエータ1104を制御する。
【0068】
ACC装置1101の制御アルゴリズムのフローチャートを図12に示す。
【0069】
処理1201:コントロールパネル1106に確保すべき車間距離Doを設定する。
【0070】
処理1202:複数の前方車両の中で最も近い距離D1の車両1108を車間距離制御に用いるべきターゲットとして選択する。
【0071】
処理1203:設定車間距離Do > D1の場合、ブレーキアクチュエータ1104を作動させて減速を行なう。
【0072】
処理1204:設定車間距離Do < D1の場合、アクセルスロットル1103を作動させて加速を行なう。
【0073】
以上の処理により、ACC装置1101は、運転者1110の設定した車間距離Doを維持しながら、前方車両1108に追従する走行が可能となる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の静止物標(停止車両を含む)の重なるスペクトルを効果的に分離し、負担の小さい信号処理で複数の静止物標の距離を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のミリ波レーダ装置のブロック図
【図2】自車両と複数の走行状態にある前方車の位置関係図
【図3】複数の走行状態にある前方車のドップラ信号の周波数スペクトル図
【図4】自車両と複数の停止状態にある前方車の位置関係図
【図5】複数の停止状態にある前方車のドップラ信号の周波数スペクトル図
【図6】ノコギリ波変調信号と受信信号周波数の関係図
【図7】ノコギリ波変調をも用いたときのIF信号周波数スペクトル図
【図8】本発明の信号処理フローチャート図
【図9】従来方式のミリ波レーダ装置のブロック図
【図10】従来方式の変調信号とIF信号の関係図
【図11】車間距離制御装置(ACC装置)の構成図
【図12】車間距離制御装置(ACC装置)の制御フローチャート図
【符号の説明】
101…ミリ波発振器、102…方向性結合器、103…送信アンテナ、104…ミキサ、105…前方車、106…受信アンテナ、107…アンプ、108…アナログスイッチ、109…LPF1、110…LPF2、111…A/Dコンバータ、112…信号処理装置、113…制御装置、114…車速信号、115…矩形波変調回路、116…ノコギリ波変調信号117…矩形波変調信号、118…ノコギリ波変調信号、120…ミリ波レーダ装置、201…自車両、202…乗用車A、203…トラックB、401…自車両、402…乗用車A、403…トラックB、801…処理801、802…処理802、803…処理803、804…処理804、805…処理805、806…処理806、807…処理807、808…処理808、809…処理809、810…処理810、811…処理811、812…処理812、901…ミリ波発振器、902…矩形波変調信号、903…変調器、904…送信アンテナ、905…前方車、906…受信アンテナ、907…ミリ波レーダ装置、908…ミキサ、909…アンプ、910…スイッチ、911…S/H(サンプルホールド回路)、912…A/D、913…信号処理装置、914…IF信号、1101…ACC装置、1102…ミリ波レーダ装置、1103…アクセルスロットル、1104…ブレーキアクチュエータ、1105…エンジン、1106…コントロールパネル、1107…自車両、1108…前方車両、1109…前方車両、1110…運転者、1111…車輪、1201…処理1201、1202…処理1202、1203…処理1203、1204…処理1204
Claims (8)
- 車両に搭載されるミリ波レーダ装置において、
ミリ波信号を発生する発振器と、
当該ミリ波信号を変調する変調器と、
変調されたミリ波信号を送信する送信アンテナと、
物標により反射されたミリ波信号を受信する受信アンテナと、
送信した信号と受信された信号とに基づいて物標との距離あるいは相対速度を計測する計測手段とを備え、
前記変調器は、周波数が所定の固定値を繰り返す第一の変調方式と、周波数が連続的に変化する第二の変調方式とのいずれかを選択して前記ミリ波信号を変調し、
前記計測手段は前記第一の変調方式を用いて静止物標が検出されたときは、変調方式を第二の変調方式に切り替えるミリ波レーダ装置。 - 請求項1において、
当該レーダ装置は車速センサからの入力を受ける構成であり、
前記計測手段は、前記第一の変調信号を用いているときに検出した物標の相対速度と前記車速センサにより検出された車両の走行速度とに基づいて、前記物標が静止物であるかを判定し、
前記物標が静止物であると判定した場合には、変調方式を前記第二の変調方式に切り替えることを特徴とするミリ波レーダ装置。 - 車両に搭載されるミリ波レーダ装置において、
ミリ波信号を発生する発振器と、
当該ミリ波信号を変調する変調器と、
変調されたミリ波信号を送信する送信アンテナと、
物標により反射されたミリ波信号を受信する受信アンテナと、
送信した信号と受信された信号とに基づいて物標との距離あるいは相対速度を計測する計測手段とを備え、
前記変調器は、周波数が所定の固定値を繰り返す第一の変調方式と、周波数が連続的に変化する第二の変調方式とのいずれかを選択して前記ミリ波信号を変調し、
前記計測手段は前記第一の変調方式を用いて静止物標の存在を検出し、前記第二の変調方式を用いて、前記検出された物標が複数の物標であるかを検出するミリ波レーダ装置。 - 請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記第二の変調方式として、前記ミリ波発振器の発振周波数が、時間的に線形に変化する波形を含む連続波を用いたことを特徴とするミリ波レーダ装置。 - 請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記第二の変調方式として、前記ミリ波発振器の発振周波数が、時間的に線形に下がるように変化する波形を含む連続波を用いたことを特徴とするミリ波レーダ装置。 - 請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記第一の変調方式は、二つの周波数を交互に繰り返す矩形波変調であることを特徴とするミリ波レーダ装置。 - 請求項1において、
前記第一の変調方式によって検出された相対速度に基づいて、前記第二の変調方式を用いた際にIF信号の信号処理に用いる周波数範囲を限定することを特徴とするミリ波レーダ装置。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のミリ波レーダ装置と、
車両の制動力を制御するブレーキ制御手段と、
車両の駆動力を制御するアクセル制御手段とを備え、
前記ミリ波レーダ装置により検知した複数の物標のうち、最も近い距離にある物標との距離を一定に保つように、前記ブレーキ制御手段とアクセル制御手段を制御する車間距離制御装置。
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