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JP4204241B2 - 高分子ラジカル重合開始剤および共重合体の製造方法 - Google Patents

高分子ラジカル重合開始剤および共重合体の製造方法 Download PDF

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JP4204241B2 JP2002076766A JP2002076766A JP4204241B2 JP 4204241 B2 JP4204241 B2 JP 4204241B2 JP 2002076766 A JP2002076766 A JP 2002076766A JP 2002076766 A JP2002076766 A JP 2002076766A JP 4204241 B2 JP4204241 B2 JP 4204241B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡便な方法で製造することが可能なアルコキシアミン基を有する高分子ラジカル重合開始剤、および該開始剤を利用して共重合体(構造上安定なグラフト共重合体、ブロック共重合体等)を効率良く製造する方法に関する。
【0002】
本発明により得られる高分子ラジカル重合開始剤は、共重合体の製造のみならず、樹脂組成物製造時における粘度の調整にも利用することができる。更に、本発明の高分子ラジカル重合開始剤の構成成分、および/又は該開始剤を用いた重合における単量体の成分を目的に応じて適宜選択することが可能であるため、このような高分子ラジカル重合開始剤を用いて製造可能な共重合体(例えばグラフト共重合体およびブロック共重合体)は、エラストマー、相溶化剤、界面活性剤等の幅広い機能性材料に好適に利用することができる。
【0003】
【従来の技術】
高分子重合の分野において、安定なニトロキシラジカル(いわゆる「リビングラジカル」の一種)を利用する重合が注目を集めている。このような安定なニトロキシラジカルを利用することで工業的に多用されているラジカル重合により、分子量、分子量分布及び形態を含めて、ポリマーの分子構造を正確に調節できるからである。
【0004】
アルコキシアミン基を分子内に有する高分子ラジカル重合開始剤を用い、このアルコキシアミン基から生成する安定なニトロキシラジカルを得る方法(ないしは、このような安定なニトロキシラジカルが関与するラジカル重合によりグラフトポリマーを得る方法)は、既に特開昭60−89452号公報、特開平10−60064号公報、特開平2001−64308号公報等に開示されている。
【0005】
これらの従来技術において、アルコキシアミン基を分子内に有する高分子ラジカル重合開始剤を得る方法は、2種類に大別できる。その第1の方法は、高分子量体の分子中に、ラジカル反応、あるいはイオン反応によってアルコキシアミン基を導入し、高分子ラジカル重合開始剤を得る方法である。また、第2の方法は、同一分子内にラジカル重合性ビニル基およびアルコキシアミン基を有する化合物を製造した後、該アルコキシアミン基を有する化合物を他の単量体と共重合させることにより、アルコキシアミン基を分子内に有する高分子ラジカル重合開始剤を得る方法である。上記の文献中においては、これらの方法で得られた高分子ラジカル重合開始剤を利用して、グラフト共重合体の合成が行われている。
【0006】
前者の方法(高分子量体中にアルコキシアミン基を導入する方法)は、特開昭60−89452号公報、特開平10−60064号公報中に記載されている。
【0007】
これらのうち、特開昭60−89452号公報には、ポリブタジエン又はポリイソブチルメタクリレート中にラジカルを発生させ、このラジカルと系中に存在させたニトロキサイド化合物とを反応させることにより、分子内にアルコキシアミンを有する高分子ラジカル重合開始剤を得る方法が記載されている。
【0008】
また、上記の特開平10−60064号公報には、光照射により高分子量体分子中にラジカルを発生させ、系中に存在するニトロキサイド化合物を反応させて、分子内にアルコキシアミン基を有する高分子ラジカル重合開始剤を得る方法が記載されている。
【0009】
一方、後者の方法(アルコキシアミン基を有する化合物を共重合する方法)は特開昭60−89452号公報、特開2001−64308号公報中に記載されている。
【0010】
これらのうち、特開昭60−89452号公報には、分子内に水酸基を有するアゾ系化合物を熱分解して発生したラジカルとニトロキサイド化合物とを反応させることにより、水酸基を有するニトロキサイド化合物を得た後、該水酸基を(メタ)アクリル酸クロライドとエステル化してビニル基を有するニトロキサイド化合物を得て、これを他の単量体と反応させることにより、ラジカル重合開始剤を製造する方法が記載されている。
【0011】
また、特開2001−64308公報には、特定のビニル基を有するニトロキサイド化合物を用いて高分子ラジカル重合開始剤を合成し、該開始剤を利用してグラフト共重合体を合成する方法が記載されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ニトロキサイド化合物を利用する重合を幅広い材料設計に利用するためには、種々の単量体種から構成される共重合体が簡便に得られることが重要である。しかしながら、上記した従来技術に開示されている高分子ラジカル重合開始剤、あるいはこれらの開始剤を用いて合成されたグラフト共重合体には、以下のような問題があった。
【0013】
すなわち、前者の方法(高分子量体中にアルコキシアミン基を導入する方法)により高分子ラジカル重合開始剤を得る場合には、特開昭60−89452号公報、特開平10−60064号公報等に記載された技術におけるように、反応に用いられる高分子量体から水素原子が選択的かつ容易に引き抜かれるか、あるいは光照射や熱処理によって開裂してラジカルを生成し得る高分子量体を注意深く選択する必要がある。したがって、これらの方法に利用可能な高分子量体が限定されるため実用的ではなかった。また、これらの方法においては、重合体へのアルコキシアミン基の導入効率が低いという問題もあった。
【0014】
他方、後者の方法(アルコキシアミン基を有する化合物を共重合する方法)により高分子ラジカル開始剤を得る場合には、特開昭60−89452号公報や特開2001−64308号公報記載の技術のように、アルコキシアミン基を導入すべき単量体がかなり限定される、あるいはアルコキシアミン基の導入効率が低い等の問題があった。
【0015】
本発明の目的は、上記した従来技術における種々の問題点を解決することが可能な高分子ラジカル重合開始剤、および該開始剤を利用する共重合体の製造方法を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、多種多様な単量体を用いて構成することが可能な高分子ラジカル重合開始剤、および該開始剤を利用する共重合体の製造方法を提供することにある。
【0017】
本発明の更に他の目的は、簡便な方法により高収率で得ることが可能な高分子ラジカル重合開始剤、および該開始剤を利用して構造上安定な共重合体を収率良く製造する方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の従来技術における問題点の解決を目指して鋭意検討した結果、特定の反応基を有するニトロキサイド化合物を用いることにより、多様な単量体種を有することが可能な高分子ラジカル重合開始剤が容易に得られることを見出した。加えて、本発明者らは、このような高分子ラジカル重合開始剤は、簡便に高収率で得ることが可能であることも見出した。
【0019】
本発明者らは上記知見に基づいて更に研究を進めた結果、このような高分子ラジカル重合開始剤を利用することにより、該開始剤の重合体部分と該開始剤により新たに重合した重合体部分が安定な炭素−炭素結合により結合した共重合体(例えばグラフト共重合体、ブロック共重合体)を製造可能であることをも見出した。
【0020】
即ち、第1の面において、本発明は、側鎖に下記一般式(1)または(2)で示される構造を有するビニル系重合体であって、、カルボン酸基、アミノ基、水酸基から選ばれる官能基と、エポキシ基の反応により得られるビニル系重合体を含むことを特徴とする高分子ラジカル重合開始剤に関する。
【0021】
【化3】
Figure 0004204241
【0022】
(式中、R、R、R、R、R〜R10は、メチル基を示し、R、R、R11〜R14は、水素、直鎖型もしくは分岐型のアルキル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Y、Y’は一緒になって2価基の−C(R15)(R16)−C(R17)(R18)−、−C(R19)(R20)−C(R21)(R22)−C(R23)(R24)−のいずれか1つを形成し、R15〜R24は水素、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0023】
第2の面において、本発明は、カルボン酸基、アミノ基、水酸基から選ばれる官能基を分子内に有するビニル系重合体(A)と、下記一般式(3)または(4)で示されるエポキシ基を有する化合物(B)を反応させる請求項1記載の高分子ラジカル重合開始剤の製造方法に関する。
【0024】
【化4】
Figure 0004204241
(式中、R、R、R、R、R〜R10は、メチル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Y、Y’は一緒になって2価基の−C(R15)(R16)−C(R17)(R18)−、−C(R19)(R20)−C(R21)(R22)−C(R23)(R24)−のいずれか1つを形成し、R15〜R24は水素、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0025】
第3の面において、本発明は、同一分子内にカルボン酸基、アミノ基、水酸基から選ばれる官能基およびラジカル重合性ビニル基を有する化合物(D)と一般式(3)または(4)で表されるエポキシ基を有する化合物(B)との反応物(E)と、他のラジカル重合性単量体(F)とを共重合させて、上記した第一の発明である高分子ラジカル重合開始剤を製造する方法に関する。
【0026】
第4の面において、本発明は、上記した第一の発明であるラジカル重合開始剤とラジカル重合性単量体とを加熱することによってグラフト共重合体あるいはブロック共重合体を製造する方法に関する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とする。
【0028】
(高分子ラジカル重合開始剤)
【0029】
本発明の高分子ラジカル重合開始剤は、側鎖に下記一般式(1)または(2)で示される構造を有するビニル系重合体であって、カルボン酸基、アミノ基、水酸基から選ばれる官能基と、エポキシ基の反応により得られるビニル系重合体を少なくとも含む。
【0030】
本発明の高分子ラジカル重合開始剤を表す上記一般式(1)または(2)の式中、R、R、R、R、R〜R10は、メチル基を示す。R、R、R11〜R14は、水素、直鎖型もしくは分岐型のアルキル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。Y、Y’は一緒になって2価基の−C(R15)(R16)−C(R17)(R18)−、−C(R19)(R20)−C(R21)(R22)−C(R23)(R24)−のいずれか1つを形成する基を示す。R15〜R24は水素、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0031】
(立体障害および結合エネルギーの低下)
【0032】
本発明において、上記一般式(1)または(2)の式中、R、R、R、R、R〜R10は、メチル基である
【0033】
このようなビニル系重合体における(一般式(1)または(2))の構造の例としては、下記式(X)で表される構造が挙げられる。この一般式(1)または(2)で示される構造は、本発明の高分子ラジカル重合開始剤を構成するビニル系重合体の側鎖または末端のいずれかにあってもよく、または側鎖と末端の両方にあっても良い。
【0034】
【化5】
Figure 0004204241
【0035】
(ビニル系単量体)
【0036】
本発明のビニル系重合体は、上記一般式(1)または(2)の構造を有するビニル系重合体を与える単量体である限り、特に限定されない。本発明において、一般式(1)または(2)の構造を有するビニル系重合体を構成することが可能なビニル系単量体の例としては、例えば、メタクリル酸と3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンの反応物(例えば、下記式(Y)で表されるもの);スチレン、p−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水基含有ビニル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N−t−ブチルアミノエチル等のエステル基含有ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル単量体;ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]エタン、1,4−ビス[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]ブタン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン等の多官能ビニル系単量体が挙げられる。本発明において、ビニル系重合体は、これらの単量体単独から構成される重合体でもよく、また2種以上の単量体から構成される重合体であってもよい。
【0037】
【化6】
Figure 0004204241
【0038】
(分子量)
【0039】
上記した本発明のビニル系重合体(一般式(1)または(2)の構造を有する)の分子量は、高分子ラジカル重合開始剤を利用して製造される共重合体(例えばグラフト共重合体またはブロック共重合体)に要求される物性により適宜決定することができる。例えばブロック共重合体をエラストマーとして使用する場合には、機械的強度と成形性の点からは、高分子ラジカル重合開始剤の数平均分子量は、1 ×10〜 50×10程度、更には5×10〜 10×10程度であることが好ましい(数平均分子量は例えばGPCを用いて測定することができる。
【0040】
(高分子ラジカル重合開始剤の製法)
【0041】
第2の面において、本発明は、カルボン酸基、アミノ基、水酸基から選ばれる官能基を分子内に有するビニル系重合体(A)と、上記した一般式(3)または(4)で示されるエポキシ基を有する化合物(B)を反応させて、第一の発明である高分子ラジカル重合開始剤を製造する方法に関する。
【0042】
上記のビニル系重合体(A)中にはエポキシ基と反応可能な官能基が存在しているため、このビニル系重合体(A)を、エポキシ基を有する化合物(B)と反応させることができる。
【0043】
(エポキシ基と反応可能な官能基)
【0044】
ビニル系重合体(A)を構成する、エポキシ基と反応可能な官能基ビニル系単量体のアニオン重合またはアニオン共重合(以下、「アニオン(共)重合」という)により得られるカルボアニオン以外の官能基)の例としては、反応性の点からは、カルボン酸基、アミノ基、水酸基等が好適に使用可能である。エポキシ基と反応可能な官能基はビニル系重合体(A)の側鎖、末端、もしくはその両方に位置する。従って、上記のビニル系重合体(A)を構成する単量体の一部に、これらの官能基を有する単量体が配置されるように、ビニル系重合体(A)を構成する単量体(ないしは、単量体の組合せ)を選択すれば良い。
【0045】
(官能基を有する単量体)
【0046】
上記した「エポキシ基と反応可能な官能基」を有する単量体としては特に限定されないが、反応性の点からは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等が好適に使用可能である。また、これらのエポキシ基と反応可能な官能基を有しない単量体を選択し、このような単量体を用いて重合体を構成しした後に、何らかの方法で、該重合体中のこれらの単量体に相当する部分にカルボン酸基、アミノ基、水酸基等を導入することにより、ビニル系重合体(A)とすることも可能である。
【0047】
(ビニル系重合体(A))
【0048】
エポキシ基と反応可能な官能基を有するビニル系重合体(A)を構成するビニル系単量体は特に限定されない。好適に使用可能なビニル系単量体の例としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水基含有ビニル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N−t−ブチルアミノエチル等のエステル基含有ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル単量体;ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]エタン、1,4−ビス[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]ブタン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン等の多官能ビニル系単量体が挙げられる。これらの単量体は単独で用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0049】
ビニル系重合体(A)の分子量は、目的とする高分子ラジカル重合開始剤、および該開始剤を利用して製造される共重合体(例えばグラフト共重合体またはブロック共重合体)に要求される物性により適宜決定することができる。この分子量は、開始剤濃度、あるいは連鎖移動剤の添加等により調節することができる。例えばブロック共重合体をエラストマーとして使用する場合には、機械的強度と成形性の点からは、高分子ラジカル重合開始剤の数平均分子量は、1 ×10〜 50×10程度、更には5×10〜 10×10程度であることが好ましい。
【0050】
(化合物(B))
【0051】
本発明において、上記のビニル系重合体(A)と反応されるべきエポキシ基を有する化合物(B)は、上記一般式(3)または(4)で表される。
【0052】
このようなエポキシ基を有する化合物(B)の例としては、3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン、7,7,9,9−テトラメチル−8−[1−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカンなどが挙げられる。
【0053】
(反応方法)
【0054】
上記化合物(B)が有するエポキシ基と、ビニル系重合体(A)中に存在する「エポキシ基と反応可能な官能基」との反応方法は、高分子ラジカル重合開始剤を与えることが可能である限り特に限定されない。好適に使用可能な方法としては、例えば、室温下あるいは加熱下においてアミノ基やカルボン酸基と溶液中で混合することによって反応させる方法や、水酸化カリウム等の触媒存在下において溶液中で水酸基と反応させる方法等を挙げることができる。
【0055】
(ラジカル重合開始剤の製法)
【0056】
次に、第三の発明について説明する。
【0057】
第3の面において、本発明は、同一分子内にカルボン酸基、アミノ基、水酸基から選ばれる官能基およびラジカル重合性ビニル基を有する化合物(D)と一般式(3)または(4)で表されるエポキシ基を有する化合物(B)との反応物(E)と、他のラジカル重合性単量体(F)を共重合させて、第一の発明である高分子ラジカル重合開始剤を製造する方法に関する。
【0058】
(化合物(D))
【0059】
エポキシ基を有する化合物(B)と反応されるべき化合物(D)は、カルボアニオン以外の「エポキシ基と反応可能な官能基」を有するビニル系単量体であれば特に限定はされない。反応性の点からは、このような化合物(D)として、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等が好適に使用可能である。また、これらの官能基を有しない単量体を選択し、反応物(E)を構成した後に、何らかの方法で該反応物(E)に、カルボン酸基、アミノ基、水酸基等を導入することも可能である。
【0060】
(化合物(B))
【0061】
このような態様において、化合物(D)と反応されるべき化合物(B)は、本発明の第2の面において前述した化合物(B)と同様である。
【0062】
(反応の態様)
【0063】
化合物(D)が有するエポキシ基と反応可能な官能基と化合物(B)が有するエポキシ基との反応は、反応物(E)を与える限り特に限定されない。室温下あるいは加熱下においてアミノ基やカルボン酸基と反応させる方法や、水酸化カリウム等の触媒存在下において水酸基と反応させる方法等を好適に使用することができる。
【0064】
(反応物(E))
【0065】
上記の化合物(D)と化合物(B)との反応物(E)としては、例えば、メタクリル酸と3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンの反応物(Y)(上記構造を有する)などが挙げられる。
【0066】
(ラジカル重合性単量体(F))
【0067】
上記の反応物(E)と反応されるべきラジカル重合性単量体(F)は、ビニル系単量体であれば特に限定されない。例えばスチレン、p−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水基含有ビニル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N−t−ブチルアミノエチル等のエステル基含有ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル単量体;ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]エタン、1,4−ビス[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]ブタン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン等の多官能ビニル系単量体等が好適に使用可能である。これらの単量体は単独で用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0068】
(重合)
【0069】
上記した反応物(E)とラジカル重合性単量体(F)の重合方法は、特に制限されない。このような態様においては、例えば塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法で行うことができる。この際、単量体の種類、重合温度等によって適当な重合方法を選択することができる。
【0070】
(開始剤)
【0071】
本発明において、反応物(E)とラジカル重合性単量体(F)との重合に使用すべき開始剤は、重合温度、重合溶媒等を考慮し、適当なラジカル開始剤を選択して使用することができる。塊状重合、溶液重合、懸濁重合で使用可能な開始剤の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,2−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クミルパーオキシド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤が挙げられる。
【0072】
また、乳化重合を行う場合には、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル3,3−ジ(t−アミルペルオキシ)ブチレート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジイヒドロクロリド、硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性ラジカル開始剤が利用できる。
【0073】
(溶剤)
【0074】
本発明において、重合を溶液重合で行う場合には、単量体やラジカル開始剤の溶解性、および重合温度等を考慮して適当な溶剤を選択し、その溶剤中で重合を行うことができる。溶剤としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、メチルエチルケトン、乳酸エチル、イソプロピルアルコール等を選択することができる。
【0075】
(重合温度)
【0076】
重合または共重合を行う際の重合温度は、ラジカル重合開始剤が分解し、且つ単量体に導入したアルコキシアミン基が分解しない温度範囲内で決定することができる。より具体的には、この重合温度は0℃から100℃の範囲が好ましく、更に20℃から80℃がより好ましい。0℃より低い温度では、重合速度が遅いために重合時間が長くなり、100℃以上の温度では、化合物(5)が有するアルコキシアミン基の分解が顕著になる傾向がある。
【0077】
また、最適な重合時間は、選択される単量体、重合開始剤あるいは重合温度等により決定することができる。
【0078】
(得られる高分子ラジカル開始剤)
【0079】
上記2種類の方法(すなわち、本発明の第2の面および第3の面において記述した方法)は両者とも反応効率が高く、高い収率で高分子ラジカル開始剤を得ることができる。また、反応効率が良いことから、得られる重合体中のアルコキシアミン基含有量は、ほぼ理論値と一致し、例えば高分子ラジカル開始剤1分子あたりのアルコキシアミンの個数は理論値から25%以上外れない。
【0080】
更に上記の方法で得られる高分子ラジカル重合開始剤は保存安定性に優れており、例えば製造後一週間空気中、室温(25℃程度)下で放置した該開始剤を重合に利用しても、製造直後と開始剤能に実質的に差は見られず、例えば同条件下で重合を行った場合は、再現性が得られる。
【0081】
上記2種類の製造方法にて得られる高分子ラジカル重合開始剤は、共重合体(例えばグラフト共重合体およびブロック共重合体)を効率良く製造する目的に好適に使用可能であるのみならず、樹脂組成物製造時における粘度の調整にも利用することができる。
【0082】
(共重合体の製法)
【0083】
次に第4の発明について説明する。
【0084】
第4の面において、本発明は、第一の発明であるラジカル重合開始剤とラジカル重合性単量体とを加熱することによって、グラフト共重合体あるいはブロック共重合体を製造する方法に関する。
【0085】
(ラジカル重合性単量体)
【0086】
上記した本発明のラジカル重合開始剤と反応して、グラフト共重合体およびブロック共重合体を製造する際に利用可能なラジカル重合性単量体は特に制限されない。ラジカル重合性単量体の例としては、スチレン、p−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水基含有ビニル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N−t−ブチルアミノエチル等のエステル基含有ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル単量体を挙げることができる。これらの単量体は単独で用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0087】
(共重合体)
【0088】
本発明の高分子ラジカル重合開始剤を利用したグラフト共重合体およびブロック共重合体は、例えば、高分子ラジカル重合開始剤、ラジカル重合性単量体を含む混合物を加熱することによって得ることができる。
【0089】
本発明により得られた高分子ラジカル重合開始剤分子中のアルコキシアミン基は、加熱により、重合体に結合した炭素ラジカルと、安定なニトロキシラジカルとに開裂する。このようにして生成した炭素ラジカルはラジカル重合性単量体の重合を開始し、一方の安定なニトロキシラジカルは重合を開始することなく、炭素ラジカルによって重合が開始された重合体の末端と結合する。結合後に再び開裂し、その後結合と開裂を繰り返しながら重合が進行していく場合には、生成する重合体の分子量分布は狭く、いわゆる「リビングラジカル重合」となり得る。
【0090】
炭素ラジカルからの重合は進行するものの安定なニトロキシラジカルによる前記のような重合制御が行われない場合には、通常のラジカル重合と同様な重合挙動により重合体が生成する。また、安定なニトロキシラジカルの重合体末端への結合が再開裂しない場合には、重合は進行しない。すなわち、高分子ラジカル重合開始剤を利用した二段目の重合に用いられる単量体は、目的とする共重合体(例えばグラフト共重合体およびブロック共重合体)の構成成分として適当であり、且つ高分子開始剤中のアルコキシアミン基より重合が進行しうる単量体を選択すればよい。
【0091】
高分子ラジカル重合開始剤を利用して共重合体(例えばグラフト共重合体およびブロック共重合体)を製造する際にも、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法で行うことができ、単量体の種類、重合温度等によって適当な重合方法を選択することができる。
【0092】
(重合温度)
【0093】
共重合体を製造する際の重合温度は、高分子ラジカル重合開始剤が有するアルコキシアミン基が分解して炭素ラジカルとニトロキシラジカルを生じさせるのに必要な温度以上であることが好ましい。この重合温度は、50℃から180℃の範囲が好ましく、更には70℃から150℃の範囲がより好ましい。重合温度が低すぎる温度では、高分子ラジカル重合開始剤中のアルコキシアミン基の分解が起こりにくい傾向がある。他方、重合温度が高すぎる温度では、重合速度の制御が困難になると同時に熱重合が生じる可能性が高くなるという傾向がある。
【0094】
(共重合体の分子量)
【0095】
この二段目の重合で生成する重合体の分子量は、目的とする共重合体(グラフト共重合体、ブロック共重合体等)の物性等を考慮して決定することができる。例えば共重合体を熱可塑性エラストマーの用途で使用する場合は、機械的強度の発現及び成形性の点からは、この数平均分子量は、1×10〜 50×10程度、更には 5×10〜 10×10程度であることが好ましい。
【0096】
(アルコキシアミン基の数)
【0097】
本発明の高分子ラジカル重合開始剤をグラフト共重合体の製造に利用する場合における、開始剤一分子中に導入するアルコキシアミン基の数は、目的とするグラフト共重合体の物性等により適宜決定することができる。グラフト共重合体の枝部分の分子量を上述の範囲にするという点からは、この開始剤一分子中に導入すべきアルコキシアミン基の数は開始剤を構成する単量体100ユニットにつき、0.1〜50程度、更には1 〜 30程度であることが好ましい。
【0098】
またブロック共重合体に利用する場合には、要求されるブロック共重合体の構造を考慮し、開始剤の一端あるいは両端にアルコキシアミン基を導入させればよい。
【0099】
(共重合体)
【0100】
本発明の方法で得られる共重合体は、高分子ラジカル重合開始剤部分と、二段目の重合(すなわち、該高分子ラジカル重合開始剤により開始された重合)で生成した重合体との結合部分が炭素−炭素結合であることから、安定な構造を有している。また、本発明の製造方法により、該高分子ラジカル重合開始剤以外に重合開始剤が存在しないため、二段目の重合時において、二段目に重合で用いる単量体から成る単独重合体を生成することなく、高収率で共重合体(グラフト共重合体、ブロック共重合体等)を得ることが可能である。
【0101】
本発明によれば、種々の単量体種から構成される共重合体が簡便に得られるため、ニトロキサイド化合物を利用した重合を幅広い材料設計に利用することが可能となる。本発明においては、重合体に存在する官能基とニトロキサイド化合物が有する官能基を反応させてアルコキシアミン基を有する高分子ラジカル重合開始剤を得ることができ、したがってこのアルコキシアミン基を重合開始点として、共重合体を合成することが可能となる。この際、例えば、重合体の末端を開始点とすればブロック共重合体を得ることができ、また、重合体の末端以外の点に単数または複数の開始点を持たせればグラフト共重合体を合成することが可能となる。
【0102】
(共重合体の用途)
【0103】
本発明により得られる共重合体においては、高分子ラジカル重合開始剤の構成成分あるいは二段目の重合で用いる単量体の成分を目的に応じて適宜選択することが可能である。したがって、該共重合体は、エラストマー、相溶化剤、界面活性剤、分離安定剤、顔料分散剤、接着性改良剤、塗料等幅広い機能性材料に有用に利用することができる。
【0104】
【実施例】
以下に本発明の実施例(実験結果を表1、表2に記載)を示す。但し、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0105】
実施例中の評価は、以下の方法に従い実施した。
【0106】
(1)数平均分子量、分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC;Waters社製 HPLCポンプ 510、示差屈折計 R401、データ処理 ミレニアム2010クロマトグラフィマネージャー)
カラム:Shodex K−805L(内径8mm、長さ300mm)
カラム槽温度:35℃
移動相:クロロホルム、流量1.0ml/min
標準サンプル:PMMA(Mn:330000、88000、34500、10300、2990)
試料:濃度 2mg/ml、クロロホルム溶液
試料注入量:100μl
【0107】
(2)共重合体組成
H−NMR (JEOL社製 EX270)
温度:30℃
溶媒:重クロロホルム
試料濃度:5質量/体積%、試料量0.5ml
【0108】
実施例1
【0109】
(ポリメタクリル酸メチル/ポリメタクリル酸)ランダム共重合体と3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンの反応[高分子ラジカル開始剤の合成]
【0110】
溶液A
【0111】
(ポリメタクリル酸メチル/ポリメタクリル酸)ランダム共重合体 5g
3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキ
シ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウ
ンデカン 0.4g
メチルエチルケトン 20g
【0112】
上記成分を混合して、(ポリメタクリル酸メチル/ポリメタクリル酸)ランダム共重合体(Aldrich社製、Mw:34000、Mn:15000、メタクリル酸:1.6mol%)と、3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンとから成る溶液Aを作製し、オイルバス温度80℃で8時間反応させた。反応の完了は、ガスクロマトグラフィーで確認した。ヘキサンで再沈した後、真空乾燥機にて1.3kPaまで圧力を減じて70℃で24時間乾燥させて重合体Iを得た。得られた重合体の物性は表1に示した。
【0113】
実施例2
【0114】
(ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリルn−ブチル)グラフト共重合体の合成
【0115】
溶液B
重合体I(実施例1) 1g
アクリル酸n−ブチル 3g
【0116】
上記した各成分を混合して、実施例1で得られた重合体Iを高分子ラジカル重合開始剤とする溶液Bを得た。この溶液Bの全量を容量5mlのガラスアンプルに注入し、二方コックで蓋をして真空ラインにつないだ後、液体窒素にて凍結させた。溶液Bが凍結したのを確認して、真空ポンプで脱気し、二方コックを閉めて真空ラインから外した。凍結させた二方コック付きガラスアンプルを室温の流水で解凍して凍結脱気した。凍結から解凍までの作業を3回行い、3回目は解凍せずに二方コックより下部でガスバーナーを用いて封管した後130℃で10時間重合を行った。重合終了後、重合体をヘキサンで洗浄した後真空乾燥機にて1.3kPaまで圧力を減じて70℃で24時間乾燥させた。このようにして得られた重合体が(ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリル酸n−ブチル)グラフト共重合体であることが、NMRにより確認された。物性については表1に示した。
【0117】
実施例3
(ポリメタクリル酸メチル/ポリメタクリル酸)ランダム共重合体の合成
【0118】
溶液C
メタクリル酸メチル 28g
メタクリル酸 2g
2,2−アゾビスイソブチロニトリル 0.2g
メチルエチルケトン 120g
【0119】
上記各成分を混合して得た溶液Cを、攪拌機、冷却管、窒素導入管を備えた容量500mlの三口フラスコに入れ、流量50ml/minにて窒素バブリングした後、80℃で重合を行った。6時間後に温度を下げて重合を停止し、得られた重合溶液を100mlのメチルエチルケトンで希釈した後、攪拌している2リットルのヘキサンにゆっくり投入して再沈した。真空乾燥機にて1.3kPaまで圧力を減じて70℃で24時間乾燥させて重合体IIを得た。重合体IIの物性は表1に示した。
【0120】
実施例4
(ポリメタクリル酸メチル/ポリメタクリル酸)ランダム共重合体と3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンの反応[高分子ラジカル開始剤の合成]
【0121】
溶液D
重合体II(実施例3) 1g
3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキ
シ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウ
ンデカン 2.8g
メチルエチルケトン 20g
【0122】
上記した各成分を混合して、実施例3で合成した重合体IIと3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンとを含む溶液Dを作製し、実施例1と同様の条件で重合体IIIを得た。重合体IIIの物性は表1に示した。
【0123】
実施例5
【0124】
(ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリル酸n−ブチル)グラフト共重合体の合成
【0125】
溶液E
重合体III(実施例4) 1g
アクリル酸n−ブチル 3g
【0126】
上記各成分を混合して、実施例4で得られた重合体IIIを高分子ラジカル重合開始剤とする溶液Eを作製し実施例2と同様の条件で重合体を得た。得られた重合体が(ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリル酸n−ブチル)グラフト共重合体であることがNMRにより確認された。このグラフト共重合体の物性については表1に示した。
【0127】
実施例6
(ポリメタクリル酸イソブチル/ポリメタクリル酸)ランダム共重合体の合成
【0128】
溶液F
メタクリル酸イソブチル 28g
メタクリル酸 2g
2,2−アゾビスイソブチロニトリル 0.2g
メチルエチルケトン 120g
【0129】
上記各成分を混合して溶液Fを作製し、実施例3と同様の条件で重合体IVを得た。得られた重合体IVの物性は表1に示した。
【0130】
実施例7
(ポリメタクリル酸イソブチル/ポリメタクリル酸)ランダム共重合体と3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンの反応[高分子ラジカル開始剤の合成]
【0131】
溶液G
重合体IV(実施例6) 1g
3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキ
シ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウ
ンデカン 2.8g
メチルエチルケトン 20g
【0132】
上記各成分を混合して、実施例6で合成した重合体IVと3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンとを含む溶液Gを作製し、実施例1と同様の条件で重合体Vを得た。この重合体Vの物性は表1に示した。
【0133】
実施例8
(ポリメタクリル酸イソブチル/スチレン)グラフト共重合体の合成
【0134】
溶液H
重合体V(実施例7) 1g
スチレン 3g
【0135】
記各成分を混合して、実施例7で得られた重合体Vを高分子ラジカル重合開始剤とする溶液Hを作製し、実施例2と同様の条件で重合体を得た。NMRにより得られた重合体が(ポリメタクリル酸イソブチル/スチレン)グラフト共重合体であることが確認された。
【0136】
実施例9
【0137】
メタクリル酸と3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンの反応
【0138】
溶液I
メタクリル酸 10g
3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキ
シ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウ
ンデカン 20g
水酸化カリウム 0.2g
トルエン 20g
メチルエチルケトン 80g
【0139】
上記各成分を混合して、メタクリル酸と3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンを含むトルエン/メチルエチルケトン混合溶液Iを作製し、80℃で10時間反応させた。反応の終了はガスクロマトグラフィーにより確認した。減圧蒸留を行い、反応物の中から目的の生成物VIを取り出した。
【0140】
実施例10
(ポリメタクリル酸メチル/ポリメタクリル酸)ランダム共重合体の合成
[高分子ラジカル重合開始剤の合成]
【0141】
溶液J
メタクリル酸メチル 27g
化合物VI(実施例9) 3g
トルエン 100g
【0142】
上記各成分を混合して、実施例9で得られた化合物VIとメタクリル酸メチルとを含む溶液Jを作製し実施例3と同様の条件で重合体VIIを得た。
【0143】
実施例11
(ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリル酸n−ブチル)グラフト共重合体の合成
【0144】
溶液K
重合体VII(実施例10) 1g
アクリル酸n−ブチル 3g
【0145】
上記各成分を混合して、実施例10で得られた重合体VIIを高分子ラジカル重合開始剤とする溶液Kを作製し、実施例2と同様の条件で重合体を得た。NMRにより得られた重合体が(ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリル酸n−ブチル)グラフト共重合体であることを確認した。
【0146】
比較例1
【0147】
溶液L
ポリメタクリル酸イソブチル 0.5g
1,1,3,3−テトラメチルイソインヒドリン−2−イルオニシル 0.2g
ジ−t−ブチルペルオキシオキザレート 0.12g
テトラクロロエチレン 3g
【0148】
上記各成分を混合して得た溶液Lを脱気後50℃で3時間加熱し、その後反応混合物をメタノール中に注いで目的物である重合体VIIIを得た。
【0149】
比較例2
【0150】
溶液M
重合体VIII(比較例1) 1g
スチレン 3g
【0151】
上記各成分を混合して、比較例1で得た重合体VIIIを開始剤とする溶液Mを作製し、実施例2と同様の条件で重合体を得た。NMRにより得られた重合体が(ポリメタクリル酸イソブチル/スチレン)グラフト共重合体であることを確認した。
【0152】
比較例3
【0153】
溶液N
塩化メタクリロイル 0.85g
ジエチルエーテル 25g
【0154】
溶液O
1−(1−シアノ−4−ヒドロキシ−1−メチルブトキシ)−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン 0.75g
トリエチルアミン 1.7g
ジエチルエーテル 50g
【0155】
上記各成分を混合して得た溶液Nを、上記各成分を混合して得た溶液Oに加えた後、攪拌しながら室温下で反応させた。1時間後にトリエチルアミンと水を加え、更に1時間攪拌した後、ジエチルエーテル層を飽和炭酸水素ナトリウム、水、塩水で洗浄を行った。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過を行い溶媒を除去して目的物IXを得た。
【0156】
比較例4
【0157】
溶液P
メタクリル酸メチル 1.5g
化合物IX(比較例3) 0.5g
ジ−t−ブチルペルオキシオキザレート 0.2g
【0158】
酢酸エチル 15g
【0159】
上記各成分を混合して、比較例3で得た化合物IXとメタクリル酸メチルとを含む溶液Pを作製し、冷却管、窒素導入管を備え、攪拌子を入れた容量100mlの3つ口フラスコに入れ、流量10ml/minで30分窒素バブリングした後、35℃で20時間重合を行った。メタノールで再沈した後、真空乾燥機にて70℃で24時間乾燥して重合体Xを得た。
【0160】
比較例5
【0161】
溶液Q
重合体X(比較例4) 1g
アクリル酸メチル 3g
【0162】
上記各成分を混合して、比較例4で得た重合体Xを高分子ラジカル重合開始剤とする溶液Qを作製し、実施例2と同様にして130℃で10時間重合を行った。重合終了後、ヘキサンで洗浄した後真空乾燥機にて24時間70℃で乾燥させ、重合体を得た。により得られた重合体が(ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリル酸メチル)グラフト共重合体であることを確認した。
【0163】
比較例6
【0164】
攪拌機、冷却管、窒素導入管を備えた容量300mlの四口フラスコに、ジビニルベンゼン(50g)と、2−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(HO−TEMPO)8.6gの混合物を投入し窒素置換した。
【0165】
このフラスコ内容物を50℃に加熱し、ジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート12gを20分かけて添加した。50℃で5時間反応させた後、ジビニルベンゼンの大部分を減圧留去した。得られた化合物をシリカゲルクロマトグラフィで精製した後H−NMR測定を行い、得られた化合物が2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタンと2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2_,2_,6_,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンの混合物(化合物XI)であることを確認した。
【0166】
比較例7
【0167】
溶液R
化合物XI 0.62g
メタクリル酸メチル 4.41g
t−ヘキシルパーオキシピバレート 0.01g
n−オクチルメルカプタン 0.05g
【0168】
上記各成分を混合して得た溶液Rを実施例2と同様の方法で凍結脱気して60℃で6時間重合を行った。その後、内容物をメタノールで再沈し、重合体XIIを得た。
【0169】
比較例8
【0170】
溶液S
重合体XII(比較例7) 1g
アクリル酸n−ブチル 3g
【0171】
上記各成分を混合して、比較例7で得た重合体XIIを開始剤とする溶液Sを作製し、実施例2と同様の条件で重合体を得た。NMRにより得られた重合体が(ポリメタクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチル)グラフト共重合体であることを確認した。
【0172】
上記した実施例および比較例で得られた結果を、下記の表1および表2にまとめて示す。
【0173】
【表1】
Figure 0004204241
【0174】
【表2】
Figure 0004204241
【0175】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、アルコキシアミン基を有する新規な高分子ラジカル重合開始剤を簡便な方法で得ることが可能となる。更に、このようにして得られた高分子ラジカル重合開始剤を用いることで、構造上安定なグラフト共重合体やブロック共重合体を効率良く製造することが可能となる。
【0176】
加えて、本発明の方法によれば、高分子ラジカル重合開始剤の構成成分あるいは二段目の重合で用いる単量体の成分を目的に応じて適宜選択することが可能であるため、得られた共重合体はエラストマー、相溶化剤、界面活性剤、分離安定剤、顔料分散剤、接着性改良剤、塗料等幅広い機能性材料に好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. 鎖に下記一般式(1)または(2)で示される構造を有するビニル系重合体であって、カルボン酸基、アミノ基、水酸基から選ばれる官能基と、エポキシ基の反応により得られるビニル系重合体を含むことを特徴とする高分子ラジカル重合開始剤。
    Figure 0004204241
    (式中、R、R、R、R、R〜R10は、メチル基を示し、R、R、R11〜R14は、水素、直鎖型もしくは分岐型のアルキル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Y、Y'は一緒になって2価基の−C(R15)(R16)−C(R17)(R18)−、−C(R19)(R20)−C(R21)(R22)−C(R23)(R24)−のいずれか1つを形成し、R15〜R24は水素、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。)
  2. カルボン酸基、アミノ基、水酸基から選ばれる官能基を分子内に有するビニル系重合体(A)と、下記一般式(3)または(4)で示されるエポキシ基を有する化合物(B)を反応させる請求項1記載の高分子ラジカル重合開始剤の製造方法。
    Figure 0004204241
    (式中、R、R、R、R、R〜R10は、メチル基を示し、R、R、R11〜R14は、水素、直鎖型もしくは分岐型のアルキル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Y、Y'は一緒になって2価基の−C(R15)(R16)−C(R17)(R18)−、−C(R19)(R20)−C(R21)(R22)−C(R23)(R24)−のいずれか1つを形成し、R15〜R24は水素、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。)
  3. 同一分子内にカルボン酸基、アミノ基、水酸基から選ばれる官能基およびラジカル重合性ビニル基を有する化合物(D)と、一般式(3)または(4)で表されるエポキシ基を有する化合物(B)との反応物(E)と、他のラジカル重合性単量体(F)を共重合する請求項1記載の高分子ラジカル重合開始剤の製造方法。
  4. ラジカル重合性単量体を、請求項1に記載の高分子ラジカル重合開始剤の存在下で、加熱して重合するグラフト共重合体またはブロック共重合体の製造方法。
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