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JP4665270B2 - 高分子ラジカル重合開始剤、その製造方法およびそれを用いて得られるグラフトポリマー - Google Patents

高分子ラジカル重合開始剤、その製造方法およびそれを用いて得られるグラフトポリマー Download PDF

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JP4665270B2
JP4665270B2 JP24205299A JP24205299A JP4665270B2 JP 4665270 B2 JP4665270 B2 JP 4665270B2 JP 24205299 A JP24205299 A JP 24205299A JP 24205299 A JP24205299 A JP 24205299A JP 4665270 B2 JP4665270 B2 JP 4665270B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はラジカル重合性単量体を重合してなる高分子量体であって、その高分子の分子主鎖中に特定構造のアルコキシアミン基が懸垂(ペンダント)している高分子ラジカル重合開始剤およびその製造方法、さらにはその高分子ラジカル重合開始剤を用いて得られるグラフトポリマーに関する。
【0002】
【従来の技術】
アルコキシアミン基を分子内に有する高分子ラジカル重合開始剤を用い、かつ安定フリーラジカルが関与するラジカル重合によりグラフトポリマーを得る方法については既に知られており、例えば特開昭60−89452号公報、特開平10−60064号公報、特開平11−171946号公報、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 1456 (1995)、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 36, 270 (1997) およびMacromolecules, 31, 4396 (1998)にその技術の開示がある。
【0003】
これら従来技術において、アルコキシアミン基を分子内に有する高分子ラジカル重合開始剤を得る方法は、2種類に大別できる。このうちの1種の方法は、予め高分子量化合物を合成した後、ラジカル反応あるいはイオン反応によってこの分子内にアルコキシアミン基を導入し、高分子ラジカル重合開始剤を得る方法(以下、「手法I」とする)である。そして、もう1種の方法は、同一分子内にラジカル重合性ビニル基およびアルコキシアミン基の両基を有する化合物(以下、「ビニル基を有するアルコキシアミン」とする)を合成によって得た後、該単量体を他の単量体と共重合させることにより高分子化して、アルコキシアミン基を分子内に有する高分子ラジカル重合開始剤を得る方法(以下、「手法II」とする)である。
従来技術においては、上記2法のいずれかの方法により該高分子ラジカル重合開始剤を得た後、これを用いてグラフトポリマーを合成している。
【0004】
上記の特開昭60−89452号公報、特開平10−60064号公報、特開平11−171946号公報およびAngew. Chem. Int. Ed. Engl., 36, 270 (1997)では、高分子ラジカル重合開始剤を前記の「手法I」によって得ている。
【0005】
即ち、特開昭60−89452号公報に記載の方法では、予め一般構造を有する高分子量体(ポリブタジエンまたはポリイソブチルメタクリレート)を合成し、ニトロキシド存在下における水素原子の引き抜きにより前記高分子量体中に発生させたラジカルと、系中に存在するニトロキシドとを反応させることによって、分子内にアルコキシアミンのペンダント基を有する高分子ラジカル重合開始剤を得ている。
【0006】
また、特開平10−60064号公報に記載の方法では、光照射により高分子量体分子中に発生させたラジカルと、系中に存在するニトロキシドとを反応させることにより、分子内にアルコキシアミン基を有する高分子ラジカル重合開始剤を得ている。
【0007】
また、特開平11−171946号公報に記載の方法では、ポリエチレンをオゾン処理することにより、または分子内にペルオキシド基を有する単量体と他の単量体を共重合することにより、高分子量体中にペルオキシド基を導入した後に該ペルオキシド基を熱的に開裂させ、発生したラジカルと系中に存在する単量体とニトロキシドとを反応させることによって、分子内にアルコキシアミンのペンダント基を有する高分子ラジカル重合開始剤を得ている。
【0008】
また、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 36, 270 (1997)では、スチレンとクロルメチルスチレンとを共重合することによって得た高分子量体中に存在するベンジルクロリド基と、分子内に水酸基を有するアルコキシアミンとを反応させることにより、高分子量体分子内にアルコキシアミンのペンダント基を有する高分子ラジカル重合開始剤を得ている。
【0009】
一方、上記の特開昭60−89452号公報、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 1456 (1995)、およびMacromolecules, 31, 4396 (1998)では、高分子ラジカル重合開始剤を前記の「手法II」によって得ている。
【0010】
即ち、特開昭60−89452号公報に記載の方法では、分子内に水酸基を有するアゾ系化合物を熱分解して発生する炭素中心ラジカルと、ニトロキシドとを反応させることにより、一旦、水酸基を有するアルコキシアミンを得る。しかる後に、該水酸基を(メタ)アクリル酸クロライドとエステル化してビニル基を有するアルコキシアミンを得、これを他の単量体と共重合させることによって、オリゴマーの(分子量5000以下の低分子量体である)ラジカル重合開始剤を得ている。
【0011】
また、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 1456 (1995)では、予めクロロメチルスチレンと水酸基を有するアルコキシアミンとを反応させてビニル基を有するアルコキシアミンを得た後、スチレンと共重合させることにより、ポリスチレンを主鎖とする高分子ラジカル重合開始剤を得ている。
【0012】
さらに、Macromolecules, 31, 4396 (1998)では、非共役ビニル基を有する化合物と、水酸基を有するアルコキシアミンとを反応させて非共役ビニル基を有するアルコキシアミンを得た後に、プロピレンもしくは2−メチルペンテンとをメタロセン触媒を用いて共重合させることにより、ポリスチレンを主鎖とする高分子ラジカル重合開始剤を得ている。
【0013】
尚、上記Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 1456 (1995)およびMacromolecules, 31, 4396 (1998)に記載の水酸基を有するアルコキシアミンは、ニトロキシド化合物およびスチレン単量体の存在下、過酸化ベンゾイルを熱分解し、得られた生成物を加水分解することにより得ている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の従来技術に開示されている高分子ラジカル重合開始剤と、これらを用いて合成されたグラフトポリマーには次のような問題があった。
【0015】
即ち、特開昭60−89452号公報に記載される高分子量体からの水素引き抜き反応、特開平10−60064号公報に記載される高分子量体への光反応、特開平11−171946号公報に記載される高分子量体中のペルオキシド基の開裂、およびAngew. Chem. Int. Ed. Engl., 36, 270 (1997)に記載される高分子量体中の活性部位との反応など、「手法I」に分類される高分子量体を出発原料とした反応によって高分子ラジカル重合開始剤を得る方法では、反応に用いられる高分子量体が、それぞれ、選択的にかつ容易に引き抜かれる水素原子を有する高分子量体でなければならない、光照射あるいは熱処理によって開裂してラジカルを生成し得る高分子量体でなければならない、水酸基と反応する活性部位を有する高分子量体でなければならない、などといった特定の条件を満足する必要があり実用的でなかった。
【0016】
加えて、上記の方法において効率良くニトロキシドを高分子量体中に導入するためには、高分子量体分子上に発生するラジカルに対し過剰のニトロキシドを系中に存在させる必要があり、経済的に不利であると同時に、反応に関与しなかった余分なニトロキシドを高分子ラジカル重合開始剤から取り除く工程が必要となる。さらに、高分子量体を出発原料として反応に供するために反応の制御が容易でない、光照射装置などの特別な設備を必要とする、溶媒を用いる必要がある、などといった工業的に不利となる問題点が多く、この点からも実用的な方法ではなかった。
【0017】
一方、「手法II」は、高分子ラジカル重合開始剤を得る方法としては比較的優れている。しかしながら、従来の技術には次のような問題点があった。
【0018】
即ち、特開昭60−89452号公報に記載される方法では、前述のとおり、エステル化反応により合成されたビニル基を有するアルコキシアミンを用いてオリゴマー状ラジカル重合開始剤、さらにはグラフトオリゴマーを得ている。そのため、グラフトポリマーの幹ポリマーと枝ポリマーがエステル結合によって結合した構造となっている。当然のことながら、この結合はイオン反応に対して弱いため、オリゴマー状ラジカル重合開始剤からアルコキシアミン基が脱離しやすく、また一旦グラフトポリマーが得られたとしても、容易に枝ポリマーが脱離してしまうため、グラフトポリマーとしての物性を発現できないという問題があった。また、この構造的欠陥ゆえに、該グラフトポリマーから得られる塗膜は耐水性、耐酸性雨性、耐侯性などが乏しいことが予想される。
【0019】
さらに、特開昭60−89452号公報に記載の発明は、特にオリゴマーを得ることを目的としており、分子量、特に枝ポリマーの分子量が極めて小さいグラフトポリマーしか得られておらず、枝ポリマー部分の特性が十分に発現されないものであった。即ち、得られたグラフトポリマーを2種以上の高分子量体からなる混合物の相溶化剤、乳化剤、分離安定剤などとして添加して用いた際に十分な効果を有していないという問題があった。
【0020】
同様に、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 1456 (1995) に記載の方法では、得られるグラフトポリマーは、幹ポリマーと枝ポリマーに結合している部分にラジカル反応に対して非常に活性な酸素原子に結合したベンジル位水素を有するので、例えば、空気中の酸素ラジカルによって徐々にそのベンジル位水素が引き抜かれることにより分解劣化し、幹ポリマーから枝ポリマーが脱離してしまう可能性が高いという潜在的な構造的欠陥を有している。また、該高分子ラジカル重合開始剤を用いて得られたグラフト重合体については、分岐したスチレンホモポリマーを得る反応に関する記載はあるが、2種以上の単量体からなるグラフトコポリマーの合成に関してはなんら具体的な記述がない。分岐状のホモポリスチレンは、前記の相溶化剤、乳化剤、分離安定剤などとしての効果を奏さない。
【0021】
また、Macromolecules, 31, 4396 (1998)に記載されるビニル基を有するアルコキシアミンは、脂肪族末端オレフィン化合物から誘導された非共役ビニル基を有する化合物であるため、工業的に実施が容易なラジカル共重合によって高分子ラジカル重合開始剤を得ようとした場合、共重合可能な単量体の種類に制約があった。即ち、(メタ)アクリル酸誘導体単量体およびスチレンなどの共役系ビニル基を有する単量体からなる高分子主鎖を有する高分子ラジカル重合開始剤を得ることが困難であるという問題があった。
【0022】
加えて、上記のAngew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 1456 (1995)およびMacromolecules, 31, 4396 (1998)に記載の方法においては、何れも高分子ラジカル重合開始剤を合成するためのビニル基を有するアルコキシアミンを得るために少なくとも3段階以上の反応を必要としている点で非常に煩雑であり、コスト面で極めて不利であり実用的とはいえなかった。
【0023】
以上のような状況に鑑み、本発明は、グラフトポリマー合成用として有用で、かつ分子主鎖とアルコキシアミン基とが炭素−炭素結合によって結合した高分子ラジカル重合開始剤を簡便な反応により得る方法およびその高分子ラジカル重合開始剤を提供すること、また該高分子ラジカル重合開始剤を用い、イオン反応およびラジカル反応に対して安定であって、実質的に枝ポリマーを構成する単量体のホモポリマーの生成を伴わない高純度なグラフトポリマーを提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来法の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、工業的に入手可能でかつ安価な原料を用い、かつ1段の簡便な方法により得られた特定のビニル基を有するアルコキシアミンを用いて高分子ラジカル重合開始剤を得ることができることを見出し、さらに該高分子ラジカル重合開始剤の分子主鎖とアルコキシアミン基の間の結合および該高分子ラジカル重合開始剤を用いた重合により、幹ポリマーと枝ポリマーが安定な炭素−炭素結合により結合し、その枝ポリマーの分子量が均一で狭い多分散性を有し、かつホモポリマー含有量の極めて低い高純度なグラフトポリマーが得られるとの知見を得て本発明を完成した。
【0025】
即ち、本出願における第1の発明は、ラジカル重合性単量体を重合してなる高分子量体であって、その主鎖から下記一般式(1)
【化3】
Figure 0004665270
……(1)
(式中、 はフェニレン基、R は水素、t−ブチル基またはR OC(O)−基であり、ここでR は炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルコキシアルキル基、シクロヘキシル基、またはt−ブチルシクロヘキシル基を表わす。R はメチル基、R はメチル基、R はメチル基、R はメチル基である。R およびR はそれぞれメチル基、またはR およびR が連結した環式構造であって、R とR が連結した環式構造の場合には、メチル基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、もしくはメトキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の、置換基、R 、R 、R およびR を除く部分はピペリジン、ピロリジンおよびイソインドリンから選ばれる窒素含有環である。)で表されるアルコキシアミン基が懸垂している高分子ラジカル重合開始剤である。
【0026】
本出願における第2の発明は、同一分子内にラジカル重合性ビニル基およびアルコキシアミン基の両基を有する下記一般式(2)
【化4】
Figure 0004665270
……(2)
(式中、 はフェニレン基、R は水素、t−ブチル基またはR OC(O)−基であり、ここでR は炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルコキシアルキル基、シクロヘキシル基、またはt−ブチルシクロヘキシル基を表わす。R はメチル基、R はメチル基、R はメチル基、R はメチル基である。R およびR はそれぞれメチル基、またはR およびR が連結した環式構造であって、R とR が連結した環式構造の場合には、メチル基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、もしくはメトキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の、置換基、R 、R 、R およびR を除く部分はピペリジン、ピロリジンおよびイソインドリンから選ばれる窒素含有環である。また、R10は水素またはメチル基を示す。)で表される化合物(A)と、ラジカル重合性単量体(B1)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含む混合物を、前記ラジカル重合開始剤(C)が分解し、かつ前記化合物(A)が分解しない温度領域で加熱することを特徴とする、請求項1に記載の高分子ラジカル重合開始剤の製造方法である。
【0027】
本出願における第3の発明は、第1の発明に記載の高分子ラジカル重合開始剤およびラジカル重合性単量体(B2)を100〜180℃の範囲において加熱することにより得られるグラフトポリマーである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0029】
本発明の高分子ラジカル重合開始剤は、一般式(1)で示されるアルコキシアミン基が分子主鎖に懸垂した高分子化合物である。
一般式(1)において、 はフェニレン基、R は水素、t−ブチル基またはR OC(O)−基であり、ここでR は炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルコキシアルキル基、シクロヘキシル基、またはt−ブチルシクロヘキシル基を表わす。R はメチル基、R はメチル基、R はメチル基、R はメチル基である。R およびR はそれぞれメチル基、またはR およびR が連結した環式構造であって、R とR が連結した環式構造の場合には、メチル基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、もしくはメトキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の、置換基、R 、R 、R およびR を除く部分はピペリジン、ピロリジンおよびイソインドリンから選ばれる窒素含有環である。
【0030】
本発明において、高分子ラジカル重合開始剤の分子量は、グラフトポリマーに対する要求特性に応じて適宜決定することができるが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下GPCという)により測定されるスチレン換算分子量において、数平均分子量が3000〜50万の範囲であることが好ましく、さらに5000から40万の範囲であることがより好ましい。高分子ラジカル重合開始剤の分子量が3000未満であると、グラフトポリマーにした場合に幹ポリマーの物性が十分発現できなくなる傾向にあり、一方、分子量が50万を越えると溶融状態あるいは溶液状態での高分子ラジカル重合開始剤の粘度が高くなり、この開始剤製造時およびグラフトポリマー製造時の作業性が悪くなる傾向にあるので好ましくない。
【0031】
さらに、本発明の高分子ラジカル重合開始剤一分子当たりに懸垂したアルコキシアミンペンダント基の平均個数は、3〜200個の範囲内であることが好ましく、さらに5〜100個の範囲にあることが好ましい。アルコキシアミン基の個数が1個または2個の場合であっても、枝ポリマーの分子量を十分に大きくすることによって、グラフトポリマーとしての効果発現は可能であるが、アルコキシアミン基の平均個数が3より少ない場合には、アルコキシアミン基を分子内に有さない高分子量体が生成しやすくなるうえ、グラフトポリマーにした場合に枝ポリマーの物性が十分発現できなくなる傾向にあるので好ましくない。一方、平均個数が200個よりも多いと、幹ポリマーの物性が十分発現できなくなる傾向にあるので好ましくない。
【0032】
上記のような高分子ラジカル重合開始剤は、次のようにして得ることができる。
即ち、同一分子内にラジカル重合性ビニル基とアルコキシアミン基の両基を有する一般式(2)で示される化合物(A)(以下、化合物Aと記す)とラジカル重合性単量体(B1)とラジカル重合開始剤(C)からなる混合物を、ラジカル重合開始剤(C)が分解し前記化合物(A)が分解しない温度領域で加熱する(以下、第一段目重合と記す)。
一般式(2)においては、 はフェニレン基、R は水素、t−ブチル基またはR OC(O)−基であり、ここでR は炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルコキシアルキル基、シクロヘキシル基、またはt−ブチルシクロヘキシル基を表わす。R はメチル基、R はメチル基、R はメチル基、R はメチル基である。R およびR はそれぞれメチル基、またはR およびR が連結した環式構造であって、R とR が連結した環式構造の場合には、メチル基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、もしくはメトキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の、置換基、R 、R 、R およびR を除く部分はピペリジン、ピロリジンおよびイソインドリンから選ばれる窒素含有環である。また、R10は水素またはメチル基である。
【0033】
一般式(2)で示される化合物(A)の具体的な例としては、2−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−2−(4'−ビニルフェニル)エタノール、2−(4'−ヒドロキシ−2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−2−(3'−ビニルフェニル)エタノール、2−t−ブトキシ−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−t−ブトキシ−1−(4'−ヒドロキシ−2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(3'−ビニルフェニル)エタン、2−t−ブトキシ−1−(4'−アセトキシ−2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(3'−ビニルフェニル)エタン、2−t−ブトキシ−1−(1',1',3',3'−テトラメチル−2',3'−ジヒドロ−1'H−2−イソインドリルオキシ)−1−(4'−イソプロペニルフェニル)エタン2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(4'−ヒドロキシ−2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(3'−ビニルフェニル)エタン、2−(2'−エトキシエチルオキシカルボニルオキシ)−1−(4'−メトキシ−2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ−1−(4'−メチル−2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(2'−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(4'−t−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(4'−ベンゾイルオキシ−2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−イソプロペニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(2',2',5',5'−テトラメチル−1'−ピロリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(ジ−t−ブチルニトロキシル)−1−(4'−ビニルフェニル)エタンなどが挙げられる。
【0034】
本発明において、第一段目重合に用いられるラジカル重合性単量体(B1)は、化合物(A)と共重合体可能なビニル単量体であって、目的とするグラフトポリマーの幹ポリマーを構成するのに適したものの中から適宜選択することができる。化合物(A)と共重合可能なラジカル重合性単量体(B1)の具体的な例としては、スチレン、p−メチルスチレン、クロルメチルスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有ビニル単量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水基含有ビニル単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのエステル基含有ビニル単量体、(メタ)アクリル酸2−イソシアネートエチル、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどのイソシアネート基含有ビニル単量体、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの窒素含有アルキル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有ビニル単量体、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどの芳香族含窒素ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル単量体などが挙げられる。
【0035】
これらラジカル重合性単量体のうち特に好ましいものとしては、分子内に酸素原子または窒素原子を含むラジカル重合性単量体であり、具体的にはカルボキシル基含有ビニル単量体、酸無水基含有ビニル単量体、エステル基含有ビニル単量体、イソシアネート基含有ビニル単量体、窒素含有アルキル(メタ)アクリレート、アミド基含有ビニル単量体、芳香族含窒素ビニル単量体、ニトリル基含有ビニル単量体などが挙げられる。
【0036】
これらラジカル重合性単量体はそれぞれ単独で、または2種以上を混合して用いることができる。グラフトポリマーとした場合に枝ポリマーとは異なる物性を幹ポリマーに導入することが望ましい場合には、第一段目重合にスチレン系以外のラジカル重合性単量体のみを用いても良いが、少なくとも1種以上のスチレン系以外のラジカル重合性単量体を含む単量体混合物を用いることが、より好ましい。なぜならば、本発明の高分子ラジカル重合開始剤を用いたグラフトポリマーの製造に際し、より高度に分子量が制御された枝ポリマーを得るには、スチレン系単量体を含む単量体を用いることがより好ましいからである。
【0037】
本発明において、第一段目重合において用いられる上記の化合物(A)とラジカル重合性単量体(B1)の使用量は、得られる高分子ラジカル重合開始剤中に所望されるアルコキシアミン基の個数に依存して適宜選択することができるが、通常、(A)に対する(B1)のモル比が10〜500倍の範囲であることが好ましい。ラジカル重合性単量体(B1)の使用モル比が10倍より少ないと、グラフトポリマーにした場合、枝ポリマーと枝ポリマーの間の幹ポリマーの鎖長が短くなりすぎて幹ポリマーの物性が十分発現できなくなる傾向にあり、一方、500倍を超えて大きくなると、枝ポリマー間の幹ポリマーの鎖長が長くなりすぎて枝ポリマーの物性が十分発現できなくなる傾向にあるので好ましくない。
【0038】
本発明において、第一段目重合は、上記の化合物(A)とラジカル重合性単量体(B1)とラジカル重合開始剤(C)からなる混合物を、ラジカル重合開始剤(C)が分解し化合物(A)が分解しない温度領域で行われる。
具体的な重合温度としては、0〜120℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。重合温度が0℃以下では、重合速度が遅いため重合完結までに長時間を要するので経済的に不利である。一方、重合温度が120℃以上では、上記化合物(A)の分解が顕著になり、結果として最終的に得られるグラフトポリマーの構造の制御が困難になりゲルが発生したり、グラフトポリマーの純度が低下するので好ましくない。
【0039】
本発明において、第一段目重合に用いられるラジカル重合開始剤(C)は、通常の有機過酸化物あるいはアゾ化合物を用いることができるが、上記の重合温度条件下で有効にラジカルを発生しうるものが好ましく、したがって、重合温度に依存して適宜選択すると良い。通常、用いられるラジカル重合開始剤(C)の具体的な例としては、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−オクチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−オクチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類、イソブチリルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類、ジプロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネートなどのペルオキシジカーボネート類、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)などのペルオキシケタール類、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(シクロヘキサンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。また、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどを硫酸第一鉄、硫酸第一銅、アスコルビン酸ナトリウムなどの還元剤を用いて還元してラジカルを発生させる方法、または光重合開始剤に光照射してラジカルを発生させる方法によって、重合を開始することもできる。
【0040】
本発明において、第一段目重合は、塊状重合、懸濁重合、溶液重合および乳化重合など公知の重合方法によって行うことができ、単量体の種類、重合温度、所望される高分子ラジカル重合開始剤の分子量などによって適宜選択することができる。
【0041】
本発明において、第一段目重合に懸濁重合を採用した場合、分散剤として水溶性高分子の保護コロイド剤、難溶性無機物を重合系に添加することができる。水溶性高分子保護コロイド剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等があり、これらのうちポリビニルアルコールが好ましい。また、難溶性無機物としては、第三燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、ピロ燐酸カルシウム、ベントナイト等が挙げられる。難溶性無機物を分散剤とした場合には、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルフォン酸ソーダなどのアニオン界面活性剤を少量使用することが好ましい。
【0042】
本発明において、第一段目重合に溶液重合を採用した場合、溶媒の具体的な例としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶媒、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエチレングリコール系溶媒、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのジエチレングリコール系溶媒、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコール系溶媒が挙げられ、これらを単独で、あるいは混合物として用いることができる。
【0043】
本発明においては、必要に応じてα−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン)、ターピノーレン、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、チオフェノールなどの公知の連鎖移動剤を使用できる。
【0044】
本発明においては、第一段目重合が完結した後、高分子ラジカル重合開始剤は、そのままで、あるいは溶媒留去または再沈殿などの精製工程を経た後に、グラフトポリマーを得るための重合(以下、第二段目重合と記す)に供される。
【0045】
本発明において第二段目重合は、前記一般式(1)で示される高分子ラジカル重合開始剤およびラジカル重合性単量体(B2)を含む混合物を加熱することにより実施される。
【0046】
即ち、一般式(1)で示される高分子ラジカル重合開始剤が熱的作用によって、幹ポリマー側に結合した炭素ラジカルと、安定なニトロキシドラジカルに開裂する。炭素ラジカルは系中に存在するラジカル重合性単量体(B2)との付加重合を開始する。一方、ニトロキシドラジカルは重合を開始することなく、炭素ラジカルからの生長ポリマーラジカルとの間で、再結合と再開裂を繰り返しながら重合反応が進行する、いわゆるリビング的なラジカル重合により第二段目重合が行われる。
【0047】
本発明において、第二段目重合は、上記第一段目重合と同様に塊状重合、懸濁重合、溶液重合および乳化重合など公知の重合方法によって行うことができ、単量体の種類、重合温度、所望される高分子ラジカル重合開始剤の分子量などによって適宜選択することができる。
【0048】
本発明において、第二段目重合に用いられるラジカル重合性単量体(B2)としては、前記第一段目重合に用いることが可能なラジカル重合性単量体(B1)の中から、得られるグラフトポリマーの要求される物性に応じて選択したものを適宜用いることができるが、第二段目重合で得られるグラフトポリマーの枝ポリマーの分子量を効果的に大きくする目的あるいはより高度に制御する目的で、スチレン系単量体単独物あるいは少なくとも一種以上のスチレン系単量体を含むラジカル重合性単量体混合物を用いることが好ましい。
【0049】
本発明において、第二段目重合で得られるグラフトポリマーの枝ポリマーの分子量は、幹ポリマーの分子量との関係および目的とするグラフトポリマーの分子量によって適宜決定することができる。高分子ラジカル重合開始剤(A)中に懸垂したアルコキシアミンペンダント基の個数(即ち、最終的に得られる枝ポリマーの個数)に依存するが、通常、枝ポリマーは、GPCによるスチレン換算分子量が1000〜15万の範囲であることが好ましく、2000〜10万の範囲であることがより好ましい。分子量が1000より小さいと、グラフトポリマーにした場合、枝ポリマーの物性が十分発現できなくなる傾向にあり、一方、15万を超えると、幹ポリマーの物性が十分発現できなくなる傾向にあるので好ましくない。
【0050】
本発明において、第二段目重合の重合温度は100〜180℃の範囲が好ましく、110〜160℃の範囲がより好ましい。重合の温度が100℃以下では、高分子ラジカル重合開始剤の分解速度が遅くなり、結果として重合時間が長くなる傾向にあるので好ましくない。一方、重合温度が180℃よりも高くなると重合速度の制御が困難になる上、熱重合により第二段目重合時に添加されたラジカル重合性(B2)のホモポリマーが生成しやすくなり、結果としてグラフトポリマーの純度が低下するので好ましくない。
【0051】
【実施例】
以下、本発明をより詳細に説明するため、実施例を用いて説明を行うが、本発明の要旨を越えない限り、実施例によって本発明が限定されるものではない。
なお、本発明の実施においては、予め特願平10−206146号公報に記載の方法に準じて、以下のように本発明の高分子ラジカル重合開始剤を得るための化合物(A)を合成した。
【0052】
<化合物(A)の合成>
攪拌機、コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた100mlの4つ口フラスコに、ジビニルベンゼン(新日鐵化学社製「DVB−960」、m−およびp−ジビニルベンゼンの異性体混合物、純度96%)50gと4−ヒドロキシ− 2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(HO−TEMPO)8.61g(50mmol)の混合物を投入し内容物を窒素置換した。ついで内容物を50℃に加熱し、ジーイソプロピルペルオキシジカーボネート(IPP)11.6g(55.6mmol)を20分かけて分割添加した。その後、50℃で5時間反応をした後、ジビニルベンゼンの大部分を減圧下に留去した。得られた組成物をシリカゲルクロマトグラフィで精製し、淡黄色油状物12.8gを得た。
これを高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、質量分析、H−NMRおよび13C−NMRにより構造確認を行った結果、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタンと2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンの混合物(以下、A−1)であることを確認した。HPLCおよびGPC分析から求めた純度は98%であった。
【0053】
同様にして、以下の本発明の化合物(A2〜A4)を合成した。
2−t−ブトキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタンと2−t−ブトキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンの混合物(純度98%、A−2)
2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−(3’−ビニルフェニル)エタノールと2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−(4’−ビニルフェニル)エタノールの混合物(純度99%、A−3)2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン(純度98%、A−4)
【0054】
<実施例1>
参考例で得た化合物A−1を0.62g(1.5mmol)、メチルメタクリレート(MMA)4.41g(44.0mmol)、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.010g(0.049mmol)、分子量調節剤としてn−オクチルメルカプタン0.05gの混合物に窒素を吹込み、酸素を除去した上で、内容量10mlのガラスアンプル中に注入したのち封管し、反応温度60℃にて6時間重合を行った。その後、内容物を50mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、その溶液をメタノール300mlに滴下して高分子量体の再沈殿を行った。この精製操作を再度繰り返して行い、未反応の化合物A−1、MMAおよびHPVを完全に取り除いた後、生成物を30℃で24時間減圧下に放置し乾燥させた。
【0055】
上記の操作により得られた高分子量体の重量は2.91gであり、収率は58.2%であった。GPCで分子量を測定したところ、スチレン換算で数平均分子量2.0万、重量平均分子量3.4万のポリMMAであることを確認した。
この化合物のH−NMRスペクトル(テトラメチルシラン(TMS)/重クロロホルム(CDCl))を、図1に示す。それぞれのプロトンの帰属は次のとおりである。(δ(ppm))
0.65〜1.55;メチルおよびメチレンプロトン
1.65〜2.15;メチルプロトン
3.60 ;エステルメチルプロトン
6.8〜7.3 ;ベンゼン環プロトン
H−NMR分析結果より、化合物A−1に由来するベンゼン環プロトンと、ポリMMAのエステルメチル基に由来するプロトンとの比から、高分子量体1分子あたりに平均して6.8個のアルコキシアミン基が導入されていることがわかった。
以上のことから、この化合物が次式(化5)で示される本発明の高分子ラジカル重合開始剤(以下、LRPI−1とする)であることを確認した。
【0056】
【化5】
Figure 0004665270
【0057】
<実施例2〜4>
実施例1において、化合物Aおよび単量体の種類と使用量、並びに重合温度と時間をかえた以外は、実施例1に準じて高分子ラジカル重合開始剤の合成を行った。合成における諸条件と併せて、合成物の分析結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004665270
尚、上記表1および下記において、各記号はそれぞれ以下のものを表す。
単量体
CMS:クロロメチルスチレン(m体およびp体の混合物)
重合開始剤
HPV:t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂株式会社製「パーヘキシルPV」)
BPV:t−ブチルパーオキシピバレート(日本油脂株式会社製「パーブチルPV」)
添加剤
MSD:α−メチルスチレンダイマー(日本油脂株式会社製「ノフマーMSD」)
OM:n−オクチルメルカプタン
【0059】
【化6】
Figure 0004665270
【0060】
【化7】
Figure 0004665270
【0061】
【化8】
Figure 0004665270
【0062】
<実施例5>
攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素ガス導入管を備えた300mlの4つ口フラスコに溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル30gを入れ、溶媒および容器内の空間部を窒素ガスで十分に置換した。溶媒を65℃に加熱し、窒素気流下攪拌しながら1.57g(3.8mmol)の化合物A−1、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)15.0g(0.152mol)、ジエチレングリコールジメチルエーテル9.09gおよび重合開始剤としてBPV0.167gの混合物を15分毎に8回に分けて添加した。添加終了後さらに65℃で3時間、さらに85℃で1時間重合を行った。
【0063】
ガスクロマトグラフィおよびGPC分析の結果、DMAAの転化率は100%であり、得られた溶液は30%(16.7g)の高分子量体を含んでいることがわかった。
また、高分子量体の数平均分子量は6.0万、重量平均分子量は13.4万であった。溶液の一部から再沈により取り出した高分子量体のH−NMR(TMS/CDCl)分析結果は次のとおりである。(δ(ppm))
0.6〜1.6;メチルおよびメチレンプロトン
1.7〜2.2;メチルプロトン
3.0 ;−N(CH
6.8〜7.3;ベンゼン環プロトン
H−NMR分析結果より、化合物A−1に由来するベンゼン環プロトンと、窒素原子に結合したメチルに由来するプロトンとの比から、高分子量体1分子あたりに平均して15.5個のアルコキシアミン基が導入されていることがわかった。
以上のことから、この化合物が式(化9)で示される本発明の高分子ラジカル重合開始剤(以下、LRPI−5とする)であることを確認した。
【0064】
【化9】
Figure 0004665270
【0065】
<実施例6>
内容量20mlのガラスアンプルに、実施例1で得られたLRPI−1を2g、スチレン10gを注入し窒素置換したうえで封管し、125℃で5時間重合を行った。内容物を50mlのTHFに溶解し、その溶液をメタノール500mlに滴下して高分子量体の再沈殿を行った。この精製操作を再度繰り返して行い未反応のスチレン単量体を完全に取り除いた後、高分子量体を30℃で24時間減圧下に放置し乾燥させた。
【0066】
得られた高分子量体の重量は7.0gであり、スチレンの転化率は50.0%であった。得られた高分子量体の分子量は、GPC測定によればスチレン換算で数平均分子量が6.6万、重量平均分子量が9.7万であった。さらにソックスレー管を用いた分別抽出により、得られた高分子量体の組成は、スチレンとMMAのグラフト共重合体が97%、ポリスチレンホモポリマーが3%であり、ポリMMAホモポリマーおよびゲル分をほとんど含まないことが確認された。さらに、グラフト体の組成比をH−NMRにより分析した結果、枝ポリマー部分は平均で68.5個のスチレン単量体から構成されていることがわかった。
【0067】
<実施例7〜10>
実施例2〜5で合成された本発明の高分子ラジカル重合開始剤を用いて、以下の表2に示す重合条件に従い実施例6と同様にして本発明のグラフトポリマーの合成を行った。これらの分析結果を、表2に併せて示す。尚、表2において、BAはアクリル酸ブチルを示す。
【0068】
【表2】
Figure 0004665270
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、簡便な方法によって、安定な炭素−炭素に結合により分子主鎖に特定構造のアルコキシアミンのペンダント基が懸垂した高分子重合開始剤を得ることができる。また、得られた高分子ラジカル重合開始剤を用いて、幹ポリマーと枝ポリマーが安定な炭素−炭素に結合により結合し、イオン反応およびラジカル反応に対して安定なグラフトポリマーを高純度で得ることができる。
本発明によって得られるグラフトポリマーは、例えば、少なくとも2種以上の互いに相溶性のない高分子量体同士を均一に混合するための相溶化剤、界面活性剤、顔料分散剤、接着性改良剤などとしての用途に対し優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例1の化合物のH−NMRスペクトル

Claims (3)

  1. ラジカル重合性単量体を重合してなる高分子量体であって、その主鎖から下記一般式(1)
    Figure 0004665270
    ……(1)
    (式中、 はフェニレン基、R は水素、t−ブチル基またはR OC(O)−基であり、ここでR は炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルコキシアルキル基、シクロヘキシル基、またはt−ブチルシクロヘキシル基を表わす。R はメチル基、R はメチル基、R はメチル基、R はメチル基である。R およびR はそれぞれメチル基、またはR およびR が連結した環式構造であって、R とR が連結した環式構造の場合には、メチル基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、もしくはメトキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の、置換基、R 、R 、R およびR を除く部分はピペリジン、ピロリジンおよびイソインドリンから選ばれる窒素含有環である。)で表されるアルコキシアミン基が懸垂している高分子ラジカル重合開始剤。
  2. 同一分子内にラジカル重合性ビニル基およびアルコキシアミン基の両基を有する下記一般式(2)
    Figure 0004665270
    ……(2)

    (式中、 はフェニレン基、R は水素、t−ブチル基またはR OC(O)−基であり、ここでR は炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルコキシアルキル基、シクロヘキシル基、またはt−ブチルシクロヘキシル基を表わす。R はメチル基、R はメチル基、R はメチル基、R はメチル基である。R およびR はそれぞれメチル基、またはR およびR が連結した環式構造であって、R とR が連結した環式構造の場合には、メチル基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、もしくはメトキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の、置換基、R 、R 、R およびR を除く部分はピペリジン、ピロリジンおよびイソインドリンから選ばれる窒素含有環である。また、R10は水素またはメチル基を示す。)で表される化合物(A)と、ラジカル重合性単量体(B1)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含む混合物を、前記ラジカル重合開始剤(C)が分解し、かつ前記化合物(A)が分解しない温度領域で加熱することを特徴とする、請求項1に記載の高分子ラジカル重合開始剤の製造方法。
  3. 請求項1に記載の高分子ラジカル重合開始剤およびラジカル重合性単量体(B2)を、100〜180℃の範囲において加熱することによって得られるグラフトポリマー。
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