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JP2003268027A - 高分子ラジカル重合開始剤および共重合体の製造方法 - Google Patents

高分子ラジカル重合開始剤および共重合体の製造方法

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JP2003268027A
JP2003268027A JP2002076766A JP2002076766A JP2003268027A JP 2003268027 A JP2003268027 A JP 2003268027A JP 2002076766 A JP2002076766 A JP 2002076766A JP 2002076766 A JP2002076766 A JP 2002076766A JP 2003268027 A JP2003268027 A JP 2003268027A
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polymer
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radical
meth
vinyl
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JP2002076766A
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Nobuko Ogami
暢子 大上
Hideko Tokunaga
英子 徳永
Takayuki Makino
隆之 槙野
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多種多様な単量体を用いて構成することが可
能な高分子ラジカル重合開始剤、および該開始剤を利用
する共重合体の製造方法を提供する。 【解決手段】 側鎖および/又は末端に一般式(1)ま
たは(2)で示される構造を有するビニル系重合体を高
分子ラジカル重合開始剤として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、簡便な方法で製造
することが可能なアルコキシアミン基を有する高分子ラ
ジカル重合開始剤、および該開始剤を利用して共重合体
(構造上安定なグラフト共重合体、ブロック共重合体
等)を効率良く製造する方法に関する。
【0002】本発明により得られる高分子ラジカル重合
開始剤は、共重合体の製造のみならず、樹脂組成物製造
時における粘度の調整にも利用することができる。更
に、本発明の高分子ラジカル重合開始剤の構成成分、お
よび/又は該開始剤を用いた重合における単量体の成分
を目的に応じて適宜選択することが可能であるため、こ
のような高分子ラジカル重合開始剤を用いて製造可能な
共重合体(例えばグラフト共重合体およびブロック共重
合体)は、エラストマー、相溶化剤、界面活性剤等の幅
広い機能性材料に好適に利用することができる。
【0003】
【従来の技術】高分子重合の分野において、安定なニト
ロキシラジカル(いわゆる「リビングラジカル」の一
種)を利用する重合が注目を集めている。このような安
定なニトロキシラジカルを利用することで工業的に多用
されているラジカル重合により、分子量、分子量分布及
び形態を含めて、ポリマーの分子構造を正確に調節でき
るからである。
【0004】アルコキシアミン基を分子内に有する高分
子ラジカル重合開始剤を用い、このアルコキシアミン基
から生成する安定なニトロキシラジカルを得る方法(な
いしは、このような安定なニトロキシラジカルが関与す
るラジカル重合によりグラフトポリマーを得る方法)
は、既に特開昭60−89452号公報、特開平10−
60064号公報、特開平2001−64308号公報
等に開示されている。
【0005】これらの従来技術において、アルコキシア
ミン基を分子内に有する高分子ラジカル重合開始剤を得
る方法は、2種類に大別できる。その第1の方法は、高
分子量体の分子中に、ラジカル反応、あるいはイオン反
応によってアルコキシアミン基を導入し、高分子ラジカ
ル重合開始剤を得る方法である。また、第2の方法は、
同一分子内にラジカル重合性ビニル基およびアルコキシ
アミン基を有する化合物を製造した後、該アルコキシア
ミン基を有する化合物を他の単量体と共重合させること
により、アルコキシアミン基を分子内に有する高分子ラ
ジカル重合開始剤を得る方法である。上記の文献中にお
いては、これらの方法で得られた高分子ラジカル重合開
始剤を利用して、グラフト共重合体の合成が行われてい
る。
【0006】前者の方法(高分子量体中にアルコキシア
ミン基を導入する方法)は、特開昭60−89452号
公報、特開平10−60064号公報中に記載されてい
る。
【0007】これらのうち、特開昭60−89452号
公報には、ポリブタジエン又はポリイソブチルメタクリ
レート中にラジカルを発生させ、このラジカルと系中に
存在させたニトロキサイド化合物とを反応させることに
より、分子内にアルコキシアミンを有する高分子ラジカ
ル重合開始剤を得る方法が記載されている。
【0008】また、上記の特開平10−60064号公
報には、光照射により高分子量体分子中にラジカルを発
生させ、系中に存在するニトロキサイド化合物を反応さ
せて、分子内にアルコキシアミン基を有する高分子ラジ
カル重合開始剤を得る方法が記載されている。
【0009】一方、後者の方法(アルコキシアミン基を
有する化合物を共重合する方法)は特開昭60−894
52号公報、特開2001−64308号公報中に記載
されている。
【0010】これらのうち、特開昭60−89452号
公報には、分子内に水酸基を有するアゾ系化合物を熱分
解して発生したラジカルとニトロキサイド化合物とを反
応させることにより、水酸基を有するニトロキサイド化
合物を得た後、該水酸基を(メタ)アクリル酸クロライ
ドとエステル化してビニル基を有するニトロキサイド化
合物を得て、これを他の単量体と反応させることによ
り、ラジカル重合開始剤を製造する方法が記載されてい
る。
【0011】また、特開2001−64308公報に
は、特定のビニル基を有するニトロキサイド化合物を用
いて高分子ラジカル重合開始剤を合成し、該開始剤を利
用してグラフト共重合体を合成する方法が記載されてい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ニトロキサイド化合物
を利用する重合を幅広い材料設計に利用するためには、
種々の単量体種から構成される共重合体が簡便に得られ
ることが重要である。しかしながら、上記した従来技術
に開示されている高分子ラジカル重合開始剤、あるいは
これらの開始剤を用いて合成されたグラフト共重合体に
は、以下のような問題があった。
【0013】すなわち、前者の方法(高分子量体中にア
ルコキシアミン基を導入する方法)により高分子ラジカ
ル重合開始剤を得る場合には、特開昭60−89452
号公報、特開平10−60064号公報等に記載された
技術におけるように、反応に用いられる高分子量体から
水素原子が選択的かつ容易に引き抜かれるか、あるいは
光照射や熱処理によって開裂してラジカルを生成し得る
高分子量体を注意深く選択する必要がある。したがっ
て、これらの方法に利用可能な高分子量体が限定される
ため実用的ではなかった。また、これらの方法において
は、重合体へのアルコキシアミン基の導入効率が低いと
いう問題もあった。
【0014】他方、後者の方法(アルコキシアミン基を
有する化合物を共重合する方法)により高分子ラジカル
開始剤を得る場合には、特開昭60−89452号公報
や特開2001−64308号公報記載の技術のよう
に、アルコキシアミン基を導入すべき単量体がかなり限
定される、あるいはアルコキシアミン基の導入効率が低
い等の問題があった。
【0015】本発明の目的は、上記した従来技術におけ
る種々の問題点を解決することが可能な高分子ラジカル
重合開始剤、および該開始剤を利用する共重合体の製造
方法を提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、多種多様な単量体を
用いて構成することが可能な高分子ラジカル重合開始
剤、および該開始剤を利用する共重合体の製造方法を提
供することにある。
【0017】本発明の更に他の目的は、簡便な方法によ
り高収率で得ることが可能な高分子ラジカル重合開始
剤、および該開始剤を利用して構造上安定な共重合体を
収率良く製造する方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の従
来技術における問題点の解決を目指して鋭意検討した結
果、特定の反応基を有するニトロキサイド化合物を用い
ることにより、多様な単量体種を有することが可能な高
分子ラジカル重合開始剤が容易に得られることを見出し
た。加えて、本発明者らは、このような高分子ラジカル
重合開始剤は、簡便に高収率で得ることが可能であるこ
とも見出した。
【0019】本発明者らは上記知見に基づいて更に研究
を進めた結果、このような高分子ラジカル重合開始剤を
利用することにより、該開始剤の重合体部分と該開始剤
により新たに重合した重合体部分が安定な炭素−炭素結
合により結合した共重合体(例えばグラフト共重合体、
ブロック共重合体)を製造可能であることをも見出し
た。
【0020】即ち、第1の面において、本発明は、側鎖
および/又は末端に下記一般式(1)または(2)で示
される構造を有するビニル系重合体であって、ビニル系
単量体のアニオン重合により生成するカルボアニオンと
エポキシ基の反応により得られるビニル系重合体以外の
ビニル系重合体を含むことを特徴とする高分子ラジカル
重合開始剤に関する。
【0021】
【化3】
【0022】(式中、R、R、R、R、R
10は、該化合物から生成し得るニトロキシラジカル
とラジカル重合性単量体から生成する炭素ラジカルとの
結合に立体障害および結合エネルギーの低下を与える鎖
長を有する同一又は異なる直鎖型もしくは分岐型のアル
キル基を示し、R、R、R11〜R14は、水素、
直鎖型もしくは分岐型のアルキル基を示し、互いに同一
でも異なっていてもよく、Y、Y’は一緒になって2価
基の−C(R15)(R16)−C(R17
(R18)−、−C(R19)(R20)−C
(R21)(R22)−C(R 23)(R24)−のい
ずれか1つを形成し、R15〜R24は水素、アルキル
基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシロ
キシ基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0023】第2の面において、本発明は、ビニル系単
量体のアニオン重合によって得られるカルボアニオン以
外のビニル系重合体であって、且つ、エポキシ基と反応
可能な官能基を分子内に有するビニル系重合体(A)
と、下記一般式(3)または(4)で示されるエポキシ
基を有する化合物(B)を反応させて、上記した第一の
発明である高分子ラジカル重合開始剤を製造する方法に
関する。
【0024】
【化4】 (式中、R、R、R、R、R〜R10は、該
化合物から生成し得るニトロキシラジカルとラジカル重
合性単量体から生成する炭素ラジカルとの結合に立体障
害および結合エネルギーの低下を与える鎖長を有する同
一又は異なる直鎖型もしくは分岐型のアルキル基を示
し、R、R、R11〜R14は、水素、直鎖型もし
くは分岐型のアルキル基を示し、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、Y、Y’は一緒になって2価基の−C
(R15)(R16)−C(R17)(R18)−、−
C(R19)(R20)−C(R21)(R22)−C
(R )(R24)−のいずれか1つを形成し、R
15〜R24は水素、アルキル基、カルボキシル基、ア
ルコキシカルボニル基、アシロキシ基を示し、互いに同
一でも異なっていてもよい。)
【0025】第3の面において、本発明は、同一分子内
にエポキシ基と反応可能な官能基およびラジカル重合性
ビニル基を有する化合物(D)と一般式(3)または
(4)で表されるエポキシ基を有する化合物(B)との
反応物(E)と、他のラジカル重合性単量体(F)とを
共重合させて、上記した第一の発明である高分子ラジカ
ル重合開始剤を製造する方法に関する。
【0026】第4の面において、本発明は、上記した第
一の発明であるラジカル重合開始剤とラジカル重合性単
量体とを加熱することによってグラフト共重合体あるい
はブロック共重合体を製造する方法に関する。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に説明
する。以下の記載において量比を表す「部」および
「%」は、特に断らない限り質量基準とする。
【0028】(高分子ラジカル重合開始剤)
【0029】本発明の高分子ラジカル重合開始剤は、側
鎖および/又は末端に一般式(1)または(2)で示さ
れる構造を有するビニル系重合体であって、ビニル系単
量体のアニオン重合により生成するカルボアニオンとエ
ポキシ基の反応により得られるビニル系重合体以外のビ
ニル系重合体を少なくとも含む。
【0030】本発明の高分子ラジカル重合開始剤を表す
上記一般式(1)または(2)の式中、R、R、R
、R、R〜R10は、該化合物から生成し得るニ
トロキシラジカルとラジカル重合性単量体から生成する
炭素ラジカルとの結合に立体障害および結合エネルギー
の低下を与える鎖長を有する同一又は異なる直鎖型もし
くは分岐型のアルキル基を示す。R、R、R11
14は、水素、直鎖型もしくは分岐型のアルキル基を
示し、互いに同一でも異なっていてもよい。Y、Y’は
一緒になって2価基の−C(R15)(R16)−C
(R17)(R )−、−C(R19)(R20)−
C(R21)(R22)−C(R23)(R24)−の
いずれか1つを形成する基を示す。R15〜R24は水
素、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニ
ル基、アシロキシ基を示し、互いに同一でも異なってい
てもよい。
【0031】(立体障害および結合エネルギーの低下)
【0032】本発明において、上記一般式(1)または
(2)の式中、R、R、R、R、R〜R10
は、該化合物から生成し得るニトロキシラジカルとラジ
カル重合性単量体から生成する炭素ラジカルとの結合に
立体障害および結合エネルギーの低下を与える鎖長を有
する同一又は異なる直鎖型もしくは分岐型のアルキル基
である。ここに、「炭素ラジカルとの結合に立体障害お
よび結合エネルギーの低下を与える鎖長」とは、炭素数
1以上の基を言う。
【0033】このようなビニル系重合体における(一般
式(1)または(2))の構造の例としては、下記式
(X)で表される構造が挙げられる。この一般式(1)
または(2)で示される構造は、本発明の高分子ラジカ
ル重合開始剤を構成するビニル系重合体の側鎖または末
端のいずれかにあってもよく、または側鎖と末端の両方
にあっても良い。
【0034】
【化5】
【0035】(ビニル系単量体)
【0036】本発明のビニル系重合体は、上記一般式
(1)または(2)の構造を有するビニル系重合体を与
える単量体である限り、特に限定されない。本発明にお
いて、一般式(1)または(2)の構造を有するビニル
系重合体を構成することが可能なビニル系単量体の例と
しては、例えば、メタクリル酸と3,3,8,8,1
0,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメ
トキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−
9−アザスピロ[5.5]ウンデカンの反応物(例え
ば、下記式(Y)で表されるもの);スチレン、p−メ
チルスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチ
レン等のスチレン誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基
含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等
の酸無水基含有ビニル単量体;アクリルアミド、メタク
リルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−
エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル
(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニル単量
体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル
酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)ア
クリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸
3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)ア
クリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アク
リル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリ
ル酸N−t−ブチルアミノエチル等のエステル基含有ビ
ニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
のニトリル基含有ビニル単量体;ジペンタエリストール
ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペ
ンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン
テトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアク
リレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタン
ジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−
(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メ
タ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニ
ル)プロパン、1,2−ビス[3−(メタ)アクリロキ
シ−2−ヒドロキシプロポキシ]エタン、1,4−ビス
[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ]ブタン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、
ジビニルナフタレン等の多官能ビニル系単量体が挙げら
れる。本発明において、ビニル系重合体は、これらの単
量体単独から構成される重合体でもよく、また2種以上
の単量体から構成される重合体であってもよい。
【0037】
【化6】
【0038】(分子量)
【0039】上記した本発明のビニル系重合体(一般式
(1)または(2)の構造を有する)の分子量は、高分
子ラジカル重合開始剤を利用して製造される共重合体
(例えばグラフト共重合体またはブロック共重合体)に
要求される物性により適宜決定することができる。例え
ばブロック共重合体をエラストマーとして使用する場合
には、機械的強度と成形性の点からは、高分子ラジカル
重合開始剤の数平均分子量は、1 ×10〜 50×
10程度、更には5×10〜 10×10程度で
あることが好ましい(数平均分子量は例えばGPCを用
いて測定することができる。
【0040】(高分子ラジカル重合開始剤の製法)
【0041】第2の面において、本発明は、ビニル系単
量体のアニオン重合によって得られるカルボアニオン以
外のビニル系重合体であって、且つ、エポキシ基と反応
可能な官能基を分子内に有するビニル系重合体(A)
と、上記した一般式(3)または(4)で示されるエポ
キシ基を有する化合物(B)を反応させて、第一の発明
である高分子ラジカル重合開始剤を製造する方法に関す
る。
【0042】上記のビニル系重合体(A)中にはエポキ
シ基と反応可能な官能基が存在しているため、このビニ
ル系重合体(A)を、エポキシ基を有する化合物(B)
と反応させることができる。
【0043】(エポキシ基と反応可能な官能基)
【0044】ビニル系重合体(A)を構成する、エポキ
シ基と反応可能な官能基としては、ビニル系単量体のア
ニオン重合またはアニオン共重合(以下、「アニオン
(共)重合」という)により得られるカルボアニオン以
外の官能基であれば特に限定はされない。このような
「カルボアニオン以外の官能基」の例としては、反応性
の点からは、カルボン酸基、アミノ基、水酸基等が好適
に使用可能である。エポキシ基と反応可能な官能基はビ
ニル系重合体(A)の側鎖、末端、もしくはその両方に
位置する。従って、上記のビニル系重合体(A)を構成
する単量体の一部に、これらの官能基を有する単量体が
配置されるように、ビニル系重合体(A)を構成する単
量体(ないしは、単量体の組合せ)を選択すれば良い。
【0045】(官能基を有する単量体)
【0046】上記した「エポキシ基と反応可能な官能
基」を有する単量体としては特に限定されないが、反応
性の点からは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル
酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒド
ロキシプロピル等が好適に使用可能である。また、これ
らのエポキシ基と反応可能な官能基を有しない単量体を
選択し、このような単量体を用いて重合体を構成しした
後に、何らかの方法で、該重合体中のこれらの単量体に
相当する部分にカルボン酸基、アミノ基、水酸基等を導
入することにより、ビニル系重合体(A)とすることも
可能である。
【0047】(ビニル系重合体(A))
【0048】エポキシ基と反応可能な官能基を有するビ
ニル系重合体(A)を構成するビニル系単量体は特に限
定されない。好適に使用可能なビニル系単量体の例とし
ては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、クロロ
メチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導
体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマル酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体;無
水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水基含有ビニル
単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチ
ル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
ド等のアミド基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル
酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプ
ロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、
(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリ
ル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチル
アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルア
ミノエチル、(メタ)アクリル酸N−t−ブチルアミノ
エチル等のエステル基含有ビニル単量体;アクリロニト
リル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル単
量体;ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレー
ト、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テ
トラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)ア
クリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アク
リレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポ
リエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−
ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−
ビス[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロ
ポキシ]エタン、1,4−ビス[3−(メタ)アクリロ
キシ−2−ヒドロキシプロポキシ]ブタン、ジビニルベ
ンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン等の
多官能ビニル系単量体が挙げられる。これらの単量体は
単独で用いてもよく、また2種以上を混合して用いても
よい。
【0049】ビニル系重合体(A)の分子量は、目的と
する高分子ラジカル重合開始剤、および該開始剤を利用
して製造される共重合体(例えばグラフト共重合体また
はブロック共重合体)に要求される物性により適宜決定
することができる。この分子量は、開始剤濃度、あるい
は連鎖移動剤の添加等により調節することができる。例
えばブロック共重合体をエラストマーとして使用する場
合には、機械的強度と成形性の点からは、高分子ラジカ
ル重合開始剤の数平均分子量は、1 ×10〜 50
×10程度、更には5×10〜 10×10程度
であることが好ましい。
【0050】(化合物(B))
【0051】本発明において、上記のビニル系重合体
(A)と反応されるべきエポキシ基を有する化合物
(B)は、上記一般式(3)または(4)で表される。
【0052】このようなエポキシ基を有する化合物
(B)の例としては、3,3,8,8,10,10−ヘ
キサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェ
ニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピ
ロ[5.5]ウンデカン、7,7,9,9−テトラメチ
ル−8−[1−(4−オキシラニルメトキシ−フェニ
ル)−エトキシ]−1,4−ジオキサ−8−アザスピロ
[4.5]デカンなどが挙げられる。
【0053】(反応方法)
【0054】上記化合物(B)が有するエポキシ基と、
ビニル系重合体(A)中に存在する「エポキシ基と反応
可能な官能基」との反応方法は、高分子ラジカル重合開
始剤を与えることが可能である限り特に限定されない。
好適に使用可能な方法としては、例えば、室温下あるい
は加熱下においてアミノ基やカルボン酸基と溶液中で混
合することによって反応させる方法や、水酸化カリウム
等の触媒存在下において溶液中で水酸基と反応させる方
法等を挙げることができる。
【0055】(ラジカル重合開始剤の製法)
【0056】次に、第三の発明について説明する。
【0057】第3の面において、本発明は、同一分子内
にエポキシ基と反応可能な官能基およびラジカル重合性
ビニル基を有する化合物(D)と一般式(3)または
(4)で表されるエポキシ基を有する化合物(B)との
反応物(E)と、他のラジカル重合性単量体(F)を共
重合させて、第一の発明である高分子ラジカル重合開始
剤を製造する方法に関する。
【0058】(化合物(D))
【0059】エポキシ基を有する化合物(B)と反応さ
れるべき化合物(D)は、カルボアニオン以外の「エポ
キシ基と反応可能な官能基」を有するビニル系単量体で
あれば特に限定はされない。反応性の点からは、このよ
うな化合物(D)として、例えば(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)ア
クリル酸2−ヒドロキシプロピル等が好適に使用可能で
ある。また、これらの官能基を有しない単量体を選択
し、反応物(E)を構成した後に、何らかの方法で該反
応物(E)に、カルボン酸基、アミノ基、水酸基等を導
入することも可能である。
【0060】(化合物(B))
【0061】このような態様において、化合物(D)と
反応されるべき化合物(B)は、本発明の第2の面にお
いて前述した化合物(B)と同様である。
【0062】(反応の態様)
【0063】化合物(D)が有するエポキシ基と反応可
能な官能基と化合物(B)が有するエポキシ基との反応
は、反応物(E)を与える限り特に限定されない。室温
下あるいは加熱下においてアミノ基やカルボン酸基と反
応させる方法や、水酸化カリウム等の触媒存在下におい
て水酸基と反応させる方法等を好適に使用することがで
きる。
【0064】(反応物(E))
【0065】上記の化合物(D)と化合物(B)との反
応物(E)としては、例えば、メタクリル酸と3,3,
8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキ
シラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−
ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンの反応
物(Y)(上記構造を有する)などが挙げられる。
【0066】(ラジカル重合性単量体(F))
【0067】上記の反応物(E)と反応されるべきラジ
カル重合性単量体(F)は、ビニル系単量体であれば特
に限定されない。例えばスチレン、p−メチルスチレ
ン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン等のス
チレン誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシ
ル基含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコン
酸等の酸無水基含有ビニル単量体;アクリルアミド、メ
タクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、
N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニル単
量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリ
ル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)ア
クリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸
3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)ア
クリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アク
リル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリ
ル酸N−t−ブチルアミノエチル等のエステル基含有ビ
ニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
のニトリル基含有ビニル単量体;ジペンタエリストール
ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペ
ンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン
テトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアク
リレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタン
ジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−
(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メ
タ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニ
ル)プロパン、1,2−ビス[3−(メタ)アクリロキ
シ−2−ヒドロキシプロポキシ]エタン、1,4−ビス
[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ]ブタン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、
ジビニルナフタレン等の多官能ビニル系単量体等が好適
に使用可能である。これらの単量体は単独で用いてもよ
く、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0068】(重合)
【0069】上記した反応物(E)とラジカル重合性単
量体(F)の重合方法は、特に制限されない。このよう
な態様においては、例えば塊状重合、溶液重合、懸濁重
合、乳化重合等の公知の重合方法で行うことができる。
この際、単量体の種類、重合温度等によって適当な重合
方法を選択することができる。
【0070】(開始剤)
【0071】本発明において、反応物(E)とラジカル
重合性単量体(F)との重合に使用すべき開始剤は、重
合温度、重合溶媒等を考慮し、適当なラジカル開始剤を
選択して使用することができる。塊状重合、溶液重合、
懸濁重合で使用可能な開始剤の例としては、2,2’−
アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2
−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,
2−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス
(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、
1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニト
リル)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、
ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハ
イドロパーオキサイド、クミルパーオキシド、クメンハ
イドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイド
ロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤が挙げられる。
【0072】また、乳化重合を行う場合には、ベンゾイ
ルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル
3,3−ジ(t−アミルペルオキシ)ブチレート、2,
2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジイヒドロク
ロリド、硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性
ラジカル開始剤が利用できる。
【0073】(溶剤)
【0074】本発明において、重合を溶液重合で行う場
合には、単量体やラジカル開始剤の溶解性、および重合
温度等を考慮して適当な溶剤を選択し、その溶剤中で重
合を行うことができる。溶剤としては、ベンゼン、トル
エン、エチルベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、メ
チルエチルケトン、乳酸エチル、イソプロピルアルコー
ル等を選択することができる。
【0075】(重合温度)
【0076】重合または共重合を行う際の重合温度は、
ラジカル重合開始剤が分解し、且つ単量体に導入したア
ルコキシアミン基が分解しない温度範囲内で決定するこ
とができる。より具体的には、この重合温度は0℃から
100℃の範囲が好ましく、更に20℃から80℃がよ
り好ましい。0℃より低い温度では、重合速度が遅いた
めに重合時間が長くなり、100℃以上の温度では、化
合物(5)が有するアルコキシアミン基の分解が顕著に
なる傾向がある。
【0077】また、最適な重合時間は、選択される単量
体、重合開始剤あるいは重合温度等により決定すること
ができる。
【0078】(得られる高分子ラジカル開始剤)
【0079】上記2種類の方法(すなわち、本発明の第
2の面および第3の面において記述した方法)は両者と
も反応効率が高く、高い収率で高分子ラジカル開始剤を
得ることができる。また、反応効率が良いことから、得
られる重合体中のアルコキシアミン基含有量は、ほぼ理
論値と一致し、例えば高分子ラジカル開始剤1分子あた
りのアルコキシアミンの個数は理論値から25%以上外
れない。
【0080】更に上記の方法で得られる高分子ラジカル
重合開始剤は保存安定性に優れており、例えば製造後一
週間空気中、室温(25℃程度)下で放置した該開始剤
を重合に利用しても、製造直後と開始剤能に実質的に差
は見られず、例えば同条件下で重合を行った場合は、再
現性が得られる。
【0081】上記2種類の製造方法にて得られる高分子
ラジカル重合開始剤は、共重合体(例えばグラフト共重
合体およびブロック共重合体)を効率良く製造する目的
に好適に使用可能であるのみならず、樹脂組成物製造時
における粘度の調整にも利用することができる。
【0082】(共重合体の製法)
【0083】次に第4の発明について説明する。
【0084】第4の面において、本発明は、第一の発明
であるラジカル重合開始剤とラジカル重合性単量体とを
加熱することによって、グラフト共重合体あるいはブロ
ック共重合体を製造する方法に関する。
【0085】(ラジカル重合性単量体)
【0086】上記した本発明のラジカル重合開始剤と反
応して、グラフト共重合体およびブロック共重合体を製
造する際に利用可能なラジカル重合性単量体は特に制限
されない。ラジカル重合性単量体の例としては、スチレ
ン、p−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、α−
メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマ
ル酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体;無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸等の酸無水基含有ビニル単量体;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メ
タ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N
−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の
アミド基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プ
ロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル
酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸
グリシジル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミ
ノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノ
エチル、(メタ)アクリル酸N−t−ブチルアミノエチ
ル等のエステル基含有ビニル単量体;アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル単量
体を挙げることができる。これらの単量体は単独で用い
てもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0087】(共重合体)
【0088】本発明の高分子ラジカル重合開始剤を利用
したグラフト共重合体およびブロック共重合体は、例え
ば、高分子ラジカル重合開始剤、ラジカル重合性単量体
を含む混合物を加熱することによって得ることができ
る。
【0089】本発明により得られた高分子ラジカル重合
開始剤分子中のアルコキシアミン基は、加熱により、重
合体に結合した炭素ラジカルと、安定なニトロキシラジ
カルとに開裂する。このようにして生成した炭素ラジカ
ルはラジカル重合性単量体の重合を開始し、一方の安定
なニトロキシラジカルは重合を開始することなく、炭素
ラジカルによって重合が開始された重合体の末端と結合
する。結合後に再び開裂し、その後結合と開裂を繰り返
しながら重合が進行していく場合には、生成する重合体
の分子量分布は狭く、いわゆる「リビングラジカル重
合」となり得る。
【0090】炭素ラジカルからの重合は進行するものの
安定なニトロキシラジカルによる前記のような重合制御
が行われない場合には、通常のラジカル重合と同様な重
合挙動により重合体が生成する。また、安定なニトロキ
シラジカルの重合体末端への結合が再開裂しない場合に
は、重合は進行しない。すなわち、高分子ラジカル重合
開始剤を利用した二段目の重合に用いられる単量体は、
目的とする共重合体(例えばグラフト共重合体およびブ
ロック共重合体)の構成成分として適当であり、且つ高
分子開始剤中のアルコキシアミン基より重合が進行しう
る単量体を選択すればよい。
【0091】高分子ラジカル重合開始剤を利用して共重
合体(例えばグラフト共重合体およびブロック共重合
体)を製造する際にも、塊状重合、溶液重合、懸濁重
合、乳化重合等の公知の重合方法で行うことができ、単
量体の種類、重合温度等によって適当な重合方法を選択
することができる。
【0092】(重合温度)
【0093】共重合体を製造する際の重合温度は、高分
子ラジカル重合開始剤が有するアルコキシアミン基が分
解して炭素ラジカルとニトロキシラジカルを生じさせる
のに必要な温度以上であることが好ましい。この重合温
度は、50℃から180℃の範囲が好ましく、更には7
0℃から150℃の範囲がより好ましい。重合温度が低
すぎる温度では、高分子ラジカル重合開始剤中のアルコ
キシアミン基の分解が起こりにくい傾向がある。他方、
重合温度が高すぎる温度では、重合速度の制御が困難に
なると同時に熱重合が生じる可能性が高くなるという傾
向がある。
【0094】(共重合体の分子量)
【0095】この二段目の重合で生成する重合体の分子
量は、目的とする共重合体(グラフト共重合体、ブロッ
ク共重合体等)の物性等を考慮して決定することができ
る。例えば共重合体を熱可塑性エラストマーの用途で使
用する場合は、機械的強度の発現及び成形性の点から
は、この数平均分子量は、1×10〜 50×10
程度、更には 5×10〜 10×10程度である
ことが好ましい。
【0096】(アルコキシアミン基の数)
【0097】本発明の高分子ラジカル重合開始剤をグラ
フト共重合体の製造に利用する場合における、開始剤一
分子中に導入するアルコキシアミン基の数は、目的とす
るグラフト共重合体の物性等により適宜決定することが
できる。グラフト共重合体の枝部分の分子量を上述の範
囲にするという点からは、この開始剤一分子中に導入す
べきアルコキシアミン基の数は開始剤を構成する単量体
100ユニットにつき、0.1〜50程度、更には1
〜 30程度であることが好ましい。
【0098】またブロック共重合体に利用する場合に
は、要求されるブロック共重合体の構造を考慮し、開始
剤の一端あるいは両端にアルコキシアミン基を導入させ
ればよい。
【0099】(共重合体)
【0100】本発明の方法で得られる共重合体は、高分
子ラジカル重合開始剤部分と、二段目の重合(すなわ
ち、該高分子ラジカル重合開始剤により開始された重
合)で生成した重合体との結合部分が炭素−炭素結合で
あることから、安定な構造を有している。また、本発明
の製造方法により、該高分子ラジカル重合開始剤以外に
重合開始剤が存在しないため、二段目の重合時におい
て、二段目に重合で用いる単量体から成る単独重合体を
生成することなく、高収率で共重合体(グラフト共重合
体、ブロック共重合体等)を得ることが可能である。
【0101】本発明によれば、種々の単量体種から構成
される共重合体が簡便に得られるため、ニトロキサイド
化合物を利用した重合を幅広い材料設計に利用すること
が可能となる。本発明においては、重合体に存在する官
能基とニトロキサイド化合物が有する官能基を反応させ
てアルコキシアミン基を有する高分子ラジカル重合開始
剤を得ることができ、したがってこのアルコキシアミン
基を重合開始点として、共重合体を合成することが可能
となる。この際、例えば、重合体の末端を開始点とすれ
ばブロック共重合体を得ることができ、また、重合体の
末端以外の点に単数または複数の開始点を持たせればグ
ラフト共重合体を合成することが可能となる。
【0102】(共重合体の用途)
【0103】本発明により得られる共重合体において
は、高分子ラジカル重合開始剤の構成成分あるいは二段
目の重合で用いる単量体の成分を目的に応じて適宜選択
することが可能である。したがって、該共重合体は、エ
ラストマー、相溶化剤、界面活性剤、分離安定剤、顔料
分散剤、接着性改良剤、塗料等幅広い機能性材料に有用
に利用することができる。
【0104】
【実施例】以下に本発明の実施例(実験結果を表1、表
2に記載)を示す。但し、本発明は、これらの実施例に
限定されるものではない。
【0105】実施例中の評価は、以下の方法に従い実施
した。
【0106】(1)数平均分子量、分子量分布 ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC;Wa
ters社製 HPLCポンプ 510、示差屈折計
R401、データ処理 ミレニアム2010クロマトグ
ラフィマネージャー) カラム:Shodex K−805L(内径8mm、長
さ300mm) カラム槽温度:35℃ 移動相:クロロホルム、流量1.0ml/min 標準サンプル:PMMA(Mn:330000、880
00、34500、10300、2990) 試料:濃度 2mg/ml、クロロホルム溶液 試料注入量:100μl
【0107】(2)共重合体組成 H−NMR (JEOL社製 EX270) 温度:30℃ 溶媒:重クロロホルム 試料濃度:5質量/体積%、試料量0.5ml
【0108】実施例1
【0109】(ポリメタクリル酸メチル/ポリメタクリ
ル酸)ランダム共重合体と3,3,8,8,10,10
−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−
フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザ
スピロ[5.5]ウンデカンの反応[高分子ラジカル開
始剤の合成]
【0110】溶液A
【0111】 (ポリメタクリル酸メチル/ポリメタクリル酸)ランダム共重合体 5g 3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキ シ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウ ンデカン 0.4g メチルエチルケトン 20g
【0112】上記成分を混合して、(ポリメタクリル酸
メチル/ポリメタクリル酸)ランダム共重合体(Aldric
h社製、Mw:34000、Mn:15000、メタク
リル酸:1.6mol%)と、3,3,8,8,10,
10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキ
シ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−
アザスピロ[5.5]ウンデカンとから成る溶液Aを作
製し、オイルバス温度80℃で8時間反応させた。反応
の完了は、ガスクロマトグラフィーで確認した。ヘキサ
ンで再沈した後、真空乾燥機にて1.3kPaまで圧力
を減じて70℃で24時間乾燥させて重合体Iを得た。
得られた重合体の物性は表1に示した。
【0113】実施例2
【0114】(ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリル
n−ブチル)グラフト共重合体の合成
【0115】溶液B 重合体I(実施例1) 1g アクリル酸n−ブチル 3g
【0116】上記した各成分を混合して、実施例1で得
られた重合体Iを高分子ラジカル重合開始剤とする溶液
Bを得た。この溶液Bの全量を容量5mlのガラスアン
プルに注入し、二方コックで蓋をして真空ラインにつな
いだ後、液体窒素にて凍結させた。溶液Bが凍結したの
を確認して、真空ポンプで脱気し、二方コックを閉めて
真空ラインから外した。凍結させた二方コック付きガラ
スアンプルを室温の流水で解凍して凍結脱気した。凍結
から解凍までの作業を3回行い、3回目は解凍せずに二
方コックより下部でガスバーナーを用いて封管した後1
30℃で10時間重合を行った。重合終了後、重合体を
ヘキサンで洗浄した後真空乾燥機にて1.3kPaまで
圧力を減じて70℃で24時間乾燥させた。このように
して得られた重合体が(ポリメタクリル酸メチル/ポリ
アクリル酸n−ブチル)グラフト共重合体であること
が、NMRにより確認された。物性については表1に示
した。
【0117】実施例3 (ポリメタクリル酸メチル/ポリメタクリル酸)ランダ
ム共重合体の合成
【0118】 溶液C メタクリル酸メチル 28g メタクリル酸 2g 2,2−アゾビスイソブチロニトリル 0.2g メチルエチルケトン 120g
【0119】上記各成分を混合して得た溶液Cを、攪拌
機、冷却管、窒素導入管を備えた容量500mlの三口
フラスコに入れ、流量50ml/minにて窒素バブリ
ングした後、80℃で重合を行った。6時間後に温度を
下げて重合を停止し、得られた重合溶液を100mlの
メチルエチルケトンで希釈した後、攪拌している2リッ
トルのヘキサンにゆっくり投入して再沈した。真空乾燥
機にて1.3kPaまで圧力を減じて70℃で24時間
乾燥させて重合体IIを得た。重合体IIの物性は表1
に示した。
【0120】実施例4 (ポリメタクリル酸メチル/ポリメタクリル酸)ランダ
ム共重合体と3,3,8,8,10,10−ヘキサメチ
ル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−
エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.
5]ウンデカンの反応[高分子ラジカル開始剤の合成]
【0121】 溶液D 重合体II(実施例3) 1g 3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキ シ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウ ンデカン 2.8g メチルエチルケトン 20g
【0122】上記した各成分を混合して、実施例3で合
成した重合体IIと3,3,8,8,10,10−ヘキ
サメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニ
ル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ
[5.5]ウンデカンとを含む溶液Dを作製し、実施例
1と同様の条件で重合体IIIを得た。重合体IIIの
物性は表1に示した。
【0123】実施例5
【0124】(ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリル
酸n−ブチル)グラフト共重合体の合成
【0125】 溶液E 重合体III(実施例4) 1g アクリル酸n−ブチル 3g
【0126】上記各成分を混合して、実施例4で得られ
た重合体IIIを高分子ラジカル重合開始剤とする溶液
Eを作製し実施例2と同様の条件で重合体を得た。得ら
れた重合体が(ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリル
酸n−ブチル)グラフト共重合体であることがNMRに
より確認された。このグラフト共重合体の物性について
は表1に示した。
【0127】実施例6 (ポリメタクリル酸イソブチル/ポリメタクリル酸)ラ
ンダム共重合体の合成
【0128】 溶液F メタクリル酸イソブチル 28g メタクリル酸 2g 2,2−アゾビスイソブチロニトリル 0.2g メチルエチルケトン 120g
【0129】上記各成分を混合して溶液Fを作製し、実
施例3と同様の条件で重合体IVを得た。得られた重合
体IVの物性は表1に示した。
【0130】実施例7 (ポリメタクリル酸イソブチル/ポリメタクリル酸)ラ
ンダム共重合体と3,3,8,8,10,10−ヘキサ
メチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニ
ル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ
[5.5]ウンデカンの反応[高分子ラジカル開始剤の
合成]
【0131】 溶液G 重合体IV(実施例6) 1g 3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキ シ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウ ンデカン 2.8g メチルエチルケトン 20g
【0132】上記各成分を混合して、実施例6で合成し
た重合体IVと3,3,8,8,10,10−ヘキサメ
チル−9−[1−(オキシラニルメトキシ−フェニル)
−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ
[5.5]ウンデカンとを含む溶液Gを作製し、実施例
1と同様の条件で重合体Vを得た。この重合体Vの物性
は表1に示した。
【0133】実施例8 (ポリメタクリル酸イソブチル/スチレン)グラフト共
重合体の合成
【0134】溶液H 重合体V(実施例7) 1g スチレン 3g
【0135】記各成分を混合して、実施例7で得られた
重合体Vを高分子ラジカル重合開始剤とする溶液Hを作
製し、実施例2と同様の条件で重合体を得た。NMRに
より得られた重合体が(ポリメタクリル酸イソブチル/
スチレン)グラフト共重合体であることが確認された。
【0136】実施例9
【0137】メタクリル酸と3,3,8,8,10,1
0−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキシ
−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−ア
ザスピロ[5.5]ウンデカンの反応
【0138】 溶液I メタクリル酸 10g 3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(オキシラニルメトキ シ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウ ンデカン 20g 水酸化カリウム 0.2g トルエン 20g メチルエチルケトン 80g
【0139】上記各成分を混合して、メタクリル酸と
3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1
−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−
1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカ
ンを含むトルエン/メチルエチルケトン混合溶液Iを作
製し、80℃で10時間反応させた。反応の終了はガス
クロマトグラフィーにより確認した。減圧蒸留を行い、
反応物の中から目的の生成物VIを取り出した。
【0140】実施例10 (ポリメタクリル酸メチル/ポリメタクリル酸)ランダ
ム共重合体の合成 [高分子ラジカル重合開始剤の合成]
【0141】溶液J メタクリル酸メチル 27g 化合物VI(実施例9) 3g トルエン 100g
【0142】上記各成分を混合して、実施例9で得られ
た化合物VIとメタクリル酸メチルとを含む溶液Jを作
製し実施例3と同様の条件で重合体VIIを得た。
【0143】実施例11 (ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリル酸n−ブチ
ル)グラフト共重合体の合成
【0144】溶液K 重合体VII(実施例10) 1g アクリル酸n−ブチル 3g
【0145】上記各成分を混合して、実施例10で得ら
れた重合体VIIを高分子ラジカル重合開始剤とする溶
液Kを作製し、実施例2と同様の条件で重合体を得た。
NMRにより得られた重合体が(ポリメタクリル酸メチ
ル/ポリアクリル酸n−ブチル)グラフト共重合体であ
ることを確認した。
【0146】比較例1
【0147】 溶液L ポリメタクリル酸イソブチル 0.5g 1,1,3,3−テトラメチルイソインヒドリン−2−イルオニシル 0.2g ジ−t−ブチルペルオキシオキザレート 0.12g テトラクロロエチレン 3g
【0148】上記各成分を混合して得た溶液Lを脱気後
50℃で3時間加熱し、その後反応混合物をメタノール
中に注いで目的物である重合体VIIIを得た。
【0149】比較例2
【0150】 溶液M 重合体VIII(比較例1) 1g スチレン 3g
【0151】上記各成分を混合して、比較例1で得た重
合体VIIIを開始剤とする溶液Mを作製し、実施例2
と同様の条件で重合体を得た。NMRにより得られた重
合体が(ポリメタクリル酸イソブチル/スチレン)グラ
フト共重合体であることを確認した。
【0152】比較例3
【0153】 溶液N 塩化メタクリロイル 0.85g ジエチルエーテル 25g
【0154】 溶液O 1−(1−シアノ−4−ヒドロキシ−1−メチルブトキシ)−2,2,6,6− テトラメチルピペリジン 0.75g トリエチルアミン 1.7g ジエチルエーテル 50g
【0155】上記各成分を混合して得た溶液Nを、上記
各成分を混合して得た溶液Oに加えた後、攪拌しながら
室温下で反応させた。1時間後にトリエチルアミンと水
を加え、更に1時間攪拌した後、ジエチルエーテル層を
飽和炭酸水素ナトリウム、水、塩水で洗浄を行った。無
水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過を行い溶媒を除去し
て目的物IXを得た。
【0156】比較例4
【0157】 溶液P メタクリル酸メチル 1.5g 化合物IX(比較例3) 0.5g ジ−t−ブチルペルオキシオキザレート 0.2g
【0158】 酢酸エチル 15g
【0159】上記各成分を混合して、比較例3で得た化
合物IXとメタクリル酸メチルとを含む溶液Pを作製
し、冷却管、窒素導入管を備え、攪拌子を入れた容量1
00mlの3つ口フラスコに入れ、流量10ml/mi
nで30分窒素バブリングした後、35℃で20時間重
合を行った。メタノールで再沈した後、真空乾燥機にて
70℃で24時間乾燥して重合体Xを得た。
【0160】比較例5
【0161】 溶液Q 重合体X(比較例4) 1g アクリル酸メチル 3g
【0162】上記各成分を混合して、比較例4で得た重
合体Xを高分子ラジカル重合開始剤とする溶液Qを作製
し、実施例2と同様にして130℃で10時間重合を行
った。重合終了後、ヘキサンで洗浄した後真空乾燥機に
て24時間70℃で乾燥させ、重合体を得た。により得
られた重合体が(ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリ
ル酸メチル)グラフト共重合体であることを確認した。
【0163】比較例6
【0164】攪拌機、冷却管、窒素導入管を備えた容量
300mlの四口フラスコに、ジビニルベンゼン(50
g)と、2−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン−1−オキシル(HO−TEMPO)8.
6gの混合物を投入し窒素置換した。
【0165】このフラスコ内容物を50℃に加熱し、ジ
−イソプロピルペルオキシジカーボネート12gを20
分かけて添加した。50℃で5時間反応させた後、ジビ
ニルベンゼンの大部分を減圧留去した。得られた化合物
をシリカゲルクロマトグラフィで精製した後H−NM
R測定を行い、得られた化合物が2−イソプロピルオキ
シカルボニルオキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,
2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニル
オキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタンと2−
イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(4’−ヒ
ドロキシ−2_,2_,6_,6’−テトラメチル−
1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェ
ニル)エタンの混合物(化合物XI)であることを確認
した。
【0166】比較例7
【0167】溶液R 化合物XI 0.62g メタクリル酸メチル 4.41g t−ヘキシルパーオキシピバレート 0.01g n−オクチルメルカプタン 0.05g
【0168】上記各成分を混合して得た溶液Rを実施例
2と同様の方法で凍結脱気して60℃で6時間重合を行
った。その後、内容物をメタノールで再沈し、重合体X
IIを得た。
【0169】比較例8
【0170】溶液S 重合体XII(比較例7) 1g アクリル酸n−ブチル 3g
【0171】上記各成分を混合して、比較例7で得た重
合体XIIを開始剤とする溶液Sを作製し、実施例2と
同様の条件で重合体を得た。NMRにより得られた重合
体が(ポリメタクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチ
ル)グラフト共重合体であることを確認した。
【0172】上記した実施例および比較例で得られた結
果を、下記の表1および表2にまとめて示す。
【0173】
【表1】
【0174】
【表2】
【0175】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、アルコ
キシアミン基を有する新規な高分子ラジカル重合開始剤
を簡便な方法で得ることが可能となる。更に、このよう
にして得られた高分子ラジカル重合開始剤を用いること
で、構造上安定なグラフト共重合体やブロック共重合体
を効率良く製造することが可能となる。
【0176】加えて、本発明の方法によれば、高分子ラ
ジカル重合開始剤の構成成分あるいは二段目の重合で用
いる単量体の成分を目的に応じて適宜選択することが可
能であるため、得られた共重合体はエラストマー、相溶
化剤、界面活性剤、分離安定剤、顔料分散剤、接着性改
良剤、塗料等幅広い機能性材料に好適に利用することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 槙野 隆之 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4J015 EA02 4J100 AJ02Q AL03P BA02H BA03H BA27H BC43H HA33 HA44 HA61

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側鎖および/又は末端に下記一般式
    (1)または(2)で示される構造を有するビニル系重
    合体であって、ビニル系単量体のアニオン重合により生
    成するカルボアニオンとエポキシ基の反応により得られ
    るビニル系重合体以外のビニル系重合体を含むことを特
    徴とする高分子ラジカル重合開始剤。 【化1】 (式中、R、R、R、R、R〜R10は、該
    化合物から生成し得るニトロキシラジカルとラジカル重
    合性単量体から生成する炭素ラジカルとの結合に立体障
    害および結合エネルギーの低下を与える鎖長を有する同
    一又は異なる直鎖型もしくは分岐型のアルキル基を示
    し、R、R、R11〜R14は、水素、直鎖型もし
    くは分岐型のアルキル基を示し、互いに同一でも異なっ
    ていてもよく、Y、Y’は一緒になって2価基の−C
    (R15)(R16)−C(R17)(R18)−、−
    C(R19)(R20)−C(R21)(R22)−C
    (R )(R24)−のいずれか1つを形成し、R
    15〜R24は水素、アルキル基、カルボキシル基、ア
    ルコキシカルボニル基、アシロキシ基を示し、互いに同
    一でも異なっていてもよい。)
  2. 【請求項2】 ビニル系単量体のアニオン重合によって
    得られるカルボアニオン以外のビニル系重合体であっ
    て、且つ、エポキシ基と反応可能な官能基を分子内に有
    するビニル系重合体(A)と、下記一般式(3)または
    (4)で示されるエポキシ基を有する化合物(B)を反
    応させる請求項1記載の高分子ラジカル重合開始剤の製
    造方法。 【化2】 (式中、R、R、R、R、R〜R10は、該
    化合物から生成し得るニトロキシラジカルとラジカル重
    合性単量体から生成する炭素ラジカルとの結合に立体障
    害および結合エネルギーの低下を与える鎖長を有する同
    一又は異なる直鎖型もしくは分岐型のアルキル基を示
    し、R、R、R11〜R14は、水素、直鎖型もし
    くは分岐型のアルキル基を示し、互いに同一でも異なっ
    ていてもよく、Y、Y’は一緒になって2価基の−C
    (R15)(R16)−C(R17)(R18)−、−
    C(R19)(R20)−C(R21)(R22)−C
    (R )(R24)−のいずれか1つを形成し、R
    15〜R24は水素、アルキル基、カルボキシル基、ア
    ルコキシカルボニル基、アシロキシ基を示し、互いに同
    一でも異なっていてもよい。)
  3. 【請求項3】 同一分子内にエポキシ基と反応可能な官
    能基およびラジカル重合性ビニル基を有する化合物
    (D)と、一般式(3)または(4)で表されるエポキ
    シ基を有する化合物(B)との反応物(E)と、他のラ
    ジカル重合性単量体(F)を共重合する請求項1記載の
    高分子ラジカル重合開始剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 ラジカル重合性単量体を、請求項1に記
    載の高分子ラジカル重合開始剤の存在下で、加熱して重
    合するグラフト共重合体またはブロック共重合体の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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