JP4168849B2 - 電子写真用ラミネートフィルム、情報記録媒体、及びこれらの製造方法、画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置によって直接画像形成(記録)されてなる電子写真用ラミネートフィルム、及びコア基材を上記電子写真用ラミネートフィルムでラミネートした情報記録媒体、並びにこれらの製造方法等に関し、より詳細には、顔写真入りキャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明等の非接触式または接触式個人情報画像情報入り情報媒体、さらに医療現場などで用いる本人照合用画像シートや画像表示板、表示ラベルなどに用いられる電子写真用ラミネートフィルム、情報記録媒体、及びこれらの製造方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像形成技術の発達に伴って、凹版印刷、凸版印刷、平版印刷、グラビヤ印刷及びスクリーン印刷などの様々な印刷法により、同一品質の画像を、大量かつ安価に形成する手段が知られている。そして、このような印刷法は、ICカード、磁気カード、光カード、あるいはこれらが組み合わさったカード(情報記録媒体)など、所定の情報を納め、外部装置と接触または非接触に交信可能な情報記録媒体の表面印刷にも多く用いられている。
【0003】
しかしながら、例えば上記スクリーン印刷は、印刷しようとする画像の数に応じた印刷版が多数必要であり、カラー印刷の場合には、さらにその色の数だけ印刷版が必要となる。そのため、これら印刷方法は、個人の識別情報(顔写真、氏名、住所、生年月日、各種免許証など)に個々に対応するには不向きである。
【0004】
上記問題点に対して、現在もっとも主流となっている画像形成手段は、インクリボン等を用いた昇華型や溶融型の熱転写方式を採用したプリンタ等による画像形成方法である。しかし、これらは個人の識別情報を容易に印字することはできるが、印刷速度を上げると解像度が低下し、解像度を上げると印刷速度が低下するという問題を依然抱えている。
【0005】
これに対して、電子写真方式による画像形成(印刷)は、像担持体表面を一様に帯電させ、画像信号に応じて露光し、露光部分と非露光部分との電位差による静電潜像を形成させ、その後、前記帯電と反対(あるいは同一)の極性を持つトナーと呼ばれる色粉(画像形成材料)を静電現像させることにより、前記像担持体表面に可視画像(トナー画像)を形成させる方法で行われる。カラー画像の場合は、この工程を複数回繰り返すこと、あるいは画像形成器を複数並配置することによりカラーの可視画像を形成し、これらを画像記録体に転写、定着(固定化:主に熱による色粉の溶融と冷却による固化)することによりカラー画像を得る方法で行われる。
【0006】
上述のように、電子写真方式では、像担持体表面の静電潜像を画像信号により電気的に形成するため、同じ画像を何度でも形成できるだけでなく、異なる画像に対しても容易に対応でき画像形成することが可能である。また、像担持体表面のトナー画像は、ほぼ完全に画像記録体表面に転移させることができ、像担持体表面にわずかに残存するトナー画像も、樹脂ブレードやブラシ等により容易に除去することができるため、多品種少量生産に向けた印刷物を容易に作製することが可能である。
【0007】
また、上記トナーは、通常、熱溶融性樹脂及び顔料、並びに場合によっては帯電制御剤などの添加剤を溶融混合し、この混練物を粉砕、微粒子化して形成される。さらに、前記電子写真方式における静電潜像は、上記微粒子化されたトナーに比べてかなり高い解像度を持っており、前記スクリーン印刷やインクリボンの熱転写方式の解像度と比べても十分な解像度が期待できる。
【0008】
カラー画像についても、カラートナーとしてシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの四原色を用い、これらを混合することにより、理論的に印刷と同様の色を再現できる。また、上記カラートナーでは、トナー樹脂と顔料とを比較的自由に配合できるため、トナーによる画像隠蔽性を増加させることは容易である。
【0009】
屋外での使用を想定した耐熱性、及び耐光性については、これまでほとんど検討されていないが、特に運転免許証等を車中の直射日光に当たる場所に置いておくと、色材として染料を用いている熱転写型の画像は退色してしまう。しかし、電子写真方式によるカラー画像の出力では、前記カラートナー中に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各々の色に対応した耐光性に優れた顔料が使用されており、電子写真方式における画像記録体の耐光性は十分優れているものと考えられる。同様に、耐熱性のトナーを選択すれば、画像記録体の耐熱性も、屋外で使用できる程度になるものと考えられる。
【0010】
一方、現在もっとも多く使用されている各種カードの基材(コア基材)は塩化ビニルシートであり、その理由は印刷特性に優れ、エンボス加工適性(文字等の凹凸処理)にも優れているためである。しかしながら、上記塩化ビニルシートは、期限切れ等による廃棄処理時、加熱炉等による消却でダイオキシンが発生するという問題を有しており、環境対応の観点から、現在脱塩化ビニルとして各種シートフィルムが使用され始めている。
【0011】
エンボス加工を行わないことを前提にした場合は、従来からあるような二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどが使用できる。しかし、従来からのカードの機能を継続させるため、エンボス加工は欠かせない場合が多く、現在は比較的低温で軟化するABS樹脂フィルムやポリオレフィン樹脂フィルム、PETGと呼ばれる変性PET樹脂フィルムや、変性PET樹脂フィルムとPETフィルム、アモルファスPET樹脂フィルムあるいはポリカーボネート樹脂フィルムとの一体成形フィルム等が用いられるようになってきた。
【0012】
前述の電子写真装置を使用して、各種カードの印字を行った例としては、例えば、各種個人情報の他に、不可視バーコードを厚さ250μmの塩化ビニルシートや厚さ280μmのポリエステルシート(基材)に電子写真法で印字し、それぞれ印字面にオーバーフィルムを重ね、熱プレス機でラミネートする方法が示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
しかしながら、上記シートにおいてはシート間摩擦係数が大きすぎ、シート間で密着するためシート搬送性が悪く、電子写真装置が止まってしまったり、上記のような250μm以上の厚さの絶縁物(シート)には、画像形成材料(トナー)が十分に転写しにくく画像欠陥が増大してしまったりする。また、前記比較的低温で軟化する樹脂フィルムを電子写真装置に使用して印字しようとすると、定着工程において、定着温度がフィルムの軟化温度より高いため粘着性が発現し、定着装置に巻き付きジャムが発生する問題がある。さらに、画像形成材料が定着装置にオフセットしたり、前記250μm厚のシートの定着を続けると、シートのエッジ(角)で定着装置を必要以上に痛めてしまったりする場合もある。
【0014】
また、光透過性シートに個人識別情報を印字し、さらに、上記印字は鏡像で行う方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、これには、光透過性のラミネートシートに関しては、少なくとも一部が2軸延伸ポリエステルフィルム、あるいはABS、またはポリエステルからなるフィルム/2軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましいが、塩化ビニルでもよい、と記載されているだけである。
【0015】
本発明者らは、電子写真方法によりラミネート性を持つ光透過性シート(電子写真用ラミネートフィルム)に画像を反転印字し、これとコアとなるフィルムとを画像面で重ね合わせる(ラミネート)ことにより、厚膜シートに画像を形成することができることを見出した。
【0016】
さらに、従来より電子写真方式の定着器においては、トナーが定着部材に巻き付くのを防止するためシリコーンオイルなどが利用されているが、最近、用紙(被記録体)表面へのシリコーンオイルの付着によりポストイットが張り付かないこと、鉛筆やペンの筆記性が悪いこと、などが問題とされ、シリコーンオイルに代わるものとしてトナー中へワックスを添加したもの(オイルレストナー)が利用され始めている。
【0017】
オイルレストナーは、定着時、及びラミネート加工時においてワックスが染み出し、定着性、ラミネート性を阻害することがある。そこで、このようなオイルレストナーを用いた電子写真方式による画像形成システムに対しても利用可能な電子写真用ラミネートフィルム、及びこれを用いた情報記録媒体が求められている。
【0018】
【特許文献1】
特開2001−92255号公報
【特許文献2】
特開平11−334265号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、従来の電子写真装置を大きく改造することなく、そのまま使用して容易にラミネートすることができる適性を有し、比較的低温で軟化するフィルム表面への高解像度の直接画像印字が可能であり、かつ、屋外使用においても十分な耐光性を有する高品質の画像を、視認性よく形成することのできる電子写真用ラミネートフィルム、その製造方法及び画像形成方法、並びに、ラミネートフィルムとの密着性に優れ、かつ、屋外使用においても十分な耐熱性、耐光性を有する高品質の画像を視認性よく形成することのできるコア基材を用いた情報記録媒体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、少なくとも基体(基材)の片面に、ポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有する画像受像層(皮膜層)を形成した電子写真用ラミネートフィルム(コア基材)を用いることにより、前記目的を達成することができることを見出した。
【0021】
また、上記画像受像層(皮膜層)を構成する樹脂にはポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを用い、当該画像受像層(皮膜層)中にフィラーを含むことで、ラミネート時に問題となる空気の除去を容易にすることができる。環境対策としては、基材として非塩素系樹脂フィルムを使用し、これに対応したラミネート方法について考慮した。また、紫外線吸収剤や酸化防止剤を添加することで耐光性も改善される。
【0022】
すなわち、本発明は以下の通りである。
<1> 少なくとも基体の片面に画像受像層を有し、該画像受像層がポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有することを特徴とする電子写真用ラミネートフィルムである。
【0023】
<2> 前記ポリエステル樹脂が下記構造式(I)で示される構造単位からなり、数平均分子量が12,000〜45,000の範囲であることを特徴とする<1>に記載の電子写真用ラミネートフィルムである。
【0024】
【化2】
【0025】
上記構造式(I)中、n及びmは1以上の整数であり、n/m(モル比)が1〜9の範囲となる関係にある。
【0026】
<3> 前記画像受像層中のポリエステル樹脂の質量Aとポリビニルアセタール樹脂の質量Bとの質量比(A/B)が、90/10〜20/80の範囲であることを特徴とする<1>または<2>に記載の電子写真用ラミネートフィルムである。
【0028】
<4> 画像受像層表面に情報に応じたトナー画像が形成された1以上の電子写真用ラミネートフィルムと、表面に皮膜層を有するコア基材とが、前記画像受像層と前記皮膜層とで重ね合わされ接合された情報記録媒体であって、
前記電子写真用ラミネートフィルムの少なくとも1つが、<1>〜<3>のいずれかに記載の電子写真用ラミネートフィルムであり、前記コア基材が、少なくとも基材の片面に皮膜層を有し、該皮膜層がポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有するコア基材であることを特徴とする情報記録媒体である。
【0029】
<5> 前記コア基材が、カード用基材であることを特徴とする<4>に記載の情報記録媒体である。
【0030】
<6> 前記ポリエステル樹脂が前記構造式(I)で示される構造単位からなり、数平均分子量が12,000〜45,000の範囲であることを特徴とする<4>に記載の情報記録媒体である。
【0031】
<7> 前記皮膜層中のポリエステル樹脂の質量Cとポリビニルアセタール樹脂の質量Dとの質量比(C/D)が、90/10〜20/80の範囲であることを特徴とする<4>に記載の情報記録媒体である。
【0033】
<8> 少なくとも基体の片面に画像受像層を有し、該画像受像層がポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有する電子写真用ラミネートフィルムの製造方法であって、
前記基体表面に、画像受像層及び/または機能性制御手段を塗工液を用いて形成するにあたり、該塗工液に使用される溶媒が、前記基体表面に対して良溶媒であり、基体表面を溶解させながら前記画像受像層及び/または前記機能性制御手段を形成させることを特徴とする電子写真用ラミネートフィルムの製造方法である。
【0035】
<9> 画像受像層表面にトナー画像が形成された1以上の電子写真用ラミネートフィルムと、表面に皮膜層を有するコア基材と、を前記画像受像層と前記皮膜層とで重ね合わせ丁合いする丁合い工程、及び重ね合された電子写真用ラミネートフィルムとコア基材とを接合するラミネート工程を含む情報記録媒体の製造方法であって、
前記電子写真用ラミネートフィルムの少なくとも1つが、<1>〜<3>のいずれかに記載の電子写真用ラミネートフィルムであり、前記コア基材が、少なくとも基材の片面に皮膜層を有し、該皮膜層がポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有するコア基材であることを特徴とする情報記録媒体の製造方法である。
<10> 前記コア基材が、カード用基材であることを特徴とする<9>に記載の情報記録媒体の製造方法である。
<11> 前記ポリエステル樹脂が前記構造式(I)で示される構造単位からなり、数平均分子量が12,000〜45,000の範囲であることを特徴とする<9>に記載の情報記録媒体の製造方法である。
<12> 前記皮膜層中のポリエステル樹脂の質量Cとポリビニルアセタール樹脂の質量Dとの質量比(C/D)が、90/10〜20/80の範囲であることを特徴とする<9>に記載の情報記録媒体の製造方法である。
【0036】
<13> <1>〜<3>のいずれかに記載の電子写真用ラミネートフィルムを用いた画像形成方法であって、電子写真用ラミネートフィルム表面に形成されるトナー画像が、画像形成面をラミネート面とするように、鏡像で形成されることを特徴とする画像形成方法である。
【0037】
<14> 電子写真用ラミネートフィルム表面に形成されたトナー画像の定着を、前記電子写真用ラミネートフィルム表面の温度が130℃以下となるようにして行うことを特徴とする<13>に記載の画像形成方法である。
【0038】
また、前記画像受像層、皮膜層が樹脂及びフィラーを含有すること、また、帯電制御剤、抗菌剤、紫外線吸収剤及び/または酸化防止剤のうち少なくとも一種以上を含有することが好ましい。
【0039】
さらに、前記基体は、非塩素系樹脂を主成分とする樹脂により構成されており、画像が形成される面(ラミネート面)と基体を介して反対側の面に、機能性制御手段を設けられ、前記機能性制御手段が、耐光性、抗菌性、難燃性、離型性及び帯電性を制御する機能から選択される少なくとも1つの機能を有する機能性制御手段であることが好ましい。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
<電子写真用ラミネートフィルム>
本発明の電子写真用ラミネートフィルム(以下、「ラミネートフィルム」という場合がある)は、少なくとも基体の片面に画像受像層を有し、該画像受像層がポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有することを特徴とする。
【0041】
図1は本発明の電子写真用ラミネートフィルムの一例を示す概略斜視図である。本発明の電子写真用ラミネートフィルムは、基体10と、その表面に設けられた画像受像層20とからなり、必要に応じて、基体10における画像受像層20が形成されていない面に、後述する機能性制御手段を設けることができる。なお、該機能性制御手段は、層構造を有するものとして限定されるものではなく、基体10の表面を機械的処理することで、直接基体10表面に機能性制御手段を設けてもよい。
【0042】
本発明の電子写真用ラミネートフィルムは、透明性を有する上記基体10の少なくとも片面に画像受像層20を有し、画像を形成した面と反対側の面から前記基体10を通して画像を目視した際に、当該画像が正転画像(通常イメージ)として見えるように、前記画像受像層20の表面に反転画像(鏡像)を形成する。さらに、該反転画像が形成されていない側の面に、機能性制御手段を設ける構造を有することが好ましい。つまり、図1に示すように、画像は矢印A側から画像受像層20の表面に形成され、矢印Bが示す面に光沢制御手段(機能性制御手段)が設けられる。かかる電子写真用ラミネートフィルムによれば、基体10において、画像が形成される面と、光沢制御手段が設けられる面とが異なるため、形成された画像品質に悪影響を与えることなく、同時に各種機能を制御することができる。
【0043】
本発明の電子写真用ラミネートフィルムに使用可能な基体10は、透明性を有することが望ましい。ここで、透明性とは、例えば、可視光領域の光をある程度、透過する性質をいい、本発明においては、少なくとも形成された画像が、画像が形成された面と反対側の面から基体10を通して目視できる程度に透明であればよい。
【0044】
上記基体10としては、プラスチックフィルムが代表的に使用される。この中でも、OHPフィルムとして使用できるような光透過性のあるフィルムである、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどを好ましく用いることができる。
【0045】
また、上記各種プラスチックフィルムの中でも、ポリエステルフィルム、特に、PET(ポリエチレンテレフタレート)のエチレングリコール成分の半分前後を1,4−シクロヘキサンメタノール成分に置き換えたPETGと呼ばれるものや、前記PETにポリカーボネートを混ぜアロイ化させたもの、さらに二軸延伸しないPETで、A−PETと呼ばれる非晶質系ポリエステル等をより好ましく用いることができる。
【0046】
前記ポリエステル等の材料は、従来カード用の基材(コア)材料として用いられてきたポリ塩化ビニルが、可燃物廃棄時の燃焼によるダイオキシン発生させるものとして環境に良いものではないことが認識され、使用されなくなってきたことにも対応できるものである。本発明においては、上記塩素を含まない基材の使用を考慮し、さらなる材料として、前記ポリスチレン系樹脂フィルム、ABS樹脂フィルム、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂フィルム、またPETフィルムや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルムに、ポリエステルやEVA等のホットメルト系接着剤が付加されているフィルム等も好ましく用いることができる。
【0047】
本発明の電子写真用ラミネートフィルムに用いられる基体10のビカット軟化温度は、70〜130℃の範囲であることが好ましく、80〜120℃の範囲であることがより好ましい。
上記ビカット軟化温度が70℃に満たないと、ラミネート工程において、基材(コア)にラミネートフィルムを十分に密着・接着させることができない場合がある。また、ビカット軟化温度が130℃を超えると、上記密着・接着は十分であっても画像(画像形成材料)または後述する塗工層が軟化しすぎてしまい、画像に欠陥(画像流れ)が発生したりしてしまう場合がある。
【0048】
上記ビカット軟化温度とは、熱可塑性樹脂の軟化温度評価の一方法から測定されるものであって、その測定方法は、成形されたプラスチック材料の耐熱性を試験する方法として、熱可塑性樹脂に対しては、JIS K7206やASTM D1525、ISO306にその方法が規定されている。
本発明においては、厚さ2.5mmの試験片を用い、その表面に断面積が1mm2の針状圧子をセットし、この圧子に1kgの荷重を載せ、試験片を加熱する油槽の温度を徐々に上昇させていき、上記圧子が、試験片中に1mm進入したときの油温をビカット軟化点温度とした。
【0049】
本発明の電子写真用ラミネートフィルムに用いられる基体10は、その少なくとも片面の表面抵抗値が108〜1013Ω/□の範囲であることが好ましく、109〜1011Ω/□の範囲であることがより好ましい。
上記表面抵抗値が108Ω/□に満たないと、特に、高温高湿時に画像記録体の抵抗値が低くなりすぎ、例えば転写部材からの転写トナーが乱れる場合があり、また、表面抵抗値が1013Ω/□を超えると、画像記録体として使用されるラミネートフィルムの抵抗値が高くなりすぎ、例えば転写部材からのトナーをフィルム表面に移行できず、転写不良による画像欠陥が発生する場合がある。
【0050】
なお、上記表面抵抗値は、23℃、55%RHの環境下で、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「HRプローブ」)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。
また、電子写真用ラミネートフィルムにおいて、片面のみが上記範囲の表面抵抗値を有する場合には、当該面は画像が形成される側の面であることが好ましい。
【0051】
前記基体10の少なくとも片面の表面抵抗値を108〜1013Ω/□の範囲に制御するにあたっては、基体10となるフィルム製造時、直接界面活性剤、高分子導電剤や導電性微粒子などを樹脂中に添加したり、上記フィルム表面に界面活性剤を塗工したり、金属薄膜を蒸着したり、あるいは接着剤などに界面活性剤などを適量添加したりすることで調整することができる。
【0052】
上記界面活性剤としては、例えば、ポリアミン類、アンモニウム塩類、スルホニウム塩類、ホスホニウム塩類、ベタイン系両性塩類などのカチオン系界面活性剤、アルキルホスフェートなどのアニオン系界面活性剤、脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤の中でも、昨今の電子写真用の負帯電型トナーと相互作用の大きいカチオン系界面活性剤が、転写性の向上に有効となる。
【0053】
カチオン系界面活性剤の中でも、4級アンモニウム塩類が好ましい。4級アンモニウム塩類としては下記の一般式(I)で代表される化合物が好ましい。
【0054】
【化3】
【0055】
式中、R1は炭素数6〜22までのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、R2は炭素数1〜6までのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表す。R3、R4、R5は同一または異なる脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表す。該脂肪族基とは、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基をいう。上記芳香族基とは、ベンゼン単環、縮合多環のアリール基を表す。これらの基は、水酸基のような置換基を有していてもよい。Aはアミド結合、エーテル結合、エステル結合、フェニレン基を表すが、これはなくてもよい。X-は、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオンを表し、これらのイオンは置換基を有してもよい。
【0056】
また、基体10としては、既述のプラスチックフィルム以外に、透明性を有する他の樹脂や、透明性を有するセラミックが使用でき、また、これらに顔料や染料などが添加され着色されていてもよい。また、基体10は、フィルム状、板状であってもよいし、可とう性を有しない程度、または、基体10としての要求に必要な強度を有する程度に厚みを有する形状であってもよい。該厚みとしては、50〜5000μmの範囲が好ましく、100〜1000μmの範囲がより好ましい。
【0057】
本発明の電子写真用ラミネートフィルムは、画像が良好に形成されるように、基体10の表面に、少なくとも1層以上の画像受像層20が形成される。
前記画像受像層20は、上記基体10の少なくとも片面に形成されるが、上記画像受像層20は、ポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有することが必要である。
【0058】
また、本発明の電子写真用ラミネートフィルムにおいては、前記画像受像層20の表面にトナー画像が形成されるため、該トナー画像が定着時に画像受像層20の構成材料と親和性よく相溶することが好ましい。この観点から、トナーがワックス成分及び樹脂成分を含む場合には、トナーを構成する樹脂成分と親和性を有する第1の樹脂を含む必要がある。この第1の樹脂としては、トナーを構成する樹脂と同じ種類の樹脂を使用することが親和性の点で好ましい。
この観点から、カラートナーの結着樹脂としては通常ポリエステル樹脂が用いられるため、画像受像層20がポリエステル樹脂を含むことが必要となる。
【0059】
しかし、前記定着部材にオイルを塗布しないで定着する場合に用いるオイルレストナーにはかなりの量のワックスが含まれ(結着樹脂100質量部に対し、0.1〜30質量部程度)、当該ワックスは一般的にポリエステル樹脂とは相溶しないため、定着後に前記オイルレストナーの主にトナー表面に存在したワックスが、画像受像層20の表面に浮き出てしまうこととなる。そして、この表面に浮き出たワックスが、ラミネート時の基材との接着性を低下させることとなり、ラミネートフィルムと基材との密着性が悪化することとなる。
【0060】
本発明においては、上記のようなトナー中のワックスの浮き出しを防止するために、画像受像層20に当該ワックスと親和性を有する第2の樹脂を含有させる必要がある。この第2の樹脂成分として、本発明においては、ポリビニルアセタール樹脂を用いる。該ポリビニルアセタール樹脂は、ポリプロピレンや天然ワックスなどのワックスと親和性がよく相溶しやすいため、定着時にトナーの結着樹脂だけでなくワックスも画像受像層20中に溶け込むこととなり、前記のようなラミネート後の基材との接着性を低下させることがない。
【0061】
本発明において用いることができる前記ポリエステル樹脂としては、特に制限されるものではない。
一般的に上記ポリエステルは、多価ヒドロキシ化合物と多塩基性カルボン酸またはその反応性酸誘導体との反応によって製造することができる。ポリエステルを構成する多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール類があるが、本発明に用いられるポリエステルとしては、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとを用いることが特に好ましい。
【0062】
また、前記多塩基性カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、その他の2価カルボン酸などがあるが、本発明ではイソフタル酸とテレフタル酸とが製造上、また材料入手性、コストなどで特に好ましく利用できる。なお、通常フタル酸は、イソフタル酸とテレフタル酸という構造異性体をもち、そのため、ポリエステルを製造するにあたり、上記両者がほぼ半分の割合で必然的に混入する。
【0063】
上記のうち本発明に用いるポリエステル樹脂としては、耐光性に優れるという観点から、下記構造式(I)で示される構造単位からなり、数平均分子量が12,000〜45,000の範囲であるポリエステル樹脂(以下、「特定ポリエステル樹脂」という場合がある)が好ましい。
【0064】
【化4】
【0065】
上記構造式(I)において、n及びmは1以上の整数を表し、n/m(モル比)が1〜9の範囲となる関係にある。n/mは1.2〜3.0の範囲であることが好ましく、1.4〜2.3の範囲であることがより好ましい。
【0066】
n/mが1未満の場合、合成されたポリエステル樹脂の耐光性が低下する問題を有する。また、基体10としてPETフィルムを用い、さらに画像受像層20に添加剤を加えると、基体10と画像受像層20との接着性が低下するという問題を有する。一方、n/mが9より大きい場合、ポリエステル樹脂を溶解させる溶媒が限られ、塗工に適した溶剤に溶解しなくなってしまい、通常の塗工/表面処理ができなくなる場合がある。
【0067】
また、上記構造式(I)で表されるポリエステル樹脂は、数平均分子量が12,000〜45,000であることが好ましく、18,000〜30,000の範囲であることがより好ましく、22,000〜26,000の範囲であることがさらに好ましい。
【0068】
数平均分子量が12,000より小さい場合、上記のn/mが1〜9の範囲であっても、樹脂の軟化点が低くなり常温においても粘性が発現する問題を有している。一方、数平均分子量が45,000を超えると、軟化点の温度が高すぎて、画像(トナー)の定着性が悪化する問題を有する。
【0069】
また、上記構造式(I)で表されるポリエステル樹脂は、ガラス転移点(Tg)が55〜95℃の範囲であることが好ましく、60〜75℃の範囲であることがより好ましい。
【0070】
上記構造式(I)で表されるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分としてのテレフタル酸及びイソフタル酸と、多価ヒドロキシ化合物としてのエチレングリコール及びネオペンチルグリコールと、から合成される。構造式(I)における左の構造単位は、テレフタル酸またはイソフタル酸と、エチレングリコールと、からなり、また、右の構造単位は、テレフタル酸またはイソフタル酸と、ネオペンチルグリコールと、からなる。このため、構造式(I)で表されるポリエステル樹脂を合成する際に、前記のように、n/mを1〜9(モル比)の範囲とするには、エチレングリコールが1に対して、ネオペンチルグリコールが1〜9のモル比を有するように調整すればよい。
本発明において用いられるこの特定ポリエステル樹脂の合成法については、特開昭50−100123号公報などに詳細に記載されている。
【0071】
また、画像受像層20は、特定ポリエステル樹脂の他に、本発明の効果を損なわない程度に、他のポリエステル樹脂を併用することができる。併用可能なポリエステル樹脂としては、後述する光沢制御層(機能性制御手段)を構成する熱溶融性樹脂の1つとして記載されているポリエステル樹脂を用いることができる。
【0072】
本発明においては、トナーの構成樹脂がポリエステル樹脂である場合に、前記のように画像受像層20にポリエステル樹脂と共にポリビニルアセタール樹脂が含有されることが必要である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA)をアセタール化したものをいい、ポリビニルアセタール樹脂には、PVAにブチルアルデヒドを反応させたポリビニルブチラール樹脂、ホルムアルデヒドを反応させたポリビニルホルマール樹脂などがある。
【0073】
これらポリビニルアセタール樹脂は、以上のようにPVAをアセタール化させた材料であるが、完全にアセタール化させることはできず、P.J.Floryによると、理論的アセタール化度は81.6mol%といわれている。また、PVAを製造する際にも少量のアセチル基が残るため、実際のアセタール化度は理論値より若干低いと推定されている。従って、ポリビニルアセタール樹脂はアセタール化度、水酸基、アセチル基の組成割合により物理的、化学的性質を異にし、重合度によって熱的、機械的性質、溶液粘度が変わるものである。
【0074】
なお、画像受像層20にポリビニルアセタール樹脂を用いるのは、既述の如く、基材であるプラスチックフィルムとの接着性、及び画像形成材料(オイルレストナー)との接着性(相溶性)がよいからである。
【0075】
既述の如く、前記画像受像層20にポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とが含有される場合、本発明においては、前記画像受像層中のポリエステル樹脂の質量Aとポリビニルアセタール樹脂の質量Bとの質量比(A/B)が、90/10〜20/80の範囲であることが好ましく、80/20〜30/70の範囲であることがより好ましい。
【0076】
前記質量比(A/B)におけるAが90/10を超える量となると、ポリビニルアセタール樹脂の含有量が少なすぎ、画像受像層としてトナー中のワックスと相溶することができない場合がある。また、Bが20/80を超える量となると、画像受像層の透明性が低下する場合がある。
【0077】
前記画像受像層20は、画像の定着時、定着部材への付着、巻き付きを防止するためには、定着部材への低付着性材料である天然ワックスや合成ワックス、あるいは離型性樹脂、反応性シリコーン化合物、変性シリコーンオイルなどの離型性材料を含有することが好ましい。
【0078】
具体的には、カルナバワックス、密ロウ、モンタンワックス、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックスなどの天然ワックスや低分子量ポリエチレンワックス、低分子量酸化型ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、低分子量酸化型ポリプロピレンワックス、高級脂肪酸ワックス、高級脂肪酸エステルワックス、サゾールワックスなどの合成ワックスなどが挙げられ、これらは単独使用に限らず混合して複数使用することができる。
【0079】
また、離型性樹脂としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、あるいはシリコーン樹脂と各種樹脂との変性体である変性シリコーン樹脂、たとえばポリエステル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、ポリイミド変性シリコーン樹脂、オレフィン変性シリコーン樹脂、エーテル変性シリコーン樹脂、アルコール変性シリコーン樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂、アミノ変性シリコーン樹脂、メルカプト変性シリコーン樹脂、カルボキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、光硬化性シリコーン樹脂を添加することできる。
【0080】
上記変性シリコーン樹脂は、画像形成材料としてのトナー樹脂や本発明の熱溶融性樹脂からなる樹脂粒子との親和性が高く、適度に混和、相溶し、溶融混和するため、トナー中に含まれる顔料の発色性に優れ、また同時に、シリコーン樹脂による離型性のため定着部材と電子写真用ラミネートフィルムとが熱溶融時に付着するのを防止することができるものと考えられる。
【0081】
さらに、本発明においては、より低付着性とするため反応性シラン化合物と変性シリコーンオイルとを混入させてもよい。反応性シラン化合物は、塗工層樹脂と反応すると同時に変性シリコーンオイルと反応することにより、これらがシリコーンオイルの持つ液体潤滑剤以上の離型剤として働き、しかも硬化反応することにより離型剤として塗工層中に強固に固定化され、機械的摩耗や溶媒抽出などによっても離型剤が脱落しないことが見出された。
【0082】
これらのワックスや離型性樹脂は、前記熱溶融性樹脂からなる樹脂粒子と同様に、粒子状態などで共存させてもよいが、好ましくは熱溶融性樹脂中に添加し、樹脂中に分散、相溶した状態で、熱溶融性樹脂中に取り込んだ状態で利用することが好ましい。
【0083】
本発明における画像受像層20は、少なくとも最表面に塗工された層の表面抵抗値が、108〜1013Ω/□の範囲であることが好ましく、109〜1011Ω/□の範囲であることがより好ましい。表面抵抗値が上記範囲内にないと、前記塗工層を有しない電子写真用ラミネートフィルムと同様の不具合が発生する場合がある。
【0084】
上記塗工層の表面抵抗値は、帯電制御剤として高分子導電剤、界面活性剤や導電性金属酸化物粒子を塗工層中に添加することにより、上記範囲内とすることができる。また、搬送性を向上させるためマット剤が添加されることが好ましい。
【0085】
上記界面活性剤としては、前記基体10の表面抵抗値制御のために表面塗工、添加される4級アンモニウム塩類などの界面活性剤と同様のものを用いることができる。
【0086】
また、導電性金属酸化物粒子としては、ZnO、TiO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO、SiO2、MgO、BaO及びMoO3等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、これらの複合してを使用してもよい。また、金属酸化物としては、異種元素をさらに含有するものが好ましく、例えば、ZnOに対してAl、In等、TiOに対してNb、Ta等、SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させたものが好ましい。これらの中で、SbをドーピングしたSnO2が、経時的にも導電性の変化が少なく安定性が高いので特に好ましい。
【0087】
前記マット剤に使用される潤滑性を有する樹脂としては、ポリエチレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(R))等のフッ素樹脂;を挙げることができる。具体的には、低分子量ポリオレフィン系ワックス(例えばポリエチレン系ワックス、分子量1000〜5000)、高密度ポリエチレン系ワックス、パラフィン系またはマイクロクリスタリン系のワックスを挙げることができる。
また、フッ素樹脂の例としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液を挙げることができる。
【0088】
前記樹脂のマット剤の体積平均粒子径は、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、1〜5μmの範囲であることが好ましい。上記体積平均粒子径は、大きい方が好ましいが、大き過ぎるとマット剤が塗工層から脱離して粉落ち現象が発生し、表面が摩耗損傷し易くなり、さらに曇り(ヘイズ度)が増大することとなる。
さらに、上記マット剤の含有量は、前記塗工層形成樹脂に対して0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
【0089】
上記マット剤は扁平状であることが好ましく、予め扁平状のマット剤を用いてもよいし、軟化温度の比較的低いマット剤を用いて画像受像層20の塗布、乾燥時の加熱下に扁平状にしてもよい。さらに加熱下に押圧しながら扁平状にしてもよい。但し、塗光層の表面からマット剤が凸状に突き出ていることが好ましい。
【0090】
マット剤としては、上記以外に無機微粒子(例えば、SiO2、Al2O3、タルクまたはカオリン)及びビーズ状プラスチックパウダー(例えば、架橋型PMMA、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン)を併用してもよい。
【0091】
上記のように、ラミネートフィルムの搬送性を良好とするため、マット剤等によりフィルム表面の摩擦を低減する必要があるが、実際の使用上、フィルム表面の静止摩擦係数は、2以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。またフィルム表面の動摩擦係数は、0.2〜1の範囲であることが好ましく、0.3〜0.65の範囲であることがより好ましい。
【0092】
本発明の電子写真用ラミネートフィルムにおいては、少なくとも画像受像層20の最表面の塗工層に、目的に応じて抗菌性を有する物質を含むことが望ましい。添加する材料は、組成物中での分散安定性が良好で、かつ、光の照射で変性しないものより選ばれる。
【0093】
例えば、有機系の材料では、チオシアナト化合物、ロードプロパギル誘導体、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第四級アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ベンズイミダゾール誘導体、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル等の材料が挙げられる。また、無機系の材料としては、ゼオライト系、シリカゲル系、ガラス系、リン酸カルシウム系、リン酸ジルコニウム系、ケイ酸塩系、酸化チタン、酸化亜鉛、等が挙げられる。
【0094】
上記無機系の抗菌剤としての体積平均粒子径は、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、0.3〜5μmの範囲であることが好ましい。抗菌剤は基本的に前記画像受像層20の表面に露出していることが望ましい。よって前記最表面の塗工層の膜厚によって用いる抗菌剤の体積平均粒子径を選択する。体積平均粒径が大き過ぎると、抗菌剤が塗工層から脱離して粉落ち現象が発生し、フィルム表面が損傷し易くなったり、さらに曇り(ヘイズ度)が増大することとなる。
【0095】
さらに、上記抗菌剤の最表面の塗工層中の含有量は、前記塗工層形成樹脂に対して0.05〜5質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜3質量%の範囲であることがより好ましい。
【0096】
以上、画像受像層に添加する耐光性材料、抗菌性材料、難燃性材料、離型性材料、電荷制御剤及びマット剤について説明してきたが、これらの添加剤は、同様の効果を付加させるために、後述の樹脂及びフィラー等からなる光沢制御層に添加されていてもよい。しかし、上記マット剤は、フィラーとの関係から、光沢制御層には、0.1〜10質量%の範囲で添加されていることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲で添加されることがより好ましい。また、光沢制御層に添加されるマット剤の体積平均粒子径は、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、1〜5μmの範囲であることがより好ましい。
【0097】
前述のように、本発明の電子写真用ラミネートフィルムは、基体10の画像受像層20が形成される面と反対側の面に機能性制御手段が設けられることが好ましい。
上記機能性制御手段は、光沢性、耐光性、抗菌性、難燃性、離型性、及び帯電性を制御する機能から選択される、少なくとも1つ以上の機能を有するものであることが好ましく、具体的には、基体10の表面に対し、光沢性、耐光性、抗菌性、難燃性、離型性、導電性、さらに好ましくは耐湿性、耐熱性、撥水性、耐磨耗性及び耐傷性などの様々な機能を付加及び/または向上させるために設けられる。これにより、前記機能性制御手段を有する電子写真用ラミネートフィルムは、様々な使用条件に対して耐性を有することができる。
【0098】
以下、特に、光沢性の制御に対しての機能性制御手段を例示して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
光沢性の制御は、基体10の表面に形成された画像の「ギラツキ」を抑制し、どの角度から見ても視認性が向上するように行われる。光沢性を制御する機能性制御手段としては、例えば、前記図1に示すように、基体10の表面に設けられた光沢制御層から構成されてもよいし、基体10の表面に、直接光沢性を制御する機械的処理を施すことで基体10が光沢制御機能を有するように設けられてもよい。
【0099】
上記基体10の表面に、直接光沢性を制御する機械的処理を施す方法としては、機械的手段を用いて、基体10の表面に凹凸を形成する方法がある。基体10の表面に深さ3〜30μm程度の凹凸が形成されると、その基体の表面に光散乱が生じることになり、凹凸のサイズ、粗さ、深さ等を変化させることで、所望の光沢性処理を行うことができる。前記機械的手段としては、サンドブラスト法、エンボス法、プラズマエッチング法や、その他の公知の機械的表面処理方法を使用することができる。
【0100】
サンドブラスト法は、有機樹脂、セラミック及び金属などの不定形、または定型粒子を砥粒として、材料表面に連続して叩き付けることにより、表面を粗面化する方法である。エンボス法は、予め、凹凸を形成した型を作製し、これと材料とを接触させることにより、型の凹凸を材料表面に転写する方法である。プラズマエッチング法は、プラズマ放電による分子解離の結果、発生する励起分子、ラジカル、イオンなどを利用してエッチングする方法である。エッチングは、生成する励起種と材料との反応によって生成される揮発性化合物の蒸発によって進行する。
【0101】
光沢性を制御する機能性制御手段が光沢制御層として構成される場合、当該光沢制御層は、ポリマーの相分離を利用することで形成することができる。これは、光沢制御層を形成する樹脂の中に、これと相溶性のない樹脂を添加し、層形成後、乾燥中に相分離を発生させ、それによって表面に凹凸を発生させる方法である。相溶性のない樹脂の種類、添加量、乾燥条件などを制御することにより、相分離の状態を変化させることができ、これにより表面の凹凸が制御され、結果として、表面の光沢性を制御することができる。
【0102】
また、光沢性を制御する機能性制御手段が光沢制御層として構成される場合、当該光沢制御層は、少なくとも、結着剤とフィラーとから構成されてもよい。光沢制御層に含有する結着剤としては樹脂を使用することができる。この樹脂としては、基体10との親和性、材料選択の多様性、安定性、コスト、作製工程の容易さなどから、画像形成材料(トナー)で用いられている熱溶融性樹脂で構成されていることが好ましい。
【0103】
光沢制御層の膜厚は、皮膜形成の安定性のために0.01〜20μmの範囲であることが好ましく、フィラーを安定的に内包し、基体10との接着性を確保するために0.1〜5μmの範囲であることがより好ましい。
【0104】
機能性制御手段としての層や後述する塗工層に用いる熱溶融性樹脂は、画像形成材料として用いられてものであれば、特に制限なく利用できるが、例えば、スチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、2−クロロブタジエン等のジエン系モノマー類;等のうちの1種以上を重合させて得られる単独重合体あるいは共重合体を例示することができる。
これらの中では、特にスチレン類、α−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類等が好ましく用いられる。
【0105】
さらに、本発明で使用し得る熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン樹脂等を単独もしくは混合した形で用いることもできる。
上記ポリエステルは、多価ヒドロキシ化合物と多塩基性カルボン酸またはその反応性酸誘導体との反応によって製造することができる。ポリエステルを構成する多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−プタンジオール等のジオール類;水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物;その他の2価アルコール、ビスフェノールA等の2価フェノール等が挙げられる。
【0106】
また、前記多塩基性カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸(イソフタル酸、テレフタル酸)、その他の2価カルボン酸、あるいはこれらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性酸誘導体などがあげられる。これらの2価のヒドロキシ化合物及びカルボン酸に加えて、得られる熱可塑性樹脂をテトラヒドロキシフラン不溶物が生じない程度に非線形化するために、3価以上の多価ヒドロキシル化合物及び/または3価以上の多塩基性カルボン酸を加えることもできる。
【0107】
これらの中で特に望ましいのは、2価のカルボン酸としてフタル酸を用い、多価ヒドロキシ化合物として、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとを用い、所定の組成比で重縮合させた線状飽和ポリエステル樹脂である。上記組成比としては、テレフタル酸とイソフタル酸とをモル比で1:1程度、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとをモル比で7:3〜1:9の範囲とし、2価のカルボン酸と多価ヒドロキシ化合物とを約1:1で混合して重合させたものが望ましい。
【0108】
さらに、光沢制御層を構成する樹脂は、その被膜強度を上げるために、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂などの硬化性樹脂から構成されていてもよい。
上記熱硬化性樹脂としては、加熱すると硬化(不溶化)する樹脂として通常知られているものを適用できる。例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アクリルポリオールをイソシアネートで硬化させた樹脂、ポリエステルポリオールをメラミンで硬化させた樹脂、及びアクリル酸をメラミンで硬化させた樹脂等である。また熱硬化性樹脂の構成成分であるモノマーを組み合わせて用いてもよい。
【0109】
その他に、熱可塑性樹脂でも架橋によって硬化し耐熱性を有する樹脂であれば、本発明における熱硬化性樹脂として用いることができる。このような熱硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性アクリル樹脂を使用することが好ましい。当該熱硬化性アクリル樹脂は、少なくとも1種のアクリル系単量体、あるいはアクリル系単量体及びスチレン系単量体を重合してなる共重合体を、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物によって架橋させたものである。
【0110】
上記アクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸アルキルエステル類;アクリロニトリル;アクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等のアミノ基含有ビニルモノマー;等を使用することができ、またスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−エチルスチレン等を使用することができる。
【0111】
また、硬化が熱硬化に限られないが、硬化性シリコーン樹脂も好ましく用いることができる。一般に、シリコーン樹脂は、その分子構造により、シリコーンオイルやシリコーンゴム等の材料となる直鎖状構造をとるシリコーン樹脂と、3次元に架橋した構造のシリコーン樹脂とに分類される。また、離型性、接着性、耐熱性、絶縁性及び化学的安定性等の諸性質は、シリコン原子に結合している分子(有機分子)やその重合度等によって決定される。本発明で使用可能な硬化性シリコーン樹脂は、前記3次元に架橋した構造のシリコーン樹脂である。該3次元に架橋した構造のシリコーン樹脂は、通常、多官能性(3官能性、4官能性)単位から重合され、架橋構造を持つ。
【0112】
なお、前記直鎖状構造をとるシリコーン樹脂には、分子量が低く、シリコーンオイルとして、絶縁油、液体カップリング、緩衝油、潤滑油、熱媒、撥水剤、表面処理剤、離型剤、消泡剤等に利用されるものや、加硫剤等を添加後、加熱硬化によって、分子量(シロキサン単位)5000〜10000程度に重合されたシリコーンゴム等があるが、前記硬化性シリコーン樹脂としては適切でない。
【0113】
前記硬化性シリコーン樹脂は、その分子量単位によって、有機溶媒に溶解可能で比較的低分子量であるシリコーンワニスと、高重合度のシリコーン樹脂等とに分類される。また、前記硬化性シリコーン樹脂は、生成段階における硬化反応によって、縮合型、付加型、輻射線型(紫外線硬化型、電子線硬化型)等に分類される。また、塗布形態によっては、溶剤型、無溶剤型等に分類される。
【0114】
上記硬化反応を支配する因子としては、反応基種類、反応基数、硬化時間、温度、照射エネルギー等が挙げられる。また、当該硬化反応を制御する方法としては、例えば、単官能性や2官能性のポリジメチルシロキサンや、反応抑制剤(アセチレンアルコール類、環状メチルビニルシクロシロキサン、シロキサン変性アセチレンアルコール類等)等を添加する方法や、触媒量、反応温度、反応時間、UV照射強度等を調整する方法等が挙げられる。このように硬化反応を制御することにより、硬化性シリコーン樹脂の分子量、反応基としてのシラノール残存量等を調節することができるため、離型性、硬さ、接着性、表面硬度、透明性、耐熱性、化学的安定性等を自由に制御することが可能となる。
【0115】
また、前記硬化性シリコーン樹脂を硬化させる段階では、前記基体10と、該硬化性シリコーン樹脂との間に強固な結合が形成される。したがって、前記基体10の表面に形成される前記光沢制御層は、基体10に対して優れた接着強度を有するため、基体10から剥離することがない。
【0116】
前記光硬化性樹脂を用いた組成物としては、例えば、分子中にビニル基等の反応性二重結合を有する化合物(低分子量物に限らず、高分子をも含む)と、光硬化に必要な開始剤と、紫外線吸収剤などの下地(着色層、場合により基体層)保護材料と、さらに、必要によりシート保持性改良のための樹脂などの高分子量物と、を主成分とするものが挙げられる。
【0117】
前記電子線硬化性樹脂を用いた組成物としては、例えば、分子中にビニル基等の反応性二重結合を有する化合物と、下地保護材料(紫外線吸収剤)と、必要により樹脂と、を主成分とするものが挙げられる。
上記分子中に反応性二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有する、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの1官能タイプや、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能タイプがある。また、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレート、ポリアルキドアクリレート、ポリオールアクリレートなどのオリゴマー等もある。さらに、ビニル基やアリル基を有する、例えば、スチレンモノマー、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、ペンテン、ヘキセン、不飽和化合物等がある。
【0118】
これらの化合物には、さらに、光沢制御層の密着性や下地保護材料との相溶性を改善のために、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基等の極性基を導入されることがある。
【0119】
光硬化用重合開始剤は、特に、紫外線で硬化させる場合に添加される。この光硬化用重合開始剤は通常光開始剤といわれるもので、例えば、ベンゾインアルキルエーテル系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系などの光開始剤が好適に用いられる。上記ベンゾインエーテル系としては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等がある。アセトフェノン系としては、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等がある。ベンゾフェノン系としては、ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ジベンゾスベレノン等がある。チオキサントン系としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−エチルアントラキノン等がある。
【0120】
上記光開始剤は、前記反応性二重結合を有する化合物100質量部に対して、0.05〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の範囲で添加される。また、光開始剤は1種に限らず、2種以上を併用してもよい。
【0121】
前記下地保護用、特に耐光性の材料としては、市販されている紫外線吸収剤等を用いることができる。添加する材料は、組成物中での分散安定性が良好で、かつ、光の照射で変性しないものより選ばれる。例えば、有機系の材料ではフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系;等の材料が挙げられる。
また、無機系の材料としては酸化亜鉛、酸化チタンの酸化物微粒子、その他、酸化鉄、酸化セリウムなどの金属酸化物微粒子が挙げられる。
【0122】
上記紫外線吸収剤としては、特に前記有機系材料が好ましく、前記反応性二重結合を有する化合物100質量部に対して、0.01〜40質量部、好ましくは0.1〜25質量部の範囲で添加される。また、紫外線吸収剤は、下地保護を良好にするために1種に限らず、2種以上を併用することが好ましい。また、場合によってはヒンダードアミン系光安定剤や酸化防止剤を添加することも好ましい。
【0123】
前記下地保護用の別の耐光性材料としては、市販されている酸化防止剤等を用いることができる。添加する材料は、紫外線吸収剤同様組成物中での分散安定性が良好で、かつ、光の照射で変性しないものより選ばれる。例えば、リン酸系、イオウ系、フェノール系、ヒンダードアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で用いても、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
【0124】
また、難燃性の制御は、制御面側から加えられる燃焼炎に対して耐性を示すように行われる。難燃性材料としては、ハロゲン系、リン系、無機系難燃剤などの添加型難燃剤を用いることが出来る。これらの難燃剤はそれぞれ単独で用いても、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
【0125】
難燃剤として、ハロゲン系やリン系難燃剤を選択した場合は、樹脂100質量部に対して、これらの難燃剤総量が5〜50質量部の範囲で配合されることが好ましく、6〜40質量部の範囲で配合されることがより好ましい。難燃剤の配合量が、5質量部未満では、高度の難燃化が難しく、一方、50質量部を越える量を配合しても難燃化は余り改良されず、不経済となるという問題を有する。
【0126】
一方、難燃材料として、無機系難燃剤を選択した場合は、樹脂100質量部に対して、無機系難燃剤が30〜200質量部の範囲で配合されることが望ましく、40〜150質量部の範囲で配合されることがより好ましい。無機系難燃剤に配合量が30質量部未満では、無機系難燃剤単独では十分な難燃化が難しいので、有機系難燃剤の併用が必要となる。一方、200質量部を越える量を配合した場合には、耐摩耗性が劣り、耐衝撃強度の低下などの機械的強度の低下、可撓性がなくなり、かつ低温特性が劣る。
無機系難燃剤は、燃焼したときにハロゲンガスなどの有害ガスの発生が無いという利点を有するため、難燃剤として特に有用である。
【0127】
前記シート保持性改良材としての高分子量物は、シートの取り扱い性(可撓性)改善やシート表面のタック改善のために添加する反応性二重結合を持たないもので、二重結合を有する化合物と相溶性の良好な材料が選定される。例えば、二重結合を有する化合物がウレタン骨格で(メタ)アクリロイル基を有するものであれば、メチルメタクリレートからなるアクリル樹脂やポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などを用いることができる。上記高分子量物選択の目安としてはSP(ソルビリティパラメータ)値があり、この値の近い材料の組合せが好ましい。この高分子量物としては、上記のほかに、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が用いられる。
【0128】
これらの高分子量物には、さらに、光沢制御層の基体10との密着性や下地保護材料との相溶性を改善するために、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基などの極性基を、導入することがある。また、光沢制御層には必要に応じて過酸化物が添加され得る。当該過酸化物としては通常の有機過酸化物が用いられ得るが、より好ましくは常温での貯蔵安定性の面から、分解温度が100℃以上の有機過酸化物である。
【0129】
具体的には、例えば、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。上記過酸化物の添加量は、前記(メタ)アクリロイル基を有する低分子量物100質量部に対して、0.5〜5.0質量部の範囲であることが好ましい。また、過酸化物は1種に限らず、2種以上を併用してもよい。これらの過酸化物の添加によって、光の照射で硬化しにくい部分をさらに熱硬化させることができる。
【0130】
また、光沢制御層を構成する結着剤としては、前記樹脂の代わりに水溶性の結着剤を使用することもできる。該水溶性の結着剤としては、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、カチオン化澱粉、自家変成澱粉及び各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、ハイドロキシルエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコールまたはその誘導体などの水溶性高分子が使用される。これら水溶性高分子は、目的に応じて数種類を混合して使用することが可能である。
【0131】
光沢制御層には、さらに必要に応じて少量の顔料、染料等の着色剤や硬度を高めるための高硬度の微粒子材料が添加される。上記着色剤としては、塗料で用いられる顔料、染料を使用し得る。該顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、シアニン系顔料、キナクリドン系顔料などがある。上記染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、インジゴイド系染料、スチルベンゼン系染料などがある。また、アルミフレーク、ニッケル粉、金粉、銀粉などの金属粉等を着色剤として用いてもよい。これらの材料はできるだけ微粒子のものが好ましい。また、硬度を高めるための材料としては、必要により、微粒子(体積平均粒子径:20nm以下)の酸化チタンやシリカ、ダイヤモンド等が用いられる。これらの着色剤等を添加した場合は、前記光開始剤としては、着色剤の吸収の少ない波長の光で開始反応を行うものを用いることが好ましい。
【0132】
以下に、光沢制御層に関し、アクリル系を中心とした材料の組合せの例について示す。その他の系についても同様に材料を組合わせることができる。
I:(a)重量平均分子量が20,000〜1,000,000の範囲であり常温で固体状のアクリル樹脂と、(b)分子中に二重結合を有する低分子量物と、(c)光開始剤とを主成分とする光硬化性の光沢制御層。
II:(d)分子中に水酸基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を複数有し、重量平均分子量が20,000〜1,000,000の範囲であり常温で固体状のアクリル樹脂と、(b)分子中に二重結合を有する低分子量物と、(c)光開始剤と、(e)イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤及びエポキシ系架橋剤からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤とを主成分とする光硬化性の光沢制御層。
III:(f)分子中に反応性二重結合を複数有し、重量平均分子量が20,000〜1,000,000の範囲であり常温で固体状のアクリル樹脂と、(b)分子中に二重結合を有する低分子量物と、(c)光開始剤とを主成分とする光硬化性の光沢制御層。
IV:(g)分子中に水酸基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基と反応性二重結合を複数有し、重量平均分子量が20,000〜1,000,000であり常温で固体状のアクリル樹脂と、(b)分子中に二重結合を有する低分子量物と、(c)光開始剤と、(e)イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤及びエポキシ系架橋剤からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤とを主成分とする光硬化性の光沢制御層。
【0133】
なお、電子線硬化性の光沢制御層は、例えば、上述の光硬化性樹脂を用いた光沢制御層の配合から光開始剤を除いたものが用いられる。
【0134】
前記光沢制御層の配合中に示された(a)重量平均分子量が20,000〜1,000,000であり常温で固体状のアクリル樹脂は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルと、スチレン誘導体モノマー等やマレイン酸系モノマーとを反応開始剤(各種過酸化物や連鎖移動剤など)の存在下で共重合させて得ることができる。
【0135】
前記光沢制御層の配合中に示された(d)分子中に水酸基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を複数有し、重量平均分子量が20,000〜1,000,000であり常温で固体状のアクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー等のうち、少なくとも1種の官能基を有するモノマーと、その他の(メタ)アクリル酸エステルやスチレン誘導体モノマーやマレイン酸系モノマー等とを反応開始剤(各種過酸化物や連鎖移動剤など)の存在下で共重合させて得ることができる。
【0136】
前記光沢制御層の配合中に示された(f)分子中に(メタ)アクリロイル基を複数有し、重量平均分子量が20,000〜1,000,000であり常温で固体状のアクリル樹脂、(g)分子中に水酸基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基と反応性二重結合を複数有し、重量平均分子量が20,000〜1,000,000であり常温で固体状のアクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸と;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと;2−アミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと;2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−アジリジニル)ブチル(メタ)アクリレート等アジリジニルを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー等のうち、少なくとも1種の官能基を有するモノマーと、その他の(メタ)アクリル酸エステルやスチレン誘導体モノマーやマレイン酸系モノマー等とを反応開始剤(各種過酸化物や連鎖移動剤など)の存在下で共重合させて得ることができる官能基を有するアクリル系共重合体に、上記官能基を有するモノマーを付加することによって得ることができる。
【0137】
これらのアクリル樹脂(a)、(d)、(f)、(g)の重量平均分子量(Mw)は、反応開始剤を用いて重合反応を行う際の条件により変化させることが可能である。本発明に用いられるアクリル樹脂は、その重量平均分子量が20,000〜1,000,000の範囲のものが好ましく使用される。重量平均分子量が20,000を下回ると、ラミネートフィルムの貼付作業時の延伸に対して十分な伸びが得られず、クラックが発生するおそれがある。重量平均分子量が1,000,000を上回ると、樹脂の溶剤への溶解がしにくくなり、光硬化性樹脂組成物から光沢制御層を作製することが困難となる。例えば、溶剤キャステイングによって光沢制御層を作成する場合には、溶剤粘度が高くなるので樹脂を低濃度でしかキャステイングできず、そのため光沢制御層の膜厚を厚くすることが難しくなる。
【0138】
また、これらのアクリル樹脂は、光沢制御層硬化後の硬度と耐擦傷性との関係からTg(ガラス転移点)が−20〜100℃の範囲のものが好ましい。しかし、余り高くない表面硬度、例えば、鉛筆硬度法での硬度で2B以下(23℃)の場合や、光沢制御層の伸びが殆ど必要でない場合は、これら範囲外であっても適用可能である。アクリル樹脂は、前記の分子量範囲であれば異なる種類のものを組み合わせて用いてもよい。上記アクリル樹脂(d)、(g)は、水酸基、アミノ基及びカルボキシル基等の官能基を有するため、上記架橋剤によって架橋され、そのことによりシートの可撓性を向上することができる。
【0139】
前記アクリル樹脂(d)、(g)の官能基価{OH基価とNH2基価(NH2:重合時添加するNH2基の量をOH価と同様の計算、もしくはNH2基を亜硝酸と反応させOH基に変えて定量したもの)とCOOH基価(COOH価:重合時添加するCOOH基の量をOH価と同様の計算もしくは、COOH基をKOHで滴定した値)}の総和が2〜50の範囲であるのものが好ましい。官能基価が2未満であると、光沢制御層の可撓性の向上が望めない場合がある。また、官能基価が50を超えると、充分な光沢制御層の伸びが得られない場合がある。しかし、光沢制御層の伸びが殆ど必要でない場合や、光沢制御層の可撓性が十分である場合は、これら範囲外であっても適用可能である。
【0140】
また、これらアクリル樹脂材料は、アクリル樹脂の反応性部分をブロックまたは、櫛形にしたブロック共重合体として用いることもできる。この場合、これら反応性アクリル樹脂材料とブロック化する材料としては、アクリル系はもちろんのこと、スチレン系、マレイン酸系、イミド系材料などのアクリルと相溶性のよい材料の他に、シリコーン系、フッ素系材料など、ブロック化できる材料ならどれとの組合せでも構わないものである。この場合、これらの材料の重量平均分子量を前記範囲内として用いる方法と、前述の反応性アクリル樹脂にこれらのブロック重合体をブレンドして用いる方法とがある。
【0141】
前記光沢制御層の配合中に示された(b)分子中に二重結合を有する低分子量物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの1官能タイプや、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能タイプなどが挙げられる。
【0142】
また、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレート、ポリアルキドアクリレート、ポリオールアクリレート等のオリゴマー等もある。これらの低分子量物は、更に、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有してもよい。
【0143】
前記(e)のイソシアネート系架橋剤とは、分子内に2個以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物で、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスファイト、P−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の単量体、またはこれら単量体のトリメチロールプロパン付加体、イソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレタン変性体、アロファネート変性体等を挙げることができる。
【0144】
また、前記(e)のメラミン系架橋剤とは、メラミンをはじめ尿素、チオ尿素、グアニジン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ジシアンジアミド、グアナミン等の多官能のアミノ基を有する材料とホルムアルデヒドを反応させたトリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ジメチロール尿素ジメチロールグアニジン、ジメチロールアセトグアナミン、ジメチロールベンゾグアナミン等をブチルアルコールやプロピルアルコール等のアルコールと反応させたエーテル化メラミン樹脂のことである。
【0145】
さらに、前記(e)のエポキシ系架橋剤とは、エポキシ基を複数含む多価アルコールのグリシジル化合物のことであり、ルイス酸触媒とともに用いられる。このルイス酸としては、反応を遅らせるためにマイクロカプセル化しているものが好ましい。例えば、ブタジエンシジオキシド、ヘキサジンジオキシドやフタル酸のジグリシジルエステル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、パラアミノフェノールのトリグリシジルエーテルアミン、アニリンのジグリシジルエーテル、フェニレンジアミンのテトラグリシジルエーテル、スルホンアミドのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル等のグリシジル化合物やポリエーテル変性ジグリシジル、ポリエステル変性ジグリシジル、ウレタン変性ジグリシジル化合物(重合体)やビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等を挙げることができる。
【0146】
これら架橋剤の添加量は、アクリル樹脂の官能基価:架橋剤の官能基価が、1:0.7〜1.3程度となる量であることが好ましい。しかし、実際は用いるアクリル樹脂との反応性によりアクリル樹脂の官能基と架橋剤同士、例えば、メラミン系架橋剤同士、メラミン系架橋剤とエポキシ系架橋剤等の反応が起こるので予備実験を行ってから決定することが好ましい。
【0147】
一方、光沢制御層を構成するフィラーは限定されるものではないが、有機樹脂粒子から構成されるものの場合、具体的には、スチレン、ビニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、2−クロロブタジエン等のジエン系モノマーの1種以上を重合させて得られる単独重合体あるいは共重合体を例示することができる。
【0148】
これらの中で、スチレン類、α−不飽和脂肪酸モノカルボン酸のエステル類等が好ましく、これら熱溶融性樹脂をフィラーとして使用する場合は、これら樹脂を溶解しない溶媒で塗工することにより、光沢制御層を構成するフィラーとして用いることができるが、好ましくは、これら熱溶融性樹脂に架橋剤などを添加して、架橋構造を持たせた熱硬化性樹脂、先に記載した熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂などを微粒子化したものがより好ましく用いられる。
【0149】
また、光沢制御層を構成するフィラーが、無機微粒子から構成される場合、具体的な例示物としては、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、亜鉛華、ハロサイトクレー、カオリン、塩酸性炭酸マグネシウム、石英粉、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナなどが挙げられる。
【0150】
前記フィラーの形状としては、球状粒子が一般的であるが、板状、針状、不定形状であってもよい。また、フィラーと樹脂との屈折率差は、0.01以上であることが表面光沢度を制御するためには好ましいが、屈折率差が0.1以上であることがより好ましい。
また、フィラーの体積平均粒子径としては、10μm以下であることが好ましいが、光沢制御層膜厚を考慮すると、0.01〜5μmの範囲であることが特に好ましい。
【0151】
光沢制御層中におけるフィラーと結着剤との質量比(フィラー:結着剤)は、0.3:1〜3:1の範囲であることが好ましく、0.5:1〜2:1の範囲であることがより好ましい。フィラーの割合が上記範囲内の場合は、画像形成の前後で光沢がほとんど変化しないが、上記範囲よりも少ない場合は、光散乱性が低下してしまい、上記範囲よりも多い場合は、光沢制御層の形成が困難となる場合がある。
【0152】
以上、機能性制御手段としての光沢制御層について説明したが、当該機能性制御手段は、前記のように耐光性、抗菌性、難燃性、離型性、帯電性制御の観点からも設けられるものである。すなわち、機能性制御手段は前記のように、基体10を介して画像が形成された面(画像受像層20が形成された面)と反対側の面に設けられるものであり、最終的にラミネートされた場合には、機能性制御手段が設けられた面が外側となるため、耐光性だけでなく、例えば、使用中にフィルム面に水がついた場合に、すぐに拭き取れるように離型性を有することが必要であり、また、フィルム表面にはゴミが付着しにくいように、表面抵抗値を1012Ω/□以下とするような帯電性制御が必要となる。また、画像表示物を病院内にて手にとって閲覧したり、壁への表示などにおいて抗菌性が望まれる。さらに、火災時など加熱による燃焼を少しでも押さえ有害ガスの発生をおさえる難燃性が必要となる。
前記耐光性、離型性、帯電性の制御は、本発明に用いられる基体10や光沢制御層等において説明した材料、方法を適宜使用することにより行うことができる。
【0153】
なお、画像受像層(塗工層)及び光沢制御層には、必要に応じて、熱安定剤、酸化安定剤、光安定剤、滑剤、顔料、可塑剤、架橋剤、耐衝撃性向上剤、抗菌性、難燃剤、難燃助剤、及び帯電防止剤などの各種プラスチック添加剤を併用することができる。
【0154】
<コア基材>
本発明に用いられるコア基材は、少なくとも基材の片面に皮膜層を有し、該皮膜層がポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有することを特徴とする。
【0155】
図2は、本発明に用いられるコア基材の一例を示す概略斜視図である。本発明に用いられるコア基材は、基材30と、その表面に設けられた皮膜層40とからなり、該皮膜層40は、必要により図2に示すように基材30における両面に設けることができる。
【0156】
本発明に用いられるコア基材は、上記基材30の少なくとも片面に皮膜層40を有し、あらかじめ画像を鏡面形成した電子写真用ラミネートフィルムが画像面を重ね合わせるようにラミネートされることにより、画像を形成した情報記録媒体が作製される。なお、本発明に用いられるコア基材とは、必ずしも両面がラミネートされるいわゆるコアである必要はなく、片面がラミネートされるものも含むものである。
【0157】
上記ラミネートは、基材30の片側の面のみに行われてもよいが、コア基材(コア)の両面側になされることが作製された情報記録媒体の反りを防ぐ観点などから好ましく、この場合には、基材30の両面に皮膜層40を設けることが電子写真用ラミネートフィルムとの密着性を高め、情報記録媒体としての安定性を高める上で好ましい。
なお、上記基材30の両面にラミネートされる電子写真用ラミネートフィルムは同一のものであっても、異なるもの(形成された画像のみが異なるものを含む)であってもよい。
【0158】
また、基材30の片面に電子写真用ラミネートフィルムがラミネートされる場合であっても、後述する情報記録媒体作製装置におけるコアの搬送安定性の観点から、基材30の両面に帯電制御層等としての皮膜層40が設けられることが好ましい。
【0159】
本発明に用いられるコア基材に使用可能な基材30は、透明性を有しないことが望ましい。本発明においては、少なくともラミネート後、ラミネートフィルムに形成された画像が基材30のラミネート面と反対側の面から基材30を通して目視できない程度に不透明であればよい。
このため、基材30としては、白色化したプラスチックフィルムが代表的に使用される。
【0160】
上記基材30としては、前述の電子写真用ラミネートフィルムの基体10に用いたものと同様のものを用いることができる。この場合、基体10に用いられる樹脂フィルムと基材30に用いられる樹脂フィルムとは、同一の材料で構成されてもよく、異なった材料で構成されてもよい。
【0161】
プラスチックを白色化する方法としては、白色顔料、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化カルシウム等の金属酸化物微粒子、有機の白色顔料、ポリマー粒子等をフィルム中に混入させる方法が使用できる。なお、前記金属酸化物微粒子としては、既述の画像受像層の表面抵抗値制御に用いた導電性金属酸化物を白色化剤として使用することができ、また、他の白色化剤と併用しても使用しても良い。
また、プラスチックフィルム表面にサンドブラスタ処理やエンボス加工等を施すことにより、プラスチックフィルムの表面を凹凸にし、その凹凸による光の散乱によりプラスチックフィルムを白色化することもできる。
【0162】
本発明における基材30のビカット軟化温度は、70〜130℃の範囲であることが好ましく、80〜120℃の範囲であることがより好ましい。
上記ビカット軟化温度が130℃を超えると、後述するラミネート工程において、電子写真用ラミネートフィルム(オーバーシート)にコア(コアシート)を十分に密着・接着させることができない場合がある。また、ビカット軟化温度が70℃に満たないと、上記密着・接着は十分であっても、コアが軟化しすぎてしまい、情報記録媒体とした場合に、カール・波打ち・軟化樹脂の流れによる変形や、画像歪みが発生してしまう場合がある。
【0163】
本発明に用いられる基材30としては、厚さ50〜5000μmの範囲のプラスチックからなるフィルムを用いることが好ましく、厚さ100〜1000μmの範囲のPETGフィルムを用いることがより好ましい。
【0164】
本発明に用いられる基材30は、その少なくとも片面の表面抵抗値が1013Ω/□以下であることが好ましく、1012Ω/□以下であることがより好ましい。上記、表面抵抗値が1013Ω/□を超えると、他部材との接触帯電によりゴミなどを付着し易くなり、これらがラミネート時に巻き込まれてしまい画像欠陥として発生する場合がある。また、コア基材として、片面のみが上記範囲の表面抵抗値を有する場合には、当該面は、ラミネートフィルムがラミネートされる側の面であることが好ましい。
【0165】
前記基材30の少なくとも片面の表面抵抗値を1013Ω/□以下に制御するにあたっては、前述の電子写真用ラミネートフィルムの基体10の表面抵抗値制御と同様な方法を採ることができる。
なお、上記表面抵抗値の下限値は108Ω/□程度であることが好ましい。
【0166】
また、基材30としては、既述のプラスチックフィルム以外に、不透明性な他の樹脂や、セラミックが使用でき、また、これらに顔料や染料などが添加され着色されていてもよい。また、基材30は、フィルム状、板状であってもよいし、可とう性を有しない程度、または、基材30としての要求に必要な強度を有する程度に厚みを有する形状であってもよい。
【0167】
本発明においては、上記コア基材がカード用基材であることが好ましい。そして、最終的な情報記録媒体が例えばICカード等として用いられる場合には、基材30として、その内部または表面に半導体回路を有するものを用いることができる。
【0168】
基材30中に半導体回路を内蔵させる方法としては、前記半導体回路が固定されたインレットと呼ばれるシートを、基材30を構成するシート材料間に挟み、熱プレスによって熱融着一体化させる方法が一般的に好ましく用いられる。また、上記インレットシートなしに直接、半導体回路を配置し、同様に熱融着一体化させる方法も可能である。
【0169】
その他、上記熱融着によらず、ホットメルト等の接着剤を用いて、前記基材30を構成するシートどうしを貼り合わせ、同様に、半導体回路を内蔵させることも可能であるが、これらに限られるものではなく、例えば、ICカードに半導体回路を内蔵させる方法であれば、いずれも前記基材30の製造方法として適用することができる。
さらに、情報記録媒体として使用上問題がなければ、半導体回路を基材30の内部ではなく、表面に露出した状態で配置することも可能である。
【0170】
なお、本発明の情報記録媒体が、ICカードだけでなく、磁気カード等として用いられる場合には、必要に応じて基材30にアンテナ、磁気ストライプ、外部端子などが埋め込まれる。また、磁気ストライプ、ホログラム等が印刷されたり、必要文字情報がエンボスされる場合がある。
【0171】
本発明に用いられるコア基材は、電子写真用ラミネートフィルムとの接着が良好に行われるように、基材30の表面に、少なくとも1層以上の皮膜層40が形成される。
前記皮膜層40は、上記基材30の少なくとも片面に形成されるが、上記皮膜層40は、ポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有することが必要である。
【0172】
本発明に用いられるコア基材においては、前記皮膜層40の表面にラミネートフィルム表面に形成されたトナー画像が付着(接着)されるため、該トナー画像がラミネート時に皮膜層40の構成材料とよく相溶することが好ましい。この観点から、カラートナーの結着樹脂としては通常ポリエステル樹脂が用いられるため、皮膜層40も前記画像受像層20と同様にポリエステル樹脂を含むことが必要となる。
【0173】
しかし、既述の如く、オイルレストナーにはかなりの量のワックスが含まれ、当該ワックスは一般的にポリエステル樹脂とは相溶しないため、定着後であっても前記オイルレストナーの主にトナー表面に存在したワックスが、前記画像受像層20のトナー表面に浮き出ている場合がある。そして、この表面に浮き出たワックスが、ラミネート時のラミネートフィルムとコア基材との接着性を低下させることとなる。
【0174】
本発明においては、上記のような画像受像層20のトナー表面にトナー中のワックスが浮き出している場合にも、これによるラミネートフィルムとコア基材との接着性低下を防止するために、コア基材側の皮膜層40にもポリビニルアセタール樹脂を含有させることとしたものである。そして、前述のように、ポリビニルアセタール樹脂はポリプロピレンや天然ワックスなどのワックスと相溶性がよいため、ラミネート時にトナーの結着樹脂だけでなくワックスも皮膜層40中に溶け込むこととなり、前記のようなラミネート後のトナーとコア基材との接着性を低下させることがない。
【0175】
本発明における皮膜層40に用いられる前記ポリエステル樹脂及びポリアセタール樹脂としては、特に制限されるものではなく、前述の画像受像層20に用いられたもの(樹脂種、分子量等)が同様に好ましく使用される。
【0176】
また、本発明においては、前記皮膜層40中のポリエステル樹脂の質量Cとポリビニルアセタール樹脂の質量Dとの質量比(C/D)が、90/10〜20/80の範囲であることが好ましく、80/20〜30/70の範囲であることがより好ましい。
【0177】
前記質量比(C/D)におけるCが90/10を超える量となると、ポリビニルアセタール樹脂の含有量が少なすぎ、皮膜層としてトナー中のワックスと相溶することができない場合がある。また、Dが20/80を超える量となると、基材30との接着性が低下する場合がある。
【0178】
また、前記のように、コア基材における基材30の表面抵抗値は、1013Ω/□以下であることが好ましいが、皮膜層40を有する場合には、該皮膜層が帯電制御層として機能することが好ましく、皮膜層40の表面抵抗値が1013Ω/□以下であることが好ましく、1012Ω/□以下であることがより好ましい。
なお、上記表面抵抗値の下限値は108Ω/□程度であることが好ましい。
【0179】
表面抵抗値が1013Ω/□を超えると、前記のようにラミネートフィルムとのラミネート時において不純物としてのゴミなどの付着を招き、これらが画像品質を低下させる恐れがあるだけでなく、情報記録媒体作製装置におけるコア基材の搬送時に、重送等の搬送不良が発生する場合がある。したがって、上記範囲の表面抵抗値を有する皮膜層40は、基材30の両面に形成されることが好ましい。
【0180】
上記皮膜層40の表面抵抗値は、帯電制御剤として高分子導電剤、界面活性剤や導電性金属酸化物粒子を塗工層中に添加することにより、上記範囲内とすることができる。また、搬送性を向上させるためマット剤が添加されることが好ましい。
【0181】
上記界面活性剤やマット剤としては、前述の電子写真用ラミネートフィルムにおける画像受像層20に用いたものと同様のものを使用することができる。
【0182】
また、上記樹脂のマット剤の体積平均粒子径は、0.01〜50μmの範囲であることが好ましく、0.1〜10μmの範囲であることが好ましい。上記体積平均粒子径は、大きい方が好ましいが、大き過ぎるとマット剤が皮膜層40から脱離して粉落ち現象が発生し、表面が摩耗損傷し易くなる。
【0183】
さらに、上記マット剤の含有量は、前記皮膜層形成樹脂に対して0.1〜300質量%の範囲であることが好ましく、50〜150質量%の範囲であることがより好ましい。
【0184】
なお、これらのマット剤は、基材30として用いるプラスチックフィルムの不透明化剤(白色化剤)として利用することができ、また、導電性金属酸化物粒子などと併用しても良い。
【0185】
コア基材表面の静止摩擦係数は、2以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。またフィルム表面の動摩擦係数は、0.2〜1の範囲であることが好ましく、0.3〜0.65の範囲であることがより好ましい。
【0186】
また、金属酸化物粒子やマット剤等の添加により、コア基材表面に凹凸が形成されることで、電子写真用ラミネートフィルムとのラミネーションにおいて、コア基材とラミネートフィルムとの界面、あるいは画像形成剤(トナー)層中に存在する空気を逃がしやすくすることができる。
【0187】
さらに、コア基材表面の凹凸を形成させる方法としては、サンドブラストやエンボスなど機械的に表面を荒らす方法を用いても良い。
【0188】
本発明に用いられるコア基材においても、少なくとも基材30の最表面の皮膜層40に、目的に応じて抗菌性を有する物質を含むことが望ましい。添加する材料、粒径、添加量等は、前述の画像受像層20に用いた場合と同様のもの、方法を採ることができる。
【0189】
なお、本発明の情報記録媒体が、基材30の両面にラミネートフィルムをラミネートせずに片面のみにラミネートされる場合には、基材30のラミネートされない側の面には、帯電性制御及び/または摩擦低減手段が設けられることが好ましい。
以下、上記帯電性制御及び/または摩擦低減制御手段を例示して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0190】
帯電性の制御は、基材30の表面に形成された皮膜により他部材との接触による帯電を抑制し、コア基材の搬送性が向上するように行われる。帯電性を制御する手段としては、例えば、帯電性制御層を兼ねる皮膜層40が片面に設けられた基材30の反対側の面に層として構成されてもよいし、基材30の表面に、直接帯電性を制御する処理を施すことで基材30が帯電性制御機能を有するように設けられてもよい。
【0191】
上記基材30の表面に、直接帯電性を制御する処理を施す方法としては、既述の基材30を構成する樹脂中に金属酸化物粒子や高分子導電剤などを練り込むことにより達成される。
【0192】
また、帯電性制御手段が帯電制御層として構成される場合、当該層は、少なくとも、結着剤とフィラーとから構成されてもよい。帯電制御層に含有される結着剤としては樹脂を使用することができ、フィラーとしては有機樹脂微粒子、無機微粒子などを用いることができる。当該樹脂、微粒子としては、既述の電子写真用ラミネートフィルムの機能性制御手段に用いられたものを同様に使用することができる。また、必要に応じて同様の各種添加剤等を使用することができる。
【0193】
帯電性制御及び/または摩擦低減手段としての層の膜厚は、層形成の安定性のために0.01〜100μmの範囲であることが好ましく、フィラーを安定的に内包し、基材30との接着性を確保するために0.1〜50μmの範囲であることがより好ましい。
【0194】
前記帯電性制御及び/または摩擦低減手段は、前記のように、基材30を介して皮膜層40が形成された面と反対側の面に設けられるものであり、最終的に基材30の片面にラミネートされた場合であっても、帯電性制御及び/または摩擦低減手段が設けられた面が外側となるため、耐光性だけでなく、例えば、使用中にフィルム面に水がついた場合に、すぐに拭き取れるように離型性を有することが必要であり、また、画像表示物を病院内にて手にとって閲覧したり、壁への表示などにおいて抗菌性が望まれる。さらに、火災時など加熱による燃焼を少しでも押さえ有害ガスの発生をおさえる難燃性も必要となる。
前記耐光性、離型性等の制御は、本発明に用いられる機能性制御手段において説明した材料、方法を適宜使用することにより行うことができる。
【0195】
なお、皮膜層、並びに帯電性制御及び/または摩擦低減手段には、必要に応じて、熱安定剤、酸化安定剤、光安定剤、滑剤、顔料、可塑剤、架橋剤、耐衝撃性向上剤、抗菌性、難燃剤、難燃助剤、離型剤及び帯電防止剤などの各種プラスチック添加剤を併用することができる。
【0196】
<電子写真用ラミネートフィルム及びコア基材の製造方法>
前記画像受像層20や機能性制御手段としての機能性制御層は、以下の方法によって電子写真用ラミネートフィルムの基体10の表面に形成される。
上記各層は、少なくとも樹脂とフィラー等とを有機溶媒、もしくは水などを用いて混合し、超音波、ウエーブローター、アトライターやサンドミルなどの装置により均一に分散させ塗工液を作製し、該塗工液をそのままの状態で、基体10の表面へ塗布あるいは含浸させることによって形成できる。
【0197】
塗布あるいは含浸させる方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法等の通常使用される方法が採用される。
上記塗工は、例えば光沢制御層と画像受像層20とを両方有する場合には、どちらを先に塗工してもよいし、同時に塗工してもよい。
【0198】
但し、前記塗工液の作製において、溶媒として基体10の表面を溶解させる良溶媒を使用することが好ましい。このような良溶媒を使用すると、基体10と塗工層との結びつきが非常に高くなる。その原因は、貧溶媒を使用した場合、塗工層と基体10との間に明確な界面が存在することで、ラミネート後、フィルムの基体10との接着性が不十分なのに対し、良溶媒を使用した場合は、上記明確な界面が存在せず、基体10の表面と塗工された層とが融合したものとなって、接着性が十分高くなるものである。
【0199】
なお、上記基体10表面に対して良溶媒であるとは、溶媒が基体10の表面に接触した場合、基体10に何らかの作用を及ぼし、基体10の表面が少し侵される(溶媒除去後、わずかに表面に曇り等が観察される)程度以上の溶解性を有することをいう。
【0200】
基体10の表面に画像受像層20や機能性制御層を形成する際の乾燥は、風乾でもよいが、熱乾燥を行えば容易に乾燥できる。乾燥方法としては、オーブンに入れる方法、オーブンに通す方法、あるいは加熱ローラに接触させる方法など通常使用される方法が採用される。また、上述した光沢制御層も同様の方法によって形成することができる。
【0201】
このようにして基体10の表面に形成される機能性制御手段としての層の膜厚は0.1〜20μmの範囲であることが好ましく、1.0〜10μmの範囲であることがより好ましい。
また、前記画像受像層20の膜厚は同様に0.1〜20μmの範囲であることが好ましく、1.0〜10μmの範囲であることがより好ましい。
【0202】
一方、前記皮膜層40や帯電性制御及び/または摩擦低減手段も、上記画像受像層20や機能性制御手段の形成と同様にして、コア基材の基材30の表面に形成される。
【0203】
このようにして基材30の表面に形成される帯電性制御及び/または摩擦低減手段としての層の膜厚は0.1〜50μmの範囲であることが好ましく、1.0〜20μmの範囲であることがより好ましい。
また、前記皮膜層40の膜厚は同様に0.1〜50μmの範囲であることが好ましく、0.2〜20μmの範囲であることがより好ましい。
【0204】
<画像形成方法>
以上の方法で形成した、機能性制御手段としての機能性制御層及び画像受像層20を有する未印刷ラミネートフィルムに、電子写真方式によって画像を形成する方法を以下に述べる。
【0205】
電子写真方式による未印刷ラミネートフィルムへの画像形成は、電子写真用感光体(像担持体)の表面に均一に電荷を与え帯電させた後、その表面に、得られた画像情報を露光し、露光に対応した静電潜像を形成する。次に、前記感光体表面の静電潜像に現像器から画像形成材料であるトナーを供給することで、静電潜像がトナーによって可視化現像される(トナー画像が形成される)。さらに、形成されたトナー画像を、未印刷ラミネートフィルム表面の画像受像層20が形成された面に転写し、最後に熱や圧力などによりトナーが画像受像層20の表面に定着されて、画像記録体ができあがる。ここでいう画像記録体とは、本発明の電子写真用ラミネートフィルムである。
【0206】
本発明の電子写真用ラミネートフィルムは、画像形成面をラミネート面とするものであるため、未印刷ラミネートフィルムの表面の画像受像層20に形成される画像は反転画像(鏡像画像)とする必要があり、前記感光体表面に静電潜像を形成する際には、上記感光体表面に露光される画像情報としては鏡像の情報が提供されることが好ましい。
【0207】
前記ラミネートフィルムのラミネート面に転写されるトナー画像は、電子写真用感光体に露光される情報に応じて形成されるものである。そしてこの情報は、画像情報であってもよく、文字情報等であってもよい。
【0208】
また、上記情報は可変情報であってもよい。すなわち、前記画像形成において、未印刷ラミネートフィルム表面に形成されるトナー画像は、例えば、複数枚の画像形成においてすべて同一ではなく、1枚ごとに可変情報である情報に応じて異なるトナー画像であってもよい。
【0209】
さらに、前記情報は個人情報であってもよい。本発明の情報記録媒体は、既述の如く、キャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明などに適用可能なものであり、このような用途に使用される場合、前記情報としては、顔写真、本人照合用画像情報、氏名、住所、生年月日等の個人情報が主体となる。
【0210】
前記定着時に、トナーは熱や圧力が同時に印加されるため画像受像層20の表面に定着される訳であるが、同時にトナーは定着部材と接触するため、トナーが低粘性であったり、定着部材との親和性が高い場合などは、定着部材に一部移行し、オフセットとして定着部材に残留するため、定着部材の劣化を招き、結果として定着器の寿命を短縮してしまうことになる。したがって、電子写真用ラミネートフィルムが画像記録体として使用される場合には、トナー画像の充分な定着性と定着部材との剥離性とを得ることが必要となる。
【0211】
しかしながら、本発明に用いる画像受像層20の表面や基体10表面は、トナーとの接着性がよいため、トナーが溶融し、粘性が生じる温度以下で十分にラミネートフィルム表面に定着する。この溶融温度を超えて必要以上に定着温度を上げると、基体10のビカット軟化温度を大きく超える領域となり、基体10が収縮してシワになったり、変形が大きくなって使用不可になったり、また、定着部材に巻付いて結果として定着器の寿命を短縮してしまう場合がある。
【0212】
このため、本発明においては、電子写真用ラミネートフィルム表面に形成されたトナー画像の定着を、該電子写真用ラミネートフィルム表面の温度が、トナーの溶融温度以下となるようにして行うことが好ましい。通常のトナーの溶融温度を考慮すると、前記電子写真用ラミネートフィルムの表面温度が130℃以下となるようにして行うことが好ましく、110℃以下となるようにして行うことがより好ましい。但し、下限は90℃程度である。
【0213】
上記のように画像記録体表面の温度を130℃以下としてトナーの定着を行う場合であっても、前記のような理由から、定着時のラミネートフィルム表面の温度は、前記基体10のビカット軟化温度以下であることが好ましく、さらには、定着時のラミネートフィルム表面の温度は、トナーの軟化温度と同等程度とすることも可能である。
【0214】
また、上記条件で定着を行う場合であっても、基体10によっては、熱変形を起こす温度領域に入ってしまう場合がある。その場合、特にラミネートフィルムのコシが弱くなり、定着装置の加熱ロールに巻付きやすくなってくる。このような場合は紙などと重ね合わせて搬送し、定着装置でのラミネートフィルムのコシを補ったり、フィルムエッジ部分にガイドが当たるように定着装置内を改造/調整することが望ましい。
【0215】
一方、本発明の電子写真用ラミネートフィルムでは、定着時に非画像部でも定着部材と接触することになり、トナーと同様の離型性などの性能が要求されている。
そこで、本発明では、少なくとも基体10の片面にポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有する画像受像層20を形成すること必要であり、また、熱溶融性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化樹脂が好ましく含まれ、かつ、フィラー等が含まれる帯電性制御層(機能性制御手段)を、ラミネートフィルムの画像が形成されている面の反対側の面に形成することが好ましい。
【0216】
そして、上記画像受像層20には、ポリエステル樹脂に加えポリビニルアセタール樹脂が含まれるため、前記オイルレストナーを用いた場合であっても、前記定着条件でトナー中のワックスが画像受像層20の表面に浮き出すことなく、トナー全体を画像受像層20に良好に定着させることができる。
【0217】
さらに画像受像層20及び機能性制御層の両層に、添加剤として離型剤などを好ましく含有させることにより、定着工程における定着部材への付着防止を図り、加えて、電荷制御剤等の添加により電子写真方式における転写性能をも維持することができる。
【0218】
<情報記録媒体及びその製造方法>
本発明の情報記録媒体は、前記トナー画像が設けられた電子写真用ラミネートフィルムを、丁合い工程においてラミネート面を不透明なコア基材(コア基材)と重ね合わせ丁合いし、ラミネート工程において接合(ラミネート)されて作製される。
【0219】
以下、図面を参照して本発明の情報記録媒体の構成及び製造方法を詳細に説明する。
図3は、本発明の情報記録媒体の一例を示す概略斜視図である。図3(a)、(b)に示すように、本発明の情報記録媒体は、本発明電子写真用ラミネートフィルム50(オーバーシート)と、被ラミネート体であるコア基材60(コアシート)と、から構成される。また、上記電子写真用ラミネートフィルム50は1枚に限られず、必要であれば、コア基材60の電子写真用ラミネートフィルム50が積層されていない側の面に、更にラミネートフィルム70を積層した構造としてもよい。さらに、必要に応じて、上記以外のシート、層などを設けてもよい。
【0220】
この場合、さらに積層されるラミネートフィルム70は、本発明の電子写真用ラミネートフィルムであってもよいし、他のラミネートフィルムであってもよいが、コア基材60との高い密着性を確保する観点からは、本発明の電子写真用ラミネートフィルムを用いることが好ましい。
【0221】
また、本発明に用いられるコア基材は、少なくとも基材の片面に皮膜層を有するため、例えば図3(a)において片面のみの皮膜層を有する場合には、該皮膜層はラミネートフィルム10側の面に形成されていることが好ましく、この場合にはラミネートフィルム10の画像受像層が形成された面と接着されることにより、最も優れた接着性が発揮される。
【0222】
さらに、図3(b)のように、コア基材60の両面にラミネートフィルムがラミネートされる場合であっても、ラミネートフィルム70が本発明の電子写真用ラミネートフィルムであるか否か(画像受像層を有しているか否か)にかかわらず、コア基材60の両面に皮膜層が形成されラミネートフィルム50、70と接着されることが同様の理由から好ましい。
【0223】
上記電子写真用ラミネートフィルム50とコア基材60との重ね合わせは、ラミネートフィルム50とコア基材60とを手で保持して揃えることにより行ってもよいし、前記画像形成後に設けられた丁合いトレイなどにラミネートフィルム50及びコア基材60を順次排出し、自動的に揃えることにより行ってもよい。
【0224】
前記ラミネート工程における圧着方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。本発明においては、熱を加えることによりラミネートするヒートプレス法を用いることが好ましく、例えば、前記ラミネートフィルム50及びコア基材60の積層体を、熱ロール対などによるニップ部に挿通させることにより、両者をある程度熱溶融させ熱融着させる、通常のラミネート技法、並びにラミネート装置を用いて、圧着させることができる。
【0225】
なお、前述の定着工程を行わないでフィルム表面にトナー画像を形成したラミネートフィルム50(未定着ラミネートフィルム)をラミネート工程に用いる場合には、前記ラミネート温度を定着工程を経たラミネートフィルム50を用いる場合に比べ、若干高めにすることにより、トナーの発色性等を確保することができる。
【0226】
ラミネートされた前記積層体は、そのまま本発明の情報記録媒体となり得るが、ここで、電子写真用ラミネートフィルムに個別の画像が複数形成されている場合、この各画像毎に裁断し、所定サイズの複数の情報記録媒体を得る。
また、本発明の情報記録媒体は、前記各工程を自動で連続的に行う情報記録媒体作製装置により作製することができる。
【0227】
以上説明したように、本発明によれば、少なくとも基体の片面に特定の画像受像層を形成し、該画像受像層の表面に鏡像(ミラーイメージ)の画像を形成することにより、所望の電子写真用ラミネートフィルムを得ることができる。
本発明の電子写真用ラミネートフィルムは、意匠性の高い印刷物に要求される画像品質(色、帯電性、隠蔽性など)や画像形成工程の繰り返し安定性に優れ、傷や異物などによる画像欠陥の発生がなく、しかも、屋外使用においても十分な耐熱性、耐光性を確保したラミネートフィルムである。本発明によれば、上記性能を有する電子写真用ラミネートフィルムであって、オイルレストナーに対しても、オフセットしないラミネートフィルムとその製造方法、及びこれらを用いた画像形成方法を提供することができる。
【0228】
また、本発明の電子写真用ラミネートフィルムは、基体10を介して画像が形成されている面(画像受像層20が形成される面)と反対側の面に、機能性制御手段を設けることにより、帯電性の他に、耐熱性、耐光性、抗菌性、難燃性、耐湿性、撥水性、耐磨耗性及び耐傷性などの様々な機能を付加及び/または向上させることができる。
【0229】
機能が付加及び/または向上された電子写真用画像記録体の具体例としては、画像記録体(電子写真用ラミネートフィルム)の裏面に鏡像を形成し、表面には帯電性制御性、耐光性、抗菌性、難燃性、耐熱性、撥水性、耐磨耗性などを有するシリコーンハードコート層を形成したものを挙げることができ、これらはIDカードなど券面印刷や表示ラベルに適している。また、表面に帯電性制御層が形成されたグロスを抑えた電子写真用ラミネートフィルムは、ID電子写真用ラミネートフィルムとして好適に利用することができる。従って、本発明の電子写真用ラミネートフィルムには、様々な使用態様に対応可能な機能を付加することができる。
【0230】
一方、本発明に用いられるコア基材は、上記画像受像層と同様の構成の皮膜層を有し、該皮膜層が帯電制御層としても機能することから、情報記録媒体作製装置における搬送においても重送など問題を発生させることがない。さらに、ラミネート工程において、電子写真用ラミネートフィルムとコア基材とが各々の画像受像層と皮膜層とで重ね合され、接着されることにより、オイルレストナーを用いた画像形成システムを用いた場合でも十分な密着性、耐久性を有する情報記録媒体を作製することができる。
【0231】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例及び比較例における「部」は質量部を意味する。
〔各種電子写真用ラミネートフィルムの評価〕
<実施例1>
以下の製造方法により電子写真用ラミネートフィルム1を製造し、これに画像を形成したラミネートフィルム1について評価を行った。
【0232】
(電子写真用ラミネートフィルムの製造)
−機能性制御層塗工液A−1の調製−
熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂(GE東芝シリコーン社製:SHC900、固形分30質量%)10部、フィラーとしてポリジメチルシロキサン微粒子(GE東芝シリコーン社製:TP130、体積平均粒子径:3μm)0.05部、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(住友化学社製:Sumisorb200)0.3部、及び帯電制御剤として界面活性剤(竹本油脂社製:バイオニンB144V)0.3部をシクロヘキサノン/メチルエチルケトンを20/80の質量比で混合した液60部に添加して十分撹拌し、表面抵抗調整と耐光性と離型性との機能を持たせた機能性制御層塗工液A−1を調製した。
【0233】
−画像受像層塗工液B−1の調製−
まず、多価カルボン酸成分としてのテレフタル酸及びイソフタル酸10部と、多価ヒドロキシ化合物としてのエチレングリコール5部及びネオペンチルグリコール5部と、を用い、常法により前記構造式(I)においてn/mが1となる特定ポリエステル樹脂(数平均分子量:12,000、ガラス転移点:62℃)を合成した。
【0234】
合成された特定ポリエステル樹脂がメチルエチルケトン中に30質量%存在する樹脂溶液10部に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:デンカブチラール#3000−K、電気化学工業社製)3部、及びマット剤として架橋ポリメチルメタクリレート微粒子(綜研化学社製:MP−150、体積平均粒子径:5μm)0.12部を加え、さらに、電荷制御剤(日本油脂社製:エレガン264WAX)0.2部と、メチルエチルケトン25部と、シクロヘキサノン5部と、を加えて十分撹拌し、画像受像層塗工液B−1を調製した。
【0235】
−電子写真用ラミネートフィルム1の作製−
機能性制御層塗工液A−1を、厚さ100μmの基体フィルム(帝人デュポン社製:Melynex342)の一方の面にワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で2分間乾燥させ、膜厚2μmの光沢制御層を形成した。また、前記画像受像層塗工液B−1を用いて同様の方法により、光沢制御層が形成された反対の面に膜厚2μmの画像受像層を形成し、片面に光沢制御層が形成された電子写真用ラミネートフィルム1を製造した。
この電子写真用ラミネートフィルム1の画像受像層側の表面抵抗値は1.3×1010Ω/□であった。
【0236】
(電子写真用ラミネートフィルムの作製・性能評価)
上記ラミネートフィルム1(画像未形成)の表面に、富士ゼロックス(株)社製カラー複写機Docu Center Color500改造機(オイルレストナーを用いた複写機、定着時のラミネートフィルムの表面温度が、95〜100℃になるように改造したもの)でベタ画像を含むカラーの鏡像画像を印字し、該画像が形成されたラミネートフィルム1を作製した。
【0237】
このラミネートフィルム1の機内搬送における走行性、画像の定着性、画像印字後の画像濃度などを測定した。また、形成された画像の耐光性を評価し、さらに、カードとしての接着(密着)性について、ラミネートフィルムとしての性能を確認した。
【0238】
−走行性評価−
作製されたラミネートフィルム1の前記カラー複写機における走行性は、前記カラー複写機Docu Center Color500改造機の手差しトレイに、ラミネートフィルム1を30枚セットし、連続で30枚印字作業を行った時の、ジャム(フィルムつまり)、重送の発生回数をカウントする。評価基準は、発生回数が0回であれば○、1回の場合は△、2回以上の場合は×とした。
【0239】
−定着性評価−
トナー定着性の評価は、上記カラー複写機にて、ラミネートフィルム1の表面に定着された画像濃度約1.8のベタ画像部に、市販の18mm幅セロハン粘着テープ(ニチバン社製:セロハンテープ)を300g/cmの線圧で貼り付け、10mm/secの速度で剥離した時の、剥離前の画像濃度に対する剥離後の画像濃度の比(剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度、以下OD比と略す)を指標として評価した。電子写真用記録媒体としては、一般的に、OD比で0.8以上のトナー定着性が要求される。本評価では、OD比が0.9以上であるものを◎、0.8以上0.9未満であるものを○、0.8未満であるものを×とした。
【0240】
−画像濃度、画質評価−
画像濃度は、ベタ画像部をX−Rite968濃度計(X−Rite社製)で測定し、画像濃度が1.5以上であるものを○、1.5未満1.3以上であるものを△、それ以下であるものを×とした。
また、画質に関しては、高温高湿条件(28℃、80%RH:A条件)、室温条件(22℃、50%RH:B条件)、低温低湿(15℃、15%RH:C条件)で画像を出力したときの、文字の正確な印字性(印字再現性)を評価した。どの条件でも問題ない場合は○、問題があった場合は問題のあった条件に×を表示した(例A×、C×など)。
【0241】
−耐光性評価−
耐光性評価は、耐光性試験器(東洋精機社製:SUNTEST CPS+)内に、ベタ画像が印字してある面を下にしたラミネートフィルム1を設置し、63℃雰囲気下、Xeランプで760W/m2の強度にて100時間照射した。次に照射前後のベタ画像の画像濃度を測定し、画像濃度の差が0.1未満であるもの◎、0.1以上0.5以下であるものを○、0.5以上1.0以下であるものを△、1.0を超えるものを×とした。
【0242】
−ラミネート性−
ラミネート性に関しては、表面がPETGで、コアがA−PETであるA4サイズの白色シート(三菱樹脂社製:ディアクレールW2012、厚さ:500μm)を基材とし、その表裏に、前記ラミネートフィルム1を画像面で重ね合わせ、ラミネーター(フジプラ(株)社製:ラミパッカーLPD3206 City)を用い、160℃、送り速度0.3m/min(5mm/sec)の条件でラミネートした。
評価は、上記白色シートとラミネートフィルム1との界面をカッターナイフで引き剥がし、その部分を持って手でひき剥したときの状況により行った。ラミネートフィルムがちぎれてしまい剥がれないものを○、ラミネートフィルムは剥れるが剥れた面の画像が乱れ、偽造が困難だと思われるものを△、それ以外を×とした。
以上の結果を、表1にまとめて記載した。
【0243】
<実施例2>
実施例1において、基体材料として、帝人デュポン社製Melynex342の代わりに三菱樹脂のディアフィックス100(厚さ:100μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして画像を形成したラミネートフィルム2を作製した。
ラミネートフィルム2の評価は実施例1と同様に行い、これらの結果を表1にまとめて記載した。
【0244】
<実施例3>
実施例1の画像受像層塗工液B−1の作製において、ポリビニルブチラール樹脂の代わりとしてポリビニルホルマール樹脂(商品名:デンカホルマール#30、電気化学工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用ラミネートフィルム3を作製した。
この電子写真用ラミネートフィルム3の画像受像層側の表面抵抗値は7.5×109Ω/□であった。
【0245】
上記電子写真用ラミネートフィルム3を用い、実施例1と同様にして画像を形成したラミネートフィルム3を作製した。
ラミネートフィルム3の評価は実施例1と同様に行い、これらの結果を表1にまとめて記載した。
【0246】
<実施例4>
(電子写真用ラミネートフィルムの製造)
−機能性制御層塗工液A−2の調製−
ポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン200)3部、マット剤として架橋ポリメチルメタクリレート微粒子(綜研化学社製:MP−150、体積平均粒子径:5μm)0.9部、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(住友化学社製:Sumisorb200)0.3部、及び界面活性剤(日本油脂社製:エレガン264WAX)0.1部を、メチルエチルケトン40部及びトルエン5部の混合溶媒中に添加して十分撹拌し、機能性制御層塗工液A−2を調製した。
【0247】
−画像受像層塗工液B−2の調製−
ポリエステル樹脂(綜研化学社製:サーモラックFF−4、メチルエチルケトン中の固形分30質量%)10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックB:BM−S、積水化学工業社製)3部、マット剤として架橋ポリメチルメタクリレート微粒子(綜研化学社製:MP−150、体積平均粒子径:5μm)0.09部とを加え、さらに界面活性剤(日本油脂社製:エレエレガン264WAX)0.3部と、メチルエチルケトン24部と、シクロヘキサノン36部と、を加えて十分撹拌し、画像受像層塗工液B−2を調製した。
【0248】
−電子写真用ラミネートフィルムの作製−
前記機能性制御塗工液A−2を、100μmの基材フィルム(三菱樹脂製:ディアクレール)の一方の面にワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で2分間乾燥させ、膜厚2μmの紫外線防止層を形成した。また、上記画像受像層塗工液B−2を用いて同様の方法により、紫外線防止層が形成された反対の面に膜厚2μmの画像受像層を形成し、電子写真用ラミネートフィルム4を製造した。
この電子写真用ラミネートフィルム4の画像受像層側の表面抵抗値は3.2×1010Ω/□であった。
【0249】
(電子写真用ラミネートフィルムの作製・性能評価)
上記電子写真用ラミネートフィルム4を用い、実施例1と同様にして画像受像層の表面に印字しラミネートフィルム4を作製した。
このラミネートフィルム4について、実施例1と同様の評価を行った。これらの結果を表1にまとめて記載した。
【0250】
<実施例5>
実施例4において、画像受像層塗工液B−2を実施例1の画像受像層塗工液B−1に変更した以外は、実施例4と同様の方法により電子写真用ラミネートフィルム5を作製した。
【0251】
上記電子写真用ラミネートフィルム5を用い、実施例1と同様にして画像受像層の表面に印字しラミネートフィルム5を作製した。
このラミネートフィルム5について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1にまとめて記載した。
【0252】
<比較例1>
実施例1において、画像受像層塗工液B−1からポリビニルブチラール樹脂とマット剤を除いた以外は、実施例1と同様にして電子写真用ラミネートフィルム6を作製した。
この電子写真用ラミネートフィルム6の画像受像層側の表面抵抗値は4.8×1010Ω/□であった。
【0253】
上記電子写真用ラミネートフィルム6を用い、実施例1と同様にして画像受像層の表面に印字してラミネートフィルム6を作製した。
このラミネートフィルム6について、実施例1と同様の評価に行った。評価結果を表1にまとめて記載した。
【0254】
<比較例2>
実施例3において、機能性制御層塗工液(ポリビニルホルマール樹脂含有)から紫外線吸収剤を除き、画像受像層塗工液B−1からポリビニルホルマール樹脂と紫外線吸収剤とを除いた以外は、実施例3と同様にして電子写真用ラミネートフィルム7を作製した。
この電子写真用ラミネートフィルム7の画像受像層側の表面抵抗値は2.1×1010Ω/□であった。
【0255】
上記電子写真用ラミネートフィルム7を用い、実施例1と同様にして画像受像層の表面に印字してラミネートフィルム7を作製した。
このラミネートフィルム7について、実施例1と同様の評価に行った。評価結果を表1にまとめて記載した。
【0256】
【表1】
【0257】
表1に示すように、実施例1〜5の電子写真用ラミネートフィルムは、それぞれ、十分な定着性、一定以上の画像濃度、高い耐光性、及びラミネート性を有していることがわかる。一方、比較例1、2は実施例の電子写真用ラミネートフィルムと比較して、オイルレストナーにおけるワックス成分との親和性が低いため定着性が十分でなく、またワックスの浮き出しによる基材との接着性が悪く、ラミネートフィルムとしての機能が不十分であることが分かる。
【0258】
〔各種コア基材の評価〕
<実施例6>
以下の製造方法によりコア基材1を製造し、これを評価すると共に、これと画像を形成したラミネートフィルムとを、画像面と皮膜層とを重ね合わせてラミネートすることにより作製したカード(情報記録媒体)についても評価を行った。
【0259】
(コア基材の製造)
−皮膜層塗工液A−1の調製−
多価カルボン酸成分としてのテレフタル酸及びイソフタル酸100部と、多価ヒドロキシ化合物としてのエチレングリコール50部及びネオペンチルグリコール50部と、を用い、常法により前記構造式(I)においてn/mが1となる特定ポリエステル樹脂(数平均分子量:12,000、ガラス転移点:62℃)を合成した。
【0260】
合成された特定ポリエステル樹脂がメチルエチルケトン中に30質量%存在する樹脂溶液100部に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:デンカブチラール#3000−K、電気化学工業社製)30部、及びマット剤として架橋ポリメチルメタクリレート微粒子(綜研化学社製:MP−150、体積平均粒子径:5μm)1.2部を加え、さらに、電荷制御剤(日本油脂社製:エレガン264WAX)2部と、メチルエチルケトン100部と、シクロヘキサノン40部と、を加えて十分撹拌し、皮膜層塗工液A−1を調製した。
【0261】
−コア基材1の作製−
皮膜層塗工液A―1を、厚さ500μmの基材フィルム(三菱樹脂社製:ディアフレックスW)の一方の面にワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で10分間乾燥させ、膜厚20μmの皮膜層を形成した。また、前記皮膜層塗工液A―1を用いて同様の方法により、皮膜層が形成された反対の面に膜厚20μmの皮膜層を形成し、両面に皮膜層が形成されたコア基材1を製造した。
このコア基材1の表面抵抗値は2.1×1010Ω/□であった。
【0262】
(電子写真用ラミネートフィルムの作製)
実施例1で用いた画像受像層塗工液B―1を、厚さ100μmの基体フィルム(帝人デュポン社製:Melynex342)の一方の面にワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で2分間乾燥させ、膜厚2μmの画像受像層を形成した。また、前記画像受像層塗工液B―1を用いて同様の方法により、画像受像層が形成された反対の面に膜厚2μmの画像受像層を形成し、両面に画像受像層が形成された電子写真用ラミネートフィルム8を製造した。
【0263】
電子写真用ラミネートフィルム1(画像未形成)の表面に、富士ゼロックス(株)社製カラー複写機Docu Center Color500改造機(オイルレストナーを用いた複写機、定着時のラミネートフィルムの表面温度が、95〜100℃になるように改造したもの)でベタ画像を含むカラーの鏡像画像を印字し、該画像が形成されたラミネートフィルム8を作製した。
【0264】
このコア基材1の耐熱性、耐光性、剛性などを評価した。さらに、カード(情報記録媒体)としての接着(密着)性(ラミネート性)についても、以下のように確認した。
−ラミネート性−
ラミネート性に関しては、コア基材1の表裏に、前記ラミネートフィルム8を画像面で重ね合わせ、ラミネーター(フジプラ(株)社製:ラミパッカーLPD3206 City)を用い、160℃、送り速度0.3m/min(5mm/sec)の条件でラミネートした。
評価は、前記実施例1と同様にして行った。
【0265】
−耐熱性評価−
コア基材1を80〜90℃の環境に1時間放置した後の外形の変化を観察し、変化なきものを○、カールなどの僅かな変形を△、収縮など変形が大きいものを×とした。
【0266】
−剛性−
コア基材1を曲げるときの抵抗及び戻りを観察し、抵抗が大きく、元にもどるものを○、変形が若干残るものを△、変形が大きく、元にもどらないものを×とした。
以上の結果を、表2にまとめて記載した。
【0267】
<実施例7>
実施例6の皮膜層塗工液A−1の作製において、ポリビニルブチラール樹脂の代わりとしてポリビニルホルマール樹脂(商品名:デンカホルマール#30、電気化学工業社製)を用いた以外は、実施例6と同様にしてコア基材2を作製した。このコア基材2の表面抵抗値は3.3×1010Ω/□であった。
コア基材2の評価は実施例6と同様に行い、これらの結果を表2にまとめて記載した。
【0268】
<実施例8>
−帯電性制御層塗工液C−3の調製−
ポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン200)30部、マット剤として架橋ポリメチルメタクリレート微粒子(綜研化学社製:MP−150、体積平均粒子径:5μm)9部、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(住友化学社製:Sumisorb200)3部、及び界面活性剤(日本油脂社製:エレガン264WAX)1部を、メチルエチルケトン400部及びトルエン50部の混合溶媒中に添加して十分撹拌し、帯電制御層塗工液C−3を調製した。
【0269】
−コア基材の作製−
帯電制御層塗工液C―3を、厚さ500μmの基材フィルム(三菱樹脂社製:ディアフレックスW)の一方の面にワイヤーバーを用いて塗工し、130℃で10分間乾燥させ、膜厚2μmの帯電性制御層を形成した。また、実施例6で作製した皮膜層塗工液A―1を用いて同様の方法により、帯電性制御層が形成された反対の面に膜厚20μmの皮膜層を形成し、片面に帯電性制御層が形成されたコア基材3を製造した。このコア基材3の表面抵抗値(帯電制御層側)は1.3×1010Ω/□であった。
コア基材3の評価は実施例6の評価に加え、以下の耐光性の評価も併せてを行った。
【0270】
−耐光性評価−
耐光性評価は、耐光性試験器(東洋精機社製:SUNTEST CPS+)内に、紫外線防止層を上面とした電子写真用ラミネートフィルム1を設置し、63℃雰囲気下、Xeランプで760W/m2の強度にて100時間照射した。次に照射前後の着色(黄変)を測定し、濃度の差が0.5未満であるものを○、0.5以上1.0以下であるものを△、1.0を超えるものを×とした。
これらの結果を表2にまとめて記載した。
【0271】
<比較例3>
実施例6において、皮膜層塗工液A−1からポリビニルブチラール樹脂とマット剤を除いた以外は、実施例6と同様にしてコア基材4を作製した。このコア基材4の表面抵抗値は3.1×1010Ω/□であった。
コア基材4の評価は実施例6と同様に行い、これらの結果を表2にまとめて記載した。
【0272】
<比較例4>
実施例8において、厚さ500μmの基材フィルムの代わりに厚さ250μmの基材フィルム(三菱樹脂社製:ディアフレックスW)を用い、皮膜層塗工液A−3からポリビニルホルマール樹脂とマット剤とを除き、帯電性制御層塗工液C−3から紫外線吸収剤を除いた以外は、実施例8と同様にしてコア基材5作製した。このコア基材5の表面抵抗値(帯電制御層側)は3.2×1010Ω/□であった。
コア基材5の評価は実施例8と同様に行い、これらの結果を表2にまとめて記載した。
【0273】
【表2】
【0274】
表2に示すように、実施例6〜8のコア基材は、それぞれ、十分なラミネート性、耐熱性、綱性を有していることがわかる。一方、比較例3、4は実施例の電コア基材と比較して、オイルレストナーによるワックスの浮き出しによる画像記録体との接着性が悪く、コア基材としての機能が不十分であることが分かる。
【0275】
〔カード(情報記録媒体)の評価〕
実施例6〜8、比較例3、4でラミネート性評価のために作製した試料を各々カード1〜5とした。各カードについて、以下のような耐久性試験を行った。
【0276】
−耐久性試験−
作製したカードをオーブンに入れ、40℃で48時間放置し耐久テストを行った。その後、このカードを顕微鏡により観察し、コア基材とラミネートフィルムとの隙間に空気が残存していないかの観察、及びコア基材とラミネートフィルムとの界面の接着性評価を行い、試験前と試験後とで接着性に変化が無く、空気が残存していないものを○、接着性は変化していないが、空気が残存しているものを△、それ以外を×として評価した。
【0277】
その結果、カード1〜3については評価結果は○であり、十分な接着性を有し、ラミネートフィルムとコア基材との界面に空気が存在しないものであった。一方、カード4、5の評価結果は×であり、接着強度が劣化し、十分な接着力を持っていなかった。
【0278】
【発明の効果】
本発明によれば、電子写真用ラミネートフィルム及びコア基材を容易に製造することができる。また、当該電子写真用ラミネートフィルムの表面に、屋外使用においても十分な耐熱性、耐光性を有する高品質の画像を視認性よく画像を形成することができ、また、基体において画像が形成されている面とは反対の面に機能性制御手段を設けることで、様々な使用態様に対応することができる。さらに本発明によれば、上記電子写真用ラミネートフィルムと前記コア基材とを重ね合わせ接着させることにより、種々の画像情報に対応でき、密着性、安定性に優れた情報記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真用ラミネートフィルムの一例を示す概略斜視図である。
【図2】 本発明に用いられるコア基材の一例を示す概略斜視図である。
【図3】 本発明の情報記録媒体の構成の一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
10 基体
20 画像受像層
30 基材
40 皮膜層
50 電子写真用ラミネートフィルム
60 コア基材
70 ラミネートフィルム
Claims (14)
- 少なくとも基体の片面に画像受像層を有し、該画像受像層がポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有することを特徴とする電子写真用ラミネートフィルム。
- 前記画像受像層中のポリエステル樹脂の質量Aとポリビニルアセタール樹脂の質量Bとの質量比(A/B)が、90/10〜20/80の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用ラミネートフィルム。
- 画像受像層表面に情報に応じたトナー画像が形成された1以上の電子写真用ラミネートフィルムと、表面に皮膜層を有するコア基材とが、前記画像受像層と前記皮膜層とで重ね合わされ接合された情報記録媒体であって、
前記電子写真用ラミネートフィルムの少なくとも1つが、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用ラミネートフィルムであり、前記コア基材が、少なくとも基材の片面に皮膜層を有し、該皮膜層がポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有するコア基材であることを特徴とする情報記録媒体。 - 前記コア基材が、カード用基材であることを特徴とする請求項4に記載の情報記録媒体。
- 前記ポリエステル樹脂が前記構造式(I)で示される構造単位からなり、数平均分子量が12,000〜45,000の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の情報記録媒体。
- 前記皮膜層中のポリエステル樹脂の質量Cとポリビニルアセタール樹脂の質量Dとの質量比(C/D)が、90/10〜20/80の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の情報記録媒体。
- 少なくとも基体の片面に画像受像層を有し、該画像受像層がポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有する電子写真用ラミネートフィルムの製造方法であって、
前記基体表面に、画像受像層及び/または機能性制御手段を塗工液を用いて形成するにあたり、該塗工液に使用される溶媒が、前記基体表面に対して良溶媒であり、基体表面を溶解させながら前記画像受像層及び/または前記機能性制御手段を形成させることを特徴とする電子写真用ラミネートフィルムの製造方法。 - 画像受像層表面にトナー画像が形成された1以上の電子写真用ラミネートフィルムと、表面に皮膜層を有するコア基材と、を前記画像受像層と前記皮膜層とで重ね合わせ丁合いする丁合い工程、及び重ね合された電子写真用ラミネートフィルムとコア基材とを接合するラミネート工程を含む情報記録媒体の製造方法であって、
前記電子写真用ラミネートフィルムの少なくとも1つが、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用ラミネートフィルムであり、前記コア基材が、少なくとも基材の片面に皮膜層を有し、該皮膜層がポリエステル樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを含有するコア基材であることを特徴とする情報記録媒体の製造方法。 - 前記コア基材が、カード用基材であることを特徴とする請求項9に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記ポリエステル樹脂が前記構造式(I)で示される構造単位からなり、数平均分子量が12,000〜45,000の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記皮膜層中のポリエステル樹脂の質量Cとポリビニルアセタール樹脂の質量Dとの質量比(C/D)が、90/10〜20/80の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用ラミネートフィルムを用いた画像形成方法であって、電子写真用ラミネートフィルム表面に形成されるトナー画像が、画像形成面をラミネート面とするように、鏡像で形成されることを特徴とする画像形成方法。
- 電子写真用ラミネートフィルム表面に形成されたトナー画像の定着を、前記電子写真用ラミネートフィルム表面の温度が130℃以下となるようにして行うことを特徴とする請求項13に記載の画像形成方法。
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