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JP4125452B2 - 熱可逆架橋ポリマー組成物を用いたタイヤ - Google Patents

熱可逆架橋ポリマー組成物を用いたタイヤ Download PDF

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JP4125452B2
JP4125452B2 JP26274099A JP26274099A JP4125452B2 JP 4125452 B2 JP4125452 B2 JP 4125452B2 JP 26274099 A JP26274099 A JP 26274099A JP 26274099 A JP26274099 A JP 26274099A JP 4125452 B2 JP4125452 B2 JP 4125452B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可逆架橋ポリマー組成物を用いたタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、トレッドが摩耗したタイヤは、焼却処分にされることが多く、再利用はあまり行われていない。再利用の手段としては、リトレッド(トレッドの更正)があり、乗用車用タイヤの一部はトレッド溝を増し彫り加工され再利用されるが、コストがかかり品質的にも劣る。また、トラック・バス用タイヤは、摩耗したトレッドを削り取り、生ゴムを補充した後加硫して、再度トレッドを形成して再利用されているが、その工程の容易化が望まれている。
また、トレッドの摩耗以外にも、タイヤの一部に摩耗や破損が生じる場合があるが、そのような場合にも、その部分のみを交換することはできず、タイヤ全体を交換せざるを得ないのが現状である。従って、一部に摩耗や破損が生じた場合に、その部分のみを容易に交換できるタイヤが強く望まれている。
更に、タイヤの各構成部材を部材ごとに解体し、再利用することができれば、大量に発生し続けている使用済みタイヤのリサイクルの観点からも極めて好ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、一部に摩耗や破損が生じた場合に、その部分のみを容易に交換できるタイヤを提供することを課題とする。また、本発明は、使用中または使用後に、構成部材ごとに解体することが容易なタイヤを提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、コードを除いた部分の少なくとも一つのタイヤ構成部材が、そのうちの少なくとも他の部材と接する部分の一部が流動開始温度80℃以上の熱可逆架橋ポリマー組成物からなるタイヤ構成部材であるタイヤであって、
前記タイヤ構成部材が、トレッド部材、ベルト部材、サイド部材、ビードフィラー部材、インナーライナー部材、その他の部材またはこれらの組み合わせであるタイヤを提供する。
【0006】
また、本発明は、コードを除いた部分の少なくとも一つのタイヤ構成部材が、他の隣接する部材との間の少なくとも一部に、流動開始温度80℃以上の熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層を有するタイヤであって、
前記タイヤ構成部材が、トレッド部材、ベルト部材、サイド部材、ビードフィラー部材、インナーライナー部材、その他の部材またはこれらの組み合わせであるタイヤを提供する
【0007】
前記タイヤ構成部材が、トレッド部材であるのが好ましい一態様である。
【0008】
前記タイヤ構成部材が、ベルト部材であるのが好ましい一態様である。
【0009】
前記タイヤ構成部材が、サイド部材であるのが好ましい一態様である。
【0010】
前記タイヤ構成部材が、ビードフィラー部材であるのが好ましい一態様である。
【0011】
前記タイヤ構成部材が、インナーライナー部材であるのが好ましい一態様である。
【0012】
少なくとも一つの補強コードを被覆する部材の少なくとも一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるのが好ましい一態様である。
【0013】
熱可逆架橋ポリマー組成物からなる部分と接触する部分の少なくとも一部が、予め加硫されたゴム組成物からなるのが好ましい一態様である。
【0014】
前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、水酸基、第一級アミノ基および第二級アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つと、第三級アミノ基およびカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つとによる水素結合を形成しうる反応部位を有する変性ゴムであるのが好ましい一態様である。
【0015】
前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、下記式(1)〜(5)の少なくとも1つの基を有するのが好ましい一態様である。
【0016】
【化2】
Figure 0004125452
【0017】
前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、側鎖に有機塩構造を有する変性ゴムであるのが好ましい一態様である。
【0018】
前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、共役ジエン構造とジエノフィル構造からディールス−アルダー反応によって形成される架橋構造を有する変性ゴムであるのが好ましい一態様である。
【0019】
前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、酸無水物基と水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴムであるのが好ましい一態様である。
【0020】
前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、カルボキシル基とビニルエーテル基との反応を架橋反応に利用した変性ゴムであるのが好ましい一態様である。
【0021】
前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、ハロゲン化アルキル基と第三級アミノ基との反応を架橋反応に利用した変性ゴムであるのが好ましい一態様である。
【0022】
前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、イソシアネート基とフェノール性水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴムであるのが好ましい一態様である。
【0023】
前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、アズラクトン基とフェノール性水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴムであるのが好ましい一態様である。
【0024】
前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、ニトロソ基の二量化反応を架橋反応に利用した変性ゴムであるのが好ましい一態様である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明のタイヤは、少なくとも一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなる。本発明に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、後に詳述するが、温度変化により架橋構造の形成および崩壊を可逆的に、何度でも繰り返し行うことができる熱可逆架橋ポリマーを含有する組成物である。
【0026】
本発明のタイヤは、少なくとも一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなっていれば特に限定されない。以下、具体例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
本発明のタイヤの好適な一態様として、トレッド溝底が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるタイヤ、および、サイドウォール部材表面の少なくとも一部に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる被覆層を有するタイヤが挙げられる。
図1(a)はトレッド溝底が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるタイヤのトレッド溝部分の一例を表す模式図、(b)はその拡大図である。トレッド溝底が熱可逆架橋ポリマー組成物21からなっており、タイヤの他の部分は特に限定されず、通常のゴム組成物とすることができる。
使用によりタイヤ表面が摩耗してトレッド溝が浅くなったら、加熱により熱可逆架橋ポリマー組成物を溶解して除去し、溝の深さを深くすることができる。このようにすると、従来の増し彫り加工よりも精度よくトレッドを成形でき、生産性もよい。
【0027】
トレッド溝底の深さは、特に限定されず、熱可逆架橋ポリマー組成物以外のゴム組成物で形成されるトレッド溝底を従来より深くして、ここに熱可逆架橋ポリマー組成物で埋めて従来通りの深さとして、例えば、6.0〜12.0mmとすることができる。
一方、スタッドレスタイヤ等の強度を要求されるタイヤとする場合には、熱可逆架橋ポリマー組成物以外のゴム組成物を用いて従来と同様にトレッドを設計し、この溝底を熱可逆架橋ポリマー組成物で埋めて、トレッド溝底の深さを浅めに、例えば、5.0〜8.0mmとすることができる。
トレッド溝底に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物21の厚みは、特に限定されないが、例えば、1.0〜5.0mmとすることができる。
溝下ゴム厚さは、特に限定されず、例えば、1.5〜5.0mmとすることができる。
トレッド溝底に熱可逆架橋ポリマー組成物を設ける方法は、特に限定されず、例えば、加熱溶融した熱可逆架橋ポリマー組成物を押出成形してもよく、熱可逆架橋ポリマー組成物を成形した後に貼り合わせてもよい。
【0028】
図1(c)は、サイドウォール部材表面の少なくとも一部に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる被覆層を有するタイヤの一例を表す模式図である。
サイドウォール1は、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる被覆層22を表面に有する。サイドウォールはタイヤ表面に存在するため、タイヤの使用により表面が傷ついたり、ブランドを表示する文字が不鮮明になったりする。このような場合、加熱により、被覆層22の傷がついた部分等を溶解し、部分的に補修したり、被覆層22全体を除去した後に新しい被覆層を貼り合わせ、サイドウォールを再形成したりすることができる。
【0029】
被覆層22の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5〜2.0mmとすることができる。
被覆層22を設ける方法は、特に限定されず、例えば、熱可逆架橋ポリマー組成物を成形した後、サイドウォール1の表面側に貼り合わせることにより設けることができる。
【0030】
また、本発明のタイヤの好適な一態様として、(1)少なくとも一つのタイヤ構成部材が、そのうちの少なくとも他の部材と接する部分の一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるタイヤ構成部材であるタイヤ、および、(2)少なくとも一つのタイヤ構成部材が、他の隣接する部材との間の少なくとも一部に、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層を有するタイヤが挙げられる。(1)のタイヤは、タイヤ構成部材自体を熱可逆架橋ポリマー組成物で構成する態様であり、(2)のタイヤは、タイヤ構成部材間のいわば接着剤として熱可逆架橋ポリマー組成物を用いる態様である。
(1)のタイヤにおいて、少なくとも一つのタイヤ構成部材は、他の部材と接する部分の一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるものであってもよく、他の部材と接する部分の全部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるものであってもよく、部材全体が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるものであってもよい。
(2)のタイヤにおいて、少なくとも一つのタイヤ構成部材は、他の隣接する部材との間の一部に、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層を有するものであってもよく、他の隣接する部材との間の全部に、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層を有するものであってもよい。
本発明のタイヤは、(1)および(2)の両方に該当するタイヤであってもよい。
【0031】
(1)および(2)のタイヤに共通の効果としては、加熱すると、熱可逆架橋ポリマー組成物が溶解するので、少なくとも一つのタイヤ構成部材と他の部材とのはく離が容易になり、構成部材ごとの分解、分別回収、再利用が容易になることが挙げられる。
(1)のタイヤに独自の効果としては、各構成部材の形状が滑らかになる点が挙げられる。タイヤ構成部材を熱可逆架橋ポリマー組成物で構成する方法は、特に限定されず、射出成形する方法等が挙げられる。
(2)のタイヤに独自の効果としては、熱可逆架橋ポリマー組成物の層を設ける工程を加えれば、従来のタイヤの製造工程をそのまま用いて製造できるという点が挙げられる。(2)のタイヤにおいては、熱可逆架橋ポリマー組成物の層は0.1〜数mm程度と薄くすることができるので、従来の加硫工程においても熱可逆架橋ポリマー組成物が溶融して流れ出てしまうことがないためである。熱可逆架橋ポリマー組成物の層を設ける方法は、特に限定されず、射出成形する方法、フィルム状に成形した後、貼り合わせたり、熱溶融により再度成形したりする方法、溶融した熱可逆架橋ポリマー組成物を塗布する方法等が挙げられる。
【0032】
本発明の好適な一態様として、下記▲1▼〜▲7▼のタイヤが挙げられる。
▲1▼トレッド部材が、そのうちの少なくとも他の部材と接する部分の一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるトレッド部材であるタイヤ、および、トレッド部材が、他の隣接する部材との間の少なくとも一部に、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層を有するタイヤ
図2は、▲1▼のタイヤの一例を表す模式図である。
図2(a)に示すトレッド2は、キャップトレッド3と、アンダートレッド4とからなり、アンダートレッド4は、サイドウォール1との間、ベルト5との間およびカーカス6との間に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層23を有する。使用によりトレッド部材が摩耗した場合等に、加熱により接着層23を溶解してトレッド2をはく離し、新たなトレッド部を再貼り合わせすることにより、タイヤの他の部材をそのまま再利用することができる。トレッド2のはく離の際に、接着層23の一部がトレッド2に付着して除去される場合には、再貼り合わせの際に損失分を補充することもできる。
【0033】
図2(b)に示すトレッド2は、キャップトレッド3と、アンダートレッド4とからなり、アンダートレッド4は、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる。加熱によりアンダートレッド4を溶解することにより、図2(a)に示すトレッド2と同様の効果を得ることができる。
【0034】
▲1▼の態様に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度が100℃以上であるのが好ましく、150℃以上であるのがより好ましい。上記範囲であると、走行中のタイヤの発熱により熱可逆架橋ポリマー組成物の軟化が起こらないので、タイヤの耐久性が優れたものとなる。
また、▲1▼の態様に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度が190℃以下であるのが好ましい。タイヤ部材の中でもトレッドの消耗が最も激しいため、トレッドのみを交換すれば他の部材はそのまま再利用できる場合が多い。従って、流動開始温度が他の部材よりも低い方がトレッドのみを交換しやすい。
【0035】
接着層23の厚みは、特に限定されないが、0.1〜4.0mmとすることができる。上記範囲で、トレッド部材とベルト部材等との接着に十分だからである。好ましくは0.5〜2.0mmとする。
接着層23を設ける方法は、特に限定されず、例えば、熱可逆架橋ポリマー組成物をアンダートレッド4のベルト側に貼り合わせることにより設けることができる。
【0036】
上述の例は、トレッド2がキャップトレッド3とアンダートレッド4とからなる場合であるが、トレッドがキャップトレッドとアンダートレッドとに分かれておらず、一部材からなっていてもよい。
【0037】
▲2▼ベルト部材が、そのうちの少なくとも他の部材と接する部分の一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるベルト部材であるタイヤ、および、ベルト部材が、他の隣接する部材との間の少なくとも一部に、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層を有するタイヤ
図3(a)、(b)および(c)は、▲2▼のタイヤの一例を表す模式図である。図3(a)に示すベルト5は、2層からなり、下層(1B)とカーカス6との間および上層(2B)とアンダートレッド4との間に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層24を有する。加熱により接着層24を溶解してベルト5の金属コードを含む部分を取り出し、金属コードを再利用したり、タイヤの他の部材をそのまま再利用したりすることができる。
【0038】
図3(b)に示すベルト5は、2層からなり、1Bとカーカス6との間に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層25を有する。加熱により接着層25を溶解することにより、トレッド部材とベルト部材の一括解体・更正が可能である。
【0039】
図3(c)に示すベルト5は、2層からなり、2Bとアンダートレッド4との間および2Bと1Bとの間に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層26を有する。加熱により接着層26を溶解することにより、2Bのみの補修・更正が可能となる。これにより外傷を受けやすい2Bのみを交換すれば、他の部品をそのまま再利用したりすることができる。
【0040】
▲2▼の態様に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度が100℃以上であるのが好ましく、150℃以上であるのがより好ましい。上記範囲であると、走行中のタイヤの発熱により熱可逆架橋ポリマー組成物の軟化が起こらないので、タイヤの耐久性が優れたものとなる。
また、▲2▼の態様に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度が190℃以下であるのが好ましい。解体が容易になるからである。
【0041】
接着層24、25および26の厚みは、特に限定されないが、それぞれ0.1〜2.0mmとすることができる。上記範囲で、ベルト部材とトレッド部材等との接着に十分であり、軽量性も十分だからである。好ましくは0.5〜1.0mmとする。
接着層24、25および26を設ける方法は、特に限定されず、例えば、熱可逆架橋ポリマー組成物をベルト5の表面に巻き付けたり、カーカス側等に貼り合わせたりすることにより設けることができる。
【0042】
図3(a)、(b)および(c)は、ベルト5が1Bと2Bの2層からなる場合であるが、本発明においては、1層からなっていても、3層以上からなっていてもよい。あるいは、ベルト補強プライを有する構造、更には、ベルト補強プライもベルト同様に扱かっても良い。
【0043】
▲3▼サイドウォール部材が、そのうちの少なくとも他の部材と接する部分の一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるサイドウォール部材であるタイヤ、および、サイドウォール部材が、他の隣接する部材との間の少なくとも一部に、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層を有するタイヤ
図4(a)および(b)は、▲3▼のタイヤの一例を表す模式図である。
図4(a)に示すサイドウォール1は、カーカス6との間およびカーカス6の巻上げ部6´との間に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層27を有する。加熱により接着層27を溶解してサイドウォール1をはく離し、新たなサイドウォール部を再貼り合わせすることにより、タイヤの他の部材をそのまま再利用することができる。
【0044】
図4(b)に示すサイドウォール1は、アンダートレッド4およびカーカス6と接する部分1´が熱可逆架橋ポリマー組成物からなる。加熱により熱可逆架橋ポリマー組成物からなる部分1´を溶解すると、トレッド部材の端部にはく離部分ができるので、その部分からはく離させることによって、トレッド部材全体の解体作業を効率よく行うことができる。
【0045】
▲3▼の態様に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度が80℃以上であるのが好ましく、130℃以上であるのがより好ましい。上記範囲であると、走行中のタイヤの発熱により熱可逆架橋ポリマー組成物の軟化が起こらないので、タイヤの耐久性が優れたものとなる。
また、▲3▼の態様に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度が190℃以下であるのが好ましい。解体が容易になるからである。
【0046】
接着層27の厚みは、特に限定されないが、0.1〜2.0mmとすることができる。上記範囲で、ベルト部材等との接着に十分であり、軽量性も十分だからである。好ましくは0.5〜1.0mmとする。
接着層27を設ける方法は、特に限定されず、例えば、熱可逆架橋ポリマー組成物をサイドウォール1のカーカス側に貼り合わせることにより設けることができる。
【0047】
▲4▼ビードフィラー部材が、そのうちの少なくとも他の部材と接する部分の一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるビードフィラー部材であるタイヤ、および、ビードフィラー部材が、他の隣接する部材との間の少なくとも一部に、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層を有するタイヤ
図5(a)、(b)および(c)は、▲4▼のタイヤの一例を表す模式図である。図5(a)に示すビードフィラー7は、サイドウォール1との間、カーカス6との間およびビードコア8との間に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層28を有する。加熱により接着層28を溶解し、ビードフィラー部からはく離することが容易となり、部品の分別回収が可能である。
【0048】
図5(b)に示すビードフィラー7は、全体が熱可逆架橋ポリマー組成物からなる。この場合、上記効果の他、ビードフィラー形状が滑らかとなり、耐久性が向上するという利点がある。
【0049】
図5(c)に示すビードフィラー7およびビードコア8は、全体が熱可逆架橋ポリマー組成物からなり、これらはサイドウォール1およびカーカス6に接する。この場合、上記効果の他、加熱により、ビードフィラー7およびビードコア8の全体が溶解するので、カーカス6の巻き上げ部の解体が容易になるという利点がある。
【0050】
▲4▼の態様に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度が80℃以上であるのが好ましく、130℃以上であるのがより好ましい。上記範囲であると、走行中のタイヤの発熱により熱可逆架橋ポリマー組成物の軟化が起こらないので、タイヤの耐久性が優れたものとなる。
また、▲4▼の態様に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度が190℃以下であるのが好ましい。解体が容易になるからである。
【0051】
接着層28の厚みは、特に限定されないが、0.1〜2.0mmとすることができる。上記範囲で、ベルト部材等との接着に十分であり、軽量性も十分だからである。好ましくは0.5〜1.0mmとする。
接着層28を設ける方法は、特に限定されず、例えば、熱可逆架橋ポリマー組成物をビードフィラー7の表面に貼り合わせることにより設けることができる。
【0052】
▲5▼インナーライナー部材が、そのうちの少なくとも他の部材と接する部分の一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるインナーライナー部材であるタイヤ、および、インナーライナー部材が、他の隣接する部材との間の少なくとも一部に、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層を有するタイヤ
図6(a)および(b)は、▲5▼のタイヤの一例を表す模式図である。
図6(a)に示すインナーライナー9は、カーカス6との間に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層29を有する。加熱により接着層29を溶解して、インナーライナー部を容易にはく離することができ、部品の分別回収が可能である。
【0053】
図6(b)に示すインナーライナー9は、全体が熱可逆架橋ポリマー組成物からなる。この場合には、上記効果の他、インナーライナーに生じたパンク穴を加熱溶解することにより修理することが可能となり、また、インナーライナーの熱可逆架橋ポリマー組成物と接着し得る組成からなるパッチ片を加熱接着させることが可能となるので、容易にかつ完全に補修することができる。
【0054】
▲5▼の態様に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度が80℃以上であるのが好ましく、130℃以上であるのがより好ましい。上記範囲であると、走行中のタイヤの発熱により熱可逆架橋ポリマー組成物の軟化が起こらないので、タイヤの耐久性が優れたものとなる。
また、▲5▼の態様に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度が190℃以下であるのが好ましい。解体が容易になるからである。
【0055】
接着層29の厚みは、特に限定されないが、0.1〜2.0mmとすることができる。上記範囲で、ベルト部材等との接着に十分であり、軽量性も十分だからである。好ましくは0.5〜1.0mmとする。
接着層29を設ける方法は、特に限定されず、例えば、熱可逆架橋ポリマー組成物をインナーライナー9のカーカス側の面に貼り合わせることにより設けることができる。
【0056】
▲6▼その他の部材が、そのうちの少なくとも他の部材と接する部分の一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなる部材であるタイヤ、および、その他の部材が、他の隣接する部材との間の少なくとも一部に、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層を有するタイヤ
図7は、▲6▼のタイヤの一例を表す模式図である。
図7に示すベルトエッジクッション10は、全体が熱可逆架橋ポリマー組成物からなり、サイドウォール1、アンダートレッド4、ベルト5およびカーカス6に接する。加熱により、ベルトエッジクッション部から、トレッド2を容易にはく離することができ、部品の分別回収が可能である。
図7ではベルトエッジクッションを例に挙げたが、▲6▼の態様においては、▲1▼〜▲5▼に挙げた部材以外の全ての部材が対象となる。
【0057】
▲7▼上記▲1▼〜▲6▼の組み合わせからなるタイヤ
図8は、▲7▼のタイヤの一例を表す模式図である。
図8は、アンダートレッド4が、サイドウォール1との間およびベルト5との間に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層30を有し、サイドウォール1およびベルト5が、カーカス6との間およびカーカス6の巻上部6´との間に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層31を有するタイヤである。
ここで、接着層30に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、接着層31に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物よりも流動開始温度が低いものを用いる。トレッド部のみを交換する場合は、接着層30の熱可逆架橋ポリマー組成物の流動開始温度より高く、かつ、接着層31の熱可逆架橋ポリマー組成物の流動開始温度より低い温度に加熱することにより、接着層30のみを溶解し、トレッド部の解体、更正を行う。トレッド部だけでなく、サイドウォール部およびベルト部をも解体、更正する場合は、接着層31の熱可逆架橋ポリマー組成物の流動開始温度より高い温度に加熱することにより、接着層30および31を溶解して解体し、新しいトレッド、サイドウォールおよびベルトを貼り合わせて更正する。
従って、通常は、摩耗しやすいトレッドのみを交換し、何回かのトレッドの交換を経て使用を続けていくうちにサイドウォールやベルトが傷んできたら、サイドウォールおよびベルトをも含めて更正することができる。また、ケーシング本体の寿命後には、接着層30及び31を同時溶解して各部品に解体し、回収、再利用することができる。
【0058】
接着層30および31に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度がそれぞれ100〜170℃、170〜190℃であるのが好ましく、それぞれ150〜160℃、170〜190℃であるのがより好ましく、これらの流動開始温度の差が10℃以上であるのが好ましい。上記範囲であると、タイヤの耐久性が優れたものとなり、かつ、接着層30のみの溶解が容易となり、解体作業性もよくなるからである。
【0059】
▲7▼の態様においては、上記▲1▼〜▲6▼の組み合わせは、特に限定されず、再利用の可能性や補修・更正の仕方に応じて、あらゆる組み合わせとすることができる。また、複数の箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、それぞれ同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。特に、図8に示した例のように、異なる流動開始温度の熱可逆架橋ポリマー組成物を組み合わせることによって、部材を選択的にはく離、解体することもできるので、好ましい一態様である。
【0060】
本発明においては、上述した全ての態様を適宜組み合わせたタイヤとすることができる。
例えば、トレッド溝底が熱可逆架橋ポリマー組成物からなっており、サイドウォール部材表面の少なくとも一部に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる被覆層を有し、アンダートレッドが、サイドウォールとの間、ベルトとの間およびカーカスとの間に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層を有するタイヤとすることができる。
【0061】
また、本発明の好適な一態様として、少なくとも一つの補強コードを被覆する部材の少なくとも一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるタイヤが挙げられる。
図9(a)は、ベルトコードを被覆するベルト部材およびカーカスコードを被覆するカーカス部材の各一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなるタイヤの一例の模式図であり、(b)はそのベルト部材の一態様の拡大図であり、(c)は、そのベルト部材の他の態様の拡大図である。
図9(b)に示すベルト部材5は、ベルトコード51および熱可逆架橋ポリマー組成物被覆層52からなる。加熱により被覆層52が溶解するので、ベルトコード51の回収、再利用・再資源化が可能である。
【0062】
図9(c)に示すベルト部材5は、ベルトコード51、ゴム組成物被覆層53および熱可逆架橋ポリマー組成物被覆層52からなる。ベルトコード51は、1本ずつゴム組成物被覆層53に被覆され、ゴム組成物被覆層53は熱可逆架橋ポリマー組成物被覆層52被覆されている。加熱により被覆層52が溶解し、ベルトコード51およびゴム組成物被覆層53の回収、再利用が可能である他、ベルトコード51に金属コードを用いる場合には、従来の金属−ゴム接着技術を用いることができるという利点がある。
【0063】
被覆層52に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度が100℃以上であるのが好ましく、150℃以上であるのがより好ましい。上記範囲であると、走行中のタイヤの発熱により熱可逆架橋ポリマー組成物の軟化が起こらないので、タイヤの耐久性が優れたものとなる。
また、被覆層52に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、流動開始温度が190℃以下であるのが好ましい。解体が容易になるからである。
被覆層53に用いられるゴム組成物は、特に限定されず、タイヤに一般的に用いられるゴム組成物を用いることができるが、被覆層52の熱可逆架橋ポリマー組成物の流動開始温度において、劣化しないものが好ましい。
【0064】
熱可逆架橋ポリマー組成物を用いることができる補強コードを被覆する部材は、特に限定されない。ベルトコード、ベルトカバーコード、カーカスコード等の補強コードを被覆する全ての部材に熱可逆架橋ポリマー組成物を用いることができ、複数の部材に同一のまたは異なる種類の熱可逆架橋ポリマー組成物を用いることもできる。
【0065】
補強コードの材質は、特に限定されず、例えば、金属コードや有機繊維コードを用いることができる。金属コードは、例えば、スチールコードが挙げられる。有機繊維コードを用いる場合は、ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリビニルアルコール繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維からなる群より選ばれる少なくとも一つを撚り合わせた撚りコードを用いるのが好ましい。ポリエステル繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン2,6−ナフタレート繊維が好ましく、または、超高弾性率のエクストラハイモジュラスポリエステル(EHMポリエステル)が好ましい。
【0066】
また、本発明の好適な一態様として、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる部分と接触する部分の少なくとも一部が、予め加硫されたゴム組成物からなるタイヤが挙げられる。この場合、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる部分と接触する部分の全部が、予め加硫されたゴム組成物からなっていてもよい。
図10(a)は、アンダートレッド4が、サイドウォール1との間、ベルト5との間およびカーカス6との間に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層32を有し、トレッド2その他の構成部材の全てが、予め加硫されたゴム組成物からなるタイヤである。このタイヤは、予め加硫されたトレッド部材に熱可逆架橋ポリマー組成物を貼り合わせ、更に別途加硫されたケーシング部と貼り合わせた後、加熱して一体化することにより得ることができる。熱可逆架橋ポリマー組成物は、後述するように、加熱により、予め加硫されたゴム組成物とも強固に接着するので、予め加硫されたゴム組成物をタイヤの構成部材として用いることができるのである。
【0067】
従来、タイヤを製造する場合、成形ドラム上に未加硫ゴム組成物からなるカーカス部材等のタイヤ構成部材を貼り付け、これを内側からタイヤ径方向に製品寸法近くまで膨張させてから未加硫ゴム組成物からなるベルト部材やトレッド部材を貼り合わせてグリーンタイヤを成形し、このグリーンタイヤを金型に挿入して加硫成形し、同時にトレッド部材にトレッドパターンを型付けさせている。即ち、全てのタイヤ構成部材のゴム組成物を未加硫の状態で用いる。本発明においても、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる部分と接触する部分が、全て未加硫ゴム組成物からなる場合には、前記した従来の方法で製造することができる。
これに対し、本態様においては、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる部分と接触する部分の少なくとも一部に予め加硫されたゴム組成物を用いることができる。
【0068】
そのため、本態様のタイヤには、以下の利点がある。
第一に、加硫されたゴム組成物は形がくずれないので、加硫されたゴム組成物と熱可逆架橋ポリマー組成物との貼り合わせを行う場所が、成形ドラム上に限定されず、例えば、金属製等の剛性支持台の上で貼り合わせを行うことができる。これにより、貼り合わせ作業の自由度が増し、作業が容易になる。
第二に、全てのタイヤ構成部材の加硫を一時に行うと、各構成部材ごとに望まれる加硫条件とすることができないが、本態様においては、予め最適な条件で加硫された部材を用いることができる。
第三に、一体加硫工程を省略することができるので、生産性が向上する。
第四に、各構成部材は、加硫後、保管しておけば、多品種のタイヤに共通に用いることができる。
第五に、本発明の他の態様と同様、加熱により容易にはく離し、リサイクル等することができる。
【0069】
図10(b)は、アンダートレッド4が、サイドウォール1との間、ベルト5との間およびカーカス6との間に熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層32を有し、トレッド2が未加硫のゴム組成物からなり、トレッド2以外の構成部材の全てが、予め加硫されたゴム組成物からなるタイヤである。このタイヤは、未加硫のトレッド部材に熱可逆架橋ポリマー組成物を貼り合わせ、更に別途加硫されたケーシング部と貼り合わせた後、加熱してトレッド部材の加硫とともに全体を一体化することにより得ることができる。
【0070】
そのため、本態様のタイヤには、以下の利点がある。
第一に、加硫はトレッド部材のみ行えばよいので、トレッド部用加硫金型を用いて加硫すれば足りる。従って、タイヤ全体の加硫のための金型を用いる従来のタイヤより低コストで加硫できる。
第二に、加硫すべきゴムの厚さが少ないので、加硫時間を短縮することができ、加硫生産性が向上する。
第三に、本発明の他の態様と同様、加熱により容易にはく離し、リサイクル等することができる。
【0071】
次に、本発明のタイヤに用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物について、詳細に説明する。
本発明に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、熱可逆架橋ポリマーを含有する。熱可逆架橋ポリマーは、常温では架橋しているが、加熱により脱架橋し流動性を持ち、この転換を可逆的に何度でも行うことができるポリマーをいう。
本発明に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物は、例えば、水素結合を形成しうる反応部位を有する変性ゴム(1)、特に、水酸基、第一級アミノ基および第二級アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つと、第三級アミノ基およびカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つとによる水素結合を形成しうる反応部位を有する変性ゴム(1);有機塩構造を有する変性ゴム(2)、特に、側鎖に有機塩構造を有する変性ゴム(2);共役ジエン構造とジエノフィル構造からディールス−アルダー反応によって形成される架橋構造を有する変性ゴム(3)、特に、フラン骨格を有する共役ジエン構造とジエノフィル構造からディールス−アルダー反応によって形成される架橋構造を有する変性ゴム(3);酸無水物基と水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(4);カルボキシル基とビニルエーテル基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(5);ハロゲン化アルキル基と第三級アミノ基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(6);イソシアネート基とフェノール性水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(7);アズラクトン基とフェノール性水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(8);ニトロソ基の二量化反応を架橋反応に利用した変性ゴム(9)を少なくとも1つ含有する。以下、変性ゴム(1)〜(9)を含有する組成物について説明する。
【0072】
まず、変性ゴム(1)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物について説明する。
水素結合は、ドナーとアクセプターとから形成されるものである。従って、変性ゴム(1)は、次のいずれかの態様をとる。
▲1▼ドナーとアクセプターとの両方を有するゴム。
▲2▼ドナーとアクセプターとのいずれか一方を有するゴム。この場合には、他方を有する化合物を熱可逆架橋ポリマー組成物が含有することを要する。
【0073】
▲1▼のゴムにおいては、1側鎖中にドナーとアクセプターの両方を有していてもよく、1側鎖中にドナーのみとアクセプターのみを有するものであってもよい。中でも、▲1▼のゴムは、1側鎖中にドナーとアクセプターの両方を有しているのが好ましい。
【0074】
▲2▼のゴムにおいては、ゴムが有する反応部位は、ドナーであってもアクセプターであってもよい。ゴムがドナーを有する場合には、熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する化合物がアクセプターを有し、ゴムがアクセプターを有する場合には、熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する化合物がドナーを有する。
【0075】
ここでドナーとは、水素結合を形成している水素と、部分的にイオン性を持つ共有結合を形成する陽子供与体(プロトンドナー)となる陰性原子または陰性原子を含む置換基をいう。陰性原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子が挙げられる。
これらの陰性原子を含む置換基、即ち、ドナーとしては、例えば、−OH、−NH−が挙げられる。具体的には、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸(脂肪酸を含む。)のカルボキシル基中の水酸基;アミノ基(アミド基を含む。)が好適に例示される。
【0076】
また、アクセプターとは、水素結合を水素とともに形成する陽子受容体(プロトンアクセプター)となる陰性原子または陰性原子を含む置換基をいう。アクセプター中の陰性原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。
これらの陰性原子を含む置換基、即ち、アクセプターとしては、例えば、−CO−、−N=を含む−NR1 2 (式中、R1 およびR2 は、それぞれ水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。R1 およびR2 は、同一であっても、異なっていてもよい。)、−COOH、−COOR3 (式中、R3 は、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表す。)、−C≡N、−NCO、−SCN、=NOH、−NHCONH2 、−CONH−、=SO、−CSSH、−SCNH2 、−COSH、−CSOH、−OP(=O)(OR4 2 (式中、R4 は、水素原子、フェニル基または炭素数1〜20のアルキル基を表す。2つのR4 は、同一であっても、異なっていてもよい。)、複素環アミン含有基が挙げられる。
【0077】
ドナーとアクセプターの組み合わせは、特に限定されないが、ドナーが、水酸基、第一級アミノ基および第二級アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、アクセプターが、第三級アミノ基およびカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つであるのが好ましい。ここで、「水酸基」はカルボン酸中の水酸基を含み、「第一級アミノ基および第二級アミノ基」はアミド基を含む。これらのドナーとアクセプターの組み合わせであると、耐熱性に優れ、コールドフロー性が低く、水素結合形成時に比べ高温での水素結合崩壊時の粘度の低下が大きく、本発明のタイヤのリサイクルがより容易となる。
【0078】
中でも、ドナーが、複素環アミン含有基の有するアミノ基であり、アクセプターがカルボニル基含有基の有するカルボニル基であるのが好ましい。複素環アミン含有基の有するアミノ基が好ましいのは、環構造を形成していないアミノ基に比べて容易に水素結合するので、変性ゴム(1)の耐熱フロー性が優れたものとなるためである。
ここで、(i)カルボニル基含有基は、例えば、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミド基が挙げられる。
このような基を導入しうる化合物としては、例えば、カルボン酸およびその誘導体が、特に限定されることなく挙げられる。
カルボン酸化合物としては、例えば、飽和または不飽和の炭化水素基を有する有機酸が挙げられ、炭化水素基は、脂肪族、脂環族、芳香族カルボン酸等いずれであってもよい。また、カルボン酸誘導体としては、例えば、カルボン酸無水物、エステル、ケトン、アミノ酸、アミド類、イミド類、チオカルボン酸(メルカプト基含有カルボン酸)が挙げられる。
【0079】
(i)カルボニル基含有基を導入しうる化合物としては、具体的には、マロン酸、マレイン酸、スクシン酸、グルタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、p−フェニレンジ酢酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸、メルカプト酢酸等のカルボン酸および置換基含有カルボン酸;
無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物;
マレイン酸エステル、マロン酸エステル、スクシン酸エステル、グルタル酸エステル、エチルアセテート等の脂肪族エステル;フタル酸エステル、イソフタル酸エステル、テレフタル酸エステル、エチル−m−アミノベンゾエート、メチル−p−ヒドロキシベンゾエート等の芳香族エステル;
キノン、アントラキノン、ナフトキノン等のケトン;
グリシン、トリシン、ビシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、スレオニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチオニン、プロリン、N−(p−アミノベンゾイル)−β−アラニン等のアミノ酸;
マレインアミド、マレインアミド酸(マレインモノアミド)、コハク酸モノアミド、5−ヒドロキシバレラミド、N−アセチルエタノールアミン、N,N´−ヘキサメチレンビスアセトアミド、マロンアミド、シクロセリン、4−アセトアミドフェノール、p−アセトアミド安息香酸等のアミド類;
マレインイミド、スクシンイミド等のイミド類が挙げられる。
【0080】
(ii)複素環アミン含有基は、含窒素複素環または該複素環を含む化合物から導入される。含窒素複素環は、複素環内に水素結合性のアミノ基を含むかまたは発生する構造であればよい。このような含窒素複素環としては、例えば、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミンが挙げられる。含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。
【0081】
また、含窒素複素環を含む化合物は、上記のような複素環骨格を有していればよく、特に限定されないが、例えば、ポリマーの主鎖炭素と化学(共有)結合しうる基を有していてもよい。このような基としては、例えば、アミノ基、水酸基、メチレン基、エチレン基、カルボン酸が挙げられる。
このような含窒素複素環を含む化合物としては、具体的に、ジピリジル、エチレンジピリジル、トリメチレンジピリジル、ジピリジルアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、2−ベンズイミダゾールウレア、ピロール−2−カルボン酸、3−メチル−ピラゾール、ピリジン、4−メチルピリジン、4(or2)−ヒドロキシメチルピリジン、2(or4)−(β−ヒドロキシエチル)−ピリジン、2(or4)−(2−アミノエチル)−ピリジン、2(or4)−アミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2−アミノ−6−ヒドロキシピリジン、6−アザチミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、シトラジン酸、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノメチル−1,2,4−トリアゾール、3−メチルアミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メチロール−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、2−ヒドロキシトリアジン、2−アミノトリアジン、2−ヒドロキシ−5−メチルトリアジン、2−アミノ−5−メチルトリアジン、2−ヒドロキシピリミジン、2−アミノピリミジン、2−アミノピラジン、2−ヒドロキシピラジン、6−アミノプリン、6−ヒドロキシプリンが例示される。
【0082】
変性ゴム(1)は、上述のドナーおよび/またはアクセプターとなる置換基を有するよう変性されまたは合成されたゴムを用いることができる。変性を受けるゴムとしては、特に限定はなく一般的なゴムを用いることができる。このようなゴムとして、通常のゴム(液状ゴムを含む。)、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマーが含まれる。
具体的には、通常のゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン系(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーの水素添加物(SEBS))、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニル系の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
熱硬化性エラストマーとしては、例えば、ウレタン系、シリコーン系の熱硬化性エラストマーが挙げられる。
【0083】
変性ゴム(1)は、▲1▼の態様では上記のような(i) カルボニル基含有基と、(ii)複素環アミン含有基とを、側鎖に、かつ1分子中に有するゴムからなるのが好ましい。上記基(i)および(ii)は、主鎖となるゴムの側鎖にペンダントしてあって、前述したように化学的に安定な結合をしている。この際、(i)および(ii)は、互いに独立の側鎖としてゴム主鎖に結合していてもよく、また互いに異なる基を介して主鎖に結合することにより、(i)と(ii)とで1つの側鎖を形成していてもよい。
【0084】
(i)および(ii)が、ゴム主鎖に独立に結合した変性ゴム(1)の一例として、イソプレンゴムの側鎖に、(i)カルボキシル基と(ii)1,2,4−トリアゾールとが結合した変性ゴム(α)の構造を模式的に以下に示す。
【0085】
【化3】
Figure 0004125452
【0086】
また、互いに異なる基を介して主鎖に結合することにより、(i)と(ii)とで1つの側鎖を形成している変性ゴム(1)の一例として、ゴム主鎖がイソプレンゴムであり、(i)カルボニル基含有基が無水マレイン酸から導かれる基であり、(ii)複素環アミン含有基が3−アミノ−1,2,4−トリアゾールから導かれる基である変性ゴム(β)の構造を模式的に以下に示す。この変性ゴム(β)は、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールと、無水マレイン酸との反応により、無水マレイン酸が開環して形成されたアミド結合基と、カルボキシル基とを一側鎖に分岐状に有している。
【0087】
【化4】
Figure 0004125452
【0088】
本発明においては、上記のうちでも、(i)カルボニル基含有基としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸等の環状酸無水物から導かれる基が好ましく、無水マレイン酸から導かれる基がより好ましい。
【0089】
また、(ii)複素環アミン含有基としては、骨格中に1以上の窒素を有する複素環が好ましく、2以上の窒素を有する複素環がより好ましく、トリアゾール環から導かれる基が特に好ましい。具体的には、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノメチル−1,2,4−トリアゾール、3−メチルアミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メチロール−1,2,4−トリアゾール等から導かれる基が好適に例示される。
【0090】
また、上記に変性ゴム(β)として示されるように、主鎖に(i)カルボニル基含有基を介して(ii)複素環アミン含有基が結合して一側鎖を形成した構造のものが好ましい。
(i)カルボニル基含有基と(ii)複素環アミン含有基とが一側鎖を形成する構造では、複素環アミン含有基(ii)と前記(i)のカルボニル基とで、アミド(1)、(4)、エステル(2)、(5)およびイミド(3)の少なくとも1種の結合とが形成され、または、この少なくとも1種の結合とカルボキシル基とが形成されていることが好ましい。
特に環状酸無水物と、(ii)複素環アミン含有基との結合により形成される側鎖は、結合(1)、(2)、(4)、(5)ともにカルボキシル基を有している。
このような結合(1)、(2)、(4)、(5)または(3)を有する側鎖の具体例を以下に示す。
【0091】
【化5】
Figure 0004125452
【0092】
上記にRで示される複素環アミンとしては、特に限定されないが、例えば、
【0093】
【化6】
Figure 0004125452
【0094】
【化7】
Figure 0004125452
【0095】
【化8】
Figure 0004125452
【0096】
が挙げられる。
【0097】
また、(i)カルボニル基含有基が環状酸無水物から導かれる基であり、および/または、(ii)複素環アミン含有基がトリアゾール化合物から導かれる基であるときには、これらの基が主鎖に独立に結合したものも好ましい。
【0098】
また、変性ゴム(1)が上記▲2▼のゴムである場合に、変性ゴム(1)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物が変性ゴム(1)の他に含有する化合物としては、ドナーまたはアクセプターとなる置換基を2個以上有する化合物が全て使用可能である。中でも、ドナーを2個以上もしくはアクセプターを2個以上、または、ドナーとアクセプターの1対を2個以上有する化合物が架橋剤として、特に好ましい。具体的には、ジピリジル、エチレンジピリジル、トリメチレンジピリジル、フェナジン、プリン、プテリジン、ジピリジルアミン、メラミン等の2個以上の窒素原子のみを異性原子として持つ複素環化合物;キノン、アントラキノン、ナフトキノン、ピペラジン等の2個以上のカルボニル基を有する化合物;シアヌル酸等のそれぞれ2個以上の窒素原子、カルボニル基を環の構成要素として有する化合物;ナイロン6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−612等のアミド基に含まれる−CO−を有する化合物;イソニコチン酸、ピラジンジカルボン酸、ピコリン酸、3−カルバモイル−ピラジンカルボン酸、ピラジンモノカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、キナルジン酸等の窒素原子とカルボキシル基とを環の構成要素として有する化合物;その他、尿素;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ピナコール等の脂肪族ジオール;マロン酸、スクシン酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸;グリシン、トリシン、ビシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、スレオニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチオニン、プロリン等のアミノ酸;5−ヒドロキシバレラミド、N−アセチルエタノールアミン、N,N´−ヘキサメチレンビスアセトアミド、マロンアミド、シクロセリン等の脂肪族アミド;ハイドロキノン、ビフェノール、4,4´−イソプロピリデンジフェノール等のフェノール類;1,4−ベンゼンジメタノール等の芳香族アルコール;4,4´−メチレンジアニリン、フェニレンジアミン等の芳香族アミン;p−フェニレンジ酢酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸等の芳香族カルボン酸;N−(p−アミノベンゾイル)−β−アラニン等の芳香族アミノ酸;エチル−m−アミノベンゾエート、メチル−p−ヒドロキシベンゾエート等の芳香族エステル;4−アセトアミドフェノール、p−アセトアミド安息香酸等の芳香族アミド;イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−ベンズイミダゾールウレア等のイミダゾール類;ピロール−2−カルボン酸、N−メチルピロール−2−カルボン酸、ピラゾール、3−メチルピラゾール、ヒスチジン、1,2,4−トリアゾール等の5員環のヘテロ環化合物;1,2−ビス−(4−ピリジル)−エタン、2(or4)−(β−ヒドロキシエチル)−ピリジン、2(or4)−(2−アミノエチル)−ピリジン、2(or4)−アミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2−アミノ−6−ヒドロキシピリジン、6−アザチミン等の6員環のヘテロ環化合物が例示される。これらの中でも、ジピリジル、メラミンは芳香族三級アミノ基を分子内に有し、また、ナイロン−6はカルボニル基を分子内に有し、さらにシアヌル酸はピリジル基内にカルボニル基を有する構造を有し、上記▲2▼のゴムとの間の水素結合の形成により、耐熱性が優れたものとなるので好ましい。
【0099】
上記▲2▼の変性ゴムと化合物との組み合わせの具体例として、カルボキシル低変性液状イソプレンゴム、カルボキシル高変性液状イソプレンゴム、カルボキシル末端BR、カルボキシル末端NBR、カルボキシル変性ポリブタン、カルボキシル変性高反応型ポリブテンのそれぞれと、ジピリジル、メラミン、シアヌル酸、ナイロン−6のそれぞれとの組み合わせが挙げられる。
【0100】
変性ゴム(1)の水素結合による架橋系を例示する。
変性ゴム(1)が、▲1▼ドナーとアクセプターとの両方を有するゴムである場合の具体例として、イソプレンゴム主鎖に、Rが1,2,4−トリアゾールである式(1)の複素環アミン含有基が導入されたものが挙げられ、その架橋状態は下記式(4)で表される。
【0101】
【化9】
Figure 0004125452
【0102】
変性ゴム(1)が、▲2▼ドナーとアクセプターとのいずれか一方を有するゴムである場合の具体例として、イソプレンゴム主鎖に、ドナーであるカルボキシル基が導入されたものが挙げられ、その場合に熱可逆架橋ポリマー組成物が含有するアクセプターを有する化合物の具体例として、ビピリジル、メラミン、シアヌル酸およびナイロンが挙げられ、その架橋状態は下記式(5)(2点型水素結合)、下記式(6)(6点型水素結合)、下記式(7)(6点型水素結合)および下記式(8)(ポリマー型水素結合)で表される。
【0103】
【化10】
Figure 0004125452
【0104】
変性ゴム(1)が上記▲2▼のゴムである場合には、熱可逆架橋ポリマー組成物における化合物の含有量は、前記ゴム中の水素結合を形成しうる反応部位1当量に対して、化合物の有する反応部位が0.1〜5当量であるのが好ましく、0.5〜1.5当量であるのがより好ましい。5当量を超えると水素結合に関与しない置換基が増え、粘度が大きくなりすぎて好ましくない。0.1当量未満であると水素結合形成の効果が十分でなく好ましくない。
【0105】
変性ゴム(1)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物における水素結合による架橋の密度は、使用目的、用途、主鎖の分子量等によっても異なり、一概にはいえないが、架橋時には十分なゴム弾性と優れた機械的強度を示す架橋密度とすることが望ましい。具体的には、イソプレン、ブタジエン等の共役ジエン系ゴムを主鎖とし、側鎖に(i)および(ii)を有する場合には、側鎖基(i)および(ii)を有するユニットをそれぞれのゴムのジエンユニットに対し(1)の0.1〜30モル%程度、好ましくは1〜10モル%程度の量で含有することが望ましい。(i)および(ii)は、通常、(i)/(ii)モル比で0.5〜2程度であればよい。
【0106】
変性ゴム(1)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物は、変性ゴム(1)および変性ゴム(1)が上記▲2▼のゴムである場合における上記化合物の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、変性を受けていないポリマーや各種添加剤(例えば、各種安定剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤)を含有することができる。
変性ゴム(1)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物における変性ゴム(1)の含有量は、全ポリマー量の30〜100重量%であるのが好ましく、さらには60〜100重量%であるのがより好ましく、90〜100重量%であるのが特に好ましい。
【0107】
変性ゴム(1)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物は、室温下では水素結合を形成しており、加熱すると水素結合が崩壊する。水素結合の形成および崩壊は、可逆的であり、温度変化を与えることにより、何度でも繰り返し行うことができる。
【0108】
次に、変性ゴム(2)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物について説明する。
変性ゴム(2)は、有機塩構造を有する変性ゴムであり、好ましくは側鎖に有機塩構造を有する変性ゴムである。本発明において、有機塩構造とは、変性ゴムを構成するゴムの官能基変性物と化合物の官能基がイオン結合を介して結合したイオン結合部分(moiety)を有する構造であって、このイオン結合に金属イオンの介在しないものをいう。
イオン結合とは、陽イオンと陰イオンの間の静電引力により形成される結合をいう。従って、有機塩構造は、金属イオン以外の陽イオンと陰イオンによって形成される。
【0109】
有機塩構造を形成する陽イオンとしては、金属イオン以外のものであれば特に限定されないが、オニウムイオンが好ましい。オニウムイオンは、非共有電子対を有する原子にプロトンまたは陽イオン型試薬が配位結合することにより生じ、例えば、アンモニウム([R4 N]+ (式中、Rは水素又はアルキル基を示し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。以下同じ。))、ホスホニウム([R4 P]+ )、アルソニウム([R4 As]+ )、スチボニウム([R4 Sb]+ )、オキソニウム([R3 O]+ )、スルホニウム([R3 S]+ )、セレノニウム([R3 Se]+ )、スタノニウム([R3 Sn]+ )、ヨードニウム([R2 I]+ )が挙げられる。
【0110】
有機塩構造を形成する陰イオンとしては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化物イオン、カルボキシレートアニオン、アルコラートアニオン、フェノラートアニオン、チオカルボキシレートアニオン、スルフォネートアニオンが挙げられる。
【0111】
本発明において、有機塩構造は特に限定されず、上記の陽イオンと陰イオンから、適宜組み合わせて選択することができるが、上述したように陽イオンが上記オニウムイオンである構造、即ち、オニウム塩構造であるのが好ましく、アンモニウムカチオンとカルボキシレートアニオンの組み合わせからなる有機塩構造が特に好ましい。
【0112】
変性ゴム(2)は、イオン結合を形成しうる反応部位を有する原料ゴムと、該原料ゴムの反応部位とイオン結合を形成しうる反応部位を有する化合物とが、イオン結合を介して結合してなる。即ち、変性ゴム(2)は、陽イオンまたは陰イオンの一方を生じうる反応部位を有する原料ゴムと、他方を生じうる反応部位を有する化合物とからなる。
陽イオンを生じうる反応部位としては、特に限定されないが、例えば、アミノ基、イミノ基等の非共有電子対を有する原子を含む部位が挙げられる。
陰イオンを生じうる反応部位としては、特に限定されない。例えば、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、アスタチン化物)、カルボキシル基、水酸基、フェノキシ基、チオカルボキシル基、スルフォニル基およびこれらの置換体が挙げられる。
【0113】
本発明に用いられるイオン結合を形成しうる反応部位を有する原料ゴムとしては、上記の陽イオンを生じうる反応部位または陰イオンを生じうる反応部位を有するよう変性され、または合成されたゴムを用いることができる。変性を受けるゴムは、変性ゴム(1)の原料に用いられる変性を受けるゴムとして上述したものと同様のものを用いることができる。
【0114】
陰イオンを生じうる反応部位を有するよう変性された原料ゴムとしては、カルボキシル低変性液状イソプレンゴム、カルボキシル高変性液状イソプレンゴム、カルボキシル末端ブタジエンゴム、カルボキシル末端ニトリルゴム、カルボキシル変性ポリブテン、カルボキシル変性高反応型ポリブテン、エチレン−アクリル酸コポリマー等を挙げることができる。中でも、カルボキシル高変性液状イソプレンゴムが好ましい。
【0115】
イオン結合を形成しうる反応部位を有する化合物としては、上述の陽イオンを生じうる反応部位または陰イオンを生じうる反応部位を有する化合物を用いることができる。
【0116】
本発明においては、有機塩構造が炭化水素基を有する有機塩構造であるのが好ましい。即ち、イオン結合を形成しうる反応部位を有する化合物が、陽イオンまたは陰イオンを生じうる反応部位に炭化水素基を有するのが好ましい。ここで、炭化水素基は、一般に炭素と水素だけからなる基をいうが、本発明においては、エーテル、カルボニル、エステル等の形態で酸素原子を含んでいるものも含まれる。
炭化水素基の中でも、アルキル基、特に直鎖状アルキル基が好ましく、炭素数6個以上のアルキル基がさらに好ましい。原料ゴムとイオン結合して、室温下で、アルキル鎖が規則的に配列して疑似架橋構造を形成しやすく、ゴム状になりやすいためである。
陽イオンを生じうる反応部位を有する化合物としては、第一級アミンが好ましく、直鎖状のアルキル基を有するメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン等を好適に使用できる。
【0117】
原料ゴムと化合物との組み合わせの好適な具体例として、カルボキシル変性イソプレンゴムとドデシルアミンが挙げられ、これらから得られる変性ゴム(2)は下記式(9)で表される。
【0118】
【化11】
Figure 0004125452
【0119】
変性ゴム(2)における原料ゴムと化合物の比率は、原料ゴム中のイオン結合を形成しうる反応部位1当量に対して、化合物中のイオン結合を形成しうる反応部位が0.1〜5当量とするのが好ましく、0.5〜1.5当量とするのがより好ましい。5当量を超えると、または0.1当量未満であると、イオン結合に関与しない反応部位が増え、架橋効率が悪くなる。
【0120】
変性ゴム(2)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物における疑似架橋構造の架橋密度は、使用目的、用途、主鎖の分子量等によっても異なり、一概にはいえないが、架橋時には十分なゴム弾性と優れた機械的強度を示す架橋密度とすることが望ましい。具体的には、カルボキシル変性液状イソプレンゴムとステアリルアミンから得られる変性ゴム(2)を用いる場合には、ステアリルアミンによるオニウム塩構造をイソプレンゴムのジエンユニットに対し0.1〜30モル%含有するのが好ましく、1〜10モル%含有するのがより好ましい。
【0121】
変性ゴム(2)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物は、変性ゴム(2)の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、変性を受けていないポリマーや各種添加剤(例えば、各種安定剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤)を含有することができる。
変性ゴム(2)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物における変性ゴム(2)の含有量は、全ポリマー量の60〜100重量%であるのが好ましく、90〜100重量%であるのがより好ましい。
【0122】
変性ゴム(2)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物は、有機塩構造を有し、即ち、原料ゴムと化合物がイオン結合を介して結合しており、室温下では化合物の分子間に疑似架橋構造が形成され、加熱することにより疑似架橋構造が崩壊する。疑似架橋構造の形成および崩壊は、可逆的であり、温度変化を与えることにより、何度でも繰り返し行うことができる。
【0123】
更に、変性ゴム(3)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物について説明する。
変性ゴム(3)は、共役ジエン構造とジエノフィル構造からディールス−アルダー反応によって形成される架橋構造を有するゴムである。前記変性ゴム(3)は、共役ジエン構造およびジエノフィル構造の一方を有する原料ゴムと他方を2つ以上有する化合物とがディールス−アルダー反応によって架橋してなる。
即ち、前記変性ゴム(3)の例として、側鎖に共役ジエン構造を有するゴム(A)が、2つ以上のジエノフィル構造を有する化合物(B)により架橋されてなるゴム(C)、および、側鎖にジエノフィル構造を有するゴム(A´)が、2つ以上の共役ジエン構造を有する化合物(B´)により架橋されてなるゴム(C´)が挙げられる。
【0124】
変性ゴム(3)に用いられる原料ゴムは、側鎖に共役ジエン構造を有するゴム(A)または側鎖にジエノフィル構造を有するゴム(A´)である。即ち、ゴム(A)は、ゴムの側鎖に共役ジエンを有し、ゴム(A´)は、ゴムの側鎖にジエノフィル構造を有する。
【0125】
共役ジエンは、特に限定されず、鎖状共役ジエンおよび環状共役ジエンを用いることができるが、熱等に対する安定性が優れるため、環状共役ジエンが好ましい。本発明に用いられる共役ジエンを第1表に列記する。
【0126】
【表1】
Figure 0004125452
【0127】
(第1表中、R5 〜R10は、H、CH3 、C2 5 、C3 7 、C6 5 、F、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
中でも、ヘテロ原子を有するもの、特にフラン骨格を有するものを好適に使用することができる。
【0128】
ジエノフィルは、ディールス−アルダー反応で、ジエンと付加的に反応して環式化合物を与える不飽和化合物である。本発明に用いられるジエノフィルは、特に限定されない。本発明に用いられるジエノフィルを第2表に列記する。
【0129】
【表2】
Figure 0004125452
【0130】
前記共役ジエンまたはジエノフィルの結合しているゴムは、特に限定されず、主鎖にオレフィン構造を有するものまたは有しないもののいずれも用いることができる。主鎖にオレフィン構造を有するゴムは、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状スチレン−ブタジエンゴム、液状ポリクロロプレンが挙げられる。主鎖にオレフィン構造を有しないゴムは、例えば、1,2−ポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、液状1,2−ポリブタジエン、液状シリコーンゴム、液状フッ素ゴムを用いることができる。
中でも、主鎖にオレフィン構造を有するものが好ましい。
【0131】
化合物(B)が有するジエノフィルは、前述した化合物(A´)に用いられるジエノフィルを用いることができ、化合物(B´)が有する共役ジエンは、前述した化合物(A)に用いられる共役ジエンを用いることができる。
【0132】
本発明に用いられる化合物(B)は、2つ以上のジエノフィル構造を有するので、第2表に列記されたジエノフィルのうち、2つ以上が結合している化合物であれば特に限定されず、ポリマーであってもよい。化合物(B)の有する2つ以上のジエノフィル構造は、同一であっても、異なっていてもよい。具体的には、例えば、ビスマレイミド等のビスジエノフィル、トリマレイミド等のトリジエノフィルが挙げられる。ビスマレイミドは、下記式(10)に表されるものを好適に用いることができる。中でも、4,4´−ビスマレイミドジフェニルメタンが特に好適に用いられる。
【0133】
【化12】
Figure 0004125452
【0134】
(式中、R5 〜R8 は、H、CH3 、C2 5 、C3 7 、F、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。また、Xは、第3表に列記する群から選ばれる基を表し、第3表中、pおよびqは1以上の整数を表す。)
【0135】
【表3】
Figure 0004125452
【0136】
【表4】
Figure 0004125452
【0137】
【表5】
Figure 0004125452
【0138】
【表6】
Figure 0004125452
【0139】
本発明に用いられる化合物(B´)は、2つ以上の共役ジエン構造を有するので、第1表に列記された共役ジエンのうち、2つ以上が結合している化合物であれば特に限定されない。化合物(B´)の有する2つ以上の共役ジエン構造は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0140】
ゴム(C)中の(A)と化合物(B)の比率または(C´)中の(A´)と化合物(B´)の比率は、(A)が側鎖に有する共役ジエン構造1当量または(A´)が側鎖に有するジエノフィル構造1当量に対して、化合物(B)の有するジエノフィル構造または化合物(B´)の有する共役ジエン構造が0.01〜1.5当量とするのが好ましく、0.1〜1.0当量とするのがより好ましい。
【0141】
変性ゴム(3)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物におけるディールス−アルダー反応によって形成される架橋構造の架橋密度は、使用目的、用途、主鎖の分子量等によっても異なり、一概にはいえないが、架橋時には十分なゴム弾性と優れた機械的強度を示す架橋密度とすることが望ましい。具体的には、側鎖にフラン骨格を有するブタジエンゴムと4,4´−ビスマレイミドジフェニルメタンから得られる変性ゴム(3)を用いる場合には、ブタジエンゴムのジエンユニットに対して0.1〜30モル%、好ましくは1〜10モル%、フラン骨格が導入されたユニットが含有されるのが良く、4,4´−ビスマレイミドジフェニルメタンが0.1〜5当量含有される必要があり、0.5〜1.0当量がより好ましい。
【0142】
変性ゴム(3)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物は、変性ゴム(3)の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、変性を受けていないポリマーや各種添加剤(例えば、各種安定剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤)を含有することができる。
変性ゴム(3)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物における変性ゴム(3)の含有量は、全ポリマー量の30〜100重量%であるのが好ましく、さらには60〜100重量%であるのがより好ましく、90〜100重量%であるのが特に好ましい。
【0143】
また、変性ゴム(3)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物は、前記ゴム(C)および共役ジエン構造を有する化合物(D)を含有することもでき、前記ゴム(C´)およびジエノフィル構造を有する化合物(D´)を含有することもできる。
【0144】
共役ジエン構造を有する化合物(D)は、特に限定されず、鎖状共役ジエンおよび環状共役ジエンを用いることができる。化合物(D)には、第1表に列記した共役ジエンが好適に用いられる(第1表中、R5 〜R10は、H、CH3 、C2 5 、C3 7 、C6 5 、F、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれる基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)。これらは、ゴム(C)を構成するゴム(A)の側鎖に結合しているジエンと同じであっても、異なっていてもよい。
中でも、フラン、チオフェン、シクロヘキサジエン等が好適に用いられる。
ゴム(C)と化合物(D)の含有量は、特に限定されない。
ジエノフィル構造を有する化合物(D´)は、第2表に列記したジエノフィルが好適に用いられる。これらは、ゴム(C´)を構成するゴム(A´)の側鎖に結合しているジエノフィルと同じであっても、異なっていてもよい。
【0145】
ゴム(C)の生成のため加熱下に混練する際に起こる架橋反応は、下記式(11)である。
(A)+(B)→(C) (11)
上記式(11)に例示されるディールス−アルダー反応は、可逆反応であり、架橋体であるゴム(C)は、加熱により逆(レトロ)ディールス−アルダー反応を起こして、ゴム(A)と化合物(B)に解離(脱架橋)する(式(12))。
(A)+(B)←(C) (12)
【0146】
また、上述したゴム(C)および共役ジエン構造を有する化合物(D)を含有するゴム組成物を加熱下に混練すると、脱架橋反応が起こり、化合物(B)と化合物(D)との反応物(E)およびゴム(A)を含有する組成物を生じる(式(13))。
(C)+(D)→(E)+(A) (13)
逆に、反応物(E)およびゴム(A)を含有する組成物を加熱下に混練すると、架橋反応が起こり、ゴム(C)および共役ジエン構造を有する化合物(D)を含有するゴム組成物を生じる(式(14))。
(C)+(D)←(E)+(A) (14)
上記式(13)および(14)の反応は、必要に応じてトルエン等の溶媒の存在下で行うことができる。
【0147】
上記式(11)および(12)ならびに上記式(13)および(14)を具体的に例示したものを下記式(15)に表す。
【0148】
【化13】
Figure 0004125452
(式中、Xは、下記式
【化14】
Figure 0004125452
で表される基である。)
【0149】
上記式(11)〜(15)で表された反応は、共役ジエン構造とジエノフィル構造からディールス−アルダー反応によって形成される架橋構造を有するゴムとしてゴム(C)を用いたものであるが、ゴム(C´)についても同様の反応が起こる。
【0150】
また、上記式(13)および(14)の反応は、上記式(11)および(12)の反応に比べて反応速度が速いので、ゴム(C)の使用時に化合物(D)を用いることにより、架橋構造の形成と崩壊を速く起こさせることができる。
ゴム(C´)についても同様である。
【0151】
変性ゴム(3)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物は、加熱により架橋構造の形成および崩壊を行うことができる。ディールス−アルダー反応によって形成される架橋構造の形成および崩壊は、可逆的であり、温度変化を与えることにより、何度でも繰り返し行うことができる。
【0152】
また、変性ゴム(3)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物は、共役ジエン構造を有する化合物またはジエノフィル構造を有する化合物を含有することにより、温度変化による架橋・脱架橋の速度を速くすることができるので、各用途において作業性等を改善することもできる。
【0153】
更に、変性ゴム(4)〜(9)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物について説明する。
初めに、変性ゴム(4)〜(9)について説明する。
変性ゴム(4)〜(9)は、特定の熱可逆反応を架橋反応に利用した変性ゴムである。ここで、特定の熱可逆反応とは、変性ゴム(4)においては、酸無水物基と水酸基とのエステル形成反応であり、変性ゴム(5)においては、カルボキシル基とビニルエーテル基とのヘミアセタールエステル形成反応であり、変性ゴム(6)においては、ハロゲン化アルキル基と第三級アミンとのアイオネン形成反応であり、変性ゴム(7)においては、フェノール性水酸基とイソシアネート基とのウレタン形成反応であり、変性ゴム(8)においては、アズラクトン基とフェノール性水酸基との反応であり、変性ゴム(9)においては、2つのニトロソ基によるニトロソ二量体形成反応である。これらの反応は、いずれもある反応部位と別の反応部位との間の結合反応であり、加熱により結合を解離し、冷却により再び結合を形成するという点で共通する。以下、変性ゴム(4)〜(9)について、これらの熱可逆反応を反応部位Aと反応部位Bとの熱可逆反応に一般化して、説明する。
【0154】
変性ゴム(4)〜(9)は、反応部位AとBとの反応を架橋反応に利用したものであり、常温では架橋が形成されており、これを一定温度以上に加熱すると架橋が解離し、その後冷却すると再び架橋を形成する。
変性ゴム(4)〜(9)は、次のいずれかの態様をとる。
▲1▼反応部位AとBとの両方またはいずれか一方を有するゴムであって、反応部位AとBとが反応して分子間で結合しており、常温において架橋が形成されているゴム(変性ゴム(9)では、反応部位AとBとが同一であるので、ニトロソ基を有するゴムであって、ニトロソ基同士が反応して分子間で結合しており、常温において架橋が形成されているゴム)。
▲2▼反応部位AとBとのいずれか一方を有するゴム分子と、他方を有する化合物とを有するゴムであって、反応部位AとBとが反応してゴム分子と化合物との間で結合しており、常温において架橋が形成されているゴム(変性ゴム(9)では、反応部位AとBとが同一であるので、ニトロソ基を有するゴム分子と、ニトロソ基を有する化合物とを有するゴムであって、ニトロソ基同士が反応してゴム分子と化合物との間で結合しており、常温において架橋が形成されているゴム)。
【0155】
なお、変性ゴム(4)〜(9)は、常温では架橋構造をとるため、▲1▼の態様においては、各ゴム分子が分子間で結合した状態で存在し、▲2▼の態様においては、ゴム分子と化合物が結合した状態で存在するが、一定の温度以上では架橋構造が解離するため、▲1▼の態様においては、各ゴム分子が分離した状態で存在し、▲2▼の態様においては、ゴム分子と化合物が分離した状態で存在する。
【0156】
▲1▼の態様においては、ゴム1分子中に反応部位AとBとの両方を有していてもよく、1分子中に反応部位Aのみ有するゴムと1分子中に反応部位Bのみ有するゴムとが混合されていてもよい。中でも、ゴム1分子中に反応部位AとBとの両方を有しているのが好ましい。
また、ゴム1分子中に反応部位AとBとの両方を有するゴムと、1分子中に反応部位Aのみ有するゴムおよび1分子中に反応部位Bのみ有するゴムの少なくとも一方とが混合されていてもよい。
【0157】
▲2▼の態様においては、ゴム分子が有する反応部位は、反応部位Aであっても反応部位Bであってもよい。ゴム分子が反応部位Aを有する場合には、化合物が反応部位Bを有し、ゴム分子が反応部位Bを有する場合には、化合物が反応部位Aを有する。
【0158】
変性ゴム(4)においては、反応部位AとBは、酸無水物基と水酸基である。酸無水物基は、脂肪族、芳香族系のカルボン酸の酸無水物基をさし、環状酸無水物基および非環状無水物基のいずれも用いることができるが、特に環状酸無水物基が好適に用いられる。環状酸無水物基は、例えば、無水マレイン酸基、無水フタル酸基、無水コハク酸基、無水グルタル酸基が挙げられ、非環状酸無水物基は、例えば、無水酢酸基、無水プロピオン酸基、無水安息香酸基が挙げられる。中でも、無水マレイン酸が付加した無水コハク酸基が好ましい。
変性ゴム(5)においては、反応部位AとBは、カルボキシル基とビニルエーテル基である。
変性ゴム(6)においては、反応部位AとBは、ハロゲン化アルキル基と第三級アミノ基である。ハロゲン化アルキル基は、例えば、アルキルブロミド、アルキルクロリド、フェニルブロミド、フェニルクロリド、ベンジルブロミド、ベンジルクロリドが挙げられる。中でも、ベンジルブロミドが好ましい。第三級アミノ基は、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基が挙げられる。中でも、ジメチルアミノ基が好ましい。ハロゲン化アルキル基と第三級アミノ基との組み合わせは、特に限定されないが、ベンジルブロミドとジメチルアミノ基との組み合わせが好ましい。
変性ゴム(7)においては、反応部位AとBは、フェノール性水酸基とイソシアネート基である。
変性ゴム(8)においては、反応部位AとBは、アズラクトン基とフェノール性水酸基である。
変性ゴム(9)においては、反応部位AとBは、同一であり、ニトロソ基である。
【0159】
▲1▼の態様の変性ゴムは、原料となるゴムを反応部位AとBとがすでに反応している状態で変性することにより、または、反応部位AとBとがすでに反応している状態で直接重合することにより、直接得られる場合もあるし、原料となるゴムを反応部位AとBとの両方を有するよう変性することにより得られたゴムや、反応部位AとBとの両方を有するように重合されたゴムに、加熱、冷却等の作用を加えて得られる場合もある。
▲2▼の態様の変性ゴムにおいて、化合物と架橋を形成するゴムは、反応部位AとBとのいずれか一方を有するよう原料となるゴムを変性することにより、または、反応部位AとBとのいずれか一方を有するようなゴムを重合することにより得られる。また、反応部位AとBとが反応した状態で重合あるいは変性することにより得られる。
【0160】
これらの場合において、変性を受けるゴムは、変性ゴム(1)の原料に用いられる変性を受けるゴムとして上述したものと同様のものを用いることができる。
【0161】
▲1▼の態様の反応部位AとBとの両方を有するゴムの製造方法は、特に限定されず、反応部位AとBとを反応した状態で同時に、または別々にゴムに導入する方法により製造される。以下、反応部位Aをゴムに導入する方法および反応部位Bをゴムに導入する方法について、具体的に説明する。
なお、▲2▼の態様の反応部位AとBとのいずれか一方を有するゴムの製造方法は、特に限定されず、下記の反応部位Aをゴムに導入する方法および反応部位Bをゴムに導入する方法、または反応部位AとBとが反応した状態でゴムに導入する方法のいずれかを用いて製造される。
【0162】
変性ゴム(4)に用いられる酸無水物基をゴムに導入する方法および水酸基をゴムに導入する方法について説明する。
酸無水物基をゴムに導入する方法は、例えば、無水マレイン酸等のオレフィン含有酸無水物モノマーを共重合する方法や、変性を受けるゴムに酸無水物骨格含有化合物を反応させる方法、具体的には、ジエン系ゴムに無水マレイン酸をエン反応させる方法が挙げられる。
水酸基をゴムに導入する方法は、例えば、酢酸ビニル等のモノマーを共重合した後、加水分解を行う方法や、変性を受けるゴムに水酸基含有化合物を反応させる方法、具体的には、ジエン系ゴムにメルカプトエタノール等の水酸基含有メルカプト化合物を反応させる方法が挙げられる。
反応部位AとBとを反応した状態でゴムに導入する方法としては、例えば、酸無水物骨格と水酸基が反応したハーフエステル骨格を有する化合物を高分子反応により導入する方法または共重合する方法が挙げられる。
【0163】
変性ゴム(5)に用いられるカルボキシル基をゴムに導入する方法およびビニルエーテル基をゴムに導入する方法について説明する。
カルボキシル基をゴムに導入する方法は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーを共重合する方法や、変性を受けるゴムにカルボキシル基含有化合物を反応させる方法、具体的には、ジエン系ゴムにチオグリコール酸等のカルボン酸含有メルカプト化合物を反応させる方法が挙げられる。ビニルエーテル基をゴムに導入する方法は、例えば、ジビニルエーテル等のビニルエーテル基含有モノマーを共重合する方法や、変性を受けるゴムにビニルエーテル基含有化合物を反応させる方法、具体的には、ジエン系ゴムにメルカプトエチルビニルエーテル等のビニルエーテル含有メルカプト化合物を反応させる方法が挙げられる。
反応部位AとBとを反応した状態でゴムに導入する方法としては、例えば、カルボキシル基とビニルエーテル基が反応したヘミアセタールエステル骨格を有する化合物を高分子反応により導入する方法または共重合する方法が挙げられる。
【0164】
変性ゴム(6)に用いられるハロゲン化アルキル基をゴムに導入する方法および第三級アミノ基をゴムに導入する方法について説明する。
ハロゲン化アルキル基をゴムに導入する方法は、例えば、ブロモメチルスチレン、クロロメチルスチレン等のハロゲン化アルキル基含有モノマーを共重合する方法や、変性を受けるゴムにメルカプトブロモトルエン、メルカプトクロロトルエン等のハロゲン化アルキル基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
第三級アミノ基をゴムに導入する方法は、例えば、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等の第三級アミノ基含有モノマーを共重合する方法や、変性を受けるゴムにジメチルアミノチオフェノール、ジエチルアミノチオフェノール等の第三級アミノ基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
反応部位AとBとを反応した状態でゴムに導入する方法としては、例えば、ハロゲン化アルキル基と第三級アミノ基が反応したアイオネン骨格を有する化合物を高分子反応により導入する方法または共重合する方法が挙げられる。
【0165】
変性ゴム(7)に用いられるフェノール性水酸基をゴムに導入する方法およびイソシアネート基をゴムに導入する方法について説明する。
フェノール性水酸基をゴムに導入する方法は、例えば、ヒドロキシスチレン等のフェノール性水酸基含有モノマーを共重合する方法や、変性を受けるゴムにメルカプトフェノール等のフェノール性水酸基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
イソシアネート基をゴムに導入する方法は、例えば、イソシアネートスチレン、イソシアネートアクリレート等のイソシアネート基含有モノマーを共重合する方法や、変性を受けるゴムにフェノールキャップドイソシアネートチオフェノール等の保護されたイソシアネート基を含有する化合物を反応させた後、保護基を除去する方法が挙げられる。
反応部位AとBとを反応した状態でゴムに導入する方法としては、例えば、イソシアネート基とフェノール性水酸基が反応したウレタン骨格を有する化合物を高分子反応により導入する方法または共重合する方法が挙げられる。
【0166】
変性ゴム(8)に用いられるアズラクトン基をゴムに導入する方法およびフェノール性水酸基をゴムに導入する方法について説明する。
アズラクトン基をゴムに導入する方法は、例えば、アズラクトンスチレン、アズラクトンアクリレート等のアズラクトン基含有モノマーを共重合する方法や、変性を受けるゴムにアズラクトンチオフェノール等のアズラクトン基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
フェノール性水酸基をゴムに導入する方法は、本発明の第四の態様のゴムに用いられる方法と同様の方法が挙げられる。
反応部位AとBとを反応した状態でゴムに導入する方法としては、例えば、アズラクトン基とフェノール性水酸基が反応した骨格を有する化合物を高分子反応により導入する方法または共重合する方法が挙げられる。
【0167】
変性ゴム(9)に用いられるニトロソ基をゴムに導入する方法について説明する。
ニトロソ基をゴムに導入する方法は、例えば、ニトロソスチレン、ニトロソアクリレート等のニトロソ基含有モノマーを共重合する方法や、変性を受けるゴムにニトロソチオフェノール、塩化ニトロシル等のニトロソ基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
ニトロソ基が反応した状態でゴムに導入する方法としては、例えば、ニトロソ基が二量化した骨格を有する化合物を高分子反応により導入する方法または共重合する方法が挙げられる。
【0168】
▲2▼の態様に用いられる化合物は、反応部位AまたはBを分子内に2個以上有するものであるのが好ましいが、反応部位AまたはBを分子内に1個有するものが混合されていてもよい。
【0169】
▲2▼の態様に用いられる化合物は、変性ゴム(4)においては、酸無水物基を有する化合物または水酸基を有する化合物である。
酸無水物基を有する化合物としては、例えば、ビス無水フタル酸化合物、ビス無水コハク酸化合物、ビス無水グルタル酸化合物、ビス無水マレイン酸化合物が挙げられる。
水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類;1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等のアルコール化合物が挙げられる。中でも、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。
【0170】
▲2▼の態様に用いられる化合物は、変性ゴム(5)においては、カルボキシル基を有する化合物またはビニルエーテル基を有する化合物である。
カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられる。
ビニルエーテル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、2,2−ビス〔p−(2−ビニロキシエトキシ)フェニル〕プロパンが挙げられる。中でも、エチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテルが好ましい。
【0171】
▲2▼の態様に用いられる化合物は、変性ゴム(6)においては、ハロゲン化アルキル基を有する化合物または第三級アミノ基を有する化合物である。
ハロゲン化アルキル基を有する化合物としては、例えば、α,α´−ジブロモキシレン、α,α´−ジクロロキシレン、ビスブロモメチルビフェニル、ビスクロロメチルビフェニル、ビスブロモジフェニルメタン、ビスクロロジフェニルメタン、ビスブロモメチルベンゾフェノン、ビスクロロメチルベンゾフェノン、ビスブロモジフェニルプロパン、ビスクロロジフェニルプロパンが挙げられる。
第三級アミノ基を有する化合物は、例えば、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、ビスジメチルアミノベンゼンが挙げられる。中でも、テトラメチルヘキサンジアミンが好ましい。
【0172】
▲2▼の態様に用いられる化合物は、変性ゴム(7)においては、フェノール性水酸基を有する化合物またはイソシアネート基を有する化合物である。
フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシビフェニル、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のアリール脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
【0173】
▲2▼の態様に用いられる化合物は、変性ゴム(8)においては、アズラクトン基を有する化合物またはフェノール性水酸基を有する化合物である。
アズラクトン基を有する化合物としては、例えば、ビスアズラクトンブタン、ビスアズラクトンベンゼン、ビスアズラクトンヘキサンが挙げられる。
フェノール性水酸基を有する化合物としては、上述した本発明の第四の態様において用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0174】
▲2▼の態様に用いられる化合物は、変性ゴム(9)においては、ニトロソ基を有する化合物である。
ニトロソ基を有する化合物としては、例えば、ジニトロソプロパン、ジニトロソヘキサン、ジニトロソベンゼン、ジニトロソトルエンが挙げられる。
【0175】
▲2▼の態様における反応部位AとBとのいずれか一方を有するゴムと他方を有する化合物との組み合わせは、特に限定されないが、変性ゴム(4)においては、ゴムが無水マレイン酸基含有ジエン系ゴムであり、化合物が1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオールである組み合わせが好ましい。
【0176】
変性ゴム(5)においては、ゴムがカルボキシル基含有ジエン系ゴムであり、化合物がブタンジオールジビニルエーテル等のアルキルジオールのジビニルエーテルである組み合わせが好ましい。
【0177】
変性ゴム(6)においては、ゴムがハロゲン化アルキル含有ジエン系ゴムであり、化合物がテトラメチルヘキサンジアミン等のアルキルジアミンである組み合わせが好ましい。
【0178】
変性ゴム(7)においては、ゴムがフェノール性水酸基含有ジエン系ゴムであり、化合物がジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートである組み合わせが好ましい。
【0179】
変性ゴム(8)においては、ゴムがフェノール性水酸基含有ジエン系ゴムであり、化合物がビスアズラクトンブタン等のアルキルビスアズラクトンであるが好ましい。
【0180】
変性ゴム(9)においては、ゴムがニトロソ基含有ジエン系ゴム単独であるのが好ましい。
【0181】
▲1▼の態様において、ゴム中の架橋部位の量、即ち、ゴム分子中の反応部位AとBとの反応により生じた結合部分の量は、ゴムのモノマーユニットに対して0.1mol%以上であるのが好ましい。上記範囲で、変性ゴム(4)〜(9)の強度等が優れたものとなる。
【0182】
▲2▼の態様において、ゴム中の架橋部位の量、即ち、ゴム分子中の反応部位AとBとのいずれか一方と、化合物中の他方との反応により生じた結合部分の量は、ゴムのモノマーユニットに対して0.1mol%以上であるのが好ましい。上記範囲で、変性ゴム(4)〜(9)の強度等が優れたものとなる。
【0183】
▲2▼の態様において、反応部位AとBとのいずれか一方を有するゴムと他方を有する化合物との比率は、ゴム分子中の反応部位1当量に対し、化合物中の反応部位が0.1〜5当量とするのが好ましく、0.5〜1.5当量とするのがより好ましい。上記範囲で、架橋に関与する反応部位が多くなり、架橋効率が高くなる。
【0184】
変性ゴム(4)〜(9)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、溶液混合法、ドライ混合法を用いることができる。溶液混合法は、可溶溶媒中で架橋反応を行わせた後、溶媒留去して製造する方法である。ドライ混合法は、溶媒を使わずにニーダー等で混合、架橋反応を行わせる方法である。
変性ゴム(4)〜(9)の製造には、溶液混合法、ドライ混合法のいずれの方法を用いることもでき、全ての場合において、反応温度は50℃以上である。
【0185】
変性ゴム(4)〜(9)において、変性ゴムが▲1▼の態様である場合には、その製造には、反応部位AとBとの両方を有するゴムの1種または2種以上を用いることができる。
また、変性ゴム(4)〜(9)において、変性ゴムが▲2▼の態様である場合には、その製造には、反応部位AとBとのいずれか一方を有するゴムの1種または2種以上を用いることができ、他方を有する化合物の1種または2種以上を用いることができる。
【0186】
変性ゴム(4)〜(9)は、反応部位AとBとが反応してゴム分子間またはゴム分子と化合物との間で結合しており、常温において架橋が形成されている。変性ゴム(4)〜(9)は、一定温度以上に加熱すると、上記結合が解離して架橋が崩壊する。
【0187】
変性ゴム(4)においては、酸無水物基と水酸基とがエステルを形成して架橋となっている。この架橋の崩壊(脱架橋)と再生(再架橋)は、下記式(16)で例示される。脱架橋および再架橋が起こる温度(流動開始温度)は、架橋密度等にもよるが、通常、100〜200℃程度である。
【0188】
【化15】
Figure 0004125452
【0189】
変性ゴム(5)においては、カルボキシル基とビニルエーテル基とがヘミアセタールエステルを形成して架橋となっている。この架橋の崩壊(脱架橋)と再生(再架橋)は、下記式(17)で例示される。脱架橋および再架橋が起こる温度(流動開始温度)は、架橋密度等にもよるが、通常、100〜200℃程度である。
【0190】
【化16】
Figure 0004125452
【0191】
変性ゴム(6)においては、ハロゲン化アルキル基と第三級アミンとがアイオネンを形成して架橋となっている。この架橋の崩壊(脱架橋)と再生(再架橋)は、下記式(18)で例示される。脱架橋および再架橋が起こる温度(流動開始温度)は、架橋密度等にもよるが、通常、100〜200℃程度である。
【0192】
【化17】
Figure 0004125452
【0193】
変性ゴム(7)においては、フェノール性水酸基とイソシアネート基とがウレタンを形成して架橋となっている。この架橋の崩壊(脱架橋)と再生(再架橋)は、下記式(19)で例示される。脱架橋および再架橋が起こる温度(流動開始温度)は、架橋密度等にもよるが、通常、100〜200℃程度である。
【0194】
【化18】
Figure 0004125452
【0195】
変性ゴム(8)においては、アズラクトン基とフェノール性水酸基とが結合を形成して架橋となっている。この架橋の崩壊(脱架橋)と再生(再架橋)は、下記式(20)で例示される。脱架橋および再架橋が起こる温度(流動開始温度)は、架橋密度等にもよるが、通常、100〜200℃程度である。
【0196】
【化19】
Figure 0004125452
【0197】
変性ゴム(9)においては、2つのニトロソ基がニトロソ二量体を形成して架橋となっている。この架橋の崩壊(脱架橋)と再生(再架橋)は、下記式(21)で例示される。脱架橋および再架橋が起こる温度(流動開始温度)は、架橋密度等にもよるが、通常、100〜200℃程度である。
【0198】
【化20】
Figure 0004125452
【0199】
変性ゴム(4)〜(9)は、常温においては架橋が形成されているためゴム弾性を示し、一定温度(加工温度、通常50℃以上)以上に加熱すると架橋が崩壊して、流動性を示し、耐熱老化性に優れ、長時間安定的に連続溶融成形することができ、成形後冷却過程において急速に架橋構造を形成する。再び加工温度以上に加熱すると架橋が完全に解離し、再び冷却すると架橋を形成する。
変性ゴム(4)〜(9)は、この架橋構造の解離と形成の繰り返しを3回以上行うことができる。
従って、変性ゴム(4)〜(9)は、ゴム弾性に優れ、加熱成形およびリサイクルが容易である。
【0200】
次に、変性ゴム(4)〜(9)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物について説明する。
変性ゴム(4)〜(9)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物は、上述した変性ゴム(4)〜(9)を少なくとも1つ含有する。含有する変性ゴムは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
変性ゴム(4)〜(9)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物は、各種安定剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤等の添加剤を含有することができる。これらの添加剤は、変性ゴム(4)〜(9)の製造中に添加することもでき、製造後に添加することもできる。
【0201】
また、変性ゴム(4)〜(9)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、更に、変性ゴム(4)〜(9)以外のゴムを1種または2種以上含有することができる。これにより、変性ゴム(4)〜(9)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物の強度特性等を調節することができる他、原料費の低廉等を図ることができる。
変性ゴム(4)〜(9)以外のゴムは、未加硫のゴムであってもよく、加硫後のゴムであってもよい。例えば、上述した変性ゴム(4)〜(9)の原料となるゴムが挙げられる。
中でも、変性ゴム(4)〜(9)以外のゴムが加硫後のものである場合には、熱可塑性エラストマーが好ましい。特に、変性ゴム(4)〜(9)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物のゴム弾性、加工容易性、リサイクル性等を考慮すると、エラストマーと熱可塑性樹脂をその樹脂の軟化点以上の温度で混練しながら行う架橋、いわゆる動的架橋により得られ、少なくとも一部が連続相となり樹脂相に少なくとも一部が不連続相となる加硫ゴム相が微細に分散した状態となっている熱可塑性エラストマー組成物が好ましい。
【0202】
変性ゴム(4)〜(9)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物における変性ゴム(4)〜(9)の含有量は、組成物全体の10重量%以上であるのが好ましく、50重量%以上であるのがより好ましい。上記範囲で、変性ゴム(4)〜(9)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物のゴム弾性、加工容易性、リサイクル性が十分となる。
【0203】
本発明のタイヤは、コードを除く全ての部分が1種類または2種類以上の熱可逆架橋ポリマー組成物からなっていてもよく、コードを除いた部分のうち、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる部分以外の部分が1種類または2種類以上のゴム組成物からなっていてもよい。
熱可逆架橋ポリマー組成物からなる部分以外の部分の少なくとも一部は、ゴムおよび加硫剤を含有するゴム組成物からなる。
後述するように、本発明のタイヤは熱可逆架橋ポリマー組成物とゴム組成物を高温加圧(熱プレス)により接着して得るが、熱プレスの時点では、ゴム組成物は、既に加硫してあるものであっても、未加硫のものであってもよい。
【0204】
ゴム組成物に用いられるゴムは、変性ゴム(1)の原料に用いられる変性を受けるゴムとして上述したものと同様のものを用いることができる。
【0205】
加硫剤は、一般的なゴム加硫剤を用いることができる。例えば、硫黄系加硫剤、有機過酸化物系加硫剤、フェノール樹脂系加硫剤、その他の加硫剤が挙げられる。中でも、硫黄系加硫剤が好ましい。
具体的には、硫黄系加硫剤としては粉末硫黄、沈降性硫黄、高分散性硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が挙げられ、例えば、ゴム100重量部に対して、0.5〜4重量部程度を用いればよい。
また、有機過酸化物系加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が挙げられ、例えば、ゴム100重量部に対して、1〜15重量部程度を用いればよい。
更に、フェノール樹脂系加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が挙げられ、例えば、ゴム100重量部に対して、1〜20重量部程度を用いればよい。
その他、亜鉛華(ゴム100重量部に対して、5重量部程度)、酸化マグネシウム(同じく4重量部程度)、リサージ(同じく10〜20重量部程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(同じく2〜10重量部程度)、メチレンジアニリン(同じく0.2〜10重量部程度)等が挙げられる。
【0206】
ゴム組成物は、ゴムおよび加硫剤の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の添加剤、例えば、加硫促進剤、補強剤、老化防止剤、加工助剤、各種安定剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤等を含有することができる。
【0207】
本発明のタイヤは、上記熱可逆架橋ポリマー組成物と、上記ゴム組成物とを熱プレスにより接着して得られる。
熱プレスの条件は、特に限定されない。
温度は、120〜200℃であるのが好ましく、150〜180℃であるのがより好ましい。
圧力は、0.1MPa〜5MPaであるのが好ましく、0.1MPa〜1MPaであるのがより好ましい。
【0208】
ゴム組成物として、既に加硫してあるものを用いる場合には、熱可逆架橋ポリマー組成物とゴム組成物とを貼り合わせて熱プレスすると、熱可逆架橋ポリマーが溶融して投錨効果により加硫ゴム組成物と融着し、同時に熱可逆架橋ポリマー組成物とゴム組成物の界面付近に残存していた加硫剤のマイグレーションにより熱可逆架橋ポリマーとゴムとの間で架橋が生じる。これにより、熱可逆架橋ポリマー組成物とゴム組成物とが、非常に強固に接着する。
また、ゴム組成物として、未加硫のものを用いる場合には、熱可逆架橋ポリマー組成物とゴム組成物とを貼り合わせて熱プレスすると、ゴム組成物が含有する加硫剤によりゴム組成物全体が架橋し、同時に熱可逆架橋ポリマー組成物とゴム組成物の界面付近の加硫剤のマイグレーションにより熱可逆架橋ポリマーとゴムとの間で架橋が生じる。これにより、熱可逆架橋ポリマー組成物とゴム組成物とが、非常に強固に接着する。
【0209】
本発明のタイヤの構造は、特に限定されず、熱可逆架橋ポリマー組成物からなる部分を含む構造であればよい。
例えば、バイアスタイヤ、チューブレスタイヤ、ラジアルタイヤ、ベルテッドバイアスタイヤとすることができる。
また、空気入りタイヤであるのが好ましい。
【0210】
本発明のタイヤは、熱可逆架橋ポリマーの架橋が崩壊する温度より低い温度(例えば、走行中、タイヤの温度は100〜130℃程度まで上がるが、熱可逆架橋ポリマーの架橋崩壊温度(流動開始温度)よりは低い)においては、熱可逆架橋ポリマー組成物は優れた耐熱性を示し、かつ、熱可逆架橋ポリマー組成物とゴム組成物との間の接着が強固であり、その接着部分の強度はゴム単体の強度に匹敵する。一方、熱可逆架橋ポリマーの架橋が崩壊する温度以上の温度においては、熱可逆架橋ポリマーの架橋が崩壊し、熱可逆架橋ポリマー層が軟化するので、熱可逆架橋ポリマー組成物をゴム組成物から容易にはく離させることができる。従って、本発明のタイヤは、通常のゴム単体からなるタイヤと同様の強度特性および耐熱性を示し、一定温度に加熱すると、熱可逆架橋ポリマー組成物とゴム組成物とを容易にはく離させることができるので、リサイクル可能な製品とすることができる。
【0211】
本発明のタイヤにおいて、熱可逆架橋ポリマー組成物とゴム組成物とをはく離させる温度は、熱可逆架橋ポリマー組成物の架橋が崩壊する温度以上であればよいが、ゴム組成物が劣化する温度より低いことが好ましい。ゴム組成物が劣化する温度以上の温度であっても、加熱処理時間が短時間であれば、ゴム組成物の劣化が実質的に起こらないうちに、熱可逆架橋ポリマー組成物を溶解することができる。
【0212】
本発明のタイヤの用途は、特に限定されない。例えば、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、小型トラック・軽トラック用タイヤ、建設車両用タイヤ、農業機械用タイヤ、産業車両用タイヤ、航空機用タイヤ、自動二輪車用タイヤ、スノータイヤに用いることができる。
【0213】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
1.熱可逆架橋ポリマー組成物の調製
以下に示される原料をそれぞれ第4表に示される重量比で用いて、第4表に示される各実施例の熱可逆架橋ポリマー組成物および各比較例のゴム組成物を得た。なお、熱可逆架橋ポリマー組成物A、B、C、E、F、J、K、L、OおよびPは、上述した変性ゴム(1)を含有し、熱可逆架橋ポリマー組成物D、GおよびMは、上述した変性ゴム(2)を含有し、熱可逆架橋ポリマー組成物HおよびNは、上述した変性ゴム(3)を含有し、熱可逆架橋ポリマー組成物QおよびRは、上述した変性ゴム(4)を含有し、熱可逆架橋ポリマー組成物Sは、上述した変性ゴム(5)を含有し、熱可逆架橋ポリマー組成物Tは、上述した変性ゴム(6)を含有し、熱可逆架橋ポリマー組成物Uは、上述した変性ゴム(7)を含有し、熱可逆架橋ポリマー組成物Vは、上述した変性ゴム(8)を含有し、熱可逆架橋ポリマー組成物Wは、上述した変性ゴム(9)を含有する。
【0214】
▲1▼ゴム
i)SBR(スチレン−ブタジエンゴム):Nipol 1502、日本ゼオン社製、スチレン含有量23%
ii)SBR/無水マレイン酸付加物:SBR(Nipol 1502)に無水マレイン酸をブタジエンユニット当たり3mol%付加した変性ゴム
製造方法を以下に示す。
スチレン−ブタジエンゴム(Nipol 1502)300g(ブタジエンユニット4.3mol)をキシレン2.54lに溶解し、無水マレイン酸105g(1.1mol)及び、イルガノックス1520 180g(0.43mol)を加え、140℃にて20時間攪拌した。反応溶液をアセトニトリルに沈殿させ、減圧乾燥することにより無水マレイン酸を導入した変性スチレン−ブタジエンゴムを得た。SBRのモノマーユニットに対する無水マレイン酸の割合は3.0molであった。
iii )IR(イソプレンゴム)/無水マレイン酸付加物:IR(Nipol
IR−2200、日本ゼオン社製)に無水マレイン酸をブタジエンユニット当たり3mol%付加した変性ゴム
製造方法を以下に示す。
イソプレンゴム(Nipol IR−2200)260g(イソプレンユニット3.8mol)をキシレン2.54lに溶解し、無水マレイン酸186g(1.9mol)及び、イルガノックス1520 162g(0.38mol)を加え、140℃にて20時間攪拌した。反応溶液をアセトニトリルに沈殿させ、減圧乾燥することにより無水マレイン酸を導入した変性イソプレンゴムを得た。イソプレンユニットに対する無水マレイン酸の割合は3.0molであった。
iv)SEBS(スチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーの水素添加物)/無水マレイン酸付加物:SEBS(クレイトンG1652、シェル社製、スチレン/ゴム比 29/71wt%)に無水マレイン酸を100g当たり0.02mol付加したと考えられる変性熱可塑性エラストマー
【0215】
v)ハロゲン化アルキル含有ブチルゴム:Exxpro89−1、エクソン化学社製、臭素含有量1.2wt%
vi)酸無水物基と水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(エステル形成ゴム):
製造方法を以下に示す。
スチレン−ブタジエンゴム(Nipol 1502)300g(ブタジエンユニット4.3mol)をキシレン2.54Lに溶解し、無水マレイン酸105g(1.1mol)およびイルガノックス1520 180g(0.43mol)を加え、140℃で20時間かくはんし、反応させた。反応溶液をアセトニトリルに沈殿させ、減圧乾燥することにより、無水マレイン酸基を導入したスチレン−ブタジエンゴム(無水マレイン酸基含有SBR)を得た。得られた無水マレイン酸基含有SBRにおける導入された無水マレイン酸基の割合は、ブタジエンユニットに対し、3.0mol%であった。
得られた無水マレイン酸基含有SBR(変性率3mol%)100gに、1,6−ヘキサンジオール4.3gを加えて、ニーダーにより120℃、60rpm、20分間の条件で、かくはん混合して、酸無水物基と水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(エステル形成ゴム)を得た。
【0216】
vii)カルボキシル基とビニルエーテル基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(ヘミアセタールエステル形成ゴム):
製造方法を以下に示す。
イソプレンゴム(Nipol IR−2200)260g(イソプレンユニット3.8mol)をキシレン2.54Lに溶解し、無水マレイン酸186g(1.9mol)およびイルガノックス1520 162g(0.38mol)を加え、140℃で20時間かくはんし、反応させた。反応溶液をアセトニトリルに沈殿させ、減圧乾燥することにより無水マレイン酸基を導入したイソプレンゴム(無水マレイン酸基含有IR)を得た。得られた無水マレイン酸基含有IRにおける導入された無水マレイン酸基の割合は、イソプレンユニットに対し、3.0mol%であった。
得られた無水マレイン酸基含有IRをピリジン触媒中、メタノールと反応させ、カルボキシル基を導入したイソプレンゴム(カルボキシル基含有IR)を得た。
得られたカルボキシル基含有IR134.3g(69.1mmol)に1,4−ブタンジオールジビニルエーテル4.91g(69.1mmol)およびイルガノックス1520 2.77g(全体の2重量%)を加えて、ニーダーにより180℃、60rpm、10分間の条件で、かくはん混合して、カルボキシル基とビニルエーテル基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(ヘミアセタールエステル形成ゴム)を得た。
【0217】
viii)ハロゲン化アルキル基と第三級アミノ基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(アイオネン形成ゴム):
製造方法を以下に示す。
ハロゲン化アルキル含有ブチルゴム(Exxpro89−1)459g(68.94mmol)にテトラメチルヘキサンジアミン5.94gを加え、ニーダーにより、120℃、60rpm、20分間の条件で、かくはん混合して、ハロゲン化アルキル基と第三級アミノ基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(アイオネン形成ゴム)を得た。
【0218】
ix) イソシアネート基とフェノール性水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(ウレタン形成ゴム):
製造方法を以下に示す。
イソプレンゴム(Nipol IR−2200)200gをキシレン2Lに溶解し、4−メルカプトフェノール126g(1.0mol)を加え、140℃で20時間かくはんし、反応させた。反応溶液をメタノールに沈殿させ、減圧乾燥することによりフェノール性水酸基を導入したイソプレンゴム(フェノール性水酸基含有IR)を得た。得られたフェノール性水酸基含有IRにおける導入されたフェノール性水酸基の割合は、イソプレンユニットに対し、3.0mol%であった。
得られたフェノール性水酸基含有IR100gにジフェニルメタンジイソシアネート5.43gを加え、ニーダーにより120℃、60rpm、20分間の条件で、かくはん混合して、イソシアネート基とフェノール性水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(ウレタン形成ゴム)を得た。
【0219】
x)アズラクトン基とフェノール性水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(アズラクトン・フェノール付加ゴム):
製造方法を以下に示す。
ix) に示したのと同様の方法により、フェノール性水酸基含有IRを得た。
得られたフェノール性水酸基含有IR100gにビスアズラクトンブタン6.08gを加え、ニーダーにより120℃、60rpm、20分間の条件で、かくはん混合して、アズラクトン基とフェノール性水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴム(アズラクトン・フェノール付加ゴム)を得た。
【0220】
xi)ニトロソ基の二量化反応を架橋反応に利用した変性ゴム(ニトロソ二量体形成ゴム):
製造方法を以下に示す。
イソプレンゴム(Nipol IR−2200)200gをクロロホルム2Lに溶解し、塩化ニトロシル65.5g(1.0mmol)を加え、0℃で20時間かくはんし、反応させた。反応溶液をメタノールに沈殿させ、減圧乾燥することによりニトロソ基の二量化反応を架橋反応に利用した変性ゴム(ニトロソ二量体形成ゴム)を得た。得られたニトロソ二量体形成ゴムにおける導入されたニトロソ基の割合は、イソプレンユニットに対し、4.0mol%であった。
【0221】
▲2▼配合剤
亜鉛華:銀嶺亜鉛華R、東邦亜鉛社製
ステアリン酸:ビーズステアリン酸、日本油脂社製
カーボンブラック:ショウブラックN339 HAF−HS
アロマオイル:デゾレックス3号、昭和シェル石油社製
老化防止剤1(N−(1,3−ジメチルブチル)−N´−フェニル−P−フェニレンジアミド):サントフレックス13、日本モンサント社製
老化防止剤2(ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−タ−シャリブチル−4−ヒドロキシフェニール)プロピオネート]):Irganox1010、日本チバガイギー社製
硫黄:油処理硫黄、軽井沢精練所社製
加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ペンゾチアジルスルフェンアミド):サンセラーCM−PO、三新化学工業社製
1,6−ヘキサンジオール
1,8−ヘキサンジオール
アミノトリアゾール(3−アミノ−1,2,4−トリアゾール)
アミノピリジン
ドデシルアミン
ステアリルアミン
メタノール
フルフリルアルコール
DPBM(ジフェニルビスマレイミド)
【0222】
2.熱可逆架橋ポリマー組成物等の物性
上記で得られた各熱可逆架橋ポリマー組成物およびゴム組成物の物性を評価した。
(1)引張試験
JIS K6251の規定に準拠して、引張強さ(破断強度)、伸び(破断伸び)および200%モジュラスの測定を行った。
(2)流動開始温度
高化式フローテスター(島津CFT−500)を用いて、10Mpaの圧力下で加温することにより、長さ10mm、直径1mmのキャピラリーから流出を開始する温度を測定した。
(3)リサイクル性
190℃の熱プレスにより溶解した後室温まで冷却するという工程を可逆的に繰り返した場合において、外観を悪化させることなく繰り返しできる回数を観察した。リサイクル性は、3回以上のものを良好(◎)、1〜2回のものを可(○)、0回のものをリサイクル性なし(×)と評価した。
【0223】
熱可逆架橋ポリマー組成物A〜Wおよびゴム組成物A〜Lの物性を第4表に示す。
上述した変性ゴム(1)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、更にドナーを有する化合物を含有するもの(B、EおよびL)は、流動開始温度がそれほど高くなく、リサイクル性に優れるという特徴を有することが分かる。
上述した変性ゴム(1)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、更にドナーを有する化合物を含有しないもの(A、C、F、J、K、OおよびP)は、流動開始温度が高く、リサイクル性に優れるという特徴を有することが分かる。上述した変性ゴム(2)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物(D、GおよびM)は、流動開始温度がそれほど高くなく、リサイクル性に優れるという特徴を有することが分かる。
上述した変性ゴム(3)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物(HおよびN)は、化学結合を形成しているので、流動開始温度が高く耐熱性に優れ、リサイクル性に優れるという特徴を有することが分かる。
上述した変性ゴム(4)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物(QおよびR)、変性ゴム(5)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物(S)、変性ゴム(6)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物(T)、変性ゴム(7)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物(U)、変性ゴム(8)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物(V)および変性ゴム(9)を含有する熱可逆架橋ポリマー組成物(W)は、化学結合を形成しているので、流動開始温度が高く耐熱性に優れ、リサイクル性に優れるという特徴を有することが分かる。
【0224】
【表7】
Figure 0004125452
【0225】
【表8】
Figure 0004125452
【0226】
【表9】
Figure 0004125452
【0227】
3.熱可逆架橋ポリマー組成物を用いたタイヤの製造
熱可逆架橋ポリマー組成物A〜Dを用いて、タイヤを製造した。
(実施例1)
図1(a)およびその拡大図(b)において、トレッド溝底の熱可逆架橋ポリマー組成物21が、熱可逆架橋ポリマー組成物Aであるタイヤを製造した。
このタイヤは、加熱により熱可逆架橋ポリマー組成物を溶解して除去し、溝の深さを深くすることができた。従来の増し彫り加工よりも精度よくトレッドを成形でき、生産性もよいものであった。
【0228】
(実施例2)
図1(c)において、サイドウォール1の表面に、熱可逆架橋ポリマー組成物Aからなる被覆層22を有するタイヤを製造した。
このタイヤは、加熱により、被覆層22の傷がついた部分等を溶解したり、被覆層22全体を除去した後に新しいサイドウォールを貼り合わせ、再形成したりすることができた。
(比較例1)
被覆層22を有しない以外は実施例2と同様のタイヤを製造した。
このタイヤは、リサイクル性がなかった。
【0229】
(実施例3)
図2(a)において、接着層23が熱可逆架橋ポリマー組成物Aからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、加熱により接着層23を溶解してトレッド2をはく離し、新たなトレッド部を再貼り合わせすることにより、タイヤの他の部材をそのまま再利用することができた。
【0230】
(実施例4)
図2(b)において、アンダートレッド4が熱可逆架橋ポリマー組成物Aからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、加熱によりトレッド2をはく離し、新たなトレッド部を再貼り合わせすることにより、タイヤの他の部材をそのまま再利用することができた。
【0231】
(実施例5)
図3(a)において、接着層24が熱可逆架橋ポリマー組成物Cからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、加熱により接着層24を溶解してベルト5の金属コードを含む部分を取り出し、金属コードを再利用したり、タイヤの他の部材をそのまま再利用したりすることができた。
【0232】
(実施例6)
図3(b)において、接着層25が熱可逆架橋ポリマー組成物Cからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、加熱により接着層25を溶解することにより、トレッド部材とベルト部材の一括解体・更正が可能であった。
【0233】
(実施例7)
図3(c)において、接着層26が熱可逆架橋ポリマー組成物Cからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、加熱により接着層26を溶解することにより、2Bのみの補修・更正が可能であった。
【0234】
(実施例8)
図4(a)において、接着層27が熱可逆架橋ポリマー組成物Bからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、加熱により接着層27を溶解してサイドウォール1をはく離し、新たなサイドウォール部を再貼り合わせすることにより、タイヤの他の部材をそのまま再利用することができた。
【0235】
(実施例9)
図4(b)において、サイドウォール1のアンダートレッド4およびカーカス6と接する部分1´が熱可逆架橋ポリマー組成物Cからなるタイヤを製造した。このタイヤは、加熱により熱可逆架橋ポリマー組成物Cからなる部分1´を溶解すると、トレッド部材の端部にはく離部分ができるので、その部分からはく離させることによって、トレッド部材全体の解体作業が効率よく行うことができた。
【0236】
(実施例10)
図5(a)において、接着層28が熱可逆架橋ポリマー組成物Bからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、加熱により接着層28を溶解し、ビードフィラー部からはく離することが容易となり、部品の分別回収が可能であった。
【0237】
(実施例11)
図5(b)において、ビードフィラー7全体が、熱可逆架橋ポリマー組成物Bからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、実施例10と同様の効果の他、ビードフィラー形状が滑らかとなり、耐久性が向上するという利点があった。
【0238】
(実施例12)
図5(c)おいて、ビードフィラー7およびビードコア8全体が、熱可逆架橋ポリマー組成物Bからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、実施例11と同様の効果の他、加熱により、ビードフィラー7およびビードコア8の全体が溶解するので、カーカス6の巻き上げ部(リムクッション)の解体が容易になるという利点があった。
【0239】
(実施例13)
図6(a)において、接着層29が熱可逆架橋ポリマー組成物Bからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、加熱により接着層29を溶解して、インナーライナー部を容易にはく離することができ、部品の分別回収が可能であった。
【0240】
(実施例14)
図6(b)において、インナーライナー9全体が、熱可逆架橋ポリマー組成物Bからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、実施例13と同様の効果の他、インナーライナーに生じたパンク穴を加熱溶解することにより修理することが可能となり、また、インナーライナーの熱可逆架橋ポリマー組成物と接着し得る組成からなるパッチ片を加熱接着させることが可能となるので、容易に補修することができた。
【0241】
(実施例15)
図7において、ベルトエッジクッション10全体が、熱可逆架橋ポリマー組成物Cからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、加熱により、ベルトエッジクッション部から、サイドウォール1等を容易にはく離することができ、部品の分別回収が可能であった。
【0242】
(実施例16)
図8において、接着層30が熱可逆架橋ポリマー組成物Bからなり、接着層31が熱可逆架橋ポリマー組成物Cからなるタイヤを製造した。
このタイヤは、接着層30の熱可逆架橋ポリマー組成物Bとして、接着層31の熱可逆架橋ポリマー組成物Cよりも流動開始温度が低いものを用いた。
初めに、接着層30の熱可逆架橋ポリマー組成物Bの流動開始温度151℃より高く、かつ、接着層31の熱可逆架橋ポリマー組成物Cの流動開始温度185℃より低い、170℃に加熱することにより、接着層30のみを溶解し、トレッド部の解体、更正を行うことができた。
トレッド部の解体、更正を行い、一旦冷却した後、接着層31の熱可逆架橋ポリマー組成物Cの流動開始温度185℃より高い、190℃に加熱することにより、接着層30および31を溶解して解体し、新しいトレッド、サイドウォールおよびベルトを貼り合わせて更正することができた。
【0243】
(実施例17)
図9(a)およびその拡大図(b)において、熱可逆架橋ポリマー組成物被覆層52が熱可逆架橋ポリマー組成物Cからなり、ベルトコード51がスチールコードであるタイヤを製造した。
このタイヤは、加熱により被覆層52が溶解し、ベルトコード51の回収、再利用・再資源化が可能であった。
【0244】
(実施例18)
図9(a)およびその拡大図(c)において、熱可逆架橋ポリマー組成物被覆層52が熱可逆架橋ポリマー組成物Cからなり、ゴム組成物被覆層53がゴム組成物Aからなり、ベルトコード51がスチールコードであるタイヤを製造した。このタイヤは、加熱により被覆層52が溶解し、ベルトコード51およびゴム組成物被覆層53の回収、再利用が可能であった、また、このタイヤの製造には、従来の金属−ゴム接着技術を用いることができた。
【0245】
(実施例19)
図10(a)において、接着層32が熱可逆架橋ポリマー組成物Cからなり、トレッド2その他の構成部材の全てが、予め加硫されたゴム組成物からなるタイヤを製造した。
具体的には、予め加硫されたトレッド部材に熱可逆架橋ポリマー組成物を剛性支持台の上で貼り合わせ、更に別途加硫されたケーシング部と剛性支持台の上で貼り合わせた後、加熱して一体化することにより得た。トレッド部材およびケーシング部の各部材は、予め最適な条件で加硫されたものを用いた。
このタイヤは、一体加硫工程を省略することができるので、生産性が高かった。また、加熱により接着層32が容易にはく離し、リサイクル等することができた。
【0246】
(実施例20)
図10(b)において、接着層33が熱可逆架橋ポリマー組成物Dからなり、トレッド2が未加硫のゴム組成物からなり、トレッド2以外の構成部材の全てが、予め加硫されたゴム組成物からなるタイヤを製造した。
具体的には、未加硫のトレッド部材に熱可逆架橋ポリマー組成物を貼り合わせ、更に別途加硫されたケーシング部と貼り合わせた後、トレッド部用加硫金型を用いて加熱してトレッド部材の加硫とともに全体を一体化することにより得た。このタイヤは、加硫すべきゴムの厚さが少ないので、短い加硫時間で加硫することができ、加硫生産性が高かった。また、加熱により接着層33が容易にはく離し、リサイクル等することができた。
【0247】
【発明の効果】
本発明のタイヤは、一部に摩耗や破損が生じた場合に、その部分のみを容易に交換できる。また、本発明のタイヤは、使用中または使用後に、構成部材ごとに解体することが容易である。従って、タイヤの構成部材の再利用、リサイクルを容易に行うことができるので、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(c)は、本発明のタイヤの一例の部分断面図である。
【図2】 (a)および(b)は、本発明のタイヤの一例の部分断面図である。
【図3】 (a)〜(c)は、本発明のタイヤの一例の部分断面図である。
【図4】 (a)および(b)は、本発明のタイヤの一例の部分断面図である。
【図5】 (a)〜(c)は、本発明のタイヤの一例の部分断面図である。
【図6】 (a)および(b)は、本発明のタイヤの一例の部分断面図である。
【図7】 本発明のタイヤの一例の部分断面図である。
【図8】 本発明のタイヤの一例の部分断面図である。
【図9】 (a)は、本発明のタイヤの一例の部分断面図である。(b)は、(a)に示されるタイヤのベルトの一例を示す模式図である。(c)は、(a)に示されるタイヤのベルトの別の例を示す模式図である。
【図10】 (a)および(b)は、本発明のタイヤの一例の模式図である。
【符号の説明】
1 サイドウォール
1´ サイドウォールの一部
2 トレッド
3 キャップトレッド
4 アンダートレッド
5 ベルト
6 カーカス
6´ カーカスの巻上げ部
7 ビードフィラー
8 ビードコア
9 インナーライナー
10 ベルトエッジクッション
21 熱可逆架橋ポリマー組成物
22 被覆層
23、24、25、26、27、28、29、30、31、32 接着層
51 ベルトコード
52 熱可逆架橋ポリマー組成物被覆層
53 ゴム組成物被覆層

Claims (20)

  1. コードを除いた部分の少なくとも一つのタイヤ構成部材が、そのうちの少なくとも他の部材と接する部分の一部が流動開始温度80℃以上の熱可逆架橋ポリマー組成物からなるタイヤ構成部材であるタイヤであって、
    前記タイヤ構成部材が、トレッド部材、ベルト部材、サイド部材、ビードフィラー部材、インナーライナー部材、その他の部材またはこれらの組み合わせであるタイヤ
  2. コードを除いた部分の少なくとも一つのタイヤ構成部材が、他の隣接する部材との間の少なくとも一部に、流動開始温度80℃以上の熱可逆架橋ポリマー組成物からなる接着層を有するタイヤであって、
    前記タイヤ構成部材が、トレッド部材、ベルト部材、サイド部材、ビードフィラー部材、インナーライナー部材、その他の部材またはこれらの組み合わせであるタイヤ
  3. 前記タイヤ構成部材の少なくとも一つが、トレッド部材である請求項またはに記載のタイヤ。
  4. 前記タイヤ構成部材の少なくとも一つが、ベルト部材である請求項のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 前記タイヤ構成部材の少なくとも一つが、サイド部材である請求項のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 前記タイヤ構成部材の少なくとも一つが、ビードフィラー部材である請求項のいずれかに記載のタイヤ。
  7. 前記タイヤ構成部材の少なくとも一つが、インナーライナー部材である請求項のいずれかに記載のタイヤ。
  8. 前記その他の部材の少なくとも一つが、ベルトエッジクッションである請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ
  9. 少なくとも一つの補強コードを被覆する部材の少なくとも一部が熱可逆架橋ポリマー組成物からなる請求項〜8のいずれかに記載のタイヤ。
  10. 熱可逆架橋ポリマー組成物からなる部分と接触する部分の少なくとも一部が、予め加硫されたゴム組成物からなる請求項1〜9のいずれかに記載のタイヤ。
  11. 前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、水酸基、第一級アミノ基および第二級アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つと、第三級アミノ基およびカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つとによる水素結合を形成しうる反応部位を有する変性ゴムである請求項1〜10のいずれかに記載のタイヤ。
  12. 前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、下記式(1)〜(5)の少なくとも1つの基を有する請求項11に記載のタイヤ。
    Figure 0004125452
  13. 前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、側鎖に有機塩構造を有する変性ゴムである請求項1〜12のいずれかに記載のタイヤ。
  14. 前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、共役ジエン構造とジエノフィル構造からディールス−アルダー反応によって形成される架橋構造を有する変性ゴムである請求項1〜13のいずれかに記載のタイヤ。
  15. 前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、酸無水物基と水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴムである請求項1〜14のいずれかに記載のタイヤ。
  16. 前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、カルボキシル基とビニルエーテル基との反応を架橋反応に利用した変性ゴムである請求項1〜15のいずれかに記載のタイヤ。
  17. 前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、ハロゲン化アルキル基と第三級アミノ基との反応を架橋反応に利用した変性ゴムである請求項1〜16のいずれかに記載のタイヤ。
  18. 前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、イソシアネート基とフェノール性水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴムである請求項1〜17のいずれかに記載のタイヤ。
  19. 前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、アズラクトン基とフェノール性水酸基との反応を架橋反応に利用した変性ゴムである請求項1〜18のいずれかに記載のタイヤ。
  20. 前記熱可逆架橋ポリマー組成物のうち、少なくとも一箇所に用いられる熱可逆架橋ポリマー組成物が含有する熱可逆架橋ポリマーが、ニトロソ基の二量化反応を架橋反応に利用した変性ゴムである請求項1〜19のいずれかに記載のタイヤ。
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