JP4056717B2 - 半導体レーザおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体レーザに関し、特に光ディスクシステムや情報処理あるいは光通信用の光源として用いられる半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体レーザ素子の製造工程においては、第一導電型半導体基板上に少なくとも第一導電型クラッド層、活性層、第二導電型クラッド層を形成する1回目の結晶成長を行い、活性層への電流注入を行う領域を形成するストライプ形成工程を経て、ストライプ部を埋め込むエピタキシャル成長を行い、デバイスが形成される。
【0003】
例えば、図4に示すようなリッジ型の半導体レーザ素子の製造工程では、一般的に3回の結晶成長(ダブルへテロ構造形成、電流ブロック層形成、埋め込み層形成)の工程を含む。先ず図4(a)に示すように、n型基板1上に第1回目の結晶成長により、n型クラッド層2、活性層3、およびp型クラッド層4を順次堆積成長させる。次に図4(b)に示すように、フォトリソグラフ技術を用いて、p型クラッド層4をエッチングしてリッジ部4aを形成する。次に図4(c)に示すように、第2回目の結晶成長により、n型電流ブロック層8を形成する。次に図4(d)に示すように、第3回目の結晶成長により、p型埋込層16を形成し、更にp型コンタクト層7を形成する。最後に図4(e)に示すように、p型コンタクト層7上にp側オーミックコンタクト電極13を、n型基板1の底面にn側オーミックコンタクト電極12を形成する。
【0004】
図5に示す溝型の半導体レーザ素子の場合でも、2回の結晶成長(ダブルへテロ構造形成、埋め込み層形成)が必要である。先ず図5(a)に示すように、n型基板1上に第1回目の結晶成長により、n型クラッド層2、活性層3、p型クラッド層4、およびn型電流ブロック層8を順次堆積成長させる。次に図5(b)に示すように、フォトリソグラフ技術を用いて、n型電流ブロック層8をエッチングして溝部8aを形成する。次に図5(c)に示すように、第2回目の結晶成長により、p型埋込層16を形成し、更にp型コンタクト層7を形成する。最後に図5(d)に示すように、p側オーミックコンタクト電極13およびn側オーミックコンタクト電極12を形成する。
【0005】
このような複数回の結晶成長は、レーザチップの製造コストの低減に大きな障害となっていた。そこで埋込結晶成長を省略し、1回の結晶成長で半導体レーザ素子を作製する手法として、リッジ型導波路構造を形成し、SiO2やSi3N4等の誘電体膜により電流狭窄および光の閉じ込めを行う素子が開発、生産されている(例えば、J. Hashimoto et. al., IEEE J. Quantum Electron, vol. 33, pp.66-70, 1997を参照)。その一例を図6に示す。先ず図6(a)に示すように、1回目の結晶成長により、n型基板1上に、n型クラッド層2、活性層3、p型クラッド層4、およびp型コンタクト層7を順次堆積成長させ、ダブルへテロ構造を形成する。次に図6(b)に示すように、フォトリソグラフ技術を用いて、p型コンタクト層7およびp型クラッド層4をエッチングしてリッジ部4bを形成する。次に図6(c)に示すように、絶縁膜(誘電体膜)11を形成し、更にレジストマスク11aをパターン形成する。次に図6(d)に示すように、レジストマスク11aを用いて絶縁膜(誘電体膜)11をエッチングしてp型コンタクト層7を露出させる。最後に図6(e)に示すように、p側オーミックコンタクト電極13およびn側オーミックコンタクト電極12を形成する。
【0006】
また、同様なリッジ型半導体レーザが、特開昭63−90879号公報、特開平5−327113号公報、特開平12−164986号公報に開示されている。これらの大半は、再成長(選択成長)によるリッジ部形成手法を採用しており、製造コストの点では図6に示す構成より高くなると予想される。一方、これらの構成の共通点として、リッジ型半導体レーザで埋め込み成長が省略できることに加えて、リッジ部の最上層にコンタクト層を形成し、コンタクト層上に絶縁膜を形成せず直接電極を形成することでコンタクトを形成している点が挙げられる。従って、コンタクト層はリッジ上部の狭い領域に限られ、コンタクト面積が狭くなるため、素子抵抗の増大が大きな問題となる。図4および図5に示すように、埋め込み成長を行う従来構造の半導体レーザでは、コンタクト層が素子表面に広域に形成できるため、電極との接触面積を広く取れ、コンタクト抵抗が増大する問題は少ない。
【0007】
絶縁膜をマスクとして、選択成長によりリッジ部を形成する製造方法を、図7に示す。まず図7(a)に示すように、一回目結晶成長によりn型基板1上に、n型クラッド層2、活性層3、およびp型クラッド層4を順次堆積成長させ、更に酸化防止層70を積層する。次に図7(b)に示すように、絶縁層である保護膜71を堆積させ、フォトリソグラフ技術を用いて外側部分の領域の保護膜71を除去した後、その領域に、1回目の選択成長によりn型電流ブロック層8を形成する。さらに図7(c)に示すように、フォトリソグラフ技術を用いて、保護膜71の中心部分にリッジ形成用の開口部を開けた後、2回目の選択成長によりp型第2クラッド層72、p型コンタクト層73を順次堆積成長させる。最後に図7(d)に示すように、p側オーミックコンタクト電極13およびn側オーミックコンタクト電極12を形成する。
【0008】
この方法の場合は、コンタクト層付近に絶縁膜は存在しないため、図7(d)に示すように選択成長(コンタクト層形成)後に直接電極形成を行えば、コンタクトを形成できる。しかしながら、図7(a)〜(d)に示すように複数回の結晶成長を要するため、製造コストが高くなる問題がある。
【0009】
一方、図6に示すような選択エッチングによりリッジ部を形成する場合は、絶縁膜をリッジ形成後に製膜するため、コンタクト層上の絶縁膜を開口する必要がある。
【0010】
特開平4−329688号公報には、誘電体膜で電流狭窄したリッジ型半導体レーザを製造するために、埋込結晶成長を省略したリッジ型半導体レーザにおいて、リフトオフにより絶縁膜のパターン形成を行う例が開示されている。この例を図8に示す。まず図8(a)に示すように、ダブルヘテロ構造を形成した後レジストマスク80を形成し、エッチングを行って、図8(b)に示すようにリッジ部を形成する。次に庇を有するレジストマスク80を残して、図8(c)に示すように絶縁膜(誘電体膜)11をスパッタリング法で形成する。次に、図8(d)に示すように、レジストマスク80とともにリッジ上の絶縁膜11をリフトオフすることで、リッジ部の電流注入部を形成する。最後に図7(e)に示すように、電極を形成する。
【0011】
この方法では、レジストマスク80の庇の大きさでリッジ部斜面の絶縁膜形状が大きく影響される問題がある。庇が大きい場合には、リッジ部斜面に絶縁膜が形成されにくくなるため、リッジ部形成後にコンタクト層に庇が形成されないことが望ましい。従って図9(a)に示すように、選択成長により作製した場合と同様のリッジ形状となり、庇形成によるコンタクト層の表面積の拡大は原理上困難である。
【0012】
また、リッジ上部の絶縁膜を選択的に除去する公知の方法として、ドライエッチングによるエッチバック法が挙げられる。例えば、リッジ部形成後に絶縁膜を全面に形成し、レジストをリッジ上部が最も薄くなるように塗布し、O2プラズマ処理によりレジストをエッチングし、リッジ部上面の最も薄いレジストが完全にエッチングされた後、絶縁膜を選択的にエッチングする。この場合はリッジ部上の絶縁膜を選択的に除去できるが、プロセスの複雑化や高コスト化および面内分布の安定性に課題があると考えられる。また、この方法では原理上、図9(b)に示すようにコンタクト層表面の絶縁膜を除去するのみであり、十分なコンタクト面積が得られず、素子抵抗の大幅な低減は困難と考えられる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、埋め込み成長を省略したリッジ型半導体レーザでは、リッジ形成手法を選択成長法とした場合も、選択エッチング法を用いた場合も、リッジ部の一部で電極と直接コンタクトを形成する構成となる。特に選択エッチング法では、コンタクト窓部の大きさ及び位置を精度良く作製する方法が容易ではないため、コンタクト抵抗ひいては素子抵抗の増大並びにばらつきが課題となる。
【0014】
図6(d)に示したような、結晶成長が一回の低コストなリッジ型半導体レーザ素子(以下、低コストレーザ)では、リッジ部形成に選択エッチング法が必須であり、また絶縁膜をリッジ部のコンタクト層表面で選択的に除去する工程を要する構成となる。埋め込み成長を行わないため、コンタクト層表面積が小さくなることに加えて、一般的には前述のようにコンタクト窓部の大きさ及び位置精度が十分高くないため、電極との接触面積が大きく取れないことから、選択成長法の場合と比較して、コンタクト抵抗の低減は一層困難であった。
【0015】
本発明は、結晶成長1回で安価に作製できるリッジ型半導体レーザにおいて、コンタクト抵抗を低減し、その結果、素子抵抗を低減できる半導体レーザの構造、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体レーザは、複数の化合物半導体層の積層体と、上側電極と、下側電極とを備えた屈折率導波型リッジ構造の半導体レーザである。リッジ部の最上層が高濃度ドーピングされた化合物半導体層からなるコンタクト層であり、前記コンタクト層の下部に位置して前記コンタクト層と接する第二半導体層は、その上面の幅が前記コンタクト層の底面の幅より狭い。前記リッジ部における前記コンタクト層の上面、その両側面全体および底面に、前記上側電極が直接接しており、前記コンタクト層の上面、両側面全体、および底面以外の前記リッジ部の表面は絶縁膜で覆われている。
【0017】
上記の構成により、コンタクト層の表面だけでなく、その両側面あるいは底面も含めて上側電極と接触するため、接触面積が増大してコンタクト抵抗が低減がされる。しかも、一般的に高Al組成となる第二半導体層(クラッド層)には電極が直接接触しないため、電極剥がれ等の問題は発生しない。また、コンタクト層は電極剥がれを抑制するため、GaAsのようにAl組成の低い半導体層(Al組成<20%)が望ましい。
【0018】
更に、上記構成のように、コンタクト層が庇になるようにコンタクト層の下層の幅を狭くすることにより、コンタクト層の表面積が増加し、上側電極との接触面積が更に増加して、コンタクト抵抗の更なる低減が実現できる。
【0019】
しかし庇が大きすぎると、拡散プロセス途中で庇部の破損が発生するため、前記コンタクト層の膜厚をd、前記コンタクト層のストライプ方向と垂直な方向の底面幅をA、前記第二半導体層のストライプ方向と垂直な方向の上面幅をBとしたとき、0.1<d<1.0μm、(A−B)/B<2、0.5μm<A<10μmであることが望ましい。
【0021】
本発明の半導体レーザの製造方法は、n型半導体基板上に、活性層をこの活性層より禁制帯幅が大きいクラッド層で挟み込みんだダブルへテロ構造、高濃度ドーピングしたp型コンタクト層、およびn型またはアンドープ半導体層をこの順番に積層する工程と、前記n型またはアンドープ半導体層の一部または全部を除去する工程と、前記p型コンタクト層および前記クラッド層の一部を前記p型コンタクト層が庇になるように選択的に除去する工程と、ウエーハ表面を絶縁膜で被覆する工程と、レジストを前記p型コンタクト層上に開口部を有するよう形成する工程と、前記レジストをマスクとして前記絶縁膜を選択的に除去する工程と、ウエーハ表面を金属電極で被覆し電極を形成する工程とを有する。
【0022】
コンタクト層(高濃度層)の庇は、この方法のようにリッジ部をエッチングにより形成することで容易に実現できるものであり、選択成長方法では実現が難しい。
【0023】
また素子抵抗の低減方法として、p型半導体層でのZnドーパントの活性化が有効となる。この現象は特にAlGaInP系の赤色半導体レーザ等で使用されるP系半導体層で顕著である。Znドーパントの活性化には、p型半導体層の形成後に熱処理を行うか、上記本発明の方法のように、高濃度ドープp型コンタクト層成長後に、n型またはアンドープの半導体層を特定膜厚(約0.3μm以上)形成することが有効である。
【0024】
図10に、AlGaInP系の赤色半導体レーザにおける、n型またはアンドープの半導体層膜厚dと、Znドーパントの活性化率の関係を示す。図10(b)に示す層構造において、n型(またはアンドープ)半導体層の膜厚をdとすると、図10(a)に示すように、d>3000Å(0.3μm)で、p型クラッド層のZnドーパントの活性化率は十分に高くなることが判る。
【0025】
埋め込み成長を行う半導体レーザにおいては、埋め込み成長時にZnの活性化が行えるが、本発明の低コストレーザでは埋め込み成長を行わないため、Znの活性化に前述の手法が有効となる。半導体レーザでは一般的に基板はn型を採用するため、コンタクト層がp型層となり、上記内容が適用可能となる。即ち、結晶成長時にコンタクト層上にn型またはアンドープの半導体層を予め形成し、選択的に除去することで、コンタクト抵抗ならびに素子抵抗の低減が実現できる。
【0026】
一方で、選択成長によりリッジ部を形成する手法を採用しても、次の点で課題が多い。(1)コンタクト層はその下層に続いて結晶成長されるため、図9(a)に示すようにコンタクト層は庇の無い形状となり、電極との接触面はコンタクト層の上面と側面のみに制約される。(2)コンタクト層の下層のAl組成が高い(Al組成>0.5)クラッド層にも電極が接触するため、電極剥がれの恐れがある。(3)コンタクト層上に更に半導体層を形成する場合は、その選択的な除去は非常に困難となるため、本発明のようにZnドーパントの活性化を行うのは難しい。
【0027】
コンタクト層(高濃度層)のドーピング濃度は、5×1018cm-3以上5×1019cm-3以下が望ましい。ドーピング濃度は高いほど望ましいが、高濃度ドーピングには結晶成長温度の低下が必要となり、結晶成長温度低下により結晶性が低下するため、前記上限値以下とする。
【0028】
また、コンタクト層の膜厚は厚いほど、コンタクト層の表面積が大きくなり、接触面積が拡大できるため望ましい。しかしながら、厚すぎるとリッジ部の高さが高くなり、リッジ部側を接合面とした組み立て時に、リッジ部が応力を受けやすくなり、素子特性の劣化に繋がる恐れがある。また、薄いと高濃度層の表面積が減少するほかに、コンタクト層の庇が大きい場合に、プロセス途中で庇が割れて、コンタクト層面積が減少する恐れもある。これは、素子のストライプ幅の設定に大きく影響される。以上の理由を考慮して、コンタクト層の膜厚は0.3〜1.0μmが望ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図1を参照して説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における半導体レーザ素子の構造およびその製造方法を示す。実施の形態1は、AlGaAs系材料を用いたリッジ型の半導体レーザ素子に本発明を適用した例である。
【0031】
まず図1(a)に示すように、n−GaAs基板101を結晶成長装置(図示せず)内に設置し、第一回目の結晶成長によりn−GaAs基板101上に、n−AlGaAsクラッド層102(n−Al0.5Ga0.5As、キャリア濃度1E18cm-3、厚さ1.0μm)、ノンドープ量子井戸活性層103、p−AlGaAs第一クラッド層104(p−Al0.5Ga0.5As、キャリア濃度1E18cm-3、厚さ0.2μm)、p−AlGaAsエッチングストップ層105(p−Al0.20Ga0.80As、キャリア濃度1E18cm-3、厚さ100Å)、p−AlGaAs第二クラッド層106(p−Al0.5Ga0.5As、キャリア濃度1E18cm-3、厚さ1μm)、p−GaAsコンタクト層107(p−GaAs、キャリア濃度2E19cm-3、厚さ0.4μm)、n−AlGaAs電流ブロック層108(n−Al0.5Ga0.5As、キャリア濃度1E18cm-3、厚さ0.1μm)及びn−GaAs保護層109(キャリア濃度1E18cm-3、厚さ0.4μm)を順次堆積成長させる。
【0032】
活性層103は、Al0.07Ga0.93As井戸層(厚さ65Å)、Al0.3Ga0.7As障壁層(厚さ50Å)及び同組成のガイド層(厚さ550Å)から成る三重量子井戸構造である。
【0033】
次に、上記の半導体層が形成されたn−GaAs基板101を成長装置から取り出し、公知の選択エッチング技術を用いて、図1(b)に示すように、p−GaAsコンタクト層107に到達するようにn−AlGaAs電流ブロック層108及びn−GaAs保護層109をエッチングする。なお図1(b)には、n−AlGaAs電流ブロック層108及びn−GaAs保護層109が全部除去された例を示した。
【0034】
次に公知のフォトリソグラフ技術を用いて図1(b)に示すように、p−GaAsコンタクト層107上に、ストライプ状のSiO2マスク110を形成する。このSiO2マスク110をエッチングマスクとして、公知の選択エッチング技術を用いて、図1(c)に示すように、p−AlGaAsエッチングストップ層105に到達するまで、p−GaAsコンタクト層107及びp−AlGaAs第二クラッド層106をリッジ状に加工する。
【0035】
本実施の形態では、AlGaAs層の選択エッチング液としてフッ化水素酸、GaAs層の選択エッチング液としてアンモニア水に過酸化水素水を加えた溶液を用いた。また、リッジ底部の幅(ストライプ幅)は1〜4μmとした。
【0036】
その後、図1(d)に示すように、ウエーハ表面にSiO2絶縁膜111を形成し、公知の高精度フォトリソグラフ技術であるステッパー露光法を用いて、レジストマスク114の開口部をp型コンタクト層107上に形成する。次に、図1(e)に示すように、p−GaAsコンタクト層107上のSiO2絶縁膜111(厚さ0.1〜0.3μm)をフッ化水素酸によるウエットエッチングにより除去する。最後に図1(f)に示すように、p−GaAsコンタクト層107側の上面にp側オーミック電極113を、n−GaAs基板101の下面にn側オーミック電極112を形成し、へき開法により共振器長を200μmに調整して、出射側端面には反射率30%、反対側端面には反射率50%のコーティング膜を各々形成する(図示せず)。
【0037】
以上のようにして作製されたリッジ型の半導体レーザ素子における、リッジ部の拡大断面を図2(b)、(c)に示す。図2(b)、(c)は、図2(a)に円で示すリッジ部Aの領域を拡大して示した図である。
【0038】
本実施の形態における素子の場合、リッジ部を形成する際に、フッ化水素酸系の異方性エッチング液を用いて、(100)面を主面とするGaAs基板上に形成したAlGaAs層を<011>方向にストライプ状にエッチングすることにより、図2(c)に示す順メサ構造が得られる。また、ストライプ方向を90°回転することにより、図2(b)に示す逆メサ構造が得られる。フッ化水素酸系のエッチング液は、(111)結晶面のエッチング速度が(100)面のそれと比較して十分小さいため、リッジ部の側面は(111)結晶面で形成される。
【0039】
図9(b)に示した従来例、すなわち、高濃度層表面のみを開口し、p型コンタクト層7のドーピング濃度を5E18cm-3としたリッジ型半導体レーザの場合、p側オーミック電極13をボンディング面としてSiCサブマウントに組み立てたときの素子抵抗は、約30Ωであった。これに対して、図2に示す本実施の形態におけるリッジ型半導体レーザの場合、高濃度層の表面に加え、側面のSiO2絶縁膜111も除去して電極との接触面積を拡大し、p型コンタクト層107のドーピング濃度を2E19cm-3としている。その結果、図2(c)に示す順メサ構造のリッジ型半導体レーザ素子を、上記と同様に組み立てたときの素子抵抗は、約8Ωであった。尚、この場合の素子の高濃度層上面の幅は、約1μmであった。
【0040】
また、素子抵抗値を下げる方法として、図2(b)に示すように、リッジ部Aを逆メサ形状とすることが挙げられる。幾何学的な計算から、リッジA上部の面積は、順メサ構造に対して逆メサ構造で約2〜3倍(リッジ高さ=1.0μm、ストライプ幅=3〜5μmの場合)となり、逆メサ構造により電極との接触面積が増すため、コンタクト抵抗が低減され、その結果、素子のシリーズ抵抗値を低減できる。
【0041】
本実施の形態1では、CD等の読み出しに用いられる低出力の半導体レーザ素子に本発明を適用する場合について説明したが、本発明は、AlGaInP系の赤色半導体レーザ、記録再生に用いられる高出力半導体レーザ素子、および自励発振型半導体レーザにも同様に適用できる。
【0042】
また、図6に示す従来構造では、p型コンタクト層7が結晶成長の最終層であり、Znドーパントが原子状水素により不活性化される現象(赤崎勇編著、III―
V族化合物半導体、培風館、pp.312-313参照)が発生し、素子抵抗が高くな
る課題もあった。これに対して図1に示す本実施の形態の構造では、n型半導体層をp型コンタクト層107上に成長させるため、水素による不活性化が抑制できる利点もある。Znの活性化はAlGaAs系の半導体レーザでは顕著ではないが、特にAlGaInP系の赤色半導体レーザの場合に顕著である。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態2における半導体レーザ素子の構造を図3に示す。図3(b)は、図3(a)に円で示すリッジ部Bの領域を拡大して示した図である。実施の形態2においては、リッジ部のエッチングを、フッ化水素酸およびアンモニア水に過酸化水素水を加えた溶液ではなく、酒石酸に過酸化水素水を加えた溶液(混合比は酒石酸:過酸化水素水=5:1(体積比))により形成する。それ以外は、実施の形態1と同様の構成である。エッチングストップ層105は、高Al組成のAlGaAs層(Al組成>0.7)か、P系半導体層とする事が望ましい。
【0044】
上記のエッチングにより、図3(b)に示すように、リッジ部において高濃度コンタクト層の庇は無くなり、選択成長で形成した場合のリッジ形状と同様となる。前記の酒石酸に過酸化水素水を加えた溶液は、GaAs層とAlGaAs層(Al組成<0.6)の選択性が無く、双方をエッチングするためである。
【0045】
本実施の形態2においても、ステッパーによる高精度マスク合わせ(パターン合わせ精度0.1μm以下)と選択エッチングにより、図3に示すような実施形態1と同様のSiO2絶縁膜111の形状が得られる。これによりAl組成の高いp型第二クラッド層106表面に電極を接触させず、高濃度ドープしたp型コンタクト層107の表面と側面に電極を接触させる構成とすることで、電極剥がれが無く、コンタクト抵抗を低減させる効果が得られる。
【0046】
【発明の効果】
本発明のリッジ型半導体レーザは、結晶成長1回で安価に作製でき、コンタクト抵抗が低減され、その結果素子抵抗が低減される。
【0047】
また、本発明の製造方法によれば、結晶成長1回でp型不純物であるZnが十分に活性化でき、埋め込み成長を行わないにもかかわらず素子抵抗の低減が容易に実現できる。尚、本発明の製造方法によるZnの活性化は、赤色半導体レーザに代表されるP系半導体材料でより顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1におけるリッジ型半導体レーザの構造およびその製造方法を示す断面図
【図2】 図1の半導体レーザにおけるリッジ部を拡大して示した断面図
【図3】 本発明の実施の形態2におけるリッジ型半導体レーザの断面図
【図4】 従来例のリッジ型半導体レーザの構造およびその製造方法を示す断面図
【図5】 従来例の溝型半導体レーザの構造およびその製造方法を示す断面図
【図6】 他の従来例のリッジ型半導体レーザの構造およびその製造方法を示す断面図
【図7】 更に他の従来例のリッジ型半導体レーザの構造およびその製造方法を示す断面図
【図8】 更に他の従来例のリッジ型半導体レーザの構造およびその製造方法を示す断面図
【図9】 従来例のリッジ型半導体レーザにおけるリッジ部を拡大して示した断面図
【図10】 (a)は、AlGaInP系の赤色半導体レーザにおける、n型またはアンドープの半導体層膜厚dと、Znドーパントの活性化率の関係を示すグラフ、(b)は、(a)のグラフを求めるために用いられた半導体レーザの層構造を示す断面図
【符号の説明】
1 n型半導体基板
2 n型クラッド層
3 活性層
4 p型第一クラッド層
5 p型エッチングストップ層
6 p型第二クラッド層
7 p型コンタクト層
8 n型電流ブロック層
9 n型保護層
10 SiO2マスク
11 絶縁膜(誘電体膜)
12 n側オーミックコンタクト電極
13 p側オーミックコンタクト電極
101 n−GaAs基板
102 n−AlGaAsクラッド層
103 活性層
104 p−AlGaAs第一クラッド層
105 p−AlGaAsエッチングストップ層
106 p−AlGaAs第二クラッド層
107 p−GaAsコンタクト層
110 SiO2マスク
111 SiO2絶縁膜
112 n側オーミック電極
113 p側オーミック電極
114 レジストマスク
Claims (8)
- 複数の化合物半導体層の積層体と、上側電極と、下側電極とを備えた屈折率導波型リッジ構造の半導体レーザにおいて、リッジ部の最上層が高濃度ドーピングされた化合物半導体層からなるコンタクト層であり、前記コンタクト層の下部に位置して前記コンタクト層と接する第二半導体層は、その上面の幅が前記コンタクト層の底面の幅より狭く、前記リッジ部における前記コンタクト層の上面、両側面全体、および底面に、前記上側電極が直接接しており、前記コンタクト層の上面、両側面全体、および底面以外の前記リッジ部の表面は絶縁膜で覆われていることを特徴とする半導体レーザ。
- 前記コンタクト層の膜厚をd、前記コンタクト層のストライプ方向と垂直な方向の底面幅をA、前記第二半導体層のストライプ方向と垂直な方向の上面幅をBとしたとき、0.1<d<1.0μm、(A−B)/B<2、0.5μm<A<10μmであることを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ。
- 前記コンタクト層のドーピング濃度が、5×1018cm-3以上5×1019cm-3以下であることを特徴とする請求項1または2記載の半導体レーザ。
- 前記絶縁層が、SiO2、SiNx、SiON、Al2O3、ZnO、S
iC、非晶質Siのいずれかの単層またはこれらの複数の層で形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ。 - 請求項1に記載の半導体レーザを製造する方法であって、n型半導体基板上に、活性層をこの活性層より禁制帯幅が大きいクラッド層で挟み込みんだダブルへテロ構造、高濃度ドーピングしたp型コンタクト層、およびn型またはアンドープ半導体層をこの順番に積層する工程と、前記n型またはアンドープ半導体層の一部または全部を除去する工程と、前記p型コンタクト層および前記クラッド層の一部を前記p型コンタクト層が庇になるように選択的に除去する工程と、ウエーハ表面を絶縁膜で被覆する工程と、レジストを前記p型コンタクト層上に開口部を有するよう形成する工程と、前記レジストをマスクとして前記絶縁膜を選択的に除去する工程と、ウエーハ表面を金属電極で被覆し電極を形成する工程とを有することを特徴とする半導体レーザの製造方法。
- 前記コンタクト層の膜厚をd、前記コンタクト層のストライプ方向と垂直な方向の底面幅をA、前記コンタクト層の下層のストライプ方向と垂直な方向の上面幅をBとしたとき、0.1<d<1.0μm、(A−B)/B<2、0.5μm<A<10μmであることを特徴とする請求項5記載の半導体レーザの製造方法。
- 前記コンタクト層のドーピング濃度が、5×1018cm-3以上5×1019cm-3以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の半導体レーザの製造方法。
- 前記絶縁層が、SiO2、SiNx、SiON、Al2O3、ZnO、
SiC、非晶質Siのいずれかの単層またはこれらの複数の層で形成されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の半導体レーザの製造方法。
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