JP4023183B2 - 回転機用無方向性電磁鋼板とその製造方法 - Google Patents
回転機用無方向性電磁鋼板とその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4023183B2 JP4023183B2 JP2002050069A JP2002050069A JP4023183B2 JP 4023183 B2 JP4023183 B2 JP 4023183B2 JP 2002050069 A JP2002050069 A JP 2002050069A JP 2002050069 A JP2002050069 A JP 2002050069A JP 4023183 B2 JP4023183 B2 JP 4023183B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- steel sheet
- iron loss
- average
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Description
【発明が属する技術分野】
本発明はモータなど回転機に適用される無方向性電磁鋼板と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地球温暖化防止や省エネルギー推進などの観点から、各種電気機器の高効率化が進められている。その中で、回転機や変圧器に使用される鉄心の素材となる電磁鋼板には、低コストであることと共に、すぐれた磁気特性(低鉄損、高磁束密度)を備えていることが求められる。電磁鋼板の用途の一つであるモータに関しても、制御技術が急速に進歩し、インバーターによる回転速度制御が広く用いられるようになり、また、永久磁石材料の進歩によって外部からの励磁なしに磁束密度の高い磁場が得られることから、これを利用したDCブラシレスモータなども、多数使用されるようになっている。
【0003】
これらの、回転速度の大幅可変制御や高効率を目的としたモータの鉄心励磁条件は、従来の50〜60Hzの商用周波数による場合に比し、低周波数から高周波数(100〜10kHz)までの広範な領域が適用される。一般的に、鉄心に生じる鉄損は、周波数が高くなるにつれて増大するが、回転速度制御のため周波数変換された電流は、その周波数が高いばかりでなく、基本の正弦波に多数の高周波成分が重畳したものになる。その上、鉄心歯部の複雑な形状や、高速で移動する磁性体の影響を受けるため、商用周波数の単純な正弦波によって一方向で測定された磁気特性だけからでは、実機に使用された状態での鋼板の性能は十分評価できないと考えられる。
【0004】
鉄心に用いられる電磁鋼板として、このようなモータ制御の革新に対応したものは、商用周波数域だけではなく、高周波域での磁気特性も向上させる必要がある。高周波域での磁気特性の向上、とくに鉄損を低下させるには、SiやAl量を増加させ、それと共に板厚を薄くする方法が採用される。例えば、特公平8-14016号公報には、SiとAlとの合計量を2〜4%とし、板厚を0.1〜0.25mm、結晶粒径を5〜60μmにした、400Hz以上での使用を目的とする電磁鋼板の発明が開示されている。また、特開2000-160303号公報に開示された発明は、上記と同様、SiとAlとの合計量を2〜4%とした上でS含有量を9ppm以下とし、さらにSnおよびSbを一方または両方を合計量にて0.001〜0.03%添加した、板厚が0.1〜0.3mmの高周波領域における鉄損が低い、700Hz以上で使用される高周波用電磁鋼板である。
【0005】
これらの鋼板における磁気特性改善の効果は、JIS-C-2550に規定された方法に準じて、鋼板の圧延方向(L方向)と圧延に直角の方向(C方向)とから採取した短冊状試験片による、エプスタイン枠を用いた測定によって評価されている。このため、モータのような回転体を対象とする用途における電磁鋼板としての性能向上は、十分評価できていないおそれがある。
【0006】
これに対し、特開2000-144348号公報には、通常の50Hzにおける鉄損値W15/50(添字は10×最大磁束密度(T)/周波数を示す)が低く、かつ400Hzでの鉄損値W10/400が、L、C方向で採取した試験片による平均の値に対し、45°方向(D方向)で採取した試験片による値を、1.2倍以下とした鋼板の発明が開示されている。この場合、DCブラシレスモータに用いる鋼板のエプスタイン枠による測定結果と、その鋼板を用いて作製したモータの効率とを比較して、Si、AlおよびMn含有量を増した上で、L、CおよびDの3方向で測定した素材の磁気異方性を小さくすることが、モータ効率向上に効果があるとしている。
【0007】
しかしながら鋼板にて、とくに評価に用いる周波数を商用周波数より高くし、さらに、試験片の採取方向を種々変えるなどして磁気特性を改善し、これをモータに適用した場合、かならずしも鋼板特性から期待されるほどには、モータの性能が向上しないことがある。
【0008】
この理由として、実際のモータの鉄心においては、鋼板は積層して使用されるので、単なる固定だけでなく占積率の向上や騒音抑止のため、ボルト締めや、かしめなどが施されることが考えられる。とくに小形のモータでは、製造工程の合理化から、ステータ部の積層鉄心を「やきばめ」によって固定する方法が多く採用される。この場合、鉄心の外周部近傍に板面平行な周方向の圧縮応力が負荷され、その状態で使用される。
【0009】
一般に電磁鋼板は歪みが加わると磁気特性が変化することが知られており、曲げや剪断などによる塑性変形は磁気特性を大きく劣化させる。弾性変形については、通常、引張り応力は鉄損を向上させるが圧縮応力は鉄損を低下させる。「やきばめ」でモータの積層鉄心を固定した場合、円周方向に10〜40MPaの圧縮応力が生じ、それによってモータの損失が増加することが山本らによって報告されている(山本、他:電気学会論文集A,vol.117(1997),No.3,p.311)。しかしながら、この圧縮応力がモータにしたときの性能低下に大きく影響すると推測されても、現実にこの応力を生じないようにしてモータを組み上げることは困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
DCブラシレスモータなどインバーターにより回転を制御する小形モータにおいて、鉄心に適用される電磁鋼板は、板面に平行な圧縮応力が負荷された状態で使用される場合が多くあるが、本発明の目的は、そのような状態で使用されても性能の低下が少ない、回転機用無方向性電磁鋼板とその製造方法の提供にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、DCブラシレスモータやエアコンのコンプレッサーモータのように、インバーターにより回転を制御する小形モータの積層鉄心用の電磁鋼板に関し、その性能を向上すべく種々検討をおこなった。その中で明らかになった対処すべき課題の中に、JIS-C-2550に規定されたエプスタイン枠により商用周波数で測定した電磁鋼板において、特性のすぐれた、とくに鉄損が低かったものを用いても、かならずしも効率の良好なモータにならないことがあった。
【0012】
この理由として、一つにはエプスタイン枠による試験は磁化の磁束の方向が固定されており、モータのように絶えず磁束方向が変化する場合に十分対応できていないと思われること、もう一つにはエプスタイン枠による試験は、試験片に応力が加わらない状態で測定されるのに対し、実際のモータでは「かしめ」や「やきばめ」により鉄心に用いられている電磁鋼板に圧縮応力が負荷されていることがある。
【0013】
しかしながら、磁束の方向が変化する場合の磁気特性の測定方法は、現在まだ確立されていない。そこで、応力が負荷されたときの鋼板の磁気特性と、モータの性能との関係を調査することにした。
【0014】
エプスタイン枠を用いる測定方法では、試験片に応力を負荷することが困難である。そこで、JIS-C-2556の単板磁気特性試験方法またはこれに準じた方法により、一枚の試験片を用いて圧縮応力を負荷した場合および負荷しない場合の鉄損値を測定することにした。その際、圧縮応力は磁化方向と平行に加えるようにした。
【0015】
用いた磁気測定枠は縦型ダブルヨ−ク枠で、その主な仕様を表1に示す。試験片寸法は、幅30mm、長さ150mmである。圧縮応力を負荷する場合は、図1に示すように、試験片1の両端のヨーク3の外に出た長さ約15mmの部分に、オーステナイト系ステンレス鋼製の固定具2と応力負荷保持具5を取り付け、曲がらないよう磁気測定枠3の中では試験片の上下面にベークライト製支持板を当てた。長さ方向に平行な応力はスプリング7を介して手動で負荷し、その大きさは荷重検出器8により検出して制御した。
【0016】
【表1】
【0017】
増幅器、積分器、周波数計電圧計および電力計等は、上記JISにて規定に準じるものを用い、正弦波発生電源により、商用周波数より高い周波数の電流を供給する。試験装置の校正は、エプスタイン枠にて測定した試験片を用いておこなった。
【0018】
モータに使用される電流は50〜10kHzと考えられ、エアコンのコンプレッサーモータでは80〜400Hzであることからから周波数を200Hz、負荷する応力を「やきばめ」による鉄心の固定を想定して20MPaとし、応力を負荷した場合と、負荷しない場合との鋼板の鉄損を測定することとした。製造条件を種々変えた鋼板を用意して磁気特性を測定し、その結果から無負荷の場合の鉄損と、負荷をかけた場合の鉄損とを対比してみると、応力を負荷すれば鉄損値は増大するが、これら二つの鉄損値の間にはとくに明瞭な相関は認められなかった。
【0019】
しかし、これらの電磁鋼板をステータに用いて、DCブラシレスモータを作製しモータ効率を測定し、電磁鋼板にて測定した鉄損値との関係を調べてみると、通常電磁鋼板の鉄損値として表示される無負荷の鉄損値とモータ効率との間には、明瞭な関係は認められなかったが、応力を負荷した場合の鉄損値とモータ効率との間にはかなりよい相関があり、その鉄損値の低い方がモータ効率が高くなることを示していた。
【0020】
これら測定した鉄損とモータ効率との関係を種々調べてみると、応力を負荷したときの鉄損値だけとの対応よりは、無負荷のときの鉄損値と応力を負荷したときの鉄損値との二つの値の平均の鉄損値の方が、よりよい相関のあることが明らかになった。すなわち、応力を負荷したときの鉄損値をW15/200(20)、無負荷のときの鉄損値をW15/200(0)とするとき、これら二つの値の平均値の下記(2)式で示されるW15/200(a)の値の方が、よりよい相関のあることが明らかになった。
W15/200(a)={ W15/200(0)+W15/200(20)}/2 ・・・・ (2)
【0021】
このように、応力を負荷しない通常の鉄損測定値と応力を負荷したときの鉄損測定値との平均値W15/200(a)が、モータ効率を高めるためのよい指標となるのは、やきばめにより固定された鉄心は外周近傍には応力が負荷されるが、内周近傍はこのような応力の影響を受けないためではないかと思われる。
【0022】
鋼板における磁気特性の測定値と、その鋼板を用いたモータ性能との関係が明らかになったので、この測定方法を用いて、モータ性能向上に好ましい磁気特性をもたらす電磁鋼板についてさらに調査をおこなった。その結果、成分、比抵抗、および結晶粒径に、それぞれ好ましい範囲のあることがわかってきた。
【0023】
鉄損は一般に渦電流損とヒシテリシス損とからなっている。渦電流損の低減には比抵抗を上げる必要があり、軟鋼の比抵抗を高くするには、Si、AlおよびMnの含有量を増すことが有効であることが知られている。そこで、これらの元素の含有量を検討した結果、従来用いられている比抵抗への関与を示す式にて、その鉄損への影響を整理できることがわかった。しかし、このような式に基づいて成分を増加していく場合、ある範囲を超えると鋼板の鉄損は低下するが、それ以上増してもモータの効率は向上せず、逆に低下する傾向が現れることが明らかになった。これは、これらの元素の含有量を増すことにより磁束密度が低下し、これがモータ効率の低下をもたらしたためと考えられた。
【0024】
鋼の比抵抗は、応力による弾性変形で多少増加することはあっても減少はなく、渦電流損への応力負荷による影響はほとんどないと推測される。しかし、ヒシテリシス損は、応力による変形によって大きく影響を受ける。強磁性金属の場合、磁化されるとごくわずかに変形する磁歪という現象があり、多結晶の鋼板では板面方向に磁化すると磁化方向に長さが増すとされている。このとき圧縮の応力が加わっていると、それに抗して変形しようとするので、磁化に要するエネルギーが増し、ヒシテリシス損が増大すると考えられる。
【0025】
磁歪の大きさは、磁化方向と結晶軸の方向との関係により種々変化する。モータなど回転機に用いられる電磁鋼板は、通常の冷延鋼板と同様に、圧延のような特定方向のみの変形を受けて製造される。このため、無方向性という名称が付けられてはいるが、鋼板にはそれを構成する各結晶の軸が特定方位に優先的に配向する集合組織が形成され、これが磁歪の大きさに影響をおよぼすと考えられる。しかし、鋼板の集合組織を調べた限りでは、どのような方位が応力を負荷されたとき鉄損増加が小さいのか、明確にはわからなかった。
【0026】
また、変形を受けたとき、鋼板の各結晶粒の応力状態に結晶粒径も大きく影響すると推定される。結晶粒は小さければ応力による影響が分散し、鉄損の劣化が少ないのではないかと思われたが、結晶粒が小さくなると応力を負荷しない場合の鉄損が劣化する。しかし、結晶粒が大きくなると、無負荷のときの鉄損は向上するが、ある限度を超えると応力を負荷したときの劣化が大きくなる傾向を示した。これは、結晶粒が大きくなると応力の影響を受けやすくなるためと考えられる。結晶粒径に前述の平均鉄損値W15/200(a)が低くなる好ましい範囲があるのは、このような理由によるのであろう。
【0027】
以上のように、モータ効率を向上させるためのすぐれた性能を有する無方向性電磁鋼板として、W15/200(a)をより低くできる成分範囲と製造条件とを種々検討した結果、まず、鋼の比抵抗の値を目標の範囲にするには、従来知られている関係式を用い、Si、MnおよびAlの含量を管理することによって得られることが確認された。
【0028】
この含有成分を変えて電磁鋼板を製造する際に、他の成分元素添加の効果もあわせて検討したところ、さらにCu、Ni、P、SbおよびSnを少量添加することが、W15/200(a)の低下に有効であった。この効果の現れる理由はかならずしも明らかではないが、Cu、NiおよびPについては、とくに応力を負荷したときの鉄損の増加が低減しており、集合組織あるいは磁歪定数を変化させることにより、応力の影響を緩和させるのではないかと思われる。
【0029】
SbおよびSnは、AlNの生成を低減して、鉄損の劣化を抑止する効果がある。鋼中に微細なAlN析出物が多く存在すると、磁化の際の磁壁移動を阻害してヒシテリシス損を増加させるが、水素を含む窒素雰囲気中にて高温で焼鈍されるとき、鋼は窒素を吸収してAlN析出物が増加する傾向がある。これに対し、SbやSnを少量含有させると、高温焼鈍時の窒素の吸収が低減する。SbやSnは、鋼板表面における窒素の吸収放出反応の抑制、言い換えれば鋼板表面の活性を大きく低下させる効果があると考えられる。
【0030】
以上のように、モータ効率を高くするための、鉄心に用いる電磁鋼板の評価方法が明らかになり、成分範囲や、好ましい比抵抗および結晶粒径等が大略わかってきたので、さらに、よりすぐれたモータ用電磁鋼板を安定して得るための製造条件を検討した。
【0031】
鋼板の組成は、目標とする鋼板特性の他、溶製の難易、加工性、経済性などの要因で選定される。比抵抗が目標範囲内になるよう組成を管理した鋼を用い、通常の無方向性電磁鋼板の製造方法に準じて、溶製、圧延、焼鈍、表面コーティングをおこなう過程において、製品のW15/200(a)の低下を判断基準とし、各工程の条件を種々検討した。その結果、とくに冷間圧延前の熱延鋼板に対し焼鈍を施すことが、有効でああることがわかった。製品の結晶粒径が同じであっても、この焼鈍によりW15/200(a)を大きく低下できるのである。
【0032】
この焼鈍条件についてさらに検討したところ、焼鈍した熱延鋼板の結晶粒径を100〜500μmと大きくするのが好ましいこと、および高温での均熱後の冷却を遅くするのがよいことがわかってきた。
【0033】
熱延鋼板にて焼鈍し、結晶粒を大きくすると、冷間圧延後焼鈍した製品鋼板の鉄損が低下し、磁束密度も向上することはよく知られているが、このような処理を施すと、冷間圧延後の焼鈍にて結晶粒が同じであっても、W15/200(a)は安定して低下することがわかった。この場合、冷間圧延前の結晶粒径は100μm未満ではこのような効果は十分得られず、500μmを超えると、冷間圧延時に鋼板が破断するおそれがある。
【0034】
熱延鋼板の焼鈍時に冷却速度を遅くすると、W15/200(a)が改善されるのは、AlNやMnSその他の冷却過程にて形成される微細析出物の凝集や粗大化が進行し、それにより鉄損に悪影響をおよぼさない状態に変化するためと推定される。
【0035】
また、冷間圧延前の結晶粒径の粗大化や、微細析出物の状態変化は、冷間圧延後の焼鈍の過程で、適度の粒成長が進むことによって、応力が負荷されたときの鉄損劣化が低減されるような集合組織が形成されてくることも考えられる。冷間圧延後の焼鈍温度は製品鋼板の結晶粒径を決定する上で重要であり、焼鈍後の結晶粒径が目標とする範囲になるように選定されなければならない。
【0036】
以上のような知見に基づき、さらに種々検討をおこなってそれぞれの範囲限界を明確にして、本発明を完成させた。以下に本発明の要旨を示す。
【0037】
(1)質量%にて、Si:2.6〜4%、Mn:0.1〜3%、Al:0.1〜3%で、かつこれら3元素の含有量(質量%)は下記(1)式を満足する範囲とし、C:0.005%以下、N:0.005%以下、S:0.01%以下、Ti:0.003%以下であって、残部はFeおよび不純物からなり、室温における鋼板の比抵抗が50×10−8〜75×10−8Ωm、平均結晶粒径が60μmを超え165μm以下であり、下記(2)式で示される平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。
50≦15.3+10.7Si+6.8Mn+9.4Al≦75 ・・・・・ (1)
W15/200(a)={ W15/200(0)+W15/200(20)}/2 ・・・・・ (2)
ただし、
W15/200(0) :最大磁束密度1.5T、周波数200Hzにおける無負荷のときの1kg当たりの鉄損値、
W15/200(20):磁化方向と平行に20MPaの応力を負荷したときの最大磁束密度1.5T、周波数200Hzにおける1kg当たりの鉄損値。
【0038】
(2)質量%にて、Si:2.6〜4%、Mn:0.1〜3%、Al:0.1〜3%で、かつこれら3元素の含有量(質量%)は上記(1)式を満足する範囲とし、C:0.005%以下、N:0.005%以下、S:0.01%以下、Ti:0.003%以下であって、さらにCu:0.02〜1%、Ni:0.02〜1%およびP:0.02〜0.2%のうちの一種以上を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、室温における鋼板の比抵抗が50×10−8〜75×10−8Ωm、かつ平均結晶粒径が60μmを超え165μm以下であり、上記(2)式で示される平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。
【0039】
(3)質量%にて、Si:2.6〜4%、Mn:0.1〜3%、Al:0.1〜3%で、かつこれら3元素の含有量(質量%)は上記(1)式を満足する範囲とし、C:0.005%以下、N:0.005%以下、S:0.01%以下、Ti:0.003%以下であって、さらにSnおよびSbのいずれか一方、または両方を合計量で0.005〜0.2%含有し、残部はFeおよび不純物からなり、室温における鋼板の比抵抗が50×10−8〜75×10−8Ωm、かつ平均結晶粒径が60μmを超え165μm以下であり、上記(2)式で示される平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。
【0040】
(4)質量%にて、Si:2.6〜4%、Mn:0.1〜3%、Al:0.1〜3%で、かつこれら3元素の含有量(質量%)は上記(1)式を満足する範囲とし、C:0.005%以下、N:0.005%以下、S:0.01%以下、Ti:0.003%以下で、さらにCu:0.02〜1%、Ni:0.02〜1%およびP:0.02〜0.2%のうちの一種以上と、SnおよびSbのいずれか一方、または両方を合計量にて0.005〜0.2%の範囲で含有し、残部はFeおよび不純物からなり、室温における鋼板の比抵抗が50×10−8〜75×10−8Ωm、かつ平均結晶粒径が60μmを超え165μm以下であり、上記(2)式で示される平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。
【0041】
(5) 熱間圧延後の鋼板に、800〜900℃で5〜10時間加熱後、700℃から500℃までの間を50℃/hr以下の冷却速度として冷却する焼鈍を施し、これを脱スケールし冷間圧延した後、加熱温度900〜1150℃で焼鈍することを特徴とする、上記(1)から(4)までのいずれかの回転機用無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明において、鋼の化学組成を次のように限定する。なお成分含有量の%はいずれも質量%を示すものとする。
【0043】
Si:2.6〜4%
Siは鋼の比抵抗を高め、鉄損を低減させる作用があり、すくなくとも2.6%以上含有させる。しかし多くなりすぎると鋼が硬く脆くなって、冷間圧延時の破断が生じやすくなり、鋼板の打抜き時の金型摩耗が著しくなるなど生産性を低下させるので、多くても4%までとする。望ましいのは2.6〜3.5%である。
【0044】
Mn:0.1〜3%
Mnは、不純物のSによる熱間加工時の脆性を防止するため含有させるが、形成されるMnSが微細になって冷延後の焼鈍時の粒成長を阻害し、鉄損が大きくならないようにするため、その含有量は0.1%以上必要である。また、鋼の比抵抗を高める作用もある。しかし多く含有させると変態点が低下して、焼鈍時にオーステナイト相が現れ、粒成長を阻害したり、好ましくない集合組織が形成されて鉄損が低下するので、3%までとする。好ましい範囲は0.2〜2%である。
【0045】
Al:0.1〜3%
Alは、通常の鋼においては脱酸を目的に添加され、その場合は0.1%未満で十分であるが、本発明においては、粒成長を阻害する微細なAlNの形成を抑止するためと、Siと同様、比抵抗向上効果があるため、0.1%以上含有させる。しかし過剰に含有させると磁歪を増加させ、応力負荷時の鉄損が大幅に増大するので、多くても3%までとする。望ましいのは0.3〜2%である。
【0046】
Si、MnおよびAlの3元素は、上記の規制範囲に加えて下記(1)式を満足する範囲とする。この式でそれぞれの元素記号は、その元素の含有量(質量%)を示す。
【0047】
50≦15.3+10.7Si+6.8Mn+9.4Al≦75 ・・・・・ (1)
上記式において、加算で示された値が50を下回る場合、比抵抗が低くなりすぎて鉄損が増加し、75を超えるとモータ効率が低下する。
【0048】
C:0.005%以下
Cは電磁鋼板においては有害な不純物である。炭化物となって析出し、磁気特性を劣化させるばかりでなく、使用中に磁気時効が生じてさらに特性を劣化させるので、少なければ少ないほどよい。その悪影響が大きくない含有範囲として、含有量は0.005%以下とする。
【0049】
N:0.005%以下
NはAlと結合してAlNを形成し、この微細析出物は冷間圧延後の焼鈍における結晶粒成長を大きく阻害するので、少なければ少ないほどよい。悪影響が現れない限度としてその含有量は0.005%以下とする。
【0050】
S:0.01%以下
SはMnと結合してMnSとなるが、MnSが微細に析出すると、結晶粒成長を阻害するので、少なければ少ないほどよい。その悪影響が顕著でない範囲として0.01%以下とする。さらに望ましくは0.003%以下である。
【0051】
Ti:0.003%以下
TiはC、N、Sなどと結合して微細析出物を生成し、焼鈍時の結晶粒成長を阻害して、鉄損を劣化させるので多くとも0.003%までとし、少なければ少ないほどよい。
【0052】
Cu:0.02〜1.0%、Ni:0.02〜1.0%、P:0.02〜0.2%
Cu、NiおよびPは、応力が負荷されたときの鉄損増加を抑止する効果があり、W15/200(a)を低下させるため、要すればこれらの一種以上を含有させる。このような効果を得るためには、いずれの元素もすくなくとも0.02%以上の含有が必要である。しかしながら、多く含有させすぎても、その効果がそれ以上増さないばかりでなく、鋼の脆化や応力のないときの鉄損増加などの悪影響が現れるので、CuおよびNiは1.0%まで、Pは0.2%までとするのがよい。
【0053】
Sb:0.005〜0.2%、Sn:0.005〜0.2%
SbおよびSnは、鉄損の改善の効果があり、要すればこれらの一方または両方を含有させる。この効果は、水素を含む窒素雰囲気中で高温に加熱されるとき、鋼の表面からの窒素の侵入を防止し、AlNが形成されるのを抑止することによると考えられる。このような効果を得るためには、どちらの元素も0.005%以上の含有が必要である。しかし、多すぎる含有は結晶粒成長を阻害するので、両元素とも0.2%までの含有とするのがよい。両元素を用いる場合は、合計量を0.005〜0.2%とする。
【0054】
室温における鋼板の比抵抗は、50×10−8〜75×10−8Ωmとする。上述の組成範囲の鋼板にて測定した比抵抗と、平均結晶粒径が100〜130μmのそれら鋼板を用いて試作したDCブラシレスモータの効率を測定した。DCブラシレスモータは、ロータが4極でその径は55mm、ステータは極数が24で外径が112mm、積厚は60mmで、やきばめしろを0.06mmとして円筒鋼管製の外枠に装入し固定したものである。このモータにて、回転数3000min−1、負荷1N・mのときのモータ効率を測定した。
【0055】
比抵抗とモータ効率との関係を図2に示す。この図からわかるように、効率が90%を超えるモータを得ようとすれば、鋼板の比抵抗は、50×10−8Ωm未満であっても、75×10−8Ωmを超えてもよくない。
【0056】
高周波域で使用する場合、比抵抗は高いほど鉄損が低くなり効率は向上する。しかし、比抵抗が高くなりすぎると効率が低下するのは、比抵抗を増す目的でSiなどを多く含有させることにより、磁束密度が低下するためと考えられる。比抵抗を上記範囲とするのは、前述のように、Si、MnおよびAlの含有量を制御しておこなう。
【0057】
鋼板の平均結晶粒径は60μmを超え165μmまでとする。前記(1)式によりSi、MnおよびAl量を調整して、比抵抗が58×10−8〜60×10−8Ωmの範囲とした鋼にて、加熱の温度および時間を管理することにより結晶粒径を変えて電磁鋼板を作製し、磁気特性を確認後、前述のDCブラシレスモータを製造し同様な条件にてモータ効率を測定した
【0058】
得られた測定結果により電磁鋼板の平均結晶粒径とモータ効率との関係をみると図3のようになった。これから、効率が90%を超えるモータを得ようとすれば、平均結晶粒径を60μmを超え165μm以下の範囲にすればよいことがわかる。
【0059】
鋼板の平均鉄損値W15/200(a)は16W/kg以下であることとする。これは、効率が90%を超える高効率モータを得るために必要である。板厚を0.35mmとしたW15/200(a)の種々異なる鋼板を用い、前述のDCブラシレスモータを製造しそのモータ効率とW15/200(a)との関係を調べた結果を図4に示す。この図から効率が90%以上のモータを得ようとすれば、16W/kg以下にしなければならないことがわかる。なおW15/200(a)の値は低ければ低いほど好ましく、下限値はとくには限定するものではない。
【0060】
本発明の電磁鋼板の製造は、通常の無方向性電磁鋼板の製造方法に準じておこなえばよいが、上述の特徴を有し、よりすぐれたW15/200(a)の値を実現するには、以下のような条件にて製造するのがよい。
【0061】
鋼の組成のうち、とくにSi、MnおよびAlについては、所定の比抵抗値になるように成分を制御した鋼スラブを用い、熱間圧延をおこなって熱延鋼板とする。その際に、とくに限定はしないが、スラブ加熱温度は1200℃以下、仕上げ温度は、750〜850℃とすれば磁気特性には好ましい結果となる傾向がある。
【0062】
熱延鋼板は冷間圧延前に焼鈍をおこなう。それによって電磁鋼板のW15/200(a)の値がより低くなり、モータ効率が向上する。この焼鈍は、結晶粒を大きくさせ、そして冷却の過程で不純物元素を無害化する効果があると考えられるが、そのためには、加熱温度を800〜900℃、保持時間を5〜15時間とし、冷却の過程では700℃から500℃までの間を平均冷却速度50℃/h 以下として冷却する。
【0063】
これは、加熱温度が800℃を下回ると、保持時間が5時間未満では、結晶粒の成長が十分でないからであり、熱温度が900℃を超えたり、保持時間が15時間を超えると結晶粒が粗大になりすぎて、冷間圧延時に破断したり、吸窒量が増してAlN析出物が増し鉄損を増大させることがあるからである。
【0064】
700℃から500℃の間をとくに制御してゆっくり冷却するのは、この温度の間にAlNやMnSなどの析出物が凝集や粗大化して無害化し、冷延後の焼鈍における結晶粒成長を容易にさせるためである。700℃を超える温度ではこれらの溶解度が大きいため十分に析出せず、500℃を下回ると拡散が遅くなって凝集や粗大化が進まなくなる。そこで、析出も拡散も活発に進行するこの温度範囲をゆっくり冷却する。
【0065】
電磁鋼板としての板厚は、通常用いられる0.35mmでよい。薄いほど鉄損が低くなるが、薄くしすぎると占積率の低下によるモータ効率の低下、鉄心積層後のかしめ強度不足、打抜きの際の歯部の変形、圧延や打抜きの生産性低下など種々の問題が生じてくる。したがって、薄くても0.2mmまでとするのが好ましい。また厚くなれば鉄損が増大するので、0.4mm以下とするのがよい。
【0066】
【実施例】
〔実施例1〕
表2に示す組成の鋼を溶製し、得られた鋳片スラブを1150℃に加熱して熱間圧延をおこない、2.3mmの熱延鋼板とした。この熱延鋼板を820℃にて10時間加熱し、700℃から500℃までの間を平均冷却速度40℃/hとして冷却する焼鈍をおこなった後、冷間圧延して厚さ0.35mm(一部0.50mm)とした。冷圧後の鋼板は、870〜1150℃にて約20秒保持する焼鈍の後、表面に絶縁コーティングを施して、電磁鋼板製品とした。
【0067】
各製品鋼板から幅30mm、長さ150mmの試験片を、圧延方向とその直角方向との2方向で採取し、前述の図1に示した単板磁気測定機による方法にて,応力を負荷しないときの鉄損値W15/200(0)と、20MPaの圧縮応力を負荷したときの鉄損値W15/200(20)とをそれぞれの方向で測定して、平均鉄損値W15/200(a)を求めた。また、平均結晶粒径は下記の方法で求め、室温における比抵抗を4端子法で測定した。結果を表3に示す。
【0068】
平均結晶粒径Dは、鋼板の圧延に平行な板厚垂直断面にて、板厚の中心および2ヶ所の1/4厚さの位置でそれぞれ板面に平行な5mmの線を引き、その各線を横切る粒界数の合計で15mmを除した数をLとするとき、D=1.12Lとして求めた。
【0069】
これらの電磁鋼板から、DCブラシレスモータを作製した。このモータは、ロータが4極でその径は55mm、ステータは極数が24でその外径が112mm、積厚は60mm、やきばめしろは0.06mmとして肉厚3.0mmの円筒鋼管製外枠に装入し固定したものである。このモータにて、回転数3000min−1、負荷1N・mのときのモータ効率を測定した。この測定結果も合わせて表3に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
これらの結果から、本発明で規制する範囲内の組成で、比抵抗が50×10−8〜75×10−8Ωmの範囲内にあり、結晶粒径が90〜130μmの鋼板は、平均鉄損値W15/200(a)が16W/kgを下回っており、モータ効率は93%以上であることがわかる。
【0073】
また比抵抗は、前出の式(1)にてSi、MnおよびAlの量から計算して上記の所要範囲に調整したが、表2に示したこの計算値と、表3に示した実測値とは、よい一致を示している。結晶粒径については、主として冷圧後の焼鈍温度により制御するが、熱延板焼鈍を施し、その際の冷却速度を遅くすることで、より容易に目的とする比較的大きな結晶粒径にすることができる。
【0074】
〔実施例2〕
表2に示した組成の鋼のA、HおよびQの鋼スラブを用い、加熱温度を1150℃とし、熱間圧延して厚さ2.0mmの熱延鋼板にとした。これらの熱延鋼板を脱スケール後、表4に示すように焼鈍の温度および時間を変え、さらに冷却時の700℃から500℃までの冷却速度を変えた。焼鈍後の熱延板について実施例1にて述べた方法で平均結晶粒径を測定し、0.35mmに冷間圧延した。冷間圧延後の鋼板の焼鈍条件は、あらかじめ焼鈍条件と焼鈍後の結晶粒径との関係を実験焼鈍にて求め、製品鋼板の平均結晶粒径が110〜120μm程度になる焼鈍温度を選定した。これらの製造条件を表4に示す。
【0075】
得られた鋼板は実施例1と同様にして、W15/200(0)、W15/200(20)およびW15/200(a)を求め、DCブラシレスモータを作製してモータ効率を測定した。これらの結果もあわせて表4に示す。
【0076】
【表4】
【0077】
表4の結果から熱延板の焼鈍温度、時間および冷却速度が、本発明で定める範囲の条件で製造されるとき、鋼板の平均結晶粒が必要とする粒径範囲に入り、その鋼板を用いれば、すぐれた特性のモータの得られることがわかる。
【0078】
【発明の効果】
本発明による電磁鋼板は、DCブラシレスモータのような、固定のためのかしめにより応力が負荷され、かつ商用周波数より高い周波数域で使用さる回転機の鉄心に用いて、すぐれたモータ性能を得ることができる。このようなモータは今後ますます利用が増加する傾向にあり、電気機器のエネルギー節減に貢献するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧縮方向の応力を負荷しつつ鉄損を測定する方法を説明する模式図である。
【図2】電磁鋼板の比抵抗値と、その鋼板を用いたDCブラシレスモータの効率との関係を示す図である。
【図3】電磁鋼板の平均結晶粒径と、その鋼板を用いたDCブラシレスモータの効率との関係を示す図である。
【図4】電磁鋼板の応力を負荷したときとしないときの、二つの鉄損の平均値W15/200(a)と、その鋼板を用いたDCブラシレスモータの効率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 試験片
2 試験片固定具
3 ヨーク
4 励磁コイル
5 応力負荷保持具
6 リニアガイド
7 荷重検出器
8 スプリング
9 スクリュー機構
10 ハンドル
Claims (5)
- 質量%にて、Si:2.6〜4%、Mn:0.1〜3%、Al:0.1〜3%で、かつこれら3元素の含有量(質量%)は下記(1)式を満足する範囲とし、C:0.005%以下、N:0.005%以下、S:0.01%以下、Ti:0.003%以下であって、残部はFeおよび不純物からなり、室温における鋼板の比抵抗が50×10−8〜75×10−8Ωm、平均結晶粒径が60μmを超え165μm以下であり、下記(2)式で示される平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。
50≦15.3+10.7Si+6.8Mn+9.4Al≦75 ・・・・・ (1)
W15/200(a)={ W15/200(0)+W15/200(20)}/2 ・・・・・ (2)
ただし、
W15/200(0) :最大磁束密度1.5T、周波数200Hzにおける無負荷のときの1kg当たりの鉄損値、
W15/200(20):磁化方向と平行に20MPaの応力を負荷したときの最大磁束密度1.5T、周波数200Hzにおける1kg当たりの鉄損値。 - 質量%にて、Si:2.6〜4%、Mn:0.1〜3%、Al:0.1〜3%で、かつこれら3元素の含有量(質量%)は上記(1)式を満足する範囲とし、C:0.005%以下、N:0.005%以下、S:0.01%以下、Ti:0.003%以下であって、さらにCu:0.02〜1%、Ni:0.02〜1%およびP:0.02〜0.2%のうちの一種以上を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、室温における鋼板の比抵抗が50×10−8〜75×10−8Ωm、かつ平均結晶粒径が60μmを超え165μm以下であり、上記(2)式で示される平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。
- 質量%にて、Si:2.6〜4%、Mn:0.1〜3%、Al:0.1〜3%で、かつこれら3元素の含有量(質量%)は上記(1)式を満足する範囲とし、C:0.005%以下、N:0.005%以下、S:0.01%以下、Ti:0.003%以下であって、さらにSnおよびSbのいずれか一方、または両方を合計量で0.005〜0.2%含有し、残部はFeおよび不純物からなり、室温における鋼板の比抵抗が50×10−8〜75×10−8Ωm、かつ平均結晶粒径が60μmを超え165μm以下であり、上記(2)式で示される平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。
- 質量%にて、Si:2.6〜4%、Mn:0.1〜3%、Al:0.1〜3%で、かつこれら3元素の含有量(質量%)は上記(1)式を満足する範囲とし、C:0.005%以下、N:0.005%以下、S:0.01%以下、Ti:0.003%以下で、さらにCu:0.02〜1%、Ni:0.02〜1%およびP:0.02〜0.2%のうちの一種以上と、SnおよびSbのいずれか一方、または両方を合計量にて0.005〜0.2%の範囲で含有し、残部はFeおよび不純物からなり、室温における鋼板の比抵抗が50×10−8〜75×10−8Ωm、かつ平均結晶粒径が60μmを超え165μm以下であり、上記(2)式で示される平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。
- 熱間圧延後の鋼板に、800〜900℃で5〜10時間加熱後、700℃から500℃までの間を50℃/hr以下の冷却速度として冷却する焼鈍を施し、これを脱スケールし冷間圧延した後、加熱温度900〜1150℃で焼鈍することを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の回転機用無方向性電磁鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002050069A JP4023183B2 (ja) | 2002-02-26 | 2002-02-26 | 回転機用無方向性電磁鋼板とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002050069A JP4023183B2 (ja) | 2002-02-26 | 2002-02-26 | 回転機用無方向性電磁鋼板とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003253404A JP2003253404A (ja) | 2003-09-10 |
JP4023183B2 true JP4023183B2 (ja) | 2007-12-19 |
Family
ID=28662419
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002050069A Expired - Lifetime JP4023183B2 (ja) | 2002-02-26 | 2002-02-26 | 回転機用無方向性電磁鋼板とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4023183B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011091936A (ja) * | 2009-10-22 | 2011-05-06 | Jfe Steel Corp | モータコア |
JP2011114950A (ja) * | 2009-11-26 | 2011-06-09 | Jfe Steel Corp | モータコア |
JP2012161139A (ja) * | 2011-01-31 | 2012-08-23 | Jfe Steel Corp | 圧縮応力下での鉄損劣化の小さいモータコアとその製造方法 |
JP2012161138A (ja) * | 2011-01-31 | 2012-08-23 | Jfe Steel Corp | 圧縮応力下での鉄損劣化の小さいモータコア |
JP2017201845A (ja) * | 2016-05-02 | 2017-11-09 | 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 | 永久磁石同期機、及びそれを用いた圧縮機、空調機 |
Families Citing this family (18)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006271016A (ja) * | 2005-03-22 | 2006-10-05 | Jfe Steel Kk | モータ |
JP5326440B2 (ja) * | 2008-09-03 | 2013-10-30 | Jfeスチール株式会社 | 熱放散性に優れた高速モータ用コアおよび高速モータ用コア材料 |
JP5609003B2 (ja) * | 2009-04-14 | 2014-10-22 | 新日鐵住金株式会社 | 無方向性電磁鋼板 |
JP5444812B2 (ja) * | 2009-04-22 | 2014-03-19 | Jfeスチール株式会社 | 高速モータ用コア材料 |
JP2011015592A (ja) * | 2009-07-06 | 2011-01-20 | Toyota Motor Corp | 分割ステータとその製造方法 |
JP2011084778A (ja) * | 2009-10-15 | 2011-04-28 | Nippon Steel Corp | 高周波励磁用無方向性電磁鋼板 |
JP5642195B2 (ja) * | 2009-12-28 | 2014-12-17 | ポスコ | 磁性に優れた無方向性電気鋼板及びその製造方法 |
JP5740835B2 (ja) * | 2010-04-28 | 2015-07-01 | 日産自動車株式会社 | 電動モータのステータコア |
JP5671869B2 (ja) * | 2010-08-09 | 2015-02-18 | 新日鐵住金株式会社 | 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
JP2012050200A (ja) * | 2010-08-25 | 2012-03-08 | Toyota Motor Corp | 分割ステータコアとその製造方法、および、分割ステータコアを具備するモータ |
JP5824965B2 (ja) * | 2011-08-23 | 2015-12-02 | 新日鐵住金株式会社 | 無方向性電磁鋼板の製造方法 |
JP5712864B2 (ja) * | 2011-08-23 | 2015-05-07 | 新日鐵住金株式会社 | 無方向性電磁鋼板の製造方法、および冷間圧延性の評価方法 |
JP5712863B2 (ja) * | 2011-08-23 | 2015-05-07 | 新日鐵住金株式会社 | 無方向性電磁鋼板の製造方法 |
JP5958565B2 (ja) | 2015-01-14 | 2016-08-02 | Jfeスチール株式会社 | 打抜き加工方法、打抜き加工装置、および積層鉄心の製造方法 |
KR101961057B1 (ko) | 2015-03-17 | 2019-03-21 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 무방향성 전자 강판 및 그 제조 방법 |
WO2020094230A1 (de) | 2018-11-08 | 2020-05-14 | Thyssenkrupp Steel Europe Ag | Elektroband oder -blech für höherfrequente elektromotoranwendungen mit verbesserter polarisation und geringen ummagnetisierungsverlusten |
CN114729415B (zh) * | 2019-11-12 | 2024-02-13 | Lg电子株式会社 | 无取向电钢板及其制造方法 |
CN112899581B (zh) * | 2021-01-22 | 2022-06-21 | 北京北冶功能材料有限公司 | 一种高硅钢及其制备方法 |
-
2002
- 2002-02-26 JP JP2002050069A patent/JP4023183B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011091936A (ja) * | 2009-10-22 | 2011-05-06 | Jfe Steel Corp | モータコア |
JP2011114950A (ja) * | 2009-11-26 | 2011-06-09 | Jfe Steel Corp | モータコア |
JP2012161139A (ja) * | 2011-01-31 | 2012-08-23 | Jfe Steel Corp | 圧縮応力下での鉄損劣化の小さいモータコアとその製造方法 |
JP2012161138A (ja) * | 2011-01-31 | 2012-08-23 | Jfe Steel Corp | 圧縮応力下での鉄損劣化の小さいモータコア |
JP2017201845A (ja) * | 2016-05-02 | 2017-11-09 | 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 | 永久磁石同期機、及びそれを用いた圧縮機、空調機 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003253404A (ja) | 2003-09-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4023183B2 (ja) | 回転機用無方向性電磁鋼板とその製造方法 | |
JP5228379B2 (ja) | 強度と磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板とその製造方法 | |
JP4329538B2 (ja) | 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP4855220B2 (ja) | 分割コア用無方向性電磁鋼板 | |
JP2011084761A (ja) | 回転子用無方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP2020509184A (ja) | 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP4389691B2 (ja) | 回転子用無方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
CN102753718A (zh) | 无方向性电磁钢板 | |
JP4218077B2 (ja) | 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP5824965B2 (ja) | 無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4507316B2 (ja) | Dcブラシレスモーター | |
JP4710465B2 (ja) | 回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPWO2011027697A1 (ja) | 無方向性電磁鋼板 | |
JP4568999B2 (ja) | 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
CN118647748A (zh) | 无取向电工钢板及其制造方法 | |
JP5614063B2 (ja) | 高周波鉄損の優れた高張力無方向性電磁鋼板 | |
JP2874564B2 (ja) | 磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
KR20220085519A (ko) | 무방향성 전기강판 및 그 제조 방법 | |
JP2003013190A (ja) | 高級無方向性電磁鋼板 | |
JP6221406B2 (ja) | Fe系金属板及びその製造方法 | |
JP4356580B2 (ja) | 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JPH07258736A (ja) | 磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3084571B2 (ja) | 加工性の良好な高Si含有鋼板 | |
JP2006077305A (ja) | 無方向性電磁鋼板および時効熱処理用無方向性電磁鋼板、ならびにそれらの製造方法 | |
KR20210057453A (ko) | 무방향성 전기강판 및 그 제조 방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040318 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20040323 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050414 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070306 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070423 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070911 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070924 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4023183 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101012 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111012 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121012 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131012 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131012 Year of fee payment: 6 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131012 Year of fee payment: 6 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |