JP4005726B2 - 投写型ディスプレイの照明装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光源と光変調素子を利用した投写型ディスプレイに係り、特にこれらの光源として光半導体素子を用いた投写型ディスプレイの照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来投写型ディスプレイの光源としては、水銀ランプやこれにハライド化合物を加えたメタルハライドランプ等が主に用いられてきた。これらの光源は50乃至80[lm/W]の高い発光効率と、1mm程度の小さな電極間距離(アーク長)が実現され、図14(a)に示したようなフライアイレンズを用いた光学照明装置としてほぼ市場を占拠しているのが現状である。
【0003】
図14(a)において、1は光源(ランプ)、2はリフレクタ、3はUVフィルタ、4はIRフィルタ、5,6はフライアイレンズを構成する第1フライアイ素子と、第2フライアイ素子である。光源1より出た光は、フライアイレンズ素子5,6、レンズ7を介して、ダイクロイックミラー8,9,10側へ出射される。ダイクロイックミラー8で反射された光は、ミラー11、レンズ12を介して例えば青(B)用の液晶パネル(空間変調素子)13に入射する。この液晶パネル13から出射された青の光学像は、合成プリズム14で他の色の光学像と合成され、投射レンズ15に入射する。
【0004】
ダイクロイックミラー8を透過した光は、ダイクロイックミラー9で反射され、レンズ16を介して例えば緑(G)用の液晶パネル17に入射する。この液晶パネル17から出射された緑の光学像は、合成プリズム14に入射する。
【0005】
ダイクロイックミラー9を透過した光は、レンズ18,19を介してダイクロイックミラー10に入射する。ダイクロイックミラー10で反射された光は、レンズ20、ミラー21、レンズ22を介して例えば赤(R)用の液晶パネル23に入射する。この液晶パネル23から出射された赤の光学像は、合成プリズム14に入射する。投射レンズ15から出射したフルカラー光学像は、投写スクリーンに投影される。
【0006】
上記した装置において、ランプによる光源は、図14(b)に示す通り不要光を多く含んでおり、これらを3原色分光駆動が一般的な現状の投写型ディスプレイでは示すUVフィルタ3、IRフィルタ4や、ダイクロイックミラー8,9,10等の光学フィルターを用いて除去するようにしている。この結果、部品増加によるコストアップのみならず、迷光または遮光部での発熱による各種不具合を発生させる要因を含んでいた。
【0007】
そのほか点灯後の輝度の立ち上がりが遅い、寿命が短い、水銀使用(環境問題)、起動時に高電圧を要すなどランプの基幹問題に拘わる多くの問題を含んでいた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
これらに変わる新たな光源候補としてLEDなどの光半導体素子が挙げられる。光半導体素子は上記不具合の殆どを解決することが可能であるが、例えばInGaAlP(赤)LED1素子は通常20mAの使用標準で2V程度の順電圧であるから、光源電力としては0.04Wに過ぎず、投写型ディスプレイ用光源として多大な数を必要とすることは明白である。さらにこれらの半導体素子は光拡散角が大きいうえに半導体結晶の屈折率が高く、大気中への透過効率が悪いとの欠点を持つ。このため通常の単体LEDランプ構造に見られるように照射面逆側にリフレクタを配し、且つ表面をレンズ形状を有する樹脂などにて覆うことで指向特性ならびに光取り出し効率を改善させている。
【0009】
ところがこのような構成にて従来照明のような構成を得ようとすると、フライアイレンズのNA(開口数)を満足し、且つ光半導体素子の配光特性を十分カバーしたLEDリフレクタの形状は大きくなり、必然的に各部品の配置ピッチは大きくなる。従って先述した単体LEDランプを多大数量を配置した場合の光源形状およびフライアイレンズは長大化し、結果としてシステムの巨大化、高コスト化のみならず、例えばライトバルブとして液晶を用いた場合、照明角が大きくなり視野角の影響などでコントラスト等の映像品位が低下する、投射レンズを含め光集光高効率な光学系の構築は非常に難しいなど不具合が多い。このためこのような光学系は、実現されていないのが現状である。併せてこのような構成をとる光源そのものも多くの加工と精度が必要となるために、従来のランプ光源に対し非常に高価とならざるを得ない。
【0010】
当然ながらこれらライトバルブの直前に以上の配光特性改善加工が施された光源を配し、直接照射することも考えられるが、光半導体素子間のばらつきは明るさのみならず発光波長にも存在するため、分割重畳を行わなければ不良、個別経時変化ばらつき等に起因する部分的輝度劣化、不点現象を含め、色むら、輝度むらなどの不具合要因として現れ、高品位な投写型ディスプレイ構築の妨げとなり、これらを包括的に改善する画期的な光学手段は存在しなかった。
【0011】
そこで本発明は、先述した光半導体素子等の面光源を用いた不具合を回避する手段を工夫し、安価で高品位は投写型ディスプレイの照明装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光拡散タイプの面光源を有し、前記面光源は、照射面または表示面に対向し、かつ前記面光源と前記照射面または表示面が対向する間の空間の横断面よりも小さな面形状であり、さらに、前記面光源の外周付近と前記照射面または表示面の外周付近より形成される空間を反射鏡で囲むカライドスコープを有した構造であり、前記面光源は、前記照射面または表示面と所定方向に相似形の2分の1の寸法比を有しており、上記カライドスコープの前記面光源付近に上記所定方向に光の分離及び位相回転処理を行う両偏光利用手段が施されており、前記面光源の上記所定方向のサイズをa、前記照射面または表示面のサイズをbとしたとき、前記照射面または表示面からの光を投射する投射レンズのF値について
F=b/(4a)
上記任意方向と直交する方向の前記面光源のサイズa ' 、同方向の前記照射面または表示面のサイズをb ' としたとき前記照射面または表示面からの光を投射する投射レンズのF値についてF=b ' /(2a ' )なる条件が成立することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
まず本発明の主な特徴的な部分を述べる。即ち、光半導体光源の特殊加工を必要としないウエハ状態のままでの光半導体素子を、その照明野よりも小さい面積で且つ等しいアスペクト比にて面光源として使用し、このウエハ光源と照明野との間の空間を構成が簡単なカライドスコープで囲む構成とする。そして最も高いF値、即ち最も低コストな投射レンズ仕様にて最良の光利用効率を達成させる光学装置の照明手段を提供する。更に面光源に起因する不具合を回避するための照明距離等各種条件を提示することで、必要最低限の照明品位を最も低コストにて達成するた条件をも提示している。
【0015】
併せて光源を屈折率が1よりも大きな中間媒質で単純に覆うことで、半導体結晶の屈折率の整合を助けて内部反射率および臨界角を改善させている。また両偏光の利用が必要となった場合や、光源発散角に顕著な条件が存在する場合に於いても、最適な照明手段を提供することで、安価で高効率・高品位な光学装置を提供することを可能としている。
【0016】
以後、具体的に本発明による構造の必要性と構成原理を説明する。
【0017】
図1(a)は本発明の前提となる実施の形態である。31は面光源であり、32は照明野である。面光源31の周囲と照明野32の周囲の空間は、例えばミラー(ガイドスコープ)33で囲まれているが、趣旨を満足すれば樹脂が充填された状態、或いはプリズムによる構成の何れでもよい。
【0018】
ここで簡単のために照明野32は任意アスペクト比の長方形であるとし、照明光学部のみを単色構成にて示している。
【0019】
面光源31は、例えば赤のLED光源集合体で、照明野32よりも縦横寸何れも小さな形状である。この面光源31の有効外周部端と照明野32の有効外周部端を隙間無くミラー33a,33b,33c,33dで囲み、照明野32の中央観測部「P」より見ると、面光源31とミラー33a,33b,33c,33dによる鏡像は図1(b)に図示するように、照明野32と面光源31の寸法比により求まる半径を有する楕円球光源として観測される。
【0020】
即ち、照明野32の観測点「P」には面光源31の全てのLEDからそれぞれ複数の任意出射角にて発した光が到達しており、面光源31と照明野32間の距離が十分確保され、且つ光源鏡像による最大照明光以上の発散角を投影系(投写レンズ系)34がF値として備わっていれば、高効率で均一な投写型光学装置を得ることが可能である。図1(c)には面光源31の1つのLEDの出射光の拡散の様子を示している。
【0021】
投影系(投射レンズ)34にて達成するF値は、必ずしもこの全ての範囲をカバーする必要はなく、光源が完全拡散状態で発光し、且つミラー33a,33b,33c,33dによる反射損失が殆どない場合にのみこの効果が顕著となる。
【0022】
上記のようにこの発明の基本は、面光源31は、照明野32(照射面または表示面)の方向の何れ断面方向についても小さな形状であり、且つこの面光源31の外周付近と照射野32の外周付近より形成される任意空間を反射鏡で囲むミラー33a,33b,33c,33d、つまりカライドスコープ(万華鏡)33構造としている。つまり上下、左右のミラー33a,33b,33c,33dによりカライドスコープ33が構成されている。
【0023】
図2には、上記の装置を構成する上で、その基本的考え方を示した。簡単のために実施例は単色構成によるものであり、面光源31および照明野32は光軸対称に配置され、且つ図は光源を含む断面の2次元表示としている。
【0024】
面光源31のサイズを「a」、照明野32のサイズを「b」、面光源31〜照明野32間の距離を「d」とする。そして面光源31端〜照明野32端を対面したミラー33a,33b、33c、33dにて隙間無く囲むとする。このとき、照明野32の中心観測点「P」から見た面光源31および光源鏡像35は、面光源31からミラー33a,33bの延長線上交点「O」までの距離「r」を半径とする円36上に並ぶ。
【0025】
照明距離「d」が十分確保されていれば、鏡像35は円36とみなすことが許容される。よって観測点「P」への最大照明角は、「P」から円36への接線が光軸と為す角度「θ」であり、照明野32よりミラー33a,33bの延長交点「O」までの距離を「L」、ミラー33a,33bの対光軸角を「φ」とするとき、
r=d×a/(b−a) …(1)
L=d×b/(b−a) …(2)
φ= tan-1{(b−a)/(2d)} …(3)
であるから照明角「θ」は
θ=sin-1(r/L)=sin-1(a/b) …(4)
となる。よってこの全ての照明角をカバーしうる最小の投影系のF値は
F=1/(2sinθ)=b/(2a) …(5)
であり照明距離「d」によらない。
【0026】
従って、光源と照明野32の寸法比が何れの方向より見ても同じ比を有する、即ち相似形であれば、観測点「P」より見た面光源31とその鏡像35は半径「r」の球状となって観測される。
【0027】
一般に投射レンズ素子は,その加工性から光軸上よりみると円形をしており、従って光軸より見た投射レンズ入射瞳も光軸対称な円形状であるから、面光源31は照明野32と相似形を為すことで最も大きなF値にて最大の瞳通過効率を得ることが可能となる。(F値…光学系の有効角(明るさ)指標、θ…最大有効角)
F=1/(2 sinθ)=b/(2a) …(再掲(5))
の条件が確保されれば、最も高効率な投写型ディスプレイが構築可能となる。そして投射レンズのF値FtがFt<=F=1/(2 sinθ)=b/(2a)であれば損失なく照明光を投影できる。
【0028】
以上は完全拡散に近い出射特性を有する光源時の設計手法であったが、光半導体素子によっては光発散角に顕著な特性を有し、「θL 」以上の出射角は有効とは見なせない場合がある。
【0029】
図3を用いて、光源に対して有効出射角が与えられた場合の本発明の適用例について説明する。
【0030】
光半導体素子の有効出射角が「θL 」で与えられ、その他の条件は図3を用いた前節と同条件であるとする。ここでカライドスコープ33のなす角「φ」よりも面光源31の集光出射角範囲「θL 」が大きい場合、観測点「P」よりみた光源像は前節同様ミラー33a,33bの延長線交点を中心とする半径「r」の円36上に存在する。
【0031】
ここで面光源31の配光特性は「θL 」であるから、円36より「θL 」で発し、観測点「P」に到達する円36上の鏡像35から発する光線が光軸となす角「θT 」が、観測点「P」への照明最大角となる。
【0032】
従って鏡像35と円36中心「O」および光軸との角度を「θM 」とすれば、
θL =θM +θT …(6)
r sinθM =(L−r cosθM ) tanθT …(7)より
sinθT =r sinθL /L …(8)
よって、光源素子に配光特性条件「θL 」が加えられた場合の最も有効な投影系のF値は、(8)、(1)、(2)式より
F=1/(2 sinθT )=b/(2a sinθL ) …(9)
となる。
【0033】
ここで、投写型ディスプレイの光変調素子として液晶を用いる場合、直線偏光光のみが照明有効光として用いられる場合が多勢を占める。半導体素子が半導体レーザーのような直線偏光光であれば、これまで説明した本発明はそのまま適用可能であるが、LEDのようなランダム偏光時にはPBS素子などを用いて直交する2偏光光に分離し、片側に位相回転処理を加えて光利用効率を向上させる手法を適用した方が望ましい。
【0034】
通常のランプ光源では分割重畳を行うフライアイ第2素子(図14(a)中の6)の近辺にて上記のような手法が用いられるが、現在考案されている、いかような両偏光利用手段も、照明系以後の条件が変わらなければ照明有効光を任意方向において半減させ、この隙間を用いてこのような処理を加える手法が要求される。
【0035】
本発明にこのような両偏光利用手段を配す場合も例外なく、任意方向にて照明角を半減させる手段を施した後にランダム偏光を直線偏光に変換する処置を行う必要がある。これまでの説明から、(5)式および(9)式にて照明角を任意方向において半減させる手段は、単純に照明野32と面光源31との相似形状から両偏光利用手段にて分離される方向に2分の1の面光源形状とするのみで、後述する条件の重要性は立証されるが、実施例として光源側に両偏光利用手段を施した場合を想定し、図4を用いて説明する。図4では、下方向(短辺方向)に照明有効光が半減された例である。
【0036】
図4(a)に示す通り、面光源31の長辺寸「a1 」、短辺寸「a2 」、照明野32の長辺寸「b1 」、短辺寸「b2 」であるとし、短辺方向に図4(b)に示す両偏光利用手段を施すものとする。
【0037】
両偏光利用手段を図4(b)を用いて説明すれば、面光源31より発する点線で示したp偏光成分はPBS素子44を通過し、偏光回転板46にてs偏光にて揃えられカライドスコープ33内に出射される。一方、面光源31より発する図中実線で示したs偏光成分はPBS素子44で反射され、さらにミラー45にて方向変換しカライドスコープ33内に出射される。PBS44素子およびミラー45はプリズム47,48で形成されており、一般にプリズム47と48は同じサイズを有する。また、光源31の出射条件によっては光源31とプリズム47間に図示しない凸レンズを配したり、プリズム47,48の外部境界をミラー加工したり、PBS素子44やミラー45は凹レンズ形状加工を施した方が光利用効率は向上する場合がある。
【0038】
このような場合でも、カライドスコープ33と照射面32以降の投影系F値の関係は(5)および(9)式にて既に導かれるから、プリズム47,48の形状がほぼ等しい場合にはプリズム47,48の合算値「2a2 」と長辺「a1 」の形成する合成光源が照明野32と相似形となるよう形成されれば、これまで述べてきた本発明はそのまま適用可能となる。即ち、両偏光利用時の偏光分離方向がa2 ,b2 辺方向であったとき、
a1 :2a2 =b1 +b2 …(10)
なる拡散光源形状を有した場合の投影系F値は
F=b/(4a) …(11)
とし、さらに光源有効発散角が「θL 」の条件が加えられた場合の投影系F値はF=b/(4a sinθL ) …(12)
と設定する有効性が検証される。
【0039】
これまで本発明の具体的実施形態の検証は全て光軸上観測点より説明してきたが、光軸以外の照射観測位置から見たカライドスコープによる光源および光源鏡像も、図5に示す通りミラー33a,33bの延長線上交点を中心とする半径rの円36上に存在する。
【0040】
即ち,図5において、照射面周辺観測点「P」、「Q」に於ける照明光主光線は、ほぼカライドスコープ33の傾斜角「θ」となる。従って光変調素子に視野角の影響を受けやすい液晶を用いた場合には、照明野32の直前に焦点距離「L」のレンズ37を配すことで、全ての照明野への照明光主光線は光軸と略平行とすることが可能となる。即ちレンズ37の焦点距離「f」は、
f=L=d×b/(b−a) …(13)
なお、ミラー反射効率が無視できないほど大きい場合には、(13)式よりにて求まる焦点よりもやや短く設定した方が好ましい結果が得られる場合が多い。
【0041】
一方光変調素子が視野角影響を受けない場合には、投影系条件にて焦点を多少変更する方がより好ましい結果が得られる場合が多い。
【0042】
図6(a)に示す通り、物体のレンズ71による結像は殆どの場合に於いて中央部が最も有効角θ1が広く、且つバランスがとれており、光軸より外周部へ向かうほど外周方向の有効角は狭くなる。この状態をワイドアスペクト比を有する照明野の主要観測点より投射レンズ入射瞳形状にて表したものが図6(b)である。図中、左側は集光レンズ焦点を「L」とした場合で、図中、右側は集光レンズ焦点を本投影系の周辺部瞳を考慮してやや短焦点とし、外周部における照明光主光線をやや集光させた状態を模擬している。このようにすると、周辺光量比の小さな投射レンズ等に於いても周辺光量の劣化が少なく、良好な結果が得られることは明白である。
【0043】
以上を総合すれば、配する集光レンズ37の焦点距離「f」は、
f≦L=d×b/(b−a) …(14)
とすることが望ましい。
【0044】
本発明の適用光源として有力と思われるものにLED(発光ダイオード)が挙げられる。しかしながら従来欄で述べた様に、投写型ディスプレイ光源としては各色とも非常に多数個必要とする。従来のLEDでは高密度配置ができず、これはで(5)、(9)、(11)、(12)式より好ましくないことは明白な上に、個々にて構成される光源の多数集合体であるから、非常に高コストとなる。
【0045】
もともとLEDは数インチウエハ上に数十万のLEDが存在する状態で製造されるから、設計に若干の修正を加え、ウエハ状態にて本発明適用に適した任意範囲が結線された状態の光源を製造すれば、分割加工以降の工程が省略され、かなりの数量が使用されてもコスト的に非常に有利である。
【0046】
ただしLEDに用いられる半導体結晶はN(屈折率)=3.5程度の高屈折物質が多く、そのまま大気中へ放出させると、図7のグラフ上細実線にて示す通り透過率も低い上に、臨界角も16度程度とカライドスコープ内部へ有効に出射されない。
【0047】
従って図8に示す通り、面光源31からカライドスコープ33内の任意範囲を、大気よりも大きな屈折率を有する媒質39にて充填することにより、図7の太点線にて示した通り、透過率を向上させることが可能となる。
【0048】
媒質39の充填範囲「t」が任意以上の厚みを有していれば、臨界角付近の光源光線の殆どは媒質39内で対光軸角「φ」のカライドスコープ33の界面にて反射されるから、反射後の光線の対光軸角「θM 」は反射前の対光軸角「θB 」に対し
θM =θB −2φ …(15)
となる。このため、図7のグラフ太線にて示す通り光源臨界角を増加させ、結晶外部への発光効率そのものを増加させる効果を持つ。即ちこれらがカライドスコープの少なくとも面光源付近は、大気屈折率以上半導体屈折率以下の任意屈折率の媒質にて充填されていることを特徴とする構成である。
【0049】
但し、媒質39の厚み「t」が大きすぎると、これまで述べてきた光源サイズ「a」、図示しない光源鏡像の存在する円36の半径「r」はそれぞれ「a′」、「r′」と増加するため、光源および投射条件より最適厚値は決定する。
【0050】
なお、フロント投射タイプの投写型ディスプレイの多くは、変調素子に対して垂直上方向に煽り(編心)を設け、上向きに投射・結像するものが殆どである。これは使用便宜性と、多勢を占める液晶をライトバルブとして用いた場合の視野角特性より、コントラスト性能確保が有利であるとの2つの理由を持つ。
【0051】
このような投写型ディスプレイの光学系では、図9に点線にて示す液晶中央より液晶面放線方向に延びる直線上に光源を配すよりも、図9に実線にて示した照射面中央「P」とイメージ的に示した投影系34の入射瞳位置34aを結ぶ直線34b上にカライドスコープ33のミラーの延長線が交わるように設置した方が投射条件より効率的であることは明白である。即ちこれが,投射レンズ光軸と照射表示面中心に偏差を有する投写型ディスプレイに於いて、投射レンズ入射瞳中心より発し照射面中央を通過する延長線上付近にカライドミラーの延長線上交点が存在することを特徴とする構成の効果である。つまり投射レンズ光軸と、照射表示面中心に偏差を有する場合の配置による効果である。
【0052】
次に、面光源と照射面間の距離dは照射面の最短辺の2倍以上6倍以下の距離を有する構成、つまり光源と照明野との適正照明距離範囲設定の必要性について説明する。
【0053】
図10に示す通り、充分な照明距離「d」が確保された光源31の大きさは変更せずに、照明距離を「d2 」、「d1 」と小さくしてゆくと、照明野観測点「P」より見た光源31は大きくなると同時に鏡像数は減少し、次第に円形モデルとの誤差が大きくなるため、多角形として考えざるを得なくなる。
【0054】
光源鏡像を多角形のままにて照明F値を求める過程を図11に示している。
【0055】
この結果、照明距離と照明範囲サイズ比を変数とした、観測点Psより見た鏡像数Nを図12(a)に、観測点Psに到達する照明光の最小F値を図12(b)に示した。
【0056】
さらにこれらをもとに、損失がなく且つ光源が完全拡散状態にて出射している場合に於ける、(5)式で定めるF値を有する投影系にて投射した場合の投影系効率を図12(c)に、この100%効率付近を拡大したものを図12(d)に示した。
【0057】
図12(b)は、円形より突出した多角形頂点からの照明をF値を換算したものであり、照明野に対して照明距離が短い場合、投影系に必要なF値はかなり小さくする必要があることを示している。
【0058】
仮にこれらの損失が許容レベルにあったとしても、図11に示す断面が照明野短辺方向であった場合には、断面が回転するに伴って照明距離「d」は固定のまま光源寸「a」および照明範囲「b」は連続的に拡大するため、図12(c)のような輝度の波がスクリーンにて円状に発生し、映像品位として許容できないから、結果として図12(b)で示す投影系のF値が必須条件となり、コスト条件からみると適切ではない。
【0059】
よって、照明距離を少なくとも照明野の短辺寸法の2倍以上設けることで、図12(c)より解る通り、(5)式で求めた投影系F値に於ける、多角形面光源主因による投影系損失は5%以下となり、最低限の許容レベルである。一方、最大値6に於いては、先述した投影系損失は0.5%程度にて必要充分な品位が確保されるとともに、これ以上の照明光路長の確保は照明品位上の改善効果が少ないうえ鏡像も10を越えるため、有限の反射効率を有するカライドスコープでは最大鏡像付近での照明光率が劣化し、結果として望ましい輝度が得られない。
【0060】
ここで図11を参照して多角形モデル時の照明F値が決定する過程を説明する。
LED面光源とガイドスコープの組み合わせによる照明系にて照明距離dが小さくなると、簡易円形モデルでは誤差が大きくなる。よって、dの小さい領域での多角形モデルにてシミュレーションを行うと次のようになる。
【0061】
今、a,bのサイズが固定されたとしてdをOから増加させることを考える。r=d・a/(b−a)
L=d・b/(b−a)
φ=tan-1((b−a)/(2・d))である。
【0062】
図中緑作図を用いて光源鏡像S1、S2の延長と光軸が交わる点と、点Oとの距離をLnとすると、
Ln=r/cos(2・n・φ)
Ln<=Lを満足する整数nの最大値が観察可能な鏡映像数Nである。
N=[cos-1(a/b)/(2・tan-1((b−a)/(2d)))]
このとき、Nの鏡像の端(頂点)をCNとすれば角CNOPは、(2N+1)φ
よって、θ=
tan-1[{sin(2・N+1)・φ}/{(b/a)cosφ−cos(2N+1)φ}]
故にF=1/(2・sinθ)にて多角形モデル時の照明F値が決定する。
【0063】
以上の結果に基づいて作成した照明距離と光源反射像数との関係が図13(a)であり、照明距離と照明F値との関係が図13(b)である。円形モデルの設定F値を頂点にして、角度θが悪化する。これは照明距離が短いと多角形頂点による照明角拡大がさらに大きくなることを意味しており、効率維持(光の有効利用)のためには、円形モデルよりも明るいF値を設定する必要があり、コスト的には不利となる。
【0064】
以上の結果を円形モデルによる投影系F値設定時の投影効率換算にてグラフ化したものが図12(c)のグラフである。図12(d)はその拡大図である。このグラフは、照明中心より光源鏡像を見た場合であり、液晶対角方向へ移行するに伴い横軸の方向へ効率が変化する。このことは、照明(投影)むらが発生することを意味し、平面形であってもプロジェクタ照明には適さないことを意味する。
【0065】
効率・輝度むらの観点より代表値を、図14に示している。
【0066】
この代表値からわかるように、対角の2倍程度の照明距離がなければ5%程度の輝度むらが発生することがわかる。
【0067】
以上の説明により、本発明を起用すれば従来ランプに変わる光半導体素子を、安価なウエハ状態のままにて、フライアイ等に比べて単純でコンパクトで且つ安価な照明系構成とすることができる。また、高効率で且つ高品位な投写型ディスプレイシステムが構築可能となることが立証される。
【0068】
本発明では、光源が小さく即ち高効率高密度化すればするほど、より安価でコンパクトな光学系が構築可能となるため、対数グラフに直線にてプロット可能な光半導体素子の発光効率向上が為されている現在および将来に於いて、非常に有望・有益な照明光学装置である。
【0069】
【発明の効果】
上記したようにこの発明は、光半導体素子等の面光源を用いた不具合を回避し、安価で高品位な照明を得ることができる照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の前提となる実施の形態を示す概略構成図と、照明野観測点よりみた光源鏡像図と、面光源の出射光の説明図。
【図2】この発明の装置の原理を説明する図。
【図3】面光源に指向性を有する場合の本発明の適用例を示す図。
【図4】本発明の具体的な一実施の形態であり、両偏光利用手段を施した場合の説明図。
【図5】光変調素子が視野角特性を有する場合の本発明の実施の形態の説明図。
【図6】光変調素子に指向性がなく、投影系に有効角偏差がある場合の本発明の実施の形態を示す図。
【図7】図8の実施の形態における発光効率手段を適用した場合の効果例をグラフにて表した図。
【図8】半導体結晶が高屈折率であった場合の本発明の実施の形態であり、発光効率向上手段を適用した説明図。
【図9】投射系に煽りが加えられた場合の本発明の他の実施の形態を示す図。
【図10】照明距離が短い場合の不具合を説明するために示した図。
【図11】図10で示した照明距離が短い場合に、鏡像を多角形光源と捉えた場合の照明角算出過程を表した説明図。
【図12】図11で求めた算出結果を用いて鏡像解析を行った結果をグラフ化した説明図。
【図13】照明距離と輝度効率との関係の代表的な数値例を抜粋して示す図。
【図14】従来の透過型液晶ライトバルブ式プロジェクターの光学系の概要図と主要ランプの発光スペクトルグラフを示す図。
【符号の説明】
31…面光源、32…照明野、33…ガイドスコープ。
Claims (3)
- 光拡散タイプの面光源を有し、前記面光源は、照射面または表示面に対向し、かつ前記面光源と前記照射面または表示面が対向する間の空間の横断面よりも小さな面形状であり、さらに、前記面光源の外周付近と前記照射面または表示面の外周付近より形成される空間を反射鏡で囲むカライドスコープを有した構造であり、
前記面光源は、前記照射面または表示面と所定方向に相似形の2分の1の寸法比を有しており、
上記カライドスコープの前記面光源付近に上記所定方向に光の分離及び位相回転処理を行う両偏光利用手段が施されており、
前記面光源の上記所定方向のサイズをa、前記照射面または表示面のサイズをbとしたとき、前記照射面または表示面からの光を投射する投射レンズのF値について
F=b/(4a)
上記任意方向と直交する方向の前記面光源のサイズa ' 、同方向の前記照射面または表示面のサイズをb ' としたとき前記照射面または表示面からの光を投射する投射レンズのF値についてF=b ' /(2a ' )
なる条件が成立することを特徴とする投写型ディスプレイの照明装置。 - 前記面光源の有効拡散角(半角)がθ L であり、上記カライドスコープの前記面光源付近に上記所定方向に光分離及び位相回転処理を行う両偏光利用手段が施されており、
前記面光源の上記所定方向のサイズをa、前記照射面または表示面サイズをbとしたとき、前記照射面または表示面からの光を投射する投射レンズのF値について
F=b/(4a sin θ L )
上記所定方向と直交する方向の前記面光源のサイズa ' 、同方向の前記照射面または表示面のサイズをb ' としたとき前記照射面または表示面からの光を投射する投射レンズのF値について
F=b ' /(4a ' sin θ L )
なる条件が成立することを特徴とする請求項1に記載の投写型ディスプレイの照明装置。 - 上記カライドスコープの少なくとも前記面光源付近は、大気屈折率以上半導体屈折率以下の屈折率の媒質にて充填されていることを特徴とする、請求項1または2記載の投写型ディスプレイの照明装置。
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