[go: up one dir, main page]

JP4003775B2 - フルオロポリマー製造方法 - Google Patents

フルオロポリマー製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4003775B2
JP4003775B2 JP2004532747A JP2004532747A JP4003775B2 JP 4003775 B2 JP4003775 B2 JP 4003775B2 JP 2004532747 A JP2004532747 A JP 2004532747A JP 2004532747 A JP2004532747 A JP 2004532747A JP 4003775 B2 JP4003775 B2 JP 4003775B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluoropolymer
molecular weight
reaction field
polymerization
radical polymerizable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004532747A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2004020476A1 (ja
Inventor
充郎 塚本
健治 乙井
義之 平賀
英樹 中谷
俊樹 一坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Publication of JPWO2004020476A1 publication Critical patent/JPWO2004020476A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4003775B2 publication Critical patent/JP4003775B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F14/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a halogen
    • C08F14/18Monomers containing fluorine
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J3/00Processes of utilising sub-atmospheric or super-atmospheric pressure to effect chemical or physical change of matter; Apparatus therefor
    • B01J3/008Processes carried out under supercritical conditions
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/54Improvements relating to the production of bulk chemicals using solvents, e.g. supercritical solvents or ionic liquids

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、フルオロポリマー製造方法に関する。
フルオロポリマーは、卓越した耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性等を示すことから、過酷な条件下で使用されるシール材等の原料として、自動車工業、半導体工業、化学工業等の幅広い産業分野において使用されている。
フルオロポリマーの製造は、従来、主として、フルオロオレフィンを水性媒体中で水溶性開始剤を用いて乳化重合するか、又は、油溶性ラジカル開始剤を用いて懸濁重合することにより行われてきた。これらの重合において、反応場は、実質的に生成ポリマー粒子内部や重合反応に影響を与えにくい不活性溶剤中である。
水性媒体を用いる従来の乳化重合は、水溶性開始剤を使用するのが一般的である。水溶性開始剤により、生成するポリマー末端基はイオン性となり、熱的に不安定であるので、成形加工時に発泡を起こす等の問題を生じていた。従来の乳化重合は、また、反応後に得られる水性分散体を適当な凝析剤を用いて凝集させ脱水乾燥して固体ポリマーを得るものであるが、工程が長く複雑で効率的に生産できないという問題があった。イオン性開始剤の残渣が製品に混入すると成形体を半導体製造装置用の機器部品として使用する場合、問題となっていた。
懸濁重合の場合、生成ポリマーの析出による反応槽内壁への付着が発生し、ポリマー収率を悪化せしめ、ポリマー生産コストを上昇させるという問題があった。懸濁重合は、また、重合時に使用される懸濁安定剤を除去するために、長時間の洗浄が必要となる問題があった。
近年、二酸化炭素を中心とした超臨界流体を反応場として用いる研究が盛んに行われるようになってきた。超臨界流体は、熱伝導が良く、拡散が早く、粘性が小さいことから、反応媒体として適した性質を有している。超臨界流体は、臨界温度と臨界圧力とを共に越えた領域にある流体である。
超臨界流体を反応場とするフルオロオレフィンの重合として、例えば、国際公開第01/34667号パンフレット及び国際公開第01/90206号パンフレットには、連続重合によるビニリデンフルオライドのラジカル重合反応が開示されている。これらの技術を用いた場合、得られるポリマーの重量平均分子量は10万以下の低分子量物のみであったり、数10万の場合であっても10万以下の低分子量物を含むマルチモーダルな分子量分布を示したりする。これらの低分子量物を含むポリマーは、成型品にした場合、強度低下やフィッシュアイの原因になるという問題がある。
モノマー自体を超臨界流体にして反応場とし、フルオロオレフィンを重合反応させた例としては、米国特許第3,062,793号明細書に記載のあるテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンの共重合反応、国際公開第96/24624号パンフレットに記載のテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンの共重合反応、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレンの共重合反応等が挙げられる。しかし前者の明細書には、反応条件は約200MPa以上となっており、後者の明細書の反応条件は、圧力41〜690MPa、温度200〜400℃という非常に高温高圧の過酷な条件であるので、商業スケールの生産設備費が高くなるという問題があった。
比較的低温低圧での超臨界フルオロオレフィンの重合として、国際公開第00/47641号パンフレットには、ビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合反応が開示されている。しかしながら、この技術では、低分子量のポリマーしか得られていない。
本発明の目的は、上記現状に鑑み、高分子量かつ分子量分布の狭いフルオロポリマーを製造する方法を提供することにある。
本発明は、特定の反応場においてラジカル重合性モノマーの重合を連続重合法により行い、フルオロポリマーを得ることよりなるフルオロポリマー製造方法であって、上記特定の反応場は、超臨界発現状態であり、圧力が40MPa以下であり、温度が上記特定の反応場の超臨界発現温度より100℃高い温度以下であるものであり、上記ラジカル重合性モノマーは、フッ素含有エチレン性モノマーからなるものであり、上記フルオロポリマーは、ポリスチレン換算重量平均分子量〔Mw〕が15万以上であり、上記ポリスチレン換算重量平均分子量〔Mw〕とポリスチレン換算数平均分子量〔Mn〕との比〔Mw/Mn〕が1を超え、3以下であるものであることを特徴とするフルオロポリマー製造方法(I)である。
本発明は、特定の反応場においてラジカル重合性モノマーの重合を二酸化炭素の存在下に連続重合法により行い、フルオロポリマーを得ることよりなるフルオロポリマー製造方法であって、上記特定の反応場は、超臨界発現状態であり、上記ラジカル重合性モノマーは、フッ素含有エチレン性モノマーからなるものであり、上記二酸化炭素は、存在量が上記ラジカル重合性モノマーと等モル以下であり、上記フルオロポリマーは、ポリスチレン換算重量平均分子量〔Mw〕が15万以上であり、上記ポリスチレン換算重量平均分子量〔Mw〕とポリスチレン換算数平均分子量〔Mn〕との比〔Mw/Mn〕が1を超え、3以下であるものであることを特徴とするフルオロポリマー製造方法(II)である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のフルオロポリマー製造方法は、特定の反応場においてラジカル重合性モノマーの重合を連続重合法により行い、フルオロポリマーを得ることよりなるものである。
本発明のフルオロポリマー製造方法は、フルオロポリマー製造方法(I)及びフルオロポリマー製造方法(II)に分けられるが、これらの製造方法は、特定の反応場においてラジカル重合性モノマーの重合を連続重合法により行い、フルオロポリマーを得ることよりなる点で共通する。
本明細書において、(I)又は(II)を付すことなく、単に「本発明のフルオロポリマー製造方法」というときは、フルオロポリマー製造方法(I)及びフルオロポリマー製造方法(II)の何れであるかを区別することなく、これら2つのフルオロポリマー製造方法を表す。
本発明のフルオロポリマー製造方法は、ラジカル重合性モノマーの重合を特定の反応場において行うものである。
上記特定の反応場は、超臨界発現状態である。
本明細書において、「超臨界発現状態」とは、つぎの(1)の状態と(2)の状態とを意味する。
(1)単成分系である場合は、ラジカル重合性モノマーの臨界圧力Pcmono及び臨界温度Tcmonoを何れも超えた状態。
本明細書において、上記「単成分系」とは、ラジカル重合性モノマーが1種類存在する反応場を意味する。
(2)多成分系である場合は、反応場に存在する主要成分の混合物全体として定まる臨界圧力Pcmlt−mix及び臨界温度Tcmlt−mixを何れも超えた状態(2−1)、又は、反応場に存在する主要成分のうち任意の1成分aについて、反応場におけるaの分圧Pmlt−aが、aが単独で存在する場合の臨界圧力Pcmlt−aを超え、かつ、反応場の温度Tが、上記aが単独で存在する場合の臨界温度Tcmlt−aを超えた状態(2−2)。
本明細書において、上記「多成分系」とは、上記ラジカル重合性モノマーが少なくとも1種類存在し、上記少なくとも1種類のラジカル重合性モノマーの他に主要成分に該当するものが少なくとも1種類存在する反応場を意味する。上記多成分系において、上記ラジカル重合性モノマーは、2種類以上存在していてもよい。
上記主要成分は、上記ラジカル重合性モノマー、並びに、後述の所望により用いる非エチレン性フルオロカーボン及び二酸化炭素である。上記主要成分の種類の数え方は、例えば、上記ラジカル重合性モノマーが2種類存在し、非エチレン性フルオロカーボンや二酸化炭素が実質的に存在しない場合、2種類と数える。
本明細書において、上記(1)の状態と上記状態(2−1)は、超臨界状態である。本明細書において、上記状態(2−2)は、多成分系全体について超臨界様状態であるという。
本明細書において、上記(1)の状態又は上記(2)の状態の何れかに該当しない状態は、超臨界発現状態に該当しない。
多成分系において、多成分系全体としての圧力は、反応場に含まれる任意の1主要成分(以下、「成分m」という。)が単独で存在する場合に上記成分mが有する臨界圧力Pc(m)を超え、かつ、主要成分の混合物全体として定まる臨界圧力Pcmlt−mix未満であり、多成分系全体としての温度は、成分m以外の任意の1主要成分(以下、「成分n」という。)が単独で存在する場合に上記成分nが有する臨界温度Tc(n)を超え、かつ、主要成分の混合物全体として定まる臨界温度Tcmlt−mix未満である状態は、上記超臨界発現状態には該当しない。つまり、ビニリデンフルオライド(VdF、単独で存在する場合の臨界圧力〔Pcmono〕=4.430MPa、単独で存在する場合の臨界温度〔Tcmono〕=30.15℃)とヘキサフルオロプロピレン(HFP、Pcmono=2.900MPa、Tcmono=93.95℃)の2種類のラジカル重合性モノマーを用いる場合、HFPの臨界圧力である2.900MPaを超え、かつ、VdFの臨界温度である30.15℃を超え、VdFとHFPとの混合物全体として定まる臨界圧力Pcmlt−mix及び臨界温度Tcmlt−mixを何れも下回る状態は、上記超臨界発現状態には該当しない。
本明細書において、上記臨界圧力Pcmono、上記臨界圧力Pcmlt−mix及び上記臨界圧力Pcmlt−aを特に区別することなく述べるときは、「超臨界発現圧力」といい、上記臨界温度Tcmono、上記臨界温度Tcmlt−mix及び上記臨界温度Tcmlt−aを特に区別することなく述べるときは、「超臨界発現温度」という。上記超臨界発現状態は、上記超臨界発現圧力を超え、かつ、上記超臨界発現温度を超えている状態であるともいえる。
上記特定の反応場には、上記主要成分以外の物質が存在していてもよい。
上記主要成分以外の物質としては特に限定されず、例えば、後述のラジカル重合開始剤、上記ラジカル重合開始剤の希釈剤、連鎖移動剤等が挙げられる。上記主要成分以外の物質は、微量成分である。上記微量成分は、微量であるので、反応場の超臨界発現温度又は超臨界発現圧力に与え得る影響は無視できる程度であり、本発明のフルオロポリマー製造方法においては、超臨界発現温度又は超臨界発現圧力に影響しないものとする。
また、生成するフルオロポリマーは、通常、溶解せずに析出するので、超臨界発現温度又は超臨界発現圧力には影響しない。
本発明のフルオロポリマー製造方法における反応場は、超臨界発現状態を形成する条件に依存し特に限定されないが、エネルギー効率の向上、製造設備費の低減化の観点から、超臨界発現圧力を超え、超臨界発現温度を超える状態のうち、超臨界発現圧力に近く、超臨界発現温度に近い状態を採用することが好ましい。
本発明のフルオロポリマー製造方法において、特定の反応場における圧力の下限は、超臨界発現状態について上述したことから明らかであるように、超臨界発現圧力を超える圧力である。特定の反応場における圧力は、超臨界発現圧力を超えるものであれば、後述の代表的なラジカル重合性モノマーの臨界圧力等を勘案し決めるものであって特に限定されないが、好ましい下限は、2MPa、より好ましい下限は、4MPaである。
本発明のフルオロポリマー製造方法において、特定の反応場における温度の下限は、超臨界発現状態について上述したことから明らかであるように、超臨界発現温度を超える温度である。特定の反応場における温度は、超臨界発現温度を超えるものであれば、後述の代表的なラジカル重合性モノマーの臨界温度等を勘案し決めるものであって特に限定されないが、温度が高くなると生成してくるフルオロポリマー粒子内での重合よりも超臨界溶媒中での重合が支配的になり分子量の低いフルオロポリマーの生成量が増加し分子量分布がバイモーダルになる場合がある。
上記ラジカル重合性モノマーとしてVdFのみを使用する場合、VdFの臨界温度30.15℃が特定の反応場における温度の下限であり、反応場を安定的に超臨界発現状態に維持することができる点で、重合を行う温度としては、31℃とすることがより好ましい。
本発明のフルオロポリマー製造方法(I)において、上記特定の反応場は、上述の超臨界発現状態であり、更に、圧力が40MPa以下であり、温度が上記特定の反応場の超臨界発現温度より100℃高い温度以下であるものである。生産コストの点から、上記圧力は10MPa以下であることが好ましく、上記温度は、上記特定の反応場の超臨界発現温度より50℃高い温度以下であることが好ましく、上記特定の反応場の超臨界発現温度より30℃高い温度以下であることがより好ましく、用いるラジカル重合性モノマーの液化が起こりにくい点及び運転操作上の点で、上記特定の反応場の超臨界発現温度より15℃高い温度以下であることが更に好ましい。
なお、本発明のフルオロポリマー製造方法において、多成分系である場合、臨界圧力Pcmlt−mix及び臨界温度Tcmlt−mixが、臨界圧力Pcmlt−a及び臨界温度Tcmlt−aよりも降下又は上昇することがあるが、本発明では実際の反応場で超臨界発現圧力以上かつ超臨界発現温度以上になっていればよい。
反応場が本発明のフルオロポリマー製造方法でいう超臨界発現状態であるか否かは、測定したい系の飽和状態及び一相域での圧力、密度及び温度の関係を測定(PVT測定)することにより判定することができる。しかし、実測値の入手が困難な場合、推算値(日本化学会編、「化学便覧基礎編、改訂5版」、6頁、丸善(株)発行(平成7年3月15日))により代替することもできる。
反応場を超臨界発現状態にする方法としては、例えば、内部を超臨界発現圧力以上の圧力と超臨界発現温度以上の温度とに調節した反応容器に上記ラジカル重合性モノマー並びに要すれば非エチレン性フルオロカーボン及び/若しくは二酸化炭素を連続的に導入する方法等が挙げられる。
本発明のフルオロポリマー製造方法により得られる上記フルオロポリマーは、ポリスチレン換算重量平均分子量〔Mw〕が15万以上であり、上記ポリスチレン換算重量平均分子量〔Mw〕とポリスチレン換算数平均分子量〔Mn〕との比〔Mw/Mn〕が1を超え、3以下であるものである。Mwが15万未満であると、得られる成形体は耐摩耗性等の機械的強度に劣る。Mw/Mnが3を超えると、耐衝撃性等の機械的性質及び成形性に劣る。上記Mw/Mnの好ましい下限は、1.5である。
上記フルオロポリマーは、上記範囲内のMwとMw/Mnとであれば、例えば図1や図5等に示すような分子量分布図において、通常、高分子量且つピークが1つであるユニモーダルとなる。従来、超臨界発現状態においてラジカル重合性モノマーを重合して得られるフルオロポリマーは、分子量分布図においてピークが2つあるバイモーダルとなっていた。ラジカル重合性モノマーの重合は、少なくとも、生成してくるフルオロポリマーの粒子内部(以下、「重合場(P)」という。)と、上記重合場(P)を含まない上述の特定の反応場内(以下、「重合場(Q)」という。)との2つの重合場において進行すると考えられる。得られるフルオロポリマーは、重合場(P)における重合体が比較的高分子量、重合場(Q)における重合体が比較的低分子量となる傾向にある。従来のバイモーダルの分子量分布は、重合場(P)における重合体による高分子量側のピーク(P′)と、重合場(Q)における重合体による低分子量側のピーク(Q′)とを表していたものと考えられる。従来、重合場が2つ存在する以上、分子量分布をユニモーダルにすることは困難であり、ユニモーダル且つ高分子量の分子量分布を得ることも勿論困難であった。しかしながら、本発明のフルオロポリマー製造方法は、超臨界発現状態においてラジカル重合性モノマーの重合を行うものであるが、得られるフルオロポリマーの分子量分布をユニモーダルにすることができ、しかも高分子量で得ることを可能にしたものである。
本発明のフルオロポリマー製造方法により得られるフルオロポリマーのMw及びMw/Mnの値を上述の範囲にするためには、少なくとも、上述の超臨界発現状態で上記連続重合法によりラジカル重合性モノマーの重合を行うことを要する。
本発明のフルオロポリマー製造方法において、ラジカル重合性モノマーの重合は、モノマーガスを導入して行うものである。
上記特定の反応場は、モノマー密度(以下、ρとする。)とモノマー臨界密度(以下、ρとする。)との比(以下、ρ/ρ=ρとする。)が1.1以上であることが好ましい。上記ρが1.1未満であると、重合速度が低く、生産性が著しく低下し、得られるフルオロポリマーが上述の範囲内のMwとMw/Mnとを有さないことがあり、分子量分布がバイモーダルとなりやすい。ρの好ましい上限は、1.8であり、より好ましい上限は、1.7であり、更に好ましい上限は、1.6である。上記ρが1.1未満であるとバイモーダルとなりやすいのは、低分子量側のピーク(Q′)が更に低分子量側にシフトしやすく、たとえ定常状態における反応容器内のフルオロポリマーの量を後述のように多くして高分子量側のピーク(P′)を高くしても、ピーク(Q′)を吸収させてユニモーダルにすることはできないからと考えられる。
本発明のフルオロポリマー製造方法におけるモノマー臨界密度ρとは、超臨界発現温度及び超臨界発現圧力における上記モノマー密度を意味する。上記モノマー密度は、ラジカル重合性モノマーの密度であり、上記ラジカル重合性モノマーは、上記反応容器内に導入する前、25〜30℃程度の常温において通常、気体である。上記モノマー密度は、上記ラジカル重合性モノマーが2種以上である場合、各種のラジカル重合性モノマー単独の密度を合計したものである。上記ρは、下限が0.3g/mlであることが好ましい。
上記モノマー密度は、反応容器内に導入したラジカル重合性モノマーの質量を反応容器容積で除して求めるものである。
本発明のフルオロポリマー製造方法において、ラジカル重合性モノマーの重合は、連鎖移動剤の存在下に行うものであることが好ましい。上記連鎖移動剤を添加することにより、他の重合条件にもよるが、得られるフルオロポリマーのMwとMw/Mnとを上述の範囲内にすることができ、分子量分布を高分子量且つユニモーダルにすることができる。高分子量且つユニモーダルの分子量分布を得ることができるのは、上記連鎖移動剤により、低分子量側のピーク(Q′)の位置には実質的に影響を与えることなく、高分子量側のピーク(P′)のみを低分子量側にシフトすることができるからと考えられる。上記連鎖移動剤としては、例えば、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類のほか、炭化水素系アルコール類、炭化水素系エステル類、炭化水素系ケトン類、メルカプタン類等が挙げられる。炭化水素類としては、ペンタン、ブタン、ヘキサン等の炭素数4〜6の炭化水素が挙げられる。ハロゲン化炭化水素類としては、例えば、テトラクロルメタン、クロロホルム、メチレンクロライド等が挙げられる。上記ハロゲン系炭化水素類は、連鎖移動性が実質的にない上述の非エチレン性フルオロカーボンとは区別されるものである。
炭化水素系アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
炭化水素系エステル類としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、炭酸ジエチル等が挙げられる。
炭化水素系ケトン類としては、例えば、アセトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
メルカプタン類としては、例えば、ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
これら連鎖移動剤として上述したもののなかでも、少量の添加で分子量を大きく下げられる点で、ペンタン、ブタン、イソプロパノール、マロン酸ジエチル、テトラクロルメタン、アセトン、ドデシルメルカプタン又は炭酸ジエチルが好ましく、超臨界発現状態にある流体との親和性に特に優れ、高分子量側のピーク(P′)を効果的に低分子量側にシフトすることができる点で、アセトン、マロン酸ジエチル、炭酸ジエチル等のカルボニル基を含有するものがより好ましく、高分子量側のピーク(P′)を低分子量側にシフトさせる一方、低分子量側のピーク(Q′)の低分子量側へのシフトを起こしにくい点で、アセトン又は炭酸ジエチルが更に好ましい。
連鎖移動剤の配合量は、目的とするフルオロポリマーの分子量によって適宜決定すればよいが、通常、上記ラジカル重合性モノマー全量に対して0.001〜5質量%とすることが好ましい。より好ましい上限は、2質量%である。
本発明のフルオロポリマー製造方法は、ラジカル重合性モノマーの重合を連続重合法により行うことを特徴とするものである。
上記連続重合法とは、ラジカル重合性モノマーを連続的に反応場に供給し、得られるフルオロポリマーを連続的に排出する重合方法である。
上記連続重合法は、定常状態において、他の反応条件にもよるが反応容器内の上記フルオロポリマーの量が上記反応容器の容積1リットルあたり8g以上となるように行うことが好ましい。反応容器内のフルオロポリマーの量を多くすると、重合場(P)での反応を促進させ、高分子量側のピーク(P′)を大きくすることができ、高分子量のフルオロポリマーの製造に好適である。上記フルオロポリマーの量は、上記範囲内であれば、生産性の点で上限を例えば、定常状態における反応容器の容積1リットルあたり100gとすることができる。
上記定常状態は、反応容器内のフルオロポリマーの量が一定になった状態である。上記反応容器内のフルオロポリマーの量は、上記定常状態において、1滞留時間あたりに反応容器から排出されるフルオロポリマーの量と等しい。
上記反応容器内のフルオロポリマーの量は、上記定常状態において、1滞留時間あたりに反応容器から排出されるフルオロポリマーの量を反応容器の容積1リットルあたりの量に換算した値である。
上記滞留時間は、連続重合法により供給した任意の時点での反応容器内におけるラジカル重合性モノマーの全量Wgが、重合に全く消費されないと仮定した場合に、この反応容器に新たに供給されるラジカル重合性モノマーWgと置き換わるのに必要な時間である。上記滞留時間は、実際には、反応容器の容積と、この反応容器に供給するラジカル重合性モノマーの密度と供給速度(流速)とから算出することができる。上記滞留時間は0.01〜5時間であることが好ましい。より好ましい下限は、0.1時間であり、より好ましい上限は、2時間である。
フルオロポリマーは、定常状態における反応容器の容積1リットルあたりの量が8g未満であると、高分子量側のピーク(P′)の大きさが通常不充分となるが、連鎖移動剤を用いることにより、MwとMw/Mnとを上述の範囲内にし、ユニモーダルな分子量分布を得ることができる。定常状態における反応容器の容積1リットルあたりのフルオロポリマーの量が8g未満であってもユニモーダルな分子量分布を得ることができるのは、上記連鎖移動剤を用いることにより、高分子量側のピーク(P′)を低分子量側にシフトさせることができるので、その結果、低分子量側のピーク(Q′)に吸収されるように見えるからと考えられる。なお、定常状態における反応容器の容積1リットルあたりのフルオロポリマーの量が8g以上との反応条件は、上記範囲内のMwとMw/Mnとを得るために必ずしも必要ではなく、例えば、上記連鎖移動剤を用いる場合、この反応条件を満たさなくても上記範囲内のMwとMw/Mnとを得ることは可能である。
上記ラジカル重合性モノマーは、フッ素含有エチレン性モノマーからなるものである。上記ラジカル重合性モノマーとしては、
(i)1種のフッ素含有エチレン性モノマー、
(ii)2種以上のフッ素含有エチレン性モノマーの混合物、
(iii)1種のフッ素含有エチレン性モノマーと1種又は2種以上のフッ素非含有エチレン性モノマーとの混合物、
(iv)2種以上のフッ素含有エチレン性モノマーと1種又は2種以上のフッ素非含有エチレン性モノマーとの混合物
を採用することができる。
上記フッ素含有エチレン性モノマーとしては、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、
Figure 0004003775
等のパーフルオロエチレン性モノマー;ビニリデンフルオライド〔VdF〕、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン等の水素含有フルオロエチレン性モノマー;クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕等の塩素含有フルオロエチレン性モノマー等が挙げられる。PAVEとしてはパーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕等が挙げられる。
上記フッ素含有エチレン性モノマーは、VdF、TFE、CTFE、及び、HFPからなる群より選ばれる少なくとも1つからなるものであることが好ましい。
上記フッ素含有エチレン性モノマーは、なかでも、比較的低温低圧にて容易に超臨界発現状態を達成でき、自己重合性がない点から、VdFからなるものであることが好ましい。上記フッ素含有エチレン性モノマーは、VdFと、TFE、HFP及びCTFEから選ばれる少なくとも1種とからなることが、得られるフルオロポリマーを押出成形により成形する際の押出し性が改善する点から好ましい。
上記フッ素含有エチレン性モノマーとしては、また、官能基含有フルオロオレフィンを用いることも可能である。官能基含有フルオロオレフィンとしては特に限定されず、例えば、下記一般式
Figure 0004003775
(式中、Yは、−CHOH、−COOH、−SOF、−SOM(Mは水素原子、NH又はアルカリ金属)、塩を形成しているカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、エポキシ基又はニトリル基を表し、X及びXは、同一又は異なり、水素原子若しくはフッ素原子を表し、Rfは、炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数1〜40のエーテル結合を含有する含フッ素アルキレン基を表す。)で表される化合物等が挙げられ、具体例としては、例えば、
Figure 0004003775
Figure 0004003775
等が挙げられる。
上記フッ素含有エチレン性モノマーとしては、特公平5−63482号公報や特開昭62−12734号公報に開示されているパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)、パーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)等のフルオロオレフィンモノマーを用いることも可能である。
フッ素非含有エチレン性モノマーとしては特に限定されず、例えば、エチレン〔ET〕、プロピレン、ブテン、ペンテン等の炭素数2〜10のα−オレフィンモノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキル基が炭素数1〜20のアルキルビニルエーテル等が挙げられる。
超臨界発現状態の反応場での重合においては、つぎのラジカル重合性モノマーの組み合わせが特に好適である。
(a)VdF、TFE、CTFE等の1種の単独重合、
(b)VdFとHFPとの共重合(50〜99/1〜50モル比)、
(c)VdFとHFPとTFEとの共重合(50〜98/1〜40/1〜40モル比)、
(d)HFPとETとの共重合(1〜50/50〜99モル比)、
(e)HFPとETとTFEの共重合(1〜50/40〜98/1〜45モル比)、
(f)PAVEとTFEとの共重合(1〜50/50〜99モル比)、
(g)TFEとHFPとの共重合(50〜99/1〜50モル比)、
(h)TFEとETとの共重合(1〜99/1〜99モル比)、
(i)TFEとプロピレンとの共重合(1〜99/1〜99モル比)、
(j)VdFとTFEとの共重合(1〜99/1〜99モル比)、
(k)VdFとCTFEとの共重合(1〜99/1〜99モル比)、
(l)VdFとCTFEとTFEとの共重合(50〜98/1〜30/1〜30モル比)、
(m)TFEとVdFとプロピレンとの共重合(30〜98/1〜50/1〜50モル比)、
(n)ETとHFPとVdFとの共重合(10〜85/10〜45/1〜45モル比)、
(o)ETとHFPとVdFとTFEとの共重合(10〜85/10〜45/1〜45/1〜30モル比)
上記ラジカル重合性モノマーの重合は、非エチレン性フルオロカーボンの存在下に行うものであることが好ましい。上記非エチレン性フルオロカーボンとしては、炭素数1〜5の鎖状又は環状の飽和フルオロカーボンが好ましく、このようなフルオロカーボンとしては、例えば、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン(臨界温度〔Tc〕=25.82℃)、トリフルオロエタン(Tc=72.6℃)、テトラフルオロエタン(Tc=101.03℃)、ペンタフルオロエタン等の水素含有非エチレン性フルオロカーボン類;テトラフルオロメタン(CF、Tc=−45.64℃)、パーフルオロエタン(C、Tc=19.88℃)、パーフルオロシクロブタン(Tc=115.22℃)等の非エチレン性パーフルオロカーボン類等が挙げられる。上記非エチレン性フルオロカーボンは反応場で上記ラジカル重合性モノマーの希釈剤として働き、反応熱の除熱を助ける。また、反応場におけるラジカル重合開始剤の溶解性及び生成してくるフルオロポリマーの粒子の安定性を高め、膨潤により粒子同士が接着しないようにすることができる。
上記非エチレン性フルオロカーボンは、上述の特定の反応場における超臨界発現温度を低下させエネルギー効率を高める点で、単独で存在する場合の臨界温度Tcmlt−aが、ラジカル重合性モノマー1種又は2種以上が有する臨界温度よりも低いものが好ましい。このような臨界温度Tcmlt−aを有する非エチレン性フルオロカーボンとしては、上述の非エチレン性フルオロカーボン類が好ましく、テトラフルオロメタン、パーフルオロエタンがより好ましく、超臨界発現温度を低下させるためには後述の二酸化炭素を併用しないことが好ましい。
非エチレン性フルオロカーボンは、使用する場合は、上記ラジカル重合性モノマー全量に対して1〜500質量%であることが好ましい。多すぎると反応後に回収すべき非エチレン性フルオロカーボン量が多くなったり、非エチレン性フルオロカーボンへのラジカル重合開始剤溶解量が増加したり、分子量の低いフルオロポリマーの生成量が増えるので好ましくない。より好ましい上限は、300質量%であり、更に好ましい上限は、200質量%である。
本発明のフルオロポリマー製造方法(II)は、特定の反応場において上述のラジカル重合性モノマーの重合を二酸化炭素の存在下に行うことを特徴とするものである。上記二酸化炭素は、上述の非エチレン性フルオロカーボンと同様、反応場で上述のラジカル重合性モノマーの希釈剤として働き、反応熱の除熱を助けるとともに、反応場におけるラジカル重合開始剤の溶解性及び生成してくるフルオロポリマーの粒子の安定性を高め、膨潤により粒子同士が接着しないようにすることができる。
上記フルオロポリマー製造方法(II)における特定の反応場は、本発明のフルオロポリマー製造方法について上述したように、超臨界発現状態である。
上記二酸化炭素は、存在量が上述のラジカル重合性モノマーと等モル以下である。等モルを超えると、分子量の低いフルオロポリマーの生成量が増えるので好ましくない。上記二酸化炭素の存在量の好ましい上限は、上記二酸化炭素と上記ラジカル重合性モノマーとの合計モル数の50%であり、より好ましい上限は、30%であり、更に好ましい上限は、10%である。上記二酸化炭素の存在量は、上記範囲内であれば、通常、上記二酸化炭素と上記ラジカル重合性モノマーとの合計モル数の1%以上であっても、ラジカル重合開始剤の溶解性と、生成してくるフルオロポリマーの粒子の安定性を高め、膨潤により粒子同士が接着しないようにすることができる。
上記二酸化炭素は、反応場に存在させることによりモノマー密度が低下し、得られるフルオロポリマーの重合度が低くなる傾向にあるので、目的とするフルオロポリマーのMwを考慮し、また、用いるラジカル重合開始剤の反応場への溶解性等も考慮したうえで用いる必要がある。
本発明のフルオロポリマー製造方法(II)は、ラジカル重合性モノマーの重合を二酸化炭素の存在下に行うことにより、例えば、用いるラジカル重合開始剤の反応場への溶解性を向上することができるが、特定の反応場における温度を高めに設定することにより、上述の範囲内のMwとMw/Mnとを有するフルオロポリマーを得ることができ、上記温度は、例えば、超臨界発現温度より100℃高い温度を超えるものであってもよいが、ユニモーダルな分子量分布を有するフルオロポリマーを得るためには、温度範囲は超臨界発現温度より100℃高い温度以下であることが好ましい。超臨界発現温度より100℃高い温度を超えると、得られるフルオロポリマーの分子量分布がバイモーダルになる場合がある。上記温度は、上記特定の反応場の超臨界発現温度より50℃高い温度以下であることがより好ましく、上記特定の反応場の超臨界発現温度より30℃高い温度以下であることが更に好ましく、用いるラジカル重合性モノマーの液化が起こりにくい点及び運転操作上の点で、上記特定の反応場の超臨界発現温度より15℃高い温度以下であることが特に好ましい。
本発明のフルオロポリマー製造方法(II)の特定の反応場における圧力は、二酸化炭素の分圧が寄与することにより、ラジカル重合性モノマーの重合を二酸化炭素の非存在下に行う場合に比べて高くなる傾向にあるが、40MPa以下であることが好ましい。
本発明のフルオロポリマー製造方法(I)は、特定の反応場における圧力を40MPa以下、温度を超臨界発現温度より100℃高い温度以下に抑え、上述の範囲内のMwとMw/Mnとを有するフルオロポリマーを得ることができる。
本発明のフルオロポリマー製造方法において、上記ラジカル重合性モノマーの重合は、ラジカル重合開始剤の存在下に行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物等の過酸化物、アゾ化合物等を使用することができる。
上記ラジカル重合開始剤は、連鎖移動性を有しないものであってもよいし、連鎖移動性を有するものであってもよい。
上記ラジカル重合開始剤として連鎖移動性を有しないものを用いた場合、連鎖移動剤を用いなければ、得られるフルオロポリマーの分子量分布は、連鎖移動剤を用いたときに比べて高分子量側のピーク(P′)が大きくなり、低分子量側のピーク(Q′)にはあまり変化がないのでバイモーダルとなる傾向にあるが、連鎖移動剤をも存在させることにより、高分子量側のピーク(P′)を小さくし、ユニモーダルにすることが可能である。
上記ラジカル重合開始剤として連鎖移動性を有するものを用い、かつ、連鎖移動剤をも用いた場合、定常状態における反応容器内のフルオロポリマーの量を上述の範囲内に高めることにより、得られるフルオロポリマーのMwとMw/Mnとを容易に上述の範囲内にすることができ、分子量分布をユニモーダルにすることができる。分子量分布がユニモーダルとなるのは、連鎖移動性があることから高分子量側のピーク(P′)と低分子量側のピーク(Q′)とが小さい傾向にあるが、定常状態における反応容器内のフルオロポリマーの量を上述の範囲内にすることにより高分子量側のピーク(P′)を大きくすることができ、低分子量側のピーク(Q′)を吸収したようにみえることによると考えられる。
連鎖移動性を有しない有機過酸化物としては特に限定されず、例えば、パーフルオロプロピオニルパーオキサイド、パーフルオロブチリルパーオキサイド等の一般式(C2m+1COO−)(mは、1〜5の整数を表す。)で表される直鎖状のパーフルオロジアシルパーオキサイド;パーフルオロ(2−ノルマルプロポキシプロピオニル)パーオキサイド等の下記一般式
Figure 0004003775
(nは、0〜2の整数を表す。)で表されるビス〔2,2′−(パーフルオロプロポキシオキシアルキレンプロピオニル)〕パーオキサイド;ビス(ω−ハイドロドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド〔DHP〕等のフッ素系ジアシルパーオキサイド等が挙げられる。
連鎖移動性を有する有機過酸化物としては特に限定されず、例えば、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックアシッドパーオキサイド等の非フッ素系ジアシルパーオキサイド;ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジエチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル等が挙げられる。
無機過酸化物としては特に限定されず、例えば、過酸化水素、過硫酸塩等が挙げられる。
過硫酸塩としては特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。
また、上記過酸化物の場合、還元剤と組み合わせて使用することも可能である。
アゾ化合物としては特に限定されず、例えば、シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、ポリジメチルシロキサンセグメント含有マクロアゾ化合物、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2′−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤としては、なかでも、蒸気圧が低いこと、及び、不安定なフルオロポリマー末端が生成しない点から、有機過酸化物が好ましく、なかでも、超臨界発現状態にある上記主要成分に溶解しやすい点から、パーオキシジカーボネート、フッ素系ジアシルパーオキサイド、及び/又は、非フッ素系ジアシルパーオキサイドが好ましい。
上記ラジカル重合開始剤は、ラジカル重合性モノマー全量の0.001〜10質量%であることが好ましい。ラジカル重合開始剤が0.001質量%より少ないと、重合しないか又は生産性が著しく低下したり、成形不良の原因となる超高分子量のフルオロポリマーが生成する傾向にあり、10質量%を超えると、分子量が著しく低下して、得られる成形体は機械的強度、耐摩耗性等の点で不充分となりやすく、ラジカル重合開始剤にかかるコストが高くなったり、成形物の強度が低くなる傾向にある。より好ましい下限は、0.005質量%であり、より好ましい上限は、2質量%である。
また、本発明において、反応に関与しないかぎり、その他の添加剤を加えてもよい。上記その他の添加剤としては特に限定されず、例えば、ラジカル重合開始剤の溶剤(炭酸ジエチル、パーフルオロヘキサン、2,2,3,3−テトラフルオロプロピレンアルコール等)等が挙げられる。
本発明のフルオロポリマー製造方法によれば、上述のラジカル重合性モノマーを構成単位とするフルオロポリマーを製造することができる。上記フルオロポリマーは樹脂であってもエラストマーであってもよい。
本発明のフルオロポリマー製造方法により製造することができるフルオロポリマーとしては特に限定されず、例えば、上記樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、ポリビニデンフルオライド〔PVdF〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、VdF/TFE共重合体、VdF/TFE/CTFE共重合体、TFE/HFP共重合体〔FEP。HFP含有量30モル%以下〕、TFE/PAVE共重合体〔PFA。PAVE含有量20モル%以下〕等が挙げられる。上記エラストマーとしては、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、HFP/ET共重合体、HFP/ET/TFE共重合体、HFP/ET/VdF共重合体、HFP/ET/VdF/TFE共重合体、TFE/PAVE共重合体(PAVE含有量21〜50モル%)、TFE/HFP共重合体(HFP含有量31〜50モル%)、TFE/プロピレン共重合体、VdF/CTFE共重合体、TFE/VdF/プロピレン共重合体等が挙げられる。
本発明のフルオロポリマー製造方法は、上述のように、高分子量でかつ分子量分布が狭いフルオロポリマーを得られることから、射出成形、押出成形等に用いられる成形材料、各種ライニング等に用いられる粉体塗料の材料等として幅広い用途がある。例えば、均一でピンホールのない薄い膜を形成することができるオルガノゾル塗料の原料粉末として好適に用いられる。上記オルガノゾル塗料は、主に金属外装建材の仕上げ塗料として用いられる。
本発明のフルオロポリマー製造方法は、特にポリビニリデンフルオライド〔PVdF〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕の製造に好適である。
本発明のフルオロポリマー製造方法により得られるPVdFは、例えば、粉末塗装による化学機器等へのライニング;押出成形によるSUS酸洗槽、クロムメッキ槽等のシートライニング;同じく押出成形によるラインドパイプ等の耐食ライニング;射出成形によるダイヤフラムバルブ等のバルブ、ポンプ等の製造等に用いることができ、電線被覆材、コンデンサーフィルム、圧電・焦電フィルム、釣り糸等にも用いることができる。
本発明のフルオロポリマー製造方法により得られるPCTFEは、例えば、医薬品の包装材やエレクトロルミネッセンス〔EL〕の防湿フィルム等の低透湿性を要求される用途に特に好適である。
参考までに、代表的なラジカル重合性モノマー及び非エチレン性フルオロカーボンの臨界圧力(Pc)と臨界温度(Tc)を示しておく。
モノマー等物質名 Pc(MPa) Tc(K) 文献
VdF 4.430 303.30 1
HFP 2.900 367.10 2
TFE 3.940 306.00 3
CTFE 3.960 379.00 4
PMVE 2.803 362.33 5
PEVE 2.266 394.67 5
PPVE 1.901 423.51 5
エチレン 5.041 282.34 6
プロピレン 4.600 364.90 6
パーフルオロメタン 3.745 227.51 7
トリフルオロメタン 4.836 298.97 7
ジフルオロメタン 5.830 351.55 8
パーフルオロエタン 3.043 293.03 9
1,1,1,2−テトラフルオロエタン
4.056 374.18 10
1,1,1−トリフルオロエタン 3.765 345.75 11
1,1−ジフルオロエタン 4.516 386.41 7
パーフルオロシクロブタン 2.773 388.37 12
文献名は以下のとおりである。
1:Riddick,J.A.,Bunger,W.B.,Sakano,T.K.,”Organic Solvents:Physical Properties and Methods of Purification,”4th Ed.,Wiley Interscience,New York(1986)
2:Matheson Comany,Inc.,”Matheson Gas Data Book”unabridged ed.,4 vols.,East Rutherford,New Jersey(1974).
3:Weiss,G.,”Hazardous Chemicals Data Book,”Noyes Data Corp.Park Ridge,NJ(1986).
4:Engineering Sciences Data,Item 91006,”Vapor Pressures and Critical Points of Liquids.Halogenated Ethylenes,”ESDU,London April(1991).
5:推算(Lydersen法)
6:Tsonopoulos,C.,Ambrose,D.,”Vapor−Liquid Critical Properties of Elements and Compounds.6.Unsaturated Aliphatic Hydrocarbons”J.Chem.Eng.Data 41,645(1996).
7:Thermodynamics Research Center,”TRC Thermodynamic Tables,Non−Hydrocarbons”The Texas A&M University System,College Station,TX(1996).
8:Gross,U.,Song,Y.W.,”Thermal Conductivities of New Refrigerants R125 and R32 Measured by the Transient Hot−Wire Method”Int.J.Thermophys.17(3),607(1996).
9:Wilson,L.C.,Wilding,W.V.,Wilson,H.L.,Wilson,G.M.,”Critical Point Measurements by a New Flow Method and a Traditional Static Method”J.Chem.Eng.Data 40,765(1995).
10:McLinden,M.O.,Huber,M.L.,Outcalt,S.L.,”Thermophysical Properties of Alternative Refrigerants:Status of the HFCs”ASME Winter Annual Meeting,New Orleans,LA−November 28(1993).
11:Nagel,Bier,K.,Int.J.Refrigeration 19(4),264(1996).
12:Thermodynamics Research Center,”Selected Values of Properties of Chemical Compounds,”Data Project,Texas A&M University,College Station,Texas(1983).
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
平均重合速度
容積が分かっている重合槽で連続重合を行い、単位滞留時間内に得られたフルオロポリマーの量を測定する。上記フルオロポリマーの量を重合槽容積及び重合時間で除したものを平均重合速度とした。
実施例1
1083mlの内容積のステンレススチール製オートクレープを充分窒素置換したのち、真空状態で高圧プランジャーポンプによりビニリデンフルオライド〔VdF〕を21.7g/分の速度で仕込み、反応場の圧力を6.5MPa(モノマー密度ρ=0.60g/ml、ρ/ρ=1.44)になるように、オートクレープ底部に取り付けたバルブを開閉した。電磁式攪拌機にて内部を攪拌しながら反応場の温度(反応温度)が40℃になるようにバンドヒーターで加熱した。
ついで有機過酸化物系のラジカル重合開始剤としてジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート50%メタノール希釈溶液(日本油脂社製、パーロイルNPP)をシリンジポンプにより0.095g/分の速度で反応場に仕込んだ。オートクレーブ底部のバルブより流出した流体中に含まれるフルオロポリマーはフィルター付きのポリマー捕集器によって捕集し、流体中に含まれる未反応のラジカル重合性モノマーは大気放出した。反応場の圧力は6.5MPa、温度は40℃であった。反応場の圧力及び温度の条件は、VdFが単独で存在するときの臨界圧力(4.430MPa)を超え、かつ、VdFが単独で存在するときの臨界温度(30.15℃)を超えていることから、本発明でいう超臨界状態の反応場を形成している。
反応開始後、定常状態である120分から150分の間にポリマー捕集器に捕集された固形の生成物を60℃の真空中で15時間乾燥し、白色フルオロポリマーAを10.8g得た。従って、定常状態における反応容器の容積1リットルあたりのポリマー重量は、9.97gであった。このときの平均重合速度は、20.0g/(リットル・時間)であり、滞留時間は、29.9分であった。
上記白色フルオロポリマーAをサイズ排除クロマトグラフ〔SEC〕で分析した結果、ポリスチレン換算値で数平均分子量〔Mn〕=81,000、重量平均分子量〔Mw〕=203,000、Mw/Mn=2.51のユニモーダルの分子量分布が得られた。結果を図1に示す。
実施例2
1083mlの内容積のステンレススチール製オートクレーブを充分窒素置換したのち、真空状態で高圧プランジャーポンプによりビニリデンフルオライド〔VdF〕を21.7g/分の速度で仕込み、反応場の圧力を6.5MPa(モノマー密度ρ=0.60g/ml、ρ/ρ=1.44)になるようにオートクレーブ底部に取り付けたバルブを開閉した。電磁式攪拌機にて内部を攪拌しながら反応場の温度(反応温度)が40℃になるようにバンドヒーターで加熱した。
ついで有機過酸化物系のラジカル重合開始剤としてジエチルパーオキシジカーボネート〔DEPDC〕17.7%炭酸ジエチル〔DEC〕希釈溶液をシリンジポンプにより0.225g/分の速度で反応場に仕込んだ。オートクレーブ底部のバルブより流出した流体中に含まれるフルオロポリマーはフィルター付きのポリマー捕集器によって捕集し、流体中に含まれる未反応のラジカル重合性モノマーは大気放出した。重合反応場の圧力は6.5MPa、温度は40℃であった。反応場の圧力及び温度の条件は、VdFが単独で存在するときの臨界圧力(4.430MPa)を超え、かつ、VdFが単独で存在するときの臨界温度(30.15℃)を超えていることから、本発明でいう超臨界状態の反応場を形成している。
反応開始後、定常状態である90分から120分の間にポリマー捕集器に捕集された固形の生成物を60℃の真空中で15時間乾燥し、白色フルオロポリマーBを20.7g得た。従って、定常状態における反応容器の容積1リットルあたりのポリマー重量は、19.1gであった。このときの平均重合速度は、38.2g/(リットル・時間)であり、滞留時間は、30.0分であった。
上記白色フルオロポリマーBをSECで分析した結果、ポリスチレン換算値でMn=134,000、Mw=336,000、Mw/Mn=2.52のユニモーダルの分子量分布が得られた。結果を図2に示す。
比較例1
219mlの内容積のステンレススチール製オートクレーブを充分窒素置換したのち、真空状態で高圧プランジャーポンプによりビニリデンフルオライド〔VdF〕を9.57g/分の速度で仕込み、反応場の圧力を6.5MPa(モノマー密度ρ=0.60g/ml、ρ/ρ=1.44)になるようにオートクレーブ底部に取り付けたバルブを開閉した。電磁式攪拌機にて内部を攪拌しながら反応場の温度(反応温度)が40℃になるようにバンドヒーターで加熱した。
ついで有機過酸化物系のラジカル重合開始剤としてジエチルパーオキシジカーボネート〔DEPDC〕21.7%炭酸ジエチル〔DEC〕希釈溶液をシリンジポンプにより0.10g/分の速度で反応場に仕込んだ。オートクレーブ底部のバルブより流出した流体中に含まれるフルオロポリマーはフィルター付きのポリマー捕集器によって捕集し、流体中に含まれる未反応のラジカル重合性モノマーは大気放出した。重合反応場の圧力は6.5MPa、温度は40℃であった。反応場の圧力及び温度の条件は、VdFが単独で存在するときの臨界圧力(4.430MPa)を超え、かつ、VdFが単独で存在するときの臨界温度(30.15℃)を超えていることから、本発明でいう超臨界状態の反応場を形成している。
反応開始後、定常状態である105分から120分の間にポリマー捕集器に捕集された固形の生成物を60℃の真空中で15時間乾燥し、白色フルオロポリマーCを1.2g得た。従って、定常状態における反応容器の容積1リットルあたりのポリマー重量は、5.48gであった。このときの平均重合速度は、22.0g/(リットル・時間)であり、滞留時間は、14.9分であった。
上記白色フルオロポリマーCをSECで分析した結果、ポリスチレン換算値でMn=75,400、Mw=274,000、Mw/Mn=3.63のバイモーダルの分子量分布が得られた。結果を図3に示す。
比較例2
219mlの内容積のステンレススチール製オートクレーブを充分窒素置換したのち、真空状態で高圧プランジャーポンプによりビニリデンフルオライド[VdF]を5.48g/分の速度で仕込み、反応場の圧力を5.7MPa(モノマー密度ρ=0.5g/ml、ρ/ρ=1.20)になるようにオートクレーブ底部に取り付けたバルブを開閉した。電磁式攪拌機にて内部を撹拌しながら反応場の温度(反応温度)が40℃になるようにバンドヒーターで加熱した。
ついで有機過酸化物系のラジカル重合開始剤としてビス(ω−ハイドロドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド〔DHP〕の0.42%パーフルオロヘキサン希釈溶液をシリンジポンプにより0.128g/分の速度で反応場に仕込んだ。オートクレーブ底部のバルブより流出した流体中に含まれるフルオロポリマーはフィルター付きのポリマー捕集器によって捕集し、流体中に含まれる未反応のラジカル重合性モノマーは大気放出した。重合反応場の圧力は5.7MPa、温度は40℃であった。反応場の圧力および温度の条件は、VdFが単独で存在するときの臨界圧力(4.430MPa)を超え、かつVdFが単独で存在するときの臨界温度(30.15℃)を超えていることから、本発明でいう超臨界状態の反応場を形成している。
反応開始後、定常状態である100分から120分の間にポリマー捕集部に捕集された固形の生成物を60℃の真空中で15時間乾燥し、白色フルオロポリマーDを0.298g得た。従って、定常状態における反応容器1リットルあたりのポリマー重量は1.36gであった。このときの平均重合速度は4.08g/(リットル・時間)であり、滞留時間は20.0分であった。
上記白色フルオロポリマーDをSECで分析した結果、ポリスチレン換算値で数平均分子量Mn=145,000、重量平均分子量Mw=691,000、Mw/Mn=4.77のバイモーダルの分子量分布が得られた。結果を図4に示す。
参考例3
連鎖移動剤として炭酸ジエチルをシリンジポンプにより0.0921g/分で反応場に仕込んだ以外は比較例2と同様にして白色フルオロポリマーEを0.538g得た。従って、定常状態における反応容器1リットルあたりのポリマー重量は2.46gであった。このときの平均重合速度は7.4g/(リットル・時間)であり、滞留時間は、19.9分であった。
上記白色フルオロポリマーEをSECで分析した結果、ポリスチレン換算値で数平均分子量Mn=171,000、重量平均分子量Mw=302,000、Mw/Mn=1.77のユニモーダルの分子量分布が得られた。結果を図5に示す。
参考例4
連鎖移動剤としてアセトンをシリンジポンプにより0.0224g/分で反応場に仕込んだ以外は、参考例3と同様にして白色フルオロポリマーFを0.933g得た。従って、定常状態における反応容器1リットルあたりのポリマー重量は4.26gであった。このときの平均重合速度は12.8g/(リットル・時間)であり、滞留時間は、20.0分であった。
上記白色フルオロポリマーFをSECで分析した結果、ポリスチレン換算値で数平均分子量Mn=179,000、重量平均分子量Mw=383,000、Mw/Mn=2.14のユニモーダルの分子量分布が得られた。結果を図6に示す。
参考例5
連鎖移動剤としてマロン酸ジエチル〔DEM〕をシリンジポンプにより0.0159g/分で反応場に仕込んだ以外は、参考例3と同様にして白色フルオロポリマーGを0.178g得た。従って、定常状態における反応容器1リットルあたりのポリマー重量は0.812gであった。このときの平均重合速度は2.4g/(リットル・時間)であり、滞留時間は、20.3分であった。上記白色フルオロポリマーGをSECで分析した結果、ポリスチレン換算値で数平均分子量Mn=171,000、重量平均分子量Mw=302,000、Mw/Mn=1.74のユニモーダルの分子量分布が得られた。結果を図7に示す。
本発明のフルオロポリマーの製造方法は、上述の構成よりなるので、超臨界発現状態において、連続重合法によりフルオロポリマー濃度を一定以上に保つことにより、高分子量かつ分子量分布が狭いフルオロポリマーを得ることができる。
図1は、実施例1で得た白色フルオロポリマーAの分子量分布のグラフである。
図2は、実施例2で得た白色フルオロポリマーBの分子量分布のグラフである。
図3は、比較例1で得た白色フルオロポリマーCの分子量分布のグラフである。
図4は、比較例2で得た白色フルオロポリマーDの分子量分布のグラフである。
図5は、参考例3で得た白色フルオロポリマーEの分子量分布のグラフである。
図6は、参考例4で得た白色フルオロポリマーFの分子量分布のグラフである。
図7は、参考例5で得た白色フルオロポリマーGの分子量分布のグラフである。

Claims (11)

  1. 特定の反応場においてラジカル重合性モノマーの重合を連続重合法により行い、フルオロポリマーを得ることよりなるフルオロポリマー製造方法であって、
    前記特定の反応場は、超臨界発現状態であり、圧力が40MPa以下であり、温度が前記特定の反応場の超臨界発現温度より100℃高い温度以下であるものであり、
    前記特定の反応場は、二酸化炭素を含まず、
    前記連続重合法は、定常状態において、反応容器内のフルオロポリマーの量が前記反応容器の容積1リットルあたり8g以上となるように行うものであり、
    前記ラジカル重合性モノマーは、フッ素含有エチレン性モノマーからなるものであり、
    前記フルオロポリマーは、ポリスチレン換算重量平均分子量〔Mw〕が15万以上であり、前記ポリスチレン換算重量平均分子量〔Mw〕とポリスチレン換算数平均分子量〔Mn〕との比〔Mw/Mn〕が1を超え、3以下であるものである
    ことを特徴とするフルオロポリマー製造方法。
  2. 特定の反応場においてラジカル重合性モノマーの重合を二酸化炭素の存在下に連続重合法により行い、フルオロポリマーを得ることよりなるフルオロポリマー製造方法であって、
    前記特定の反応場は、超臨界発現状態であり、
    前記連続重合法は、定常状態において、反応容器内のフルオロポリマーの量が前記反応容器の容積1リットルあたり8g以上となるように行うものであり、
    前記ラジカル重合性モノマーは、フッ素含有エチレン性モノマーからなるものであり、
    前記二酸化炭素は、存在量が前記ラジカル重合性モノマーと等モル以下であり、
    前記フルオロポリマーは、ポリスチレン換算重量平均分子量〔Mw〕が15万以上であり、前記ポリスチレン換算重量平均分子量〔Mw〕とポリスチレン換算数平均分子量〔Mn〕との比〔Mw/Mn〕が1を超え、3以下であるものである
    ことを特徴とするフルオロポリマー製造方法。
  3. 特定の反応場は、更に、圧力が40MPa以下であり、温度が前記特定の反応場の超臨界発現温度より100℃高い温度以下である請求の範囲第2項記載のフルオロポリマー製造方法。
  4. 特定の反応場は、更に、モノマー密度〔ρ〕とモノマー臨界密度〔ρ〕との比〔ρ/ρ〕が1.1以上である請求の範囲第1、2又は3項記載のフルオロポリマー製造方法。
  5. ラジカル重合性モノマーの重合は、連鎖移動剤の存在下に行うものである請求の範囲第1、2、3又は4項記載のフルオロポリマー製造方法。
  6. フッ素含有エチレン性モノマーは、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも1つからなるものである請求の範囲第1、2、3、4又は5項記載のフルオロポリマー製造方法。
  7. フッ素含有エチレン性モノマーは、ビニリデンフルオライドからなるものである請求の範囲第1、2、3、4又は5項記載のフルオロポリマー製造方法。
  8. ラジカル重合性モノマーの重合は、ラジカル重合開始剤の存在下に行うものである請求の範囲第1、2、3、4、5、6又は7項記載のフルオロポリマー製造方法。
  9. ラジカル重合開始剤は、有機過酸化物である請求の範囲第項記載のフルオロポリマー製造方法。
  10. 有機過酸化物は、パーオキシジカーボネート、フッ素系ジアシルパーオキサイド、及び/又は、非フッ素系ジアシルパーオキサイドである請求の範囲第項記載のフルオロポリマー製造方法。
  11. ラジカル重合性モノマーの重合は、非エチレン性フルオロカーボンの存在下に行うものである請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10項記載のフルオロポリマー製造方法。
JP2004532747A 2002-08-28 2003-08-28 フルオロポリマー製造方法 Expired - Fee Related JP4003775B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002248560 2002-08-28
JP2002248560 2002-08-28
PCT/JP2003/010899 WO2004020476A1 (ja) 2002-08-28 2003-08-28 フルオロポリマー製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2004020476A1 JPWO2004020476A1 (ja) 2005-12-15
JP4003775B2 true JP4003775B2 (ja) 2007-11-07

Family

ID=31972525

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004532747A Expired - Fee Related JP4003775B2 (ja) 2002-08-28 2003-08-28 フルオロポリマー製造方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20060122347A1 (ja)
EP (1) EP1541591A4 (ja)
JP (1) JP4003775B2 (ja)
CN (1) CN1678637A (ja)
WO (1) WO2004020476A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103755858B (zh) * 2013-12-30 2016-04-27 山东华夏神舟新材料有限公司 一种聚偏氟乙烯共聚物的溶液聚合方法

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3062793A (en) * 1958-12-29 1962-11-06 Du Pont Amorphous copolymers of hexafluoropropylene and tetrafluoroethylene and their preparation
US3780007A (en) * 1969-12-23 1973-12-18 Diamond Shamrock Corp Polymerization of vinylidene fluoride in aqueous suspension
US5863612A (en) * 1992-03-27 1999-01-26 University North Carolina--Chapel Hill Method of making fluoropolymers
US5559198A (en) * 1994-07-08 1996-09-24 Minnesota Mining And Manufacturing Company Process for preparing poly(vinyl trifluoroacetate) and poly(vinyltrifluoroacetate/vinyl ester) copolymers in supercritical Co.sub.
DE69625336T2 (de) * 1995-02-06 2003-09-11 E.I. Du Pont De Nemours And Co., Wilmington Amorphe tetrafluoroethylen-hexafluoropropylencopolymere
US5478905A (en) * 1995-02-06 1995-12-26 E. I. Du Pont De Nemours And Company Amorphous tetrafluoroethylene/hexafluoropropylene copolymers
US5527865A (en) * 1995-03-24 1996-06-18 The University Of North Carolina At Chapel Hill Multi-phase polymerization process
US6051682A (en) * 1996-12-23 2000-04-18 E. I. Du Pont De Nemours And Company Polymerization of fluoropolymers in carbon dioxide
US6103844A (en) * 1998-06-08 2000-08-15 E. I. Du Pont De Nemours And Company Polymerization of fluoromonomers in carbon dioxide
EP1193275A4 (en) * 1999-02-15 2002-06-19 Daikin Ind Ltd METHOD FOR PRODUCING FLUORINE POLYMERS
PL356095A1 (en) * 1999-11-12 2004-06-14 North Carolina State University Continuous process for making polymers in carbon dioxide
CA2399049A1 (en) * 2000-02-02 2001-08-09 Robert D. Lousenberg Linear copolymers of fluorocarbon-hydrocarbon monomers synthesized in carbon dioxide
WO2001090206A2 (en) * 2000-05-19 2001-11-29 University Of North Carolina At Chapel Hill Multimodal fluoropolymers and methods of making the same
EP1191042A1 (fr) * 2000-09-26 2002-03-27 Atofina Procédé de polymérisation du 1,1-difluoroéthylène sous haute pression
JP2003165813A (ja) * 2001-09-20 2003-06-10 Univ Nihon メチルメタクリレート−トリフルオロメチルアクリル酸共重合体及びその製造方法
JP2003096107A (ja) * 2001-09-27 2003-04-03 Shigeo Okahata 含フッ素ポリマーの製造方法
JP2003206317A (ja) * 2001-11-12 2003-07-22 Daikin Ind Ltd ポリビニリデンフルオライド

Also Published As

Publication number Publication date
CN1678637A (zh) 2005-10-05
EP1541591A1 (en) 2005-06-15
US20060122347A1 (en) 2006-06-08
WO2004020476A1 (ja) 2004-03-11
JPWO2004020476A1 (ja) 2005-12-15
EP1541591A4 (en) 2008-10-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5092184B2 (ja) フルオロポリマーの製造法
EP1556426B1 (en) Emulsifier free aqueous emulsion polymerization to produce copolymers of a fluorinated olefin and hydrocarbon olefin
JP5526546B2 (ja) 新規な含フッ素重合体
RU2441883C2 (ru) Способ получения формуемого из расплава тетрафторэтиленового сополимера
JP2010235667A (ja) 含フッ素ポリマーの製造方法
EP3023441B1 (en) Method for producing aqueous dispersion of fluorine-containing polymer, aqueous dispersion of fluorine-containing polymer, and fluorine-containing polymer
JPWO2011024856A1 (ja) 含フッ素重合体の製造方法
CN101357964B (zh) 含氟弹性体的制造方法
WO2014046908A1 (en) Fluoroelastomers
JP4828783B2 (ja) 低いガラス転移温度を有するペルフルオロエラストマーおよびそれらの製造方法
WO2004065436A1 (ja) 加硫可能な含フッ素エラストマーの製造方法
JP2008524394A (ja) 低いガラス転移温度を有するフルオロエラストマー
JP6135084B2 (ja) 含フッ素ブロックコポリマーの製造方法
JP4003775B2 (ja) フルオロポリマー製造方法
JP3960309B2 (ja) フルオロポリマーの製造方法
WO2022114012A1 (ja) フルオロポリマー、水性分散液、組成物および架橋物
JP2005075853A (ja) フルオロポリマー製造方法
WO2003042259A1 (fr) Fluorure de polyvinylidene
JP4333514B2 (ja) 加硫可能な含フッ素エラストマーの製造方法
JPH06157612A (ja) 弗素系重合体の製造法
JP2002348302A (ja) エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体の製造方法
JPH06157611A (ja) 弗素系重合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070320

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070521

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070731

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070813

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100831

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100831

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110831

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110831

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120831

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120831

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130831

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees