JP3967538B2 - カチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット用記録紙の塗工液(以下、単に塗工液とも云う。)、新聞紙の内填剤、研磨剤等の調製に有用であり、分散安定性に優れ、これを使用して塗工液を調製したときの性能にも優れたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット用記録紙の塗工液には、インク吸収層を形成するために微粒子のシリカやアルミナ等の無機微粉体が使用されている。一方、インクジェット用のインクとしては、一般に、アニオン性の化合物が使われることが多く、上記インク吸収層はカチオン性を有している方が、インクジェット用記録紙の画像濃度及び耐水性向上のために有利である。
【0003】
ところが、インク吸収層を形成する無機粉体としてシリカを用いた場合は、シリカがアニオン性のため、画像濃度や耐水性に問題があり、その改善策としてシリカに第4級アンモニウム塩基等のカチオン性基を含むカチオン性樹脂を配合したカチオン性樹脂変性シリカ分散液が提案されている。
【0004】
例えば、シリカ微粒子を分散させたシリカ分散液にカチオン性樹脂を混合すると、シリカ粒子が凝集する傾向が見られるが、強力なせん断力を有する分散機で処理することによって安定なカチオン性樹脂変性シリカ分散液が得られることを本発明者らは既に提案している(特願平10−367515号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カチオン性樹脂変性シリカ分散液は、塗工液を調製する際、シリカ濃度が一般に10〜30重量%の濃度で使用されるが、これにバインダーとしての水溶性高分子の他、種々の添加剤を添加すると、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造に使用される原料シリカや、分散液の製造条件等の違いによって、安定した塗工液を再現性良く調製することが困難となるという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、安定した塗工液を再現性良く調製することが可能な、優れた分散安定性を有するカチオン性樹脂変性シリカ分散液とその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点について鋭意研究を重ねた。その結果、シリカ表面のシラノール基とカチオン性樹脂との反応の度合いによって該分散液の安定性が左右されるとの知見を得た。かかる知見に基づいて更に研究を重ねた結果、カチオン性樹脂がシリカ粒子と共に存在する状態にあるカチオン性樹脂変性シリカ分散液を、特定の温度範囲で特定の期間、熟成することによって、pH変化に対して極めて安定であり、特に、塗工液を調製時の液の状態変化に対する安定性に極めて優れたカチオン樹脂変性シリカ分散液を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、 以下の(1)〜(5)のいずれかの方法により、シリカ分散液をカチオン性樹脂の存在下に熟成することを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法である。
(1)シリカとして乾式シリカを使用し、該乾式シリカをカチオン性樹脂と共に極性溶媒中に分散させた後、5〜45℃の範囲の温度で10日以上熟成を行う。
(2)シリカとして乾式シリカを使用し、該乾式シリカの表面シラノール基密度が100平方オングストローム当たり4個を超えるように加湿処理した後、極性溶媒中にカチオン性樹脂と共に分散させ、次いで、5〜45℃の範囲の温度で7日以上熟成を行う。
(3)シリカとして乾式シリカを使用し、該乾式シリカを、極性溶媒中に分散させて、その表面シラノール基密度が100平方オングストローム当たり4個を超えるように調整した後、カチオン性樹脂を分散せしめ、次いで、5〜45℃の範囲の温度で5日以上熟成を行う。
(4)シリカとして湿式シリカ、ゾル−ゲル法シリカ又はコロイダルシリカを使用し、該シリカをカチオン性樹脂と共に極性溶媒中に分散せしめ、次いで、15〜45℃の範囲の温度で5日以上熟成を行う。
(5)シリカをカチオン性樹脂と共に極性溶媒中に分散せしめ、次いで、30〜70℃の温度で加熱処理する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられるシリカは、特に限定されず、乾式シリカ、湿式シリカ、ゾル−ゲル法シリカ、コロイダルシリカ等の公知のシリカを原料として用いることができる。
【0010】
上記乾式シリカは、四塩化珪素などのシラン系ガスを酸水素炎中で燃焼させて得られるものであり、「ヒュームドシリカ」とも称されている。一般に、乾式シリカは、比表面積が30〜500m2/gの範囲のものが入手可能であり、本発明に好適に使用できる。
【0011】
インクジェット用記録紙の塗工液用としては、特に、比表面積が200〜400m2/gの範囲のシリカが、インク吸収能が高く、極めて好ましい。
【0012】
また、上記湿式シリカは、珪酸ソーダを鉱酸で中和することによって溶液中でシリカを析出させる沈殿法によって得られるシリカが代表的であり、ホワイトカーボンとも称されている。また、同様に、珪酸ソーダを酸で中和することによって作るゲル法シリカも使用することができる。
【0013】
上記湿式法シリカは、中和反応後に濾過や洗浄を行った後の乾燥工程を施さない脱水シリカケークを直接使用することもできる。
【0014】
更に、上記ゾル−ゲル法シリカは、テトラメトキシシランやテトラエトキシシランなどの珪素のアルコキシドを酸性あるいはアルカリ性の含水有機溶媒中で加水分解することによって得られるものである。
【0015】
更にまた、上記コロイダルシリカは、一般に珪酸ソーダ水溶液を陽イオン交換性樹脂に通してシリカゾルを生成させた後、これを加熱熟成して粒子を成長させることによって得られるものである。
【0016】
本発明の方法によって得られるシリカ分散液中のシリカは、平均一次粒子径が1〜50nmの範囲で、且つ平均凝集粒子径が10〜1000nmの範囲であることが好ましい。上記範囲のシリカ分散液は、シリカの一次粒子が数個〜数千個凝集した凝集粒子で構成されているので、塗工液に用いたときにインクの吸収能に優れており、インクジェット記録紙等の分野において、好適に使用できる。
【0017】
即ち、シリカの平均一次粒子径が1nmよりも小さい場合は不安定であったり、インク吸収能が低かったりする場合がある。50nmよりも大きい場合はインク吸収能が低下する場合がある。
【0018】
上記シリカの平均凝集粒子径は、10〜1000nmの範囲、好ましくは50〜300nmの範囲が好ましい。平均凝集粒子径が10nmよりも小さい場合は、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度が高くなり、塗工液としては扱い難い場合がある。平均粒子径が1000nmよりも大きい場合は、塗工液にしたときにシリカが沈降して相分離し易くなる場合がある。
【0019】
上述のような平均凝集粒子径のシリカが微分散したスラリーを調製するには、後述するナノマイザー等の高圧ホモジナイザー等の分散機が有効に利用できる。
【0020】
本発明において使用されるカチオン性樹脂は、水に溶解したときに解離してカチオン性を呈する樹脂であれば特に限定なく、公知のカチオン性樹脂が特に制限なく使用できる。
【0021】
その中でも、第1〜3級アミン基又は4級アンモニウム塩基を有する樹脂が好適に使用できる。具体的なものを例示すると、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリアミンスルホン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ジシアンジアミドポリアルキル−ポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の化合物及びこれらの塩酸塩、更にポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド及びそのアクリルアミド等の共重合物、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリメタクリル酸エステルメチルクロライド4級塩等を挙げることができる。
【0022】
本発明において用いられる極性溶媒は、シリカ及びカチオン性樹脂が分散し易い極性溶媒であれば特に制限はない。かかる極性溶媒としては、水が最も好ましい。勿論、水以外にもメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エーテル類、ケトン類などの極性溶媒が使用でき、また、水と上記極性溶媒との混合溶媒も好適に使用できる。
【0023】
尚、シリカ粒子の安定性や分散性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤等を少量添加してもよい。
【0024】
本発明の方法によって得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカの濃度は10〜30重量%、好ましくは10〜25重量%の範囲であり、カチオン性樹脂の量はシリカ100重量部に対して、3〜50重量部、特に、3〜10重量部が好ましい。
【0025】
即ち、シリカ分散液中のシリカの濃度が30重量%より多いと、カチオン性樹脂との混合が困難となる場合がある。また、10重量%より少ない場合は、塗工液を調製した場合、一回の塗工で十分な厚みの塗工層が形成し難かったり、塗工後乾燥する際のエネルギー効率が悪くなるなどの問題がある。
【0026】
また、シリカ分散液中のカチオン性樹脂の量が、シリカ100重量部に対して3重量部より少ないと、シリカ粒子の表面電荷のバランスが不均一となり、シリカ粒子が強固な凝集を起こし易くなる傾向がある。また、カチオン性樹脂の量がシリカ100重量部に対して50重量部より多いと、粘度が高くなり、分散処理が困難になる場合がある。
【0027】
本発明の方法によって得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液中における、粒子の表面電荷の指標となるゼータ電位は、高いほど得られるインクジェット用記録紙の耐水性を高めるために、+10mV以上、好ましくは+20mV以上、さらに好ましくは+30mV以上が好ましい。上記ゼータ電位は、カチオン性樹脂の混合量を多くすることにより高く調整することができるが、混合するカチオン性樹脂の種類によりゼータ電位の上昇幅は異なるため、予め実験により、最適な添加量を前記添加量より選択することが好ましい。
【0028】
本発明において、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を製造する際の分散方法は、特に制限されないが、下記の分散方法により好適に製造することができる。
【0029】
尚、このとき、シリカは粉末状のものを用いても良いし、予め水などの極性溶媒中に微分散したシリカスラリーを用いても良い。
【0030】
上記分散方法としては、極性溶媒とシリカとカチオン性樹脂を混合した後、ホモジナイザー等のタービン・ステータ型高速回転式攪拌分散機、コロイドミル、超音波乳化機、高圧ホモジナイザーなどの分散機を用いて微分散・混合する方法が挙げられる。上記の中でも、高圧ホモジナイザーが最も好適に採用できる。
【0031】
高圧ホモジナイザーの代表例を具体的に例示すると、ナノマイザー製の商品名;ナノマイザー、マイクロフルイディクス製の商品名;マイクロフルイダイザー、及びスギノマシン製のアルティマイザーなどを挙げることができる。上記の高圧ホモジナイザーを用いて、極性溶媒とシリカとカチオン性樹脂とを混合した混合溶液を、処理圧力300kgf/cm2以上で対向衝突させるか、或いはオリフィスの入口側と出口側の差圧が300kgf/cm2以上の条件でオリフィスを通過させることによって好適な範囲の平均凝集粒子径を持ったカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得ることができる。
【0032】
ところで、本発明者らは、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の安定性や塗工液にしたときの特性は、用いたシリカの種類やその履歴に大きく影響されることを見い出した。特に、乾式シリカの場合は、その履歴によって変化する表面シラノール基の密度によって該分散液の特性が影響されることを見い出した。
【0033】
即ち、シリカとカチオン性樹脂を極性溶媒中で混合すると、シリカ表面のシラノール基、即ち酸点とカチオン性樹脂のカチオン基、即ち塩基点が反応し、酸点と塩基点とがイオン結合反応を起こし、比較的強固な結合を形成すると考えられる。
【0034】
そのため、シリカ表面のシラノール基とカチオン性樹脂との反応の度合いによって該分散液の安定性が左右され、上記の結合が不十分な場合は分散液の粘度が上昇する現象が見られるものと考えられる。
【0035】
上記カチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度の上昇は、前記シリカ濃度において、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の30℃において測定される、該分散液1kgに対して8ミリモルの水酸化カリウムを添加してから1時間後の粘度の上昇率によって確認することができる。
【0036】
ここで粘度の上昇率U(%)は、シリカ分散液の初期粘度(A(mPa・s))と水酸化カリウムを添加して1時間後の粘度(B(mPa・s))とより下記の計算式によって求めた値を云う。
【0037】
U=((B−A)/A)×100
【0038】
本発明の方法によって得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、例えばカチオン性樹脂としてポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩化合物やポリアリルアミンの塩酸塩を用いた場合は、シリカ分散液のpHは2〜4の範囲の酸性を示すことが多い。一般に、乾式シリカの水分散液のpHは4程度であるが、4級アンモニウム塩化合物や塩酸塩と混合すると、このように、シラノール基とカチオン基の反応により塩酸が遊離するためpHが低下する現象が見られる。
【0039】
一方、上記カチオン性樹脂変性シリカ分散液において、シリカ表面にイオン結合したカチオン性樹脂は、アルカリを添加してpHを変えるとシリカ表面から再び遊離し、その結果シリカの凝集が起こり、シリカ分散液の粘度が上昇するものと考えられる。
【0040】
従って、シリカ分散液をアルカリ側にずらせた場合においても長期間ゲル化しない本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、pH変動に対して極めて高い安定性を有するものであるといえる。
【0041】
本発明において、上記のような安定なカチオン性樹脂変性シリカ分散液を製造するには、該シリカ分散液をカチオン性樹脂の存在下に熟成することが重要である。
【0042】
上記熟成条件は、使用するシリカの種類、状態によって異なる。例えば、乾式シリカは、四塩化珪素などのシラン系ガスを酸水素炎中で燃焼させて得られるため、製造直後のシリカのシラノール基密度は100平方オングストローム当たり1〜3個程度である。このように表面のシラノール基が少ないシリカに対しては、上記熟成時間を比較的長時間行う処理が推奨される。
【0043】
即ち、本発明は、シリカが乾式シリカであり、該乾式シリカをカチオン性樹脂と共に極性溶媒中に分散させた後、5〜45℃、好ましくは、15〜40℃の範囲の温度で10日以上熟成を行うことを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法を提供する。
【0044】
また、上記のような乾式シリカを原料に用いる場合は、シリカを加湿処理するか、或いは、該シリカを、水を含む極性溶媒中に分散させて、シリカの表面シラノール基密度が100平方オングストローム当たり4個を超えるように予め調整することが、前記熟成期間を短縮してカチオン性樹脂変性シリカ分散液の安定性を増すことが可能であり、好ましい。
【0045】
即ち、本発明は、乾式シリカの表面シラノール基密度が100平方オングストローム当たり4個を超えるように加湿処理した後、極性溶媒中にカチオン性樹脂と共に分散させ、次いで、5〜45℃、好ましくは15〜40℃の範囲の温度で7日以上熟成を行うことを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法、及び、シリカが乾式シリカであり、該乾式シリカを、水を含む極性溶媒中に分散させて、その表面シラノール基密度が100平方オングストローム当たり4個を超えるように調整した後、カチオン性樹脂を分散せしめ、次いで、5〜45℃、好ましくは15〜40℃の範囲の温度で5日以上熟成を行うことを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法が提供される。
【0046】
また、前記湿式シリカ、ゾル−ゲル法シリカ、コロイダルシリカ等のシリカは、水を含む極性溶媒中に乾式シリカを分散させて、表面シラノール基密度がを調整した場合とほぼ同等のシラノール基を有するものであり、カチオン性樹脂を分散せしめ、次いで、5〜45℃、好ましくは15〜40℃の範囲の温度で5日以上熟成を行うことにより目的とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得ることが可能である。
【0047】
本発明において、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の熟成は、上述した熟成時間で十分な効果を発揮するが、特に、該分散液を30〜70℃の温度で加熱処理することにより熟成を行うことにより、シリカの種類を問わず、熟成時間を大幅に短縮することができる。
【0048】
即ち、本発明によれば、シリカをカチオン性樹脂と共に極性溶媒中に分散せしめ、次いで、30〜70℃の温度で加熱処理することにより熟成を行うことを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法をも提供される。
【0049】
上記加熱処理温度は、好ましくは、40〜70℃、特に、45℃を超え、60℃以下であることが好ましい。
【0050】
上記の条件で熟成することによって、シリカ表面のシラノール基とカチオン性樹脂とが均一に反応し、安定なカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得ることができる。
【0051】
本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法において、上記熟成温度が5℃未満では、熟成に要する期間がさらに長期間要する場合があり、工業的ではない。また、熟成の温度が45℃を超えると、極性溶媒が気化してシリカ分散液が変質することなどが懸念されるので、かかる温度を超えて熟成を行う場合には、熟成時間を長くし過ぎないか、極性溶媒の気化を防止する手段を採用することが推奨される。例えば、熟成時の加熱処理温度が60℃以上の場合、熟成時間は3時間以内であることが好ましい。
【0052】
また、熟成は特別な装置を使用する必要はなく、貯蔵用容器或いは輸送用容器中で、上記温度に保持することによって行うことができるが、45℃を超えた温度で長期間熟成を行う場合は、極性溶媒の気化による揮散を防止する対策、例えば、加圧容器の使用や容器へのコンデンサーの設置等を採用することが好ましい。
【0053】
本発明において、上記方法によって得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度は、一般に50〜500mPa・sである。
【0054】
以上の説明からも理解されるように、本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液として特定された性状のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を使用して塗工液を調製することにより、再現性良く、安定した品質の塗工液を製造することが可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明の方法によって得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、極めて安定性が高く、特にインジェット用の塗工液に使用した場合には再現性良く安定な塗工液を調製することが可能である。
【0056】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0057】
なお、以下の方法によって、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の調製とその物性測定を行った。
【0058】
(pH及び粘度測定)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液のpHは、堀場製作所製のpHメーターを用いて30℃で測定した。粘度は、トキメック製、B型粘度計を用いて30℃で測定した。
【0059】
(シラノール基の定量)
シラノール基の定量には、グリニャール試薬(CH3MgI)を用いた下記の反応式に基づいた活性水素定量法を採用した。
CH3MgI + SiOH → SiOMgI + CH4 (1)
手順としては、定量したシリカを肉厚の薄いガラス球に入れ、減圧下(0.1mmHg)、110℃で4時間乾燥した。ガラス球を封管後、グリニャール試薬(溶媒:ブチルエーテル)を入れた三角フラスコ内にセットした。次に、テフロン攪拌子をガラス球にぶつけて割り、シリカとグリニャール試薬との反応によって発生したメタンの量をガスビュレットで定量し、発生したメタンガスの量からシラノール基の量を計算した。同時に、BET法により求めたシリカの比表面積値を用いて、上記シラノール基の濃度を100平方オングストローム当たりのシラノール基の個数に換算した。
【0060】
(カチオン性樹脂変性シリカ分散液の安定性試験)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液1kgに対して8ミリモルのKOHを添加し、良く分散混合した。分散機にはホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−25)を用い、10000rpmで5分間分散処理した。該分散液を30℃に保持しつつ、KOHを添加後、1時間後の粘度を測定した。
【0061】
上記粘度の測定値より、粘度の上昇率を算出した。
【0062】
(ゼータ電位の測定)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ粒子のゼータ電位をレーザーゼータ電位計(大塚電子製、LEZA−600)にて測定した。
まず、シリカ分散液中のシリカ濃度を300ppmになるように10ppmのNaCl水溶液で希釈し、超音波バスで5分間分散した。次に、測定セルに該希釈液を入れて印加電圧80V、測定角度20°、測定温度25℃の条件で測定した。
【0063】
実施例1及び比較例1
比表面積が300m2/gのヒュームドシリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)を用い、上記シリカが20重量%になるように純水と混合し、プロペラミキサーで攪拌することにより予備分散処理を行った。できたペースト状のシリカスラリーを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製;ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力300kgf/cm2で1回処理してシリカ分散液を得た。以下、シリカ分散液−Aと表記する。
【0064】
上記シリカ分散液−Aの物性は、pHが3.8、粘度は300mPa・sであった。また、上記で用いたシリカのシラノール基の濃度を測定したところ、100平方オングストローム当たり2.6個であった。
【0065】
次に、固形分換算で100重量部のシリカを含むシリカ分散液−Aに対して、カチオン性樹脂としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物を3重量部加えて、プロペラミキサーにより攪拌を行い、予備混合を行った。両者を混合するとゲル化が起こったが、強攪拌することによって流動性のあるスラリー状になった。
【0066】
この予備混合液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力800kgf/cm2でオリフィスを1回通過させることによりカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
【0067】
上記カチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性を測定したところ、pHは2.9、粘度は200mPa・sであった。
【0068】
なお、シリカ分散液−A中のシリカ粒子のゼータ電位は−44mV、カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ粒子のゼータ電位は+28mV(いずれもpH4のとき)であった。即ち、上記の処理によって本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液はカチオン化したことがわかった。
【0069】
上記カチオン性樹脂変性シリカ分散液を、常温(25℃)で表1に示す期間熟成した。
【0070】
次に、上記熟成によってそれぞれ得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の安定性を調べた。その結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
上記表1のNo.5〜6の本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を使用して、公知の組成の塗工液を調製した結果、再現性良く、安定した塗工液を調製することができた。
【0073】
実施例2及び比較例2
実施例1と同じヒュームドシリカを用い、該シリカを温度35℃、相対湿度80%の雰囲気に2日間放置し、加湿処理を行った。処理後のシリカのシラノール基を定量したところ、100平方オングストローム当たり4.1個であった。
【0074】
該シリカを用いて実施例1及び比較例1と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液の調整及び熟成を行い、その安定性を調べた。結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
上記表2のNo.4〜6の本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を使用して、公知の組成の塗工液を調製した結果、再現性良く、安定した塗工液を調製することができた。
【0077】
実施例3及び比較例3
実施例1と同様にしてシリカ分散液−Aを調整し、該分散液を室温で保存した。2日後のシリカ分散液の一部を乾燥させ、シラノール基の密度を測定したところ、4.8個になっていた。
【0078】
上記シリカ分散液を用いて実施例1及び比較例1と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液の調整及び熟成を行い、その安定性を調べた。結果を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】
上記表3のNo.3〜6の本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を使用して、公知の組成の塗工液を調製した結果、再現性良く、安定した塗工液を調製することができた。
【0081】
実施例4及び比較例4
市販の珪酸ソーダと純水を反応槽中に珪酸ソーダの濃度が5%となるように投入した。反応槽の温度を40℃として、22重量%硫酸を用いて中和反応(中和率50%まで)を行った後、反応液の温度を95℃とした。この反応液に中和率が100%になるまで上記の硫酸を加えた。生成したシリカに濾過、洗浄操作を繰り返し、脱水ケーク(シリカ含有量15重量%)を得た。この脱水ケークを乾燥させたシリカの比表面積は280m2/gであった。
【0082】
上記の脱水ケーク2kgに、純水500gを加え、プロペラミキサーで攪拌することにより予備混合を行った。できたペースト状のシリカスラリーを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製;ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力800kgf/cm2で3回処理して粉砕シリカ分散液を得た。以下、シリカ分散液−Bと表記する。
【0083】
シリカ分散液として上記のシリカ分散液−Bを用い、シリカ濃度を12重量%にした以外は実施例1と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液の調整及び熟成を行い、その安定性を評価した。結果を表4に示す。
【0084】
湿式シリカのような水溶液中で製造されるシリカにおいても、本実施例で実施したような微粉砕処理を行った場合は、新たなシリカの粉砕面が生成するため、熟成の効果が現れたものと考えられる。
【0085】
【表4】
【0086】
上記表4のNo.4〜6の本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を使用して、公知の組成の塗工液を調製した結果、再現性良く、安定した塗工液を調製することができた。
【0087】
実施例5及び比較例5
カチオン性樹脂としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物を用いる以外は、実施例1と全く同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
【0088】
上記カチオン性樹脂変性シリカ分散液を、常温(25℃)で表5に示す期間熟成した。
【0089】
次に、上記熟成によってそれぞれ得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の安定性を調べた。その結果を表5に示す。
【0090】
【表5】
【0091】
上記表5のNo.4の本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を使用して、公知の組成の塗工液を調製した結果、再現性良く、安定した塗工液を調製することができた。
【0092】
実施例6
実施例5において、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の熟成を表6に示す熱処理温度及び熱処理時間で行った以外は同様にして本発明のカチオン性樹脂変性分散液を得た。
【0093】
次に、上記熟成によってそれぞれ得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の安定性を調べた。その結果を表6に示す。
【0094】
【表6】
【0095】
上記表6のNo.1〜3の本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を使用して、公知の組成の塗工液を調製した結果、再現性良く、安定した塗工液を調製することができた。
Claims (1)
- 以下の(1)〜(5)のいずれかの方法により、シリカ分散液をカチオン性樹脂の存在下に熟成することを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法。
(1)シリカとして乾式シリカを使用し、該乾式シリカをカチオン性樹脂と共に極性溶媒中に分散させた後、5〜45℃の範囲の温度で10日以上熟成を行う。
(2)シリカとして乾式シリカを使用し、該乾式シリカの表面シラノール基密度が100平方オングストローム当たり4個を超えるように加湿処理した後、極性溶媒中にカチオン性樹脂と共に分散させ、次いで、5〜45℃の範囲の温度で7日以上熟成を行う。
(3)シリカとして乾式シリカを使用し、該乾式シリカを、極性溶媒中に分散させて、その表面シラノール基密度が100平方オングストローム当たり4個を超えるように調整した後、カチオン性樹脂を分散せしめ、次いで、5〜45℃の範囲の温度で5日以上熟成を行う。
(4)シリカとして湿式シリカ、ゾル−ゲル法シリカ又はコロイダルシリカを使用し、該シリカをカチオン性樹脂と共に極性溶媒中に分散せしめ、次いで、15〜45℃の範囲の温度で5日以上熟成を行う。
(5)シリカをカチオン性樹脂と共に極性溶媒中に分散せしめ、次いで、30〜70℃の温度で加熱処理する。
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