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JP3956427B2 - 感熱転写シート及び感熱転写記録方法 - Google Patents

感熱転写シート及び感熱転写記録方法 Download PDF

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JP3956427B2
JP3956427B2 JP11373997A JP11373997A JP3956427B2 JP 3956427 B2 JP3956427 B2 JP 3956427B2 JP 11373997 A JP11373997 A JP 11373997A JP 11373997 A JP11373997 A JP 11373997A JP 3956427 B2 JP3956427 B2 JP 3956427B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる感熱転写記録方式によるカラーハードコピーに使用される転写シートに関するものである。特に昇華転写記録方式に使用される転写シートのうち、転写画像上に保護層を設ける方式に使用される転写シートであって、画像に優れた耐光性を与えることが出来る感熱転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオ画像等の電気信号によるカラー画像をカラーハードコピーに変換するための技術が進歩してきており、例えば、電子写真、インクジェット、感熱転写等の方式が検討されている。これらのなかでも、特に感熱転写方式は、装置の保守や操作の容易な点、装置の小型化の可能な点等から有利である。
感熱転写方式には、基材上の色材層を加熱によって溶融させ、それを被記録材に転写する溶融転写方式と、色材層中の色素のみを被記録材に移行させるいわゆる昇華転写方式とが知られている。昇華転写方式は、移行する色素の量を加熱の程度で制御することができることから、濃度階調性の有る表現が可能であり、精細な印刷や写真と同等の画像を得ることができる。通常のカラープリントは、イエロー、マゼンタ、シアンの3原色によって表現され、昇華転写方式に用いられる感熱転写シートも通常は、イエロー、マゼンタ、シアンの3色の色材層が基材上に順に配置されている。
【0003】
昇華転写方式の写真同等の画像が得られる特徴を生かして、例えば、身分証明書等のIDカードの作成等に利用される様になってきた。しかし、形成された画像は、耐光性、耐候性、耐摩擦性等の耐久性に劣るという問題があり、それを解決する方法として画像上に透明な保護層を形成する方法が提案されている。例えば、特開昭60−23096号公報、特開平4−241991号公報を上げることができる。保護層を画像上に形成する方法としては、画像形成後に、その表面に保護層を塗布する方法、ラミネートする方法、あるいは熱転写性の保護層を感熱転写シート上に色材層と面順次に形成し、受像シート上に画像を形成した後に、続いて保護層を熱転写する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これまでは、昇華転写方式による画像をIDカード等に用いるのに、その表面に保護層を形成しても、十分な耐光性を得ることができなかった。耐光性を向上させるために保護層中に紫外線吸収剤等を加え紫外線吸収能を持たせる工夫等が提案されているが、これらの手段をもってしても十分な耐光性を得ることが困難である。さらに耐光性が良く、かつ濃度の高い記録画像を得ることが困難であった。
これは、転写濃度が高く、かつ耐光性の良い色素が少ない上に、さらに、色素同士の組み合わせによっては、光退色が著しく進むキャタリティクフェード現象が有ることがわかったためである。これは、特にシアン色素と黄色色素との組合わせで顕著であり、シアン色素として有力なインドフェノール系色素で起こりやすい事がわかった。組み合わせて使用される黄色色素によっては、光に当たった時に、併用されるインドフェノール系色素を大きく退色させてしまう。そのため、通常使われる感熱転写記録用の黄色色素の中に、高濃度が得られ、自身の耐光性が良好で、かつインドフェノール系色素との組み合わせでキャタリティックフェード現象が起こらない色素が無かった。そのため、混色の緑色(黄色+シアン)や黒(黄色+マゼンタ+シアン)において、耐光性が良好で、濃度の高い記録を得ることが困難であった。
【0005】
これらの色素に関する耐光性の問題点は、保護層を設け、それに紫外線を吸収する能力を持たせることで、解決されると思われていた。しかし、実際には保護層に紫外線吸収能を持たせて、単独の耐光性を向上させても、キャタリティックフェード現象を防止する事はできず、耐光性の問題は解決しなかった。
これは、キャタリティクフェード現象が通常の光による退色と機構が異なるためである。通常の光による退色は紫外線などの強い光エネルギーによって色素が直接または間接に分解する現象であるが、キャタリティクフェード現象は光を吸収して励起した色素分子から、他の色素分子へのエネルギー遷移によって生じるとされる。色素分子の励起を防ぐには可視光を遮る必要があり、これは本発明においては保護層に可視光を吸収させることを意味するから、それでは画像が隠れてしまう。
このキャタリティクフェード現象は、色素同士の組み合わせで発現の状態が異なるから、良好な組み合わせは、この問題を認識する者が実際に実験してわかる事である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明の要旨は、転写画像の表面に紫外線を遮断する機能を有する保護層を設ける昇華感熱転写記録方式に用いられる感熱転写シートであって、基材の一方の面に少なくとも複数の色材層及び熱転写可能な保護層が面順次に設けられており、その少なくとも一つの色材層に下記一般式(1)で示されるインドフェノール系シアン色素が含有されており、他の少なくとも一つの色材層に下記一般式(2)で示されるビスピラゾロンメチン系黄色色素が含有されていることを特徴とする感熱転写シートに存する。ビスピラゾロンメチン系色素とは、二つのピラゾロン環がメチン結合によって架橋されている構造を有する色素の一群である。
【0007】
本発明の他の要旨は、基材の少なくとも一方の面に色材層及び熱転写可能な保護層面順次に設けられた感熱転写記録用の感熱転写シートを用い、受像シート上に画像を得た後、その画像の表面に紫外線を遮断する機能を有する保護層を設ける昇華感熱転写記録方法において、黄色用色素として下記一般式(2)で示されるビスピラゾロンメチン系黄色色素が、シアン用色素として下記一般式(1)で示されるインドフェノール系シアン色素が用いられることを特徴とする感熱転写記録方法、及び、基材の少なくとも一方の面に色材層が設けられている感熱転写記録用の感熱転写シートを用い、受像シート基材上に剥離可能に形成された紫外線を遮断する機能を有する中間記録層に画像を形成し、しかる後に、その画像面が最終記録材に接するようにして中間記録層を最終記録材の表面に熱転写し、次いで受像シート基材を中間記録層から剥離する事によって、紫外線を遮断する機能を有する保護層が形成された記録画像を得る昇華感熱転写記録方法において、黄色用色素として下記一般式(2)で示されるビスピラゾロンメチン系色素を用い、かつシアン用色素として下記一般式(1)で示されるインドフェノール系シアン色素が用いることを特徴とする感熱転写記録方法に存する。
【化7】
Figure 0003956427
(式中、−A−は−CO−または−COO−を表し、Rは低級アルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基またはフランを表し、R及びRは独立に、低級アルキル基を表し、Rはメチル基またはエチル基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子またはハロゲン原子を表す。)
【化8】
Figure 0003956427
(式中、R及びRは、独立に、低級アルキル基、メチル基で置換されていてもよいフェニル基を表し、R及びRは、独立に、低級アルキル基、−COOY基を表し、Yは低級アルキル基を表す。)
【0008】
本発明者は、検討の結果、転写画像の表面に保護層を設ける感熱転写記録方式に用いる感熱転写シートの色材層に、インドフェノール系シアン色素とビスピラゾロンメチン系黄色色素の組み合わせを用いることによって、高い転写濃度が達成され、かつ高い耐光性の感熱転写記録が可能になることを見出した。耐光性については、特に黄色とシアンが混色となる緑と黒に於いて、中でも黄色とシアンのみの混色で有る緑でその効果が顕著である。
これは、本発明のビスピラゾロンメチン系黄色色素が高濃度な転写が可能な色素で有るだけでなく、インドフェノール系シアン色素との組み合わせで、インドフェノール系シアン色素にキャタリティックフェード現象による退色が起こらない事が判明したためである。これによって、保護層を設け、さらに保護層に紫外線吸収能を持たせても解決することのできなかったキャタリティックフェード現象を抑え、耐光性が良好で高濃度の記録を可能にする事ができた。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における感熱転写シートは、基材と、その少なくとも一方の面に設けられた色材層から構成されている。一般には基材の一方の面、通常は色材層の反対面に耐熱滑性層を設ける。
基材としては、薄葉状フィルムが用いられ、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアラミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリスルホンフィルム、セロファン、トリアセテートフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられる。中でもポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、価格などの面から好ましく、特に2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、これらの基材の厚さは、通常、1〜30μm、好ましくは2〜10μmである。
【0010】
基材には、色材層との接着性を向上させるために、ベースフィルムの表面にコロナ処理を行ったり、あるいはポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などによるアンカーコートを設けても良い。
色材層は色素とバインダー樹脂とをその主要構成要素としており、少なくとも黄色、マゼンタ、シアンの3原色の色材層を面順次に有していることが一般的である。印刷用には通常墨を加えた4色の色材層を面順次に有する。本願においては色材層の少なくともひとつにインドフェノール系色素を含有し、他の少なくともひとつに、ビスピラゾロンメチン系色素を含むことをその特徴としている。
インドフェノール系色素とビスピラゾロンメチン系色素は本発明の目的に合う限り、いずれのものを用いても良く、複数の色素を配合して用いることも可能である。
特に下記一般式(1)で示されるインドフェノール系色素と、下記一般式(2)で示されるビスピラゾロンメチン系色素との組み合わせがより好ましい。
【0011】
【化3】
Figure 0003956427
【0012】
【化4】
Figure 0003956427
【0013】
一般式(1)で示されるインドフェノール系色素の置換基において、低級とは炭素数1〜8を意味する。一般式(1)において、−A−は−CO−または−COO−を表し、R 2 、R3は低級アルキル基を表し、R4はメチル基またはエチル基を表し、R5は水素原子またはメチル基を表す。
【0014】
好ましくは、R 2は低級アルキル基を表し、R3は低級アルキル基を表し、R4はメチル基またはエチル基を表し、R5は水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子または塩素原子を表す。
【0015】
より好ましくは、Rは低級アルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基、低級アルコキシアルキル基、またはフランを表し、Rはメチル基またはエチル基を表す。
さらに好ましくは、Rは低級アルキル基、ベンジル基、低級アルコキシ低級アルキル基またはフランを表し、R、Rはエチル基を表す。また、Xが塩素原子の場合には、Rは炭素数2以上であると色素の溶解度が向上するので好ましい。
【0016】
一般式(2)で示されるビスピラゾロンメチン系色素の置換基において、低級とは炭素数1〜8を意味する。
【0017】
6、R7は低級アルキル基、メチル基で置換されていても良いフェニル基を表し、R8、R9は低級アルキル基、−COOY基を表し、Yは低級アルキル基を表す。
最も好ましいインドフェノール系色素とビスピラゾロンメチン系色素の組み合わせとしては、一般式(1)で表されるインドフェノール系色素中、−A−は−CO−または−COO−を表し、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ベンジル基、低級アルコキシエチル基、フランを表し、R2及びR3はエチル基を表し、R4はメチル基またはエチル基を表し、R5は水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子または塩素原子を表す色素と、一般式(2)で表されるビスピラゾロンメチン系色素中、R6、R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、トルイル基を表し、R8、R9はメチル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基を表す色素との組み合わせである。
【0018】
本発明の一般式(1)で示されるインドフェノール系色素の一部は、既に特開昭61−31292号公報、特開昭61−35994号公報等によって感熱転写に使用することが公知である。一般式(2)で示されるビスピラゾロンメチン系色素は公知の化合物であるが、感熱転写に使用することは知られていない。
本発明は、これらの色素の単独での特性を生かしつつ、同時に用いることによって、より良い成果を得ようとするものである。
色材層の色素以外の主成分はバインダー樹脂である。この場合のバインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリルースチレン樹脂およびアセチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのようなセルロース系樹脂が例として挙げられる。色材層は、通常、色素とバインダー樹脂とを溶剤に溶解または分散させて得られるインクを基材に塗工乾燥することによって形成される。
【0019】
インクに使用される溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブなどのアルコール系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;ジメチルホルムアミド、Nーメチルピロリドンなどのアミド系溶剤などを挙げることができる。上記のインキの中には上記成分の他に、必要に応じて有機または無機の非昇華性粒子、分散剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、消泡剤、酸化防止剤、粘度調節剤などの添加剤を添加することが出来る。また、レーザー光を用いる昇華転写方式に用いるために赤外線吸収剤やカーボンブラックを添加することもできる。これらのインキを塗布して色材層を設ける方法に特に制限はないが、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等を用いることができ、例えば、「印刷インキハンドブック」(印刷インキ工業連合会編集・発行、1978年)に記載の方法を参考にすることができる。塗布膜厚は乾燥膜厚で0.1〜5μmが適当であり、より好ましくは、0.5〜2μmである。
【0020】
バインダー樹脂中の色素の比率が高い方が一般に転写感度や最高到達濃度が高く、色素の比率が低いと感度、到達濃度が低くなる。しかし、色素の比率が極端に高くなってくると、高温下、高湿度下、あるいは長期保存下で色素がバインダー中から析出してくることになり、転写画像に悪影響をもたらす。従って、感熱転写シートの保存安定性と転写性とのかねあいから、バインダーと色素の混合比は、重量比で、1:2〜2:1の範囲が適当であり、より好ましくは、1:1.5〜1.5:1の範囲であり、さらに好ましくは1:1〜1.5:1の範囲である。 これらの点を考慮すれば、より色素との相溶性が高く、高い濃度で色素を含有しても問題の無いバインダー樹脂を用いることが好ましく、前述したバインダー樹脂の中でも、Tgが50℃以上のポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリルースチレン樹脂(AS樹脂)が好ましい。
【0021】
感熱転写シートの色材層とは反対の面に必要に応じて耐熱層を設けても良い。耐熱層としては特に制限は無いが、例えば紫外線硬化樹脂等の硬化樹脂を用いたものやTgの高い熱可塑性樹脂を用いたものが知られている。耐熱層は、サーマルヘッドの熱に対する耐熱性の他に、サーマルヘッドに対する滑り性が必要とされることから、シリコーンオイルの様な滑剤が添加されていることが一般的である。
感熱転写記録を行うには、感熱転写シートの色材面と、基材の片面に受像層を設けた受像シートの受像面とを向かい合うように重ね合わせ、感熱転写シートの色材面とは反対側からライン型サーマルヘッド等の熱源を用いて、画像信号に応じた熱を加え、色材層中の色素を受像層に移行させるのが一般的である。その際、加えられる熱量に応じて、移行する色素量が変更出来ることから、濃淡の表現が可能であり、精細な画像を得ることが可能である。黄色、マゼンタ、シアンの三色、または、黒を加えた4色について同様の操作を繰り返すことで、写真調の画像を得ることができる。
【0022】
画像を得るための感熱転写シートとしては、各色別々の感熱転写シートを用いる場合と面順次の感熱転写シートを用いる場合とが有り、どちらでも良いが、好ましくは面順次の感熱転写シートの方が、画像を得るのに1本の感熱転写シートで済むことから、転写を行う装置が簡便となることから好ましい。
マゼンタの色材層には、マゼンタ色素として、アントラキノン系色素、イミダゾールアゾ色素、チアジアゾールアゾ系色素を好適に用いることができる。これらは、キャタリティックフェード現象には関与しないことがわかった。
黄色の色素として、ビスピラゾロンメチン以外の色素を併用することが可能である。しかし、キャタリティックフェードを起こす色素との併用は、せっかくのビスピラゾロンメチン色素の特徴を減じる事から、その併用の量は少ない事が好ましい。
【0023】
シアン色素として、インドフェノール系以外の色素を併用することが可能である。例えばアントラキノン系シアン色素やモノアゾ系シアン色素を上げることができるが、たとえキャタリティックフェード現象は起こりにくくても、それ自体の耐光性が不十分であったり、感度は足りないことがわかったので、その併用の量は少ない方が良い。
色素を移行させるための熱源としては、ライン型サーマルヘッドが一般的であるが、レーザー光線を使用することも知られている。その際には、レーザー光を熱に変換するための、光熱変換材を使用する必要があり、赤外線吸収剤やカーボンブラックを感熱転写シートの色材層中、色材層と基材との間、あるいは色材層とは反対面に添加させることが知られている。
【0024】
本発明の保護層は、指の油、水、埃等による画像の汚染、湿気、空気等による色素の分解、機械的衝撃等による画像の傷付きから画像を保護する目的で画像の上に設けられる。画像の上に塗工によって設けることもできるが、基材上に熱転写可能に設けられることが好ましい。その場合、基材の保護層とは反対の面から加熱する事によって、画像上に保護層を設けることができる。基材上に保護層のみを設けたシート、あるいは基材上に色材層と保護層を面順次に設けたシートであっても良い。後者の場合、画像形成後に連続して同じ熱源で画像上に保護層を形成することができることから簡便で好ましい。
【0025】
以下に、保護層が基材上に熱転写可能に設けられた場合について述べるが、その用法はこれに限定されるものではない。
保護層を設ける基材は、色材層を設けるのに用いられる基材と同様の材料を用いることができる。保護層を設ける面には保護層の剥離性を調整するための剥離調整層を設けても良い。保護層は、基材側から、表面層と接着層の少なくとも2層を有する構造が好ましい。基材の保護層とは反対面には、耐熱層を設けることができる。
表面層は耐摩擦性、耐候性等に優れた種々の樹脂、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの樹脂のシリコーン変性樹脂、及びこれらの樹脂の混合物等を主体に含有する。これらの樹脂の中では、アクリル樹脂が好ましい。
【0026】
これらの樹脂は強靱な被膜を形成するから、基材の反対面から加熱された転写時における端部の切れが不十分になりやすい。これを改善するため表面層には、シリカ等の微粒子やワックス等を添加する事ができる。基材上に表面層を形成する方法としては、色材層を形成する場合に説明した方法と同様の方法を用いる事ができる。表面層の厚みは好ましくは、0.1〜10μm程度であり、好ましくは1〜5μm程度である。
表面層には、耐光性、耐候性を向上させる目的で、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、又はベンゾエート系紫外線吸収剤、酸性燐酸エステルの金属塩類、微粒子無機顔料などを添加することができる。
【0027】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、部分構造として、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等のピペリジン構造を有するものが好ましく、例えば、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、(ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕)等を上げることができる。
【0028】
また紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2、4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−t−ブチルフェニルサリシレート−2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが、ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、p−t−ブチルフェニル−サリシレートなどを挙げることができる。
【0029】
また、紫外線吸収剤として用いられる酸性燐酸エステルの金属塩類としては、ステアリルアシッドホスフェイト、マグネシウムステアリルホスフェイト、アルミニウムステアリルホスフェイト、カルシウムステアリルホスフェイト、ジンクステアリルホスフェイト、バリウムステアリルホスフェイトなどが挙げられる。微粒子無機顔料としては、酸化亜鉛、酸化錫系導電性微粉末、酸化チタン、TiO2 ・SnO2 (Sbドープ)、硫酸バリウム系導電粉末などがあげられる。これらの添加剤は、複数併用しても構わない。
紫外線吸収剤を添加することで表面層、ひいては保護層に紫外線吸収能を持たせることは、保護層の耐光性だけでなく、画像の耐光性も向上させることができるので好ましい。しかしながら、保護層に紫外線吸収能を持たせるだけでは耐光性の向上が十分に達成できないのは既に述べたとおりである。紫外線吸収剤の添加量は表面層に重量で0.01〜20%が好ましく、より好ましくは、0.1〜10%である。添加による紫外線部の光透過率が300nmで3%以下であることが好ましい。
【0030】
接着層は、アクリル樹脂、塩ビ樹脂、ポリエステル樹脂、酢ビ樹脂、塩酢ビ樹脂、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂等の熱時接着性の良好な樹脂を主に含有する。添加剤として、表面層と同様のものを添加していても良い。接着層の形成は、樹脂や添加剤の溶液を塗布及び乾燥することによって、表面層を形成するのと同様の方法で、好ましくは0.1〜5μm程度の厚みに表面層上に形成される。
本発明の受像シートは、通常の感熱転写に用いられている受像シートであれば特に制限は無いが、好ましくは、基材の少なくとも一方の面に受像層が設けられているものである。
受像シートの基材は、合成紙、セルロース紙、キャストコート紙、合成樹脂フィルム、合成樹脂によるカード、セルロース紙の両側に合成紙を貼り合わせた基材等が使用される。色材層との密着性が高い方が記録時の色素の転写が均一に行われることから、その表面は平滑であることが好ましく、できればベック平滑度で10000秒以上の基材を用いることが好ましい。この点から合成紙や合成樹脂フィルム、カードを使用した基材が好ましい。
【0031】
受像層は樹脂を主体とした層で、色素を受容して画像を形成する役目を持つ。樹脂としては色素の染まりやすい樹脂が好ましい。例えば、酢ビ樹脂、塩酢ビ樹脂、ポリエステル樹脂、AS樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等をあげることができる。これらは併用して用いることが可能である。ガラス転移点の低すぎる樹脂を使用すると画像が保存時ににじんでしまうので、好ましくない。受像層として、ガラス転移点が35℃以上の受像層が好ましい。
受像層には樹脂の他に、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、樹脂を硬化させるためのイソシアネート等の硬化剤、熱転写時の色材層との融着防止の為に添加されるシリコーンなどの剥離剤等を挙げることができるがこの限りではない。受像層と基材の間には接着性を高めるためのアンカーコートを設けることもできる。
【0032】
受像シートの基材に透明フィルムを用い、画像を受像層に形成した後、受像層面を他の不透明な基材に圧着させ、画像を基材の透明フィルム越しに見る構成にして、基材である透明フィルム自身に保護層の役目をさせる用法も可能であり、その場合、透明フィルムに紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が含まれていることが好ましい。
また、受像シートの基材上に受像層を剥離可能に形成し、その剥離可能な受像層を中間記録層として用いる用法もある。この場合、中間記録層に画像を形成した後、中間記録層を他の最終記録材の表面に圧着させてから基材を剥がして、中間記録層を最終記録材上に残し、画像を中間受像層越しに見る構成にして、中間記録層そのものに保護層の役目をさせる。この場合中間記録層に紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が含まれていることが好ましい。この用法では, 中間記録層に黄色用色素としてビスピラゾロンメチン系色素、シアン用色素としてインドフェノール系シアン色素を用いた耐光性の良好な画像が形成されていて、それを好みの最終記録材に転写する事ができるから、最終的に画像が形成される材料を自由に選択することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において特に明記しない限り、「%」、「部数」は重量換算で示す。
実施例1
(a)シアン色感熱転写シートの作製
色素1−1(一般式(1)に於いて、−A−が−COO−、R1 、R2 、R3 がエチル基、R4 、R5 がメチル基、Xが塩素原子)70部、フェノキシ樹脂(商品名:PKHH、ユニオンカーバイド株式会社製)100部、メチルエチルケトン125部、およびトルエン450部、テトラハイドロフラン(THF)300部とを混合撹拌して得られたインクを6μmのポリエステルフィルムにバーコーターを用いて乾燥膜厚が1μmになるように塗工乾燥し、シアン色の色材層を形成した。その背面にアクリル樹脂(商品名:BR−100、三菱レイヨン(株)製)10重量部、アミノ変性シリコーンオイル(商品名:KF393、信越化学(株)製)1重量部、およびトルエン89重量部を混合した液をバーコーターを用いて乾燥厚みが1μmになるように塗工乾燥し、耐熱層を設けた。
【0034】
(b)黄色感熱転写シートの作製
色素2−1(一般式(2)に於て、R6 ,R7 がフェニル基、R8 ,R9 がメチル基)90部、フェノキシ樹脂(商品名:PKHH、ユニオンカーバイド株式会社製)100部、メチルエチルケトン125部、およびトルエン450部、テトラハイドロフラン(THF)300部とを混合撹拌して得られたインクを、同じように、6μmのポリエステルフィルムにバーコーターを用いて乾燥膜厚が1μmになるように塗工乾燥し、黄色の色材層を形成した。
(a)と同様に、背面にアクリル樹脂(商品名:BR−100、三菱レイヨン(株)製)10重量部、アミノ変性シリコーンオイル(商品名:KF393、信越化学(株)製)1重量部、およびトルエン89重量部を混合した液をバーコーターを用いて乾燥厚みが1μmになるように塗工乾燥し、耐熱層を設けた。
【0035】
(c)保護層の形成
アクリル樹脂(BR−100、三菱レイヨン製)80部、紫外線線吸収剤(2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、商品名:TINUVIN320 日本チバガイギー株式会社製)5部、メチルエチルケトン40部、トルエン40部を撹拌して得られた塗工液を、剥離性を持たせた厚さ6μのフィルムに塗工し、乾燥厚み2μの樹脂層を形成した。
その上に、接着層として、アクリル系樹脂エマルジョン(商品名:ポリゾールAT2011、昭和高分子株式会社製)のメチルエチルケトン溶液を乾燥厚みが表面層を合わせた総計として、3μmの保護層を設けた。
【0036】
(d)受像シートの作製
ポリビニルフェニルアセタール樹脂70部、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合樹脂(商品名:VAGD、ユニオンカーバイド株式会社製)25部、変性用シリコーンワニス(商品名:TSR−160、固形分濃度60%、東芝シリコーン(株)製)15部、フタル酸ジエステル(商品名:K−3220、株式会社花王製)15部、ヘキサメチレンジイソシアネート系多官能イソシアネート化合物(商品名:マイテックNY−710A、固形分濃度75%、三菱化学(株)製)6部、アミノ変性シリコーンオイル(商品名:KF393、信越化学工業(株)製)1部、メチルエチルケトン300部、トルエン300部を混合攪拌して得られた液を、厚み150μmのポリプロピレン製合成紙(商品名:ユポFPG150、王子油化合成紙(株)製)にワイヤーバーで塗布、乾燥し(乾燥膜厚約5μm)、さらにオーブン中で80℃で12時間熱処理することにより受像シートを作製した。
上記のポリビニルフェニルアセタール樹脂はポリビニルアルコール(鹸化度99モル%、重合度1700)をフェニルアセトアルデヒドでアセタール化することにより得たものであり、下記式で示される構造であった。
【0037】
【化5】
Figure 0003956427
【0038】
(e)印字記録
上記(a)の様にして作製された感熱転写シートの色材層面と、上記(b)の様にして作成された受像シートの受像層面を重ね、5.6ドット/mmの発熱抵抗体密度を有する部分グレース型ラインサーマルヘッドを使用して、送り方向に6ライン(ドット)/mmで、16.6ms/ラインの速度で、印加電力0.20W/ドットで印字を行った。1ライン当たりのヘッドに印加する時間を12msにして印字を行った。この方法で、シアンと黄色の印字物を得、さらに黄色を印字した上にシアンを重ねて印字することで緑色の印字物を得た。
さらに、これら黄色、シアン、緑の記録の上に、(c)で作成した保護層を記録面と接着層が接するように重ね、保護層の反対面にシリコーンオイルを塗布して滑性を持たせてから、その滑性を持たせた面を前述したサーマルヘッドを用いて加熱し、画像と保護層とを接着させた。その後基材を剥離することで、表面に保護層の形成された記録を得た。
【0039】
(f)濃度、色の測定
上記(d)の様にして印字された印字物の濃色の濃度を反射濃度計(商品名:マクベスRD−920型、SPI分光感度特性を有するフィルター内蔵、マクベス社製)で測定した。その結果、濃度はシアンで2.0、黄色で1.6であった。
【0040】
(g)耐光性試験
上記(d)の様にして印字された転写物の濃色のサンプルを、キセノンランプを用いた耐光性試験機(商品名:キセノンフェードメーターFAL−25AX、スガ試験機株式会社製)を用いて、80時間耐光性試験を行い、試験前の印字物と試験後のそれとを、JIS Z−8722に準拠する光学系を有する色差計(商品名:分光色差計SZ−Σ80、日本電色工業(株)製)を用いて、C光源、視野角2度で測定した。そのCIELAB色差は、シアンで8.0、黄色で5.0、緑色で11.0と小さかった。
【0041】
実施例2〜7
実施例1で使用した色素の配合の代わりに、下記の表−1に示した通りの組合せで色素配合して用いた他は、実施例1と同様に試験を行い、その結果を表−2に示した。いずれも、高濃度でかつ耐光性は良好であった。
【0042】
【表1】
Figure 0003956427
【0043】
なお、上記表−1において色素1−2〜1−7,色素2−2〜2−7は各々下記構造を有する色素である。
色素1−2:一般式(1)に於いて、−A−が−CO−、R1 がペンチル基、R2 、R3 がエチル基、R4がメチル基、R5が水素原子、Xが塩素原子である。
色素1−3:一般式(1)に於いて、−A−が−CO−、R1 がフラン基、R2 、R3 がエチル基、R4がエチル基、R5がメチル基、Xが塩素原子である。
色素1−4:一般式(1)に於いて、−A−が−COO−、R1 がベンジル基、R2 、R3 がエチル基、R4、R5がメチル基、Xが水素原子である。
色素1−5:一般式(1)に於いて、−A−が−CO−、R1 がメチル基、R2 、R3 がエチル基、R4、R5がメチル基、Xが水素原子である。
色素1−6:一般式(1)に於いて、−A−が−CO−、R1 、R2 、R3 がエチル基、R4がメチル基、R5、Xが水素原子である。
色素1−7:一般式(1)に於いて、−A−が−CO−、R1 がエトキシエチル基、R2 、R3 がエチル基、R4がメチル基、R5、Xが水素原子である。
色素2−2:一般式(2)に於いて、R6、R7はo−トルイル基、R8、R9はメチル基である。
色素2−3:一般式(2)に於いて、R6、R7はフェニル基、R8はメチル基、R9はエトキシカルボニル基である。
色素2−4:一般式(2)に於いて、R6、R7はフェニル基、R8、R9はブトキシカルボニル基である。
色素2−5:一般式(2)に於いて、R6はフェニル基、R7はo−トルイル基、R8、R9はメチル基である。
色素2−6:一般式(2)に於いて、R6、R7、R8、R9はメチル基である。
色素2−7:一般式(2)に於いて、R6、R7はプロピル基、R8、R9はメチル基である。
【0044】
比較例1
実施例1の(c)で保護層に紫外線吸収剤を入れなかった他は、実施例1と同様にして試験を行なった。その耐光性は実施例1に劣るものであったが、十分な結果であった。結果を表−2に示した。
【0045】
実施例
実施例1の受像シートの代わりに、下記に示した中間受像体を用い、さらに下記に示した印字方法で、表面に保護層を有する記録を得た。それを実施例1と同様に試験したところ耐光性は良好であった。その結果を表−2に示した。
(h)中間受像体
厚さ100μの剥離PETフィルムに、アクリル樹脂(BR−100、三菱レイヨン製)80部、紫外線線吸収剤(2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、商品名:TINUVIN320 日本チバガイギー株式会社製)5部、メチルエチルケトン40部、トルエン40部を撹拌して得られた塗工液を塗工し、乾燥厚み2μmの表面層を形成した。その上に、実施例1の「(d)受像体の作製」に記載された受像層を乾燥厚みが表面層を含めた総厚みで7μmになるように塗工し、乾燥し、さらにオーブン中で80℃で12時間熱処理することにより基材の上に中間受像層が設けられた中間受像体を作製した。
【0046】
(i)印字記録
実施例1と同様にして作製された感熱転写シートの色材層面と、上記(h)の様にして作成された中間受像体の中間受像層を重ね、実施例1と同じ印画条件でシアンと黄色の印字物を得、さらに黄色を印字した上にシアンを重ねて印字することで緑色の印字物を得た。
この画像を、厚さ150μmの易接着処理された白色PETフィルムと重ね合わせてラミネーターを通し、画像面を白色PETフィルムに接着させた。中間受像体の基材であった剥離PETフィルムを剥がすことで、実施例1とは、画像が反転した表面に保護層を有する画像が得られた。
【0047】
比較例
実施例1の(b)で用いられた色素2−1の替わりに、下記構造式で示されるキノフタロン系の黄色色素を用いた他は、実施例1と同様にして試験を行なった。この時、色素の色材層塗工液中での溶解性が足りない事が判明したので、溶剤を追加し、透明な塗工液で色材層を形成したが、その色材層は不透明で色素の析出が見られた。転写の黄色濃度は不十分であった。その結果を表−2に示した。
【0048】
【化6】
Figure 0003956427
【0049】
比較例
実施例1の(b)で用いられた色素2−1の替わりに、下記構造式で示されるピリドンアゾ系の黄色色素を用いた他は、実施例1と同様にして試験を行なった。黄色濃度は、2.3と高い結果が得られた。緑の混色の耐光性は20.0と不満足な結果となった。キャタリティックフェード現象による緑色での耐光性の不良化の結果と考えられる。結果を表−2に示した。
【0050】
【化7】
Figure 0003956427
【0051】
比較例
実施例1の(b)で用いられた色素色素2−1の替わりに、下記構造式で示されるスチリル系の色素を60部用いた他は、実施例1と同様にして試験を行なった。黄色の転写濃度は高い結果が得られたが、緑色の耐光性が不十分であり、キャタリティックフェード現象の影響と考える。その結果を表−2に示した。
【0052】
【化8】
Figure 0003956427
【0053】
比較例
実施例1の(a)で用いた色素1−1の替わりに、下記構造式で示されるアントラキノン系シアン色素を用いた他は、実施例1と同様にして試験を行なった。濃度は、1.5と低い結果が得られた。その耐光性は不十分な結果であった。その結果を表−2に示す。
【0054】
【化9】
Figure 0003956427
【0055】
【表2】
Figure 0003956427
【0056】
【表3】
Figure 0003956427
【0057】
【発明の効果】
本発明により、耐光性に優れ、かつ濃度の高い感熱転写記録を供給することができる。

Claims (3)

  1. 転写画像の表面に紫外線を遮断する機能を有する保護層を設ける昇華感熱転写記録方式に用いられる感熱転写シートであって、基材の一方の面に少なくとも複数の色材層及び熱転写可能な保護層が面順次に設けられており、その少なくとも一つの色材層に下記一般式(1)で示されるインドフェノール系シアン色素が含有されており、他の少なくとも一つの色材層に下記一般式(2)で示されるビスピラゾロンメチン系黄色色素が含有されていることを特徴とする感熱転写シート。
    Figure 0003956427
    (式中、−A−は−CO−または−COO−を表し、Rは低級アルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基またはフランを表し、R及びRは独立に、低級アルキル基を表し、Rはメチル基またはエチル基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子またはハロゲン原子を表す。)
    Figure 0003956427
    (式中、R及びRは、独立に、低級アルキル基、メチル基で置換されていてもよいフェニル基を表し、R及びRは、独立に、低級アルキル基、−COOY基を表し、Yは低級アルキル基を表す。)
  2. 基材の少なくとも一方の面に色材層及び熱転写可能な保護層面順次に設けられている感熱転写記録用の感熱転写シートを用い、受像シートに画像を得た後、その画像の表面に紫外線を遮断する機能を有する保護層を設ける昇華感熱転写記録方法において、黄色用色素として下記一般式(2)で示されるビスピラゾロンメチン系色素が、シアン用色素として下記一般式(1)で示されるインドフェノール系シアン色素が用いられることを特徴とする感熱転写記録方法。
    Figure 0003956427
    (式中、−A−は−CO−または−COO−を表し、Rは低級アルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基またはフランを表し、R及びRは独立に、低級アルキル基を表し、Rはメチル基またはエチル基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子またはハロゲン原子を表す。)
    Figure 0003956427
    (式中、R及びRは、独立に、低級アルキル基、メチル基で置換されていてもよいフェニル基を表し、R及びRは、独立に、低級アルキル基、−COOY基を表し、Yは低級アルキル基を表す。)
  3. 基材の少なくとも一方の面に色材層が設けられている感熱転写記録用の感熱転写シートを用い、受像シート基材上に剥離可能に形成された紫外線を遮断する機能を有する中間記録層に画像を形成し、しかる後に、その画像面が最終記録材に接するようにして中間記録層を最終記録材の表面に熱転写し、次いで受像シート基材を中間記録層から剥離する事によって、紫外線を遮断する機能を有する保護層が形成された記録画像を得る昇華感熱転写記録方法において、黄色用色素として下記一般式(2)で示されるビスピラゾロンメチン系色素を用い、かつシアン用色素として下記一般式(1)で示されるインドフェノール系シアン色素が用いることを特徴とする感熱転写記録方法。
    Figure 0003956427
    (式中、−A−は−CO−または−COO−を表し、Rは低級アルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基またはフランを表し、R及びRは独立に、低級アルキル基を表し、Rはメチル基またはエチル基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子またはハロゲン原子を表す。)
    Figure 0003956427
    (式中、R及びRは、独立に、低級アルキル基、メチル基で置換されていてもよいフェニル基を表し、R及びRは、独立に、低級アルキル基、−COOY基を表し、Yは低級アルキル基を表す。)
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