JP3885249B2 - (メタ)アクリル酸グリシジルの精製方法 - Google Patents
(メタ)アクリル酸グリシジルの精製方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エピクロルヒドリンを反応原料として得られた粗(メタ)アクリル酸グリシジルの精製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1分子中に重合性のアクリロイル基またはメタクロイル基とエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸グリシジルは、その構造上の特徴から、反応性モノマ―として広い分野に使用されている。たとえば、塗料、接着剤、粘着剤、繊維改質剤、分散剤、レジスト材料などの多岐にわたつている。
【0003】
(メタ)アクリル酸グリシジルを製造するには、第一の方法として、(メタ)アクリル酸とエピクロルヒドリンを反応原料とする方法(特公昭37−7454号公報)、第二の方法として、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩とエピクロルヒドリンを反応原料とする方法(特公昭45−28762号公報)、第三の方法として、(メタ)アクリル酸メチルとグリシド―ルを反応原料とする方法(特公昭47−38421号公報)が、知られている。
【0004】
このうち、エピクロルヒドリンを反応原料とする第一および第二の方法は、最も汎用的な方法として知られるが、これらの方法によると、未反応のエピクロルヒドリンおよび反応で副生した塩素化合物の除去のために蒸留を行つても、得られる製品中に数千ppmのエピクロルヒドリンおよび反応で副生した塩素化合物が数%混入してくる。これらの混入は、作業者の健康阻害、グル―プトランスフア―重合の触媒毒、電子・電気分野で使用した際の金属の腐蝕などの問題を引き起こす原因となり、製品の産業上の利用が制限される。
【0005】
この問題を克服するため、特開昭48−36117号公報には、第4級アンモニウム塩の存在下、飽和または不飽和カルボン酸にエピクロルヒドリンを加えて反応させ、さらにエピクロルヒドリンまたはアルキレンオキシドを加えて第1工程のエポキシ交換反応を行い、第2工程として反応液を水酸化アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物とともに混合し、副生するエピクロルヒドリンを閉環除去し、再び第4級アンモニウム塩の存在下に加熱反応させて2回目のエポキシ交換反応を行い、さらに前記の第2工程を繰り返すことにより、高純度のカルボン酸グリシジルを高収率で得る方法が開示されている。
【0006】
しかし、この方法では、第4級アンモニウム塩が残つているため、蒸留時に重合物が発生して作業性が悪くなり、しかも、グリセリンジメタクリレ―ト、グリセリントリメタクリレ―トなどが生成し、蒸留ピツチが増加するという問題がある。また、特開昭48−72115号公報には、反応後の粗(メタ)アクリル酸グリシジルにスルホン酸塩を添加して重合を防止する方法が開示されているが、反応で副生した塩素化合物の除去は十分ではない。
【0007】
特開平4−187682号公報には、第4級アンモニウム塩の存在下に酸素含有ガスでストリツピングしたのち、蒸留を行う方法が開示されている。しかし、この方法では、蒸留時に第4級アンモニウム塩が存在するため、蒸留中に副生するエピクロルヒドリンの発生を抑えることができず、また、第4級アンモニウム塩の存在下で蒸留を行うと、重合物が発生して作業性が悪くなり、さらに、グリセリンジメタクリレ―ト、グリセリントリメタクリレ―トなどが多く生成して、蒸留ピツチが増加するなどの問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、エピクロルヒドリンを反応原料として得られた粗(メタ)アクリル酸グリシジルから、エピクロルヒドリンおよび反応で副生した塩素化合物をほとんど含まない、したがつて、塩素濃度が低い、高純度の(メタ)アクリル酸グリシジルを収率良く得ることができる新規な精製方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、エピクロルヒドリンを反応原料として得られた粗(メタ)アクリル酸グリシジルに対し、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合物と第4級オニウム塩を加えてエピクロルヒドリンを留去したのち、さらにスルホン酸またはスルホン酸塩を加えてろ過または水洗し、その後に蒸留を行うようにすると、粗(メタ)アクリル酸グリシジル中のエピクロルヒドリンおよび反応で副生した塩素化合物がほぼ除去されて、塩素濃度の低い高純度の(メタ)アクリル酸グリシジルが高収率で得られることを見い出し、本発明を完成するに至つた。
【0010】
本発明は、(メタ)アクリル酸またはそのアルカリ金属塩とエピクロルヒドリンを第4級オニウム塩の存在下で反応させて得られた粗(メタ)アクリル酸グリシジルに、粗(メタ)アクリル酸グリシジルに対し0.1〜20重量%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合物と粗(メタ)アクリル酸グリシジルに対し0.01〜5重量%の第4級オニウム塩を加えて、エピクロルヒドリンを留去し、ついで第4級オニウム塩に対し0.5〜10倍モルのスルホン酸またはスルホン酸塩を加えて、ろ過または水洗し、さらに蒸留を行うことを特徴とする(メタ)アクリル酸グリシジルの精製方法に係るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において精製の対象となる粗(メタ)アクリル酸グリシジルとしては、(1)(メタ)アクリル酸とエピクロルヒドリンを第4級オニウム塩の存在下で反応させたのち、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合物と反応して得られた反応混合物から、副生する塩をろ別、水洗などにより除去したもの、(2)(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩とエピクロルヒドリンを第4級オニウム塩の存在下で反応して得られた反応混合物から、副生する塩をろ別、水洗などにより除去したもの、(3)上記(1),(2)の粗(メタ)アクリル酸グリシジルよりエピクロルヒドリンを除去したもの、(4)上記(3)の粗(メタ)アクリル酸グリシジルを蒸留したものなどが挙げられる。
【0012】
本発明の精製方法に用いられるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合物としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩または燐酸塩などがあり、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウムなどが挙げられる。これらの塩基性化合物は、固形物、粉末または水溶液として使用することができる。
【0013】
これらの塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。使用量としては、粗(メタ)アクリル酸グリシジルに対し、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。0.1重量%未満では塩素濃度を低くする効果が小さく、20重量%を超えると副反応のため収率が低下するばかりでなく、経済性の面からも好ましくない。
【0014】
本発明の精製方法に用いられる第4級オニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、トリメチルエチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムヨ―ダイド、テトラエチルアンモニウムヨ―ダイド、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、トリメチルエチルホスホニウムクロライド、トリメチルベンジルホスホニウムクロライド、トリエチルメチルホスホニウムクロライド、トリエチルベンジルホスホニウムクロライド、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラメチルホスホニウムヨ―ダイド、テトラエチルホスホニウムヨ―ダイドなどが挙げられる。
【0015】
これらの第4級オニウム塩は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用ししてもよい。使用量としては、粗(メタ)アクリル酸グリシジルに対して、0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜1重量%である。0.01重量%未満では塩素濃度を低くする効果が小さく、5重量%を超えると副反応のため収率が低下するばかりでなく、経済性の面からも好ましくない。
【0016】
本発明の精製方法においては、まず、前記の粗(メタ)アクリル酸グリシジルに、上記の塩基性化合物と第4級オニウム塩を上記割合で加えて、粗(メタ)アクリル酸グリシジル中に含まれるエピクロルヒドリンを留去する。その際、水との共沸留去が効果的であり、また重合禁止の目的で空気を導入しながら行うのが望ましい。処理時間は、粗(メタ)アクリル酸グリシジルが前記(1)〜(4)のいずれであるかを勘案した上で、処理温度、減圧度、空気吹き込み量などの処理条件に応じて、適宜設定することができる。
【0017】
本発明においては、上記のエピクロルヒドリンの留去後、さらにスルホン酸またはスルホン酸塩を加えて、通常20〜70℃で20〜60分間の撹拌処理を行つたのち、ろ過または水洗する。ろ過は、反応により生成した塩および未反応のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合物を、常圧ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過などにより除去するものである。また、水洗は、反応により生成した塩および未反応のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合物を水に溶解させ、分離した水層を除去するものである。
【0018】
ここで用いられるスルホン酸またはスルホン酸塩としては、メタンスルホン酸、ラウリルスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンステアリルサルフエ―トなどのスルホン酸や、メタンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシステアリルサルフエ―トソ―ダなどのスルホン酸塩が挙げられる。
【0019】
これらのスルホン酸またはスルホン酸塩は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。使用量としては、第4級オニウム塩に対し、0.5〜10倍モル、好ましくは1〜5倍モルである。0.5倍モル未満では重合物が生じて収率が低下しやすく、10倍モルを超えて使用しても収率は変わらず、経済性の面からも好ましくない。
【0020】
本発明において、このようにスルホン酸またはスルホン酸塩を加えてろ過または水洗したのち、蒸留することにより、塩素濃度の低い高純度の(メタ)アクリル酸グリシジルを高収率で得ることができる。粗(メタ)アクリル酸グリシジルの種類により異なるが、一般に、エピクロルヒドリンの量は0.002重量%以下、塩素含量は1,000ppm以下、好ましくは500ppm以下に抑えることができ、純度99重量%以上の(メタ)アクリル酸グリシジルを75重量%以上、好ましくは80重量%前後の高い収率で得ることが可能である。
【0021】
【実施例】
以下に、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明する。なお、実施例および比較例で使用した粗(メタ)アクリル酸グリシジルA〜Eは、以下の調製方法1〜5により得られたものである。
【0022】
<調製方法1>
メタクリル酸とエピクロルヒドリン(対メタクリル酸6倍モル)を撹拌機、温度計、還流冷却管を付したフラスコに仕込んだ。ついで、テトラメチルアンモニウムクロライド(対メタクリル酸3モル%)、フエノチアジン(総仕込量の0.02重量%)を加え、90℃で5時間保つた。つぎに、90℃、200mmHgで空気を吹き込みながら、50重量%水酸化ナトリウム水溶液(対メタクリル酸1倍モル)を6時間にわたつて滴下した。滴下終了後、水(総仕込量の50重量%)で水洗し、粗メタクリル酸グリシジルAを得た。
【0023】
<調製方法2>
調製方法1で得られた粗メタクリル酸グリシジルAに対し、60℃、50mmHgで空気と水(対粗メタクリル酸グリシジルA5重量%/時間)を吹き込みながら、6時間にわたつて未反応のエピクロルヒドリンを減圧留去することにより、粗メタクリル酸グリシジルBを得た。
【0024】
<調製方法3>
調製方法1で得られた粗メタクリル酸グリシジルA(1,062g)に、60℃、50mmHgで空気と50ml/時間の水を吹き込みながら、12時間にわたつて未反応のエピクロルヒドリンを減圧留去し、その後、蒸留を行うことにより、粗メタクリル酸グリシジルCを得た。
【0025】
<調製方法4>
メタクリル酸430.5g(5モル)と水酸化ナトリウム200g(5モル)との中和反応によりメタクリル酸ナトリウムを合成し、これを脱水して得たメタクリル酸ナトリウム540.5gとエピクロルヒドリン2,775.9g(30モル)を撹拌機、温度計、還流冷却管を付したフラスコに仕込んだ。ついで、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド24.0g(対メタクリル酸ナトリウム2モル%)、フエノチアジン0.55gを加えて、90℃、200mmHgで空気を吹き込みながら5時間反応した。反応終了後、1,500gの水で水洗したのち、60℃、50mmHgで空気と50ml/時間の水を吹き込みながら、6時間にわたつて未反応のエピクロルヒドリンを減圧留去することにより、粗メタクリル酸グリシジルDを得た。
【0026】
<調製方法5>
調製方法1と同様の方法により、アクリル酸360.2g(5モル)、エピクロルヒドリン2,775.9g(30モル)、トリブチルベンジルホスホニウムクロライド65.6g(0.20モル、メタクリル酸に対して4モル%)、フエノチアジン0.55g、50重量%水酸化ナトリウム480g(6モル)を用いて、粗アクリル酸グリシジルEを得た。
【0027】
実施例1
粗メタクリル酸グリシジルA2,933gに、水酸化ナトリウム29.3g(対粗メタクリル酸グリシジルA1.0重量%)とテトラメチルアンモニウムクロライド1.5g(対粗メタクリル酸グリシジルA0.05重量%)を加えて、60℃、50mmHgで空気と50ml/時間の水を吹き込みながら、12時間にわたつて未反応のエピクロルヒドリンを減圧留去した。ついで、パラトルエンスルホン酸4.7g(対テトラメチルアンモニウムクロライド2倍モル)を加えて、60℃で20分間攪拌後、水150gで水洗し、減圧下で脱水したのち、ろ過した。最後に、蒸留を行い、精製メタクリル酸グリシジルを得た。
【0028】
実施例2
粗メタクリル酸グリシジルB766gに、水酸化ナトリウム38.3g(対粗メタクリル酸グリシジルB5重量%)とテトラメチルアンモニウムクロライド3.8g(対粗メタクリル酸グリシジルB0.5重量%)を加えて、60℃、50mmHgで空気と50ml/時間の水を吹き込みながら、6時間にわたつて未反応のエピクロルヒドリンを減圧留去した。ついで、パラトルエンスルホン酸7.6g(対テトラメチルアンモニウムクロライド2倍モル)を加えて、40℃で30分間撹拌後、減圧下で脱水したのち、ろ過した。最後に、蒸留を行い、精製メタクリル酸グリシジルを得た。
【0029】
実施例3〜7
粗メタクリル酸グリシジルBに対し、後記の表1に記載のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合物、第4級オニウム塩ならびにスルホン酸またはスルホン酸塩を用いて、実施例2と同様の方法で精製処理して、精製メタクリル酸グリシジルを得た。なお、表1には、本実施例3〜7のほかに、前記の実施例1,2、後記の実施例8〜10および比較例1〜5で用いた上記化合物についても、その種類および量を併記した。
【0030】
表1中の各符号は、下記のとおりである。
50%NaOH:50重量%水酸化ナトリウム水溶液
TMAC:テトラメチルアンモニウムクロライド
TEBzAC:トリエチルベンジルアンモニウムクロライド
TBuBzPC:トリブチルベンジルホスホニウムクロライド
PTS:パラトルエンスルホン酸
PTSNa:パラトルエンスルホン酸ナトリウム
【0031】
実施例8
粗メタクリル酸グリシジルC530.3gに、表1に記載の水酸化ナトリウムとトリエチルベンゼンアンモニウムクロライドを加えて、60℃、50mmHgで空気と50ml/時間の水を吹き込みながら、3時間にわたつて未反応のエピクロルヒドリンを減圧留去した。ついで、パラトルエンスルホン酸ナトリウムを加えて、20℃で60分間撹拌後、水220gで水洗し、減圧下で脱水したのち、ろ過した。最後に、蒸留を行い、精製メタクリル酸グリシジルを得た。
【0032】
実施例9
粗メタクリル酸グリシジルD748gに、表1に記載の水酸化ナトリウムとテトラメチルアンモニウムクロライドを加えて、実施例2と同様の方法によりエピクロルヒドリンを減圧留去した。ついで、パラトルエンスルホン酸を加え、70℃で20分間撹拌後、減圧下で脱水したのち、ろ過した。最後に、蒸留を行い、精製メタクリル酸グリシジルを得た。
【0033】
実施例10
粗アクリル酸グリシジルE2,864gに、表1に記載の50重量%水酸化ナトリウム水溶液とテトラメチルアンモニウムクロライドを加えて、実施例1と同様の方法によりエピクロルヒドリンを減圧留去した。ついで、パラトルエンスルホン酸ナトリウムを加えて、40℃で60分間撹拌後、減圧下で脱水したのち、ろ過した。最後に、蒸留を行い、精製メタクリル酸グリシジルを得た。
【0034】
比較例1
粗メタクリル酸グリシジルB766gに、60℃で、50mmHgで空気と50ml/時間の水を吹き込みながら、6時間にわたつて未反応のエピクロルヒドリンを減圧留去した。ついで、減圧下で脱水したのち、ろ過した。最後に、蒸留を行い、精製メタクリル酸グリシジルを得た。
【0035】
比較例2
粗メタクリル酸グリシジルB766gに、表1に記載の水酸化ナトリウムを加えて、60℃、50mmHgで空気と50ml/時間の水を吹き込みながら、6時間にわたつて未反応のエピクロルヒドリンを減圧留去した。減圧下で脱水したのち、ろ過した。最後に、蒸留を行い、精製メタクリル酸グリシジルを得た。
【0036】
比較例3
粗メタクリル酸グリシジルB766gに、表1に記載のトリブチルベンジルホスホニウムクロライドを加えて、60℃、50mmHgで空気と50ml/時間の水を吹き込みながら、6時間にわたり未反応のエピクロルヒドリンを減圧留去した。ついで、減圧下で脱水したのち、ろ過した。最後に、蒸留を行うことにより、精製メタクリル酸グリシジルを得た。
【0037】
比較例4
粗メタクリル酸グリシジルB766gに、60℃、50mmHgで空気と50ml/時間の水を吹き込みながら、表1に記載のパラトルエンスルホン酸を加えて、6時間にわたり未反応のエピクロルヒドリンを減圧留去した。最後に、蒸留を行い、精製メタクリル酸グリシジルを得た。
【0038】
比較例5
粗メタクリル酸グリシジルB766gに、表1に記載の水酸化ナトリウムとトリブチルベンジルホスホニウムクロライドを加えて、60℃、50mmHgで空気と50ml/時間の水を吹き込みながら、6時間にわたつて未反応のエピクロルヒドリンを減圧留去した。ついで、減圧下で脱水したのち、ろ過した。最後に、蒸留を行い、精製メタクリル酸グリシジルを得た。
【0039】
以上の実施例1〜10および比較例1〜5で得た精製(メタ)アクリル酸グリシジルについて、その収率と、蒸留時の初留カツト分およびピツチ(蒸留残渣)の収率を、後記の表2に示した。また、精製(メタ)アクリル酸グリシジルの純度、エピクロルヒドリンの濃度および塩素濃度を調べ、表2に示した。純度とエピクロルヒドリンの濃度は下記のガスクロマトグラフイ―分析で測定し、塩素濃度はアルカリ水溶液で処理したのち硝酸銀で滴定する方法で測定した。表2中、エピクロルヒドリンの濃度の欄における「ND」は、上記分析で検知できなかつた(0.002重量%以下であつた)ことを示している。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
上記の表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜10の精製方法では、蒸留時の初留カツト分が約6重量%以下、ピツチ(蒸留残渣)が約17重量%以下で、約77重量%以上の高い収率が得られており、しかも、この製品(メタ)アクリル酸グリシジルにはエピクロルヒドリンがほとんど含まれておらず、塩素濃度は約350ppm以下の低い値を示しており、99重量%以上の高純度の(メタ)アクリル酸グリシジルが得られていることがわかる。これに対して、比較例1〜5の精製方法では、収率および純度ともに、本発明の実施例1〜10の方法に比べて、大分劣つていることが明らかである。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明の精製方法によれば、エピクロルヒドリンを反応原料として得られた粗(メタ)アクリル酸グリシジルから、エピクロルヒドリンおよび反応で副生した塩素化合物をほとんど含まない、したがつて、塩素濃度が低い、高純度の(メタ)アクリル酸グリシジルを高収率で得ることができる。
Claims (1)
- (メタ)アクリル酸またはそのアルカリ金属塩とエピクロルヒドリンを第4級オニウム塩の存在下で反応させて得られた粗(メタ)アクリル酸グリシジルに、粗(メタ)アクリル酸グリシジルに対し0.1〜20重量%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合物と粗(メタ)アクリル酸グリシジルに対し0.01〜5重量%の第4級オニウム塩を加えて、エピクロルヒドリンを留去し、ついで第4級オニウム塩に対し0.5〜10倍モルのスルホン酸またはスルホン酸塩を加えて、ろ過または水洗し、さらに蒸留を行うことを特徴とする(メタ)アクリル酸グリシジルの精製方法。
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