JP3867234B2 - 難溶性縮合リン酸メラミン及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、難溶性縮合リン酸メラミンに関し、特に、合成樹脂類の難燃剤用途に有用な難溶性縮合リン酸メラミンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、リン酸メラミン系化合物は、防炎性塗料や合板の難燃化添加剤として、オルトリン酸メラミンから発展し、用途拡大と共に水に難溶性のものへと改善されてきた。
【0003】
ここで、従来から知られているリン酸メラミン系化合物の製造法およびその性質について、説明する。
【0004】
(1) 特公昭42-12428号公報には、80℃以上の温度で、メラミンに対しモル比で大過剰のリン酸を含有する分散液よりオルトリン酸メラミンを析出させることが記載されている。
この製造法によって得られたオルトリン酸メラミンは、例えばリン酸含量44.1%であり、溶解度が0.68g/水100g(30℃)である。
【0005】
(2) 米国特許第4,080,501号明細書には、オルトリン酸とメラミンとを、少なくとも“1.5:1”のモル比で反応させて得られるリン酸メラミンについて記載されており、「溶解度0.36g/100ml溶液(26℃)」のものが例示されている。
【0006】
(3) 特公昭40-28594号公報には、ピロリン酸メラミンを得る方法として、オルトリン酸メラミンを250〜270℃に加熱する方法が知られているが、この方法では、メタリン酸が副生し、場合によっては一部熔融状態を呈するので、この改良法として、リン酸含量27〜54%のオルトリン酸メラミンを温度180〜250℃に加熱焼成して、一部をピロリン酸メラミンに変化させる方法が開示されている。
代表的な例として、リン酸含量44%のオルトリン酸メラミンから得られる焼成リン酸メラミンが記載されており、その溶解度は「0.13g/水100g(30℃)」であるとされている。
【0007】
(4) 縮合リン酸メラミンの先行技術として、特開昭61-126091号公報には、縮合リン酸と固相のメラミンを、水性媒体の実質的不存在下で、自然発生温度〜170℃の温度条件下で固相反応させて得る方法が記載されている。
【0008】
一方、リン酸メラミンの熱分析に関する研究報告によれば、200〜265℃、あるいは、250〜300℃でリン酸メラミンが脱水してピロリン酸メラミンになり、次いで、300℃以上、 あるいは、300〜330℃でポリリン酸メラミンになることが明らかにされている。(「Z.anorg.allg.Chem.」457,P20〜30(1979)及び「ACS Symp.Ser.」(1990) 425 P.211〜238参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来例(1)の特公昭42-12428号公報に記載のもの及び前記従来例(2)の米国特許第4,080,501号明細書に記載のものは、水媒体中でのメラミンとリン酸の反応によって得られるオルトリン酸メラミンであり、水に対する溶解度が高いものである。
【0010】
また、前記従来例(3)の特公昭40-28594号公報に記載のものは、オルトリン酸メラミンを300℃未満で焼成して一部ピロリン酸メラミンとするものであるが、なお水に対する溶解性は高く、難溶度を改善するには至っていない。
【0011】
一方、前記従来例(4)の特開昭61-126091号公報に記載の縮合リン酸メラミンは、難燃剤用途に有用であることが該公報に記載されているが、縮合リン酸として“H3PO4含量:105%及び116%”のものが用いられ、吸湿性の強い反応系となっており、生成物のリン含量が高く、水溶性も高い。そして、該公報に記載の実施例によれば、水に対する溶解度の最も低いものでも「0.71g/水100g(30℃)」で、そのリン含有率が16.3%である。
【0012】
また、前記リン酸メラミンの熱分解に関する研究報告では、温度と生成物質組成や生成物の水に対する溶解性等の物性については明らかにされていない。
【0013】
従来のリン酸メラミン系化合物を合成樹脂難燃剤として使用する場合、吸湿によるマトリックス樹脂との親和性の低下,ブリード発生,電気絶縁性などの物性の低下が生じることがある。このため、従来のリン酸メラミン系化合物を添加して得られた難燃性組成物の用途が限定されているのが現状である。
【0014】
また、近年、難燃樹脂組成物のノンハロゲン化および低発煙化指向が高まる中で、チャー生成促進効果を有するリン酸メラミン系難燃剤は、地球環境的にも有意義な素材として、最近特に注目されている。
こうした中で、水に対する溶解度の小さい縮合リン酸メラミンの開発が要望されている。
【0015】
本発明は、上記要望に沿うものであって、その目的とするところは、難溶性縮合リン酸メラミンを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、水に対する溶解度の小さい縮合リン酸メラミンを開発すべく研究を行った結果、
・メラミンおよびリン酸を含む組成物を、固相で、加熱し、300〜350℃まで昇温し焼成脱水すると、二量縮合体であるピロリン酸メラミンを経て、更に脱水した縮合リン酸メラミンが得られ、
・生成物のリン含量が特定の範囲にある時に水に対する溶解度は低くなり、その範囲外では急激に高くなること、
・このリン含量は、出発原料のメラミン/リン酸のモル比および焼成温度の調整によって達成できること、
・そして、生成物である縮合リン酸メラミンは、特徴のあるX線回折パターンを示すこと、
という事実を見いだした。
【0017】
本発明は、上記事実に基づき完成したものであって、
「(A)メラミンと第一リン酸アンモニウム及び/又はリン酸メラミン,(B)第一リン酸アンモニウムとリン酸メラミン,(C)リン酸メラミン,からなる群から選ば れた1種からなり、かつメラミン/リン酸のモル比が1.05〜1.50である原料組成物を、固相反応により、300〜350℃で焼成して得られ、下記に示すX線回折パターンを有し、リン含量が 13.0 〜 14.7 重量%であって、水に対する溶解度が室温の水 100 ミリリットル中に 0.05 g以下であることを特徴とする難溶性縮合リン酸メラミン。
(上記“強度”中の符号「W,M,S,VS」は、それぞれ「弱い,中位,強い,非常に強い」を表す。)」(請求項1)
を要旨とする。
【0018】
また、本発明に係る難溶性縮合リン酸メラミンの製造方法は、
「(A)メラミンと第一リン酸アンモニウム及び/又はリン酸メラミン、(B)第一リン酸アンモニウムとリン酸メラミン、(C)リン酸メラミン、から選ばれた1種からなり、かつメラミン/リン酸のモル比が 1.05 〜 1.50 である原料組成物を、固相で、 300 〜 350 ℃で焼成することを特徴とする、下記 に示すX線回折パターンを有し、リン含量が 13.0 〜 14.7 重量%である縮合リン酸メラミンの製造方法。
( 上記“強度”中の符号「W,M,S,VS」は、それぞれ「弱い,中位,強い,非常に強い」を表す。 ) 」 ( 請求項2 )
を要旨とし、
加えて、
・原料組成物をガス排出口を有する密閉外熱反応装置内で攪拌・混合して反応させる ( 請求項3 )、
・反応装置内の酸素濃度が5%以下となるように窒素ガスを導入しながら、焼成する ( 請求項4 )、
・原料組成物が実質的に 300 〜 350 ℃に達した後1〜2時間焼成する ( 請求項5 ) 、 ことも製造方法の特徴に含まれる。
【0019】
本発明に係る難溶性縮合リン酸メラミンは、前記したX線回折パターンを有するものであるが、一方、ピロリン酸メラミンのX線回折パターンは、次の通りである。
【0020】
本発明の縮合リン酸メラミンのX線回折パターンは、上記ピロリン酸メラミンのX線回折パターンと明らかに異なり、リン酸メラミンの高縮合化構造に特徴的なものと考えられる。しかし、このX線パターンが本発明の縮合リン酸メラミンの唯一の特徴点ではなく、後記するとおり、縮合リン酸メラミンのリン含量を特定の範囲に規定する点も特徴とする。
【0021】
前記縮合リン酸メラミンのX線回折パターンは、比較的縮合度の高い生成物に共通の特徴であって、生成物のリン含量や水に対する溶解度が本発明の範囲外のものにも類似のX線回折パターンを示すものがある。
本発明では、前記したX線回折パターンを有し、かつ出発原料のメラミン/リン酸のモル比,生成物(縮合リン酸メラミン)のリン含量を特定の範囲にあることを要旨とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の縮合リン酸メラミンにおいて、その出発原料としては、メラミン,第一リン酸アンモニウムおよびリン酸メラミンから選ばれる。
例えば、メラミンと第一リン酸アンモニウムの混合物,メラミンとリン酸メラミンの混合物,リン酸メラミンと第一リン酸アンモニウムの混合物,メラミンと第一リン酸アンモニウムとリン酸メラミンの混合物,リン酸メラミン単独など、メラミンとリン酸のモル比が1.05〜1.50の範囲にあるならば、どのように組み合わせてもよい。
【0023】
本発明において、出発原料として用いる「リン酸メラミン」とは、オルトリン酸とメラミンの反応で得られる塩類の総称であって、従来技術の製造方法で得られるオルトリン酸メラミンを使用することができる。
特に「C3H6N6・H3PO4」「6(C3H6N6)・5(H3PO4)・4(H2O)」あるいは「4(C3H6N6・3(H3PO4)・3(H2O)」は、メラミン分散水溶液にリン酸を加えることにより容易に得られるので、本発明の出発原料として好ましい。
【0024】
また、本発明の縮合リン酸メラミンにおいて、その生成過程で、反応中間体としてピロリン酸メラミンを経由することがわかっており、したがって、ピロリン酸メラミンもまた本発明におけるリン酸メラミンの1つであり、ピロリン酸メラミンを出発原料とするものも本発明の範囲に含む。
【0025】
出発原料のメラミン/リン酸のモル比が1.0付近で、縮合反応が最も速く進行するのが観察されており、安定な生成物が得られることが推測できるが、加熱焼成においては、脱水縮合のみならずメラミンの揮散も生起するので、リン酸に対しメラミンを過剰に用いることが必須要件である。
【0026】
出発原料のメラミン/リン酸のモル比を1.05未満にした場合、生成物のリン含量は14.7重量%を超え、水に対する溶解度も0.05g/100mlを超える。
この場合、水に対する溶解度が高くなるのは、メラミンの量が十分でなく、メラミンの揮散によって、メラミンと結合しない遊離のリン酸やメタリン酸ガラスが部分的に生成するためと考えられる。
【0027】
モル比が1.50を超えると生成物のリン含量は13.0重量%未満となり、水に対する溶解度も0.05g/100mlを超える。これは、過剰のメラミンが脱水縮合反応を阻害して生成物が低縮合物となるためと考えられる。
本発明の縮合リン酸メラミンでは、生成物(縮合リン酸メラミン)のリン含量が13.0〜14.7重量%の範囲で、水に対する溶解度が0.05g/100ml以下となり、樹脂用難燃剤として好ましいものが得られる。
【0028】
原料組成物のモル比の上限は、反応条件により多少変わりうるものであり、必要以上にメラミンを使用することは、経済的に得策でなく、特に、水に対する溶解度が0.05g/100ml以下の生成物を得るには、原料モル比は「1.50」を超えないことが望ましい。
【0029】
本発明の縮合リン酸メラミンを製造する際には、焼成温度も重要な要件の1つである。すなわち、焼成温度が300℃未満では、縮合反応は不完全であり、生成物中に原料のリン酸メラミンが残留したり、縮合反応もピロリン酸メラミンの生成に止まるため、生成物の水に対する溶解度は増大する。
また、焼成温度が350℃を超えると、メラミンの揮散が増大しメラミンと結合しないリン酸残基が生成し、水に対する溶解度増大の原因となる。
【0030】
したがって、本発明の縮合リン酸メラミンを製造する条件として、焼成温度は300〜350℃とするものである。
予備実験によれば、電気炉内で所定の原料組成物をるつぼで焼成したところ、焼成物(生成物)の重量は、焼成時間1時間と焼成時間2時間とでは差違が小さかった。その理由は、縮合反応は、焼成時間1時間で完結しているためと思われる。焼成時間が長すぎると、メラミンの揮散も生起するので、生成物の水に対する溶解度の増大につながり、好ましくない。
【0031】
本発明の縮合リン酸メラミンは、固相反応により生成し、そのため、反応時の原料の均一性が生成物の水溶性に影響を与える。すなわち、反応組成物を均一に保つことが重要である。
反応には、攪拌・混合が可能で、ガス排出口を有する密閉外熱式反応装置を用いると好都合であり、ニーダー,リボンミキサー等が利用できる。
このような混合機は、縮合反応により生成した水成分の離脱にも役立ち、縮合反応を促進する。また、このような装置では、攪拌混合しながら反応させるため、生成物は、塊状ではなく、粗粒体あるいは粉体として得られる。これを粉砕して所望の粒度にすれば、難燃剤用に適した形態となる。
【0032】
本発明において、第一リン酸アンモニウムを含まず、メラミン及びリン酸メラミン系化合物を出発原料とした場合、生成物が褐色に着色する場合がある。これは、メラミンの一部が酸素と反応して褐色固体を生成するためと考えられる。
この着色反応は、焼成の際に窒素等の不活性ガスを導入して酸素を除去することにより防止できる。
【0033】
第一リン酸アンモニウムを出発原料とする場合は、着色が少ない。この理由は、反応中にアンモニアが発生し、メラミンと酸素の反応を阻止するためと考えられる。
しかし、第一リン酸アンモニウムの仕込量が少ない場合も生成物に着色が見られるので、やはり窒素を導入することが好ましい。窒素の導入量は、酸素を排除又は進入抑制するのに充分な量であればよく、好ましくは、反応装置内に存在する酸素濃度が5%以下となるように導入する。
【0034】
【実施例】
次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は、いかなる意味においても本発明を制限するものではない。
【0035】
以下の実施例,比較例で使用する出発原料のうち、第一リン酸アンモニウム及びメラミンは、和光純薬工業社製を用いた。また、出発原料のリン酸メラミンは、次のようにして製造したリン酸メラミンA,B,Cを用いた。
【0036】
(リン酸メラミンAーリン酸メラミン製造例A)
水5リットルにメラミン126gを添加し、攪拌しながら沸騰するまで加熱した。これに85%リン酸115gを添加し、攪拌を続けながら1時間沸騰させた後、反応液を冷却すると結晶が析出した。
上記析出物を濾過し、得た固体を沸騰水5リットルに溶解し、再び冷却して析出した結晶を濾過分離し、70℃で乾燥し、生成物180gを得た。X線回折測定によれば、この結晶は「4(C3H6N6)・3(H3PO4)・3(H2O)」であった。
【0037】
(リン酸メラミンBーリン酸メラミン製造例B)
水2リットルにメラミン126gを添加し、攪拌しながら沸騰するまで加熱した。これに85%リン酸115gを添加し、攪拌を続けながら1時間80〜100℃に保った後、反応液を冷却すると結晶が析出した。
上記析出物を濾過し、得た固体を沸騰水2リットルに分散させ、攪拌しながら80℃で1時間保った後、再び冷却して析出した結晶を濾過分離し、70℃で乾燥し、生成物190gを得た。X線回折測定によれば、この結晶は「6(C3H6N6)・5(H3PO4)・4(H2O)」であった。
【0038】
(リン酸メラミンCーリン酸メラミン製造例C)
水0.8リットルにメラミン126gを添加し、攪拌しながら70℃まで加熱した。これに85%リン酸148gを添加し、攪拌を続けながら1時間70℃に保った後、反応液を放冷すると結晶が析出した。
上記析出物を濾過し、得た固体を70℃で乾燥し、生成物220gを得た。X線回折測定によれば、この結晶は「C3H6N6・H3PO4」であった。
【0039】
(実施例1)
リン酸アンモニウム115gとメラミン139gとをニーダー[株式会社パウレック製の“FM−NW−l型(容量;1リットル)”]に入れ、窒素を0.03リットル/分の速度で送入しつつ加熱した。300℃までの昇温に2時間を要し、300〜330℃で1時間保持した。
その後、加熱を中止し、ニーダーの回転と窒素の送入を続けながら5時間放冷した。この間、ニーダーからのオフガスを水に接触させ、アンモニアを捕集した。
【0040】
放冷した後、ニーダーの上蓋を取り外し、容器部を回転転倒させて生成物を取り出し、193gの生成物を得た。焼成生成物を粉砕機[ホソカワミクロン社製“バンタムミルAP−B”]で粉砕し、縮合リン酸メラミンを得た。この縮合リン酸メラミンは、リン含量が14.7重量%であり、水に対する溶解度が0.02g/100mlであった。
【0041】
本実施例1における上記した出発原料,出発原料のメラミン/リン酸モル比,焼成条件,生成物の収量,得られた縮合リン酸メラミン(生成物)のリン含量および水に対する溶解度,を表1に示した。
【0042】
(実施例2〜5,比較例1〜2)
反応条件をそれぞれ表1に示す条件に変え、その他は前記実施例1と同様の操作をして、縮合リン酸メラミンを得た。出発原料,出発原料のメラミン/リン酸モル比,焼成条件,生成物の収量,得られた縮合リン酸メラミンのリン含量および水に対する溶解度,を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
なお、生成物のリン含量の測定法および水に対する溶解度の測定法は、以下の通りである。
(a) リン含量の測定法
試料を精秤し、濃硝酸と過塩素酸の混液で分解した後、リンバナドモリブデン酸吸光光度法により測定した(日本化学会編「実験化学講座15」、丸善、(1958)、P.371-372参照)。
(b) 水に対する溶解度の測定法
試料1.0gを100mlの純水中に分散させ、室温(25℃)で1時間撹拌した後、孔径0.45μmのメンブランフィルターで濾過し、その濾液50ml以上を秤量瓶に受け、105℃の恒温槽で蒸発させ、残渣固形物を精秤して100ml当りに換算した。
【0045】
前記表1から明らかなように、本発明で規定する「出発原料のメラミン/リン酸のモル比“1.05〜1.50”」に設定して得た実施例1〜5では、同じく本発明で規定する「縮合リン酸メラミンのリン含量“13.0〜14.7重量%”」の範囲内にあり、そして、水に対する溶解度は、いずれも、0.05g/100ml以下であって、小さい値を有するものである。
【0046】
これに対して、本発明で規定する前記モル比の範囲外に設定して得た比較例1,2では、同じく本発明で規定する前記リン含量の範囲外の「15.0重量%,12.5重量%」であり、そして、水に対する溶解度は、「0.07g/100ml,0.10g/100ml」であって、大きい値を有するものであった。
【0047】
前記実施例1〜5,比較例1〜2のうち、実施例1,4および比較例1で得られた縮合リン酸メラミンについて、X線回折装置[株式会社リガク製“RINT 2200”(カウンタ:シンチレーションカウンタ)]で、Cu Kα1のX線(40kV,20mA)を用い測定した 。そのX線回折データを表2に示す。(なお、表2に、本発明で規定するX線回折パターンおよびピロリン酸メラミンのX線回折パターンを付記した。)
【0048】
【表2】
【0049】
表2から、実施例1,4で得られた縮合リン酸メラミンのX線回折パターンは、比較例1のそれとは格別差が認められないが、ピロリン酸メラミンのそれとは異なる。したがって、実施例1,4で得られた縮合リン酸メラミンは、ピロリン酸メラミンではなく、より縮合度の高いポリリン酸塩構造のものと考えられる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、以上詳記したように、特定のX線回折パターンを有する縮合リン酸メラミンであって、リン含量が13.0〜14.7重量%であって、水に対する溶解度が室温の水 100 ミリリットル中に 0.05 g以下であることを特徴とし、これにより、合成樹脂難燃剤に好適な縮合リン酸メラミンを提供するものである。
Claims (5)
- 原料組成物をガス排出口を有する密閉外熱反応装置内で 攪拌・混合して反応させることを特徴とする請求項2に記載の縮合 リン酸メラミンの製造方法。
- 反応装置内の酸素濃度が5%以下となるように窒素ガス を導入しながら、焼成することを特徴とする請求項2叉は3に記載 の縮合リン酸メラミンの製造方法。
- 原料組成物が実質的に 300 〜 350 ℃に達した後1〜2時間 焼成することを特徴とする請求項2,3叉は4に記載の縮合リン酸 メラミンの製造方法。
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