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JP3857240B2 - 無段変速機の故障判定装置 - Google Patents

無段変速機の故障判定装置 Download PDF

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JP3857240B2
JP3857240B2 JP2003021221A JP2003021221A JP3857240B2 JP 3857240 B2 JP3857240 B2 JP 3857240B2 JP 2003021221 A JP2003021221 A JP 2003021221A JP 2003021221 A JP2003021221 A JP 2003021221A JP 3857240 B2 JP3857240 B2 JP 3857240B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルトがプーリ幅可変式の2つのプーリ間に掛け渡され、制御弁からの油圧の供給に伴う両プーリのプーリ幅の変更により、変速動作が実行されるベルト式の無段変速機の故障判定装置に関し、特に制御弁の故障判定に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の故障判定装置として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。この無段変速機は、車両に搭載されたものであり、エンジンからのトルクが入力されるプーリ幅可変式の駆動側プーリと、この駆動側プーリにベルトを介して連結されたプーリ幅可変式の従動側プーリと、駆動側プーリおよび従動側プーリへの供給油圧を制御するための3つの電磁弁を有する油圧回路と、3つの駆動電気回路を介して3つの電磁弁に接続されたコントローラなどを備えている。この無段変速機では、コントローラからの指令信号が各駆動電気回路を介して各電磁弁に入力されることで、各電磁弁が制御される。それにより、油圧回路からの油圧が駆動側プーリおよび従動側プーリに供給され、両プーリのプーリ幅が変更されることで、変速動作が実行される。
【0003】
また、故障判定装置は、駆動側プーリおよび従動側プーリの回転数を検出する2つの回転数センサを備えている。この故障判定装置では、車両の走行中、駆動電気回路の入出力を比較することで、駆動側プーリに油圧を供給する2つの電磁弁のソレノイドの断線および短絡の有無が判定される(第13図のステップSR13)。さらに、走行中、2つの回転数センサの検出信号に基づいて無段変速機の実際の変速比が算出され、この算出された実際の変速比と目標変速比との偏差に基づいて、無段変速機の変速動作の故障判定が実行される(第13図のステップSR16〜19)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−157553号公報(第2〜12頁、第13図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の故障判定装置によれば、無段変速機の変速動作の故障判定とは別個に、電磁弁のソレノイドの断線および短絡の有無が判定されるので、ソレノイドの故障の有無と、無段変速機の油圧回路における故障の有無とを区別できる。しかしながら、電磁弁は、ソレノイドと、弁体などの油圧回路部品とを組み合わせたものであるので、ソレノイドだけでなく、電磁弁の油圧回路部品が故障する場合があり、例えば、オイル内のゴミなどに起因して、弁体が開弁または閉弁状態のまま固着してしまう場合がある。また、上記無段変速機の油圧回路では、3つの電磁弁以外の箇所において、オイル内のゴミなどや、若干のオイル漏れなどに起因して、両プーリに供給される油圧が不足する故障も発生することがある。これに対して、上記故障判定装置によれば、電磁弁のソレノイドの故障判定しか実行していないので、電磁弁の油圧回路部品の故障と、電磁弁以外の油圧回路の故障とを区別できない。その結果、電磁弁の油圧回路部品のみが故障している場合でも、それを特定できず、油圧回路全体の故障としてしか判定できないので、故障箇所を特定するために、油圧回路全体の点検作業を行わなければならず、メンテナンス性が悪いという問題がある。特に、故障箇所の特定が不可能な場合には、油圧回路全体の交換が必要になってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ベルト式の無段変速機の故障判定を実行する場合において、変速動作を実行するための制御弁の故障を特定でき、メンテナンス性を向上させることができる無段変速機の故障判定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両3の動力源(例えば実施形態における(以下、この項において同じ)エンジン4)からのトルク(エンジントルクTQEG)が入力され、プーリ幅が油圧の供給により減少側に変更される駆動側プーリ22と、駆動側プーリ22にベルト24を介して連結され、プーリ幅が油圧の供給により減少側に変更される従動側プーリ23と、変速動作を実行するために、油圧系(油圧回路28)から駆動側プーリ22および従動側プーリ23に供給される油圧をそれぞれ制御する駆動側制御弁(DR電磁弁26b)および従動側制御弁(DN電磁弁27b)と、を備えた無段変速機20において、駆動側制御弁および従動側制御弁の故障を判定する無段変速機20の故障判定装置1であって、駆動側プーリ22と従動側プーリ23との間の変速比RATIOを検出する変速比検出手段(ECU2、駆動側プーリ回転数センサ44、従動側プーリ回転数センサ45)と、車両3の車速VPを検出する車速検出手段(ECU2、アイドラ軸回転数センサ46)と、車両3の停止時および停止直前の一方と停止後の発進後とに検出された変速比RATIOと、検出された車速VPとに応じて、駆動側制御弁および従動側制御弁の少なくとも一方の故障を判定する故障判定手段(ECU2、ステップ4)と、を備え、車両3の停止時および停止直前の一方における変速比RATIOが所定の低速側範囲(固着判定用のLOW側範囲:RTDRDNBL≦RATIO≦RTDRDNBH)の値に設定され、故障判定手段は、車両3の停止時および停止直前の一方の変速比RATIOが所定の低速側範囲にあり、かつ車両の停止後の発進後に車速VPが所定車速(LOW側判定値VDRDNBJD)以上に上昇した場合(ステップ81〜83の判別結果がYESの場合)において、変速比RATIOが所定の低速側範囲よりも小さい値まで減少していないとき(ステップ85の判別結果がYESのとき)には、駆動側制御弁が駆動側プーリ22への油圧供給停止状態で固着する故障、および従動側制御弁が従動側プーリ23への油圧供給状態で固着する故障の少なくとも一方が発生していると判定する(ステップ92)ことを特徴とする。
【0008】
この無段変速機の故障判定装置によれば、駆動側制御弁および従動側制御弁の少なくとも一方の故障判定が、車両の停止時および停止後の発進後に検出された変速比と、検出された車速とに応じて実行されるので、駆動側制御弁および従動側制御弁の故障を、油圧系からの供給油圧が不足する故障と区別しながら、的確に判定することができる。例えば、高車速であるにもかかわらず、変速比が低速側の値を示している場合には、油圧系からの供給油圧の不足・充足にかかわらず、駆動側制御弁の故障により、駆動側プーリに油圧が供給されず、駆動側プーリの幅が低速側変速比用の広い幅に制御されているか、および/または、従動側制御弁の故障により、従動側プーリに油圧が過剰に供給され、従動側プーリの幅が低速側変速比用の狭い幅に制御されていると判定することができる。これとは逆に、低車速であるにもかかわらず、変速比が高速側変速比の値を示している場合には、油圧系からの供給油圧の不足・充足にかかわらず、駆動側制御弁の故障により、駆動側プーリに油圧が過剰に供給され、駆動側プーリの幅が高速側変速比用の狭い幅に制御されているか、および/または、従動側制御弁の故障により、従動側プーリに油圧が供給されず、従動側プーリの幅が高速側変速比用の広い幅に制御されていると判定することができる。以上のように、駆動側制御弁および従動側制御弁の少なくとも一方の故障を特定することができる。
【0009】
また、車両の停止時および停止直前の一方における変速比が所定の低速側範囲の値に設定されるので、車両の停止時および停止直前の一方で検出された変速比が所定の低速側範囲にある場合には、駆動側プーリが低速側変速比用の広い幅に制御され、かつ従動側プーリが低速側変速比用の狭い幅に制御されており、2つの制御弁が正常に作動していると推定される。しかし、車両の発進後に車速が所定車速以上に上昇した場合において、変速比が所定の低速側範囲よりも小さい値まで減少していないとき、すなわち高速側の変速比に変化していないときには、駆動側制御弁が駆動側プーリへの油圧供給停止状態で固着する故障の発生により、駆動側プーリに油圧が供給されず、駆動側プーリの幅が低速側変速比用の広い幅に制御されているか、および/または、従動側制御弁が従動側プーリへの油圧供給状態で固着する故障の発生により、従動側プーリに油圧が過剰に供給され、従動側プーリの幅が低速側変速比用の狭い幅に制御されていると判定することができる。以上のように、駆動側制御弁および従動側制御弁の少なくとも一方の故障を具体的に特定することができるので、2つの制御弁の少なくとも一方を交換するだけで無段変速機を従来よりも容易に修理することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、車両3の動力源(エンジン4)からのトルク(エンジントルクTQEG)が入力され、プーリ幅が油圧の供給により減少側に変更される駆動側プーリ22と、駆動側プーリ22にベルト24を介して連結され、プーリ幅が油圧の供給により減少側に変更される従動側プーリ23と、変速動作を実行するために、油圧系(油圧回路28)から駆動側プーリ22および従動側プーリ23に供給される油圧をそれぞれ制御する駆動側制御弁(DR電磁弁26b)および従動側制御弁(DN電磁弁27b)と、を備えた無段変速機20において、駆動側制御弁および従動側制御弁の故障を判定する無段変速機20の故障判定装置1であって、駆動側プーリ22と従動側プーリ23との間の変速比RATIOを検出する変速比検出手段(ECU2、駆動側プーリ回転数センサ44、従動側プーリ回転数センサ45)と、車両3の車速VPを検出する車速検出手段(ECU2、アイドラ軸回転数センサ46)と、車両3の停止時および停止直前の一方と停止後の発進後とに検出された変速比RATIOと、検出された車速VPとに応じて、駆動側制御弁および従動側制御弁の少なくとも一方の故障を判定する故障判定手段(ECU2、ステップ4)と、を備え、車両3の停止時および停止直前の一方における変速比が所定の低速側範囲(固着判定用のLOW側範囲:RTDRDNBL≦RATIO≦RTDRDNBH)の値に設定され、故障判定手段は、車両3の停止時の変速比RATIOが所定の低速側範囲の値よりも小さい所定の高速側範囲(停止時OD側範囲:RTINGODL≦RATIO≦RTINGODH)にあるときには、駆動側制御弁が駆動側プーリ22への油圧供給状態で固着する故障、および従動側制御弁が従動側プーリ23への油圧供給停止状態で固着する故障の少なくとも一方が故障していると判定する(ステップ23,24,55,63,67)ことを特徴とする。
【0011】
この無段変速機の故障判定装置によれば、駆動側制御弁および従動側制御弁の少なくとも一方の故障判定が、車両の停止時および停止後の発進後に検出された変速比と、検出された車速とに応じて実行されるので、駆動側制御弁および従動側制御弁の故障を、油圧系からの供給油圧が不足する故障と区別しながら、的確に判定することができる。例えば、高車速であるにもかかわらず、変速比が低速側の値を示している場合には、油圧系からの供給油圧の不足・充足にかかわらず、駆動側制御弁の故障により、駆動側プーリに油圧が供給されず、駆動側プーリの幅が低速側変速比用の広い幅に制御されているか、および/または、従動側制御弁の故障により、従動側プーリに油圧が過剰に供給され、従動側プーリの幅が低速側変速比用の狭い幅に制御されていると判定することができる。これとは逆に、低車速であるにもかかわらず、変速比が高速側変速比の値を示している場合には、油圧系からの供給油圧の不足・充足にかかわらず、駆動側制御弁の故障により、駆動側プーリに油圧が過剰に供給され、駆動側プーリの幅が高速側変速比用の狭い幅に制御されているか、および/または、従動側制御弁の故障により、従動側プーリに油圧が供給されず、従動側プーリの幅が高速側変速比用の広い幅に制御されていると判定することができる。以上のように、駆動側制御弁および従動側制御弁の少なくとも一方の故障を特定することができる。
【0012】
また、車両の停止時および停止直前の一方における変速比が所定の低速側範囲の値に設定されるので、車両の停止時および停止直前の一方で検出された変速比が所定の低速側範囲の値よりも小さい所定の高速側範囲にある場合には、駆動側制御弁が駆動側プーリへの油圧供給状態で固着する故障の発生により、駆動側プーリに油圧が過剰に供給され、駆動側プーリが高速側変速比用の狭い幅に制御されているか、および/または、従動側制御弁が従動側プーリへの油圧供給停止状態で固着する故障の発生により、従動側プーリに油圧が供給されず、従動側プーリの幅が高速側変速比用の広い幅に制御されていると判定することができる。以上のように、駆動側制御弁および従動側制御弁の少なくとも一方の故障を具体的に特定することができるので、2つの制御弁の少なくとも一方を交換するだけで無段変速機を従来よりも容易に修理することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0013】
請求項に係る発明は、請求項に記載の無段変速機20の故障判定装置1において、車両3の発進動作を検出する発進動作検出手段(ECU2、スロットル弁開度センサ41)をさらに備え、故障判定手段は、車両3の停止時および停止直前の一方の変速比が所定の低速側範囲の値よりも小さい所定の高速側範囲にあり、かつ発進動作が検出されている場合(ステップ51の判別結果がYESの場合)において、変速比RATIOが所定の高速側範囲の値よりも大きい所定の低速側変速比(DN用判定値RTDNJD)以上に増大し、かつ車速VPが第2所定車速(OD側判定値VDRDNJD)未満にあるとき(ステップ52,53の判別結果がYESのとき)には、従動側制御弁が従動側プーリ23への油圧供給停止状態で固着する故障が発生していると判定する(ステップ55)ことを特徴とする。
【0014】
この無段変速機の故障判定装置によれば、車両の停止時および停止直前の一方の変速比が所定の低速側範囲の値よりも小さい所定の高速側範囲にある場合には、従動側制御弁および/または駆動側制御弁が、前述したような故障状態にあると判定できる。さらに、発進動作が検出されている場合において、車速が第2所定車速未満であるにもかかわらず、変速比が所定の高速側範囲よりも大きい所定の低速側変速比以上に増大する状態は、駆動側制御弁の故障により駆動側プーリが高速側変速比用の狭い幅に駆動されているときでも、従動側制御弁が正常であれば発生しない。したがって、上記の状態が発生した場合には、従動側制御弁が従動側プーリへの油圧供給停止状態で固着する故障の発生により、従動側プーリとベルトとの間に大きな滑りが生じていると判定できるので、従動側制御弁の故障を的確に特定することができる。以上のように、従動側制御弁の故障を特定することができるので、これを交換するだけで無段変速機をさらに容易に修理することができ、メンテナンス性をさらに向上させることができる。
【0015】
請求項に係る発明は、車両3の動力源(例えば実施形態における(以下、この項において同じ)エンジン4)からのトルク(エンジントルクTQEG)が入力され、プーリ幅が油圧の供給により減少側に変更される駆動側プーリ22と、駆動側プーリ22にベルト24を介して連結され、プーリ幅が油圧の供給により減少側に変更される従動側プーリ23と、変速動作を実行するために、油圧系(油圧回路28)から駆動側プーリ22および従動側プーリ23に供給される油圧をそれぞれ制御する駆動側制御弁(DR電磁弁26b)および従動側制御弁(DN電磁弁27b)と、を備えた無段変速機20において、駆動側制御弁および従動側制御弁の故障を判定する無段変速機20の故障判定装置1であって、車両3の停止時および停止直前の一方における駆動側プーリ22と従動側プーリ23との間の変速比RATIOが所定の低速側範囲(固着判定用のLOW側範囲:RTDRDNBL≦RATIO≦RTDRDNBH)の値に設定され、変速比RATIOを検出する変速比検出手段(ECU2、駆動側プーリ回転数センサ44、従動側プーリ回転数センサ45)と、駆動側プーリ22に入力されるトルク(エンジントルクTQEG)を検出するトルク検出手段(ECU2)と、車両3の停止時における変速比RATIOが所定の低速側範囲の値よりも小さい所定の高速側範囲(停止時OD側範囲:RTINGODL≦RATIO≦RTINGODH)にあり、車両3の停止後の発進後にトルク検出手段により検出されたトルク(エンジントルクTQEG)が所定トルク(OD時DR側判定トルクTQDRJD)よりも大きく、かつ車両3の停止後の発進後に変速比RATIOが所定の高速側範囲の値よりも大きい所定の低速側変速比(DN用判定値RTDNJD)まで増大していないときには、駆動側制御弁が駆動側プーリ22への油圧供給状態で固着する故障が発生していると判定する故障判定手段(ECU2、ステップ53,63)と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この無段変速機の故障判定装置によれば、車両の停止時および停止直前の一方の変速比が所定の低速側範囲の値よりも小さい所定の高速側変速範囲にある場合には、従動側制御弁および/または駆動側制御弁が、前述したような故障状態にあると判定できる。さらに、車両の停止後の発進後、トルク検出手段により検出されたトルクが所定トルクよりも大きく、かつ変速比が所定の高速側変速比よりも大きい所定の低速側変速比まで増大していない場合には、駆動側プーリへの入力トルクが大きいにもかかわらず、駆動側プーリとベルトとの間、または従動側プーリとベルトとの間に滑りがあまり生じていないと判定できる。以上の状態は、従動側制御弁の故障により従動側プーリが高速側変速比用の広い幅に駆動されているときでも、駆動側制御弁が正常であれば、変速比が低速側の値に変化するため、発生しない。したがって、上記の状態が発生した場合には、駆動側制御弁が駆動側プーリへの油圧供給状態で固着する故障の発生により、駆動側プーリが高速側変速比用の狭い幅に制御されていると判定でき、駆動側制御弁の故障を的確に特定することができる。以上のように、駆動側制御弁の故障を特定することができるので、これを交換するだけで無段変速機を容易に修理することができ、メンテナンス性を向上させることができる(なお、本明細書では、「トルクの検出」は、トルクをセンサにより直接的に検出することに限らず、トルクを算出することも含む)。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る無段変速機の故障判定装置について説明する。図1は、本実施形態に係る故障判定装置1が適用された無段変速機20を備える車両3の駆動系の概略構成を示しており、図2は、故障判定装置1および駆動系の油圧回路28の概略構成を示している。この故障判定装置1は、後述するECU2および各種のセンサ40〜47などで構成されており、このECU2により、後述するように、各種の電磁弁の故障判定が実行される。
【0018】
図1に示すように、この車両3の駆動系では、動力源としてのエンジン4は、前後進切換機構10、ベルト式の無段変速機20、発進クラッチ30および差動ギヤ機構6などを介して駆動輪7,7に連結されており、これにより、エンジン4のトルクが駆動輪7,7に伝達される。
【0019】
前後進切換機構10は、入力軸11と、この入力軸11に取り付けられた遊星歯車装置12などを備えている。入力軸11は、一端部がフライホイール5を介してエンジン4のクランクシャフト4aに連結されているとともに、中空状のメインシャフト21に回転自在に貫通している。遊星歯車装置12は、サンギヤ12aと、サンギヤ12aに噛み合う複数(例えば4つ)のピニオンギヤ12bを回転自在に支持するキャリア12dと、各ピニオンギヤ12bに噛み合うリングギヤ12cなどで構成されている。
【0020】
サンギヤ12aは、入力軸11と一体に設けられており、入力軸11のサンギヤ12aよりもエンジン4側の部分は、フォワードクラッチ13のインナプレート13aに連結されている。また、フォワードクラッチ13のアウタプレート13bは、リングギヤ12cおよびメインシャフト21に連結されている。このフォワードクラッチ13の締結・遮断は、ECU2によって制御される。また、キャリヤ12dには、リバースブレーキ14が連結されている。このリバースブレーキ14の作動もまた、ECU2によって制御される。
【0021】
以上の構成により、前後進切換機構10では、車両3の前進時には、リバースブレーキ14が解放され、フォワードクラッチ13が締結されることによって、入力軸11とメインシャフト21が直結され、入力軸11の回転がそのままメインシャフト21に伝達されるとともに、各ピニオンギヤ12bは、その軸を中心として回転せずに、キャリヤ12dが入力軸11と一体になって同方向に空回りする。以上のように、車両3の前進時には、メインシャフト21が入力軸11と同方向に同回転数で回転する。
【0022】
一方、車両3の後進時には、上記とは逆に、フォワードクラッチ13が遮断され、リバースブレーキ14がロックされることによって、キャリヤ12dが回転不能にロックされる。それにより、入力軸11の回転が、サンギヤ12aおよびピニオンギヤ12bを介してリングギヤ12cに伝達されることによって、リングギヤ12cおよびこれに連結されたメインシャフト21が、入力軸11と反対方向に回転する。このように、車両3の後進時には、メインシャフト21が入力軸11と反対方向に回転する。
【0023】
無段変速機20は、いわゆるベルトCVT方式のものであり、上記メインシャフト21、駆動側プーリ22、従動側プーリ23、ベルト24、カウンタシャフト25、駆動側プーリ幅可変機構26および従動側プーリ幅可変機構27などによって構成されている。
【0024】
駆動側プーリ22は、円錐台形状の可動部22aおよび固定部22bを有している。可動部22aは、メインシャフト21に、その軸線方向に移動可能でかつ相対的に回転不能に取り付けられており、固定部22bは、可動部22aと対向するように配置され、メインシャフト21に固定されている。また、可動部22aおよび固定部22bの互いの対向面はそれぞれ、斜面状に形成され、それにより、可動部22aよび固定部22bの間には、ベルト24を巻き掛けるためのV字状のベルト溝が形成されている。
【0025】
駆動側プーリ幅可変機構26は、駆動側プーリ22のプーリ幅を変更するものであり、可動部22a内に形成されたDR油室26aと、このDR油室26aに供給される油圧を制御するためのDR電磁弁26bと、可動部22aを固定部22b側に付勢するリターンスプリング(図示せず)などを備えている。
【0026】
図2に示すように、DR電磁弁26bは、油圧回路28(油圧系)の油圧ポンプ28aとDR油室26aとの間に設けられ、これらに油路28b,28bを介してそれぞれ接続されている。油圧ポンプ28aは、図示しないがエンジン4のクランクシャフト4aに連結されており、エンジン4の運転中、クランクシャフト4aに駆動されることで、油圧を吐出する。これにより、エンジン4の運転中、油圧ポンプ28aから吐出された油圧が、油路28bを介してDR電磁弁26bに常に供給される。
【0027】
DR電磁弁26bは、ソレノイドとスプール弁(いずれも図示せず)を組み合わせた常開タイプのもので、ECU2に電気的に接続されており、ECU2からの指令入力DRCMD(電流信号)が入力されていないときには、全開状態すなわち最大の弁開度に保持されることで、油圧ポンプ28aからの油圧を、油路28bを介してDR油室26aに供給する。また、DR電磁弁26bは、ECU2からの指令入力DRCMDの値が大きいほど、弁開度がリニアに減少するリニア電磁弁として構成されている。
【0028】
以上の構成により、駆動側プーリ幅可変機構26では、エンジン4の運転中、ECU2の指令入力DRCMDによりDR電磁弁26bが制御されることで、可動部22aが軸線方向に駆動される。それにより、駆動側プーリ22のプーリ幅は、図3(a)に示す低速側変速比用の広い幅と、図3(b)に示す高速側変速比用の狭い幅との間で無段階に変更される。また、DR電磁弁26bによるDR油室26aへの油圧供給が停止されている場合、駆動側プーリ22は、リターンスプリングの付勢力とベルト24の張力とが釣り合うようなプーリ幅に保持される。
【0029】
また、従動側プーリ23は、上記駆動側プーリ22と同様に構成され、円錐台形状の可動部23aおよび固定部23bを有している。可動部23aは、カウンタシャフト25に、その軸線方向に移動可能にかつ回転不能に取り付けられており、固定部23bは、可動部23aと対向するように配置され、カウンタシャフト25に固定されている。また、可動部23aおよび固定部23bの互いの対向面はそれぞれ、斜面状に形成され、それにより、可動部23aよび固定部23bの間には、ベルト24を巻き掛けるためのV字状のベルト溝が形成されている。ベルト24は、金属製のものであり、両プーリ22,23のベルト溝に嵌った状態で両プーリ22,23に巻き掛けられている。
【0030】
前記従動側プーリ幅可変機構27は、従動側プーリ23のプーリ幅を変更するものであり、駆動側プーリ幅可変機構26と同様に構成されている。すなわち、従動側プーリ幅可変機構27は、上記可動部23a内に形成されたDN油室27aと、このDN油室27aに供給される油圧を制御するためのDN電磁弁27bと、可動部23aを固定部23b側に付勢するリターンスプリング(図示せず)などを備えている。
【0031】
DN電磁弁27bは、油圧回路28の油圧ポンプ28aと可動部23aのDN油室27aとの間に設けられ、これらに油路28b,28bを介してそれぞれ接続されている。それにより、エンジン4の運転中、油圧ポンプ28aから吐出された油圧が、油路28bを介してDN電磁弁27bに常に供給される。このDN電磁弁27bは、DR電磁弁26bと同様に、ソレノイドとスプール弁(いずれも図示せず)を組み合わせた常開タイプのリニア電磁弁であり、ECU2からの指令入力DNCMDが入力されていないときには、全開状態に保持されることで、油圧ポンプ28aからの油圧を、油路28bを介してDN油室27aに供給する。
【0032】
以上の構成により、この従動側プーリ幅可変機構27では、エンジン4の運転中、ECU2からの指令入力DNCMDによりDN電磁弁27bが制御されることで、可動部23aが軸線方向に駆動される。それにより、従動側プーリ23のプーリ幅は、図4(a)に示す低速側変速比用の狭い幅と、図4(b)に示す高速側変速比用の広い幅との間で無段階に変更される。また、DN電磁弁27bによるDN油室27aへの油圧供給が停止されている場合、従動側プーリ23は、リターンスプリングの付勢力とベルト24の張力とが釣り合うようなプーリ幅に保持される。
【0033】
以上のように、無段変速機20では、2つの電磁弁26b,27bがECU2により制御されることによって、2つのプーリ22,23のプーリ幅が無段階に変更され、それにより、駆動側プーリ22の駆動側プーリ回転数NDRと従動側プーリ23の従動側プーリ回転数NDNとの比である変速比RATIO(=NDR/NDN)が、無段階に制御される。
【0034】
また、前記発進クラッチ30は、油圧の供給により締結・遮断が制御される油圧制御式の多板クラッチであり、多数のインナプレート31および多数のアウタプレート32と、これらのプレート31,32の間を締結・遮断するクラッチ締結機構33と、両プレート31,32を互いの遮断方向に付勢する図示しないリターンスプリングなどを備えている。これらのインナプレート31は、カウンタシャフト25上に回転自在に設けられたギヤ34に連結されており、このギヤ34の回転に従って、これと一体に回転する。また、アウタプレート32は、カウンタシャフト25に連結されており、カウンタシャフト25の回転に従って、これと一体に回転する。
【0035】
クラッチ締結機構33は、クラッチ油室33aおよびSC電磁弁33bなどで構成されている。図2に示すように、SC電磁弁33bは、油圧回路28の油圧ポンプ28aとクラッチ油室33aの間に設けられ、これらに油路28b,28bを介してそれぞれ接続されている。
【0036】
このSC電磁弁33bは、ソレノイドとスプール弁(いずれも図示せず)を組み合わせた常閉タイプもので、ECU2に電気的に接続されており、ECU2からの指令入力SCCMDが入力されていないときには、全閉状態に保持される。それにより、油圧ポンプ28aからの油圧がクラッチ油室33aに供給されないことで、リターンスプリング圧(付勢力)により、インナプレート31とアウタプレート32との間が遮断される。その結果、両プレート31,32の間で摩擦が発生せず、カウンタシャフト25の回転およびトルクがギヤ34に伝達されない。すなわち、発進クラッチ30が遮断状態に保持される。また、SC電磁弁33bは、ECU2からの指令入力SCCMDの値が大きいほど、弁開度がリニアに増大するリニア電磁弁として構成されている。
【0037】
さらに、ギヤ34は、アイドラ軸35上に一体に設けられた大アイドラギヤ35aに噛み合っており、アイドラ軸35上に一体に設けられた小アイドラギヤ35bは、差動ギヤ機構6のギヤ6aに噛み合っている。これにより、ギヤ34の回転に伴い、ギヤ6aが回転する。
【0038】
以上の構成により、エンジン4の運転中、ECU2からの指令入力SCCMDがSC電磁弁33bに入力されると、クラッチ油室33aに油圧が供給され、リターンスプリング圧に抗しながら、インナプレート31とアウタプレート32とが互いに係合する。それにより、両プレート31,32の間に摩擦力が発生し、発進クラッチ30が締結されることで、カウンタシャフト25の回転およびトルクが駆動輪7,7に伝達される。その際、発進クラッチ30では、SC電磁弁33bに入力される指令入力SCCMDの値が大きいほど、弁開度が大きくなることで、クラッチ油室33aに供給される油圧が大きくなり、それにより、発進クラッチ30の締結力がより大きな値に制御される。
【0039】
また、ECU2には、クランク角センサ40、スロットル弁開度センサ41(発進動作検出手段)、吸気管内絶対圧センサ42、アクセル開度センサ43、駆動側プーリ回転数センサ44(変速比検出手段)、従動側プーリ回転数センサ45(変速比検出手段)、アイドラ軸回転数センサ46(車速検出手段)およびシフト位置センサ47が電気的に接続されている。
【0040】
クランク角センサ40は、マグネットロータおよびMREピックアップ(いずれも図示せず)を組み合わせて構成されており、クランクシャフト4aの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号をECU2に出力する。このCRK信号は、所定のクランク角(例えば30゜)ごとに1パルスが出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン4のエンジン回転数NEを算出する。
【0041】
スロットル弁開度センサ41は図示しないスロットル弁の開度であるスロットル弁開度TH(発進動作検出手段の検出結果)を、吸気管内絶対圧センサ42はエンジン4の吸気管(図示せず)内の絶対圧である吸気管内絶対圧PBAを、アクセル開度センサ43は車両3の図示しないアクセルペダルの踏み込み量であるアクセル開度APをそれぞれ検出して、その検出信号をECU2に送る。
【0042】
また、駆動側プーリ回転数センサ44は駆動側プーリ22の回転数である駆動側プーリ回転数NDRを、従動側プーリ回転数センサ45は従動側プーリ23の回転数である従動側プーリ回転数NDNを、アイドラ軸回転数センサ46はアイドラ軸35の回転数であるアイドラ軸回転数NDIをそれぞれ検出して、その検出信号をECU2に送る。ECU2は、駆動側プーリ回転数NDRおよび従動側プーリ回転数NDNに基づいて、変速比RATIOを算出する。また、ECU2は、従動側プーリ回転数NDNおよびアイドラ軸回転数NDIに基づいて、発進クラッチ30の入力側回転数と出力側回転数の比である滑り率ESC(%)を算出するとともに、アイドラ軸回転数NDIに基づいて、車速VPを算出する。
【0043】
また、シフト位置センサ47は、図示しないシフトレバーの位置が「P、R、N、D、S(スポーツ)、L」の6つのいずれのシフトレンジにあるのかを検出して、それを表すPOSI信号をECU2に送る。なお、Sレンジは、前進走行用のシフトレンジであり、シフトレバーがこのSレンジにある場合、変速比RATIOはDレンジよりも若干高い値で変化するように制御される。
【0044】
ECU2は、CPU、RAM、ROMおよびI/Oインターフェースなどからなるマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されており、前述した各種のセンサ40〜47から入力される検出信号に応じて、後述するように、各種の電磁弁26b,27b,34の故障判定を実行する。本実施形態では、ECU2により、変速比検出手段、車速検出手段、故障判定手段、発進動作検出手段およびトルク検出手段が構成されている。
【0045】
また、図示しないが、ECU2は、エンジン4の運転状態、前後進切換機構10の接続状態、無段変速機20の変速動作および発進クラッチ30の締結状態などを制御する。例えば、車両3の停止時、変速比RATIOが、所定のLOW側範囲(後述するRTDRDNBL≦RATIO≦RTDRDNBHの範囲)の値になるように制御される。また、走行中は、車速VPおよびスロットル弁開度THに応じて、目標変速比RATTGTが算出されるとともに、変速比RATIOがこの目標変速比RATTGTになるように、無段変速機20の変速動作が制御される。それより、走行中、変速比RATIOが所定範囲(例えば値0.4〜2.5)の値になるように制御される。
【0046】
さらに、車両3の走行状態、エンジン4の運転状態および無段変速機20の変速動作状態などに応じて、発進クラッチ30の締結力が制御される。また、エンジン4の運転中の停車時には、エンジン4のトルクが、無段変速機20に伝達されるように、前後進切換機構10が制御されるとともに、発進クラッチ30が遮断状態に制御される。これにより、停車中でも、駆動側プーリ22および従動側プーリ23が回転することで、変速比RATIOが算出される。
【0047】
なお、ECU2のRAMは、エンジン停止時には電力供給が停止されることで、内部に記憶したデータが消えてしまう通常のRAMと、バックアップ電源からの電力供給により、エンジン停止時も内部に記憶したデータを保持するバックアップRAMとで構成されている。
【0048】
次に、図5を参照しながら、ECU2により実行される電磁弁モニタ処理について説明する。この電磁弁モニタ処理は、前述したDR電磁弁26b、DN電磁弁27bおよびSC電磁弁33bが故障しているか否かを判定するものであり、所定時間(例えば10msec)ごとに実行される。
【0049】
同図に示すように、この処理では、まずステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)において、実行条件判定処理を実行する。この処理は、電磁弁故障判定の実行条件が成立しているか否かを判定するものであり、その詳細については後述する。
【0050】
次いで、ステップ2で、走行不能判定処理を実行する。ここでは、この処理の詳細な説明は省略するが、この処理では、従動側プーリ回転数NDN、シフトレバーの位置、車速VP、スロットル弁開度THおよびエンジン回転数NEなどに応じて、車両3が走行不能状態にあるか否かの判定が実行される。
【0051】
次に、ステップ3で、SC電磁弁33bの固着判定処理を実行する。ここでは、この処理の詳細な説明は省略するが、この処理では、上記ステップ2の判定結果に基づき、SC電磁弁33bが全閉状態で固着しているか否かの判定が実行される。
【0052】
次いで、ステップ4で、DR電磁弁26bおよびDN電磁弁27bの固着判定処理を実行する。この処理は、両電磁弁26b,27bが全開状態または全閉状態で固着しているか否かを判定するものであり、その詳細については後述する。この後、本処理を終了する。
【0053】
次に、図6を参照しながら、前記ステップ1の実行条件判定処理について説明する。この処理では、まず、ステップ10において、センサ正常フラグF_SENSEROKが「1」であるか否かを判別する。このセンサ正常フラグF_SENSEROKは、前述した各種のセンサ40〜47がいずれも正常であると判定されているときには「1」に、それ以外のときには「0」にそれぞれ設定される。
【0054】
このステップ10の判別結果がYESで、センサ40〜47がいずれも正常であるときには、ステップ11に進み、エンジン回転数NEが所定の運転判定値NESOLMON以上であるか否かを判別する。この判別は、エンジン4が運転中であるか否かを判別するものであり、そのため、運転判定値NESOLMONは、エンジン4が確実に運転中であると想定される値(例えば500rpm)に設定される。
【0055】
このステップ11の判別結果がYESで、エンジン4が運転中であるときには、ステップ12に進み、インギアフラグF_FCLEが「1」であるか否かを判別する。このインギアフラグF_FCLEは、前述した前後進切換機構10を介して、エンジン4の回転がメインシャフト21すなわち駆動側プーリ22まで伝達されているときには「1」に、それ以外のときには「0」にそれぞれ設定されるものである。より具体的には、エンジン回転数NEと駆動側プーリ回転数NDRとの偏差を所定値と比較することにより設定される。
【0056】
このステップ12の判別結果がYESで、前後進切換機構10を介して、エンジン4の回転が駆動側プーリ22まで伝達されているときには、電磁弁故障判定の実行条件が成立しているとして、ステップ13に進み、それを表すために、実行条件フラグF_SOLMONENを「1」にセットした後、本処理を終了する。
【0057】
一方、前述したステップ10〜12のいずれかの判別結果がNOのとき、すなわち各種のセンサ40〜47のいずれかが故障しているか、エンジン4が停止中であるか、または前後進切換機構10を介して、エンジン4の回転が駆動側プーリ22まで伝達されていないときには、電磁弁故障判定の実行条件が不成立であるとして、ステップ14に進み、それを表すために、実行条件フラグF_SOLMONENを「0」にセットした後、本処理を終了する。
【0058】
次に、図7を参照しながら、前記ステップ4のDR電磁弁26bおよびDN電磁弁27bの固着判定処理について説明する。本処理では、まず、ステップ20において、停止時変速比判定処理を実行する。
【0059】
図8に示すように、この停止時変速比判定処理では、まず、ステップ30において、急減速時判定中止フラグF_IGDJDABが「0」であるか否かを判別する。この急減速時判定中止フラグF_IGDJDABは、車両3が急減速状態にあるときには「1」に、それ以外のときには「0」にそれぞれ設定されるものであり、具体的には、駆動側プーリ回転数NDRおよび車速VPの前回値と今回値の偏差(すなわち加速度)に基づいて設定される。
【0060】
この判別結果がYESで、車両3が急減速状態にないときには、停止時変速比判定を実行すべきであるとして、ステップ31に進み、車速VPが所定の停止時判定値VINGRTJD未満であるか否かを判別する。この停止時判定値VINGRTJDは、両電磁弁26b,27bがいずれも正常であれば、変速比RATIOが確実にLOW側に戻っていると想定される値に設定される。
【0061】
この判別結果がYESで、停車中であるときには、ステップ32に進み、スロットル弁開度THが所定の停止時判定値THINGRTJD未満であるか否かを判別する。この停止時判定値THINGRTJDは、スロットル弁が閉鎖状態にあるか否か、すなわちアクセルペダルが踏まれていないか否かを判定するためのものであり、スロットル弁が閉鎖状態にあると推定される値(例えば5%)に設定される。
【0062】
この判別結果がYESで、スロットル弁が閉鎖状態にあるときには、ステップ33に進み、前記実行条件フラグF_SOLMONENが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、電磁弁故障判定の実行条件が成立しているときには、ステップ34に進み、シフトレバーの位置がDまたはSレンジにあるか否かを判別する。
【0063】
この判別結果がYESのときには、ステップ35に進み、変速比RATIOが所定の停止時LOW側範囲にあるか否かを判別する。この停止時LOW側範囲は、具体的には、変速比RATIOがLOW用下限値RTINGLOL(例えば値1.8)以上で所定のLOW用上限値RTINGLOH(例えば値2.5)以下の範囲に設定されるとともに、後述する固着判定用のLOW側範囲と同じ範囲に設定される。この判別結果がYESで、RTINGLOL≦RATIO≦RTINGLOHのときには、ステップ36に進み、ディレイタイマのタイマ値TMLOJDWTが値0であるか否かを判別する。
【0064】
このディレイタイマは、ダウンカウント式のものであり、そのタイマ値TMLOJDWTは、エンジン始動時に初期値として値0に設定されるとともに、後述するように、停止時OD側フラグF_INGODJDが「1」であるときに、所定値TMLOREF(例えば2.0sec)に設定される。このディレイタイマを用いる理由は、以下による。すなわち、アクセルペダルを急激に踏むことで、ベルト24が両プーリ22,23との間に滑りを生じた直後、アクセルペダルを戻した場合、変速比RATIOが一時的に上記停止時LOW側範囲の値になることで、変速比RATIOがこのLOW側範囲にないにもかかわらず、この範囲にあると誤判定されるおそれがあるので、そのような誤判定を回避するためである。
【0065】
ステップ36の判別結果がNOで、ディレイタイマがタイムアップしていないときには、誤判定のおそれがあるとして、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ36の判別結果がYESで、ディレイタイマがタイムアップしたときには、変速比RATIOが上記停止時LOW側範囲にあるとして、それを表すためにステップ37で停止時OD側フラグF_INGODJDを「0」に、ステップ38で停止時LOW側フラグF_INGLOWJDを「1」にそれぞれ設定した後、本処理を終了する。
【0066】
一方、ステップ35の判別結果がNOで、変速比RATIOが停止時LOW側範囲にないときには、ステップ39に進み、変速比RATIOが所定の停止時OD側範囲にあるか否かを判別する。この停止時OD側範囲(高速側範囲)は、変速比RATIOが前記停止時LOW側範囲よりも小さいOD側の範囲であり、具体的には、下限値RTINGODL(例えば値0.3)以上で所定の上限値RTINGODH(例えば値0.8)以下の範囲に設定される。
【0067】
この判別結果がYESで、RTINGODL≦RATIO≦RTINGODHのときには、変速比RATIOが上記停止時OD側範囲にあるとして、それを表すためにステップ40で停止時OD側フラグF_INGODJDを「1」に、ステップ41で停止時LOW側フラグF_INGLOWJDを「0」にそれぞれ設定する。
【0068】
次いで、ステップ42に進み、停止時OD側フラグF_INGODJDが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。一方、この判別結果がYESのときには、ステップ43に進み、前述した理由により、ディレイタイマのタイマ値TMLOJDWTを、所定値TMLOREFに設定した後、本処理を終了する。
【0069】
一方、ステップ33,34,39のいずれかの判別結果がNOのとき、すなわち、電磁弁故障判定の実行条件が不成立であるか、シフトレバーの位置がDおよびSレンジ以外のレンジにあるか、または変速比RATIOが停止時LOW側範囲および停止時OD側範囲のいずれにもないときには、ステップ44に進み、停止時LOW側フラグF_INGLOWJDを「0」に設定する。次いで、ステップ42以降を前述したように実行した後、本処理を終了する。
【0070】
一方、ステップ30〜32のいずれかの判別結果がNOのとき、すなわち車両3が急減速状態にあるか、停車中でないか、または、アクセルペダルが踏み込まれることでスロットル弁が開いているときには、前記ステップ44を実行し、次いで、ステップ42以降を前述したように実行した後、本処理を終了する。
【0071】
以上のように、この停止時変速比判定処理では、停止時OD側フラグF_INGODJDおよび停止時LOW側フラグF_INGLOWJDの値が設定される。
【0072】
図7に戻り、ステップ20に続くステップ21では、前記実行条件フラグF_SOLMONENが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、電磁弁故障判定の実行条件が成立しているときには、ステップ22に進み、シフトレバーの位置がシフトレバーの位置がDまたはSレンジにあるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、ステップ23に進み、前記停止時OD側フラグF_INGODJDが「1」であるか否かを判別する。
【0073】
この判別結果がYESで、停車中の変速比RATIOが停止時OD側範囲にあったときには、ステップ24に進み、後述するように、OD側判定処理を実行する。一方、この判別結果がNOで、停車中の変速比RATIOが停止時OD側範囲になかったときには、ステップ25に進み、後述するように、LOW側判定処理を実行する。
【0074】
ステップ24またはステップ25に続くステップ26では、判定後処理を実行する。この判定後処理では、停止時変速比判定処理、OD側判定処理またはLOW側判定処理で設定された各種のフラグの値を、バックアップRAMに記憶する。この後、本処理を終了する。
【0075】
次に、図9および図10を参照しながら、上記ステップ24のOD側判定処理について説明する。この処理は、DR電磁弁26bが全開状態で固着しているか否か、および/またはDN電磁弁27bが全閉状態で固着しているか否かを判定するものであり、具体的には、以下のように実行される。
【0076】
すなわち、まず、図9のステップ50において、アップカウント式のLOW側判定タイマのタイマ値TMDRDNBJDを値0に設定する。このLOW側判定タイマについては後述する。
【0077】
次いで、ステップ51に進み、スロットル弁開度THが所定のOD側判定値THDRDNJD(例えば5%)以上であるか否かを判別する。この判別結果がNOのとき、すなわち運転者によりアクセルペダルが踏み込まれていないことで、スロットル弁がほぼ全閉状態にあるときには、ステップ68に進み、アップカウント式のOD側第2判定タイマのタイマ値TMDRDNJ2を値0に設定する。
【0078】
次に、図10のステップ69に進み、アップカウント式のOD側第1判定タイマのタイマ値TMDRDNJDを値0に設定し、次いで、ステップ57に進み、DRDN正常判定カウンタのカウンタ値CTOKDRNSを値0に設定した後、本処理を終了する。
【0079】
一方、ステップ51の判別結果がYESのとき、すなわち運転者によりアクセルペダルが踏み込まれていることで、スロットル弁が開いているときには、ステップ52に進み、車速VPが所定のOD側判定値VDRDNJD(第2所定車速、例えば15km/h)より小さいか否かを判別する。
【0080】
この判別結果がYESで、低車速であるときには、ステップ53に進み、変速比RATIOが所定のDN用判定値RTDNJD以上であるか否かを判別する。この判別は、ベルト24で大きな滑りが発生しているか否かを判別するものであり、そのため、DN用判定値RTDNJD(低速側変速比)は、ベルト24の大きな滑りの発生を示す値(例えば値3.0)に設定される。この判別結果がYESのときには、DN電磁弁27bが全閉状態で固着していることにより、ベルト24の大きな滑りが発生していると見なして、図10のステップ54に進み、アップカウント式のOD側第1判定タイマのタイマ値TMDRDNJDが所定のDN用判定時間TDNJD(例えば0.2sec)以上であるか否かを判別する。
【0081】
この判別結果がYESとき、すなわちベルト24の大きな滑りが発生している状態が所定時間TDNJD以上継続したときには、DN電磁弁27bが全閉状態で固着しているとして、ステップ55に進み、それを表すためにOD時DN側故障フラグF_FSKDNを「1」に設定すると同時に、OD時DR側故障フラグF_FSKDR、LOW時DRDN故障フラグF_FSKDRDNB、およびOD時DRDN故障フラグF_FSKDRDNCをいずれも「0」に設定する。
【0082】
次いで、ステップ56に進み、OD時DN側正常フラグF_OKDN、OD時DR側正常フラグF_OKDR、LOW時DRDN正常フラグF_OKDRDNB、およびOD時DRDN正常フラグF_OKDRDNCをいずれも「0」に設定する。次に、前述したようにステップ57を実行した後、本処理を終了する。
【0083】
一方、図9に戻り、ステップ52および53のいずれかの判別結果がNOのとき、すなわち、車速VPが比較的高い状態にあるか、または変速比RATIOがベルト24の大きな滑りを示すような値でないときには、ステップ58に進み、エンジン回転数NEおよび変速比RATIOに応じて、図11に示すマップを検索することにより、OD時DR側判定トルクTQDRJD(所定トルク)の値を算出する。
【0084】
このOD時DR側判定トルクTQDRJDは、後述するように、エンジントルクTQEG(動力源からのトルク)と比較するためのものであり、エンジン回転数NEおよび変速比RATIOに対して、無段変速機20が故障状態にある場合において伝達可能なエンジントルクTQEGの上限値よりも若干、大きい値に設定されている。同図において、6つのエンジン回転数NEの値NE1〜NE6は、NE1<NE2<NE3<NE4<NE5<NE6の関係で設定されている。また、OD時DR側判定トルクTQDRJDは、エンジン回転数NEが高いほど、または変速比RATIOが小さいほど(すなわちOD側に近い値であるほど)、より大きな値に設定されている。これは、エンジン回転数NEが高いほど、または変速比RATIOがOD側であるほど、エンジン4が発生するエンジントルクTQEGが大きくても、ベルト24の滑りが発生しないことによる。
【0085】
次いで、ステップ59に進み、エンジントルクTQEGが上記ステップ58で設定されたOD時DR側判定トルクTQDRJD以上であるか否かを判別する。このエンジントルクTQEGは、エンジン回転数NEおよび吸気管内絶対圧PBAに応じて、算出される。この判別結果がYESで、TQEG≧TQDRJDのとき、すなわちエンジントルクTQEGが大きいことで、ベルト24の滑りが発生すると推定されるときには、ステップ60に進み、スロットル弁開度THがOD時DR側判定値THDRJD(例えば37.5%)以上であるか否かを判別する。
【0086】
この判別結果がYESで、TH≧THDRJDのとき、すなわちスロットル弁開度THがかなり大きい領域にあるときには、ステップ61に進み、変速比RATIOが所定のOD時DR側判定値RTDRJD(例えば値1.8)より小さいか否かを判別する。
【0087】
この判別結果がYESで、RATIO<RTDRJDのとき、すなわちエンジントルクTQEGおよびスロットル弁開度THがいずれもかなり大きいにもかかわらず、ベルト24が滑っていないときには、図10のステップ62に進み、前述したOD側第1判定タイマのタイマ値TMDRDNJDが所定のDR用判定時間TDRJD(例えば10sec)以上であるか否かを判別する。
【0088】
この判別結果がYESで、エンジントルクTQEGおよびスロットル弁開度THがいずれもかなり大きいにもかかわらず、ベルト24が滑っていない状態が所定時間TDRJD以上継続したときには、DR電磁弁26bが全開状態で固着しているとして、ステップ63に進み、それを表すために、OD時DR側故障フラグF_FSKDRを「1」に設定すると同時に、前述した3つの故障フラグF_FSKDN,F_FSKDRDNB,F_FSKDRDNCをいずれも「0」に設定する。次いで、前述したようにステップ56,57を実行した後、本処理を終了する。
【0089】
一方、ステップ61の判別結果がNOで、RATIO≧RTDRJDのとき、すなわちエンジントルクTQEGおよびスロットル弁開度THがいずれもかなり大きく、ベルト24が若干、滑っているときには、図10のステップ64に進み、前述したOD側第1判定タイマのタイマ値TMDRDNJDが所定のDR用第2判定時間TMDRJ2(例えば5sec)以上であるか否かを判別する。
【0090】
この判別結果がYESで、エンジントルクTQEGおよびスロットル弁開度THがいずれもかなり大きく、かつベルト24が若干、滑っている状態が所定時間TMDRJ2以上継続したときには、DR電磁弁26bが開弁状態で固着しているとして、前述したステップ63を実行し、次いで、前述したようにステップ56,57を実行した後、本処理を終了する。
【0091】
一方、図9に戻り、ステップ59,60のいずれかの判別結果がNOのとき、すなわちエンジントルクTQEGが比較的小さい領域にあるか、またはスロットル弁開度THがあまり大きくないときには、図10のステップ65に進み、OD側第2判定タイマのタイマ値TMDRDNJ2が、所定のOD時DRDN側判定時間TDRDNJD2(例えば15sec)以上であるか否かを判別する。
【0092】
この判別結果がNOのときには、前述したようにステップ69,57を実行した後、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESのとき、すなわちベルト24が大きく滑っておらず、エンジントルクTQEGが比較的小さい状態、またはスロットル弁開度THがあまり大きくない状態が所定時間TDRDNJD2以上継続したときには、ステップ66に進み、OD側第1判定タイマのタイマ値TMDRDNJDを値0に設定する。
【0093】
次いで、ステップ67に進み、DR電磁弁26bの全開状態での固着、およびDN電磁弁27bの全閉状態での固着の少なくとも一方が発生していることを表すために、OD時DRDN故障フラグF_FSKDRDNCを「1」に設定すると同時に、前述した3つの故障フラグF_FSKDR,F_FSKDN,F_FSKDRDNBをいずれも「0」に設定する。次に、前述したようにステップ56,57を実行した後、本処理を終了する。
【0094】
次に、図12を参照しながら、前記ステップ25のLOW側判定処理について説明する。この処理は、DR電磁弁26bおよびDN電磁弁27bがいずれも正常であるか、または、DR電磁弁26bの全閉状態での固着およびDN電磁弁27bの全開状態での固着の少なくとも一方が発生しているかを判定するものであり、具体的には、以下のように実行される。
【0095】
まず、ステップ80において、前述したOD側第1判定タイマおよびOD側第2判定タイマのタイマ値TMDRDNJD,TMDRDNJ2をいずれも値0に設定する。次いで、ステップ81に進み、前記停止時変速比判定処理で設定された停止時LOW側フラグF_INGLOWJDが「1」であるか否かを判別する。
【0096】
この判別結果がNOで、変速比RATIOが前述した停止時LOW側範囲(RTINGLOL≦RATIO≦RTINGLOH)にないときには、ステップ94に進み、LOW側判定タイマのタイマ値TMDRDNBJDを値0に設定する。
【0097】
次に、ステップ95に進み、前述した4つの故障フラグF_FSKDR,F_FSKDN,F_FSKDRDNB,F_FSKDRDNCをいずれも「0」に設定する。次いで、ステップ96に進み、DRDN正常判定カウンタのカウンタ値CTOKDRNSを値0に設定した後、本処理を終了する。
【0098】
一方、ステップ81の判別結果がYESで、変速比RATIOが停止時LOW側範囲にあるとき、すなわちRTINGLOL≦RATIO≦RTINGLOHのときには、ステップ82に進み、スロットル弁開度THが所定のLOW側判定値THDRDNBJD(例えば5%)以上であるか否かを判別する。
【0099】
この判別結果がNOのとき、すなわち運転者によりアクセルペダルが踏み込まれていないことで、スロットル弁が全閉状態に近い状態にあるときには、前述したようにステップ94〜96を実行した後、本処理を終了する。一方、ステップ82の判別結果がYESで、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれていることで、スロットル弁が開いているときには、ステップ83に進み、車速VPが所定のLOW側判定値VDRDNBJD(所定車速、例えば15km/h)以上であるか否かを判別する。
【0100】
この判別結果がNOで、低車速のときには、前述したようにステップ94〜96を実行した後、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESで、車速VPが低車速でないときには、ステップ84に進み、目標変速比RATTGTが所定のLOW側判定値RTTGDRDNB(例えば値1.5)より小さいか否かを判別する。
【0101】
この判別結果がNOで、目標変速比RATTGTがLOW側からOD側に変化してないときには、前述したようにステップ94〜96を実行した後、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESで、目標変速比RATTGTがLOW側からOD側に変化したときには、ステップ85に進み、変速比RATIOが所定の固着判定用のLOW側範囲(低速側範囲)にあるか否かを判別する。この固着判定用のLOW側範囲(RTDRDNBL≦RATIO≦RTDRDNBH)は、前述したように、停止時LOW側範囲と同じ範囲に設定される。すなわち、上下限値RTDRDNBH,RTDRDNBLはそれぞれ、LOW用上下限値RTINGLOH,RTINGLOLと同じ値に設定される。なお、固着判定用のLOW側範囲を、停止時LOW側範囲よりも広い範囲、または狭い範囲に設定してもよい。
【0102】
このステップ85の判別結果がNOで、変速比RATIOが固着判定用のLOW側範囲にないときには、DR電磁弁26bおよびDN電磁弁27bがいずれも正常であるとして、ステップ86で、LOW側判定タイマのタイマ値TMDRDNBJDを値0に設定し、次いで、ステップ87で、DRDN正常判定カウンタのカウンタ値CTOKDRNSを値1だけインクリメントする。
【0103】
次いで、ステップ88に進み、前述した4つの故障フラグF_FSKDR,F_FSKDN,F_FSKDRDNB,F_FSKDRDNCをいずれも「0」に設定する。この後、ステップ89に進み、DRDN正常判定カウンタのカウンタ値CTOKDRNSが、所定のDRDN正常判定値COKDRDNS(例えば値1500)以上であるか否かを判別する。
【0104】
この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。一方、この判別結果がYESで、DR電磁弁26bおよびDN電磁弁27bがいずれも正常であると見なせる状態が所定回数(COKDRDNSの値に等しい回数)以上発生したときには、ステップ90に進み、DR電磁弁26bおよびDN電磁弁27bがいずれも正常であることを表すために、前述した4つの正常フラグF_OKDN,F_OKDR,F_OKDRDNB,F_OKDRDNCをいずれも「1」に設定した後、本処理を終了する。
【0105】
一方、ステップ85の判別結果がYESで、変速比RATIOが固着判定用のLOW側範囲(RTDRDNBL≦RATIO≦RTDRDNBH)にあるときには、DR電磁弁26bの全閉状態での固着、およびDN電磁弁27bの全開状態での固着の少なくとも一方が発生しているとして、ステップ91に進み、LOW側判定タイマのタイマ値TMDRDNBJDが所定の故障判定時間TDRDNBJD(例えば10sec)以上であるか否かを判別する。
【0106】
この判別結果がNOのときには、ステップ93に進み、前述した4つの正常フラグF_OKDN,F_OKDR,F_OKDRDNB,F_OKDRDNCをいずれも「0」に設定する。次いで、前記ステップ96を実行した後、本処理を終了する。
【0107】
一方、ステップ91の判別結果がYESで、DR電磁弁26bの全閉状態での固着、およびDN電磁弁27bの全開状態での固着の少なくとも一方が発生していると見なせる状態が、所定時間(判定時間TDRDNBJDに等しい時間)以上継続したときには、ステップ92に進み、DR電磁弁26bの全閉状態での固着、およびDN電磁弁27bの全開状態での固着の少なくとも一方が発生していることを表すために、LOW時DRDN故障フラグF_FSKDRDNBを「1」に設定すると同時に、前述した3つの故障フラグF_FSKDR,F_FSKDN,F_FSKDRDNCをいずれも「0」に設定する。次いで、前述したようにステップ93,96を実行した後、本処理を終了する。
【0108】
以上、詳述したように、図7のDR電磁弁26bおよびDN電磁弁27bの固着判定処理では、変速比RATIO、スロットル弁開度TH、エンジントルクTQEGおよび車速VPなどに基づいて、DR電磁弁26bおよびDN電磁弁27bの固着判定が実行される。これは、以下の論理による。
【0109】
すなわち、本実施形態の無段変速機20では、停車時、変速比RATIOが固着判定用のLOW側範囲(RTDRDNBL≦RATIO≦RTDRDNBHの範囲)の値になるように制御されるので、図8の停止時変速比判定処理において、変速比RATIOが停止時LOW側範囲(RTINGLOL≦RATIO≦RTINGLOH)にあれば、DR電磁弁26bおよびDN電磁弁27bがいずれも正常と推定される。さらに、両電磁弁26b,27bがいずれも実際に正常であれば、車両3の発進後、目標変速比RATTGTが、図13に破線で示すようにOD側に変化するのに伴い、実際の変速比RATIOもこれに追従するように変化するはずである。
【0110】
これに対して、前述したステップ81〜85の判別結果がいずれもYESのとき、すなわちスロットル弁が開いており(TH≧THDRDNBJD)、車両が発進しており(VP≧VDRDNBJD)、かつ目標変速比RATTGTがLOW側からOD側に変化しているにもかかわらず(RATTGT<RTTGDRDNB)、図13に実線で示すように、変速比RATIOが固着判定用のLOW側範囲にある場合には、以下のような状態が発生していると推定できる。すなわち、DR電磁弁26bが全閉状態で固着していることにより、油圧回路28からの供給油圧の不足とは無関係に、DR油室26aに油圧が供給されない状態になっていることで、駆動側プーリ22がLOW側の広い幅に保持されているか、または、DN電磁弁27bが全開状態で固着していることにより、油圧回路28からの供給油圧の不足とは無関係に、DN油室27aに油圧が供給されたままの状態になっていることで、従動側プーリ23がLOW側の狭い幅に保持されていると推定できる。
【0111】
したがって、そのような状態が所定の判定時間TDRDNBJD以上継続したとき(t1〜t2)には、DR電磁弁26bが全閉状態で固着しているか、および/またはDN電磁弁27bが全開状態で固着していることにより、変速比RATIOが変化せずに、上記LOW側範囲に保持されていると判定できる(F_FSKDRDNJB←1)。
【0112】
また、図8の停止時変速比判定処理において、停車中の変速比RATIOが停止時OD側範囲(RTINGODL≦RATIO≦RTINGODH)にあった場合、以下のような状態が発生していると推定できる。すなわち、油圧回路28からの供給油圧の不足と無関係に、DR電磁弁26bが全開状態で固着していることにより、DR油室26aに油圧が供給されたままの状態になっていることで、駆動側プーリ22がOD側の狭い幅に保持されているか、または、DN電磁弁27bが全閉状態で固着していることにより、DN油室27aに油圧が供給されない状態になっていることで、従動側プーリ23がOD側の広い幅に保持されていると推定できる。
【0113】
さらに、停車中の変速比RATIOが停止時OD側範囲にあった場合において、図14に示すように、発進後、エンジントルクTQEGがあまり大きくない(TQEG<TQDRJD)とき、またはスロットル弁開度THがあまり大きくない(TH<THDRJD)ときには、リターンスプリングの付勢力に起因して、駆動側プーリ22とベルト24の間、または従動側プーリ23とベルト24の間に大きな滑りが生じないため、車両3が走行可能となるので、DR電磁弁26bが全開状態で固着しているのか、またはDN電磁弁27bが全閉状態で固着しているのかを特定できないものの、油圧回路28からの供給油圧の不足とは無関係に、少なくとも一方の電磁弁の固着が発生していると推定できる。
【0114】
したがって、そのような状態が所定の判定時間TDRDNJD2以上継続したとき(t11〜t12)には、油圧回路28からの供給油圧の不足とは無関係に、DR電磁弁26bの全開状態での固着、およびDN電磁弁27bの全閉状態での固着の少なくとも一方が発生していると判定できる(F_FSKDRDNC←1)。
【0115】
さらに、停車中の変速比RATIOが停止時OD側範囲にあった場合において、図15に示すように、発進後、エンジントルクTQEGがかなり大きい(TQEG≧TQDRJD)にもかかわらず、変速比RATIOがOD側の値からLOW側の値に変化しない(RATIO<RTDNJD)ときには、駆動側プーリ22への入力トルクが大きいにもかかわらず、駆動側プーリ22とベルト24の間、または従動側プーリ23とベルト24の間に滑りが生じていないと推定できる。このような状態は、DN電磁弁27bの全閉状態での固着により、従動側プーリ23がOD側の広い幅に駆動されているときや、油圧回路28からの供給油圧の不足しているときでも、DR電磁弁26bが正常であれば、変速比RATIOがLOW側の値に変化するため発生せず、DR電磁弁26bが全開状態で固着しているときにのみ発生する。
【0116】
したがって、以上の状態が所定の判定時間TDRJD以上継続したとき(t21〜t22)には、油圧回路28からの供給油圧の不足とは無関係に、DR電磁弁26bが全開状態で固着していると判定できる(F_FSKDR←1)。すなわち、DR電磁弁26bの故障を特定できる。
【0117】
また、停車中の変速比RATIOが停止時OD側範囲にあった場合において、図16に示すように、スロットル弁が開いている(TH≧THDRDNJD)にもかかわらず、車速VPが上昇せず(VP<VRDNJD)、かつ変速比RATIOがOD側の値からかなり大きいLOW側の値に変化した(RATIO≧RTDNJD)ときには、油圧回路28からの供給油圧の不足とは無関係に、DN電磁弁27bの全閉状態での固着により、DN油室27aに油圧が供給されていないことで、従動側プーリ23とベルト24の間に大きな滑りが生じていると推定できる。
【0118】
したがって、以上の状態が所定の判定時間TDNJD以上継続したとき(t31〜t32)には、油圧回路28からの供給油圧の不足と無関係に、DN電磁弁27bが全閉状態で固着していると判定できる(F_FSKDN←1)。すなわち、DN電磁弁27bの故障を特定できる。
【0119】
以上のように、本実施形態の故障判定装置1によれば、油圧回路28からの供給油圧の不足とは無関係に、DR電磁弁26bの全開・全閉状態での固着、およびDN電磁弁27bの全開・全閉状態での固着の少なくとも一方が発生しているか否かを判定できる。これに加えて、図15または図16に示すような条件が成立しているときには、DR電磁弁26bまたはDN電磁弁27bの故障を特定することができるので、DR電磁弁26bまたはDN電磁弁27bを交換するだけで無段変速機20を容易に修理することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0120】
なお、車両の動力源としては、実施形態のエンジン4に限らず、電気モータなどの動力を発生するものであればよい。また、2つの電磁弁26b,27bの故障判定処理として、実施形態の図7の固着判定処理とは別個に、2つの電磁弁26b,27bのソレノイドの電気的な故障(断線・短絡)の判定を実行してもよい。このようにすれば、電磁弁26b,27bの弁体の固着と、電気的な故障とを区別することができ、電磁弁26b,27bにおける故障箇所を特定することができる。
【0121】
また、駆動側制御弁および従動側制御弁としては、実施形態のDR電磁弁26bおよびDN電磁弁27bに限らず、駆動側プーリ22のDR油室26aおよび従動側プーリ23のDN油室26aにそれぞれ供給される油圧を制御可能なものであればよい。例えば、駆動側制御弁および従動側制御弁として、電気モータ弁を用いてもよく、制御圧の供給により弁開度が制御される機械式弁(例えばスプール弁)などを用いてもよい。
【0122】
さらに、実施形態は、停車中、エンジン4の回転が前後進切換機構10を介して無段変速機20まで伝達され、かつ発進クラッチ30により無段変速機20と駆動輪7との間が遮断された状態で、駆動側プーリ22と従動側プーリ23との間の回転数の比である変速比RATIOを算出し、その停止時の変速比RATIOに応じて電磁弁26b,27bの故障判定を行う例であるが、本発明の故障判定装置1は、無段変速機20と駆動輪7との間に発進クラッチ30を持たず、停車中、無段変速機20とエンジン4との間に設けられたクラッチまたはトルクコンバータの滑りにより、エンジン4から無段変速機20側にトルクが伝達されない車両にも適用可能である。そのような場合には、停止時の変速比RATIOに代えて、停止直前の変速比RATIOを用いることにより、実施形態と同様に、電磁弁26b,27bの故障判定を実行すればよい。
【0123】
また、発進動作検出手段としては、実施形態のスロットル弁開度センサ41に限らず、アクセル開度センサなどの車両3の発進動作を検出できるものであればよい。
【0124】
【発明の効果】
以上のように、本発明の無段変速機の故障判定装置によれば、ベルト式の無段変速機の故障判定を実行する場合において、変速動作を実行するための制御弁の故障を確実に特定でき、無段変速機のメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る故障判定装置が適用された無段変速機を備える車両の駆動系の概略構成を示す骨組図である。
【図2】 故障判定装置および駆動系の油圧回路の概略構成を示す図である。
【図3】 (a)駆動側プーリのプーリ幅が低速側変速比用の広い幅に制御されている状態と(b)高速側変速比用の狭い幅に制御されている状態を示す模式図である。
【図4】 (a)従動側プーリのプーリ幅が低速側変速比用の狭い幅に制御されている状態と(b)高速側変速比用の広い幅に制御されている状態を示す模式図である。
【図5】 電磁弁モニタ処理のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図6】 実行条件判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】 DR電磁弁およびDN電磁弁の固着判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】 停止時変速比判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】 OD側判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】 図9の続きを示すフローチャートである。
【図11】 OD時DR側判定トルクTQDRJDの算出に用いるマップの一例を示す図である。
【図12】 LOW側判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図13】 停車中の変速比RATIOが停止時LOW側範囲にあった場合において、DR電磁弁の全閉状態での固着、およびDN電磁弁の全開状態での固着の少なくとも一方が発生しているときの動作例を示すタイミングチャートである。
【図14】 停車中の変速比RATIOが停止時OD側範囲にあった場合において、DR電磁弁の全開状態での固着、およびDN電磁弁の全閉状態での固着の少なくとも一方が発生しているときの動作例を示すタイミングチャートである。
【図15】 停車中の変速比RATIOが停止時OD側範囲にあった場合において、DR電磁弁の全開状態での固着のみが発生しているときの動作例を示すタイミングチャートである。
【図16】 停車中の変速比RATIOが停止時OD側範囲にあった場合において、DN電磁弁の全閉状態での固着のみが発生しているときの動作例を示すタイミングチャートである。

Claims (4)

  1. 車両の動力源からのトルクが入力され、プーリ幅が油圧の供給により減少側に変更される駆動側プーリと、
    当該駆動側プーリにベルトを介して連結され、プーリ幅が油圧の供給により減少側に変更される従動側プーリと、
    変速動作を実行するために、油圧系から前記駆動側プーリおよび前記従動側プーリに供給される油圧をそれぞれ制御する駆動側制御弁および従動側制御弁と、
    を備えた無段変速機において、前記駆動側制御弁および前記従動側制御弁の故障を判定する無段変速機の故障判定装置であって、
    前記駆動側プーリと前記従動側プーリとの間の変速比を検出する変速比検出手段と、
    前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
    前記車両の停止時および当該停止直前の一方と当該停止後の発進後とに検出された変速比と、前記検出された車速とに応じて、前記駆動側制御弁および前記従動側制御弁の少なくとも一方の故障を判定する故障判定手段と、
    を備え
    前記車両の停止時および当該停止直前の一方における前記変速比が所定の低速側範囲の値に設定され、
    前記故障判定手段は、前記車両の停止時および当該停止直前の一方の変速比が前記所定の低速側範囲にあり、かつ前記車両の前記停止後の前記発進後に前記車速が所定車速以上に上昇した場合において、前記変速比が前記所定の低速側範囲よりも小さい値まで減少していないときには、前記駆動側制御弁が前記駆動側プーリへの油圧供給停止状態で固着する故障、および前記従動側制御弁が前記従動側プーリへの油圧供給状態で固着する故障の少なくとも一方が発生していると判定することを特徴とする無段変速機の故障判定装置。
  2. 車両の動力源からのトルクが入力され、プーリ幅が油圧の供給により減少側に変更される駆動側プーリと、
    当該駆動側プーリにベルトを介して連結され、プーリ幅が油圧の供給により減少側に変更される従動側プーリと、
    変速動作を実行するために、油圧系から前記駆動側プーリおよび前記従動側プーリに供給される油圧をそれぞれ制御する駆動側制御弁および従動側制御弁と、
    を備えた無段変速機において、前記駆動側制御弁および前記従動側制御弁の故障を判定する無段変速機の故障判定装置であって、
    前記駆動側プーリと前記従動側プーリとの間の変速比を検出する変速比検出手段と、
    前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
    前記車両の停止時および当該停止直前の一方と当該停止後の発進後とに検出された変速比と、前記検出された車速とに応じて、前記駆動側制御弁および前記従動側制御弁の少なくとも一方の故障を判定する故障判定手段と、
    を備え
    前記車両の停止時および当該停止直前の一方における前記変速比が所定の低速側範囲の値に設定され、
    前記故障判定手段は、前記車両の停止時および当該停止直前の一方の変速比が前記所定の低速側範囲の値よりも小さい所定の高速側範囲にあるときには、前記駆動側制御弁が前記駆動側プーリへの油圧供給状態で固着する故障、および前記従動側制御弁が前記従動側プーリへの油圧供給停止状態で固着する故障の少なくとも一方が発生していると判定することを特徴とする請無段変速機の故障判定装置。
  3. 前記車両の発進動作を検出する発進動作検出手段をさらに備え、
    前記故障判定手段は、前記車両の停止時および当該停止直前の一方の変速比が前記所定の低速側範囲の値よりも小さい前記所定の高速側範囲にあり、かつ前記発進動作が検出されている場合において、前記変速比が前記所定の高速側範囲の値よりも大きい所定の低速側変速比以上に増大し、かつ前記車速が第2所定車速未満にあるときには、前記従動側制御弁が前記従動側プーリへの油圧供給停止状態で固着する故障が発生していると判定する ことを特徴とする請求項2に記載の無段変速機の故障判定装置。
  4. 車両の動力源からのトルクが入力され、プーリ幅が油圧の供給により減少側に変更される駆動側プーリと、
    当該駆動側プーリにベルトを介して連結され、プーリ幅が油圧の供給により減少側に変更される従動側プーリと、
    変速動作を実行するために、油圧系から前記駆動側プーリおよび前記従動側プーリに供給される油圧をそれぞれ制御する駆動側制御弁および従動側制御弁と、
    を備えた無段変速機において、前記駆動側制御弁および前記従動側制御弁の故障を判定する無段変速機の故障判定装置であって、
    前記車両の停止時および当該停止直前の一方における前記駆動側プーリと前記従動側プーリとの間の変速比が所定の低速側範囲の値に設定され、
    前記変速比を検出する変速比検出手段と、
    前記駆動側プーリに入力されるトルクを検出するトルク検出手段と、
    前記車両の停止時および当該停止直前の一方における前記変速比が前記所定の低速側範囲の値よりも小さい所定の高速側範囲にあり、前記車両の前記停止後の前記発進後に前記トルク検出手段により検出されたトルクが所定トルクよりも大きく、かつ前記車両の前記停止後の前記発進後に前記変速比が前記所定の高速側範囲の値よりも大きい所定の低速側変速比まで増大していないときには、前記駆動側制御弁が前記駆動側プーリへの油圧供給状態で固着する故障が発生していると判定する故障判定手段と、
    を備えることを特徴とする無段変速機の故障判定装置。
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