JP4380170B2 - 無段変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、変速比を連続的に変化させることのできる無段変速機を対象とした制御装置に関し、特に滑りを検出することのできる制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、変速比を連続的に変化させることのできる無段変速機として、ベルトを巻き掛けたプーリの溝幅を変化させることにより、駆動側プーリおよび従動側プーリに対するベルトの巻き掛け半径を連続的に変化させる構成のものや、入力側と出力側とのディスクの間に挟み込んだローラを傾転させて変速比を連続的に変化させるものなどが知られている。これらの無段変速機では、ベルトとプーリとの間に生じる摩擦力や、ディスクとローラとの間に介在する油膜のせん断力を利用してトルクを伝達するから、その伝達トルク容量はその摩擦力やせん断力によって制限を受ける。したがって上記の無段変速機にその伝達トルク容量以上のトルクが作用すると、ベルトとプーリとの間もしくはディスクとローラとの間で滑りが生じる。
【0003】
無段変速機で過剰な滑りが生じた場合、プーリやディスクなどにおけるトルク伝達面に摩耗や凝着などの損傷が生じることがある。それを回避するために、ベルトやローラを挟み付ける挟圧力を高くして伝達トルク容量を増大させることが考えられるが、挟圧力を高くすると動力の伝達効率が低下し、例えば車両においては無段変速機を使用することの利点が損なわれてしまう。
【0004】
そのため、従来では、滑りを検出し、検出された滑りに対応する制御を実行することにより、挟圧力を特には高くしないで無段変速機を運転するようにしている。その滑りの検出のために、例えば特開平6−11022号公報(特許文献1)に記載された装置では、実変速変化率と理論変速変化率とを比較し、実変速変化率が大きくなった時点でベルトの滑りが生じたことを検出し、その検出信号に基づいて、ライン圧を増大させるように構成されている。
【特許文献1】
特開平6−11022号公報(段落(0055)〜(0056))
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1に記載された発明では、理論変速変化率を変速制御弁の制御量を含む各種の情報に基づいて算出している。したがって変速制御弁の制御量と変速変化率とが一対一に対応していることを前提とした制御をおこなうことになる。しかしながら、無段変速機の油圧制御装置あるいはその油圧制御装置を構成している各種機器には、不可避的な個体差があり、また油圧の漏れなどがあるために、変速制御部の制御量と理論変速変化率との対応関係が必ずしも正確なものとはならない場合がある。すなわち理論変速変化率には不可避的なばらつきがあるために、これと実変速変化率との比較結果が必ずしも正確にベルトの滑りを表していない場合があり、その結果、無段変速機での滑りを誤検出する可能性がある。
【0006】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、無段変速機で滑りを正確に検出して対応制御を実行することの可能な制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】
この発明は、上記の目的を達成するために、いわゆる変速比の実変化状態と目標変化状態との比較によって、滑りを検出することを特徴とするものである。より具体的には、請求項1の発明は、実際に生じている変速比の変化の状態に基づいて無段変速機における滑りを判定する無段変速機の制御装置において、実際に生じている変速比の変化率と目標とする変速比の変化率とを比較して、もしくは実際に生じている変速比の変速速度と目標とする変速比の変速速度とを比較して、もしくは実際に生じている変速比と目標とする変速比とを比較して前記滑りを判定する滑り判定手段と、前記無段変速機の入力回転速度と出力回転速度との相関に基づいて算出される相関係数とその相関係数の大小を判断するために定められた閾値との大小を比較して前記滑りを判定する他の滑り判定手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0008】
したがって請求項1の発明では、無段変速機の運転状態などに基づくいわゆる目標とする変速比の変化の状態と、いわゆる実際の変速比の変化の状態とが比較され、その比較結果に基づいて滑りが検出される。例えば、指令された変速がアップシフトにもかかわらず、実際の変速がダウンシフトになっているような場合には、滑りが検出される。
【0010】
また、いわゆる前記変速比の目標変化状態と実変化状態との比較に基づく滑りの検出と、相関係数に基づく滑りの検出との、少なくとも二つの手段によって滑りが検出される。その結果、より確実に滑りが検出される。
【0011】
請求項2の発明は請求項1の構成に加えて、前記滑りの判定が成立した場合に、前記無段変速機についてその滑りに対応した制御を実行する対応制御手段を更に備えていることを特徴とする制御装置である。
【0012】
したがって請求項2の発明では、滑りが検出されると、その滑りに対応した制御が実行され、滑りが防止、または抑制される。
【0013】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする車両の駆動系統およびその制御系統について説明すると、図4は、ベルト式無段変速機1を変速機として含む駆動系統を模式的に示しており、その無段変速機1は、前後進切換機構2を介して動力源3に連結されている。
【0014】
その動力源3は、内燃機関、あるいは内燃機関と電動機、もしくは電動機などによって構成され、要は、走行のための動力を発生する駆動部材である。なお、以下の説明では、動力源3をエンジン3と記す。また、前後進切換機構2は、エンジン3の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、入力されたトルクをそのまま出力し、また反転して出力するように構成されている。
【0015】
図4に示す例では、前後進切換機構2としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、サンギヤ4と同心円上にリングギヤ5が配置され、これらのサンギヤ4とリングギヤ5との間に、サンギヤ4に噛合したピニオンギヤ6とそのピニオンギヤ6およびリングギヤ5に噛合した他のピニオンギヤ7とが配置され、これらのピニオンギヤ6,7がキャリヤ8によって自転かつ公転自在に保持されている。そして、二つの回転要素(具体的にはサンギヤ4とキャリヤ8と)を一体的に連結する前進用クラッチ9が設けられ、またリングギヤ5を選択的に固定することにより、出力されるトルクの方向を反転する後進用ブレーキ10が設けられている。
【0016】
無段変速機1は、従来知られているベルト式無段変速機と同じ構成であって、互いに平行に配置された駆動プーリ11と従動プーリ12とのそれぞれが、固定シーブと、油圧式のアクチュエータ13,14によって軸線方向に前後動させられる可動シーブとによって構成されている。したがって各プーリ11,12の溝幅が、可動シーブを軸線方向に移動させることにより変化し、それに伴って各プーリ11,12に巻掛けたベルト15の巻掛け半径(プーリ11,12の有効径)が連続的に変化し、変速比が無段階に変化するようになっている。そして、上記の駆動プーリ11が前後進切換機構2における出力要素であるキャリヤ8に連結されている。
【0017】
なお、従動プーリ12における油圧アクチュエータ14には、無段変速機1に入力されるトルクに応じた油圧(ライン圧もしくはその補正圧)が、図示しない油圧ポンプおよび油圧制御装置を介して供給されている。したがって、従動プーリ12における各シーブがベルト15を挟み付けることにより、ベルト15に張力が付与され、各プーリ11,12とベルト15との挟圧力(接触圧力)が確保されるようになっている。これに対して駆動プーリ11における油圧アクチュエータ13には、設定するべき変速比に応じた圧油が供給され、目標とする変速比に応じた溝幅(有効径)に設定するようになっている。なお、圧油の給排の制御は油圧アクチュエータ13に接続されたデューティソレノイドバルブのデューティ比制御によりおこなわれる。
【0018】
上記の従動プーリ12が、ギヤ対16を介してディファレンシャル17に連結され、このディファレンシャル17から駆動輪18にトルクを出力するようになっている。
【0019】
上記の無段変速機1およびエンジン3を搭載した車両の動作状態(走行状態)を検出するために各種のセンサーが設けられている。すなわち、エンジン3の回転数を検出して信号を出力するエンジン回転数センサー19、駆動プーリ11の回転数を検出して信号を出力する入力回転数センサー20、従動プーリ12の回転数を検出して信号を出力する出力回転数センサー21が設けられている。また、特には図示しないが、アクセルペダルの踏み込み量を検出して信号を出力するアクセル開度センサー、スロットルバルブの開度を検出して信号を出力するスロットル開度センサー、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に信号を出力するブレーキセンサーなどが設けられている。さらに、ベルト挟圧力を設定するための従動プーリ12側の油圧アクチュエータ14の圧力を検出する油圧センサー24も設けられている。
【0020】
上記の前進用クラッチ9および後進用ブレーキ10の係合・解放の制御、および前記ベルト15の挟圧力の制御、ならびに変速比の制御をおこなうために、変速機用電子制御装置(CVT−ECU)22が設けられている。この電子制御装置22は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータに基づいて所定のプログラムに従って演算をおこない、前進や後進あるいはニュートラルなどの各種の状態、および要求される挟圧力の設定、ならびに変速比の設定などの制御を実行するように構成されている。
【0021】
ここで、変速機用電子制御装置22に入力されているデータ(信号)の例を示すと、無段変速機1の入力回転数Ninの信号、無段変速機1の出力回転数Noutの信号が、それぞれに対応するセンサ20,21から入力されている。また、エンジン3を制御するエンジン用電子制御装置(E/G−ECU)23からは、エンジン回転数Ne の信号、スロットル開度信号、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量であるアクセル開度信号などが入力されている。
【0022】
無段変速機1によれば、入力回転数であるエンジン回転数を無段階に制御できるので、これを搭載した車両の燃費を向上できる。例えば、アクセル開度などによって表される要求駆動量と車速とに基づいて目標駆動力が求められ、その目標駆動力を得るために必要な目標出力が目標駆動力と車速とに基づいて求められ、その目標出力を最適燃費で得るためのエンジン回転数が予め用意したマップに基づいて求められ、そして、そのエンジン回転数となるように変速比が制御される。
【0023】
上記の無段変速機1を対象としたこの発明による制御装置は、無段変速機1での滑りを検出するとともに、その検出結果に応じた制御を実行するように構成されている。その制御例を図1に示してあり、先ず、変速指令について判断される。具体的には、アップ変速指令が出力されているか否かが判断される(ステップS1)。変速比を小さくするアップ変速指令が出力されていることによりステップS1で肯定的に判断された場合には、その変速の状態が判断される。例えばアップ変速デューティ比が判断の基準となる所定値より大きいか否かが判断される(ステップS2)。このステップS2で否定的に判断された場合にはアップ変速デューティ比変化率が他の所定値より大きいか否かが判断される(ステップS3)。
【0024】
これらステップS2およびステップS3は急速にアップシフトする状態か否かを判断するためのものであり、したがって、いずれかのステップS2,S3で肯定的に判断された場合には、変速比変化率(変速速度)が予め設定された所定値よりも大きいか否かの判断がおこなわれる(ステップS4)。ここで、変速比γは入力回転数Nin(i) と出力回転数Nout(i)との比(Nin(i)/Nout(i) )であるから、その変化率が所定値より大きければ、変速比が増大していること、すなわちダウンシフトしていることになる。このような状況は加速要求によってエンジン出力を増大させた際にベルト滑りが生じ、その結果、入力回転数が増大する場合に生じる。したがって、ステップS4で肯定的に判定された場合には、ベルト15の滑りが発生しているとの判定が行われる(ステップS5)。
【0025】
したがって、これに続くベルト滑りの有無の判断ステップ(ステップS6)で、肯定的に判断され、その場合は滑りに対応した制御が実行される(ステップS7)。例えば、ベルト挟圧力が増大させられる。その場合、入力トルクに対応させて設定してあるベルト挟圧力を補正し、マップ値を更新することが好ましい。なお、アップ変速デューティ比が所定値より大きいことにより、ステップS2で肯定的に判断された場合は、直ちにステップS4に進んで、変速比変化率について判断される。
【0026】
また、アップ変速デューティ比変化率が他の所定値以下であることによりステップS3で、否定的に判断された場合、および、変速比変化率が所定値以下であることによりステップS4で否定的に判断された場合には、ステップS6に進んで、ベルト滑りが発生したか否かが判断される。
【0027】
このステップS6におけるベルト滑りの判断は、入出力回転数Nin(i),Nout(i)の相関係数などに基づいておこなうことができる。このステップS6で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなくこのルーチンを終了する。
【0028】
一方、ステップS1で否定的に判断された場合にも、その変速の状態が判断される。例えばダウン変速デューティ比が判断の基準となる所定値より大きいか否かが判断される(ステップS8)。このステップS8で否定的に判断された場合にはダウン変速デューティ比変化率が他の所定値より大きいか否かが判断される(ステップS9)。
【0029】
これらステップS8およびステップS9は急速にダウンシフトする状態か否かを判断するためのものであり、したがって、いずれかのステップS8,S9で肯定的に判断された場合には、変速比変化率(変速速度)が予め設定された所定値よりも小さいか否かの判断がおこなわれる(ステップS10)。ここで、変速比γは入力回転数Nin(i) と出力回転数Nout(i)との比(Nin(i)/Nout(i) )であるから、その変化率が所定値より小さければ、変速比が減少していること、すなわちアップシフトしていることになる。このような状況は減速要求によってエンジン出力を減少させた際にベルト滑りが生じ、その結果、入力回転数が減少する場合に生じる。したがって、ステップS10で肯定的に判定された場合には、ベルト15の滑りが発生しているとの判定が行われる(ステップS5)。
【0030】
したがって、これに続くベルト滑りの有無の判断ステップ(ステップS6)で、肯定的に判断され、その場合は滑りに対応した制御が実行される(ステップS7)。例えば、ベルト挟圧力が増大させられる。その場合、入力トルクに対応させて設定してあるベルト挟圧力を補正し、マップ値を更新することが好ましい。
【0031】
なお、ダウン変速デューティ比が所定値より大きいことにより、ステップS8で肯定的に判断された場合は、直ちにステップS10に進んで、変速比変化率について判断される。また、このステップS10で、否定的に判断された場合には、ステップS6に進んで、ベルト15の滑りが判断される。
【0032】
また、ダウン変速デューティ比変化率が他の所定値以下であることによりステップS8で否定的に判断された場合、および、変速比変化率が所定値以下であることによりステップS9で否定的に判断された場合には、ステップS6に進んで、ベルト15の滑りが発生したか否かが判断される。
【0033】
さらに、この発明では、無段変速機1の入力回転数と出力回転数の相関係数に基づいて、ベルト15の滑りを検出する手段を併用してもよい。
【0034】
図2において、先ず、無段変速機1の入力回転数Ninと出力回転数Nout とが読み取られる(ステップS11)。また、その計測された回転数Nin,Nout を使用して相関係数Kが算出される(ステップS12)。なお、これらの入出力回転数Nin,Nout は、前記入力回転数センサー20および出力回転数センサー21によって検出された回転数である。また、相関係数Kは、無段変速機1についての入力回転数と出力回転数との関係を示す係数であって、一般式で示せば、式1のとおりであり、その詳細は例えば特願2001−302181号の願書に添付されている明細書に記載されている。
【式1】
【0035】
ついで、ステップS13では、無段変速機1に急変速の要求があるか否かが判断される。この判断は、設定すべき変速比が現在時点の変速比と大きく離れていることに基づいて判断することができ、例えば、アクセルペダルが最大限に踏み込まれたキックダウンや、マニュアル操作によるダウンシフトなどの場合に急変速の要求のあったことが判断される。換言すれば、ステップS13では、変速の種類を判別している。
【0036】
このステップS13で肯定的に判断された場合、急変速用のしきい値が設定される(ステップS14)。このしきい値は、前述した相関係数Kに基づいて無段変速機1での滑りを判定するためのしきい値であり、一例として車速毎の変速速度に応じて予め定めた値である。
【0037】
すなわち、上記の式1を、n=3でかつ入力回転数Ninおよび変速速度Δγが一定として書き直すと、下記の式2となる。
【式2】
ここで、γは入力回転数Nin(i) と出力回転数Nout(i)との比(Nin(i)/Nout(i) )であり、tは1ルーチンの演算時間である。したがって、相関係数Kは、Δγ/γの関数で表され、変速速度Δγが大きいほど、また変速比γが小さいほど、相関係数が小さくなる。
【0038】
相関係数のこのような変化に対応するために、無段変速機1での滑りを判定するしきい値を、時々刻々のΔγ/γの値により設定してもよいが、演算時間が短い場合には、変速速度Δγのバラツキが大きくなる可能性があるため、目標とする変速速度(車速のマップ値)に基づいて算出した変速速度Δγと変速比γとから相関係数のしきい値を設定する。こうすることにより、相関係数の変動に対応した判定が可能になって滑りの検出精度が向上する。
【0039】
しかしながら、キックダウンやマニュアルダウンなどの急な変速が要求される場合には、駆動プーリ11の目標回転数がステップ的に上昇して変速速度Δγが大きくなるため、急変速用に設定した他のしきい値を使用する。これは、例えば図3に示すマップ値として予め用意することができ、上記のステップS14でその急変速用マップに基づいてしきい値を設定する。
【0040】
一方、上記のステップS13で否定的に判断された場合には、通常変速用のしきい値が設定される(ステップS17)。そのしきい値は、変速速度および変速比あるいは車速に応じて、マップとして予め用意したものであってよい。
【0041】
滑り判定のためのしきい値を上記のようにステップS14あるいはステップS17で設定した後、前記ステップS12で算出した相関係数Kが、しきい値より小さいか否かが判断される(ステップ15)。相関係数Kは、上記の式1から知られるように、無段変速機1に滑りが生じて入力回転数と出力回転数とのいずれか一方が変化すると小さい値に変化する。したがって相関係数Kがしきい値より小さいことによりステップS15で肯定的に判断されると、ベルト滑りの生じたことの判断が成立する(ステップS16)。その場合、ベルト挟圧力の増大や無段変速機1に対する入力トルクの低下制御などのベルト滑りに対応した制御が実行される。これに対してステップS15で否定的に判断された場合には、ベルト滑りの生じていないことの判断が成立する(ステップS18)。
【0042】
無段変速機1の入力回転速度と出力回転速度とに基づいて定まる相関係数が、変速速度や変速比あるいは変速の種類によって変化することを考慮し、相関係数に基づく滑り判定のしきい値を、変速速度や変速比あるいは変速の種類もしくは車速に基づいて設定するから、滑りの判定精度が向上し、例えば変速時での滑りの誤判定を回避もしくは抑制することができる。
【0043】
ここで、上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図1に示すステップS4,ステップS5,ステップS6,ステップS10の機能的手段が、請求項1の発明における滑り判定手段に相当する。
【0044】
また、図2に示すステップS11ないしステップS18の機能的手段が、請求項1の発明における他の滑り判定手段に相当する。
【0045】
さらに、図1に示すステップS7の機能的手段が請求項2の発明における対応制御手段に相当する。
【0046】
なお、この発明で対象とする無段変速機は、図4に示すベルト式無段変速機に限定されない。すなわち、トラクション式無段変速機の滑りを検出する装置にも適用することができる。また上記具体例では、変速比の変化率を所定の値と比較したが、変速比の変化率が所定の値を超えている時間で判断してもよい。さらに、上記具体例では変速比の変化率を所定値と比較しているが、変速比の変化率の代わりに、実変速比と目標変速比との差(アップの場合)、または、目標変速比と実変速比との差(ダウンの場合)としてもよい。これは、要は、変速比の必要以上の変化が発生しているかどうかが検出できればよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、無段変速機の運転状態などに基づく目標とする変速比の変化の状態と、実際の変速比の変化の状態とが比較され、その比較結果に基づいて滑りが検出されるので、無段変速機の実情を反映させながら、より確実に滑りを検出することができる。
【0048】
また、前記変速比の目標変化状態と実変化状態との比較に基づく滑りの検出と、相関係数に基づく滑りの検出との、少なくとも二つの手段によって滑りが検出されるので、より確実に滑りが検出される。
【0049】
したがって請求項2の発明では、滑りが検出されると、その滑りに対応した制御が実行され、滑りを防止、または抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の滑り検出装置による制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【図2】 相関係数に基づいて滑りを判定する制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【図3】 滑り判定しきい値を変速比と車速とをパラメータとして定めたマップの一例を示す概念図である。
【図4】 この発明で対象とする無段変速機を含む駆動装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…無段変速機、 11…駆動プーリー、 12…従動プーリー、 15…ベルト、 18…駆動輪、 22…変速機用電子制御装置(CVT−ECU)。
Claims (2)
- 実際に生じている変速比の変化の状態に基づいて無段変速機における滑りを判定する無段変速機の制御装置において、
実際に生じている変速比の変化率と目標とする変速比の変化率とを比較して、もしくは実際に生じている変速比の変速速度と目標とする変速比の変速速度とを比較して、もしくは実際に生じている変速比と目標とする変速比とを比較して前記滑りを判定する滑り判定手段と、
前記無段変速機の入力回転速度と出力回転速度との相関に基づいて算出される相関係数とその相関係数の大小を判断するために定められた閾値との大小を比較して前記滑りを判定する他の滑り判定手段と
を備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 前記滑りの判定が成立した場合に、前記無段変速機についてその滑りに対応した制御を実行する対応制御手段を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の制御装置。
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