JP3825264B2 - 内燃機関排ガス浄化触媒とそれを用いた内燃機関及びその排ガス浄化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,理論空燃比よりも燃料が希薄なリーンバーン状態で運転される内燃機関において、リーンバーン排ガスに含まれるNOxを浄化するのに好適な新規な排ガス浄化触媒とその装置及び排ガス浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、空燃比を燃料希薄とするリーンバーンエンジンが注目されている。ここで空燃比とはガス中の空気と燃料の比を表す。リ−ンバ−ンエンジンの排ガスは、理論空燃比(ストイキ)用エンジンの排ガス浄化に従来使用されてきた三元触媒ではNOxを浄化するのが難しい。この為、リーンバーンエンジン用の排ガス浄化触媒が検討されている。その一つに特開平11-319564号公報に記載された触媒がある。該公報には、多孔質担体に、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属の中から選ばれた少なくとも1種のNOx吸蔵元素の酸化物と触媒貴金属とを担持するか、又は両者を複合化して担持しかつMn及び銅の少なくとも1種を担持又は複合化してなるNOx浄化触媒が記載されている。また特開平10-212933号公報には、燃料希薄燃焼時に排ガス中のNOxを化学吸着し、還元雰囲気に切り替えた時に化学吸着されているNOxを接触還元するNOx吸着還元触媒を内燃機関の排気通路に設置することが記載されている。
【0003】
また、KとMnを含む触媒は特開平8-281110号公報、特開平11-104493号公報、特開平10-99687号公報、特開平7-16466号公報、特開平10-192713号公報にも示されている。
【0004】
更に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の1種以上とMnとを含む触媒は特開平2000-176249号公報、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の1種以上を含む触媒は特開平10-212933号公報に示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、自動車に対する環境規制が強化される中、リ−ンバ−ンエンジン用の排ガス浄化触媒は、300〜500℃の高温域までの広い温度範囲での高いNOx浄化性能、耐久性能が求めらているが、上述の公報に示された触媒では十分ではない。
【0006】
本発明の目的は、800℃程度の高温に長時間曝された後、或いは排ガス中のSOxによって被毒された後でも300〜500℃のような高温域を含む広い温度範囲で高いNOx浄化性能を有し、高いNOx浄化性能を長期に亘って維持することのできるリーンバーン対応の排ガス浄化触媒とそれを用いた内燃機関及びその排ガス浄化方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、理論空燃比よりも希薄な空燃比で運転を行うリーン燃焼運転タイプの内燃機関の排気系に、Rh,Pt,Pdから選ばれた少なくとも一種と、アルカリ金属から選ばれた少なくとも1種と、CaCO3と、Mnを触媒活性成分として含むNOx浄化触媒を備えたことにある。このNOx浄化触媒は、触媒に流入する排ガスの空燃比がリーンの状態のときには排ガス中のNOxを捕捉するとともに一部のNOxをN2へと還元する。触媒に流入する排ガスの空燃比がリーンの状態からリッチ或いはストイキの状態に切り替えられると、該触媒に捕捉されていたNOxはN2へと還元される。従って本発明によれば内燃機関をリーンの状態で運転し、NOx浄化触媒による排ガス浄化性能が低下してきたならば内燃機関の運転状態をリーンの状態からストイキ又はリッチの状態に切り替えることによってリーン排ガス中のNOxを高度に浄化することができる。
【0008】
活性成分として更にCaとMnの複合酸化物を含むことにより触媒の耐熱性が高められ、活性成分としてNa,Kから選ばれた少なくとも1種を含むことによりNOxの捕捉力を高めることができる。
【0009】
貴金属としてRh,Pt,Pdの3種を含むことが望ましい。これにより、酸化力及び還元力が強まり、排ガス浄化性能が向上する。
【0010】
活性成分としてTi,Siの少なくとも1種、Mg,Sr,Ba等を含むアルカリ土類金属、及び希土類金属を含むことができる。Ti,Siを含むことにより耐SOx性が向上し、Mg,Sr,Ba等のアルカリ土類金属を含むことにより触媒の耐熱性が高められ、P,Bを含むことにより耐熱性、耐SOx性が向上し、希土類金属を含むことにより耐熱性、耐SOx性が向上する。
【0011】
本発明においてRh,Pt,Pd,Na,K,Li,CaCO3,Mn及びCeを活性成分とし、これらの活性成分を多孔質のアルミナからなる担体に担持した触媒は、リーンでのNOx浄化性能が非常に優れている。またリーン状態からストイキ或いはリッチに切り替えた時の触媒再生性能が優れる。
【0012】
本発明は、前述の排ガス浄化触媒を備えた内燃機関の排ガス浄化装置にあり、内燃機関の排ガス浄化装置の一例として前記した排ガス浄化触媒の状態を評価して内燃機関をリーン運転状態からストイキもしくはリッチ運転状態に切り替え、その後再びリーン運転状態に戻す制御を行うエンジン制御ユニット(ECU)を備えたもの等が考えられる。また、前記した排ガス浄化触媒を排気系に備えた内燃機関をリーン状態で運転し、その後ストイキもしくはリッチ状態に切り替え、再びリーン状態にして排ガス浄化を行うようにした内燃機関の排ガス浄化方法にある。
【0013】
本発明においてNOx捕捉還元とは、酸化雰囲気排ガス(リーン排ガス)中のNOxを捕捉し、その後還元雰囲気排ガス(ストイキ又はリッチ排ガス)中で同排ガス中に含まれる炭化水素、一酸化炭素、水素等の還元剤を用いて捕捉されたNOxを還元浄化することを言う。従って本発明の触媒にはNOxを捕捉する捕捉成分と捕捉されたNOxを還元剤により還元浄化する還元浄化成分が必要となる。
【0014】
本発明の触媒において、アルカリ金属は金属或いは酸化物の形態で存在し、排ガス中のNOxを触媒表面上に引きつける、または捕捉する役割を持つと考えられる。
【0015】
アルカリ金属の担持量は多孔質担体1.9mol部に対して金属換算で、1種類当り0.05〜2mol部が好ましい。ここでmol部とは、各成分のmol数換算での含有比率を表したものであり、例えばA成分1.9mol部に対してB成分の担持量が2mol部ということは、A成分の絶対量の多少に関わらず、mol数換算でAが1.9に対しBが2の割合で担持されていることを意味する。アルカリ金属担持量が一種類当り0.05mol部より少ない場合には、アルカリ金属担持による活性向上効果は必ずしも十分とはなり得ず、一方2mol部より多いとアルカリ金属自身の比表面積が低下するため好ましくない。担持されるアルカリ金属は一種でもよいが2種以上担持されていると更に活性が向上する。アルカリ金属を2種以上組み合わせることにより、触媒に新たな活性点が生ずる為と思われる。
【0016】
CaCO3は触媒の耐熱性を高める役割を持つと考えられる。Caを金属、或いはCaCO3以外の酸化物、水酸化物等の化合物として含んでも良いが触媒の耐熱性を高めるにはCaCO3が良い。その為にはCa原料としてCaCO3を使用するものである。後述するように、Ca原料として硝酸塩を用いると耐熱性が向上しない。
【0017】
CaCO3の担持量は多孔質担体1.9mol部に対して金属換算で、一種類当り0.01〜2mol部が好ましい。CaCO3担持量が一種類当り0.01mol部より少ない場合には、CaCO3担持による活性向上効果は必ずしも十分とはなり得ず、一方2mol部より多いとCaCO3自身の比表面積が低下するため好ましくない。
【0018】
Mnは金属または酸化物の形態、もしくはアルカリ金属、Ca、Alから選ばれた少なくとも1種との複合酸化物の形態で存在し、酸化雰囲気下においてNOのNO2への酸化を促進する働きを持つものと考えられる。CaとMnとの複合酸化物を形成するとMnの熱による凝集が抑制でき、触媒の耐熱性が高まる。更にアルカリ金属、特にNa、KとMnとの複合酸化物を形成すると、NOx捕捉材の耐熱性、耐SOx性が向上し、結果として触媒の耐熱性、耐SOx性が向上する。
【0019】
本発明は、多孔質担体に触媒活性成分を担持させる方法として、前記多孔質担体に前記触媒活性成分を有する溶液に浸漬させることにより、Caの一部又は全部をCaCO3の形態及びMnの少なくとも1種を含む層、貴金属の少なくとも1種を含む層及び、アルカリ金属の少なくとも1種を含む層を順次形成されことが好ましい。
【0020】
触媒調製時のMnを混ぜる順序、或いは焼成温度等をコントロ−ルすることにより、金属や酸化物の形態や複合酸化物の形態で存在させることができる。Caを含む溶液とMnを含む溶液を同時に触媒に担持し、焼成することによりCaとMnとの複合酸化物の生成が促進される。
【0021】
CaとMnとの複合酸化物としてはCa2Mn3O8, Ca2Mn2O5, Ca2MnO4, CaMn2O4, Ca3Mn2O7, CaMn4O8, CaMn2O4, Ca4Mn3O10, CaMn3O7, CaMn3O6, CaMnO3, CaMnO2.5, CaMn4O7, CaMn7O12, Ca0.8Mn8O16, Ca2Mn8O16, Ca0.9Mn0.1O等がある。
【0022】
NaとMnとの複合酸化物としてはNa0.91MnO2,β-Na0.7MnO2,α-Na0.7MnO2.05,Na2Mn5O10,β-Na3MnO4,Na4Mn9O18,γ-Na3MnO4,Na4MnO4,NaMn7O12,Na2Mn8O16,Na0.2MnO2,Na5MnO4,α-NaMnO2,β-NaMnO2,Na4Mn14O27・21H2O,(Na,Mn)4Mn12O28・8H2O,NaMn6O12・3H2O,Na0.55Mn2O4・1.5H2O,NaMnO4・3H2O,Na3Li5Mn5O9,Na1.9K0.1Mn2O5,KNaMnO2等がある。KとMnとの複合酸化物としては、K2Mn4O9,KMnO2,K2Mn4O8,K4Mn7O16,K0.47Mn0.94O2,KxMnO2,K0.7MnO2,K3(MnO4)2,KMnO4,KMn8O16,K2MnO4,KMnO2,K3MnO4,K4MnO4,γ-K3MnO4,β-K3MnO4,K6Mn2O6,K2Mn2O3,KMn8O16,K0.5Mn2O4・1.5H2O,KLiMnO2等がある。
【0023】
Mn担持量は多孔質担体1.9mol部に対して元素換算で、0.01mol部以上2mol部以下とすることが好ましい。Mn担持量が0.01mol部より少ないとMn担持効果は不十分となり、2mol部より多いと触媒の比表面積が低下するため好ましくない。
【0024】
またRh,Pt,Pdの少なくとも一種を触媒中に含むことにより、触媒のNOx浄化性能、耐熱性能、耐SOx性能が向上する。担持されるRh,Pt,Pdは一種でもよいが二種以上担持されていると更に活性が向上する。貴金属同士が相互作用を及ぼしあっているためと考えている。
【0025】
貴金属の担持量は多孔質担体1.9mol部に対して金属換算で少なくとも一種を各々、Ptの場合は0.002mol部以上0.05mol部以下、Rhの場合は0.0003mol部以上0.01mol部以下、Pdの場合は0.001部以上0.2mol部以下とすることが望ましい。貴金属の担持量が上記範囲に示す量より少ないと貴金属添加効果は小さく、上記範囲に示す量より多いと貴金属自身の比表面積が小さくなり、やはり貴金属添加効果が小さくなる。
【0026】
上記触媒成分に加えて更にTi,Siの少なくとも1種を担持させると触媒の耐熱性、耐SOx性が向上する。Ti,Siは金属または酸化物の形態、もしくはアルカリ金属、アルカリ土類金属から選ばれた少なくとも1種との複合酸化物の形態で存在し、酸化雰囲気下においてNOxを捕捉する働き、及び還元剤であるCO,炭化水素等を触媒表面上に引きつける役割を持つものと考えられる。特にNaやKと複合酸化物を形成することにより、NOx捕捉材の耐熱性、耐SOx性を向上させ、結果として触媒の耐熱性、耐SOx性を向上させる働きがある。触媒調製時のTi,Siを混ぜる順序、或いは焼成温度等をコントロ−ルすることにより、酸化物の形態や複合酸化物の形態で存在させることができる。
【0027】
NaとTi,Siとの複合酸化物としてNa2Ti3O7,Na2Ti4O9,Na2Ti6O13,Na4Ti5O12,Na0.23TiO2,γ-Na2TiO3,Na2Ti9O19,Na4Ti3O8,Na4TiO4,Na8Ti5O14,Na2TiO3,β-Na2TiO3,NaTiO2,Na0.46TiO2,Na2TiO4・H2O, Na4SiO4, Na2Si2O5, Na2Si4O9, Na6Si8O1 9, Na4SiO4, Na2SiO3, Na2SiO3・6H2O等が考えられる。
【0028】
KとTi,Siとの複合酸化物としてK2Ti4O9, K2Ti8O17, K2Ti6O13, K6Ti4O11, K2Ti2O5, K3Ti8O17, KTi8O16, K4TiO4, K4Ti3O8, K2TiO3, K6Ti4O11, K6Si3O9, K2Si4O9, K2Si2O5, α-K2SiO3,β-K2SiO3, K2Si4O9等が考えられる。
【0029】
Ti, Si担持量は多孔質担体1.9mol部に対して元素換算で、少なくとも一種を各々0.01mol部以上2mol部以下とすることが好ましい。Ti,Si担持量が0.01mol部より少ないとTi,Si担持効果は不十分となり、2mol部より多いと触媒の比表面積が低下するため好ましくない。
【0030】
また、更にMg,Sr,Baを組み合わせるとアルカリ金属同士を組み合わせた場合と同様、活性向上が見られる。更にMg,Sr,Baを組み合わせることにより触媒に新たな活性点が生じ、NOx捕捉能力が高まる為ではないかと考えられる。Mg,Sr,Baを更に担持する場合、アルカリ金属の場合と同様の理由により、その担時量は多孔質担体1.9mol部に対して金属換算で、一種類当り0.01mol部以上3mol部以下が好ましい。
【0031】
上記触媒成分に加えて更にB,Pの少なくとも1種を担持させると触媒の耐熱性、耐SOx性が向上する。B,Pは単体または酸化物の形態、もしくはアルカリ金属、アルカリ土類金属から選ばれた少なくとも1種との複合酸化物の形態で存在し、酸化雰囲気下においてNOxを捕捉する働き、及び還元剤であるCO,炭化水素等を触媒表面上に引きつける役割を持つものと考えられる。特にNaやKと複合酸化物を形成することにより、NOx捕捉材の耐熱性を向上させ、結果として触媒の耐熱性を向上させる働きがある。触媒調製時のB,Pを混ぜる順序、或いは焼成温度等をコントロールすることにより、酸化物の形態や複合酸化物の形態で存在させることができる。
【0032】
NaとB,Pとの複合酸化物としてγ-Na2B18O28,β-Na2B6O10,β-Na2B4O7,Na4B10O17,Na2B4O7,NaB3O5,Na5B2O6,Na4B2O5,Na3BO3,NaBO3・4H2O,Na2B2O4・H2O, β-Na2B2O4,NaB5O8・5H2O,NaBO2・H2O,Na10B4O11,NaPO3,Na3PO4,Na3P3O9・3H2O,Na5P3O10・6H2O,Na4P2O6・10H2O,Na3PO4・12H2O, Na4P2O7・2H2O, Na8P8O24・6H2O等が考えられる。
【0033】
KとB,Pとの複合酸化物としてKB5O8, K2B8O13,KB3O5,KBO2,K2B4O7・2H2O,KB5O8・4H2O,K4B10O17・3H2O, KBO3・H2O, KP6O18, KPO3, K5P3O10,K4P2O7, K3PO4, K4P2O7・3H2O,K3PO4・3H2O等が考えられる。B,P担持量は多孔質担体1.9mol部に対して元素換算で、少なくとも一種を各々0.01mol部以上2mol部以下とすることが好ましい。B,P担持量が0.01mol部より少ないとB,P担持効果は不十分となり、2mol部より多いと触媒の比表面積が低下するため好ましくない。
【0034】
多孔質担体は触媒活性成分の分散性を高める役割をするものと考えられる。多孔質担体は基材上に担持しても良く、その場合基材1Lに対し多孔質担体の担持量を0.3mo1以上4mo1以下とするとNOx浄化性能にとって好ましい。多孔質担体の担持量が0.3mo1部より少ないと多孔質担体の効果は不十分となり、4mo1部より多いと多孔質担体自体の比表面積が低下するため好ましくない。
【0035】
多孔質担体としては、アルミナのほかにチタニア、シリカ、シリカ-アルミナ、ジルコニア、マグネシア等の金属酸化物や複合酸化物等を用いることができる。本発明の触媒は、ハニカム構造等の基材にコ−ティングして用いることができる。基材はコ−ジェライトが最適であるが、金属製のものを用いても良好な結果を得ることができる。
【0036】
上記成分に加えて、希土類金属の少なくとも1種を担持させると、よりNOx浄化性能及び高温耐久性能が向上する。この場合、多孔質担体1.9mo1部に対して金属換算で、希土類金属の少なくとも1種を0.02mo1部以上1mo1部以下含むことが好ましい。0.02mo1部より少ないと希土類金属添加効果が不十分であり、1mo1部より多いと触媒の比表面積が低下するため好ましくない。希土類金属としてはLa,Nd,Ceが好ましい。
【0037】
上記NOx浄化触媒により酸化雰囲気におけるNOx浄化が可能である。更に、NOx触媒組成としてRh,Pt,Pdの少なくとも一種が含まれている為、三元触媒機能(還元雰囲気ガス中のNOx浄化能力)を有する。三元触媒機能を高める為には上記NOx浄化触媒が酸素ストレ−ジ機能を持っていることが望ましい。酸素ストレ−ジ機能を有する材料としてCeを含有させることが好適である。
【0038】
また、上記触媒のみでも炭化水素およびCOの除去性能があるが、その性能が不十分な場合、その触媒の前段または後段または両方に炭化水素およびCOの燃焼触媒を設置して内燃機関からの燃焼排ガスを浄化するのも好ましい方法である。
【0039】
本発明による排ガス浄化触媒の形状は、用途に応じ各種の形状で適用できる。コージェライト、ステンレス等の各種材料からなるハニカム構造体に各種成分を担持した触媒粉末をコーティングして得られるハニカム形状を始めとし、ペレット状、板状、粒状、粉末状等として適用できる。
【0040】
排ガス浄化触媒の調製方法は、含浸法、混練法、共沈法、ゾルゲル法、イオン交換法、蒸着法等の物理的調製方法や化学反応を利用した調製方法等いずれも適用可能である。
【0041】
排ガス浄化触媒の出発原料としては、Ca以外は硝酸化合物、酢酸化合物、錯体化合物、水酸化物、炭酸化合物、有機化合物などの種々の化合物や金属及び金属酸化物を用いることができる。Caは炭酸塩を用いるものである。
【0042】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の排ガス浄化装置の一実施態様を示す装置の全体構成である。本発明の浄化装置はリ−ンバ−ン可能なエンジン99、エアフロ−センサ−2、スロットバルブ3等を擁する吸気系、酸素濃度センサ−(又はA/Fセンサ−)7、排ガス温度センサ−8、触媒出口ガス温度センサ−9、排ガス浄化触媒10等を擁する排気系及び制御ユニット(ECU)11等から構成される。ECUは入出力インタ−フェイスとしてのI/O、LSI、演算処理装置MPU、多数の制御プログラムを記憶させた記憶装置RAM及びROM、タイマ−カウンタ−等により構成される。
【0043】
以上の排気浄化装置は以下のように機能する。エンジンへの吸入空気はエアクリ−ナ−1によりろ過された後エアフロ−センサ−2により計量され、スロットバルブ3を経て、さらにインジェクタ−5から燃料噴射を受け混合気としてエンジン99に供給される。エアフロ−センサ−信号その他のセンサ−信号はECU(Engine Control Unit)へ入力される。
【0044】
ECUでは内燃機関の運転状態及び排ガス浄化触媒の状態を評価して運転空燃比を決定し、インジェクタ−5の噴射時間等を制御して混合気の燃料濃度を所定値に設定する。シリンダ−に吸入された混合気はECU 11からの信号で制御される点火プラグ6により着火され燃焼する。燃焼排ガスは排気浄化系に導かれる。排気浄化系には排ガス浄化触媒10が設けられ、ストイキ運転持にはその三元触媒機能により排ガス中のNOx、HC、COを浄化し、また、リ−ン運転時にはNOx捕捉能によりNOxを浄化すると同時に併せ持つ燃焼機能により、HC,COを浄化する。さらにECUの判定及び制御信号により、リ−ン運転時には排ガス浄化触媒のNOx浄化能力を常時判定して、NOx浄化能力が低下した場合燃焼の空燃比等をリッチ側にシフトして触媒のNOx捕捉能を回復させる。以上の操作により本装置ではリ−ン運転、ストイキ(含むリッチ)運転の全てのエンジン燃焼条件下における排ガスを効果的に浄化する。
【0045】
また図2は上記排ガス浄化装置に更に、図1中排ガス浄化触媒10の後段に炭化水素およびCOの燃焼触媒を設置した場合の一実施態様を示す装置の全体構成である。図2において、排ガス浄化触媒10で除去されなかった炭化水素およびCOは、排ガス浄化触媒10の後段に設置された炭化水素およびCOの燃焼触媒によって除去することができる。
【0046】
以下、具体的な例で本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
【0047】
(実施例1)
CaCO3粉末と硝酸Mnとアルミナ粉末及びアルミナの前駆体からなり硝酸酸性に調製したスラリーをコージェライト製ハニカム(400セル/inc2)にコーティングした後、乾燥焼成して、ハニカムの見掛けの容積1リットルあたり1.9molのアルミナと0.07molのCaCO3と元素換算で0.25molのMn をコーティングした、Ca,Mn添加アルミナコートハニカムを得た。該Ca,Mn添加アルミナコートハニカムに第一回目含浸成分として硝酸Ce溶液を含浸した後、200℃で乾燥、続いて600℃で1時間焼成した。次に第二回目含浸成分として該Ce担持ハニカムに、ジニトロジアンミンPt硝酸溶液と硝酸Rh溶液の混合溶液を含浸した後、200℃で乾燥、続いて600℃で1時間焼成した。次に第三回目含浸成分として硝酸Na溶液を該Ca,Ce,Pt,Rh,Mn担持ハニカムに含浸し、200℃で乾燥、続いて600℃で1時間焼成した。
【0048】
以上により、アルミナ1.9molに対して、元素換算でCa 0.07mol、Mn 0.25mol、Ce0.2mol、Rh 0.0014mol、Pt 0.014mol、Na 0.6molを含有する実施例触媒1を得た。同様に、原料を、アルカリ金属については硝酸塩を、Mg,Srについては硝酸塩を、PdについてはジニトロジアンミンPd硝酸溶液を、Ti,Siについてはゾルを、Bについてはほう酸を、Pについてはリン酸を用いて、実施例触媒2〜14を調製した。それぞれの実施例触媒の組成を表1に示す。例えば表中0.6Naとはハニカムの見掛けの容積1リットルあたり元素換算でNaが0.6mol含まれていることを示す。
【0049】
また実施例触媒1〜14において、Al2O3の担持量はハニカム1L当り1.9molに統一し、CaCO3,Rh,Pt,Pd,Mnを含む場合の担時量はハニカム1L当りそれぞれCaCO3 0.07mol、Rh 0.0014mol、Pt 0.014mol、Pd 0.014mol、Mn0.25molに統一した。以後特に断りが無い限りAl2O3,CaCO3,Rh,Pt,Pd,Mnは実施例触媒、比較例触媒ともにこの担持量とする。
【0050】
つまり特に断りが無い限りハニカム1L当りのAl2O3以外の各成分の担持量とAl2O3 1.9mol当りの担持量とは同じである。表1においてはCaCO3,Rh,Pt,Pd,Mnの担持量は省略して表記した。
【0051】
更に実施例触媒1と同様にして比較例触媒として、Ca原料として硝酸Caを用いた触媒、Ca元素を含まない触媒、Mnを含まない触媒、Rh,Pt,Pdを含まない触媒、アルカリ金属を含まない触媒等をそれぞれ調製した。それぞれの比較例触媒1〜6の組成を表1に示す。表中の表記法は実施例触媒と同様とした。
【0052】
【表1】
【0053】
[試験例1]
(試験方法)
触媒の耐熱性能を評価する為、上記触媒を830℃で60h焼成し、その後は下記の方法で試験を行った。上記触媒に対して、次の条件でNOx浄化性能試験を行った。容量6c.c.のハニカム触媒を石英ガラス製反応管中に固定した。この反応管を電気炉中に導入し、反応管に導入されるガス温度が300℃,400℃,500℃となるように加熱制御した。反応管に導入されるガスは、自動車のエンジンが理論空燃比で運転されているときの排ガスを想定したモデルガス(以下ストイキモデルガス)と、自動車のエンジンがリ−ンバ−ン運転を行っているときの排ガスを想定したモデルガス(以下、リ−ンモデルガス)を3分毎に切り替えて導入した。
【0054】
ストイキモデルガスの組成は、NOx:1000ppm, C3H6:600ppm, CO:0.5%, CO2:5%, O2:0.5%, H2:0.3%,H2O:10%, N2:残差とした。リ−ンモデルガスの組成は、NOx:600ppm, C3H6:500ppm, CO:0.1%, CO2:10%, O2:5%, H2O:10%, N2:残差とした。この時、NOx浄化率を次式により算出した。
【0055】
NOx浄化率(%)=((リ−ンに切り替え後4分間に触媒に流入した総NOx量)-(リ−ンに切り替え後4分間に触媒から流出した総NOx量))÷(リ−ンに切り替え後4分間に触媒に流入した総NOx量)×100以上のようにNOx浄化率を求める試験を試験例1とする。
【0056】
(試験結果)
実施例触媒1〜14、比較例触媒1〜6を試験例1により評価した結果を表2に示す。なお、ストイキ燃焼運転時のNOx浄化率は300℃で常に90%以上、400℃以上では100%であり、三元性能も十分に具備している。本発明の性能はリ−ン燃焼運転とストイキ燃焼運転を複数回繰り返しても各運転中のNOx浄化率は不変であった。また、リ−ン燃焼運転においてHC及びCO浄化率は90%以上であった。実施例触媒1〜14は、高温領域である500℃を含め全測定温度範囲において比較例触媒1〜6よりも明らかにNOx浄化率が高く、耐熱性能に優れている。特に、実施例触媒1〜14は、NOx浄化率が、300℃で51%以上、400℃で57%以上、500℃で31%以上の高温領域である500℃を含め全測定温度範囲において実施例触媒15〜20よりも明らかにNOx浄化率が高く、耐熱性能に優れている。
【0057】
【表2】
【0058】
[試験例2]
(試験方法)
触媒の結晶状態を知るために、粉末XRD法を用いた。理学製広角X線回折装置RU200を用いた。測定条件は以下の通り。
【0059】
X線源 CuKα(50KV,150A)
スキャン角度範囲 5°〜100°
スキャンステップ 0.02°
スキャン速度 1°/min
(試験結果)
試験例2に従い、実施例触媒1と比較例触媒1の結晶状態を測定した。コ−ジェライトが含まれていると、コ−ジェライトのXRD peakが大きく、他のpeakが観測されなくなるので、実施例触媒1と比較例触媒1からそれぞれコ−ジェライトを除外したものを粉末化してXRD測定を行った。Ca元素に注目すると、実施例触媒1についてはCaCO3,Ca2Mn3O8が確認されたが、比較例触媒1についてはCaCO3,Ca2Mn3O8に起因する回折peakが確認されなかった。
【0060】
表1の結果と考え合わせて、触媒中にCaCO3が存在することにより触媒の耐熱性が向上したことは明らかである。
【0061】
[試験例3]
(試験方法)
試験例1において、反応管中にSO2添加リ−ンガスのみを1.5h流通させた。リ−ンガスへのSO2添加量は0.01%とした。この後、試験例1の方法でNOx浄化率を測定した。
(試験結果)
実施例触媒3、7、比較例食媒2、5を、試験例3により評価した結果を表3に示す。実施例触媒3,7は、比較例触媒2、5よりもNOx浄化率が高く、耐SOx性能に優れている。
【0062】
【表3】
【0063】
(実施例2)
実施例1と同様の方法で実施例触媒7について,CaCO3含有量のみを変化させた触媒を調製した。試験は試験例1と同様とした。
(試験結果)
試験例1により評価した400℃でのNOx浄化率の結果を図3に示す。図3中グラフ横軸はハニカムの見掛けの容積1リットルあたりのCaCO3含有量を示す。実施例触媒7について,CaCO3含有量がハニカムの見掛けの容積1リットルあたり金属元素換算で0.01mol以上2mol以下のとき400℃のNOx浄化率が60%を超え、高いNOx浄化率を示す。
【0064】
(実施例3)
実施例1と同様の方法で実施例触媒7について,それぞれNa,Li,K含有量のみを変化させた触媒を調製した。試験は試験例1と同様とした。
(試験結果)
実施例触媒7についてNa含有量のみ、 K含有量のみ、Li含有量のみをそれぞれ変化させた触媒の、試験例1により評価した400℃でのNOx浄化率をそれぞれ図4、図5、図6に示す。それぞれグラフ横軸は順にハニカムの見掛けの容積1リットルあたりのNa,K,Li含有量(金属元素換算)を示す。それぞれの触媒においてNa,Li,Kの担持量が各々ハニカムの見掛けの容積1リットルあたり金属元素換算で0.05mol以上2mol以下のとき400℃のNOx浄化率が60%を超え、高いNOx浄化率を示す。
【0065】
(実施例4)
実施例1と同様の方法で実施例触媒7のRh,Pt,Pd含有量のみを変化させた触媒を調製した。試験は試験例1と同様とした。
(試験結果)
実施例触媒7についてRh含有量のみ、 Pt含有量のみ、Pd含有量のみをそれぞれ変化させた触媒の、試験例1により評価した400℃でのNOx浄化率をそれぞれ図7、図8、図9に示す。それぞれグラフ横軸は順に、ハニカムの見掛けの容積1リットルあたりのRh,Pt,Pd含有量(金属元素換算)を示す。Rh,Pt,Pdの担持量が、ハニカムの見掛けの容積1リットルあたり金属換算でそれぞれ、Rhの場合0.0003mol以上0.01mol以下, Ptの場合0.002mol以上0.05mol以下, Pdの場合0.001mol以上0.2mol以下のとき400℃のNOx浄化率が60%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0066】
(実施例5)
実施例1と同様の方法で実施例触媒7のMn添加量を変化させた触媒を調製した。試験は試験例1と同様とした。
(試験結果)
試験例1により評価した400℃でのNOx浄化率を図10に示す。グラフ横軸はハニカムの見掛けの容積1リットルあたりのMn含有量(金属元素換算)を示す。Mnの担持量がハニカムの見掛けの容積1リットルあたり金属換算で0.01mol以上2mol以下のとき400℃のNOx浄化率が60%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0067】
(実施例6)
実施例1と同様の方法で実施例触媒7に関してTi担持量のみを変化させた触媒を調製した。
(試験結果)
試験例3により評価した400℃でのNOx浄化率を表4に示す。表4にはハニカムの見掛けの容積1リットルあたりの金属換算のTiの担時量のみを記した。Tiの担時量が元素換算で0.01mol以上2mol以下のときSOx被毒後の400℃のNOx浄化率が50%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0068】
【表4】
【0069】
(実施例7)
実施例1と同様の方法で実施例触媒10に関してはB担持量のみを、実施例触媒11に関してはP担持量のみを変化させた触媒を調製した。
(試験結果)
実施例触媒10についてB含有量のみ、実施例触媒11についてP含有量のみをそれぞれ変化させた触媒の、試験例1により評価した500℃でのNOx浄化率をそれぞれ図11、図12に示す。それぞれグラフ横軸は順に、ハニカムの見掛けの容積1リットルあたりのB,P含有量(元素換算)を示す。B,Pの担時量がハニカムの見掛けの容積1リットルあたり元素換算で0.01mol以上2mol以下のときNOx浄化率が50%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0070】
(実施例8)
実施例1と同様の方法で実施例触媒12に関してはMg担持量のみを、実施例触媒13に関してはSr担持量のみを、実施例触媒14に関してはBa担持量のみを変化させた触媒を調製した。
(試験結果)
実施例触媒12についてMg含有量のみ、実施例触媒13についてSr含有量のみ、実施例触媒14についてBa含有量のみをそれぞれ変化させた触媒を試験例1により評価した。Mg含有量のみを変化させた触媒の500℃でのNOx浄化率を図13に、Sr含有量のみを変化させた触媒の300℃でのNOx浄化率を図14に、Ba含有量のみを変化させた触媒の300℃でのNOx浄化率を図15に示す。それぞれグラフ横軸は順にハニカムの見掛けの容積1リットルあたりのMg,Sr,Ba含有量(金属元素換算)を示す。Mg,Sr,Baの担時量がハニカムの見掛けの容積1リットルあたり元素換算で0.01mol以上3mol以下のとき、図13では500℃のNOx浄化率が50%を、図14,図15では300℃のNOx浄化率が60%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0071】
(実施例9)
実施例1と同様の方法で実施例触媒7のCe添加量を変化させた触媒を調製した。試験は試験例1と同様とした。
(試験結果)
試験例1により評価した400℃でのNOx浄化率を表5に示す。表5には各々ハニカムの見掛けの容積1リットルあたりの金属換算のCe担時量のみを記した。Ceの担持量が金属換算で0.02mol以上1mol以下のとき400℃のNOx浄化率が75%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0072】
【表5】
【0073】
(実施例10)
実施例1と同様の方法で実施例触媒7においてAl2O3コ−ティング量のみを変化させた触媒を調製した。
(試験結果)
試験例1により評価した400℃でのNOx浄化率を表6に示す。表6にはハニカムの見掛けの容積1リットルあたりのAl2O3のコ−ティング量のみを記した。Al2O3コ−ティング量がAl2O3換算でハニカム容積1Lに対して0.3mol以上4 mol以下のとき400℃のNOx浄化率が70%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0074】
【表6】
【0075】
(実施例11)
炭化水素およびCOの燃焼触媒として、実施例1と同様の方法でRh,Ptのみを担持した触媒を調製した。Rh,Ptの含有量は金属換算でアルミナ1.9molに対して、Rh 0.002mol, Pt 0.01molとした。耐熱処理を触媒に施さず、初期品の触媒を用いた以外は試験例1と同様の方法で試験を行った。実施例触媒7について、その前段または後段に該炭化水素およびCOの燃焼触媒を設置した場合、また全く該炭化水素およびCOの燃焼触媒を設置しない場合についてその炭化水素及びCO除去率を測定した。なお、C3H6浄化率及びCO浄化率はそれぞれ次式により算出した。
【0076】
C3H6浄化率(%)=((リ−ンに切り替え1分後に触媒に流入したガス中のC3H6濃度)-(リ−ンに切り替え1分後に触媒から流出したガス中のC3H6濃度))÷(リ−ンに切り替え1分後に触媒に流入したガス中のC3H6濃度)×100
CO浄化率(%)=((リ−ンに切り替え1分後に触媒に流入したガス中のCO濃度)-(リ−ンに切り替え1分後に触媒から流出したガス中のCO濃度))÷(リ−ンに切り替え1分後に触媒に流入したガス中のCO濃度)×100
測定温度は400℃とした。
(試験結果)
耐熱処理を触媒に施さず、初期品の触媒を用いて試験例1と同様の方法により評価した400℃でのC3H6浄化率、CO浄化率を表7に示す。実施例触媒7の前段または後段に炭化水素およびCOの燃焼触媒を設置すると炭化水素、CO除去性能が向上する。また、ストイキ燃焼時においてもC3H6浄化率、CO浄化率ともに向上が見られた。
【0077】
【表7】
【0078】
(実施例12)
図1は実施例1〜11に記載の排ガス浄化触媒を用いた本発明の排ガス浄化装置を備えた内燃機関の一実施態様を示す全体構成図である。本発明の浄化装置はリ−ンバ−ン可能なエンジン99、エアフロ−センサ−2、スロットバルブ3等を擁する吸気系、酸素濃度センサ−(又はA/Fセンサ−)7、排ガス温度センサ−8、触媒出口ガス温度センサ−9、排ガス浄化触媒10等を擁する排気系及び制御ユニット(ECU)11等から構成される。ECUは入出力インタ−フェイスとしてのI/O、LSI、演算処理装置MPU、多数の制御プログラムを記憶させた記憶装置RAM及びROM、タイマ−カウンタ−等により構成される。
【0079】
以上の排気浄化装置は以下のように機能する。エンジンへの吸入空気はエアクリ−ナ−1によりろ過された後エアフロ−センサ−2により計量され、スロットバルブ3を経て、さらにインジェクタ−5から燃料噴射を受け混合気としてエンジン99に供給される。エアフロ−センサ−信号その他のセンサ−信号はECU(Engine Control Unit)へ入力される。
【0080】
ECUでは内燃機関の運転状態及び排ガス浄化触媒の状態を評価して運転空燃比を決定し、インジェクタ−5の噴射時間等を制御して混合気の燃料濃度を所定値に設定する。シリンダ−に吸入された混合気はECU 11からの信号で制御される点火プラグ6により着火され燃焼する。燃焼排ガスは排気浄化系に導かれる。排気浄化系には排ガス浄化触媒10が設けられ、ストイキ運転持にはその三元触媒機能により排ガス中のNOx、HC、COを浄化し、また、リ−ン運転時にはNOx捕捉能によりNOxを浄化すると同時に併せ持つ燃焼機能により、HC,COを浄化する。さらにECUの判定及び制御信号により、リ−ン運転時には排ガス浄化触媒のNOx浄化能力を常時判定して、NOx浄化能力が低下した場合燃焼の空燃比等をリッチ側にシフトして触媒のNOx捕捉能を回復させる。以上の操作により本装置ではリ−ン運転、ストイキ(含むリッチ)運転の全てのエンジン燃焼条件下における排ガスを効果的に浄化する。
【0081】
図2は図1の排ガス浄化触媒10の後段に炭化水素およびCOの燃焼触媒を設置した自動車の一実施態様を示す全体構成図である。図2において、排ガス浄化触媒10で除去されなかった炭化水素およびCOは、排ガス浄化触媒10の後段に設置された炭化水素およびCOの燃焼触媒によって除去することができる。
【0082】
本実施例においても前述の実施例と同様に、酸素が過剰に存在する雰囲気下においても有害物質、特に窒素酸化物を高効率で浄化することができ、更に耐熱性能、耐SOx性能にも優れているため、高い浄化性能を長期間維持することができる。更に、800℃程度の高温に長時間曝された後、或いは排ガス中のSOxによって被毒された後でも300〜500℃のような高温域を含む広い温度範囲で高いNOx浄化性能を有し、高いNOx浄化性能を長期に亘って維持することのできるリーンバーン対応の排ガス浄化が得られるものである。
【0083】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、酸素が過剰に存在する雰囲気下においても有害物質、特に窒素酸化物を高効率で浄化することができ、さらに耐熱性能、耐SOx性能にも優れているため、高い浄化性能を長期間維持することができる。本発明は以上に示した実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排ガス浄化装置の一実施態様を示す構成図である。
【図2】排ガス浄化触媒と炭化水素およびCOの燃焼触媒とを組み合わせた排ガス浄化装置の一実施態様を示す構成図である。
【図3】 CaCO3量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図4】 Na量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図5】 K量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図6】 Li量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図7】 Rh量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図8】 Pt量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図9】 Pd量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図10】 Mn量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図11】 B量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図12】 P量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図13】 Mg量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図14】 Sr量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図15】 Ba量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
1…エアクリ−ナ−、2…エアフロ−センサ−、3…スロットバルブ、5…インジェクタ−、6…点火プラグ、7…酸素濃度センサ−(またはA/Fセンサ−)、8…排ガス温度センサ−、9…触媒出口ガス温度センサ−、10…排ガス浄化触媒、11…ECU、99…エンジン。
Claims (12)
- 多孔質担体と該担体に担持された触媒活性成分とを有し、該触媒活性成分がRh,Pt及びPdから選ばれた少なくとも1種の貴金属と、アルカリ金属の少なくとも1種と、Caと、Mnとを含み、前記貴金属とアルカリ金属とMnを金属或いは酸化物の形態で含み、前記Caの一部或いは全部をCaCO3の形態で含むことを特徴とする内燃機関排ガス浄化触媒。
- 請求項1において、前記触媒活性成分として、Ca及びアルカリ金属の少なくとも一方とMnとの複合酸化物を含むことを特徴とする内燃機関排ガス浄化触媒。
- 請求項1又は2において、前記触媒活性成分は、前記多孔質担体1.9mo1部に対して、金属元素換算で、Rhを0.0003〜0.01mo1部、Ptを0.002〜0.05mo1部、Pdを0.001〜0.2mo1部、アルカリ金属から選ばれた少なくとも1種を金属元素換算で1種類当り0.05〜2mo1部、CaC03を0.01〜2mo1部、Mnを金属元素換算で0.05〜2mo1部含むことを特徴とする内燃機関排ガス浄化触媒。
- 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記触媒活性成分として、希土類金属の少なくとも1種を金属又は酸化物の形態で含み、かつ前記多孔質担体1.9mol部に対して、金属元素換算で希土類元素1種類当り0.01〜1.4mol部含むことを特徴とする内燃機関排ガス浄化触媒。
- 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記触媒活性成分として、Tiを金属または酸化物の形態で含み、かつ前記多孔質担体1.9mol部に対して、金属元素換算で0.006〜2.8mol部含むことを特徴とする内燃機関排ガス浄化触媒。
- 請求項5において、前記触媒活性成分として、Mg,Sr及びBaから選ばれた少なくとも1種を金属または酸化物の形態で含み、かつ前記多孔質担体1.9mol部に対して、金属元素換算で1種類当り0.01〜3mol部含むことを特徴とする内燃機関排ガス浄化触媒。
- 請求項1〜6のいずれかにおいて、前記触媒活性成分として、B及びPから選ばれた少なくとも1種を単体または酸化物の形態で含み、かつ前記多孔質担体1.9mol部に対して、元素換算で1種類当り0.01〜2mol部含むことを特徴とする内燃機関排ガス浄化触媒。
- 請求項1〜7のいずれかにおいて、前記多孔質担体が基材上に担持され、前記多孔質担体は該基材1Lに対し0.3〜4mol含むことを特徴とする内燃機関排ガス浄化触媒。
- 空燃比がリ−ンと、リッチ又はストイキとの間で切り替えられ、排ガス流路に排ガス浄化触媒が設置された内燃機関において、前記排ガス浄化触媒が、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒からなることを特徴とする内燃機関。
- 請求項9において、前記排ガス浄化触媒の上流側及び下流側の少なくとも一方に排ガスに含まれるHCとCOとを燃焼させる燃焼触媒を備えたことを特徴とする内燃機関。
- 内燃機関の燃焼排ガスを排ガス浄化触媒に接触させて浄化させる排ガス浄化方法において、前記触媒が請求項1〜8のいずれかに記載の触媒からなり、該触媒に空燃比がリ−ンの排ガスと空燃比がリッチ又はストイキの排ガスとを交互に接触させ、前記リーンの排ガス中に含まれるNOxを前記触媒に捕捉して浄化し、該捕捉された前記NOxをストイキ又はリッチの排ガスに接触させて還元浄化し、前記触媒を再生することを特徴とする内燃機関の排ガス浄化方法。
- 請求項11において、前記燃焼排ガス浄化触媒の上流側及び下流側の少なくとも一方で、排ガスに含まれるHCとCOとを燃焼触媒に接触させて燃焼させることを特徴とする内燃機関の排ガス浄化方法。
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