JP4352586B2 - 排ガス浄化触媒を有する内燃機関 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、理論空燃比よりも燃料が希薄なリーンバーン状態で運転される内燃機関に係り、特にリーンバーン排ガスに含まれるNOxを浄化するのに好適な排ガス浄化触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、空燃比を燃料希薄とするリーンバーンエンジンが注目されている。ここで空燃比とはガス中の空気と燃料の比を表す。リーンバーンエンジンの排ガスは、理論空燃比(ストイキ)用エンジンの排ガス浄化に従来使用されてきた三元触媒ではNOxを浄化するのが難しい。このため、リーンバーンエンジン用の排ガス浄化触媒が検討されている。その一つに特開平11−319564号公報に記載された触媒がある。該公報には、多孔質担体に、アルカリ金属,アルカリ土類金属および希土類金属の中から選ばれた少なくとも1種のNOx吸蔵元素の酸化物と触媒貴金属とを担持するか、又は両者を複合化して担持し、かつ、マンガン及び銅の少なくとも1種を担持又は複合化してなるNOx浄化触媒が記載されている。
【0003】
また特開平10−212933号公報には、燃料希薄燃焼時に排ガス中のNOxを化学吸着し、還元雰囲気に切り替えた時に化学吸着されているNOxを接触還元するNOx吸着還元触媒を内燃機関の排気通路に設置することが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
自動車に対する環境規制が強化される中、リーンバーンエンジン用の排ガス浄化触媒には、高温域を含む広い温度範囲での高いNOx浄化性能及び耐久性能が求められる。
【0005】
本発明は、前記先行技術とは触媒成分が異なり、500℃のような高温域を含む広い温度範囲で高いNOx浄化性能を有し、また800℃の高温に加熱された後、或いは排ガス中のSOxによって被毒された後でも高いNOx浄化性能を維持するリーンバーン対応の排ガス浄化触媒及び該触媒を備えた内燃機関を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、理論空燃比よりも希薄な空燃比で運転を行うリーン燃焼運転タイプの内燃機関の排気系に、カリウム(K)と、チタン(Ti)と、希土類金属の少なくとも1種と、ロジウム(Rh)と白金(Pt)及びパラジウム(Pd)からなる貴金属から選ばれた少なくとも1種及びマンガン(Mn)を触媒活性成分として含むNOx浄化触媒を備えたことにある。このNOx浄化触媒は、触媒に流入する排ガスの空燃比がリーンの状態のときには、排ガス中のNOxを触媒表面へ吸着保持するとともに一部のNOxをN2 へ還元する。排ガス中のNOxは、主にNO2 の形で該触媒表面に化学吸着される。触媒に流入する排ガスの空燃比がリーンの状態からリッチ或いはストイキの状態に切り替えられると、該触媒表面に吸着保持されたまま残っていたNOxはN2 へ還元される。したがって、本発明によれば内燃機関をリーンの状態で運転し、NOx浄化触媒による排ガス浄化性能が低下してきたならば、内燃機関の運転状態をリーンの状態からストイキ又はリッチの状態に切り替えることによって、リーン排ガス中のNOxを高度に浄化することができる。
【0007】
本発明の触媒は、活性成分として更にナトリウム(Na)とリチウム(Li)の少なくも1種を含むことができる。これらのアルカリ金属を含むことにより、NOxを吸着するための新たな活性点ができ、NOxの吸着力を高めることができる。
【0008】
本発明の触媒は、貴金属としてロジウムと白金及びパラジウムの3種を含むことが望ましい。これにより、酸化力及び還元力が強まり、排ガス浄化性能が向上する。
【0009】
本発明の触媒は、カリウムとマンガンからなる複合酸化物を含むことが望ましい。触媒中のカリウムとマンガンの全てが両者による複合酸化物を形成していてもよいし、一部がカリウムとマンガンからなる複合酸化物を形成していてもよい。カリウムとマンガンからなる複合酸化物を含むことにより、リーン排ガス中のNOxがNO2 として触媒表面に化学吸着されやすくなり、さらに耐熱性,耐SOx性が向上する。
【0010】
本発明の触媒はまた、活性成分としてマグネシウム(Mg)を含むことができる。マグネシウムを含むことにより、貴金属が凝集しにくくなり、貴金属による酸化,還元力を高めることができる。
【0011】
本発明の触媒はまた、活性成分としてセシウム(Cs)とストロンチウム(Sr)の少なくとも1種を含むことができる。これらの成分もNOxの吸着力を高める作用がある。
【0012】
本発明の触媒は、活性成分としてリン(P)とホウ素(B)の少なくとも1種を含むことができる。P,Bを含むことにより、耐熱性,耐SOx性が向上する。
【0013】
本発明において、ナトリウム,カリウム,リチウム,マンガン,チタン,ロジウム,白金,パラジウム及びセリウムを活性成分とし、これらの活性成分を多孔質のアルミナからなる担体に担持した触媒は、リーンでのNOx浄化性能が非常に優れている。またリーン状態からストイキあるいはリッチに切り替えたときの触媒再生性能が優れる。
【0014】
本発明は、前記排ガス浄化触媒を備えた内燃機関の排ガス浄化装置を提供する。また、前記した組成を有する内燃機関の排ガス浄化触媒を提供する。また、前記した排ガス浄化触媒の状態を評価して内燃機関をリーン運転状態からストイキもしくはリッチ運転状態に切り替え、その後、再びリーン運転状態に戻す制御を行うエンジン制御ユニット(ECU)を備えた内燃機関の制御装置を提供する。また、前記した排ガス浄化触媒を排気系に備えた内燃機関をリーン状態で運転し、その後ストイキもしくはリッチ状態に切り替え、再びリーン状態にして排ガス浄化を行うようにした内燃機関の排ガス浄化方法を提供する。
【0015】
本発明において、NOx吸着還元とは、酸化雰囲気排ガス(リーン排ガス)中のNOxを化学吸着し、その後還元雰囲気排ガス(ストイキ又はリッチ排ガス)中で同排ガス中に含まれる炭化水素,一酸化炭素,水素等の還元剤を用いて吸着されたNOxを還元浄化することをいう。従って、本発明の触媒には、NOxを吸着する吸着成分と、吸着されたNOxを還元剤により還元浄化する還元浄化成分が必要となる。
【0016】
排ガス中のNOxを吸着によって捕捉するNOx吸着触媒は、リーン排ガス中のNOxを硝酸イオンとして吸収するNOx吸収材とは、NOxを捕捉する機構が異なる。両者の捕捉機構の違いを以下に示す。
(吸着によるNOx捕捉機構)
NO+0.5O2 ⇒ NO2 …(1)
NO2 +α ⇔ NO2 −α …(2)
NO+α ⇔ NO−α …(3)
α:吸着材
(吸収によるNOx捕捉機構)
NO+0.5O2 ⇒ NO2 …(1)
2NO2 +BaO+0.5O2 ⇔ Ba(NO3)2 …(4)
Ba:吸収材
NOx吸着による捕捉は、NO2 (式(2))とNO(式(3))の双方を吸着材(α)上に吸着することによって行われる。ここで、NO2 はNOがNOx浄化触媒に含まれるRh,Pt,Pd上で酸化されて生成し式(1))、吸着は触媒表面上で起こり、式(2)(3)に示すとおり吸着時に酸素は関与しない。
【0017】
一方、NOx吸収による捕捉は、NOがNO2 に酸化(式(1))され、NO2 と吸収材BaとO2 とが更に反応して硝酸化合物(Ba(NO3)2)を生成(式(4))することによって起こる。従って、吸収は触媒表面のみならず、触媒内部まで硝酸化合物となり、更に吸収時に酸素が関与する。
【0018】
上記した吸着と吸収との反応機構の相違から、以下の違いが生じる。
【0019】
酸化雰囲気から還元雰囲気へと排ガスが切り替わった時、吸着反応では表面捕捉NOxを短時間で還元除去できる。一方、吸収反応では、吸収材内部からNOxをNO2 として徐々に放出する為、吸収材の再生に時間を要する。従って吸着反応の場合、還元雰囲気の時間を短くすることが可能であり、自動車の燃費が向上する。
【0020】
また、排ガス雰囲気が酸化雰囲気から還元雰囲気へと変化した場合、吸着反応には酸素が関与していない為、NOx浄化触媒からのNOx放出は起こらない。一方、吸収反応では酸素が関与している為、NOxの放出が起こる。従って吸着による捕捉は、酸化雰囲気と還元雰囲気の排ガス雰囲気が変動することによる
NOx排出量の悪化を防ぐことができる。
【0021】
更に、吸着反応の場合、NOx捕捉の際及び表面捕捉NOxを還元除去する際に吸着材の結晶構造は変化しない。一方、吸収反応の場合、NOxの吸収と放出とを繰り返す為、必然的に吸収材の結晶構造が周期的に変化することとなり、触媒の耐久性が問題となる。
【0022】
本発明の触媒において、アルカリ金属は排ガス中のNOxを触媒表面上に引きつけるか、または吸着する役割を持つ。アルカリ金属としては、Kがもっとも好適であり、ついでNa,Liが好適である。その次にCsが好適である。アルカリ金属が二種以上担持されると、1種のみ担持されている場合よりも活性が向上する。これは、二種以上を組み合わせることにより触媒に新たな活性点が生じ、NOx吸着能力が高まる為ではないかと考えられる。
【0023】
アルカリ金属の担持量は多孔質担体1.9mol部に対して金属換算で、一種類当り0.05mol部以上3mol部以下が好ましい。ここでmol部とは、各成分のmol 数換算での含有比率を表したものであり、例えばA成分1.9mol部に対してB成分の担持量が3mol部ということは、A成分の絶対量の多少に関わらず、mol数換算でAが1.9 に対しBが3の割合で担持されていることを意味する。アルカリ金属担持量が一種類当り0.05mol部より少ない場合には、アルカリ金属担持による活性向上効果は必ずしも十分とはなり得ず、一方3mol 部より多いとアルカリ金属自身の比表面積が低下するため好ましくない。
【0024】
Mnは金属または酸化物の形態、もしくはアルカリ金属,アルミニウム(Al)から選ばれた少なくとも1種との複合酸化物の形態で存在し、酸化雰囲気下においてNOxを吸着する働き、及びNOのNO2 への酸化を促進する働きを持つものと考えられる。更にアルカリ金属またはアルカリ土類金属と複合酸化物を形成すると、NOx吸着材の耐熱性,耐SOx性が向上し、結果として触媒の耐熱性,耐SOx性が向上する。特にNaやKとMnとの複合酸化物が好適である。触媒調製時のMnを混ぜる順序、或いは焼成温度等をコントロールすることにより、金属や酸化物の形態や複合酸化物の形態で存在させることができる。
【0025】
NaとMnとの複合酸化物には、Na0.91MnO2 ,β−Na0.7MnO2 ,α−Na0.7MnO2.05,Na2Mn5O10,β−Na3MnO4,Na4Mn9O18,γ−Na3MnO4,Na4MnO4,NaMn7O12,Na2Mn8O16,Na0.2MnO2,Na5MnO4,α−NaMnO2 ,β−NaMnO2,Na4Mn14O27・21H2O,(Na,Mn)4Mn12O28・8H2O,NaMn6O12・3H2O,Na0.55Mn2O4・1.5H2O,NaMnO4・3H2O,Na3Li5Mn5O9,Na1.9K0.1Mn2O5,KNaMnO2 等がある。
【0026】
KとMnとの複合酸化物には、K2Mn4O9,KMnO2 ,K2Mn4O8,K4Mn7O16,K0.47Mn0.94O2,KxMnO2,K0.7MnO2,K3(MnO4)2,KMnO4,KMn8O16,K2MnO4,KMnO2,K3MnO4,K4MnO4,γ−K3MnO4,β−K3MnO4,K6Mn2O6,K2Mn2O3,KMn8O16,K0.5Mn2O4・1.5H2O,KLiMnO2 等がある。
【0027】
Mn担持量は多孔質担体1.9mol部に対して元素換算で、0.01mol部以上2mol 部以下とすることが好ましい。Mn担持量が0.01mol部より少ないとMn担持効果は不十分となり、2mol部より多いと触媒の比表面積が低下するため好ましくない。
【0028】
またRh,Pt,Pdの少なくとも一種を触媒中に含むことにより、触媒のNOx浄化性能、耐熱性能、耐SOx性能が向上する。Rh,Pt,Pdは一種でもよいが二種以上好ましくは三種を担持すると更に活性が向上する。貴金属同士が相互作用を及ぼしあっているためと考えている。
【0029】
貴金属の担持量は多孔質担体1.9mol部に対して金属換算で少なくとも一種を各々、Ptの場合は0.002mol部以上0.05mol部以下、Rhの場合は0.0003mol部以上0.01mol部以下、Pdの場合は0.001部以上0.2mol部以下とすることが望ましい。貴金属の担持量が上記範囲に示す量より少ないと貴金属添加効果は小さく、上記範囲に示す量より多いと貴金属自身の比表面積が小さくなり、やはり貴金属添加効果が小さくなる。
【0030】
また、アルカリ金属に更にアルカリ土類金属特にSr,Mgを組み合わせるとアルカリ金属同士を組み合わせた場合と同様、活性向上が見られる。アルカリ金属とアルカリ土類金属とを組み合わせることにより触媒に新たな活性点が生じ、NOx吸着能力が高まる為ではないかと考えられる。アルカリ金属に加えて更にアルカリ土類金属を担持する場合、アルカリ金属の場合と同様の理由により、その担時量は多孔質担体1.9mol部に対して金属換算で、一種類当り0.01mol部以上3mol部以下が好ましい。
【0031】
Tiは、触媒の耐熱性,耐SOx性を向上させる。Tiは金属または酸化物の形態、もしくはアルカリ金属,アルカリ土類金属から選ばれた少なくとも1種との複合酸化物の形態で存在し、酸化雰囲気下においてNOxを捕捉する働き、及び還元剤であるCO,炭化水素等を触媒表面上に引きつける役割を持つものと考えられる。特にNaやKと複合酸化物を形成することにより、NOx吸着材の耐熱性,耐SOx性を向上させ、結果として触媒の耐熱性,耐SOx性を向上させる働きがある。触媒調製時のTiを混ぜる順序、或いは焼成温度等をコントロールすることにより、酸化物の形態や複合酸化物の形態で存在させることができる。
【0032】
NaとTiとの複合酸化物としては、Na2Ti3O7,Na2Ti4O9,Na2Ti6O13,Na4Ti5O12,Na0.23TiO2 ,γ−Na2TiO3,Na2Ti9O19,Na4Ti3O8,Na4TiO4,Na8Ti5O14,Na2TiO3,β−Na2TiO3,NaTiO2 ,Na0.46TiO2,Na2TiO4・H2O,Na4SiO4,Na2Si2O5,Na2Si4O9,Na6Si8O19,Na4SiO4,Na2SiO3,Na2SiO3・6H2O等がある。
【0033】
KとTiとの複合酸化物としては、K2Ti4O9,K2Ti8O17,K2Ti6O13,K6Ti4O11,K2Ti2O5,K3Ti8O17,KTi8O16,K4TiO4,K4Ti3O8,K2TiO3,K6Ti4O11,K6Si3O9,K2Si4O9,K2Si2O5,α−K2SiO3,β−K2SiO3,K2Si4O9等がある。
【0034】
Tiの担持量は多孔質担体1.9mol部に対して元素換算で、少なくとも一種を各々0.01mol部以上2mol部以下とすることが好ましい。Tiの担持量が0.01mol部より少ないとTi担持効果は不十分となり、2mol部より多いと触媒の比表面積が低下するため好ましくない。
【0035】
上記触媒成分に加えて更にB,Pの少なくとも1種を担持させると触媒の耐熱性,耐SOx性が向上する。
【0036】
B,Pは単体または酸化物の形態、もしくはアルカリ金属,アルカリ土類金属から選ばれた少なくとも1種との複合酸化物の形態で存在し、酸化雰囲気下においてNOxを捕捉する働き、及び還元剤であるCO,炭化水素等を触媒表面上に引きつける役割を持つものと考えられる。特にNaやKと複合酸化物を形成することにより、NOx吸着材の耐熱性を向上させ、結果として触媒の耐熱性を向上させる働きがある。触媒調製時のB,Pを混ぜる順序、或いは焼成温度等をコントロールすることにより、酸化物の形態や複合酸化物の形態で存在させることができる。
【0037】
NaとB又はPとの複合酸化物としては、γ−Na2B18O28,β−Na2B6O10,β−Na2B4O7,Na4B10O17,Na2B4O7,NaB3O5,Na5B2O6,Na4B2O5,Na3BO3,NaBO3・4H2O,Na2B2O4・H2O,β−Na2B2O4,NaB5O8・5H2O,NaBO2 ・H2O,Na10B4O11,NaPO3,Na3PO4,Na3P3O9・3H2O,Na5P3O10・6H2O,Na4P2O6・10H2O,Na3PO4・12H2O,Na4P2O7・2H2O,Na8P8O24・6H2O等がある。
【0038】
KとB,Pとの複合酸化物としてKB5O8,K2B8O13,KB3O5,KBO2,K2B4O7・2H2O,KB5O8・4H2O,K4B10O17・3H2O,KBO3・H2O,KP6O18,KPO3,K5P3O10,K4P2O7,K3PO4,K4P2O7・3H2O,K3PO4・3H2O等がある。
【0039】
B,P担持量は多孔質担体1.9mol部に対して元素換算で、少なくとも一種を各々0.01mol部以上2mol部以下とすることが好ましい。B,P担持量が0.01mol部より少ないとB,P担持効果は不十分となり、2mol部より多いと触媒の比表面積が低下するため好ましくない。
【0040】
多孔質担体は触媒活性成分の分散性を高める役割をするものと考えられる。多孔質担体は基材上に担持しても良く、その場合基材1Lに対し多孔質担体の担持量を0.3mol以上4mol以下とするとNOx浄化性能にとって好ましい。多孔質担体の担持量が0.3mol部より少ないと多孔質担体の効果は不十分となり、4mol部より多いと多孔質担体自体の比表面積が低下するため好ましくない。
【0041】
多孔質担体としては、アルミナが最も好ましい。アルミナのほかにチタニア,シリカ,シリカ−アルミナ,ジルコニア,マグネシア等の金属酸化物や複合酸化物等を用いることもできる。本発明の触媒は、ハニカム構造等の基材にコーティングして用いることができる。基材はコージェライトが最適であるが、金属製のものを用いても良好な結果を得ることができる。
【0042】
更にアルカリ金属またはアルカリ土類金属と多孔質担体との複合酸化物を形成すると、NOx吸着材の耐熱性,耐SOx性が向上し、結果として触媒の耐熱性,耐SOx性が向上する。特にNaやKと多孔質担体との複合酸化物が好適である。触媒調製時の焼成温度等をコントロールすることにより、複合酸化物の形態で存在させることができる。
【0043】
Naと多孔質担体との複合酸化物としては、多孔質担体としてアルミナを用いた場合、NaAl5O8,β−NaAl7O11,β−NaAl11O17,Na2Al22O34,NaAl2O8,Na2Al2xO3x+1,Na5AlO4,Na17Al5O16,NaAlO2,Na5AlO4,Na7Al3O8,NaAlO2,Na2Al22O34・2H2O,Na2Al2O4・6H2O,Na2Al2O4・2.5H2O,2NaAlO2・3H2O,γ−NaAlO2 等が考えられる。Kと多孔質担体との複合酸化物としては、多孔質担体としてアルミナを用いた場合、K2Al22O34,K3AlO3,KAlO2 ,K1.5Al11O17.25,K2Al2O4・3H2O,K2Al2O4・H2O,β−KAl5O8等がある。
【0044】
上記成分に加えて、希土類金属の少なくとも1種を担持させると、よりNOx浄化性能及び高温耐久性能が向上する。この場合、多孔質担体1.9mol部に対して金属換算で、希土類金属の少なくとも1種を0.02mol部以上1mol 部以下含むことが好ましい。0.02mol部より少ないと希土類金属添加効果が不十分であり、1mol部より多いと触媒の比表面積が低下するため好ましくない。希土類金属としてはLa,Nd,Ceが好ましい。
【0045】
上記NOx浄化触媒により酸化雰囲気におけるNOx浄化が可能である。更に、NOx触媒組成としてRh,Pt,Pdの少なくとも一種が含まれている為、三元触媒機能(還元雰囲気ガス中のNOx浄化能力)を有する。三元触媒機能を高める為には上記NOx浄化触媒が酸素ストレージ機能を持っていることが望ましい。酸素ストレージ機能を有する材料としてCeを含有させることが好適である。
【0046】
また、上記触媒のみでも炭化水素およびCOの除去性能があるが、その性能が不十分な場合、その触媒の前段または後段または両方に炭化水素およびCOの燃焼触媒を設置して内燃機関からの燃焼排ガスを浄化するのも好ましい方法である。
【0047】
本発明による排ガス浄化触媒の形状は、用途に応じ各種の形状で適用できる。コージェライト,ステンレス等の各種材料からなるハニカム構造体に各種成分を担持した触媒粉末をコーティングして得られるハニカム形状を始めとし、ペレット状,板状,粒状,粉末状等として適用できる。
【0048】
排ガス浄化触媒の調製方法は、含浸法,混練法,共沈法,ゾルゲル法,イオン交換法,蒸着法等の物理的調製方法や化学反応を利用した調製方法等いずれも適用可能である。
【0049】
排ガス浄化触媒の出発原料としては、硝酸化合物,酢酸化合物,錯体化合物,水酸化物,炭酸化合物,有機化合物などの種々の化合物や金属及び金属酸化物を用いることができる。
【0050】
本発明の触媒は、カリウムとマンガンを含むが、これらの成分を含む触媒は、特開平8−281110号公報,特開平11−104493号公報,特開平10−99687号公報,特開平7−16466号公報,特開平10−192713号公報にも示されている。
【0051】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の排ガス浄化触媒を備えた内燃機関の一実施態様を示している。
【0052】
本発明の浄化装置はリーンバーン可能なエンジン(内燃機関)99と、エアフローセンサー2,スロットバルブ3等をようする吸気系と、酸素濃度センサー(又はA/Fセンサー)7,排ガス温度センサー8,触媒出口ガス温度センサー9,排ガス浄化触媒10等をようする排気系及びエンジン制御ユニット(ECU)11等から構成される。ECUは入出力インターフェイスとしてのI/O,LSI,演算処理装置MPU,多数の制御プログラムを記憶させた記憶装置RAM及びROM,タイマーカウンター等により構成される。
【0053】
以上の排気浄化装置は以下のように機能する。エンジンへの吸入空気はエアクリーナー1によりろ過された後エアフローセンサー2により計量され、スロットバルブ3を経て、さらにインジェクター5から燃料噴射を受け混合気としてエンジン99に供給される。エアフローセンサー信号その他のセンサー信号はECU(Engine Control Unit)へ入力される。
【0054】
ECUでは、エアフローセンサー2及びスロットバルブ3からの信号により内燃機関の運転状態を評価する。また酸素濃度センサー(又はA/Fセンサー)7,排ガス温度センサー8,触媒出口ガス温度センサー9からの信号により、排ガス浄化触媒10の状態たとえばNOx浄化率がリーン運転状態における限界条件に達したか否かを評価して運転空燃比を決定する。排ガス浄化触媒のリーン運転状態におけるNOx浄化率が予め設定した限界条件に達したならば、運転空燃比が予め設定したストイキ又はリッチの空燃比になるように、インジェクター5の噴射時間等を制御して混合気の燃料濃度を所定値に設定する。シリンダーに吸入された混合気はECU11からの信号で制御される点火プラグ6により着火され燃焼する。燃焼排ガスは排気浄化系に導かれる。排気浄化系には排ガス浄化触媒10が設けられ、ストイキ運転時にはその三元触媒機能により排ガス中のNOx,HC,COを浄化し、また、リーン運転時にはNOx捕捉能によりNOxを浄化すると同時に併せ持つ燃焼機能により、HC,COを浄化する。さらにECUの判定及び制御信号により、リーン運転時には排ガス浄化触媒のNOx浄化能力を常時判定して、NOx浄化能力が低下した場合には燃焼の空燃比等をリッチ側にシフトして触媒のNOx捕捉能を回復させる。以上の操作により本装置ではリーン運転,ストイキ(含むリッチ)運転の全てのエンジン燃焼条件下における排ガスを効果的に浄化する。
【0055】
図2は、図1中の排ガス浄化触媒10の後段に炭化水素およびCOの燃焼触媒を設置した自動車を示す。図2において、排ガス浄化触媒10で除去されなかった炭化水素およびCOは、排ガス浄化触媒10の後段に設置された炭化水素およびCOの燃焼触媒12によって除去することができる。
【0056】
以下、具体的な例で本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
「実施例1」
アルミナ粉末とアルミナの前駆体からなり硝酸酸性に調製したスラリーをコージェライト製ハニカム(400セル/inc2)にコーティングした後、乾燥焼成して、ハニカムの見掛けの容積1リットルあたり1.9molのアルミナをコーティングしたアルミナコートハニカムを得た。該アルミナコートハニカムに第一成分として硝酸Ce溶液を含浸した後、200℃で乾燥、続いて600℃で1時間焼成した。次に第二成分として該Ce担持ハニカムに、ジニトロジアンミンPt硝酸溶液と硝酸Rh溶液の混合溶液を含浸した後、200℃で乾燥、続いて600℃で1時間焼成した。次に第三成分として硝酸K溶液と硝酸MnとTiO2 ゾルの混合溶液を該Ce,Pt,Rh担持ハニカムに含浸し、200℃で乾燥、続いて600℃で1時間焼成した。更に700℃で5時間焼成した。
【0057】
以上により、アルミナ1.9molに対して、元素換算でCe0.2mol,Rh0.0014mol,Pt0.014mol,K0.4mol,Mn0.25mol ,Ti0.1mol を含有する実施例触媒1を得た。同様に、原料を、アルカリ金属については硝酸塩を、PdについてはジニトロジアンミンPd硝酸溶液を、Bについてはほう酸を、Pについてはリン酸を用いて、実施例触媒2〜13を調製した。それぞれの実施例触媒の組成を表1に示す。例えば表中0.4K0.25Mn0.1Tiとはハニカムの見掛けの容積1リットルあたり元素換算でKが0.4mol、Mnが0.25mol、Tiが0.1mol含まれていることを示す。また実施例触媒1〜13において、Rh,Pt,Pdを含む場合の担時量はそれぞれRh0.0014mol、Pt0.014mol、Pd0.014molに統一した。以後特に断りが無い限りRh,Pt,Pdは実施例触媒,比較例触媒ともにこの担持量とする。表1においてはRh,Pt,Pdの担持量は省略して表記した。
【0058】
更に実施例触媒1と同様にして比較例触媒として、Mnを含まない比較例触媒1、希土類を含まない比較例触媒2、Tiを含まない比較例触媒3、Kを含まない比較例触媒4,5,6をそれぞれ調製した。比較例触媒1〜6の組成を表1に示す。表中の表記法は実施例触媒と同様とした。
【0059】
[試験例1]
(試験方法)
触媒の耐熱性能を評価する為、上記触媒を800℃で5h焼成し、その後は下記の方法で試験を行った。
【0060】
上記触媒に対して、次の条件でNOx浄化性能試験を行った。容量6c.c.のハニカム触媒を石英ガラス製反応管中に固定した。この反応管を電気炉中に導入し、反応管に導入されるガス温度が300℃,400℃,500℃となるように加熱制御した。反応管に導入されるガスは、自動車のエンジンが理論空燃比で運転されているときの排ガスを想定したモデルガス(以下ストイキモデルガス)と、自動車のエンジンがリーンバーン運転を行っているときの排ガスを想定したモデルガス(以下、リーンモデルガス)を3分毎に切り替えて導入した。ストイキモデルガスの組成は、NOx:1000ppm,C3H6:600ppm,CO:0.5%,CO2:5%,O2:0.5%,H2:0.3% ,H2O:10%,N2:残部とした。リーンモデルガスの組成は、NOx:600ppm,C3H6:500ppm,CO:0.1%,CO2:10%,O2:5%,H2O:10% ,N2:残部とした。この時、NOx浄化率を次式により算出した。
【0061】
NOx浄化率(%)=((リーンに切り替え後4分間に触媒に流入した総NOx量)−(リーンに切り替え後4分間に触媒から流出した総NOx量))÷(リーンに切り替え後4分間に触媒に流入した総NOx量)×100
以上のようにNOx浄化率を求める試験を試験例1とする。
【0062】
(試験結果)
実施例触媒1〜13,比較例触媒1〜6を試験例1により評価した結果を表2に示す。なお、ストイキ燃焼運転時のNOx浄化率は300℃で常に90%以上、400℃以上では100%であり、三元性能も十分に具備している。本発明の性能はリーン燃焼運転とストイキ燃焼運転を複数回繰り返しても各運転中のNOx浄化率は不変であった。また、リーン燃焼運転においてHC及びCO浄化率は90%以上であった。Rh,Pt,Pdの少なくとも一種と、Kと、Mnと、Tiと、希土類金属と、更に後述するようにKとMnとの複合酸化物を含んでいる実施例触媒は、高温領域である500℃を含め全測定温度範囲において比較例触媒よりも明らかにNOx浄化率が高く、耐熱性能に優れている。
【0063】
[試験例2]
(試験方法)
試験例1において、反応管中にSO2添加リーンガスのみを1.5h流通させた。リーンガスへのSO2添加量は0.01%とした。この後、試験例1の方法でNOx浄化率を測定した。この試験を試験例2とする。
【0064】
(試験結果)
実施例触媒1,7,比較例触媒2,3を、試験例2により評価した結果を表3に示す。実施例触媒1,7は、比較例触媒2,3よりもNOx浄化率が高く、耐SOx性能に優れている。表2において比較例触媒3はやや高活性であったが、表3より耐SOx性能が低いことが分かった。
【0065】
[試験例3]
(試験方法)
触媒の結晶状態を知るために、粉末XRD法を用いた。理学製広角X線回折装置RU200を用いた。測定条件は以下の通り。
【0066】
X線源 CuKα(50KV,150A)
スキャン角度範囲 5°〜100°
スキャンステップ 0.02°
スキャン速度 1°/min
(試験結果)
実施例触媒7の結晶状態を測定した。コージェライトが含まれていると、コージェライトのXRD peakが大きく、他のpeakが観測されなくなるので、実施例触媒7からコージェライトを除外したものを粉末化してXRD測定を行った。結果を図3に示す。図3に示すとおり、CeO2,Al2O3以外にK2Mn4O8が観測された。このことよりKとMnが複合酸化物化していることを確認した。更に表4に示すようなモデル触媒1〜3を調製し、試験例3の方法で試験を行った。表4の触媒組成表記法は表1と同様である。調製方法は実施例触媒1と同様にした。
【0067】
図3及び表4に示すようにアルカリ金属とMn,Ti,P,Bとの複合酸化物が観測されており、実施例に示す触媒においてもこれら複合酸化物が含まれていることは明らかである。
【0068】
「実施例2」
実施例1と同様の方法で実施例触媒7のNa,Li,Kの含有量を変化させた触媒を調製した。試験は試験例1と同様とした。
【0069】
(試験結果)
試験例1により評価した400℃でのNOx浄化率の結果を表5に示す。表5の触媒組成表記は表1と同様とした。それぞれの触媒においてNa,Li,Kの担持量が各々0.05mol以上3mol以下のとき400℃のNOx浄化率が80%を超え、高いNOx浄化率を示す。
【0070】
「実施例3」
実施例1と同様の方法で実施例触媒7のRh,Pt,Pd含有量のいずれかを変化させた触媒を調製した。試験は試験例1と同様とした。
【0071】
(試験結果)
400℃でのNOx浄化率をそれぞれ図4,図5,図6に示す。Rh,Pt,Pdの担持量が、ハニカムの見掛けの容積1リットルあたり金属換算でそれぞれ、Rhの場合は0.0003mol以上0.01mol以下,Ptの場合は0.002mol以上0.05mol以下,Pdの場合は0.001mol以上0.2mol以下のときに、400℃のNOx浄化率は80%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
「実施例4」
実施例1と同様の方法で実施例触媒7のMn添加量を変化させた触媒を調製した。試験は試験例1と同様とした。
(試験結果)
試験例1により評価した400℃でのNOx浄化率を表6に示す。表6には各々ハニカムの見掛け容積1リットルあたりの金属換算のMn担持量のみを記した。Mnの担持量が金属換算で0.01mol以上2mol 以下のときに、800℃,5h耐熱後の400℃のNOx浄化率は80%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0072】
「実施例5」
実施例1と同様の方法で実施例触媒7に関してTi担持量のみを変化させた触媒を調製した。
【0073】
(試験結果)
試験例2により評価した400℃でのNOx浄化率を表7に示す。表7にはハニカムの見掛けの容積1リットルあたりに占める金属換算のTi担持量のみを記した。Tiの担持量が元素換算で0.01mol以上2mol 以下のときに、SOx被毒後の400℃のNOx浄化率は50%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0074】
「実施例6」
実施例1と同様の方法で実施例触媒10に関してはB担持量のみを、実施例触媒11に関してはP担持量のみを変化させた触媒を調製した。
【0075】
(試験結果)
試験例1により評価した500℃でのNOx浄化率を表8に示す。表8には各々ハニカムの見掛けの容積1リットルあたりに占める金属換算のB,Pの担持量のみを記した。B,Pの担持量が元素換算で0.01mol以上2mol 以下のときに、800℃,5h耐熱後の500℃のNOx浄化率は80%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0076】
「実施例7」
実施例1と同様の方法で実施例触媒12に関してMg担持量のみを変化させた触媒を調製した。
【0077】
(試験結果)
試験例1により評価した500℃でのNOx浄化率を表9に示す。表9にはハニカムの見掛けの容積1リットルあたりに占める金属換算のMgの担持量のみを記した。Mgの担持量が元素換算で0.01mol以上3mol 以下のときに、800℃,5h耐熱後の500℃のNOx浄化率は80%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0078】
「実施例8」
実施例1と同様の方法で実施例触媒7,8,9の各々Ce,La,Nd添加量を変化させた触媒を調製した。試験は試験例1と同様とした。
【0079】
(試験結果)
試験例1により評価した400℃でのNOx浄化率を表10に示す。表10には各々ハニカムの見掛けの容積1リットルあたりに占める金属換算のCe,La,Nd担持量のみを記した。Ce,La,Ndの担持量が金属換算で0.02mol以上1mol以下のときに、800℃,5h耐熱後の400℃のNOx浄化率は80%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0080】
「実施例9」
実施例1と同様の方法で実施例触媒7のAl2O3コーティング量のみを変化させた触媒を調製した。
【0081】
(試験結果)
試験例1により評価した400℃でのNOx浄化率を表11に示す。表11にはハニカムの見掛けの容積1リットルあたりに占めるAl2O3のコーティング量のみを記した。Al2O3コーティング量がAl2O3換算でハニカム容積1リットルに対して0.3mol以上4mol以下のときに、400℃のNOx浄化率は80%を超え、高いNOx浄化率が得られる。
【0082】
「実施例10」
炭化水素およびCOの燃焼触媒として、実施例1と同様の方法でRh,Ptのみを担持した触媒を調製した。Rh,Ptの含有量は金属換算でアルミナ1.9molに対して、Rh0.002mol,Pt0.01mol とした。耐熱処理を触媒に施さず、初期品の触媒を用いた以外は試験例1と同様の方法で試験を行った。実施例触媒7について、その前段または後段に該炭化水素およびCOの燃焼触媒を設置した場合、また全く該炭化水素およびCOの燃焼触媒を設置しない場合についてその炭化水素及びCO除去率を測定した。
【0083】
なお、C3H6浄化率及びCO浄化率はそれぞれ次式により算出した。
【0084】
C3H6浄化率(%)=((リーンに切り替え1分後に触媒に流入したガス中のC3H6濃度)−(リーンに切り替え1分後に触媒から流出したガス中のC3H6濃度))÷(リーンに切り替え1分後に触媒に流入したガス中のC3H6濃度)×100
CO浄化率(%)=((リーンに切り替え1分後に触媒に流入したガス中の
CO濃度)−(リーンに切り替え1分後に触媒から流出したガス中のCO濃度))÷(リーンに切り替え1分後に触媒に流入したガス中のCO濃度)×100
測定温度は400℃とした。
【0085】
(試験結果)
耐熱処理を触媒に施さず、初期品の触媒を用いて試験例1と同様の方法により評価した400℃でのC3H6浄化率,CO浄化率を表12に示す。実施例触媒7の前段または後段に炭化水素およびCOの燃焼触媒を設置すると炭化水素,CO除去性能が向上する。また、ここでは示していないがストイキ燃焼時においてもC3H6浄化率,CO浄化率ともに向上が見られた。
【0086】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、酸素が過剰に存在する雰囲気下においても有害物質、特に窒素酸化物を高効率で浄化することができ、さらに耐熱性能,耐SOx性能にも優れているため、高い浄化性能を長期間維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排ガス浄化触媒を備えた内燃機関の一実施態様を示す構成図である。
【図2】排ガス浄化触媒と炭化水素およびCOの燃焼触媒とを組み合わせた排ガス浄化装置の一実施態様を示す構成図である。
【図3】本発明の排ガス浄化触媒からコージェライトを除外し、粉末化した触媒のX線回折スペクトル図である。
【図4】Rh量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図5】Pt量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【図6】Pd量と触媒の活性との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
1…エアクリーナー、2…エアフローセンサー、3…スロットバルブ、5…インジェクター、6…点火プラグ、7…酸素濃度センサー(またはA/Fセンサー)、8…排ガス温度センサー、9…触媒出口ガス温度センサー、10…排ガス浄化触媒、11…ECU、99…エンジン。
Claims (14)
- 理論空燃比よりも希薄の空燃比で運転を行うリーン燃焼運転タイプの内燃機関であって、その排気系に空燃比がリーンの状態のときには排ガス中のNOxの触媒表面への吸着保持を行い、空燃比がリッチ或いはストイキの運転状態に切り替ったときには該触媒表面に吸着保持されているNOxのN2への還元を行って触媒を再生するNOx浄化触媒を備えたものにおいて、
前記NOx浄化触媒は、無機酸化物からなる担体の表面に活性成分として、ロジウム,白金及びパラジウムから選ばれた少なくとも1種と、少なくとも1種の希土類金属と、K,Ti及びMnとを含み、NaとB又はPとの複合酸化物を含有することを特徴とする内燃機関。 - 請求項1に記載された内燃機関であって、前記複合酸化物は多孔質担体上に担持されており、前記多孔質担体1.9mol部に対して前記リンまたはホウ素を元素換算で0.01mol部以上2mol部以下含有することを特徴とする内燃機関。
- 請求項1または2に記載された内燃機関であって、前記活性成分として、さらに、リチウム,マグネシウム,セシウム,ストロンチウムの少なくともいずれかを含むことを特徴とする内燃機関。
- 理論空燃比よりも希薄の空燃比で運転を行うリーン燃焼運転タイプの内燃機関であって、その排気系に空燃比がリーンの状態のときには排ガス中のNOxの触媒表面への吸着保持を行い、空燃比がリッチ或いはストイキの運転状態に切り替ったときには該触媒表面に吸着保持されているNOxのN2への還元を行って触媒を再生するNOx浄化触媒を備えたものにおいて、
前記NOx浄化触媒は、無機酸化物からなる担体の表面に活性成分として、ロジウム,白金及びパラジウムから選ばれた少なくとも1種と、K,Ti,Mn及びセリウムと、リンまたはホウ素とを含み、カリウムと、マンガンとからなる複合酸化物を含有することを特徴とする内燃機関。 - 請求項4に記載された内燃機関であって、前記NOx浄化触媒はさらにナトリウム,リチウム,マグネシウム,セシウム,ストロンチウムの少なくともいずれかを含むことを特徴とする内燃機関。
- 請求項5に記載された内燃機関であって、前記NOx浄化触媒はナトリウム,カリウム,リチウム,マンガン,チタン,ロジウム,白金,パラジウム及びセリウムを含み、前記担体がアルミナであることを特徴とする内燃機関。
- 理論空燃比よりも酸素過剰の空燃比で運転される内燃機関から排出される排気ガスを触媒によって浄化するようにした排ガス浄化装置であって、該内燃機関の空燃比がリーンのときには排ガス中のNOxを表面に吸着して保持し、空燃比が理論空燃比又はリッチに切り替えられたときには表面に吸着されたままになっているNOxをN2へ還元して触媒を再生するようにしたNOx浄化触媒を備えたものにおいて、
前記NOx浄化触媒は無機酸化物からなる担体とその表面に担持された触媒活性成分とを有し、該触媒活性成分としてロジウムと白金及びパラジウムから選ばれた少なくとも1種と、リンまたはホウ素と、カリウムとマンガンとを含み、カリウムと、マンガンとからなる複合酸化物と、セリウムと、チタンとを含むことを特徴とするリーンバーン型内燃機関の排ガス浄化装置。 - 請求項7において、前記触媒活性成分として更に少なくともナトリウムとリチウムのいずれかを含むことを特徴とするリーンバーン型内燃機関の排ガス浄化装置。
- 請求項7または8において、前記触媒活性成分としてロジウムと白金及びパラジウムの3種を含むことを特徴とするリーンバーン型内燃機関の排ガス浄化装置。
- 請求項7ないし9のいずれか1項において、前記触媒活性成分として、さらに、マグネシウム,セシウム,ストロンチウムの少なくとも1種を含むことを特徴とするリーンバーン型内燃機関の排ガス浄化装置。
- 請求項8において、前記触媒活性成分がリンまたはホウ素と、ナトリウム,カリウム,リチウム,マンガン,チタン,ロジウム,白金,パラジウム及びセリウムからなり、前記担体がアルミナからなることを特徴とするリーンバーン型内燃機関の排ガス浄化装置。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載された内燃機関であって、前記NOx浄化触媒の状態に基づいて前記内燃機関の空燃比をリーンの状態からストイキ又はリッチの状態に切り替えるか、あるいはストイキ又はリッチの状態からリーンの状態に切り替えるエンジンコントロールユニットを備えた制御装置を備えたことを特徴とする内燃機関。
- 請求項12に記載された内燃機関であって、前記制御装置を内燃機関を理論空燃比よりも希薄なリーンの状態で運転してNOx浄化触媒により排ガス中のNOxを浄化し、該触媒の状態が予め設定された限界条件に達したならば前記内燃機関を理論空燃比又はリッチの状態に切り替えて運転し、該触媒の状態が回復したならば再びリーンの状態に切り替えて運転するようにしたことを特徴とする内燃機関。
- 請求項7ないし11の排ガス浄化装置を使用することを特徴とする排ガス浄化方法。
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