JP3814797B2 - 半導体基板上のシリコン重合体絶縁膜を形成する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、概して半導体技術に関し、特に半導体基板上のシリコン重合体絶縁膜及びプラズマCVD(化学気相成長)装置を使って膜を形成するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年の半導体装置の高集積化への要求の高まりから、多層配線技術が非常に注目されている。しかし、これらの多層配線構造において、個々の配線間の容量が高速動作を妨げている。この配線間容量を減少させるために、絶縁膜の比誘電率を下げる必要がある。そこで、比較的低い比誘電率を有するさまざまな材料が絶縁膜として開発されてきた。
【0003】
従来のシリコン酸化膜SiOxはSiH4若しくはSi(OC2H5)4のようなシリコン材料ガスに酸化剤として酸素O2若しくは酸化窒素N2Oを添加し、熱若しくはプラズマエネルギーによって処理することにより製造される。その比誘電率は約4.0である。
【0004】
択一的に、材料ガスとしてCxFyHzを用いてプラズマCVD法によりフッ素化アモルファスカーボン膜が製造された。その比誘電率εは2.0〜2.4ほどである。
【0005】
安定性の高いSi-O結合を利用して、絶縁膜の比誘電率を低下させる他の方法が為された。プラズマCVD法によって低圧(1Torr)のもとで材料ガスからシリコン系有機膜が製造される。材料ガスはP-TMOS(フェニルトリメトキシシラン、化学式1)から成り、それはベンゼンとシリコンの化合物であり、バブリング法によって気化される。この膜の比誘電率εは3.1ほどである。
【0006】
【化2】
さらに他の方法は膜内に作られる多孔質構造を使用する。絶縁膜はスピンコート法によって無機SOG材料から製造される。膜の比誘電率εは2.3ほどである。
【0007】
しかし、上記アプローチは以下に説明するようなさまざまな欠点を有する。
【0008】
まず、フッ素化アモルファスカーボン膜は耐熱性が低く(370℃)、シリコン系材料との密着性が悪く、機械的強度も低い。耐熱性が低いと400℃を超える高温のもとで破損する危険性がある。密着性が悪いと膜が簡単に剥がれてしまう。さらに、機械的強度が低いと配線材料が破損する危険性がある。
【0009】
P-TMOS分子は3つのO-CH3結合を有するため、P-TMOS分子を使って重合されたオリゴマーは気相中でシロキサン構造のような線状構造を形成しない。線状構造を有しないオリゴマーはシリコン基板上に多孔質構造を形成することができず、蒸着膜の密度は減少されない。その結果膜の比誘電率は所望の値まで減少され得ない。
【0010】
ここで、バブリング方式とは、アルゴンガスのようなキャリアガスを材料内に通過させることによって得られる液体材料の蒸気がキャリアガスとともに反応チャンバ内に導入されるところの方法を意味する。一般に、この方法は材料ガスを流させるために大量のキャリアガスを必要とする。結果として、材料ガスは気相中で重合反応が生じるのに十分な時間の間反応チャンバ内に留まることができない。
【0011】
さらに、スピンコート法によるSOG絶縁膜は材料がシリコン基板上に均一に塗布されないといった問題及び被覆処理の後のキュア装置が高価であるという他の問題を有する。
【0012】
したがって、本発明の主要な目的は改良された絶縁膜及びそれを形成するための方法を与えることである。
【0013】
本発明の他の目的は、低い比誘電率、高い耐熱性、高い耐吸湿性及び高い密着性を有する絶縁膜及びそれを形成する方法を与えることである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、低い比誘電率、高い耐熱性、高い耐吸湿性及び高い密着性を有する絶縁膜を形成するための材料を与えることである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、高価な装置を必要とせずに低い比誘電率を有する絶縁膜を簡単に形成するための方法を与えることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のひとつの見地は反応チャンバを含むプラズマCVD装置を使って半導体基板上に絶縁膜を形成するための方法を含み、該方法は、一般式SiαOβCxHy(α=3、β=3若しくは4、x及びyは整数)で表されるシリコン系炭化水素化合物を気化させ、その後プラズマCVD装置の反応チャンバへそれを導入する工程と、流量の実質的に減少した添加ガスを反応チャンバ内に導入する工程と、材料ガスとしての気化されたシリコン系炭化水素化合物及び添加ガスから成る混合ガスが反応ガスとして使用されるところのプラズマ重合反応によって半導体基板上に絶縁膜を形成する工程とから成る。添加ガス流量の減少は反応ガスの総流量の実質的減少を生じさせるという注目すべき特徴を有する。本発明にしたがって、比誘電率が低い連続多孔質構造を有するシリコン重合体膜が製造される。
【0017】
本発明はまた半導体基板上に形成される絶縁膜及び上記特徴を備えた絶縁膜を形成するための材料に引きつけられる。
【0018】
発明及び従来技術に対する利点を要約する目的で、発明のある目的及び利点が上述されてきた。もちろん、必ずしもそのような目的若しくは利点のすべてが発明のあらゆる特定の実施例にしたがって達成されないことは理解されるべきである。したがって、例えば、当業者はここで教示され若しくは提案されるような他の目的若しくは利点を必ずしも達成することなくここで教示されるようなひとつの利点も複数の利点を達成し若しくは最適化するように、発明が実施され若しくは実行されることを認識するであろう。
【0019】
本発明のさらなる見地、特徴及び利点は以下の好適実施例の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0020】
本発明において、以下の化学式を有する化合物が好適である。
【0021】
【化3】
ここでn及びmはあらゆる整数であり、R1からR7は炭化水素である(好適には、n及びmは独立に1から3の整数であり、より好適には1であり、各炭化水素は1から6個の炭素原子を有し、より好適には1個の炭素原子を有する)。
【0022】
これら及び他の本発明の特徴は好適実施例の図面を参照して説明されるが、それは図示するのが目的であって発明を限定するものではない。
【0023】
【発明の実施の形態】
基本的見地
本発明において、一般式SiαOβCxHy(α、β、x及びyは整数)で表現されるシリコン系炭化水素化合物は好適には少なくとも1つのSi-O結合、2つ若しくはそれ以下のO-CnH2n+1結合及びシリコン(Si)に結合された少なくとも2つの炭化水素基を有する化合物である。より特定的には、シリコン系炭化水素化合物は以下の化学式(2)で表現される化合物の少なくともひとつの種を含む。
【0024】
【化4】
ここでR1及びR2はCH3,C2H3,C2H5,C3H7及びC6H5のひとつであり、m及びnはあらゆる整数である。
【0025】
上記種を除き、シリコン系炭化水素化合物は以下の化学式(3)で表現される化合物の少なくともひとつの種を含む。
【0026】
【化5】
ここでR1、R2及びR3はCH3,C2H3,C2H5,C3H7及びC6H5のひとつであり、nはあらゆる整数である。
【0027】
上記種を除き、シリコン系炭化水素化合物は以下の化学式(4)で表現される化合物の少なくとも1つの種を含む。
【0028】
【化6】
ここでR1、R2、R3及びR4はCH3,C2H3,C2H5,C3H7及びC6H5のひとつであり、m及びnはあらゆる整数である。
【0029】
さらに、上記種を除き、シリコン系炭化水素化合物は以下の化学式(5)で表現される化合物の少なくとも1つの種を含む。
【0030】
【化7】
ここでR1、R2、R3、R4、R5及びR6はCH3,C2H3,C2H5,C3H7及びC6H5のひとつであり、添加ガスはアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、及び酸化窒素(N2O)若しくは酸素(O2)である。
【0031】
さらに、上記種を除き、シリコン系炭化水素化合物は以下の化学式(6)で表現される化合物の少なくとも1つの種を含む。
【0032】
【化8】
ここでR1、R2、R3及びR4はCH3,C2H3,C2H5,C3H7及びC6H5のひとつであり、添加ガスはアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、及び酸化窒素(N2O)若しくは酸素(O2)である。
【0033】
さらにまた、材料ガスは上記シリコン系炭化水素化合物の少なくともひとつを含む。
【0034】
本発明の他の見地にしたがって、絶縁膜は基板上に形成され及び該膜は化学式2で表現されるシリコン系炭化水素化合物を含む材料ガスを使ってプラズマCVD装置内でプラズマエネルギーによって重合される。
【0035】
付加的に、絶縁膜は基板上に形成され及び該膜は化学式3で表現されるシリコン系炭化水素化合物を含む材料ガスを使ってプラズマCVD装置内でプラズマエネルギーによって重合される。
【0036】
また、絶縁膜は基板上に形成され及び該膜は化学式4で表現されるシリコン系炭化水素化合物を含む材料ガスを使ってプラズマCVD装置内でプラズマエネルギーによって重合される。
【0037】
さらに、絶縁膜は基板上に形成され及び該膜は化学式5で表現されるシリコン系炭化水素化合物を含む材料ガスを使ってプラズマCVD装置内でプラズマエネルギーによって重合される。
【0038】
さらにまた、絶縁膜は基板上に形成され及び該膜は化学式6で表現されるシリコン系炭化水素化合物を含む材料ガスを使ってプラズマCVD装置内でプラズマエネルギーによって重合される。
【0039】
本発明のさらなる見地にしたがって、絶縁膜を形成するための材料は基板近傍の気相中に供給され、化学反応によって基板上に絶縁膜を形成するためにプラズマCVD装置内で処理され、該材料は化学式2によって表現される。
【0040】
付加的に、絶縁膜を形成するための材料は基板近傍の気相中に供給され、化学反応によって基板上に絶縁膜を形成するためにプラズマCVD装置内で処理され、該材料は化学式3によって表現される。
【0041】
また、絶縁膜を形成するための材料は基板近傍の気相中に供給され、化学反応によって基板上に絶縁膜を形成するためにプラズマCVD装置内で処理され、該材料は化学式4によって表現される。
【0042】
さらに、絶縁膜を形成するための材料は基板近傍で酸化剤として酸化窒素(N2O)若しくは酸素(O2)のいずれかを有する気相中に供給され、化学反応によって基板上に絶縁膜を形成するためにプラズマCVD装置内で処理され、該材料は化学式5によって表現される化合物である。
【0043】
さらにまた、絶縁膜を形成するための材料は基板近傍で酸化剤として酸化窒素(N2O)若しくは酸素(O2)のいずれかを有する気相中に供給され、化学反応によって基板上に絶縁膜を形成するためにプラズマCVD装置内で処理され、該材料は化学式6によって表現される化合物である。
【0044】
滞留時間及びガス流量
反応ガスの滞留時間は、反応チャンバの反応空間のキャパシティ、反応に適応される圧力及び反応ガスの総流量に基づいて決定される。反応圧力は通常1〜10Torrであるが、安定なプラズマを維持するために好適には3〜7Torrである。この反応圧力は反応ガスの滞留時間を延長するために比較的高い。反応ガスの総流量は生成膜の比誘電率を減少するのに重要である。滞留時間を制御するために添加ガスに対する材料ガスの比率を制御することは必要ではない。一般に、滞留時間が長いほど、比誘電率はより低くなる。膜を形成するのに必要な材料ガス流量は所望の蒸着速度及び膜が形成される基板面積に依存する。例えば、300nm/minの蒸着速度で基板(r(半径)=100mm)上に膜を形成するためには、少なくとも50sccmの材料ガスが反応ガス内に含まれていることが期待される。それは基板表面積(m2)当たりほぼ1.6×102sccmである。総流量は滞留時間(Rt)によって定義される。Rtが以下に説明されるように定義されるとき、Rtの好適範囲は100msec≦Rtであり、より好適には200msec≦Rt≦5sec、さらに好適には500msec≦Rt≦4secである。従来のプラズマTEOSにおいて、一般にRtは10〜30msecの範囲内にある。
【0045】
Rt[s]=9.42×107(Pr・Ts/Ps・Tr)rw 2d/F
ここで、Pr:反応チャンバ圧力(Pa)
Ps:標準気圧(Pa)
Tr:反応ガスの平均温度(K)
Ts:標準温度(K)
rw:シリコン基板の半径(m)
d:シリコン基板と上部電極との間隔(m)
F:反応ガスの総流量(sccm)
上記において、滞留時間はガス分子が反応チャンバ内に留まる平均時間間隔を意味する。滞留時間(Rt)はRt=αV/Sで計算され、ここでVはチャンバの容積(cc)であり、Sは反応ガスの体積(cc/s)であり、αは反応チャンバの形状及びガスの吸気口と排気口との間の位置関係によって決定される係数である。反応チャンバ内の反応空間は基板の表面(πr2)及び上部電極と下部電極との間の空間によって画成される。反応空間を通じて流れるガス流量を考慮すると、αは1/2と推定される。上記公式でαは1/2である。
【0046】
基本的効果
この方法において、材料ガスは少なくとも1つのSi-O結合、2つ以下のO-CnH2n+1結合及びシリコン(Si)に結合された少なくとも2つの炭化水素基を含むシリコン系炭化水素化合物である。また、この材料ガスは直接気化方式によって気化される。該方法は低い比誘電率、高い耐熱性及び高い耐吸湿性を有する絶縁膜を形成する。
【0047】
より特定的には、直接気化方式によって気化された材料ガスは十分に長い時間プラズマ中に滞留する。結果として、線状重合体が形成され、nが2若しくはそれ以上の値であるところの基本構造(化学式7)を有する線状重合体が気相中で成長する。その後、該重合体が半導体基板上に堆積し連続多孔質構造を有する絶縁膜を形成する。
【0048】
【化9】
ここでX1及びX2はOnCmHpであり、nは0若しくは1、m及びpはゼロを含む整数である。
【0049】
本発明に係る絶縁膜は高い結合エネルギーを有するSi-O結合を基本骨格としているため比較的高い安定性を有する。また、連続多孔構造を有するため比誘電率が低い。さらに、基本骨格(-Si-O-)nは両側において疎水性を有する炭化水素基で終端されたダングリングボンドを有し、この特性が耐吸湿性を与える。さらにまた、一般に炭化水素とシリコンの結合は安定である。例えば、メチル基との結合すなわちSi-CH3とベンゼンとの結合すなわちSi-C6H5の両方は500℃若しくはそれ以上の解離温度を有する。上記半導体製造は450℃以上の耐熱性が要求されるため、膜のその特性は半導体製造にとって有利である。
【0050】
本発明のさらなる見地、特徴及び利点は以下の好適実施例の詳細な説明から明らかとなる。
【0051】
実施例構造の概要
図1は本発明で使用可能なプラズマCVD装置を図式的に示す。この装置は反応ガス供給装置12及びプラズマCVD装置1から成る。反応ガス供給装置12は、複数のライン13、ライン13に配置された制御バルブ8及びガス入口ポート14、15及び16から成る。流量制御器7は所定の体積に材料ガスの流量を制御するために個々の制御バルブ8に結合されている。液体反応材料18を収容する容器は液体を直接的に気化させる気化装置17に結合されている。プラズマCVD装置1は反応チャンバ6、ガス入口ポート5、サセプタ3及びヒータ2を含む。円形ガス拡散板10はガス入口ポートのすぐ下に配置される。ガス拡散板10はその底面に複数の細孔を有し、そこから半導体基板4へ反応ガスを噴射することができる。反応チャンバ6の底部には排気ポート11が存在する。この排気ポート11は外部の真空ポンプ(図示せず)に結合されており、その結果反応チャンバ6の内部は真空排気される。サセプタ3はガス拡散板10に面して平行に配置される。サセプタ3は半導体基板4を表面上に載置しかつヒータ2で加熱する。ガス入口ポート5は反応チャンバ6から絶縁され、外部の高周波電源9に結合されている。択一的に、サセプタ3が電源9に結合されてもよい。こうして、ガス拡散板10及びサセプタ3は高周波電極として機能しかつ半導体基板4の表面付近にプラズマ反応領域を生成する。
【0052】
本発明のプラズマCVD装置を使って半導体基板上に絶縁膜を形成するための方法は、一般式SiαOβCxHy(α、β、x及びyは整数)で表現されるシリコン系炭化水素化合物を直接気化し、その後プラズマCVD装置1の反応チャンバ6にそれを導入する工程と、流量の実質的に減少した添加ガスを反応チャンバ6内に導入する工程と、材料ガス及びキャリアガスとしてのシリコン系炭化水素化合物から作られる混合ガスが反応ガスとして使用されるところのプラズマ重合反応によって半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、から成る。添加ガス流量の減少が反応ガスの総流量の実質的減少をもたらすことは注目すべき特徴である。この特徴は以下により詳細に説明される。
【0053】
材料ガス及び添加ガス
ここで、一般式SiαOβCxHy(α、β、x及びyは整数)で表現されるシリコン系炭化水素化合物は好適には、少なくともひとつのSi-O結合、2つ若しくはそれ以下のO-CnH2n+1結合及びシリコン(Si)に結合した少なくとも2つの炭化水素基を有する化合物である。より特定的には、それは以下に示される化合物、
(A)化学式:
【0054】
【化10】
ここでR1及びR2はCH3,C2H3,C2H5,C3H7及びC6H5のひとつであり、m及びnはあらゆる整数であり、
以下に示される化合物、
(B)化学式
【0055】
【化11】
ここでR1、R2及びR3はCH3,C2H3,C2H5,C3H7及びC6H5のひとつであり、nはあらゆる整数であり、
以下に示される化合物、
(C)化学式
【0056】
【化12】
ここでR1、R2、R3及びR4はCH3,C2H3,C2H5,C3H7及びC6H5のひとつであり、m及びnはあらゆる整数であり、
以下に示される化合物、
(D)化学式
【0057】
【化13】
ここでR1、R2、R3、R4、R5及びR6はCH3,C2H3,C2H5,C3H7及びC6H5のひとつであり、及び酸化剤として酸化窒素(N2O)若しくは酸素(O2)を有する化合物との混合物であり、
または、以下に示される化合物、
(E)化学式
【0058】
【化14】
ここでR1、R2、R3及びR4はCH3,C2H3,C2H5,C3H7及びC6H5のひとつであり、及び酸化剤として酸化窒素(N2O)若しくは酸素(O2)を有する化合物との混合物である。
【0059】
また、シリコン系炭化水素化合物はこれらの化合物及び混合物のあらゆる組合せから成ることに注意すべきである。
【0060】
この実施例で使用される添加ガスは、より具体的にはアルゴンガス及びヘリウムガスである。アルゴンは主にプラズマの安定化のために使用され、一方ヘリウムはプラズマの均一性及び絶縁膜の膜厚の均一性を改善するために使用される。
【0061】
上述された方法において、第1工程の直接気化方式とは流量の制御された液体材料が予熱された気化装置において瞬間的に気化されるところの方法である。この直接気化方式は所望の流量の材料ガスを得るのにアルゴンのようなキャリアガスを必要としない。この点がバブリング方式と大きく異なる。したがって、大量のアルゴンガス若しくはヘリウムガスはもはや必要ではなく、このことによって反応ガスの総流量が減少し、その結果プラズマ中に材料ガスが滞留する時間を延長することができる。結果として、気相中で十分な重合反応が生じ、線状重合体が形成され及び連続多孔質構造を有する膜が得られる。
【0062】
図1において、ガス入口ポート14を通じて供給される不活性ガスは、シリコン系炭化水素化合物である液体反応材料18をライン13を通じて制御バルブ8へ押し出す。制御バルブ8は液体反応材料18の流量を流量制御器7で制御し、その結果それは所定の体積を超えることはない。減少したシリコン系炭化水素化合物18は上記した直接気化方式によって気化されるよう気化装置17へ向かう。アルゴン及びヘリウムは入口ポート15及び16を通じてそれぞれ供給され、バルブ8はこれらのガスの流量を制御する。その後、材料ガス及び添加ガスの混合物である反応ガスは、プラズマCVD装置1の入口ポート5へ供給される。すでに真空排気された反応チャンバ6の内部に配置されたガス拡散板10と半導体基板4との間の空間は、好適には13.4MHz及び430kHzの高周波RF電圧で付勢され、該空間はプラズマ領域として働く。連続的に、サセプタ3は半導体基板4をヒータ2で加熱し、基板4を所望な350〜450℃の所定の温度に維持する。ガス拡散板10の細孔を通じて供給される反応ガスは所定の時間半導体基板4の表面付近のプラズマ領域内に留まる。
【0063】
もし滞留時間が短いと、線状重合体が十分に成長せず、その結果基板上に蒸着された膜は連続多孔質構造を形成しない。滞留時間は反応ガスの流量に反比例するので、反応ガスの流量の減少はその滞留時間を延長させる。
【0064】
反応ガスの総流量を極端に減少させることは、添加ガスの流量を減少させることによって実行される。結果として、反応ガスの滞留時間は延長され、その結果線状重合体が十分に成長し、つづいて連続多孔質構造を有する絶縁膜が形成される。
【0065】
気相中での反応を調整するために、少量の不活性ガス、酸化剤若しくは還元剤を反応チャンバに添加することが有効である。ヘリウム(He)及びアルゴン(Ar)は不活性ガスであり、24.56eV及び15.76eVの異なるイオン化エネルギーをそれぞれ有する。したがって、He若しくはArのいずれか若しくは両方を組み合わせて所定の量で添加することによって、気相中の材料ガスの反応が制御される。反応ガスの分子は気相中で重合され、それによってオリゴマーが形成される。オリゴマーはO:Si比率が1:1を有するように期待される。しかし、オリゴマーが基板上に膜を形成する際、オリゴマーはさらに重合されより高い酸素比率を生じさせる。比率は基板上に形成される膜の比誘電率若しくは他の性質によって変化する(例えば、以下に説明される例5の比率は3:2である)。
【0066】
材料ガスから引き出されかつ膜中に取り込まれない残留酸素は材料化合物から脱離しプラズマ中を浮遊する。材料ガス内のSi:Oの比率は化合物によって変化する。例えば、上記化学式2から6において、O:Siの比率はそれぞれ2:1,1:1,3:2,1:2,0:1である。酸素の量が増加すると、Siに直接結合され膜形成に必要な有機基が酸化され、その結果膜の劣化を引き起こしやすくなる。上記において、反応チャンバへH2及びCH4のような還元剤を添加することによって、プラズマ中の酸素の分圧が下がり、有機基の上記酸化を防止することができる。対照的に、O:Si比率が低い(例えば3/2若しくはそれ以下)場合には、N2O及びO2のような酸化剤を添加することによって膜を形成するために酸素を供給する必要がある。形成された膜の組成がFT-IR若しくはXRSによって分析され、及びその比誘電率も分析されるところの予備実験に基づいて還元剤若しくは酸化剤の適当な量が予め評価される。したがって、He、Arのような添加ガス、還元剤、及び酸化剤の適当なタイプを選択しかつ添加される各ガスの量を制御することによって、所望の品質を有する膜が製造される。
【0067】
他の見地
上記において、シリコン重合体用の材料ガスを製造するためのシリコン系炭化水素化合物は好適には2つの若しくはそれ以下のアルコキシ基を有するかまたはアルコキシ基を有しない。3つ若しくはそれ以上のアルコキシ基を有する材料ガスの使用は線状シリコン重合体の形成を妨げ、膜の比較的高い誘電率を生じさせる。上記において、Si原子の数は限定されないが、化合物のひとつの分子は好適には1つ、2つ若しくは3つのSi原子を含む(Si原子が多いほど、気化がより困難となり、及び化合物の合成のコストもより高くなる)。アルコキシ基は通常1〜3個の炭素原子を含み、好適には1つ若しくは2つの炭素原子を含む。Siに結合された炭化水素は通常1〜12個の炭素原子を有し、好適には1〜6個の炭素原子を有する。好適なシリコン系炭化水素化合物は以下の化学式を有する。
【0068】
SiαOα -1R2 α - β '+2(OCnH2n+1)β '
ここで、αは1〜3の整数、β'は0、1、若しくは2、nは1〜3の整数、及びRはSiに結合されたC1-6炭化水素である。酸化剤若しくは還元剤の使用は、シリコン重合膜の目標比誘電率(3.30若しくはそれ以下、好適には3.10若しくはそれ以下、より好適には2.80若しくはそれ以下)並びに誘電率の安定性及び耐熱性のような他の性質に依存して決定される。上記したように、材料ガス内のO:Si比率もまた酸化剤若しくは還元剤を選択するのに考慮される。好適には、もし比率が3:2より低ければ、酸化剤が使用され、もし比率が3:2より高ければ還元剤が使用される。また、Ar及びHeのような不活性ガスはプラズマ反応を制御するためのものであるが、シリコン重合膜を形成するのに不可欠ではない。材料ガスの流量及び添加ガスの流量はプラズマCVD装置に依存して変化する。適切な流量はシリコン重合膜の比誘電率を反応ガス(材料ガス及び添加ガスから成る)の滞留時間と相関させることによって決定される。滞留時間が長いほど、誘電率はより低くなる。延長された滞留時間あたりの誘電率の減少率は変化可能であり、ある滞留時間の後に誘電率の減少率は大きく増加し、すなわち反応ガスのある滞留時間の後に誘電率は鋭く下降する。この誘電率の下降範囲の後、誘電率の減少はスローダウンする。これは非常に興味深い。本発明において、膜の誘電率と反応ガスの滞留時間との間の所定の相関関係に基づいて誘電率下降範囲に達するまで滞留時間を延長することによって、シリコン重合膜の比誘電率を大きく減少させることが可能である。
【0069】
【実施例】
実験のいくつかの好適結果が以下に説明される。これらの実験において、PM-DMOS(フェニルメチル・ジメトキシシラン、化学式1)、DM-DMOS(ジメチル・ジメトキシシラン、化学式8)及びP-TMOSが材料ガスとして使用された。通常のプラズマCVD装置(EAGLE-10TM、日本エー・エス・エム株式会社)が実験装置として使用された。成膜条件は以下のとおりである。
添加ガス:Ar及びHe
RF電力:250W(13.4MHz及び430kHzの周波数を合成して使用)
基板温度:400℃
反応圧力:7Torr
気化方法:直接気化方式
滞留時間(Rt)は以下のように定義される。
【0070】
Rt[s]=9.42×107(Pr・Ts/Ps・Tr)rw 2d/F
この式中、各略語は以下のパラメータを示す。
【0071】
Pr:反応チャンバ圧力(Pa)
Ps:標準気圧(Pa)
Tr:反応ガスの平均温度(K)
Ts:標準温度(K)
rw:シリコン基板の半径(m)
d:シリコン基板と上部電極との間隔(m)
F:反応ガスの総流量(sccm)
個々のパラメータは以下の値に固定され、流量と比誘電率との間の関係を見出すために流量のみが変化された。
Pr=9.33×102(Pa)
Ps=1.01×105(Pa)
Tr=272+400=673(K)
Ts=273(K)
rw=0.1(m)
d=0.014(m)
表1は比較例及び本発明の実施例の実験結果を示す。
【0072】
【表1】
比較例1
材料ガス:P-TMOS(100 sccm)
添加ガス:Ar(1000 sccm)及びHe(1000 sccm)
反応ガスの総流量:2100 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は24 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを3.38に減少させた。
【0073】
比較例2
材料ガス:P-TMOS(100 sccm)
添加ガス:Ar(10 sccm)及びHe(10 sccm)
反応ガスの総流量:120 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は412 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを3.42に減少させた。
【0074】
比較例3
材料ガス:PM-DMOS(100 sccm)
添加ガス:Ar(775 sccm)及びHe(775 sccm)
反応ガスの総流量:1650 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は30 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを3.41に減少させた。
【0075】
比較例4
材料ガス:PM-DMOS(100 sccm)
添加ガス:Ar(550 sccm)及びHe(550 sccm)
反応ガスの総流量:1200 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は41 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを3.41に減少させた。
【0076】
比較例5
材料ガス:PM-DMOS(100 sccm)
添加ガス:Ar(430 sccm)及びHe(430 sccm)
反応ガスの総流量:960 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は51 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを3.40に減少させた。
【0077】
比較例6
材料ガス:PM-DMOS(100 sccm)
添加ガス:Ar(310 sccm)及びHe(310 sccm)
反応ガスの総流量:720 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は68 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを3.35に減少させた。
【0078】
実施例1
材料ガス:PM-DMOS(100 sccm)
添加ガス:Ar(140 sccm)及びHe(140 sccm)
反応ガスの総流量:480 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は103 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを3.10に減少させた。
【0079】
実施例2
材料ガス:PM-DMOS(100 sccm)
添加ガス:Ar(100 sccm)及びHe(100 sccm)
反応ガスの総流量:300 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は165 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを2.76に減少させた。
【0080】
実施例3
材料ガス:PM-DMOS(100 sccm)
添加ガス:Ar(70 sccm)及びHe(70 sccm)
反応ガスの総流量:240 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は206 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを2.64に減少させた。
【0081】
実施例4
材料ガス:PM-DMOS(100 sccm)
添加ガス:Ar(10 sccm)及びHe(10 sccm)
反応ガスの総流量:120 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は412 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを2.45に減少させた。
【0082】
ここで、上記実験結果について図2及び3を参照しながら考察する。図2は材料ガスとしてPM-DMOSを使用した実験における、比誘電率εと反応ガスの総流量との間の関係及び滞留時間Rtと反応ガスの総流量との間の関係を示すグラフである。図3は材料ガスとしてPM-DMOSを使用した実験における、滞留時間Rtと比誘電率εとの間の関係を示すグラフである。
【0083】
まず、PM-DMOSガスの流量と絶縁膜の比誘電率εとの間の関係を検討する。図2は流量が約700sccmまでは比誘電率εがほぼ一定の3.4であることを示している。しかし、流量がほぼ700sccm若しくはそれ以下に減少するとともに比誘電率εは下がり始める。また、流量が500sccm以下に下がるに従い、滞留時間Rtは急激に上昇し及び比誘電率εは急激に下降する。一方、図3は滞留時間Rtがほぼ70msecから増加すると比誘電率εが減少し始めることを示している。滞留時間Rtが400msecより長いと、比誘電率εは2.45まで低下する。
【0084】
したがって、本発明の実施例は、もしRtが100sec以上となるようにPM-DMOSガス及び添加ガスの反応ガスの総流量が制御されれば、比誘電率εは3.1以下に制御され得ることを明白に示している。
【0085】
実施例5
次にDM-DMOS(化学式8)が試験された。
【0086】
【化15】
材料ガス:DM-DMOS(100 sccm)
添加ガス:Ar(10 sccm)及びHe(10 sccm)
反応ガスの総流量:120 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は412 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを2.58に減少させた。
【0087】
実施例6
材料ガス:DM-DMOS(25 sccm)
添加ガス:Ar(3 sccm)及びHe(0 sccm)
反応ガスの総流量:28 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は1764 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを2.51に減少させた。
【0088】
実施例7
材料ガス:DM-DMOS(25 sccm)
添加ガス:Ar(0 sccm)及びHe(5 sccm)
反応ガスの総流量:30 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は1647 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを2.50に減少させた。
【0089】
実施例8
材料ガス:DM-DMOS(100 sccm)
添加ガス:H2(20 sccm)及びCH4(0 sccm)
反応ガスの総流量:120 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は412 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを2.52に減少させた。
【0090】
実施例9
材料ガス:DM-DMOS(25 sccm)
添加ガス:H2(5 sccm)及びCH4(0 sccm)
反応ガスの総流量:30 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は1647 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを2.49に減少させた。
【0091】
実施例10
材料ガス:DM-DMOS(25 sccm)
添加ガス:H2(0 sccm)及びCH4(5 sccm)
反応ガスの総流量:30 sccm
その他の成膜条件及び膜形成用に使用した装置は上記の通り。滞留時間Rtの計算値は1647 msecであった。以上の条件は絶縁膜の比誘電率εを2.67に減少させた。
【0092】
したがって、上記より、化学式2の材料ガスにおいて両化合物(R1がC6H5でR2がCH3であるPM-DMOS及びR1がCH3でR2がCH3であるDM-DMOS)は非常に低い比誘電率(ε<3.1)を有する絶縁膜を製造することができることがわかる。
【0093】
以下に、PM-DMOSガスの代わりにP-TMOSガスが同じ結果をもたらすかどうかを検討する。比較例1及び2の両方は材料ガスとしてP-TMOSを使用した実験で得られた結果である。これらの実施例は、反応ガスの総流量が5.7%まで減少しても比誘電率が減少しないことを示している。したがって、PM-DMOSで成立した流量と比誘電率との関係はP-TMOSでは成立しない。
【0094】
また、以下に、異なる材料ガスを使用した際の比誘電率の相違を検討する。比較例2と本発明の実施例4を比較すると、流量及び他の条件は同一であるのに、P-TMOSの比誘電率εは3.42であり一方PM-DMOSの比誘電率εは2.45である。比誘電率の値のこのような大きな違いは材料ガスの分子構造の違いによるものである。すなわち、PM-DMOSは分離しやすい比較的不安定な一対のO-CH3結合を有し、その結果重合反応が生じ及び線状重合体(化学式7)が気相中で形成される。この重合体は半導体基板上に堆積され連続多孔構造を形成し、及び絶縁膜の比誘電率が低下する。一方、P-TMOSは3つのO-CH3結合を有するため、たとえ滞留時間が延長されてもその重合体は線状に成長しない。したがって、成長する膜は連続多孔構造を有せず、比誘電率も低下しない。
【0095】
これらの実験により、材料ガスとして使用されるシリコン系炭化水素化合物はSi-O結合だけでなく2つ以下のO-CnH2n+1結合を有し、かつシリコン(Si)に結合した少なくとも2つの炭化水素基を有することが好適であることがわかった。
【0096】
本発明にしたがって形成される低い比誘電率の膜安定性は、PM-DMOSが使用されたところの実施例4及びDM-DMOSが使用されたところの実施例5に従う低い比誘電率膜を準備することによって評価され、それによって比誘電率の安定性及び耐熱性が評価された。
【0097】
(1)比誘電率の安定性
膜の比誘電率の変化は圧力釜内でPM-DMOS膜及びDM-DMOS膜を加熱しかつ加湿することにより測定された。すなわち、各膜は1μmの膜厚でSiウエハ上に形成され、その比誘電率は膜形成の直後及び120℃及び湿度100%で1時間放置された後に測定された。結果を以下に示す。各膜の比誘電率に変化は見られず、極めて安定であることがわかる。
【0098】
【表2】
(2)耐熱性
熱脱離試験に基づいて、膜構造の耐熱性が評価された。すなわち、Siウエハ上に形成されたPM-DMOS及びSiウエハ上に形成されたDM-DMOSのサンプルは真空中に配置され、毎分10℃の速度で上昇する温度に晒され、それによって、膜から脱離した分子の量が測定された。図4は昇温中にCH4の脱離に起因する分量16を有する成分の熱脱離スペクトルを示す。図5は膜から脱離する総分子数に対応する真空度の変化を示す。両方の実験において、温度400℃若しくはそれ以下ではいずれの膜も脱離は生じなかった。脱離はPM-DMOSでほぼ450℃及びDM-DMOSでほぼ500℃で始まった。低比誘電率膜に必要な耐熱温度は概して400℃から450℃である。したがって、PM-DMOS膜及びDM-DMOS膜の両方は高い耐熱性を有することが証明された。
【0099】
上述したように、材料ガスとして本発明に係るシリコン系炭化水素化合物を使用する本発明の方法によって、高い耐熱性、高い耐吸湿性及び低い比誘電率を有する絶縁膜が製造される。また、反応ガスの滞留時間を制御することによって有効かつ単純に膜の比誘電率を制御できることがわかった。さらに、本発明に係る方法により、高価な装置を使用することなく絶縁膜を製造することが実現された。
【0100】
本発明はある実施例について説明されてきたが、当業者にとって明白な他の実施例は本発明の態様内にある。したがって、本発明の態様は請求の範囲によってのみ定義されるものである。
【0101】
上記において、以下の化学式を有する化合物は上記化合物と置き換えが可能であり優れた効果を示す。
【0102】
【化16】
ここでn及びmはあらゆる整数であり、R1からR7は炭化水素である。
【0103】
本発明の思想から離れることなく、多くのさまざまな修正が可能であることは当業者の知るところである。したがって、本発明の形式は単に例証であって本発明の態様を限定するものではないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の絶縁膜を形成するために使用されるプラズマCVD装置を図示した略示図である。
【図2】図2は、材料ガスとしてPM-DMOSを使用した実験における、比誘電率と反応ガスの総流量との間の関係及び滞留時間と反応ガスの総流量との間の関係を示すグラフである。
【図3】図3は、材料ガスとしてPM-DMOSを使用した実験における滞留時間と比誘電率との間の関係を示すグラフである。
【図4】図4は、熱脱離試験における本発明に従う膜(PM-DMOS,DM-DMOS)からのCH4の脱離に起因する分子量16を有する成分の熱脱離スペクトルを示すグラフである。
【図5】図5は、膜(PM-DMOS,DM-DMOS)から脱離した総分子数に対応する真空度の変化、すなわち、熱脱離試験における膜から脱離するガスに起因する圧力上昇を示すグラフである。
【符号の説明】
1 プラズマCVD装置
2 ヒータ
3 サセプタ
4 半導体基板
5 ガス入口ポート
6 反応チャンバ
7 流量制御器
8 制御バルブ
9 RF電源
10 ガス拡散板
11 排気ポート
12 反応ガス供給装置
13 ライン
14 ガス入口ポート
15 ガス入口ポート
16 ガス入口ポート
17 気化装置
18 液体反応材料
Claims (7)
- 請求項1に記載の方法であって、化学式内のn及びmは独立に1から3の整数である、ところの方法。
- 請求項1に記載の方法であって、化学式内の各炭化水素は1から6個の炭素原子を有する、ところの方法。
- 請求項1に記載の方法であって、反応ガスは少なくともアルゴン(Ar)若しくはヘリウム(He)のいずれかから成るキャリアガスを含む、ところの方法。
- 請求項1に記載の方法であって、反応ガスの流量はシリコン重合体膜の比誘電率を3.30以下にするよう制御される、ところの方法。
- 請求項1に記載の方法であって、滞留時間は(i)反応ガスの流量を減少させ、(ii)反応空間を拡大し、または(iii)反応圧力を増加させることによって延長される、ところの方法。
- 請求項1に記載の方法であって、以下の方程式で定義される反応ガスの滞留時間Rtが100msecに劣らないところの方法であり、
Rt[s]=9.42×107(Pr・Ts/Ps・Tr)rw 2d/F
ここで、Pr:反応チャンバ圧力(Pa)
Ps:標準気圧(Pa)
Tr:反応ガスの平均温度(K)
Ts:標準温度(K)
rw:シリコン基板の半径(m)
d:シリコン基板と上部電極との間隔(m)
F:反応ガスの総流量(sccm)
である方法。
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