JP3774575B2 - 反射型液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶を用いた表示素子にかかわり、特に時分割駆動が可能であり、かつ、バックライトを用いずに明るい表示を実現する反射型液晶表示装置にかかわる。
【0002】
【従来の技術】
現在、STN(Super Twisted Nematic)−LCDを用いた反射型液晶表示装置が市販されている。しかしながらこの方式には、反射率が低い,表示に影が生じるといった問題がある。STN−LCDでは反射板と液晶の間には1mm厚程度のガラス基板が介在する。画素の大きさは300μm×100μm程度なので、液晶パネルに斜めに入射する光は入射するときと反射された後では異なる画素を通過する。従って、この液晶表示装置を斜めから見るとあたかも表示物の影が反射板に映っているかのように見えてしまう。
【0003】
この対策として、偏光板1枚で表示が可能な反射型STN−LCD(単偏光板型STN−LCD)を用いる方法が提案されている(94年液晶討論会予稿集,pp.206−207)。
【0004】
従来のSTN−LCDでは所定の直線偏光以外の光を吸収する偏光板が2枚必要なのに対し、単偏光板型STN−LCDでは1枚で表示が可能であるため、反射率を向上させることができる。
【0005】
また、従来のSTN−LCDでは液晶パネルに貼り付けた偏光板の外側に反射板を設ける必要があったが、単偏光板型STNでは反射板側の偏光板が省略されるので、反射板を液晶パネル内に設けて影の問題を解決することが可能である。この方式は1枚の偏光板,反射板を内蔵したSTN液晶セル,偏光板と液晶セルの間に設けた複屈折性を有するフィルム(位相板)からなる。位相板はモノクロ表示を実現するように最適化されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術には良好な黒表示が実現できないという問題点がある。
【0007】
良好な黒表示を実現するためには、400〜700nmの可視波長域において十分に低い反射率を実現する必要がある。
【0008】
しかしながら、従来技術のように位相板を1枚用いた単偏光板型STN−LCDでは、特定の波長に対してのみ低い反射率が実現され、すべての波長域にわたり低い反射率を実現することはできない。通常は視感度の高い緑の波長に対して低い反射率が実現できるように位相板を最適化してあるが、他の波長に対しては必ずしも低い反射率は実現されない。その結果、青みがかった黒や茶色となってしまい良好な黒色表示は実現できなかった。
【0009】
本発明の目的は、前記従来技術の課題を解決し、反射率が低くかつ無彩色である良好な黒表示を実現する反射型液晶表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、位相板を2枚用い、かつ、位相板の光学軸,屈折率異方性Δnと厚さdの積(Δnd)、及び偏光板の吸収軸を特定した。
【0011】
すなわち、反射板,電極を有する一対の基板間に液晶層を挿入した液晶セル,第1の複屈折性フィルム,第2の複屈折性フィルム,偏光板がこの順に配置された構成で、前記液晶層内において液晶分子が第1の複屈折性フィルム側の基板から他方の反射板側に向かってねじれた構造であり、そのツイスト角θが220°から270°の範囲であり、前記液晶の屈折率異方性Δnと前記液晶層の厚さdの積Δndが0.6μmから0.85μmの範囲であって、前記偏光板の吸収軸の方向をγ、第1,第2の複屈折性フィルムの光学軸の方向をφ1及びφ2、前記第1の複屈折性フィルム側の基板上の液晶分子の方向をφ0 =90°−θ/2、また、第1及び第2の複屈折性フィルムのΔndをΔnd1,Δnd2とすると、
(I)40°<φ1<100°,φ2=1.3×φ1+15±30°,γ=1.6×φ1−75±30°,Δnd1=2.9×φ1−50±50nm,Δnd2=−0.5×φ1+410±50nm、または、
( II )40°<φ1<100°,φ2=1.9×φ1−30±30°,γ=2.6×φ1−160±30°,Δnd1=2.8×φ1−30±50nm,Δnd2=−3.8×φ1+720±50nm、
のいずれかの条件をみたすよう構成されていることを特徴とする反射型液晶表示装置を用いて前記課題を解決した。
【0012】
本構成において、前記位相板の光学軸,Δndの値、及び偏光板の吸収軸は、暗表示時の電圧が前記一対の電極間に印加されている状態で、反射板側から液晶セルに円偏光を入射したときに、その光が偏光板へ入射する際に、少なくとも赤,緑,青の波長に対して略直線偏光になり、かつ、その偏光方向が偏光板の吸収軸とほぼ一致するように特定されている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0014】
本発明の一実施例の構成を図1に示す。
【0015】
外光の入射する側から、偏光板4,位相板2,位相板1,STN液晶3,反射板5を順次積層した構成からなる。図には示していないが、STN液晶3には電圧が印加できる構造になっている。
【0016】
図2は、図1の液晶表示装置の各構成素子の配置を示す角度図である。偏光板4の吸収軸14,位相板1の光学軸方向11,位相板2の光学軸12,STN液晶3の位相板側の液晶分子の配向方向10をそれぞれ、γ,φ1,φ2,φ0 で定義する。
【0017】
STN液晶3の液晶分子は位相板側から反射板側に向けてねじれた構造になっており、位相板側の液晶分子の配向方向10と反射板側の液晶分子の配向方向
13とのなす角はツイスト角θで定義される。本実施例では、位相板側から、反射板側に向かって、反時計回りに液晶分子がねじれて配向している場合を例にとって説明する。各素子の角度はx方向を基準として、反時計回りに定義する。さらに、φ0 =90°−θ/2とした。
【0018】
次に、本実施例の液晶表示装置が暗表示時に、赤,緑,青の波長に対して十分に低い反射率を実現するための条件、及び、その際の動作について説明する。
【0019】
偏光板側から入射した外光が、偏光板4,位相板2,位相板1,STN液晶3を透過した後に、反射板5上、すなわち、図1におけるA点にて円偏光であれば、この素子の反射率が0となることが知られている。この場合、逆に、A点から円偏光をSTN液晶3に向かって入射するとD点において偏光方向が偏光板4の吸収軸に平行な直線偏光となる。従って、STN液晶3に暗表示時の電圧が印加されている状態で、A点から円偏光を入射したときに、D点における偏光状態が、赤,緑,青の波長に対して、略同一の直線偏光となり、その偏光方向が偏光板4の吸収軸と略平行になるように、位相板1,2及び偏光板を選べば、赤,緑,青の波長に対して十分に低い反射率を実現することができる。
【0020】
楕円偏光が、位相板を透過したとき、位相板の光学軸に平行な成分と垂直な成分に位相差が生じるが、両成分の絶対値は変化しない。従って、長辺あるいは短辺が位相板の光学軸に平行で、かつ、位相板を透過する前の楕円偏光を表す楕円を内接する長方形を仮定すると、位相板を透過した後の楕円偏光も、その長方形に内接することになる。このとき位相板で生じる位相差を選べば直線偏光が得られるが、この直線偏光も前記長方形に内接するので、偏光方向は前記長方形の対角方向となる。
【0021】
以上のことより、D点において、赤,緑,青の波長にかかわらず同一の直線偏光を得るためには、図3に示すように、C点において赤,緑,青の楕円偏光が前記同一の長方形に内接する必要がある。STN液晶透過直後の偏光状態は、すなわちB点においては一般にこの条件はみたされていない。従って、1枚の位相板では、波長にかかわらず同一の直線偏光を得ることはできない。
【0022】
そこで、本実施例では、C点において前記条件をみたすように位相板1を選定する。位相板1のΔndは、B点における楕円偏光を表す複素電界ベクトルの位相板1の光学軸に平行な成分の絶対値Ex,垂直な成分の絶対値Ey,平行な成分と垂直な成分の位相差δ0 ,位相板1の光学軸φ1 ,位相板2の光学軸φ2 ,偏光板の吸収軸γ,光の波長λを用いて、次式(数1)で決定される。
【0023】
【数1】
【0024】
次に、位相板1透過後のC点における偏光が、位相板2を透過した後に、D点において、少なくとも、赤,緑,青の波長に対して、その偏光方向が偏光板4の吸収軸に平行な同一の直線偏光となるように、位相板2を選定する。位相板2のΔndは、C点における偏光状態を表す複素電界ベクトルの、位相板2の光学軸に平行な成分と垂直な成分の位相差δ1 ,光の波長λを用いて次式(数2)で決定される。
【0025】
【数2】
【0026】
赤,緑,青の各波長に対して、前記式(数1)で位相板1のΔndを、前記式(数2)で位相板2のΔndをそれぞれ独立に決定すれば、任意のγ,φ1,φ2の組み合わせに対して、赤,緑,青の波長の反射率を0とすることが可能である。しかしながら、赤,緑,青の波長のΔndの間には材料によって決まる一定の関係がある。例えば、ポリカーボネイトフィルムの場合、赤の波長のΔndは緑の波長のΔndの約0.97倍、青の波長のΔndは緑の波長のΔndの約1.07倍である。従って、一般には赤,緑,青のすべての波長に対して反射率を0とすることはできない。
【0027】
そこで、本実施例では、視感度の高い緑の波長に対して、位相板のΔndの値を式(数1)及び式(数2)から決定し、これを満足する材料を用いたときに、反射板側から円偏光を入射したときに偏光板から出射される光の強度が、赤及び青の波長にて十分に低くなるためのγ,φ1,φ2,Δnd1,Δnd2の条件を求めた。十分低い光の強度として、入射した円偏光の強度の1%を定義した。
【0028】
本実施例において、上記の条件をみたすφ1,φ2,γ,Δnd1,Δnd2の組み合わせは以下に示す(I)(II)(III)の3つのケースに分類される。STN液晶セルのツイスト角を220°〜270°,Δndを0.6〜0.85μmまで変えて検討した。ここで、Δndの値は550nmの波長に対する値である。
【0029】
図4は、(I)のΔnd1,Δnd2とφ1 の関係を示す図、図5はφ2 ,γとφ1 の関係を示す図である。上記の条件をみたすのは図4,図5に示すように次のとおりである。
【0030】
(I) 40°<φ1<100°
φ2=1.3×φ1+15±30°
γ=1.6×φ1−75±30°
Δnd1=2.9×φ1−50±50nm
Δnd2=−0.5×φ1+410±50nm
同様に、図6は、(II)のΔnd1,Δnd2とφ1の関係を示す図、図7はφ2,γとφ1 の関係を示す図である。上記の条件をみたすのは図6,図7に示すように次のとおりである。
【0031】
(II) 50°<φ1<100°
φ2=1.4×φ1−100±30°
γ=1.6×φ1−70±30°
Δnd1=1.2×φ1+390±50nm
Δnd2=−0.4×φ1+390±50nm
同様に、図20は、(III)のΔnd1,Δnd2とφ1の関係を示す図、図21はφ2 ,γとφ1 の関係を示す図である。上記の条件をみたすのは図20,図21に示すように次のとおりである。
【0032】
(III) 40°<φ1<100°
φ2=1.9×φ1−30±30°
γ=2.6×φ1−160±30°
Δnd1=2.8×φ1−30±50nm
Δnd2=−3.8×φ1+720±50nm
以上のように、φ1,φ2,γ,Δnd1,Δnd2を図4〜図7に示す(I)か(II)の組み合わせのいずれかに選定することによって、黒表示における赤,緑,青の反射率が十分に低い反射型液晶表示装置が実現できる。
【0033】
尚、ここで、偏光板の吸収軸の角度γを90°回転させても同じ特性が得られる。
【0034】
以下に、代表的な例をとって、その反射率−印加電圧特性,反射率−波長特性について説明する。反射率−波長特性では1/240デューティで駆動したときの明表示,暗表示時の特性を示した。反射率は反射板を鏡面にして反射板面に対して垂直に光が入射する条件で、反射光強度の入射光強度に対する割合で定義した。
【0035】
液晶のツイストが、θ=240°で、Δnd=0.81μm のときの反射率−印加電圧特性を図8に、反射率−波長特性を図9に示す。このときの位相板1の光学軸φ1 ,Δnd1 ,位相板2の光学軸φ2 ,Δnd2 ,偏光板の吸収軸γを表1の(1)に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
また、図4,図5中にも図示した。低電圧側で黒表示,高電圧側で白表示のいわゆるノーマリーブラックモードの特性である。黒表示では、550nm近傍の緑の波長に対してだけでなく、450nm近傍の青の波長,600nm近傍の赤の波長に対しても十分に低い反射率が実現されている。
【0038】
反射板として、拡散反射板を用い、普通のオフィス環境にて、すなわち実際の使用状況において、白表示及び黒表示の反射率−波長特性を測定した結果を図10に示す。反射率の基準は標準白色拡散板とした。実際の使用状況では、垂直方向だけでなく、あらゆる方向から光が入射する。斜めから入射する光に対しては、位相板による色補償が完全でないために、黒表示時の反射率は垂直入射の場合に比べて高いものとなる。それでも、図10に示すように5以上のコントラスト比が実現できており、反射型表示装置として十分な特性である。
【0039】
さて、ここで、位相板1,位相板2としてΔndの異なる部材を用いたが、量産性を考えた場合、同じものが使えたほうが都合がよい。そこで、Δnd1= Δnd2 とし、Δnd1とΔnd2の和が表1の(1)の条件と同じになるようにした場合、すなわち、Δnd1=Δnd2=0.31μm の場合について検討した。このときの位相板1の光学軸φ1,Δnd1,位相板2の光学軸φ2,Δnd2,偏光板の吸収軸γを表4の比較例1に示す。また、比較検討のため、位相板1のΔndをΔnd2 に、位相板2のΔndをΔnd2 にした場合、すなわち、
Δnd1=0.43μm,Δnd2=0.19μmの場合についても検討した。このときの位相板1の光学軸φ1,Δnd1,位相板2の光学軸φ2,Δnd2,偏光板の吸収軸γを表4の比較例2に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
図29に比較例1及び比較例2の反射率−印加電圧特性を示す。いずれの場合においても、図8に示すノーマリーブラックモードの特性とは大きく異なり、良好な黒表示どころか、反射率が充分に低くなる電圧さえ存在しない。すなわち電圧を変えてもコントラストは得られず、表示できない。
【0042】
以上のことから、良好な黒表示を実現するためには、本実施例のように、位相板1及び位相板2のΔndを図4,図6、あるいは図20に示される範囲に、個別に特定することが必要である。
【0043】
同様に、表1の(2)から(5)の場合の反射率−印加電圧特性を図11,図13,図15,図17に、反射率−波長特性を図12,図14,図16,図18に示す。いずれの場合も(1)の場合と同様に良好な白黒表示が実現できている。
【0044】
表1に示した場合では、偏光板4の吸収軸γ,位相板1の光学軸φ1 ,位相板2の光学軸φ2 を5°の精度で、Δnd1,Δnd2を10nmの精度で定めたが、さらに、高い精度で設定することによって、より良好な白黒表示が実現でき、オフィス環境においても高いコントラスト比を実現することができる。
【0045】
【表2】
【0046】
偏光板4の吸収軸γ,位相板1の光学軸φ1 ,位相板2の光学軸φ2 を1°の精度で、Δnd1,Δnd2を5nmの精度で定めた例を表2の(1)から(3)に示す。(1)及び(2)はケース(I)に相当し、(3)はケース(III)に相当する。
【0047】
それぞれの場合の反射率,コントラスト比−印加電圧特性を図22,図24,図26に、反射率−波長特性を図23,図25,図27に示す。コントラスト比は1/240デューティで駆動したときの値である。いずれの場合も反射板として、拡散反射板を用い、普通のオフィス環境にて、すなわち実際の使用状況において測定した結果である。このように、高い精度で偏光板4の吸収軸γ,位相板1の光学軸φ1,位相板2の光学軸φ2、Δnd1,Δnd2を設定することによって、光が垂直に入射する条件のみならず、実使用状況においても10程度の高いコントラスト比を実現することが可能である。
【0048】
次に、カラーフィルタを組み合わせた例について図19により説明する。
【0049】
ガラス基板72,反射板5,カラーフィルタ90,平坦化層81,透明電極62,STN液晶3,透明電極61,ガラス基板71,光拡散フィルム91,位相板1,位相板2,偏光板4を順次積層した構成からなる。本実施例においては、カラーフィルタと反射板を同一の基板上に設けたが、カラーフィルタをガラス基板71側に設けても同等の効果が得られる。また、反射板5の代わりに透明電極62をアルミ等の光を反射する部材としても同等の効果が得られる。
【0050】
STN液晶3のツイスト角は220°〜270°,Δndは0.6〜0.85μmの範囲である。位相板1の光学軸φ1,Δnd1,位相板2の光学軸φ2 ,Δnd2 ,偏光板の吸収軸γは、図4,図5あるいは図6,図7に示した範囲のいずれかに選定されている。反射板5はアルミ等をガラス基板72に蒸着等によって設ける。光拡散フィルム91は白表示時に、鏡となるのではなく白い表示が行えるように設けてある。光拡散フィルムを用いる代わりに反射板に拡散性を付与しても同等の効果が得られる。この拡散性は蒸着前のガラス基板72の表面を荒らしておくことなどの手段によって達成できる。
【0051】
反射板5とSTN液晶3との間には、カラーフィルタ90,平坦化層81,透明電極62、が介在するが、いずれも通常の画素の大きさ(300μm×100μm程度)に比べて数μm程度以下に薄く作製することができるので、従来技術で述べたような影といった問題は生じない。さらに、位相板1の光学軸φ1 ,
Δnd1 ,位相板2の光学軸φ2,Δnd2,偏光板の吸収軸γを、図4,図5あるいは図6,図7、あるいは図20,図21に示した範囲のいずれかに選定してあるため、緑の波長だけではなく、赤,青の波長に対しても暗表示時の反射率を低くすることができる。この場合、例えば緑の表示を行う場合に赤,青の画素からの漏れ光を十分に低く押さえることができる。従って、色純度の高いカラー表示が可能である。これに対し、従来技術の場合、赤,青の波長に対して暗表示時において十分に低い反射率にできないため、緑の光に対して赤,青の画素からの漏れ光が混色し、色純度が悪くなってしまう。このように本発明はカラーフィルタを組み合わせた反射型カラー液晶表示装置において色純度の高いカラー表示を行うことに対して非常に有効である。
【0052】
さらに、本発明を用いれば電圧無印加の状態でも概ね良好な黒表示が可能である。すなわち、ノーマリーブラックモードが実現できる。通常のカラーLCDではカラーフィルタにBM(ブラックマトリクス)が設けられる。このBMはコントラスト比を向上させるために、隣り合う電極間の電極のない部分を覆うように設けてあるが、通常は余裕をもって電極部分も少し覆うように設けられる。そのため、反射型LCDにBMを用いれば反射率が低下してしまう。ところが、本発明を用いれば、BMを用いなくても電極間は概ね良好な黒表示なので、反射率を落とさずに高いコントラスト比を実現することができる。
【0053】
本実施例の具体的な例として、表3に示す仕様にて反射型カラー液晶表示装置を作製した。画素数は240×640で、1/240デューティで駆動した。偏光板4には日東電工社製のG1220DU を用いた。光拡散フィルム91には大日本印刷社製の内部拡散シート(IDS)を用いた。図19では光拡散フィルム91は位相板1とガラス基板71の間に設置してあるが、本具体例では、偏光板4と位相板2の間に挿入し、かつ、IDSの延伸方向と偏光板の吸収軸を平行又は垂直とすることによって、IDSの複屈折性の影響を取り除いた。位相板にはポリカーボネイトの延伸フィルムを用いた。
【0054】
【表3】
【0055】
以上のようにして作製した反射型カラー液晶表示装置でカラー表示を行ったときの色度の測定結果を図28に示す。+記号は、反射型カラー液晶表示装置の代わりに完全拡散白色板をおいて測定した色度であり、照明の色を表している。白表示(W)の色度はこの完全拡散白色板の色度に非常に近く、良好な白表示が実現できていることを示している。測定した反射型カラー液晶表示装置の赤(R),緑(G),青(B),シアン(C),黄色(Y),マゼンタ(M)の色度は白表示の色度を囲んで分布しており、良好な色調のカラー表示が実現できている。黒表示の色度(W)は完全拡散白色板の色度から離れているが、実際には輝度が低いために良好な黒表示にみえる。白表示時の反射率は20%で、白表示時の輝度と黒表示時の輝度の比であるコントラスト比は5であった。尚、これらの測定は、普通のオフィス環境にて行った。
【0056】
新聞の反射率,コントラスト比を同様に測定すると反射率50%,コントラスト比5程度なので、反射率は低いが新聞並みのコントラスト比が実現できている。従って、屋外など明るい環境下であれば、新聞並みの画質が実現できる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、高反射率でかつ影の生じない反射型液晶表示装置において、反射率が低くかつ無彩色である良好な黒表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の素子の構成を示す模式断面図。
【図2】図1の実施例に用いられる各素子の角度を示す図。
【図3】図1のC点における赤,緑,青の波長の楕円偏光を示す図。
【図4】本発明の実施例のΔnd1,Δnd2とφ1 の関係を示す図。
【図5】本発明の実施例のφ2 ,γとφ1 の関係を示す図。
【図6】本発明の実施例のΔnd1,Δnd2とφ1 の関係を示す図。
【図7】本発明の実施例のφ2,γとφ1 の関係を示す図。
【図8】本発明の実施例の反射率−印加電圧特性を示す図。
【図9】本発明の実施例の反射率−波長特性を示す図。
【図10】本発明の実施例のオフィス環境下での反射率−波長特性を示す図。
【図11】本発明の実施例の反射率−印加電圧特性を示す図。
【図12】本発明の実施例の反射率−波長特性を示す図。
【図13】本発明の実施例の反射率−印加電圧特性を示す図。
【図14】本発明の実施例の反射率−波長特性を示す図。
【図15】本発明の実施例の反射率−印加電圧特性を示す図。
【図16】本発明の実施例の反射率−波長特性を示す図。
【図17】本発明の実施例の反射率−印加電圧特性を示す図。
【図18】本発明の実施例の反射率−波長特性を示す図。
【図19】カラーフィルタを組み合わせた本発明の実施例の素子の構成を示す模式断面図。
【図20】本発明の実施例のΔnd1,Δnd2とφ1 の関係を示す図。
【図21】本発明の実施例のφ2 ,γとφ1 の関係を示す図。
【図22】本発明の実施例のオフィス環境下での反射率−印加電圧特性を示す図。
【図23】本発明の実施例のオフィス環境下での反射率−波長特性を示す図。
【図24】本発明の実施例のオフィス環境下での反射率−印加電圧特性を示す図。
【図25】本発明の実施例のオフィス環境下での反射率−波長特性を示す図。
【図26】本発明の実施例のオフィス環境下での反射率−印加電圧特性を示す図。
【図27】本発明の実施例のオフィス環境下での反射率−波長特性を示す図。
【図28】本発明の実施例のオフィス環境下での色度を示す図。
【図29】比較例における反射率−印加電圧特性を示す図。
【符号の説明】
1,2…位相板、3…STN液晶、4…偏光板、5…反射板、10…配向方向、11…位相板1の光学軸の方向、12…光学軸、13…STN液晶分子の偏光板側の配向方向、14…偏光板の吸収軸、61,62…透明電極、71,72…ガラス基板、81…平坦化層、90…カラーフィルタ、91…光拡散フィルム。
Claims (4)
- 反射板,電極を有する一対の基板間に液晶層を挿入した液晶セル,第1の複屈折性フィルム,第2の複屈折性フィルム,偏光板がこの順に配置された構成で、前記液晶層内において液晶分子が第1の複屈折性フィルム側の基板から他方の反射板側に向かってねじれた構造であり、そのツイスト角θが220°から270°の範囲であり、前記液晶の屈折率異方性Δnと前記液晶層の厚さdの積Δndが0.6μmから0.85μmの範囲であって、前記偏光板の吸収軸の方向をγ、第1,第2の複屈折性フィルムの光学軸の方向をφ1及びφ2、前記第1の複屈折性フィルム側の基板上の液晶分子の方向をφ0=90°−θ/2、また、第1及び第2の複屈折性フィルムのΔndをΔnd1,Δnd2とすると、
(I)40°<φ1<100°,φ2=1.3×φ1+15±30°,γ=1.6×φ1−75±30°,Δnd1=2.9×φ1−50±50nm,Δnd2=−0.5×φ1+410±50nm、または、
( II )40°<φ1<100°,φ2=1.9×φ1−30±30°,γ=2.6×φ1−70±30°,Δnd1=2.8×φ1−30±50nm,Δnd2=−3.8×φ1+720±50nm、
のいずれかの条件をみたすよう構成されていることを特徴とする反射型液晶表示装置。 - 請求項1記載において、
前記液晶セルがカラーフィルタを有し、かつ前記反射板を液晶セル内部に備えたことを特徴とする反射型液晶表示装置。 - 請求項2記載において、
前記反射板とカラーフィルタが同一基板上に設けられたことを特徴とする反射型液晶表示装置。 - 請求項1記載において、
γを90°回転させたことを特徴とする反射型液晶表示装置。
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