JP3616938B2 - 磁気表示カード - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気的方法などによって一定の対価を記録し、品物の購入・貸入れ、またはサービスの提供を受けるたびに機械的に精算され、記録が更新される機能をもつ、所謂、プリペイドカード等の磁気カードに情報を磁気的に記録し、記録された情報を目視可能に表示する磁気表示機能を設けた磁気表示カードに関し、特に、磁気記録層と磁気表示層との磁気干渉を低減可能で且つ表示情報の明暗コントラストに優れ、文字や画像縁辺部が尖鋭な磁気表示カードに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の磁気表示カードとしては、例えば次のようなものが提案されている。透明基材上にフレーク状磁性微粒子及びオイル等の液体を含有した複数のマイクロカプセルを有機結合剤中に分散・塗布してマイクロカプセル層を設け、更に、前記マイクロカプセル層上に黒色の光吸収層を設けた磁気表示部材を所望の形に打ち抜き、あるいは切り抜く。一方、予め表面に凹部を形成し裏面には磁気記録層を形成した、厚さが約0.76mm程度のPVC樹脂基材の前記凹部の中に、前記磁気表示部材を接着・埋め込んでなる。
【0003】
この磁気表示層への文字や図形等の表示は、磁力の印加によってフレーク状磁性微粒子の向きを水平又は垂直に配向することによって光の反射/透過を制御することで行なわれる。即ち、透明基材表面に対してフレーク状磁性微粒子を平行に磁気配向することにより光をフレーク状磁性微粒子表面で反射させ金属光沢色とし、また、フレーク状磁性微粒子を垂直に配向することによって入射光はそのままカプセル内を透過させ、黒色を表示して行なわれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の磁気表示カードの構成では、例えば、磁気表示層への磁気パターン書込み時、あるいは、多数枚積み重ねての保管時等に、磁気記録層と磁気表示層との磁気的相互干渉が発生する。例えば、磁気記録層の磁束に影響を受けて磁気表示層内のフレ−ク状磁性微粒子の残留磁化が減衰し、その結果として磁気表示のコントラストが低下したり、また、逆に磁気表示層の磁束の影響を受けて磁気記録層内の情報が破壊されるという問題点があった。
【0005】
更には、特に、磁気表示層の繰り返し消去・書込み時における磁界、特に、消去時の磁界により磁気記録層の残留磁化が減磁を受け、読取り不能になる問題点があった。
【0006】
そのため、表面の磁気表示層と裏面の磁気記録層との相対的距離が比較的ある厚手のJISI型あるいはJISII型の磁気カード、所謂、クレジットカード等にしか磁気表示層を設けることができず、磁気的方法などによって一定の対価を記録し、品物の購入・貸し入れ、またはサービスの提供を受けるたびに機械的に精算され、記録が更新される機能をもつ、所謂、プリペイドカード等(JISX6311に規定)へ適用したいという市場からの要求に応じることが不可能であった。
【0007】
上記問題点を解決すべく磁気記録層の磁気特性とバランスをとりながらフレーク状磁性微粒子の粒径、飽和磁化、保磁力及び液体粘度、更には、複数のマイクロカプセルを分散する有機結合剤等を最適化するよう種々検討がなされている。しかし、磁気表示層には、可視表示する磁気パターンに対して応答性が高く、得られた磁気パターン像を経時的に安定に保持するという相反する条件が要求されるため困難であった。
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、磁気記録層と磁気表示層との磁気的相互干渉がなく、磁気表示層を備え、JISX6311に規定されるプリペイドカードに対応可能な薄手の磁気表示カードを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、種々検討を重ねた結果、透明可とう性支持体面上に部分的に透明部を残して印刷層、前記透明部を含む印刷層上に少なくとも液体及び該液体中に浮遊し且つ外部磁場に感応するフレーク状磁性微粒子を含有するマイクロカプセルを有機結合剤中に分散させて磁気表示領域とする磁気表示層、更に、少なくとも着色顔科、軟磁性体粉末及び有機結合剤を含むバックコート層を具備する磁気表示媒体と、前記透明可とう性支持体とは別の可とう性支持体の一方の面上に磁気記録層を有し、前記可とう性支持体の他方の面上に少なくとも軟磁性体粉末と有機結合剤とを含む軟磁性層を具備する磁気記録媒体とを含み、前記磁気表示媒体と前記磁気記録媒体とを前記バックコート層及び前記軟磁性層を対向させ、接着層を介して張合わせ接着して構成することによって解決できることが判明した。
【0010】
また、本発明における磁気表示カードにおいて、前記バックコート層における軟磁性体粉末の主成分は、Feからなることが好ましい。
【0011】
また、本発明における磁気表示カードにおいて、前記軟磁性層における軟磁性体粉末の主成分は、Ni−Fe合金、あるいは、Fe−Si−Al(アルミニウム)合金を主成分とすることが好ましい。
【0012】
更に、本発明における磁気表示カードにおいて、前記バックコート層あるいは軟磁性層に用いる軟磁性体粉末は、偏平状及び/または針状及び/または粒状の粉末であることが好ましい。
【0013】
【作用】
本発明の軟磁性層は、軟磁性体粉末と有機結合剤とを含む構成である。即ち、軟磁性層を挟んで磁気記録層及び磁気表示層が設けられているため、軟磁性層が、磁気的相互干渉源となる磁気記録層及び磁気表示層に対して磁気遮蔽効果が働き、磁気的相互干渉が抑制される。
【0014】
更に、表示内容の消去時においても、この軟磁性層が磁気表示層の消去ヘッドからの磁界に対して磁気遮蔽効果が働くため磁気記録層の磁化の減磁が抑制される。
【0015】
また、本発明の軟磁性層は、バックコート層中に含有する軟磁性体粉末との相乗効果として、磁気表示層への書込みヘッドから発生する磁力線を磁気表示層に対して分散せず効率良く垂直にできる。即ち、磁気表示層に対して垂直にマイクロカプセル層を通過する磁束密度を増加できるため、磁気表示層の光の反射/透過の相対コントラストを上げる機能もある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に好ましい実施の態様をあげ、本発明の磁気表示カードについて詳細に説明する。最初に、本発明の磁気表示カードの基本構成を図1を参照して説明する。図1は本発明の一実施例に係る磁気表示カードの層構造を示す概略断面図であって、可とう性のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと呼ぶ)による透明PET支持体1面上に部分的に透明部を残して印刷層2、前記透明部を含む印刷層2上に少なくともオイル及びフレーク状のFe−Ni合金によるフレーク状磁性微粒子9を含有するマイクロカプセル10と有機結合剤とからなる磁気表示層3、更に少なくとも黒色顔料、Fe粉及び有機結合剤を含むバックコート層4を具備する磁気表示媒体と、白色PET支持体5の一方の面上に磁気記録層6を有し、白色PET支持体5の他方の面上に少なくともFe−Si−Al合金と有機結合剤とを含む軟磁性層7を具備する磁気記録媒体とを、バックコート層4及び軟磁性層7を対向させ、接着層8を介して張合わせ接着している。
【0017】
本発明におけるマイクロカプセル10に使用するフレーク状磁性微粒子9としては、光の反射/透過あるいは反射/吸収等の用途、または要求される相対コントラスト、またはマイクロカプセル10の乾燥後の偏平率、または磁気表示層3の要求膜厚等により任意に選択できるが、マイクロカプセル10に安定して単体を封入するためには少なくとも長径100μm以下であることが好ましい。また、光の相対コントラスト特性向上のためには、アスペクト比5以上,好ましくは10以上であることが望まれる。材質は上記のような粒子形状を得られれば特に限定されないが、印可する磁場に対して充分に応答可能な適度な保磁力を有することが必要である。
【0018】
また、マイクロカプセル10における液体としては、磁場に対する配向応答性及び配向後の安定性及びコントラスト特性を考慮の上、所望の粘度及び透明度を有するオイルを選択すればよい。また、光のコントラスト特性に悪影響を及ぼさない範囲内で粘度調整あるいは極性調整用の添加剤を混合してもよい。
【0019】
更に、マイクロカプセルの皮膜材質は、透明且つ外力に対して適度な強度を有するものであればよく、特に限定されない。また、粒径は磁性微粒子を単体で封入し、且つカプセル内で磁性微粒子が自由に回転可能な余裕が必要であるが、水平配向時の反射面積を考慮すると磁性微粒子との間隔を2〜10μm程度にするのが好ましい。
【0020】
本発明における磁気表示層3に使用する有機結合剤としては、透明PET支持体1との密着性を考慮の上、透明度が高く所望の耐久性を有するものであれば特に限定されない。
【0021】
また、透明あるいは白色の白色PET支持体5としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ナイロン、セロファン等のプラスチックフィルムを使用することができる。
【0022】
本発明の構成要素の一つであるバックコート層4中の軟磁性粉末及び軟磁性層7中の軟磁性粉末としては、Fe,Fe−Ni合金(パーマロイ)、Fe−Al−Si合金(センダスト)をその代表的素材としてあげることができ、粉末のアスペクト比は充分に大きい(およそ5以上)ことが好ましい。
【0023】
さらに、軟磁性層7の形成に使用できる有機結合剤としては、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム等の熱可塑性樹脂あるいはそれらの共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂等の熱硬化性樹脂等をあげることができる。
【0024】
【実施例】
(1)磁気表示媒体の作成
予めボールミルにて粉砕しフレーク状とし、保磁力が10(Oe)のFe−Ni合金微粒子及び流動パラフィンを原料とし、従来公知の方法であるゼラチン−アラビアゴムによるコアセルベート法により、平均粒径70μmのマイクロカプセルを作成した。
【0025】
次に、このマイクロカプセルをポリビニルアルコール溶液と混合分散してマイクロカプセルインキを調製した後、予め厚さ50μmの透明PET支持体1上に磁気表示部となる部分(約72×18mm)を残して絵柄を印刷した上に、乾燥後の厚さが70μmとなるようアプリケータで塗布して磁気表示層3を設け、更に、その上に黒色顔料、ポリビニルアルコールからなる黒色インキに保磁力が10(Oe)の粒状Fe粉を加えバックコー卜塗料を調製し、乾燥後の厚さが20μmとなるようアプリケータで塗布してバックコート層4を設け、磁気表示媒体を作成した。
【0026】
(2)磁気記録媒体の作成
予め、厚さ50μmの白色PET支持体5の一方の面上に乾燥、硬化後の膜厚が10μmとなるよう従来公知の方法で保磁力650(Oe)の磁気記録層6を設けた後、もう一方の面上にフレーク状のFe−Al−Si合金(平均粒径10μm、アスペクト比5、保磁力10(Oe))、ポリウレタン樹脂、硬化剤(イソシアネート化合物)、溶剤(シクロヘキサノンとトルエンの混合物)の組成からなる軟磁性体塗料を乾燥、硬化後の厚さ20μmとなるようアプリケータにより塗布し、65℃にて50時間キュアリングを行なって軟磁性層7を設け、磁気記録媒体を作成した。
【0027】
(3)磁気表示カードの作成
上記(1)で作成した磁気表示媒体のバックコート層4面及び上記(2)で作成した磁気記録媒体の軟磁性層7面にそれぞれエポキシ樹脂を塗布し、乾燥後の磁気表示カード基体の全厚が0.27mmになるように張合わせ、接着を行い磁気表示カード基体を作成した。
【0028】
次に、得られた磁気表示カード基体を85mm×54mmの大きさに打ち抜いて、磁気表示カードサンプルを作成した。
【0029】
[比較例]
実施例にて、上記磁気記録媒体に軟磁性層7を設けないで磁気表示カード基体を作成する以外は実施例と同様にして、磁気表示カードサンプルを作成した。
【0030】
以上の実施例及び比較例にて作成した磁気表示カードサンプルを以下の評価1及び評価2の各手順で評価する。
【0031】
[評価1]
手順1) JISX6302(磁気ストライプ付きクレジットカードの磁気的情報記録様式)に準拠して、各磁気表示カードサンプルの磁気記録層に、予め、”ALL−1”情報を飽和記録した後再生を行ない、その再生出力電圧値(a)を測定する。
【0032】
手順2) 磁気表示情報の消去部(消去水平磁場強度800(Oe))と書込み部(書込み垂直磁場強度650(Oe))を具備した市販装置にて、各磁気表示カードサンプルの磁気表示層を消去した後、任意のサンプル表示情報を書き込む。
【0033】
手順3) 上記の手順2)を合計1万回繰り返す。
【0034】
手順4) 上記の手順1)と同様に、JlSX6302に準拠して、各磁気表示カードサンプルの磁気記録層の再生を行ない、その再生出力電圧値(b)を測定する。
【0035】
手順5) 得られた磁気記録層の再生出力値比
{再生出力値(b)/再生出力値(a)}×100
を求める。
【0036】
[評価2]
手順1) 磁気記録情報の消去部(消去水平磁場強度800(Oe))と書込み部(書込み垂直磁場強度650(Oe))を具備した市販装置にて、各磁気表示カードサンプルの磁気表示層を消去し、任意のサンプル文字情報を書き込んだ後、書込み済み文字の太さ(A)を測定する。
【0037】
手順2) JISX6302(磁気ストライプ付きクレジットカードの磁気的情報記録様式)に準拠して、各磁気表示カードサンプルの磁気記録層を消去した後、”ALL−1”情報を飽和記録する。
【0038】
手順3) 上記の手順2)を合計1万回繰り返す。
【0039】
手順4) 上記の手順1)で書込んだ文字情報の太さ(B)を測定する。
【0040】
手順5) 得られた磁気表示層の文字太さ比
{文字太さ(B)/文字太さ(A)}×100
を求める。
【0041】
上記のように評価したところ、下記の表1のような結果となった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
以上に述べた通り、本発明によれば、JISX6311に規定されるプリペイドカードに対応でき、且つ、磁気記録層の記録状態あるいは磁気表示層の表示品質に影響を与えない磁気表示カードを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る磁気表示カードの層構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 透明PET支持体
2 印刷層
3 磁気表示層
4 バックコート層
5 白色PET支持体
6 磁気記録層
7 軟磁性層
8 接着層
9 フレーク状磁性微粒子
10 マイクロカプセル
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気的方法などによって一定の対価を記録し、品物の購入・貸入れ、またはサービスの提供を受けるたびに機械的に精算され、記録が更新される機能をもつ、所謂、プリペイドカード等の磁気カードに情報を磁気的に記録し、記録された情報を目視可能に表示する磁気表示機能を設けた磁気表示カードに関し、特に、磁気記録層と磁気表示層との磁気干渉を低減可能で且つ表示情報の明暗コントラストに優れ、文字や画像縁辺部が尖鋭な磁気表示カードに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の磁気表示カードとしては、例えば次のようなものが提案されている。透明基材上にフレーク状磁性微粒子及びオイル等の液体を含有した複数のマイクロカプセルを有機結合剤中に分散・塗布してマイクロカプセル層を設け、更に、前記マイクロカプセル層上に黒色の光吸収層を設けた磁気表示部材を所望の形に打ち抜き、あるいは切り抜く。一方、予め表面に凹部を形成し裏面には磁気記録層を形成した、厚さが約0.76mm程度のPVC樹脂基材の前記凹部の中に、前記磁気表示部材を接着・埋め込んでなる。
【0003】
この磁気表示層への文字や図形等の表示は、磁力の印加によってフレーク状磁性微粒子の向きを水平又は垂直に配向することによって光の反射/透過を制御することで行なわれる。即ち、透明基材表面に対してフレーク状磁性微粒子を平行に磁気配向することにより光をフレーク状磁性微粒子表面で反射させ金属光沢色とし、また、フレーク状磁性微粒子を垂直に配向することによって入射光はそのままカプセル内を透過させ、黒色を表示して行なわれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の磁気表示カードの構成では、例えば、磁気表示層への磁気パターン書込み時、あるいは、多数枚積み重ねての保管時等に、磁気記録層と磁気表示層との磁気的相互干渉が発生する。例えば、磁気記録層の磁束に影響を受けて磁気表示層内のフレ−ク状磁性微粒子の残留磁化が減衰し、その結果として磁気表示のコントラストが低下したり、また、逆に磁気表示層の磁束の影響を受けて磁気記録層内の情報が破壊されるという問題点があった。
【0005】
更には、特に、磁気表示層の繰り返し消去・書込み時における磁界、特に、消去時の磁界により磁気記録層の残留磁化が減磁を受け、読取り不能になる問題点があった。
【0006】
そのため、表面の磁気表示層と裏面の磁気記録層との相対的距離が比較的ある厚手のJISI型あるいはJISII型の磁気カード、所謂、クレジットカード等にしか磁気表示層を設けることができず、磁気的方法などによって一定の対価を記録し、品物の購入・貸し入れ、またはサービスの提供を受けるたびに機械的に精算され、記録が更新される機能をもつ、所謂、プリペイドカード等(JISX6311に規定)へ適用したいという市場からの要求に応じることが不可能であった。
【0007】
上記問題点を解決すべく磁気記録層の磁気特性とバランスをとりながらフレーク状磁性微粒子の粒径、飽和磁化、保磁力及び液体粘度、更には、複数のマイクロカプセルを分散する有機結合剤等を最適化するよう種々検討がなされている。しかし、磁気表示層には、可視表示する磁気パターンに対して応答性が高く、得られた磁気パターン像を経時的に安定に保持するという相反する条件が要求されるため困難であった。
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、磁気記録層と磁気表示層との磁気的相互干渉がなく、磁気表示層を備え、JISX6311に規定されるプリペイドカードに対応可能な薄手の磁気表示カードを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、種々検討を重ねた結果、透明可とう性支持体面上に部分的に透明部を残して印刷層、前記透明部を含む印刷層上に少なくとも液体及び該液体中に浮遊し且つ外部磁場に感応するフレーク状磁性微粒子を含有するマイクロカプセルを有機結合剤中に分散させて磁気表示領域とする磁気表示層、更に、少なくとも着色顔科、軟磁性体粉末及び有機結合剤を含むバックコート層を具備する磁気表示媒体と、前記透明可とう性支持体とは別の可とう性支持体の一方の面上に磁気記録層を有し、前記可とう性支持体の他方の面上に少なくとも軟磁性体粉末と有機結合剤とを含む軟磁性層を具備する磁気記録媒体とを含み、前記磁気表示媒体と前記磁気記録媒体とを前記バックコート層及び前記軟磁性層を対向させ、接着層を介して張合わせ接着して構成することによって解決できることが判明した。
【0010】
また、本発明における磁気表示カードにおいて、前記バックコート層における軟磁性体粉末の主成分は、Feからなることが好ましい。
【0011】
また、本発明における磁気表示カードにおいて、前記軟磁性層における軟磁性体粉末の主成分は、Ni−Fe合金、あるいは、Fe−Si−Al(アルミニウム)合金を主成分とすることが好ましい。
【0012】
更に、本発明における磁気表示カードにおいて、前記バックコート層あるいは軟磁性層に用いる軟磁性体粉末は、偏平状及び/または針状及び/または粒状の粉末であることが好ましい。
【0013】
【作用】
本発明の軟磁性層は、軟磁性体粉末と有機結合剤とを含む構成である。即ち、軟磁性層を挟んで磁気記録層及び磁気表示層が設けられているため、軟磁性層が、磁気的相互干渉源となる磁気記録層及び磁気表示層に対して磁気遮蔽効果が働き、磁気的相互干渉が抑制される。
【0014】
更に、表示内容の消去時においても、この軟磁性層が磁気表示層の消去ヘッドからの磁界に対して磁気遮蔽効果が働くため磁気記録層の磁化の減磁が抑制される。
【0015】
また、本発明の軟磁性層は、バックコート層中に含有する軟磁性体粉末との相乗効果として、磁気表示層への書込みヘッドから発生する磁力線を磁気表示層に対して分散せず効率良く垂直にできる。即ち、磁気表示層に対して垂直にマイクロカプセル層を通過する磁束密度を増加できるため、磁気表示層の光の反射/透過の相対コントラストを上げる機能もある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に好ましい実施の態様をあげ、本発明の磁気表示カードについて詳細に説明する。最初に、本発明の磁気表示カードの基本構成を図1を参照して説明する。図1は本発明の一実施例に係る磁気表示カードの層構造を示す概略断面図であって、可とう性のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと呼ぶ)による透明PET支持体1面上に部分的に透明部を残して印刷層2、前記透明部を含む印刷層2上に少なくともオイル及びフレーク状のFe−Ni合金によるフレーク状磁性微粒子9を含有するマイクロカプセル10と有機結合剤とからなる磁気表示層3、更に少なくとも黒色顔料、Fe粉及び有機結合剤を含むバックコート層4を具備する磁気表示媒体と、白色PET支持体5の一方の面上に磁気記録層6を有し、白色PET支持体5の他方の面上に少なくともFe−Si−Al合金と有機結合剤とを含む軟磁性層7を具備する磁気記録媒体とを、バックコート層4及び軟磁性層7を対向させ、接着層8を介して張合わせ接着している。
【0017】
本発明におけるマイクロカプセル10に使用するフレーク状磁性微粒子9としては、光の反射/透過あるいは反射/吸収等の用途、または要求される相対コントラスト、またはマイクロカプセル10の乾燥後の偏平率、または磁気表示層3の要求膜厚等により任意に選択できるが、マイクロカプセル10に安定して単体を封入するためには少なくとも長径100μm以下であることが好ましい。また、光の相対コントラスト特性向上のためには、アスペクト比5以上,好ましくは10以上であることが望まれる。材質は上記のような粒子形状を得られれば特に限定されないが、印可する磁場に対して充分に応答可能な適度な保磁力を有することが必要である。
【0018】
また、マイクロカプセル10における液体としては、磁場に対する配向応答性及び配向後の安定性及びコントラスト特性を考慮の上、所望の粘度及び透明度を有するオイルを選択すればよい。また、光のコントラスト特性に悪影響を及ぼさない範囲内で粘度調整あるいは極性調整用の添加剤を混合してもよい。
【0019】
更に、マイクロカプセルの皮膜材質は、透明且つ外力に対して適度な強度を有するものであればよく、特に限定されない。また、粒径は磁性微粒子を単体で封入し、且つカプセル内で磁性微粒子が自由に回転可能な余裕が必要であるが、水平配向時の反射面積を考慮すると磁性微粒子との間隔を2〜10μm程度にするのが好ましい。
【0020】
本発明における磁気表示層3に使用する有機結合剤としては、透明PET支持体1との密着性を考慮の上、透明度が高く所望の耐久性を有するものであれば特に限定されない。
【0021】
また、透明あるいは白色の白色PET支持体5としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ナイロン、セロファン等のプラスチックフィルムを使用することができる。
【0022】
本発明の構成要素の一つであるバックコート層4中の軟磁性粉末及び軟磁性層7中の軟磁性粉末としては、Fe,Fe−Ni合金(パーマロイ)、Fe−Al−Si合金(センダスト)をその代表的素材としてあげることができ、粉末のアスペクト比は充分に大きい(およそ5以上)ことが好ましい。
【0023】
さらに、軟磁性層7の形成に使用できる有機結合剤としては、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム等の熱可塑性樹脂あるいはそれらの共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂等の熱硬化性樹脂等をあげることができる。
【0024】
【実施例】
(1)磁気表示媒体の作成
予めボールミルにて粉砕しフレーク状とし、保磁力が10(Oe)のFe−Ni合金微粒子及び流動パラフィンを原料とし、従来公知の方法であるゼラチン−アラビアゴムによるコアセルベート法により、平均粒径70μmのマイクロカプセルを作成した。
【0025】
次に、このマイクロカプセルをポリビニルアルコール溶液と混合分散してマイクロカプセルインキを調製した後、予め厚さ50μmの透明PET支持体1上に磁気表示部となる部分(約72×18mm)を残して絵柄を印刷した上に、乾燥後の厚さが70μmとなるようアプリケータで塗布して磁気表示層3を設け、更に、その上に黒色顔料、ポリビニルアルコールからなる黒色インキに保磁力が10(Oe)の粒状Fe粉を加えバックコー卜塗料を調製し、乾燥後の厚さが20μmとなるようアプリケータで塗布してバックコート層4を設け、磁気表示媒体を作成した。
【0026】
(2)磁気記録媒体の作成
予め、厚さ50μmの白色PET支持体5の一方の面上に乾燥、硬化後の膜厚が10μmとなるよう従来公知の方法で保磁力650(Oe)の磁気記録層6を設けた後、もう一方の面上にフレーク状のFe−Al−Si合金(平均粒径10μm、アスペクト比5、保磁力10(Oe))、ポリウレタン樹脂、硬化剤(イソシアネート化合物)、溶剤(シクロヘキサノンとトルエンの混合物)の組成からなる軟磁性体塗料を乾燥、硬化後の厚さ20μmとなるようアプリケータにより塗布し、65℃にて50時間キュアリングを行なって軟磁性層7を設け、磁気記録媒体を作成した。
【0027】
(3)磁気表示カードの作成
上記(1)で作成した磁気表示媒体のバックコート層4面及び上記(2)で作成した磁気記録媒体の軟磁性層7面にそれぞれエポキシ樹脂を塗布し、乾燥後の磁気表示カード基体の全厚が0.27mmになるように張合わせ、接着を行い磁気表示カード基体を作成した。
【0028】
次に、得られた磁気表示カード基体を85mm×54mmの大きさに打ち抜いて、磁気表示カードサンプルを作成した。
【0029】
[比較例]
実施例にて、上記磁気記録媒体に軟磁性層7を設けないで磁気表示カード基体を作成する以外は実施例と同様にして、磁気表示カードサンプルを作成した。
【0030】
以上の実施例及び比較例にて作成した磁気表示カードサンプルを以下の評価1及び評価2の各手順で評価する。
【0031】
[評価1]
手順1) JISX6302(磁気ストライプ付きクレジットカードの磁気的情報記録様式)に準拠して、各磁気表示カードサンプルの磁気記録層に、予め、”ALL−1”情報を飽和記録した後再生を行ない、その再生出力電圧値(a)を測定する。
【0032】
手順2) 磁気表示情報の消去部(消去水平磁場強度800(Oe))と書込み部(書込み垂直磁場強度650(Oe))を具備した市販装置にて、各磁気表示カードサンプルの磁気表示層を消去した後、任意のサンプル表示情報を書き込む。
【0033】
手順3) 上記の手順2)を合計1万回繰り返す。
【0034】
手順4) 上記の手順1)と同様に、JlSX6302に準拠して、各磁気表示カードサンプルの磁気記録層の再生を行ない、その再生出力電圧値(b)を測定する。
【0035】
手順5) 得られた磁気記録層の再生出力値比
{再生出力値(b)/再生出力値(a)}×100
を求める。
【0036】
[評価2]
手順1) 磁気記録情報の消去部(消去水平磁場強度800(Oe))と書込み部(書込み垂直磁場強度650(Oe))を具備した市販装置にて、各磁気表示カードサンプルの磁気表示層を消去し、任意のサンプル文字情報を書き込んだ後、書込み済み文字の太さ(A)を測定する。
【0037】
手順2) JISX6302(磁気ストライプ付きクレジットカードの磁気的情報記録様式)に準拠して、各磁気表示カードサンプルの磁気記録層を消去した後、”ALL−1”情報を飽和記録する。
【0038】
手順3) 上記の手順2)を合計1万回繰り返す。
【0039】
手順4) 上記の手順1)で書込んだ文字情報の太さ(B)を測定する。
【0040】
手順5) 得られた磁気表示層の文字太さ比
{文字太さ(B)/文字太さ(A)}×100
を求める。
【0041】
上記のように評価したところ、下記の表1のような結果となった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
以上に述べた通り、本発明によれば、JISX6311に規定されるプリペイドカードに対応でき、且つ、磁気記録層の記録状態あるいは磁気表示層の表示品質に影響を与えない磁気表示カードを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る磁気表示カードの層構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 透明PET支持体
2 印刷層
3 磁気表示層
4 バックコート層
5 白色PET支持体
6 磁気記録層
7 軟磁性層
8 接着層
9 フレーク状磁性微粒子
10 マイクロカプセル
Claims (5)
- 透明可とう性支持体面上に部分的に透明部を残して印刷層、前記透明部を含む印刷層上に少なくとも液体及び該液体中に浮遊し且つ外部磁場に感応するフレーク状磁性微粒子を含有するマイクロカプセルを有機結合剤中に分散させて磁気表示領域とする磁気表示層、更に少なくとも着色顔料、軟磁性体粉末及び有機結合剤を含むバックコー卜層を具備する磁気表示媒体と、
可とう性支持体の一方の面上に磁気記録層を有し、前記可とう性支持体の他方の面上に少なくとも軟磁性体粉末と有機結合剤とを含む軟磁性層を具備する磁気記録媒体とを含み、
前記磁気表示媒体と前記磁気記録媒体とを前記バックコート層及び前記軟磁性層を対向させ、接着層を介して張合わせ接着して構成したことを特徴とする磁気表示カード。 - 請求項1記載の磁気表示カードにおいて、前記バックコート層における前記軟磁性体粉末の主成分がFeからなることを特徴とする磁気表示カ−ド。
- 請求項1記載の磁気表示カードにおいて、前記軟磁性層における前記軟磁性体粉末の主成分が、Ni−Fe合金からなることを特徴とする磁気表示カード。
- 請求項1記載の磁気表示カードにおいて、前記軟磁性層における前記軟磁性体粉末の主成分が、Fe−Si−Al(アルミニウム)合金を主成分とすることを特徴とする磁気表示カード。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の磁気表示カードにおいて、前記バックコート層あるいは前記軟磁性層に用いる前記軟磁性体粉末が、偏平状及び/または針状及び/または粒状の粉末であることを特徴とする磁気表示カード。
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