JP3586799B2 - インクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、インクジェットプリンターによる印字時におけるコックリング現象(以下、コックリングと呼称することがある)を改良することを目的としたインクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微少液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙等の記録シートに定着させ、画像・文字等の記録を行なうものであり、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像及び定着が不要等の特長を有することから、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録方式として種々の用途において急速に普及している。特に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して遜色がない記録を得ることが可能であり、作成部数が少なくて済む用途では、写真技術を用いるよりも安価であることから、近年、インクジェット記録方式はフルカラー画像記録分野に広く応用されつつある。
【0003】
このインクジェット記録方式で使用される記録シートには、印字ドットの濃度が高いこと、色調が明るく鮮やかな画像が得られること、インクの吸収が早く且つ印字ドットが重なり合った場合にもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、しかも周辺が滑らかでぼやけないこと等が要求される。
【0004】
一方、従来より表面光沢度の高い記録媒体としては、表面に強光沢仕上げを施したキャストコート紙が知られている。そして、このキャストコート紙の技法をインクジェット記録方式で使用される記録シートに応用したものも実用化されつつある。具体的には、支持体上にインク受理層が積層され、このインク受理層の表面がキャスト処理されてなる記録シートが知られている。
【0005】
このキャストコート紙の手法を用いたインクジェット記録シートの製造におけるキャスト処理の方法としては、直接法、ゲル化法およびリウエット法が考えられる。このうち、直接法は、支持体上に塗設した塗被層が未だ湿潤状態にあるうちに該塗被層を加熱された鏡面ドラム面に圧接して強光沢仕上げを行なうものである。また、ゲル化法は、支持体上に塗設した塗被層が未だ湿潤状態にあるうちに該塗被層をゲル化剤浴に接触させ、ゲル状態にした塗被層を加熱された鏡面ドラム面に圧接して強光沢仕上げを行なうものである。さらに、リウエット法は、湿潤状態の塗被層を一旦乾燥してからこの塗被層を再湿潤液に接触させた後、この塗被層を加熱ドラムに接触させて強光沢仕上げを行なうものである。
【0006】
これらのキャスト処理方法は、いづれも本発明のインクジェット記録シートに用いることが可能であるが、特に、光沢度の高いインクジェット記録シートを得るには、直接法が好ましい。又、該鏡面ロールの表面粗度、表面温度、直径、圧接時の圧力(線圧)、塗工速度等は市販のキャストコート紙の製造条件と同様に適宜選択することが可能である。
【0007】
また、前述のゲル化法を用いた場合には、塗被層が比較的強固であるため沸点以上の温度に加熱されたドラムに圧接しても塗被層が破壊されず、したがって、速度を上げることができるが、塗被層中に含まれている多量の水分をドラムと圧接ロールとのニップを通過する間に支持体である原紙層中に移す必要がある。さもないと、塗被層中に含まれている水分がニップ通過後に爆発的に沸騰するため光沢発現層がドラム面から離れ所期の光沢度を有するインクジェット用紙を得ることができない。それゆえ、このゲル化法を用いた場合にも、運転速度を下げなければならず、生産効率の点で不利である。しかも、ゲル化剤に用いられている塩や酸が塗被層中に残存し、この塩や酸がインク中の染料と反応して色再現性を悪化させることがあるという問題もある。
【0008】
従来技術において、例えば特開昭59−59995号公報は、インクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法ではないが、リウエット法でのキャスト塗被紙の製造方法において、塗被層をドラム表面に圧接するプレスニップで紙の裏面に水を作用させるキャスト塗被紙の製造方法を開示している。しかしながら、この発明は、逆タテ目カール(強光沢キャスト仕上げ面を外に、裏面を内にして、紙幅方向を軸にしたカール)の改良を目的としている。
【0009】
また、例えば特開昭60−94692号公報も、インクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法ではないが、キャスト塗被紙の製造方法において、ドラムから剥離後、キャスト塗被層面に蒸気を作用させるキャスト塗被紙の製造方法を開示している。しかしながら、この発明も、逆タテ目カールの改良を目的としいる。
【0010】
通常のキャスト塗被紙は、片面コート紙であるから、カール対策のため、例えば上記の特開昭59−59995号公報および特開昭60−94692号公報に記載されている様な処理を施している。しかしながら、インクジェット記録用キャスト塗被紙においては、画像のムラ、等を起こすため、通常のキャスト塗被紙のカール対策をそのまま実施することはできない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
インクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法においては、上述の様なカール対策の他にさらに重要な課題であるコックリングの改良がある。
【0012】
コックリングとは、インク中の水分が受像層を抜け、原紙層を膨潤させ、表面に波打ちを生ずる現象で、原紙へのインクの透過落ち込みを防ぐことにより回避可能であるが、原紙にインクもしくはインク中の水分が吸収されないため、インク吸収容量が低下し、画像の滲みがひどくなる、等の重大な問題が生じる。
【0013】
このコックリング現象は、インクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法において特に重要な課題となる。即ち、インクジェット記録用キャスト塗被紙では、インク吸収速度が遅くなりがちであり、コックリングが発生すると、印字直後の印字面がプリンターの各部と接触しやすくなり、汚れを発生する場合が多い。このため、通常のインクジェット記録用紙よりコックリング防止に対して厳しい対応を取る必要がある。
【0014】
また、コックリングに対する対策として、受像層の厚み(塗工量)を増大させて、原紙までインク中の水分が移動するのを防ぐ処置を取ることがあるが、キャスト塗被紙の場合、受像層をキャストドラムに押しつけて乾燥するため、塗工量が多くなり、2層塗工、3層塗工を施した場合等は蒸気が抜け難く、乾燥が難しくなり、生産効率を著しく低下させる。しかも、インクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法において、未だ有効なコックリング対策は見いだされていないのが実状である。
【0015】
そこで、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、特定の条件でキャスト塗被紙を製造すれば、コックリング現象の発生を著しく抑制したインクジェット記録用キャスト塗被紙を製造することができることを見出して本発明に到達した。
【0016】
本発明は、かかる事情に基づいてなされたものであり、本発明によれば、直接法およびリウエット法などのキャスト処理の方法を用いて、コックリング現象の発生を著しく抑制したインクジェット記録用塗被紙の製造方法を提供することが可能であるが、一般に直接法が好適に用いられる。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明のインクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法は、支持体上に、少なくとも1層のインク受理層と該インク受理層上に平均粒子径300nm以下のコロイド粒子を主成分とする塗被組成物からなる光沢発現層を設けたコートタイプのインクジェット記録用紙において、該光沢発現層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接されて鏡面光沢仕上げされてなるものであって、該光沢発現層を鏡面ドラムに圧接するプレスニップで原紙面に水の塗布量が紙1m 2 当り5〜20gとなるように水塗りし、かつ該光沢発現層が鏡面ドラムから剥離後、原紙面に水蒸気を作用させることを構成とするインクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法に関するものである。
【0018】
本発明のインクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法においては、先ず、支持体上に、少なくとも1層のインク受理層を塗設する。
【0019】
本発明において、好適に使用可能な支持体としては、例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ;GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ;DIP等の古紙パルプなどの木材パルプと、顔料とを主成分とし、バインダー、さらにサイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置を使用して製造される原紙、さらに澱粉、ポリビニルアルコール等を用いてなるサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙、あるいはこれらのサイズプレスやアンカーコート層の上にコート層を設けてなるアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙などが挙げられる。
【0020】
本発明において、これらの原紙あるいは塗工紙をそのまま使用してもよいし、例えば、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等の装置を使用してカレンダー処理を行ない平坦化をコントロールした状態で使用してもよい。
【0021】
支持体の坪量は、通常、40〜300g/m2程度であるが、特に制限されるものではない。
【0022】
本発明において、上記のような支持体上に、少なくとも1層のインク受理層と光沢発現層をこの順に塗設する。
【0023】
インク受理層は、顔料およびバインダーを主成分とする塗被組成物から構成されるものであり、支持体上に少なくとも1層塗設される。
【0024】
前記顔料としては、白色顔料を好適に使用することができる。このような白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料が挙げられる。
【0025】
前記バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールまたはその誘導体;各種鹸化度のポリビニルアルコール又はそのシラノール変性物、カルボキシル化物、カチオン化物等の各種誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或はこれら各種重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性合成樹脂等の水性接着剤;ポリメチルメタクリレート等のアクリル;酸エステル;メタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤等を挙げることができる。
【0026】
インク受理層を構成する塗被組成物における顔料とバインダーとの配合割合は、顔料100重量部に対し、バインダーが3〜70重量部、好ましくは5〜50重量部である。顔料100重量部に対するバインダーの配合割合が3重量部未満であると、そのような塗被組成物からなるインク受理層の塗膜強度が不足することがある。一方、この配合割合が70重量部を超えると、そのような塗被組成物からなるインク受理層のインク吸収性が低下することがある。
【0027】
さらに、インク受理層には、例えば、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、螢光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。特に、水性インクの染料分である水溶性直接染料や水溶性酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と不溶な塩を形成する2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩からなるカチオン性染料定着剤を配合すると、インク受理層中で染料が捕獲されることになるので、色彩性が向上するとともに不溶な塩が形成されることにより水の滴下時あるいは吸湿時におけるインクの流れ出しや滲み出しが抑制される。
【0028】
インク受理層の塗工量は、要求される光沢、インク吸収性、支持体の種類等により異なるので一概には言えないが、通常は1g/m2以上である。また、インク受理層はある一定の塗工量を2度に分けて塗設してもよい。このように2度に分けて塗設すると、同塗工量を1度に塗設する場合に比較して光沢が向上する。
【0029】
インク受理層の塗設は、例えば、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、サイズプレス等の各種装置をオンマシン或いはオフマシンで使用して行なうことができる。また、インク受理層の塗設後に、例えば、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用してインク受理層の平坦化仕上げを行なってもよい。
【0030】
なお、インク受理層の層数は、必要に応じて適宜に決定することができる。インク受理層上に塗設する光沢発現層は、顔料として平均粒子径300nm以下のコロイド粒子およびバインダーを主成分とする塗被組成物により構成される。
【0031】
光沢発現層を構成するコロイド粒子は、水中に懸濁分散しているものであり、動的散乱法により測定される平均粒子径が300nm以下の無機粒子或いは有機粒子を指す。具体的には、コロイダルシリカ、ベーマイト、擬ベーマイト等のアルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミナ酸化物またはその水和物、さらには特公昭47−26959号公報に開示されているようなコロイド状シリカ粒子表面をアルミナコーティングした粒子等の無機粒子;ポリスチレン、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル共重合体、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン等の有機粒子などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
光沢発現層に含有されるコロイド粒子の平均粒子径は300nm以下、好ましくは200nm以下である。コロイド粒子の平均粒子径が300nmを超えると、コックリング抑制効果が悪くなり、時として、そのような光沢発現層を有するインクジェット記録用キャスト塗被紙は画像品質が低下することがある。
【0033】
コロイド粒子とともに光沢発現層の主成分をなすバインダーは、前記インク受理層の説明において例示したものと同様のものをいずれも好適に使用することができる。また、コロイド粒子とバインダーとの配合割合は、コロイド粒子100重量部に対し、バインダーが5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部である。コロイド粒子100重量部に対するバインダーの配合割合が5重量部未満であると、十分な光沢が発現しないことがある。一方、コロイド粒子100重量部に対するバインダーの配合割合が50重量部を超えると、塗被組成物におけるコロイド粒子の含有割合が相対的に低下し、コロイド粒子による湿潤効果の促進が十分ではなくなることがある。また、インク吸収性が悪化し、印字後の長い間、インクが光沢発現層表面に乾かないまま残留するため、このインクが擦られて画像が汚れてしまう。
【0034】
本発明においては、光沢発現層にコロイド粒子ととともに白色顔料を1種類以上含有させることもできるが、その場合、顔料は一般に粒子径が大きく不透明性が生じるため、顔料の粒子径にもよるが、コロイド粒子と顔料との重量比を、(コロイド粒子)/(白色顔料)の比で80/20以上、好ましくは90/10以上とするのがよい。
【0035】
なお、光沢発現層には、前記のコロイド粒子およびバインダー、さらに所望により加えられる白色顔料のほかに、前述の各種添加剤を含有させることもできる。
【0036】
本発明においては、該コロイド粒子としては、無定型シリカ・アルミナからなる多孔質構造を有するもの、あるいは、カチオン性コロイド粒子を主成分としたものが、特に好適に使用される。
【0037】
光沢発現層の塗設には、例えば、各種ブレードコータ、ロールコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、サイズプレス等の各種装置を用いることができる。
【0038】
光沢発現層の塗設量は、前記インク受理層の平滑性やサイズ性、要求される平滑性等により異なるので一概に決定することは困難であるが、通常は2g/m2以上あればよい。また、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等を用いたカレンダー処理を行なってもよい。
【0039】
本発明において、インク受理層および光沢発現層の乾燥には、例えば、熱風ドライヤー、エアーホイルドライヤー、エアーキャップドライヤー、シリンダードライヤー、赤外線ドライヤー等の各種乾燥装置を使用して常法に従って行なえばよい。
【0040】
本発明では、支持体上に、少なくとも1層のインク受理層と該インク受理層上に平均粒子径300nm以下のコロイド粒子を主成分とする塗被組成物からなる光沢発現層を設けたコートタイプのインクジェット記録用紙において、該光沢発現層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接されて鏡面光沢仕上げされてなるものであって、該光沢発現層を鏡面ドラムに圧接するプレスニップで原紙面に水の塗布量が紙1m 2 当り5〜20gとなるように水塗りし、かつ該光沢発現層が鏡面ドラムから剥離後、原紙面に水蒸気を作用させることを構成とすることによって、コックリングの発生を著しく抑制させたインクジェット記録用キャスト塗被紙が得られる。
【0041】
紙匹が鏡面ドラム面から剥離した直後から原紙面に水蒸気を作用させるまでの時間(リテンションタイム)は、通常2秒以下であり、好ましくは1秒以下であり、さらに好ましくは0.5秒以下である。このリテンションタイムが、長過ぎると紙の温度が低下し、紙中に水分が残ってしまい、コックリング防止効果が低下する。
【0042】
作用させた水蒸気量は、リテンションタイムとの関係から、一概には決められないが、通常水分換算で、紙1m2当り0.3〜2.0gの範囲である。作用させた水蒸気量が少なすぎると、コックリング防止効果が少なく、また、多すぎると、画像のムラが増大する。
【0043】
本発明の優れた効果のメカニズムは明確ではないが、基紙に水分を付与し、紙の残存熱で乾燥することで、紙の水に対する寸法安定性が増すため、コックリングの発生現象が減少するものと思われる。
【0044】
本発明において、紙匹に水蒸気を作用させるには、鏡面ドラム面から剥離後行なう場合には、ノズル等により噴霧させるか、多数の細孔を施した横笛のものから水蒸気を作用させればよい。
【0045】
また、塗被層を鏡面ドラム表面に圧接するプレスニップで紙の原紙面に水塗を行なう場合には、カラーパンから液あげロールを介して、原紙面に塗布するロールに水を転写して水を付与すればよい。この際、ロールは正転であっても、逆転であってもよい。
【0046】
【実施例】
次に本発明の実施例を示し、本発明についてさらに具体的に説明する。なお、実施例及び比較例における「部」および「%」は特に明示しない限り、それぞれ絶乾重量部、絶乾重量%を示す。また、実施例及び比較例に示す粒子径は、動的散乱法により求めた平均粒子径である。
【0047】
1)支持体の作製
LBKP(ろ水度400mlcsf)80部とNBKP(ろ水度400mlcsf)20部とからなる木材パルプ100部に対し、軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムとタルクとの比率が10/10/10の顔料25部、市販アルキルケテンダイマー0.10部、市販カチオン系(メタ)アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉0.80部、硫酸バンド0.40部を配合して混合物とし、長網抄紙機を使用して坪量90g/m2の支持体を作製した。
【0048】
2)インク受理層の塗工
上記1)の支持体表面に、下記の組成の塗被組成物を固形分濃度16%として調液し、この塗液をエアーナイフコータにより乾燥塗工量12g/m2となるように塗工・乾燥した。
<インク受理層塗被組成物>
合成非晶質シリカ(ミズカシルP75D:水沢化学社製) 100部
ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製) 25部
コロイダルシリカ(スノーテックス−O:日産化学工業社製) 30部
カチオン化染料定着剤(ポリフィックス601:昭和高分子社製) 25部
【0049】
3)光沢発現層の塗工
光沢発現層は、インク受理層の表面に塗設した後、キャスト処理して得た。キャスト処理は、光沢発現層の塗被組成物をインク受理層の表面に塗工し、2秒後に、表面温度90℃に加熱された鏡面ロールに圧接し乾燥する直接法により処理した。光沢発現層の塗被組成物は、コロイド粒子として、平均粒子径が300nmのコロイダルシリカ(PST−3:日産化学工業社製)を100部、接着剤として、スチレン・ブタジエン系ラテックス(平均粒子径135nm:日本合成ゴム社製)を20部、カチオン性染料定着剤(ポリフィックス601:昭和高分子社製)を30部、固形分濃度20%として、これらを調液した。この塗液をロールコータにより、乾燥塗工量3g/m2となるようにインク受理層面に上記のキャスト処理法で設け、直接法により処理したインクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。
【0050】
なお、実施例1、2は本発明の方法を支持するものであって、水分付与量を変動させたものである。比較例1は、プレスニップで原紙面に水塗りのみを行ったものである。
【0051】
なお、本発明の優れた効果を確認するために、水蒸気処理なしのもの(比較例2)、鏡面ドラム面から剥離直後に塗被面のみに水蒸気を作用させたもの(比較例3)、また、鏡面ドラム面から剥離後、リテンションタイムが、長すぎるもの(比較例4)、さらに、鏡面ドラム面から剥離後、付与される水蒸気量が多すぎるもの(比較例5)を比較例とした。
【0052】
以上のようにして作成された各実施例及び各比較例により得られたインクジェット記録用キャスト塗被紙のコックリングおよび画像のムラの結果を、表1に示す。
【0053】
本発明においては、インクジェット記録用キャスト塗被紙のコックリングおよび画像のムラは、次のようにして評価した。
【0054】
−評価方法−
<コックリング>
ヒューレットパッカード社製デスクライターHP560Cで、黒100%階調のベタ印字を(10cm×10cm)行い、波打ちの程度を目視評価し、5段階に表示した。
ランク1:コックリングは殆ど検出できない。
ランク2:細かいコックリングが僅かに見られる。
ランク3:細かい波うちのみで、大きな波うちは殆どなし。
ランク4:印字面の一部に大きな波打ちが見られる。
ランク5:印字面全面に亘り1〜2cm周期の大きなきつい波うち発生。
※ランク4以上では実用上、汚れ等の問題を起こす。
【0055】
<画像のムラ>
ヒューレットパッカード社製デスクライターHP560Cで、シアン60%階調のベタ印字を(10cm×10cm)行い、ムラの程度を目視で評価し、3段階に表示した。
ランク1:ムラは完全に無し
ランク2:僅かなムラ
ランク3:きついムラ
【0056】
【表1】
【0057】
−結果の検討−
表1の結果から明らかなように、本発明の方法により得られたインクジェットキャスト塗被紙は、コックリングおよび画像のムラ共、優れていることがわかる。
【0058】
即ち、特定の条件下でプレスニップで紙の原紙面に水塗りを行い、さらに鏡面ドラム面から剥離後原紙面に水蒸気を作用させたものは、高い効果を示す。
【0059】
【発明の効果】
以上に詳述したことから明らかなように、本発明のインクジェットキャスト塗被紙の製造方法は、直接法によって作られたインクジェットキャスト塗被紙、およびリウエット法によって作られたインクジェットキャスト塗被紙共、いずれもコックリングおよび画像のムラ等の品質面において、優れていることがわかる。
Claims (3)
- 支持体上に、少なくとも1層のインク受理層と該インク受理層上に平均粒子径300nm以下のコロイド粒子を主成分とする塗被組成物からなる光沢発現層を設けたコートタイプのインクジェット記録用紙において、該光沢発現層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接されて鏡面光沢仕上げされてなるものであって、該光沢発現層を鏡面ドラムに圧接するプレスニップで原紙面に水の塗布量が紙1m 2 当り5〜20gとなるように水塗りし、かつ該光沢発現層が鏡面ドラムから剥離後、原紙面に水蒸気を作用させることを特徴とするインクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法。
- コロイド粒子が、無定型シリカ・アルミナからなる多孔質構造を有する該コロイド粒子である請求項1記載のインクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法。
- コロイド粒子が、カチオン性コロイド粒子を主成分とする請求項1記載のインクジェット記録用キャスト塗被紙の製造方法。
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