JP3564645B2 - 窒化ガリウム系半導体結晶の成長方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、窒化ガリウム(GaN)系半導体結晶の成長方法に関し、特に青色発光材料として好適な、結晶性の優れたGaN系半導体結晶のエピタキシャル成長方法に関する。
なお、本明細書においては、GaN系結晶とは、GaN、AlN(窒化アルミニウム)、InN(窒化インジウム)及びそれらの混晶であるInx Gay Al1−x−y N(0≦x,0≦y,x+y≦1)を含むものである。
【0002】
【従来の技術】
近時、青色発光材料としてGaN系半導体が注目されている。
従来、GaN系半導体結晶をエピタキシャル成長させる場合、サファイア(α−Al2 O3 )基板を用い、GaN系半導体結晶の(0001)面をサファイア基板の(0001)面上に一致させることが多い。その際の格子定数のずれは16%にもなり、結晶性の優れたGaN系半導体結晶を成長させることができないという問題点があった。
【0003】
その解決策として、サファイア基板上にバッファ層となるAlN膜を成長させ、そのAlN膜上にGaN系半導体結晶を成長させる方法(特公昭59−48794号、特開平2−229476号)や、GaAlNよりなるバッファ層の上にGaN系半導体結晶を成長させる方法(特開平4−297023号)などが提案されている。これらの提案によれば、バッファ層の導入により、サファイア基板とGaN系半導体結晶との格子不整合が緩和され、GaN系半導体結晶の表面モフォロジや結晶性が向上するとされている。
【0004】
また、他の解決策として、アルミニウムガーネット(ReAl2 Al3 O12、但し、ReはGd,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Yのいずれか一つである。)またはガリウムガーネット(ReAl2 Ga3 O12、但し、ReはPr,Nd,Sm,Eu,Gd,Er,Tm,Yb,Lu,Yのいずれか一つである。)よりなる基板を用いる方法(特開昭49−3899号)などが提案されている。この提案によれば、サファイアを基板とする場合に比べて格子定数の不一致が大きく緩和され、また良好な基板表面が容易に得られ、結晶性のよいGaN結晶を得ることができるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記AlNバッファ層やGaAlNバッファ層を設ける提案では、GaN系半導体結晶とサファイア基板との格子不整合は解消されていないため、バッファ層を介してもGaN系半導体結晶は未だかなり歪んだ状態にある。従って、このような歪んだ結晶層を用いて発光素子を作製しても、輝度が思ったように向上しないという問題点があった。
【0006】
また、上記アルミニウムガーネットやガリウムガーネットを基板に用いる提案では、それら基板の格子定数が12.00〜12.57オングストロームの範囲にあるため、それらの結晶の(111)面の格子間隔はGaNのa軸の5倍に対応しており、格子整合性は必ずしも良くない。従って、GaN系半導体結晶の歪みは解消されず、作製した発光素子の輝度が向上しないという問題点があった。
【0007】
そこで、本出願人は、先に、GaN系半導体結晶との格子整合性がよい基板材料として、ネオジムガレート(NdGaO3 )等の希土類3B族ペロブスカイトが好適であり、その結晶の{101}面または{011}面を利用することを提案した(特願平6−246803号)。
しかし、その後の研究により、希土類3B族ペロブスカイト基板は、還元性雰囲気、特に水素雰囲気下においてGaNの成長温度で基板表面の劣化を起こし、その上に高品質のGaN系半導体結晶をエピタキシャル成長させることができないということがわかった。
また、希土類3B族ペロブスカイトの結晶系(斜方晶)とGaNの結晶系(六方晶)とが異なることにより、希土類3B族ペロブスカイト基板上にGaN系半導体結晶を成長させると、GaN系半導体結晶の所望の結晶面である(0001)面(c面)が成長せずに、c面とは異なる結晶面が成長してしまうことがあるということもわかった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、その目的は、希土類3B族ペロブスカイトを基板とし、結晶成長温度における基板表面の劣化を防止して高品質のGaN系半導体結晶を成長させることができるように改良した結晶成長方法を提供し、それによって青色発光材料として好適な良質のGaN系半導体結晶を得ることにある。
また、本発明の他の目的は、希土類3B族ペロブスカイトを基板とし、その基板の{101}面または{011}面上にGaN系半導体結晶のc面を安定して成長させることができるように改良した結晶成長方法を提供し、それによって青色発光材料として好適な良質のGaN系半導体結晶を得ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者は、GaN系半導体結晶の成長条件を種々変更して成長実験を行い、その結果、基板表面が劣化せずにその上に高品質のGaN系半導体結晶を成長させることのできる成長雰囲気及び成長温度などを見つけた。また、本発明者は、GaN系半導体結晶の成長開始前に希土類3B族ペロブスカイト基板の表面を適当な方法で処理することによって、基板上にGaN系半導体結晶のc面を安定して成長させることができると考えた。
【0010】
本発明は、上記知見及び着想に基づきなされたもので、基板上に窒化ガリウム系半導体結晶を成長させるにあたり、前記基板として希土類3B族ペロブスカイトの{101}面または{011}面を用い、該基板を、5B族の構成元素を含むガス雰囲気中に、700℃以上1200℃以下の温度で保持した後、結晶成長を行なうことを特徴とする。この発明において、例えば、前記5B族の構成元素を含むガスは、アンモニアと水素の混合ガスであり、前記基板はNdGaO3 で表されるネオジムガレートよりなる。
また、本発明は、基板上に窒化ガリウム系半導体結晶を成長させるにあたり、前記基板として希土類3B族ペロブスカイトの{101}面または{011}面を用い、該基板を、予め5B族元素の水素化物よりなる雰囲気下にさらして処理した後、窒化ガリウム系半導体結晶の成長を開始することを特徴とする。この発明において、例えば、前記5B族元素の水素化物は、アンモニア、ヒドラジンまたはヒドラジン誘導体であり、前記基板はNdGaO3 で表されるネオジムガレートよりなる。
【0011】
なお、希土類元素は単一の元素である必要はなく、周期律表の3B族元素との混合物でもよい。また、3B族元素はAl,Ga,In及びこれらの混合物である。
ここで、{101}面または{011}面とは、それぞれ(101)面または(011)面と等価な面を表し、(1 ̄ 01)面、(101 ̄ )面、(1 ̄ 01 ̄ )面、または(01 ̄ 1)面、(011 ̄ )面、(01 ̄ 1 ̄ )面のことである。なお、右肩に“ ̄ ”を付した指数はマイナスの指数である。また、{101}面または{011}面よりわずかにオフアングルした基板を用いてもよい。
【0012】
【作用】
上記した手段によれば、基板として希土類3B族ペロブスカイトの{101}面または{011}面を用い、結晶成長開始前に、その基板を、5B族の構成元素を含むガス雰囲気中に、700℃以上1200℃以下の温度で保持することによって、基板表面が改質されてその表面とその後に成長するGaN系半導体結晶の成長層との結合が強くなり、GaN系半導体結晶が基板上の全面に均一に成長する。
【0013】
また、希土類3B族ペロブスカイトの{101}面または{011}面を用いた基板を、GaN系半導体結晶の成長開始前に、予め5B族元素を含む水素化物よりなる雰囲気下にさらして処理することによって、基板表面がわずかにエッチングされ、同時に表面が窒化されるため、その後に成長するGaN系半導体結晶の配向がc軸方向に定まるものと考えられ、基板上にGaN系半導体結晶の(0001)面(c面)が成長する。そして、希土類3B族ペロブスカイト基板の{101}面または{011}面上にGaN系半導体結晶のc面が成長することによって、基板とGaN系結晶との格子不整合は最も小さくなる。
【0014】
ここで、希土類3B族ペロブスカイトの{101}面または{011}面を基板として用いる利点について説明する。
一般に、希土類3B族ペロブスカイトは、融点が高く、GaN系半導体結晶を成長させる温度において熱的に安定であり、また原料ガスであるTEG(トリエチルガリウム)やNH3 (アンモニア)やHCl(塩化水素)等に対しても化学的に安定である。さらに、以下に説明するようにGaN系半導体結晶との格子整合性も良好である。
【0015】
図1に斜方晶系である希土類3B族ペロブスカイト結晶の(011)面または(101)面の3B族原子の配列を示す。
図1に点線で示した格子間隔は(011)面ではa軸の長さに等しく、(101)面ではb軸の長さに等しくなり、実線で示した格子間隔は(011)面と(101)面ともa軸、b軸、c軸のそれぞれの長さla 、lb 、lc の自乗の和の平方根の2分の1に等しくなっている。希土類3B族ペロブスカイトでは、上記各軸の間に、la とlb とが略等しく、かつ、次式:
lc =√(la2+lb2)/2
の関係が略成り立つため、希土類3B族ペロブスカイト結晶の(011)面または(101)面では、図1に示されるように略六方格子の状態に配列している。
【0016】
次に、GaNの(0001)面のGa原子の配列を図2に示す。図2に点線で示した格子間隔はa軸の長さの√3倍となり、実線で示した格子間隔はa軸の長さに等しい。
【0017】
図3に、希土類元素としてNd(ネオジム)を選んだ場合の希土類ガリウムペロブスカイト結晶の(011)面または(101)面の原子配列と、GaNの(0001)面の原子配列とを対応させた図を示す。図中の白丸が希土類ガリウムペロブスカイト結晶の(011)面または(101)面の原子配列を示し、黒丸がGaNの(0001)面の原子配列を示す。
図3より、GaNのa軸の長さの√3倍が希土類ガリウムペロブスカイト結晶のa軸、b軸、c軸のそれぞれの長さの自乗の和の平方根の2分の1、a軸の長さ、あるいはb軸の長さのいずれかとほぼ等しい値であれば格子整合することが分かる。
因みに、希土類ガリウムペロブスカイト結晶の場合にはGaNとの格子間隔のずれは0.1〜6.1%の範囲にあり、サファイアの16%と比較してかなり小さくなる。特に、LaGaO3 、PrGaO3 およびNdGaO3 の場合には格子間隔のずれは0.1〜1.8%となる。また、希土類アルミニウムペロブスカイト結晶の場合には格子間隔のずれは3.6〜8.3%の範囲となる。希土類インジウムペロブスカイト結晶の場合、GaNとの格子間隔のずれは大きくなるが、InGaO3 の場合In0.4 Ga0.6 Nとはほぼ格子整合し、InNとGaNの混晶結晶を成長させる場合に利点がある。
【0018】
また、希土類3B族ペロブスカイト結晶の(011)面または(101)面では、基板最表面層が3B族元素となっているので、同種元素を含むGaN系化合物半導体結晶が、同種元素を含まないサファイア等の基板を用いた場合に比較して、容易に成長できると考えられる。
【0019】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明の特徴とするところを明らかとする。なお、以下の各実施例は本発明を具体的に例示したに過ぎず、それら各実施例により本発明が何ら制限を受けないのはいうまでもない。
【0020】
(実施例1)
厚さ500μm、面方位(101)のNdGaO3よりなる基板を有機溶剤で洗浄した後、サセプタ上に置き、それを横型のMOCVD(有機金属気相成長)装置の反応室内に設置した。続いて、反応室内にH2(水素ガス)とともにNH3ガスをそれぞれ4SLM(Standard Litter per Minute)ずつ流し、反応室内の圧力を1.01×10 4 Paに保った。しかる後、基板温度が950℃になるように加熱し、その状態で保持することにより、H2及びNH3雰囲気中で950℃、15分間の熱処理を行なった。その熱処理後、直ちに反応室内にTEGを供給し、GaNの結晶成長を開始した。結晶成長を1時間行なった後、ガスの供給を停止して成長を終了させ、降温後、装置から基板を取り出した。そして、得られた基板の表面をSEM(走査電子顕微鏡)で観察したところ、基板上の全面にGaNの結晶成長層が均一に形成されていることがわかった。そのSEM像の模式図を図4に示す。
【0021】
(実施例2)
GaNの結晶成長開始前にH2 及びNH3 雰囲気中で行なう熱処理の基板温度を700℃とし、その熱処理後に基板温度をGaNの成長温度である950℃まで昇温した以外は、上記実施例1と同一条件及び同一手順で基板上にGaNを成長させた。
GaNの成長終了後、MOCVD装置から取り出した基板の表面をSEMで観察したところ、図4に示したSEM像と同様に、基板上の全面にGaNの結晶成長層が均一に形成されていた。
【0022】
(実施例3)
GaNの結晶成長開始前にH2 及びNH3 雰囲気中で行なう熱処理の基板温度を1200℃とし、その熱処理後に基板温度を950℃まで下げた以外は、上記実施例1と同一条件及び同一手順で基板上にGaNを成長させた。
GaNの成長終了後、MOCVD装置から取り出した基板の表面をSEMで観察したところ、図4に示したSEM像と同様に、基板上の全面にGaNの結晶成長層が均一に形成されていた。
【0023】
(実施例4)
GaNの結晶成長開始前にH2 及びNH3 雰囲気中で行なう熱処理のH2 の流量を6SLM、NH3 の流量を2SLMとした以外は、上記実施例1と同一条件及び同一手順で基板上にGaNを成長させた。
GaNの成長終了後、MOCVD装置から取り出した基板の表面をSEMで観察したところ、図4に示したSEM像と同様に、基板上の全面にGaNの結晶成長層が均一に形成されていた。
【0024】
(比較例1)
MOCVD装置内に基板を設置した後、反応室内にH2 のみを8SLMの流量で流し、基板温度が950℃で安定した後、直ちにTEGとNH3 の反応室内への供給を同時に開始して結晶成長を行なった。それ以外は、上記実施例1と同一条件及び同一手順であった。
GaNの成長終了後、装置から取り出した基板の表面をSEMで観察したところ、GaNの成長層は島状の結晶が点在しているような極めて品質の低いものであった。そのSEM像の模式図を図6に示す。これは、基板表面とGaNの成長層との界面における構成原子間の相互の結合力が弱いことが原因であると考えられる。
【0025】
(比較例2)
GaNの結晶成長開始前にH2 及びNH3 雰囲気中で行なう熱処理の基板温度を680℃とし、その熱処理後に基板温度を950℃まで昇温した以外は、上記実施例1と同一条件及び同一手順で基板上にGaNを成長させた。
GaNの成長終了後、MOCVD装置から取り出した基板の表面をSEMで観察したところ、図6に示したSEM像と同様に、GaNの成長層は島状の結晶が点在しているような極めて品質の低いものであった。基板温度が低すぎて極めて品質の悪い成長層になったものと思われる。
【0026】
(比較例3)
GaNの結晶成長開始前にH2 及びNH3 雰囲気中で行なう熱処理の基板温度を1250℃とし、その熱処理後に基板温度を950℃まで下げた以外は、上記実施例1と同一条件及び同一手順でGaNの成長を行なったところ、GaNは成長しなかった。これは、1250℃で熱処理した後に取り出した基板の表面に多数の円形状の欠陥が認められたことから、熱処理温度が高すぎて基板表面で解離が起こったためと考えられる。
【0027】
(実施例5)
厚さ500μm、面方位(011)のNdGaO3 よりなる基板を有機溶剤で洗浄した後、ハイドライドVPE装置内に設置した。そして、基板部を800℃、Ga原料部を850℃にそれぞれ保持するとともに、N2 (窒素ガス)をキャリアガスとして流した。
続いて、Ga原料部をバイパスして基板の直前にNH3 ガスを流した。特に限定しないが、例えば、本例ではそのNH3 処理を5分間行なった。
しかる後、上記ガスと並行して、Ga原料の上流側からN2 で希釈したHClガスを流し、Ga原料とHClとの反応生成物であるGaClを基板部に輸送し、GaClとNH3 ガスとを反応させて基板上にGaNをエピタキシャル成長させた。特に限定しないが、例えば、このGaNのエピタキシャル成長を30分間行なった。
この実施例で得られたGaNの膜厚は約2μmであり、その表面には異常成長が全く認められなかった。また、このGaN膜のX線回折パターンを図5に示すが、同図より明らかなように、(0002)及び(0004)の回折が強いことから、成長したGaNの主面は(0001)面(c面)であることがわかった。
【0028】
(比較例4)
上記5分間のNH3 処理を行なわない他は、上記実施例5と同一条件及び同一手順で面方位(011)のNdGaO3 基板上に直接GaNをエピタキシャル成長させた。
比較例4で得られたGaN膜のX線回折パターンを図7に示すが、同図より明らかなように、成長したGaNの主面は(112 ̄ 4)面であり、c面からの回折は全く認められなかった。
【0029】
以上、具体的な例を挙げて説明したように、本発明を適用してGaNのエピタキシャル成長開始前に、予めNdGaO3 基板をH2 及びNH3 雰囲気中で700℃〜1200℃の温度で熱処理することにより、その後、基板上の全面にGaN結晶の成長層が均一に成長することが確認された。従って、NH3 を含む雰囲気中での熱処理により、NdGaO3 基板の表面が改質され、GaN結晶の成長層との結合力が強くなったことがわかった。
また、本発明を適用してGaNのエピタキシャル成長開始前に予めNdGaO3 基板をNH3 処理することにより、基板上にGaN結晶の(0001)面(c面)が安定して成長することが確認された。
【0030】
なお、上記実施例1〜5においては、基板材料はNdGaO3 であるとしたが、それ以外の希土類3B族ペロブスカイト、例えば希土類アルミニウムペロブスカイトなどでも基板上の全面にGaN結晶の成長層が均一に成長する、或は基板上にGaN結晶のc面が安定して成長するという同様の効果が得られる。
【0031】
また、上記実施例1〜5においては、基板上にGaN結晶をエピタキシャル成長させたが、これに限らず、AlN、InN及びそれらとGaNとの混晶であるInx Gay Al1−x−y N(0≦x,0≦y,x+y≦1)を成長させても、基板上の全面に均一にGaN結晶が成長する、或はGaN結晶のc面が安定して成長するという同様の効果が得られる。
【0032】
さらに、上記実施例1〜4においては、基板の面方位は(101)であるとしたが、それに等価である(1 ̄ 01)、(101 ̄ )、(1 ̄ 01 ̄ )の各面方位、或は(011)およびそれに等価である(01 ̄ 1)、(011 ̄ )、(01 ̄ 1 ̄ )の各面方位であっても、さらにはそれら各面方位からわずかにオフアングルしていても、基板上の全面に均一にGaN結晶が成長するという同様の効果が得られるのは勿論である。同様に、実施例5においては、基板の面方位は(011)であるとしたが、それに等価である(01 ̄ 1)、(011 ̄ )、(01 ̄ 1 ̄ )の各面方位、或は(101)およびそれに等価である(1 ̄ 01)、(101 ̄ )、(1 ̄ 01 ̄ )の各面方位であっても、さらにはそれら各面方位からわずかにオフアングルしていても、GaN結晶のc面が安定して成長するという同様の効果が得られるのは勿論である。
【0033】
さらにまた、上記実施例1〜4においては、H2 及びNH3 よりなる雰囲気中のNH3 の濃度と熱処理時間との間には相互関係があるので、上記各実施例の濃度及び時間に限らず、それらNH3 の濃度と熱処理時間を適宜選択すればよい。
【0034】
また、上記実施例1〜4においては、H2 及びNH3 よりなる雰囲気中で熱処理したが、NH3 に代えてジメチルヒドラジン((CH3 )2 N2 H2 )などの他の窒素原料を用いてもよいし、さらに、H2 の代わりにHe(ヘリウム)やN2 などの不活性ガスを用いてもよい。
【0035】
さらに、上記実施例5においては、GaNのエピタキシャル成長開始前にNH3 を基板部に輸送して基板表面の処理を行なったが、その処理の際に基板部に流すガスはNH3 に限らず、5B族元素を含む水素化物のガスであればよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明に係る窒化ガリウム系半導体結晶の成長方法によれば、基板上に窒化ガリウム系半導体結晶を成長させるにあたり、前記基板として希土類3B族ペロブスカイトの{101}面または{011}面を用い、該基板を、5B族の構成元素を含むガス雰囲気中に、700℃以上1200℃以下の温度で保持した後、結晶成長を行なうようにしたため、GaN系半導体結晶が基板上の全面に均一に成長する。従って、青色発光用半導体材料として良好なGaN系半導体結晶が得られる。
【0037】
また、基板上に窒化ガリウム系半導体結晶を成長させるにあたり、前記基板として希土類3B族ペロブスカイトの{101}面または{011}面を用い、該基板を、予め5B族元素の水素化物よりなる雰囲気下にさらして処理した後、窒化ガリウム系半導体結晶の成長を開始するようにしたため、GaN系半導体結晶に比較的良く格子整合し、かつ、熱的及び化学的に安定な希土類3B族ペロブスカイト基板の{101}面または{011}面上にGaN系半導体結晶の(0001)面(c面)が安定して成長する。従って、青色発光用半導体材料として良好なGaN系半導体結晶が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】希土類ガリウムペロブスカイトの(011)面または(101)面のGa原子の配列を示す図である。
【図2】GaNの(0001)面のGa原子の配列を示す図である。
【図3】希土類ガリウムペロブスカイトの(011)面または(101)面の原子配列と、GaNの(0001)面の原子配列との対応を示す図である。
【図4】実施例1で成長させたGaN成長層の表面観察像の模式図である。
【図5】実施例5で成長させたGaN結晶のX線回折パターンを示す図である。
【図6】比較例1で成長させたGaN成長層の表面観察像の模式図である。
【図7】比較例4で成長させたGaN結晶のX線回折パターンを示す図である。
Claims (6)
- 基板上にIn x Ga y Al 1-x-y N(0≦x,0≦y,x+y≦1)で表される窒化ガリウム系半導体結晶を成長させるにあたり、前記基板として希土類3B族ペロブスカイトの{101}面または{011}面を用い、該基板を、5B族の構成元素を含むガス雰囲気中に、700℃以上1200℃以下の温度で保持した後、結晶成長を行なうことを特徴とする窒化ガリウム系半導体結晶の成長方法。
- 前記5B族の構成元素を含むガスは、アンモニアと水素の混合ガスであることを特徴とする請求項1記載の窒化ガリウム系半導体結晶の成長方法。
- 前記基板はNdGaO3で表されるネオジムガレートよりなることを特徴とする請求項1または2記載の窒化ガリウム系半導体結晶の成長方法。
- 基板上にIn x Ga y Al 1-x-y N(0≦x,0≦y,x+y≦1)で表される窒化ガリウム系半導体結晶を成長させるにあたり、前記基板として希土類3B族ペロブスカイトの{101}面または{011}面を用い、該基板を、予め5B族元素の水素化物よりなる雰囲気下にさらして処理した後、窒化ガリウム系半導体結晶の成長を開始することを特徴とする窒化ガリウム系半導体結晶の成長方法。
- 前記5B族元素の水素化物は、アンモニア、ヒドラジンまたはヒドラジン誘導体であることを特徴とする請求項4記載の窒化ガリウム系半導体結晶の成長方法。
- 前記基板はNdGaO3で表されるネオジムガレートよりなることを特徴とする請求項5記載の窒化ガリウム系半導体結晶の成長方法。
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