JP3542789B2 - 耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤、処理鋼板およびその処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、六価クロム化合物などの有害な化合物を含まず、優れた耐食性を有する亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤、処理鋼板およびその表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から亜鉛系めっき鋼板は、耐食性を向上するために、クロメート処理を施し、鋼板表面にクロメート被膜を形成することが一般に行われている。しかしながら、クロメート被膜には、有害なクロム化合物が用いられているため、環境汚染を引き起こしたり、製造に携わる人間の健康への影響より、クロム化合物を用いない表面処理が望まれている。
【0003】
有害なクロム化合物を用いずに、亜鉛系めっき鋼板の表面に被膜を形成させることができる無機成分の1つとしては、多価金属リン酸塩化合物が挙げられる。しかしながら、多価金属リン酸塩化合物は、亜鉛系めっき鋼板に被膜を形成させる際、次に述べるような問題点を有している。
【0004】
▲1▼多価金属リン酸塩化合物は、脱水縮合反応により被膜を形成するため、被膜を形成させるには高温で焼付ける必要があり、従来のクロメート処理と同様の低温度での焼付けでは、十分な被膜が形成されず、耐食性も得られない。
【0005】
▲2▼多価金属リン酸塩水溶液を亜鉛めっき表面に塗布する際、多価金属リン酸塩水溶液により亜鉛めっきが溶解して、多価金属リン酸塩水溶液のリン酸イオンと、溶解した亜鉛イオンとが反応してリン酸亜鉛の反応物が生じるため、多価金属リン酸塩化合物での網目(ネットワーク)構造の形成が阻害され、均一な被膜が形成されず、耐食性も得られない。
【0006】
▲3▼多価金属リン酸塩の被膜は、そのバリアー効果で耐食性を得ることができるが、被膜欠陥があるときには、耐食性は著しく低下する。
【0007】
このようなことから、クロム化合物を使用せず、かつ、多価金属リン酸塩化合物を主体にし、従来のクロメート処理なみの低い焼付温度で表面処理ができ、優れた耐食性を有する被膜を形成できる表面処理剤及びその処理方法は、これまで皆無に等しかった。またこのようなことから、多価金属リン酸塩被膜を形成した亜鉛系めっき鋼板は、十分な耐食性を得ることができなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、クロム化合物を使用することなく、低い温度での焼付けができ、亜鉛系めっき鋼板の表面に優れた耐食性を有する被膜を形成できる、亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤およびそれを用いる表面処理方法を提供することである。
【0009】
本発明の目的は、クロムを使用しないで、多価金属リン酸塩化合物を主体とする優れた耐食性を有する被膜を形成した亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、亜鉛系めっき鋼板表面に多価金属リン酸塩化合物を主体とする被膜を形成させる表面処理剤を鋭意検討して、低い焼付け温度で処理でき、かつ、優れた耐食性を有する被膜が形成できる表面処理剤を開発するに至った。
【0011】
さらに本発明者らは、亜鉛系めっき鋼板の上に形成する耐食性被膜に関し、多価金属リン酸塩化合物被膜を主体としてキレート剤成分および腐食抑制剤成分を含有した被膜を形成することで、優れた耐食性を有する亜鉛系めっき鋼板を開発するに至った。
【0012】
本発明は、水溶性の多価金属リン酸塩化合物と、キレート剤と、腐蝕抑制剤を含み、
前記水溶性の多価金属リン酸塩化合物が、第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムのグループから選ばれた1種または2種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤である。
また本発明は、水溶性の多価金属リン酸塩化合物と、キレート剤と、腐蝕抑制剤を含み、
前記キレート剤が、ホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤である。
また本発明は、水溶性の多価金属リン酸塩化合物と、キレート剤と、腐蝕抑制剤を含み、
前記腐蝕抑制剤が、イミダゾリン系化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物、キノリン系化合物、チオカルボニル化合物、チアゾール化合物、メルカプト化合物、スルフィド化合物またはチオカルバミン酸塩のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤である。
また本発明は、前記水溶性の多価金属リン酸塩化合物が、第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムのグループから選ばれた1種または2種の混合物であることを特徴とする。
また本発明は、水溶性の多価金属リン酸塩化合物と、キレート剤と、腐蝕抑制剤を含み、
前記水溶性の多価金属リン酸塩化合物が、第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムのグループから選ばれた1種または2種の混合物であり、
前記キレート剤が、ホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であり、
前記腐蝕抑制剤が、イミダゾリン系化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物、キノリン系化合物、チオカルボニル化合物、チアゾール化合物,メルカプト化合物、スルフィド化合物またはチオカルバミン酸塩のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤である。
【0013】
また本発明は、固形分として水溶性の多価金属リン酸塩化合物100重量部に対し、キレート剤10〜150重量部と腐食抑制剤0.1〜100重量部を含み、
前記水溶性の多価金属リン酸塩化合物が、第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムのグループから選ばれた1種または2種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤である。
また本発明は、固形分として水溶性の多価金属リン酸塩化合物100重量部に対し、キレート剤10〜150重量部と腐食抑制剤0.1〜100重量部を含み、
前記キレート剤が、ホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤である。
また本発明は、固形分として水溶性の多価金属リン酸塩化合物100重量部に対し、キレート剤10〜150重量部と腐食抑制剤0.1〜100重量部を含み、
前記腐蝕抑制剤が、イミダゾリン系化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物、キノリン系化合物、チオカルボニル化合物、チアゾール化合物、メルカプト化合物、スルフィド化合物またはチオカルバミン酸塩のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤である。
また本発明は、前記キレート剤が、ホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする。
また本発明は、固形分として水溶性の多価金属リン酸塩化合物100重量部に対し、キレート剤10〜150重量部と腐食抑制剤0.1〜100重量部を含み、
前記水溶性の多価金属リン酸塩化合物が、第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムのグループから選ばれた1種または2種の混合物であり、
前記キレート剤が、ホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であり、
前記腐蝕抑制剤が、イミダゾリン系化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物、キノリン系化合物、チオカルボニル化合物、チアゾール化合物、メルカプト化合物、スルフィド化合物またはチオカルバミン酸塩のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤である。
【0014】
本発明に従えば、少なくとも水溶性の多価金属リン酸塩化合物と、キレート剤と、腐食抑制剤とを含む表面処理剤を用いて亜鉛系めっき鋼板の表面処理を行うことによって、鋼板の表面に優れた耐食性を有する被膜を形成することができる。
【0016】
水溶性の多価金属リン酸塩化合物として、第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムのいずれかまたは両者の混合物を使用することにより、有害なクロム化合物を使用することなく、亜鉛系めっき鋼板の表面に優れた耐食性を有する被膜を形成することができる。
【0018】
本発明に従えば、キレート剤として、ホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤のうちの1種または2種以上を使用することにより、多価金属リン酸塩化合物がこれらのキレート剤とキレートをつくって、亜鉛系めっき鋼板の表面に網目構造の均一で緻密な被膜を形成する。したがって、低い温度での焼付けで、亜鉛系めっき鋼板の表面に優れた耐食性を有する被膜を形成することができる。
【0020】
本発明に従えば、腐食抑制剤として、イミダゾリン化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物の1種以上を使用することにより、亜鉛系めっき鋼板の表面処理時に、多価金属リン酸塩水溶液によって鋼板の亜鉛めっきが溶解するのを抑制することができる。したがって、多価金属リン酸塩化合物による網目構造の形成が阻害されないので、耐食性に優れた均一で緻密な被膜を亜鉛系めっき鋼板の表面に形成することができる。
【0021】
また本発明では、腐食抑制剤が、キノリン系化合物、チオカルボニル化合物、チアゾール化合物、メルカプト化合物、スルフィド化合物またはチオカルバミン酸塩の1種以上を使用することもできる。
【0022】
本発明の亜鉛系めっき鋼板は、前述の表面処理剤によって表面処理された被膜を有することを特徴とする。すなわち本発明の亜鉛系めっき鋼板は、その表面に多価金属リン酸塩化合物を主体としてキレート剤と腐食抑制剤とを含有する被膜を形成したものからなる。
【0023】
多価金属リン酸塩化合物は被膜の主成分であるが、単独では亜鉛系めっき鋼板表面に均一で緻密な被膜を形成させることができない。多価金属リン酸塩化合物にキレート剤と腐食抑制剤を含有させることで均一で緻密な被膜にすることが可能となり、また優れた耐食性も得ることができる。
【0024】
また本発明は、前述の表面処理剤を、亜鉛系めっき鋼板の少なくとも一方の表面に塗布し、塗布した表面処理剤を50℃〜200℃の温度で、亜鉛系めっき鋼板に焼付けることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の製造方法である。
【0025】
本発明に従えば、水溶性の多価金属リン酸塩化合物と、キレート剤と、腐食抑制剤とを含む表面処理剤を用いることにより、50℃〜200℃の低い温度で焼付けて、亜鉛系めっき鋼板の表面に優れた耐食性を有する被膜を形成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態による亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤は、水性媒体中に水溶性の多価金属リン酸塩化合物と、キレート剤と、腐食抑制剤とを含有している。すなわち前記表面処理剤は、クロム化合物を含有していないため、従来のクロム化合物の使用による環境上の問題は発生しない。
【0027】
また前記表面処理剤には、キレート剤と腐食抑制剤とが配合されているので、低い温度の焼付け条件で、亜鉛系めっき鋼板表面に、多価金属リン酸塩化合物の均一で緻密な被膜を形成することができる。キレート剤と腐食抑制剤とを配合することによって、多価金属リン酸塩化合物の均一で緻密な被膜が形成される理由は、明らかではないが、以下のような機構が推定できる。
【0028】
多価金属リン酸塩化合物のみで被膜を形成させる場合は、脱水縮合反応により、被膜が形成されるため、高温での焼付けが必要となる。しかし、脱水縮合反応で被膜を形成させるためには300℃以上の焼付け温度が必要であり、形成被膜が結晶質となり、均一で緻密な被膜が形成することは困難である。本発明では、キレート剤を併用することで、多価金属リン酸塩化合物とキレート剤とがキレートして網目(ネットワーク)構造をもつ被膜が生成する。すなわち、脱水縮合反応を伴わずに被膜が形成されるために、低温度での焼付けという条件下でも、優れた耐食性を有する結晶質にならない均一で緻密な被膜が亜鉛系めっき鋼板表面に形成される。
【0029】
また多価金属リン酸塩水溶液を亜鉛めっき表面に塗布すると、多価金属リン酸塩水溶液により亜鉛めっきが溶解して、多価金属リン酸塩水溶液のリン酸イオンと、溶解した亜鉛イオンとが反応して、リン酸亜鉛の反応物が生じる。このため多価金属リン酸塩化合物が、キレート剤とキレートして網目(ネットワーク)構造をもつ被膜を形成するのが阻害される。表面処理剤に配合する腐食抑制剤は、多価金属リン酸塩水溶液に鋼板の亜鉛めっきが溶解するを抑制するので、リン酸亜鉛による阻害を受けず、亜鉛系めっき鋼板表面に均一で緻密な被膜が形成され、優れた耐食性が得られる。
【0030】
前記表面処理剤を構成する多価金属リン酸塩化合物は、被膜を形成するベースとなる成分である。多価金属リン酸塩化合物としては、リン酸アルミニウムおよびリン酸マグネシウムの1種または2種の混合物であることが好ましい。リン酸アルミニウムおよびリン酸マグネシウムの被膜は、水溶性の第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムの水溶液を亜鉛系めっき鋼板に塗布して焼き付けることで形成することができる。第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムは、工業的に製造されているものでよい。また第一リン酸アルミニウムは、Al/Pのモル比が0.7/3〜1.2/3のものが好ましく、第一リン酸マグネシウムは、Mg/Pのモル比が、0.7/2〜1.2/2のものが好ましい。
【0031】
前記表面処理剤中の多価金属リン酸塩化合物の濃度は、1〜50重量%の範囲が好ましい。1重量%未満では、加水分解を起こし沈殿を生じることがあり、50重量%を超えると、多価金属リン酸塩化合物の溶解度が低下して沈殿物を生じ、表面処理液の安定性に問題を生じることがある。
【0032】
前記表面処理剤を構成するキレート剤は、具体的にはホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤が好ましい。表面処理剤中のキレート剤の濃度は、多価金属リン酸塩化合物に対して、重量比で0.1〜5倍量の範囲にすることが好ましい。0.1倍量より少ないと、耐食性が得られる被膜が形成できず、5倍量より大きいと、形成された被膜にべとつきを生じることがあるためである。
【0033】
すなわち本発明に用いるキレート剤は、固形分として多価金属リン酸塩100重量部に対し、10〜150重量部を被膜に含有することが好ましい。この範囲より少ないと、耐食性が得られる均一で緻密な被膜を形成できず、この範囲より大きくすると、形成された被膜にべとつきを生じることがあるためである。
ホスホン酸系キレート剤の具体例としては、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、またはそれらの塩を挙げることができる。特に、処理液を作製する際、水溶性多価金属リン酸塩水溶液への溶解性の観点から、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸が好ましい。
【0034】
オキシカルボン酸系キレート剤の具体例としては、たとえばシュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マロン酸等を挙げることができる。
これらのキレート剤は、1種単独で、または2種以上混合して用いてもよい。
【0035】
前記表面処理剤を構成する腐食抑制剤としては、Zn金属に対して腐食抑制効果のあるものであれば何でもよいが、好ましくはイミダゾリウム化合物、ポリアミン化合物、キノリン化合物、ピリジン化合物およびチオ尿素化合物の中から選択される1種または2種以上の混合物が挙げられる。さらに好ましくは、イミダゾリン化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物が好ましい。表面処理剤中の腐食抑制剤の濃度は、多価金属リン酸塩化合物に対して、重量比で0.001〜1倍量の範囲にすることが好ましい。0.001倍量より少ないと、耐食性が得られる被膜が形成できず、1倍量より大きいと、形成された被膜にべとつきを生じることがあるためである。
【0036】
本発明の用いる腐食抑制剤は、イミダゾリン化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物、キノリン系化合物、チオカルボニル化合物、チアゾール化合物,メルカプト化合物、スルフィド化合物またはチオカルバミン酸塩のうち少なくとも1種または2種以上を混合することで相乗効果が得られる場合が多く、これら化合物を混合して用いることが好ましい。腐食抑制剤は多価金属リン酸塩100重量部に対し、1〜100重量部を被膜に含有することが好ましい。この範囲より少ないと、耐食性が得られる被膜が形成できず、この範囲より大きくすると、形成された被膜が脆くなったり、べとつきを生じることがあるためである。
【0037】
前記イミダゾリン化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物の具体例としては、たとえば2-アルキル(C12〜C18)-1-アルキル(C1〜C16)-1-アシルアルキル(C11〜C17)イミダゾリウムクロライド、 2-アルキル(C12〜C18)-1-アルキル(C1〜C16)-1-アシルアルキル(C11〜C17)イミダゾリウムブロマイド、2-アルキル(C12〜C18)-1-アルキル(C1〜C16)-1-アシルアルキル(C11〜C17)イミダゾリウムアイオダイド、 2-アルキル(C12〜C18)-1-アルキル(C1〜C16)-1-アシルアルキル(C11〜C17)イミダゾリウムフルオライド、2-アルキル(C12〜C18)-1-アルキル(C1〜C16)-1-アシルアルキル(C11〜C17)イミダゾリウムエトキシサルフェート、1,3-ジベンジル-2-メチルイミダゾリウムクロライド、1,3-ジベンジル-2-メチルイミダゾリウムブロマイド、1,3-ジベンジル-2-メチルイミダゾリウムアイオダイド、1,3-ジベンジル-2-メチルイミダゾリウムフルオライド、1,3-ジベンジル-2-メチルイミダゾリウムエトキシサルフェート、1-ドデシルー2-メチル-3-カルボキシメチルイミダゾリウムクロライド、1-ドデシルー2-メチル-3-カルボキシメチルイミダゾリウムブロマイド、1-ドデシルー2-メチル-3-カルボキシメチルイミダゾリウムアイオダイド、1-ドデシルー2-メチル-3-カルボキシメチルイミダゾリウムフルオライド、1-ドデシルー2-メチル-3-カルボキシメチルイミダゾリウムエトキシサルフェート、1-ベンジル-2-アルキル(C1〜C4)-3-カルボキシメチルイミダゾリウムクロライド、1-ベンジルー2-アルキル(C1〜C4)-3-カルボキシメチルイミダゾリウムブロマイド、1-ベンジル-2-アルキル(C1〜C4)-3-カルボキシメチルイミダゾリウムアイオダイド、1-ベンジル-2-アルキル(C1〜C4)-3-カルボキシメチルイミダゾリウムフルオライド、1-ベンジル-2-アルキル(C1〜C4)-3-カルボキシメチルイミダゾリウムエトキシサルフェート、1-シアノエチル-2-アルキル(C1〜C4)-4-アルキル(C1〜C4)-カルボキシメチルイミダゾリウムクロライド、1-シアノエチル-2-アルキル(C1〜C4)-4-アルキル(C1〜C4)-カルボキシメチルイミダゾリウムブロマイド、1-シアノエチル-2-アルキル(C1〜C4)-4-アルキル(C1〜C4)-カルボキシメチルイミダゾリウムアイオダイド、1-シアノエチル-2-アルキル(C1〜C4)-4-アルキル(C1〜C4)-カルボキシメチルイミダゾリウムフルオライド、1-シアノエチル-2-アルキル(C1〜C4)-4-アルキル(C1〜C4)-カルボキシメチルイミダゾリウムエトキシサルフェート、1-シアノエチル-2-n-ウンデシル-3-カルボキシメチルイミダゾリウムクロライド、1-シアノエチル-2-n-ウンデシル-3-カルボキシメチルイミダゾリウムブロマイド、1-シアノエチル-2-n-ウンデシル-3-カルボキシメチルイミダゾリウムアイオダイド、1-シアノエチル-2-n-ウンデシル-3-カルボキシメチルイミダゾリウムフルオライド、1-シアノエチル-2-n-ウンデシル-3-カルボキシメチルイミダゾリウムエトキシサルフェート、1-シアノエチル-2-n-ウンデシル-3-カルボキシメチルイミダゾリウムクロライドなどを挙げることができる。なお、列挙した化合物中に示した括弧書きは、アルキル基を構成する炭素数を示す。これらのイミダゾリン化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。
【0038】
また本発明の腐食抑制剤は、他の腐食抑制剤と併用して用いてもよい。併用できる他の腐食抑制剤としては、たとえばトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンテトラミン、2-プロピン-1-オール、1-へキシン-3-オール、4-エチル-1-オクチン-3-オール、1-ブチンジオール、3-メチル-1-ペンチn−3-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、2,5-ジメチル-3-へキシン-2,5-ジオール、チオ尿素、チオセミカルバジド、フェニルチオ尿素、トリルチオ尿素、N-メチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、メチルイソチオ尿素、ベンジルイソチオ尿素、ジイソプロピルチオ尿素、エチレンチオ尿素、メルカプトベンゾチアゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、3-(2-ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、(2-ベンゾチアジルチオ)酢酸、2-メルカプトイミダゾリンエチレンチオ尿素、イソブチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、メルカプトベンゾチアジルスルフィド、ジベンジルスルフォキシド、2-ウンデシルグリオキリジウムエチルサルフェート、アルキルピリジニウムクロライド、アルキルピコリニウムクロライド、アルキルピリジニウムブロマイド、アルキルピコリニウムブロマイド、アルキルピリジニウムアイオダイド、アルキルピコリニウムアイオダイド、N-(p-クロロベンジル)-ピリジニウムクロライド、N-(p-クロロベンジル)ピロリニウムクロライド、ラウリルキノリニウムクロライド、アルキルイソキノリニウムクロライド、アルキルイソキノリニウムブロマイド、ベンジルピリジニウムクロライド、N-ヒドロキシエチル-ピコリニウムクロライド、N-ヒドロキシエチル-ピリジニウムクロライド、N-(p-ラウリルベンジル)-ピリジニウムクロライド、N-(p-ラウリルベンジル)-ピコリニウムクロライド、N-カルボキシメチルピリジニウムクロライド、N-カルボキシメチルピコリニウムクロライド、N-カーバモイルエチル-ピリジニウムクロライド、N-カーバモイルピコリニウムクロライド、N-ヒドロキシエトキシエチル-ピリジニウムクロライド、N-ヒドロキシエトキシエチル-ピコリニウムクロライド、N-アリル-ピリジニウムクロライド、N-アリルーピコリニウムクロライド、ドデシルベンジル-4-ピコリニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、N-ベンジル(3,5-ルチジニウム)クロライド、N-ラウリル(3,5-ルチジニウム)クロライド、ポリアミン化合物(例えば、PASおよびポリアリルアミン(ともに日東紡績(株)製)、ガスカミン328(三菱ガス化学(株)製)、ケミスタット6300Hおよびケミスタット7300(ともに三洋化成(株)製)、アニリックス(三井化学(株)製))などが挙げられるが、本具体例に限定されるものではない。
【0039】
キノリン系化合物の具体的な例としては、3−ブロモキノリン、2−ヒドロキシキノリン、6−クロロ−2−メチルキノリン、7−クロロ−2−メチルキノリン、8−クロロ−2−メチルキノリン、2−クロロメチルキノリン、2−メチル−8−ヒドロキシキノリン、2−ヒドロキシキノリン、6−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン、6−メトキシ−2−メチルキノリン、2−メチルキノリン、4−メチルキノリン、5−ニトロキノリン、8−ニトロキノリン、2−キノリンカルボン酸、4−キノリンアルデヒド、4−キノリンカルボン酸、8−キノリンカルボン酸、8−キノリンスルホニルクロライド、アルキル(C12)イソキノリニウムブロマイド、アルキル(C12)キノリニウムクロライド、5−アミノイソキノリン、5−ヒドロキシイソキノリン、1−イソキノリンカルボン酸、5−イソキノリンスルホン酸を挙げることができる。このようなキノリン系化合物は1種および2種以上を混合して用いてもよい。
【0040】
チオカルボニル化合物の具体的な例としては、チオ尿素,チオセミカルバジド,フェニルチオ尿素,トリルチオ尿素,N−メチルチオ尿素,ジメチルチオ尿素,ジエチルチオ尿素,ジブチルチオ尿素,テトラメチルチオ尿素,メチルイソチオ尿素,ベンジルイソチオ尿素,ジフェニールチオ尿素、ジイソプロピルチオ尿素,エチレンチオ尿素を挙げることができる。このようなチオカルボニル化合物は1種および2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
チアゾール化合物の具体的な例としては、メルカプトベンゾチアゾール,2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール,2−メルカプトベンゾチアゾール,2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール,3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸,(2−ベンゾチアジルチオ)酢酸を挙げることができる。このようなチアゾール化合物は1種および2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
メルカプト化合物の具体的な例としては、イソブチルメルカプタン,ブチルメルカプタン,オクチルメルカプタン,2−メルカプトイミダゾリンを挙げることができる。このようなメルカプト化合物は1種および2種以上を混合して用いてもよい。
【0043】
スルフィド化合物の具体的な例としては、メルカプトベンゾチアジルスルフィド,テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドを挙げることができる。このようなスルフィド化合物は1種および2種以上を混合して用いてもよい。
【0044】
カルバミン酸塩の具体的な例としては、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウムを挙げることができる。このようなスルフィド化合物は1種および2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
また前記表面処理剤には、必要に応じて防錆剤、消泡剤、界面活性剤などの他の添加剤を配合してもよい。
【0046】
本発明の実施形態による亜鉛系めっき鋼板の表面処理において、被膜の付着量は、0.05〜10g/m2が好ましい。付着量が0.05g/m2未満であると十分な耐食性が得られず、付着量が10g/m2を超えると、耐食性の向上が飽和する上、被膜の密着性が低下することがあるためである。
【0047】
本発明に適用する亜鉛系めっき鋼板は、特に限定されないが、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛―ニッケル合金めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛―アルミ合金めっき鋼板、溶融亜鉛−鉄めっき合金鋼板などを挙げることができる。
【0048】
本発明の実施の一形態による亜鉛系めっき鋼板の表面処理方法は、前記多価金属リン酸塩化合物、キレート剤、腐食抑制剤および必要に応じて使用される他の添加剤を配合した表面処理液を、亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布して、50℃〜200℃の温度で焼付処理して皮膜を形成して行う。
【0049】
表面処理液の塗布方法としては、特に限定されず、工業的に一般に用いられるロールコーター法、スプレー塗装などの種々の方法が適用できる。
【0050】
処理液の焼付も通常実施される熱風式、赤外式、誘導加熱式等の方法によって達せられる。焼付け温度は、50℃〜200℃の範囲で行うことができる。焼付け温度が50℃未満では、焼付けが不十分となり、被膜形成ができず、十分な耐食性が得ることができないことがある。200℃を超えると、被膜の耐食性の向上が得られないためである。
【0051】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、%は全て重量%を表す。
【0052】
(実施例1)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸アルミニウム15%、キレート剤として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸15%および腐食抑制剤として1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−ステアリルイミダゾリウムエトサルフェート6%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、50℃で焼付け、付着量が5g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0053】
(実施例2)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸アルミニウム15%、キレート剤として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸15%および腐食抑制剤として1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−ステアリルイミダゾリウムエトサルフェート15%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、50℃で焼付け、付着量が5g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0054】
(実施例3)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸アルミニウム15%、キレート剤として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸15%、腐食抑制剤として1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−ステアリルイミダゾリウムエトサルフェート2%および他の腐食抑制剤としてアルキルイソキノリニウムブロマイド0.1%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、80℃で焼付け、付着量が0.5g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0055】
(実施例4)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸アルミニウム15%、キレート剤として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸15%、腐食抑制剤として1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−ステアリルイミダゾリウムエトサルフェート2%および他の添加剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル0.1%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、80℃で焼付け、付着量が0.5g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0056】
(実施例5)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸アルミニウム15%、キレート剤として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸15%および腐食抑制剤として2−ウンデシル−1−ヒドロキシエチル−1−ベンジルイミダゾリウム2%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、100℃で焼付け、付着量が0.05g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0057】
(実施例6)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸アルミニウム20%、キレート剤として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸2%および腐食抑制剤として2−ウンデシル−1−ヒドロキシエチル−1−ベンジルイミダゾリウム0.02%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、100℃で焼付け、付着量が1g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0058】
(実施例7)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸アルミニウム20%、キレート剤としてクエン酸15%および腐食抑制剤として1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−ステアリルイミダゾリウムエトサルフェート2%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、150℃で焼付け、付着量が1g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0059】
(実施例8)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸アルミニウム20%、キレート剤としてクエン酸15%および腐食抑制剤として1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−ステアリルイミダゾリウムエトサルフェート10%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、150℃で焼付け、付着量が1g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0060】
(実施例9)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸マグネシウム1%、キレート剤として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸5%および腐食抑制剤として1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−ステアリルイミダゾリウムエトサルフェート2%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、200℃で焼付け、付着量が5g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0061】
(実施例10)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸マグネシウム50%、キレート剤として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸15%および腐食抑制剤として1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−ステアリルイミダゾリウムエトサルフェート2%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、200℃で焼付け、付着量が10g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0062】
(比較例1)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸アルミニウム20%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、100℃で焼付け、付着量が1g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0063】
(比較例2)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸アルミニウム20%およびキレート剤として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸15%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、100℃で焼付け、付着量が1g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0064】
(比較例3)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物として第一リン酸アルミニウム20%および腐食抑制剤として1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−ステアリルイミダゾリウムエトサルフェート2%となるように配合した水溶液をスピンコーターで塗布し、100℃で焼付け、付着量が1g/m2になるように被膜を形成し、試験片を作製した。
【0065】
(試験例)
前述の実施例および比較例で得られた試験片を用いて試験を行い、耐食性の評価を行った。すなわち、得られた試験片をJIS Z−2371規格に準拠した塩水噴霧装置を用いて、塩水濃度5%、槽内温度35℃、噴霧圧力200PSIの条件で試験を行い、72時間後の表面に発生した白錆の面積率を測定した。評価は次の5段階にて行った。
【0066】
◎ 白錆面積率0%
○ 白錆面積率5%未満
△ 白錆面積率10%未満
× 白錆面積率50%未満
×× 白錆面積率50%以上
耐食性試験の結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
表1より、水溶性の多価金属リン酸塩化合物と、キレート剤と、腐食抑制剤とを含有する表面処理剤を使って亜鉛系めっき鋼板の表面処理を行った場合(実施例1〜10)は、いずれも白錆面積率が5%未満であり、優れた耐食性を有することが判った。特に、他の腐食抑制剤としてアルキルイソキノリニウムブロマイドを併用した場合(実施例3)および他の添加剤として、濡れ性改良のための界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加した場合(実施例4)は、80℃という低い温度で焼付けを行ったにもかかわらず、白錆は全く認められず、非常高い耐食性を有する被膜が得られた。
【0069】
これに対し、表面処理剤として水溶性の多価金属リン酸塩化合物のみを使用した場合(比較例1)は、白錆面積率は50%以上であった。また、水溶性の多価金属リン酸塩化合物とキレート剤のみを使用し、腐食抑制剤を使用しなかった場合(比較例2)および、水溶性の多価金属リン酸塩化合物と腐食抑制剤のみを使用し、キレート剤を使用しなかった場合(比較例3)は、いずれも白錆面積率は5%〜10%であり、耐食性が劣ることが判った。
【0070】
本件発明者の実験結果をさらに述べる。
(実施例11〜25)
電気亜鉛めっき鋼板(目付け量20g/m2)に、多価金属リン酸塩化合物、キレート剤、腐食抑制剤を所定量溶解させた処理液をスピンコーターで塗布して、種々の温度にて焼付けて、付着量が400mg/m2になるように被膜を形成させて試験片を作成した。被膜の組成比は処理液の各成分の固形分濃度により求めた。また、被膜のトータル付着量は重量法により求めた。
【0071】
(比較例4〜8)
多価金属リン酸塩化合物、キレート剤、腐食抑制剤の各成分の内、いずれかの成分がない被膜組成、および各成分の含有量が多い被膜組成の試験片を実施例11〜25と同じ方法で作成した。
【0072】
【表2】
【0073】
(試験例)
実施例11〜25での耐食性の調査方法および評価は、JIS Z−2371規格に準拠した塩水噴霧装置で塩水濃度5%、槽内温度35℃、噴霧圧力200PSIの条件で試験を行い、24時間および72時間後の表面に発生した白錆の面積率を測定した。評価は次の3段階にて行った。
◎ 72時間試験後、白錆面積率5%未満
○ 24時間試験後、白錆面積率5%未満
× 24時間試験後、白錆面積率5%以上
【0074】
作成した試験片の塩水噴霧試験の評価結果を表3に示す。被膜組成は多価金属リン酸塩化合物の固形分濃度100重量部に対して、キレート剤および腐食抑制剤の含有割合の重量部で示す。
【0075】
比較例4〜8での耐食性の調査方法および評価は、前述の実施例11〜25と同じ方法によった。その評価結果を、表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、前記表面処理剤は、クロム化合物などの有害物を含まない上に、亜鉛系めっき鋼板の耐食性を著しく向上させることができる。さらに50℃〜200℃の低い温度で焼付けを行っても、優れた耐食性を有する被膜を形成することができる。したがって本発明の表面処理剤は、従来の有害で環境汚染の問題があるクロメート処理に代わる処理剤として用いることができる。
Claims (12)
- 水溶性の多価金属リン酸塩化合物と、キレート剤と、腐蝕抑制剤を含み、
前記水溶性の多価金属リン酸塩化合物が、第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムのグループから選ばれた1種または2種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤。 - 水溶性の多価金属リン酸塩化合物と、キレート剤と、腐蝕抑制剤を含み、
前記キレート剤が、ホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤。 - 水溶性の多価金属リン酸塩化合物と、キレート剤と、腐蝕抑制剤を含み、
前記腐蝕抑制剤が、イミダゾリン系化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物、キノリン系化合物、チオカルボニル化合物、チアゾール化合物、メルカプト化合物、スルフィド化合物またはチオカルバミン酸塩のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤。 - 固形分として水溶性の多価金属リン酸塩化合物100重量部に対し、キレート剤10〜150重量部と腐食抑制剤0.1〜100重量部を含み、
前記水溶性の多価金属リン酸塩化合物が、第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムのグループから選ばれた1種または2種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤。 - 固形分として水溶性の多価金属リン酸塩化合物100重量部に対し、キレート剤10〜150重量部と腐食抑制剤0.1〜100重量部を含み、
前記キレート剤が、ホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤。 - 固形分として水溶性の多価金属リン酸塩化合物100重量部に対し、キレート剤10〜150重量部と腐食抑制剤0.1〜100重量部を含み、
前記腐蝕抑制剤が、イミダゾリン系化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物、キノリン系化合物、チオカルボニル化合物、チアゾール化合物、メルカプト化合物、スルフィド化合物またはチオカルバミン酸塩のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤。 - 前記水溶性の多価金属リン酸塩化合物が、第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムのグループから選ばれた1種または2種の混合物であることを特徴とする請求項2,3,5,6のうちの1つに2記載の亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤。
- 前記キレート剤が、ホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする請求項3または6記載の亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤。
- 水溶性の多価金属リン酸塩化合物と、キレート剤と、腐蝕抑制剤を含み、
前記水溶性の多価金属リン酸塩化合物が、第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムのグループから選ばれた1種または2種の混合物であり、
前記キレート剤が、ホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であり、
前記腐蝕抑制剤が、イミダゾリン系化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物、キノリン系化合物、チオカルボニル化合物、チアゾール化合物,メルカプト化合物、スルフィド化合物またはチオカルバミン酸塩のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤。 - 固形分として水溶性の多価金属リン酸塩化合物100重量部に対し、キレート剤10〜150重量部と腐食抑制剤0.1〜100重量部を含み、
前記水溶性の多価金属リン酸塩化合物が、第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムのグループから選ばれた1種または2種の混合物であり、
前記キレート剤が、ホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であり、
前記腐蝕抑制剤が、イミダゾリン系化合物を4級化剤によって4級化して得られるイミダゾリウム化合物、キノリン系化合物、チオカルボニル化合物、チアゾール化合物、メルカプト化合物、スルフィド化合物またはチオカルバミン酸塩のグループから選ばれた1種または複数種の混合物であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤。 - 請求項1〜10のいずれか1つに記載の表面処理剤によって表面処理された被膜を有することを特徴とする亜鉛系めっき鋼板。
- 請求項1〜10のいずれか1つに記載の表面処理剤を亜鉛系めっき鋼板の少なくとも一方の表面に塗布後、50℃以上200℃以下の温度で焼き付けることにより亜鉛系めっき鋼板表面に被膜を形成させることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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