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JP3542460B2 - 液体吐出方法及び液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出方法及び液体吐出装置 Download PDF

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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギー等による気泡の発生によって、所望の液体を吐出する液体吐出方法及び液体吐出装置に関し、特に、気泡の発生を利用して変位する可動分離膜を用いる液体吐出方法及び液体吐出装置に関する。
【0002】
なお、本発明における「記録」とは、文字や図形等のように意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等のように意味を持たない画像を付与することをも意味するものである。
【0003】
【従来の技術】
熱等のエネルギーをインクに与えることで、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録方法が従来から知られている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置には、特公昭61−59911号公報や特公昭61−59914号公報に開示されているように、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出するためのエネルギー発生手段としての発熱体(電気熱変換体)とが一般的に設けられている。
【0004】
上記のような記録方法によれば、品位の高い画像を高速、低騒音で記録することができるとともに、この記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出口を高密度に配置することができるため、小型の装置で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得ることができる等の多くの優れた点を有している。このため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンター、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムにまで利用されるようになってきている。
【0005】
他方、従来のバブルジェット記録方法においては、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すため、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生する場合があった。また、吐出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や十分に発泡が得られにくい液体の場合においては、前述の発熱体による直接加熱気泡形成では、良好な吐出が行われない場合もある。
【0006】
これに対して、本願出願人は、特開昭55−81172号公報に、発泡液と吐出液とを分離する可撓性膜を介して、発泡液を熱エネルギーによって発泡させて吐出液を吐出する方法を提案している。この方法における可撓性膜と発泡液との構成は可撓性膜がノズルの一部に設けられているものであるが、それに対して、ヘッド全体を上下に分離する大きな膜を用いる構成が特開昭59−26270号公報に開示されている。この大きな膜は、液路を形成する2つの板材によって挟持されることによって2つの液路内の液体が互いに混合されないことを目的として設けられたものである。
【0007】
他方、発泡液自体に特徴を持たせ、発泡特性を考慮したものとして、吐出液よりも低沸点の液体を用いる特開平5−229122号公報に開示されているものや、導電性を有する液体を発泡液として用いる特開平4−329148号公報に開示されているものがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の分離膜を用いた液体吐出方式は、発泡液と吐出液とを分離するだけの構成、あるいは、発泡液自体の改良を行うだけのものであり、実用的な水準ではない。
【0009】
本発明者達は、分離膜を用いた液滴吐出について吐出液滴を中心に検討したところ、熱エネルギーによる気泡形成がもたらす液体吐出は、分離膜の変化を介在しているために効率が下がってしまい、結果的に実用化されていないという結論に至った。
【0010】
そこで、本発明者達は、分離膜の分離機能による効果を生かしながら、液体吐出をより高い水準にできる液体吐出方法及び装置を研究することに至った。
【0011】
本発明は、この研究の中で生まれたもので、液滴吐出のために吐出効率を向上させることができ、吐出液滴の体積、あるいは、吐出速度を安定及び高める画期的な液体吐出方法及び装置を提供するものである。
【0012】
本発明は、吐出口に連通する吐出液用の第1液流路と、発泡液を供給あるいは移動可能に備えるとともに気泡発生領域を含む第2の液流路と、第1及び第2の液流路を分離する可動分離膜とを備えた液体吐出ヘッドを用いて第1の液流路における吐出液の流れ方向に関して吐出口よりも上流側に可動分離膜の変位領域を有する液体吐出方法及び装置において、吐出効率が向上できるものである。
【0013】
特に、本発明者達は、気泡発生領域となる空間を小空間とするような場合、すなわち、吐出口よりも吐出液の流れ方向に関して上流側に形成されているが、気泡発生領域自体が発熱部と同等の幅、長さしか持たず、気泡発生領域において気泡が発生した場合、可動性膜はその気泡の発生によって、吐出液の吐出方向に関して垂直方向のみに変位するため、十分な吐出速度を得ることができず、効率的な吐出動作を行うことができないという問題があることも解明した。この場合における原因が、閉鎖された小空間のみで、常に同じ発泡液が繰り返し使用されるという点にも着眼し、本発明は、効率的な吐出動作を実現させるものでもある。
【0014】
本発明の第1の目的は、可動性膜により吐出液と発泡液とを実質的に分離、より好ましくは完全に分離する構成において、発泡の圧力によって生じた力で可動性膜を変形させて吐出液に圧力を伝達する際に、圧力が上流側に逃げるのを防止するだけでなく、圧力を吐出口方向に導き、吐出効率を損なうことなく、高い吐出力を得ることができる液体吐出方法及び液体吐出装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の第2の目的は、上述した構成によって、発熱体上に堆積する堆積物の量を低減するとともに、吐出液に対して熱的影響を与えず効率良く液体を吐出することができる液体吐出方法及び液体吐出装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の第3の目的は、吐出液の粘度や材質組成にかかわらず、選択自由度が広い液体吐出方法及び液体吐出装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、
液体を吐出する吐出口に連通する第1の液流路と、発熱体が発生する熱により液体に気泡を発生させる気泡発生領域を具備する第2の液流路とを互いに常に実質的に分離する可動分離膜を、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で前記気泡を利用して変位せしめることにより前記吐出口から液体を吐出する液体吐出方法において、
前記可動分離膜の、前記発熱体と対向する領域の中央部から見て、液体の流れ方向に関して前記可動分離膜の下流側部分前記可動分離膜の上流側部分よりも相対的に前記吐出口側へ大きく変位させる工程を有することを特徴とする。
【0018】
ここで、前記工程が気泡の成長過程の途中以降になされた場合は、吐出量の一層の増大が図られ、また、前記工程が気泡の成長過程の実質的初期以降に継続してなされた場合は、吐出速度の一層の増大が図られる。
【0019】
また、前記工程において可動分離膜の変位を規制する方向規制手段によって、可動分離膜の変位を所望のもの、あるいは安定したものとすることができる。
【0020】
なお、上述した本発明の特徴の上記変位工程を具体的に実施するための構成としては、以下に説明する実施例の構成を挙げることができる。加えて、本発明の技術思想に包含される他の構成によって上記変位工程を達成できるものは、本発明に含まれるものである。
【0021】
さらに、可動分離膜の形状が予め決められていたり、たるみ部が設けられていれば、気泡の発生に伴って可動分離自体を伸長させる必要がなく、吐出効率が上がるとともに、可動分離膜自体で変位の規制が行われる。
【0022】
また、第2の液流路内での気泡の成長を規制することによって可動分離膜の変位が規制される場合は、気泡自体に直接作用し、気泡発生初期から可動分離膜の変位の規制が行われる。
【0023】
ここで、本発明装置の代表的な構成例を挙げておく。以下に言う「方向規制」は、可動分離膜自体の構成(例えば、弾性率の分布や変形伸長部と非変形部との組合せ等あるいは可動分離膜に作用する付加部材または第1の液流路の構造によるもの等の他、これらの組合せの全てを含むものである。本発明の代表的な構成は、液体を吐出する吐出口に連通する第1の液流路と、
液体に気泡を発生させる気泡発生領域を具備する第2の液流路と、
前記第1の液流路と前記第2の液流路とを互いに常に実質的に分離する可動分離膜とを少なくとも有してなる液体吐出装置において、
前記可動分離膜を、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位せしめるとともに、液体の流れ方向に関して前記可動分離膜の下流側部分が前記可動分離膜の上流側部分よりも相対的に前記吐出口側へ大きく変位せしめる方向規制手段を有することを特徴とする。
【0024】
(作用)
上記のように構成された本発明においては、気泡発生領域における気泡の発生及び成長に伴って、気泡発生領域上に設けられた可動分離膜が、第1の液流路側に変位するが、その際、可動分離膜の下流側部分が、該可動分離膜の上流側部分よりも大きく第1の液流路側に変位するので、気泡の発生による圧力が第1の液流路の吐出口側に導かれる。それにより、第1の液流路内の液体が気泡の発生によって吐出口から効率良く吐出される。
【0025】
また、可動分離膜の変形領域にたるみ部を設けた場合、気泡の発生及び成長にによりたるみ部が曲線状に変位するから気泡の体積がより有効に可動分離膜の変形に作用するので、さらに効率よく液体が吐出される。
【0026】
また、可動分離膜の第1の液流路側に、気泡発生領域と面する部分の上流側端部よりも下流側に自由端、該自由端よりも上流側に支点をそれぞれ具備し、可動分離膜に隣接して配された可動部材を設けた場合は、気泡が消泡する際における可動分離膜の第2の液流路への変位が抑制されるので、上流側への液の移動が抑制され、リフィル特性の向上やクロストークの低減が図られる。
【0027】
また、第2の液流路の形状を、気泡発生領域において発生する気泡による圧力が吐出口側へ導かれやすい形状とした場合も、第1の液流路内の液体が気泡の発生によって吐出口から効率良く吐出される。
【0028】
また、第1の液流路の形状を、上流側における高さが下流側における高さよりも低くなるような形状とした場合、可動分離膜の下流側部分が、該可動分離膜の上流側部分よりも大きく第1の液流路側に変位するので、気泡の発生による圧力が第1の液流路の吐出口側に導かれ、それにより、第1の液流路内の液体が気泡の発生によって吐出口から効率良く吐出される。
【0029】
また、可動分離膜を、下流側の厚さが上流側の厚さよりも薄くなるように形成した場合は、気泡発生領域における気泡の成長に対して可動分離膜が吐出口方向に変形しやすくなるので、第1の液流路内の液体が吐出口から効率良く吐出される。
【0030】
また、非発泡時に第2の液流路側に突出し、発泡時に第1の液流路側に突出する凸形状部を可動分離膜に設けた場合は、気泡発生領域における気泡発生による圧力が凸形状部によって第1の液流路の吐出口側に導かれ、それにより、第1の液流路内の液体が気泡の発生によって吐出口から効率良く吐出される。さらに、凸形状部の内部容積を、気泡発生領域において発生する気泡の最大膨張体積よりも小さくすれば、液体の吐出特性による気泡の膨張体積がばらついた場合においても、凸形状部の変位量が一定となるので、ノズル毎にばらつきのない良好な吐出が行われる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例について説明するが、その前に本発明の基礎となる吐出の基本概念について2つの実施の形態を挙げて説明する。
【0032】
図1乃至図3は、本発明の液体吐出方法の実施例を説明するものための図であり、吐出口は、第1の液流路の端部域に配されており、吐出口の上流側(第1の液流路における吐出液の流れ方向に関して)に、発生した気泡の成長にしたがって変位する変位可能な可動分離膜の変位領域が存在している。また、第2の液流路は、発泡液を収納し、あるいは、発泡液で充填され(好ましくは、補充可能、より好ましくは、発泡液の移動可能)ており、気泡の発生領域を備えている。
【0033】
本例では、この気泡発生領域も、上述した吐出液の流れ方向に関して吐出口側よりも上流域に対応して位置する。加えて、分離膜は、気泡発生領域を形成する電気熱変換体よりも長く、可動領域として有するが、上記流れ方向に関して、電気熱変換体の上流側端部と第1の液流路の共通液室との間、好ましくは、該上流側端部に不図示の固定部を有している。したがって、分離膜の実質的な可動範囲は、図1〜図3で理解される。
【0034】
これらの図における可動分離膜の状態は、可動分離膜自体の弾性、厚さ、あるいは他の付加的構造から得られるもの全てを代表する要素である。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の液体吐出方法の第1の実施の形態(吐出工程の途中から本発明の変位工程を有する場合)を説明するための流路方向の断面図である。
【0035】
本形態は図1に示すように、吐出口1に直接連通した第1の液流路3内に、第1の共通液室143から供給される第1の液体が満たされており、また、気泡発生領域7を有する第2の液流路4に、発熱体2によって熱エネルギーを与えられることにより発泡する発泡用の液体が満たされている。なお、第1の液流路3と第2の液流路4との間には、第1の液流路3と第2の液流路4とを互いに分離する可動分離膜5が設けられている。また、可動分離膜5とオリフスプレート9とは互いに密着固定され、ここでもそれぞれの液流路内の液体が混ざり合うことはない。
【0036】
ここで、可動分離膜5は、通常、気泡発生領域7において発生する気泡によって変位する際、方向性を持たないか、むしろ、変位自由度の高い共通液室側へ変位が進行する場合がある。
【0037】
本発明においては、この可動分離膜5の動きに着眼したものであって、可動分離膜5自体に直接的あるいは間接的に作用する変位の方向を規制する手段を設け、それにより、可動分離膜5の気泡によって生じる変位(移動、膨張または伸長等)を吐出口方向に向けるようにした。
【0038】
図1(a)に示す初期状態においては、第1の液流路3内の液体が毛細管力によって吐出口1近傍まで引き込まれている。なお、本形態においては、吐出口1が発熱体2の第1の液流路3への投影領域に対し、第1の液流路3の液体流れ方向に関して下流側に位置している。
【0039】
この状態において、発熱体2(本形態においては、40μm×105μmの形状を有する発熱抵抗体)に熱エネルギーが与えられると、発熱体2が急速に加熱され、気泡発生領域7の第2の液体に接触する表面は第2の液体を加熱発泡させる(図1(b))。この加熱発泡により生じる気泡6は、米国特許第4,723,129号に記載されているような膜沸騰現象に基づく気泡であり、発熱体表面全域に一斉にきわめて高い圧力を伴って発生するものである。このときに発生する圧力は、圧力波となって第2の液流路4内の第2の液体を伝搬し、可動分離膜5に作用して、それにより、可動分離膜5が変位して、第1の液流路3内の第2の液体の吐出が開始される。
【0040】
発熱体2の表面全体に発生した気泡6が急速に成長していくと、膜状となる(図1(c))。発生初期のきわめて高い圧力による気泡6の膨張は、可動分離膜5をさらに変位せしめ、それにより、吐出口1からの第1の液流路3内の第1の液体の吐出が進む。
【0041】
その後、さらに気泡6が成長すると、可動分離膜5の変位が大きくなる(図1(d))。なお、図1(d)に示す状態までは、可動分離膜5は、可動分離膜5の発熱体2に対向する領域の中央部5Cに対してその上流側部5Aの変位と下流側部5Bの変位とがほぼ等しくなるように伸長し続けている。
【0042】
その後、さらに気泡6が成長すると、気泡6及び変位を続ける可動分離膜5が、それぞれ上流側部5Aよりも下流側部5Bが相対的に大きく吐出口方向に変位し、それにより、第1の液流路3内の第1の液体が、吐出口1方向に直接的に移動せしめられる(図1(e))。
【0043】
このように、液体を吐出口方向へ直接移動させるように可動分離膜5が下流側の吐出方向へ変位する工程を有することにより、より吐出効率が向上する。さらに、相対的に上流側への液体の移動が少なくなり、ノズル内、特に、可動分離膜5の変位領域への液体のリフィル(上流側からの補充)に有効に作用することになる。
【0044】
また、図1(d),図1(e)に示すように、可動分離膜5自体も図1(d)から図1(e)に変化するように吐出口方向へ変位する場合、上述した吐出効率及びリフィル効率をさらに向上させることができるとともに、第1の液流路3内の発熱体2の投影領域の第1の液体を吐出口方向へ輸送移動を生じさせ、吐出量の向上を図ることができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の液体吐出方法の第2の実施の形態(初期段階から本発明の変位工程を有する例)を説明するための流路方向の断面図である。
【0046】
本形態も上述した第1の実施の形態と基本的に同様な構成で、図2に示すように、吐出口11に直接連通した第1の液流路13内に、第1の共通液室143から供給される第1の液体が満たされており、また、気泡発生領域17を有する第2の液流路14に、発熱体12によって熱エネルギーを与えられることにより発泡する発泡用の液体が満たされている。なお、第1の液流路13と第2の液流路14との間には、第1の液流路13と第2の液流路14とを互いに分離する可動分離膜15が設けられている。また、可動分離膜15とオリフスプレート19とは互いに密着固定され、ここでもそれぞれの液流路内の液体が混ざり合うことはない。
【0047】
図2(a)に示す初期状態においては、図1(a)と同様に、第1の液流路13内の液体が毛細管力によって吐出口11近傍まで引き込まれている。なお、本形態においては、吐出口11が発熱体12の第1の液流路13への投影領域に対し、下流側に位置している。
【0048】
この状態において、発熱体12(本形態においては、40μm×115μmの形状を有する発熱抵抗体)に熱エネルギーが与えられると、発熱体12が急速に加熱され、気泡発生領域17の第2の液体に接触する表面は第2の液体を加熱発泡させる(図2(b))。この加熱発泡により生じる気泡16は、米国特許第4,723,129号に記載されているような膜沸騰現象に基づく気泡であり、発熱体表面全域に一斉にきわめて高い圧力を伴って発生するものである。このときに発生する圧力は、圧力波となって第2の液流路14内の第2の液体を伝搬し、可動分離膜15に作用して、それにより、可動分離膜15が変位して、第1の液流路13内の第2の液体の吐出が開始される。
【0049】
発熱体12の表面全体に発生した気泡16が急速に成長していくと、膜状となる(図2(c))。発生初期のきわめて高い圧力による気泡16の膨張は、可動分離膜15をさらに変位せしめ、それにより、吐出口1からの第1の液流路13内の第1の液体の吐出が進む。このとき、図2(c)に示すように、可動分離膜15は、初期の段階から可動領域のうち、上流側部15Aよりも下流側部15Bの変位が相対的に大きく変位している。それにより、第1の液流路13内の第1の液体が吐出口11へ初期から効率良く移動せしめられる。
【0050】
その後、さらに気泡16が成長すると、図2(c)の状態に対して可動分離膜15の変位及び気泡の成長が促進されるため、それに伴って可動分離膜15の変位も大きくなる(図2(d))。特に、可動領域の下流側部15Bが上流側部15A及び中央部15Cよりもさらに大きく吐出口方向に変位することにより、第1の液流路13内の第1の液体が吐出口方向に直接的に加速して移動するとともに、上流側部15Aの変位が全工程中で少ないため、上流方向への液移動が少なくなる。
【0051】
したがって、吐出効率、とりわけ吐出速度を向上させることができるとともに、ノズルの液体のリフィル及び吐出液滴の体積の安定化にも有利となる。
【0052】
その後、さらに気泡16が成長すると、可動分離膜15の下流側部15B及び中央部15Cがさらに吐出口方向に変位、伸長し、上述した効果、すなわち、吐出効率及び吐出速度の向上が図られる(図2(e))。特に、この場合の可動分離膜15の形状においては、断面形状から示されるものだけではなく、液流路の幅方向の変位、伸長も大きくなるため、第1の液流路13内の第1の液体を吐出口方向に移動させる作用領域が大きくなり、相乗的に吐出効率が向上する。特に、このときの可動分離膜15の変位形状を人間の鼻の形状に類似していることから鼻形状と称する。なお、この鼻形状においては、図2(e)に示すように、初期状態において上流側に位置していたB点が初期状態において下流側に位置していたA点よりも下流側に位置するような「S」字形状や図1(c)のようにこれらのA,B点が同等の位置にあるような形状を含むものとする。
【0053】
(可動分離膜の変位の形態)
図3は、本発明の液体吐出方法における可動分離膜の変位工程を説明するための流路方向の断面図である。
【0054】
なお、本形態においては、特に、可動分離膜の可動範囲及び変位の変化に着目して説明を行うため、気泡や第1の液流路や吐出口の図示は省略するが、いずれの図も基本的な構成として、第2の液流路24のうち、発熱体22の投影領域近辺が気泡発生領域27であり、第2の液流路24と第1の液流路23とは可動分離膜25によって、常時、すなわち初期から変位期間にわたって実質的に分離されている。また、発熱体22の下流側端部(図中H線)を境に下流側に吐出口、上流側に第1の液体の供給部が設けられている。なお、本形態以降における「上流側」、「下流側」は、可動分離膜の可動範囲の中央部から見て、流路の液体流れ方向に関しての意味である。
【0055】
図3(a)に示すものにおいては、可動分離膜25が、初期状態から図中▲1▼、▲2▼、▲3▼の順で変位していき、上流側よりも下流側の方が大きく変位する工程を初期から有しており、特に、吐出効率を高めるとともに下流側の変位が第1の液流路23内の第1の液体を吐出口方向へ押し出すような移動を生じさせる作用があるため、吐出速度の向上を図ることができる。なお、図3(a)では、上記可動範囲は実質一定とした。
【0056】
図3(b)に示すものにおいては、可動分離膜25が、図中▲1▼、▲2▼、▲3▼の順で変位していくに従って、可動分離膜25の可動範囲が吐出口側へ移動または拡大している。この形態において、上記可動範囲はその上流側が固定されている。ここで、可動分離膜25の下流側が上流側よりも大きく変位していくとともに、気泡の成長自体をも吐出口方向に成長させることができるため、吐出効率をより一層高めることができる。
【0057】
図3(c)に示すものにおいては、可動分離膜25が、初期状態▲1▼から図中▲2▼に示す状態までは上流側と下流側とが均等または上流側の方がやや大きく変位するが、図中▲3▼から▲4▼に示すようにさらに気泡が成長すると、下流側の方が上流側よりも大きく変位する。それにより、可動領域上部の第1の液体をも吐出口方向へ移動させることができ、吐出効率を向上させることができるとともに、吐出量を増大させることができる。
【0058】
さらに、図3(c)中▲4▼に示す工程においては、可動分離膜25のある点Uが、初期状態においてそれによりも下流に位置していた点Dよりも吐出口側に変位するため、この膨張して吐出口側に突き出した部分によってより一層吐出効率が向上する。なお、この形状を、前述したように鼻形状と称する。
【0059】
以上説明したような工程を有する液体吐出方法が本発明に含まれるが、図3に示したものはそれぞれ必ずしも独立したものではなく、それぞれの成分をを有する工程も本発明に含まれるものとする。また、鼻形状を有する工程も、図3(c)に示したものだけでなく、図3(a),(b)に示したものにも導入可能である。また、図3において用いた可動分離膜においては、伸縮性を有するか否かは問わず、予めたるみを持たせたものでもよい。また、図面上の可動分離膜の厚さは特に寸法上の意味はない。
【0060】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0061】
なお、本明細書中の「方向規制手段」は、可動分離膜自体の構成もしくは特徴によるもの、気泡発生手段の可動分離膜に対する作用もしくは配置関係、気泡発生領域周囲の流体抵抗関係、可動分離膜に直接あるいは間接的に作用する部材、または、可動分離膜の変位もしくは伸長を規制する部材(手段)のいずれか少なくとも1つを対象とするもので、本願が規定する「変位」をもたらすもの全てを含むものである。したがって、本願発明には、上記方向規制手段の複数(2つ以上)を含む実施形態は当然含まれる。ただし、以下に記載する実施例としては、複数の方向規制手段を任意に組み合せたものは明記していないが、本発明は、以下の実施例に限られることはない。
【0062】
(実施例1)
図4は、本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第1の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図、(c)は消泡時の状態を示す図である。
【0063】
図4(a)に示すように本実施例においては、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体102(本実施例においては、40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が設けられた基板110上に、発泡液用の第2の液流路104が設けられ、その上に吐出口101に直接連通した吐出液用の第1の液流路103が設けられている。また、第1の液流路103と第2の液流路104との間に、弾性を有する薄膜で形成された可動分離膜105が設けられており、可動分離膜105によって第1の液流路103内の吐出液と第2の液流路104内の発泡液とが区分されている。なお、可動分離膜105においては、発熱体102に対向して配され、発熱体102における発熱によって気泡が発生する気泡発生領域107の少なくとも一部に対面している。さらに、可動分離膜105の第1の液流路103側には、気泡発生領域107上に自由端131a、自由端131aよりも上流側に支点131bをそれぞれ有し、可動分離膜105に隣接して配された方向規制手段としての可動部材131が設けられている。
【0064】
なお、可動部材131の自由端131aにおいては、気泡発生領域107に面する部分に設けられていなくても、支点131bに対して下流側に設けられ、可動分離膜105の伸長を吐出口101方向に導くものであればよいが、さらに好ましくは発熱体102の少なくとも一部に可動分離膜105を介して対面させることで、可動分離膜105の変位を効率的に制御することができる。特に、発熱体102または気泡発生領域107の面積中心よりも下流側に可動部材131をその自由端131aが位置するように可動分離膜105と対面させる位置にすることで、可動部材131は発熱体102に対し垂直方向に膨張しようとする成分をより吐出口101方向に集中させることが可能となるため、吐出効率が飛躍的に向上する。また、自由端131aが気泡発生領域107よりも下流側に設けられている場合においても、自由端131aがより大きく変位して可動分離膜105を吐出口101方向においてより大きく変位させることで、吐出効率が向上する。
【0065】
いま、発熱体102において熱が発せられると、発熱体102上の気泡発生領域107に気泡106が発生し、それにより、可動分離膜105が第1の液流路103側に変位するが、ここで、可動分離膜105においては、可動部材131によってその変位が規制される。可動部材131においては、気泡発生領域107上に自由端131a、その上流に支点131bがそれぞれ設けられているため、可動分離膜105は、上流側よりも下流側の方が大きく変位するようになる(図4(b))。
【0066】
つまり、可動分離膜105が変位する方向を規制する方向規制手段によって所望の変形や変位を安定的に得ることができる。
【0067】
このように、気泡106の成長にともなって、可動分離膜105の下流側の部分が大きく変位し、それにより、気泡106の成長が主に吐出口101側に伝達され、第1の液流路103内の吐出液が吐出口101から効率良く吐出される。
【0068】
その後、気泡106が収縮すると可動分離膜105が変位前の位置に戻るが、その際、消泡の圧力によって可動分離膜105が変位前の位置よりも第2の液流路104側に変位してしまう。しかしながら、本実施例においては、可動分離膜105が可動部材131と一体化されているため、可動分離膜105の第2の液流路104側への変位が抑制される(図4(c))。
【0069】
そのため、第1の液流路103側の圧力の低下が抑えられ、それにより、メニスカスの後退が抑制され、リフィル特性が向上する。
【0070】
また、可動部材131により、上流側への液の移動が抑制され、リフィル特性の向上やクロストークの低減等の効果が得られる。
【0071】
以上述べたように、本実施例の構成によれば、吐出液と発泡液とを別液体とし、吐出液を吐出させることができる。このため、従来、熱を加えても発泡が十分に行われにくく吐出力が不十分であったポリエチレングリコール等の高粘度の液体であっても、この液体を第1の液流路103に供給し、発泡液に発泡が良好に行われる液体(エタノール:水=4:6の混合液1〜2cp程度等)を第2の液流路104に供給することで良好に吐出させることができる。
【0072】
また、発泡液として、熱を受けても発熱体の表面にコゲ等の堆積物を生じさせない液体を選択することにより、発泡を安定化させ、良好な吐出を行うことができる。
【0073】
さらに、本発明の液体吐出装置の構造においては上述した実施例において説明したような効果をも生じるため、さらに高吐出効率、高吐出力で高粘性液体等の液体を吐出することができる。
【0074】
また、加熱に弱い液体を用いた場合においても、この液体を第1の液流路103に吐出液として供給し、第2の液流路104に熱的に変質しにくく良好に発泡を生じさせる液体を供給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与えることなく、しかも上述したように高吐出効率、高吐出力で吐出させることができる。
【0075】
以下に、液体に熱を与えるための発熱体102が設けられた素子基板110の構成について説明する。
【0076】
図5は、本発明の液体吐出装置の一構成例を示す縦断面図であり、(a)は後述する保護膜がある装置を示す図、(b)は保護膜がない装置を示す図である。
【0077】
図5に示すように、素子基板110上に、第2の液流路104と、分離壁となる可動分離膜105と、可動部材131と、第1の液流路103と、第1の液流路103を構成する溝が設けられている溝付部材132とが設けられている。
【0078】
素子基板110には、シリコン等の基体110f上に、絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチッ化シリコン膜110eが成膜されており、その上に0.01〜0.2μm厚の発熱体を構成するハフニュウムボライド(HfB )、チッ化タンタル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵抗層110dと、0.2〜1.0μm厚のアルミニウム等の配線電極110cとがパターニングされている。この2つの配線電極110cから電気抵抗層110dに電圧を印加し、電気抵抗層110dに電流を流して発熱させる。配線電極110c間の電気抵抗層110d上には、酸化シリコンやチッ化シリコン等の保護層110bが0.1〜0.2μm厚で形成され、さらにその上に、0.1〜0.6μm厚のタンタル等の耐キャビテーション層110aが成膜されており、インク等各種の液体から電気抵抗層110dを保護している。
【0079】
特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)等が耐キャビテーション層110aとして用いられる。
【0080】
また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み合わせにより上述の保護層を必要としない構成でもよく、その例を図5(b)に示す。
【0081】
このような保護層を必要としない抵抗層の材料としては、イリジュウム=タンタル=アルミ合金等が挙げられる。特に、本発明において、発泡のための液体を吐出液と分離して発泡に適したものにできるため、このように保護層がない場合に有利である。
【0082】
このように、上述した実施例における発熱体102の構成としては、配線電極110c間の電気抵抗層110d(発熱部)だけででもよく、また電気抵抗層110dを保護する保護層を含むものでもよい。
【0083】
本実施例においては、発熱体102として、電気信号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有するものを用いたが、本発明は、これに限られることなく、吐出液を吐出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであればよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受けることで発熱するような光熱変換体や高周波を受けることで発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0084】
なお、前述の素子基板110には、発熱部を構成する電気抵抗層110dとこの電気抵抗層110dに電気信号を供給するための配線電極110cとで構成される電気熱変換体の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込まれていてもよい。
【0085】
また、上述したような素子基板110に設けられている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出するためには、電気抵抗層110dに配線電極110cを介して矩形パルスを印加し、配線電極110c間の電気抵抗層110dを急峻に発熱させればよい。
【0086】
図6は、図5に示した電気抵抗層110dに印加する電圧波形を示す図である。
【0087】
上述した実施例における液体吐出装置においては、それぞれ電圧24V、パルス幅7μsec、電流150mA、電気信号を6kHzで加えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作によって、吐出口から液体であるインクを吐出させた。しかしながら、本発明における駆動信号の条件はこれに限られることなく、発泡液を適正に発泡させることができる駆動信号であればよい。
【0088】
以下に、部品点数の削減を図りながらも、2つの共通液室を有し、各共通液室に異なる液体を良好に分離して導入することができ、コストダウンを可能とする液体吐出装置の構造例について説明する。
【0089】
以上、図5,6の説明は実施例1の形態で説明したが、基板の構成としては、以下の実施例や他の形態等の本発明に適用可能である。
【0090】
図7は、本発明の液体吐出装置の一構成例を示す模式図であり、図4及び図5において示した例と同じ構成要素については同じ符号を用いており、詳しい説明はここでは省略する。
【0091】
図7に示す液体吐出装置における溝付部材132は、吐出口101を有するオリフィスプレート135と、複数の第1の液流路103を構成する複数の溝と、複数の第1の液流路103に共通して連通し、第1の液流路103に液体(吐出液)を供給するための第1の共通液室143を構成する凹部とから概略構成されている。
【0092】
この溝付部材132の下側部分に可動部材131と少なくとも一部において接着された可動分離膜105を接合することにより、複数の第1の液流路103が形成される。溝付部材132には、その上部から第1の共通液室143内に到達する第1の液体供給路133が設けられており、また、その上部から可動部材131及び可動分離膜105を突き抜けて第2の共通液室144内に到達する第2の液体供給路134が設けられている。
【0093】
第1の液体(吐出液)は、図7中矢印Cで示すように、第1の液体供給路133及び第1の共通液室143を経て第1の液流路103に供給され、第2の液体(発泡液)は、図7中矢印Dで示すように、第2の液体供給路134及び第2の共通液室144を経て第2の液流路104に供給されるようになっている。
【0094】
なお、本実施例においては、第2の液体供給路134が第1の液体供給路133と平行して配されているが、本発明は、これに限られることはなく、第1の共通液室143の外側に設けられた可動分離膜105を貫通して、第2の共通液室144に連通するように形成されればどのように配されてもよい。
【0095】
また、第2の液体供給路134の太さ(直径)に関しては、第2の液体の供給量を考慮して決められ、第2の液体供給路134の形状においては、丸形状である必要はなく矩形状等でもよい。
【0096】
また、第2の共通液室144においては、溝付部材132を可動分離膜105で仕切ることによって形成することができる。形成の方法としては、基板110上にドライフィルムで共有液室枠と第2の液路壁を形成し、可動分離膜105を固定した溝付部材132と可動分離膜105との結合体と基板110とを貼り合わせることにより第2の共通液室144や第2の液流路104を形成してもよい。
【0097】
図8は、本発明の液体吐出装置の一構成例を示す分解斜視図である。
【0098】
本実施例においては、アルミニウム等の金属で形成された支持体136上に、前述のように、発泡液に対して膜沸騰による気泡を発生させるための熱を発生する発熱体102としての電気熱変換素子が複数設けられた素子基板110が設けられている。
【0099】
素子基板110上には、DFドライフィルムにより形成された第2の液流路104を構成する複数の溝と、複数の第2の液流路104に連通し、それぞれの第2の液流路104に発泡液を供給するための第2の共通液室(共通発泡液室)144を構成する凹部と、前述した可動部材131が接着された可動分離膜105とが設けられている。
【0100】
溝付部材132においては、可動分離膜105と接合されることで第1の液流路(吐出液流路)103を構成する溝と、この吐出液流路に連通し、それぞれの第1の液流路103に吐出液を供給するための第1の共通液室(共通吐出液室)143を構成するための凹部と、第1の共通液室143に吐出液を供給するための第1の液体供給路(吐出液供給路)133と、第2の共通液室144に発泡液を供給するための第2の液体供給路(発泡液供給路)134とを有している。第2の液体供給路134は、第1の共通液室133の外側に設けられた可動部材131及び可動分離膜105を貫通して第2の共通液室144に連通する連通路に繁がっており、この連通路によって吐出液と混合することなく発泡液を第2の共通液室144に供給することができる。
【0101】
なお、素子基板110、可動部材131、可動分離膜105及び溝付部材132の配置関係は、素子基板110の発熱体102に対応して可動部材131が配置されており、この可動部材131に対応して第1の液流路103が設けられている。また、本実施例においては、第2の液体供給路134を1つの溝付部材132に設けた例について示したが、液体の供給量に応じて複数個設けてもよい。さらに、第1の液体供給路133と第2の液体供給路134の流路断面積は供給量に比例して決めればよい。このような流路断面積の最適化により、溝付部材132等を構成する部品のより一層の小型化を図ることも可能である。
【0102】
以上説明したように本実施例によれば、第2の液流路104に第2の液体を供給する第2の液体供給路134と、第1の液流路103に第1の液体を供給する第1の液体供給路133とが同一の溝付部材132としての溝付天板からなることにより部品点数が削減でき、工程の短縮化とコストダウンが可能となる。
【0103】
また、第2の液流路104に連通した第2の共通液室144への第2の液体の供給においては、第1の液体と第2の液体とを分離する可動分離膜105を突き抜ける方向で第2の液流路104によって行われる構造であるため、可動分離膜105と溝付部材132と発熱体102が形成された基板110との貼り合わせ工程が1度で済み、作りやすさが向上するとともに、貼り合わせ精度が向上し、良好に吐出させることができる。
【0104】
また、第2の液体は、可動分離膜105を突き抜けて第2の共通液室144へ供給されるため、第2の液流路104への第2の液体の供給が確実となり、供給量が十分確保できるため、安定した吐出が可能となる。
【0105】
上述したように本発明においては、可動部材131が接着された可動分離膜105を有する構成によって、従来の液体吐出装置よりも高い吐出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出させることができる。発泡液として前述のような性質の液体を用いればよく、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジオキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0106】
吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従来、吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用することができる。
【0107】
ただし、吐出液の性質として吐出液自身、または発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動分離膜や可動部材の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
【0108】
記録用の吐出液体としては、高粘度インク等をも利用することができる。
【0109】
その他の吐出液体としては、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもできる。
【0110】
発泡液と吐出液に以下で示すような組成の液体を組み合わせて吐出させて記録を行った。その結果、従来の液体吐出装置では吐出が困難であった十数cp粘度の液体はもちろん150cpという非常に高い粘度の液体で良好に吐出することができ、高画質な記録物を得ることができた。
Figure 0003542460
ところで、前述したような従来吐出されにくいとされていた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じこれらのことで、高品位画像が得にくかった。しかし、上述した実施例における構成においては、気泡の発生を発泡液を用いることで充分に、しかも安定して行うことができる。このことで、液滴の着弾精度向上とインク吐出量の安定化を図ることができ、記録画像品位を著しく向上することができた。
【0111】
次に、本発明の液体吐出装置の製造工程について説明する。
【0112】
大まかには、素子基板上に第2の液流路の壁を形成し、その上に可動分離膜を取り付け、さらにその上に第1の液流路を構成する溝等が設けられた溝付部材を取り付ける。もしくは、第2の液流路の壁を形成した後、この壁の上に可動部材が接着された可動分離膜が取り付けられた溝付部材を接合することで装置の製造を行った。
【0113】
さらに、第2の液流路の作製方法について詳しく説明する。
【0114】
まず、素子基板(シリコンウエハ)上に、半導体と同様の製造装置を用いてハフニュウムボライドやチッ化タンタル等からなる発熱体を有する電気熱変換用素子を形成し、その後、次工程における感光性樹脂との密着性の向上を目的として素子基板の表面に洗浄を施した。さらに、密着性を向上させるには、素子基板表面に紫外線−オゾン等による表面改質を行った後、例えばシランカップリング剤(日本ユニカ製:A189)をエチルアルコールで1重量%に希釈した液を上記改質表面上にスピンコートすればよい。
【0115】
次に、表面洗浄を行い、密着性を向上させた基板上に、紫外線感光性樹脂フィルム(東京応化製:ドライフィルム オーディルSY−318)DFをラミネートした。
【0116】
次に、ドライフィルムDF上にフォトマスクPMを配し、このフォトマスクPMを介してドライフィルムDFのうち、第2の流路壁として残す部分に紫外線を照射した。この露光工程は、キヤノン(株)製:MPA−600を用いて行い、約600mJ/cm の露光量で行った。
【0117】
次に、ドライフィルムDFを、キシレンとブチルセルソルビアセテートとの混合液からなる現像液(東京応化製:BMRC−3)で現像し、未露光部分を溶解させ、露光して硬化した部分を第2の液流路の壁部分として形成した。さらに、素子基板表面に残った残渣を酸素プラズマアッシング装置(アルカンテック社製:MAS−800)で約90秒間処理して取り除き、引き続き、150℃で2時間、さらに紫外線照射100mJ/cm を行って露光部分を完全に硬化させた。
【0118】
以上の方法により、上記シリコン基板から分割、作製される複数のヒータボード(素子基板)に対し、一様に第2の液流路を精度よく形成することができる。すなわち、シリコン基板を、厚さ0.05mmのダイヤモンドブレードを取り付けたダイシングマシン(東京精密製:AWD−4000)で各々のヒータボード1に切断、分離した。分離されたヒータボードを接着剤(東レ製:SE4400)でアルミベースプレート上に固定した。
【0119】
次いで、予めアルミベースプレート上に接合しておいたプリント基板と、ヒータボードとを直径0.05mmのアルミワイヤで接続した。
【0120】
次に、このようにして得られたヒータボードに、上述の方法で溝付部材と可動分離膜との接合体を位置決め接合した。すなわち、可動分離膜を有する溝付部材とヒータボードとを位置決めし、押さえバネにより係合、固定した後、インク・発泡液用供給部材をアルミベースプレート上に接合固定し、アルミワイヤ間、溝付部材とヒータボードとインク・発泡液用供給部材との隙間をシリコーンシーラント(東芝シリコーン製:TSE399)で封止して完成させた。
【0121】
以上の製法で、第2の液流路を形成することにより、各ヒータボードのヒータに対して位置ズレのない精度の良い流路を得ることができる。特に、溝付部材と可動分離膜とをあらかじめ、先の工程で接合しておくことで、第1の液流路と可動部材の位置精度を高めることができる。そして、これらの高精度・製造技術によって、吐出安定化が図られ印字品位が向上し、また、ウエハ上に一括で形成することが可能なため、多量に低コストで製造することが可能である。
【0122】
なお、本実施例においては、第2の液流路を形成するために紫外線硬化型のドライフィルムを用いたが、紫外域、特に248nm付近に吸収帯域をもつ樹脂を用い、ラミネート後、硬化させ、エキシマレーザで第2の液流路となる部分の樹脂を直接除去することによっても得ることが可能である。
【0123】
また、第1の液流路等は、吐出口を有するオリフィスプレートと第1の液流路を構成する溝と、複数の第1の液流路に共通に連通し第1の液体をそれぞれの液流に供給するための第1の共通液室を構成する凹部を有する溝付天板を、上述した基板と可動分離膜の結合体に接合することで形成した。可動分離膜は、この溝付天板と第2の液流路壁とできょう持されることで固定される。なお、可動分離膜は基板側に固定されるだけでなく、上述したように、溝付天板に固定された後、基板と位置決め固定しても良い。
【0124】
方向規制手段となる可動部材131の材料としては、耐久性の高い、銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、およびその合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐インク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングしたもの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポキシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等のアミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等のセラミックおよびその化合物が望ましい。
【0125】
また、可動分離膜105の材質としては、前述したポリイミドの他、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、シリコンゴム、ポリサルフォン、の近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐熱性、耐溶剤性、成型性が良好で、弾性があり薄膜化が可能な樹脂、およびその化合物が望ましい。
【0126】
また、可動分離膜105の厚さは、分離壁としての強度を達成でき、膨張、収縮が良好に動作するという観点からその材質と形状等を考慮して決定すればよいが、0.5μm〜10μm程度が望ましい。
【0127】
(実施例2)
図9は、本発明の液体吐出装置の第2の実施例を示す図であり、(a)は非発泡時における流路方向の断面図、(b)は発泡時における流路方向の断面図、(c)は(a)に示した図面の第2の液流路から第1の液流路を見た図である。
【0128】
図9(a),(c)に示すように本実施例においては、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体102(本実施例においては、40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が設けられた基板110上に、発泡液用の第2の液流路104が設けられ、その上に吐出口101に直接連通した吐出液用の第1の液流路103が設けられている。気泡発生領域107の上流側の端部よりも下流側に自由端、上流側に支点をそれぞれ有し、方向規制手段である可動部材131が設けられており、第1の液流路103と第2の液流路104との間の開口部に設けられた可動分離膜105と可動部材131とは、可動部材131の自由端側の一部となる接着部131cにおいて互いに接着されており、それにより、第1の液流路103と第2の液流路104とが常に実質的に分離されている。
【0129】
いま、発熱体102において熱が発せられると、発熱体102上の気泡発生領域107に気泡106が発生し、それにより、可動分離膜105が第1の液流路103側に変位するが、ここで、可動分離膜105においては、可動部材131によってその変位が制御される。可動部材131においては、気泡発生領域107上に自由端、その上流に支点がそれぞれ設けられているため、可動分離膜105は、上流側よりも下流側の方が大きく変位するようになる(図9(b))。
【0130】
このように、気泡106の成長にともなって、可動分離膜105の下流側の部分が大きく変位し、それにより、気泡106の発生による圧力が主に吐出口101側に伝達され、第1の液流路103内の吐出液が吐出口101から効率良く吐出される。また、可動分離膜を全面に覆う必要がなく、コストを削減することができる。
【0131】
(実施例3)
図10は、本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第3の実施例を示す流路方向の断面図である。
【0132】
図10(a)に示すように本実施例においては、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体112(本実施例においては、40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が設けられた基板130上に、発泡液用の第2の液流路114が設けられ、その上に吐出口111に直接連通した吐出液用の第1の液流路113が設けられている。また、第1の液流路113と第2の液流路114との間に、弾性を有する薄膜で形成された可動分離膜115が設けられており、可動分離膜115によって第1の液流路113内の吐出液と第2の液流路114内の発泡液とが区分されている。なお、可動分離膜115においては、発熱体112に対向して配され、発熱体112における発熱によって気泡が発生する気泡発生領域117の少なくとも一部に対面している。さらに、可動分離膜115の第1の液流路113側には、気泡発生領域117の上流側端部よりも下流側に自由端151a、自由端151aよりも上流側に支点151bをそれぞれ有し、可動分離膜115に隣接して配された方向規制手段である可動部材151が設けられており、可動分離膜115と可動部材151とは、可動部材151の自由端151a側の一部(気泡発生領域117の上流側)となる接着部151cにおいて互いに接着されていてもよい。なお、可動部材151においては、接着部151cと支点151bとの間の一部が第1の液流路113側に湾曲した湾曲部151dとなっている。
【0133】
以下に、上記のように構成された液体吐出装置における液体吐出動作について説明するが、その前に、図10に示した可動分離膜115の特性について説明する。
【0134】
図11は、本発明の液体吐出装置に用いられる可動分離膜の特性を示す図であり、(a)は気泡発生領域において発生した気泡の圧力fとそれに対する可動分離膜の応力Fとの関係を示す図であり、(b)は(a)に示した気泡の体積変化に対する可動分離膜の応力Fの特性を示すグラフである。
【0135】
図11に示すように、可動分離膜の応力は、気泡の発生初期の気泡の体積Vが小さなうちは気泡の体積Vの増加に伴って指数関数的に増加するが、全体的に膨張していくにしたがって可動分離膜の膜厚が薄くなり、応力が弱くなるため、ある変曲点に達すると応力が減少に転じる。
【0136】
ここで、図10にもどり、本実施例における液体吐出動作について説明する。
【0137】
発熱体112において熱が発せられると、発熱体112上の気泡発生領域117に気泡116が発生し、それにより、可動分離膜115のうち、可動部材151の湾曲部151dの下部が伸長する(図10(b))。
【0138】
さらに、気泡116が大きく成長すると、可動分離膜115が伸長し、第1の液流路113側に変位し始める(図10(c))。
【0139】
その後、さらに気泡116が成長すると、可動分離膜115がさらに第1の液流路113側に変位しようとするが、上流側は支点151bによって固定されているため、変位が抑制され、自由端151a側である下流側が大きく変位することになる(図10(d))。
【0140】
このように、気泡116の成長にともなって、可動分離膜115の下流側の部分が大きく変位し、それにより、気泡116の発生による圧力が主に吐出口111側に伝達され、第1の液流路113内の吐出液が吐出口111から効率良く吐出される。
【0141】
この状態において、可動分離膜115の応力は、上流側では伸長が抑制されるために図11(b)におけるC点で保持され、下流側では伸長がより強調されるために図11(b)におけるE点となる。したがって、可動分離膜115全体の応力分布においては、上流側における応力が下流側における応力よりも大きくなる分布となる。
【0142】
その後、気泡116が収縮すると可動分離膜115が変位前の位置に戻ろうとするが(図10(e))、その際、上述したような応力分布によって、気泡116の上流側が収縮速度が速く、下流側が収縮速度が遅くなる。そのため、可動分離膜115全体の応力分布は、上流側における応力が徐々に小さくなり、下流側における応力が徐々に大きくなるように推移する。
【0143】
そして、消泡の負圧によって、可動分離膜115のうち、可動部材151の湾曲部151dの下部が変位前の位置よりも第2の液流路104側に変位してしまうが、可動部材151の湾曲部151dが設けられているため、第1の液流路113側の圧力の低下が抑えられ、それにより、メニスカスの後退が抑制され、リフィル特性が向上する(図10(f))。
【0144】
また、可動部材151により、上流側への液の移動が抑制され、リフィル特性の向上やクロストークの低減等の効果が得られる。
【0145】
(実施例4)
図12は、本発明の液体吐出装置の第4の実施例を示す図であり、(a)は流路方向の断面図、(b)は上面図である。
【0146】
本実施例は図12に示すように、第1の実施例に示したものに対して、可動部材161が、自由端161aが設けられた下流側に向かうにしたがってその幅が狭くなるような台形の形状となっている点のみが異なり、その他の構成については同様である。
【0147】
上記のように構成された液体吐出装置においては、可動部材161が、その幅が下流側に向かうにしたがって狭くなるような台形の形状となっているため、可動部材161が変形しやすく、気泡発生領域107において発生する気泡の圧力に対して可動分離膜105が効率良く変位するようになる。
【0148】
そのため、吐出効率の向上及び吐出量の増大を図ることができる。
【0149】
また、本実施例における自由端161aにおいては、より好ましくは、発熱体102の中心よりも上流側に位置するように構成されていれば、上述した効果がさらに向上する。
【0150】
(実施例5)
図13は、本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第5の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図である。また、図14は、図13に示した液体吐出装置の部分破断斜視図である。
【0151】
図13及び図14に示すように本実施例においては、実施例1と同様に液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体202(本実施例においては、40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が設けられた基板210上に、発泡液用の第2の液流路204が設けられ、その上に吐出口201に直接連通した吐出液用の第1の液流路203が設けられている。また、第1の液流路203と第2の液流路204との間に、弾性を有する薄膜で形成された可動分離膜205が設けられており、可動分離膜205によって第1の液流路203内の吐出液と第2の液流路204内の発泡液とが区分されている。
【0152】
ここで、発熱体202の面方向上方の投影部分に位置する部分の可動分離膜205には、発熱体202に対向するように面して、吐出口201側に自由端を有する方向規制手段である肉厚部205aが、また、自由端の吐出口201側にたるみ部205cがそれぞれ設けられており、後述するように、発泡液の発泡によって肉厚部205aが第1の液流路203側に変位するとともに、たるみ部205cによって、吐出口201側の変形が大きくなるように動作する(図13(b))。
【0153】
本実施例においては、たるみ部を設けることにより、可動分離膜を膨張させなくてよいため、吐出効率を高めることができる。
【0154】
また、可動分離膜205の肉厚部205aに対して吐出口201とは反対側には凹部205bが形成されており、肉厚部205aの変位を生じさせやすくするためのヒンジ部となっている。なお、凹部205bにおいては、肉厚部205aの厚さあるいは材質によっては、肉厚部205aが変位しやすいものであれば設けなくても良い。
【0155】
ただし、凹部205bは、肉厚部205bが変位する際の支点205dの役割を担う部分であり、凹部205bが設けられていないものにおいても、変位の起点となる場所としての支点205dを構成している。
【0156】
また、肉厚部205aにおいては、液体の吐出動作によって、共通液室(不図示)から肉厚部205aを経て吐出口201側へ流れる液体の流れの上流側に支点205dを持ち、この支点205dに対して下流側に自由端を持つように、発熱体202に面した位置に発熱体202を覆うような状態で発熱体202から10〜15μm程度の距離を隔てて設けられている。なお、発熱体202と肉厚部205aとの間が気泡発生領域207となる。
【0157】
発熱体202を発熱させることにより、可動分離膜205の肉厚部205aと発熱体202との間の気泡発生領域207内の発泡液に熱が作用し、発泡液に膜沸騰現象に基づく気泡が発生する。気泡の発生に基づく圧力は、可動分離膜205に優先的に作用し、可動分離膜205は図13(b)に示すように、凹部205bを中心に肉厚部205aが吐出口201側に大きく開くように変位する。それにより、気泡発生領域207において発生した気泡による圧力が吐出口201側に導かれる。
【0158】
さらに、方向規制手段の側方の可動分離膜に蛇腹状部が入っている場合、発泡の圧力によって、方向規制手段の自由端側の可動分離膜は、側方に可動分離膜がある場合に比べ、ふくらみに制約がなくなるので、より吐出口方向に大きくふくらむため、高い吐出効率と吐出力を得ることができる。
【0159】
この場合、方向規制手段が閉じたとき、可動分離膜の蛇腹状部は実質的に密閉となり、第1の液と第2の液とを遮断することができる。また、変位したとき、第1の液流路壁によって、方向規制手段側方から外への発泡の圧力の逃げを防止することができるため、蛇腹状部のない場合に比べて吐出効率及び吐出力を損なうことはない。
【0160】
以下に、上記のように構成された液体吐出装置の吐出動作について詳細に説明する。
【0161】
図15は、図13及び図14に示した液体吐出装置の動作を説明するための図である。
【0162】
図15(a)においては、発熱体202に電気エネルギー等のエネルギーが印加されておらず、発熱体202において熱は発生していない。なお、肉厚部205aは、基板201と略平行な第1の位置にある。
【0163】
ここで重要なことは、肉厚部205aが、発熱体202における発熱によって発生した気泡に対して少なくとも下流側部分に対面する位置に設けられていることである。つまり、気泡の下流側が肉厚部205aに作用するように、液流路構造上では少なくとも発熱体202の面積中心より下流(発熱体202の面積中心を通って流路の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで肉厚部205aが配されている。
【0164】
ここで、発熱体202に電気エネルギー等が印加されると、発熱体202が発熱して発生した熱によって気泡発生領域207内を満たす発泡液体の一部が加熱され、膜沸騰に伴って気泡206が発生する。気泡206が発生すると、可動分離膜205のたるみ部205cは、肉厚部205aが、気泡206の発生に基づく圧力により、気泡206の圧力の伝搬方向を吐出口方向に導くように第1の位置から第2の位置へ変位する(図15(b))。
【0165】
ここで重要なことは、前述したように、可動分離膜205の肉厚部205aの自由端を下流側(吐出口側)に配置し、支点205dを上流側(共通液室側)に位置するように配置して、肉厚部205aの少なくとも一部を発熱体202の下流部分すなわち気泡206の下流部分に対面させることである。
【0166】
さらに気泡206が成長すると、気泡発生に伴う圧力に応じて可動分離膜205の肉厚部205aが第1の液流路203側にさらに変位する。これに伴い、自由端側たるみ部205cは、吐出方向に大きくふくらみ、また、支点側のたるみ部205cは、肉厚部205aが吐出口方向へのふくらむ力で引っ張られてシフトするのをアシストする。この結果、発生した気泡206は上流より下流に大きく成長し、肉厚部205aが第1の位置を大きく越える(図15(c))。
【0167】
このように、気泡206の成長に応じて可動分離膜205の肉厚部205aが第1の液流路203側に徐々に変位していくことによって、自由端側に気泡206が成長し、たるみ部205cが吐出口方向に大きくふくらむため、気泡206の発生による圧力が吐出口201方向に均一に向かう。それにより、吐出口201からの液体の吐出効率が高まる。なお、可動分離膜205は、発泡圧を吐出口201方向へ導く際もこの伝達の妨げになることはほとんどなく、伝搬する圧力の大きさに応じて効率よく圧力の伝搬方向や気泡206の成長方向を制御することができる。
【0168】
その後、気泡206が、前述した膜沸騰現象に特徴的な気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅すると、第2の位置まで変位していた可動分離膜205の肉厚部205aは、気泡206の収縮による負圧と可動分離膜205自身のばね性による復元力によって図15(a)に示した初期の位置(第1の位置)に戻る(図15(d))。また、消泡時には、吐出された液体の体積分を補うために、上流側すなわち共通液室側からVD1,VD2に示すように、また、吐出口201側からVに示すように液体が流れ込んでくる。
【0169】
以上述べたように、本実施例の構成によると、可動分離膜に設けられた方向規制手段が、圧力を効率良く吐出口方向に伝搬させるため、より高吐出効率、高吐出力で加熱に弱い液体や、高粘性液体等を吐出することができる。
【0170】
図16は、図13〜図15に示した液体吐出装置の可動分離膜205の肉厚部205aと第2の液流路204との配置関係を説明するための図であり、(a)は、肉厚部205aを上方から見た図、(b)は、可動分離膜205を外した第2の液流路204を上方から見た図、(c)は、肉厚部205aと第2の液流路204との配置関係をこれらを重ねることで模式的に示した図である。なお、いずれの図も、下方が吐出口201の配置方向である。
【0171】
第2の液流路204においては、発熱体202の前後で狭窄部209が設けられており、発泡時の圧力が第2の液流路204を伝って逃げることを抑止するような室(発泡室)構造となっている。本発明の場合、発泡液と吐出液とは、可動分離膜205によって、完全に分離されているため、実質的に、発泡液の消費はないに等しい。しかし、物流保管環境における発泡液の蒸発分の補充や、長時間連続運転で発生する発泡室内の泡だまりを除去する目的で、発泡液の充填を少量ながら行なう。従って、狭窄部209に於ける間隔を数μm〜十数μmと非常に狭くすることができ、第2の液流路204において発生した発泡時の圧力を周囲にあまり逃がすことなく、集中して可動分離膜205に向けることができ、この圧力による可動分離膜205の肉厚部205aの第1の液流路203側への変位によって、第1の液流路203内の液体を、効率よく、また、高い吐出力によって吐出することができる。ここで、第2の液流路204の発泡室の下流側の狭窄部209は、発泡室に残留した泡を抜くための流路である。
【0172】
なお、第2の液流路204の形状においては、上述した構造に限られるものではなく、気泡発生に伴う圧力が、効果的に可動分離膜に伝達できる形状であれば良い。
【0173】
また、本実施例おいては、発熱体202として、40μm×105μmの形状のものを用い、可動分離膜205は、発熱体202が設けられた発泡室を覆うような状態で設けられているが、本発明における発熱体202や可動分離膜205の大きさや形状、配置は、これらに限られることなく、発泡時の圧力を吐出圧として有効に利用できる形状および配置にすれば良い。
【0174】
また、本実施例においては、厚さ15μmの感光性樹脂(ドライフィルム)を基板210上にラミネートし、パターニングすることで第2の液流路204を構成する流路壁を形成しているが、本発明は、これに限られることなく、実施例1と同様に流路壁の材質としては、発泡液に対して耐溶剤性があり、流路壁形状を容易に形成できるものであれば良い。
【0175】
以下に、部品点数の削減を図りながらも、2つの共通液室を有し、各共通液室に異なる液体を良好に分離して導入することができ、コストダウンを可能とする液体吐出装置の構造例について説明する。
【0176】
図17は、本発明の液体吐出装置の一構成例を示す模式図であり、図13〜図16において示した例と同じ構成要素については同じ符号を用いており、詳しい説明はここでは省略する。
【0177】
図17に示す液体吐出装置における溝付部材232は、実施例1と同様に、吐出口、オリフィスプレート235、複数の第1の液流路203を構成する複数の溝と、複数の第1の液流路203に共通して連通し、第1の液流路203に液体(吐出液)を供給するための第1の共通液室243を構成する凹部とから概略構成されている。
【0178】
この溝付部材232の下側部分に可動分離膜205を内部が発熱体とほぼ対面するように接合することにより、複数の第1の液流路203が形成される。溝付部材232には、その上部から第1の共通液室243内に到達する第1の液体供給路233が設けられており、また、その上部から可動分離膜205を突き抜けて第2の共通液室244内に到達する第2の液体供給路234が設けられている。
【0179】
第1の液体(吐出液)は、図17中矢印Cで示すように、第1の液体供給路233を及び第1の共通液室243を経て第1の液流路203に供給され、第2の液体(発泡液)は、図17中矢印Dで示すように、第2の液体供給路234及び第2の共通液室244を経て第2の液流路204に供給されるようになっている。
【0180】
図18は、本発明の液体吐出装置の一構成例を示す分解斜視図である。
【0181】
本実施例においても、実施例1とアルミニウム等の金属で形成された支持体236上に、発熱体202が複数設けられた素子基板210が設けられている。
【0182】
素子基板210上には、第2の液路壁により形成された第2の液流路204を構成する複数の溝と、複数の第2の液流路204に連通し、それぞれの第2の液流路204に発泡液を供給するための第2の共通液室(共通発泡液室)244を構成する凹部と、前述した肉厚部205aが設けられた可動分離膜205とが設けられている。
【0183】
溝付部材232においては、可動分離膜205と接合されることで第1の液流路(吐出液流路)203を構成する溝と、この吐出液流路に連通し、それぞれの第1の液流路203に吐出液を供給するための第1の共通液室(共通吐出液室)243を構成するための凹部と、第1の共通液室243に吐出液を供給するための第1の液体供給路(吐出液供給路)233と、第2の共通液室234に発泡液を供給するための第2の液体供給路(発泡液供給路)234とを有している。第2の液体供給路234は、第1の共通液室243の外側に設けられた可動分離膜205を貫通して第2の共通液室244に連通する連通路に繁がっており、この連通路によって吐出液と混合することなく発泡液を第2の共通液室243に供給することができる。
【0184】
なお、素子基板210、可動分離膜205及び溝付部材232の配置関係は、素子基板210の発熱体202に対応して肉厚部205aが配置されており、この肉厚部205aに対応して第1の液流路203が設けられている。
【0185】
以下に、上述した肉厚部を有する可動分離膜の製法について述べる。
【0186】
肉厚部を有する可動分離膜は、ポリイミド樹脂から成り、以下の方法で作製した。
【0187】
図19は、図13〜図18に示した液体吐出装置における可動分離膜の作製工程を説明するための図である。
【0188】
まず、図19(a)に示すようなシリコンのミラーウエハ上金属あるいは樹脂で可動分離膜のたるみになる部分が形成されたものに、離型剤を塗布した後、上述の液状のポリイミド樹脂をスピンコートして厚さ約3μmの膜を形成する(図19(b))。
【0189】
次に、この膜を紫外線照射して硬化させた後、更に一層スピンコートする。
【0190】
次に、2層目の樹脂層に対し、肉厚部205aとなる部分を露光し、現像する(図19(c))。
【0191】
これにより、肉厚部205aが薄膜上に形成される(図19(d))。
【0192】
その後、この膜をミラーウエハ上よりはがし、上述した第2の液流路が形成された基板上に位置決め、貼り付けることで、作製した(図19(e))。
【0193】
(実施例6)
図20は、本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第6の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図である。
【0194】
本実施例は図20に示すように、図13に示したものに対して、方向規制手段を、第1の液流路213と第2の液流路214を隔てる可動分離膜215の一部とせずに、可動部材231として別部材としている。
【0195】
本実施例においては、方向規制手段と可動分離膜とが別部材であるため、たるみ部は、前述した実施例とは反対側に配設した。たるみ部の向きについては、気泡発生に伴う圧力がたるみ部を吐出口方向にふくらませられれば良いため、特に向きに制約はない。
【0196】
可動分離膜215は、上述した第5の実施例におけるものと同様の方法によって一様の厚さに形成される。
【0197】
また、方向規制手段となる可動部材231は、ニッケルの電鋳によって作製した。
【0198】
なお、吐出液、発泡液の供給については、第5の実施例において示したものと同様で良い。本実施例の液体吐出装置によれば、方向規制手段を別体にすることで組立て工程は第5の実施例において示したものよりも一工程増えるが、可動分離膜215と方向規制手段とが別体となっているため、一部品当りのコストを低減させることが可能となるほか、ニッケルによるバネ性を有効に利用して、ふくらんだ可動分離膜を効率よく、元の位置に復帰させることが可能となる。
【0199】
本実施例においては、可動部材231にニッケルを使用したが、本発明は、ニッケルに限られるものではなく、可動部材231として良好に動作するための弾性を有していれば良い。
【0200】
図21は、図20に示した液体吐出装置の変形例における液体吐出方法を説明するための図である。
【0201】
図21に示すように本変形例においては、発熱体302に面した可動分離膜305の下流側にたるみ部325aが配設され、発熱体302に面した可動分離膜305の上流側が方向規制手段の機能を有した構成となっている。
【0202】
図21(a)においては、発熱体302に電気エネルギー等のエネルギーが印加されておらず、発熱体302において熱は発生していない。この状態においては、たるみ部325aは、第2液流路側にたるんでいる。
【0203】
ここで、発熱体302に電気エネルギー等が印加されると、発熱体302が発熱して発生した熱によって気泡発生領域307内を満たす発泡液体の一部が加熱され、膜沸騰に伴って気泡306が発生する。気泡306が発生すると、可動分離膜305のたるみ部325aが、気泡306の発生に基づく圧力により、気泡306の圧力の伝搬方向を吐出口方向に導くように第1の位置から第1の液流路303側の第2の位置へ変位する(図21(b))。
【0204】
さらに気泡306が成長すると、気泡発生に伴う圧力に応じて可動分離膜305のたるみ部325aが第1の液流路303側にさらに変位する(図21(c))。
【0205】
その後、気泡306が、前述した膜沸騰現象に特徴的な気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅すると、第2の位置まで変位していた可動分離膜305のたるみ部305aは、気泡306の収縮による負圧と可動分離膜305自身のばね性による復元力によって初期の位置(第1の位置)に戻る(図21(d))。
【0206】
(実施例7)
図22は、本発明の液体吐出装置の第7の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図である。
【0207】
図22に示すように本実施例においては、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体302(本実施例においては、40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が設けられた基板310上に、発泡液用の第2の液流路304が設けられ、その上に吐出口301に直接連通した吐出液用の第1の液流路303が設けられている。また、第1の液流路303と第2の液流路304との間に、ほとんど弾性のない薄膜で形成された可動分離膜305が設けられており、可動分離膜305によって第1の液流路303内の吐出液と第2の液流路304内の発泡液とが区分されている。
【0208】
ここで、発熱体302の面方向上方の投影部分に位置する部分の可動分離膜305は、非発泡時においては第2の液流路304側に突出しており、図22(a)に示すように、可動分離膜の基準面305Bから突出している距離Lが第1の液流路303の吐出口301側である下流側の方が共通液室(不図示)側である上流側よりも長くなっている。したがって、図22(b)では。この形状が逆転し、本願の発明でいう変位工程をなしうる。
【0209】
つまり、可動分離膜の形状が予め規定されていることにより、所望の変位を安定的に得ることができ、さらに、方向規制手段を可動分離膜自体で兼ねることができ、シンプルな構造となる。
【0210】
なお、この突出している部分である凸形状部305aの変位に伴う最大容積(図22(a)と図22(b)の各々の凸形状部がなす容積の和)は、気泡発生領域307において発生する気泡の最大膨張体積よりも大きく形成されている。
【0211】
また、可動分離膜305のうち凸形状部305aが形成されていない面と発熱体302の面との間は、5〜20μm程度の距離に設定されている。なお、発熱体302と凸形状部305aとの間が気泡発生領域307となる。
【0212】
ここで、発熱体302に電気エネルギー等が印加されると、発熱体302が発熱して発生した熱によって気泡発生領域307内を満たす発泡液体の一部が加熱され、膜沸騰に伴って気泡306が発生する。気泡306が発生すると、可動分離膜305の凸形状部305aが、気泡306の発生に基づく圧力により、気泡306の圧力の伝搬方向を吐出口方向に導くように第1の位置から第1の液流路303側の第2の位置へ変位する。
【0213】
本実施例においては、可動分離膜305が凸形状部305aの変位によって第1の液流路303側に変位するように形成されているため、可動分離膜305が気泡の発生によって伸びて第1の液流路303側に変位するものと比べて、気泡の発生によるエネルギーが効率的に可動分離膜305の変位に寄与され、効率的な吐出が行われる。さらに、可動分離膜305の凸形状部305aが、その最大変位容積が気泡発生領域307において発生する気泡の最大膨張体積よりも大きくなるように形成されているため、気泡の成長が規制されず、吐出のさらなる効率化が図られる。
【0214】
また、本実施例においては、可動分離膜305が予め第2の液流路304側に突出しているため、気泡306の発生に基づく圧力により、気泡306の圧力の伝播方向を吐出口方向に導くように可動分離膜305が第1の位置から第2の位置へ変位する際の変位量が大きくなり、吐出口301からの液体の吐出効率が向上する。また、可動分離膜305の凸形状部305aにおいては、その長さLが、共通液室側よりも吐出口301側の方が長くなっているため、吐出液用の第1の液流路303内において気泡306の発生に基づく圧力を吐出口301側へ伝播しやすく、吐出口301からの液体の吐出効率が向上する。
【0215】
その後、気泡306が、前述した膜沸騰現象に特徴的な気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅すると、第2の位置まで変位していた可動分離膜305の凸形状305aは、気泡306の収縮による負圧と可動分離膜305自身のばね性による復元力によって初期の位置(第1の位置)に戻る。
【0216】
さらに、本発明の液体吐出装置の構造においては上述した実施例において説明したような効果をも生じるため、さらに一層高吐出効率、高吐出力で高粘性液体等の液体を吐出することができる。
【0217】
(実施例8)
図23は、本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第8の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図である。
【0218】
図23に示すように本実施例においては、図22に示したものに対して、可動分離膜305と第1の液流路303との間に可動分離膜305の変位を規制する変位可能な可動部材331が設けられており、可動部材331は発泡時及び消泡時において可動分離膜305と一体となって変位する。その他の構成については、同様である。なお、可動部材331においては、ニッケルの電鋳によって作製されている。また、吐出液及び発泡液の供給については、第7の実施例において示したものと同様でよい。
【0219】
上記のように構成された液体吐出装置においては、気泡発生時における可動分離膜305の変位可能量も安定的に大きく確保することができる。さらに、可動部材331により、可動分離膜305の変位を吐出口方向へ導く作用を強化させることも可能である。また、非発泡時に可動分離膜305が第2の液流路304側に突出していることにより、発泡時において突出部分上の液体をも吐出口301に導くことができる。また、可動部材331によって、可動分離膜305の凸形状部305aが第2の液流路304側に突出する力が補助されている。
【0220】
なお、本実施例においては、可動部材331にニッケルを使用したが、本発明はこれに限られず、可動部材331として良好に動作するための弾性を有していればよい。
【0221】
(実施例9)
図24は、本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第9の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図である。
【0222】
発熱体に電気エネルギーが印加されると、発熱体において発生した熱によって気泡発生領域内を満たす発泡液体の一部が加熱され、膜沸騰にともなって気泡が発生するが、その際、製造上や環境条件等によるばらつき要素により、気泡の最大膨張体積は常に一定になるとは限らず、また、ノズル毎に異なっている場合もある。
【0223】
そこで、本実施例においては図24に示すように、可動分離膜315の凸形状部315aの最大変位容積が、気泡発生領域307において発生する気泡316の最大膨張体積よりも小さくなるように形成されている。
【0224】
具体的には、液体の吐出特性による気泡316の膨張体積のばらつきは±10%であるため、可動分離膜315の凸形状部315aの最大変位容積が、気泡発生領域307において発生する気泡316の最大膨張体積の80%以下となるように形成する。
【0225】
それにより、液体の吐出特性による気泡316の膨張体積がばらついた場合においても、発泡時における可動分離膜315の凸形状部315aの変位量が常に一定となり、吐出液の吐出量が一定となって、ノズル毎にばらつきのない良好な吐出を行うことができる。
【0226】
(実施例10)
図25は、本発明の液体吐出装置の第10の実施例を示す図であり、(a)は非発泡時の状態を示す流路方向の断面図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す流路方向の断面図、(c)は第2の液流路の構成を示す図である。
【0227】
図25に示すように本実施例においては、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体402(本実施例においては、40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が設けられた基板410上に、発泡液用の第2の液流路404が設けられ、その上に吐出口401に直接連通した吐出液用の第1の液流路403が設けられている。また、第1の液流路403と第2の液流路404との間に、弾性を有する薄膜で形成された可動分離膜405が設けられており、可動分離膜405によって第1の液流路403内の吐出液と第2の液流路404内の発泡液とが区分されている。
【0228】
発熱体402を発熱させることにより、可動分離膜405と発熱体402との間の気泡発生領域407内の発泡液に熱が作用し、発泡液に膜沸騰現象に基づく気泡が発生する。気泡の発生に基づく圧力は、可動分離膜405に優先的に作用し、可動分離膜405は図25(b)に示すように吐出口401側に大きく開くように変位する。それにより、気泡発生領域407において発生した気泡による圧力が吐出口401側に導かれる。
【0229】
本実施例においては、第2の液流路404が発熱体402の直上である気泡発生領域407よりもさらに下流側まで設けられており、それにより、発熱体402の直上よりも下流側の流抵抗が小さくなり、発熱体402における発熱により発生した気泡による圧力を下流側に導きやすくなっている。このため、可動分離膜405も吐出口401側に変位し、高い吐出効率と吐出力が得られる。
【0230】
また、第2の液流路内での気泡の成長を規制することにより、気泡自身に直接作用することができるため、気泡発生初期から効果が得られる。
【0231】
さらに、気泡406が収縮する際、気泡406の収縮に伴う圧力によって可動分離膜405が変位前の位置に素早く復帰するため、圧力の作用方向の制御に加え、第1の液流路403に吐出液をリフィルする速度が高まり、高速の印字においても安定した吐出が得られる。
【0232】
(実施例11)
図26は、本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第11の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図である。
【0233】
図26に示すように本実施例においては、第2の液流路414の発熱体402よりも吐出口側の壁が、吐出口側に広がるようなテーパ状に形成されており、これにより、気泡発生領域407及びその近傍の流抵抗は、吐出口に向かうにしたがって小さくなり、発熱体402における発熱により発生した気泡416の圧力を吐出口方向へ導きやすく、第10の実施例と同様に、高吐出効率及び高吐出力が得られる。
【0234】
図27は、図26に示した液体吐出装置の変形例を示す流路方向の断面図であり、(a)は第2の液流路壁の一部が階段状に形成されているものを示す図、(b)は第2の液流路壁の一部がある曲率半径で形成されているものを示す図である。
【0235】
図27(a)に示すものにおいては、第2の液流路424の発熱体402よりも吐出口側の壁が、吐出口側に広がるような階段状に形成されており、また、図27(b)に示すものにおいては、第2の液流路434の発熱体402よりも吐出口側の壁が、吐出口側に広がるようなある曲率半径で形成されているため、いずれの場合も、気泡発生領域407及びその近傍の流抵抗は、吐出口に向かうにしたがって小さくなり、発熱体402における発熱により発生した気泡の圧力を吐出口方向へ導きやすく、図26に示したものと同様に、高吐出効率及び高吐出力が得られる。
【0236】
(実施例12)
図28は、本発明の液体吐出装置の第12の実施例を示す図であり、(a)は第2の液流路と発熱体との位置関係を示す上面図、(b)は(a)に示した斜視図であり、図28(a)中左側が吐出口の配置方向である。
【0237】
本実施例における第2の液流路は図28に示すように、図25に示したものに対して発熱体442の近傍において、第2の液流路444の幅が上流側から下流側に向かうにつれて徐々に広くなっている。
【0238】
以下に、上記のように構成された液体吐出装置における吐出動作について詳細に説明する。
【0239】
図29は、図28に示した液体吐出装置における吐出動作を説明するための図であり、(a)は図28に示したB−B断面図、(b)は図28に示したA−A断面図、(c)は図28に示したC−C断面図である。
【0240】
図29(I)においては、発熱体442に電気エネルギーが印加されておらず、発熱体442において熱は発生していない。なお、可動分離膜445は、基板420と略平行な第1の位置にある。
【0241】
ここで、発熱体442に電気エネルギーが印加されると、発熱体442が発熱して発生した熱によって気泡発生領域447内を満たす発泡液体の一部が加熱され、膜沸騰に伴って気泡446が発生する(図29(II))。
【0242】
発生した気泡446は発熱体442における発熱によって急速に成長していくが、その際、第2の液流路444が図29に示したような形状であるため、上流側においてはその中央部が、下流側においてはその両端部がそれぞれ大きく成長し、それにともなって可動分離膜445が変位する(図29(III))。
【0243】
さらに、気泡446が成長すると、下流側における中央部が最も大きく成長し、それにともなって可動分離膜445の下流側が大きく変位する(図29(IV))。
【0244】
その後、気泡446が、前述した膜沸騰現象に特徴的な気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅すると、変位していた可動分離膜445が、気泡446の収縮による負圧と可動分離膜445自身のばね性による復元力によって初期の位置に戻る(図29(V))。
【0245】
このように、気泡446の発生により生じる圧力が徐々に下流側、すなわち吐出口側に向かうようになる。
【0246】
これにより、気泡発生領域447及びその近傍の流抵抗は、吐出口に向かうにしたがって小さくなり、発熱体442における発熱により発生した気泡の圧力を吐出口方向へ導きやすく、第10の実施例と同様に、高吐出効率及び高吐出力が得られる。また、発熱体442の投影部の第1の液体をも吐出口方向へ輸送することができ、吐出量が向上する。
【0247】
図30は、図28に示した液体吐出装置の変形例を示す図であり、(a)は発熱体の近傍の第2の液流路の幅が上流側から下流側に向かうにつれて階段状に徐々に広くなっているものを示す図、(b)は発熱体の近傍の第2の液流路の幅が上流側から下流側に向かうにつれてある曲率半径でもって徐々に広くなっているものを示す図、(c)は発熱体の近傍の第2の液流路の幅が上流側から下流側に向かうにつれて(b)とは逆の曲率半径で徐々に広くなっているものを示す図である。なお、いずれの図においても、図中左側が吐出口の配置方向である。
【0248】
図30(a)に示すものにおいては、発熱体442の近傍の第2の液流路454の幅が上流側から下流側に向かうにつれて階段状に徐々に広くなっており、また、図30(b)に示すものにおいては、発熱体442の近傍の第2の液流路464の幅が上流側から下流側に向かうにつれてある曲率半径でもって徐々に広くなっており、また、図30(c)に示すものにおいては、発熱体442の近傍の第2の液流路474の幅が上流側から下流側に向かうにつれて(b)とは逆の曲率半径で徐々に広くなっているため、いずれの場合も、気泡発生領域及びその近傍の流抵抗は、吐出口に向かうにしたがって小さくなり、発熱体442における発熱により発生した気泡の圧力を吐出口方向へ導きやすく、高吐出効率及び高吐出力が得られる。
【0249】
(実施例13)
図31は、本発明の液体吐出装置の第13の実施例を示す液体吐出装置の動作を説明するための図である。
【0250】
本実施例においては、先の各実施例と同様に、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体502(本実施例においては、40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が設けられた基板510上に、発泡液用の第2の液流路504が設けられ、その上に吐出口501に直接連通した吐出液用の第1の液流路503が設けられている。また、第1の液流路503と第2の液流路504との間に、弾性を有する薄膜で形成された可動分離膜505が設けられており、可動分離膜505によって第1の液流路503内の吐出液と第2の液流路504内の発泡液とが区分されている。さらに本実施例において特徴的なことは、可動分離膜505の第1の液流路503側に、気泡発生領域507近傍に開口部を有し、可動分離膜505の変位を制限する可動分離膜変位規制部材531が設けられていることである。
【0251】
以下に、図31を用いて本実施例の液体吐出装置の吐出動作について詳細に説明する。
【0252】
図31(a)においては、発熱体502に電気エネルギー等のエネルギーが印加されておらず、発熱体502において熱は発生していない。なお、可動分離膜505は、基板510と略平行な第1の位置にある。
【0253】
ここで重要なことは、可動分離膜変位規制部材531の開口部の中心が発熱体502の中心よりも下流側に設けられていることであり、それにより、可動分離膜505の可動領域の中心が発熱体502の中心よりも下流側に位置することになる。
【0254】
ここで、発熱体502に電気エネルギー等が印加されると、発熱体502が発熱して発生した熱によって気泡発生領域507内を満たす発泡液体の一部が加熱され、膜沸騰に伴って気泡506が発生する。可動分離膜505の可動領域の中心が発熱体502の中心よりも下流側に位置しているため、可動分離膜505は気泡506の圧力によって発熱体502よりも下流側において変位しやすくなっている(図31(b))。
【0255】
さらに気泡506が成長すると、気泡発生に伴う圧力に応じて可動分離膜505が第1の液流路503側にさらに変位する。この結果、発生した気泡506は上流より下流に大きく成長し、可動分離膜505が第1の位置を大きく越える(図31(c))。
【0256】
その後、気泡506が、前述した膜沸騰現象に特徴的な気泡内部圧力の減少によって収縮していくと、それにともなって、第2の位置まで変位していた可動分離膜505は、気泡506の収縮による負圧によって図31(a)に示した初期の位置(第1の位置)に徐々に戻っていく(図31(d))。
【0257】
そして、気泡506が消滅すると、可動分離膜505が初期の位置(第1の位置)に戻る(図31(e))。また、消泡時には、吐出された液体の体積分を補うために、上流側すなわち共通液室側からVD1,VD2に示すように、また、吐出口501側からVに示すように液体が流れ込んでくる。このとき、発泡時に発熱体502から下流側(吐出口側)への液体の流れがあったため、VD1,VD2の流れが大きくなり、リフィル速度の向上及びメニスカスの後退量の減衰に大きく役立っている。
【0258】
ここで、可動分離膜531の開口部においては図31に示すように、厚み方向が曲面形状になっており、それにより、この部分での可動分離膜505の応力集中が緩和され、強度劣化が少なく、耐久性が向上する。
【0259】
以下に、上述した液体吐出装置の構成ならびに製法について述べる。
【0260】
図32は、図31に示した液体吐出装置の発熱体502と第2の液流路504と可動分離膜変位規制部材531との配置関係を説明するための図であり、(a)は発熱体502と第2の液流路504との位置関係を示す図、(b)は可動分離膜変位規制部材531を上から見た図、(c)は発熱体502と第2の液流路504と可動分離膜変位規制部材531との配置関係を示す図、(d)は可動分離膜505の変位可能領域を示す図であり、いずれの図も図中左側が吐出口の配置方向である。
【0261】
図32(d)に示すように、本形態においては、第2の液流路504壁で囲まれた部分が可動分離膜505の下方変位可能領域となり、また、可動分離膜変位規制部材531の開口部内が可動分離膜505の上方変位可能領域となり、可動分離膜505の可動領域の中心は発熱体502の中心よりも下流側に位置している。
【0262】
なお、図32(b)に示すように、可動分離膜変位規制部材531の開口部531aにおいては、四隅が曲線形状となっており、それにより、可動分離膜505が破れる虞れがなくなり、耐久性が向上する。
【0263】
第2の液流路504においては、発熱体502の前後で第5の実施例と同じ目的のための狭窄部509が設けられているが、発熱体502の吐出口501側においては空間が大きく設けられている。
【0264】
以上述べたように、本実施例の構成によると、可動分離膜の可動領域の中心を発熱体の中心よりも下流側に位置することにより、気泡発生に伴う圧力に応じて変位した可動分離膜が下流側に成長するため、加熱に弱い液体や、高粘性の液体等を効率良く、高い吐出圧で吐出することができる。さらに、第1の液流路内の液体の輸送作用により、吐出量のさらなる増大が図られる。
【0265】
(実施例14)
図33は、本発明の液体吐出装置の第14の実施例を示す流路方向の断面図である。
【0266】
図33に示すように本実施例においては、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体602(本実施例においては、40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が設けられた基板610上に、発泡液用の第2の液流路604が設けられ、その上に吐出口601に直接連通した吐出液用の第1の液流路603が設けられている。また、第1の液流路603と第2の液流路604との間に、弾性を有する薄膜で形成された可動分離膜605が設けられており、可動分離膜605によって第1の液流路603内の吐出液と第2の液流路604内の発泡液とが区分されている。
【0267】
発熱体602を発熱させることにより、発泡液に膜沸騰現象に基づく気泡が発生する。ここで、第2の液流路604内において、発熱体602の面積中心より下流側の流抵抗Rが上流側の流抵抗Rよりも大きくなるような構成とすれば、気泡の発生に基づく圧力のうち、発熱体602の面積中心よりも下流側の成分が可動分離膜605に優先的に作用し、一方、上流側の成分は可動分離膜605だけでなく上流側に作用する。
【0268】
このため、気泡の成長が続くと、可動分離膜605が吐出口601側に大きく変位する。それにより、気泡発生領域607において発生した気泡による圧力が吐出口601側に導かれる。
【0269】
以下に、上記のように構成された液体吐出装置の吐出動作について詳細に説明する。
【0270】
図34は、図33に示した液体吐出装置の動作を説明するための図である。
【0271】
図34(a)においては、発熱体602に電気エネルギー等のエネルギーが印加されておらず、発熱体602において熱は発生していない。
【0272】
ここで、発熱体602に電気エネルギー等が印加されると、発熱体602が発熱して発生した熱によって気泡発生領域607内を満たす発泡液体の一部が加熱され、膜沸騰に伴って気泡606が発生する。気泡606が発生すると、気泡606の発生に基づく圧力により、可動分離膜605が気泡606の伝搬を受けて第1の位置から第2の位置へ変位し始める(図34(b))。
【0273】
ここで重要なことは、前述したように、第2の液流路604において、発熱体602の面積中心よりも下流側(吐出口側)の圧力成分が可動分離膜605に優先的に作用するように、下流側の流抵抗を上流側の流抵抗よりも大きくすることである。
【0274】
さらに気泡606が成長すると、下流側の圧力成分のうち、水平方向の成分は上述した下流方向の流抵抗を受けて上方へ向けられる。これにより、下流側の圧力成分のほとんどが優先的に可動分離膜605に作用し、可動分離膜605が第1の液流路603側にさらに変位する。これにともなって、可動分離膜605は吐出口601方向に大きくふくらむ(図34(c))。
【0275】
このように、気泡606の成長に応じて可動分離膜605の下流側部分が第1の液流路603側に徐々に変位していくことによって、下流側に気泡606が成長し、可動分離膜605が吐出口方向に大きくふくらむため、気泡606の発生による圧力が吐出口601方向に均一に向かう。それにより、吐出口601からの液体の吐出効率が高まる。なお、可動分離膜605は、発泡圧を吐出口601方向へ導く際もこの伝達の妨げになることはほとんどなく、伝搬する圧力の大きさに応じて効率よく圧力の伝搬方向や気泡606の成長方向を制御することができる。
【0276】
その後、気泡606が、前述した膜沸騰現象に特徴的な気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅すると、第2の位置まで変位していた可動分離膜605は、気泡606の収縮による負圧によって、第1の位置を越えて第2の液流路604側に変位した後、図34(a)に示した初期の位置(第1の位置)に戻る(図34(d))。また、消泡時には、吐出された液体の体積分を補うために、上流側すなわち共通液室側からVD1,VD2に示すように、また、吐出口401側からVに示すように液体が流れ込んでくる。また、第2の液流路604においても同様に、上流側から液体が流れ込んでくる。
【0277】
以下に、上述した液体吐出装置の構成について述べる。
【0278】
図35は、図33及び図34に示した液体吐出装置の第2の液流路604の構成を説明するための図であり、可動分離膜605が外された第2の液流路604を上方から見た図である。なお、図中下方が吐出口の配置方向である。
【0279】
第2の液流路604においては、発熱体602の前後で実施例5と同じ目的のための狭窄部609a,609bがそれぞれ設けられており、発泡時の圧力が第2の液流路604を伝わって逃げることを防止するような室(発泡室)構造となっている。ここで、第2の液流路604の狭窄部609a,609bにおいては、下流側(吐出口側)の開口部が上流側(共通液室)側の開口部よりも狭くなるように形成されている。このように、開口部の下流側を狭く形成することにより、第2の液流路604における流抵抗を下流側で大きく、上流側で小さくすることができ、気泡の発生により生じた圧力の下流側成分を効果的に、かつ、優先的に可動分離膜605に作用させ、第1の液流路603側に変位させることで、第1の液流路603内の液体を、効率よく、また、高い吐出力によって吐出することができる。ここで、第2の液流路604の発泡室の下流側の狭窄部609aは、発泡室に残留した泡を抜くための流路である。
【0280】
なお、第2の液流路604の形状においては、上述したものに限られるものではなく、気泡発生に伴う圧力が、効果的に可動分離膜605に伝達できる形状であればよい。
【0281】
以上述べたように、本実施例の構成によると、第2の液流路の発熱体の面積中心よりも下流側の流抵抗を上流側の流抵抗よりも大きくすることにより、気泡の発生に伴う圧力によって変位した可動分離膜が、下流側に成長するため、加熱に弱い液体や高粘性の液体等を効率良く高い吐出圧で吐出することができる。
【0282】
(実施例15)
図36は、本発明の液体吐出装置の第15の実施例を示す流路方向の断面図であり、発泡時における状態を示している。
【0283】
図36に示すように本実施例においては、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体702(本実施例においては、40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が設けられた基板710上に、発泡液用の第2の液流路704が設けられ、その上に吐出口701に直接連通した吐出液用の第1の液流路703が設けられている。また、第1の液流路703と第2の液流路704との間に、弾性を有する薄膜で形成された可動分離膜705が設けられており、可動分離膜705によって第1の液流路703内の吐出液と第2の液流路704内の発泡液とが区分されている。
【0284】
なお、本実施例における最も大きな特徴は、第1の液流路703を構成する天板709の高さ、すなわち、発熱体702の投影領域における第1液流路703の高さが、共通液室(不図示)がある上流側よりも吐出口701がある下流側の方が高くなるように形成されていることである。
【0285】
上記のように構成された液体吐出装置においては、発熱体702を発熱させることにより、発泡液に膜沸騰現象に基づく気泡706が発生する。ここで、気泡706が発生すると可動分離膜705が第1の液流路703側に変位するが、第1液流路703の高さが上流側よりも下流側の方が高くなるように形成されているため、可動分離膜705は上流側よりも下流側において大きく第1の液流路703側に変位する。それにより、気泡発生領域において発生した気泡706による圧力が吐出口701側に導かれる。
【0286】
以下に、上記のように構成された液体吐出装置の吐出動作について詳細に説明する。
【0287】
図37は、図36に示した液体吐出装置の動作を説明するための図である。
【0288】
図37(a)においては、発熱体702に電気エネルギー等のエネルギーが印加されておらず、発熱体702において熱は発生していない。なお、可動分離膜705は、基板710と略平行な第1の位置にある。
【0289】
ここで、発熱体702に電気エネルギー等が印加されると、発熱体702が発熱して発生した熱によって気泡発生領域707内を満たす発泡液体の一部が加熱され、膜沸騰に伴って気泡706が発生する。それにより、可動分離膜705の気泡発生領域707に面している部分が全体的に第1の液流路703側に変位する(図37(b))。
【0290】
さらに気泡706が成長すると、気泡発生に伴う圧力に応じて可動分離膜705が第1の液流路703側にさらに第2の位置へと変位するが、その際、第1液流路703の高さが上流側よりも下流側の方が高くなるように形成されているため、可動分離膜705は上流側よりも下流側において大きく第1の液流路703側に変位する(図37(c))。それゆえ、吐出効率の一層の公序うを図ることができる。
【0291】
その後、気泡706が、前述した膜沸騰現象に特徴的な気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅すると、第2の位置まで変位していた可動分離膜705は、気泡706の収縮による負圧によって図37(a)に示した初期の位置(第1の位置)に徐々に戻っていく(図37(d))。また、消泡時には、吐出された液体の体積分を補うために、上流側すなわち共通液室側から、また、吐出口701側から液体が流れ込んでくる。
【0292】
これにより、可動分離膜705が第2の液流路704側に変位した場合に生じる第1の液流路703側の変位分の液体積減少にともなうメニスカスの後退を抑制することができ、リフィル時間を短縮させることができる。
【0293】
(実施例16)
図38は、本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第16の実施例を示す流路方向の断面図であり、発泡時における状態を示している。
【0294】
本実施例は図38に示すように、図36に示したものに対して天板719の形状、すなわち第1の液流路713の形状が異なっており、その他の構成については同様である。
【0295】
本実施例における天板719は図38に示すように、発熱体702上よりも上流側の一部分の高さが、他の部分と比べて低くなっている。
【0296】
ここで、気泡716が発生すると可動分離膜705が第1の液流路713側に変位するが、発熱体702上の領域よりも上流側の一部分の第1液流路713の高さが他の部分よりも低くなるように形成されているため、可動分離膜705は上流側よりも下流側において大きく第1の液流路713側に変位する。それにより、気泡発生領域において発生した気泡716による圧力が吐出口701側に導かれる。また、第1の液流路713における流抵抗が下流側よりも上流側の方が高くなっているので、吐出効率が向上する上、第1の液流路における上流側からの供給特性が良いので、リフィル特性が一層向上する。
【0297】
(実施例17)
図39は、本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第17の実施例を示す流路方向の断面図であり、発泡時における状態を示している。
【0298】
本実施例は図39に示すように、図38に示したものに対して、発泡時において、可動分離膜725が、天板719の高さが低くなっている部分に接するような構成となっており、その他の構成については同様である。
【0299】
ここで、気泡736が発生すると可動分離膜725が第1の液流路723側に変位するが、発熱体702上の領域よりも上流側の一部分の第1液流路723の高さが他の部分よりも低くなるように形成されているため、可動分離膜725は上流側よりも下流側において大きく第1の液流路723側に変位する。そして、さらに気泡736が成長すると、第1の液流路723側に変位した可動分離膜725が第1の液流路723の天板719の高さが低くなった部分に接触し、可動分離膜725が天板719に押されるような形で変形する。それにより、可動分離膜725が下流側において第1の液流路723側にさらに大きく変位し、気泡発生領域において発生した気泡736による圧力が吐出口701側に導かれる。また、天板719の一部と可動分離膜725の一部とが接触することにより、第1の液流路723がその接触部分を境に2つに分離され、それにより、クロストークが防止されるとともに、気泡発生による圧力が上流側へ逃げることがなくなり、吐出効率が向上する。
【0300】
(実施例18)
図40は、本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第18の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時における状態を示す図、(b)は発泡時における状態を示す図である。
【0301】
本実施例は図40に示すように、図38に示したものに対して可動分離膜715のみが異なるものであり、その他の構成については同様である。
【0302】
本実施例における可動分離膜715は図40に示すように、発熱体702上の気泡が発生する気泡発生領域707の上流側及び下流側においてたるみ部715a,715bをそれぞれ有しており、それにより、ばね性を有する構造となっている。
【0303】
ここで、気泡726が発生すると可動分離膜715が第1の液流路713側に変位するが、発熱体702上の領域よりも上流側の一部分の第1液流路713の高さが他の部分よりも低くなるように形成されているため、可動分離膜715は上流側よりも下流側において大きく第1の液流路713側に変位する。それにより、気泡発生領域707において発生した気泡726による圧力が吐出口701側に導かれる。また、第1の液流路713における流抵抗が下流側よりも上流側の方が高くなっているので、リフィル特性が向上する。なお、本実施例においては、可動分離膜715の気泡発生領域707の上流側及び下流側においてたるみ部715a,715bがそれぞれ設けられており、それにより、可動分離膜715がばね性を有する構造となっているため、可動分離膜715が気泡発生の圧力によって変位しやすくなり、吐出効率が向上する。
【0304】
(実施例19)
図41は、本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第19の実施例を示す流路方向の断面図であり、発泡時における状態を示している。
【0305】
図41に示すように本実施例においては、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体702(本実施例においては、40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が設けられた基板710上に、発泡液用の第2の液流路704が設けられ、その上に吐出口701に直接連通した吐出液用の第1の液流路733が設けられている。また、第1の液流路733と第2の液流路704との間に、弾性を有する薄膜で形成された可動分離膜735が設けられており、可動分離膜735によって第1の液流路733内の吐出液と第2の液流路704内の発泡液とが区分されている。また、第1の液流路733内には、発熱体702上の領域に自由端を、それよりも上流側に支点をそれぞれ有する可動部材751が、可動分離膜735と略平行に可動分離膜735から所定の間隔を設けて配されている。なお、可動部材751と可動分離膜735との間隔においては、気泡発生の圧力により可動分離膜735が第1の液流路733側に変位した際に、可動部材751の自由端が可動分離膜735によって押し上げられる程度の間隔である。
【0306】
ここで、気泡746が発生すると可動分離膜735が第1の液流路703側に変位するが、可動分離膜735が第1の液流路733側に変位していき、可動分離膜735の上流部分が可動部材751と接近または接触すると、可動部材751によって可動分離膜735の変位している部分の上流部分の変位が抑制され、可動分離膜735は上流側よりも下流側において大きく第1の液流路733側に変位する。それにより、気泡発生領域において発生した気泡746による圧力が吐出口701側に導かれる。
【0307】
また、本実施例においては、可動部材751の作用により可動分離膜735の過剰変位が防止されるとともに、可動部材751と可動分離膜735とが互いに非発泡時において所定の間隔を設けて配されているため、可動分離膜735の変位初期における抵抗がなく、反応が速くなる。
【0308】
なお、上述した第15〜19の実施例においては、可動分離膜の可動領域の上方でかつ第1の液流路内における液体の流抵抗に着目しているものである。
【0309】
(実施例20)
図42は、本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第20の実施例を示す流路方向の断面模式図であり、(a)は非吐出時を示す図、(b)は吐出時を示す図である。
【0310】
本実施例は図42に示すように、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体802(本実施例においては、40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が設けられた基板810上に、発泡液用の第2の液流路804が設けられ、その上に吐出口801に直接連通した吐出液用の第1の液流路803が設けられている。また、第1の液流路803と第2の液流路804との間に、弾性を有する薄膜で形成された可動分離膜805が設けられており、第1の液流路803内の吐出液と第2の液流路804内の発泡液とが区分されている。
【0311】
ここで、可動分離膜805においては、発熱体802の面方向上方の投影部分に位置する部分において、発熱体802中心から下流側の厚さが上流側の厚さよりも薄くなるような形状となっており、それにより、発泡時に吐出口801側の変形が大きくなるように動作する(図42(b))。
【0312】
なお、可動分離膜805の形状においては、図42に示したものに限らず、発泡による圧力を効率良く吐出口側へ向けることができるようなものであればよい。
【0313】
なお、発熱体802と可動分離膜805との間が気泡発生領域807となる。
【0314】
発熱体802を発熱させることにより、発泡液に膜沸騰現象に基づく気泡が発生する。気泡の発生に基づく圧力は、可動分離膜805に優先的に作用し、可動分離膜805は図42(b)に示すように、吐出口801側に大きく変位する。それにより、気泡発生領域807において発生した気泡による圧力が吐出口801側に導かれる。
【0315】
以上述べたように、本実施例の構成によると、可動分離膜の発熱体の面方向上方の投影部分において、発熱体中心から下流側の厚さが上流側の厚さよりも薄く形成されているため、気泡の発生に伴う圧力で変位した可動分離膜のうち、薄い部分に圧力が積極的に作用し、吐出口方向に膨らみ、それにより、高吐出効率及び高吐出圧で液体を吐出することができる。
【0316】
(実施例21)
図43は、本発明の液体吐出装置の第21の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。なお、図中左方向が吐出口側である。
【0317】
本実施例における可動分離膜815は図43に示すように、上流側から吐出口が設けられた下流側に向かうにつれて徐々にその厚さが薄くなっている。なお、可動分離膜815はウレタン樹脂から成っている。
【0318】
以下に、本実施例における可動分離膜815の製造方法について説明する。
【0319】
まず、シリコンのミラーウエハ上に、離型剤を塗布し、その後、液状のウレタン樹脂をスピンコートして厚さ約3μmの膜を形成し、溶剤を蒸発させることにより薄膜化させる。
【0320】
次に、この膜をミラーウエハ上からはがし、上述した第2の液流路が形成された基板上に後端(上流側)を固定し、その後、膜先端の厚さが1μmになるように吐出口方向に膜を引っ張り、貼り付けることで作製した。
【0321】
このように可動分離膜815を作製することにより、気泡の成長に対し、可動分離膜815が自然と吐出口方向に変形するため、吐出力を効率良く液体の吐出に用いることができる。また、本実施例の可動分離膜815は気泡成長への応答性が優れているため、高速吐出にも対応できる。また、可動分離膜815を貼り付ける際の位置精度が要求されないため、液体吐出装置の製造も容易となる。
【0322】
以下に、本実施例における可動分離膜815の他の製造方法について説明する。
【0323】
まず、シリコンのミラーウエハ上に、離型剤を塗布し、その後、液状のウレタン樹脂の中にミラーウエハを漬けて、ゆっくりと引き上げる。その際、ミラーウエハの引き上げ速度を徐々に遅くすることにより膜厚を徐々に厚くすることができる。その後、溶剤を蒸発させることにより薄膜化させる。
【0324】
次に、この膜をミラーウエハ上からはがし、上述した第2の液流路が形成された基板上に位置決めを行い、貼り付けることで作製した。
【0325】
このように可動分離膜815を作製することにより、気泡の成長に対し、可動分離膜815が自然と吐出口方向に変形するため、吐出力を効率良く液体の吐出に用いることができる。また、本実施例の可動分離膜815は気泡成長への応答性が優れているため、高速吐出にも対応できる。
【0326】
(実施例22)
図44は、本発明の液体吐出装置の第22の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。なお、図中左方向が吐出口側である。
【0327】
本実施例における可動分離膜825は図44に示すように、発熱体802の中心よりも吐出口が設けられた下流側の所定の位置を境に、その下流側の厚さが上流側の厚さよりも薄くなるように形成されている。なお、可動分離膜825はポリイミド樹脂から成っている。
【0328】
以下に、本実施例における可動分離膜825の製造方法について説明する。
【0329】
図45は、図44に示した可動分離膜825の製造方法を説明するための図である。
【0330】
まず、図45(a)に示すようなシリコンのミラーウエハ871上に、離型剤を塗布し、その後、液状のポリイミド樹脂をスピンコートして厚さ約2μmの膜872を形成する(図45(b))。
【0331】
次に、膜872を紫外線照射により硬化させ、その上に、厚さ10μmのレジスト873をパターニングする(図45(c))。
【0332】
次に、さらにスピンコートにより、厚さ2μmのポリイミド樹脂からなる膜874を形成する(図45(d))。
【0333】
その後、膜874を紫外線照射により硬化させ、形成された膜872,874をミラーウエハ871上からはがし、上述した第2の液流路が形成された基板上に位置決めを行い、貼り付けることで作製した(図45(e))。
【0334】
なお、膜872,874においては、互いに材料が異なるものでもよい。また、膜872と膜874とを別々に作製し、組み立て段階で本実施例のような形態になるように接合してもよい。
【0335】
このように可動分離膜825を作製することにより、気泡の成長に対し、可動分離膜825が自然と吐出口方向に変形するため、吐出力を効率良く液体の吐出に用いることができる。また、本実施例の可動分離膜825は気泡成長への応答性が優れているため、高速吐出にも対応できる。
【0336】
(実施例23)
図46は、本発明の液体吐出装置の第23の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。なお、図中左方向が吐出口側である。
【0337】
本実施例における可動分離膜835は図46に示すように、発熱体802の中心よりも吐出口が設けられた下流側の所定の位置を境に、その下流側の厚さが上流側の厚さよりも薄くなり、かつ、発熱体802の下流側の端部よりもさらに下流側の所定の位置を境に、その下流側の厚さが上流側の厚さよりも厚くなるように形成されている。なお、可動分離膜835はポリイミド樹脂から成っている。
【0338】
以下に、本実施例における可動分離膜835の製造方法について説明する。
【0339】
図47は、図46に示した可動分離膜835の製造方法を説明するための図である。
【0340】
まず、図47(a)に示すようなシリコンのミラーウエハ871上に、離型剤を塗布し、その後、液状のポリイミド樹脂をスピンコートして厚さ約3μmの膜875を形成し、その膜を紫外線照射により硬化させる(図47(b))。
【0341】
次に、上述した厚さ約3μmの膜875上の、エッチングを行わない部分にレジスト876をパターニングする。なお、レジストとしては、OFPR800を使用した(東京応化社製)。
【0342】
レジスト876を、6μmの厚さに塗布した後、100℃でプリベークした。露光には、キヤノン製のPLA600を使用し、露光量は450mJとした。また、現像は、現像液のMND−3(東京応化社製)を使用した後、120℃でポストベークした(図47(c))。
【0343】
次に、ポリイミド樹脂からなる膜875を2μmの厚さだけエッチングした。なお、エッチングは、キヤノン製のMAS−800を使用し、基板温度を50℃とし、マイクロ波パワーを500W、酸素流量を200sccm、圧力を100Paで行った(図47(d))。
【0344】
次に、レジスト876を除去するために、リムーバ1112−A(シュプレイ社製)に漬けて、超音波をかけ、それにより、レジスト876を除去した。
【0345】
その後、ポリイミド樹脂からなる膜875をミラーウエハ871上からはがし、上述した第2の液流路が形成された基板上に位置決めを行い、貼り付けることで作製した(図47(e))。
【0346】
このように可動分離膜835を作製することにより、気泡の成長に対し、可動分離膜835が自然と吐出口方向に変形するため、吐出力を効率良く液体の吐出に用いることができる。また、本実施例の可動分離膜835は気泡成長への応答性が優れているため、高速吐出にも対応できる。
【0347】
図48は、図46及び図47に示した可動分離膜の類似形を示す図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。なお、図中左方向が吐出口側である。
【0348】
図48に示すように、図46及び図47に示した可動分離膜の類似形として、液流路毎に膜厚の薄い部分を作製してもよい。それにより、発泡圧力が効率良く吐出口に集中する。
【0349】
(実施例24)
図49は、本発明の液体吐出装置の第24の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。なお、図中左方向が吐出口側である。
【0350】
本実施例における可動分離膜855は図49に示すように、発熱体802の中心よりも上流側の所定の位置を境に、その下流側の厚さが上流側の厚さよりも薄くなり、かつ、発熱体802の下流側の端部を境に、その下流側の厚さが上流側の厚さよりも厚くなるように形成されている。なお、可動分離膜855はポリイミド樹脂から成っており、第22の実施の形態において示したものと同様の方法により作製した。
【0351】
このように可動分離膜855を作製することにより、気泡の成長に対し、可動分離膜855が自然と吐出口方向に変形するため、吐出力を効率良く液体の吐出に用いることができる。また、本実施例の可動分離膜855は気泡成長への応答性が優れているため、高速吐出にも対応できる。
【0352】
また、本実施例の類似形として、液流路毎に膜厚の薄い部分を作製してもよい。それにより、発泡圧力が効率良く吐出口に集中する。
【0353】
(実施例25)
図50は、本発明の液体吐出装置の第25の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。なお、図中左方向が吐出口側である。
【0354】
本実施例における可動分離膜865は図50に示すように、発熱体802の中心から下流側にかけてその厚さが薄くなる部分を有している。なお、可動分離膜865はポリイミド樹脂から成っている。
【0355】
以下に、本実施例における可動分離膜865の製造方法について説明する。
【0356】
図51は、図50に示した可動分離膜865の製造方法を説明するための図である。
【0357】
まず、母型となるシリコン基板877上の一部を、縦横4μmの棒状の酸化シリコン878を用いてマスキングし(図51(a))、異方性エッチングを行う(図51(b))。
【0358】
次に、シリコン基板877上に離型剤を塗布し、その後、液状のポリイミド樹脂をスピンコートして厚さ約3μmの膜879を形成し、その膜を紫外線照射により硬化させる(図51(c))。
【0359】
その後、膜879をシリコン基板877上からはがし、上述した第2の液流路が形成された基板上に位置決めを行い、貼り付けることで作製した(図51(d))。
【0360】
このように可動分離膜865を作製することにより、気泡の成長に対し、可動分離膜865が自然と吐出口方向に変形するため、吐出力を効率良く液体の吐出に用いることができる。また、本実施例の可動分離膜865は気泡成長への応答性が優れているため、高速吐出にも対応できる。
【0361】
また、本実施例の類似形として、液流路毎に膜厚の薄い部分を作製してもよい。それにより、発泡圧力が効率良く吐出口に集中する。
【0362】
ここで、上述した全ての実施例においては、第1の液流路内の液体の流れ方向と平行な方向に液体が吐出される吐出方式を用いて本発明を説明してきたが、本発明は、上述した吐出方式に限られず、第1の液流路内の液体の流れ方向と垂直な方向に液体が吐出される吐出方式を用いたものであっても、気泡が発生する領域に対して下流側に吐出口が設けられているものであれば適用することができる。
【0363】
図52は、本発明を、第1の液流路内の液体の流れ方向と垂直な方向に液体が吐出されるように気泡発生領域よりも下流側に吐出口を配置したものに適用した例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時の状態を示す図である。
【0364】
図59に示すように、第1の液流路903内の液体の流れ方向と垂直な方向に吐出口901が配されたものにおいても、気泡発生領域907に対して下流側に吐出口901が配されていれば、上述した各実施例の構成を用いることにより同様の効果を得ることができる。
【0365】
【発明の効果】
本発明では、液体の流れ方向に関して、可動分離膜の下流側部分が可動分離膜の上流側部分よりも相対的に吐出口側へ大きく変位するので、第1の液流路内の液体を気泡の発生に伴って吐出口から効率良く吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吐出方法の第1の実施の形態を説明するための流路方向の断面図である。
【図2】本発明の液体吐出方法の第2の実施の形態を説明するための流路方向の断面図である。
【図3】本発明の液体吐出方法における可動分離膜の変位工程を説明するための流路方向の断面図である。
【図4】本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第1の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図、(c)は消泡時の状態を示す図である。
【図5】本発明の液体吐出装置の一構成例を示す縦断面図であり、(a)は後述する保護膜がある装置を示す図、(b)は保護膜がない装置を示す図である。
【図6】図5に示した電気抵抗層に印加する電圧波形を示す図である。
【図7】本発明の液体吐出装置の一構成例を示す模式図である。
【図8】本発明の液体吐出装置の一構成例を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の液体吐出装置の第2の実施例を示す図であり、(a)は非発泡時における流路方向の断面図、(b)は発泡時における流路方向の断面図、(c)は(a)に示した図面の第2の液流路から第1の液流路を見た図である。
【図10】本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第3の実施例を示す流路方向の断面図である。
【図11】本発明の液体吐出装置に用いられる可動分離膜の特性を示す図であり、(a)は気泡発生領域において発生した気泡の圧力fとそれに対する可動分離膜の応力Fとの関係を示す図であり、(b)は(a)に示した気泡の体積変化に対する可動分離膜の応力Fの特性を示すグラフである。
【図12】本発明の液体吐出装置の第4の実施例を示す図であり、(a)は流路方向の断面図、(b)は上面図である。
【図13】本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第5の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図である。
【図14】図13に示した液体吐出装置の部分破断斜視図である。
【図15】図13及び図14に示した液体吐出装置の動作を説明するための図である。
【図16】図13〜図15に示した液体吐出装置の可動分離膜205の肉厚部205aと第2の液流路204との配置関係を説明するための図であり、(a)は、肉厚部205aを上方から見た図、(b)は、可動分離膜205を外した第2の液流路204を上方から見た図、(c)は、肉厚部205aと第2の液流路204との配置関係をこれらを重ねることで模式的に示した図である。
【図17】本発明の液体吐出装置の一構成例を示す模式図である。
【図18】本発明の液体吐出装置の一構成例を示す分解斜視図である。
【図19】図13〜図18に示した液体吐出装置における可動分離膜の作製工程を説明するための図である。
【図20】本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第6の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図である。
【図21】図20に示した液体吐出装置の変形例における液体吐出方法を説明するための図である。
【図22】本発明の液体吐出装置の第7の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図である。
【図23】本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第8の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図である。
【図24】本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第9の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図である。
【図25】本発明の液体吐出装置の第10の実施例を示す図であり、(a)は非発泡時の状態を示す流路方向の断面図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す流路方向の断面図、(c)は第2の液流路の構成を示す図である。
【図26】本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第11の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時(吐出時)の状態を示す図である。
【図27】図26に示した液体吐出装置の変形例を示す流路方向の断面図であり、(a)は第2の液流路壁の一部が階段状に形成されているものを示す図、(b)は第2の液流路壁の一部が曲面状に形成されているものを示す図である。
【図28】本発明の液体吐出装置の第12の実施例を示す図であり、(a)は第2の液流路と発熱体との位置関係を示す上面図、(b)は(a)に示した斜視図であり、図28(a)中左側が吐出口の配置方向である。
【図29】図28に示した液体吐出装置における吐出動作を説明するための図であり、(a)は図28に示したB−B断面図、(b)は図28に示したA−A断面図、(c)は図28に示したC−C断面図である。
【図30】図28に示した液体吐出装置の変形例を示す図であり、(a)は発熱体の近傍の第2の液流路の幅が上流側から下流側に向かうにつれて階段状に徐々に広くなっているものを示す図、(b)は発熱体の近傍の第2の液流路の幅が上流側から下流側に向かうにつれて曲面状に徐々に広くなっているものを示す図、(c)は発熱体の近傍の第2の液流路の幅が上流側から下流側に向かうにつれて(b)とは逆の曲面状に徐々に広くなっているものを示す図である。
【図31】本発明の液体吐出装置の第13の実施例を示す液体吐出装置の動作を説明するための図である。
【図32】図31に示した液体吐出装置の発熱体と第2の液流路と可動分離膜変位規制部材との配置関係を説明するための図であり、(a)は発熱体と第2の液流路との位置関係を示す図、(b)は可動分離膜変位規制部材を上から見た図、(c)は発熱体と第2の液流路と可動分離膜変位規制部材との配置関係を示す図、(d)は可動分離膜の変位可能領域を示す図である。
【図33】本発明の液体吐出装置の第14の実施例を示す流路方向の断面図である。
【図34】図33に示した液体吐出装置の動作を説明するための図である。
【図35】図33及び図34に示した液体吐出装置の第2の液流路の構成を説明するための図であり、可動分離膜が外された第2の液流路を上方から見た図である。
【図36】本発明の液体吐出装置の第15の実施例を示す流路方向の断面図であり、発泡時における状態を示している。
【図37】図36に示した液体吐出装置の動作を説明するための図である。
【図38】本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第16の実施例を示す流路方向の断面図であり、発泡時における状態を示している。
【図39】本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第17の実施例を示す流路方向の断面図であり、発泡時における状態を示している。
【図40】本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第18の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時における状態を示す図、(b)は発泡時における状態を示す図である。
【図41】本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第19の実施例を示す流路方向の断面図であり、発泡時における状態を示している。
【図42】本発明の液体吐出方法及び液体吐出装置の第20の実施例を示す流路方向の断面模式図であり、(a)は非吐出時を示す図、(b)は吐出時を示す図である。
【図43】本発明の液体吐出装置の第21の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【図44】本発明の液体吐出装置の第22の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【図45】図44に示した可動分離膜の製造方法を説明するための図である。
【図46】本発明の液体吐出装置の第23の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【図47】図46に示した可動分離膜の製造方法を説明するための図である。
【図48】図46及び図47に示した可動分離膜の類似形を示す図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。なお、図中左方向が吐出口側である。
【図49】本発明の液体吐出装置の第24の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【図50】本発明の液体吐出装置の第25の実施例を示す流路方向の断面図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【図51】図50に示した可動分離膜の製造方法を説明するための図である。
【図52】本発明を、第1の液流路内の液体の流れ方向と垂直な方向に液体が吐出されるように気泡発生領域よりも下流側に吐出口を配置したものに適用した例を示す流路方向の断面図であり、(a)は非発泡時の状態を示す図、(b)は発泡時の状態を示す図である。
【符号の説明】
1,11,21,101,201,301,401,501,601,701,801,901 吐出口
2,12,22,102,112,202,212,302,402,442,502,602,702,802,902 発熱体
3,13,23,103,203,213,303,403,443,503,603,703,713,723,733,803,903 第1の液流路
4,14,24,104,204,214,304,404,414,424,434,444,454,464,474,504,604,704,804,904 第2の液流路
5,15,25,105,115,205,215,305,315,405,445,505,605,705,715,725,735,805,815,825,835,845,855,865,905 可動分離膜
6,16,26,106,116,206,216,306,316,406,416,446,506,606,706,716,726,736,746,806,906 気泡
7,17,27,107,117,207,307,407,447,507,607,707,807,907 気泡発生領域
110,120,210,220,310,410,420,510,610,710,810 基板
110a 耐キャビテーション膜
110b 保護層
110c 配線電極
110d 電気抵抗層
110e シリコン酸化膜またはチッ化シリコン膜
110f 基体
131,151,161,231,331,751 可動部材
131a,151a,161a 自由端
131b,151b,161b,205d,805d 支点
131c,151c,161c 接着部
132,232 溝付部材
133,233 第1の液体供給路
134,234 第2の液体供給路
135,235 オリフィスプレート
136,236 支持体
143,243 第1の共通液室
144,244 第2の共通液室
151d 湾曲部
161e 下位変位抑制部
205a 肉厚部
205b 凹部
205d,715a,715b たるみ部
209,409,449,509,609a,609b 狭窄部
305a,315a 凸形状部
531 変位規制部材
709,719,729 天板
871 ミラーウエハ
872,874,875,879 膜
873,876 レジスト
877 シリコン基板
878 酸化シリコン

Claims (57)

  1. 液体を吐出する吐出口に連通する第1の液流路と、発熱体が発生する熱により液体に気泡を発生させる気泡発生領域を具備する第2の液流路とを互いに常に実質的に分離する可動分離膜を、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で前記気泡を利用して変位せしめることにより前記吐出口から液体を吐出する液体吐出方法において、
    前記可動分離膜の、前記発熱体と対向する領域の中央部から見て、液体の流れ方向に関して前記可動分離膜の下流側部分前記可動分離膜の上流側部分よりも相対的に前記吐出口側へ大きく変位させる工程を有することを特徴とする液体吐出方法。
  2. 請求項1に記載の液体吐出方法において、
    前記工程は、前記気泡の成長過程の途中以降になされることを特徴とする液体吐出方法。
  3. 請求項1に記載の液体吐出方法において、
    前記工程は、前記気泡の成長過程の実質的に初期以降に継続してなされることを特徴とする液体吐出方法。
  4. 請求項1に記載の液体吐出方法において、
    前記工程は、前記可動分離膜が初期状態から変位する範囲が少なくとも前記下流側に徐々に広がる期間を含むことを特徴とする液体吐出方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出方法において、
    前記工程は、前記可動分離膜変位する方向を規制する方向規制手段によって、前記可動分離膜の、前記発熱体と対向する領域の中央部から見て、液体の流れ方向に関して前記可動分離膜の下流側部分を前記可動分離膜の上流側部分よりも相対的に前記吐出口側へ大きく変位させる工程であることを特徴とする液体吐出方法。
  6. 請求項1に記載の液体吐出方法において、
    前記工程は、前記可動分離膜としてその形状が予め規定されたものを用いることによって、前記可動分離膜の、前記発熱体と対向する領域の中央部から見て、 液体の流れ方向に関して前記可動分離膜の下流側部分を前記可動分離膜の上流側部分よりも相対的に前記吐出口側へ大きく変位させる工程であることを特徴とする液体吐出方法。
  7. 請求項1に記載の液体吐出方法において、
    前記工程は、前記可動分離膜のたるみの伸縮を利用することによって、前記可動分離膜の、前記発熱体と対向する領域の中央部から見て、液体の流れ方向に関して前記可動分離膜の下流側部分を前記可動分離膜の上流側部分よりも相対的に前記吐出口側へ大きく変位させる工程であることを特徴とする液体吐出方法。
  8. 請求項1に記載の液体吐出方法において、
    前記工程は、前記第2の液流路内での前記気泡の成長を、前記第2の液流路内にて液体の流れ方向に関して相対的に上流側よりも下流側の方が気泡が大きくなるように規制することによって、前記可動分離膜の、前記発熱体と対向する領域の中央部から見て、液体の流れ方向に関して前記可動分離膜の下流側部分を前記可動分離膜の上流側部分よりも相対的に前記吐出口側へ大きく変位させる工程であることを特徴とする液体吐出方法。
  9. 請求項1に記載の液体吐出方法において、
    前記工程での前記可動分離膜は、前記第2の液流路から前記第1の液流路に向かって鼻形状をなしていることを特徴とする液体吐出方法。
  10. 請求項9に記載の液体吐出方法において、
    前記可動分離膜、初期状態にて前記可動分離膜上の所定の点よりも上流側に位置していた前記可動分離膜上の点が、前記工程にて前記所定の点よりも下流側に位置するように変位させることを特徴とする液体吐出方法。
  11. 請求項5に記載の液体吐出方法において、
    前記気泡を消泡させる消泡工程を有し、
    消泡工程において、前記可動分離膜と該可動分離膜の変位方向を規制するための可動部材とが互いに一体となって変位することを特徴とする液体吐出方法。
  12. 液体を吐出する吐出口に連通する第1の液流路と、
    液体に気泡を発生させる気泡発生領域を具備する第2の液流路と、
    前記第1の液流路と前記第2の液流路とを互いに常に実質的に分離する可動分離膜とを少なくとも有してなる液体吐出装置において、
    前記可動分離膜気泡の発生によって、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位するとともに、液体の流れ方向に関して相対的に前記可動分離膜の下流側部分が前記可動分離膜の上流側部分よりも前記吐出口側へ大きく変位することを特徴とする液体吐出装置。
  13. 請求項12に記載の液体吐出装置において、
    該可動分離膜は、弾性を有し、該弾性によって、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位するとともに、液体の流れ方向に関して相対的に前記可動分離膜の下流側部分が前記可動分離膜の上流側部分よりも前記吐出口側へ大きく変位することを特徴とする液体吐出装置。
  14. 請求項13に記載の液体吐出装置において、
    前記可動分離膜は、前記気泡発生領域の中央部分よりも下流側にたるみ部を有し、該たるみ部の伸縮によって、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位するとともに、液体の流れ方向に関して相対的に前記可動分離膜の下流側部分が前記可動分離膜の上流側部分よりも前記吐出口側へ大きく変位することを特徴とする液体吐出装置。
  15. 請求項12に記載の液体吐出装置において、
    前記可動分離膜は、前記気泡発生領域と面する部分が他の領域と比べて厚さが厚く構成されていることを特徴とする液体吐出装置。
  16. 請求項14に記載の液体吐出装置において、
    前記可動分離膜は、前記気泡発生領域と面する部分が他の領域と比べて厚さが厚く構成されていることを特徴とする液体吐出装置。
  17. 液体を吐出する吐出口に連通する第1の液流路と、
    液体に気泡を発生させる気泡発生領域を具備する第2の液流路と、
    前記第1の液流路と前記第2の液流路とを互いに常に実質的に分離する可動分離膜とを少なくとも有してなる液体吐出装置において、
    前記可動分離膜に隣接して配され、前記可動分離膜を、気泡の発生によって、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位せしめるとともに、液体の流れ方向に関して相対的に前記可動分離膜の下流側部分 が前記可動分離膜の上流側部分よりも前記吐出口側へ大きく変位せしめる可動部材を有することを特徴とする液体吐出装置。
  18. 請求項17に記載の液体吐出装置において、
    前記可動部材は、前記気泡発生領域と面する部分の上流側端部よりも下流側に自由端、該自由端よりも上流側に支点をそれぞれ具備し、気泡の発生により前記支点を軸として変位することを特徴とする液体吐出装置。
  19. 請求項17または請求項18に記載の液体吐出装置において、
    前記可動部材は、前記可動分離膜の前記第1の液流路側に配されていることを特徴とする液体吐出装置。
  20. 請求項17または請求項18に記載の液体吐出装置において、
    前記可動部材は、前記可動分離膜の前記第2の液流路側に配されていることを特徴とする液体吐出装置。
  21. 請求項17乃至19のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
    前記可動部材は、前記第1の液流路側に湾曲した湾曲部を具備することを特徴とする液体吐出装置。
  22. 請求項21に記載の液体吐出装置において、
    前記湾曲部は、前記気泡発生領域の中央部分よりも液体の流れ方向上流側に配されていることを特徴とする液体吐出装置。
  23. 液体を吐出する吐出口に連通する第1の液流路と、
    液体に気泡を発生させる気泡発生領域を具備する第2の液流路と、
    前記第1の液流路と前記第2の液流路とを互いに常に実質的に分離する可動分離膜とを少なくとも有してなる液体吐出装置において、
    前記第2の液流路は、前記可動分離膜を、気泡の発生によって、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位せしめるとともに、液体の流れ方向に関して相対的に前記可動分離膜の下流側部分が前記可動分離膜の上流側部分よりも前記吐出口側へ大きく変位せしめるように気泡の成長を 規制する形状を有することを特徴とする液体吐出装置。
  24. 請求項23に記載の液体吐出装置において、
    前記第2の液流路は、前記気泡発生領域よりも下流側まで設けられていることを特徴とする液体吐出装置。
  25. 請求項23に記載の液体吐出装置において、
    前記第2の液流路の下流側端部の流路壁は、前記第1の液流路側に向かうにつれて第2の液流路の長さが長くなるように形成されていることを特徴とする液体吐出装置。
  26. 請求項23に記載の液体吐出装置において、
    該第2の液流路の幅が、上流側から下流側に向かうにつれて徐々に広くなっていることを特徴とする液体吐出装置。
  27. 液体を吐出する吐出口に連通する第1の液流路と、
    液体に気泡を発生させる気泡発生領域を具備する第2の液流路と、
    前記第1の液流路と前記第2の液流路とを互いに常に実質的に分離する可動分離膜とを少なくとも有してなる液体吐出装置において、
    前記気泡発生領域の前記可動分離膜と対向する位置に設けられ、前記気泡を発生させるための熱を発生する発熱体
    前記可動分離膜の前記第1の液流路側に、前記気泡発生領域近傍に前記発熱体を含むように形成された開口部を具備して配され、前記可動分離膜の変位を制限することにより、前記可動分離膜を、気泡の発生によって、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位せしめるとともに、液体の流れ方向に関して相対的に前記可動分離膜の下流側部分が前記可動分離膜の上流側部分よりも前記吐出口側へ大きく変位せしめる可動分離膜変位規制部材とを有することを特徴とする液体吐出装置。
  28. 請求項27に記載の液体吐出装置において、
    前記可動分離膜変位規制部材の開口部の面積は、前記発熱体の面積よりも大きいことを特徴とする液体吐出装置。
  29. 請求項27に記載の液体吐出装置において、
    前記可動分離膜変位規制部材の開口部の中心が、前記発熱体の中心よりも下流側に設けられていることを特徴とする液体吐出装置。
  30. 請求項28に記載の液体吐出装置において、
    前記可動分離膜変位規制部材の開口部の中心が、前記発熱体の中心よりも下流側に設けられていることを特徴とする液体吐出装置。
  31. 液体を吐出する吐出口に連通する第1の液流路と、
    液体に気泡を発生させる気泡発生領域を具備する第2の液流路と、
    前記第1の液流路と前記第2の液流路とを互いに常に実質的に分離する可動分離膜とを少なくとも有してなる液体吐出装置において、
    前記第2の液流路は、前記可動分離膜を、気泡の発生によって、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位せしめるとともに、液体の流れ方向に関して相対的に前記可動分離膜の下流側部分が前記可動分離膜の上流側部分よりも前記吐出口側へ大きく変位せしめるように気泡の成長を規制する流抵抗を有することを特徴とする液体吐出装置。
  32. 請求項31に記載の液体吐出装置において、
    該第2の液流路は、内部の流抵抗が前記気泡発生領域の中心より下流側が上流側よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする液体吐出装置。
  33. 液体を吐出する吐出口に連通する第1の液流路と、
    液体に気泡を発生させる気泡発生領域を具備する第2の液流路と、
    前記第1の液流路と前記第2の液流路とを互いに常に実質的に分離する可動分離膜とを少なくとも有してなる液体吐出装置において、
    前記第1の液流路は、前記可動分離膜を、気泡の発生によって、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位せしめるとともに、液体の流れ方向に関して相対的に前記可動分離膜の下流側部分が前記可動分離膜の上流側部分よりも前記吐出口側へ大きく変位せしめるような形状を有することを特徴とする液体吐出装置。
  34. 請求項33に記載の液体吐出装置において、
    前記第1の液流路のうち前記可動分離膜の可動領域上の流抵抗は、相対的に下流側よりも上流側の方が大きいことを特徴とする液体吐出装置。
  35. 請求項33に記載の液体吐出装置において、
    前記第1の液流路の高さが、上流側から下流側に向かうにつれて高くなっていることを特徴とする液体吐出装置。
  36. 請求項33に記載の液体吐出装置において、
    前記第1の液流路は、相対的に上流側における高さが下流側における高さよりも少なくとも一部分において低くなるように形成されていることを特徴とする液体吐出装置。
  37. 請求項36に記載の液体吐出装置において、
    前記第1の液流路は、前記可動分離膜が前記第1の液流路側に変位した際に流路壁と前記可動分離膜とが少なくとも一部において接するように形成されていることを特徴とする液体吐出装置。
  38. 請求項36に記載の液体吐出装置において、
    前記可動分離膜は、前記気泡発生領域の中央部分よりも液体の流れ方向上流側にたるみ部を有し、該たるみ部の伸縮により、気泡の発生によって、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位するとともに、液体の流れ方向に関して相対的に前記可動分離膜の下流側部分が前記可動分離膜の上流側部分よりも前記吐出口側へ大きく変位することを特徴とする液体吐出装置。
  39. 液体を吐出する吐出口に連通する第1の液流路と、
    液体に気泡を発生させる気泡発生領域を具備する第2の液流路と、
    前記第1の液流路と前記第2の液流路とを互いに常に実質的に分離する可動分離膜とを少なくとも有してなる液体吐出装置において、
    前記可動分離膜と所定の間隔を設けて略平行に配され、前記可動分離膜を、気泡の発生によって、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位せしめるとともに、液体の流れ方向に関して相対的に前記可動分離膜の下流側部分が前記可動分離膜の上流側部分よりも前記吐出口側へ大きく変位せしめる可動部材を有することを特徴とする液体吐出装置。
  40. 請求項39に記載の液体吐出装置において、
    前記可動部材は、前記気泡発生領域と面する部分の上流側端部よりも下流側に自由端、該自由端よりも上流側に支点をそれぞれ具備し、気泡の発生により前記 支点を軸として変位することを特徴とする液体吐出装置。
  41. 請求項39または請求項40に記載の液体吐出装置において、
    前記可動部材は、前記可動分離膜の前記第1の液流路側に配されていることを特徴とする液体吐出装置。
  42. 液体を吐出する吐出口に連通する第1の液流路と、
    液体に気泡を発生させる気泡発生領域を具備する第2の液流路と、
    前記第1の液流路と前記第2の液流路とを互いに常に実質的に分離する可動分離膜とを少なくとも有してなる液体吐出装置において、
    前記可動分離膜は、気泡の発生によって、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位するとともに、液体の流れ方向に関して相対的に前記可動分離膜の下流側部分が前記可動分離膜の上流側部分よりも前記吐出口側へ大きく変位するような厚さを有することを特徴とする液体吐出装置。
  43. 請求項42に記載の液体吐出装置において、
    前記可動分離膜は、その厚さが上流側から下流側に向かうにつれて徐々に薄くなるように形成されていることを特徴とする液体吐出装置。
  44. 請求項42に記載の液体吐出装置において、
    前記可動分離膜は、所定の位置を境に、下流側の厚さが上流側の厚さよりも薄くなるように形成されていることを特徴とする液体吐出装置。
  45. 液体を吐出する吐出口に連通する第1の液流路と、
    液体に気泡を発生させる気泡発生領域を具備する第2の液流路と、
    前記第1の液流路と前記第2の液流路とを互いに常に実質的に分離する可動分離膜とを少なくとも有してなる液体吐出装置において、
    前記可動分離膜の前記気泡発生領域に面する部分に、非発泡時に前記第2の液流路側に突出し、発泡時に前記第1の流路側に突出するように配され、前記可動分離膜を、気泡の発生によって、前記第1の液流路における液体の流れに関して前記吐出口よりも上流側で変位せしめるとともに、液体の流れ方向に関して相対的に前記可動分離膜の下流側部分が前記可動分離膜の上流側部分よりも前記吐出 口側へ大きく変位せしめる凸形状部を有することを特徴とする液体吐出装置。
  46. 請求項45に記載の液体吐出装置において、
    前記凸形状部は、相対的に下流側における突出高さが上流側における突出高さよりも高くなるように形成されていることを特徴とする液体吐出装置。
  47. 請求項46に記載の液体吐出装置において、
    前記凸形状部の変位に伴う最大容積が、前記気泡発生領域において発生する気泡の最大膨張体積よりも大きいことを特徴とする液体吐出装置。
  48. 請求項46に記載の液体吐出装置において、
    前記凸形状部の変位に伴う最大容積が、前記気泡発生領域において発生する気泡の最大膨張体積よりも小さいことを特徴とする液体吐出装置。
  49. 請求項47または請求項48に記載の液体吐出装置において、
    前記可動分離膜の前記第1の液流路側に、前記可動分離膜に隣接して配され、前記気泡発生領域と面する部分の上流側端部よりも下流側に自由端、該自由端よりも上流側に支点をそれぞれ具備し、気泡の発生により前記支点を軸として変位する可動部材を有することを特徴とする液体吐出装置。
  50. 請求項17、請求項18、請求項19、請求項20、請求項21または請求項49に記載の液体吐出装置において、
    前記可動分離膜と前記可動部材とは、前記気泡の消泡に伴って互いに一体となって変位することを特徴とする液体吐出装置。
  51. 請求項12乃至26のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
    前記気泡発生領域の前記可動分離膜に対向する位置に、前記気泡を発生させるための熱を発生する発熱体を有することを特徴とする液体吐出装置。
  52. 請求項31乃至51のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
    前記気泡発生領域の前記可動分離膜に対向する位置に、前記気泡を発生させるための熱を発生する発熱体を有することを特徴とする液体吐出装置。
  53. 請求項27、請求項28、請求項29、請求項30、請求項51または請求項52に記載の液体吐出装置において、
    前記気泡発生領域において発生した気泡の下流部分は、前記発熱体の面積中心より下流側で発生した気泡であることを特徴とする液体吐出装置。
  54. 請求項51乃至53のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
    前記可動分離膜は、前記発熱体の面積中心より前記吐出口側に、前記発熱体の面積中心に対して前記吐出口とは反対側に設けられた支点を起点として前記第1の液流路側に変位する自由端が位置することを特徴とする液体吐出装置。
  55. 請求項27、請求項28、請求項29、請求項30、請求項51または請求項52に記載の液体吐出装置において、
    前記気泡は、前記発熱体において発生する熱によって液体に膜沸騰現象を生じさせることにより発生する気泡であることを特徴とする液体吐出装置。
  56. 請求項12乃至57のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
    前記第1の液流路に供給される液体と前記第2の液流路に供給される液体とは互いに異なる液体であることを特徴とする液体吐出装置。
  57. 請求項56に記載の液体吐出装置において、
    前記第2の液流路に供給される液体は、前記第1の液流路に供給される液体に比べて、低粘度性、発泡性、熱安定性のうち少なくとも1つの性質において優れている液体であることを特徴とする液体吐出装置。
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