JP3510333B2 - 円筒型液封入防振装置 - Google Patents
円筒型液封入防振装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエンジンマウント等に利
用される円筒型の液封入防振装置に関し、特に広い範囲
で良好な振動吸収特性を示す液封入防振装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の円筒型液封入防振装置の一般的構
造を図5に示す。図において、外筒1内にはほぼ同軸状
に内筒2が配してあり、これら内筒と外筒の間には、筒
状インサート板4内に保持されて防振ゴム体3が配設し
てある。上記防振ゴム体3は、軸方向の両端部を除く上
記内筒2の下方を凹陥せしめて上記外筒1との間に空間
を形成し、その内部を主液室Aとなしてある。一方、上
記インサート板4の外周にはリング状の絞り部材7が配
設され、その上部開口を覆って薄肉のゴム膜8が配され
て、このゴム膜8と上記インサート板4の間に副液室B
を形成している。これら主液室Aと副液室Bとは、絞り
部材7内に設けたオリフィス71にて連通しており、封
入液を該オリフィス71に流通せしめることにより、低
周波領域、主にエンジンのシェイク振動の低減を図って
いる。 【0003】ところで、上記構成では、シェイク振動よ
り高周波側のアイドリング領域における動ばね定数が高
くなり、アイドリング振動を抑える効果は小さい。この
ため、より広い周波数領域で効果的に振動低減が可能な
装置の開発が望まれていた。 【0004】複数の周波数領域で、振動吸収効果をもた
せたものとして、例えば特開平1−126451号公報
には、ゴム体内部に3つの液室を構成し、これらの液室
を個々にオリフィス通路を介して連通させることにより
2つの振動系を構成し、各振動系が異なる振動の吸収を
行なうようにした防振装置が記載されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の装置では、第1の液室と、第2、第3の液室とを連
通するオリフィス通路をそれぞれ独立に形成しており、
このオリフィス通路を形成するための筒状部材をゴム体
と外筒部材との間に設ける必要があるなど、部品点数が
多く、構成が複雑となる。従って製作に手間がかかり、
製作コストが上昇するという問題があった。 【0006】しかして本発明の目的は、簡単な構造で、
製作が容易であり、しかも複数の異なる周波数領域にお
いて、優れた振動吸収効果を有する円筒型液封入防振装
置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の円筒型液封入防
振装置の構成を図1に示すと、外筒1と内筒2を軸方向
が一致するように配し、筒状のインサート板4の内空間
および外周にゴム材を射出せしめて前記外筒1と内筒2
の間に防振ゴム体3を配設してある。防振ゴム体3は、
その一部を凹陥せしめて上記外筒1との間に主液室Aを
形成してある。上記防振ゴム体3には、他の部分の複数
箇所に薄肉のゴム膜31,32を形成し、これらゴム膜
31,32と上記外筒1との間に相互に仕切られ、かつ
上記主液室Aと仕切られた複数の副液室B,Cを設けて
ある。そして、上記複数の副液室B,Cの一つと上記主
液室Aとを第1のオリフィス5にて連通せしめるととも
に、上記複数の副液室B,Cを第2のオリフィス6にて
連通せしめてある。 【0008】具体的には、上記第1のオリフィス5を、
上記第2のオリフィス6より流路長を短く、または流路
断面積を大きく構成し、上記第1のオリフィスが、上記
第2のオリフィス6より高周波数側で共振周波数を有す
るようにし、上記主液室Aと連通する副液室Bの室壁を
構成する第1のゴム膜31の液圧に対する追従変形性
を、他の一方の副液室Cの室壁を構成する第2のゴム膜
32の液圧に対する追従変形性よりも小さくし、前記第
1のゴム膜31の液圧に対する追従変形性を前記第2の
ゴム膜32の液圧に対する追従変形性よりも小さくする
手段として、上記第1のゴム膜31の背後に位置する防
振ゴム体3が、ストッパ作用により上記第1のゴム膜3
1の変形量を規制するようにしてある。 【0009】 【作用】複数のオリフィス5、6を、流路長または流路
断面積が互いに異なるように構成すると、これらオリフ
ィス5、6はそれぞれ異なる周波数領域で液共振を生じ
る。従って、例えば、第1のオリフィス5の流路長を第
2のオリフィス6より短く、または流路断面積を大きく
形成し、第1のオリフィス5が第2のオリフィス6より
高周波数側で共振周波数を有するようにすれば、複数の
周波数領域で振動吸収を行なうことが可能になる。ま
た、主液室Aと連通する第1のオリフィス5の流路長を
短く(または流路断面積を大きく)することで、その流
通抵抗を小さくでき、副液室Bへの液の流入は比較的容
易になされるので、第2のオリフィス6の作用を妨げる
ことがない。そして、副液室Bの室壁となるゴム膜31
を副液室Cの室壁となるゴム膜32より液圧に対する変
形性を小さくすれば、液は副液室Bより第2のオリフィ
ス6へ速やかに流れ、より効果的に振動低減がなされ
る。 【0010】 【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1には本発明を適用した円筒型液封入エンジ
ンマウントの全体断面図を、図2、図3にはその縦断面
図、横断面図をそれぞれ示す。図1において、外筒1内
には、振動体に連結される内筒2が、上記外筒1と軸方
向が同じになるように配してある。これら内外筒間には
防振ゴム体3が接合配設され、上記内筒2は防振ゴム体
3のほぼ中央を貫通している。上記外筒1は、図略のブ
ラケット内に圧入固定され、車両本体に連結支持され
る。 【0011】上記防振ゴム体3は、筒状のインサート板
4の内空間および外周にゴム材を射出せしめて成形され
る。上記防振ゴム体3は、軸方向の両端部を除く下半部
内に、内筒2に至る凹部を有し(図2)、該凹部は上記
インサート板4の周面に設けた開口に臨んでいる。しか
して、上記防振ゴム体3を上記外筒1内に圧入した時
に、上記防振ゴム体3を室壁とする主液室Aが形成され
る(図1)。 【0012】一方、上記インサート板4は、上半部の軸
方向中央部を凹陥せしめてあり(図2)、その上部の上
記外筒1との間の空間を埋めるように上記防振ゴム体3
が配設される。インサート板4の上記凹陥部内におい
て、上記防振ゴム体3には、上記内筒2を隔てた対称位
置(図1の左右位置)に複数の凹所を形成してあり、こ
れら凹所の底壁は、その下方の防振ゴム体3をくり抜い
て空隙を形成することにより、それぞれ薄肉のゴム膜3
1、32となしてある。しかして、上記ゴム膜31と上
記外筒1との間に、ゴム膜31を室壁とする第1の副液
室Bが、上記ゴム膜32と上記外筒1との間にはゴム膜
32を室壁とする第2の副液室Cが形成される。 【0013】上記インサート板4の左側部外周を覆う防
振ゴム体3には、軸方向中央に周方向に延びる溝を設け
て、その両端を上記主液室Aと第1の副液室Bに開口せ
しめ、第1のオリフィス5としてある(図1、3)。一
方、上記第1の副液室Bと第2の副液室Cを区画する、
防振ゴム体3上端部の厚肉部に、周方向に延びる溝を設
け、その両端を第1の副液室Bと第2の副液室Cに開口
せしめて第2のオリフィス6となしてある(図1、
2)。かくして上記主液室Aと第1の副液室Bは、第1
のオリフィス5にて連通し、上記第1の副液室Bと第2
の副液室Cとは、第2のオリフィス6にて連通する。 【0014】上記第1のオリフィス5は、流路断面積を
大きく、あるいは流路長を短く構成することにより、上
記第2のオリフィス6より高周波側で共振周波数を有す
るようになしてある。ここでは、上記第1のオリフィス
5の断面積を比較的大きく形成し、エンジンのアイドリ
ング振動に相当する周波数(約30Hz)において液共
振を生じるようにしてある。これに対し、上記第2のオ
リフィス6は断面積を比較的小さく形成して、シェイク
振動に相当する周波数(約10Hz)において液共振を
生じるようになしてある。 【0015】上記第1の副液室Bの室壁を構成するゴム
膜31は、上記第2の副液室Cの室壁を構成するゴム膜
32に比し膜厚を厚く形成してある。このため上記ゴム
膜31は相対的に剛性が高くなり、より自由に変形する
上記ゴム膜32を室壁とする上記第2の副液室Cに封入
液が流入しやすくなる。従って、第1の副液室Bの内圧
が増加すると、封入液は上記第2のオリフィス6を経て
速やかに第2の副液室Cに流入し、上記第2のオリフィ
ス6の作用を妨げることがない。 【0016】上記ゴム膜31は、上記ゴム膜32より液
圧が加わった時に変形しにくい形状であればよく、膜厚
を調整する代わりに、上記ゴム膜31の面積を上記ゴム
膜32より小さくして、上記ゴム膜31の剛性が相対的
に高くなるようにしてもよい。また、本実施例では、上
記ゴム膜31の背後に位置する防振ゴム体3が、上記ゴ
ム膜31の過度の変形を規制するストッパの役割を果た
しており、このストッパ作用により上記ゴム膜31の変
形量が十分規制されるように構成すれば、膜厚等を変更
する必要は必ずしもない。 【0017】上記構成において、30Hz前後のアイド
リング振動が入力すると、ゴム弾性体3の変形に伴って
主液室A内圧が高まり、封入液は上記第1のオリフィス
5を経て、上記第1の副液室Bに流入する。この際の液
共振により、図4に矢印Dで示すアイドリング領域にお
ける動ばね定数を大きく低下することができ、振動吸収
が効果的になされる。 【0018】一方、走行中に10Hz前後のシェイク振
動が入力すると、封入液は第1のオリフィス5、第1の
副液室Bより、さらに第2のオリフィス6を経て第2の
副液室Cに流入する。 【0019】ここで、主液室Aと第1の副液室Bを連通
する第1のオリフィス5は、流路の断面積が大きく、流
通抵抗が小さいので、第1のオリフィス5による液の流
通は比較的自由になされる。また、第1の副液室Bの室
壁であるゴム膜31は剛性が高く、変形しにくいので、
封入液はより自由変形する室壁を有する第2の副液室C
へ、第2のオリフィス6を介して速やかに流通する。こ
の第2のオリフィス6を流通する際の液共振により、図
4に矢印Eで示すように、シェイク振動の領域で減衰係
数は十分増大し、振動減衰が効果的になされる。 【0020】上記実施例では、第1のオリフィス5をア
イドリング領域で液共振を生じるように調整したが、オ
リフィスの流路長、断面積を適宜変更することにより、
中周波数から高周波数まで、必要に応じて共振周波数を
変更することも可能である。 【0021】 【発明の効果】以上のように、本発明では、複数のオリ
フィスを設けて、それぞれが異なる領域にて振動吸収を
行なうようにしたので、広い範囲で優れた振動吸収特性
を発揮することができる。また、複数の副液室をオリフ
ィスで連結して、主液室とこれら複数の副液室を直列的
に配し、さらに副液室を構成するゴム膜を主液室を構成
するゴム体と一体に設けたので、構成が大幅に簡略化で
きる。従って製作が容易で、コスト低減が可能であり、
工業的利用価値が高い。
用される円筒型の液封入防振装置に関し、特に広い範囲
で良好な振動吸収特性を示す液封入防振装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の円筒型液封入防振装置の一般的構
造を図5に示す。図において、外筒1内にはほぼ同軸状
に内筒2が配してあり、これら内筒と外筒の間には、筒
状インサート板4内に保持されて防振ゴム体3が配設し
てある。上記防振ゴム体3は、軸方向の両端部を除く上
記内筒2の下方を凹陥せしめて上記外筒1との間に空間
を形成し、その内部を主液室Aとなしてある。一方、上
記インサート板4の外周にはリング状の絞り部材7が配
設され、その上部開口を覆って薄肉のゴム膜8が配され
て、このゴム膜8と上記インサート板4の間に副液室B
を形成している。これら主液室Aと副液室Bとは、絞り
部材7内に設けたオリフィス71にて連通しており、封
入液を該オリフィス71に流通せしめることにより、低
周波領域、主にエンジンのシェイク振動の低減を図って
いる。 【0003】ところで、上記構成では、シェイク振動よ
り高周波側のアイドリング領域における動ばね定数が高
くなり、アイドリング振動を抑える効果は小さい。この
ため、より広い周波数領域で効果的に振動低減が可能な
装置の開発が望まれていた。 【0004】複数の周波数領域で、振動吸収効果をもた
せたものとして、例えば特開平1−126451号公報
には、ゴム体内部に3つの液室を構成し、これらの液室
を個々にオリフィス通路を介して連通させることにより
2つの振動系を構成し、各振動系が異なる振動の吸収を
行なうようにした防振装置が記載されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の装置では、第1の液室と、第2、第3の液室とを連
通するオリフィス通路をそれぞれ独立に形成しており、
このオリフィス通路を形成するための筒状部材をゴム体
と外筒部材との間に設ける必要があるなど、部品点数が
多く、構成が複雑となる。従って製作に手間がかかり、
製作コストが上昇するという問題があった。 【0006】しかして本発明の目的は、簡単な構造で、
製作が容易であり、しかも複数の異なる周波数領域にお
いて、優れた振動吸収効果を有する円筒型液封入防振装
置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の円筒型液封入防
振装置の構成を図1に示すと、外筒1と内筒2を軸方向
が一致するように配し、筒状のインサート板4の内空間
および外周にゴム材を射出せしめて前記外筒1と内筒2
の間に防振ゴム体3を配設してある。防振ゴム体3は、
その一部を凹陥せしめて上記外筒1との間に主液室Aを
形成してある。上記防振ゴム体3には、他の部分の複数
箇所に薄肉のゴム膜31,32を形成し、これらゴム膜
31,32と上記外筒1との間に相互に仕切られ、かつ
上記主液室Aと仕切られた複数の副液室B,Cを設けて
ある。そして、上記複数の副液室B,Cの一つと上記主
液室Aとを第1のオリフィス5にて連通せしめるととも
に、上記複数の副液室B,Cを第2のオリフィス6にて
連通せしめてある。 【0008】具体的には、上記第1のオリフィス5を、
上記第2のオリフィス6より流路長を短く、または流路
断面積を大きく構成し、上記第1のオリフィスが、上記
第2のオリフィス6より高周波数側で共振周波数を有す
るようにし、上記主液室Aと連通する副液室Bの室壁を
構成する第1のゴム膜31の液圧に対する追従変形性
を、他の一方の副液室Cの室壁を構成する第2のゴム膜
32の液圧に対する追従変形性よりも小さくし、前記第
1のゴム膜31の液圧に対する追従変形性を前記第2の
ゴム膜32の液圧に対する追従変形性よりも小さくする
手段として、上記第1のゴム膜31の背後に位置する防
振ゴム体3が、ストッパ作用により上記第1のゴム膜3
1の変形量を規制するようにしてある。 【0009】 【作用】複数のオリフィス5、6を、流路長または流路
断面積が互いに異なるように構成すると、これらオリフ
ィス5、6はそれぞれ異なる周波数領域で液共振を生じ
る。従って、例えば、第1のオリフィス5の流路長を第
2のオリフィス6より短く、または流路断面積を大きく
形成し、第1のオリフィス5が第2のオリフィス6より
高周波数側で共振周波数を有するようにすれば、複数の
周波数領域で振動吸収を行なうことが可能になる。ま
た、主液室Aと連通する第1のオリフィス5の流路長を
短く(または流路断面積を大きく)することで、その流
通抵抗を小さくでき、副液室Bへの液の流入は比較的容
易になされるので、第2のオリフィス6の作用を妨げる
ことがない。そして、副液室Bの室壁となるゴム膜31
を副液室Cの室壁となるゴム膜32より液圧に対する変
形性を小さくすれば、液は副液室Bより第2のオリフィ
ス6へ速やかに流れ、より効果的に振動低減がなされ
る。 【0010】 【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1には本発明を適用した円筒型液封入エンジ
ンマウントの全体断面図を、図2、図3にはその縦断面
図、横断面図をそれぞれ示す。図1において、外筒1内
には、振動体に連結される内筒2が、上記外筒1と軸方
向が同じになるように配してある。これら内外筒間には
防振ゴム体3が接合配設され、上記内筒2は防振ゴム体
3のほぼ中央を貫通している。上記外筒1は、図略のブ
ラケット内に圧入固定され、車両本体に連結支持され
る。 【0011】上記防振ゴム体3は、筒状のインサート板
4の内空間および外周にゴム材を射出せしめて成形され
る。上記防振ゴム体3は、軸方向の両端部を除く下半部
内に、内筒2に至る凹部を有し(図2)、該凹部は上記
インサート板4の周面に設けた開口に臨んでいる。しか
して、上記防振ゴム体3を上記外筒1内に圧入した時
に、上記防振ゴム体3を室壁とする主液室Aが形成され
る(図1)。 【0012】一方、上記インサート板4は、上半部の軸
方向中央部を凹陥せしめてあり(図2)、その上部の上
記外筒1との間の空間を埋めるように上記防振ゴム体3
が配設される。インサート板4の上記凹陥部内におい
て、上記防振ゴム体3には、上記内筒2を隔てた対称位
置(図1の左右位置)に複数の凹所を形成してあり、こ
れら凹所の底壁は、その下方の防振ゴム体3をくり抜い
て空隙を形成することにより、それぞれ薄肉のゴム膜3
1、32となしてある。しかして、上記ゴム膜31と上
記外筒1との間に、ゴム膜31を室壁とする第1の副液
室Bが、上記ゴム膜32と上記外筒1との間にはゴム膜
32を室壁とする第2の副液室Cが形成される。 【0013】上記インサート板4の左側部外周を覆う防
振ゴム体3には、軸方向中央に周方向に延びる溝を設け
て、その両端を上記主液室Aと第1の副液室Bに開口せ
しめ、第1のオリフィス5としてある(図1、3)。一
方、上記第1の副液室Bと第2の副液室Cを区画する、
防振ゴム体3上端部の厚肉部に、周方向に延びる溝を設
け、その両端を第1の副液室Bと第2の副液室Cに開口
せしめて第2のオリフィス6となしてある(図1、
2)。かくして上記主液室Aと第1の副液室Bは、第1
のオリフィス5にて連通し、上記第1の副液室Bと第2
の副液室Cとは、第2のオリフィス6にて連通する。 【0014】上記第1のオリフィス5は、流路断面積を
大きく、あるいは流路長を短く構成することにより、上
記第2のオリフィス6より高周波側で共振周波数を有す
るようになしてある。ここでは、上記第1のオリフィス
5の断面積を比較的大きく形成し、エンジンのアイドリ
ング振動に相当する周波数(約30Hz)において液共
振を生じるようにしてある。これに対し、上記第2のオ
リフィス6は断面積を比較的小さく形成して、シェイク
振動に相当する周波数(約10Hz)において液共振を
生じるようになしてある。 【0015】上記第1の副液室Bの室壁を構成するゴム
膜31は、上記第2の副液室Cの室壁を構成するゴム膜
32に比し膜厚を厚く形成してある。このため上記ゴム
膜31は相対的に剛性が高くなり、より自由に変形する
上記ゴム膜32を室壁とする上記第2の副液室Cに封入
液が流入しやすくなる。従って、第1の副液室Bの内圧
が増加すると、封入液は上記第2のオリフィス6を経て
速やかに第2の副液室Cに流入し、上記第2のオリフィ
ス6の作用を妨げることがない。 【0016】上記ゴム膜31は、上記ゴム膜32より液
圧が加わった時に変形しにくい形状であればよく、膜厚
を調整する代わりに、上記ゴム膜31の面積を上記ゴム
膜32より小さくして、上記ゴム膜31の剛性が相対的
に高くなるようにしてもよい。また、本実施例では、上
記ゴム膜31の背後に位置する防振ゴム体3が、上記ゴ
ム膜31の過度の変形を規制するストッパの役割を果た
しており、このストッパ作用により上記ゴム膜31の変
形量が十分規制されるように構成すれば、膜厚等を変更
する必要は必ずしもない。 【0017】上記構成において、30Hz前後のアイド
リング振動が入力すると、ゴム弾性体3の変形に伴って
主液室A内圧が高まり、封入液は上記第1のオリフィス
5を経て、上記第1の副液室Bに流入する。この際の液
共振により、図4に矢印Dで示すアイドリング領域にお
ける動ばね定数を大きく低下することができ、振動吸収
が効果的になされる。 【0018】一方、走行中に10Hz前後のシェイク振
動が入力すると、封入液は第1のオリフィス5、第1の
副液室Bより、さらに第2のオリフィス6を経て第2の
副液室Cに流入する。 【0019】ここで、主液室Aと第1の副液室Bを連通
する第1のオリフィス5は、流路の断面積が大きく、流
通抵抗が小さいので、第1のオリフィス5による液の流
通は比較的自由になされる。また、第1の副液室Bの室
壁であるゴム膜31は剛性が高く、変形しにくいので、
封入液はより自由変形する室壁を有する第2の副液室C
へ、第2のオリフィス6を介して速やかに流通する。こ
の第2のオリフィス6を流通する際の液共振により、図
4に矢印Eで示すように、シェイク振動の領域で減衰係
数は十分増大し、振動減衰が効果的になされる。 【0020】上記実施例では、第1のオリフィス5をア
イドリング領域で液共振を生じるように調整したが、オ
リフィスの流路長、断面積を適宜変更することにより、
中周波数から高周波数まで、必要に応じて共振周波数を
変更することも可能である。 【0021】 【発明の効果】以上のように、本発明では、複数のオリ
フィスを設けて、それぞれが異なる領域にて振動吸収を
行なうようにしたので、広い範囲で優れた振動吸収特性
を発揮することができる。また、複数の副液室をオリフ
ィスで連結して、主液室とこれら複数の副液室を直列的
に配し、さらに副液室を構成するゴム膜を主液室を構成
するゴム体と一体に設けたので、構成が大幅に簡略化で
きる。従って製作が容易で、コスト低減が可能であり、
工業的利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の円筒型液封入防振装置の一実施例を示
す全体断面図である。 【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。 【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。 【図4】本発明装置の周波数特性図である。 【図5】従来の円筒型液封入防振装置の全体断面図であ
る。 【符号の説明】 A 主液室 B 第1の副液室 C 第2の副液室 1 外筒 2 内筒 3 防振ゴム体 31,32 ゴム膜 4 インサート板 5 第1のオリフィス 6 第2のオリフィス
す全体断面図である。 【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。 【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。 【図4】本発明装置の周波数特性図である。 【図5】従来の円筒型液封入防振装置の全体断面図であ
る。 【符号の説明】 A 主液室 B 第1の副液室 C 第2の副液室 1 外筒 2 内筒 3 防振ゴム体 31,32 ゴム膜 4 インサート板 5 第1のオリフィス 6 第2のオリフィス
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平4−95631(JP,A)
実開 平2−109042(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
F16F 13/00 - 13/30
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 外筒と内筒を軸方向が一致するように配
し、筒状のインサート板の内空間および外周にゴム材を
射出せしめて前記外筒と内筒の間に防振ゴム体を配設
し、この防振ゴム体内に複数の液室を設けて、これらの
液室をオリフィスにて連通せしめた円筒型液封入防振装
置において、 上記防振ゴム体の一部を凹陥せしめて上記外筒との間に
主液室を形成するとともに、上記防振ゴム体の他の部分
の複数箇所に薄肉のゴム膜を形成し、これらゴム膜と上
記外筒との間に相互に仕切られ、かつ上記主液室と仕切
られた複数の副液室を設けて、上記複数の副液室の一つ
と上記主液室とを第1のオリフィスにて連通せしめると
ともに、上記複数の副液室を第2のオリフィスにて連通
せしめ、かつ上記の第1のオリフィスを、上記第2のオ
リフィスより流路長を短く、または流路断面積を大きく
構成し、上記第1のオリフィスが、上記第2のオリフィ
スより高周波数側で共振周波数を有するようにし、 上記主液室と連通する副液室の室壁を構成する第1のゴ
ム膜の液圧に対する追従変形性を、他の一方の副液室の
室壁を構成する第2のゴム膜の液圧に対する追従変形性
よりも小さくし、 前記第1のゴム膜の液圧に対する追従変形性を前記第2
のゴム膜の液圧に対する追従変形性よりも小さくする手
段として、上記第1のゴム膜の背後に位置する防振ゴム
体が、ストッパ作用により上記第1のゴム膜の変形量を
規制するようにしてある円筒型液封入防振装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15926594A JP3510333B2 (ja) | 1994-06-17 | 1994-06-17 | 円筒型液封入防振装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15926594A JP3510333B2 (ja) | 1994-06-17 | 1994-06-17 | 円筒型液封入防振装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH084826A JPH084826A (ja) | 1996-01-12 |
JP3510333B2 true JP3510333B2 (ja) | 2004-03-29 |
Family
ID=15689998
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15926594A Expired - Fee Related JP3510333B2 (ja) | 1994-06-17 | 1994-06-17 | 円筒型液封入防振装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10132015A (ja) * | 1996-10-29 | 1998-05-22 | Tokai Rubber Ind Ltd | 流体封入式筒形防振装置 |
JP3487123B2 (ja) * | 1997-03-18 | 2004-01-13 | 東海ゴム工業株式会社 | 流体封入式防振装置 |
JP2010242810A (ja) * | 2009-04-02 | 2010-10-28 | Bridgestone Corp | 液封ブッシュ |
-
1994
- 1994-06-17 JP JP15926594A patent/JP3510333B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH084826A (ja) | 1996-01-12 |
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