JP2784146B2 - lys−プラスミノーゲンを含有する虚血性事象及び再灌流損傷の予防・治療剤 - Google Patents
lys−プラスミノーゲンを含有する虚血性事象及び再灌流損傷の予防・治療剤Info
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- A61K38/48—Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
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- A61P9/00—Drugs for disorders of the cardiovascular system
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- A61P9/10—Drugs for disorders of the cardiovascular system for treating ischaemic or atherosclerotic diseases, e.g. antianginal drugs, coronary vasodilators, drugs for myocardial infarction, retinopathy, cerebrovascula insufficiency, renal arteriosclerosis
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Description
【0001】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】卒中
は、虚血性心臓病及びガンに続く、工業国で3番目に一
般的な死因でありつづけている。卒中は、アメリカでは
年間約30万人、オーストリアでは年間約1万1,00
0人の死亡原因である。卒中は又、入院及び長期廃疾
(障害)の主要な原因でもある。従って卒中のもつ社会
経済的インパクト及び社会に対するその付随的負担は、
実際上測り知れないものである。
は、虚血性心臓病及びガンに続く、工業国で3番目に一
般的な死因でありつづけている。卒中は、アメリカでは
年間約30万人、オーストリアでは年間約1万1,00
0人の死亡原因である。卒中は又、入院及び長期廃疾
(障害)の主要な原因でもある。従って卒中のもつ社会
経済的インパクト及び社会に対するその付随的負担は、
実際上測り知れないものである。
【0002】「卒中」というのは、世界保健機構による
と、24時間以上持続する症状を伴う脳機能の限局性又
は広域的障害の急速に発症する臨床的徴候と定義されて
いる。卒中は同様に、血管由来の効果以外の明らかな原
因は全く存在しない死にも関与している。
と、24時間以上持続する症状を伴う脳機能の限局性又
は広域的障害の急速に発症する臨床的徴候と定義されて
いる。卒中は同様に、血管由来の効果以外の明らかな原
因は全く存在しない死にも関与している。
【0003】標準的に、卒中は、脳への又は脳内の血管
の遮断又は閉塞によってひき起こされる。完全な閉塞の
場合、脳の循環の制止が数秒でニューロンの電気的活動
の停止をひき起こす。エネルギー状態及びイオン恒常性
の劣化後数分以内で、高エネルギーリン酸塩の枯渇、膜
イオンポンプの不全、細胞カリウムの流出、塩化ナトリ
ウム及び水の流入、及び膜の脱分極が起こる。閉塞が5
〜10分以上持続すると、不可逆的な損傷が結果として
もたらされる。しかしながら、不完全な虚血の場合、結
果は評価し難く、残留灌流及び酸素の利用可能性に大き
く左右される。脳血管の血栓性閉塞の後、虚血が全面的
なものであることはまれである。側副血流量及び局所的
灌流圧力に応じて、虚血部域内には通常いく分かの残留
灌流が持続する。
の遮断又は閉塞によってひき起こされる。完全な閉塞の
場合、脳の循環の制止が数秒でニューロンの電気的活動
の停止をひき起こす。エネルギー状態及びイオン恒常性
の劣化後数分以内で、高エネルギーリン酸塩の枯渇、膜
イオンポンプの不全、細胞カリウムの流出、塩化ナトリ
ウム及び水の流入、及び膜の脱分極が起こる。閉塞が5
〜10分以上持続すると、不可逆的な損傷が結果として
もたらされる。しかしながら、不完全な虚血の場合、結
果は評価し難く、残留灌流及び酸素の利用可能性に大き
く左右される。脳血管の血栓性閉塞の後、虚血が全面的
なものであることはまれである。側副血流量及び局所的
灌流圧力に応じて、虚血部域内には通常いく分かの残留
灌流が持続する。
【0004】脳の血液流量は、自己調節により90mmHg
から60mmHgまでの平均動脈血圧の降下を補償すること
ができる。この現象には、下流の抵抗性血管の拡張が関
与している。自己調節の低い方のレベル(約60mmHg)
より下では、血管拡張が不適切であり、脳の血液流量が
降下する。しかしながら、脳は、脳の血液流量の降下を
補償できる灌流予備を有している。この予備は、正常な
条件下では血液により送達される酸素の約35%だけが
抽出されるにすぎないために存在しているものである。
従って、酸素正常状態及び炭酸正常状態が存在すること
を条件として、酸素抽出の増加が起こりうる。遠位血の
血圧が約30mmHg未満まで下降した場合、2つの補償メ
カニズム(自己調節と灌流予備)は、酸素送達不全を防
ぐのに不適切である。
から60mmHgまでの平均動脈血圧の降下を補償すること
ができる。この現象には、下流の抵抗性血管の拡張が関
与している。自己調節の低い方のレベル(約60mmHg)
より下では、血管拡張が不適切であり、脳の血液流量が
降下する。しかしながら、脳は、脳の血液流量の降下を
補償できる灌流予備を有している。この予備は、正常な
条件下では血液により送達される酸素の約35%だけが
抽出されるにすぎないために存在しているものである。
従って、酸素正常状態及び炭酸正常状態が存在すること
を条件として、酸素抽出の増加が起こりうる。遠位血の
血圧が約30mmHg未満まで下降した場合、2つの補償メ
カニズム(自己調節と灌流予備)は、酸素送達不全を防
ぐのに不適切である。
【0005】流量が23ml/ 100g/分の虚血閾値より
下まで降下するにつれて、組織低酸素状態の症状が現わ
れる。重症の虚血は致死的でありうる。虚血が中程度で
ある場合、「半暗部(penumbra)」が結果としてもたら
される。神経学的に言うと、半暗部というのは、中程度
の虚血と神経機能マヒを伴う脳組織のゾーンのことであ
り、これは適切な灌流の回復により可逆的である。半暗
部は、梗塞が発生した重症の虚血の中核部をとり囲む側
副的に灌流された組織の1ゾーンを形成する。換言する
と、半暗部は、救うことのできる組織部域であり、基本
的に生と死の間の状態にある。
下まで降下するにつれて、組織低酸素状態の症状が現わ
れる。重症の虚血は致死的でありうる。虚血が中程度で
ある場合、「半暗部(penumbra)」が結果としてもたら
される。神経学的に言うと、半暗部というのは、中程度
の虚血と神経機能マヒを伴う脳組織のゾーンのことであ
り、これは適切な灌流の回復により可逆的である。半暗
部は、梗塞が発生した重症の虚血の中核部をとり囲む側
副的に灌流された組織の1ゾーンを形成する。換言する
と、半暗部は、救うことのできる組織部域であり、基本
的に生と死の間の状態にある。
【0006】血塊が劣化し半暗部への血液流が回復する
と、再灌流損傷として知られている現象が生じうる。半
暗部の中の損傷を受けた組織の部分は、虚血にかかった
部域内への酸素その他の物質の再進入により、殺された
り又はさらに損傷を受ける可能性がある。この現象を考
慮すると、虚血の結果としての組織損傷の範囲は、閉塞
した血管の開放を完遂するのに必要な時間と、影響を受
けた組織への再灌流及び酸素の再進入の結果として続く
一連の反応の両方によって決定される。
と、再灌流損傷として知られている現象が生じうる。半
暗部の中の損傷を受けた組織の部分は、虚血にかかった
部域内への酸素その他の物質の再進入により、殺された
り又はさらに損傷を受ける可能性がある。この現象を考
慮すると、虚血の結果としての組織損傷の範囲は、閉塞
した血管の開放を完遂するのに必要な時間と、影響を受
けた組織への再灌流及び酸素の再進入の結果として続く
一連の反応の両方によって決定される。
【0007】虚血事象は血管系内のどこででも発生しう
るが、頸動脈分岐及び内頸動脈の原点が、脳虚血を結果
としてもたらす脳血管の血栓性閉塞の最も頻繁な部位で
ある。狭窄症又は血栓症による血液流量減少という症状
は、中大脳動脈疾患によりひき起こされるものと類似し
ている。眼動脈を通る流量は、往々にして、一過性黒内
症又は一過性片眼失明を生み出すのに充分なほどの影響
を受ける。重症の両側性内頸動脈狭窄症は、結果とし
て、大脳半球低灌流をひき起こしうる。これは、急性虚
血性半球に対して同側性の急性頭痛を伴って現われる。
前交通動脈に遠位な1本の前大脳動脈の虚血を結果とし
て伴う血流の減少又は閉塞は、対側脚及びこれほど頻繁
ではないが近位腕における運動及び皮質感覚症状を生み
出す。前大脳動脈の閉塞又は過少灌流のその他の症状と
しては、歩行運動失調、及び時として側矢状前頭葉に対
する損傷による失禁などが含まれる。自発的言語の減少
として現われる言語障害が、精神運動活性の全体的低下
に付随する可能性がある。
るが、頸動脈分岐及び内頸動脈の原点が、脳虚血を結果
としてもたらす脳血管の血栓性閉塞の最も頻繁な部位で
ある。狭窄症又は血栓症による血液流量減少という症状
は、中大脳動脈疾患によりひき起こされるものと類似し
ている。眼動脈を通る流量は、往々にして、一過性黒内
症又は一過性片眼失明を生み出すのに充分なほどの影響
を受ける。重症の両側性内頸動脈狭窄症は、結果とし
て、大脳半球低灌流をひき起こしうる。これは、急性虚
血性半球に対して同側性の急性頭痛を伴って現われる。
前交通動脈に遠位な1本の前大脳動脈の虚血を結果とし
て伴う血流の減少又は閉塞は、対側脚及びこれほど頻繁
ではないが近位腕における運動及び皮質感覚症状を生み
出す。前大脳動脈の閉塞又は過少灌流のその他の症状と
しては、歩行運動失調、及び時として側矢状前頭葉に対
する損傷による失禁などが含まれる。自発的言語の減少
として現われる言語障害が、精神運動活性の全体的低下
に付随する可能性がある。
【0008】大部分の虚血性卒中には、中大脳動脈の領
域の部分又は全てが関与し、頭蓋外頸動脈又は心臓から
の塞栓が大部分の症例を説明している。塞栓は、中大脳
動脈の主幹を閉塞しうるが、より頻繁には、上分枝又は
下分枝のいずれかの遠位閉塞を生じる。上分枝の閉塞
は、顔面及び腕において最大である衰弱及び感覚喪失を
ひき起こす。その貫入分枝に対し遠位の後大脳動脈の閉
塞は、完全な対側性視力喪失をひき起こす。主後大脳動
脈の虚血の後には、読字障害(dyslexia)及び計算障害
(dyscalculia)が続きうる。後大脳動脈の近位閉塞は、
視床(calamic)及び大脳辺縁構造へと貫入する分枝の虚
血をひき起こす。臨床的結果は、欠陥部位の難治性疼痛
(視床疼痛)へと慢性的に変化しうる半感覚的障害であ
る。
域の部分又は全てが関与し、頭蓋外頸動脈又は心臓から
の塞栓が大部分の症例を説明している。塞栓は、中大脳
動脈の主幹を閉塞しうるが、より頻繁には、上分枝又は
下分枝のいずれかの遠位閉塞を生じる。上分枝の閉塞
は、顔面及び腕において最大である衰弱及び感覚喪失を
ひき起こす。その貫入分枝に対し遠位の後大脳動脈の閉
塞は、完全な対側性視力喪失をひき起こす。主後大脳動
脈の虚血の後には、読字障害(dyslexia)及び計算障害
(dyscalculia)が続きうる。後大脳動脈の近位閉塞は、
視床(calamic)及び大脳辺縁構造へと貫入する分枝の虚
血をひき起こす。臨床的結果は、欠陥部位の難治性疼痛
(視床疼痛)へと慢性的に変化しうる半感覚的障害であ
る。
【0009】脳虚血における重大な事象は、一過性脳虚
血発作(「TIA」)として知られている。TIAは、
24時間未満の持続時間をもつ神経学的欠損と定義され
る。TIAは、脳梗塞へ導きうる虚血発生の重要な徴候
である。現在、TIAに対する理想的な治療は全く存在
しておらず、TIAをもつ患者における卒中の発生率を
低下させるために医学的又は外科的処置を実施すべきか
否かについて、一般的に受け入れられた指針は全く存在
しない。
血発作(「TIA」)として知られている。TIAは、
24時間未満の持続時間をもつ神経学的欠損と定義され
る。TIAは、脳梗塞へ導きうる虚血発生の重要な徴候
である。現在、TIAに対する理想的な治療は全く存在
しておらず、TIAをもつ患者における卒中の発生率を
低下させるために医学的又は外科的処置を実施すべきか
否かについて、一般的に受け入れられた指針は全く存在
しない。
【0010】TIAの病因論には、血流力学事象及び血
栓塞栓症のメカニズムが関与している。ほとんどのTI
Aは1時間以内で解消することから、それ以上持続する
欠損は往々にして予定卒中(presumptive stroke) とし
て分類され、そのため永続的脳損傷と結びつけられる。
従って、数時間以上持続するTIAによる影響を受けた
部域における脳梗塞を探すために、コンピュータ連動断
層撮影による脳走査が使用される。要約すると、TIA
と卒中の間の適切な臨床的区別は、虚血が、標準的に梗
塞又は虚血性壊死として分類される脳障害をひき起こし
たか否かにある。臨床的徴候が劣化しつつある患者は、
卒中が発達中であるか又は進行性卒中を有するものとし
て分類される。この臨床的背景において、血塊の伝播
は、疾病の進行における重要な因子である可能性があ
る。
栓塞栓症のメカニズムが関与している。ほとんどのTI
Aは1時間以内で解消することから、それ以上持続する
欠損は往々にして予定卒中(presumptive stroke) とし
て分類され、そのため永続的脳損傷と結びつけられる。
従って、数時間以上持続するTIAによる影響を受けた
部域における脳梗塞を探すために、コンピュータ連動断
層撮影による脳走査が使用される。要約すると、TIA
と卒中の間の適切な臨床的区別は、虚血が、標準的に梗
塞又は虚血性壊死として分類される脳障害をひき起こし
たか否かにある。臨床的徴候が劣化しつつある患者は、
卒中が発達中であるか又は進行性卒中を有するものとし
て分類される。この臨床的背景において、血塊の伝播
は、疾病の進行における重要な因子である可能性があ
る。
【0011】虚血によりひき起こされるか又は虚血に関
連づけされる疾患は、他にも無数に存在する。脊椎基底
虚血は、椎骨動脈の閉塞の結果である。椎骨動脈の閉塞
及び同側性後下小脳動脈を通しての血流妨害は、外側髄
症候群をひき起こし、これは、めまい、悪心、おう吐を
伴う眼振とう、同側性運動失調、及び同側性Herner's症
候群などを含む総体的症状を有する。脊椎基底虚血は、
往々にして、かなりの長さに沿って脳幹の両側に散乱し
た多病巣性病変を生み出す。小脳性梗塞及び外側髄症候
群を除いて、離散的病巣の臨床的症候群は、かくして純
粋な形ではほとんど見られない。脊椎基底虚血は、めま
い感、通常はめまい、二重視、顔面衰弱、運動失調及び
長路徴候のような症状のさまざまな組合せで現われる。
連づけされる疾患は、他にも無数に存在する。脊椎基底
虚血は、椎骨動脈の閉塞の結果である。椎骨動脈の閉塞
及び同側性後下小脳動脈を通しての血流妨害は、外側髄
症候群をひき起こし、これは、めまい、悪心、おう吐を
伴う眼振とう、同側性運動失調、及び同側性Herner's症
候群などを含む総体的症状を有する。脊椎基底虚血は、
往々にして、かなりの長さに沿って脳幹の両側に散乱し
た多病巣性病変を生み出す。小脳性梗塞及び外側髄症候
群を除いて、離散的病巣の臨床的症候群は、かくして純
粋な形ではほとんど見られない。脊椎基底虚血は、めま
い感、通常はめまい、二重視、顔面衰弱、運動失調及び
長路徴候のような症状のさまざまな組合せで現われる。
【0012】脳底動脈の閉塞は、大きな欠損を生み出
す。これらの欠損の1つは、「閉込め状態(locked in
state)」として知られている。この状態においては、四
肢及び大部分の延髄筋肉の麻痺により、患者は、一種の
コードの形で眼又は眼ぶたを動かすことによってしかコ
ミュニケーションをすることができない状態となる。脳
底前頂、つまり脳底の上部の閉塞は、通常、脳底動脈と
2つの後大脳動脈の間の接合部にある塞栓によってひき
起こされる。この状態は、後大脳動脈内への血流の中断
による初期覚醒減少とそれに続く失明及び記憶消失、な
らびに被蓋障害による垂直注視及び瞳孔反応性の異常を
生み出す。
す。これらの欠損の1つは、「閉込め状態(locked in
state)」として知られている。この状態においては、四
肢及び大部分の延髄筋肉の麻痺により、患者は、一種の
コードの形で眼又は眼ぶたを動かすことによってしかコ
ミュニケーションをすることができない状態となる。脳
底前頂、つまり脳底の上部の閉塞は、通常、脳底動脈と
2つの後大脳動脈の間の接合部にある塞栓によってひき
起こされる。この状態は、後大脳動脈内への血流の中断
による初期覚醒減少とそれに続く失明及び記憶消失、な
らびに被蓋障害による垂直注視及び瞳孔反応性の異常を
生み出す。
【0013】静脈の閉塞は多大な障害や死の原因となり
うる。この疾病は、動脈脳血管性疾患ほど一般的ではな
い。動脈の疾患による虚血卒中の場合と同様に、脳障害
の一次的メカニズムは、毛細管血流の減少であり、この
場合は遮断された静脈からの流出抵抗の増大に起因する
ものである。毛細血管床内への高い圧力の戻り伝達は、
通常、皮質下の白質内の出血性梗塞及び水腫による早期
脳腫脹という結果をもたらす。静脈疾患の最も危険な形
態は、上矢状静脈洞が閉塞された場合に生じる。静脈閉
塞は、往々にして紫斑期において、凝固障害と結びつい
て、又は散在性ガン又は接触感染病の患者において発生
する。抗凝固療法が始められていない場合、上矢状静脈
洞閉塞の死亡率は25〜40%である。
うる。この疾病は、動脈脳血管性疾患ほど一般的ではな
い。動脈の疾患による虚血卒中の場合と同様に、脳障害
の一次的メカニズムは、毛細管血流の減少であり、この
場合は遮断された静脈からの流出抵抗の増大に起因する
ものである。毛細血管床内への高い圧力の戻り伝達は、
通常、皮質下の白質内の出血性梗塞及び水腫による早期
脳腫脹という結果をもたらす。静脈疾患の最も危険な形
態は、上矢状静脈洞が閉塞された場合に生じる。静脈閉
塞は、往々にして紫斑期において、凝固障害と結びつい
て、又は散在性ガン又は接触感染病の患者において発生
する。抗凝固療法が始められていない場合、上矢状静脈
洞閉塞の死亡率は25〜40%である。
【0014】短い広汎性脳虚血は、永続的な後遺症なし
に、失神をひき起こしうる。その他の器官での長時間の
広汎性虚血は、荒廃的結果を有する。最も一般的な原因
は、梗塞を含む心臓不全収縮又はその他の心肺不全であ
る。大動脈切開及び総体低酸素症又は一酸化炭素中毒
も、類似の様子をひき起こしうる。広汎性低酸素症/虚
血は、標準的に海馬、小脳プルキンエ細胞、線条又は皮
質内のニューロンを殺す。臨床的には、このような広汎
性低酸素症/虚血は、意識消失及び昏睡と、多くの場合
それに続く慢性的植物状態という結果をもたらす。患者
が数日以内に意識をとり戻さない場合、独立脳機能の回
復に対する予後は非常に悪くなる。
に、失神をひき起こしうる。その他の器官での長時間の
広汎性虚血は、荒廃的結果を有する。最も一般的な原因
は、梗塞を含む心臓不全収縮又はその他の心肺不全であ
る。大動脈切開及び総体低酸素症又は一酸化炭素中毒
も、類似の様子をひき起こしうる。広汎性低酸素症/虚
血は、標準的に海馬、小脳プルキンエ細胞、線条又は皮
質内のニューロンを殺す。臨床的には、このような広汎
性低酸素症/虚血は、意識消失及び昏睡と、多くの場合
それに続く慢性的植物状態という結果をもたらす。患者
が数日以内に意識をとり戻さない場合、独立脳機能の回
復に対する予後は非常に悪くなる。
【0015】過粘稠度症候群は、血流及び虚血に関係す
る別の疾患である。脳血流量は血液の粘稠度に反比例す
る。後者(血液粘稠度)は、循環する赤血球と白血球の
数、凝集状態、血小板数及び血漿タンパク質濃度に正比
例する。血流量は、赤血球の変形性及び血液速度(ずれ
率)に反比例する。過粘稠度症候群を患う患者は、限局
性神経系機能障害、又は頭痛、視力障害、認識障害又は
急発作を含む広汎性又は多病巣性の兆候又は症状を呈し
うる。
る別の疾患である。脳血流量は血液の粘稠度に反比例す
る。後者(血液粘稠度)は、循環する赤血球と白血球の
数、凝集状態、血小板数及び血漿タンパク質濃度に正比
例する。血流量は、赤血球の変形性及び血液速度(ずれ
率)に反比例する。過粘稠度症候群を患う患者は、限局
性神経系機能障害、又は頭痛、視力障害、認識障害又は
急発作を含む広汎性又は多病巣性の兆候又は症状を呈し
うる。
【0016】血塊形成及び溶解に関与する物質は数多く
存在する。glu−プラスミノーゲンとして知られてい
るプラスミノーゲン、及びプラスミンは、溶解に関与す
る主要な物質のうちの2つである。
存在する。glu−プラスミノーゲンとして知られてい
るプラスミノーゲン、及びプラスミンは、溶解に関与す
る主要な物質のうちの2つである。
【0017】プラスミノーゲンは、ヒト血漿中を約20
0μg/mlの濃度で循環する791個のアミノ酸から成る
タンパク質である。プラスミノーゲンは、広い基質特異
性をもち究極的には血塊分解を担当する線維素溶解酵素
であるプラスミンのチモーゲン形態である。ほとんどの
部分について、フィブリンタンパク質分解は、血塊内に
捕えられたプラスミノーゲンからのフィブリン凝塊内で
のプラスミンの生成によって媒介される〔Fredenburgh
& Nesheim, J. Biol. Chem. 267: 26150-56 (199
2)〕。
0μg/mlの濃度で循環する791個のアミノ酸から成る
タンパク質である。プラスミノーゲンは、広い基質特異
性をもち究極的には血塊分解を担当する線維素溶解酵素
であるプラスミンのチモーゲン形態である。ほとんどの
部分について、フィブリンタンパク質分解は、血塊内に
捕えられたプラスミノーゲンからのフィブリン凝塊内で
のプラスミンの生成によって媒介される〔Fredenburgh
& Nesheim, J. Biol. Chem. 267: 26150-56 (199
2)〕。
【0018】プラスミノーゲンは、そのアミノ末端重鎖
領域内に、フィブリン中のリジン残基の認識のためのリ
ジン結合部位を示す5つのクリングル(kringle)ドメイ
ンを有する。血塊内及びその表面の両方でのプラスミノ
ーゲン−プラスミン変換は、フィブリンに対する組織プ
ラスミノーゲン活性化因子(「t−PA」)の親和性に
よって容易になり、この結果、フィブリン依存性t−P
A誘導プラスミノーゲン活性化がもたらされる〔Freden
burgh, loc. cit.〕。
領域内に、フィブリン中のリジン残基の認識のためのリ
ジン結合部位を示す5つのクリングル(kringle)ドメイ
ンを有する。血塊内及びその表面の両方でのプラスミノ
ーゲン−プラスミン変換は、フィブリンに対する組織プ
ラスミノーゲン活性化因子(「t−PA」)の親和性に
よって容易になり、この結果、フィブリン依存性t−P
A誘導プラスミノーゲン活性化がもたらされる〔Freden
burgh, loc. cit.〕。
【0019】ひとたび開始されると、線維素溶解は、い
くつかの正のフィードバック反応を結果としてもたら
す。例えば、プラスミンに触媒されたフィブリンの切断
は、カルボキシ末端リジン残基を生成し、これが今度は
t−PA及びプラスミノーゲンの両方に対する付加的な
結合部位を提供する。このことは、予備活性化段階であ
る特異的切断によるglu−プラスミノーゲンからly
s−プラスミノーゲンへのプラスミンに触媒された変換
をも容易にする〔Shih & Hajjar, P.S.E.B.M. 202: 258
-64 (1993)〕。文献中、「lys−プラスミノーゲン」
というのは、N−末端アミノ酸がリジン、バリン又はメ
チオニンであるプラスミノーゲンの形態のことである
〔Nieuwenhuizen et al., Eur. J. Biochem. 174: 163-
69 (1988) 〕。変換活性は、lys−プラスミノーゲン
がt−PA及びウロキナーゼの両方についてglu−プ
ラスミノーゲンよりもかなり優れた基質であることか
ら、正のフィードバック反応を反映しており、このこと
はフィブリンに対するlys−プラスミノーゲンの高い
親和力に起因する可能性がある。t−PAに触媒された
lys−プラスミノーゲンの活性化についてのKcat/Km
の比率は、glu−プラスミノーゲンのものに比べ約1
0倍優れている〔Fredenburgh, loc. cit.〕。
くつかの正のフィードバック反応を結果としてもたら
す。例えば、プラスミンに触媒されたフィブリンの切断
は、カルボキシ末端リジン残基を生成し、これが今度は
t−PA及びプラスミノーゲンの両方に対する付加的な
結合部位を提供する。このことは、予備活性化段階であ
る特異的切断によるglu−プラスミノーゲンからly
s−プラスミノーゲンへのプラスミンに触媒された変換
をも容易にする〔Shih & Hajjar, P.S.E.B.M. 202: 258
-64 (1993)〕。文献中、「lys−プラスミノーゲン」
というのは、N−末端アミノ酸がリジン、バリン又はメ
チオニンであるプラスミノーゲンの形態のことである
〔Nieuwenhuizen et al., Eur. J. Biochem. 174: 163-
69 (1988) 〕。変換活性は、lys−プラスミノーゲン
がt−PA及びウロキナーゼの両方についてglu−プ
ラスミノーゲンよりもかなり優れた基質であることか
ら、正のフィードバック反応を反映しており、このこと
はフィブリンに対するlys−プラスミノーゲンの高い
親和力に起因する可能性がある。t−PAに触媒された
lys−プラスミノーゲンの活性化についてのKcat/Km
の比率は、glu−プラスミノーゲンのものに比べ約1
0倍優れている〔Fredenburgh, loc. cit.〕。
【0020】線維素溶解は、インビボ及びインビトロで
のlys−プラスミノーゲンの添加によって加速される
ことが以前に示されてきた。さらに、外因性lys−プ
ラスミノーゲンの使用を類似の実験での外因性glu−
プラスミノーゲンの使用と比較すると、0.08μmol
のlys−プラスミノーゲンは、0.67μmol のgl
u−プラスミノーゲンと同じ線維素溶解強化度を生じ
た。従って、プラスミノーゲンの両方の形態が共に線維
素溶解時間を短縮する一方で、lys−プラスミノーゲ
ンはこの点においてglu−プラスミノーゲンよりも約
8倍強力である〔Fredenburgh,前出を参照のこと〕。
のlys−プラスミノーゲンの添加によって加速される
ことが以前に示されてきた。さらに、外因性lys−プ
ラスミノーゲンの使用を類似の実験での外因性glu−
プラスミノーゲンの使用と比較すると、0.08μmol
のlys−プラスミノーゲンは、0.67μmol のgl
u−プラスミノーゲンと同じ線維素溶解強化度を生じ
た。従って、プラスミノーゲンの両方の形態が共に線維
素溶解時間を短縮する一方で、lys−プラスミノーゲ
ンはこの点においてglu−プラスミノーゲンよりも約
8倍強力である〔Fredenburgh,前出を参照のこと〕。
【0021】lys−プラスミノーゲンについてのこれ
までの研究は、再灌流損傷の治療における使用のために
このタンパク質を関与させることはしなかった。再灌流
損傷のための従来の治療法は、予防的に投与されたとき
にのみ有効であるフルナリジンである。
までの研究は、再灌流損傷の治療における使用のために
このタンパク質を関与させることはしなかった。再灌流
損傷のための従来の治療法は、予防的に投与されたとき
にのみ有効であるフルナリジンである。
【0022】従って、本発明の目的は、組織に対する再
灌流損傷を治療するための方法を提供することにある。
灌流損傷を治療するための方法を提供することにある。
【0023】同様に、虚血、梗塞又は脳水腫を治療する
ための方法を提供することも、本発明の目的である。
ための方法を提供することも、本発明の目的である。
【0024】本発明の別の目的は、微小循環を改善する
ための方法を提供することにある。本発明のさらに別の
目的は、虚血事象に続く再灌流損傷を治療するための方
法を提供することである。
ための方法を提供することにある。本発明のさらに別の
目的は、虚血事象に続く再灌流損傷を治療するための方
法を提供することである。
【0025】本発明のさらに別の目的は、プラスミンの
チモーゲン及び予備活性化されたチモーゲンを含むプラ
スミン形成タンパク質又はプラスミン、なかでもlys
−プラスミノーゲンを含む医薬組成物を投与することに
より、虚血事象に続く再灌流損傷を治療するための方法
を提供することにある。
チモーゲン及び予備活性化されたチモーゲンを含むプラ
スミン形成タンパク質又はプラスミン、なかでもlys
−プラスミノーゲンを含む医薬組成物を投与することに
より、虚血事象に続く再灌流損傷を治療するための方法
を提供することにある。
【0026】本発明のさらに別の目的は、前述のよう
に、プラスミノーゲン活性化因子及びプラスミン又はプ
ラスミン形成タンパク質、なかでもlys−プラスミノ
ーゲンを含む医薬組成物を投与することにより、虚血及
び虚血に続く事象の結果もたらされる付随する再灌流損
傷を治療するための方法を提供することにある。本発明
の1つの側面に従うと、プラスミン又はプラスミン形成
タンパク質、なかでもlys−プラスミノーゲン、及び
医薬的に受容可能な担体を含む医薬組成物を患者に投与
することを特徴とする、再灌流損傷の治療方法が提供さ
れる。好ましい一実施態様においては、lys−プラス
ミノーゲン又は関連する化合物が利用される。この方法
において使用するための組成物は、さらに、組織タイプ
のプラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼタイプの
活性化因子、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼタ
イプの活性化因子及びプラスミンを含んでいてよい。
に、プラスミノーゲン活性化因子及びプラスミン又はプ
ラスミン形成タンパク質、なかでもlys−プラスミノ
ーゲンを含む医薬組成物を投与することにより、虚血及
び虚血に続く事象の結果もたらされる付随する再灌流損
傷を治療するための方法を提供することにある。本発明
の1つの側面に従うと、プラスミン又はプラスミン形成
タンパク質、なかでもlys−プラスミノーゲン、及び
医薬的に受容可能な担体を含む医薬組成物を患者に投与
することを特徴とする、再灌流損傷の治療方法が提供さ
れる。好ましい一実施態様においては、lys−プラス
ミノーゲン又は関連する化合物が利用される。この方法
において使用するための組成物は、さらに、組織タイプ
のプラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼタイプの
活性化因子、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼタ
イプの活性化因子及びプラスミンを含んでいてよい。
【0027】本発明のさらなる目的は、移植を含む外科
的処置の結果としての虚血及び再灌流損傷を治療するこ
とにある。
的処置の結果としての虚血及び再灌流損傷を治療するこ
とにある。
【0028】本発明の別の側面に従うと、移植を含む外
科的処置の結果生じる虚血及び再灌流損傷に対する治療
が提供されている。この治療は、外科手術を受けた又は
これから受ける患者に対してlys−プラスミノーゲン
の効果をもつタンパク質又はlys−プラスミノーゲン
の先駆体(progenitor)を投与することを含んでいる。
移植の場合、このようなタンパク質を組織又は器官受容
者に投与することにより、移植される組織又は器官、な
らびに受容者の外科手術部域をとり囲む組織及び器官が
保護されることになる。同様にして、組織又は器官の供
与者(ドナー)に対しこのようなタンパク質を投与する
と、移植されるべき組織又は器官、ならびにドナーの外
科手術部域をとり囲む組織及び器官が保護されることに
なる。
科的処置の結果生じる虚血及び再灌流損傷に対する治療
が提供されている。この治療は、外科手術を受けた又は
これから受ける患者に対してlys−プラスミノーゲン
の効果をもつタンパク質又はlys−プラスミノーゲン
の先駆体(progenitor)を投与することを含んでいる。
移植の場合、このようなタンパク質を組織又は器官受容
者に投与することにより、移植される組織又は器官、な
らびに受容者の外科手術部域をとり囲む組織及び器官が
保護されることになる。同様にして、組織又は器官の供
与者(ドナー)に対しこのようなタンパク質を投与する
と、移植されるべき組織又は器官、ならびにドナーの外
科手術部域をとり囲む組織及び器官が保護されることに
なる。
【0029】本発明のその他の目的、特徴及び利点は、
以下の記載及び図面から明らかになることだろう。
以下の記載及び図面から明らかになることだろう。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明は、脳虚血を含む
虚血事象及びそれに付随する再灌流損傷の治療を可能に
する。さらに、本発明は、再灌流損傷のような従来の治
療に付随する不利な効果を回避するか又は最小限にとど
めるような形で虚血事象の治療を可能にする。文法的に
さまざまな形態での「治療」という語は、病気又はその
他の不利な状態を予防すること、緩和すること、最小限
におさえること又は治癒させることを意味する。
虚血事象及びそれに付随する再灌流損傷の治療を可能に
する。さらに、本発明は、再灌流損傷のような従来の治
療に付随する不利な効果を回避するか又は最小限にとど
めるような形で虚血事象の治療を可能にする。文法的に
さまざまな形態での「治療」という語は、病気又はその
他の不利な状態を予防すること、緩和すること、最小限
におさえること又は治癒させることを意味する。
【0031】本発明に従うと、虚血事象に続く再灌流損
傷を少なくするか又は回避するために、プラスミンの予
備活性化されたチモーゲンであるlys−プラスミノー
ゲンを含む1つのカテゴリーであるプラスミン形成タン
パク質、及びプラスミン、なかでもlys−プラスミノ
ーゲンを使用できることが発見された。この有益な効果
は、再灌流がすでに開始されているときでさえ得ること
ができる。
傷を少なくするか又は回避するために、プラスミンの予
備活性化されたチモーゲンであるlys−プラスミノー
ゲンを含む1つのカテゴリーであるプラスミン形成タン
パク質、及びプラスミン、なかでもlys−プラスミノ
ーゲンを使用できることが発見された。この有益な効果
は、再灌流がすでに開始されているときでさえ得ること
ができる。
【0032】lys−プラスミノーゲン自体を、1つの
治療として利用することが可能である。上述の利点を付
与する能力を保持しているかぎり、あらゆる形態のly
s−プラスミノーゲンが本発明における使用に適すると
みなされる。同様に本発明に従う使用に適しているの
は、上述の利点を与える能力を保持している天然の分子
の類似体(アナログ)、誘導体、突然変異タンパク質
(muteins)及び擬態(mimetics) のような、lys−プ
ラスミノーゲンの変異体及びlys−プラスミノーゲン
のフラグメントである。
治療として利用することが可能である。上述の利点を付
与する能力を保持しているかぎり、あらゆる形態のly
s−プラスミノーゲンが本発明における使用に適すると
みなされる。同様に本発明に従う使用に適しているの
は、上述の利点を与える能力を保持している天然の分子
の類似体(アナログ)、誘導体、突然変異タンパク質
(muteins)及び擬態(mimetics) のような、lys−プ
ラスミノーゲンの変異体及びlys−プラスミノーゲン
のフラグメントである。
【0033】lys−プラスミノーゲンのフラグメント
というのは、lys−プラスミノーゲンポリペプチドの
アミノ酸配列の一部分である。これらのフラグメント
は、化学的切断、タンパク質分解酵素消化又はこれらの
組合せによって、lys−プラスミノーゲン自体から直
接生成されうる。さらに、このようなフラグメントは、
ゲノム又はcDNAクローニング方法を用いた組換え技
術によっても作ることができる。さらに、アミノ酸残基
から直接ポリペプチドを合成する方法も存在する。ly
s−プラスミノーゲンの変異体は、これらの及びその他
の方法によって生成され得る。部位特異的及び領域特異
的突然変異誘発技術も利用可能である。CURRENT PROTOC
OLS IN MOLECULAR BIOLOGY, 第1巻, ch. 8 (Ausubel e
t al. eds., J. Wiley & Sons 1989 & Supp. 1990-93);
PROTEIN ENGINEERING (Oxender &Fox eds., A. Liss,
Inc. 1987)を参照されたい。さらに、突然変異誘発の
ためには、リンカースキャニング及びPCRを媒介にし
た技術も利用可能である。PCR TECHNOLOGY (Erlich e
d., Stockton Press 1989); CURRENT PROTOCOLS IN MOL
ECULAR BIOLOGY, 1巻&2巻(前出)を参照されたい。
ペプチドの結合及び機能を模倣する非ペプチド化合物
(「擬態」)は、Saragovi et al., Science 253:792-9
5 (1991)の中で概略的に示されたアプローチによって
製造しうる。上述の技術のいずれかと共に使用するため
のタンパク質配列決定、構造及びモデリングのアプロー
チは、PROTEIN ENGINEERING, loc. cit.及びCURRENT PR
OTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,1巻&2巻(前出)の
中で開示されている。
というのは、lys−プラスミノーゲンポリペプチドの
アミノ酸配列の一部分である。これらのフラグメント
は、化学的切断、タンパク質分解酵素消化又はこれらの
組合せによって、lys−プラスミノーゲン自体から直
接生成されうる。さらに、このようなフラグメントは、
ゲノム又はcDNAクローニング方法を用いた組換え技
術によっても作ることができる。さらに、アミノ酸残基
から直接ポリペプチドを合成する方法も存在する。ly
s−プラスミノーゲンの変異体は、これらの及びその他
の方法によって生成され得る。部位特異的及び領域特異
的突然変異誘発技術も利用可能である。CURRENT PROTOC
OLS IN MOLECULAR BIOLOGY, 第1巻, ch. 8 (Ausubel e
t al. eds., J. Wiley & Sons 1989 & Supp. 1990-93);
PROTEIN ENGINEERING (Oxender &Fox eds., A. Liss,
Inc. 1987)を参照されたい。さらに、突然変異誘発の
ためには、リンカースキャニング及びPCRを媒介にし
た技術も利用可能である。PCR TECHNOLOGY (Erlich e
d., Stockton Press 1989); CURRENT PROTOCOLS IN MOL
ECULAR BIOLOGY, 1巻&2巻(前出)を参照されたい。
ペプチドの結合及び機能を模倣する非ペプチド化合物
(「擬態」)は、Saragovi et al., Science 253:792-9
5 (1991)の中で概略的に示されたアプローチによって
製造しうる。上述の技術のいずれかと共に使用するため
のタンパク質配列決定、構造及びモデリングのアプロー
チは、PROTEIN ENGINEERING, loc. cit.及びCURRENT PR
OTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,1巻&2巻(前出)の
中で開示されている。
【0034】望まれるlys−プラスミノーゲンのフラ
グメント又は変異体がひとたび得られたら、そのフラグ
メント又は変異体が再灌流損傷の治療などの上述の治療
法のために有効であるか否かを決定し、もしそうである
場合には適切な投薬範囲を同定するため、本書に記載さ
れている技術を利用することができる。以下の例に記さ
れているラットの卒中モデルは、インビボでこのテスト
を実施する簡便でかつ費用有効性が高い1つの方法であ
る。
グメント又は変異体がひとたび得られたら、そのフラグ
メント又は変異体が再灌流損傷の治療などの上述の治療
法のために有効であるか否かを決定し、もしそうである
場合には適切な投薬範囲を同定するため、本書に記載さ
れている技術を利用することができる。以下の例に記さ
れているラットの卒中モデルは、インビボでこのテスト
を実施する簡便でかつ費用有効性が高い1つの方法であ
る。
【0035】本発明は同様に、lys−プラスミノーゲ
ンの先駆体、すなわちlys−プラスミノーゲンの前駆
物質ならびにlys−プラスミノーゲンを生成するよう
lys−プラスミノーゲン前駆物質に対して作用する物
質の使用も考慮している。lys−プラスミノーゲン先
駆体の例としては、適切なプロテアーゼにより切断され
てlys−プラスミノーゲンを生成するglu−プラス
ミノーゲンが挙げられる。このようなタンパク質分解的
切断をなし遂げる物質は、プラスミンであり、この物質
の使用は上述のとおり本発明の範囲内に入る。以下で記
載するこれらのラット卒中モデルは、lys−プラスミ
ノーゲン先駆体の有効性を評価するためにも有効であ
る。
ンの先駆体、すなわちlys−プラスミノーゲンの前駆
物質ならびにlys−プラスミノーゲンを生成するよう
lys−プラスミノーゲン前駆物質に対して作用する物
質の使用も考慮している。lys−プラスミノーゲン先
駆体の例としては、適切なプロテアーゼにより切断され
てlys−プラスミノーゲンを生成するglu−プラス
ミノーゲンが挙げられる。このようなタンパク質分解的
切断をなし遂げる物質は、プラスミンであり、この物質
の使用は上述のとおり本発明の範囲内に入る。以下で記
載するこれらのラット卒中モデルは、lys−プラスミ
ノーゲン先駆体の有効性を評価するためにも有効であ
る。
【0036】lys−プラスミノーゲンは、glu−プ
ラスミノーゲンのタンパク質分解的切断によってglu
−プラスミノーゲンからアミノ酸配列を除去して得るこ
とができる。lys−プラスミノーゲンを製造する方法
については、欧州特許出願0353218号にさらに詳
しく記載されている。Neuwenhuizen(前出)も参照され
たい。
ラスミノーゲンのタンパク質分解的切断によってglu
−プラスミノーゲンからアミノ酸配列を除去して得るこ
とができる。lys−プラスミノーゲンを製造する方法
については、欧州特許出願0353218号にさらに詳
しく記載されている。Neuwenhuizen(前出)も参照され
たい。
【0037】以下に示す例は、再灌流損傷の治療におけ
る、その効力を意味するこれまでに知られていないly
s−プラスミノーゲンの効果、lys−プラスミノーゲ
ンの変異体及び先駆体ならびにプラスミン及びプラスミ
ン形成タンパク質の効果を実証している。これまでは、
lys−プラスミノーゲンは単に線維素溶解において機
能するものとしてのみ知られていた。プラスミン又はl
ys−プラスミノーゲンのようなプラスミン形成タンパ
ク質が、脳虚血事象の部位において有効であるために必
要であると考えられてきた血液−脳関門の克服が可能な
ものであるということは予想されなかった。
る、その効力を意味するこれまでに知られていないly
s−プラスミノーゲンの効果、lys−プラスミノーゲ
ンの変異体及び先駆体ならびにプラスミン及びプラスミ
ン形成タンパク質の効果を実証している。これまでは、
lys−プラスミノーゲンは単に線維素溶解において機
能するものとしてのみ知られていた。プラスミン又はl
ys−プラスミノーゲンのようなプラスミン形成タンパ
ク質が、脳虚血事象の部位において有効であるために必
要であると考えられてきた血液−脳関門の克服が可能な
ものであるということは予想されなかった。
【0038】lys−プラスミノーゲンにはその他の用
途も存在する。lys−プラスミノーゲンは、心停止後
の患者の治療においても一助となる。lys−プラスミ
ノーゲンの投与は、神経細胞に対する虚血性障害を防止
する可能性がある。lys−プラスミノーゲンは又、全
身虚血(ショック)、腸及び下肢の虚血の治療、及び虚
血を防止することによる移植のための器官の保存のため
にも使用できる。
途も存在する。lys−プラスミノーゲンは、心停止後
の患者の治療においても一助となる。lys−プラスミ
ノーゲンの投与は、神経細胞に対する虚血性障害を防止
する可能性がある。lys−プラスミノーゲンは又、全
身虚血(ショック)、腸及び下肢の虚血の治療、及び虚
血を防止することによる移植のための器官の保存のため
にも使用できる。
【0039】投与方法には、標準的には静脈内経路であ
る、血塊溶解治療のために用いられる方法が含まれる。
本発明において利用すべきlys−プラスミノーゲンの
投薬は、患者の体重に基づくもので、体重1kgあたり約
10〜1,000カゼイン分解単位(「CU」)の用量で
投与されるべきである。好ましくは、用量は約100〜
600CU/kg であるべきであり、さらに好ましくは用量
は約500CU/kg であるべきである。lys−プラスミ
ノーゲンは、t−PAのような従来の血塊溶解治療剤と
共に投与されたときに起こる血液再灌流の間、投与する
ことができる。さらに、lys−プラスミノーゲンの有
益な効果は、再灌流がすでに始まった後に投与された場
合にもなお得ることができる。好ましくは、lys−プ
ラスミノーゲンは、再灌流の開始前又は開始後30分以
内に投与すべきである。lys−プラスミノーゲンの変
異体及び先駆体は、上述の投薬範囲と同じ効果を生み出
す用量で投与するべきである。
る、血塊溶解治療のために用いられる方法が含まれる。
本発明において利用すべきlys−プラスミノーゲンの
投薬は、患者の体重に基づくもので、体重1kgあたり約
10〜1,000カゼイン分解単位(「CU」)の用量で
投与されるべきである。好ましくは、用量は約100〜
600CU/kg であるべきであり、さらに好ましくは用量
は約500CU/kg であるべきである。lys−プラスミ
ノーゲンは、t−PAのような従来の血塊溶解治療剤と
共に投与されたときに起こる血液再灌流の間、投与する
ことができる。さらに、lys−プラスミノーゲンの有
益な効果は、再灌流がすでに始まった後に投与された場
合にもなお得ることができる。好ましくは、lys−プ
ラスミノーゲンは、再灌流の開始前又は開始後30分以
内に投与すべきである。lys−プラスミノーゲンの変
異体及び先駆体は、上述の投薬範囲と同じ効果を生み出
す用量で投与するべきである。
【0040】本発明に従った治療は、有利には、注射可
能な組成物の形での上述の物質の投与を介して成し遂げ
ることができる。このような目的のための標準的な組成
物には、医薬的に受容可能な担体が含まれている。この
状況において組成物の一例を挙げると、それは、lys
−プラスミノーゲン緩衝溶剤〔9g/l のNaCl、1g/
l のクエン酸三ナトリウム・2H2 O、3g/l のL−リ
ジン、6g/l のNaH2 PO4 ・2H2 O及び40,0
00KIU/l のアプロチニン(aprotonin)〕である。この
状況下での医薬的に受容可能な担体としては、その他の
水性溶液、無毒性賦形剤、例えば塩、保存剤、緩衝剤な
ど、本書にその内容が参照により含まれるREMINGTON'S
PHARMACEUTICAL SCIENCES, 15 版, Easton: Mack Publi
shing Co. pp 1405-1412及び1461-1487 (1975)及びTHE
NATIONAL FORMULARY XIV.,14版,Washington: American
Pharmacentical Association (1975)に記載されている
ようなものが含まれる。非水性溶媒の例として挙げられ
るのは、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、植物油、及びエチルオレイン酸剤のような注射可能
な有機エステルである。水性担体としては、水、アルコ
ール/水性溶液、食塩水、塩化ナトリウムのような非経
口溶剤、リンガーデキストロースなどが挙げられる。静
脈内溶剤としては、流動性の栄養補液が挙げられる。保
存剤としては、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤及び不
活性ガスが挙げられる。結合組成物のさまざまな成分の
pH及び正確な濃度は、当該技術分野における日常的技術
に従って調製される。GOODMAN AND GILMAN'S PHARMACOL
OGICAL BASIS FOR THERAPEUTICS ( 第7版)を参照のこ
と。
能な組成物の形での上述の物質の投与を介して成し遂げ
ることができる。このような目的のための標準的な組成
物には、医薬的に受容可能な担体が含まれている。この
状況において組成物の一例を挙げると、それは、lys
−プラスミノーゲン緩衝溶剤〔9g/l のNaCl、1g/
l のクエン酸三ナトリウム・2H2 O、3g/l のL−リ
ジン、6g/l のNaH2 PO4 ・2H2 O及び40,0
00KIU/l のアプロチニン(aprotonin)〕である。この
状況下での医薬的に受容可能な担体としては、その他の
水性溶液、無毒性賦形剤、例えば塩、保存剤、緩衝剤な
ど、本書にその内容が参照により含まれるREMINGTON'S
PHARMACEUTICAL SCIENCES, 15 版, Easton: Mack Publi
shing Co. pp 1405-1412及び1461-1487 (1975)及びTHE
NATIONAL FORMULARY XIV.,14版,Washington: American
Pharmacentical Association (1975)に記載されている
ようなものが含まれる。非水性溶媒の例として挙げられ
るのは、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、植物油、及びエチルオレイン酸剤のような注射可能
な有機エステルである。水性担体としては、水、アルコ
ール/水性溶液、食塩水、塩化ナトリウムのような非経
口溶剤、リンガーデキストロースなどが挙げられる。静
脈内溶剤としては、流動性の栄養補液が挙げられる。保
存剤としては、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤及び不
活性ガスが挙げられる。結合組成物のさまざまな成分の
pH及び正確な濃度は、当該技術分野における日常的技術
に従って調製される。GOODMAN AND GILMAN'S PHARMACOL
OGICAL BASIS FOR THERAPEUTICS ( 第7版)を参照のこ
と。
【0041】
例1.ラットにおける脳虚血の後遺症に対するlys−
プラスミノーゲンの効果 この実験シリーズにおいては、ラットにおいて実験的に
誘発された虚血の後遺症に対するlys−プラスミノー
ゲンの効果を評価した。虚血の神経学的影響を評価する
ために2つの異なるアプローチを利用した。虚血は、以
下のとおりにラットに誘発した。
プラスミノーゲンの効果 この実験シリーズにおいては、ラットにおいて実験的に
誘発された虚血の後遺症に対するlys−プラスミノー
ゲンの効果を評価した。虚血の神経学的影響を評価する
ために2つの異なるアプローチを利用した。虚血は、以
下のとおりにラットに誘発した。
【0042】まず最初に、雄のSprague-Dawleyラット
(体重300〜400g)を、体重1kgあたり350mgの
抱水クロラールを腹腔内投与して麻酔し、次に頸静脈に
カテーテルを挿入した。平均動脈血圧を50mmHgまで低
減させるために、頸静脈カテーテルを通して5mlの血液
を採取した(注射器中、100IUヘパリン入り)。用意
しておいた頸動脈を露出させ、血液の採取と同時に鉗子
ではさんだ。30分後、鉗子を除去し、採取した血液を
再度注入する(再灌流)。創傷にはフィブリンシーラン
ト〔Tisseel (商標)〕を塗布した。動物は合計24時
間(再灌流後23.5時間)麻酔状態においた。意識を
とり戻した後、各動物に、以下の手順のうちの1つを施
した:
(体重300〜400g)を、体重1kgあたり350mgの
抱水クロラールを腹腔内投与して麻酔し、次に頸静脈に
カテーテルを挿入した。平均動脈血圧を50mmHgまで低
減させるために、頸静脈カテーテルを通して5mlの血液
を採取した(注射器中、100IUヘパリン入り)。用意
しておいた頸動脈を露出させ、血液の採取と同時に鉗子
ではさんだ。30分後、鉗子を除去し、採取した血液を
再度注入する(再灌流)。創傷にはフィブリンシーラン
ト〔Tisseel (商標)〕を塗布した。動物は合計24時
間(再灌流後23.5時間)麻酔状態においた。意識を
とり戻した後、各動物に、以下の手順のうちの1つを施
した:
【0043】脳水腫の評価:動物を合計24時間一定の
体温に保ち、エーテルで安楽死させ、脳をとり出した。
脳水腫の評価は、その他の種について公表された方法を
修正したものを用いて行なった。Oh & Betz, Stroke 2
2: 915-21を参照のこと。
体温に保ち、エーテルで安楽死させ、脳をとり出した。
脳水腫の評価は、その他の種について公表された方法を
修正したものを用いて行なった。Oh & Betz, Stroke 2
2: 915-21を参照のこと。
【0044】虚血/再灌流により誘発された脳水腫を評
価するための優れたパラメーターである含水量は、以下
のように測定される:両半球の重さを計り、200℃で
17時間乾燥し、再度重さを測定した。以下の式に従っ
て総湿潤重量のパーセント単位で、含水量を計算した:
価するための優れたパラメーターである含水量は、以下
のように測定される:両半球の重さを計り、200℃で
17時間乾燥し、再度重さを測定した。以下の式に従っ
て総湿潤重量のパーセント単位で、含水量を計算した:
【0045】
【数1】
【0046】神経学的欠損の評価:術後1日目、2日目
及び3日目に、動物を神経学的欠損について評価した。
Wauquier et al., Neuropharmacology 28: 837-46 (198
9)を参照のこと。意識状態、歩行、筋緊張、45°に傾
いた頭上梯子上での遂行行動、及び垂直に取りつけられ
た回転ディスク上での遂行行動について、表1に示すス
コア(採点)システムに基づいて評価した。3日間の累
積スコアを計算した(最大スコア=54)。
及び3日目に、動物を神経学的欠損について評価した。
Wauquier et al., Neuropharmacology 28: 837-46 (198
9)を参照のこと。意識状態、歩行、筋緊張、45°に傾
いた頭上梯子上での遂行行動、及び垂直に取りつけられ
た回転ディスク上での遂行行動について、表1に示すス
コア(採点)システムに基づいて評価した。3日間の累
積スコアを計算した(最大スコア=54)。
【0047】
【表1】
【0048】頸静脈又は尾静脈のいずれかに入れたカテ
ーテルを用いてlys−プラスミノーゲン(IMMUNO AG)
を静脈内投与した。これらの投与は、さまざまな時点で
増大する濃度にて実施した。等張生理食塩水で処理した
虚血性動物を陽性対照として用い、一方、擬似手術に付
し等張生理食塩水で処理した動物を陰性対照として用い
た。
ーテルを用いてlys−プラスミノーゲン(IMMUNO AG)
を静脈内投与した。これらの投与は、さまざまな時点で
増大する濃度にて実施した。等張生理食塩水で処理した
虚血性動物を陽性対照として用い、一方、擬似手術に付
し等張生理食塩水で処理した動物を陰性対照として用い
た。
【0049】別々の実験において、これらの手順の各々
を用いて、上述のlys−プラスミノーゲン緩衝液をテ
ストした。投薬(用量)、投与スケジュール、実験手順
及び結果を表2にまとめて示す。
を用いて、上述のlys−プラスミノーゲン緩衝液をテ
ストした。投薬(用量)、投与スケジュール、実験手順
及び結果を表2にまとめて示す。
【0050】
【表2】
【0051】500CU/kg のlys−プラスミノーゲン
(及び対照として利用した緩衝液)についての結果は、
水腫については図1及び図2に、又神経学的欠損につい
ては図3及び4に示す。有意値は、水腫についてはt−
テストを基礎とし、神経学的欠損については、χ2 分布
を仮定したクラスカル・ワリスのテストを基礎とした。
(及び対照として利用した緩衝液)についての結果は、
水腫については図1及び図2に、又神経学的欠損につい
ては図3及び4に示す。有意値は、水腫についてはt−
テストを基礎とし、神経学的欠損については、χ2 分布
を仮定したクラスカル・ワリスのテストを基礎とした。
【0052】500CU/kg の用量のlys−プラスミノ
ーゲンは、ラットにおいて実験的に誘発された脳虚血の
帰結に対し、有意な保護的効果を示した。投与スケジュ
ールは主要な役割を果たさなかった。特記すべきこと
に、lys−プラスミノーゲンは、再灌流の開始から3
0分後に投与された場合でさえ保護的効果を現した。こ
れは、臨床的実践において用いられるカルシウム拮抗物
質である標準的な治療措置フルナリジンについて得られ
た結果とは対照的である。フルナリジン(静脈内投与で
0.63mg/kg)は、再灌流された血液中に投与した場合
に有効であったが、再灌流から30分後に投与した場合
全く効果がなかった(データは示さず)。
ーゲンは、ラットにおいて実験的に誘発された脳虚血の
帰結に対し、有意な保護的効果を示した。投与スケジュ
ールは主要な役割を果たさなかった。特記すべきこと
に、lys−プラスミノーゲンは、再灌流の開始から3
0分後に投与された場合でさえ保護的効果を現した。こ
れは、臨床的実践において用いられるカルシウム拮抗物
質である標準的な治療措置フルナリジンについて得られ
た結果とは対照的である。フルナリジン(静脈内投与で
0.63mg/kg)は、再灌流された血液中に投与した場合
に有効であったが、再灌流から30分後に投与した場合
全く効果がなかった(データは示さず)。
【0053】lys−プラスミノーゲン(500CU/kg)
は、実験的虚血のラットモデルにおける脳水腫及び神経
学的欠損に基づいて評価されているとおり、脳虚血の影
響を逆転させることができた。lys−プラスミノーゲ
ンの調製において使用した緩衝液は、全く効果がなかっ
た。標準的な治療措置(フルナリジン)とは対照的に、
lys−プラスミノーゲンは、再灌流から30分後に投
与された場合でさえ有効であった。
は、実験的虚血のラットモデルにおける脳水腫及び神経
学的欠損に基づいて評価されているとおり、脳虚血の影
響を逆転させることができた。lys−プラスミノーゲ
ンの調製において使用した緩衝液は、全く効果がなかっ
た。標準的な治療措置(フルナリジン)とは対照的に、
lys−プラスミノーゲンは、再灌流から30分後に投
与された場合でさえ有効であった。
【0054】例2.外科的手順に対するlys−プラス
ミノーゲンの効果 外科的手順には、標準的には、或る種の器官又は組織へ
の血流の停止が関与し、これは通常鉗子利用によって行
なわれる。この障害のある器官又は組織への血流の停止
は、その器官又は組織内に虚血状態を生じさせ、これは
その結果として血流が回復された時点で再灌流損傷を導
く可能性がある。この虚血状態及びその後の再灌流損傷
は、受容者への器官又は組織の移植が関与する外科的手
順において、特に問題があるものである。
ミノーゲンの効果 外科的手順には、標準的には、或る種の器官又は組織へ
の血流の停止が関与し、これは通常鉗子利用によって行
なわれる。この障害のある器官又は組織への血流の停止
は、その器官又は組織内に虚血状態を生じさせ、これは
その結果として血流が回復された時点で再灌流損傷を導
く可能性がある。この虚血状態及びその後の再灌流損傷
は、受容者への器官又は組織の移植が関与する外科的手
順において、特に問題があるものである。
【0055】移植には、特に同種異型又は異種ドナーの
器官又は組織が用いられる場合に、移植されるべき器官
又は組織の長時間にわたる鉗子利用が関与する。この鉗
子利用は、器官又は組織内の血流の停止をひき起し、そ
の後にドナーから器官又は組織が摘出される。この鉗子
利用及び摘出は、移植されるべき器官又は組織の中で虚
血をひき起こす。手順の完結の間の移植された器官又は
組織への血流の回復は、その器官又は組織内ならびに受
容者の周囲の器官又は組織内で、再灌流損傷を生じさせ
ることになる。ドナーが往々にして生きており生存し続
ける腎移植などの状況においては、摘出された腎臓をと
り囲むドナーの身体部域も、同様に虚血及び再灌流損傷
に対して保護されていなくてはならない。
器官又は組織が用いられる場合に、移植されるべき器官
又は組織の長時間にわたる鉗子利用が関与する。この鉗
子利用は、器官又は組織内の血流の停止をひき起し、そ
の後にドナーから器官又は組織が摘出される。この鉗子
利用及び摘出は、移植されるべき器官又は組織の中で虚
血をひき起こす。手順の完結の間の移植された器官又は
組織への血流の回復は、その器官又は組織内ならびに受
容者の周囲の器官又は組織内で、再灌流損傷を生じさせ
ることになる。ドナーが往々にして生きており生存し続
ける腎移植などの状況においては、摘出された腎臓をと
り囲むドナーの身体部域も、同様に虚血及び再灌流損傷
に対して保護されていなくてはならない。
【0056】本発明に従うと、外科的手順によりひき起
こされる虚血状態及びそれに続く再灌流損傷は、lys
−プラスミノーゲンの効果をもつタンパク質又はlys
−プラスミノーゲンの先駆体を用いて予防又は治療する
ことができる。このようなタンパク質は、移植されたド
ナーの器官又は組織ならびにドナー及び受容者の周囲の
器官及び組織に対して、有益な影響を及ぼすことさえで
きる。lys−プラスミノーゲンの効果をもつタンパク
質又はlys−プラスミノーゲン先駆体の投与は、器官
及び組織が、長時間にわたる虚血、ならびに再灌流によ
ってひき起こされる生理学的ストレスを許容できるよう
にする。
こされる虚血状態及びそれに続く再灌流損傷は、lys
−プラスミノーゲンの効果をもつタンパク質又はlys
−プラスミノーゲンの先駆体を用いて予防又は治療する
ことができる。このようなタンパク質は、移植されたド
ナーの器官又は組織ならびにドナー及び受容者の周囲の
器官及び組織に対して、有益な影響を及ぼすことさえで
きる。lys−プラスミノーゲンの効果をもつタンパク
質又はlys−プラスミノーゲン先駆体の投与は、器官
及び組織が、長時間にわたる虚血、ならびに再灌流によ
ってひき起こされる生理学的ストレスを許容できるよう
にする。
【0057】外科的手順を開始する前にlys−プラス
ミノーゲンの効果をもつタンパク質又はlys−プラス
ミノーゲン先駆体を投与することによって、器官又は組
織の損傷を減少させるか又は全て予防することが可能で
ある。移植の場合、本発明に従ったタンパク質は、器官
又は組織の摘出前にドナーに投与することができる。ド
ナーは、器官又は組織の摘出前に、その器官又は組織に
供給を行なっている動脈を通して、局所的に又は全身的
に処置することができる。同様にして、器官又は組織の
受容者は、移植部域をとり囲む器官又は組織ならびに受
容者内に入れられるべき器官又は組織を保護するため、
移植に先立ち処置することができる。lys−プラスミ
ノーゲンの効果をもつタンパク質又はlys−プラスミ
ノーゲン先駆体は又、再灌流の間又はその後にも投与で
きる。
ミノーゲンの効果をもつタンパク質又はlys−プラス
ミノーゲン先駆体を投与することによって、器官又は組
織の損傷を減少させるか又は全て予防することが可能で
ある。移植の場合、本発明に従ったタンパク質は、器官
又は組織の摘出前にドナーに投与することができる。ド
ナーは、器官又は組織の摘出前に、その器官又は組織に
供給を行なっている動脈を通して、局所的に又は全身的
に処置することができる。同様にして、器官又は組織の
受容者は、移植部域をとり囲む器官又は組織ならびに受
容者内に入れられるべき器官又は組織を保護するため、
移植に先立ち処置することができる。lys−プラスミ
ノーゲンの効果をもつタンパク質又はlys−プラスミ
ノーゲン先駆体は又、再灌流の間又はその後にも投与で
きる。
【0058】好ましくは、lys−プラスミノーゲン
は、再灌流損傷を治療するために投与される。全身的に
投与するべきlys−プラスミノーゲンの有効用量は、
10〜1,000CU/kg である。好ましくは、投薬用量
は約100〜600CU/kg であり、さらに好ましくは、
投薬用量は約500CU/kg である。局所的投与を用いる
場合、投薬用量は、治療すべき部域内で上述の全身的投
薬用量に近づくように計算するべきである。
は、再灌流損傷を治療するために投与される。全身的に
投与するべきlys−プラスミノーゲンの有効用量は、
10〜1,000CU/kg である。好ましくは、投薬用量
は約100〜600CU/kg であり、さらに好ましくは、
投薬用量は約500CU/kg である。局所的投与を用いる
場合、投薬用量は、治療すべき部域内で上述の全身的投
薬用量に近づくように計算するべきである。
【0059】記載、図及び具体的実施例は、本発明の好
ましい実施態様を示し、一例として与えられたものであ
り、本発明を制限する意味を全くもたないものであるこ
とを理解されたい。本明細書に含まれている論述及び開
示から、当業者には、本発明の精神及び範囲内でのさま
ざまな変更及び修正が明らかとなることだろう。
ましい実施態様を示し、一例として与えられたものであ
り、本発明を制限する意味を全くもたないものであるこ
とを理解されたい。本明細書に含まれている論述及び開
示から、当業者には、本発明の精神及び範囲内でのさま
ざまな変更及び修正が明らかとなることだろう。
【0060】図1は、誘発された虚血を伴うラットの脳
の含水量(脳水腫)に対するlys−プラスミノーゲン
の効果を評価する制御された実験からのデータのグラフ
表示である。「A」は、血液再灌流を伴う、500U/kg
のlys−プラスミノーゲンの静脈内投与を受けてい
る、外科手術により誘発された虚血をもつラットであ
る;「B」は、血液再灌流を伴う、1.0ml/kg の等張
生理食塩水の静脈内投与を受けている、外科手術により
誘発された虚血をもつラットである;「C」は、1.0
ml/kg の等張生理食塩水の静脈内投与を受けている、擬
似手術を受けたラットである(△AB:p<0.00
1;△BC:p<0.01;△AC:p<0.05)。
の含水量(脳水腫)に対するlys−プラスミノーゲン
の効果を評価する制御された実験からのデータのグラフ
表示である。「A」は、血液再灌流を伴う、500U/kg
のlys−プラスミノーゲンの静脈内投与を受けてい
る、外科手術により誘発された虚血をもつラットであ
る;「B」は、血液再灌流を伴う、1.0ml/kg の等張
生理食塩水の静脈内投与を受けている、外科手術により
誘発された虚血をもつラットである;「C」は、1.0
ml/kg の等張生理食塩水の静脈内投与を受けている、擬
似手術を受けたラットである(△AB:p<0.00
1;△BC:p<0.01;△AC:p<0.05)。
【0061】図2は、図1の実験の付加的な対照として
役立つ、誘発された虚血を伴うラットの脳の含水量(脳
水腫)に対する緩衝液の効果を評価する実験からのデー
タのグラフ表示である。「A」は、血液再灌流を伴う、
1.0ml/kg の緩衝液の静脈内投与を受けている、外科
手術により誘発された虚血をもつラットである(n=
7);「B」は、血液再灌流を伴う、1.0ml/kg の等
張生理食塩水の静脈内投与を受けている、外科手術によ
り誘発された虚血をもつラットである(n=7);
「C」は、1.0ml/kg の等張生理食塩水の静脈内投与
を受けている、擬似手術を受けたラットである(n=
8)。〔△AB:n.s.(特定せず);△BC:p<
0.01;△AC:p<0.01〕。
役立つ、誘発された虚血を伴うラットの脳の含水量(脳
水腫)に対する緩衝液の効果を評価する実験からのデー
タのグラフ表示である。「A」は、血液再灌流を伴う、
1.0ml/kg の緩衝液の静脈内投与を受けている、外科
手術により誘発された虚血をもつラットである(n=
7);「B」は、血液再灌流を伴う、1.0ml/kg の等
張生理食塩水の静脈内投与を受けている、外科手術によ
り誘発された虚血をもつラットである(n=7);
「C」は、1.0ml/kg の等張生理食塩水の静脈内投与
を受けている、擬似手術を受けたラットである(n=
8)。〔△AB:n.s.(特定せず);△BC:p<
0.01;△AC:p<0.01〕。
【0062】図3は、誘発された虚血をもつラットの神
経学的欠損に対するlys−プラスミノーゲンの効果を
評価する制御された実験からのデータのグラフ表示であ
る。合計スコアは、意識状態、歩行、筋緊張及び遂行行
動についての個別の評定に基づいている(一匹あたり3
日の平均)。最大スコアは54である(1グループにつ
きn=10)。「A」は、血液再灌流を伴う、500U/
kgのlys−プラスミノーゲンの静脈内投与を受けてい
る、外科手術により誘発された虚血をもつラットであ
る;「B」は、血液再灌流を伴う、1.0ml/kg の等張
生理食塩水の静脈内投与を受けている、外科手術により
誘発された虚血をもつラットである;「C」は、1.0
ml/kg の等張生理食塩水の静脈内投与を受けている、擬
似手術を受けたラットである。(△AB:p<0.00
1;△BC:p<0.001;△AC:p<0.0
5)。
経学的欠損に対するlys−プラスミノーゲンの効果を
評価する制御された実験からのデータのグラフ表示であ
る。合計スコアは、意識状態、歩行、筋緊張及び遂行行
動についての個別の評定に基づいている(一匹あたり3
日の平均)。最大スコアは54である(1グループにつ
きn=10)。「A」は、血液再灌流を伴う、500U/
kgのlys−プラスミノーゲンの静脈内投与を受けてい
る、外科手術により誘発された虚血をもつラットであ
る;「B」は、血液再灌流を伴う、1.0ml/kg の等張
生理食塩水の静脈内投与を受けている、外科手術により
誘発された虚血をもつラットである;「C」は、1.0
ml/kg の等張生理食塩水の静脈内投与を受けている、擬
似手術を受けたラットである。(△AB:p<0.00
1;△BC:p<0.001;△AC:p<0.0
5)。
【0063】図4は、図3の実験の付加的な対照として
役立つ、誘発された虚血をもつラットの神経学的欠損に
対する緩衝液の効果を評価する実験からのデータのグラ
フ表示である。合計スコアは、意識状態、歩行、筋緊張
及び遂行行動についての個別の評定に基づいている(1
匹あたり3日の平均)。最大スコアは54である(1グ
ループにつきn=6)。「A」は、血液再灌流を伴う、
1.0ml/kg の緩衝液の静脈内投与を受けている、外科
手術により誘発された虚血をもつラットである;「B」
は、血液再灌流を伴う、1.0ml/kg の等張生理食塩水
の外科手術により誘発された虚血をもつラットである;
「C」は、1.0ml/kg の等張生理食塩水の静脈内投与
を受けている、擬似手術を受けたラットである。〔△A
B:n.s.(特定せず);△BC:p<0.01;△
AC:p<0.01〕。
役立つ、誘発された虚血をもつラットの神経学的欠損に
対する緩衝液の効果を評価する実験からのデータのグラ
フ表示である。合計スコアは、意識状態、歩行、筋緊張
及び遂行行動についての個別の評定に基づいている(1
匹あたり3日の平均)。最大スコアは54である(1グ
ループにつきn=6)。「A」は、血液再灌流を伴う、
1.0ml/kg の緩衝液の静脈内投与を受けている、外科
手術により誘発された虚血をもつラットである;「B」
は、血液再灌流を伴う、1.0ml/kg の等張生理食塩水
の外科手術により誘発された虚血をもつラットである;
「C」は、1.0ml/kg の等張生理食塩水の静脈内投与
を受けている、擬似手術を受けたラットである。〔△A
B:n.s.(特定せず);△BC:p<0.01;△
AC:p<0.01〕。
【図1】誘発された虚血を伴うラットの脳の含水量(脳
水腫)に対するlys−プラスミノーゲンの効果を評価
する制御された実験からのデータのグラフ。
水腫)に対するlys−プラスミノーゲンの効果を評価
する制御された実験からのデータのグラフ。
【図2】誘発された虚血を伴うラットの脳の含水量(脳
水腫)に対する緩衝液の効果を評価する実験からのデー
タのグラフ。
水腫)に対する緩衝液の効果を評価する実験からのデー
タのグラフ。
【図3】誘発された虚血をもつラットの神経学的欠損に
対するlys−プラスミノーゲンの効果を評価する制御
された実験からのデータのグラフ。
対するlys−プラスミノーゲンの効果を評価する制御
された実験からのデータのグラフ。
【図4】誘発された虚血をもつラットの神経学的欠損に
対する緩衝液の効果を評価する実験からのデータのグラ
フ。
対する緩衝液の効果を評価する実験からのデータのグラ
フ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハンス−ペーター・シュワルツ オーストリア国、アー−1180 ウィー ン、シンドラーガッセ 32 (56)参考文献 特開 平4−273827(JP,A) Life Sciences,Vo l.45,No.18 (1989) P.1665 −1669 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 38/00 - 38/58 CA(STN)
Claims (9)
- 【請求項1】 lys−プラスミノーゲンを含有する、
虚血性事象及び再灌流損傷の予防及び治療のための医薬
組成物。 - 【請求項2】 卒中、虚血性事象もしくは梗塞に続く又
はそれらに付随する再灌流損傷、あるいはそれに関連す
る組織障害、脳水腫又は微小循環不良の予防・治療剤で
ある、請求項1記載の医薬組成物。 - 【請求項3】 外科手術による虚血性事象又は一過性虚
血発作に伴う再灌流損傷の予防・治療剤である、請求項
1記載の医薬組成物。 - 【請求項4】 組織又は器官の移植に関連する外科手術
に伴う再灌流損傷の予防・治療剤である、請求項3記載
の医薬組成物。 - 【請求項5】 前記lys−プラスミノーゲンが、血漿
由来であるか、又は組換え技術によって産生される、請
求項1〜4のいずれか1項記載の医薬組成物。 - 【請求項6】 プラスミノーゲン活性化因子をさらに含
む、請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬組成物。 - 【請求項7】 前記プラスミノーゲン活性化因子が、組
織型プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ型プラ
スミノーゲン活性化因子、及びプロ−ウロキナーゼ型活
性化因子よりなる群から選択される、請求項6記載の医
薬組成物。 - 【請求項8】 lys−プラスミノーゲンの効果を持つ
タンパク質、及びさらにプラスミノーゲン活性化因子を
含有する、虚血性事象及び再灌流損傷の予防及び治療の
ための医薬組成物。 - 【請求項9】 前記プラスミノーゲン活性化因子が、組
織型プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ型プラ
スミノーゲン活性化因子、及びプロ−ウロキナーゼ型活
性化因子よりなる群から選択される、請求項8記載の医
薬組成物。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US8803393A | 1993-07-02 | 1993-07-02 | |
US088033 | 1993-07-02 | ||
US88033 | 1993-07-02 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07145076A JPH07145076A (ja) | 1995-06-06 |
JP2784146B2 true JP2784146B2 (ja) | 1998-08-06 |
Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6150797A Expired - Fee Related JP2784146B2 (ja) | 1993-07-02 | 1994-07-01 | lys−プラスミノーゲンを含有する虚血性事象及び再灌流損傷の予防・治療剤 |
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Country | Link |
---|---|
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EP (1) | EP0631786B1 (ja) |
JP (1) | JP2784146B2 (ja) |
AT (2) | AT407706B (ja) |
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CA (1) | CA2127199C (ja) |
CZ (1) | CZ283352B6 (ja) |
DE (1) | DE69411084T2 (ja) |
DK (1) | DK0631786T3 (ja) |
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GR (1) | GR3027778T3 (ja) |
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HU (1) | HU217961B (ja) |
NO (1) | NO942367L (ja) |
PL (1) | PL304061A1 (ja) |
RU (1) | RU2153353C2 (ja) |
SI (1) | SI0631786T1 (ja) |
SK (1) | SK281472B6 (ja) |
ZA (1) | ZA944522B (ja) |
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---|---|---|---|---|
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