JP2744226B2 - 磁気ディスク - Google Patents
磁気ディスクInfo
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- JP2744226B2 JP2744226B2 JP9039847A JP3984797A JP2744226B2 JP 2744226 B2 JP2744226 B2 JP 2744226B2 JP 9039847 A JP9039847 A JP 9039847A JP 3984797 A JP3984797 A JP 3984797A JP 2744226 B2 JP2744226 B2 JP 2744226B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は磁性層の厚さが
0.5μm以下の高密度記録に適した磁気ディスクに関
し、さらに詳しくは表面電気抵抗が低くて耐久性に優れ
た前記の磁気ディスクに関する。 【0002】 【従来の技術】磁気ディスクの磁性層は、通常、磁性粉
末、結合剤成分、有機溶剤およびその他の必要成分から
なる磁性塗料をポリエステルフィルムなどの基体上に塗
布、乾燥してつくられる。近年、このようにしてつくら
れる磁気ディスクの記録密度を向上させるため、磁性層
の厚さを可及的に薄くして、減磁損失を少なくすること
が行われており、また、通常、耐摩耗性を良好にし、表
面電気抵抗を小さくするため、磁性層中に潤滑剤や導電
性粉末を含有させることが行われている。(特公昭44
−15741号、特公昭58−6209号) 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、磁性層の厚
さを薄くすると記録密度が高密度化される反面、磁性層
中に含有される導電性粉末や潤滑剤が少なくなり、必要
量の導電性粉末や潤滑剤を含有できないため、磁性層の
表面電気抵抗が高くなり、放電して結合剤樹脂や潤滑剤
が劣化したり、また、塵埃が磁性層表面に引きつけられ
摺接時に挟まれるため磁性層表面に傷がついたりして、
耐久性が悪くなるという難点がある。特に、磁気ディス
クにあっては、円盤が高速で回転するため、外周側が内
周側よりも線速度が大きく、磁気ヘッドと磁気ディスク
の磁性層表面における摺接条件は、外周側の方が内周側
より激しくなって、外周側において充分な耐久性が得ら
れない。 【0004】この発明は、かかる現状に鑑み種々検討を
行った結果なされたもので、基体と、この基体上に形成
する厚さが 0.3μm以上 0.5μm以下の磁性層との間
に、導電性粉末およびオレイルオレ−トを含む厚さが磁
性層の厚さ以上の下塗り層を設けることによって、厚さ
が極めて薄い磁性層の表面電気抵抗を充分に低減させる
とともに、高速回転する磁気ディスクの下塗り層および
磁性層中のオレイルオレ−トが、遠心力により磁性層よ
り厚い下塗り層を通路として動きやすいようにして、磁
気ヘッドとの摺接条件が厳しい磁気ディスクの外周側で
あっても、充分なオレイルオレ−トが滲出するように
し、磁気ヘッドが摺接している位置に必ずオレイルオレ
−トが存在するようにして、耐久性を充分に向上させ、
高密度記録が良好に行えるようにしたものである。 【0005】 【問題を解決するための手段】この発明の磁気ディスク
は、磁性層の厚さを 0.3μm以上 0.5μm以下にすると
ともに、磁性層と基体との間に導電性粉末およびオレイ
ルオレ−トを含む厚さが磁性層の厚さ以上の下塗り層を
設けている。 【0006】 【発明の実施の形態】この発明において、基体上に下塗
り層を介して形成される磁性層は、高密度記録が良好に
行えるようにするため 0.3μm以上 0.5μm以下にする
のが好ましく、 0.5μmより厚くすると減磁損失が大き
くなって高密度記録が良好に行えない。また、 0.3μm
より薄くすると十分な耐久性が得られない。 【0007】また、この発明において、基体と磁性層と
の間に設ける下塗り層は、 0.3μm以上 0.5μm以下の
磁性層より薄くては充分な量の導電性粉末やオレイルオ
レ−トを含有させることができないため、 0.3μm以上
0.5μm以下の磁性層より厚くすることが好ましく、こ
のように下塗り層の厚さを充分に厚くすると、充分な量
の導電性粉末やオレイルオレ−トを含有させることがで
き、磁性層の表面電気抵抗を充分に小さくすることがで
きるとともに、高速回転する磁気ディスクの下塗り層お
よび磁性層中のオレイルオレ−トが、遠心力に沿って磁
性層の厚さ以上の下塗り層を通路として動きやすいよう
にし、磁気ヘッドとの摺接条件が厳しい磁気ディスクの
外周側であっても、磁気ヘッドの摺接している位置で充
分なオレイルオレ−トが滲出するようにして、磁性層の
摩擦係数を充分に小さくすることができ、耐摩耗性を充
分に向上することができる。 【0008】このような下塗り層中に含有させる導電性
粉末としては、カ−ボンブラック、もしくは銅粉末など
の導電性の良好な金属粉末などが好適なものとして使用
される。含有量は、下塗り層中の結合剤成分に対して、
重量比(導電性粉末対結合剤成分)にして85対15〜
10対90の範囲内にするのが好ましく、導電性粉末が
少なすぎると磁性層の表面電気抵抗を充分に小さくする
ことができず、多くしすぎると下塗り層の基体に対する
接着性が低下する。 【0009】このように下塗り層中に含有させるオレイ
ルオレ−トは、単独で含有させてもよいが、他の潤滑剤
と併用してもよく、併用する潤滑剤としては、オレイル
オレ−ト以外の脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸の金属
塩、脂肪酸アミド、脂肪属アルコ−ル等の脂肪族系潤滑
剤、フッ素系潤滑剤、シリコ−ン系潤滑剤、炭化水素系
潤滑剤等がいずれも好適なものとして使用される。 【0010】オレイルオレ−ト以外の脂肪酸エステルと
しては、たとえば、2エチルヘキシルオレ−ト、ステア
リン酸ブチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸モ
ノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、オレイン
酸モノグリセリド、ペンタエリスリト−ルテトラステア
レ−トなどが好ましく使用される。 【0011】また、脂肪酸としては、たとえば、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステ
アリン酸、ベヘン酸などが好ましく使用され、さらにこ
れらの金属塩としては、たとえば、これらのリチウム
塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ア
ルミニウム塩、鉄塩、コバルト塩、亜鉛塩、バリウム塩
ならびに鉛塩などが好適なものとして使用される。 【0012】また脂肪酸アミドとしては、たとえば、カ
プロン酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミ
ド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸
アミド、リノ−ル酸アミド、メチレンビスステアリン酸
アミドなどが好ましく使用され、脂肪族アルコ−ルとし
ては、たとえば、ステアリルアルコ−ル、ミリスチルア
ルコ−ルなどが好ましく使用される。 【0013】またフッ素系潤滑剤としては、例えばトリ
クロロフルオロエチレン、パ−フルオロポリエ−テル、
パ−フルオロアルキルポリエ−テル、パ−フルオロアル
キルカルボン酸などが好ましく使用され、市販品の具体
例としては、ダイキン社製ダイフロン#20、デュポン
社製クライトックスM、クライトックスH、バイダック
スAR、モンテジソン社製フォンブリンZなどが挙げら
れる。 【0014】さらにシリコ−ン系潤滑剤としては、シリ
コ−ンオイル、変性シリコ−ンオイル等が好適なものと
して使用され、炭化水素系潤滑剤としては、たとえば、
流動パラフィン、スクアラン、合成スクアラン等が好適
なものとして使用される。 【0015】オレイルオレ−トの使用量は、下塗り層の
全固形成分との合計量に対して、0.1 〜40重量%の範
囲内にするのが好ましく、0.1 重量%より少なくては磁
性層に充分な量のオレイルオレ−トを補給して磁性層の
耐摩耗性を充分に向上することができず、40重量%よ
り多くすると 0.3μm以上 0.5μm以下の磁性層との接
着力が低くなり十分な耐久性を確保できない。 【0016】このような導電性粉末、さらにオレイルオ
レ−トを含む下塗り層は、通常、導電性粉末、さらにオ
レイルオレ−トを、結合剤樹脂および有機溶剤等ととも
に混合分散して下塗り層用塗料を調製し、これをポリエ
ステルフイルムなどの基体上に塗布し、乾燥して形成さ
れる。 【0017】ここで、下塗り層に使用される結合剤樹脂
としては、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリビ
ニルブチラ−ル樹脂、繊維素系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエ−テ
ル系樹脂、イソシアネ−ト化合物、放射線硬化型樹脂な
ど従来から汎用されている結合剤樹脂がいずれも好適に
使用される。 【0018】また、有機溶剤としては、アセトン、メチ
ルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サノン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、
ジメチルホルムアミドなど従来一般に使用される有機溶
剤がいずれも単独で、或いは二種以上混合して使用され
る。 【0019】下塗り層上の磁性層の形成は、γ−Fe2
O3 粉末、Fe3 O4 粉末、Co含有γ−Fe2 O3 粉
末、Co含有Fe3 O4 粉末、Fe粉末、Co粉末、F
e−Ni粉末およびバリウムフェライト、ストロンチウ
ムフェライトなどの従来公知の各種磁性粉末を、結合剤
樹脂および有機溶剤等とともに混合分散して磁性塗料を
調製し、この磁性塗料を、基体上に形成した下塗り層上
に塗布、乾燥するなどして形成される。 【0020】この際、使用する結合剤樹脂および有機溶
剤は、前記の下塗り層を形成する場合に使用したものと
同じものがいずれも好適に使用される。 【0021】なお、磁性塗料中には、通常使用されてい
る各種添加剤、たとえば、潤滑剤、分散剤、研磨剤、帯
電防止剤などを適宜に添加使用してもよい。 【0022】 【実施例】次に、この発明の実施例について説明する。 実施例1〜4 カ−ボンブラック(BET法による比表面積25m2 /g、平 70重量部 均粒子径75μm) 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコ−ル共重合体 25 〃 (米国 U.C.C. 社製;VAGH) ポリウレタン樹脂 15 〃 (大日本インキ化学工業社製;パンデックスT−5250) イソシアネ−ト化合物 10 〃 (日本ポリウレタン工業社製;コロネ−トL) オレイルオレ−ト 12 〃 シクロヘキサノン 200 〃 トルエン 200 〃 の組成物をボ−ルミル中で72時間混合分散して下塗り
層用塗料を調製し、これらを厚さ75μmのポリエチレ
ンテレフタレ−トフィルムの両面に、厚さを下記第1表
に示すように変えて塗布、乾燥し、カレンダ処理して、
下塗り層を形成した。 【0023】次いで、このポリエチレンテレフタレ−ト
フィルム両面の下塗り層上に、下記組成の磁性塗料を塗
布、乾燥し、カレンダ処理して、厚さを下記第1表に示
すように変えた磁性層を形成した。しかる後、円盤状に
打抜き加工処理して磁気ディスクをつくった。 【0024】 磁性塗料 Co含有γ−Fe2 O3 粉末(BET法による比表面積25 72 重量部 m2 /g、保磁力 850エルステッド) ニトロセルロ−ス 14 〃 (旭化成工業社製;セルノバ1/2) ポリウレタン樹脂 8.4 〃 (大日本インキ化学工業社製;パンデックスT−5250) イソシアネ−ト化合物 5.6 〃 (日本ポリウレタン工業社製;コロネ−トL) α−Al2 O3 粉末(平均粒子径 0.3μm) 7.2 〃 カ−ボンブラック 10.8 〃 オレイルオレ−ト 7.2 〃 シクロヘキサノン 115 〃 トルエン 115 〃 【0025】実施例5 実施例1における下塗り層用塗料の組成において、カ−
ボンブラックに代えて銅粉末を同量使用した以外は、実
施例1と同様にして下塗り層を形成し、磁気ディスクを
つくった。 【0026】比較例1〜5 実施例1において、下塗り層の形成を省き、磁性層の厚
さを下記第1表に示すように変えた以外は、実施例1と
同様にして下塗り層を形成し、磁気ディスクをつくっ
た。 【0027】比較例6〜12 実施例1において、下塗り層の厚さおよび磁性層の厚さ
を、下記第1表に示すように変えた以外は、実施例1と
同様にして下塗り層を形成し、磁気ディスクをつくっ
た。 【0028】各実施例および比較例で得られた磁気ディ
スクについて、表面電気抵抗、耐久性、オレイルオレ−
ト含有量および記録密度特性を調べた。耐久性は、磁気
ディスクを磁気記録再生装置に装填し、360rpm で磁
気ディスクを磁気ヘッドに摺接させながら、磁気ディス
クの磁性層の摩耗による再生出力レベルの低下量を測定
し、再生出力が当初の出力の70%まで低下するまでの
走行時間を測定して調べた。またオレイルオレ−ト含有
量は、得られた磁気ディスクの下塗り層および磁性層を
n−ヘキサンで洗浄し、その重量変化から求めた。さら
に記録密度特性は、出力が長波長記録再生出力の50%
になる記録密度D50で表した。このD50は装置として実
現可能な最大記録密度の目安となる。下記表1はその結
果である。 【0029】 【0030】 【発明の効果】上記表1から明らかなように、この発明
で得られた磁気ディスク(実施例1ないし5)は、比較
例1ないし12で得られた磁気ディスクに比し、オレイ
ルオレ−ト含有量が多く、磁性層の表面電気抵抗が充分
に小さくて、耐久性がよく、さらに記録密度特性も良好
で、このことからこの発明によって得られる磁気ディス
クは、高密度記録に適し、しかも表面電気抵抗が充分に
小さく、耐久性も充分に向上されていることがわかる。
0.5μm以下の高密度記録に適した磁気ディスクに関
し、さらに詳しくは表面電気抵抗が低くて耐久性に優れ
た前記の磁気ディスクに関する。 【0002】 【従来の技術】磁気ディスクの磁性層は、通常、磁性粉
末、結合剤成分、有機溶剤およびその他の必要成分から
なる磁性塗料をポリエステルフィルムなどの基体上に塗
布、乾燥してつくられる。近年、このようにしてつくら
れる磁気ディスクの記録密度を向上させるため、磁性層
の厚さを可及的に薄くして、減磁損失を少なくすること
が行われており、また、通常、耐摩耗性を良好にし、表
面電気抵抗を小さくするため、磁性層中に潤滑剤や導電
性粉末を含有させることが行われている。(特公昭44
−15741号、特公昭58−6209号) 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、磁性層の厚
さを薄くすると記録密度が高密度化される反面、磁性層
中に含有される導電性粉末や潤滑剤が少なくなり、必要
量の導電性粉末や潤滑剤を含有できないため、磁性層の
表面電気抵抗が高くなり、放電して結合剤樹脂や潤滑剤
が劣化したり、また、塵埃が磁性層表面に引きつけられ
摺接時に挟まれるため磁性層表面に傷がついたりして、
耐久性が悪くなるという難点がある。特に、磁気ディス
クにあっては、円盤が高速で回転するため、外周側が内
周側よりも線速度が大きく、磁気ヘッドと磁気ディスク
の磁性層表面における摺接条件は、外周側の方が内周側
より激しくなって、外周側において充分な耐久性が得ら
れない。 【0004】この発明は、かかる現状に鑑み種々検討を
行った結果なされたもので、基体と、この基体上に形成
する厚さが 0.3μm以上 0.5μm以下の磁性層との間
に、導電性粉末およびオレイルオレ−トを含む厚さが磁
性層の厚さ以上の下塗り層を設けることによって、厚さ
が極めて薄い磁性層の表面電気抵抗を充分に低減させる
とともに、高速回転する磁気ディスクの下塗り層および
磁性層中のオレイルオレ−トが、遠心力により磁性層よ
り厚い下塗り層を通路として動きやすいようにして、磁
気ヘッドとの摺接条件が厳しい磁気ディスクの外周側で
あっても、充分なオレイルオレ−トが滲出するように
し、磁気ヘッドが摺接している位置に必ずオレイルオレ
−トが存在するようにして、耐久性を充分に向上させ、
高密度記録が良好に行えるようにしたものである。 【0005】 【問題を解決するための手段】この発明の磁気ディスク
は、磁性層の厚さを 0.3μm以上 0.5μm以下にすると
ともに、磁性層と基体との間に導電性粉末およびオレイ
ルオレ−トを含む厚さが磁性層の厚さ以上の下塗り層を
設けている。 【0006】 【発明の実施の形態】この発明において、基体上に下塗
り層を介して形成される磁性層は、高密度記録が良好に
行えるようにするため 0.3μm以上 0.5μm以下にする
のが好ましく、 0.5μmより厚くすると減磁損失が大き
くなって高密度記録が良好に行えない。また、 0.3μm
より薄くすると十分な耐久性が得られない。 【0007】また、この発明において、基体と磁性層と
の間に設ける下塗り層は、 0.3μm以上 0.5μm以下の
磁性層より薄くては充分な量の導電性粉末やオレイルオ
レ−トを含有させることができないため、 0.3μm以上
0.5μm以下の磁性層より厚くすることが好ましく、こ
のように下塗り層の厚さを充分に厚くすると、充分な量
の導電性粉末やオレイルオレ−トを含有させることがで
き、磁性層の表面電気抵抗を充分に小さくすることがで
きるとともに、高速回転する磁気ディスクの下塗り層お
よび磁性層中のオレイルオレ−トが、遠心力に沿って磁
性層の厚さ以上の下塗り層を通路として動きやすいよう
にし、磁気ヘッドとの摺接条件が厳しい磁気ディスクの
外周側であっても、磁気ヘッドの摺接している位置で充
分なオレイルオレ−トが滲出するようにして、磁性層の
摩擦係数を充分に小さくすることができ、耐摩耗性を充
分に向上することができる。 【0008】このような下塗り層中に含有させる導電性
粉末としては、カ−ボンブラック、もしくは銅粉末など
の導電性の良好な金属粉末などが好適なものとして使用
される。含有量は、下塗り層中の結合剤成分に対して、
重量比(導電性粉末対結合剤成分)にして85対15〜
10対90の範囲内にするのが好ましく、導電性粉末が
少なすぎると磁性層の表面電気抵抗を充分に小さくする
ことができず、多くしすぎると下塗り層の基体に対する
接着性が低下する。 【0009】このように下塗り層中に含有させるオレイ
ルオレ−トは、単独で含有させてもよいが、他の潤滑剤
と併用してもよく、併用する潤滑剤としては、オレイル
オレ−ト以外の脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸の金属
塩、脂肪酸アミド、脂肪属アルコ−ル等の脂肪族系潤滑
剤、フッ素系潤滑剤、シリコ−ン系潤滑剤、炭化水素系
潤滑剤等がいずれも好適なものとして使用される。 【0010】オレイルオレ−ト以外の脂肪酸エステルと
しては、たとえば、2エチルヘキシルオレ−ト、ステア
リン酸ブチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸モ
ノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、オレイン
酸モノグリセリド、ペンタエリスリト−ルテトラステア
レ−トなどが好ましく使用される。 【0011】また、脂肪酸としては、たとえば、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステ
アリン酸、ベヘン酸などが好ましく使用され、さらにこ
れらの金属塩としては、たとえば、これらのリチウム
塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ア
ルミニウム塩、鉄塩、コバルト塩、亜鉛塩、バリウム塩
ならびに鉛塩などが好適なものとして使用される。 【0012】また脂肪酸アミドとしては、たとえば、カ
プロン酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミ
ド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸
アミド、リノ−ル酸アミド、メチレンビスステアリン酸
アミドなどが好ましく使用され、脂肪族アルコ−ルとし
ては、たとえば、ステアリルアルコ−ル、ミリスチルア
ルコ−ルなどが好ましく使用される。 【0013】またフッ素系潤滑剤としては、例えばトリ
クロロフルオロエチレン、パ−フルオロポリエ−テル、
パ−フルオロアルキルポリエ−テル、パ−フルオロアル
キルカルボン酸などが好ましく使用され、市販品の具体
例としては、ダイキン社製ダイフロン#20、デュポン
社製クライトックスM、クライトックスH、バイダック
スAR、モンテジソン社製フォンブリンZなどが挙げら
れる。 【0014】さらにシリコ−ン系潤滑剤としては、シリ
コ−ンオイル、変性シリコ−ンオイル等が好適なものと
して使用され、炭化水素系潤滑剤としては、たとえば、
流動パラフィン、スクアラン、合成スクアラン等が好適
なものとして使用される。 【0015】オレイルオレ−トの使用量は、下塗り層の
全固形成分との合計量に対して、0.1 〜40重量%の範
囲内にするのが好ましく、0.1 重量%より少なくては磁
性層に充分な量のオレイルオレ−トを補給して磁性層の
耐摩耗性を充分に向上することができず、40重量%よ
り多くすると 0.3μm以上 0.5μm以下の磁性層との接
着力が低くなり十分な耐久性を確保できない。 【0016】このような導電性粉末、さらにオレイルオ
レ−トを含む下塗り層は、通常、導電性粉末、さらにオ
レイルオレ−トを、結合剤樹脂および有機溶剤等ととも
に混合分散して下塗り層用塗料を調製し、これをポリエ
ステルフイルムなどの基体上に塗布し、乾燥して形成さ
れる。 【0017】ここで、下塗り層に使用される結合剤樹脂
としては、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリビ
ニルブチラ−ル樹脂、繊維素系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエ−テ
ル系樹脂、イソシアネ−ト化合物、放射線硬化型樹脂な
ど従来から汎用されている結合剤樹脂がいずれも好適に
使用される。 【0018】また、有機溶剤としては、アセトン、メチ
ルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サノン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、
ジメチルホルムアミドなど従来一般に使用される有機溶
剤がいずれも単独で、或いは二種以上混合して使用され
る。 【0019】下塗り層上の磁性層の形成は、γ−Fe2
O3 粉末、Fe3 O4 粉末、Co含有γ−Fe2 O3 粉
末、Co含有Fe3 O4 粉末、Fe粉末、Co粉末、F
e−Ni粉末およびバリウムフェライト、ストロンチウ
ムフェライトなどの従来公知の各種磁性粉末を、結合剤
樹脂および有機溶剤等とともに混合分散して磁性塗料を
調製し、この磁性塗料を、基体上に形成した下塗り層上
に塗布、乾燥するなどして形成される。 【0020】この際、使用する結合剤樹脂および有機溶
剤は、前記の下塗り層を形成する場合に使用したものと
同じものがいずれも好適に使用される。 【0021】なお、磁性塗料中には、通常使用されてい
る各種添加剤、たとえば、潤滑剤、分散剤、研磨剤、帯
電防止剤などを適宜に添加使用してもよい。 【0022】 【実施例】次に、この発明の実施例について説明する。 実施例1〜4 カ−ボンブラック(BET法による比表面積25m2 /g、平 70重量部 均粒子径75μm) 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコ−ル共重合体 25 〃 (米国 U.C.C. 社製;VAGH) ポリウレタン樹脂 15 〃 (大日本インキ化学工業社製;パンデックスT−5250) イソシアネ−ト化合物 10 〃 (日本ポリウレタン工業社製;コロネ−トL) オレイルオレ−ト 12 〃 シクロヘキサノン 200 〃 トルエン 200 〃 の組成物をボ−ルミル中で72時間混合分散して下塗り
層用塗料を調製し、これらを厚さ75μmのポリエチレ
ンテレフタレ−トフィルムの両面に、厚さを下記第1表
に示すように変えて塗布、乾燥し、カレンダ処理して、
下塗り層を形成した。 【0023】次いで、このポリエチレンテレフタレ−ト
フィルム両面の下塗り層上に、下記組成の磁性塗料を塗
布、乾燥し、カレンダ処理して、厚さを下記第1表に示
すように変えた磁性層を形成した。しかる後、円盤状に
打抜き加工処理して磁気ディスクをつくった。 【0024】 磁性塗料 Co含有γ−Fe2 O3 粉末(BET法による比表面積25 72 重量部 m2 /g、保磁力 850エルステッド) ニトロセルロ−ス 14 〃 (旭化成工業社製;セルノバ1/2) ポリウレタン樹脂 8.4 〃 (大日本インキ化学工業社製;パンデックスT−5250) イソシアネ−ト化合物 5.6 〃 (日本ポリウレタン工業社製;コロネ−トL) α−Al2 O3 粉末(平均粒子径 0.3μm) 7.2 〃 カ−ボンブラック 10.8 〃 オレイルオレ−ト 7.2 〃 シクロヘキサノン 115 〃 トルエン 115 〃 【0025】実施例5 実施例1における下塗り層用塗料の組成において、カ−
ボンブラックに代えて銅粉末を同量使用した以外は、実
施例1と同様にして下塗り層を形成し、磁気ディスクを
つくった。 【0026】比較例1〜5 実施例1において、下塗り層の形成を省き、磁性層の厚
さを下記第1表に示すように変えた以外は、実施例1と
同様にして下塗り層を形成し、磁気ディスクをつくっ
た。 【0027】比較例6〜12 実施例1において、下塗り層の厚さおよび磁性層の厚さ
を、下記第1表に示すように変えた以外は、実施例1と
同様にして下塗り層を形成し、磁気ディスクをつくっ
た。 【0028】各実施例および比較例で得られた磁気ディ
スクについて、表面電気抵抗、耐久性、オレイルオレ−
ト含有量および記録密度特性を調べた。耐久性は、磁気
ディスクを磁気記録再生装置に装填し、360rpm で磁
気ディスクを磁気ヘッドに摺接させながら、磁気ディス
クの磁性層の摩耗による再生出力レベルの低下量を測定
し、再生出力が当初の出力の70%まで低下するまでの
走行時間を測定して調べた。またオレイルオレ−ト含有
量は、得られた磁気ディスクの下塗り層および磁性層を
n−ヘキサンで洗浄し、その重量変化から求めた。さら
に記録密度特性は、出力が長波長記録再生出力の50%
になる記録密度D50で表した。このD50は装置として実
現可能な最大記録密度の目安となる。下記表1はその結
果である。 【0029】 【0030】 【発明の効果】上記表1から明らかなように、この発明
で得られた磁気ディスク(実施例1ないし5)は、比較
例1ないし12で得られた磁気ディスクに比し、オレイ
ルオレ−ト含有量が多く、磁性層の表面電気抵抗が充分
に小さくて、耐久性がよく、さらに記録密度特性も良好
で、このことからこの発明によって得られる磁気ディス
クは、高密度記録に適し、しかも表面電気抵抗が充分に
小さく、耐久性も充分に向上されていることがわかる。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.基体上に磁性粉末と結合剤成分とを含む磁性層を設
けた磁気ディスクにおいて、磁性層の厚さを 0.3μm以
上 0.5μm以下にするとともに、磁性層と基体との間に
導電性粉末およびオレイルオレ−トを含む厚さが磁性層
の厚さ以上の下塗り層を設けたことを特徴とする磁気デ
ィスク 2.下塗り層中に含む導電性粉末がカ−ボンブラックで
ある請求項1記載の磁気ディスク 3.下塗り層中に含む導電性粉末が銅粉末である請求項
1記載の磁気ディスク
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9039847A JP2744226B2 (ja) | 1997-02-08 | 1997-02-08 | 磁気ディスク |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9039847A JP2744226B2 (ja) | 1997-02-08 | 1997-02-08 | 磁気ディスク |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60293697A Division JPH0816976B2 (ja) | 1985-12-26 | 1985-12-26 | 磁気ディスク |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09185817A JPH09185817A (ja) | 1997-07-15 |
JP2744226B2 true JP2744226B2 (ja) | 1998-04-28 |
Family
ID=12564364
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9039847A Expired - Lifetime JP2744226B2 (ja) | 1997-02-08 | 1997-02-08 | 磁気ディスク |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2744226B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6074120A (ja) * | 1983-09-29 | 1985-04-26 | Teijin Ltd | 下塗り層を有する磁気記録媒体 |
JPH0610873B2 (ja) * | 1984-02-08 | 1994-02-09 | 日立マクセル株式会社 | 磁気デイスク |
-
1997
- 1997-02-08 JP JP9039847A patent/JP2744226B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
"コバルト被着酸化鉄粉塗膜を用いた磁気ディスクの高密度化"、電子通信学会技術報告、1983年9月、MR83−16 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09185817A (ja) | 1997-07-15 |
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