JP2666942C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、窒化アルミニウム焼結体に関し、特に易焼結性の窒化アルミニウム
焼結体に係わる。 (従来の技術) 窒化アルミニウム焼結体(AlN)は常温から高温まだ高強度性を保持し、か
つ溶融金属に濡れず、さらに電気絶縁性が高く、高熱伝導性である等、多くの優
れた特性を有することから新素材として注目されている。特に、近年、AlN焼
結体を放熱性基板に応用することが盛んに行われている。その結果、素原料や焼
結技術の改善等により数年前までは熱伝導率が100W/m・Kが限界であった
が、260W/m・Kまで改良されるに至っている。 ところで、AlN焼結体は通常、AlN粉末を所望の方法により成形した後、
焼結することにより製造されている。焼結は常圧焼結法やホットプレス法により
行なわれている。しかしながら、AlNは難焼結性物質であるため、常温焼結法
を採用する場合には焼結助材を添加して焼結体を緻密化することが必要である。
AlNの焼結助剤としては、アルカリ土類元素の化合物や希土類元素の化合物が
知られている。これらの化合物は、焼結時においてAlN粉末原料中に不可避的
に混入される酸素と反応し、R−Al−O系化合物(R;アルカリ土類元素)や
Ln−Al−O系化合物(Ln;希土類元素)を生成しつつ焼結体を緻密化させ る。また、AlN粉末原料中に含まれる酸素はAl−N−O系化合物を生成した
り、AlN粒子内に固溶してAlN本来の高熱伝導性を低下させるが、上述した
焼結助剤としてのアルカリ土類元素の化合物や希土類元素の化合物が酸素と反応
し、この生成物を粒界相として固定化するため、前記焼結助剤は高熱伝導率化に
も寄与する。 このように焼結助剤をAlN粉末原料に添加することにより確かにAlN焼結
体の緻密化、高熱伝導率化を達成することが可能となるが、前記焼結助剤では1
700〜1900℃の高温での焼結が必要である。AlN焼結体が広く利用され
るためには、いくつかの課題が残されているが、その一つが焼結温度の低減化で
ある。焼結温度の低減化は、低コストの観点から極めて重要である。特に、Al
N焼結体を半導体実装基板に応用することを考えると、現在広く使用されている
アルミナ基板との代替が可能になる。かかる状況では徹底的な低コスト化が必要
である。 (発明が解決しようとする課題) 本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたもので、従来に比べ
てより低い焼結温度(特に1600℃以下)で十分に緻密化され、かつ高熱伝導
率の窒化アルミニウム焼結体を提供しようとするものである。 (課題を解決するための手段) 本発明に係わる窒化アルミニウム焼結体(AlN焼結体)は、窒化アルミニウ
ムを主成分とし、希土類元素酸化物およびアルカリ土類元素酸化物を希土類元素
がアルカリ土類元素より多く含むように添加した状態で1600℃以下の温度に
て焼結した時に、副相としてLn−Al−O系酸化物(Ln;希土類元素)およ
びR−Ln−Al−O系酸化物(R;アルカリ土類元素、Ln;希土類元素)が
共存し、密度が3.11g/cm3以上であることを特徴とする。 前記アルカリ土類元素としては、Mg、Ca、Sr、Baを挙げることができ
る。特に、Ca、Sr、Baが好ましい。 前記希土類元素としては、Sc、Y、La、Ce、Sm、Eu、Tm、Tb、
Dy、Nd、Gd、Pr、Ho、Er、Yb等を挙げることができ、特にY、L
s、Ceが好ましい。 本発明に係わるAlN焼結体におけるAlN結晶粒子の構成比は、全体の80
〜99.99重量%にすることが望ましい。 次に、前述したAlN焼結体を得るための製造方法を詳細に説明する。 まず、AlN粉末に希土類元素酸化物およびアルカリ元素化合物を希土類元素
がアルカリ土類元素より多く含まれるように添加した後、ボールミル等を用いて
粉砕、混合して原料を調製する。ただし、焼結法として常圧焼結法を採用する場
合には前記ボールミル等で粉砕、混合したものにさらにバインダを加え、混練、
造粒、整粒を行って原料を調製する。 前記AlN粉末としては、酸素が0.01〜7重量%含むものを用いることが
好ましい。また、前記AlN粉末としては平均粒径4μm以下、低温焼結のため
には2μm以下のものを用いることが好ましい。 前記アルカリ元素酸化物としては、例えばMg、Ca、Sr、Baの酸化物を
用いることができ、これらは単独でも2種以上の混合物で使用してもよい。 前記希土類元素酸化物としては、例えばSc、Y、La、Ce、Sm、Eu、
Tm、Tb、Dy、Nd、Gd、Pr、Ho、Er、Ybの酸化物を用いること
ができ、これらは単独でも2種以上の混合物で使用してもよい。 前記アルカリ元素化合物および希土類元素酸化物は、前記AlN粉末と同様、
平均粒径4μm以下、低温焼結のためには2μm以下のものを用いることが好ま
しい。 前記アルカリ元素化合物と前記希土類元素酸化物のAlN粉末に対する添加割
合は重量比にてLn/(Ln+R)が0.5を越え、0.9以下にすることによ
り、後述する成形、1600℃以下での焼結後において副相としてLn−Al−
O系酸化物およびR−Ln−Al−O系酸化物が共存したAlN焼結体を製造す
ることが可能になる。すなわち、R化合物としてCaOを、Ln化合物としてY
2O3をそれぞれ用いてAlN粉末に添加する際、Y、Caが前記重量比を満たす
範囲することによって、AlN以外の構成相(副相)として少なくともYAlO
3やY3Al5O12とCaYAlO4やCaYAlO系未知相(CaYAl3O7と推
定される)とが共存される。 前記アルカリ元素化合物および前記希土類元素化合物のAlN粉末に対する添 加量は、それぞれ酸化物に換算して合計量で0.01〜20重量%の範囲にする
ことが好ましい。これは、次のような理由によるものである。前記各化合物の添
加量を0.01重量%未満にすると、副相としてLn−Al−O系酸化物および
R−Ln−Al−O系酸化物が共存させることが困難になる。一方、前記各化合
物の添加量が20重量%を越えると耐熱性、機械的強度および熱伝導率の低下を
招く恐れがある。より好ましいアルカリ元素化合物および希土類元素化合物の添
加量は、0.01〜17重量%である。 次いで、前記バインダを含む原料を金型、静水圧またはシート成形等の手段よ
り成形した後、成形体をN2ガス気流中にて加熱してバインダを除去する。つづ
いて、成形体を黒鉛または窒化アルミニウムからなる容器にセットし、N2ガス
雰囲気中にて1600℃以下で常圧焼結を行う。一方、ホットプレス焼結の場合
には、前記ボールミルで粉砕、混合して調製した原料を前述したのと同様な温度
でホットプレスを行う。 上述した方法により製造されたAlN焼結体は、粉末X線回折によりAlN以
外の構成相(副相)として少なくともLn−Al−O系酸化物とR−Ln−Al
−O系酸化物の共存が同定される。また、AlN粉末中の酸素量が多く、かつ前
記R化合物および前記Ln化合物のの添加量が少ない組成の原料を用いると、前
記構成相の他にAl−N−O系化合物が生成される場合がある。 (作用) 本発明に係わる窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウムを主成分とし、
希土類元素酸化物およびアルカリ土類元素酸化物を希土類元素がアルカリ土類元
素より多く含むように添加した状態で1600℃以下の温度にて焼結した時に、
副相としてLn−Al−O系酸化物(Ln;希土類元素)およびR−Ln−Al
−O系酸化物(R;アルカリ土類元素、Ln;希土類元素)が共存し、密度が3
.11g/cm3以上である。このような窒化アルミニウム焼結体は、緻密で高
強度であると共に、優れた高熱伝導性を有する。 (実施例) 以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 (実施例1) 先ず、不純物としての酸素を0.86重量%含有し、平均粒径が1.8μmの
AlN粉末に平均粒径0.8μmのY2O3およびCaCO3の混合粉末(混合重
量比率;Y2O3/CaOの換算で3:1)を3重量%添加し、ボールミルを用い
て解粉、混合して原料を調製した。つづいて、この原料にアクリル系バインダを
5重量%添加して造粒した後、500kg/cm2の圧力でプレス成形して約3
0cm×30cm×8cmの寸法の圧粉体とした。 次いで、前記圧粉体を窒素ガス雰囲気中、700℃で加熱してバインダを除去
した。つづいて、AlN焼結体からなる容器内に前記脱脂後の圧粉体を設置した
後、1600℃で2時間常圧焼結することによりAlN焼結体を製造した。 (実施例2〜10) 原料として下記第1表に示すAlN粉末、添加物である混合粉末(ただし、C
aOはCaCO3の形で添加)からなるものを用い、同第1表に示す条件で焼結
した以外、実施例1と同様な方法により9種のAlN焼結体を製造した。 (比較例1〜6) 原料として下記第1表に示すAlN粉末、添加物である混合粉末(ただし、C
aOはCaCO3の形で添加)からなるものを用い、同第1表に示す条件で焼結
した以外、実施例1と同様な方法により6種のAlN焼結体を製造した。 得られた実施例1〜10および比較例1〜6のAlN焼結体の密度を測定した
。また、各AlN焼結体を研削して直径10mm、厚さ3.5mmの円板を作製
し、これらを試験片としてレーザフラッシュ法により室温での熱伝導率を測定し
た。さらに、粉末X線回折法により各AlN焼結体のAlN以外の構成相を同定
した。これらの結果を下記第1表(つづき)に示す。なお、第1表(つづき)中
の未知相とはCa−Y−Al−O系複合酸化物であり、その組成は現時点ではC
aYAl3O7と推定される。 また、添加物であるY2O3、CaCO3のCaO/(Y2O3+CaO)の重量
比を変化させた時に得られたAlN焼結体の密度、熱伝導率の関係を第1図に示
す。なお、第1図中の□は焼結条件を1600℃に設定したAlN焼結体、●は
焼結条件を1700℃に設定したAlN焼結体、○は焼結条件を1800℃に設
定したAlN焼結体、をそれぞれ示す。添加物であるY2O3、CaCO3 のCaO/(Y2O3+CaO)の重量比を変化させ、焼結温度を1600℃およ
び1800℃に設定することにより得られた各AlN焼結体におけるAlN以外
の構成相を第2図および第3図にそれぞれ示す。なお、第4図には添加物として
Y2O3/CaO=1:1の重量比率のY2O3、CaCO3を用い、これをAlN
粉末に3重量%添加し、1800℃で焼結した以外、実施例1と同様な方法によ
り得られたAlN焼結体の粉末x線回折スペクトルを示す。第4図中の○はAl
Nの回折ピークを示す。 前記第1表および第1図、第2図から明らかなように1600℃以下の焼結に
よりY−Al−O系複合酸化物とCa−Y−Al−O系複合酸化物が副相として
共存する実施例1〜10のAlN焼結体は、焼結温度が同温度(1600℃)で
Ca−Al−O系複合酸化物が副相として含む比較例1のAlN焼結体、焼結温
度が同温度(1600℃)でY−Al−O系複合酸化物が副相として含む比較例
4のAlN焼結体に比べて密度が3.11g/cm3以上と緻密化され、かつ高
い熱伝導率を有することがわかる。 (実施例11〜22) 原料として下記第2表に示すAlN粉末、添加物である混合粉末(ただし、C
aOはCaCO3の形で添加)からなるものを用い、同第2表に示す条件で焼結
した以外、実施例1と同様な方法により17種のAlN焼結体を製造した。 得られた実施例11〜27のAlN焼結体について実施例1と同様、密度、レ
ーザフラッシュ法による室温での熱伝導率および粉末X線回折法によるAlN以
外の構成相を同定した。これらの結果を下記第2表(つづき)に示す。 前記第2表(つづき)から明らかなように希土類元素酸化物およびアルカリ土
類元素酸化物としてY2O3、CaCO3以外のものを用い、1600℃以下の焼
結した実施例11〜27のAlN焼結体は、Ln−Al−O系複合酸化物(Ln
;希土類元素)とR−Ln−Al−O系複合酸化物(Ln;希土類元素、R;ア
ルカリ土類元素)が副相として共存し、密度が3.11g/cm3以上と緻密化
され、かつ高い熱伝導率を有することがわかる。 (発明の効果) 以上詳述したように本発明によれば、従来に比べてより低い焼結温度(特に1
600℃以下)で密度が3.11g/cm3以上に緻密化され、かつ高い熱伝導
率を有し、半導体実装用基板等に有用な窒化アルミニウム焼結体を提供すること
ができる。
焼結体に係わる。 (従来の技術) 窒化アルミニウム焼結体(AlN)は常温から高温まだ高強度性を保持し、か
つ溶融金属に濡れず、さらに電気絶縁性が高く、高熱伝導性である等、多くの優
れた特性を有することから新素材として注目されている。特に、近年、AlN焼
結体を放熱性基板に応用することが盛んに行われている。その結果、素原料や焼
結技術の改善等により数年前までは熱伝導率が100W/m・Kが限界であった
が、260W/m・Kまで改良されるに至っている。 ところで、AlN焼結体は通常、AlN粉末を所望の方法により成形した後、
焼結することにより製造されている。焼結は常圧焼結法やホットプレス法により
行なわれている。しかしながら、AlNは難焼結性物質であるため、常温焼結法
を採用する場合には焼結助材を添加して焼結体を緻密化することが必要である。
AlNの焼結助剤としては、アルカリ土類元素の化合物や希土類元素の化合物が
知られている。これらの化合物は、焼結時においてAlN粉末原料中に不可避的
に混入される酸素と反応し、R−Al−O系化合物(R;アルカリ土類元素)や
Ln−Al−O系化合物(Ln;希土類元素)を生成しつつ焼結体を緻密化させ る。また、AlN粉末原料中に含まれる酸素はAl−N−O系化合物を生成した
り、AlN粒子内に固溶してAlN本来の高熱伝導性を低下させるが、上述した
焼結助剤としてのアルカリ土類元素の化合物や希土類元素の化合物が酸素と反応
し、この生成物を粒界相として固定化するため、前記焼結助剤は高熱伝導率化に
も寄与する。 このように焼結助剤をAlN粉末原料に添加することにより確かにAlN焼結
体の緻密化、高熱伝導率化を達成することが可能となるが、前記焼結助剤では1
700〜1900℃の高温での焼結が必要である。AlN焼結体が広く利用され
るためには、いくつかの課題が残されているが、その一つが焼結温度の低減化で
ある。焼結温度の低減化は、低コストの観点から極めて重要である。特に、Al
N焼結体を半導体実装基板に応用することを考えると、現在広く使用されている
アルミナ基板との代替が可能になる。かかる状況では徹底的な低コスト化が必要
である。 (発明が解決しようとする課題) 本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたもので、従来に比べ
てより低い焼結温度(特に1600℃以下)で十分に緻密化され、かつ高熱伝導
率の窒化アルミニウム焼結体を提供しようとするものである。 (課題を解決するための手段) 本発明に係わる窒化アルミニウム焼結体(AlN焼結体)は、窒化アルミニウ
ムを主成分とし、希土類元素酸化物およびアルカリ土類元素酸化物を希土類元素
がアルカリ土類元素より多く含むように添加した状態で1600℃以下の温度に
て焼結した時に、副相としてLn−Al−O系酸化物(Ln;希土類元素)およ
びR−Ln−Al−O系酸化物(R;アルカリ土類元素、Ln;希土類元素)が
共存し、密度が3.11g/cm3以上であることを特徴とする。 前記アルカリ土類元素としては、Mg、Ca、Sr、Baを挙げることができ
る。特に、Ca、Sr、Baが好ましい。 前記希土類元素としては、Sc、Y、La、Ce、Sm、Eu、Tm、Tb、
Dy、Nd、Gd、Pr、Ho、Er、Yb等を挙げることができ、特にY、L
s、Ceが好ましい。 本発明に係わるAlN焼結体におけるAlN結晶粒子の構成比は、全体の80
〜99.99重量%にすることが望ましい。 次に、前述したAlN焼結体を得るための製造方法を詳細に説明する。 まず、AlN粉末に希土類元素酸化物およびアルカリ元素化合物を希土類元素
がアルカリ土類元素より多く含まれるように添加した後、ボールミル等を用いて
粉砕、混合して原料を調製する。ただし、焼結法として常圧焼結法を採用する場
合には前記ボールミル等で粉砕、混合したものにさらにバインダを加え、混練、
造粒、整粒を行って原料を調製する。 前記AlN粉末としては、酸素が0.01〜7重量%含むものを用いることが
好ましい。また、前記AlN粉末としては平均粒径4μm以下、低温焼結のため
には2μm以下のものを用いることが好ましい。 前記アルカリ元素酸化物としては、例えばMg、Ca、Sr、Baの酸化物を
用いることができ、これらは単独でも2種以上の混合物で使用してもよい。 前記希土類元素酸化物としては、例えばSc、Y、La、Ce、Sm、Eu、
Tm、Tb、Dy、Nd、Gd、Pr、Ho、Er、Ybの酸化物を用いること
ができ、これらは単独でも2種以上の混合物で使用してもよい。 前記アルカリ元素化合物および希土類元素酸化物は、前記AlN粉末と同様、
平均粒径4μm以下、低温焼結のためには2μm以下のものを用いることが好ま
しい。 前記アルカリ元素化合物と前記希土類元素酸化物のAlN粉末に対する添加割
合は重量比にてLn/(Ln+R)が0.5を越え、0.9以下にすることによ
り、後述する成形、1600℃以下での焼結後において副相としてLn−Al−
O系酸化物およびR−Ln−Al−O系酸化物が共存したAlN焼結体を製造す
ることが可能になる。すなわち、R化合物としてCaOを、Ln化合物としてY
2O3をそれぞれ用いてAlN粉末に添加する際、Y、Caが前記重量比を満たす
範囲することによって、AlN以外の構成相(副相)として少なくともYAlO
3やY3Al5O12とCaYAlO4やCaYAlO系未知相(CaYAl3O7と推
定される)とが共存される。 前記アルカリ元素化合物および前記希土類元素化合物のAlN粉末に対する添 加量は、それぞれ酸化物に換算して合計量で0.01〜20重量%の範囲にする
ことが好ましい。これは、次のような理由によるものである。前記各化合物の添
加量を0.01重量%未満にすると、副相としてLn−Al−O系酸化物および
R−Ln−Al−O系酸化物が共存させることが困難になる。一方、前記各化合
物の添加量が20重量%を越えると耐熱性、機械的強度および熱伝導率の低下を
招く恐れがある。より好ましいアルカリ元素化合物および希土類元素化合物の添
加量は、0.01〜17重量%である。 次いで、前記バインダを含む原料を金型、静水圧またはシート成形等の手段よ
り成形した後、成形体をN2ガス気流中にて加熱してバインダを除去する。つづ
いて、成形体を黒鉛または窒化アルミニウムからなる容器にセットし、N2ガス
雰囲気中にて1600℃以下で常圧焼結を行う。一方、ホットプレス焼結の場合
には、前記ボールミルで粉砕、混合して調製した原料を前述したのと同様な温度
でホットプレスを行う。 上述した方法により製造されたAlN焼結体は、粉末X線回折によりAlN以
外の構成相(副相)として少なくともLn−Al−O系酸化物とR−Ln−Al
−O系酸化物の共存が同定される。また、AlN粉末中の酸素量が多く、かつ前
記R化合物および前記Ln化合物のの添加量が少ない組成の原料を用いると、前
記構成相の他にAl−N−O系化合物が生成される場合がある。 (作用) 本発明に係わる窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウムを主成分とし、
希土類元素酸化物およびアルカリ土類元素酸化物を希土類元素がアルカリ土類元
素より多く含むように添加した状態で1600℃以下の温度にて焼結した時に、
副相としてLn−Al−O系酸化物(Ln;希土類元素)およびR−Ln−Al
−O系酸化物(R;アルカリ土類元素、Ln;希土類元素)が共存し、密度が3
.11g/cm3以上である。このような窒化アルミニウム焼結体は、緻密で高
強度であると共に、優れた高熱伝導性を有する。 (実施例) 以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 (実施例1) 先ず、不純物としての酸素を0.86重量%含有し、平均粒径が1.8μmの
AlN粉末に平均粒径0.8μmのY2O3およびCaCO3の混合粉末(混合重
量比率;Y2O3/CaOの換算で3:1)を3重量%添加し、ボールミルを用い
て解粉、混合して原料を調製した。つづいて、この原料にアクリル系バインダを
5重量%添加して造粒した後、500kg/cm2の圧力でプレス成形して約3
0cm×30cm×8cmの寸法の圧粉体とした。 次いで、前記圧粉体を窒素ガス雰囲気中、700℃で加熱してバインダを除去
した。つづいて、AlN焼結体からなる容器内に前記脱脂後の圧粉体を設置した
後、1600℃で2時間常圧焼結することによりAlN焼結体を製造した。 (実施例2〜10) 原料として下記第1表に示すAlN粉末、添加物である混合粉末(ただし、C
aOはCaCO3の形で添加)からなるものを用い、同第1表に示す条件で焼結
した以外、実施例1と同様な方法により9種のAlN焼結体を製造した。 (比較例1〜6) 原料として下記第1表に示すAlN粉末、添加物である混合粉末(ただし、C
aOはCaCO3の形で添加)からなるものを用い、同第1表に示す条件で焼結
した以外、実施例1と同様な方法により6種のAlN焼結体を製造した。 得られた実施例1〜10および比較例1〜6のAlN焼結体の密度を測定した
。また、各AlN焼結体を研削して直径10mm、厚さ3.5mmの円板を作製
し、これらを試験片としてレーザフラッシュ法により室温での熱伝導率を測定し
た。さらに、粉末X線回折法により各AlN焼結体のAlN以外の構成相を同定
した。これらの結果を下記第1表(つづき)に示す。なお、第1表(つづき)中
の未知相とはCa−Y−Al−O系複合酸化物であり、その組成は現時点ではC
aYAl3O7と推定される。 また、添加物であるY2O3、CaCO3のCaO/(Y2O3+CaO)の重量
比を変化させた時に得られたAlN焼結体の密度、熱伝導率の関係を第1図に示
す。なお、第1図中の□は焼結条件を1600℃に設定したAlN焼結体、●は
焼結条件を1700℃に設定したAlN焼結体、○は焼結条件を1800℃に設
定したAlN焼結体、をそれぞれ示す。添加物であるY2O3、CaCO3 のCaO/(Y2O3+CaO)の重量比を変化させ、焼結温度を1600℃およ
び1800℃に設定することにより得られた各AlN焼結体におけるAlN以外
の構成相を第2図および第3図にそれぞれ示す。なお、第4図には添加物として
Y2O3/CaO=1:1の重量比率のY2O3、CaCO3を用い、これをAlN
粉末に3重量%添加し、1800℃で焼結した以外、実施例1と同様な方法によ
り得られたAlN焼結体の粉末x線回折スペクトルを示す。第4図中の○はAl
Nの回折ピークを示す。 前記第1表および第1図、第2図から明らかなように1600℃以下の焼結に
よりY−Al−O系複合酸化物とCa−Y−Al−O系複合酸化物が副相として
共存する実施例1〜10のAlN焼結体は、焼結温度が同温度(1600℃)で
Ca−Al−O系複合酸化物が副相として含む比較例1のAlN焼結体、焼結温
度が同温度(1600℃)でY−Al−O系複合酸化物が副相として含む比較例
4のAlN焼結体に比べて密度が3.11g/cm3以上と緻密化され、かつ高
い熱伝導率を有することがわかる。 (実施例11〜22) 原料として下記第2表に示すAlN粉末、添加物である混合粉末(ただし、C
aOはCaCO3の形で添加)からなるものを用い、同第2表に示す条件で焼結
した以外、実施例1と同様な方法により17種のAlN焼結体を製造した。 得られた実施例11〜27のAlN焼結体について実施例1と同様、密度、レ
ーザフラッシュ法による室温での熱伝導率および粉末X線回折法によるAlN以
外の構成相を同定した。これらの結果を下記第2表(つづき)に示す。 前記第2表(つづき)から明らかなように希土類元素酸化物およびアルカリ土
類元素酸化物としてY2O3、CaCO3以外のものを用い、1600℃以下の焼
結した実施例11〜27のAlN焼結体は、Ln−Al−O系複合酸化物(Ln
;希土類元素)とR−Ln−Al−O系複合酸化物(Ln;希土類元素、R;ア
ルカリ土類元素)が副相として共存し、密度が3.11g/cm3以上と緻密化
され、かつ高い熱伝導率を有することがわかる。 (発明の効果) 以上詳述したように本発明によれば、従来に比べてより低い焼結温度(特に1
600℃以下)で密度が3.11g/cm3以上に緻密化され、かつ高い熱伝導
率を有し、半導体実装用基板等に有用な窒化アルミニウム焼結体を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、添加物であるY2O3、CaCO3のCaO/(Y2O3+CaO)の
重量比を変化させた時に得られたAlN焼結体の密度、熱伝導率の関係を示す特
性図、第2図および第3図は添加物であるY2O3、CaCO3のCaO/ (Y2
O3+CaO)の重量比を変化させ、焼結温度を1600℃および1800℃に
設定することにより得られた各AlN焼結体におけるAlN以外の構成相を示す
図、第4図は添加物としてY2O3/CaO=1:1の重量比率のY2O3、CaC
O3を用い、これをAlN粉末に3重量%添加し、1800℃で焼結して得られ
たAlN焼結体の粉末X線回折スペクトル図である。
重量比を変化させた時に得られたAlN焼結体の密度、熱伝導率の関係を示す特
性図、第2図および第3図は添加物であるY2O3、CaCO3のCaO/ (Y2
O3+CaO)の重量比を変化させ、焼結温度を1600℃および1800℃に
設定することにより得られた各AlN焼結体におけるAlN以外の構成相を示す
図、第4図は添加物としてY2O3/CaO=1:1の重量比率のY2O3、CaC
O3を用い、これをAlN粉末に3重量%添加し、1800℃で焼結して得られ
たAlN焼結体の粉末X線回折スペクトル図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 窒化アルミニウムを主成分とし、希土類元素酸化物およびアルカリ土類元素酸
化物を希土類元素がアルカリ土類元素より多く含むように添加した状態で160
0℃以下の温度にて焼結した時に、副相としてLn−Al−O系酸化物(Ln;
希土類元素)およびR−Ln−Al−O系酸化物(R;アルカリ土類元素、Ln
;希土類元素)が共存し、密度が3.11g/cm3以上であることを特徴とす
る窒化アルミニウム焼結体。
Family
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