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JP2024142608A - 分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の押出発泡粒子の製造方法、および発泡成形体の製造方法 - Google Patents

分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の押出発泡粒子の製造方法、および発泡成形体の製造方法 Download PDF

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JP2024142608A
JP2024142608A JP2023054818A JP2023054818A JP2024142608A JP 2024142608 A JP2024142608 A JP 2024142608A JP 2023054818 A JP2023054818 A JP 2023054818A JP 2023054818 A JP2023054818 A JP 2023054818A JP 2024142608 A JP2024142608 A JP 2024142608A
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polypropylene resin
melt
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JP2023054818A
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光孝 下田
Mitsutaka Shimoda
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Kaneka Corp
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Kaneka Corp
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Abstract

【課題】低い連続気泡率を有するポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】複数のスクリューを有する溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える製造装置を使用し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤を前記溶融混練部にて溶融混練し樹脂組成物を得る溶融混練工程と、前記溶融混練工程で得られた樹脂組成物を、前記ダイを通して前記製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する押出発泡工程と、を含み、溶融混練部の最終部分での樹脂組成物の温度が分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の融点+65℃以下であり、前記製造装置内での分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の滞留時間が40秒以下である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の押出発泡粒子の製造方法、および発泡成形体の製造方法に関する。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、型内発泡成形体の長所である形状の任意性、緩衝性、軽量性、および断熱性などに優れるという特徴を有する。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法としては、不連続プロセスであるバッチ発泡法、および連続プロセスである押出発泡法等が挙げられる。押出発泡法は、効率面および環境面等において多くの利点を有するが、成形性のよいポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることが難しいという問題がある。この問題を解決する手段として、溶融張力が向上された改質ポリプロピレン樹脂を原料として使用することが検討されている。例えば、押出発泡法にてポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得る技術として、特許文献1には、押出機を用いて分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤を溶融混練し、次いで冷却し、得られた特定の温度の溶融樹脂を特定の温度の低圧領域に押出し、細断することにより、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂と発泡剤とを押出機のスクリューで特定の電力(P2)で溶融混練し、吐出量(Q2)で発泡粒子を製造し、Q2に対するP2の比(P2/Q2)が0.190kWh/kg以下を満たす製造方法が開示されている。
国際公開公報第2022/050375 国際公開公報第2022/163627
しかしながら、特許文献1や2のような分岐構造を有するポリプロピレン樹脂組成物に関する従来技術は、得られる発泡粒子の連続気泡率に改善の余地があったり、原料として、高い溶融張力を有する分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を用いる必要があった。本発明の一実施形態は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、低い連続気泡率を有する発泡粒子を提供する、もしくは、低い溶融張力を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂から、低い連続気泡率の発泡粒子を得る方法を提供することである。
本発明は、
(1).複数のスクリューを有する溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える製造装置を使用し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤を前記溶融混練部にて溶融混練し樹脂組成物を得る溶融混練工程と、前記溶融混練工程で得られた樹脂組成物を、前記ダイを通して前記製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する押出発泡工程と、を含み、溶融混練部の最終部分での樹脂組成物の温度が分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の融点+65℃以下であり、前記製造装置内での分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の滞留時間が40秒以下である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法、
(2).前記スクリューのせん断速度が100s―1以下である、(1)に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法、
(3).前記発泡剤の部数が、前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂100重量部に対して1.0~5.0重量部である、(1)または(2)に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法、
(4).前記発泡剤が、CO、プロパン、ブタン、ペンタン、および窒素からなる群から選ばれる1種以上である、(1)または(2)に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法、
(5).前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の溶融強度が2.0cN以上である(1)または(2)に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法、
(6).前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の230℃でのメルトフローレートが4.5g/10分以下である、(1)または(2)に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法、
(7).(1)または(2)で得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を成形するポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法、
に関する。
本発明の一実施形態によれば、低い連続気泡率を有する発泡粒子を製造する方法を提供することができる。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
本明細書において、「分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂」とは、(a)分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂の分子同士を分子間で一部架橋させたポリプロピレン系樹脂、および(b)分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂に対して、(ポリ)プロピレン以外のジエン化合物等を分岐鎖として導入したポリプロピレン系樹脂を意図する。
本明細書において、「分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂」を「線状ポリプロピレン系樹脂」と称する場合があり、「分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂」を「分岐状ポリプロピレン系樹脂」と称する場合があり、「線状ポリプロピレン系樹脂」および「分岐状ポリプロピレン系樹脂」をまとめて「ポリプロピレン系樹脂」と称する場合がある。線状ポリプロピレン系樹脂は、分岐状ポリプロピレン系樹脂の原料ともいえる。
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂とは、樹脂に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単量体に由来する構造単位を50モル%以上含む樹脂を意図する。
本明細書において、「プロピレン単量体に由来する構造単位」を「プロピレン単位」と称する場合がある。また、本明細書において、分岐状ポリプロピレン系樹脂とは、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂の主鎖が、当該主鎖に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単量体に由来する構造単位を50モル%以上含む樹脂を意図する。なお、分岐状ポリプロピレン系樹脂の「主鎖」とは、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂の原料である線状ポリプロピレン系樹脂に由来する構造を意図する。
本発明の製造方法は、複数のスクリューを有する溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える製造装置を使用し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤を含有する樹脂組成物を前記溶融混練部にて溶融混練する溶融混練工程と、前記溶融混練工程で得られた樹脂組成物を、前記ダイを通して前記製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する押出発泡工程と、を含み、溶融部の最終部分での樹脂温度が融点+65℃以下であり、前記製造装置内での分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の滞留時間が40秒以下である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法である。
<分岐状ポリプロピレン系樹脂>
分岐状ポリプロピレン系樹脂は、直鎖状ポリプロピレン系樹脂に分岐構造を導入することによって得られる改質ポリプロピレン系樹脂である。
直鎖状ポリプロピレン系樹脂は、該樹脂に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単量体に由来する構造単位を50モル%以上含むものをいう。
直鎖状ポリプロピレン系樹脂に分岐構造を導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、(1)直鎖状ポリプロピレン系樹脂に放射線を照射する方法、および(2)直鎖状ポリプロピレン系樹脂と、共役ジエンおよびビニル芳香族化合物からなる群から選択される単量体と、ラジカル重合開始剤とを含む混合物を溶融混練する方法等が挙げられる。
上記(1)の方法の具体的な方法としては、例えば特表2002-542360号公報に記載の方法が挙げられる。
上記(2)の方法の具体的な方法としては、例えば、直鎖状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン及びビニル芳香族化合物から選択される単量体、ラジカル重合開始剤を、直鎖状ポリプロピレン系樹脂が溶融し、かつラジカル重合開始剤が分解する温度で溶融混練する方法が挙げられる。
<直鎖状ポリプロピレン系樹脂>
直鎖状ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン系樹脂、ランダムポリプロピレン系樹脂、ブロックポリプロピレン系樹脂が挙げられる。これらの中では、ランダムポリプロピレン系樹脂が好ましい。
<ホモポリプロピレン系樹脂>
ホモポリプロピレン系樹脂とは、プロピレン単量体の単独重合体をいう。
<ランダムポリプロピレン系樹脂>
ランダムポリプロピレン系樹脂とは、プロピレン単量体と、プロピレン以外の単量体とのランダム共重合体をいう。ランダムポリプロピレン系樹脂は、該樹脂に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単量体に由来する構造単位を50モル%以上含み、プロピレン単量体以外の単量体に由来する構造単位を50モル%未満含む。本明細書において、「プロピレン単量体に由来する構造単位」を「プロピレン単位」と称する場合もある。本明細書において、「プロピレン単量体以外の単量体に由来する構造単位」を「コモノマー単位」と称する場合もある。
コモノマーとしては、例えば、(a)エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどの炭素数2または4~12のα-オレフィン、(b)シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]-4-ドデセンなどの環状オレフィン、(c)5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどのジエン、並びに(d)塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、マレイン酸、無水マレイン酸、スチレン系単量体、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル系単量体、などが挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピルおよびアクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルおよびメタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
スチレン系単量体としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、アルファメチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、t-ブチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレンおよびトリクロロスチレンなどが挙げられる。
ランダムポリプロピレン系樹脂は、コモノマー単位として、炭素数2または4~12のα-オレフィンに由来する構造単位を有することが好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテンおよび/または1-デセンなどに由来する構造単位を有することがより好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセンおよび/または4-メチル-1-ペンテンに由来する構造単位を有することがより好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテンおよび/または1-ペンテンに由来する構造単位を有することがよりさらに好ましく、エチレンおよび/または1-ブテンに由来する構造単位を有することがより特に好ましい。
ランダムポリプロピレン系樹脂は、当該ランダムポリプロピレン系樹脂に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単位を90モル%以上含むことが好ましく、93モル%以上含むことがより好ましく、94モル%以上含むことがさらに好ましく、95モル%以上含むことが特に好ましい。
<ブロックポリプロピレン系樹脂>
ブロックポリプロピレン系樹脂としては、エチレン-プロピレンブロック共重合体、プロピレン-ブテンブロック共重合体、エチレン-プロピレン-ブテンブロック共重合体が挙げられる。プロピレン-エチレンブロック共重合体は、プロピレンを主成分とする直鎖ポリマーの中に、エチレンを主成分とするポリマー、及びエチレン-プロピレン・ゴム状共重合体が分散し、海島構造を形成しているような、プロピレン系ポリマーである。
<共役ジエン及びビニル芳香族化合物から選択される単量体>
共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3-ヘプタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、および2,5-ジメチル-2,4-ヘキサジエン、などがあげられる。これら共役ジエン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら共役ジエン化合物の中では、(a)安価で取り扱い点、および(b)反応が均一に進みやすい点から、ブタジエン、およびイソプレンが特に好ましい。
ビニル芳香族化合物としては、スチレン;o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレンなどのメチルスチレン;α-クロロスチレン、β-クロロスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのクロロスチレン;o-ブロモスチレン、m-ブロモスチレン、p-ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレンなどのブロモスチレン;o-フルオロスチレン、m-フルオロスチレン、p-フルオロスチレン、ジフルオロスチレン、トリフルオロスチレンなどのフルオロスチレン;o-ニトロスチレン、m-ニトロスチレン、p-ニトロスチレン、ジニトロスチレン、トリニトロスチレンなどのニトロスチレン;o-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレンなどのビニルフェノール;o-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼンなどのジビニルベンゼン;o-ジイソプロペニルベンゼン、m-ジイソプロペニルベンゼン、p-ジイソプロペニルベンゼンなどのイソプロペニルスチレン、等が挙げられる。ビニル芳香族化合物としては、上述した中でも、(a)安価で取り扱い点、および(b)反応が均一に進みやすい点から、スチレンおよび/またはメチルスチレンが好ましい。
共役ジエン等の使用量は、直鎖状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部~5.00重量部が好ましく、0.10重量部~3.00重量部がより好ましく、0.10重量部~2.00重量部がより好ましい。
<ラジカル重合開始剤>
ラジカル重合開始剤は、直鎖状ポリプロピレン系樹脂、および共役ジエン化合物等からの水素引き抜き能を有する有機過酸化物である。ラジカル重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステルなどの有機過酸化物が挙げられる。
有機過酸化物としては、特に水素引き抜き能が高いものが好ましい。水素引き抜き能が高い有機過酸化物としては、例えば1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール;ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシン等のジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t-ブチルパーオキシオクテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシ3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル;等が好適に挙げられる。これらの中ではt-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートおよび/またはt-ブチルパーオキシベンゾエートが好ましい。これら有機過酸化物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、直鎖状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部~5.00重量部が好ましく、0.10重量部~3.00重量部が好ましく、0.10重量部~2.00重量部がさらに好ましく、0.10重量部~1.50重量部が特に好ましい。
上記(2)の方法において、直鎖状ポリポリプロピレン系樹脂、共役ジエン等の単量体、ラジカル重合開始剤を溶融混練させるための装置としては、例えば、ロール、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機等の混練機;2軸表面更新機、2軸多円板装置等の横型撹拌機;ダブルヘリカルリボン撹拌機等の縦型撹拌機等が挙げられる。これらのうち、混練機を使用することが好ましく、特に単軸押出機及び2軸押出機等の押出機が生産性の点から好ましい。
直鎖状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン等の単量体、ラジカル重合開始剤を混合、混練する順序、方法には特に制限はない。直鎖状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン等の単量体、ラジカル重合開始剤を混合した後、溶融混練してもよいし、直鎖状ポリプロピレン系樹脂を溶融混練した後、共役ジエン等の単量体あるいはラジカル重合開始剤を同時に、あるいは、別々に、一括してあるいは分割して混合してもよい。混練機の温度は130℃以上300℃以下であることが好ましい。また溶融混練する時間は、一般に1分以上60分以下であることが好ましい。
<分岐状ポリプロピレン系樹脂の物性>
分岐状ポリプロピレン系樹脂の融点(Tm)は特に限定されないが、130.0℃~165.0℃であることが好ましく、135.0℃~155.0℃であることがより好ましい。
本明細書において、融点は、示差走査熱量分析法により測定して求められる値である。
分岐状ポリプロピレン系樹脂の冷結晶化温度(Tc)は特に限定されないが、90.0℃~130.0℃であることが好ましく、100.0℃~125.0℃であることがより好ましい。
本明細書において、冷結晶化温度は、示差走査熱量分析法により測定して求められる値である。
分岐状ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、0.5g/10分以上50g/10分以下であることが好ましく、0.5g/10分以上30g/10分以下であることがより好ましい。
本明細書において、MFRは、ISO1133に従い、温度230℃で測定して求められる値である。
分岐状ポリプロピレン系樹脂のメルトテンション(MT)は特に限定されないが、5cN以上20cN以下であることが好ましく、5cN以上15cN以下であることがより好ましい。
本明細書において、メルトテンションは、キャピログラフ1D(日本 株式会社東洋精機製作所製)を用いて測定する。具体的には、以下(1)~(5)の通りである:(1)試験温度(200℃)に加熱された径9.55mmのバレルに測定用の試料樹脂(分岐状ポリプロピレン系樹脂)を充填する;(2)次いで、試料樹脂を10分間、試験温度(200℃)に加熱されたバレル内で加熱する;(3)次いで、キャピラリーダイ(口径1.0mm、長さ10mm)から、一定に保持したピストン降下速度(10mm/分)にて、試料樹脂を紐状に出しながら、この紐状物を前記キャピラリーダイの下方350mmに位置する張力検出のプーリーに通過させた後、巻取りロールを用いる巻取りを開始する;(4)紐状物の引き取りが安定した後、紐状物の巻取り速度を初速1.0m/分から、4分間で200m/分の速度に達するまで一定の割合で増加させる;(5)紐状物が破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を溶融張力として測定する。
<発泡剤>
本発明の発泡剤としては、押出発泡で使用される一般的に使用される発泡剤であれば特に限定されない。前記発泡剤としては、例えば、(a)(a-1)プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;(a-2)シクロペンタン、シクロブタン等の脂環式炭化水素類;(a-3)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類;(a-4)ジフルオロエタン等のフッ化炭化水素類;(a-5)メタノール、エタノール等のアルコール類;(a-6)空気、窒素、炭酸ガス等の無機ガス;並びに(a-7)水などの物理系発泡剤、並びに、(b)重炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの熱分解型発泡剤を含む化学系発泡剤、などが挙げられる。
本発明の製造方法において、生産コストおよび環境負荷が小さいことから、発泡剤としては、無機ガスが好ましく、炭酸ガスがより好ましい。また、生産コストおよび環境負荷がより小さいことから、発泡剤としては炭酸ガスのみを使用し、発泡剤の例として上述した、炭酸ガス以外の発泡剤を実質的に含まないことが好ましい。具体的に、発泡剤の例として上述した、炭酸ガス以外の発泡剤の樹脂組成物中の含有量が樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部以下であることが好ましく、0.001重量部以下であることがより好ましく、0.0001重量部以下であることがさらに好ましく、0重量部であることが特に好ましい。
第2の製造方法において、発泡剤の使用量は、発泡剤の種類および目標とする発泡体の発泡倍率に応じて、適宜調整すればよい。本発明の製造方法において、使用する発泡剤の合計使用量は、樹脂組成物100重量部に対して、1重量部~20重量部であることが好ましく、1重量部~15重量部であることがより好ましく、1重量部~10重量部であることがさらに好ましく、2重量部~10重量部であることが特に好ましい。「発泡剤の使用量」は、「樹脂組成物中の発泡剤の含有量」ともいえる。
<その他の樹脂およびゴム>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、分岐状ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂(「その他の樹脂」と称する場合がある。)および/またはゴムをさらに含んでいてもよい。その他の樹脂およびゴムを総称して「その他の樹脂等」と称する場合もある。その他の樹脂としては、(a)エチレン/プロピレンランダム共重合体、エチレン/プロピレンブロック共重合体、エチレン/プロピレン交互共重合体、プロピレン単独重合体などの線状のポリプロピレン系樹脂、(b)高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、およびエチレン/メタアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、並びに(c)ポリスチレン、スチレン/無水マレイン酸共重合体、およびスチレン/エチレン共重合体などのスチレン系樹脂、などが挙げられる。前記ゴムとしては、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/ブテンゴム、エチレン/ヘキセンゴム、エチレン/オクテンゴムなどのオレフィン系ゴムが挙げられる。
本発明の樹脂組成物中のその他の樹脂等の含有量は、例えば、分岐状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して60重量部以下であることが好ましく、40重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることがさらに好ましい。その他の樹脂等の含有量の下限値は特に限定されず、例えば、分岐状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0重量部であってよい。
<気泡核形成剤>
本発明の樹脂組成物は、得られる押出発泡粒子の気泡数および気泡の形状をコントロールする目的で、気泡核形成剤を含んでいてもよい。気泡核形成剤としては、重炭酸ソーダ-クエン酸混合物、クエン酸モノナトリウム塩、タルク、および炭酸カルシウムなどを挙げることができる。これら気泡核形成剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
気泡核形成剤の使用量、換言すれば本発明の樹脂組成物中の気泡核形成剤の含有量、は特に限定されない。気泡核形成剤の使用量は、例えば、分岐状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部~5.00重量部であることが好ましく、0.01重量部~3.50重量部であることがより好ましく、0.01重量部~1.00重量部であることがさらに好ましく、0.01重量部~0.50重量部であることが特に好ましい。
<その他成分>
本発明の樹脂組成物は、必要に応じてその他成分として、(a)酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、および制酸吸着剤などの安定剤、並びに/または、(b)架橋剤、連鎖移動剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、難燃剤、着色剤、および帯電防止剤などの添加剤、をさらに含んでいてもよい。これらその他成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法において使用する製造装置は、複数のスクリューを有する溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える。製造装置は、さらに、輸送部および/または冷却部を備えていてよい。製造装置が輸送部および冷却部を備える場合、(a)溶融混練部、輸送部、冷却部、および造粒部は連結しており、(b)樹脂組成物の押出方向の上流側から下流側へ向かって、溶融混練部、輸送部、冷却部、および造粒部がこの順に配置されている。製造装置が輸送部および冷却部を備える場合、(a)輸送部および冷却部は、上流側と下流側とで順番が入れ替えられて設けられてもよく、(b)輸送部は、冷却部の上流側および下流側の両方に設けられてもよい。輸送部は、溶融混練部から造粒部までの配管内の樹脂組成物の圧力が十分低ければ省略できる。また、溶融混練部の出口にて十分に樹脂組成物の温度が低下している場合、冷却部は省略してもよい。
複数のスクリューを有する溶融混練部としては、例えば、良好な混合性を有するために、2本のスクリューを有する二軸押出機が好ましい。また、溶融混練部は、溶融混練部に圧入された発泡剤が上流側に逆流しないためのスクリュー構成を有することが好ましい。すなわち、複数のスクリューを有する溶融混練部としては、逆流防止機能を持った2本のスクリュー構成を有する二軸押出機がより好ましい。
輸送部は、溶融混練部から造粒部へ樹脂組成物を輸送するための輸送部材によって構成されている。当該輸送部材は、押出発泡法にて使用される公知の輸送部材であればよく、例えばギアポンプである。ギアポンプは、樹脂組成物の流れの圧力を維持する、あるいは適宜昇圧するために有用な部材である。
冷却部は、輸送部(輸送部が省略される場合は溶融混練部)から輸送された樹脂組成物を冷却する冷却部材から構成されている。当該冷却部材は、押出発泡法にて使用される公知の冷却部材であればよい。当該冷却部材としては、例えば、単軸押出機、またはスタティックミキサー等が挙げられる。単軸押出機またはスタティックミキサーにより低せん断速度で混合しながら徐冷することにより、樹脂組成物は所定の温度に冷却される。
造粒部におけるダイは、溶融混練物を吐出するための孔(吐出孔と称する場合もある。)を少なくとも1つ備えている。ダイが備える孔の、押出方向に対して垂直な断面の形状(以下、単に「ダイの孔の形状」と称する場合がある。)は、特に限定されない。球状または略球状の形状を有する押出発泡粒子を得ることができることから、ダイの孔の形状は、真円形、略円形、楕円形、正方形、などであることが好ましい。ダイが備える孔の数および孔径は、特に限定されない。ダイは、型内発泡成形工程において発泡粒子の大きさを適切に保つ観点から、例えば、孔径0.1mm~2.0mmである孔を有することが好ましく、孔径0.4mm~1.5mmである孔を有することがより好ましい。ダイは、孔を複数(例えば、2個以上)有することがより好ましい。なお、本明細書において、ダイの孔の形状が真円形でない場合、ダイの孔の孔径は、ダイの孔の形状の内接円の直径を意図する。
<溶融混練工程>
溶融混練工程は、製造装置の溶融混練部にて、分岐状ポリプロピレン系樹脂を溶融させて、分岐状ポリプロピレン系樹脂に発泡剤を溶解させる工程である。第2溶融混練工程は、分岐状ポリプロピレン系樹脂を有する本発明の樹脂組成物と発泡剤とを含む樹脂組成物の溶融混練物を調製する工程ともいえる。
溶融混練工程では、最終的に、分岐状ポリプロピレン系樹脂に発泡剤が溶解されていればよい。溶融混練工程において、分岐状ポリプロピレン系樹脂および発泡剤を溶融混練部に供給する順序並びに方法としては、特に限定されないが、例えば、分岐状ポリプロピレン系樹脂を溶融混練部に供給し、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂を溶融混練する;その後、溶融混練された分岐状ポリプロピレン系樹脂に対して、溶融混練部の途中にある原料供給口から、発泡剤を供給し、すなわち、溶融混練部内にて樹脂組成物を調製(完成)し、当該樹脂組成物をさらに溶融混練する。
必要に応じて使用するその他の樹脂、気泡核形成剤およびその他成分を前記樹脂組成物に添加する場合、これらの原料を溶融混練部に供給する方法および順序は特に限定されない。必要に応じて使用するその他の樹脂、気泡核形成剤およびその他成分は、分岐状ポリプロピレン系樹脂および/または発泡剤と同時に添加してもよく、別々に、かつ順不同に、添加してもよい。
溶融混練工程の最終部分での樹脂組成物の温度は、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の融点+30℃以上65℃以下が好ましく、融点+35℃以上60℃以下がより好ましく、融点+40℃以上60℃以下がさらにより好ましい。融点+30℃以上であることにより、樹脂組成物の粘度が十分に下げられ発泡剤との混練を効率良く行うことができる。融点+60℃以下であることにより、分岐状ポリプロピレン系樹脂の熱劣化を抑えることができ、低い連続気泡率の発泡粒子を得ることができる。
溶融混練工程は、例えば上述した方法で樹脂組成物を溶融混練した後、溶融混練された樹脂組成物が固化しない温度の範囲内において、溶融混練された樹脂組成物の温度を下げる工程をさらに有していてもよい。
<押出発泡工程>
押出発泡工程は、溶融混練工程で得られた樹脂組成物、すなわち溶融混練された樹脂組成物を、ダイを通して製造装置の内圧よりも低圧である領域に押し出し、押し出された樹脂組成物を細断する工程である。押出発泡工程により、押出発泡粒子が得られる。そのため、押出発泡工程は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を造粒する造粒工程ともいえる。
押出発泡工程において、溶融混練工程で得られた樹脂組成物を押出す領域は、製造装置の内圧よりも低圧である限り特に限定されない。例えば、押出発泡工程において、溶融混練工程で得られた樹脂組成物は、気相中に押出されてもよく、液相中に押出されてもよい。
押出発泡工程において製造装置の内圧よりも低圧である領域に押出された樹脂組成物は、直ちに発泡し始める。押出発泡工程では、発泡中の樹脂組成物を細断してもよく、発泡し終えた樹脂組成物を細断してもよい。発泡中の樹脂組成物を細断する場合、細断された樹脂組成物は、押出された先の領域中で発泡を完了し得る。
溶融混練で得られた樹脂組成物を押出す領域および当該樹脂組成物の細断方法によって、造粒工程)、コールドカット法およびダイフェースカット法の2つに大別され得る。コールドカット法としては、ダイから押出された発泡剤を含有する樹脂組成物を発泡させ、水槽の中を通して冷却しながらストランド状の発泡体を引き取った後に細断する方法(ストランドカット法)が挙げられる。ダイフェースカット法はダイの孔から押出された樹脂組成物をダイの表面に接触しながら又は僅かに隙間を確保しながら回転するカッターで切断する方法である。
ダイフェースカット法は、さらに冷却方法の違いから次の3方式に分けられる。すなわち、アンダーウォータカット(以下、UWCと称する場合もある法、ウォータリングカット(以下、WRCと称する場合もある)法、およびホットカット(以下、HCと称する場合もある)法である。UWC法は、ダイ先端に取り付けたチャンバー内に所定圧力に調整された冷却水をダイの樹脂吐出面に接するように充満し、ダイの孔から押出された樹脂組成物を水中で切断する方法である。また、WRC法は、ダイに連結された冷却ドラムの内周面に沿って冷却水が流れる冷却ドラムをダイから下流側に配置し、空気中にて前記カッターで切断された樹脂組成物が発泡しながら、もしくは発泡後に前記冷却水中で冷却される方法である。HC法は、空気中にて樹脂組成物をカッターで切断し、切断された樹脂組成物が発泡しながら、もしくは発泡後に、空気中にて冷却される方法である。前記HC法としては、水及び空気の混合ミストを噴霧する工程をさらに含むミストカット法も挙げられる。
押出発泡工程において、溶融混練工程で得られた樹脂組成物を液相中に押出す場合(例えばUWC)について、説明する。液相としては、特に限定されないが、安価および安全に製造できることから水であることが好ましい。液相の温度は、特に限定されないが、押出発泡粒子同士が互着したものが少ない押出発泡粒子を得やすいことから、20℃~90℃であることが好ましく、25℃~85℃であることが好ましく、30℃~80℃であることがより好ましく、35℃~80℃であることがさらに好ましく、40℃~80℃であることが特に好ましい。本明細書において、液相の温度は、液相と接するように設置された温度計によって測定され得る。領域内において樹脂組成物に対する液相の圧力は、特に限定されないが、得られる押出発泡粒子の連続気泡率を低く抑えやすく、かつ得られる押出発泡粒子同士の互着を低く抑えやすいことから、0.05MPa・G~0.60MPa・Gであることが好ましく、0.07MPa・G~0.55MPa・Gであることがより好ましく、0.10MPa・G~0.50MPa・Gであることがより好ましく、0.10MPa・G~0.45MPa・Gであることがさらに好ましく、0.10MPa・G~0.40MPa・Gであることが特に好ましい。本明細書において「MPa・G」は、MPaがゲージ圧を示していることを意図する。
本発明では、製造装置内での分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の滞留時間、具体的には溶融混練工程開始から押出発泡工程で低圧である領域に吐出されるまでの時間の合計が、40秒以下であり、10秒以上35秒以下が好ましく、15秒以上30秒以下がより好ましい。滞留時間を40秒以下にすることにより、分岐状ポリプロピレン系樹脂の熱劣化を抑制しメルトテンションの低下を抑制することができる。滞留時間を10秒以上にすることにより、分岐状ポリプロピレン系樹脂と発泡剤との混練を十分に行うことができるため好ましい。
押出機のスクリューのせん断速度は、20~100s-1以下が好ましく、30~90s-1がより好ましく、40~80s-1がさらにより好ましい。20~100s-1であることにより連泡率が低い発泡粒子を得ることができる。
本発明で得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を、公知の方法で成形することによってポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<分岐状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFR>
まず、実施例および比較例で得られた押出発泡粒子を、以下(f1)~(f5)を順に行い、樹脂戻しし樹脂塊を得た。
(f1)押出発泡粒子を、温度を160℃に調整した乾燥機に入れた;(f2)次いで、5~10分かけて真空ポンプを使用して、前記乾燥機内の圧力を-0.05MPa(ゲージ圧)~-0.10MPa(ゲージ圧)になるまで減圧した;(f3)その後、前記乾燥機内で30分間、押出発泡粒子を放置し、樹脂塊(戻し樹脂)を調製した;(f4)次いで、乾燥機内の温度を室温まで冷却した後、乾燥機内の圧力を常圧まで戻した;(f5)その後、乾燥機から前記樹脂塊を取り出した。
樹脂戻しして得た樹脂塊を試料として、JISK7210に記載のMFR測定器を用いて測定した。測定条件は、オリフィスの直径が2.0959±0.0050mmφ、オリフィスの長さが8.000±0.025mm、そして、荷重が2160g、230±0.2℃であった。
<分岐状ポリプロピレン系樹脂製造装置>
分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造に使用する押出機として、スクリューを有する溶融混練部と、押出方向の末端にダイとを備える装置を使用した。前記溶融混練部としては、(a)シリンダ内に口径φ46mmの同方向回転二軸スクリューを備え、(b)押出方向の上流の末端に原料供給口(ポリプロピレン系樹脂供給フィーダ)を備え、かつ(c)シリンダの途中にさらに2つの原料供給口(ラジカル重合開始剤供給ポンプおよび共役ジエン化合物供給ポンプ)を備える二軸押出機を使用した。第1溶融混練部のスクリューの有効長L1と口径D1との比L1/D1は30.7であった。
<分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の製造>
以下(1)~(5)を順に行い分岐状ポリプロピレン系樹脂を製造した:(1)ランダムポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製、F-724NPC)100重量部と、ラジカル重合開始剤としてt-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートおよび2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタンの混合物1.33重量部とを70kg/hにて、二軸押出機(軸径φ46mmの同方向回転二軸スクリューを有する)に供給した;(2)二軸押出機途中に設けた圧入部より、ランダムポリプロピレン樹脂100重量部に対して0.55重量部のイソプレンを共役ジエン系化合物として供給した;(3)二軸押出機内の混合物をシリンダ温度200℃(すなわち、溶融混練部の温度200℃)かつスクリュー回転数(N1)258rpmの条件で溶融混練し、溶融混練物(分岐状ポリプロピレン系樹脂)を得た;(4)得られた溶融混練物(分岐状ポリプロピレン系樹脂)を、二軸押出機が末端に備えるダイから吐出量70kg/hで押出し、押出されたストランドを水槽にて水冷した;(5)水槽の先に設けたペレタイザーにてストランドを細断して、ペレット状の分岐状ポリプロピレン系樹脂を得た。
得られた分岐状ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRは3.8g/10分、溶融張力は10.6cNであった。ここで、ラジカル重合開始剤の混合物における各ラジカル重合開始剤の配合比(t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート:2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン)は、1:2であった。
<押出発泡機>
以下の実施例および比較例では、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造に使用する押出発泡装置として、溶融混練部と冷却部と輸送部とダイバーターバルブと造粒部とが直列に連結された装置を使用した。溶融混練部としては、2つのスクリューを有し、一端に原料供給部を備え、かつスクリューの途中に発泡剤供給部を備える二軸押出機を使用した。冷却部として、スタティックミキサーを使用した。造粒部は、孔径0.8mmの孔を6つ有するダイを有するものであった。
(実施例1)
分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(分岐状ポリプロピレン系樹脂)100重量部、および気泡核形成剤としてタルク0.2重量部をブレンドし、樹脂混合物を調製した。その後、樹脂混合物を、スクリュー口径Dは40mm、スクリューの有効長Lと口径Dとの比(L/D)は30、シリンダ温度195℃、スクリュー回転数150rpm(せん断速度49.9s-1)の二軸押出機に90kg/hで樹脂混合物を供給した。溶融混練の途中で、発泡剤として炭酸ガスのみを発泡剤供給部から二軸押出機内に圧入し、得られた組成物をさらに溶融混練した。発泡剤の二軸押出機への供給量は、2.5重量部であった。溶融混練部の最終部分での樹脂組成物の温度は197℃であった。
溶融混練された組成物を、冷却部と輸送部とダイバーターバルブと、造粒部が有するダイを通過させて、押出発泡機の内圧よりも低圧かつ液相として水で満たされた領域に吐出した。水の圧力は、0.2MPaであった。押し出された組成物を、水(液相)で満たされた領域中で、カッターにて細断して、球状または略球状のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得た。押出発泡機に樹脂混合物を10kg供給してから、ダイから発泡粒子が10kg吐出されるまでの時間を計ったところ24.0秒であり、平均滞留時間は24.0秒であることが分かった。得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を、遠心脱水機に供することにより回収した。得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を樹脂戻しし、得られた樹脂塊のMFR測定を上述の方法で行った。MFRを表1に示す。

(実施例2)
スクリュー回転数を206rpm(せん断速度68.5s-1)に変更する以外は、実施例1と同じ方法で押出発泡粒子を作製した。
(比較例1)
スクリュー回転数を350rpm(せん断速度116.3s-1)に変更する以外は、実施例1と同じ方法で押出発泡粒子を作製した。
(比較例2)
スクリュー口径Dが25mm、スクリューの有効長Lと口径Dとの比(L/D)が30、シリンダ温度195℃、スクリュー回転数101rpm(せん断速度61.5s-1)の二軸押出機に樹脂混合物を8.4kg/hで供給した。それ以外は、実施例1と同じ方法で押出発泡粒子を作製した。
(比較例3)
スクリュー回転数を120rpm(せん断速度35.4s-1)、樹脂混合物の供給量を10.0kg/hに変更する以外は、比較例2と同じ方法で押出発泡粒子を作製した。
(実施例3)
スクリュー回転数を220rpm(せん断速度64.9s-1)、樹脂混合物の供給量を25.0kg/hに変更する以外は、比較例2と同じ方法で押出発泡粒子を作製した。
(実施例4)
スクリュー回転数を300rpm(せん断速度88.5s-1)、樹脂混合物の供給量を25.0kg/hに変更する以外は、比較例2と同じ方法で押出発泡粒子を作製した。


Claims (7)

  1. 複数のスクリューを有する溶融混練部と、ダイを有する造粒部とを備える製造装置を使用し、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤を前記溶融混練部にて溶融混練し樹脂組成物を得る溶融混練工程と、前記溶融混練工程で得られた樹脂組成物を、前記ダイを通して前記製造装置の内圧よりも低圧である領域に吐出する押出発泡工程と、を含み、溶融混練部の最終部分での樹脂組成物の温度が分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の融点+65℃以下であり、前記製造装置内での分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の滞留時間が40秒以下である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
  2. 前記スクリューのせん断速度が100s―1以下である、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
  3. 前記発泡剤の部数が、前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂100重量部に対して1.0~5.0重量部である、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
  4. 前記発泡剤が、CO、プロパン、ブタン、ペンタン、および窒素からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
  5. 前記分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂の溶融強度が2.0cN以上である請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
  6. 前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の230℃でのメルトフローレートが4.5g/10分以下である、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
  7. 請求項1または2で得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を成形するポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。

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