[go: up one dir, main page]

JP2021080619A - パルプモールド成形体 - Google Patents

パルプモールド成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2021080619A
JP2021080619A JP2020098549A JP2020098549A JP2021080619A JP 2021080619 A JP2021080619 A JP 2021080619A JP 2020098549 A JP2020098549 A JP 2020098549A JP 2020098549 A JP2020098549 A JP 2020098549A JP 2021080619 A JP2021080619 A JP 2021080619A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pulp
molded product
mold
mass
wood
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020098549A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7435276B2 (ja
Inventor
由貴 田村
Yuki Tamura
由貴 田村
瑞江 高木
Mizue Takagi
瑞江 高木
礼子 椎橋
Reiko Shiibashi
礼子 椎橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oji Holdings Corp
Original Assignee
Oji Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Holdings Corp filed Critical Oji Holdings Corp
Publication of JP2021080619A publication Critical patent/JP2021080619A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7435276B2 publication Critical patent/JP7435276B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

【課題】スリットや貫通孔を設けた場合のスリットや貫通孔の部分の毛羽立ちが抑制され、かつ、表面加工適性に優れたパルプモールド成形体を提供すること。【解決手段】少なくとも一部の領域にスリットおよび貫通孔の少なくとも1つを有するパルプモールド成形体であり、密度が0.45g/cm3以上であり、かつ、下記要件1および2の少なくともいずれかを満たす、パルプモールド成形体。要件1:パルプモールド成形体を構成するパルプが非木材パルプと木材パルプとの混合パルプである要件2:パルプモールド成形体を構成するパルプのカナダ標準ろ水度が、100mL以上650mL以下である【選択図】なし

Description

本発明は、パルプモールド成形体に関する。
近年、廃棄物等の増加に関わる環境問題の意識の高まりに鑑み、プラスチック容器や金属容器に代わり、各種の包装材料として、パルプを原料として、そのパルプスラリーを湿式吸引成形方式により成形したパルプモールド成形体が注目されている。パルプモールド成形体は、省資源および省エネルギーに貢献し、かつ、廃棄に際してもリサイクル性に優れ、仮に廃棄する場合であっても焼却処理に適するなど、環境保全に貢献する包装材料である。
特許文献1には、薄肉、軽量で断熱性能に優れた新規なパルプモールド成形体を提供することを目的として、単一の原料組成物から抄造され、かつ厚み方向に密度分布を有する単層構造のパルプ繊維層を備え、前記パルプ繊維層の少なくとも内面または外面が被覆層で被覆されているパルプモールド成形体が記載されている。
特開2007−291600号公報
従来のパルプモールド成形体において、スリットや貫通孔などを設けた場合、設けたスリットや孔の部分が毛羽立つという問題があった。また、ラミネート加工などの表面加工に適さないという問題があった。
本発明の目的は、スリットや貫通孔を設けた場合のスリットや貫通孔の部分の毛羽立ちが抑制され、かつ、表面加工適性に優れたパルプモールド成形体を提供することである。
本発明者等は、鋭意検討の結果、パルプモールド成形体の密度を特定の範囲とし、さらに、パルプモールド成形体を特定のパルプにより構成することにより、上記の課題が解決されることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の<1>〜<9>に関する。
<1> 少なくとも一部の領域にスリットおよび貫通孔の少なくとも1つを有するパルプモールド成形体であり、密度が0.45g/cm以上であり、かつ、下記要件1および2の少なくともいずれかを満たす、パルプモールド成形体。
要件1:パルプモールド成形体を構成するパルプが非木材パルプと木材パルプとの混合パルプである
要件2:パルプモールド成形体を構成するパルプのカナダ標準ろ水度が、100mL以上650mL以下である
<2> 要件1および要件2を満たす、<1>に記載のパルプモールド成形体。
<3> 厚みが0.4mm以上3.0mm以下である、<1>または<2>に記載のパルプモールド成形体。
<4> 前記パルプモールド成形体を構成するパルプが非木材パルプを含有し、該非木材パルプが、バガスおよび竹から選択される少なくともいずれかを含む<1>〜<3>のいずれかに記載のパルプモールド成形体。
<5> 前記パルプモールド成形体を構成するパルプが非木材パルプと木材パルプとの混合パルプであり、該混合パルプ中の非木材パルプの含有量が20質量%以上80質量%以下である、<1>〜<4>のいずれかに記載のパルプモールド成形体。
<6> 前記スリットおよび貫通孔の少なくとも1つが、レーザー加工により形成される、<1>〜<5>のいずれかに記載のパルプモールド成形体。
<7> <1>〜<6>のいずれかに記載のパルプモールド成形体を表面加工した、二次加工パルプモールド成形体。
<8> 前記表面加工が、直刷法、ラミネート法、転写法、および蒸着法の少なくとも1つの表面加工法による表面加工である、<7>に記載の二次加工パルプモールド成形体。
<9> 前記表面加工が、真空ラミネート法およびホットスタンプ転写法の少なくとも1つの表面加工法による表面加工である、<7>または<8>に記載の二次加工パルプモールド成形体。
本発明によれば、スリットや貫通孔を設けた場合のスリットや貫通孔の周囲の毛羽立ちが抑制され、かつ、表面加工適性に優れたパルプモールド成形体を提供することができる。
なお、以下の説明において、「スリットや貫通孔を設けた場合のスリットや貫通孔の周囲の毛羽立ちが抑制される」ことを、「穴あけ特性に優れる」ともいう。
図1は、実施例で作製したパルプモールド蓋の斜視図である。
[パルプモールド成形体]
本発明のパルプモールド成形体は、少なくとも一部の領域にスリットおよび貫通孔の少なくとも1つを有するパルプモールド成形体であり、密度が0.45g/cm以上であり、かつ、下記要件1および2の少なくともいずれかを満たす。
要件1:パルプモールド成形体を構成するパルプ(以下、「原料パルプ」ともいう)が木材パルプと非木材パルプとの混合パルプである
要件2:パルプモールド成形体を構成するパルプ(原料パルプ)のカナダ標準ろ水度が、100mL以上650mL以下である
本発明のパルプモールド成形体は、穴あけ特性に優れるとともに、表面加工性に優れる。上記の効果が得られる詳細な理由は不明であるが、密度を特定の値以上とすることにより、スリットや貫通孔を設けた場合のスリット部分や貫通孔部分の毛羽立ちが抑制されたと考えられる。さらに、前記密度の特定に加えて、パルプモールド成形体を構成するパルプとして、非木材パルプとの混合パルプを使用するか、および/またはカナダ標準ろ水度が特定の範囲のパルプを使用することで、ラミネート性などの表面加工性にも優れるパルプモールド成形体が得られる。
<原料パルプ>
本発明において、パルプモールド成形体を構成するパルプ(原料パルプ)は、上述した要件1および要件2の少なくとも1つを満たし、要件1および要件2をともに満たすことが好ましい。
〔要件1:原料パルプが木材パルプと非木材パルプとの混合パルプである〕
原料パルプが要件1を満たすとき、原料パルプは、木材パルプと非木材パルプとの混合パルプである。なお、要件2のみを満たすとき、原料パルプは木材パルプのみでもよく、非木材パルプのみでもよく、とくに限定されないが、木材パルプと非木材パルプとの混合パルプであることが好ましい。
木材パルプとしては、一般に製紙用途で使用されている木材パルプが挙げられ、その調製法の違いにより、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ;セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ;砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)等の機械パルプ;古紙パルプ;等に分類される。
木材パルプとしては、原料により、針葉樹パルプおよび広葉樹パルプが例示される。針葉樹パルプとしては、モミ属、マツ属等から得られるパルプが例示される。また、広葉樹パルプとしては、アカシア属、ユーカリ属、ヤマナラシ属(たとえば、ポプラ)等から得られるパルプが例示される。
これらの中でも、木材パルプとしては、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、広葉樹クラフトパルプ(LKP)が好ましい。
本発明において、原料パルプとして、広葉樹パルプを含有することが好ましく、広葉樹クラフトパルプがより好ましい。広葉樹パルプとしては、アカシア属およびユーカリ属の少なくとも1つの広葉樹パルプが好ましい。広葉樹パルプを含有することにより、ラミネート性などの表面加工性により優れたパルプモールド成形体が得られる。
原料パルプ中の広葉樹パルプの含有量は、パルプモールド成形体の穴あけ特性および表面加工性をより向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、よりさらに好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
本発明において、原料パルプとして、針葉樹パルプを含有してもよい。針葉樹パルプとしては、針葉樹クラフトパルプが好ましい。針葉樹パルプを含有することにより、より強度に優れたパルプモールド成形体が得られる。
針葉樹パルプとしては、マツ属の針葉樹パルプが好ましく、ラジアータパインがより好ましい。
原料パルプが要件1を満たすとき、原料パルプ中の針葉樹パルプおよび広葉樹パルプを含む木材パルプの含有量は、パルプモール成形体の穴あけ特性および表面加工性をより向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、よりさらに好ましくは20質量%以上、よりさらに好ましくは45質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、よりさらに好ましくは55質量%以下である。
非木材パルプは、植物の皮、茎、葉、葉鞘から採取した繊維である。具体的には、コットンリンター、木綿、リネン、大麻、ラミー、わら、エスパルト、マニラ麻、ザイザル麻、黄麻、亜麻、ケナフ、竹、バガス、がんぴ、みつまた、こうぞ、桑から得られるパルプが挙げられる。
非木材パルプは、パルプモールド成形体の穴あけ特性を向上させる観点から、バガスおよび竹パルプから選択される少なくともいずれかを含むことが好ましく、バガスおよび竹から選択される少なくともいずれかであることがより好ましく、バガスであることがさらに好ましい。バガスは、さとうきびから砂糖の原液を搾汁後の残渣であり、未利用のまま廃棄物として処分される可能性があり、環境負荷軽減の観点からもバガスが好ましい。
要件1を満たすとき、原料パルプ中の非木材パルプの含有量は、パルプモールド成形体の表面平滑性および耐油性をより向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、よりさらに好ましくは45質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、よりさらに好ましくは65質量%以下、よりさらに好ましくは60質量%以下である。
本発明において、原料パルプが要件1を満たす場合、および要件2を満たす場合のいずれの場合においてもパルプ原料として、古紙や段古紙(段ボール古紙)等の古紙を使用してもよいが、パルプ原料として古紙を使用すると、古紙は繊維が毛羽立ち、変形しているため、表面性に劣り、また、穴あけ特性に劣る傾向がある。パルプモールド成形体の穴あけ特性や表面加工性、および表面の意匠性を向上させる観点から、原料パルプ中の古紙の含有量は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下であり、使用しないことがよりさらに好ましい。
〔要件2:原料パルプのカナダ標準ろ水度が、100mL以上650mL以下である〕
本発明において、原料パルプが要件2を満たすとき、原料パルプのカナダ標準ろ水度は、パルプ原料の生産性、およびパルプモールド成形体を製造時の抄紙性の観点から、100mL以上、好ましくは150mL以上、より好ましくは200mL以上であり、そして、表面加工性の観点から、650mL以下、好ましくは600mL以下、より好ましくは500mL以下、さらに好ましくは450mL以下である。
カナダ標準ろ水度が上記範囲内となるように、叩解の程度を調整すればよい。
カナダ標準ろ水度は、JIS P 8121−2:2012に準拠して測定される。
<その他の成分>
パルプモールド成形体は、上述したパルプを主原料として形成されている。パルプモールド成形体は、パルプ100%から形成されていてもよいが、パルプに加えて、各種内添助剤等の他の材料を添加することが可能である。
内添剤としては、タルク、カオリン等の無機物、ガラス繊維やカーボン繊維等の無機繊維、ポリオレフィン等の合成樹脂の粉末または繊維、カルボキシメチルセルロース等の多糖類、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、耐油剤、歩留剤、濾水向上剤、嵩高剤、硫酸バンド、pH調整剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、顔料等の着色剤等が例示される。これらの中でも、サイズ剤を含有することが好ましい。
サイズ剤としては、ロジン系サイズ剤(たとえば、酸性ロジン系サイズ剤、中性ロジン系サイズ剤)、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、スチレン−(メタ)アクリレート共重合体などのスチレン含有ポリマーが挙げられ、アルキルケテンダイマーが好ましい。
湿潤紙力増強剤としては、内添用の湿潤紙力増強剤として、ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂、エポキシ化ポリアミドポリアミン、ジアルデヒドでんぷん、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド、ポリアクリルアミド、メチロール化ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン等が例示される。
また、撥水剤としては、ワックスエマルジョン、金属石けん(ナトリウム、カリウム、亜鉛、リチウム、マグネシウム等のアルカリ塩)、脂肪酸クロム錯塩(ミリスチン錯塩、ステアリン酸クロミッククロライド錯塩等)、ジルコニウム撥水剤、シリコーンエマルジョン等が例示される。
本発明のパルプモールド成形体は、非木材パルプを含有しており、パルプ原料のみで耐油性および耐水性を向上させることが可能であることから、湿潤紙力増強剤、撥水剤および耐油剤の添加量を減少しても、または添加しなくても、十分な耐油性を得ることが可能である。なお、より高い耐油性および耐水性を得ることを目的として、湿潤紙力増強剤または撥水剤または耐油剤を添加する態様を排除するものではない。
<密度>
本発明のパルプモールド成形体は、密度が0.45g/cm以上である。密度が上記範囲内であると、穴あけ特性に優れるパルプモールド成形体が得られる。
パルプモールド成形体の密度は、穴あけ特性をより向上させる観点から、好ましくは0.50g/cm以上、より好ましくは0.60g/cm以上であり、そして、パルプモールドの製造容易性の観点から、好ましくは1.2g/cm以下、より好ましくは1.0g/cm以下、さらに好ましくは0.95g/cm以下である。
パルプモールド成形体の密度は、JIS P 8118:2014に準じて測定することができる。なお、JIS P 8118:2014は紙や板紙に用いる方法であり、本発明においては、サンプルの大きさが規定通りに取れないことがあり、その際にはサンプルサイズを適宜調整して測定に用いる。平面部分がない成形体の場合は、最も平面に近い部分を選んで測定に用いる。坪量はJIS P 8124:2011に準じて測定するが、サンプルサイズの調整も前記同様である。測定には成形体の平面部分を用いる。
<厚み>
本発明のパルプモールド成形体の厚みは、パルプモールド成形体の少なくとも一部にスリットおよび/または貫通孔を設ける観点から、スリットおよび/または貫通孔を設ける部分のパルプモールド成形体の厚みが、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.8mm以上、よりさらに好ましくは1.0mm以上であり、そして、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.0mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下である。
パルプモールド成形体の厚みは、JIS P 8118:2014に準じて測定することができる。
<穴あけ加工>
本発明のパルプモールド成形体は、少なくとも一部の領域にスリットおよび貫通孔の少なくとも1つを有する。
スリットおよび貫通孔を設ける方法としては、とくに限定されないが、打ち抜き加工およびレーザー加工が例示され、これらの中でもレーザー加工が好ましい。
なお、スリットとは、パルプモールド形成体を貫通している切り込み、細隙であって、直線、曲線、L字型、×印などであってもよく、その長さ等はとくに限定されない。
また、貫通孔の平面形状としては、たとえば、円形、多角形が挙げられる。円形とは、真円形に限定されず、楕円形を含むものである。多角形には、三角形、四角形、五角形等の3つ以上の線分によって囲まれた形状が含まれる。また、多角形および円形以外にも、半円形や、角丸四角形、三日月形状等のいずれの形状であってもよい。
スリットおよび貫通孔は、たとえば、パルプモールド成形体を、コップの蓋として使用する場合には、ストロー差込口のためのスリットを設けたり、飲み口用または空気穴用の貫通孔を設けることが例示される。
<二次加工パルプモールド成形体>
本発明のパルプモールド成形体を表面加工して、二次加工パルプモールド成形体としてもよい。なお、本発明において、二次加工パルプモールド成形体とは、パルプモールド成形体に、表面加工を施したものである。なお、本発明のパルプモールド成形体は、表面平滑性に優れるため、表面加工を容易に施すことができるという利点をも有する。二次加工は、スリットおよび貫通孔の少なくとも1つを設けてから行ってもよく、二次加工を行ってから、スリットおよび貫通孔の少なくとも1つを設けてもよく、とくに限定されない。
二次加工の方法としてはとくに限定されず、パルプモールドの表面加工が可能な方法であればとくに限定されないが、二次加工パルプモールド成形体は、直刷法、ラミネート法、転写法、および蒸着法の少なくとも1つの表面加工法により表面加工されたものであることが好ましく、直刷法、ラミネート法、および転写法の少なくとも1つの表面加工法により表面加工されたものであることがより好ましく、ラミネート法および転写法の少なくとも1つの表面加工法により表面加工されたものであることがさらに好ましい。
なお、これらの方法に限定されず、予め印刷されたシール等を貼付してもよい。
(直刷法)
直刷法は、色、柄、模様等の付与や、防水性、防湿性等の付与を目的として、直接パルプモールド成形体の表面にインクや樹脂を付与するものであり、含浸、印刷等により、パルプモールド成形体を表面加工する方法が挙げられる。
印刷としては、ゴム版や樹脂版による凸版印刷、シルクスクリーン印刷、タンポ印刷、静電印刷、熱転写印刷などのいずれの印刷手段であってもよい。印刷により、得られたパルプモールド成形体の表面に、図柄や文字等を設けることができる。
また、パルプモールド成形体への刷毛、スプレーなどによって直刷してもよい。これらの中でも、均一に樹脂等を付与する観点から、スプレー塗布が好ましい。スプレー塗布はエアスプレー、エアレススプレー、静電スプレー等のいずれにより行ってもよい。
パルプモールド成形体の表面に防水・防湿性を付与する場合には、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、オレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の樹脂を固形分に含む水系エマルジョン塗料、またはこれらの樹脂の水溶液塗料若しくは有機溶剤系塗料等を塗工すればよい。
(ラミネート法)
ラミネート加工は、樹脂フィルムで被覆することにより行われることが好ましく、使用される樹脂フィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル等のポリビニル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂フィルム、変性ポリエチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂フィルムが挙げられる。製造コスト、成形性等を考慮すると、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、環境に配慮した廃棄性の点からは、生分解性樹脂フィルムが好ましい。ラミネート加工は、これらの樹脂フィルムの2種以上を積層させて形成してもよい。
樹脂フィルムの厚みはとくに限定されないが、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
上記の樹脂フィルムをラミネート加工することにより、耐水性、耐油性、ガスバリア性等の機能を向上または付与することができる。
また、ラミネート加工する樹脂フィルムに、予め絵柄を印刷してもよく、着色性のある顔料、微細粒子(パール顔料、ホログラム等)、夜光染料・夜光顔料等を添加しておいてもよい。このような樹脂フィルムを使用することにより、パルプモールド成形体の表面に、光沢性や意匠性を付与することができる。
ラミネート加工は、パルプモールド成形体に対して押出ラミネーション、熱ラミネーション、ドライラミネーション、またはウェットラミネーション等の公知の方法で行えばよい。
これらの中でも、熱ラミネーションが好ましく、真空ラミネーション、真空プレスが好ましく、真空ラミネーションがより好ましい。
真空ラミネーションは、基材側(パルプモールド側)からの吸引により、その上部に置かれたシートを変形させてラミネートを行ってもよく、また、予め真空にされた上下チャンバーを樹脂フィルムで2分割しておき、樹脂フィルム加熱装置を備えた上部チャンバーを圧空とすることにより、下部チャンバーに置かれた基材(パルプモールド成形体)にラミネートする方法でもよい。
また、真空プレスは、シリコンラバー等を基材(パルプモールド成形体)側からの真空吸引、場合により上部より圧空力を加えて基材形状に変形させ、シリコンゴム等と基材との間に挟まれた樹脂フィルムがシリコンゴムの圧力により基材にラミネートされる。
また、樹脂フィルムを、パルプモールド成形体の形状に合わせて、金型により予備成形し、パルプモールド成形体とラミネートしてもよい。
ラミネート加工は、従来公知の方法で行えばよく、真空ラミネーション装置としては、TOM成形機(布施真空株式会社製)などが例示される。
また、ラミネーションの際の温度、圧力などの条件は、ラミネートする樹脂フィルムの素材および厚み、基材の形状、接着剤の有無等により適宜選択すればよいが、たとえば、ヒーターの加熱温度は80〜200℃で、貼合を行う。
ラミネートの際に、樹脂フィルムとパルプモールド成形体との間に、接着剤を付与してもよく、また、付与しなくてもよい。接着剤としては、ポリウレタン系接着剤、ポリアクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、セルロース系接着剤、その他のラミネート用接着剤をしようすることができる。接着剤を付与する場合には、接着剤に着色性を有する顔料、パール顔料、微細粒子(ホログラム等)、夜光顔料、夜光染料等を添加してもよい。
(転写法)
転写法としては、ホットスタンプ転写法、インモールド転写法、水圧転写法などの種々の転写法が例示され、乾式転写法、湿式転写法のいずれでもよい。またインモールド転写法において、予備成形工程を加えてもよい。
転写法の中では、ホットスタンプ転写法(以下、単に「ホットスタンプ法」ともいう)が好ましい。ホットスタンプ法は、「箔」と呼ばれる金属を蒸着したり、顔料を塗布したフィルムを使用し、箔表面に設けた熱接着層を介して基材に熱転写する方法である。ホットスタンプ法に使用される箔は、離型性を有するベースフィルム(たとえば、二軸延伸ポリエステルフィルム)、剥離層(保護層)、絵柄層・蒸着層、熱接着層の順に積層されており、必要に応じて、ベースフィルムと保護層との間に離形層が設けられる。ホットスタンプ法としては、(i)アップダウン方式、(ii)ロール転写方式が挙げられ、熱圧の存在する部分の絵柄層・蒸着層が、基材(パルプモールド成形体)に転移するという原理は同じである。アップダウン方式では、ヒーターが内蔵された型板を、ベースフィルム側から基材に押し付け、熱接着層を介して、絵柄層・蒸着層を基材に転写する。同様に、ロール転写方式では、加熱したローラをベースフィルム側から押し付けることで、絵柄層・蒸着層を基材に転写する。また、ベースフィルム側に研削加工、艶差処理、凹凸加工等を施すことにより、転写時に、絵柄層、蒸着層に賦形(凹凸を付す)を行うことも可能である。
(蒸着)
蒸着は、従来公知の蒸着法を採用すればよく、物理蒸着でも化学蒸着でもよく、とくに限定されないが、パルプモールド成形体に金属光沢を付与する目的で蒸着することが好ましく、物理蒸着である真空蒸着がより好ましい。
蒸着材料は、アルミニウム、クロム、亜鉛、金、銀、プラチナ、ニッケルなどの金属類、SiO、TiO、ZrO、MgFなどの酸化物やフッ化物を使用することが好ましい。
蒸着層の厚みは、とくに限定されないが、0.1μm以上であることが好ましい。
[パルプモールド成形体の製造方法]
パルプモールド成形体の製造方法はとくに限定されないが、以下の工程1〜工程3をこの順で有する製造方法により製造することが好ましい。
工程1:パルプ懸濁液を準備するパルプ懸濁液準備工程
工程2:パルプ懸濁液から抄型を介してパルプを抄き上げる抄き上げ工程
工程3:前記抄き上げ工程後に得られたモールド中間体を加熱しながら第1のプレス金型と前記第1のプレス金型とは反対方向に位置する第2のプレス金型とによりホットプレスするホットプレス工程
工程4:得られたパルプモールド成形体にスリットおよび貫通孔の少なくとも1つを設ける工程
工程1では、パルプ原料、サイズ剤等のその他の添加剤を加えて、パルプ懸濁液(パルプスラリー)を調製する。該懸濁液の濃度(スラリー濃度)は、表面平滑性、寸法安定性、および生産性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
工程2は、パルプ懸濁液から抄型を介してパルプを抄き上げる抄き上げ工程である。
パルプ懸濁液中に真空引き通水性構造の金網張り金型などの成形金型を浸漬し、パルプ懸濁液を成形金型に吸引して水を排出させると同時にパルプ繊維を型に積層吸着させて型に対称な立体的な湿紙を形成し、次いで、成形金型をパルプ懸濁液から引き上げ、含水した立体的な湿紙の吸引脱水または加圧脱水を行う。
この際、成形金型面にパルプを積層吸着した成形金型は、真空吸引を続けながら、パルプ吸着面と対向させて、真空吸引をきかせた取り型(離型装置)を接近させ、パルプモールド中間体を圧縮真空吸引して脱水した後、成形金型の真空圧をゼロにして、取り型にパルプモールド中間体を吸着させた状態で取り方を引き戻して離型する。
工程3は、前記抄き上げ工程後に得られたモールド中間体を加熱しながら第1のプレス金型と前記第1のプレス金型とは反対方向に位置する第2のプレス金型とによりホットプレスするホットプレス工程である。
工程3は、工程2で得られた脱水後のパルプモールド中間体を、たとえば、多孔質金型からなるホットプレス用の第1のプレス金型に移し変える。前記第1のプレス金型に移し変えられたパルプモールド中間体は、第1のプレス金型と、第1のプレス金型とは反対方向に位置し、第1のプレス金型に係合するホットプレス用の第2のプレス金型とによって加熱、加圧されて、所定のパルプモールド成形体が得られる。
工程3(ホットプレス工程)において、第1のプレス金型および第2のプレス金型によるプレス時の圧力は、表面平滑性に優れるパルプモールド成形体を得る観点から、好ましくは0.1MPa・s以上、より好ましくは0.3MPa以上、さらに好ましくは0.4MPa・s以上、よりさらに好ましくは0.6MPa以上であり、そして、消費電力および装置負荷の観点から、好ましくは3.0MPa・s以下、より好ましくは2.0MPa以下、さらに好ましくは1.5MPa・s以下である。
工程3(ホットプレス工程)において、ホットプレス時の温度は、表面平滑性に優れるパルプモールド成形体を得る観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは170℃以上であり、そして、消費電力、装置負荷、および変色抑制の観点から、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは230℃以下である。
上記のようにして得られたパルプモールド成形体は、さらに、不要部分の断裁を行い、工程4にて、スリットおよび貫通孔の少なくとも1つ設けることで得られる。スリットおよび貫通孔を設ける方法としては、とくに限定されないが、上述のように、打ち抜き加工およびレーザー加工が例示され、これらの中でもレーザー加工が好ましい。
本実施形態のパルプモールド成形体は、ファインモールドと呼ばれる平滑性に優れる成形体であり、優れた表面加工性および穴あけ特性を生かして、食品、医療品、電子部品等の包装用材料として好適に用いることができる。また、表面平滑性に優れ、表面に印刷、塗工、ラミネート等の加工を施しやすく、スリット、貫通孔等を設けた場合にも、毛羽立ちが抑制されることから、上記の用途に限定されず、小物入れ、コップの蓋、置物等にも広く応用可能である。
以下に実施例と比較例とを挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、とくに断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
実施例1
広葉樹パルプであるユーカリパルプ50部と、非木材パルプである竹パルプ50部の混合パルプスラリー(混合パルプのカナダ標準ろ水度(CSF):660mL)に対して、固形分換算でサイズ剤としてAKD(アルキルケテンダイマー、星光PMC株式会社製)を、0.8質量%を添加し、撹拌後にスラリー濃度を0.7質量%に調整した。該スラリーを表面に金属メッシュを貼った抄紙金型を沈め、金型内部から真空吸引し、メッシュ上にパルプスラリーを吸い付け、立体的な湿紙を形成した。湿紙を脱水用金型へ移送し、0.7MPaの圧力で加圧脱水し、続いて180℃に加熱された金型へ湿紙を移送し、さらに1.2MPaの圧力で加圧乾燥し、余分の部分を断裁した後、図1に示す切り込みを設け、図1に示すパルプモールド蓋を得た。パルプモールド蓋のサイズ(直径)は、約75mmであった。パルプモールド成形体(パルプモールド蓋)の厚み、密度は表に示した。
実施例2
カナダ標準ろ水度(CSF)を510mLに変更した以外は実施例1と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例3
竹をバガスに変更した以外は実施例2と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例4
カナダ標準ろ水度(CSF)を400mLに変更した以外は実施例3と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例5
カナダ標準ろ水度(CSF)を320mLに変更した以外は実施例3と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例6
カナダ標準ろ水度(CSF)を180mLに変更した以外は実施例3と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例7
広葉樹パルプであるアカシアパルプ50部と、非木材パルプであるバガスパルプ50部の混合パルプスラリー(混合パルプのカナダ標準ろ水度(CSF):510mL)に対して、固形分換算でサイズ剤としてAKD(アルキルケテンダイマー、星光PMC株式会社製)を、0.8質量%を添加し、撹拌後にスラリー濃度を0.7質量%に調整した。該スラリーを使用し、実施例1と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例8
広葉樹パルプであるユーカリパルプ(カナダ標準ろ水度(CSF):510mL)に対して、固形分換算でサイズ剤としてAKD(アルキルケテンダイマー、星光PMC株式会社製)を、0.8質量%を添加し、撹拌後にスラリー濃度を0.7質量%に調整した。該スラリーを使用し、実施例1と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例9
パルプ原料であるユーカリを竹に変更した以外は実施例8と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例10
パルプ原料であるユーカリをラジアータパイン(NBKP)に変更した以外は実施例8と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例11、12、13
脱水、加熱の圧力を調整して密度を変更し、実施例4と同様の配合で図1に示す形状のパルプモールド蓋を作製した。
実施例14
パルプ原料を、ユーカリ(LBKP)/バガス=20/80(質量比)に変更した以外は実施例4と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例15
パルプ原料を、ユーカリ(LBKP)/バガス=80/20(質量比)に変更した以外は実施例4と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例16
パルプ原料を、ユーカリ(LBKP)/バガス=20/80(質量比)に変更した以外は実施例3と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例17
パルプ原料を、ユーカリ(LBKP)/バガス=80/20(質量比)に変更した以外は実施例3と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
実施例18、19、20
厚みを変更した以外は、実施例4と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を作製した。
比較例1
パルプスラリーのカナダ標準ろ水度(CSF)を660mLに変更した以外は実施例8と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
比較例2
パルプスラリーのカナダ標準ろ水度(CSF)を660mLに変更した以外は実施例9と同様に、図1に示す形状のパルプモールド蓋を得た。
比較例3
脱水、加熱の圧力を調整して密度を変更した以外は、実施例3と同様の配合で図1に示す形状のパルプモールド蓋を作製した。
実施例および比較例で得られたパルプモールド成形体に対して、以下の評価を行った。
(ラミネート適性)
各実施例、比較例で作製したパルプモールド蓋を5個ずつ用意し、ISO 187:1990に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)に、24時間静置し、調温および調湿を行った。上記環境で、蓋真中の平面部分(25mm×25mmの正方形)を切り取り、ABOXラミネーター A4対応ラミネート機を用いて、ABOX ラミネートフィルム 100μmをラミネートした。ラミネート2時間後に、上記正方形部分を切り出し、ラミネートフィルムを剥がし、評価した。
5:フィルムとモールドの密着性がよく、剥がしにくい。
4:フィルムとモールドの密着性がよく、少し剥がしにくい。
3:フィルムとモールドの密着性はよいが、剥がしやすい。
2:フィルムとモールドに接着していない部分がわずかに確認でき、剥がしやすい。
1:フィルムとモールドに接着していない部分が確認でき、簡単に剥がせる。
表中の数字は5個の平均値(小数点は四捨五入)である。
(貫通孔)
各実施例、比較例で作製したパルプモールド蓋を5個ずつ用意し、ISO 187:1990に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)に、24時間静置し、調温および調湿を行った後、図に示す孔を強力パンチ「No.200」(プラス株式会社製)で行った。
4:孔の周りが非常に綺麗であった。
3:孔の周りにわずかに毛羽立っているが、見た目ではあまり分からない。
2:孔の周りに少し毛羽立っているが、とくに気にならない。
1:孔の周りに毛羽立っていて、気になるレベル。
表中の数字は5個の平均値(小数点は四捨五入)である。
なお、実施例において、いずれの評価においても評価「1」がなく、かつ、評価の合計が5以上であるものを合格とした。
(厚みと密度)
JIS P 8118:2014に準じて測定を行った。
Figure 2021080619
実施例および比較例の結果から、パルプモールド成形体のパルプ原料として、密度が0.45g/cm以上であり、上述した要件1または要件2を満たす本発明のパルプモールド成形体は、良好なラミネート適性を有し、表面加工性に優れるとともに、穴あけ特性に優れていることが示された。
とくに、実施例3〜6の結果から、同じパルプ組成であっても、カナダ標準ろ水度を小さくすることにより、表面加工性がより向上することが示された。これは、パルプの叩解を進めることにより、得られるパルプモールド成形体の表面平滑性が高まったためと考えられる。
一方、パルプ原料の種類としては、実施例8および9のように、広葉樹パルプ、非木材パルプを単独で使用した場合に比べ、広葉樹パルプと非木材パルプとを併用した場合に、表面加工性と穴あけ特性のバランスに優れたパルプモールド成形体が得られた。また、広葉樹パルプと非木材パルプとの混合比を変更することによって、広葉樹パルプを多くすると表面加工性が向上する一方、穴あけ特性が低下する傾向にあり、非木材パルプを多くすると、穴あけ特性が向上となる一方、表面加工性が低下する傾向にあった。
また、密度を高くすると、穴あけ特定が向上する傾向がみられた。
実施例2−1
図1に示す切り込みを設けていない以外は実施例4と同様のパルプモールド蓋の内面に対して、真空ラミネーション法を用いて、PETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、東レ株式会社製、フィルム膜厚=70μm)をラミネートし、その後、図1に示す切り込みを設けた二次加工パルプモールド蓋を得た。
その結果、貫通孔を設けた場合の毛羽立ちが抑制された、また、耐水性が向上した。
実施例2−2
図1に示す切り込みを設けていない以外は実施例4と同様のパルプモールド蓋の外面に対して、真空ラミネーション法を用いて、樹脂フィルムの内側に印刷を施したPPフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、東レ株式会社製、フィルム膜厚=100μm)をラミネートし、その後、図1に示す切り込みを設けた二次加工パルプモールド蓋を得た。
その結果、印刷柄が鮮明で、光沢を持ち、装飾性が向上した。またパルプモールド蓋の外側に樹脂フィルムをラミネートしたことで、耐傷性や耐汚染性の表面性能が向上した
本発明のパルプモールド成形体は、表面加工性および穴あけ特性に優れ、食品等の包装材料を含めた、種々の用途への応用が期待される。

Claims (9)

  1. 少なくとも一部の領域にスリットおよび貫通孔の少なくとも1つを有するパルプモールド成形体であり、
    密度が0.45g/cm以上であり、かつ、下記要件1および2の少なくともいずれかを満たす、パルプモールド成形体。
    要件1:パルプモールド成形体を構成するパルプが非木材パルプと木材パルプとの混合パルプである
    要件2:パルプモールド成形体を構成するパルプのカナダ標準ろ水度が、100mL以上650mL以下である
  2. 要件1および要件2を満たす、請求項1に記載のパルプモールド成形体。
  3. 厚みが0.4mm以上3.0mm以下である、請求項1または2に記載のパルプモールド成形体。
  4. 前記パルプモールド成形体を構成するパルプが非木材パルプを含有し、該非木材パルプが、バガスおよび竹から選択される少なくともいずれかを含む、請求項1〜3のいずれかに記載のパルプモールド成形体。
  5. 前記パルプモールド成形体を構成するパルプが非木材パルプと木材パルプとの混合パルプであり、該混合パルプ中の非木材パルプの含有量が20質量%以上80質量%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のパルプモールド成形体。
  6. 前記スリットおよび貫通孔の少なくとも1つが、レーザー加工により形成される、請求項1〜5のいずれかに記載のパルプモールド成形体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のパルプモールド成形体を表面加工した、二次加工パルプモールド成形体。
  8. 前記表面加工が、直刷法、ラミネート法、転写法、および蒸着法の少なくとも1つの表面加工法による表面加工である、請求項7に記載の二次加工パルプモールド成形体。
  9. 前記表面加工が、真空ラミネート法およびホットスタンプ転写法の少なくとも1つの表面加工法による表面加工である、請求項7または8に記載の二次加工パルプモールド成形体。
JP2020098549A 2019-11-18 2020-06-05 パルプモールド成形体 Active JP7435276B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019208067 2019-11-18
JP2019208067 2019-11-18

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021080619A true JP2021080619A (ja) 2021-05-27
JP7435276B2 JP7435276B2 (ja) 2024-02-21

Family

ID=75964397

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020098549A Active JP7435276B2 (ja) 2019-11-18 2020-06-05 パルプモールド成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7435276B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024241748A1 (ja) * 2023-05-25 2024-11-28 Toppanホールディングス株式会社 パルプモールド成形品及びその製造方法

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04340896A (ja) * 1991-05-16 1992-11-27 Sony Corp 音響振動板の製造方法
JPH10311000A (ja) * 1997-05-09 1998-11-24 Oji Paper Co Ltd パルプモールド及びその製造方法
JP2002105897A (ja) * 2000-09-29 2002-04-10 Kao Corp パルプモールド成形容器
JP2005053510A (ja) * 2003-07-31 2005-03-03 Kyoraku Co Ltd 生分解性容器
JP2013129921A (ja) * 2011-12-20 2013-07-04 Toppan Printing Co Ltd パルプモールド容器の製造方法および製造されたパルプモールド容器
WO2014132393A1 (ja) * 2013-02-28 2014-09-04 パイオニア株式会社 スピーカ用振動板
JP2017530266A (ja) * 2014-09-30 2017-10-12 エスアイジー テクノロジー アーゲー 繊維成形品を製造するための方法および装置、ならびにこれらを使用して製造された繊維成形品
US20180029765A1 (en) * 2016-07-26 2018-02-01 Footprint International, LLC Methods and Apparatus For Manufacturing Fiber-Based Beverage Lids
JP2018062718A (ja) * 2016-10-13 2018-04-19 大王製紙株式会社 セルロースナノファイバー成形体の製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04340896A (ja) * 1991-05-16 1992-11-27 Sony Corp 音響振動板の製造方法
JPH10311000A (ja) * 1997-05-09 1998-11-24 Oji Paper Co Ltd パルプモールド及びその製造方法
JP2002105897A (ja) * 2000-09-29 2002-04-10 Kao Corp パルプモールド成形容器
JP2005053510A (ja) * 2003-07-31 2005-03-03 Kyoraku Co Ltd 生分解性容器
JP2013129921A (ja) * 2011-12-20 2013-07-04 Toppan Printing Co Ltd パルプモールド容器の製造方法および製造されたパルプモールド容器
WO2014132393A1 (ja) * 2013-02-28 2014-09-04 パイオニア株式会社 スピーカ用振動板
JP2017530266A (ja) * 2014-09-30 2017-10-12 エスアイジー テクノロジー アーゲー 繊維成形品を製造するための方法および装置、ならびにこれらを使用して製造された繊維成形品
US20180029765A1 (en) * 2016-07-26 2018-02-01 Footprint International, LLC Methods and Apparatus For Manufacturing Fiber-Based Beverage Lids
JP2018062718A (ja) * 2016-10-13 2018-04-19 大王製紙株式会社 セルロースナノファイバー成形体の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024241748A1 (ja) * 2023-05-25 2024-11-28 Toppanホールディングス株式会社 パルプモールド成形品及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7435276B2 (ja) 2024-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7435372B2 (ja) パルプモールド蓋およびその製造方法
JP5903972B2 (ja) 発泡断熱紙製容器用シート、及びそれを用いた発泡断熱紙製容器
JP4039006B2 (ja) 絞り成形加工用原紙及びそれを用いた紙製成形容器
JP2007016380A (ja) 成形加工原紙及びそれを用いた紙製成形容器もしくはその製造方法
JP2008087765A (ja) 断熱性紙製容器および断熱性紙製容器に用いる原材料シート
JP7568000B2 (ja) パルプモールド成形体
WO2021045195A1 (ja) パルプモールド蓋およびその製造方法
JP7435276B2 (ja) パルプモールド成形体
JP2007314246A (ja) 成形容器用原紙及び紙製成形容器
JP2022127184A (ja) 蓋体
JP2002179044A (ja) 紙製成形容器及びその製造方法
JP5928060B2 (ja) 発泡断熱紙製容器用シート、及びそれを用いた発泡断熱紙製容器
JP7528636B2 (ja) パルプモールド成形体
JP2002266294A (ja) 成形容器用原紙及びそれを用いた成形容器
JP7528761B2 (ja) パルプモールド成形体およびその製造方法
JP7172818B2 (ja) カップ用基材、液体用カップ容器およびその製造方法
JP7622468B2 (ja) パルプモールド製蓋体
JP7255723B1 (ja) 合紙及び該合紙を加工して得られる紙加工品
JP3152593U (ja) ファンシー紙
JP7559669B2 (ja) 深絞り成形加工用原紙および深絞り成形品
JP5017741B2 (ja) 耐熱水性を有する包装材料、及びそれを使用した複合容器及び袋状容器
JP6193076B2 (ja) 水離解性繊維シート及び容器
JP2784003B2 (ja) 抄合せ食品用白板紙
JP2020079461A (ja) 発泡断熱紙容器
JP2024158222A (ja) 栽培容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220606

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230512

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230606

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230726

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230922

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7435276

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150