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JP2021006140A - 医療用接着剤 - Google Patents

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JP2021006140A
JP2021006140A JP2019120841A JP2019120841A JP2021006140A JP 2021006140 A JP2021006140 A JP 2021006140A JP 2019120841 A JP2019120841 A JP 2019120841A JP 2019120841 A JP2019120841 A JP 2019120841A JP 2021006140 A JP2021006140 A JP 2021006140A
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medical adhesive
weight
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isocyanate group
fluorine
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JP2019120841A
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佳一郎 井上
Keiichiro Inoue
佳一郎 井上
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Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

【課題】低粘度で注入径の小さい器具にも適用可能で、かつ生体組織への接着性に優れる医療用接着剤を提供する。【解決手段】イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)を含有する医療用接着剤であって、前記医療用接着剤の25℃における粘度が5,000〜30,000mPa・sであり、前記(UP)が、ポリオール成分(A)と、ポリイソシアネート成分(B)との反応物であり、前記(A)が、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を必須構成単位とするポリオキシアルキレングリコール(A1)を含有し、前記(A1)が有するオキシエチレン基の重量割合が、(A1)の重量を基準として30重量%以上であり、前記(A1)の数平均分子量が800〜5,000であり、前記(B)が、芳香環及びフッ素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する医療用接着剤。【選択図】なし

Description

本発明は、医療用接着剤に関する。
血管、心臓、呼吸器及び消化器等の生体組織を接着させる医療用接着剤として、従来、含フッ素ポリイソシアネートと親水性ポリエーテルポリオールとの反応によって得られるイソシアネート基末端親水性ウレタンプレポリマー等を用いることが知られている(特許文献1〜4)。
一方、近年、手術跡が小さい、痛みが少なく術後回復が早い、短期入院で手術が可能である等の理由から、内視鏡手術が行われている。内視鏡手術において、医療用接着剤はトロカール、カニューレ及びカテーテル等の注入径の小さいもの通じて患部に注入される。しかしながら、従来のイソシアネート基末端親水性ウレタンプレポリマー等は高粘度であり、注入径の小さい器具ではうまく注入できないという問題がある。
また、従来のイソシアネート基末端親水性ウレタンプレポリマーは、高粘度であるため、湿気硬化する際に発生する炭酸ガスが気泡となって被膜中及び被膜界面に多数存在し、被膜強度の低下や接着不良を引き起こすことがしばしばあった。更には、粘度が高く展延性が低いため、血管吻合部のみに使用範囲が限定され、心臓、呼吸器及び消化器等の臓器への使用が困難であった。
特開平1−227762号公報 国際公開第03/051952号 特開2005−124808号公報 国際公開第2012/056179号
本発明は、低粘度で注入径の小さい器具にも適用可能で、かつ生体組織への接着性に優れる医療用接着剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)を含有する医療用接着剤であって、
前記医療用接着剤の25℃における粘度が5,000〜30,000mPa・sであり、
前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)が、ポリオール成分(A)と、ポリイソシアネート成分(B)との反応物であり、
前記ポリオール成分(A)が、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を必須構成単位とするポリオキシアルキレングリコール(A1)を含有し、
前記ポリオキシアルキレングリコール(A1)が有するオキシエチレン基の重量割合が、ポリオキシアルキレングリコール(A1)の重量を基準として30重量%以上であり、
前記ポリオキシアルキレングリコール(A1)の数平均分子量が800〜5,000であり、
前記ポリイソシアネート成分(B)が、芳香環及びフッ素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する医療用接着剤である。
本発明の医療用接着剤は、低粘度で注入径の小さい器具にも適用可能で、かつ生体組織への接着性に優れる。
本発明の医療用接着剤は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)を含有する。
本発明におけるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)は、ポリオール成分(A)と、ポリイソシアネート成分(B)との反応物である。
本発明におけるポリオール成分(A)は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を必須構成単位とするポリオキシアルキレングリコール(A1)を必須成分とする。
ポリオキシアルキレングリコール(A1)としては、炭素数2〜30のアルキレングリコールに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド(1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド、)並びに必要に応じて炭素数4〜8のアルキレンオキサイド(1,2−、1,3−、2,3−又は1,4−ブチレンオキサイド及びスチレンオキサイド等)を付加させてなる化合物等が挙げられる。
その付加形式はランダム、ブロック及びこれらの組合せのいずれでもよいが、接着強度の観点から、好ましいのはランダムである。
炭素数2〜30のアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等);炭素数6〜24の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);炭素数15〜30のビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等);ジヒドロキシベンゼン(カテコール及びハイドロキノン等)等が挙げられる。
前記の炭素数2〜30のアルキレングリコールの内、生体への安全性及び接着強度から好ましいのは炭素数2〜4のアルキレングリコールである。
ポリオキシアルキレングリコール(A1)は、1種でも2種以上の混合物でもよい。
ポリオキシアルキレングリコール(A1)が有するオキシエチレン基とオキシプロピレン基との重量比率[オキシエチレン基/オキシプロピレン基]は、接着強度の観点から、3〜5であることが好ましい。
前記のポリオキシアルキレングリコール(A1)の数平均分子量(以下Mnと略記することがある)は、800〜5,000である。
数平均分子量が800未満であると、水分との反応が進行し医療用接着剤が硬化する前に、医療用接着剤が接着対象部位から流れてしまうおそれがある。
また、5,000を超えると注入径の小さい器具では医療用接着剤の注入が困難となる。
尚、本発明におけるMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、例えば以下の条件で測定される。
装置 : ゲルパーミエイションクロマトグラフ
溶媒 : テトラヒドロフラン
基準物質 : ポリオキシエチレングリコール
サンプル濃度 : 0.25重量%
カラム固定相 : TSKgelSuperH4000
カラム温度 : 40℃
ポリオキシアルキレングリコール(A1)のHLBは、反応性及び接着強度の観点から、4〜20が好ましく、更に好ましくは4.5〜20である。
本発明における「HLB」とは、親水性と親油性のバランスを示す指標であって、例えば「界面活性剤入門」〔2007年三洋化成工業株式会社発行、藤本武彦著〕212頁に記載されている小田法によって、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB≒10×無機性/有機性
HLBを導き出すための有機性の値及び無機性の値については前記「界面活性剤入門」213頁に記載の表の値を用いて算出できる。
ポリオキシアルキレングリコール(A1)が有するオキシエチレン基の含有量(重量%)は、接着強度等の観点から、(A1)の重量に基づいて、少なくとも30であり、好ましくは40以上、特に好ましくは50以上である。
ポリオール成分(A)は、(A1)以外のポリオール以外にも、ポリプロピレングリコール(A2)及びその他のポリオール(A3)を含有していてもよい。
ポリプロピレングリコール(A2)の数平均分子量は、医療用接着剤の粘度の観点から100〜1200であることが好ましい。
その他のポリオール(A3)としては、少なくとも2個の活性水素を有する化合物(炭素数2〜30のアルキレングリコール、3〜8価のポリオール、ジカルボン酸、3〜4価のポリカルボン酸、モノアミン、ポリアミン及びポリチオール等)への炭素数2〜8のアルキレンオキサイド付加物(A31)[但し、(A1)及び(A2)を除く]、並びに、(A1)、(A2)及び(A31)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールとジカルボン酸とを反応物であるポリエステルポリオール(A32)等が挙げられる。
3〜8価のポリオールとしては、炭素数3〜8の脂肪族多価アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ジグリセリン及びソルビトール等)等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等);炭素数4〜32のアルケンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、メサコン酸、ダイマー酸、ドデセニルコハク酸及びペンタデセニルコハク酸等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。
3〜4価のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)等が挙げられる。
モノアミンとしては、アンモニア及び炭素数1〜20の脂肪族1級アミン{炭素数1〜20のアルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン及びエイコシルアミン等)等}、炭素数4〜15の脂環式アミン(ピペリジン、アミノシクロヘキサン、イソホロンモノアミン及び4−メチレンジシクロヘキサンモノアミン等);炭素数6〜15の芳香環含有脂肪族アミン(ベンジルアミン等)等が挙げられる。
ポリアミンとしては、炭素数2〜18の脂肪族ポリアミン{炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン及びウンデシレンジアミン等)及びポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン(ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びペンタエチレンヘキサミン等)等};炭素数4〜15の脂環式ポリアミン(1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン及び4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン等);炭素数4〜15の複素環式ポリアミン(ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン及びN−アミノエチルピリジン等)等が挙げられる。
ポリチオールとしては、炭素数2〜24のジチオール(エタンジチオール、1,4−ブタンジチオール及び1,6−ヘキサンジチオール等)、3〜6価の炭素数5〜3000のポリチオール[商品名:カプキュア3800(ジャパンエポキシレジン社製)及びポリビニルチオール等]等が挙げられる。
ポリオール成分(A)全体におけるオキシエチレン基の含有量(重量%)は、(A)の重量に基づいて、30〜98が好ましく、更に好ましくは40〜95、特に好ましくは50〜90である。この範囲であると、接着強度等が更に良好となる。
(A1)と(A2)とを併用する場合、ポリオール成分(A)中の(A1)の含有量(重量%)は、接着性の観点から、(A)の重量に基づいて、50〜100が好ましく、更に好ましくは50〜99、特に好ましくは70〜95である。
ポリオール成分(A)中の(A2)の含有量(重量%)は、接着性の観点から、(A)の重量に基づいて、0〜50が好ましく、更に好ましくは1〜50、特に好ましくは5〜30である。
本発明におけるポリイソシアネート成分(B)は、芳香環及びフッ素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する。即ち、本発明におけるポリイソシアネート成分(B)は、含フッ素非芳香族ポリイソシアネート化合物(B1)、フッ素原子を含まない芳香族ポリイソシアネート化合物(B2)、及び、含フッ素芳香族ポリイソシアネート化合物(B3)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネート化合物を必須成分とする。
本発明の医療用接着剤は、芳香環及びフッ素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するポリイソシアネート成分(B)を用いることで、十分な接着性を発揮することができ、また、比較的短い時間で硬化させることができる。
また、本発明におけるポリイソシアネート成分(B)は、(B1)〜(B3)以外にも、フッ素原子を含まない脂肪族ポリイソシアネート化合物(b1)及びフッ素原子を含まない脂環式ポリイソシアネート化合物(b2)等を併用してもよい。
含フッ素非芳香族ポリイソシアネート化合物(B1)としては、炭素数3〜24の含フッ素脂肪族ジイソシアネート(B11)、炭素数8〜21の含フッ素脂環式ジイソシアネート(B12)及び炭素数9〜72の含フッ素ポリ(3〜6価)イソシアネート(B13)等が使用できる。
炭素数3〜24の含フッ素脂肪族ジイソシアネート(B11)としては、OCN−Rf−NCOで表されるもの(Rfは炭素数1〜22のパーフルオロアルキレン基を表す。)及びOCN−CH−Rf−CH−NCOで表されるもの(Rfは炭素数1〜20のパーフルオロアルキレン基を表す。)等が含まれる。
OCN−Rf−NCOで表されるものとしては、ジフルオロメチレンジイソシアネート、パーフルオロジメチレンジイソシアネート、パーフルオロトリメチレンジイソシアネート、パーフルオロオクチルジイソシアネート及びパーフルオロエイコシレンジイソシアネート等が挙げられる。
OCN−CH−Rf−CH−NCOで表されるものとしては、ビス(イソシアナトメチル)ジフルオロメタン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロエタン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロプロパン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロブタン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロペンタン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロヘキサン及びビス(イソシアナトメチル)パーフルオロエイコサン等が挙げられる。
炭素数8〜21の含フッ素脂環式ジイソシアネート(B12)としては、ジイソシアナトパーフルオロシクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロシクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロジメチルシクロヘキサン、ビス(イソシアナトパーフルオロシクロヘキシル)パーフルオロプロパン及びビス(イソシアナトメチルパーフルオロシクロヘキシル)パーフルオロプロパン等が挙げられる。
炭素数9〜72の含フッ素ポリ(3〜6価)イソシアネート(B13)としては、上記のジイソシアネートのヌレート体、上記ジイソシアネートのアダクト体及びトリス(イソシアナトテトラフルオロシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。
尚、含フッ素非芳香族ポリイソシアネート化合物(B1)中のイソシアネート基の位置は、ポリオール成分(A)との反応性及び血液や体液等との反応性の観点等から、立体障害の少ない位置が好ましく、更に好ましいのは立体障害の少ない末端位置である。
また、含フッ素非芳香族ポリイソシアネート化合物(B1)は、1種でも、2種以上の混合物でもよい。
また、含フッ素非芳香族ポリイソシアネート化合物(B1)の内、架橋反応等の副反応が起こりにくい観点等から、イソシアネート基を2個持つものが好ましい。
含フッ素非芳香族ポリイソシアネート化合物(B1)の内、変異原性等の安全性の観点等から、含フッ素脂肪族ポリイソシアネート(B11)が好ましく、更に好ましいのはOCN−CH−Rf−CH−NCOで表される含フッ素脂肪族ポリイソシアネート及びOCN−Rf−NCOで表される含フッ素脂肪族ポリイソシアネートであり、特に好ましいのはジフルオロメチレンジイソシアネート、パーフルオロジメチレンジイソシアネート、パーフルオロトリメチレンジイソシアネート、パーフルオロオクチルジイソシアネート、パーフルオロエイコシレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロプロパン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロブタン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロペンタン及びビス(イソシアナトメチル)パーフルオロヘキサンである。
接着強度等の観点から、含フッ素非芳香族ポリイソシアネート化合物(B1)中のフッ素原子の重量の割合(重量%)は、(B1)の重量を基準として、35〜70が好ましく、更に好ましくは38〜70、特に好ましくは40〜56である。
前記のフッ素原子を含まない芳香族ポリイソシアネート化合物(B2)としては、炭素数8〜21のフッ素原子を含まない芳香族ポリイソシアネート[m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート(PDI)、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及び粗製MDI等]等が挙げられる。
尚、フッ素原子を含まないポリイソシアネート化合物(B2)は、1種でも、2種以上の混合物でもよい。
含フッ素芳香族ポリイソシアネート化合物(B3)としては、フッ素原子を含まない芳香族ポリイソシアネート(B2)において、有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された含フッ素芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
含フッ素芳香族ポリイソシアネート(B31)は、芳香族環の全ての水素原子をフッ素原子で置換したものであり、具体的には、1,3−又は1,4−パーフルオロフェニレンジイソシアネート、3,5,6−又は3,4,5−トリフルオロ−2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、テトラフルオロ−2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
含フッ素芳香族ポリイソシアネート(B32)は、芳香族環の一部の水素原子をフッ素原子で置換したものであり、具体的には、トリフルオロメチル−モノフルオロ−フェニレン−1,3又は1,4−ジイソシアネート及び2,4’−又は4,4’−ジフェニルジフルオロメタンジイソシアネート等が挙げられる。
含フッ素芳香族ポリイソシアネート(B33)は、全ての水素原子をフッ素原子で置換したものであり、具体的には、2,4−又は2,6−パーフルオロトリレンジイソシアネート及び2,4’−又は4,4’−パーフルオロジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
これらの含フッ素芳香族ポリイソシアネート化合物(B3)の内、反応性の観点等から、芳香族環の全ての水素原子をフッ素原子で置換した含フッ素芳香族ポリイソシアネート(B31)、芳香族環の一部の水素原子をフッ素原子で置換した含フッ素芳香族ポリイソシアネート(B32)及び全ての水素原子をフッ素で置換した含フッ素芳香族ポリイソシアネート(B33)が好ましく、更に好ましいのは全ての水素原子をフッ素原子で置換した含フッ素芳香族ポリイソシアネート(B33)である。
尚、含フッ素芳香族ポリイソシアネート化合物(B3)は、1種でも、2種以上の混合物でもよい。
前記のフッ素原子を含まない脂肪族ポリイソシアネート化合物(b1)としては、炭素数3〜24のフッ素原子を含まない脂肪族ポリイソシアネート([テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等]等が挙げられる。
前記のフッ素原子を含まない脂環式ポリイソシアネート化合物(b2)としては、炭素数8〜21のフッ素原子を含まない脂環式ポリイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート及びメチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)等]等が挙げられる。
また、これらのポリイアシアネート化合物は変性体であってもよく、ウレタン変性体、イソシアヌレート変性体、アロファネート変性体、ビウレット変性体、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体及びウレトジオン・イソシアヌレート変性体等が挙げられる。なお、変性体が(B1)〜(B3)及び(b1)〜(b2)のいずれに属するかは、フッ素原子及び芳香環の有無等で判断する。
例えば、HDIの変性体としては、ウレタン変性HDI、カルボジイミド変性HDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性HDI等、MDIの変性体としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、TDIの変性体としては、ウレタン変性TDI及びカルボジイミド変性TDI等が挙げられる。
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)は、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを反応させることにより得られる。
ポリイソシアネート成分(B)とポリオール成分(A)との使用量比率としては、(A)の水酸基に対する(B)のイソシアネート基の当量比率(NCO基/水酸基)として、1.5〜3が好ましく、更に好ましくは1.8〜2.3、特に好ましくは1.9〜2.1である。この範囲であると、粘度が比較的低く、接着剤として更に取り扱いやすくなり、また湿潤接着強度も更に良好となる。
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)を製造する方法としては、従来公知の方法(国際公開第03/051952号に記載の方法等)でよく、例えば、ポリイソシアネート成分(B)とポリオール成分(A)とを50〜100℃で、1〜10時間反応させる方法等が挙げられる。この場合、ポリイソシアネート成分(B)とポリオール成分(A)との投入方法としては、最初から加えておく方法でも徐々に適下する方法でもよい。
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)は、分子内に、少なくとも2個(好ましくは2個)のイソシアネート基を持ち、活性水素を持たない構造を有する。
尚、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)中のイソシアネート基の位置は、血液や体液等との反応性の観点等から、立体障害の少ない位置が好ましく、更に好ましいのは立体障害の少ない末端位置である。
また、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)中のイソシアネート基含有率(重量%){(UP)全体の重量に占めるイソシアネート基の重量比率}は、1〜10が好ましく、更に好ましくは1.2〜8、特に好ましくは1.5〜6である。この範囲であると、湿潤接着強度が更に良好となる。
尚、イソシアネート基含有率は、試料に過剰のジ−n−ブチルアミン溶液を加えて反応させ、未反応のジ−n−ブチルアミンを塩酸標準溶液で逆滴定する方法で測定することができ、例えばJISK7301−1995、6.3イソシアネート基含有率に準拠して測定される。
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)中のオキシエチレン基の含有量(重量%)は、(UP)の重量を基準として、反応性の観点から、25〜65が好ましく、更に好ましくは30〜60である。
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)のMnは、500〜30,000が好ましく、更に好ましくは800〜20,000、特に好ましくは1,000〜10,000、最も好ましくは1,200〜8,000である。この範囲であると、湿潤接着強度が更に良好となる。
尚、ウレタンプレポリマー(UP)のMnは、(UP)が有するイソシアネート基にメタノールを反応させたものの値である。
本発明の医療用接着剤は、更に、フェノール系ラジカル捕捉剤(PRS)を含んでもよい。PRSが含まれていると、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)と水分とが反応して生成する硬化体の経時劣化分解を抑制し、接着強度の低下を防止することができる。
フェノール系ラジカル捕捉剤(PRS)としては、モノフェノール系、ビスフェノール系又は高分子型フェノール系のラジカル捕捉剤等が含まれる。
モノフェノール系ラジカル捕捉剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール{例えば川口化学工業(株)製アンテージBHT}、ブチル化ヒドロキシアニソール{例えばオリエント化学工業(株)製オリエントBHT}、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール{例えば大内新興化学工業(株)製ノクライザーM−17}及びステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート{例えば(株)ADEKA製アデカスタブAO−50}等が挙げられる。
ビスフェノール系ラジカル捕捉剤としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール){例えば川口化学工業(株)製アンテージW−400}、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール){例えば川口化学工業(株)製アンテージW−500}、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール){例えば川口化学工業(株)製アンテージクリスタル}、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール){例えば川口化学工業(株)製アンテージW−300}、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]{例えばBASF社製イルガノックス259}及び3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニル]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン{例えば(株)ADEKA製アデカスタブAO−80}等が挙げられる。
高分子型フェノール系ラジカル捕捉剤としては、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン{例えばBASF社製イルガノックス1010}、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン{例えば(株)ADEKA製アデカスタブAO−330}、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン{例えば(株)ADEKA製アデカスタブAO−30}、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル及び1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン{例えば(株)ADEKA製アデカスタブAO−20}等が挙げられる。
フェノール系ラジカル捕捉剤(PRS)は、500〜1200の化学式量又はMnを有することが好ましく、更に好ましくは600〜1100、特に好ましくは700〜1000である。この範囲であると、硬化体が経時的に更に劣化分解されにくくなる。
フェノール系ラジカル捕捉剤(PRS)は、少なくとも2個の水酸基を有することが好ましく、更に好ましくは2〜5個、特に好ましくは3〜4個である。この範囲であると、硬化体が経時的に更に劣化分解されにくくなる。
これらのフェノール系ラジカル捕捉剤の内、硬化体の経時劣化分解の抑制の観点等から、ビスフェノール系ラジカル捕捉剤及び高分子型フェノール系ラジカル捕捉剤が好ましく、更に好ましいのはテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン及び1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。
尚、同じラジカル捕捉剤でも、フェノール系以外のラジカル捕捉剤[例えば、芳香族アミン系ラジカル捕捉剤{オクチル化ジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノール及びフェノチアジン等}、硫黄系ラジカル捕捉剤{ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート及びペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等}及びリン系ラジカル捕捉剤{トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト及びジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等}]よりもフェノール系ラジカル捕捉剤(PRS)が好ましい。フェノール系ラジカル捕捉剤(PRS)を使用すると、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)の硬化体の経時的な劣化分解を抑制し、優れた接着持続性を発揮することができる。
尚、フェノール系ラジカル捕捉剤(PRS)と、(PRS)以外のラジカル捕捉剤とを併用していてもよい。
これらのフェノール系ラジカル捕捉剤(PRS)の含有量(重量%)は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)の重量に基づいて、0.01〜3が好ましく、更に好ましくは0.02〜1、特に好ましくは0.05〜0.5である。この範囲であると、硬化体の経時劣化を抑制することができ、人体に悪影響を及ばさない。
フェノール系ラジカル捕捉剤(PRS)は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)に添加してもよいし、予め、ポリイソシアネート成分(B)及び/又はポリオール成分(A)に添加してからイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)を得てもよい。
本発明の医療用接着剤には、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)及びフェノール系ラジカル捕捉剤(PRS)以外に、必要により、その他の成分を含むことができる。
その他の成分としては、生理活性を有する薬物(中枢神経用薬、アレルギー用薬、循環器官用薬、呼吸器官用薬、消化器官用薬、ホルモン剤、代謝性医薬品、抗悪性腫瘍剤、抗生物質製剤及び化学療法剤等)、充填剤(カーボンブラック、ベンガラ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、酸化チタン、アクリル系樹脂粉末及び各種セラミック粉末等)及び可塑剤(DBP、DOP、TCP、トリブトキシエチルホスフェート及びその他各種エステル等)等が含まれる。その他の成分を含む場合、これらの含有量は用途等によって適宜決定される。
医療用接着剤の25℃での粘度(mPa・s)は、5,000〜30,000である。
粘度が5,000未満であると、水分との反応が進行し医療用接着剤が硬化する前に、医療用接着剤が接着対象部位から流れてしまうおそれがある。
また、30,000を超えると注入径の小さい器具では医療用接着剤の注入が困難となる。
また、医療用接着剤の25℃での粘度(mPa・s)は、注入径の小さい器具への注入を容易にする観点から好ましくは7,000〜20,000である。
本発明の接着剤に含まれるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)は、イソシアネート基と水分(血液やリンパ液等の体液中の水等)とが反応して、アミノ基と二酸化炭素とが生成し、このアミノ基が更にイソシアネート基と反応して高分子量化(重合)が進行する。反応の際に発生する二酸化炭素により発泡状(スポンジ状)となり、湿潤接着強度及び柔軟性のある発泡体を含む被膜が生成する。
従って、本発明の接着剤は、手術等の医療行為において、血液等の体液と接触すると、その水分により急速に重合が進行し、接着強度が発現する。また、必要に応じて、例えば生理食塩水等を噴霧して水分を補給することにより、初期接着強度を高めることができる。
手術において、生体組織を本発明の接着剤で接合する際の接合方法としては、切開部に直接本発明の接着剤を塗布する直接接着法;シリコーンフィルム及びフッ素フィルム等の剥離性の高いフィルムに接着剤を塗布してから切開部をフィルムと一緒に覆い、反応後フィルムを除く転写接着法等が挙げられる。
内視鏡手術の内、内視鏡外科手術は、腹腔や胸腔、後腹膜腔等に0.5cm程度の小さな穴を数か所切開し、そこからビデオカメラと特殊な手術器具を入れモニタを見ながら行い、従来の開胸及び開腹手術と比較して、低侵襲であり、患者負担が軽減される術式である。消化器・一般外科領域以外に、肺や心臓等の胸部(胸腔)、首等の頸部、婦人科、泌尿器科、形成外科、整形外科及び耳鼻科等の手術にも応用されている。本発明の医療用接着剤は低粘度であり、トロカール、カニューレ及びカテーテル等の注入径の小さいものにも好適に使用できる。また、本発明の医療用接着剤は、切開を必要としない内視鏡手術(鼻及び口等から、ビデオカメラと特殊な手術器具を入れる手術)に用いても良い。
本発明の医療用接着剤は、生体への安全性及び生体への接着強度の観点から、生体組織の接着に使用されることが好ましく、生体組織として好ましいのは血管、神経、心臓、呼吸器及び消化器であり、更に好ましいのは肺、動脈、心臓、静脈、気管、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸、肝臓、脾臓、腎臓、膵臓及び神経である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、以下において特に規定しない限り%は重量%を、部は重量部を示す。
実施例におけるMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下の条件で測定した。
装置 : ゲルパーミエイションクロマトグラフ
溶媒 : テトラヒドロフラン
基準物質 : ポリオキシエチレングリコール
サンプル濃度 : 0.25重量%
カラム固定相 : TSKgelSuperH4000
カラム温度 : 40℃
<製造例1:エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(A1−1)の製造>
オートクレーブにエチレングリコール15.5部及び水酸化カリウム3.8部を仕込み、窒素置換後(気相部の酸素濃度450ppm)120℃にて60分間減圧下(100kPa)で脱水した。次いで、100〜130℃でエチレンオキサイド784.5部とプロピレンオキサイド200部との混合物を約10時間で圧入した後、130℃で3時間反応を続け、液状粗ポリエーテルを得た。この液状粗ポリエーテル1,000部をオートクレーブに仕込み、窒素置換(気相部の酸素濃度450ppm)を行い、イオン交換水30部を加えた後、合成ケイ酸マグネシウム(ナトリウム含有量0.2%)を10部加え、再度窒素置換した後、90℃にて45分間、撹拌速度300rpmで撹拌した。次いで、ガラスフィルター(GF−75:東洋濾紙(株)製)を用い、窒素下でろ過を行い、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(A1−1)[(A1−1)の重量に対するオキシエチレン基の重量割合:80重量%]を得た。このエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(A1−1)のMnは4,000であった。
<製造例2:エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(A1−2)の製造>
製造例1において、エチレングリコールの投入量を20.7部、エチレンオキサイドの投入量を779.3部に変えた以外は同様にして、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(A1−2)[(A1−2)の重量に対するオキシエチレン基の重量割合:80重量%]を得た。このエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(A1−2)のMnは3,000であった。
<製造例3:エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(A1−3)の製造>
製造例1において、エチレングリコールの投入量を41.3部、エチレンオキサイドの投入量を758.7部に変えた以外は同様にして、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(A1−3)[(A1−3)の重量に対するオキシエチレン基の重量割合:80重量%]を得た。このエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(A1−3)のMnは1,500であった。
<比較製造例1:エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(a1−1)の製造>
製造例1において、エチレングリコールの投入量を10.3部、エチレンオキサイドの投入量を789.7部に変えた以外は同様にして、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(a1−1)[(a1−1)の重量に対するオキシエチレン基の重量割合:80重量%]を得た。このエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(a1−1)のMnは6,000であった。
<比較製造例2:エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(a1−2)の製造>
製造例1において、エチレングリコールの投入量を124部、エチレンオキサイドの投入量を676部に変えた以外は同様にして、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(a1−2)[(a1−2)の重量に対するオキシエチレン基の重量割合:80重量%]を得た。このエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(a1−2)のMnは500であった。
<製造例4:プロピレンオキサイド付加体(A2−1)の製造>
オートクレーブにプロピレングリコール362部及び水酸化カリウム3.8部を仕込み、窒素置換後(気相部の酸素濃度450ppm)120℃にて60分間減圧下(100kPa)で脱水した。次いで、100〜130℃でプロピレンオキサイド632部を約10時間で圧入した後、130℃で3時間反応を続け、液状粗ポリエーテルを得た。この液状粗ポリエーテルを前記の製造例1と同様の方法で合成ケイ酸マグネシウムで処理し、プロピレンオキサイド付加体(A2−1)を得た。このプロピレンオキサイド付加体(A2−1)のMnは210であった。
<製造例5:プロピレンオキサイド付加体(A2−2)の製造>
製造例4において、プロピレングリコールの投入量を190部、プロピレンオキサイドの投入量を810部に変えた以外は同様にして、プロピレンオキサイド付加体(A2−2)を得た。このプロピレンオキサイド付加体(A2−2)のMnは400であった。
<製造例6:プロピレンオキサイド付加体(A2−3)の製造>
製造例4において、プロピレングリコールの投入量を126.7部、プロピレンオキサイドの投入量を873.3部に変えた以外は同様にして、プロピレンオキサイド付加体(A2−3)を得た。このプロピレンオキサイド付加体(A2−3)のMnは600であった。
<製造例7:プロピレンオキサイド付加体(A2−4)の製造>
製造例4において、プロピレングリコールの投入量を76部、プロピレンオキサイドの投入量を924部に変えた以外は同様にして、プロピレンオキサイド付加体(A2−4)を得た。このプロピレンオキサイド付加体(A2−4)のMnは1,000であった。
<製造例8:プロピレンオキサイド付加体(a2−1)の製造>
製造例4において、プロピレングリコールの投入量を38部、プロピレンオキサイドの投入量を962部に変えた以外は同様にして、プロピレンオキサイド付加体(a2−1)を得た。このプロピレンオキサイド付加体(a2−1)のMnは2,000であった。
<実施例1>
ポリオール成分(A)として製造例1で得たエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム共付加体(A1−1)90部と製造例5で得たプロピレンオキサイド付加体(A2−2)10部の混合物を、窒素雰囲気下、100℃にて2時間減圧下脱水した後、50℃に冷却し、フェノール性水酸基含有ラジカル捕捉剤(PRS)として0.5部のテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(イルガノックス1010、BASF社製)を添加し30分間均一に撹拌した。更に40℃に冷却した後、ポリイソシアネート成分(B)として含フッ素非芳香族ポリイソシアネートであるビス(イソシアナトメチル)パーフルオロブタン(B−1)45.6部(イソシアネート基/水酸基当量比=2/1)を加え、均一に撹拌した後、80℃に昇温し、80℃で6時間反応させて、ウレタンプレポリマーを製造し、医療用接着剤を作製した。
<実施例2〜10及び比較例1〜6>
実施例1において、ポリオール成分(A)の種類及び重量部数を、表1に記載した内容に変更し、ポリイソシアネート成分(B)の種類及び重量部数を表1に記載した内容に変更した以外は、実施例1と同様の方法でウレタンプレポリマーを製造し、実施例2〜10及び比較例1〜6記載の医療用接着剤を得た。
作製した医療用接着剤について、以下に記載の方法で、粘度、硬化時間及び接着性を測定又は評価した。結果を表1に示す。
<評価1:粘度>
E型粘度計[東機産業(株)製、型式TVE−22H]を用いて25℃における粘度を測定した。
一般的に、粘度が30,000mPa・s以下であれば、内視鏡手術に好適に使用できる。
<評価2:硬化時間>
25±5℃の環境下でポリエチレン製カップに医療用接着剤1.0gを量りとり、そこにイオン交換水1.0mLを投入し、投入した時刻を測定時間開始時刻とした。ガラス棒で医療用接着剤とイオン交換水が均一になるように手早く撹拌した。混合物からガラス棒を引き上げると混合物とガラス棒の間で混合物が糸をひく状態が続くが、硬化の進行により混合物が糸をひかずに切れるような状態になったと認められたら硬化完了と判定し、撹拌開始からこの時点までの時間を硬化時間とした。硬化時間が5分以下のものを○、5分を超えるものを×と判定した。
<評価3:接着性評価>
<試験片の作製>
強力両面テープ(ナイスタック超強力タイプ、ニチバン株式会社製)の両面をコラーゲンフィルム(コラーゲンケーシング、株式会社ニッピ製)で覆い被着体とした。
1cm×7cmに裁断した被着体の両端(短辺側)の片側の部分1cm×1cmの広さに、約0.02gの医療用接着剤をスパチュラを使用して塗布した。
医療用接着剤を塗布した部分(2カ所)に、1cm×4cmに裁断した別の被着体2枚の片末端(短辺側)を、それぞれ1cm×1cm重なるように貼り合わせた後(計3枚の被着体の長辺方向が水平となるように貼り合わせる)、十分に湿らせた布で覆い、被着体を貼り合わせた部分に100gの重りをのせて5分間放置し接着させた後重りを外した。
これを0.9重量%生理食塩水中に3時間浸漬し吸水膨潤させ試験片とした。
<測定>
次いで、25±5℃、湿度65±5RH%の環境下で、試験片の両端(1cm×4cmに裁断した被着体の末端)を反対方向(シートが伸びる方向)に周期的に引張り続け、試験片が剥離するまでの引張回数を測定することで接着性を評価した。なお、医療用接着剤それぞれについて試験片を3つ作成し、測定値はその平均値とし、下記の基準にて3段階評価を行った。
引張試験機は株式会社イマダ製計測スタンドMX−500Nを使用した。連続サイクルモードとし、引張り距離を25mm、引張り速度を300mm/minと設定した。また、つかみ具で固定する箇所は、1cm×4cmに裁断した被着体の接着させていない端1cmの部分と、もう一方の1cm×4cmに裁断した被着体の接着させていない端1cmの部分とし、弛まないように固定した。
[評価基準]
◎:10回以上
○:3回以上かつ10回未満
×:3回未満
Figure 2021006140
表1の結果から実施例1〜10の医療用接着剤は低粘度で、接着性に優れることが分かる。
本発明の医療用接着剤は、接着強度に優れるため、動きのある生体組織の接着に特に有効に使用でき、例えば、動脈、静脈、肺、心臓、気管、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸、肝臓、脾臓、腎臓、膵臓及び神経等の接着、出血阻止、消化器官からの酵素の漏れ防止、縫合に先立つ仮固定及び患部の補強等に用いる医療用接着剤として極めて有効であるばかりでなく、創傷面及び切創部等の接合、歯科における接着治療に対しても高信頼性と高性能を発揮する。
また、本発明の医療用接着剤は、低粘度であるため、トロカール、カニューレ及びカテーテル等の注入径の小さい医療用具にも好適に使用でき、これらを用いる内視鏡手術に特に有用である。

Claims (5)

  1. イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)を含有する医療用接着剤であって、
    前記医療用接着剤の25℃における粘度が5,000〜30,000mPa・sであり、
    前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)が、ポリオール成分(A)と、ポリイソシアネート成分(B)との反応物であり、
    前記ポリオール成分(A)が、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を必須構成単位とするポリオキシアルキレングリコール(A1)を含有し、
    前記ポリオキシアルキレングリコール(A1)が有するオキシエチレン基の重量割合が、ポリオキシアルキレングリコール(A1)の重量を基準として30重量%以上であり、
    前記ポリオキシアルキレングリコール(A1)の数平均分子量が800〜5,000であり、
    前記ポリイソシアネート成分(B)が、芳香環及びフッ素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する医療用接着剤。
  2. 前記ポリオール成分(A)が、更にポリプロピレングリコール(A2)を含有し、前記ポリプロピレングリコール(A2)の数平均分子量が100〜1200である請求項1に記載の医療用接着剤。
  3. 前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(UP)のイソシアネート基含有率が、前記(UP)の重量に基づいて1〜10重量%である請求項1又は2に記載の医療用接着剤。
  4. 生体組織の接着に使用される請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用接着剤。
  5. 前記生体組織が、血管、神経、心臓、呼吸器及び消化器からなる群から選ばれる少なくとも1種の組織である請求項4に記載の医療用接着剤。
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