以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、画像形成装置の一実施形態である複写機100を示す概略図である。この複写機100は、例えば、LEDなどの半導体発光素子を光源に使用した露光光学系を有する固体走査方式のLED複写機である。以下の説明では、複写機100の左右方向をX方向とし、複写機100の上下方向をY方向とし、複写機100の前後方向をZ方向とする。そして、各図において、X方向を矢印Xで示し、Y方向を矢印Yで示し、Z方向を矢印Zで示す。
複写機100は、筐体2を有する。筐体2の上面には、原稿D(図2参照)をセットする透明な原稿台ガラス3が設けられている。原稿台ガラス3の上には、自動原稿送り装置(ADF)4が設けられている。ADF4は、原稿台ガラス3上で開閉可能に設けられている。ADF4は、原稿台ガラス3上に載置した原稿Dを押える原稿押えとして機能するとともに、後述する原稿読取位置(読取ガラス5)を通して原稿Dを給送する機能を担う。原稿Dは、画像や文字が形成された原稿面D1(図2)を原稿台ガラス3に対向させる向きでセットされる。
原稿台ガラス3の下方には、原稿読取装置10が設けられている。図2は、原稿読取装置10を示す概略図である。原稿読取装置10は、図示しない駆動機構によって原稿台ガラス3に沿って図示左右方向(X方向)へ移動可能に設けられている。また、原稿読取装置10は、原稿台ガラス3と面一に並設した透明な読取ガラス5の下(図1に示す位置)に固定可能に設けられている。
図2に示すように、原稿読取装置10は、略矩形ブロック状の支持体11を有する。支持体11は、後述する感光体ドラムの回転軸と平行な紙面と直交する方向(Z方向)に延設されている。支持体11は、基板12上に配置されている。基板12は、紙面と直交するZ方向に延設されており、原稿台ガラス3と非平行な姿勢で配置されている。基板12および支持体11は、原稿台ガラス3に沿ってX方向に移動可能に設けられている。
支持体11の原稿台ガラス3側(読取ガラス5側)の上面には、2つの照明装置13、14が設けられている。照明装置13、14は、Z方向に延設され、図2で左右方向(X方向)に互いに離間して設けられている。照明装置13、14は、支持体11とともにX方向に移動して原稿台ガラス3に載置された原稿Dの原稿面D1を照明するとともに、読取ガラス5に沿って給送される原稿Dの原稿面D1を照明する。照明装置13、14は、その照明光が原稿Dの読取領域に向かう傾斜した姿勢で支持体11に取り付けられている。
照明装置13、14は、例えば、図示しない複数個のLED素子を紙面と直交するZ方向に並べた光源を有し、Z方向に延設した図示しない導光体を備えている。照明装置13、14として、これ以外に、Z方向に延設した、蛍光管、キセノン管、冷陰極線管、有機ELなどを用いることができる。
支持体11は、その上面近くで且つ上述した2つの照明装置13、14の間に、レンズミラーアレイ20を支持している。図3は、レンズミラーアレイ20の外観斜視図である。レンズミラーアレイ20は、Z方向に延設され、原稿の正立像を基板12に実装したイメージセンサ15(光電変換部)の受光面15a上で結像させるよう機能する。レンズミラーアレイ20については後に詳述する。
イメージセンサ15は、光を電気信号(画像信号)に変換する複数個の撮像素子をライン状に配列したラインセンサである。イメージセンサ15は、1本または複数本のラインセンサである。イメージセンサ15の複数の撮像素子はZ方向に並んで配列されている。イメージセンサ15は、例えばCharge Coupled Device(CCD)、Complimentary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)、または他の撮像素子により構成される。
また、支持体11の上面には、遮光部材16が取り付けられている。遮光部材16は、Z方向に延設され、原稿面D1からの反射光を通過させてレンズミラーアレイ20へ導くスリット17を有する。遮光部材16は、長尺な矩形の板を長手方向に沿って折り曲げた構造を有し、その表面に遮光材が塗布されている。遮光部材16のスリット17は、原稿面D1の所定の範囲からの反射光以外の光がレンズミラーアレイ20に入射することを防ぐよう機能する。
また、支持体11は、レンズミラーアレイ20のイメージセンサ15側に、Z方向に延びたスリット18を有する。支持体11は、レンズミラーアレイ20を収容配置した部屋11aとイメージセンサ15を収容配置した部屋11bを有し、部屋11a、11bの間にスリット18が設けられている。スリット18は、レンズミラーアレイ20から出射された光のうち原稿Dからの反射光を通す幅を有し、ノイズ成分となる不要光(ノイズ光)を遮光する。
例えば、読取ガラス5の下に原稿読取装置10が固定された状態(図1および図2に示す状態)でADF4によって原稿Dが給送されると、照明装置13、14によって読取ガラス5を介して原稿面D1が照明される。原稿面D1からの反射光は、遮光部材16のスリット17を介してレンズミラーアレイ20へ入射する。レンズミラーアレイ20は、原稿面D1からの反射光を後述するように反射および集光して、スリット18を介してイメージセンサ15へ向けて出射する。イメージセンサ15は、原稿面D1からの反射光を受光して光電変換して画像信号を出力する。
このとき、ADF4の動作により読取ガラス5上を通過する原稿Dのレンズミラーアレイ20によりイメージセンサ15上に結像される正立像がZ方向に沿った1ラインずつ読み取られる。そして、原稿Dが読取ガラス5をX方向に通過することで、原稿面D1の全体(複数ライン分)の画像を取得することができる。或いは、原稿台ガラス3に原稿Dをセットして原稿読取装置10を原稿台ガラス3に沿ってX方向に移動させる場合も、同様に、レンズミラーアレイ20によりイメージセンサ15上に結像される原稿面D1の正立像をZ方向に沿った1ラインずつ読み取って原稿面D1の全体の画像を取得することができる。
図1に示すように、複写機100は、筐体2内の略中央に画像形成部30を有する。画像形成部30は、中間転写ベルト40の走行方向(X方向)に沿って、イエロー画像形成部30Y、マゼンタ画像形成部30M、シアン画像形成部30C、およびブラック画像形成部30Kを有する。各色の画像形成部30Y、30M、30C、30Kは略同じ構造を有するため、ここではブラック画像形成部30Kについて代表して説明し、他の色の画像形成部30Y、30M、30Cについての詳細な説明を省略する。
図4は、ブラック画像形成部30Kとその周辺構造を拡大して示す概略図である。ブラック画像形成部30Kは、例えば、感光体ドラム31K、帯電チャージャ32K、露光装置50K、現像器33K(現像装置)、一次転写ローラ34K、クリーナ35K、およびブレード36Kを有する。露光装置50Kは、感光体ドラム31Kの鉛直下方に対向する位置に対してわずかに傾いた姿勢で取り付けられている。
感光体ドラム31Kは、Z方向に延設した回転軸を有し、その外周面を中間転写ベルト40の表面に接触せしめて回転可能に配置されている。感光体ドラム31Kに対向した中間転写ベルト40の内側には、一次転写ローラ34Kが設けられている。感光体ドラム31Kは、図示しない駆動機構により、中間転写ベルト40と同じ周速で図示矢印方向(時計回り方向)に回転される。
帯電チャージャ32Kは、感光体ドラム31Kの表面31aを一様に帯電させる。露光装置50Kは、色分解されたブラックの画像信号に基づく露光光を感光体ドラム31Kの表面31aに照射し、感光体ドラム31Kの表面31aにブラック用の画像信号に基づく静電潜像を形成する。現像器33Kは、感光体ドラム31Kの表面31aに形成した静電潜像にブラックトナーを供給し、感光体ドラム31Kの表面31aにブラックトナー像を形成する。
一次転写ローラ34Kは、感光体ドラム31Kの表面31aに形成したブラックトナー像を他の色のトナー像に重ねて中間転写ベルト40上に転写する。クリーナ35Kおよびブレード36Kは、感光体ドラム31Kの表面31aに残留したトナーを除去する。中間転写ベルト40の表面に重ねて転写された各色トナー像は、中間転写ベルト40の走行により、一対の二次転写ローラ37a、37b(以下の説明では総称して二次転写ローラ対37とする場合もある)の間へ送り込まれる。
図4に示すように、露光装置50Kは、矩形ブロック状の支持体51を有する。支持体51は、感光体ドラム31Kの回転軸と平行な紙面と直交するZ方向に延びて感光体ドラム31Kの図示下方に離間対向して設けられている。
支持体51は、上述した原稿読取装置10のレンズミラーアレイ20と同じ構造のレンズミラーアレイ20を支持している。露光装置50Kのレンズミラーアレイ20は、原稿読取装置10のレンズミラーアレイ20とは天地を逆にした向きで支持体51に取り付けられている。レンズミラーアレイ20は、Z方向に延設され、光源53から入射した光を後述するように反射および集光して、感光体ドラム31Kの表面31aに向けて出射する。
光源53は、例えば、基板52の表面に図示しない複数個の半導体発光素子をZ方向に並べてライン状に実装したものである。半導体発光素子の列は、感光体ドラム31Kの回転方向に沿って複数列並べて設けられていてもよい。つまり、光源53は、1本または複数本のライン状に設けられる。レンズミラーアレイ20については後に詳述する。
光源53は、原稿読取装置10で取得した画像データや図示しないパーソナルコンピュータなどの外部機器を介して取得した画像データを色分解したブラック用の画像データ(画像信号)に基づく光を出射する。光源53の複数の半導体発光素子は、例えば、画像データに基づいて点灯または消灯するLED(light emitting diode)またはOLED(organic light emitting diode)である。
支持体51は、レンズミラーアレイ20の感光体ドラム31K側で、透明な保護ガラス54を支持している。保護ガラス54は、レンズミラーアレイ20にトナーや埃などが付着することを防ぐ。保護ガラス54は、レンズミラーアレイ20の一端を突き当てて位置決めする。保護ガラス54は、Z方向に延設されている。
支持体51は、レンズミラーアレイ20の光源53側で、遮光体55を支持している。遮光体55は、Z方向に延設されており、Z方向に延びたスリット56を有する。遮光体55の表面には、例えば、遮光材が塗布されている。遮光体55は、光源53から出射された光の一部を遮光する。
また、支持体51は、保護ガラス54の光の出射側にZ方向に延びたスリット57を有する。スリット57は、露光に必要な光成分を通過させる幅を有し、露光に不必要なノイズ光を遮光する。
光源53から出射した光は、遮光体55のスリット56を通過してレンズミラーアレイ20に入射する。レンズミラーアレイ20は、光源53からの光を反射および集光して出射する。レンズミラーアレイ20から出射された光は、保護ガラス54およびスリット57を介して、回転する感光体ドラム31Kの表面31aに集光される。
このとき、感光体ドラム31Kの回転により感光体ドラム31Kの表面31aに静電潜像がZ方向に沿った1ラインずつ書き込まれる。そして、感光体ドラム31Kが一定量回転すると、原稿Dの全体画像に対応した色分解したブラック用の静電潜像が感光体ドラム31Kの表面31aに形成される。
図1に示すように、複写機100は、中間転写ベルト40の表面に重ねて転写した各色のトナー像を用紙Pに転写する二次転写ローラ対37を有する。図4に示すように、一方の二次転写ローラ37aは中間転写ベルト40の内側に配置され、中間転写ベルト40が掛け回されている。もう一方の二次転写ローラ37bは、中間転写ベルト40を間に挟んで一方の二次転写ローラ37aに対向して設けられている。中間転写ベルト40の表面に重ねて転写した各色のトナー像は、中間転写ベルト40の走行により、二次転写ローラ対37のニップへ送り込まれる。
一方、複写機100の筐体2内の下端近くには、複数枚の所定サイズの用紙Pを重ねて収容した給紙カセット61が設けられている。給紙カセット61は、例えば、筐体2の前面から引き出しおよび収納可能に設けられている。給紙カセット61の図示右端上方には、給紙カセット61内に収容した用紙Pのうち重ね方向の最上端の用紙Pを取り出すピックアップローラ62が配置されている。ピックアップローラ62は、その周面を用紙Pに接触させて回転することで用紙Pを1枚ずつ取り出す。
筐体2内の上方には、排紙トレイ63が設けられている。排紙トレイ63は、原稿台ガラス3より下方に配置されており、画像形成した用紙Pを複写機100の胴内に排紙する。ピックアップローラ62と排紙トレイ63の間には、給紙カセット61から取り出した用紙Pを排紙トレイ63に向けて縦方向に搬送するための搬送路64が延設されている。搬送路64は、転写ローラ対37のニップを通って延びており、複数の搬送ローラ対64aおよび図示しない搬送ガイドを備えている。搬送路64の終端には、排紙トレイ63へ用紙Pを排紙するための排紙ローラ対63aが設けられている。排紙ローラ対63aは、正逆両方向に回転することができる。
転写ローラ対37の下流側(図示上側)の搬送路64上には、定着ローラ対65が配設されている。定着ローラ対65は、搬送路64を介して搬送される用紙Pを加熱するとともに加圧し、用紙Pの表面に転写されたトナー像を用紙Pの表面に定着させる。
図1に示すように、複写機100は、一方の面に画像形成した用紙Pを表裏反転させて転写ローラ対37のニップへ送り込むための反転搬送路66を有する。反転搬送路66は、用紙Pを挟持して回転することで搬送する複数の搬送ローラ対66aおよび図示しない搬送ガイドを有する。排紙ローラ対63aの上流側には、用紙Pの搬送先を搬送路64と反転搬送路66の間で切り換えるゲート67が設けられている。
ピックアップローラ62が回転されて給紙カセット61から用紙Pが取り出されると、複数の搬送ローラ対64aにより当該用紙Pが搬送路64を介して排紙トレイ63に向けて搬送される。このとき、用紙Pの搬送タイミングに合わせて中間転写ベルト40の表面に転写形成された各色のトナー像が転写ローラ対37のニップへ送り込まれ、転写ローラ対37から付与される転写電圧によって用紙Pの表面に各色のトナー像が転写される。
トナー像が転写された用紙Pは、定着ローラ対65を通過することで加熱および加圧され、トナー像が溶融されて用紙Pの表面に押し付けられ、トナー像が用紙Pに定着される。このようにして画像形成された用紙Pは、排紙ローラ対63aを介して排紙トレイ63へ排出される。
このとき、当該用紙Pの裏面にも画像形成する両面モードが選択されている場合、排紙トレイ63に向けて排出されている用紙Pの排出方向の後端が排紙ローラ対63aのニップを抜ける直前のタイミングでゲート67が反転搬送路66に切り換えられて排紙ローラ対63aが逆転され、用紙Pがスイッチバック搬送される。これにより、用紙Pの後端が反転搬送路66に指向され、表裏反転されて転写ローラ対37のニップへ送り込まれる。
そして、当該用紙Pの裏面に形成する画像データに基づくトナー像が中間転写ベルト40の表面に形成され、このように各色のトナー像を保持した中間転写ベルト40の走行により、各色のトナー像が転写ローラ対37のニップへ送り込まれる。そして、反転された用紙Pの裏面にトナー像が転写されて定着され、排紙ローラ対63aを介して排紙トレイ63へ排出される。
複写機100は、上述した各機構を動作制御する制御部70を有する。制御部70は、CPU等のプロセッサ、及びメモリを備える。制御部70は、プロセッサがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、各種の処理機能を実現する。制御部70は、原稿読取装置10を制御することにより、原稿Dから画像を取得する。また、制御部70は、画像形成部30を制御することにより、用紙Pの表面に画像を形成する。例えば、制御部70は、原稿読取装置10で読み取った画像データを画像形成部30に入力する。制御部70は、複数の搬送ローラ対64a、66aを動作制御して、搬送路64および反転搬送路66を通して用紙Pを搬送する。
図5は、画像形成装置の他の実施形態であるプリンタ200の要部を示す概略図である。このプリンタ200は、例えば、インスタントカメラに組み込まれたプリンタ、またはデジタルカメラなどで撮影した画像を現像するインスタント写真用のプリンタなどである。
プリンタ200は、例えば銀塩写真フィルムのような感光媒体201(感光材料)を図示矢印方向(図5で右方向;X方向)に搬送する図示しない搬送機構を有する。感光媒体201は、搬送機構によって所定の平らな搬送面200a(XZ平面)に沿って略水平な姿勢で搬送される。感光媒体201は、搬送方向の先端側に、現像剤を収容した収容部205を備えている。感光媒体201の搬送路上には、感光媒体201を挟持押圧して収容部205を破封する一対の押圧ローラ202、203が設けられている。一対の押圧ローラ202、203は、感光媒体201の搬送方向と直交するZ方向の幅を超える長さを有する。
感光媒体201は、一対の押圧ローラ202、203の間を通って搬送される。押圧ローラ202、203の少なくとも一方は、互いに近付く方向に付勢されている。このため、一対の押圧ローラ202、203の間を通って搬送される感光媒体201は、一対の押圧ローラ202、203によって押し潰されつつ搬送される。これにより、感光媒体201の収容部205が一対の押圧ローラ202、203によって押し潰されて破封され、感光媒体201をさらに搬送することで、現像剤が感光媒体201の全面に行きわたる。
感光媒体201を搬送する搬送路の図示下方には、露光装置210が離間対向して配置されている。露光装置210は、搬送路を介して搬送される感光媒体201の受光面201aに、画像データを色分解した3色(RGB)の露光光を照射して、感光媒体201にカラー潜像を形成する。露光装置210は、搬送路に沿って、一対の押圧ローラ202、203の上流側に配置されている。
露光装置210は、感光媒体201の搬送方向と直交する幅方向(紙面と直交するZ方向)に延設された支持体211を有する。支持体211は、上述したレンズミラーアレイ20と略同じ構造のレンズミラーアレイ220を支持している。レンズミラーアレイ220は、Z方向に延設され、光源212R、212G、212Bから入射した光を後述するように反射および集光して、感光媒体201の受光面201aに向けて出射する。
光源212R、212G、212Bは、例えば、白色有機EL素子213に対して各色それぞれ2列に千鳥配置したフィルターとアパーチャが配置されたOLED(Organic Light Emitting Diode)である。光源212R、212G、212Bは、それぞれZ方向に配列され、X方向に離間して並んで設けられている。白色有機EL素子213は、透明ガラス216に取り付けられている。
また、OLEDは、透明ガラス216と封止板215と、封止板215の外周に塗られ、透明ガラス216と封止板215の間の空間を密閉する枠状に設けた接着剤218により、外気から遮断され、吸湿しないようにされている。白色有機EL素子213は、フレキシブル基板219に接続されており、フレキシブル基板219上の回路から給電される。支持体211は、レンズミラーアレイ220と光源212R、212G、212Bの間で、透明ガラス216を支持している。
また、支持体211は、レンズミラーアレイ220の感光媒体201側で、透明な保護ガラス214を支持している。保護ガラス214は、レンズミラーアレイ220を保護するとともに、レンズミラーアレイ220に埃が付着することを防ぐ。保護ガラス214は、レンズミラーアレイ220の一端を突き当てて位置決めする。
支持体211は、保護ガラス214の光の出射側にZ方向に延びたスリット217を有する。スリット217は、露光に必要な光成分を通過させる幅を有し、露光に不必要なノイズ光を遮光する。支持体211(すなわち透明ガラス216)は、感光媒体201の搬送面200aに対して傾斜して設けられている。
搬送機構によって感光媒体201が搬送されて、レンズミラーアレイ220を介して光源212R、212G、212Bからの光が感光媒体201の受光面201aに照射されると、感光媒体201にカラー潜像が形成される。感光媒体201がさらに搬送されると、感光媒体201が一対の押圧ローラ202、203によって押し潰されて、感光媒体201の収容部205が破封され、現像剤が感光媒体201に供給される。これにより、感光媒体201のカラー潜像が現像されて感光媒体201にカラー画像が形成される。
以下、上述したレンズミラーアレイ20について、図3、図6、および図7を参照して説明する。図3は、レンズミラーアレイ20の外観斜視図である。図6は、レンズミラーアレイ20の部分拡大斜視図である。図7は、レンズミラーアレイ20の1つの光学エレメント21のZ方向の中心を通り且つレンズミラーアレイ20の長手方向と直交するXY面でレンズミラーアレイ20を切断した断面図である。図7は、レンズミラーアレイ20を通る光の光路を示す。なお、上述した他の実施形態のレンズミラーアレイ220は、ここで説明するレンズミラーアレイ20と略同じ構造を有するため、ここではレンズミラーアレイ20について代表して説明し、レンズミラーアレイ220の説明を省略する。
レンズミラーアレイ20は、その長手方向がZ方向に沿う姿勢で複写機100の原稿読取装置10および露光装置50Y、50M、50C、50Kのそれぞれに組み込まれる。レンズミラーアレイ20は、複数(図6では4つのみ図示)の略同じ形状の透明な光学エレメント21をZ方向に並べて一体にした構造を有する。また、レンズミラーアレイ20は、複数の光学エレメント21以外に、その長手方向の両端に、作業者が手指でレンズミラーアレイ20を把持するための延長部分20aを有する。本実施形態では、レンズミラーアレイ20は、透明な樹脂の一体成形により形成した。レンズミラーアレイ20は、ガラスなどの他の透明な材料により形成してもよい。
レンズミラーアレイ20の各光学エレメント21は、図7に示すように、物点Oからの拡散光を像点Fに結像させるよう導光する。レンズミラーアレイ20を図2に示す原稿読取装置10に取り付けた場合、物点Oは原稿面D1上に存在し、像点Fはイメージセンサ15の受光面15a上に存在する。また、レンズミラーアレイ20を図4に示す露光装置50Y(50M、50C、50K)に取り付けた場合、物点Oは光源53の発光面53a上に存在し、像点Fは感光体ドラム31K(31M、31C、31K)の表面31a上に存在する。以下の説明では、感光体ドラム31K(31M、31C、31K)の表面31aとは、像点Fを通って感光体ドラム31Kの外周面(厳密に言うと電荷発生層)に接する平らな面であるものとする。
1つの光学エレメント21には、上述した原稿面D1や発光面53a(以下、総称して発光面OPとする場合もある)にある複数の物点Oからの光が入射する。つまり、光学エレメント21は、原稿面D1や発光面53aの所定の範囲内にある物点Oから入射した光を導光して出射する。例えば、1つの光学エレメント21は、光学エレメント21のZ方向のピッチの2倍乃至3倍の幅の中に配置された物点Oからの光を導光して出射する。レンズミラーアレイ20の各光学エレメント21は、それぞれ、入射した光を2回反射して出射して、像点Fにて物点Oの正立像を形成する。
例えば、レンズミラーアレイ20を図2に示す原稿読取装置10に組み込んだ場合、複数の光学エレメント21は、原稿面D1からの反射光をイメージセンサ15の受光面15aに結像する。また、レンズミラーアレイ20を図4に示す露光装置50Kに組み込んだ場合、複数の光学エレメント21は、発光面53aからの光を感光体ドラム31Kの表面31aに結像する。この場合、イメージセンサ15の受光面15aおよび感光体ドラム31Kの表面31aは、像面FPとして機能する。以下、レンズミラーアレイ20を露光装置50Kに組み込んだ場合を例にとって、各光学エレメント21の構造および機能について説明する。
図6および図7に示すように、光学エレメント21は、その表面に、入射側レンズ面22(入射面)、上流側反射面23(反射面)、下流側反射面24(反射面)、および出射側レンズ面25(出射面)を有する。入射側レンズ面22、下流側反射面24、および出射側レンズ面25は、外側に凸となるように湾曲した面である。上流側反射面23は、Z方向と平行な平らな面である。入射側レンズ面22と上流側反射面23の間には概ねレンズミラーアレイ20の長手方向(Z方向)に沿って延びた稜部22aが設けられている。Z方向に隣接する2つの光学エレメント21の間の架空の境界面(図6の断面)は、上述した各面22、23、24、25と概ね直交する。
光学エレメント21の各面22、23、24、25は、概ねレンズミラーアレイ20の長手方向に沿った面である。つまり、複数の光学エレメント21を長手方向に一体につなげたレンズミラーアレイ20において、光学エレメント21の各面22、23、24、25は、それぞれ、長手方向につながった連続した面となる。そして、レンズミラーアレイ20は、複数の光学エレメント21の入射側レンズ面22が光源53の発光面53aに対向する姿勢で取り付けられる。
図7に示すように、1つの光学エレメント21に着目すると、入射側レンズ面22には、物点Oに置かれた発光面53aからの拡散光が入射する。入射側レンズ面22は、入射した拡散光を収束させるとともに中間倒立像を形成する。稜部22aを介して入射側レンズ面22に連続した上流側反射面23は、入射側レンズ面22を介して入射した光を下流側反射面24に向けて全反射またはフレネル反射により反射する。
発光面53aからの光を光学エレメント21に効率良く取り込むためには、発光面53aの中心を通る垂線が入射側レンズ面22の中心を通る向きで光学エレメント21を配置することが望ましい。つまり、発光面53aから出射される光はランバーシアン配光を有するため、放射強度が最大となる光(発光面53aの中心から垂直方向に出射される光)を入射側レンズ面22の中心に入射することが望ましい。
下流側反射面24は、上流側反射面23で反射した光を出射側レンズ面25に向けて全反射またはフレネル反射によりさらに反射する。下流側反射面24は、入射側レンズ面22と出射側レンズ面25を共役にするパワーを有し、入射側レンズ面22と出射側レンズ面25を共役にするためのリレーレンズとして機能する。
出射側レンズ面25は、下流側反射面24で反射した光を像点Fに配置された感光体ドラム31Kの表面31aに向けて出射する。出射側レンズ面25は、下流側反射面24と組み合わされて、入射側レンズ面22により形成された中間倒立像の倒立像である正立像を表面31aに形成する。出射側レンズ面25から出射された光は、像点Fに配置された感光体ドラム31Kの表面31aにて結像する。
光学エレメント21の表面の一部には、遮光材26(図6参照)が塗布されている。遮光材26はディスペンサやインクジェットヘッド等により光学エレメント21の表面に塗布される。遮光材26は、例えば、レンズミラーアレイ20と略同じ屈折率を有するポリマーを基材とする遮光性の高いインク(例えばカーボンブラックや顔料や染料などの遮光材料を含有させたUVインク)である。遮光材26は、レンズミラーアレイ20を伝わる光が反射されること及びレンズミラーアレイ20の外へ出射されることを防ぐ。
レンズミラーアレイ20の長手方向に隣接する複数の光学エレメント21の各上流側反射面23は、入射側レンズ面22に近い稜部22a側の端部同士が面一につながっている。言い換えると、複数の光学エレメント21の上流側反射面23の間には、反射面を分断する櫛歯状の溝27が設けられている。溝27は、複数の上流側反射面23の入射側レンズ面22から離間した端部を囲うように形成され、出射側レンズ面25の一端を規定している。溝27は、稜部22aを除く上流側反射面23の周囲に設けられている。
そして、この櫛歯状の溝27の全表面に遮光材26を塗布してある。遮光材26は、例えば、ディスペンサにより溝27内に注入され、溝27の毛細管現象や濡れ拡がり等によって溝27の内面に塗布される。このように、毛細管現象や濡れ拡がり等を利用して遮光材26を溝27の内面に塗布すると、適量の遮光材26を連続的に素早く塗布することができ、作業を簡単にできるとともに遮光材26を各光学エレメント21に均一に塗布することができる。言い換えると、本実施形態では、溝27以外のレンズミラーアレイ20の表面(特に、上流側反射面23)には遮光材26を塗布していない。
また、レンズミラーアレイ20は、その全長にわたって、2つのフランジ部28、29を有する。各フランジ部28、29の長手方向の両端は、上述した延長部分20aに含まれる。図6に示すように、複数の光学エレメント21の入射側レンズ面22と下流側反射面24の間に入射側のフランジ部28(突出部分)が設けられている。入射側のフランジ部28は、Z方向に連続した複数の入射側レンズ面22とZ方向に連続した複数の下流側反射面24との間から外方へ突設されている。また、複数の光学エレメント21の下流側反射面24と出射側レンズ面25の間に出射側のフランジ部29が設けられている。出射側のフランジ部29は、Z方向に連続した複数の下流側反射面24とZ方向に連続した複数の出射側レンズ面25との間から外方へ突設されている。フランジ部28、29は、レンズミラーアレイ20の位置決めや取り付けのために必要な構成である。
図8は、上述した光学エレメント21の下流側反射面24による光の反射特性を説明するための光線図である。ここでは、説明を分かり易くするため、図5のプリンタ200の露光装置210に組み込んだレンズミラーアレイ220の1つの光学エレメント21の下流側反射面24による光の反射特性について説明する。なお、図8では、実際のレンズミラーアレイ220の光学エレメント21を導光する光の光路を単純化して図示してある。また、ここでは、各色の光源212R、212G、212Bは、点光源であるものとみなして説明する。
物点Oと像点Fを共役にするパワーを有する下流側反射面24に入射する光源212R、212G、212Bからの拡散光は、下流側反射面24によって反射されてそれぞれの像点Fr、Fg、Fbに向けて収束される。また、上述したように、光源212R、212G、212Bは、X方向に離間して並んで配列されている。さらに、光源212R、212G、212Bからの光は、下流側反射面24に対してX方向に傾斜した方向から入射する。
この場合、例えば、X方向の中央に配置した光源212Gからの緑色光の像点Fgを含む像面FPが、光源212R、212G、212Bの発光面OPと平行であると仮定すると、他の色の光の像点Fr、Fbは光源212Gから出た主光線に垂直な面FPで結像しない。具体的には、光源212Rから出射された赤色光は面FPの手前で結像し、光源212Bから出射された青色光は面FPを越えた位置で結像する。言い換えると、各色の光が結像する像点Fr、Fg、Fbを含む面FP’は、発光面OPから出た主光線に垂直な面に非平行な面となる。本実施形態の場合は、光線を上流側反射面23で一度反射し、入射側と出射側の主光線がほぼ平行になるようにしているため、発光面と像面をそれぞれ主光線に垂直な面とする従来の考え方では、発光面OPと、像面FPは、平行になるが、発光面OPと、像面FP’は非平行な面となる。より具体的には、発光面OPと平行な架空の面(第1平面)と像面FP’と平行な架空の面(第2平面)が下流側反射面24側で交差する方向に発光面OPと像面FP’を相対的に傾斜させることにより、像面FP’において各色の光を概ね結像させることができる。
見方を変えると、上述したレンズミラーアレイ220を用いた場合、発光面OPに対して像面FP’を上述した方向に傾斜させることにより、発光面OPと像面FP’を平行に配置した場合と比較して、光学エレメント21の入射側レンズ面22を介して入射する光のうち像面FP’にて結像することができる光の光軸と交差する方向の有効幅を広げることができる。
このため、本実施形態によると、発光面OPと像面FP’を上述した方向に相対的に傾斜させて非平行に配置することで、光源212R、212G、212BのX方向の間隔を広げることができ、光源212R、212G、212Bのレイアウトの自由度を高めることができる。また、本実施形態によると、入射光の有効幅を広げることができるため、レンズミラーアレイ220のX方向に沿った位置決め精度を低くすることができ、レンズミラーアレイ220のX方向に沿った位置決め調整をラフにすることができる。
また、本実施形態によると、像面FP’におけるX方向の比較的幅の広い範囲で良好なビーム径を得ることが出来る。このため、像面FP’に配置した構成要素のX方向の位置調整をラフにすることができ、像面FP’側の構成要素のレイアウトの自由度を高めることができる。
なお、光源212R、212G、212Bは、ランバーシアン配光であるため、発光面OPの垂線方向に放射強度が最大となる光を出射する。このため、発光面OPは、光源212R、212G、212Bの放射角分布を考えて、最大のパワーを像面FP’に結像させることができる角度に設定することが望ましい。また、この場合、像面FP’は、発光面OPを上述した角度に配置した上で、入射光のX方向の有効幅ができるだけ広くなる角度に配置することが望ましい。
最適化設計の結果、最大のパワーを像面FP’に結像させる発光面OPの角度は、像高0の時の物点Oと、その際の像点Fを結んだ角度から、発光面OPの設計中心での接平面と、像面FP’での設計中心での接平面を延長した面が下流側反射面24側で交差する方向に傾いており、物体高0からの垂線が、入射側レンズ面22の中心を通る形となるときであることがわかった。
このため、例えば、本実施形態のレンズミラーアレイ20を、図2に示すように、複写機100の原稿読取装置10に組み込んだ場合、原稿面D1の物点Oを通る垂線がレンズミラーアレイ20の光学エレメント21の入射側レンズ面22の中心を通るようにレンズミラーアレイ20を位置決め配置するとともに、原稿面D1と平行な架空の第1平面とイメージセンサ15の受光面15aと平行な架空の第2平面が、光学エレメント21の下流側反射面24側で交差するように、原稿面D1と受光面15aを相対的に傾斜させることが望ましい。
この場合、レンズミラーアレイ20を導光してイメージセンサ15の受光面15aに結像することができる入射光のX方向の有効幅を広げることができ、レンズミラーアレイ20のX方向の位置決め調整をラフにすることができる。また、この場合、イメージセンサ15の受光面15aに結像するスポットの幅を広くすることができ、X方向における光学特性の劣化を緩和することができる。
また、例えば、本実施形態のレンズミラーアレイ20を、図4に示すように、露光装置50K(50Y、50M、50C)に組み込んだ場合、光源53の発光面53aにある物点Oを通る垂線がレンズミラーアレイ20の光学エレメント21の入射側レンズ面22の中心を通るようにレンズミラーアレイ20を位置決め配置するとともに、発光面53aと平行な架空の第1平面と感光体ドラム31Kの表面31aの光線が交わる位置での接平面と平行な架空の第2平面が、光学エレメント21の下流側反射面24側で交差するように、発光面53aと表面31aを相対的に傾斜させることが望ましい。
この場合、レンズミラーアレイ20を導光して感光体ドラム31Kの表面31aに結像することができる入射光のX方向の有効幅を広げることができ、レンズミラーアレイ20のX方向の位置決め調整をラフにすることができる。また、この場合、感光体ドラム31Kの表面31aに結像する幅を広くすることができ、X方向における光学特性の劣化を緩和することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上述した実施形態では、物点Oを含む発光面OPから出射される光の照射強度が最大となる垂線がレンズミラーアレイ20の入射側レンズ面22の中心を通るようにレンズミラーアレイ20を位置決めした場合について説明したが、これに限らず、発光面OPの垂線が入射側レンズ面22の中心からわずかにずれた位置を通るようにレンズミラーアレイ20を配置してもよい。すなわち、発光面OPと像面FPは上述した方向に相対的に傾斜していればよい。
また、上述した実施形態では、レンズミラーアレイ20の入射側レンズ面22から入射した光を出射側レンズ面25を介して出射させる方向に光を導光させる場合について説明したが、これに限らず、出射側レンズ面25から入射した光を入射側レンズ面22を介して出射する方向に光を導光させることも可能である。この場合、同様に、物点Oを含む発光面OPと像点Fを含む像面FPが下流側反射面24側で交差する方向に発光面OPと像面FPを相対的に傾斜させることが望ましい。