[go: up one dir, main page]

JP2019042397A - 吸収性物品 - Google Patents

吸収性物品 Download PDF

Info

Publication number
JP2019042397A
JP2019042397A JP2017171500A JP2017171500A JP2019042397A JP 2019042397 A JP2019042397 A JP 2019042397A JP 2017171500 A JP2017171500 A JP 2017171500A JP 2017171500 A JP2017171500 A JP 2017171500A JP 2019042397 A JP2019042397 A JP 2019042397A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
skin
fibers
fiber
sheet
core wrap
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017171500A
Other languages
English (en)
Inventor
啓介 小泉
Keisuke Koizumi
啓介 小泉
拓也 幸田
Takuya Koda
拓也 幸田
智 石岡
Satoshi Ishioka
智 石岡
俊明 一萬田
Toshiaki Ichimada
俊明 一萬田
章之 植田
Akiyuki Ueda
章之 植田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2017171500A priority Critical patent/JP2019042397A/ja
Publication of JP2019042397A publication Critical patent/JP2019042397A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Absorbent Articles And Supports Therefor (AREA)

Abstract

【課題】軟便のような高粘度の体液を面方向に拡散させつつ吸収性コアに速やかに移行させることができ、体液の吸収性能に優れ、液戻りが発生し難い吸収性物品を提供すること。【解決手段】本発明の吸収性物品1は、液保持性の吸収性コア40と、該吸収性コア40の肌対向面を被覆する肌側コアラップシート41とを具備する。肌側コアラップシート41は、親水性の第1繊維43と、該第1繊維43よりも親水度の低い低親水性又は疎水性の第2繊維44とを含有する。第1繊維43は、肌側コアラップシート41の肌対向面41a側から非肌対向面41b側にわたって連続し、且つ肌対向面41a側よりも非肌対向面41b側に多く存在する。【選択図】図3

Description

本発明は、吸収性コア及びこれを被覆するシートを備えた吸収性物品に関する。
使い捨ておむつなどの吸収性物品として、肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する液不透過性の裏面シート及びこれら両シート間に配置された吸収体を具備し、該吸収体が、木材パルプや吸水性ポリマー等の吸収性材料を含む吸収性コアと、該吸収性コアの外面を被覆するコアラップシートとからなるものが知られている。
コアラップシートは、吸収体の製造時には吸収性材料を受けるためのシートとして働き、製造後には吸収性コアを包んで形状化する役割等を果たす。コアラップシートとしては、従来、薄葉紙、吸収紙、不織布等の透水性シートが用いられている。特許文献1には、吸収性コアの肌対向面を被覆する肌側コアラップシートを、液透過速度が互いに異なる第1層及び第2層からなる2層構造とすることが記載され、そうすることによって液透過性及び液拡散性が向上するとされている。特許文献1には、第1層及び第2層の組み合わせ例として、一方が紙、他方が不織布の組み合わせが記載されているが、該紙の構成繊維(パルプ繊維)の肌側コアラップシートにおける分布状態などについては特に記載されていない。
特許文献2には、吸収性物品の表面シートとして、スパンボンド不織布と薄葉紙とが積層構造体を使用することが記載されている。この積層構造体においては、スパンボンド不織布を構成する疎水性連続フィラメントと薄葉紙を構成するパルプ繊維とが水流交絡によって絡合されており、該スパンボンド不織布面側が肌に接するように配設されることで、着用者の排泄物を吸収体側に速やかに透過させ得るとされている。
特開2013−180171号公報 特開平5−176954号公報
一般に吸収性コアは、吸収性物品の着用者の前後方向(縦方向)に長い形状をなしているのに対し、尿や便などの体液が排泄される着用者の排泄部(ペニス、膣口、肛門など)は吸収性コアの縦方向中央部に位置するため、体液の吸収に実質的に寄与する部位は、吸収性コアの縦方向中央部及びその近傍に限られ、吸収性コアの他の部位が有効活用されにくいという課題がある。この点、吸収性コアの肌対向面を被覆する肌側コアラップシートが、面方向への液拡散性に優れるものであれば、体液を面方向に速やかに拡散させつつ吸収性コアへ移行させることが可能となるため、斯かる課題の解決に繋がる。しかし、この肌側コアラップシートによる面方向への液拡散が着用者の肌に比較的近い肌対向面側で行われると、肌の周辺が湿度の高い状態となって肌トラブルに繋がるおそれがある。また、従来の紙製あるいは不織布(例えばSMS不織布)製のコアラップシートは、尿などの比較的低粘度の体液の透過性は概ね良好であるものの、軟便などの比較的高粘度の体液の透過性に劣り、軟便を吸収性コア側に速やかに引き込むことはできない。また、従来のコアラップシートは、吸収性コアに一旦吸収された尿や軟便などの体液が着用者の肌側に移行する、いわゆる液戻り(便戻りを含む)の防止の点についても改善の余地があった。
従って本発明の課題は、軟便のような高粘度の体液を面方向に拡散させつつ吸収性コアに速やかに移行させることができ、体液の吸収性能に優れ、液戻りが発生し難い吸収性物品を提供することに関する。
本発明は、液保持性の吸収性コアと、該吸収性コアの肌対向面を被覆する肌側コアラップシートとを具備する吸収性物品であって、前記肌側コアラップシートは、親水性の第1繊維と、該第1繊維よりも親水度の低い低親水性又は疎水性の第2繊維とを含有し、前記第1繊維は、前記肌側コアラップシートの肌対向面側から非肌対向面側にわたって連続し、且つ該肌対向面側よりも該非肌対向面側に多く存在する吸収性物品である。
本発明によれば、軟便のような高粘度の体液を面方向に拡散させつつ吸収性コアに速やかに移行させることができ、体液の吸収性能に優れ、液戻りが発生し難い吸収性物品が提供される。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である展開型使い捨ておむつの肌対向面即ち表面シート側を模式的に示す平面図であり、各部の弾性部材を伸張させて平面状に拡げた展開状態における平面図である。 図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す横断面図である。 図3は、本発明に係る肌側コアラップシートの厚み方向に沿う断面を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である展開型使い捨ておむつの一例に基づき図面を参照して説明する。図1及び図2には、本実施形態の展開型使い捨ておむつ1が示されている。おむつ1は、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有すると共に、着用者の腹側に配される腹側部1F及び背側に配される背側部1R並びにそれらの間に位置する股下部1Mとを有する。腹側部1F、股下部1M及び背側部1Rは、おむつ1を縦方向Xに三等分した場合の各領域に相当する。股下部1Mは、おむつ1の着用時に着用者のペニス、肛門等の排泄部に対向配置される排泄部対向部を有しており、該排泄部対向部は通常、おむつ1の縦方向Xの中央部又はその近傍に位置している。
おむつ1は、図1及び図2に示すように、吸収性コア40を有する吸収体4と、吸収体4の肌対向面側に配され、吸収体4よりも着用者の肌に近くに位置して着用時に着用者の肌と接触し得る液透過性の表面シート2と、吸収体4の非肌対向面側に配され、吸収体4よりも着用者の肌から遠くに位置する液不透過性ないし撥水性の裏面シート3とを具備し、図1に示す如き平面視において、股下部1Mに位置する縦方向Xの中央部が内方に括れ且つ一方向即ち縦方向Xに長い、縦長の砂時計状をなしている。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ、両シート2,3間に介在配置された吸収体4よりも大きな寸法を有し、図1に示す如き展開且つ伸張状態のおむつ1の外形を形成している。
尚、本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収性コア40)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌から遠い側である。尚、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置が維持された状態を意味し、吸収性物品が適正な着用位置からずれた状態にある場合は含まない。
腹側部1F及び背側部1Rそれぞれのウエスト部、即ち縦方向Xの端部における表面シート2と裏面シート3との間には、帯状の弾性部材11が、おむつ1の横方向Yの略全長にわたって横方向Yに伸長状態で固定されており、これにより、おむつ1の着用時における該ウエスト部には、弾性部材11の収縮によりウエストギャザーが形成される。また、背側部1Rにおける着用者の胴周りに対応する胴周り部における表面シート2と裏面シート3との間には、糸状の弾性部材12が横方向Yに伸長状態で複数固定されており、これにより、おむつ1の着用時における該胴周り部には、弾性部材12の収縮により胴回りギャザーが形成される。また、おむつ1の表面シート2側即ち肌対向面側における縦方向Xに沿う左右両側には、それぞれサイドシート5が配されている。サイドシート5は、縦方向Xに沿う内側縁部と、該内側縁部よりも横方向Yの外方に位置して縦方向Xに沿う外側縁部とを有し、図1に示す如き平面視において、該内側縁部は吸収体4と重なり、該外側縁部は吸収体4の縦方向Xに沿う側縁から横方向Yの外方に延出し、図2に示すように、裏面シート3と接合されている。着用者の脚周りに配される左右のレッグ部におけるサイドシート5と裏面シート3との間には、糸状の弾性部材13が縦方向Xに沿って伸長状態で固定されており、これにより、おむつ1の着用時における該レッグ部には、弾性部材13の収縮により一対のレッグギャザーが形成される。また、サイドシート5の内側縁部には、糸状の弾性部材14が縦方向Xに沿って伸長状態で固定されており、これにより、おむつ1の着用時には弾性部材14の収縮により、少なくとも股下部1Mにおいてサイドシート5が裏面シート3との接合部を起点として着用者の肌に向かって起立し、左右一対の防漏カフが形成される。表面シート2、裏面シート3、吸収体4、サイドシート5及び各弾性部材11〜14は、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段により互いに接合されている。
図1に示すように、おむつ1の背側部1Rの縦方向Xに沿う両側縁部には、一対のファスニングテープ6,6が設けられている。ファスニングテープ6には、機械的面ファスナーのオス部材からなる止着部61が取り付けられている。また、おむつ1の腹側部1Fの非肌対向面には、機械的面ファスナーのメス部材からなる被止着領域7が形成されている。被止着領域7は、腹側部1Fの非肌対向面を形成する裏面シート3の非肌対向面に、機械的面ファスナーのメス部材を公知の接合手段、例えば接着剤やヒートシール等で接合固定して形成されており、ファスニングテープ6の止着部61を着脱自在に止着可能になされている。
表面シート2としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができ、尿や便などの体液を透過し得る液透過性シートであることを前提として、合成繊維又は天然繊維からなる織布や不織布、多孔性シート等を用いることができる。表面シート2の一例として、コットン等の天然繊維を材料とする不織布や、各種合成繊維に親水化処理を施したものを材料とする不織布を用いることができる。例えば、芯成分にポリプロピレンやポリエステル、鞘成分にポリエチレンを用いた、芯鞘構造型(サイドバイサイド型も含む)複合繊維をカーディングによりウエブ化した後、エアスルー法によって不織布(この後所定箇所に開孔処理を施しても良い)としたものが挙げられる。また、透液性の高さの点(ドライ感)から、低密度ポリエチレン等のポリオレフィンからなる開孔シートも好ましく用いることができる。
裏面シート3としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができ、液不透過性(撥水性を含む)で、且つ透湿性のものが好ましく用いられる。具体的に十分な水蒸気透過性を得るために、炭酸カルシウム等のフィラーからなる微粉を分散させたポリエチレン等の合成樹脂製のフィルムを延伸し、微細な孔を設けた多孔質フィルムは、裏面シート3として好適に使用できる。
サイドシート5としては、裏面シート3として使用可能なものを用いることができる。
吸収体4は、液保持性の吸収性コア40と、吸収性コア40の肌対向面を被覆する肌側コアラップシート41と、吸収性コア40の非肌対向面を被覆する非肌側コアラップシート42とを含んで構成されている。吸収性コア40とコアラップシート41,42との間は、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段により接合されている。吸収体4(吸収性コア40)は、図1に示す如き平面視において、股下部1Mに位置する縦方向Xの中央部が内方に括れた砂時計状で且つ縦方向Xに長い縦長の形状を有している。
吸収性コア40は吸収性材料を主体として構成され、吸収性コア40における吸収性材料の含有量は通常ほぼ100質量%である。吸収性材料としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、木材パルプ、親水化剤により処理された合繊繊維等の親水性繊維や吸水性ポリマー粒子が挙げられる。吸収性コア40の構成として、親水性繊維の積繊体、あるいは該積繊体に吸水性ポリマー粒子を担持させた構成、あるいは吸水性ポリマー粒子のみからなる構成を例示できる。
本実施形態においては、非肌側コアラップシート42は、図2に示すように、肌側コアラップシート41よりも横方向Yの長さが長い。非肌側コアラップシート42は、吸収性コア40の非肌対向面の全域を被覆し、且つ吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、その延出部が、吸収性コア40の肌対向面に当接する肌側コアラップシート41の肌対向面に巻き上げられている。非肌側コアラップシート42は、その組成や材質に関して、肌側コアラップシート41と同じでも異なっていても良く、紙、不織布など、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができる。非肌側コアラップシート42を構成する不織布の例示として、親水化処理が施された繊維からなる親水性不織布が挙げられる。不織布製のコアラップシートは、紙製のものに比べて強度が高くて加工時に破れにくく、また、吸収性コア40を構成する吸収性材料として吸水性ポリマー粒子が使用されている場合には、吸水性ポリマー粒子の膨潤による吸収性コア40の変形に柔軟に対応し得るという特長を有する。
図3には、おむつ1の主たる特徴部分の1つである肌側コアラップシート41の厚み方向に沿う断面が示されている。肌側コアラップシート41は下記特徴1及び2を有する。・特徴1:肌側コアラップシート41は、親水性の第1繊維43と、第1繊維43よりも親水度の低い低親水性又は疎水性の第2繊維44とを含有する。
・特徴2:第1繊維43は、肌側コアラップシート41の肌対向面41a側から非肌対向面41bにわたって連続し、且つ肌対向面41a側よりも非肌対向面41b側に多く存在する。
尚、図3では理解を容易にする観点から、第1繊維43を相対的に太い線で、第2繊維44を相対的に細い線で表示しているが、実際の繊維の太さとは無関係である。
前記特徴1に関し、肌側コアラップシート41は、親水度の異なる2種類の繊維43,44を含有する。本発明において、繊維の親水度は、下記方法で測定される水との接触角に基づき判断され、該接触角が90度未満であれば親水性、90度以上の場合であれば疎水性である。下記方法で測定される水との接触角が小さいほど親水性が高く(疎水性が低く)、該接触角が大きいほど親水性が低い(疎水性が高い)。肌側コアラップシート41において、親水性繊維である第1繊維43の水との接触角は90度未満であり、低親水性又は疎水性繊維である第2繊維44の水との接触角は、第1繊維43の水との接触角よりも大きいことを前提として、60度以上である。第2繊維44が低親水性繊維である場合の水との接触角は60度以上90度未満、疎水性繊維である場合の水との接触角は90度以上である。
<接触角の測定方法>
測定対象(肌側コアラップシート)から繊維を取り出し、その繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角の測定には蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。録画された映像において、繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維とのなす角を算出し、接触角とする。測定対象物から取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を、当該繊維の水との接触角と定義する。測定環境は、室温22±2℃、湿度65±2%RHとする。斯かる接触角の値が小さいほど、親水性が高いことを意味する。
尚、吸収性物品からその構成部材(例えば肌側コアラップシート)を取り出して評価測定する場合において、その構成部材が、接着剤、融着などによって他の構成部材に固定されている場合には、その固定部分を、溶剤の塗布、ドライヤーによる熱風吹き付けなどによって除去してから取り出す。
第1繊維43としては、親水性即ち水との接触角が90度未満であることを前提として、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来使用されている各種の繊維材料を特に制限なく用いることができ、例えば、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ等の木材パルプやコットンパルプ、ワラパルプ等の非木材パルプ等の天然セルロース繊維;レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維;ポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維(疎水性繊維)を界面活性剤等の親水化剤により親水化処理したもの等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも特に、本来的に親水性の繊維、即ち親水化処理を施さずとも親水性の繊維が好ましく、とりわけ、木材パルプ、コットンパルプ等の天然セルロース繊維、レーヨンなどの再生セルロース繊維が好ましい。第1繊維43が天然セルロース繊維又は再生セルロース繊維であると、尿や軟便などの体液に繰り返しさらされても、初期の親水性を維持できるという効果が奏される。
第2繊維44としては、第1繊維43よりも親水度の低い低親水性又は疎水性、即ち水との接触角が60度以上で且つ第1繊維43の水との接触角よりも大きいことを前提として、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来使用されている各種の繊維材料を特に制限なく用いることができ、典型的には、各種の合成樹脂からなる合成繊維である。合成繊維は親水化処理が施されていても良いが、第2繊維44として通常用いられるのは、親水化処理が施されていない合成繊維である。合成繊維を形成する合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、合成繊維である第2繊維44は、1種類の合成樹脂又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でも良く、あるいは複合繊維でも良い。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続し
た構造で単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等があり、特に制限されない。
前記特徴1に関し、肌側コアラップシート41は、典型的には、第2繊維44を主体とする基材シートを具備し、該基材シートの構成繊維(第2繊維44)と第1繊維43とが絡み合って構成されている。前記基材シートは第2繊維44を主体とする繊維集合体であり、その形態は特に制限されず、例えば不織布、織布、紙などを用いることができるが、強度、柔軟性等の観点から、不織布が特に好ましい。第2繊維44を主体とする前記基材シートは、第2繊維44を少なくとも50質量%以上含有し、第2繊維44の含有量は該不織布の全質量に対して100質量%でも良い。前記基材シートを具備する肌側コアラップシート41は、公知の抄紙機を用いて湿式抄紙法によって製造することができ、具体的には例えば、第1繊維43を水に分散させて調製した紙料スラリーを、基材シートを載せた抄紙網に流し、該抄紙網上に第1繊維43及び第2繊維44を含有する湿潤シートを形成し、この湿潤シートをヤンキードライヤーなどの乾燥手段によって乾燥することで製造される。
前記特徴2に関し、肌側コアラップシート41においては図3に示すように、シート41に含有されている多数の第1繊維43の少なくとも一部が、肌側コアラップシート41の肌対向面41a側から非肌対向面41b側にわたって連続しており、即ちシート厚み方向に連続している。このシート厚み方向に連続している第1繊維43については、肌側コアラップシート41の肌対向面41aを観察した場合に該第1繊維43の一部を確認することができると共に、非肌対向面41bを観察した場合に該第1繊維43の他の部分を確認することができる。ここでいう、「第1繊維43が連続している」には、1)1本の第1繊維43がシート厚み方向に連続している形態のみならず、2)複数本の第1繊維43が互いに接触することで長繊維を疑似的に構成し、その疑似的な長繊維がシート厚み方向に連続している形態が含まれる。第1繊維43(親水性繊維)がシート厚み方向に連続しているか否かは、下記<親水性繊維のシート厚み方向での連続性の評価方法>によって評価することができる。
<親水性繊維のシート厚み方向での連続性の評価方法>
評価対象のシート(肌側コアラップシート)の構成繊維のうち、親水性繊維(第1繊維)即ち水との接触角が90度未満の繊維のみを染色する。斯かる親水性繊維の染色は、0.5質量%の青色水溶液(ダイワ化成製造の愛染食用色素の食用青色1号)に評価対象のシートを浸し、3分静置後に該水溶液から該シートを取り出し、取り出したシートの肌対向面側を下に向けて、予め敷いておいた紙(キムタオル、日本製紙クレシア株式会社製)の上に載せ、該シートの上方から3kPaの荷重を1分間かけて脱水することによって行うことができる。こうして得られた染色済みのシートの一面又は両面を光学顕微鏡(キーエンス製マイクロスコープ「VHX−100」)を用いて観察し、染色された繊維(親水性繊維)が一方の面から他方の面にわたって連続しているか否かを確認する。
また、前記特徴2に関し、肌側コアラップシート41においては図3に示すように、第1繊維43は肌対向面41a側よりも非肌対向面41b側に多く存在する。即ち肌側コアラップシート41においては、親水性の第1繊維43が非肌対向面41b側に偏在し、第1繊維43よりも親水度の低い低親水性又は疎水性の第2繊維44が肌対向面41a側に偏在している。第1繊維43(親水性繊維)が肌側コアラップシート41において肌対向面41a側及び非肌対向面41b側のどちらに多く存在しているかは、下記<親水性繊維の分布評価方法>によって評価することができる。
<親水性繊維の分布評価方法>
評価対象のシート(肌側コアラップシート)の構成繊維のうち、親水性繊維(第1繊維
)を、前記<親水性繊維のシート厚み方向での連続性の評価方法>における染色方法と同様の方法で染色する。光学顕微鏡(キーエンス製マイクロスコープ「VHX−100」)を用いて、染色済みのシートの一方の面(例えば非肌対向面)の一部を倍率40倍にて撮影し、その撮影した画像を、本マイクロスコープに付属のソフトにて、染色部と非染色部とに二値化又は濃淡で二値化し(色交差:65、小粒除去:100ピクセル、穴埋め:100ピクセル)、その二値化画像における染色部の総面積を本マイクロスコープ付属のソフトにて測定する。以上の光学顕微鏡を用いた一連の作業(画像撮影、二値化、染色部の総面積測定)を、染色済みのシートの一方の面の任意の10箇所について行い、それら10箇所の染色部の総面積の平均値を、該シートの一方の面における染色部の総面積、即ち親水性繊維(第1繊維)の存在部の総面積とする。測定対象のシートの他方の面(例えば肌対向面)についても、前記と同様の方法で染色部の総面積を測定する。そして、測定対象のシートの一方の面と他方の面とで染色部の総面積の大小を比較し、非肌対向面の方が肌対向面よりも染色部の総面積が多い場合に、当該シート(肌側コアラップシート)において親水性繊維(第1繊維)は肌対向面側よりも非肌対向面側に多く存在する、と評価する。
前記特徴1及び2を有する肌側コアラップシート41においては、親水性の第1繊維43とこれよりも親水度の低い第2繊維44とが混在し、且つ尿や軟便などの体液を吸収し得る第1繊維43が、肌対向面41a側から非肌対向面41bにわたって連続しているので、表面シート2を厚み方向に透過してシート41の肌対向面41aに到達した体液は、このシート厚み方向に連続性を有する第1繊維43によってシート41内に引き込まれ、面方向に拡散しつつ反対側の非肌対向面41bに移行し、最終的に吸収性コア40に吸収される。また、このように体液の流路として機能し得る第1繊維43は、着用者の肌に比較的近い肌対向面41a側で少なく、吸収性コア40に比較的近い非肌対向面41b側で多く存在しているので、肌側コアラップシート41における体液の面方向の拡散性は、肌対向面41a側が相対的に低く、非肌対向面41b側が相対的に高くなっており、これによりおむつ1においては、着用者の肌に比較的近い位置(肌対向面41a側)での体液の拡がりが抑制されることで肌が常時乾燥した状態となりやすく、この種の吸収性物品で問題となりやすい肌トラブルが効果的に防止され、また、吸収性コア40に比較的近い位置(非肌対向面41b側)で体液が広範囲に拡散されることで、吸収性コア40のより多くの部分が体液吸収に有効に活用されるようになる。また、肌側コアラップシート41においては、親水度の低い第2繊維44が肌対向面41a側に比較的多く存在しているので、吸収性コア40に一旦吸収された体液が着用者の体圧を受けるなどして非肌対向面41bから肌対向面41a側に移行しようとしても、肌対向面41a側に多数存在する第2繊維44によってその体液の移行が阻まれ、いわゆる液戻りが効果的に防止される。
また、従来の紙製コアラップシートは、目が詰まっているために軟便などの比較的高粘度の体液が透過し難いという課題があり、SMS不織布などの不織布製コアラップシートも、構成繊維の親水度が低い故に、同様の課題がある。これに対し、肌側コアラップシート41は前述した通り、体液を引き込む役割を担う親水性の第1繊維43が肌対向面41a側において比較的疎に分布しているため、肌対向面41a側の第1繊維43で軟便を目詰まりさせずにシート41の内部に引き込んで厚み方向に透過させる能力が高い。また、尿などの比較的低粘度の体液に対しては、肌対向面41a側では、第1繊維43が疎に分布していることに起因して毛管力が弱いために、該体液の面方向への拡散が抑えられ、非肌対向面41b側では、第1繊維43が密に分布していることに起因して毛管力が強いために、該体液の面方向への拡散が促進される。つまり肌側コアラップシート41は、粘度の高低を問わず体液の引き込み性、透過性に優れ、尿や軟便などの体液を表面シート2から吸収性コア40へ速やかに移行させることができ、しかも着用者の肌に比較的近い肌対向面41a側では、体液の濡れ拡がりが抑制されるので、このシート41を具備するおむつ1は、表面シート2のドライ感に優れ、肌トラブルを起こし難い。
このような肌側コアラップシート41による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、肌対向面41aの前記染色部即ち第1繊維43の存在部の総面積と非肌対向面41bのそれとの比率は、前述した通り「前者(肌対向面41aの第1繊維43の存在部の総面積)<後者(非肌対向面41bの第1繊維43の存在部の総面積)」を前提として、後者/前者とした場合に、好ましくは1.1以上、さらに好ましくは1.5以上、そして、好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。斯かる比率が小さすぎる(1に近すぎる)と、肌側コアラップシート41における肌対向面41a側と非肌対向面41b側とでの第1繊維43の存在量差が小さくなるため、前述した、着用者の肌に比較的近い肌対向面41a側での体液の濡れ拡がり抑制効果に乏しく、逆に斯かる比率が大きすぎると、肌対向面41a側の第1繊維43の存在量が過少となって、体液の引き込み性が低下するおそれがある。
ところで、肌側コアラップシート41の体液の透過性、特に軟便のような高粘度の体液に対する透過性については、通気抵抗値がその指標となり得る。ここでいう通気抵抗値は、カトーテック製の通気性試験機「KES−F8−AP1 AIR PERMEABILITY TESTER」(商品名)を用いて測定され、具体的には、通気性試験機を用いて常法に従って評価対象のシート(肌側コアラップシート)における任意の12箇所の通気抵抗を測定し、その平均値を当該シートの通気抵抗値とする。斯かる通気抵抗値が小さいほど、当該シートの通気性が高いことを意味する。本発明者らの知見によれば、肌側コアラップシート41の通気抵抗値が大きすぎる即ち通気性が低すぎると、軟便の透過性が低下する傾向があり、逆に斯かる通気抵抗値が小さすぎる即ち通気性が高すぎると、肌側コアラップシート41による吸収性コア40からの吸収性材料の漏れ出し防止効果が低減し、特に該吸収性材料として粒径の小さな吸水性ポリマー粒子が使用されている場合には該粒子が外部に漏れ出すおそれがある。以上の観点から、肌側コアラップシート41の通気抵抗値は、好ましくは0.001kPa・s/m以上、さらに好ましくは0.003kPa・s/m以上、そして、好ましくは0.06kPa・s/m以下、さらに好ましくは0.05kPa・s/m以下である。
肌側コアラップシート41の通気抵抗値は、肌側コアラップシート41における第1繊維43の含有量を適宜調整することで調整可能である。例えば、第1繊維43が木材パルプ、第2繊維44が合成繊維(親水化処理されていない不織布の構成繊維)の場合、肌側コアラップシート41における第1繊維43の含有量が相対的に多くなるのに伴って、肌側コアラップシート41の通気抵抗値が増加する、即ち軟便のような高粘度の体液の透過性が低下する傾向がある。一方で、肌側コアラップシート41における第1繊維43の含有量が少なすぎると、肌対向面41aでの体液の引き込み性が低下するおそれがある。以上を考慮すると、肌側コアラップシート41における第1繊維43の坪量は、体液の引き込み性と軟便のような高粘度の体液の透過性とのバランスの観点から、好ましくは0.1g/m以上、さらに好ましくは0.3g/m以上、より好ましくは0.5g/m以上、そして、好ましくは10g/m以下、さらに好ましくは8g/m以下、より好ましくは5g/m以下である。
また、前述した肌側コアラップシート41による作用効果をより確実に奏させるようにする観点、特に体液の引き込み性及び拡散性の向上の観点から、親水性の第1繊維43は、これよりも親水度の低い第2繊維44に比して、水との接触角が20度以上小さいことが好ましく、30度以上小さいことがさらに好ましい。第1繊維43が第2繊維44よりも水との接触角が小さいことを前提として、両繊維43,44どうしの接触角差が20度以上あることで、前述したように第1繊維43が非肌対向面41b側に偏在していることと相俟って、肌側コアラップシート41の厚み方向において非肌対向面41b側が肌対向面41a側よりも親水度が大きいという、親水度勾配がより一層確実に形成され、これに
よって肌側コアラップシート41による体液の引き込み性及び拡散性が一層向上し得る。接触角差を20度以上にし得る繊維43,44の好適な組み合わせ例として、第1繊維43が木材パルプ(天然セルロース繊維)、第2繊維が親水化処理されていない合成繊維という組み合わせが挙げられる。
また、前述した肌側コアラップシート41による作用効果をより確実に奏させるようにする観点、特に軟便のような高粘度の体液の透過性向上の観点から、肌側コアラップシート41は下記1)〜3)を全て満たすことが好ましい。下記の第1繊維非存在領域(親水性繊維非存在領域)の総面積等は、下記<第1繊維非存在領域の特定方法>によって測定される。
1)肌側コアラップシート41の非肌対向面41bにおいて第1繊維43(親水性繊維)の非存在領域が複数散在している。
2)その複数の第1繊維非存在領域(親水性繊維非存在領域)の総面積が、好ましくは5mm以上、さらに好ましくは10mm以上、そして、好ましくは50mm以下、さらに好ましくは45mm以下である。
3)その複数の第1繊維非存在領域(親水性繊維非存在領域)の平均面積が、好ましくは0.008mm以上、さらに好ましくは0.010mm以上、そして、好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下である。
<第1繊維非存在領域の特定方法>
評価対象の肌側コアラップシート41の構成繊維のうち、親水性繊維(第1繊維43)即ち水との接触角が90度未満の繊維のみを、前記<親水性繊維のシート厚み方向での連続性の評価方法>における染色方法と同様の方法で染色する。光学顕微鏡(キーエンス製マイクロスコープ「VHX−100」)を用いて、染色済みのシート41の非肌対向面41bを倍率40倍にて撮影し、その撮影した画像(画像範囲52.4172mm)を、本マイクロスコープに付属のソフトにて染色部と非染色部とに二値化し(色交差:65、小粒除去:100ピクセル、穴埋め:100ピクセル)、その二値化画像における非染色部の総面積を本マイクロスコープ付属のソフトにて測定する。ここでいう「非染色部」(即ち第1繊維43の非存在部)とは、面積が0.003mm以上52mm以下の部分を意味し、面積が斯かる範囲から外れる部分はたとえ染色されていなくても、ここでいう「非染色部」ではない。
前記1)〜3)を全て満たす肌側コアラップシート41の非肌対向面41bにおいては、第1繊維43が不均一に分布している。つまり前記2)及び3)は、第1繊維43が非肌対向面41bにおいて不均一に分布していることを示している。第1繊維43が肌側コアラップシート41の非肌対向面41bにおいて不均一に分布していることで、シート41の非肌対向面41b側(非肌対向面41b及びその近傍)における第1繊維43の非存在部には比較的大きな空隙が形成されており、これにより、軟便のような高粘度の体液が肌対向面41aからシート41の内部に引き込まれた場合には、高粘度の体液は該空隙を介してシート41を厚み方向に速やかに透過し得る。軟便のような高粘度の体液には、比較的粘度の低い水様便、比較的粘度の低い泥状便が含まれるが、前記1)〜3)を全て満たす肌側コアラップシート41は、何れの便に対しても高い透過性を示す。但し、体液透過の前段階に当たる、肌対向面41aにおけるシート内部への体液の引き込みに関しては、その引き込みの役割を担う、シート厚み方向に連続している第1繊維43は、水様便に対しては強い引き込み性を示すものの、泥状便に対する引き込み性は比較的弱い。しかしながら、肌側コアラップシート41の高い透過性がこの弱い引き込み性をカバーし、高粘度の泥状便であってもこれを効率良く透過し得る。これに対し、前記2)又は3)を満たしておらず、非肌対向面41bにおいて第1繊維43が均一に分布している場合には、便の透過に寄与する繊維間空隙が小さくまた少ないため、軟便のような高粘度の体液の透過性については前記2)又は3)を満たすものに比べて劣る。
また肌側コアラップシート41において、第1繊維43が肌対向面41a側から非肌対向面41b側にわたって連続している状態がより確実に得られるようにする観点から、肌側コアラップシート41は、第2繊維44を主体とするスパンボンド不織布又はスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布を含んで構成されていることが好ましく、且つ肌側コアラップシート41を構成する不織布(好ましくはスパンボンド不織布又はSMS不織布)の平均繊維間距離は、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上、そして、好ましくは200μm以下、さらに好ましくは180μm以下である。平均繊維間距離は下記方法により測定される。
<シートの平均繊維間距離の測定方法>
不織布、紙等の繊維集合体の平均繊維間距離は、Wrotnowskiの仮定に基づく下記式(1)により求められる。下記式(1)は一般に、繊維集合体の繊維間距離を求める際に用いられる。Wrotnowskiの仮定の下では、繊維は円柱状であり、それぞれの繊維は交わることなく規則正しく並んでいる。
測定対象のシート(肌側コアラップシート)が単層構造の場合、その単層構造のシートの平均繊維間距離は下記式(1)で求められる。
測定対象のシート(肌側コアラップシート)がSMS不織布の如き多層構造の場合、その多層構造のシートの平均繊維間距離は以下の手順に従って求められる。
まず、下記式(1)により、多層構造を構成する各層の平均繊維間距離を算出する。その際、下記式(1)で用いる厚みt、坪量W、繊維密度ρ及び繊維径Dは、それぞれ、測定対象の層についてのものを用い、厚みtについては、測定対象の層の厚み方向に沿う断面の顕微鏡観察により測定する。厚みt、坪量W及び繊維径Dは、それぞれ、複数の測定点における測定値の平均値である。坪量W(g/m)は、測定対象のシートを所定の大きさにカットし、重量測定後に、その重量測定値を、該所定の大きさから求まる面積で除することで求められる。繊維密度ρ(g/cm)は、密度勾配管を使用して、JIS L1015化学繊維ステープル試験方法に記載の密度勾配管法の測定方法に準じて測定する(URLはhttp://kikakurui.com/l/L1015−2010−01.html、書籍ならJISハンドブック繊維−2000、(日本規格協会)のP.764〜765に記載)。繊維径D(μm)は、走査型電子顕微鏡(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用いて、カットした繊維の繊維断面を10本測定し、その平均値を繊維径とする。
次に、各層の平均繊維間距離に、多層構造全体の厚みに占める該層の厚みの割合を乗じ、さらに、そうして得られた各層ごとの数値を合計することで、目的とする多層構造のシートの構成繊維の平均繊維間距離が求められる。例えば、2層のS層と1層のM層とからなる3層構造のSMS不織布において、2層のS層をまとめて1つの層として扱い、3層構造全体の厚みtが0.11mm、S層の厚みtが0.1mm、S層の平均繊維間距離LSが47.8μm、M層の厚みtが0.01mm、M層の平均繊維間距離LSが3.2μmの場合、斯かるSMS不織布の構成繊維の平均繊維間距離は、43.8μm〔=(47.9×0.1+3.2×0.01)/0.11〕となる。
Figure 2019042397
前記の好ましい肌側コアラップシート41は、平均繊維間距離が前記範囲内にあるスパンボンド不織布又はSMS不織布からなる、基材シートを具備し、この基材シートの主た
る構成繊維である第2繊維44と、木材パルプ等の第1繊維43とが絡み合って構成されている。前記基材シートの平均繊維間距離が小さすぎると、繊維間空隙が狭くなりすぎるため、該基材シート内での第1繊維43の厚み方向における連続性の確保が困難になるおそれがあり、結果として、肌側コアラップシート41において第1繊維43が肌対向面41a側から非肌対向面41b側にわたって連続し難くなるおそれがある。また、前記基材シートの平均繊維間距離が大きすぎると、肌側コアラップシート41による吸収性コア40からの吸収性材料の漏れ出し防止効果が低減し、特に該吸収性材料として粒径の小さな吸水性ポリマー粒子が使用されている場合には該粒子が外部に漏れ出すおそれがある。
前記基材シートとして、スパンボンド不織布又はSMS不織布を採用した理由は、コアラップシートに適した強度と繊維間距離を両立するためである。これら不織布の主たる構成繊維である第2繊維44としては、親水化処理が施されていない合成繊維(例えばポリプロピレン繊維)を例示できる。前記基材シートの坪量は、好ましくは3g/m以上、さらに好ましくは5g/m以上、より好ましくは7g/m以上、そして、好ましくは30g/m以下、さらに好ましくは20g/m以下、より好ましくは15g/m以下である。
第2繊維44を主体とするスパンボンド不織布又はSMS不織布を基材シートとして具備する、肌側コアラップシート41は、前述したように、第1繊維43を含む紙料スラリーと抄紙網とを用いて、公知の湿式抄紙法によって製造することができる。具体的には、先ず、抄紙網上に基材シート、即ち第2繊維44を主体とし平均繊維間距離が前記範囲内にあるスパンボンド不織布又はSMS不織布を載せる。次に、この抄紙網上の基材シートに第1繊維43を含む紙料スラリーを流し込む。流し込まれた紙料スラリー中の水は、基材シート及び抄紙網を順次透過して該抄紙網の下方から流れ落ち、該紙料スラリー中の第1繊維43は、基材シートの構成繊維(第2繊維44)に絡まって基材シート中に留まり、これによって該抄紙網上に第1繊維43及び第2繊維44を含有する湿潤シートが形成される。抄紙網を挟んで基材シートとは反対側に吸引手段を配置しておき、該吸引手段で基材シートの脱水を促進しても良い。そして、この湿潤シートを湿式抄紙法で採用されている種々の乾燥手段によって乾燥することで、目的とする肌側コアラップシート41が得られる。
このような湿式抄紙法によって製造された肌側コアラップシート41においては通常、前記基材シートにおける前記抄紙網との対向面側いわゆるワイヤー面側(前記紙料スラリーの供給側とは反対側)に第1繊維43が偏在するので、このワイヤー面側が非肌対向面41b側となり、反対側(いわゆるフェルト面側)が肌対向面41a側となる。肌側コアラップシート41における第1繊維43の分布状態は、前記抄紙網が有する脱水孔の孔径やピッチなどを適宜調整することで調整可能である。前記の湿式抄紙法による製造方法は、前記1)〜3)をすべて満たし、非肌対向面41bにおいて第1繊維43が不均一に分布している肌側コアラップシート41の製造に適している。特に、紙料スラリーを基材シートに流し込んだ後に、該基材シートにおける前記フェルト面側に高圧水流を噴射すると、そうして得られた肌側コアラップシート41の非肌対向面41bにおける第1繊維43の分布がより一層不均一なものとなるため、好ましい。
肌側コアラップシート41の坪量は、好ましくは3.1g/m以上、さらに好ましくは5.1g/m以上、そして、好ましくは35g/m以下、さらに好ましくは25g/m以下である。
肌側コアラップシート41の厚みは、好ましくは0.05mm以上、さらに好ましくは0.1mm以上、そして、好ましくは1.0mm以下、さらに好ましくは0.7mm以下である。
肌側コアラップシート41の厚みは次の方法によって測定することができる。即ち、測定
対象のシートに0.05kPaの荷重を加えた状態で、厚み測定器(KEYENCE LK-080)を用いて測定する。測定対象のシートの任意の10箇所について斯かる方法によって厚みを測定し、それらの平均値を該シートの厚みとする。
以上、本発明をその実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に制限されることなく適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、非肌側コアラップシート42の方が肌側コアラップシート41よりも横方向Yの長さが長いが、これとは逆に、肌側コアラップシート41の方が非肌側コアラップシート42よりも横方向Yの長さが長くても良く、あるいは両シート41,42の横方向Yの長さは同じでも良い。
また前記実施形態では、肌側コアラップシート41とは別体の非肌側コアラップシート42が採用されていたが、1枚の連続したコアラップシートを採用することもできる。その場合は例えば、吸収性コア40の横方向Yの長さの2倍以上3倍以下の幅を有する1枚の連続したコアラップシートが、吸収性コア40の肌対向面の全域を被覆し、且つ吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、その延出部が、吸収性コア40の下方に巻き下げられて、吸収性コア40の非肌対向面の全域を被覆する構成を採用することができる。この1枚のコアラップシートにおいて、吸収性コア40の肌対向面を被覆する部分が肌側コアラップシート、吸収性コア40の非肌対向面を被覆する部分が非肌側コアラップシートである。
また、吸収性や防漏性等の向上の観点から、表面シート2と吸収体4(肌側コアラップシート41)との間に、サブレイヤーなどとも呼ばれる、紙あるいは各種不織布からなる液透過性シートが介在配置されていても良い。同様の観点から、おむつ1の肌対向面に、表面シート2及び吸収体4が一体的に圧密化されてなる溝が形成されていても良い。
本発明は、前記実施形態の如き展開型の使い捨ておむつに制限されず、人体から排出される体液(尿、軟便、軟便以外の大便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品を広く包含し、パンツ型の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ等も包含される。
前述した一の実施形態のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
<1>
液保持性の吸収性コアと、該吸収性コアの肌対向面を被覆する肌側コアラップシートとを具備する吸収性物品であって、
前記肌側コアラップシートは、親水性の第1繊維と、該第1繊維よりも親水度の低い低親水性又は疎水性の第2繊維とを含有し、
前記第1繊維は、前記肌側コアラップシートの肌対向面側から非肌対向面側にわたって連続し、且つ該肌対向面側よりも該非肌対向面側に多く存在する吸収性物品。
<2>
前記肌側コアラップシートの通気抵抗値が0.001kPa・s/m以上0.06kPa・s/m以下である前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記肌側コアラップシートにおける前記第1繊維の坪量が0.1g/m以上10g/m以下である前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記第1繊維は前記第2繊維に比して水との接触角が20度以上小さい前記<1>〜<3>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<5>
前記肌側コアラップシートの非肌対向面において前記第1繊維の非存在領域が複数散在
しており、その複数の第1繊維非存在領域は、総面積が5mm以上50mm以下、平均面積が0.008mm以上5mm以下である前記<1>〜<4>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<6>
複数の前記第1繊維非存在領域の総面積が10mm以上45mm以下である前記<5>に記載の吸収性物品。
<7>
複数の前記第1繊維非存在領域の平均面積が0.010mm以上3mm以下である前記<5>又は<6>に記載の吸収性物品。
<8>
前記肌側コアラップシートは、前記第2繊維を主体とするスパンボンド不織布又はスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布を含んで構成され、且つ該肌側コアラップシートを構成する不織布の平均繊維間距離が10μm以上200μm以下である前記<1>〜<7>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<9>
前記第1繊維の水との接触角が90度未満であり、前記第2繊維の水との接触角が60度以上で且つ該第1繊維の水との接触角よりも大きい前記<1>〜<8>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<10>
前記肌側コアラップシートは、前記第2繊維を主体とする基材シートを具備し、該基材シートの構成繊維(該第2繊維)と前記第1繊維とが絡み合って構成されている前記<1>〜<9>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<11>
前記基材シートは、前記第2繊維を主体とする繊維集合体であり、不織布である前記<10>に記載の吸収性物品。
<12>
前記基材シートが前記第2繊維を少なくとも50質量%以上含有する前記<10>又は<11>に記載の吸収性物品。
<13>
前記基材シートの坪量が、好ましくは3g/m以上、さらに好ましくは5g/m以上、より好ましくは7g/m以上、そして、好ましくは30g/m以下、さらに好ましくは20g/m以下、より好ましくは15g/m以下である前記<10>〜<12>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<14>
前記肌側コアラップシートにおいて、非肌対向面の前記第1繊維の存在部の総面積が、肌対向面の前記第1繊維の存在部の総面積よりも大きく、且つ非肌対向面の前記第1繊維の存在部の総面積と肌対向面の前記第1繊維の存在部の総面積との比率が、前者/後者として、好ましくは1.1以上、さらに好ましくは1.5以上、そして、好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である前記<1>〜<13>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<15>
前記肌側コアラップシートの通気抵抗値が、好ましくは0.001kPa・s/m以上、さらに好ましくは0.003kPa・s/m以上、そして、好ましくは0.06kPa・s/m以下、さらに好ましくは0.05kPa・s/m以下である前記<1>〜<14>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<16>
前記肌側コアラップシートにおける前記第1繊維の坪量が、好ましくは0.1g/m
以上、さらに好ましくは0.3g/m以上、より好ましくは0.5g/m以上、そして、好ましくは10g/m以下、さらに好ましくは8g/m以下、より好ましくは5g/m以下である前記<1>〜<15>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<17>
前記第1繊維は、前記第2繊維に比して、水との接触角が好ましくは30度以上小さい前記<1>〜<16>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<18>
前記第1繊維が天然セルロース繊維である前記<1>〜<17>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<19>
前記第1繊維が木材パルプである前記<1>〜<18>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<20>
前記第1繊維が天然セルロース繊維又は木材パルプ、前記第2繊維が親水化処理されていない合成繊維である前記<1>〜<19>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<21>
前記肌側コアラップシートの坪量が、好ましくは3.1g/m以上、さらに好ましくは5.1g/m以上、そして、好ましくは35g/m以下、さらに好ましくは25g/m以下である前記<1>〜<20>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<22>
前記肌側コアラップシートの厚みが、好ましくは0.05mm以上、さらに好ましくは0.1mm以上、そして、好ましくは1.0mm以下、さらに好ましくは0.7mm以下である前記<1>〜<21>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<23>
前記吸収性コアと前記肌側コアラップシートとがホットメルト接着剤により接合されている前記<1>〜<22>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<24>
前記吸収性物品は、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向とこれに直交する横方向とを有すると共に、着用者の腹側に配される腹側部及び背側に配される背側部並びにそれらの間に位置する股下部とを有し、
前記吸収性コアは、平面視において、前記股下部に位置する縦方向中央部が内方に括れた砂時計状で且つ縦方向に長い縦長の形状を有している前記<1>〜<23>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<25>
さらに、前記吸収性コアの非肌対向面を被覆する非肌側コアラップシートを具備し、該非肌側コアラップシートは、該吸収性コアの非肌対向面の全域を被覆し、且つ該吸収性コアの縦方向に沿う両側縁から横方向外方に延出し、その延出部が、該吸収性コアの肌対向面に当接する前記肌側コアラップシートの肌対向面に巻き上げられている前記<24>に記載の吸収性物品。
<26>
前記非肌側コアラップシートは、前記肌側コアラップシートと組成及び材質が同じである前記<25>に記載の吸収性物品。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
常法に従い、図1及び図2に示すおむつ1と同様の基本構成を有する展開型使い捨ておむつを作製した。表面シートとして、坪量25g/mのエアスルー不織布を用い、裏面シートとして、坪量20g/mの液不透過性且つ透湿性のポリエチレン製樹脂フィルム(炭酸カルシウム配合)を用いた。吸収性コアとしては、繊維集合体に粒子状の吸水性ポリマーを保持させた構成のものとして、フラッフパルプ200g/mと吸水性ポリマー186g/mとの均一混合物からなる総坪量386g/mの吸収性コアを用いた。吸収性コアの縦方向(長手方向)の全長は360mm、横方向(幅方向)の全長(最大長さ)は110mmであった。肌側コアラップシートは下記方法により製造した。非肌側コアラップシートとしては肌側コアラップシートと同じものを用い、配置も肌側コアラップシートと同じにした。
(肌側コアラップシートの製造)
公知の長網式抄紙機を用い、前記の湿式抄紙法に準じた製造方法によって肌側コアラップシートを製造した。具体的には、抄紙機の抄紙網に、基材シートとしてのスパンボンド不織布を載せ、該不織布に親水性繊維の紙料スラリーを流し込んで湿潤シートを得、該湿潤シートをヤンキードライヤーで乾燥して肌側コアラップシートを得た。使用したスパンボンド不織布は、ポリプロピレン(PP)繊維(水との接触角108度、前記第2繊維に相当)のみを構成繊維とし、坪量は9g/mであった。前記紙料スラリーは、親水性繊維として木材パルプ(水との接触角20度、前記第1繊維に相当)を含有し、該紙料スラリー中における親水性繊維の濃度は0.05質量%であった。また、得られた肌側コアラップシートにおける前記木材パルプ(前記第1繊維)の坪量は1.5g/mであった。
〔実施例2〜4〕
肌側コアラップシートにおける木材パルプ(前記第1繊維)の坪量やその分布などを適宜変更して下記表1に示す物性とした以外は実施例1と同様にして、展開型使い捨ておむつを作製した。
〔比較例1〕
肌側コアラップシートとして、市販の13g/mの紙(前記第1繊維に相当する木材パルプを主体とする紙)に、前記(肌側コアラップシートの製造)で用いた9g/mのスパンボンド不織布を重ね合わせただけのシート(紙とスパンボンド不織布とは非接合)を用いた以外は実施例1と同様にして、展開型使い捨ておむつを作製した。比較例1で用いた肌側コアラップシートにおいては、前記第1繊維が、前記肌側コアラップシートの肌対向面側から非肌対向面側にわたって連続していない。
〔評価試験〕
各実施例及び比較例のおむつについて、肌側コアラップシートの各種特性を前記方法により測定評価すると共に、特に軟便に対する吸収性能を評価する目的で、おむつの便拡散面積(軟便の吸収性)、便付着量(便戻り防止性)を下記方法により測定評価した。その結果を下記表1に示す。
<便拡散面積及び便付着量の測定方法>
測定対象のおむつを平面状に広げて肌対向面側(表面シート側)が上を向くように水平に載置し、該おむつの縦方向中心から後方に30mm離間した部位に対し、疑似軟便10gを定量ポンプで流速6g/秒で一度に注入した後、その注入位置にろ紙を重ね、さらに該ろ紙上に錘を載置することで注入位置に3kPaの加圧を1分間行った。この「3kPa」という圧力は、おむつ着用中の低月齢児が仰向けに寝ている場合に、そのおむつの背側部にかかる体圧を想定したものである。また、使用した疑似軟便は、ベントナイトを水に溶解又は分散させて調製した懸濁液であり、粘度50mPa・s、ベントナイト濃度15質量%であった。加圧処理後、錘及びろ紙を取り除き、疑似軟便の拡散面積を測定した
。測定対象のおむつ1個につき、測定サンプルを3個用意してそれぞれについて以上の測定を行い、それらの測定値の平均値を当該おむつの便拡散面積(cm)とした。便拡散面積が小さいほど、軟便の吸収性に優れ、高評価となる。また、ろ紙に付着した疑似軟便の重量を便付着量(g)とした。便付着量が小さいほど、便戻り防止性に優れ、高評価となる。
Figure 2019042397
表1に示す通り、各実施例の使い捨ておむつは、肌側コアラップシートにおいて、親水性繊維(第1繊維)たる木材パルプが該シートの肌対向面側から非肌対向面側にわたって連続していることに起因して、斯かる親水性繊維の連続性がなされていない比較例1の使い捨ておむつに比して、軟便の吸収性、便戻り防止性に優れる結果となった。
実施例1〜3と実施例4との対比から、肌側コアラップシートの非肌対向面における複数の第1繊維非存在領域は、総面積については50mm以下がより好ましく、平均面積については0.008mm以上がより好ましいことがわかる。
また、実施例3は、実施例2と比較して、肌側コアラップシートにおいて、非肌対向面における親水性繊維非存在領域の総面積及び非肌対向面における親水性繊維非存在領域の平均面積が小さく、疎水性繊維(第2繊維)を主体とするスパンボンド不織布の一面側の全域に親水性繊維がムラなく均一に付着し一体となっていたことから、繊維間空隙が小さくなり、便透過効率が落ちることから、便拡散面積が大きくなったことがわかる。
1 展開型使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
40 吸収性コア
41 肌側コアラップシート
41a 肌側コアラップシートの肌対向面
41b 肌側コアラップシートの非肌対向面
42 非肌側コアラップシート
43 第1繊維
44 第2繊維
1F 腹側部
1M 股下部
1R 背側部
X 縦方向
Y 横方向

Claims (6)

  1. 液保持性の吸収性コアと、該吸収性コアの肌対向面を被覆する肌側コアラップシートとを具備する吸収性物品であって、
    前記肌側コアラップシートは、親水性の第1繊維と、該第1繊維よりも親水度の低い低親水性又は疎水性の第2繊維とを含有し、
    前記第1繊維は、前記肌側コアラップシートの肌対向面側から非肌対向面側にわたって連続し、且つ該肌対向面側よりも該非肌対向面側に多く存在する吸収性物品。
  2. 前記肌側コアラップシートの通気抵抗値が0.001kPa・s/m以上0.06kPa・s/m以下である請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記肌側コアラップシートにおける前記第1繊維の坪量が0.1g/m以上10g/m以下である請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記第1繊維は前記第2繊維に比して水との接触角が20度以上小さい請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記肌側コアラップシートの非肌対向面において前記第1繊維の非存在領域が複数散在しており、その複数の第1繊維非存在領域は、総面積が5mm以上50mm以下、平均面積が0.008mm以上5mm以下である請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記肌側コアラップシートは、前記第2繊維を主体とするスパンボンド不織布又はスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布を含んで構成され、且つ該肌側コアラップシートを構成する不織布の平均繊維間距離が10μm以上200μm以下である請求項1〜5の何れか1項に記載の吸収性物品。
JP2017171500A 2017-09-06 2017-09-06 吸収性物品 Pending JP2019042397A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017171500A JP2019042397A (ja) 2017-09-06 2017-09-06 吸収性物品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017171500A JP2019042397A (ja) 2017-09-06 2017-09-06 吸収性物品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019042397A true JP2019042397A (ja) 2019-03-22

Family

ID=65815900

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017171500A Pending JP2019042397A (ja) 2017-09-06 2017-09-06 吸収性物品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019042397A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021101867A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 日本製紙クレシア株式会社 吸収性物品
JP2021101865A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 日本製紙クレシア株式会社 吸収性物品
JP2021171484A (ja) * 2020-04-28 2021-11-01 日本製紙クレシア株式会社 吸収性物品
CN115887112A (zh) * 2022-09-19 2023-04-04 杭州诺邦无纺股份有限公司 一种用于吸收性卫生用品的可冲散防漏层及其制备方法和应用

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012148060A (ja) * 2010-12-27 2012-08-09 Kao Corp 吸収性物品
JP2013180171A (ja) * 2012-03-05 2013-09-12 Kao Corp 吸収性物品
JP2017064186A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 ユニ・チャーム株式会社 吸収性物品用の吸収体

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012148060A (ja) * 2010-12-27 2012-08-09 Kao Corp 吸収性物品
JP2013180171A (ja) * 2012-03-05 2013-09-12 Kao Corp 吸収性物品
JP2017064186A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 ユニ・チャーム株式会社 吸収性物品用の吸収体

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021101867A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 日本製紙クレシア株式会社 吸収性物品
JP2021101865A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 日本製紙クレシア株式会社 吸収性物品
JP7333264B2 (ja) 2019-12-25 2023-08-24 日本製紙クレシア株式会社 吸収性物品
JP7410711B2 (ja) 2019-12-25 2024-01-10 日本製紙クレシア株式会社 吸収性物品
JP2021171484A (ja) * 2020-04-28 2021-11-01 日本製紙クレシア株式会社 吸収性物品
CN115887112A (zh) * 2022-09-19 2023-04-04 杭州诺邦无纺股份有限公司 一种用于吸收性卫生用品的可冲散防漏层及其制备方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6961829B2 (ja) 天然繊維を含むトップシート
JP5868110B2 (ja) 吸収性物品
ES2783274T3 (es) Materiales no tejidos de fibra cortada cardada
JP3734407B2 (ja) 吸収性物品
JP3971136B2 (ja) 吸収性物品
JP3980043B2 (ja) 吸収性物品
JP6674249B2 (ja) 吸収性物品
CN204798134U (zh) 吸收性物品
JP5848312B2 (ja) 使い捨ておむつ
US20090076473A1 (en) Absorbent Article
MX2007007996A (es) Sellado de extremos para un nucleo absorbente.
RU2707449C2 (ru) Одноразовый подгузник типа трусов
JP7271150B2 (ja) 吸収性物品
JP2019042397A (ja) 吸収性物品
JP6941512B2 (ja) 吸収性物品
JP6912979B2 (ja) 吸収性物品
JP6219701B2 (ja) 吸収性物品
KR20210024440A (ko) 흡수성 물품용의 투액성 시트
JP2019080907A (ja) 吸収性物品
JP2007222673A (ja) 吸収性物品
CN112839616B (zh) 吸收性物品
JP2019042399A (ja) 吸収性物品
TWI763882B (zh) 吸收性物品的透液性薄片用不織布及不織布卷
WO2020039905A1 (ja) 吸収性物品
JP2010106402A (ja) 水分透過性不織布シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200604

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210414

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210427

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210611

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20211116