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JP2014101435A - かご型シルセスキオキサン化合物、それを用いた硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物 - Google Patents

かご型シルセスキオキサン化合物、それを用いた硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物 Download PDF

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JP2014101435A JP2012253603A JP2012253603A JP2014101435A JP 2014101435 A JP2014101435 A JP 2014101435A JP 2012253603 A JP2012253603 A JP 2012253603A JP 2012253603 A JP2012253603 A JP 2012253603A JP 2014101435 A JP2014101435 A JP 2014101435A
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Abstract

【課題】優れた成形性を有する硬化性樹脂組成物、並びに、優れた透明性及び低吸水性を有しかつ耐候性にも優れた樹脂硬化物を得ることができるかご型シルセスキオキサン化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1):[RSiO3/2[RSiO3/2[RSiO3/2・・・(1)で表されることを特徴とするかご型シルセスキオキサン化合物。式(1)中、Rは(メタ)アクリロイル基と炭素数4〜10の炭化水素鎖とを含有する反応性有機官能基を示し、Rは(メタ)アクリロイル基と炭素数1〜3の炭化水素鎖とを含有する反応性有機官能基を含有する基等を示し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基及びアリル基等を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、かご型シルセスキオキサン化合物、それを用いた硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物に関する。
一般に、液晶表示素子用基板、カラーフィルター用基板、有機EL表示素子用基板、電子ペーパー用基板、TFT用基板、太陽電池用基板等の透明基板としては、ガラス板が広く用いられている。しかしながら、ガラス板は、割れやすい、曲げることが困難である、比重が大きく軽量化に不向きである等の理由から、近年その代替として透明プラスチック板を用いることが検討されている。
一方、かご構造を有するシルセスキオキサンは、その特徴的な構造を利用することにより特異な機能を発現させることが可能であることから、様々な分野で注目されている。特に、かご型シルセスキオキサン樹脂の硬化物は、耐熱性、耐候性、光学特性、寸法安定性等に優れることから、ガラス板の代替となる透明プラスチック板の材料として期待されている。
このようなかご型シルセスキオキサン樹脂の硬化物としては、例えば、特開2006−89685号公報(特許文献1)において、[RSiO3/2で表され、(メタ)アクリロイル基を官能基として有するかご型ポリオルガノシルセスキオキサン、オリゴマー及び不飽和化合物を含有するシリコーン樹脂組成物をラジカル共重合させて得られたシリコーン樹脂共重合体が記載されている。
また、特開2004−143449号公報(特許文献2)においては、[RSiO3/2で表され、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基及びビニル基のうちのいずれか1つを有するかご型シルセスキオキサン樹脂が開示されている。
特開2006−89685号公報 特開2004−143449号公報
上記特許文献1に記載されているシリコーン樹脂共重合体は非吸水状態においてある程度小さい線膨張係数を有しているものの、骨格中の全てのケイ素原子上に親水性基である(メタ)アクリロイル基を有するかご型シルセスキオキサン化合物(かご型ポリオルガノシルセスキオキサン)を用いて得られるものであるため、吸水性が高く、また、吸水により線膨張係数が大きくなるという問題を有していることを本発明者らは見出した。
また、上記特許文献1に記載されているかご型ポリオルガノシルセスキオキサンや、上記特許文献2に記載されているかご型シルセスキオキサン樹脂のうち(メタ)アクリロイル基を有するかご型シルセスキオキサン樹脂を用いることにより、透明性に優れた樹脂硬化物を得ることが可能となるものの、得られる樹脂硬化物は耐候性が十分ではなく、波長300nm付近の紫外線に長時間曝露されると黄色に変色して透明性が低下するという問題が生じることを本発明者らは見出した。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、優れた成形性を有する硬化性樹脂組成物、並びに、優れた透明性及び低吸水性を有しかつ耐候性にも優れた樹脂硬化物を得ることができるかご型シルセスキオキサン化合物、それを用いた硬化性樹脂組成物及びそれを硬化させて得られる樹脂硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリロイル基及び特定の炭化水素鎖を含有する反応性有機官能基を有する新規のかご型シルセスキオキサン化合物を用いることにより、優れた成形性を有する硬化性樹脂組成物が得られ、また、これを硬化させて得られる樹脂硬化物は優れた透明性及び低吸水性を有し、かつ、耐候性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のかご型シルセスキオキサン化合物は、
下記一般式(1):
[RSiO3/2[RSiO3/2[RSiO3/2 ・・・(1)
{式(1)中、Rは下記一般式(2):
[式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、pは4〜10の整数を示す。]
で表される基を示し、Rは下記一般式(3):
[式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す。]
で表される基、下記一般式(4):
[式(4)中、rは1〜3の整数を示す。]
で表される基、下記一般式(5):
[式(5)中、sは1〜3の整数を示す。]
で表される基、及び下記式(6):
で表される基からなる群から選択されるいずれか1種の基を示し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基及びアリル基からなる群から選択されるいずれか1種を示し、n、m及びjは下記式(i)〜(iv):
n≧2 ・・・(i)、
m≧1 ・・・(ii)、
j≧0 ・・・(iii)、
n+m+j=h ・・・(iv)
[式(iv)中、hは8、10、12及び14からなる群から選択されるいずれかの整数を示す。]
で表される条件を満たす整数を示し、n、m及びjがそれぞれ2以上の場合にはR、R及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。}
で表されることを特徴とするものである。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、前記本発明のかご型シルセスキオキサン化合物とラジカル重合開始剤とを含有しており、前記かご型シルセスキオキサン化合物の含有量が10〜80質量%であることを特徴とするものである。
前記硬化性樹脂組成物としては、前記かご型シルセスキオキサン化合物、ラダー型シロキサン及びランダム型シロキサン以外の(メタ)アクリロイル基を有する不飽和化合物をさらに含有することが好ましい。また、前記硬化性樹脂組成物としては、厚みが0.2mmとなるように流延させ、照度30W/cmの高圧水銀ランプを用いて室温で積算露光量2000mJ/cmの光照射によりラジカル重合せしめた際において、赤外分光法により測定される(メタ)アクリロイル基の反応率が70%以上となることが好ましい。さらに、前記硬化性樹脂組成物としては、前記ラジカル重合開始剤の含有量が0.01〜10質量%であることが好ましい。
本発明の樹脂硬化物は、前記本発明の硬化性樹脂組成物をラジカル重合せしめて得られたものであることを特徴とするものである。
なお、本発明の構成によって前記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、(メタ)アクリロイル基を有する化合物は一般にラジカル重合性に優れることが従来から知られている。しかしながら、上記特許文献1〜2に記載されているような(メタ)アクリロイル基を有するかご型シルセスキオキサン化合物を含有する樹脂組成物を用いて樹脂硬化物を製造する際には、前記化合物中の一部の(メタ)アクリロイル基が未反応基として残留する場合がある。このような未反応基(残留二重結合)が樹脂硬化物中に多く残留すると、酸素存在下で高温に暴露されたり長期間外部から紫外線に暴露されたりすることによって、結合の切断や再結合が起こり、クラックや黄変が生ずる原因となると本発明者らは推察する。
これに対して、本発明のかご型シルセスキオキサン化合物は(メタ)アクリロイル基と共に特定の炭化水素鎖を含有する反応性有機官能基を有しているためにフレキシビリティーが十分に大きく、かつ、ラジカル重合性に優れている。したがって、これを用いて得られる本発明の樹脂硬化物においては、残留する未反応基が十分に低減され、優れた透明性と共に優れた耐候性が発揮されるものと本発明者らは推察する。
さらに、上記のような特定の反応性有機官能基を有する本発明のかご型シルセスキオキサン化合物を含有する硬化性樹脂組成物においては、親水性基である(メタ)アクリロイル基の含有比率が十分に低減されることから、得られる樹脂硬化物においては、優れた低吸水性も発揮されるものと本発明者らは推察する。
なお、本発明において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基のことをいう。また、本発明において、(メタ)アクリロイル基の反応率とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する硬化性樹脂組成物を硬化させた際の(メタ)アクリロイル基の二重結合変化率のことをいい、大原昇他著、「プラスチック基材を中心としたハードコート膜にける材料設計・塗工技術と硬度の向上」、技術情報協会、2005年4月28日、p136−139に記載の方法に従って求めることができる。より具体的には、先ず、前記樹脂組成物を厚みが0.2mmとなるように流延させ、照度30W/cmの高圧水銀ランプを用いて、室温で積算露光量2000mJ/cmの光照射によりラジカル重合せしめる前後において、1723〜1735cm−1の範囲内(好ましくは1728cm−1)の(メタ)アクリロイル基中の炭素‐酸素二重結合(C=O)の伸縮振動に由来する最大吸光度(AC=O)、及び、1627〜1638cm−1(好ましくは1635cm−1)の(メタ)アクリロイル基中の炭素‐炭素二重結合(C=C)の伸縮振動に由来する最大吸光度(AC=C)をそれぞれ顕微赤外分光装置を用いて測定する。次いで、前記ラジカル重合前の樹脂組成物におけるAC=O(AWC=O)とAC=C(AWC=C)との比(AW=AWC=O/AWC=C)、及び、前記重合後の樹脂硬化物におけるAC=O(AFC=O)とAC=C(AFC=C)との比(AF=AFC=O/AFC=C)から、次式:
二重結合変化率(A)=(1−AW/AF)×100
により、前記(メタ)アクリロイル基の二重結合変化率(A(%))、すなわち(メタ)アクリロイル基の反応率を求めることができる。
本発明によれば、優れた成形性を有する硬化性樹脂組成物、並びに、優れた透明性及び低吸水性を有しかつ耐候性にも優れた樹脂硬化物を得ることができるかご型シルセスキオキサン化合物、それを用いた硬化性樹脂組成物及びそれを硬化させて得られる樹脂硬化物を提供することが可能となる。
合成例1で得られた樹脂混合物1のGPCの結果を示すグラフである。 合成例1で得られた樹脂混合物1の質量分析の結果を示すグラフである。 合成例2で得られた樹脂混合物2のGPCの結果を示すグラフである。 合成例3で得られた樹脂混合物3のGPCの結果を示すグラフである。 合成例4で得られた樹脂混合物4のGPCの結果を示すグラフである。 合成例5で得られた樹脂混合物5のGPCの結果を示すグラフである。 合成例6で得られた樹脂混合物6のGPCの結果を示すグラフである。 合成例7で得られた樹脂混合物7のGPCの結果を示すグラフである。 合成例8で得られた樹脂混合物8のGPCの結果を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明のかご型シルセスキオキサン化合物について説明する。本発明のかご型シルセスキオキサン化合物は、下記一般式(1):
[RSiO3/2[RSiO3/2[RSiO3/2 ・・・(1)
で表されることを特徴とするものである。
前記式(1)中、Rは、ラジカル重合性官能基である(メタ)アクリロイル基と炭化水素鎖とを含有する反応性有機官能基であり、下記一般式(2):
で表される基を示す。前記式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。前記Rとしては、立体構造の反発効果によって、得られる樹脂硬化物の吸水性をより低減させることができるという観点から、メチル基が特に好ましい。
前記式(2)中、pは4〜10の整数を示し、(CHで表される炭化水素鎖は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、原料の入手が容易であるという観点から、直鎖状であることが好ましい。pの値が前記下限未満であると単位重量あたりの(メタ)アクリロイル基の数が多くなるため、結果として得られる硬化物の吸水率が悪化し、他方、前記上限を超えると前記炭化水素鎖長が長くなりすぎるために得られる硬化物が紫外線に長期間暴露された際に分解や黄変が生じる原因となる。このようなpとしては、原料の入手が容易であり、また、かご型シルセスキオキサン化合物のフレキシビリティー(自由度)がより大きくかつラジカル重合性がより向上するという観点から、6〜10の整数であることが好ましく、8であることがより好ましく、前記炭化水素鎖がオクチレン基であることが特に好ましい。
前記式(1)中、Rは、下記一般式(3)〜(6)で表される基からなる群から選択されるいずれか1種の基を示す。
前記式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、立体構造の反発効果によって、得られる樹脂硬化物の吸水性をより低減させることができるという観点から、メチル基であることが特に好ましい。また、前記式(3)〜(5)中、q、r及びsは、それぞれ独立に1〜3の整数を示し、3であることがより好ましい。q、r及びsの値が前記下限未満では原料の入手が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると(CH(tはq、r又はs)で表される炭化水素鎖が長くなりすぎるために得られる硬化物が紫外線に長期間暴露された際に劣化や黄変等の変質が生じる原因となる傾向にある。また、(CHで表される前記炭化水素鎖は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
これらの中でも、Rとしては、短時間で光ラジカル重合が進行し、硬化工程にかかる時間が短縮可能であるというプロセス上の利点から、前記式(3)又は(6)で表される基であることが好ましい。
前記式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基及びアリル基からなる群から選択されるいずれか1種を示す。Rがアルキル基である場合、その炭素数が前記上限を超えると炭化水素鎖長が長くなりすぎるために得られる硬化物が紫外線に長期間暴露された際に分解や黄変が生じる原因となる傾向にある。これらの中でも、Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基がより好ましい。
さらに、前記式(1)中、n、m及びjは下記式(i)〜(iv):
n≧2 ・・・(i)、
m≧1 ・・・(ii)、
j≧0 ・・・(iii)、
n+m+j=h ・・・(iv)
[式(iv)中、hは8、10、12及び14からなる群より選択されるいずれかの整数を示す。]
で表される条件を満たす整数を示す。前記式(1)中のnが前記式(i)で表される条件を満たすことにより、本発明に係るかご型シルセスキオキサン化合物は(メタ)アクリロイル基と炭素数4〜10の炭化水素鎖とを含有する反応性有機官能基(前記式(2)で表される基)を2つ以上有するため、フレキシビリティーが十分に大きくラジカル重合性に優れており、得られる樹脂硬化物に残留する未反応基(残留二重結合)を十分に低減させることができ、紫外線に長期間暴露された際の分解や黄変を抑制することができる。
また、前記式(1)中のmが前記式(ii)で表される条件を満たすことにより、架橋間距離が短い緻密な三次元網目構造を形成させることが可能な反応性官能基(前記式(3)〜(6)のうちのいずれかで表される基)をかご型シルセスキオキサン化合物に付与することができるため、これを用いて得られる樹脂硬化物に優れた剛性及び靭性を付与することが可能となる。
さらに、前記式(1)中のn、m及びjが前記式(i)〜(iv)で表される条件をいずれも満たすことにより、本発明に係るかご型シルセスキオキサン化合物はほぼ完全に縮合したかご型構造となるため、これを用いて得られる硬化性樹脂組成物においてはさらに優れた成形性が達成され、また、得られる樹脂硬化物においては、さらに優れた透明性、低吸水性及び耐候性が達成される。なお、n、m及びjがそれぞれ2以上の場合にはR、R及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
本発明のかご型シルセスキオキサン化合物としては、例えば、上記一般式(1)中、Rが式(3)で表される基であり、R及びRがメチル基であり、nが2であり、mが6であり、jが0である下記式(7):
[式(7)中、pは4〜10の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。]
で表される化合物、上記一般式(1)中、Rが式(4)で表される基であり、Rがメチル基であり、nが2であり、mが6であり、jが0である下記式(8):
[式(8)中、pは4〜10の整数を示し、rは1〜3の整数を示す。]
で表される化合物、上記一般式(1)中、Rが式(3)で表される基であり、R及びRがメチル基であり、nが4であり、mが4であり、jが0である下記式(9):
[式(9)中、pは4〜10の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。]
で表される化合物、上記一般式(1)中、Rが式(3)で表される基であり、R及びRがメチル基であり、nが3であり、mが7であり、jが0である下記式(10):
[式(10)中、pは4〜10の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。]
で表される化合物、上記一般式(1)中、Rが式(3)で表される基であり、R及びRがメチル基であり、nが5であり、mが5であり、jが0である下記式(11):
[式(11)中、pは4〜10の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。]
で表される化合物、上記一般式(1)中、Rが式(3)で表される基であり、Rがエチレン基(CH−CH−)であり、R及びRがメチル基であり、nが3であり、mが5であり、jが2である下記式(12):
[式(12)中、pは4〜10の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。]
で表される化合物、上記一般式(1)中、Rが式(6)で表される基であり、Rがメチル基であり、nが5であり、mが5であり、jが0である下記式(13):
[式(13)中、pは4〜10の整数を示す。]
で表される化合物、上記一般式(1)中、Rが式(6)で表される基であり、Rがエチレン基(CH−CH−)であり、Rがメチル基であり、nが5であり、mが3であり、jが2である下記式(14):
[式(14)中、pは4〜10の整数を示す。]
で表される化合物、上記一般式(1)中、Rが式(3)で表される基であり、R及びRがメチル基であり、nが4であり、mが8であり、jが0である下記式(15):
[式(15)中、pは4〜10の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。]
で表される化合物、上記一般式(1)中、Rが式(3)で表される基であり、R及びRがメチル基であり、nが7であり、mが5であり、jが0である下記式(16):
[式(16)中、pは4〜10の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。]
で表される化合物、上記一般式(1)中、Rが式(6)で表される基であり、Rがメチル基であり、nが10であり、mが2であり、jが0である下記式(17):
[式(17)中、pは4〜10の整数を示す。]
で表される化合物、上記一般式(1)中、Rが式(6)で表される基であり、Rがエチレン基(CH−CH−)であり、Rがメチル基であり、nが4であり、mが2であり、jが6である下記式(18):
[式(18)中、pは4〜10の整数を示す。]
で表される化合物がより好ましい。
このようなかご型シルセスキオキサン化合物の製造方法としては、例えば、先ず、下記一般式(19):
SiX ・・・(19)
[式(19)中、Rは上記式(1)中のRと同義であり、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基からなる群から選択されるいずれか1種の加水分解性基を示す。]
で表されるケイ素化合物(A)、下記一般式(20):
SiY ・・・(20)
[式(20)中、Rは、上記式(1)中のRと同義であり、Yはアルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基からなる群から選択されるいずれか1種の加水分解性基を示す。]
で表されるケイ素化合物(B)、及び必要に応じて下記一般式(21):
SiZ ・・・(21)
[式(21)中、Rは、上記式(1)中のRと同義であり、Zは、アルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基からなる群から選択されるいずれか1種の加水分解性基を示す。]
で表されるケイ素化合物(C)を混合し、塩基性触媒存在下、水中で加水分解反応せしめると共に一部縮合させ、次いで、得られた加水分解反応生成物をさらに塩基性触媒及び非極性溶媒の存在下で再縮合せしめる方法が挙げられる。
前記ケイ素化合物(A)としては、4−メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、4−メタクリロキシブチルトリエトキシシラン、5−メタクリロキペンチルトリメトキシシラン、5−メタクリロキシペンチルトリエトキシシシラン、6−メタクリロキヘキシルトリメトキシシラン、6−メタクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、7−メタクリロキヘプチルトリメトキシシラン、7−メタクリロキシヘプチルトリエトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルトリエトキシシラン、8−アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、8−アクリロキシオクチルトリエトキシシラン、9−メタクリロキシノニルトリメトキシシラン、9−メタクリロキシノニルトリエトキシシラン、10−メタクリロキシデジルトリメトキシシラン、10−メタクリロキシデシルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、原料の入手が容易であるという観点から、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシランを用いることが好ましい。
前記ケイ素化合物(B)としては、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、原料の入手が容易であるという観点から、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランを用いることが好ましい。
前記ケイ素化合物(C)としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ケイ素化合物(A)、前記ケイ素化合物(B)及び前記ケイ素化合物(C)の混合比としては、前記ケイ素化合物(A)及び前記ケイ素化合物(B)のモル比(Bのモル数:Aのモル数)が1:4〜13:1であり、前記ケイ素化合物(A)及び前記ケイ素化合物(B)の合計に対する前記ケイ素化合物(C)のモル比(A+Bのモル数:Cのモル数)が1:0〜2:5となるように混合することが好ましく、1:0〜2:3となるように混合することがより好ましい。
前記塩基性触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド等の水酸化アンモニウム塩が挙げられる。これらの中でも、加水分解反応における触媒活性が高いという観点からテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを用いることが好ましい。このような塩基性触媒の量としては、前記ケイ素化合物(A)〜(C)の合計質量に対して0.01〜20質量%であることが好ましい。なお、前記塩基性触媒は、通常水溶液として使用される。
前記加水分解反応においては水の存在が必須であるが、これは前記塩基性触媒の水溶液から供給することもできるし、別途水として加えてもよい。水の量は加水分解性基を加水分解するのに十分な質量以上であればよく、前記ケイ素化合物(A)〜(C)の質量から算出される加水分解性基の理論量(質量)の1.0〜1.5倍量であることが好ましい。
また、前記加水分解反応においては、非極性溶媒及び/又は極性溶媒を用いることが好ましい。このような溶媒としては、非極性溶媒のみを用いると反応系が均一にならず、加水分解反応が十分に進行せずに未反応の加水分解性基が残存する傾向にあるという観点から、非極性溶媒及び極性溶媒の両方を用いるか、極性溶媒のみを用いることが好ましい。前記極性溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、あるいは他の極性溶媒を用いることができる。中でも、水と溶解性のある炭素数1〜6の低級アルコール類を用いることが好ましく、2−プロパノールを用いることがより好ましい。前記非極性溶媒及び/又は前記極性溶媒の使用量は、前記ケイ素化合物(A)〜(C)の合計モル濃度(モル/リットル:M)が0.01〜10Mとなる範囲であることが好ましい。
前記加水分解の反応条件としては、反応温度が0〜60℃であることが好ましく、20〜40℃であることがより好ましい。反応温度が前記下限未満の場合には、反応速度が遅くなるため加水分解性基が未反応の状態で残存してしまい、反応時間が長くなる傾向にある。他方、反応温度が前記上限を超える場合には、反応速度が速すぎるために複雑な縮合反応が進行し、結果として加水分解反応生成物の高分子量化が促進される傾向にある。また、前記加水分解の反応条件としては、反応時間が2時間以上であることが好ましい。反応時間が前記下限未満の場合には、加水分解反応が十分に進行せず加水分解性基が未反応の状態で残存してしまう傾向にある。
前記加水分解反応終了後に加水分解反応生成物を回収する方法としては、先ず、弱酸性溶液を用いて反応溶液を中性若しくは酸性よりにし、次いで、水又は水含有反応溶媒を分離する方法が挙げられる。前記弱酸性溶液としては、硫酸希釈溶液、塩酸希釈溶液、クエン酸溶液、酢酸、塩化アンモニウム水溶液、リンゴ酸溶液、リン酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。また、前記水又は水含有反応溶媒を分離する方法としては、反応溶液を食塩水等で洗浄して水分やその他の不純物を十分に除去した後、無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥させる等の手段が採用できる。
また、前記溶媒として極性溶媒を用いた場合に加水分解反応生成物を回収する方法としては、先ず、極性溶媒を減圧蒸発等により除去し、次いで、非極性溶媒を添加して加水分解反応生成物を溶解せしめた後、上記と同様に洗浄及び乾燥を行う方法が採用できる。また、前記溶媒として非極性溶媒を用いた場合には、非極性溶媒を蒸発等の手段で分離すれば加水分解反応生成物を回収することができるが、該非極性溶媒が次の再縮合反応で使用する非極性溶媒として使用可能であれば、これを分離する必要はない。
前記加水分解反応においては、加水分解と共に加水分解物の縮合反応が起こるため、前記加水分解反応において前記ケイ素化合物(A)〜(C)における加水分解性基の大部分、好ましくはほぼ全部がOH基に置換され、さらに、前記縮合反応によりそのOH基の大部分、好ましくは80%以上が縮合されている。したがって、前記加水分解反応生成物には、前記縮合により生成する重縮合物が含有されており、このような重縮合物は、反応条件により異なるが、数平均分子量が500〜10,000の樹脂(又はオリゴマー)混合物であり、複数種のかご型、不完全なかご型、はしご型(ラダ―型)、ランダム型の構造を有するシロキサンからなり、前記かご型構造を有するシロキサンには本発明のかご型シルセスキオキサン化合物が含まれる。
本発明のかご型シルセスキオキサン化合物の製造方法においては、前記加水分解反応生成物をさらに、非極性溶媒及び塩基性触媒の存在下で加熱し、シロキサン結合を縮合(再縮合という)させることにより再縮合物(かご型構造のシロキサン)を選択的に製造することが好ましい。
前記非極性溶媒としては、水と溶解性が無いか、又はほとんど無いものであればよいが、炭化水素系溶媒であることが好ましい。前記炭化水素系溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の沸点の低い非極性溶媒を挙げることができ、中でもトルエンを用いることが好ましい。非極性溶媒の使用量としては、前記加水分解反応生成物を溶解するに足る量であればよく、前記加水分解反応生成物の合計質量に対して0.1〜20倍の質量であることが好ましい。
前記塩基性触媒としては、前記加水分解反応に使用される塩基性触媒が使用でき、中でも、テトラアルキルアンモニウム等の非極性溶媒に可溶性の触媒が好ましい。このような塩基性触媒の量としては、前記加水分解反応生成物の0.01〜20質量%であることが好ましい。
前記再縮合反応の反応条件としては、反応温度が90〜200℃であることが好ましく、100〜140℃であることがより好ましい。反応温度が前記下限未満の場合には、再縮合反応をさせるために十分なドライビングフォースが得られず反応が進行しない傾向にある。他方、反応温度が前記上限を超える場合には、ビニル基や(メタ)アクリロイル基等の反応性有機官能基が自己重合反応を起こす可能性があるので、反応温度を抑制するか、重合禁止剤等を添加する必要が生じる傾向にある。また、前記再縮合反応の反応条件としては、反応時間が2〜12時間であることが好ましい。
また、再縮合に使用する加水分解反応生成物としては、前述のように洗浄及び乾燥させ、さらに濃縮させたものを用いることが好ましいが、これらの処理が施されていなくとも用いることができる。さらに、このような再縮合反応において、水は存在してもよいが積極的に加える必要はなく、塩基性触媒溶液から供給される水分程度に留めることが好ましい。但し、前記加水分解が十分に行われていない場合は、残存する加水分解性基を加水分解するに必要な量以上の水を添加することが好ましい。
本発明のかご型シルセスキオキサン化合物の製造方法においては、前記再縮合反応後の反応溶液を洗浄して触媒を除去し、ロータリーエバポレーター等により濃縮せしめることにより得られる再縮合生成物中に、官能基の種類、反応条件及び加水分解反応生成物の状態に応じて、上記式(1)(好ましくは式(7)〜(18))で表される本発明に係るかご型シルセスキオキサン化合物の混合物が得られる。本発明に係るかご型シルセスキオキサン化合物は反応生成物中に40質量%以上含有していれば、反応生成物をそのまま後述する硬化性樹脂組成物に配合しても、十分に本発明のかご型シルセスキオキサン化合物の効果を得ることができる。
次いで、本発明の硬化性樹脂組成物について説明する。本発明の硬化性樹脂組成物は、前記本発明のかご型シルセスキオキサン化合物及びラジカル重合開始剤を含有しており、前記かご型シルセスキオキサン化合物の含有量が10〜80質量%であることを特徴とするものである。
本発明の硬化性樹脂組成物において、前記かご型シルセスキオキサン化合物としては、1種が単独で含有されていても2種以上が組み合わされて含有されていてもよく、前記反応生成物をそのまま用いてもよい。前記かご型シルセスキオキサン化合物の含有量としては、前記かご型シルセスキオキサン化合物の合計質量が本発明の硬化性樹脂組成物全量に対して10〜80質量%であることが必要である。前記かご型シルセスキオキサン化合物の含有量が前記下限未満である場合には、硬化性樹脂組成物の相溶性や、得られる樹脂硬化物の透明性、低吸水性といった物性が低下する。他方、前記上限を超える場合には、硬化性樹脂組成物の粘度が増大して成形物の製造が困難となる。また、透明性及び低吸水性がより良好となるという観点から、前記かご型シルセスキオキサン化合物の含有量としては15〜80質量%であることが特に好ましい。なお、本発明において、前記硬化性樹脂組成物が揮発性溶媒を含有する場合には、硬化性樹脂組成物中における前記かご型シルセスキオキサン化合物等の各成分の含有量とは、前記揮発性溶媒の質量を除いた硬化性樹脂組成物の質量に対する含有量のことをいう。
また、本発明の硬化性樹脂組成物としては、前記かご型シルセスキオキサン化合物全体における一般式(1)中の反応性官能基であるRの数とRの数との比(R:R)が1:6〜13:1であることが好ましい。Rの含有量が前記下限未満である場合にはかご型シルセスキオキサン化合物のフレキシビリティーが低下し、ラジカル重合性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には炭化水素鎖の含有量の多いかご型シルセスキオキサン化合物となるため、極性が低下して他の樹脂との相溶性が低下する傾向にある。また、樹脂組成物の成型性、及び得られる樹脂硬化物の透明性、低吸水性及び耐候性がより良好になるという観点から、前記比(R:R)としては、1:4〜13:1であることがより好ましい。
前記ラジカル重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。本発明の硬化性樹脂組成物においては、前記ラジカル重合開始剤により前記かご型シルセスキオキサン化合物のラジカル重合が促進され、優れた強度及び剛性を有する樹脂硬化物を得ることができる。
前記熱重合開始剤は、本発明の硬化性樹脂組成物を熱硬化せしめる場合に用いる。このような熱重合開始剤としては有機過酸化物が好ましく、前記有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド類、ジアシルキルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類等が挙げられる。これらの中でも、触媒活性が高いという観点から、ジアルキルパーオキサイドが好ましい。前記ジアルキルパーオキサイドとしては、具体的には、シクロヘキサノンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキサパーオキシ)シクロヘキサノン、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。前記熱重合開始剤としては、これらのうちの1種を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記光重合開始剤は、本発明の硬化性樹脂組成物を光硬化せしめる場合に用いる。このような光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサンソン類、アシルホスフィンオキサイド類等の化合物を用いることが好ましい。具体的には、トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、チオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、カンファーキノン、ベンジル、アンスラキノン、ミヒラーケトン等が挙げられる。前記光重合開始剤としては、これらのうちの1種を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るラジカル重合開始剤としては、前記熱重合開始剤又は前記光重合開始剤をそれぞれ単独で使用してもよく、両方を組み合わせて用いてもよい。このようなラジカル重合開始剤の含有量としては、本発明の硬化性樹脂組成物において0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましい。含有量が前記下限未満の場合には、組成物の硬化が不十分となるため得られる硬化物(成形体)の強度及び剛性が低くなる傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、成形体が着色するといった問題が生じる傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物としては、前記かご型シルセスキオキサン化合物、ラダー型シロキサン及びランダム型シロキサン以外の(メタ)アクリロイル基を有する不飽和化合物をさらに含有することが好ましい。このような不飽和化合物が含有されることにより、硬化性樹脂組成物の粘度や得られる樹脂硬化物の剛性、強度等の物性を所望の範囲内に調整することが可能となる。
前記(メタ)アクリロイル基を有する不飽和化合物(以下、場合により単に不飽和化合物という。)としては、前記本発明のかご型シルセスキオキサン化合物、ラダー型シロキサン及びランダム型シロキサン以外の化合物であり、前記本発明のかご型シルセスキオキサン化合物とラジカル共重合可能な(メタ)アクリロイル基を有していればよく、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の粘度が高くなると樹脂硬化物の製造が困難となる傾向にあるという観点から、構造単位の繰り返し数が2〜20程度の重合体である反応性のオリゴマー、低分子量及び/又は低粘度の反応性モノマー等が好ましい。
前記反応性のオリゴマーとしては、エポキシアクリレート、エポキシ化アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルアクリレート、ポリエン/チオール、シリコーンアクリレート、ポリスチリルエチルメタクリレート等が挙げられる。また、前記反応性モノマーとしては、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート等の単官能モノマー;ジシクロペンタニルジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。前記不飽和化合物としては、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物がこのような不飽和化合物を含有する場合、その含有量としては、前記本発明のかご型シルセスキオキサン化合物に対する質量比(かご型シルセスキオキサン化合物:不飽和化合物)が10:90〜80:20となる質量であることが好ましい。含有量が前記下限未満の場合には、硬化性樹脂組成物の粘度が増大して成形性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、硬化性樹脂組成物の相溶性や、得られる樹脂硬化物における透明性、低熱膨張性、低吸水性等の物性が低下する傾向にある。
また、本発明の硬化性樹脂組成物としては、本発明の効果を阻害しない範囲内においてさらにラダー型シロキサン及び/又はランダム型シロキサンが含有されていてもよく、このようなシロキサンとしては前記かご型シルセスキオキサン樹脂の製造において副反応物として生成したものが挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物がこのようなラダー型シロキサン及びランダム型シロキサンを含有する場合、その含有量としては、前記本発明のかご型シルセスキオキサン化合物の含有量(質量)の合計をa、前記不飽和化合物の含有量(質量)をb、前記ラダー型シロキサン及びランダム型シロキサン等の含有量(質量)をcとすると、下記式:
10/90≦a/(b+c)≦80/20
で表される条件を満たすことが好ましく、下記式:
20/80≦a/(b+c)≦75/25
で表される条件を満たすことがより好ましい。前記かご型シルセスキオキサン化合物の含有量が前記下限未満である場合には、硬化性樹脂組成物の相溶性や、得られる樹脂硬化物の透明性、低熱膨張性、低吸水性等の物性が低下する傾向にある。他方、前記上限を超える場合には、硬化性樹脂組成物の粘度が増大して成形性が低下する傾向にある。したがって、本発明の硬化性樹脂組成物に前述のかご型シルセスオキサンの反応生成物をそのまま使用する場合には、上記条件を満たすように、必要に応じて精製処理を施したものを用いることが好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物としては、本発明の効果を阻害しない範囲内において、樹脂硬化物の物性を改良すること及び/又はラジカル重合を促進すること等を目的として、熱重合促進剤、光開始助剤、鋭感剤等がさらに含有されていてもよい。また、本発明の硬化性樹脂組成物としては、有機/無機フィラー、無機質充填剤、可塑剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、着色剤、架橋剤、分散助剤、樹脂成分等の各種添加剤がさらに含有されていてもよい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物としては、厚みが0.2mmとなるように流延させ、照度30W/cmの高圧水銀ランプを用いて室温で積算露光量2000mJ/cmの光照射によりラジカル重合せしめた際において、赤外分光法により測定される(メタ)アクリロイル基の反応率が70%以上となることが好ましく、85%以上となることがより好ましい。前記(メタ)アクリロイル基の反応率としては、前述のとおりである。
従来の硬化性樹脂組成物であっても前記不飽和化合物を含有させることにより前記(メタ)アクリロイル基の反応率を向上させることは可能であるものの、(メタ)アクリロイル基の含有量が増加することによって、得られる樹脂硬化物の吸水性が上昇し、耐吸水特性が悪化する。また、前記不飽和化合物の含有量が増加すると得られる樹脂硬化物の紫外線等に対する耐候性が低下する。これに対して、本発明の硬化性樹脂組成物は、前記本発明のかご型シルセスキオキサン化合物を含有しているため、前記不飽和化合物を含有しない場合であっても(メタ)アクリロイル基の反応率がこのように十分に高く、得られる樹脂硬化物における未反応基の残留量を十分に低減させることができ、優れた耐候性及び低吸水性のいずれも有する樹脂硬化物を得ることが可能となる。
次いで、本発明の樹脂硬化物について説明する。本発明の樹脂硬化物は、前記本発明の硬化性樹脂組成物をラジカル重合せしめて得られたものである。前記ラジカル重合の方法としては、加熱によって熱硬化せしめる方法及び光照射によって光硬化せしめる方法が挙げられる。本発明においては、前記熱硬化及び前記光硬化のいずれか1種の方法を単独で用いてもよく、両方の方法を組み合わせて用いてもよい。
前記熱硬化の条件としては、前記熱重合開始剤や必要に応じて熱重合促進剤等を適宜選択することにより、その反応温度は室温(25℃)〜200℃程度、反応時間は0.5〜10時間程度の広い範囲から選択することができる。また、本発明においては、前記硬化性樹脂組成物を金型内やスチールベルト上で重合硬化させることで所望の形状の成形体とすることができる。このような成形体を得る方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、トランスファー成形、カレンダー成形、キャスト(注型)成形といった一般的な成形加工方法の全てを適用することができる。
前記光硬化の方法としては、例えば、波長10〜400nmの紫外線や波長400〜700nmの可視光線を1〜1200秒間程度前記硬化性樹脂組成物に照射する方法が挙げられる。前記波長は特に制限されないが、波長200〜400nmの近紫外線であることが好ましい。前記紫外線の発生源として用いられるランプとしては、例えば、低圧水銀ランプ(出力:0.4〜4W/cm)、高圧水銀ランプ(40〜160W/cm)、超高圧水銀ランプ(173〜435W/cm)、メタルハライドランプ(80〜160W/cm)等が挙げられ、用いる前記光重合開始剤、前記光開始助剤及び前記鋭感剤の種類に応じて適宜選択することができる。本発明においては、例えば、前記硬化性樹脂組成物を石英ガラス等の透明素材で構成された型内に注入し、ラジカル重合により硬化せしめた後、型から脱型させることで所望の形状の成形体を製造する方法や、前記スチールベルト上で硬化せしめる方法等により所望の形状の成形体を得ることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各合成例において、GPC及び質量分析はそれぞれ以下に示す方法により行った。
(GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ))
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(装置名:HLC−8320GPC(東ソー社製)、溶媒:THF、カラム:超高速セミミクロSECカラム SuperH シリーズ、温度:40℃、速度:0.6ml/min)を用いて行った。数平均分子量(Mn)及び分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn))は標準ポリスチレン(商品名:TSK−GEL、東ソー社製)による換算値として求めた。
(質量分析)
エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)装置(装置名:LC装置;Separation module 2690(Waters社製)、MS装置;ZMD4000(Micromass社製)、測定条件:エレクトロスプレーイオン化法、キャピラリ電圧:3.5kV、コーン電圧:+30V)を用いて測定した。
(合成例1)
先ず、撹拌機、滴下漏斗、温度計を備えた反応容器に、溶媒として2−プロパノール(IPA)120ml、トルエン150ml、塩基性触媒として5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAH水溶液)30.0mlを入れた。次いで、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン(KBM−5803、信越化学工業株式会社製)66.87g(0.21mol)及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(SZ−6300、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)52.15g(0.21mol)を混合して滴下漏斗に入れ、前記反応容器内に、撹拌しながら室温(約25℃)で30分かけて滴下した。滴下終了後、加熱することなく2時間撹拌した。攪拌後の反応容器内の溶液(反応溶液)をクエン酸水溶液で中性(pH7)に調整した後、純水を添加して有機相と水相とに分液し、有機相に無水硫酸マグネシウム10.0gを添加して脱水した。前記無水硫酸マグネシウムを濾別し、ロータリーエバポレーターにより濃縮することで加水分解反応生成物(シルセスキオキサン)を81.03g得た。この加水分解反応生成物は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
次いで、撹拌機、ディーンスターク、冷却管を備えた反応容器に、上記で得られた加水分解反応生成物45.0g、トルエン270ml、10%TMAH水溶液6.5mlを入れ、これを徐々に加熱して水を留去した。さらに130℃まで加熱してトルエンの還流温度で再縮合反応を行った。なお、このときの温度は106℃であった。トルエンの還流後、2時間撹拌した後、反応を終了とした。攪拌後の反応容器内の溶液(反応溶液)をクエン酸水溶液で中性(pH7)に調整した後、純水を添加して有機相と水相とに分液し、有機相に無水硫酸マグネシウム10.0gを添加して脱水した。前記無水硫酸マグネシウムを濾別し、ロータリーエバポレーターにより濃縮することで樹脂混合物1を69.68g得た。得られた樹脂混合物1は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
得られた樹脂混合物1のGPC及び質量分析の結果を示すグラフを図1及び図2にそれぞれ示す。GPCの結果(クロマトグラム)では、一般式(1)における(n+m)が14より大きいかご型シルセスキオキサン樹脂、ラダー型シロキサン、及びランダム型シロキサンを含むピーク1(Mw=4,501、Mw/Mn=1.06)と、前記(n+m)が14以下であるかご型シルセスキオキサン樹脂を含むピーク2(Mw=2,012、Mw/Mn=1.03)とが検出され、この結果及び質量分析の結果から、得られた樹脂混合物1は次式(I):
[CH=C(CH)COOC16SiO3/2[CH=C(CH)COOCSiO3/2・・・(I)
で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂を含む樹脂混合物であることが確認された。なお、得られた樹脂混合物1において、前記式(I)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂の含有量は81質量%であった。
(合成例2)
2−プロパノール(IPA)を70ml、トルエンを170ml、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシランを92.7g(0.29mol)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを24.1g(0.097mol)としたこと以外は合成例1と同様にして加水分解反応生成物(シルセスキオキサン)を82.30g得た。この加水分解反応生成物は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。次いで、この加水分解反応生成物を40.0g用い、トルエンを130mlとしたこと以外は合成例1と同様にして樹脂混合物2を36.55g得た。得られた樹脂混合物2は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
得られた樹脂混合物2のGPCの結果を示すグラフ(クロマトグラム)を図3に示す。クロマトグラムでは、一般式(1)における(n+m)が14より大きいかご型シルセスキオキサン樹脂、ラダー型シロキサン、及びランダム型シロキサンを含むピーク1(Mw=4,460、Mw/Mn=1.03)と、前記(n+m)が14以下であるかご型シルセスキオキサン樹脂を含むピーク2(Mw=2,140、Mw/Mn=1.03)とが検出され、この結果及び及び質量分析の結果から、得られた樹脂混合物2は上記式(I)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂を含む樹脂混合物であることが確認された。なお、得られた樹脂混合物2において、前記式(I)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂の含有量は83質量%であった。
(合成例3)
2−プロパノール(IPA)を90ml、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシランを28.32g(0.089mol)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを66.26g(0.27mol)としたこと以外は合成例1と同様にして加水分解反応生成物(シルセスキオキサン)を62.30g得た。この加水分解反応生成物は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。次いで、この加水分解反応生成物を43.0g用いたこと以外は合成例1と同様にして樹脂混合物3を34.80g得た。得られた樹脂混合物3は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
得られた樹脂混合物3のGPCの結果を示すグラフ(クロマトグラム)を図4に示す。クロマトグラムでは、一般式(1)における(n+m)が14より大きいかご型シルセスキオキサン樹脂、ラダー型シロキサン、及びランダム型シロキサンを含むピーク1(Mw=4,012、Mw/Mn=1.10)と、前記(n+m)が14以下であるかご型シルセスキオキサン樹脂を含むピーク2(Mw=1,640、Mw/Mn=1.41)とが検出され、この結果及び及び質量分析の結果から、得られた樹脂混合物3は上記式(I)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂を含む樹脂混合物であることが確認された。なお、得られた樹脂混合物3において、前記式(I)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂の含有量は68質量%であった。
(合成例4)
2−プロパノール(IPA)を60ml、トルエンを100ml、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシランを87.25g(0.27mol)とし、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに代えてビニルトリメトキシシラン(KBM−1003、信越化学工業株式会社製)40.61g(0.27mol)を用いたこと以外は合成例1と同様にして加水分解反応生成物(シルセスキオキサン)を65.94g得た。この加水分解反応生成物は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。次いで、この加水分解反応生成物を用い、トルエンの還流温度が105℃であったこと以外は合成例1と同様にして樹脂混合物4を38.20g得た。得られた樹脂混合物4は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
得られた樹脂混合物4のGPCの結果を示すグラフ(クロマトグラム)を図5に示す。クロマトグラムでは、一般式(1)における(n+m)が14より大きいかご型シルセスキオキサン樹脂、ラダー型シロキサン、及びランダム型シロキサンを含むピーク1(Mw=3,528、Mw/Mn=1.21)と、前記(n+m)が14以下であるかご型シルセスキオキサン樹脂を含むピーク2(Mw=1,306、Mw/Mn=1.03)とが検出され、この結果及び及び質量分析の結果から、得られた樹脂混合物4は次式(II):
[CH=C(CH3)COOC16SiO3/2[CH=CHSiO3/2・・・(II)
で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂を含む樹脂混合物であることが確認された。なお、得られた樹脂混合物4において、前記式(II)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂の含有量は75質量%であった。
(合成例5)
2−プロパノール(IPA)を100ml、トルエンを240mlとし、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシランを38.16g(0.12mol)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを9.92g(0.04mol)とし、さらにエチルトリメトキシシラン(LS−890、信越化学工業株式会社製)24.00g(0.16mol)を混合して滴下漏斗に入れたこと以外は合成例1と同様にして加水分解反応生成物(シルセスキオキサン)を45.20g得た。この加水分解反応生成物は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。次いで、この加水分解反応生成物を40.0g用い、トルエンの還流温度が108℃であったこと以外は合成例Iと同様にして樹脂混合物5を36.05g得た。得られた樹脂混合物5は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
得られた樹脂混合物5について、GPCの結果を示すグラフ(クロマトグラム)を図6に示す。クロマトグラムでは、一般式(1)における(n+m+j)が14より大きいかご型シルセスキオキサン樹脂、ラダー型シロキサン、及びランダム型シロキサンを含むピーク1(Mw=3,652、Mw/Mn=1.21)と、前記(n+m+j)が14以下であるかご型シルセスキオキサン樹脂を含むピーク2(Mw=1,295、Mw/Mn=1.03)とが検出され、この結果及び及び質量分析の結果から、得られた樹脂混合物5は次式(III):
[CH=C(CH)COOC16SiO3/2[CH=C(CH)COOCSiO3/2[CHCHSiO3/2・・・(III)
で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂を含む樹脂混合物であることが確認された。なお、得られた樹脂混合物5において、前記式(III)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂の含有量は43質量%であった。
(合成例6)
2−プロパノール(IPA)を60ml、トルエンを120ml、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを69.27g(0.28mol)とし、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシランを用いなかったこと以外は合成例Iと同様にして加水分解反応生成物(シルセスキオキサン)を48.36g得た。この加水分解反応生成物は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。次いで、この加水分解反応生成物を用い、トルエンを260mlとしたこと以外は合成例1と同様にして樹脂混合物6を41.40g得た。得られた樹脂混合物6は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
得られた樹脂混合物6について、GPCの結果を示すグラフ(クロマトグラム)を図7に示す。クロマトグラムでは、全メタクリロキシプロピルかご型シルセスキオキサン樹脂を含むピーク1(Mw=1,769、Mw/Mn=1.08)が検出され、この結果及び及び質量分析の結果から、得られた樹脂混合物6は次式(IV):
[CH=C(CH)COOCSiO3/2・・・(IV)
で表され、mが10であるかご型シルセスキオキサン樹脂を含む樹脂混合物であることが確認された。なお、得られた樹脂混合物6において、前記式(IV)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂の含有量は84質量%であった。
(合成例7)
2−プロパノール(IPA)を80ml、トルエンを160ml、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを48.06g(0.19mol)とし、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシランに代えてビニルトリメトキシシラン28.68g(0.19mol)を用いたこと以外は合成例Iと同様にして加水分解反応生成物(シルセスキオキサン)を48.68g得て、この加水分解反応生成物を樹脂混合物7とした。
得られた樹脂混合物7について、GPCの結果を示すグラフ(クロマトグラム)を図8に示す。クロマトグラムでは、下記一般式(V)における(m’+m’’)が14より大きいかご型シルセスキオキサン樹脂、ラダー型シロキサン、及びランダム型シロキサンを含むピーク1(Mw=6,047、Mw/Mn=1.05)と、前記(m’+m’’)が14以下であるかご型シルセスキオキサン樹脂を含むピーク2(Mw=1,891、Mw/Mn=1.41)とが検出され、この結果及び及び質量分析の結果から、得られた樹脂混合物7は次式(V):
[CH=C(CH)COOCSiO3/2m’[CH=CHSiO3/2m’’・・・(V)
で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂を含む樹脂混合物であることが確認された。なお、得られた樹脂混合物7において、前記式(V)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂の含有量は40質量%であった。
(合成例8)
2−プロパノール(IPA)を130ml、トルエンを260mlとし、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシランを用いず、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに代えてビニルトリメトキシシラン93.65g(0.632mol)を用いたこと以外は合成例Iと同様にして加水分解反応生成物(シルセスキオキサン)を44.03g得た。この加水分解反応生成物は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。次いで、この加水分解反応生成物を42.0g用い、トルエンを260mlとしたこと以外は合成例1と同様にして樹脂混合物8を38.24g得た。得られた樹脂混合物8は種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
得られた樹脂混合物8について、GPCの結果を示すグラフ(クロマトグラム)を図9に示す。クロマトグラムでは、一般式(1)におけるnが0であり、mが14より大きい全ビニルかご型シルセスキオキサン樹脂、ラダー型シロキサン、及びランダム型シロキサンを含むピーク1(Mw=3,229、Mw/Mn=1.40)と、前記mが14以下である全ビニルかご型シルセスキオキサン樹脂を含むピーク2(Mw=797、Mw/Mn=1.41)とが検出され、この結果及び及び質量分析の結果から、得られた樹脂混合物8は次式(VI):
[CH=CHSiO3/2・・・(VI)
で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂を含む樹脂混合物であることが確認された。なお、得られた樹脂混合物8において、前記式(VI)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂の含有量は83質量%であった。
(実施例1)
先ず、合成例1で得られたかご型シルセスキオキサン化合物を含む樹脂混合物1を100質量部に対し、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irg184、チバ・ジャパン株式会社製)2.5質量部を混合し、硬化性樹脂組成物を得た。次いで、得られた硬化性樹脂組成物をガラス板上に2g塗布し、高さ0.2mmの金属スペーサーを配置した後、さらに上からガラス板を被せ、ガラス板の自重で樹脂組成物を流延させて厚さを0.2mmとした後、30W/cmの高圧水銀ランプを用い、2000mJ/cmの積算露光量で硬化させ、フィルム状の樹脂硬化物を得た。
(実施例2)
先ず、合成例1で得られたかご型シルセスキオキサン化合物を含む樹脂混合物1を70質量部、及び、ジシクロペンタニルジアクリレート(DCP−A、共栄社化学株式会社製)を30質量部を混合し、これに重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irg184、チバ・ジャパン株式会社製)1.5質量部及びジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂株式会社製)1.0質量部を混合し、硬化性樹脂組成物を得た。次いで、得られた硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にしてフィルム状の樹脂硬化物を得た。
(実施例3)
樹脂混合物1に代えて合成例2で得られた樹脂混合物2を用いたこと以外は実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物を得た。
(実施例4)
樹脂混合物1に代えて合成例2で得られた樹脂混合物2を用いたこと以外は実施例2と同様にして硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物を得た。
(実施例5)
樹脂混合物1に代えて合成例3で得られた樹脂混合物3を用いたこと以外は実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物を得た。
(実施例6)
樹脂混合物1に代えて合成例3で得られた樹脂混合物3を用いたこと以外は実施例2と同様にして硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物を得た。
(実施例7)
樹脂混合物1に代えて合成例4で得られた樹脂混合物4を用い、さらにジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂株式会社製)1.0質量部を混合したこと以外は実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。次いで、得られた硬化性樹脂組成物を用い、高圧水銀ランプを用いた硬化の後にさらに、窒素雰囲気下、200℃において1時間加熱したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂硬化物を得た。
(実施例8)
樹脂混合物1に代えて合成例4で得られた樹脂混合物4を用いたこと以外は実施例2と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。次いで、得られた硬化性樹脂組成物を用い、高圧水銀ランプを用いた硬化の後にさらに、窒素雰囲気下、200℃において1時間加熱したこと以外は実施例2と同様にして、樹脂硬化物を得た。
(実施例9)
樹脂混合物1に代えて合成例5で得られた樹脂混合物5を用いたこと以外は実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物を得た。
(実施例10)
樹脂混合物1に代えて合成例5で得られた樹脂混合物5を用いたこと以外は実施例2と同様にして硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物を得た。
(比較例1)
樹脂混合物1に代えて合成例6で得られた樹脂混合物6を用いたこと以外は実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物を得た。
(比較例2)
樹脂混合物1に代えて合成例6で得られた樹脂混合物6を用いたこと以外は実施例2と同様にして硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物を得た。
(比較例3)
樹脂混合物1に代えて合成例7で得られた樹脂混合物7を用い、さらにジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂株式会社製)1.0質量部を混合したこと以外は実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。次いで、得られた硬化性樹脂組成物を用い、高圧水銀ランプを用いた硬化の後にさらに、窒素雰囲気下、200℃において1時間加熱したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂硬化物を得た。
(比較例4)
樹脂混合物1に代えて合成例7で得られた樹脂混合物7を用いたこと以外は実施例2と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。次いで、得られた硬化性樹脂組成物を用い、高圧水銀ランプを用いた硬化の後にさらに、窒素雰囲気下、200℃において1時間加熱したこと以外は実施例2と同様にして、樹脂硬化物を得た。
(比較例5)
樹脂混合物1に代えて合成例8で得られた樹脂混合物8を用い、さらにジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂株式会社製)1.0質量部を混合したこと以外は実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。次いで、得られた硬化性樹脂組成物を用い、高圧水銀ランプを用いた硬化の後にさらに、窒素雰囲気下、200℃において1時間加熱したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂硬化物を得た。
(比較例6)
樹脂混合物1に代えて合成例8で得られた樹脂混合物8を用いたこと以外は実施例2と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。次いで、得られた硬化性樹脂組成物を用い、高圧水銀ランプを用いた硬化の後にさらに、窒素雰囲気下、200℃において1時間加熱したこと以外は実施例2と同様にして、樹脂硬化物を得た。
実施例1〜10及び比較例1〜6において得られた硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物について、以下の方法により反応率の測定、吸水率の測定、全光線透過率及び耐候性評価を行った。
(反応率の測定)
先ず、各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物について、顕微赤外分光装置(商品名:FT−IR6100、日本分光社製)を用いて、1728cm−1における(メタ)アクリロイル基中の炭素‐酸素二重結合(C=O)の伸縮振動に由来する最大吸光度(AWC=O)、及び、1635cm−1における(メタ)アクリロイル基中の炭素‐炭素二重結合(C=C)の伸縮振動に由来する最大吸光度(AWC=C)をそれぞれ測定した。次いで、前記硬化性樹脂組成物のラジカル重合後、各実施例及び比較例で得られた樹脂硬化物について、1728cm−1における最大吸光度(AFC=O)及び1635cm−1における最大吸光度(AFC=C)を上記と同様に測定した。AWC=OとAWC=Cとの比(AW=AWC=O/AWC=C)、及び、AFC=OとAFC=Cとの比(AF=AFC=O/AFC=C)から、次式:
二重結合変化率(A)=(1−AW/AF)×100
により、(メタ)アクリロイル基の二重結合変化率(A(%))を求め、これを(メタ)アクリロイル基の反応率とした。結果を表1に示す。
(吸水率の測定)
先ず、得られた樹脂硬化物を24時間、50℃において保持し、予備乾燥を行った。次いで、プラスチック‐吸水率の求め方(JISK7209)に基づいて吸水率の測定を行った。得られた結果を表1に示す。
(全光線透過率の測定)
得られた樹脂硬化物(厚さ0.2mm)について、NDH2000(日本電色社製)を用いて透過光強度及び入射光強度を測定し、次式:
全光透過率(%)=透過光強度/入射光強度
により全光透過率を算出した。得られた結果を表1に示す。
(耐候性評価)
得られた樹脂硬化物(厚さ0.2mm)に対して、Q−Lab社製 QUV Accelerated Weathering Tester(使用ランプ「UVB−313」)を用いて、ランプ距離5cmの条件で72時間紫外線を照射した。紫外線により曝露される前及び曝露後の樹脂硬化物について、プラスチック‐黄色度及び黄色度の求め方(JISK7373)に従って、黄色度(YI)をそれぞれ求めた。結果を表1に示す。
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜10で得られた樹脂硬化物は、いずれも優れた透明性及び低吸水性を有し、かつ、耐候性も十分に優れることが確認された。また、実施例1〜10において得られた樹脂硬化物の割れを目視により観察したところ、いずれの硬化物(フィルム)においても、割れ及び破断は観察されず、本発明の硬化性樹脂組成物は優れた成形性を有することが確認された。他方、比較例1〜6においてもある程度透過率の高い硬化物が得られたものの、紫外線に曝露された後にはいずれの硬化物も黄色度が高く、耐候性に劣ることが確認された。さらに、比較例1〜2で得られた樹脂硬化物は特に吸水率が高いことが確認された。なお、比較例5においては硬化物に割れが生じ、測定が可能なサイズの硬化物試験片を得ることができなかった。
以上説明したように、本発明によれば、優れた成形性を有する硬化性樹脂組成物、並びに、優れた透明性及び低吸水性を有しかつ耐候性にも優れた樹脂硬化物を得ることができるかご型シルセスキオキサン化合物、それを用いた硬化性樹脂組成物及びそれを硬化させて得られる樹脂硬化物を提供することが可能となる。
このような樹脂硬化物は、液晶表示素子用基板、カラーフィルター用基板、有機EL表示素子用基板、電子ペーパー用基板、TFT用基板、太陽電池基板等の透明基板や、タッチパネル、透明電極付フィルム、導光板、保護フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、レンズシート等の光学フィルム、各種輸送機械、住宅の窓材等のガラス代替材料として、利用範囲は広範であり、その産業上の利用価値が極めて高いものである。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1):
    [RSiO3/2[RSiO3/2[RSiO3/2 ・・・(1)
    {式(1)中、Rは下記一般式(2):
    [式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、pは4〜10の整数を示す。]
    で表される基を示し、Rは下記一般式(3):
    [式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す。]
    で表される基、下記一般式(4):
    [式(4)中、rは1〜3の整数を示す。]
    で表される基、下記一般式(5):
    [式(5)中、sは1〜3の整数を示す。]
    で表される基、及び下記式(6):
    で表される基からなる群から選択されるいずれか1種の基を示し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基及びアリル基からなる群から選択されるいずれか1種を示し、n、m及びjは下記式(i)〜(iv):
    n≧2 ・・・(i)、
    m≧1 ・・・(ii)、
    j≧0 ・・・(iii)、
    n+m+j=h ・・・(iv)
    [式(iv)中、hは8、10、12及び14からなる群から選択されるいずれかの整数を示す。]
    で表される条件を満たす整数を示し、n、m及びjがそれぞれ2以上の場合にはR、R及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。}
    で表されることを特徴とするかご型シルセスキオキサン化合物。
  2. 請求項1に記載のかご型シルセスキオキサン化合物とラジカル重合開始剤とを含有しており、前記かご型シルセスキオキサン化合物の含有量が10〜80質量%であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  3. 前記かご型シルセスキオキサン化合物、ラダー型シロキサン及びランダム型シロキサン以外の(メタ)アクリロイル基を有する不飽和化合物をさらに含有することを特徴とする請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 厚みが0.2mmとなるように流延させ、照度30W/cmの高圧水銀ランプを用いて室温で積算露光量2000mJ/cmの光照射によりラジカル重合せしめた際において、赤外分光法により測定される(メタ)アクリロイル基の反応率が70%以上となることを特徴とする請求項2又は3に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記ラジカル重合開始剤の含有量が0.01〜10質量%であることを特徴とする請求項2〜4のうちのいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項2〜5のうちのいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物をラジカル重合せしめて得られたものであることを特徴とする樹脂硬化物。
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