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JP2011138683A - 電子素子 - Google Patents

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JP2011138683A
JP2011138683A JP2009297763A JP2009297763A JP2011138683A JP 2011138683 A JP2011138683 A JP 2011138683A JP 2009297763 A JP2009297763 A JP 2009297763A JP 2009297763 A JP2009297763 A JP 2009297763A JP 2011138683 A JP2011138683 A JP 2011138683A
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layer
polyimide
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organic
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JP2009297763A
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Toshiharu Fukuda
俊治 福田
Katsuya Sakayori
勝哉 坂寄
Yasuhiro Iiizumi
安広 飯泉
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】耐熱性および寸法安定性が高い絶縁層が形成された金属基材を備え、良好な素子特性を示す電子素子を提供する。
【解決手段】金属基材2と、上記金属基材上に形成され、ポリイミドを含む絶縁層3と、上記絶縁層3上に形成された電子素子部10を有し、上記絶縁層3の吸湿膨張係数が0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内であることを特徴とする電子素子1。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子や薄膜トランジスタなどの電子素子に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、エレクトロルミネッセンスをELと称する場合がある。)や薄膜トランジスタ(以下、薄膜トランジスタをTFTと称する場合がある。)などの電子素子は、水分に対する耐性が弱く、水分により素子特性が低下する。
水分による素子特性の低下を抑制する手法としては、封止部材や封止構造によって素子を封止するなど、外部から素子への水分の浸入を防止する手法が主流である。この際、ガスバリア性を有する基材が用いられる。
ガスバリア性を有する基材としては、ガラス基材、ガスバリア性が付与されたプラスチックフィルム、金属基材などが用いられる。
ガラス基材は、平滑性や耐熱性に優れるが、フレキシブル性に欠け、薄型・軽量化に不向きであり、耐衝撃性に劣るという難点がある。
プラスチックフィルムは一般的にガラスや金属に比べてガスバリア性が劣るため、水分の浸入を阻止するためには、ガスバリア性を付与する必要がある。ガスバリア性が付与されたプラスチックフィルムは、フレキシブル性を有し、軽量であり、耐衝撃性も有するという利点をもつが、耐熱性が十分ではなく、線熱膨張係数が大きいために寸法安定性に劣り、また吸湿性が大きいという難点がある。
一方、金属基材は、金属の種類や厚みに関しては多種多様なものが入手でき適宜選択可能であり、耐熱性、軽量性、フレキシブル性を満たすことができる。しかしながら、金属基材は、表面平坦性がガラス基材に比べて劣る傾向にあり、導電性を有するので、金属基材上に有機EL素子やTFTを作製するためには絶縁層を設ける必要がある。例えば特許文献1には、表面に絶縁層が形成された金属基材が提案されている。
ところで、有機EL素子では大型テレビ、室内照明用途等への開発が盛んに行われており、大型化を目指す上では、有機EL素子の発光時の発熱による素子の劣化および面内の温度ムラによる輝度ムラを抑えることが必要である。上記の表面に絶縁層が形成された金属基材は、熱伝導性にも優れていることから、有機EL素子の基材として好適である。
また、近年、アクティブマトリクス駆動の有機EL表示装置や電子ペーパーなどの表示装置において、素子を上から封止する封止基材としてガスバリア性を有する透明基材を用い、上部から画像を観察する方式が注目されている。このような表示装置では、アクティブ駆動素子であるTFTにより遮蔽されることがないため、開口率の高い表示装置とすることが可能となる。上記表示装置において、金属基材は透明性を有さないため透明な封止基材として用いることはできないが、上述の利点を有することから、素子を支持する支持基材として好ましく用いられる。また、パッシブマトリクス駆動の有機EL表示装置や電子ペーパーなどの表示装置や、照明用途の有機EL素子においても、上記の方式の場合、素子を支持する支持基材として金属基材を用いることができる。
上記の表面に絶縁層が形成された金属基材において、絶縁層に用いられる材料には無機系材料と有機系材料が挙げられる。無機系絶縁層の場合、厚膜化が困難であるため金属基材の表面平坦性が改善されにくく、またクラックが入りやすいためにフレキシブル化が困難である。一方、有機系絶縁層の場合、厚膜化が可能であるため所望の表面平坦性を得ることができ、また金属基材に追従しやすいのでフレキシブル性に優れている。
特開2006−331694号公報
しかしながら、一般に有機系材料は耐熱性に劣り、線熱膨張係数が大きく、またガラスや金属などに比べて吸湿性が大きいという課題がある。
有機系材料は一般に耐熱性が低いため、TFTなどの駆動素子の形成に必要な高温プロセスに耐えられないという問題がある。低温でTFTなどの駆動素子を形成する試みも行われているが、性能が不足したり、非常に長い形成時間を要したりと、実用的なプロセスの開発までには至っていない。
また、有機系材料は一般に線膨張係数が大きいため、熱履歴を経ることによるTFTなどの駆動素子に与える応力が大きいので、素子の破壊等を引き起こしやすい。
同様に、有機系材料が吸湿することにより寸法変化が起こり、それが原因で素子が破壊されるという問題もある。
そのため、電子素子の基材として、表面に有機系絶縁層が形成された金属基材は実用化に至っていない。
また、電子素子において、外部から素子への水分の浸入を防止することができたとしても、素子内部に水分が内在すると素子特性が劣化するという問題がある。表面に有機系絶縁層が形成された金属基材を用いた場合には、素子内部に内在する水分の問題が顕著となる。素子への水分の浸入を防止する手法としては従来から種々の検討がなされているが、素子内部に内在する水分を低減することについてはほとんど検討がなされていない。
表面に有機系絶縁層が形成された金属基材を用いる場合、素子内部に内在する水分を低減するためには、例えば、有機系材料を塗布法により製膜した後、熱硬化させる、有機系絶縁層フィルムを高温もしくは真空雰囲気下でラミネートする、有機系材料を真空中で気相法により製膜する、あるいは有機系材料の製膜後、高温で脱水処理および/または減圧雰囲気下で脱水処理を行うことが考えられる。しかしながら、有機系材料は耐熱性に劣ることから、熱処理のみで十分に水分を取り除くことは難しい。さらに、加熱もしくは減圧することによって水分を除去したとしても、電子素子の製造過程で有機系材料が吸湿してしまう。また、気相法の場合、十分な膜物性を発現するような分子量を有する有機系材料自身を気相中で製膜することは非常に困難である。
また、電子素子の製造過程での有機系材料の吸湿を防ぐために、完全に水分が除去された雰囲気を維持することも考えられるが、設備コストや手間が大幅にかかる。
また、有機EL素子の場合、絶縁層上に有機発光層を形成する直前に熱処理をすることも考えられるが、例えば照明用途の有機EL素子では、絶縁層上に電極が形成されており、絶縁層のほとんどが電極で覆われているため、水分除去のための面積が小さく、水分を十分に除去することが困難である。同様に、TFTを備える有機EL表示装置の場合、TFTが形成された絶縁層上に有機発光層を形成する直前に熱処理をすることができるが、TFTが形成された絶縁層上には電極が形成されており、絶縁層のほとんどがTFTや電極で覆われているため、水分除去のための面積が小さく、水分を十分に除去することが困難である。また、有機発光層などの耐熱性の低い層が形成されているので、脱水のために十分な熱処理を行うことは困難である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐熱性および寸法安定性が高い絶縁層が形成された金属基材を備え、良好な素子特性を示す電子素子を提供することを主目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、表面に絶縁層が形成された金属基材を備える電子素子において、有機系材料の中でも特殊なポリイミドを絶縁層に用いることで、絶縁層の耐熱性および寸法安定性を高めるとともに、絶縁層中の含水量を減らして素子内部の水分を大幅に低減し、かつ、電子素子の製造過程での絶縁層の吸湿を抑え、それにより素子の寿命および安定性を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、金属基材と、上記金属基材上に形成され、ポリイミドを含む絶縁層と、上記絶縁層上に形成された電子素子部とを有し、上記絶縁層の吸湿膨張係数が0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内であることを特徴とする電子素子を提供する。
吸湿膨張係数は吸水性の指標であり、吸湿膨張係数が小さいほど吸水性が小さい。また、吸湿膨張係数が小さいほど吸湿時の寸法変化が少なく素子へのダメージが少ない。したがって本発明によれば、絶縁層の吸湿膨張係数が所定の範囲であり、吸水性が十分に小さいことにより、素子内部の水分を低減して、水分による特性劣化を抑制することが可能であるとともに、寿命の短縮や素子破壊を抑制することが可能である。また本発明によれば、絶縁層がポリイミドを含有するので、絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れる絶縁層とすることが可能である。
上記発明においては、上記絶縁層がポリイミドを主成分とすることが好ましい。ポリイミドを主成分とすることにより、絶縁性、耐熱性、寸法安定性がさらに優れた絶縁層とすることが可能となる。また、ポリイミドを主成分とすることにより、絶縁層の薄膜化が可能となり絶縁層の熱伝導性を向上させることができ、放熱性に優れたものとすることができる。
また本発明においては、上記ポリイミドが、下記式(1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
(式(1)中、R1は下記式(2)で表される4価の有機基、R2は2価の有機基であり、繰り返されるR1同士およびR2同士はそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。nは1以上の自然数である。)
(式(2)中、aは0または1以上の自然数、Aはエステル結合である。結合基は、芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは3,4位に結合する。)
このようなポリイミドは、吸湿膨張係数を低減させることができるとともに、線熱膨張係数を小さくすることができる。また、R1が上記式(2)で表される4価の有機基であることにより、吸湿膨張係数を低くすることができるので、ジアミン由来の構造であるR2の選択性が広がるという利点もある。
また、上記ポリイミドが、下記式(1)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
(式(1)中、R1は下記式(2)で表される4価の有機基、R2は下記式(3)または(4)で表される2価の有機基であり、繰り返されるR1同士およびR2同士はそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。nは1以上の自然数である。)
(式(2)中、aは0または1以上の自然数、Aは単結合(ビフェニル構造)、酸素原子(エーテル結合)、エステル結合のいずれかであり、全てが同じであっても、各々異なっていてもよい(ただし、全てがエステル結合の場合を除く)。結合基は、芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは3,4位に結合する。)
(式(4)中、aは0または1以上の自然数であり、結合基は芳香環同士の結合に対して、メタ位またはパラ位に結合する。また、芳香環上の水素原子の一部もしくは全てはフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよい。)
このようなポリイミドは、吸湿膨張係数を低減させることができるとともに、線熱膨張係数を小さくすることができる。
さらに、上記ポリイミドが、下記式(1)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
(式(1)中、R1は4価の有機基、R2は下記式(4)で表される2価の有機基であり、繰り返されるR1同士およびR2同士はそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。nは1以上の自然数である。)
(式(4)中、aは0または1以上の自然数であり、結合基は芳香環同士の結合に対して、メタ位またはパラ位に結合する。また、芳香環上の水素原子の一部もしくは全てはフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよい。)
このようなポリイミドは、吸湿膨張係数を低減させることができる。また、R2が上記式(4)で表される2価の有機基であることにより、吸湿膨張係数を低くすることができるので、カルボン酸二無水物由来の構造であるR1の選択性が広がるという利点もある。
さらに本発明においては、上記絶縁層の表面粗さRaが25nm以下であることが好ましい。電子素子部がTFTである場合には、絶縁層の表面粗さが上記範囲であることにより、凹凸によるTFTの電気的性能の低下を防ぐことができる。一方、電子素子部が有機EL素子である場合には、絶縁層の表面粗さが上記範囲であることにより、電極間の短絡を防ぐことができるとともに、輝度ムラの発生を抑制することができる。
また本発明においては、上記絶縁層の厚みが0.3μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。絶縁層の厚みが薄すぎると、絶縁性が維持できなかったり、金属基材表面に圧延筋等による凹凸が存在する場合にはその凹凸を平坦化することが困難であったりするからである。また、絶縁層の厚みが厚すぎると、フレキシブル性が低下したり、過重になったり、製膜時の乾燥が困難になったり、コストが高くなったりするからである。さらには、電子素子部が有機EL素子などの駆動時に発熱を伴う素子であり、素子の駆動時の熱を金属基材を通して放出させる場合には、絶縁層の厚みが厚いとポリイミドは金属よりも熱伝導率が低いために熱伝導性が低下するからである。
さらに本発明においては、上記絶縁層の線熱膨張係数が0ppm/℃〜30ppm/℃の範囲内であることが好ましい。絶縁層の線熱膨張係数が上記範囲であれば、絶縁層および金属基材の線熱膨張係数を近いものとすることができ、反りを抑制できるとともに絶縁層および金属基材の密着性を高めることができるからである。
また本発明においては、上記絶縁層の線熱膨張係数と上記金属基材の線熱膨張係数との差が15ppm/℃以下であることが好ましい。上述したように、絶縁層および金属基材の線熱膨張係数が近いほど、反りを抑制できるとともに絶縁層および金属基材の密着性が高くなるからである。
さらに本発明においては、上記電子素子部が、上記絶縁層上に形成された背面電極層と、上記背面電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含むEL層と、上記EL層上に形成された透明電極層とを有する有機EL素子であることが好ましい。上述したように、絶縁層の吸湿膨張係数が所定の範囲であり、吸水性が十分に小さいので、絶縁層の耐熱性や絶縁信頼性を維持しつつ、水分による有機EL素子の特性劣化を抑制することが可能である。また、有機EL素子の発光時の熱を金属基材を通して放出することができ、熱によってEL層が劣化し、輝度ムラが生じたり素子寿命が短くなったりするのを抑制することが可能である。
また本発明においては、上記電子素子部が、上記絶縁層上に形成されたTFTであることが好ましい。上述したように、絶縁層の吸湿膨張係数が所定の範囲であり、吸水性が十分に小さいので、絶縁層の耐熱性や絶縁信頼性を維持しつつ、水分によるTFTの特性劣化を抑制することが可能である。
本発明においては、絶縁層の吸湿膨張係数が所定の範囲であり、吸水性が十分に小さいので、水分による素子の特性劣化を抑制することができるという効果を奏する。
本発明の電子素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の電子素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の電子素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の電子素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の電子素子の他の例を示す概略断面図および平面図である。 本発明の電子素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の電子素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の電子素子を備える有機EL表示装置の一例を示す概略断面図である。 本発明の電子素子を備える電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。 実施例2および比較例1の有機EL素子の80℃高温保存試験前後の発光状態の写真である。
以下、本発明の電子素子について詳細に説明する。
本発明の電子素子は、金属基材と、上記金属基材上に形成され、ポリイミドを含む絶縁層と、上記絶縁層上に形成された電子素子部とを有し、上記絶縁層の吸湿膨張係数が0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内であることを特徴とするものである。
本発明の電子素子について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の電子素子の一例を示す概略断面図であり、電子素子部が有機EL素子である場合の例である。図1に例示する電子素子1は、金属基材2と、金属基材2上に形成され、ポリイミドを含み、所定の吸湿膨張係数を有する絶縁層3と、絶縁層3上に形成された有機EL素子10(電子素子部)とを有している。有機EL素子10は、絶縁層3上に形成された背面電極層11と、背面電極層11上に形成され、少なくとも有機発光層を含むEL層12と、EL層12上に形成された透明電極層13とを有している。この有機EL素子10は、透明電極層13側から光Lを取り出すトップエミッション型となる。
図2(a)〜図4(b)は、本発明の電子素子の他の例を示す概略断面図であり、電子素子部がTFTである場合の例である。図2(a)〜図4(b)に例示する電子素子1はいずれも、金属基材2と、金属基材2上に形成され、ポリイミドを含み、所定の吸湿膨張係数を有する絶縁層3と、絶縁層3上に形成されたTFT20(電子素子部)とを有している。
図2(a)に例示する電子素子1は、トップゲート・ボトムコンタクト構造を有するTFT20を備えており、TFT20は、絶縁層3上に形成されたソース電極22Sおよびドレイン電極22Dならびに半導体層21と、ソース電極22Sおよびドレイン電極22Dならびに半導体層21上に形成されたゲート絶縁膜24と、ゲート絶縁膜24上に形成されたゲート電極23Gとを有している。
図2(b)に例示する電子素子1は、トップゲート・トップコンタクト構造を有するTFT20を備えており、TFT20は、絶縁層3上に形成された半導体層21ならびにソース電極22Sおよびドレイン電極22Dと、半導体層21ならびにソース電極22Sおよびドレイン電極22D上に形成されたゲート絶縁膜24と、ゲート絶縁膜24上に形成されたゲート電極23Gとを有している。
図3(a)に例示する電子素子1は、ボトムゲート・ボトムコンタクト構造を有するTFT20を備えており、TFT20は、絶縁層3上に形成されたゲート電極23Gと、ゲート電極23Gを覆うように形成されたゲート絶縁膜24と、ゲート絶縁膜24上に形成されたソース電極22Sおよびドレイン電極22Dならびに半導体層21と、ソース電極22Sおよびドレイン電極22Dならびに半導体層21上に形成された保護膜25とを有している。
図3(b)に例示する電子素子1は、ボトムゲート・トップコンタクト構造を有するTFT20を備えており、TFT20は、絶縁層3上に形成されたゲート電極23Gと、ゲート電極23Gを覆うように形成されたゲート絶縁膜24と、ゲート絶縁膜24上に形成された半導体層21ならびにソース電極22Sおよびドレイン電極22Dと、半導体層21ならびにソース電極22Sおよびドレイン電極22D上に形成された保護膜25とを有している。
図4(a)に例示する電子素子1は、コプレーナ型構造を有するTFT20を備えており、TFT20は、絶縁層3上に形成された半導体層21と、半導体層21上に形成されたソース電極22Sおよびドレイン電極22Dと、半導体層21上に形成されたゲート絶縁膜24と、ゲート絶縁膜24上に形成されたゲート電極23Gとを有している。
図4(b)に例示する電子素子1も、コプレーナ型構造を有するTFT20を備えており、TFT20は、絶縁層3上に形成されたゲート電極23Gと、ゲート電極23G上に形成されたゲート絶縁膜24と、ゲート絶縁膜24上に形成された半導体層21と、半導体層21上に形成されたソース電極22Sおよびドレイン電極22Dと、半導体層21上に形成された保護膜25とを有している。
本発明において、絶縁層はポリイミドを含むものであり、好ましくはポリイミドを主成分とする。したがって、絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れる絶縁層とすることが可能である。
一般にポリイミドは吸水性を有する。TFTや有機EL素子などの電子素子に用いられる半導体材料には水分に弱いものが多いことから、素子内部の水分を低減し、湿気存在下において高い信頼性を実現するために、絶縁層は吸水性が小さい必要がある。吸水性の指標の一つとして、吸湿膨張係数がある。吸湿膨張係数が小さいほど、吸水性が小さくなる。したがって、絶縁層の吸湿膨張係数は小さいことが必要である。
本発明によれば、絶縁層の吸湿膨張係数が所定の範囲であり、吸水性が十分小さいので、水分による素子の特性劣化を抑制することが可能である。また、吸湿膨張係数が小さいほど、寸法安定性が向上する。絶縁層の吸湿膨張係数が大きいと、吸湿膨張係数がほとんどゼロに近い金属基材との膨張率の差によって、湿度の上昇とともに電子素子が反ったり、絶縁層および金属基材の密着性が低下したりする場合がある。したがって本発明によれば、寿命の短縮や素子破壊を抑制することが可能である。製造過程においてウェットプロセスが行われる場合にも、吸湿膨張係数が小さいことが重要となる。また、絶縁層の吸湿膨張係数が上記範囲であれば、絶縁層の吸水性を十分小さくすることができ、電子素子の製造工程が簡便になる。
また本発明によれば、金属基材上に絶縁層が形成されているので、金属基材表面に圧延筋などによる凹凸が存在する場合には、金属基材表面の凹凸を平坦化することができる。したがって、電子素子部がTFTである場合には、凹凸によるTFTの電気的性能の低下を防ぐことができる。また、電子素子部が有機EL素子である場合には、凹凸による電極間での短絡を防ぐことができるとともに、凹凸による輝度ムラの発生を抑制することができる。
また、本発明の電子素子は金属基材を有するので、水分や酸素の透過を低減することができる。したがって、水分や酸素による素子の劣化を抑制することができる。さらに、一般に金属基材は熱伝導性に優れるので、放熱性を付与することができる。したがって、電子素子部が有機EL素子などの駆動時に発熱を伴う素子である場合には、素子の駆動時の熱を金属基材を通して放出させることができる。特に、電子素子部が有機EL素子である場合には、有機EL素子の発光時の発熱によってEL層が劣化し、輝度ムラが生じたり素子寿命が短くなったりするのを抑制することができる。また、本発明の電子素子は金属基材を有するので、強度を高めることができ、耐久性を向上させることができる。
以下、本発明の電子素子の各構成について説明する。
1.絶縁層
本発明における絶縁層は、金属基材上に形成され、ポリイミドを含むものであり、吸湿膨張係数が0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内であるものである。
上述したように、絶縁層の吸湿膨張係数は小さい必要がある。具体的に、吸湿膨張係数は、0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内であり、好ましくは0ppm/%RH〜12ppm/%RHの範囲内、さらに好ましくは0ppm/%RH〜10ppm/%RHの範囲内である。
なお、吸湿膨張係数は、次のように測定する。まず、絶縁層のみのフィルムを作製する。絶縁層フィルムの作製方法は、耐熱フィルム(ユーピレックス S 50S(宇部興産(株)製))やガラス基板上に絶縁層フィルムを作製した後、絶縁層フィルムを剥離する方法や金属基板上に絶縁層フィルムを作製した後、金属をエッチングで除去し絶縁層フィルムを得る方法などがある。次いで、得られた絶縁層フィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとする。吸湿膨張係数は、湿度可変機械的分析装置(Thermo Plus TMA8310(リガク社製))によって測定する。例えば、温度を25℃で一定とし、まず、湿度を15%RHの環境下でサンプルが安定となった状態とし、概ね30分〜2時間その状態を保持した後、測定部位の湿度を20%RHとし、さらにサンプルが安定になるまで30分〜2時間その状態を保持する。その後、湿度を50%RHに変化させ、それが安定となった際のサンプル長と20%RHで安定となった状態でのサンプル長との違いを、湿度の変化(この場合50−20の30)で割り、その値をサンプル長で割った値を吸湿膨張係数(C.H.E.)とする。測定の際、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重は1g/25000μm2とする。
また、絶縁層の線熱膨張係数は、寸法安定性の観点から、金属基材の線熱膨張係数との差が15ppm/℃以下であることが好ましく、より好ましくは10ppm/℃以下、さらに好ましくは5ppm/℃以下である。絶縁層と金属基材との線熱膨張係数が近いほど、反りが抑制されるとともに、電子素子の熱環境が変化した際に、絶縁層と金属基材との界面の応力が小さくなり密着性が向上する。また、本発明の電子素子は、取り扱い上、0℃〜100℃の範囲の温度環境下では反らないことが好ましいのであるが、絶縁層の線熱膨張係数が大きいために絶縁層および金属基材の線熱膨張係数が大きく異なると、電子素子が熱環境の変化により反ってしまう。
なお、電子素子に反りが発生していないとは、電子素子を幅10mm、長さ50mmの短冊状に切り出し、得られたサンプルの一方の短辺を水平で平滑な台上に固定した際に、サンプルのもう一方の短辺の台表面からの浮上距離が1.0mm以下であることをいう。
さらに、絶縁層の線熱膨張係数は、絶縁層上に形成される電子素子部の種類に応じて適宜選択されることが好ましい。例えば電子素子部がTFTである場合、絶縁層の線熱膨張係数はTFTを構成する半導体層の線熱膨張係数との差が比較的小さいことが好ましい。また例えば電子素子部が有機EL素子である場合、絶縁層の線熱膨張係数は有機EL素子を構成する電極の線熱膨張係数との差が比較的小さいことが好ましい。
具体的に、絶縁層の線熱膨張係数は、寸法安定性の観点から、0ppm/℃〜30ppm/℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0ppm/℃〜25ppm/℃の範囲内、さらに好ましくは0ppm/℃〜18ppm/℃の範囲内、特に好ましくは0ppm/℃〜12ppm/℃の範囲内である。中でも、電子素子部がTFTである場合、0ppm/℃〜7ppm/℃の範囲内であることが最も好ましい。また、電子素子部が有機EL素子である場合、0ppm/℃〜10ppm/℃程度であることが最も好ましい。
なお、線熱膨張係数は、次のように測定する。まず、絶縁層のみのフィルムを作製する。絶縁層フィルムの作製方法は、上述したとおりである。次いで、得られた絶縁層を幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとする。線熱膨張係数は、熱機械分析装置(例えばThermo Plus TMA8310(リガク社製))によって測定する。測定条件は、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とし、100℃〜200℃の範囲内の平均の線熱膨張係数を線熱膨張係数(C.T.E.)とする。
絶縁層は絶縁性を備えるものである。具体的に、絶縁層の体積抵抗は、1.0×109Ω・m以上であることが好ましく、1.0×1010Ω・m以上であることがより好ましく、1.0×1011Ω・m以上であることがさらに好ましい。
なお、体積抵抗は、JIS K6911、JIS C2318、ASTM D257 などの規格に準拠する手法で測定することが可能である。
絶縁層の表面粗さRaとしては、金属基材の表面粗さRaよりも小さいことが好ましい。具体的に、絶縁層の表面粗さRaは25nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以下である。絶縁層の表面粗さRaが大きすぎると、電子素子部がTFTである場合、凹凸によりTFTの電気的性能が劣化するおそれがあるからである。また、絶縁層の表面粗さRaが大きすぎると、電子素子部が有機EL素子である場合、凹凸により電極間で短絡が生じたり輝度ムラが発生したりするおそれがあるからである。
なお、上記表面粗さRaは、原子間力顕微鏡(AFM)もしくは走査型白色干渉計を用いて測定した値である。例えば、AFMを用いて測定する場合は、Nanoscope V multimode(Veeco社製)を用いて、タッピングモードで、カンチレバー:MPP11100、走査範囲:50μm×50μm、走査速度:0.5Hzにて、表面形状を撮像し、得られた像から算出した粗さ曲線の中心線からの平均のずれを算出することよりRaを求めることができる。また、走査型白色干渉計を用いて測定する場合は、New View 5000(Zygo社製)を用いて、対物レンズ:100倍、ズームレンズ:2倍、Scan Length:15μmにて、50μm×50μmの範囲の表面形状を撮像し、得られた像から算出した粗さ曲線の中心線からの平均のずれを算出することよりRaを求めることができる。
絶縁層を構成するポリイミドとしては、上述の特性を満たすものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリイミドの構造を適宜選択することで、吸湿膨張係数や線熱膨張係数を制御することが可能である。
ポリイミドとしては、絶縁層の吸湿膨張係数を所定の範囲とし、絶縁層の線熱膨張係数を本発明の電子素子に好適なものとする観点から、芳香族骨格を含むポリイミドであることが好ましい。ポリイミドの中でも芳香族骨格を含有するポリイミドは、その剛直で平面性の高い骨格に由来して、耐熱性や薄膜での絶縁性に優れ、線熱膨張係数も低いことから、本発明の電子素子の絶縁層に好ましく用いられる。
一般的なポリイミドは、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する。
(式(1)中、R1は4価の有機基、R2は2価の有機基であり、繰り返されるR1同士およびR2同士はそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。nは1以上の自然数である。)
式(1)において、一般に、Rはテトラカルボン酸二無水物由来の構造であり、Rはジアミン由来の構造である。
本発明に用いられるポリイミドは、吸湿膨張係数が0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内である必要があるので、低吸湿性を示す骨格を有することが望ましい。ポリイミドの吸湿性は、その原料であるテトラカルボン酸二無水物の構造ならびにジアミンの構造に起因するので、吸湿膨張係数を0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内とするには、ポリイミドの吸湿性を低下させる構造を有する酸二無水物もしくはジアミンを用いることが望ましい。ポリイミドの吸湿性をより低下させるためには、酸二無水物、ジアミンともポリイミドの吸湿性を低下させる構造を有するものを用いることが望ましい。しかしながら、特に吸湿性の低い酸二無水物を用いることにより、低吸湿ではないジアミンを選択しても、吸湿膨張係数を0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内とすることができる。また、特に吸湿性の低いジアミンを用いる場合は、低吸湿ではない酸二無水物を選択しても、吸湿膨張係数を0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内とすることができる。
ポリイミドに適用可能なテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス−(トリフルオロメチル)キサンテンテトラカルボン酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテンテトラカルボン酸二無水物、12,14−ジフェニル−12,14−ビス(トリフルオロメチル)−12H,14H−5,7−ジオキサペンタセン−2,3,9,10−テトラカルボン酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物、1,4−ビス(トリフルオロメチル)−2,3,5,6−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1−(トリフルオロメチル)−2,3,5,6−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物,p−フェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物、p−ビフェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物等が挙げられる。
これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
ポリイミドを低吸湿にする酸二無水物の構造としては、下記式(6)で表わされるものが挙げられる。
(式(6)中、aは0または1以上の自然数、Aは単結合(ビフェニル構造)、酸素原子(エーテル結合)、エステル結合のいずれかであり、全てが同じであっても、各々異なっていてもよい。酸無水物骨格(―CO−O−CO−)は、隣接する芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは、3,4位に結合する。)
上記式(6)において、Aが単結合(ビフェニル構造)、酸素原子(エーテル結合)である酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物などが挙げられる。これらは、吸湿膨張係数を低減させる観点ならびに、ジアミンの選択性を広げる観点から、好ましい。
上記式(6)において、Aがエステル結合であるフェニルエステル系の酸二無水物は、ポリイミドを低吸湿にする観点から、特に好ましい。例えば、下記式で表わされる酸二無水物が挙げられる。具体的には、p−フェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物、p−ビフェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物などが挙げられる。これらは、吸湿膨張係数を低減させる観点ならびに、ジアミンの選択性を広げる観点から、特に好ましい。
(式中、aは0または1以上の自然数である。酸無水物骨格(―CO−O−CO−)は、隣接する芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは3,4位に結合する。)
上述の吸湿膨張係数が小さいテトラカルボン酸二無水物の場合、後述するジアミンとしては幅広く選択することができる。
併用するテトラカルボン酸二無水物として、下記式で表わされるような少なくとも1つのフッ素原子を有するテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。フッ素が導入されたテトラカルボン酸二無水物を用いると、ポリイミドの吸湿膨張係数が低下する。少なくとも1つのフッ素原子を有するテトラカルボン酸二無水物としては、中でも、フルオロ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基を有することが好ましい。具体的には、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられる。しかしながら、フッ素を含んだ骨格を有するポリイミドの前駆体は、塩基性水溶液に溶解しづらい傾向にあり、ポリイミドの前駆体の状態で、レジスト等を用いてパターニングを行う際には、アルコール等の有機溶媒と塩基性水溶液との混合溶液によって現像を行う必要がある場合がある。
ポリイミドの耐熱性、線熱膨張係数などの観点から好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物である。特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、メロファン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、p−フェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物、p−ビフェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物が挙げられる。
ピロメリット酸二無水物、メロファン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの剛直なテトラカルボン酸二無水物を用いると、ポリイミドの線熱膨張係数が小さくなるので特に好ましい。なかでも、線熱膨張係数と吸湿膨張係数とのバランスの観点から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物、p−ビフェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物が特に好ましい。
また、テトラカルボン酸二無水物として脂環骨格を有する場合、ポリイミド前駆体の透明性が向上するため、高感度の感光性ポリイミド前駆体となる。一方で、ポリイミドの耐熱性や絶縁性が芳香族ポリイミドと比較して劣る傾向にある。
芳香族のテトラカルボン酸二無水物を用いた場合、耐熱性に優れ、低線熱膨張係数を示すポリイミドとなるというメリットがある。したがって、ポリイミドにおいて、上記式(1)中のRのうち33モル%以上が、下記式で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。
(式(2)中、aは0または1以上の自然数、Aは単結合(ビフェニル構造)、酸素原子(エーテル結合)、エステル結合のいずれかであり、全てが同じであっても、各々異なっていてもよい。結合基は、芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは3,4位に結合する。)なお、上記式(2)で表わされる構造は、上記式(6)で表わされる酸二無水物由来の構造である。
中でも、ポリイミドが上記式(2)で表される構造を含むと、低吸湿膨張を示す。さらには、市販で入手が容易であり、低コストであるというメリットもある。
上記のような構造を有するポリイミドは、高耐熱性、低線熱膨張係数を示すポリイミドである。そのため、上記式で表わされる構造の含有量は上記式(1)中のRのうち100モル%に近ければ近いほど好ましいが、少なくとも上記式(1)中のRのうち33%以上含有すればよい。中でも、上記式で表わされる構造の含有量は上記式(1)中のRのうち50モル%以上であることが好ましく、さらに70モル%以上であることが好ましい。
一方、ポリイミドに適用可能なジアミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は特に限定されるものではなく、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンが挙げられる。また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種または2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部もしくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
ポリイミドを低吸湿にするジアミンの構造としては、下記式(3)、(4)で表わされるものが挙げられる。
(式(4)中、aは0または1以上の自然数、アミノ基はベンゼン環同士の結合に対して、メタ位またはパラ位に結合する。また、芳香環上の水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよい。)
上記式(3)、(4)で表わされるジアミンは、ポリイミドを低吸湿にする観点から、好ましい。具体的には、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニルなどが挙げられる。これらは、吸湿膨張係数を低減させる観点ならびに、酸二無水物の選択性を広げる観点から、好ましい。
分子内にビフェニル構造を有する上記式(4)で表わされるジアミンは、ポリイミドを低吸湿にする観点から、さらに好ましい。具体的には、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニルなどが挙げられる。これらは、吸湿膨張係数を低減させる観点ならびに、酸二無水物の選択性を広げる観点から、さらに好ましい。
また、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると吸湿膨張係数を低減させることができる。例えば、上記式(4)で表わされるジアミンの中でフッ素が導入された構造としては、下記式で表わされるものが挙げられる。しかしながら、フッ素を含むポリイミド前駆体、特にポリアミック酸は、塩基性水溶液に溶解しにくく、金属基材上に絶縁層を部分的に形成する場合には、絶縁層の加工の際に、アルコールなどの有機溶媒との混合溶液で現像する必要がある場合がある。
ジアミンは、目的の物性によって選択することができ、p−フェニレンジアミンなどの剛直なジアミンを用いれば、ポリイミドは低膨張係数となる。剛直なジアミンとしては、同一の芳香環に2つアミノ基が結合しているジアミンとして、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接または置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、上記式(4)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
さらに、上記式(4)において、他のベンゼン環との結合に関与せず、ベンゼン環上のアミノ基が置換していない位置に置換基を有するジアミンも用いることができる。これら置換基は、1価の有機基であるがそれらは互いに結合していてもよい。具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
一方、ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン骨格を有するジアミンを用いると、金属基材との密着性を改善したり、ポリイミドの弾性率が低下し、ガラス転移温度を低下させたりすることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いてもよい。
また、ポリイミドにおいては、上記式(1)中のRのうち33モル%以上が下記式で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。
(Rは2価の有機基、酸素原子、硫黄原子、またはスルホン基であり、RおよびRは1価の有機基、またはハロゲン原子である。)
ポリイミドが上記式のいずれかの構造を含むと、これら剛直な骨格に由来し、低線熱膨張および低吸湿膨張を示す。さらには、市販で入手が容易であり、低コストであるというメリットもある。
上記のような構造を有する場合、ポリイミドの耐熱性が向上し、線熱膨張係数が小さくなる。そのため、上記式(1)中のRのうち100モル%に近ければ近いほど好ましいが、上記式(1)中のRのうち少なくとも33%以上含有すればよい。中でも上記式で表わされる構造の含有量は上記式(1)中のRのうち50モル%以上であることが好ましく、さらに70モル%以上であることが好ましい。
ポリイミドにおいて、上記式(1)中のR(酸二無水物)およびR(ジアミン)の好ましい組み合わせとしては、下記(i)〜(iii)の組み合わせが挙げられる。
(i)R1が下記式(2)で表される構造であり、Aがエステル結合である場合、(ii)R1が下記式(2)で表される構造であり、Aが単結合(ビフェニル構造)、酸素原子(エーテル結合)、エステル結合のいずれかで、全てが同じであっても各々異なっていてもよく(ただし、全てがエステル結合の場合を除く)、またR2が下記式(3)または(4)で表される構造である場合、(iii)R2が下記式(4)で表される構造である場合である。なお、各式中の記号については、上述したとおりである。
上記(ii)の場合、上記式(1)中のRのうち50モル%以上が上記式(3)、(4)で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。また、上記(iii)の場合、上記式(1)中のRのうち50モル%以上が上記式(4)で表わされる構造であることが好ましい。
一般に金属基材の線熱膨張係数、すなわち金属の線熱膨張係数はある程度定まっているため、使用する金属基材の線熱膨張係数に応じて絶縁層の線熱膨張係数を決定し、ポリイミドの構造を適宜選択することが好ましい。
また、電子素子部がTFTである場合には、TFTの線熱膨張係数に応じて金属基材の線熱膨張係数を決定し、その金属基材の線熱膨張係数に応じて絶縁層の線熱膨張係数を決定し、ポリイミドの構造を適宜選択することが好ましい。同様に、電子素子部が有機EL素子である場合には、有機EL素子の線熱膨張係数に応じて金属基材の線熱膨張係数を決定し、その金属基材の線熱膨張係数に応じて絶縁層の線熱膨張係数を決定し、ポリイミドの構造を適宜選択することが好ましい。
本発明においては、絶縁層が上述のポリイミドを含有していればよく、必要に応じて適宜、このポリイミドと他のポリイミドとを積層したり組み合わせたりして、絶縁層として用いてもよい。
また、上述のポリイミドは、感光性ポリイミドまたは感光性ポリイミド前駆体を用いて得られるものであってもよい。感光性ポリイミドは、公知の手法を用いて得ることができる。例えば、ポリアミック酸のカルボキシル基にエステル結合やイオン結合でエチレン性二重結合を導入し、得られるポリイミド前駆体に光ラジカル開始剤を混合し、溶剤現像ネガ型感光性ポリイミド前駆体とすることができる。また例えば、ポリアミック酸やその部分エステル化物にナフトキノンジアジド化合物を添加し、アルカリ現像ポジ型感光性ポリイミド前駆体とする、あるいは、ポリアミック酸にニフェジピン系化合物を添加しアルカリ現像ネガ型感光性ポリイミド前駆体とするなど、ポリアミック酸に光塩基発生剤を添加し、アルカリ現像ネガ型感光性ポリイミド前駆体とすることができる。
これらの感光性ポリイミド前駆体には、ポリイミド成分の重量に対して15%〜35%の感光性付与成分が添加されている。そのため、パターン形成後に300℃〜400℃で加熱したとしても、感光性付与成分由来の残渣がポリイミド中に残存する。これらの残存物が線熱膨張係数や吸湿膨張係数を大きくする原因となることから、感光性ポリイミド前駆体を用いると、非感光性のポリイミド前駆体を用いた場合に比べて、素子の信頼性が低下する傾向にある。しかしながら、ポリアミック酸に光塩基発生剤を添加した感光性ポリイミド前駆体は、添加剤である光塩基発生剤の添加量を15%以下にしてもパターン形成可能であることから、ポリイミドとした後も添加剤由来の分解残渣が少なく、線熱膨張係数や吸湿膨張係数などの特性の劣化が少なく、さらにアウトガスも少ないため、本発明に適用可能な感光性ポリイミド前駆体としては最も好ましい。
ポリイミドに用いられるポリイミド前駆体は、塩基性水溶液によって現像可能であることが、金属基材上に絶縁層を部分的に形成する際に、作業環境の安全性確保およびプロセスコストの低減の観点から好ましい。塩基性水溶液は、安価に入手でき、廃液処理費用や作業安全性確保のための設備費用が安価であるため、より低コストでの生産が可能となる。
絶縁層はポリイミドを含むものであればよいが、中でもポリイミドを主成分とすることが好ましい。ポリイミドを主成分とすることにより、絶縁性、耐熱性に優れた絶縁層とすることが可能となる。また、ポリイミドを主成分とすることにより、絶縁層の薄膜化が可能となり絶縁層の熱伝導性が向上し、熱伝導性に優れたものとすることができる。
なお、絶縁層がポリイミドを主成分とするとは、上述の特性を満たす程度に、絶縁層がポリイミドを含有することをいう。具体的には、絶縁層中のポリイミドの含有量が75質量%以上の場合をいい、好ましくは90質量%以上であり、特に絶縁層がポリイミドのみからなることが好ましい。絶縁層中のポリイミドの含有量が上記範囲であれば、本発明の目的を達成するのに十分な特性を示すことが可能であり、ポリイミドの含有量が多いほど、ポリイミド本来の耐熱性や絶縁性などの特性が良好となる。
絶縁層には、必要に応じて、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤等の添加剤が含有されていてもよい。
絶縁層は、金属基材上に全面に形成されていてもよく、金属基材上に部分的に形成されていてもよい。すなわち、金属基材の絶縁層が形成されている面に、絶縁層が存在せず、金属基材が露出している金属基材露出領域が設けられていてもよい。このような金属基材露出領域を有する場合には、電子素子部が有機EL素子である場合に、封止部材と金属基材とを直に密着させることが可能となり、有機EL素子への水分の浸入をより強固に防ぐことが可能となる。また、封止部を金属基材露出領域に選択的に形成することで、有機EL素子を面内で区分けしたり、多面付けした状態で封止したりすることが可能となり、高い生産性で素子を製造できるといった利点を有する。また、金属基材露出領域は、絶縁層を貫通し金属基材に電気的に導通をとるための貫通孔にもなり得る。
絶縁層が金属基材上に部分的に形成されている場合、図5(a)、(b)に例示するように、絶縁層3は、少なくとも金属基材2の外縁部を除いて形成されていてもよい。図5(a)は図5(b)のA−A線断面図であり、図5(a)、(b)に例示する電子素子1においては、金属基材2と封止部材15とが接着部16を介して貼り合わされており、有機EL素子10が封止されている。なお、図5(b)において、有機EL素子、封止部材および接着部は省略されている。電子素子部が有機EL素子である場合、金属基材の全面に絶縁層が形成されており絶縁層の端部が露出していると、一般にポリイミドは吸湿性を示すため、製造時や駆動時に絶縁層の端面から素子内部に水分が浸入するおそれがある。この水分によって、素子性能が劣化したり、絶縁層の寸法が変化したりする。そのため、金属基材の外縁部には絶縁層が形成されておらず、直接外気にポリイミドを含有する絶縁層が曝される部分をできる限り少なくすることが好ましい。
なお、本発明において、絶縁層が金属基材上に部分的に形成されているとは、絶縁層が金属基材の全面に形成されていないことを意味する。
絶縁層は、金属基材の外縁部を除いて金属基材上に一面に形成されていてもよく、金属基材の外縁部を除いて金属基材上にさらにパターン状に形成されていてもよい。
絶縁層の厚みは、上述の特性を満たすことができる厚みであれば特に限定されないが、具体的には、0.3μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5μm〜50μmの範囲内、さらに好ましくは1μm〜20μmの範囲内である。絶縁層の厚みが薄すぎると、絶縁性が維持できなかったり、金属基材表面の凹凸を平坦化することが困難であったりするからである。また、絶縁層の厚みが厚すぎると、フレキシブル性が低下したり、過重になったり、製膜時の乾燥が困難になったり、材料使用量が増えるためにコストが高くなったりするからである。さらには、本発明の電子素子に放熱機能を付与する場合には、絶縁層の厚みが厚いとポリイミドは金属よりも熱伝導率が低いために熱伝導性が低下する。
絶縁層の形成方法としては、平滑性の良好な絶縁層が得られる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、金属基材上にポリイミド溶液またはポリイミド前駆体溶液を塗布する方法、金属基材とポリイミドフィルムとを接着剤を介して貼り合せる方法、金属基材とポリイミドフィルムとを加熱圧着する方法を用いることができる。中でも、ポリイミド溶液またはポリイミド前駆体溶液を塗布する方法が好ましい。平滑性に優れる絶縁層が得られるからである。特に、ポリイミド前駆体溶液を塗布する方法が好適である。一般にポリイミドは溶媒への溶解性に乏しいからである。また、溶媒への溶解性が高いポリイミドは、耐熱性、線熱膨張係数、吸湿膨張係数などの物性に劣るからである。
塗布方法としては、平滑性の良好な絶縁層を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
ポリイミド溶液またはポリイミド前駆体溶液を塗布する場合、塗布後にポリイミドまたはポリイミド前駆体のガラス転移温度以上に加熱することで、膜の流動性を高め、平滑性を良くすることもできる。
また、絶縁層を金属基材上に部分的に形成する場合、その形成方法としては、印刷法、フォトリソグラフィー法、レーザー等で直接加工する方法を用いることができる。フォトリソグラフィー法としては、例えば、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸を金属基材上に製膜後、ポリアミック酸膜上に感光性樹脂膜を形成し、フォトリソグラフィー法により感光性樹脂膜パターンを形成し、その後、そのパターンをマスクとして、パターン開口部のポリアミック酸膜を除去した後、感光性樹脂膜パターンを除去し、ポリアミック酸をイミド化する方法;上記感光性樹脂膜パターンの形成時に同時にポリアミック酸膜も現像し、その後、感光性樹脂膜パターンを除去し、ポリアミック酸をイミド化する方法;金属基材および絶縁層の積層体の状態で、絶縁層上に感光性樹脂膜パターンを形成し、そのパターンに沿って絶縁層をウェットエッチング法またはドライエッチング法によりエッチングした後、感光性樹脂パターンを除去する方法;金属基材と絶縁層と金属基材とが積層された積層体の一方の金属基材をパターニングし、そのパターンをマスクとして絶縁層をエッチングした後、金属パターンを除去する方法;感光性ポリイミドまたは感光性ポリイミド前駆体を用いて、金属基材上に直接、絶縁層のパターンを形成する方法が挙げられる。印刷法としては、グラビア印刷やフレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット法など公知の印刷技術を用いた方法を例示することができる。
2.金属基材
本発明における金属基材は、絶縁層や電子素子部を支持するものである。
金属基材の線熱膨張係数としては、寸法安定性の観点から、0ppm/℃〜25ppm/℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0ppm/℃〜18ppm/℃の範囲内、さらに好ましくは0ppm/℃〜12ppm/℃の範囲内、特に好ましくは0ppm/℃〜7ppm/℃の範囲内である。なお、上記線熱膨張係数の測定方法については、金属基材を幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとする以外は、上記絶縁層の線熱膨張係数の測定方法と同様である。
また、金属基材は耐酸化性を有することが好ましい。電子素子部がTFTである場合、通常、TFTの作製時に高温処理が施されるからである。特に、TFTが酸化物半導体層を有する場合には、酸素の存在下、高温でアニール処理が行なわれることから、金属基材は耐酸化性を有することが好ましい。
金属基材を構成する金属材料としては、上述の特性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、銅、銅合金、リン青銅、ステンレス鋼(SUS)、金、金合金、ニッケル、ニッケル合金、銀、銀合金、スズ、スズ合金、チタン、鉄、鉄合金、亜鉛、モリブデン等が挙げられる。中でも、大型の素子に適用する場合、SUSが好ましい。SUSは耐酸化性に優れ、また耐熱性にも優れている上、銅などに比べ線熱膨張係数が小さく寸法安定性に優れる。また、SUS304については特に入手しやすいという利点があり、SUS430については入手しやすく、線熱膨張係数がSUS304より小さいという利点もある。一方、電子素子部がTFTである場合、金属基材およびTFTの線熱膨張係数を考慮すると、線熱膨張係数の観点からは、SUS430よりさらに低線熱膨張係数のチタンやインバーが好ましい。ただし、線熱膨張係数のみでなく、耐酸化性、耐熱性、金属基材の展性および延性などに起因する箔の加工性や、コストも考慮に入れて選択するのが望ましい。
金属基材の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、箔状や板状であってもよく、図6に例示するように金属基材2の形状が空気との接触面に凹凸を有する形状であってもよい。特に、図6に例示するように電子素子部が有機EL素子10である場合には、金属基材2の形状が空気との接触面に凹凸を有する形状であることが好ましい。金属基材が空気との接触面に凹凸を有する場合には、熱拡散が良好となり、放熱性を高めることができる。
凹凸の形成方法としては、例えば金属基材の表面に直接、エンボス加工、エッチング加工、サンドブラスト加工、フロスト加工、スタンプ加工などの加工を施す方法、フォトレジスト等を用いて凹凸パターンを形成する方法が挙げられる。
金属基材の厚みとしては、上述の特性を満たすことができる厚みであれば特に限定されなく、電子素子部の種類に応じて適宜選択される。具体的に、金属基材の厚みは、1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1μm〜200μmの範囲内、さらに好ましくは1μm〜100μmの範囲内である。金属基材の厚みが薄すぎると、放熱機能を十分に発揮できなかったり、酸素や水蒸気に対するガスバリア性が低下したり、強度が低下したりするおそれがある。また、金属基材の厚みが厚すぎると、フレキシブル性が低下したり、過重になったり、コスト高になったりする。
金属基材の作製方法としては、一般的な方法を用いることができ、金属材料の種類や金属基材の厚みなどに応じて適宜選択される。例えば、金属基材単体を得る方法であってもよく、ポリイミドフィルムからなる絶縁層上に金属材料を蒸着し、金属基材と絶縁層との積層体を得る方法であってもよい。中でも、ガスバリア性の観点から、金属基材単体を得る方法が好ましい。金属基材単体を得る方法の場合であって、金属基材が金属箔である場合、金属箔は圧延箔であってもよく電解箔であってもよいが、ガスバリア性が良好であることから、圧延箔が好ましい。
金属基材の表面粗さRaとしては、上記絶縁層の表面粗さRaよりも大きいものであり、例えば50nm〜200nm程度である。なお、上記表面粗さの測定方法については、上記絶縁層の表面粗さの測定方法と同様である。
3.電子素子部
本発明における電子素子部は、上記絶縁層上に形成されるものである。
電子素子部は水分に弱いものであれば特に限定されるものではなく、例えば、有機EL素子、TFTが挙げられる。以下、有機EL素子およびTFTに分けて説明する。
(1)有機EL素子
本発明における有機EL素子は、上記絶縁層上に形成された背面電極層と、上記背面電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含むEL層と、上記EL層上に形成された透明電極層とを有するものである。
本発明においては、絶縁層の吸湿膨張係数が所定の範囲であり、吸水性が十分小さいので、絶縁層の耐熱性や絶縁信頼性を維持しつつ、水分による有機EL素子の特性劣化を抑制することができる。また、有機EL素子の発光時の熱を金属基材を通して放出することができ、熱によってEL層が劣化し、輝度ムラが生じたり素子寿命が短くなったりするのを抑制することができる。さらに、金属基材が水蒸気や酸素に対するガスバリア性を有するので、素子性能を良好に維持することができる。また、金属基材で支持されているので、耐久性に優れたものとすることができる。
以下、有機EL素子の各構成について説明する。
(a)背面電極層
本発明における背面電極層は、上記絶縁層上に形成されるものである。有機EL素子においては透明電極層側から光を取り出すため、背面電極層は透明性を有していてもよく有さなくてもよい。
背面電極層の材料としては、導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、Au、Ta、W、Pt、Ni、Pd、Cr、Cu、Mo、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属単体、これらの金属の酸化物、およびAlLi、AlCa、AlMg等のAl合金、MgAg等のMg合金、Ni合金、Cr合金、アルカリ金属の合金、アルカリ土類金属の合金等の合金などを挙げることができる。これらの導電性材料は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、2種以上を用いて積層させてもよい。また、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)等の導電性酸化物を用いることもできる。
背面電極層は、絶縁層上に形成された金属電極と、金属電極層上に形成された透明電極とを有するものであってもよい。すなわち、背面電極層は、金属電極と透明電極とが積層されたものであってもよい。例えば、絶縁層上に、金属電極、透明電極、正孔注入輸送層、有機発光層、電子注入輸送層、および透明電極層が順に積層された有機EL素子とすることができる。この場合、背面電極層が金属電極と透明電極とが積層されたものであることで、透明電極にITO等の仕事関数が5.0eV近傍の導電性材料を使用することができ、この透明電極上に正孔注入輸送層を形成することで、電荷を輸送しやすくすることができる。また、透明電極の厚みを制御することにより、光路長を調整することが可能である。
金属電極の材料としては、上述の金属単体、これらの金属の酸化物、および合金などを用いることができる。また、透明電極の材料としては、上述の導電性酸化物を用いることができる。
背面電極層は、一面に形成されていてもよく、パターン状に形成されていてもよい。本発明の電子素子を照明装置に用いる場合、背面電極層は一面に形成される。また、本発明の電子素子をパッシブマトリクス型有機EL表示装置に用いる場合、背面電極層はパターン状に形成される。
背面電極層の形成方法および厚みとしては、一般的な有機EL素子における電極と同様とすることができる。
(b)EL層
本発明におけるEL層は、背面電極層上に形成され、有機発光層を含むものであり、少なくとも有機発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有するものである。すなわち、EL層とは、少なくとも有機発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布法でEL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、EL層は1層もしくは2層の有機層を有する場合が多いが、溶媒への溶解性が異なるように有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
有機発光層以外にEL層内に形成される層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層および電子輸送層を挙げることができる。正孔注入層および正孔輸送層は一体化されている場合がある。同様に、電子注入層および電子輸送層は一体化されている場合がある。その他、EL層内に形成される層としては、キャリアブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めることにより、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
このようにEL層は種々の層を積層した積層構造を有することが多く、積層構造としては多くの種類がある。
EL層を構成する各層としては、一般的な有機EL表示装置に用いられるものと同様とすることができる。
(c)透明電極層
本発明における透明電極層は、EL層上に形成されるものである。有機EL素子においては透明電極層側から光を取り出すため、透明電極層は透明性を有している。
透明電極層の材料としては、透明電極を形成可能な導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)等の導電性酸化物を用いることができる。
透明電極層は、一面に形成されていてもよく、パターン状に形成されていてもよい。本発明の電子素子を照明装置に用いる場合、透明電極層は一面に形成される。また、本発明の電子素子をパッシブマトリクス型有機EL表示装置に用いる場合、透明電極層はパターン状に形成される。
透明電極層の形成方法および厚みとしては、一般的な有機EL素子における電極と同様とすることができる。
(2)TFT
本発明におけるTFTは、上記絶縁層上に形成されるものである。
本発明においては、絶縁層の吸湿膨張係数が所定の範囲であり、吸水性が十分小さいので、絶縁層の耐熱性や絶縁信頼性を維持しつつ、水分によるTFTの特性劣化を抑制することができる。また、金属基材上に絶縁層が形成されているので、絶縁層によって金属基材表面の凹凸を平坦化することができ、凹凸によるTFTの電気的性能の低下を抑制することができる。さらに、金属基材が酸素や水蒸気に対するガスバリア性を有するので、水分や酸素による素子性能の劣化を抑制することができる。また、金属基材で支持されているので、耐久性に優れたものとすることができる。
TFTの構造としては、例えば、トップゲート構造(正スタガ型)、ボトムゲート構造(逆スタガ型)、コプレーナ型構造を挙げることができる。トップゲート構造(正スタガ型)およびボトムゲート構造(逆スタガ型)の場合には、さらにトップコンタクト構造、ボトムコンタクト構造を挙げることができる。これらの構造は、TFTを構成する半導体層の種類に応じて適宜選択される。
TFTを構成する半導体層としては、絶縁層上に形成することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、酸化物半導体、有機半導体が用いられる。
シリコンとしては、ポリシリコン、アモルファスシリコンを用いることができる。
酸化物半導体としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、酸化マグネシウム亜鉛(MgZn1−xO)、酸化カドミウム亜鉛(CdZn1−xO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化インジウム(In)、酸化ガリウム(Ga)、酸化スズ(SnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タングステン(WO)、InGaZnO系、InGaSnO系、InGaZnMgO系、InAlZnO系、InFeZnO系、InGaO系、ZnGaO系、InZnO系を用いることができる。
有機半導体としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン、テトラセン、チオフェンオリゴマ誘導体、フェニレン誘導体、フタロシアニン化合物、ポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、シアニン色素等が挙げられる。
中でも、半導体層は、上述の酸化物半導体からなる酸化物半導体層であることが好ましい。酸化物半導体は水や酸素の影響によりその電気特性が変化するが、金属基材が水蒸気に対するガスバリア性を有するため、半導体の特性劣化を抑制することができる。
半導体層の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
TFTを構成するゲート電極、ソース電極およびドレイン電極としては、所望の導電性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、一般的にTFTに用いられる導電性材料を用いることができる。このような材料の例としては、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Au、Ag、Pt、Mo−Ta合金、W−Mo合金、ITO、IZO等の無機材料、および、PEDOT/PSS等の導電性を有する有機材料を挙げることができる。
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
TFTを構成するゲート絶縁膜としては、一般的なTFTにおけるゲート絶縁膜と同様のものを用いることができ、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の絶縁性無機材料、および、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の絶縁性有機材料等の絶縁性有機材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
TFT上には保護膜が形成されていてもよい。保護膜は、TFTを保護するために設けられるものである。例えば、半導体層が空気中に含有される水分等に曝露されることを防止することができる。保護膜が形成されていることにより、TFT性能の経時劣化を低減することができるのである。このような保護膜としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素が用いられる。
保護膜の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
4.密着層
本発明においては、絶縁層と電子素子部との間に、無機化合物を含む密着層が形成されていてもよい。密着層が形成されていることにより、絶縁層および電子素子部の密着性を良好なものとすることができる。また、本発明における電子素子部は上述したように有機EL素子やTFTなどの水分に弱いものであるため、絶縁層と電子素子部との間に密着層が形成されていることにより、絶縁層から電子素子部への水分の透過を低減することができ、絶縁層中にわずかに残存している水分の影響を回避することができる。
中でも、電子素子部がTFTである場合には、密着層が形成されていることが好ましい。絶縁層およびTFTの密着力を高め、TFTに剥離やクラックが生じるのを防ぐことができる。
密着層は平滑性を有することが好ましい。密着層の表面粗さRaは、金属基材の表面粗さRaよりも小さければよく、具体的に、25nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以下である。密着層の表面粗さRaが大きすぎると、電子素子部がTFTである場合、TFTの電気的性能が劣化するおそれがあるからである。なお、上記表面粗さの測定方法については、上記絶縁層の表面粗さの測定方法と同様である。
また、密着層は耐熱性を有することが好ましい。電子素子部がTFTである場合、TFTの作製時には通常、高温処理が施されるからである。密着層の耐熱性としては、密着層の5%重量減少温度が300℃以上であることが好ましい。
なお、5%重量減少温度の測定については、熱分析装置(DTG−60((株)島津製作所製))を用いて、雰囲気:窒素雰囲気、温度範囲:30℃〜600℃、昇温速度:10℃/minにて、熱重量・示差熱(TG−DTA)測定を行い、試料の重量が5%減る温度を5%重量減少温度(℃)とした。
密着層は、通常、絶縁性を有する。密着層上に電子素子部が形成されるため、密着層に絶縁性が求められるからである。
また、電子素子部がTFTである場合、密着層は、絶縁層に含まれる不純物イオンなどがTFTの半導体層に拡散するのを防ぐものであることが好ましい。具体的に、密着層のイオン透過性としては、鉄(Fe)イオン濃度が0.1ppm以下であることが好ましく、あるいはナトリウム(Na)イオン濃度が50ppb以下であることが好ましい。なお、Feイオン、Naイオンの濃度の測定方法としては、密着層上に形成された層をサンプリングして抽出した後、イオンクロマトグラフィー法により分析する方法が用いられる。
密着層は、素子内の水分を軽減する目的から吸湿性が低い方が望ましい。
また、密着層は、水分子の透過性が低い方が望ましい。絶縁層中にわずかに残存している水分の影響を回避できるからである。
密着層を構成する無機化合物としては、上述の特性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化クロム、酸化チタンを挙げることができる。これらは1種であってもよく2種以上であってもよい。
密着層は、単層であってもよく多層であってもよい。
密着層が多層膜である場合、上述の無機化合物からなる層が複数層積層されていてもよく、上述の無機化合物からなる層と金属からなる層とが積層されていてもよい。この場合に用いられる金属としては、上述の特性を満たす密着層を得ることができれば特に限定されるものではなく、例えば、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素を挙げることができる。
また、密着層が多層膜である場合、密着層の最表層は酸化ケイ素膜であることが好ましい。すなわち、電子素子部がTFTである場合、酸化ケイ素膜上にTFTが作製されることが好ましい。酸化ケイ素膜は上述の特性を十分に満たすからである。この場合の酸化ケイ素はSiO(Xは1.5〜2.0の範囲内)であることが好ましい。
中でも、密着層は、絶縁層上に形成され、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化クロムおよび酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1種からなる第1密着層と、第1密着層上に形成され、酸化ケイ素からなる第2密着層とを有することが好ましい。第1密着層により絶縁層と第2密着層との密着性を高めることができ、第2密着層により絶縁層とTFTとの密着性を高めることができるからである。また、酸化ケイ素からなる第2密着層は上述の特性を十分に満たすからである。
密着層の厚みは、上述の特性を満たすことができる厚みであれば特に限定されないが、具体的には、1nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。厚みが薄すぎると、十分な密着性が得られないおそれがあり、厚みが厚すぎると、密着層にクラックが生じるおそれがあるからである。また、素子への水分の影響を軽減する観点からは、上記範囲の中でも5nm以上であることが好ましい。密着層の厚みが5nm以上であれば、絶縁層から電子素子部への水分の透過を低減することができからである。
また、密着層が上述したように第1密着層および第2密着層を有する場合、第2密着層の厚みは第1密着層よりも厚く、第1密着層は比較的薄く、第2密着層は比較的厚いことが好ましい。この場合、第1密着層の厚みは、0.1nm〜50nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5nm〜20nmの範囲内、さらに好ましくは1nm〜10nmの範囲内である。また、第2密着層の厚みは、10nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは50nm〜300nmの範囲内、さらに好ましくは80nm〜120nmの範囲内である。上述したように、厚みが薄すぎると、十分な密着性が得られないおそれがあり、厚みが厚すぎると、密着層にクラックが生じるおそれがあるからである。
密着層は、金属基材上に全面に形成されていてもよく、金属基材上に部分的に形成されていてもよい。中でも、絶縁層が金属基材上に部分的に形成されている場合には、密着層も絶縁層と同様に金属基材上に部分的に形成されていることが好ましい。金属基材上に直に無機化合物を含む密着層が形成されていると、密着層にクラックなどが生じる場合があるからである。すなわち、密着層および絶縁層は同様の形状であることが好ましい。
密着層の形成方法としては、上述の無機化合物からなる層や上述の金属からなる層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、DC(直流)スパッタリング法、RF(高周波)マグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD(化学気相蒸着)法等を挙げることができる。中でも、上述の無機化合物からなる層を形成する場合であって、アルミニウムやケイ素を含む層を形成する場合には、反応性スパッタリング法を用いることが好ましい。絶縁層との密着性に優れる膜が得られるからである。
5.その他の構成
本発明においては、金属基材と絶縁層との間に中間層が形成されていてもよい。例えば、金属基材および絶縁層の間に、金属基材を構成する金属が酸化された酸化膜からなる中間層が形成されていてもよい。これにより、金属基材と絶縁層との密着性を高めることができる。この酸化膜は、金属基材表面が酸化されることで形成される。
また、金属基材の絶縁層が形成されている面とは反対側の面にも上記酸化膜が形成されていてもよい。
また、電子素子部が有機EL素子である場合、上述の構成の他に、必要に応じて、絶縁膜、隔壁、封止部材などが形成されていてもよい。
6.用途
本発明の電子素子の用途は、電子素子部の種類に応じて適宜選択される。
電子素子部が有機EL素子である場合、用途としては、照明装置やパッシブマトリクス型有機EL表示装置が挙げられる。
図1に例示する電子素子1のように、電子素子部が有機EL素子10であり、背面電極層11、EL層12および透明電極層13が一面に形成されている場合、照明装置に適用することができる。
また、図7に例示する電子素子1は、金属基材2と、金属基材2上に形成され、ポリイミドを含み、所定の吸湿膨張係数を有する絶縁層3と、絶縁層3上に形成された有機EL素子10(電子素子部)とを有している。有機EL素子10は、絶縁層3上にストライプ状(図示なし)に形成された背面電極層11と、背面電極層11の端部を覆うように形成され、画素を画定する絶縁膜16と、絶縁膜16上に、背面電極層11のストライプパターンと交差するようにストライプ状に形成された隔壁17と、隔壁17の上から形成され、少なくとも有機発光層を含むEL層12と、EL層12上に形成された透明電極層13とを有している。この電子素子のように、電子素子部が有機EL素子であり、背面電極層、EL層および透明電極層がパターン状に形成されている場合には、パッシブマトリクス型有機EL表示装置に適用することができる。
一方、電子素子部がTFTである場合、用途としては、アクティブマトリクス型表示装置が挙げられる。アクティブマトリクス型表示装置としては、有機EL表示装置、電子ペーパー、反射型液晶表示装置が挙げられる。特に、有機EL表示装置または電子ペーパーに好ましく用いられる。また、電子素子部がTFTである場合、本発明の電子素子を、RFIDなどの回路や、センサーに用いることもできる。
図8は、本発明の電子素子を備える有機EL表示装置の一例を示す概略断面図である。図8に例示する有機EL表示装置30は、金属基材2と、金属基材2上に形成され、ポリイミドを含み、所定の吸湿膨張係数を有する絶縁層3と、絶縁層3上に形成された駆動用TFT20Aおよびスイッチング用TFT20B(電子素子部)とを有する電子素子を備え、さらに、駆動用TFT20Aおよびスイッチング用TFT20Bを覆うように形成された保護膜25と、保護膜25上に形成され、スルーホールを介して駆動用TFT20Aのドレイン電極22Dと電気的に接続された画素電極31と、画素電極31上に形成され、発光層を含むEL層32と、EL層32上に形成された共通電極33とを有している。駆動用TFT20Aおよびスイッチング用TFT20Bはいずれもボトムゲート・トップコンタクト構造を有し、絶縁層3上に形成されたゲート電極23Gと、ゲート電極23G上に形成されたゲート絶縁膜24と、ゲート絶縁膜24上に形成された半導体層21ならびにソース電極22Sおよびドレイン電極22Dとを有している。
有機EL表示装置を構成する各層としては、一般的な有機EL表示装置に用いられるものと同様とすることができる。
図9は、本発明の電子素子を備える電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。図9に例示する電子ペーパー40は、金属基材2と、金属基材2上に形成され、ポリイミドを含み、所定の吸湿膨張係数を有する絶縁層3と、絶縁層3上に形成されたTFT20(電子素子部)とを有する電子素子を備え、さらに、TFT20を覆うように形成された保護膜25と、保護膜25上に形成され、スルーホールを介してTFT20のドレイン電極22Dと電気的に接続された画素電極41と、画素電極41上に形成された表示層42と、表示層42上に形成された共通電極43とを有している。TFT20はボトムゲート・トップコンタクト構造を有し、絶縁層3上に形成されたゲート電極23Gと、ゲート電極23G上に形成されたゲート絶縁膜24と、ゲート絶縁膜24上に形成された半導体層21ならびにソース電極22Sおよびドレイン電極22Dとを有している。
電子ペーパーの表示方式としては、公知のものを適用することができ、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、粉体移動方式(電子粉流体方式、帯電トナー型方式)、液晶表示方式、サーマル方式(発色方式、光散乱方式)、エレクトロデポジション方式、可動フィルム方式、エレクトロクロミック方式、エレクトロウェッティング方式、磁気泳動方式などが挙げられる。
電子ペーパーを構成する表示層としては、電子ペーパーの表示方式に応じて適宜選択される。
また、電子ペーパーを構成する各層としては、一般的な電子ペーパーに用いられるものと同様とすることができる。
7.他の実施態様
本発明の電子素子の他の実施態様は、金属基材と、上記金属基材上に形成され、ポリイミドを含む絶縁層と、上記絶縁層上に形成された電子素子部とを有し、上記絶縁層の表面粗さRaが25nm以下であり、上記絶縁層の厚みが100nm〜30μmの範囲内であり、上記絶縁層の線熱膨張係数と上記金属基材の線熱膨張係数との差が15ppm/℃以下であることを特徴とするものである。
有機EL素子やTFTなどの電子素子は、水分に対する耐性が弱く、水分により素子特性が低下する。水分による素子特性の低下を抑制する手法としては、封止部材や封止構造によって素子を封止するなど、外部から素子への水分の浸入を防止する手法が主流である。この際、ガスバリア性を有する基板が用いられる。ガスバリア性を有する基板としては、ガラス基板、ガスバリアフィルム、金属箔などが用いられる。例えば特許文献1には、金属板や金属箔上に絶縁層が形成された基板が提案されている。金属板や金属箔上に絶縁層が形成された基板は、ガスバリア性やフレキシブル性に優れているという利点を有する。また、熱伝導性にも優れていることから、有機EL素子の基板として好適である。
一方、外部から素子への水分の浸入を防止することができたとしても、素子内部に水分が内在すると素子特性が劣化する。
上記絶縁層には、耐熱性、絶縁性、寸法安定性などに優れることから、ポリイミドを好適に用いることができる。しかしながら、ポリイミドは吸湿性が高い。そのため、上述したように素子内部に内在する水分の問題が顕著となる。
素子内部に内在する水分を低減するためには、例えば、ポリイミドを真空中で気相法により成膜することが考えられる。
ところで、金属箔が圧延箔の場合には表面に圧延筋による凹凸が存在し、金属箔が電解箔の場合にも表面に凹凸が存在する。そのため、TFTでは、凹凸によりTFTの電気的性能が低下するおそれがある。また、有機EL素子では、凹凸により電極間で短絡が生じるおそれがある。したがって、絶縁層は表面平滑性が良好であることが望ましい。
ポリイミドを真空中で気相法により成膜する場合、厚膜化が困難であり、所望の表面平滑性を得ることは難しい。一方、ポリイミドを塗布法により成膜することで、厚膜化が可能であり、所望の表面平滑性を得ることはできるが、厚膜としたことにより反りが生じる可能性がある。したがって、ポリイミドは線熱膨張係数が低いことが望ましい。
本実施態様によれば、絶縁層の厚みが100nm〜30μmの範囲内と比較的厚いので、絶縁層の表面粗さRaを25nm以下と小さくすることができ、表面平滑性の良好な絶縁層とすることができる。
また本実施態様によれば、絶縁層の厚みが比較的厚いので、上述したように反りが懸念されるが、絶縁層の線熱膨張係数と金属基材の線熱膨張係数との差が15ppm/℃以下であるので、反りを抑制することができる。さらに、熱環境が変化した際にも絶縁層と金属基材との界面の応力が小さく、密着性を維持することができる。
また、上述したようにポリイミドは吸湿性が高いので、絶縁層の厚みが100nm〜30μmの範囲内と比較的厚いと、絶縁層に内在する水分が多くなる。したがって、ポリイミドは吸湿性が低いことが好ましい。ここで、吸水性の指標としては吸湿膨張係数がある。よって、具体的には、絶縁層の吸湿膨張係数は0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内であることが好ましい。
また、絶縁層の形成方法としては、通常、塗布法が用いられる。表面平滑性の良好な絶縁層が得られるからである。また、気相法では塗布法に比べて膜物性が低下する傾向にあるので、塗布法を用いることは、表面平滑性だけではなく膜物性の面からも望ましい。
なお、電子素子のその他の点については、上述の電子素子と同様であるので、ここでの記載は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[製造例]
(1)ポリイミド前駆体溶液の調製
(製造例1)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA) 4.0g(20mmol)とパラフェニレンジアミン(PPD) 8.65g(80mmol)とを500mlのセパラブルフラスコに投入し、200gの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、窒素気流下、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。それらが完全に溶解したことを確認した後、そこへ、少しずつ30分かけて3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA) 29.1g(99mmol)を添加し、添加終了後、50℃で5時間撹拌した。その後室温まで冷却し、ポリイミド前駆体溶液1を得た。
(製造例2)
反応温度および溶液の濃度が、17重量%〜19重量%になるようにNMPの量を調整した以外は、製造例1と同様の方法で、下記表1に示す配合比でポリイミド前駆体溶液2〜15およびポリイミド前駆体溶液Z(比較例)を合成した。
酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)またはピロメリット酸二無水物(PMDA)、p−フェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物(TAHQ)、p−ビフェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物(BPTME)を用いた。ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、パラフェニレンジアミン(PPD)、1,4-Bis(4-aminophenoxy)benzene(4APB)、2,2′-Dimethyl-4,4′-diaminobiphenyl(TBHG)、2,2′-Bis(trifluoromethyl)-4,4′-diaminobiphenyl(TFMB)の1種または2種を用いた。
(製造例3)
感光性ポリイミドとするために、上記ポリイミド前駆体溶液1に{[(4,5-dimethoxy-2-nitrobenzyl) oxy]carbonyl} 2,6-dimethyl piperidine (DNCDP)を溶液の固形分の15重量%添加し、感光性ポリイミド前駆体溶液1とした。
(製造例4)
感光性ポリイミドとするために、上記ポリイミド前駆体溶液1に2−ヒドロキシ−5−メトキシ−桂皮酸とピペリジンとから合成したアミド化合物(HMCP)を溶液の固形分の10重量%添加し、感光性ポリイミド前駆体溶液2とした。
(線熱膨張係数および吸湿膨張係数の評価)
上記ポリイミド前駆体溶液1〜15およびポリイミド前駆体溶液Zを、ガラス上に貼り付けた耐熱フィルム(ユーピレックスS 50S:宇部興産(株)製)に塗布し、80℃のホットプレート上で10分乾燥させた後、耐熱フィルムから剥離し、膜厚15μm〜20μmのフィルムを得た。その後、そのフィルムを金属製の枠に固定し、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、膜厚9μm〜15μmのポリイミド1〜15およびポリイミドZのフィルムを得た。
また、上記感光性ポリイミド前駆体溶液1および2を、ガラス上に貼り付けた耐熱フィルム(ユーピレックスS 50S:宇部興産(株)製)に塗布し、100℃のホットプレート上で10分乾燥させた後、高圧水銀灯により365nmの波長の照度換算で2000mJ/cm2露光後、ホットプレート上で170℃10分加熱した後、耐熱フィルムより剥離し、膜厚10μmのフィルムを得た。その後、そのフィルムを金属製の枠に固定し、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、膜厚6μmの感光性ポリイミド1および感光性ポリイミド2のフィルムを得た。
<線熱膨張係数>
上記の手法により作製したフィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとして用いた。線熱膨張係数は、熱機械的分析装置Thermo Plus TMA8310(リガク社製)によって測定した。測定条件は、評価サンプルの観測長を15mm、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とし、100℃〜200℃の範囲の平均の線熱膨張係数を線熱膨張係数(C.T.E.)とした。
<湿度膨張係数>
上記の手法により作製したフィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとして用いた。湿度膨張係数は、湿度可変機械的分析装置Thermo Plus TMA8310改(リガク社製)によって測定した。温度を25℃で一定とし、まず、湿度を15%RHの環境下でサンプルが安定となった状態とし、概ね30分〜2時間その状態を保持した後、測定部位の湿度を20%RHとし、さらにサンプルが安定になるまで30分〜2時間その状態を保持した。その後、湿度を50%RHに変化させ、それが安定となった際のサンプル長と20%RHで安定となった状態でのサンプル長との違いを、湿度の変化(この場合50−20の30)で割り、その値をサンプル長で割った値を湿度膨張係数(C.H.E.)とした。この際、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とした。
(基板反り評価)
厚さ18μmのSUS304−HTA箔(東洋精箔製)上に、上記のポリイミド前駆体溶液1〜15およびZ、ならびに感光性ポリイミド前駆体溶液1,2を用い、イミド化後の膜厚が10μm±1μmになるように線熱膨張係数評価のサンプル作成と同様のプロセス条件で、ポリイミド1〜15およびZのポリイミド膜、ならびに感光性ポリイミド1,2のポリイミド膜を形成した。その後、SUS304箔およびポリイミド膜の積層体を幅10mm×長さ50mmに切断し、基板反り評価用のサンプルとした。
このサンプルを、SUS板表面にサンプルの短辺の片方のみをカプトンテープにより固定し、100℃のオーブンで1時間加熱した後、100℃に加熱されたオーブン内で、サンプルの反対側の短辺のSUS板からの距離を測定した。そのときの距離が、0mm以上0.5mm以下のサンプルを○、0.5mm超1.0mm以下のサンプルを△、1.0mm超のサンプルを×と判断した。
同様にこのサンプルを、SUS板表面にサンプルの短辺の片方のみをカプトンテープにより固定し、23℃85%Rhの状態の恒温恒湿槽に1時間静置したときの、サンプルの反対側の短辺のSUS板からの距離を測定した。そのときの距離が、0mm以上0.5mm以下のサンプルを○、0.5mm超1.0mm以下のサンプルを△、1.0mm超のサンプルを×と判断した。
これらの評価結果を以下に示す。
SUS304箔の線熱膨張係数は17ppm/℃であることから、ポリイミド膜と金属箔との線熱膨張係数の差が大きいと積層体の反りが大きいことが確認された。
また、表2より、ポリイミド膜の吸湿膨張係数が小さいほど高湿環境下での積層体の反りが小さいことがわかる。
(2)絶縁層の形成
(絶縁層の形成1)
15cm角に切り出した厚さ18μmのSUS304−HTA箔(東洋精箔製)上に、上記ポリイミド前駆体溶液1〜10をダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた後、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、膜厚6μm〜12μmのポリイミド1〜10のポリイミド膜を形成し、積層体1〜10を得た。
積層体1〜10のうち、積層体1,2,3,5,6,8,9,10は、温度や湿度環境の変化に対しても反りが発生しなかった。一方、積層体4,7は、反りが目立った。
(絶縁層の形成2(絶縁層パターン))
15cm角に切り出した厚さ18μmのSUS304−HTA箔(東洋精箔製)上に、上記ポリイミド前駆体溶液1をダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた後、ポリイミド前駆体膜上に、正方形のSUS箔の三辺について外縁部より15mm幅でレジストが除去されるように、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜を現像し、その後、レジストパターンを剥離したのち、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、外縁部の絶縁層が除去された積層体1Pを得た。
積層体1Pは、温度や湿度環境の変化に対しても反りが発生しなかった。
(絶縁層の形成3(絶縁層パターン))
上記積層体10のポリイミド膜上に、正方形のSUS箔の三辺について外縁部より15mm幅でレジストが除去されるように、レジストパターンを形成した。ポリイミド膜が露出している部分を、ポリイミドエッチング液TPE-3000(東レエンジニアリング製)を用いて、除去後、レジストパターンを剥離し、外縁部の絶縁層が除去された積層体10Pを得た。
積層体10Pは、温度や湿度環境の変化に対しても反りが発生しなかった。
(絶縁層の形成4(絶縁層パターン))
15cm角に切り出した厚さ18μmのSUS304−HTA箔(東洋精箔製)上に、上記感光性ポリイミド前駆体溶液1および2をそれぞれダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた。次いで、正方形のSUS箔の三辺について外縁部より15mm幅で(紫外線が照射されないように)マスクし、高圧水銀灯により365nmの波長の照度換算で2000mJ/cm2露光後、ホットプレート上で170℃10分加熱した後、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、膜厚3μmの感光性ポリイミド1および感光性ポリイミド2のポリイミド膜を形成し、積層体11および12を得た。
積層体11,12は、温度や湿度環境の変化に対しても反りが発生しなかった。
(平坦性評価)
積層体1およびSUS箔の表面粗さRaを測定した。
まず、Nanoscope V multimode(Veeco社製)を用いて、タッピングモードで、カンチレバー:MPP11100、走査範囲:50μm×50μm、走査速度:0.5Hzにて、表面形状を撮像し、得られた像から算出した粗さ曲線の中心線からの平均のずれを算出することより、積層体1の表面粗さRaを求めた。積層体1の50μm×50μmにおける表面粗さRaは6.2nmであった。
次いで、New View 5000(Zygo社製)を用いて、対物レンズ:100倍、ズームレンズ:2倍、Scan Length:15μmにて、50μm×50μmの範囲の表面形状を撮像し、得られた像から算出した粗さ曲線の中心線からの平均のずれを算出することより、積層体1の表面粗さRaを求めた。積層体1の50μm×50μmにおける表面粗さRaは9.3nmであった。
同様に、Nanoscope V multimode(Veeco社製)を用いて測定した、SUS304−HTA箔(東洋精箔製)の50μm×50μmにおける表面粗さRaは128nm、New View 5000(Zygo社製)を用いて測定した50μm×50μmにおける表面粗さRaは150nmであった。
[実施例1]
厚さ100μmのSUS304−HTA板(小山鋼材社製)上に、上記ポリイミド前駆体溶液1を用いて、イミド化後の膜厚が7μm±1μmになるようにスピンコーターでコーティングし、100℃のホットプレートオーブン中、大気下で60分乾燥させた後、窒素雰囲気下、350℃1時間、熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、絶縁層を形成した。
次に、絶縁層上に、第1密着層としてのアルミニウム膜をDCスパッタリング法(成膜圧力0.2Pa(アルゴン)、投入電力1kW、成膜時間10秒)により厚さ5nmで形成した。次いで、第2密着層としての酸化シリコン膜をRFマグネトロンスパッタリング法(成膜圧力0.3Pa(アルゴン:酸素=3:1)、投入電力2kW、成膜時間30分)により厚さ100nmで形成した。これにより、電子素子用基板を得た。
絶縁層について、New View 5000(Zygo社製)を用いて測定した50μm×50μmにおける表面粗さRaは13.2nmであった。
密着層について、New View 5000(Zygo社製)を用いて測定した50μm×50μmにおける表面粗さRaは23.5nmであった。また、Nanoscope V multimode(Veeco社製)を用いて測定した50μm×50μmにおける表面粗さRaは15.9nmであった。
ボトムゲート・ボトムコンタクト構造のTFTを上記電子素子用基板上に作製した。まず、厚さ100nmのアルミニウム膜をゲート電極膜として成膜した後、レジストパターンをフォトリソグラフィー法で形成した後に燐酸溶液でウェットエッチングし、アルミニウム膜を所定パターンにパターニングしてゲート電極を形成した。次に、そのゲート電極を覆うように厚さ300nmの酸化ケイ素をゲート絶縁膜として全面に形成した。このゲート絶縁膜は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、6インチのSiOターゲットに投入電力:1.0kW(=3W/cm)、圧力:1.0Pa、ガス:アルゴン+O(50%)の成膜条件で形成した。この後、レジストパターンをフォトリソグラフィー法で形成した後にドライエッチングを施し、コンタクトホールを形成した。次に、ゲート絶縁膜上の全面に厚さ100nmのチタン膜、アルミニウム膜、IZO膜をソース電極及びドレイン電極とするために蒸着した後、レジストパターンをフォトリソグラフィー法で形成した後に過酸化水素水溶液、燐酸溶液で連続的にウェットエッチングし、チタン膜を所定パターンにパターニングしてソース電極及びドレイン電極を形成した。このとき、ソース電極及びドレイン電極は、ゲート絶縁膜上であってゲート電極の中央部直上以外に離間したパターンとなるように形成した。
次に、ソース電極及びドレイン電極を覆うように、全面に、In:Ga:Znが1:1:1のInGaZnO系アモルファス酸化物薄膜(InGaZnO)を厚さ25nmとなるように形成した。アモルファス酸化物薄膜は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、室温(25℃)、Ar:Oを30:50とした条件下で、4インチのInGaZnO(In:Ga:Zn=1:1:1)ターゲットを用いて形成した。その後、アモルファス酸化物薄膜上にレジストパターンをフォトリソグラフィーで形成した後、シュウ酸溶液でウェットエッチングし、そのアモルファス酸化物薄膜をパターニングし、所定パターンからなるアモルファス酸化物薄膜を形成した。こうして得られたアモルファス酸化物薄膜は、ゲート絶縁膜上であってソース電極及びドレイン電極に両側で接触するとともに該ソース電極及びドレイン電極を跨ぐように形成されていた。続いて全体を覆うように、厚さ100nmの酸化ケイ素を保護膜としてRFマグネトロンスパッタリング法で形成した後、レジストパターンをフォトリソグラフィー法で形成した後にドライエッチングを施した。大気中300℃1時間のアニールを施した後、アクリル系のポジ型レジストを用いてELの隔壁層を形成し、TFT基板を作製した。
上記TFT基板上に白色となるようにEL層を蒸着した後、電極としてIZO膜を蒸着し、バリアフィルムを用いて有機EL素子の封止を行った。次に、PENフィルム上に形成したフレキシブルなカラーフィルターを貼り合わせ、フレキシブルな対角4.7インチ、解像度85dpi、320×240×RGB(QVGA)のアクティブマトリックス駆動のフルカラーELディスプレイを作製した。作製したフルカラーELディスプレイについて、スキャン電圧15V、ベータ電圧10V、電源電圧10Vにて作動を確認した。作製したフルカラーELディスプレイについて24時間の連続作動および作製後6ヶ月後における作動を確認した。
[実施例2]
厚さ100μmのSUS304−HTA板(小山鋼材社製)上に、上記ポリイミド前駆体溶液1を用いて、イミド化後の膜厚が7μm±1μmになるようにスピンコーターでコーティングし、100℃のホットプレートオーブン中、大気下で60分乾燥させた後、窒素雰囲気下、350℃1時間、熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、絶縁層を形成した。これにより、電子素子用基板を得た。
電子素子用基板の絶縁層上に厚さ150nmのCr膜をスパッタにより成膜し、続いて厚さ50nmのITO膜をスパッタにより成膜し、ITO膜を2mm幅のストライプ状にパターニングし、有機EL作製用の基板とした。
有機EL素子の作製には、下記の材料を用いた。
ITO膜上に正孔注入層として3-tert−ブチル-9,10-ジ(ナフサ-2-イル)アントラセン(TBADN)とMoO3とを体積比で67:33になるように、真空度10-5Paの条件下、1.5Å/secの蒸着速度で共蒸着して膜厚10nmの正孔注入層を形成した。続いて、上記正孔注入層の上に、正孔輸送層としてTBADNを、真空度10-5Paにて、1.0Å/secの蒸着速度で、膜厚10nmで真空蒸着した。
次に、上記正孔輸送層上に、ホスト材料として4,4′,4″-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン(TCTA)と、発光ドーパントとして(5,6,11,12)-テトラフェニルナフタセン(ルブレン)とを、1体積%になるように、真空度10-5Paの条件下、蒸着速度1Å/secで、膜厚70nmで真空蒸着した。
上記発光層上に、TBADNを真空度10-5Paの条件下、蒸着速度1Å/secで、膜厚20nmの電子輸送層を真空蒸着にて形成した。続いて、上記電子輸送層上に、TBADNと8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)とを、体積比1:1となるように、真空度10-5Paの条件下、蒸着速度1Å/secで共蒸着して、膜厚12nmの電子注入層を形成した。上記電子注入層の上に、Alを真空度10-5Paの条件下、蒸着速度0.1Å/secにて膜厚1.5nmで成膜し、続いてMg:Agを体積比9:1となるように蒸着スピード1Å/secにて膜厚5nmで成膜し、電子注入促進層を形成した。
続いて、IZOをスパッタする際のダメージ軽減を目的として、透明保護層としてTBADNとMoO3を体積比80:20となるように真空度10-5Paの条件下にて、1.5Å/secの蒸着速度で共蒸着し、膜厚100nmで成膜した。
続いて、上記ITOのストライプパターンとクロスすように2mm幅のストライプ状に形成されたシャドーマスクを用いて、上記透明保護層上に、対向ターゲット式スパッタリング法によりIZOを成膜し、膜厚150nmの陰極を形成した。
最後に、熱硬化型エポキシ樹脂を塗布した厚さ30μmのガラス板を貼り合せ、接着し、有機EL素子を作製した。
[比較例1]
ポリイミド前駆体溶液1に替えてポリイミド前駆体溶液12を用いた以外は、実施例2と同様にして有機EL素子を作製した。
[評価]
実施例2および比較例1の有機EL素子について、80℃高温保存試験を行った。図10(a)、(b)にそれぞれ実施例2の有機EL素子の初期発光状態および80℃高温保存試験200時間後の発光状態の写真を示す。また、図10(c)、(d)にそれぞれ比較例1の有機EL素子の初期発光状態および80℃高温保存試験200時間後の発光状態の写真を示す。実施例2および比較例1の有機EL素子では、劣化の差が明らかであった。比較例1の有機EL素子では、ポリイミドの吸湿膨張係数が大きいため、水分の影響により非発光箇所の面積が大きくなった。
1 … 電子素子
2 … 金属基材
3 … 絶縁層
10 … 有機EL素子
20 … TFT

Claims (11)

  1. 金属基材と、
    前記金属基材上に形成され、ポリイミドを含む絶縁層と、
    前記絶縁層上に形成された電子素子部と
    を有し、前記絶縁層の吸湿膨張係数が0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内であることを特徴とする電子素子。
  2. 前記絶縁層がポリイミドを主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
  3. 前記ポリイミドが、下記式(1)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子素子。
    (式(1)中、R1は下記式(2)で表される4価の有機基、R2は2価の有機基であり、繰り返されるR1同士およびR2同士はそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。nは1以上の自然数である。)
    (式(2)中、aは0または1以上の自然数、Aはエステル結合である。結合基は、芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは3,4位に結合する。)
  4. 前記ポリイミドが、下記式(1)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子素子。
    (式(1)中、R1は下記式(2)で表される4価の有機基、R2は下記式(3)または(4)で表される2価の有機基であり、繰り返されるR1同士およびR2同士はそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。nは1以上の自然数である。)
    (式(2)中、aは0または1以上の自然数、Aは単結合(ビフェニル構造)、酸素原子(エーテル結合)、エステル結合のいずれかであり、全てが同じであっても、各々異なっていてもよい(ただし、全てがエステル結合の場合を除く)。結合基は、芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは3,4位に結合する。)
    (式(4)中、aは0または1以上の自然数であり、結合基は芳香環同士の結合に対して、メタ位またはパラ位に結合する。また、芳香環上の水素原子の一部もしくは全てはフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよい。)
  5. 前記ポリイミドが、下記式(1)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子素子。
    (式(1)中、R1は4価の有機基、R2は下記式(4)で表される2価の有機基であり、繰り返されるR1同士およびR2同士はそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。nは1以上の自然数である。)
    (式(4)中、aは0または1以上の自然数であり、結合基は芳香環同士の結合に対して、メタ位またはパラ位に結合する。また、芳香環上の水素原子の一部もしくは全てはフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよい。)
  6. 前記絶縁層の表面粗さRaが25nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の電子素子。
  7. 前記絶縁層の厚みが0.3μm〜100μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の電子素子。
  8. 前記絶縁層の線熱膨張係数が0ppm/℃〜30ppm/℃の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の電子素子。
  9. 前記絶縁層の線熱膨張係数と前記金属基材の線熱膨張係数との差が15ppm/℃以下であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の電子素子。
  10. 前記電子素子部が、前記絶縁層上に形成された背面電極層と、前記背面電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含むエレクトロルミネッセンス層と、前記エレクトロルミネッセンス層上に形成された透明電極層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の電子素子。
  11. 前記電子素子部が、前記絶縁層上に形成された薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の電子素子。
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