以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。各図において、同一の部分は同一の記号で表されている。図2は本発明を適用可能な画像形成装置の一例である。
本実施形態の画像形成装置においては、有機感光体をベルト形状に構成した像担持体11が複数の張架ローラによって張架されており、図示を省略した回転駆動機構によって図中矢印方向に回転されるようにして備えられている。像担持体11の図中左側には、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色のトナー像を形成する複数の画像形成手段としての作像部70K、70M、70C、70Yが像担持体11の表面に沿って配列されている。作像部70K、70M、70C、70Yには、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色トナーをそれぞれ収容した現像装置13K、13M、13C、13Yや、像担持体11を負極性で帯電せしめる帯電装置12K、12M、12C、12Yや、画像情報に従って帯電後の像担持体11にそれぞれブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色に対応した潜像を書き込む書込装置4K、4M、4C、4Yなどが設けられている。なお、書込装置4としては、ポリゴンを用いた光走査装置やLEDアレイなど、種々のものを使用することができる。
また、現像装置13K、13M、13C、13Yは、図3に示すように像担持体11が退避することで開放された空間から着脱可能となっており、ユーザーによる交換が可能となっている。
像担持体11は、まず、作像部70Kの帯電装置12Kによって一様に帯電せしめられ、露光手段としての書込装置4Kによりブラックの画像データで変調されたレーザ光72Kで露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像が現像装置13Kによって現像されてブラックのトナー像となる。その後、像担持体11は図示しない除電装置によって除電され、次の画像形成に備える。
次に、像担持体11は、作像部70Mの帯電装置12Mによって一様に帯電せしめられ、所定のタイミングで書込装置4Mによりマゼンタの画像データで変調されたレーザ光72Mで露光されて像担持体11上に静電潜像が形成される。この静電潜像が現像装置13Mによって現像されて、上記ブラックのトナー像と重なるマゼンタのトナー像となる。その後、像担持体11は図示しない除電装置によって除電され、次の画像形成に備える。
次に、像担持体11は、作像部70Cの帯電装置12Cによって一様に帯電せしめられ、所定のタイミングで書込装置4Cによりシアンの画像データで変調されたレーザ光72Cで露光されて像担持体11上に静電潜像が形成される。この静電潜像が現像装置13Cによって現像されて、上記ブラックのトナー像及び上記マゼンタのトナー像と重なるシアンのトナー像となる。その後、像担持体11は図示しない除電装置によって除電され、次の画像形成に備える。
次に、像担持体11は、作像部70Yの帯電装置12Yによって一様に帯電せしめられ、所定のタイミングで書込装置4Yによりイエローの画像データで変調されたレーザ光72Yで露光されて像担持体11上に静電潜像が形成される。この静電潜像が現像装置13Yによって現像されて、上記ブラックのトナー像、上記マゼンタのトナー像及び上記シアンのトナー像と重なるイエローのトナー像となる。これにより、像担持体11上にフルカラー画像が形成される。
画像形成装置の下部には、記録用紙等の転写材を格納し、画像形成時に転写材を搬送開始させる給紙装置5が設けられている。この給紙装置5から転写材が給送され、この転写材に画像形成装置に設けられた図示しない電源から転写バイアスが印加される転写手段としての転写ローラ2によって像担持体11上のフルカラー画像(各色トナー像)が転写される。フルカラー画像が転写された転写材は、画像形成装置の上部に設けられた定着装置3の加熱ローラ3aと加圧ローラ3bとに挟まれつつ加熱されることでフルカラー画像が転写材上に定着された後、外部に排出される。
なお、本実施形態の画像形成装置では像担持体11表面の転写残トナー粒子を回収するためのクリーニング部材は設けていない。転写残トナー粒子は像担持体11表面に残留したままとなるが、4つの帯電装置12によって帯電され、やがて転写材に転写されて像担持体11上から除去される。転写残トナー粒子が転写材に転写されると多少の画像の乱れが生じるが、わずかの乱れであれば視覚的に認識されない。
本実施形態の画像形成装置では、同一の像担持体11上に4色分の像の書き込みを行うので、通常の各色ごとに専用の像担持体を設けるタンデム方式に比べて、原理的に色ズレがほとんど発生せず、像担持体11上で色ズレのない高画質のフルカラー画像を得ることができる。
また各色トナー像の位置ずれやトナー濃度の調整を行なうモードにおいては、像担持体11上に所定パターンのトナー像が形成され、像担持体11のトナー像が形成される側の面に対向して設けられた図示しないPセンサによってかかるトナーパターンが検出され、その検出結果に基づいて書込タイミングや現像バイアスの変更などが行なわれ、最適なカラー画像を得ることができる状態に調整される。
図4に作像部の現像装置13近傍の拡大図を示す。なお各色の現像装置は同一構造であるので1つのみを説明する。
本実施形態においては、帯電装置12としてコロナ帯電方式を採用している。コロナ帯電方式のように像担持体11に対して帯電装置12が非接触となる帯電手段を用いれば、像担持体回転方向上流側の作像部70によって形成されたトナー像を乱すことなく像担持体11を帯電させることができる。
現像装置13に設けられたトナー担持体13aは、少なくとも画像形成時に像担持体11に対して50〜1000[μm]、好ましくは150〜400[μm]の間隙をあけて非接触で対向している。
また、図4に示す現像装置13は、トナー担持体13aへトナー粒子を供給するための供給ローラ13hが配置されており、トナー担持体13aと供給ローラ13hは、不図示の回転駆動機構によって回転されるようになっている。
トナーの搬送方向における現像領域の上流側部分には、トナー薄層を形成するためにトナー層を規制するトナー規制部材13cが設置されている。この規制部材13cは、ブレードやローラなどでトナーに当接させ、そのときにトナー担持体13aや規制部材13cなどとトナーとの摩擦によってトナーは帯電される。更に供給ローラの像担持体11とは反対側領域には、図5に示すように現像ケーシング13e内に格納されたトナーを攪拌しながら供給ローラ13hへ汲み上げるためのパドル13dが設置されている。
本実施形態におけるトナー粒子は、バインダー樹脂としてスチレン系またはアクリル系の重合性単量体を重合開始剤と共に水中に分散させた状態でラジカル重合させたものや、あるいはポリエステル系樹脂を水中に分散させ重付加反応により高分子化させたものを用い、これに着色剤、帯電制御剤などを加えて造粒することにより得られた、重量平均粒径約5[μm]の非磁性トナー粒子である。
また、現像装置13内に収容されたトナーを撹拌しながら供給ローラ13hへ汲み上げるパドル13dが設けられている。供給ローラ13hに汲み上げられたトナーは、画像形成装置本体に現像装置13が所定の箇所に装着された際に、現像装置13に開けられた開口部で像担持体11に対向するように設けられたトナー担持体13aに供給される。なお、トナー担持体13aと供給ローラ13hとは、不図示の回転駆動機構によって回転されるようになっている。
供給ローラ13hからトナー担持体13aにトナーが供給される箇所よりもトナー担持体回転方向下流側でトナー担持体13aと像担持体11とが対向する箇所よりもトナー像担持体回転方向上流側には、トナー担持体13aにトナー薄層を形成するためトナー担持体13a上のトナー層の規制するブレード状のトナー規制部材13cが設置されている。本実施形態においては、このトナー規制部材13cをトナー担持体13aの回転によって搬送されるトナーに当接させることで、トナー担持体13aに担持したトナーを一定量に規制している。また、このときにトナー担持体13aやトナー規制部材13cなどとトナーとの摩擦によってトナーが帯電する。なお、トナー規制部材としてはブレード状に限らずローラなどでもよい。
次に、トナー担持体13aの構成について図6を参照して詳細に説明する。
図6は、トナー担持体13aの像担持体11側表面を拡大した断面図である。トナー担持体13aは、支持基材101上に複数の電極102−1a、102−1b、102−2a、102−2b・・・をトナー移動方向に沿って所定の間隔で配置し、その上に絶縁性の表面保護層103を積層したものである。また、この表面保護層103の表面がトナー搬送面として機能する。
支持基材101としては、ガラス基材、樹脂基材或いはセラミックス基材などの絶縁性材料からなる基材、ステンレス鋼やアルミニウムなどの導電性材料からなる基板にSiO2などの絶縁膜を成膜したもの、または、ポリイミドフィルムなどのフレキシブルに変形可能な材料からなる基材などを用いることができる。
電極102は、支持基材101上にAlやNi−Crなどの導電性材料を0.1〜10[μm]厚、好ましくは0.5〜2.0[μm]で成膜し、これをフォトリソグラフ技術などを用いて所定の電極形状にパターン化して形成する。なお、本実施形態においては、電極102の幅Rを粉体(トナー)の平均粒径の1倍以上20倍以下としている。
表面保護層103は、無機または有機の絶縁性材料で形成され、例えば、SiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5などを、厚さ0.5〜10[μm]、好ましくは、厚さ0.5〜3[μm]で成膜して形成する。
図7は本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるトナー担持体13aの外観図ある。トナー担持体13aは、回転ローラ形状に形成したもので、移動方向に所定のピッチで配列されて空間周期的に配置された複数の電極102からなる電極バターンにおける奇数番目の電極の集合体であるa相電極におけるそれぞれの電極に接続された第1共通電極としての電極軸40Aを有している。また、偶数番目の電極の集合体であるb相電極におけるそれぞれの電極に接続された第2共通電極としての電極軸40Bも有している。
電極軸40Aは、トナー担持体13aの回転軸線方向の一端側に位置する金属製の回転軸部材が第1共通電極として兼用されたものである。また、電極軸40Bは、トナー担持体13aの回転軸線方向の他端側に位置する金属製の回転軸部材が第2共通電極として兼用されたものである。これら電極軸40A、電極軸40Bは、互いに絶縁状態を維持するように配設されており、それぞれ図示しない軸受けに回転自在に支持されている。
それぞれの電極軸40A、40Bには、後述する電極ブラシ等の摺擦接点部材47A、47Bによって後述する交流電源である電源45A、45Bからバイアス電位として交流電圧が印加される。この交流電圧は、図8に示されるように、上述のa相電極を束ねた電極軸40Aに印加される矩形波状のa相パルス電圧と、b相電極を束ねた電極軸40Bに印加される矩形波状のb相パルス電圧とからなる。これらa相パルス電圧、b相パルス電圧は、図示のように互いに逆位相になっており、単位時間あたりにおける平均電位は互いに同じである。本実施形態において印加する電圧は、矩形波状、Vppが200〜1000[V]、周波数が0.1〜5[kHz]であり、電圧の中心値V0は画像部電位と非画像部電位との間で現像条件によって変動させている。
また、a相電極とb相電極とには位相をπだけずらして電圧が印加させているため、この位相差によって、a相電極とb相電極との間には常にVppだけの電位差が生じている。そして、この電位差によってa相電極とb相電極との電極間に電界が発生し、この電界に応じてトナーが電極間をホッピングして往復するような運動を行う。この現象を以下、フレア(あるいはフレア現象)と呼ぶ。また、フレア現象を引き起こしている状態をフレア状態という。なお、図8に示すようにa相電極とb相電極とに印加する電圧が矩形波状であることで、電圧の切り替わりが瞬時に起きトナーのホッピングには適してるが、サイン波状や三角波状などの電圧を印加してもよい。
また、一方の電極軸に矩形波状のパルス電圧を印加する一方で、もう一方の電極軸には、上記パルス電圧の平均電位となる直流電圧を印加しても、逆位相のパルス電圧を採用する場合と同様に、フレア現象を生起せしめることが可能である。
トナー担持体13aは、図9(a)に示すように導電性を有する金属製の電極軸40A、40Bを図9(b)に示すように円筒51の軸穴52に圧入して、電極軸40A、40Bをa相電極、b相電極にそれぞれ接続する。なお、図10に示すように、a相電極はトナー担持体13aの図中左側からb相電極はトナー担持体13aの図中右側から出ており、a相電極とb相電極とで櫛歯状の電極構成になっている。また、上述したように電極軸40A、40Bには、電極ブラシ等の摺擦接点部材47A、47Bによって交流電源である電源45A、45Bからバイアス電位として交流電圧が印加される。
かかる構成において、トナー担持体13aの複数の電極における同一群の電極に対して共通した電圧を導くための電極軸40A、電極軸40Bについては、トナーの粒径やホッピング性を考慮して幅を決定する必要がないため、図示のようにかなり広幅のものを用いることが可能となる。更には、これら電極軸に摺擦せしめる電極ブラシ等の摺擦接点部材47A、47Bについても、電極軸40A、40Bの幅に合わせて、広幅のものを用いることが可能になる。これらの結果、電極軸40A、40Bと摺擦接点部材47A、47Bとの摩耗による接触不良の発生時期を従来よりも遅らせて、従来よりも現像装置の長寿命化を図ることができる。
第1共通電極たる電極軸40Aと、第2共通電極たる電極軸40Bとは、トナー担持体13aにおいて互いに回転軸線方向にずらして配設されている。かかる構成では、電極軸40Aと電極軸40Bとを互いに回転軸線方向にずらしていることで、回転する電極軸40A、電極軸40Bに対して、それぞれ摺擦接点部材47A、47Bを独立させて摺擦せしめることができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置においては、トナー担持体13aの回転軸線方向における一端側に位置する金属製の電極軸40Aを第1共通電極として兼用するとともに、他端側に位置する金属製の電極軸40Bを第2共通電極として兼用し、それら電極軸を互いに絶縁状態にしている。かかる構成では、トナー担持体13aに新たな共通電極を設けることなく、それぞれの電極群に独立してパルス電圧を印加することができる。
このようなトナー担持体13aを有する現像装置13において、図示しない回転駆動装置によって時計方向に回転するトナー担持体13aに供給ローラ13hから供給されたトナーは、トナー規制部材13cにより薄層化された後、トナー担持体13aの表面に形成された電極間の電界によりフレア(クラウド)を形成し現像領域に運ばれ、像担持体11上に形成された潜像を現像する。
ところで、従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる現像装置には、2成分現像方式や1成分現像方式などがある。2成分現像方式は、高速現像に非常に適しており、現在の中速や高速の画像形成装置の主流方式である。この2成分現像方式では、高画質を狙うためには、潜像担持体上の静電潜像との接触部における現像剤の状態を非常に緻密にする必要がある。そのために、現在はキャリア粒子の小径化が進んでおり、商用レベルでは30[μm]程度のキャリアも使われ始めている。
1成分現像方式は、機構が小型軽量になることから、現在の低速の画像形成装置の主流方式である。この1成分現像方式では、現像ローラ等の現像剤担持体の表面に担持したトナーをホッピングさせずに現像に用いる。具体的には、現像ローラ上にトナー薄層を形成するために、ブレードやローラなどのトナー規制部材を現像ローラ上のトナーに当接させ、そのときに現像ローラやトナー規制部材とトナーとの摩擦によってトナーは帯電される。現像ローラ上に薄層に形成された帯電トナー層は、現像部に運ばれて潜像担持体上の静電潜像を現像する。ここでの1成分現像方式には大きく分けて接触型と非接触型があり、前者は現像ローラと潜像担持体とが接触するものであり、後者は現像ローラと潜像担持体とが非接触であるものである。
上記2成分現像方式と1成分現像方式との欠点を補い合うべく、特開平3−100575号公報に記載のものなどのように2成分現像方式と1成分現像方式とをハイブリッド化したハイブリッド化方式も幾つか提案されている。
高解像度の微小均一ドットを現像する方法としては、例えば特開平3−113474号公報に記載の方式がある。この方式は、上記ハイブリッド化方式に対して、現像部に高周波バイアスを印加したワイヤを設置することにより、現像部でのトナークラウド化を行い、高解像度のドット現像性を実現するものである。
また、特開平3−21967号公報(特許文献1)には、最も効率良く、且つ安定なトナークラウドを形成するために、回転ローラ上に電界カーテンを形成する方法が提案されている。
また、進行波電界による電界カーテンで現像剤を搬送する現像装置が特開2003−15419号公報に記載されている。また、現像ローラの周面上にほぼ1層のキャリアをほぼ均等に吸着する複数の磁極を有する現像装置が特開平9−269661号公報に記載されている。また、特開2003−84560号公報には、非磁性トナーを担持する現像剤担持体表面に、絶縁部を介して周期的な導電性電極パターンを設け、該電極に所定のバイアス電位を与えることで現像剤担持体表面近傍に電界勾配を発生せしめ、前記現像剤担持体上に前記非磁性トナーを付着搬送させる現像装置が記載されている。
従来の2成分現像方式では、高画質化に対する要求が益々高まっており、必要とされる画素のドットサイズ自身が現状のキャリア粒子径と同等もしくはそれよりも小さい必要があるために、孤立ドットの再現性という意味では更にキャリア粒子を小さくする必要がある。しかし、キャリア径を小さくしていくと、キャリア粒子の透磁率が低下するために、現像ローラからのキャリア離脱が生じやすくなり、離脱したキャリア粒子が潜像担持体に付着した場合には、キャリア付着そのものによる画像欠陥が生じるだけでなく、それを起点として潜像担持体に傷をつけてしまうなどいろいろな副作用が生じる。
このキャリア離脱を防止するために、材料面からキャリア粒子の透磁率を上げる試みや、現像ローラに内包されるマグネットの磁力を強くする試みが進められているが、低コスト化及び高画質化との兼ね合いの中で開発は困難を極めている。また、小型化の煽りを受けて、現像ローラは益々小径化の一途をたどっていることからも、キャリア離脱を完全に抑止できるような強力な磁場構成を有した現像ローラ設計が困難となっている。
そもそも2成分現像方式は、磁気ブラシと呼ばれる2成分現像剤の穂を静電潜像に対して擦り付けるようにしてトナー像を形成するプロセスであるために、どうしても穂の不均一性によって、孤立ドットの現像性にムラが生じやすい。現像ローラと潜像担持体との間に交番電界を形成することで画質の向上は可能であるが、現像剤の穂のムラといった根本的な画像ムラを完全に消滅させることは困難である。
また、潜像担持体上の現像されたトナー像を転写する工程や、転写後に潜像担持体上に残存するトナーをクリーニングする工程において、転写効率やクリーニング効率を向上させるためには、潜像担持体とトナーとの非静電的付着力を極力下げる必要がある。潜像担持体とトナーとの非静電的付着力を下げる方法としては、潜像担持体表面の摩擦係数を下げることが効果的であることが知られているが、この場合、2成分現像剤の穂が滑らかに現像部をすり抜けてしまうために現像効率やドット再現性が非常に悪くなってしまう。
1成分現像方式では、トナー規制部材により薄層化された現像ローラ上のトナー層は、現像ローラ上に十分に圧接されてしまっているために、現像部での電場に対するトナー応答性が非常に悪い。よって、通常は高画質を得るために、現像ローラと潜像担持体との間に強力な交番電場を形成するのが主流であるが、この交番電場の形成をもってしても静電潜像に対して一定量のトナーを安定して現像することは困難であり、高解像度の微小ドットを均一に現像することは難しい。また、この1成分現像方式は、現像ローラへのトナー薄層形成時にトナーに対して非常に大きなストレスをかけてしまうため、現像装置内を循環するトナーの劣化が非常に早い。トナーの劣化に連れて、現像ローラへのトナー薄層形成の工程でもムラなどが生じやすくなり、1成分現像方式は一般には高速や高耐久の画像形成装置としては向かない。
ハイブリッド化方式(特開平3−100575号公報)では、現像装置そのものの大きさや部品点数は増えてしまうものの、幾つかの課題は克服される。しかし、現像部においてはやはり1成分現像方式と同様の問題があり、つまり高解像度の微小均一ドットを現像することには難が残る。
特開平3−113474号公報に記載の方式は、高安定且つ高画質な現像が実現できるものと考えられるが、現像装置の構成が複雑になる。
また、特開平3−21967号公報(特許文献1)に記載の方法は、小型且つ高画質の現像を得るには非常に優れたものと解釈できるが、本発明者らが鋭意研究した結果、理想的な高画質を得るためには、形成する電界カーテンや現像などの条件を限定しなくてはならないことが発見された。すなわち、適正な条件から外れた条件で作像を行ってしまうと、全く効果が得られないばかりか、返って粗悪な画質を提供してしまうことになる。また、この方式はトナー担持体上でホッピングするトナーをトナー担持体の表面移動によって現像領域まで搬送するものであるが、トナー担持体を表面移動させずに、ホッピングよる移動のみによってトナーを現像領域まで搬送する特開2002−341656号公報に記載の方式でも、同様のことが言える。
また、潜像担持体に第一のトナー像が形成され、その上に順次に第二のトナー像、第三のトナー像を形成していくような作像プロセスにおいては、先に潜像担持体上に形成されているトナー像を乱さないような現像方式でなくてはいけない。非接触一成分現像方式や、特開平3−113474号公報に記載のトナークラウド現像方式を用いることで、潜像担持体上に順次に各色トナーを形成していくことは可能であるが、いずれの方式も、潜像担持体と現像ローラとの間には交番電界が形成されてしまうために、潜像担持体上に先に形成されたトナー像からトナーの一部が引き剥がされて現像装置に入り込んでしまう。これによって、潜像担持体上の画像が乱されてしまうばかりでなく、現像装置内のトナーが混色するという問題も生じてしまう。これらは高画質画像を得るには致命的であり、この問題を解決する方法としては潜像担持体と現像ローラとの間には交番電場を形成しない方法で、クラウド現像を実現する必要がある。
このようなフレア(クラウド)現像を実現できる方法としては、先に挙げた特開平3−21967号公報(特許文献1)や特開2002−341656号公報に記載の方式が有効と考えられるが、これらに関しては先にも述べた通り、適当な条件の元で利用しないと全く効果が無い。
また、特開2002−341656号公報に記載の方式などの様に、トナー担持体の機械的な駆動を無くし、3相以上の交互電場によってトナーを静電的に搬送し現像する方法も有効であると考えられる。しかしながら、同公報に記載の方法によれば、何かのきっかけで静電搬送できなくなったトナーを起点として、搬送基板上にトナーが堆積してしまい、結果として機能しなくなる問題を抱えてしまう。このような問題を解決すべく、例えば特開2004−286837号公報に記載の方式のように固定搬送基板とその表面を移動するトナー担持体の組合せのような構造も提案されているが、機構が非常に複雑になってしまう。これに対し、本画像形成装置のように、トナーをホッピングによって電極間で往復移動させながら、トナー担持体の表面移動によって現像領域に搬送する方式では、前述のようなトナーの堆積や機構の複雑化を回避することができる。
また、本実施形態のような、トナーを電極間の電界によりトナー担持体表面から引き離し、フレア(クラウド)を形成させるタイプの現像装置では、トナーがトナー担持体表面をホッピングして移動するため、トナーとトナー担持体表面とが大部分の時間、非接触である。したがって、トナーがトナー担持体表面に静電的に付着する力は弱い。そのため、現像電界を弱く設定しても(例えば、現像ポテンシャルが100[V]以下でも)現像能力を容易に確保することができる利点がある。また、トナーとトナー担持体表面とが静電的に付着する力が弱いので、トナー担持体表面から容易にトナーを引き剥がすことができ、トナーの劣化が抑えられるため高耐久化にできる利点がある。
次に、本実施形態で用いるトナーについて説明する。トナーとしては、母材樹脂(トナーの主成分)がポリエステル又はスチレンアクリルからなり、且つ正規帯電極性がマイナス極性(負極性)であるものを用いる。そして、像担持体11の一様帯電部(地肌部)と潜像部とを共にトナーの正規帯電極性と同極性(本例ではマイナス極性)にし、且つ地肌部よりも電位を減衰せしめた潜像部に対してトナーを選択的に付着させるいわゆる反転現像を行うようになっている。
ここで、本実施形態におけるトナー担持体13aは、支持基材101と、複数の電極102と、これら電極102を覆う表面保護層103とを有している。この表面保護層103としては、トナー担持体13aの表面上でホッピングするトナーとの摺擦に伴ってトナーの正規帯電極性側(本例ではマイナス側)への摩擦帯電を促す材料からなるもの、を用いることができる。即ち、トナーの方が表面保護層103よりも摩擦帯電系列上でマイナス側に位置するようにする。このような関係を実現し得る表面保護層103の材料としては、シリコーン、ナイロン、メラミン樹脂、アクリル樹脂、PVA、ウレタンなどの有機材料を例示することができる。また、第四級アンモニウム塩やニグシロン系染料などでもよい。更には、これまでに例示した材料の2つ以上を混合した材料でもよい。これらの材料は、トナーの正規帯電極性側への摩擦帯電を促すことに加えて、自らの絶縁性によってトナー電荷の電極へのリークを回避することが可能である。
このような表面保護層103を有するトナー担持体13aを具備する現像装置13においては、トナー担持体13aの表面保護層103がホッピングするトナーとの摺擦に伴ってトナーの正規帯電極性側への摩擦帯電を促す。そして、表面保護層103との摺擦に伴うトナーの正規帯電極性とは逆極性側への摩擦帯電を回避する。これにより、ホッピングに伴うトナーの帯電量(正規帯電極性)の低下を抑えることで、トナーのホッピング不良による現像不良の発生を抑えることができる。
なお、トナーとして、正規帯電極性がプラス極性(正極性)であるものを用いてもよい。この場合には、表面保護層103として、トナーとの摺擦に伴ってトナーのプラス極性側への摩擦帯電を促す材料からなるものを用いればよい。
また、トナーの帯電系列とは、トナー母材樹脂(粒子)にシリカ、酸化チタンなどの外添剤を添加したトナー全体としての帯電系列を意味する。帯電系列における序列については、次のようにして調べることが可能である。即ち、トナーを表面保護層上で所定時間だけ表面保護層に摺擦せしめた後、そのトナーを吸引して採取する。そして、採取したトナーの帯電量をエレクトロメータで測定する。この測定結果がトナーの負極性への帯電量増加を示すものであれば、トナーの方が表面保護層よりもマイナス側の帯電系列となる。また、測定結果がトナーの正極性への帯電量増加を示すものであれば、トナーの方が表面保護層よりもプラス側の帯電系列となる。
また、表面保護層103と電極との間に中間層を設けてもよい。この場合、中間層として、Ti、Sn、Fe、Cu、Cr、Ni、Zn、Mg、Al、TiO2、SnO2、Fe2O3、Fe3O4、CuO、Cr2O3、NiO、ZnO、MgO、Al2O3等の導電性の材料からなるものを用いることも可能である。
次に、本発明の特徴部について説明する。
本実施形態においては、図11に示すように、電源45Aからa相電極に電圧を印加した際にb相電極に流れる電流を計測する電流計測装置46を設けている。電源45Aからa相電極に電圧を印加した際にa相電極とb相電極との間に表面保護層103の絶縁抵抗に応じた電流が流れる。このようにしてb相電極に流れた電流を電流計測装置46で計測することで、その計測した電流値と電源45Aがa相電極に印加した電圧とから、装置本体に設けた図示しない演算部によって表面保護層103の絶縁抵抗を算出することができる。本実施形態においては、このようにa相電極に電圧を印加した際のa相電極とb相電極との間の表面保護層103の絶縁抵抗を求めて、装置本体に設けた図示しない制御部などによって後述する漏電診断を行う。なお、電流計測装置としてはクランプメータのような電流の磁界を計測するものでもよい。
また、表面保護層103などの絶縁破壊で漏電が起こった場合などに、予め設定され上記制御部のメモリーに記憶させておいた電流量よりも大量の電流がa相電極とb相電極との間に流れたのが電流計測装置によって計測され、電流量が異常であることから上記制御部によりa相電極とb相電極との間に漏電が起きたのを検知するように構成しても良い。
図1に漏電診断方法の一例をフローチャートに示す。まず、機械動作スタート前にa相(b相)電極に直流電圧Vsを印加し、b相(a相)電極に流れる電流Asを電流計測装置によって測定する(S1)。次に、その測定された電流Asとa相電極に印加した直流電圧Vsとから上記演算部によってa相電極とb相電極との電極間の絶縁抵抗Rsを求める(S2)。予め設定され上記制御部のメモリーに記憶させておいたリークの可能性がある許容最低抵抗Raと絶縁抵抗Rsとを比較しRs>Raを満たすか否かを上記制御部で判断する(S3)。Rs<Raならば(S3でNo)、リークの可能性があるのでa相電極に印加する直流電圧Vsを遮断して(S4)、画像形成装置に設けられた図示しない表示パネルなどにリークの可能性がある旨を表示してユーザーに故障を通知をする(S5)。許容最低抵抗Raと絶縁抵抗Rsとを比較しRs>Raであれば(S3でYes)、予め設定され上記制御部のメモリーに記憶させておいた許容最高抵抗Rzと絶縁抵抗Rsとを比較し、Rs<Rzを満たすか否かを上記制御部で判断する(S6)。Rs>Rzならば(S6でNo)、電流が流れないので断線か電源に異常があると判断し(S7)、上記表示パネルなどにその旨を表示してユーザーに故障を通知する(S8)。許容最低抵抗Raと絶縁抵抗Rsとを比較してRs<Rzならば(S6でYes)、一連の診断を終了して機械動作をスタートさせる。
次に、トナー担持体13aの表面の電気的特性の影響を調べるために、トナー担持体13aの表面保護層103の体積抵抗率を何点か振って(変えて)、フレア活性率を高速度カメラでフレア状態を観察して確認した。フレア活性率とは、a相とb相との電極間をホッピングしているトナーとホッピングしないでトナー担持体13aの表面保護層103に付着しているトナーとの割合である。フレア活性率が高いほどトナーは活性にホッピングしている。
トナー担持体13aの表面保護層103に用いた材料はポリカーボネート樹脂であり、そこに分散されるカーボン微粒子の量を変更することによって、体積抵抗率が107〜1014[Ω・cm]の表面保護層103(厚み約5[μm])を形成した。また、電極102−1a、102−1b、102−2a、102−2b・・・のピッチを50[μm]とした。このようなトナー担持体13aを用いて行った実験結果を図12に示す。
この結果から、表面保護層103の体積抵抗率が109〜1012[Ω・cm]の範囲にあることが適正であることが確認できる。これは、体積抵抗率が非常に高い表面保護層103を用いると、ホッピングを繰り返すトナーと表面保護層103との摩擦によってトナー担持体13aの表面が帯電したままになってしまい、また、逆にあまりに表面保護層103の導電性が高いと、電極102−1a、102−1b、102−2a、102−2b・・・間で電荷のリーク(ショート)が発生してしまうために、効率的なバイアス効果が得られなくなるからである。表面保護層103は、トナー担持体13aの表面に蓄積した電荷が電極102−1a、102−1b、102−2a、102−2b・・・にうまく逃げられるように、適当な抵抗率(体積抵抗率で109〜1012[Ω・cm])となっている必要がある。
なお、この体積抵抗率の最適範囲は、現像装置の個体差などによって変わってくることもあるので、実際に使用する現像装置における体積抵抗率の最適範囲を予め実験によって調べた上で、適切な体積抵抗率に調整することが望ましい。
また、トナー担持体13aの表面保護層103を、ポリカーボネート樹脂のような高分子絶縁性材料を用いて形成した場合、空気中の湿気を吸湿して表面保護層103の体積抵抗が変化してしまう。a相電極とb相電極との電極間隔が数十[μm]と狭い場合、わずかな体積抵抗の変化でもフレアを形成するための電界(クラウド電界)に影響してしまう。
図13に、トナー担持体13aの表面保護層103としてポリカーボネート樹脂のような高分子絶縁性材料を用いた場合の湿度と表面保護層103の体積抵抗との関係を示す。図13から低湿になるほど表面保護層103の体積抵抗が高くなることがわかる。
また、上述したように図12から表面保護層103の体積抵抗率が109〜1012[Ω・cm]の範囲にあることが活性なフレア状態を形成するのに適正であることより、相対湿度30[%RH]以下では、フレア活性率が低下することがわかる。また、相対湿度が80[%RH]以上では、表面保護層103の体積抵抗が低くなり過ぎてリークが発生する可能性がある。
これにより、本実施形態の画像形成装置のように、上記演算部によってa相電極とb相電極との電極間の絶縁抵抗Rsを算出し、その算出結果から、湿度の影響によって表面保護層103の体積抵抗が変化し、フレア活性度合いが低下したり上記リークが発生したりするのを上記制御部などによって推測することができる。
以上、本実施形態によれば、絶縁性の支持基材101の表面に沿うように複数の電極102が所定の間隔で配設され、支持基材101及び電極102の表面に絶縁性の表層である表面保護層103が積層された筒状のトナー担持体13aと、複数の電極102に周期的な電圧を印加することによって、トナー担持体13aの表面に担持されている所定極性に帯電したトナーをホッピングさせる電界をトナー担持体13aの表面上に発生させるホッピング電界発生手段である電源45A、45Bとを有し、トナー担持体13aの表面に担持されているトナーを潜像担持体である像担持体11と対向する現像領域へ搬送して像担持体11上の潜像にトナーを付着させることによって上記潜像を現像する現像装置13において、電源45A、45Bによって複数の電極102に電圧を印加した際に、複数の電極102間に流れる電流を計測する電流計測手段である電流計測装置46と、電流計測装置46の計測結果を用いて複数の電極102間の漏電を検知する漏電検知手段である上記制御部とを有する。これにより、電流計測装置46によって計測された複数の電極102間に流れる電流の計測値を用いて上記制御部により上記複数の電極間の漏電を検知することができる。よって、上記複数の電極間で漏電が発生することで作業者が感電したりショートによって装置が燃焼したりするのを抑制することが可能となる。
また、本実施形態によれば、上記電源45A、45Bによって上記複数の電極102に印加した電圧と、電流計測装置46によって計測された電流とから、上記複数の電極間の絶縁抵抗Rsを算出する絶縁抵抗算出手段である上記演算部を有することで、上記演算部が算出した絶縁抵抗Rsからフレア活性度合いを推測することができる。
また、本実施形態によれば、上記漏電検知手段として機能する上記制御部は、上記演算部によって演算された絶縁抵抗Rsに基づいて上記漏電を検知するようにしても良い。
また、本実施形態によれば、上記漏電検知手段として機能する上記制御部によって上記漏電が検知された際に、電源45A、45Bによる複数の電極102への電圧印加を遮断することで、より確実に複数の電極102間で漏電が発生することで作業者が感電したりショートによって装置が燃焼したりするのを未然に防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、現像手段と、潜像担持体、帯電手段またはクリーニング手段の少なくとも1つと一体に形成された、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジにおいて、上記現像手段として、本発明の現像装置を用いることで、上述したようにトナー担持体に設けられた複数の電極間で漏電が発生することで作業者が感電したりショートによって装置が燃焼したりするのを抑制でき、さらに、現像装置などのメンテナンス性が向上する。
また、本実施形態によれば、潜像を担持する潜像担持体である像担持体11と、像担持体11上の潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、上記現像手段として、本発明の現像装置13を用いることで、上述したようにトナー担持体13aに設けられた複数の電極102間で漏電が発生することで作業者が感電したりショートによって装置が燃焼したりするのを抑制できる。
なお、本発明を適用できる画像形成装置としては、上述したものに限るものではない。例えば、各色それぞれに対応させて像担持体を設け、その各色の像担持体ごとに現像装置、帯電装置、クリーニング装置などを配設し、各色の像担持体それぞれで形成された各色のトナー像を中間転写体上で重ね合わせてフルカラー画像し、中間転写体上から転写材上にフルカラー画像を転写して転写材にフルカラー画像を形成する、所謂中間転写方式のフルカラー画像形成装置でも良い。また、転写紙にブラックのトナー像だけを形成するようなモノクロ画像形成装置でも良い。これらの場合、現像装置と、像担持体、帯電装置またはクリーニング装置の少なくとも1つとを一体に形成し、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジとして構成することで、現像装置などのメンテナンス性が向上する。