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JP2009545320A - 副甲状腺ホルモン(pth)のポリペプチド誘導体 - Google Patents

副甲状腺ホルモン(pth)のポリペプチド誘導体 Download PDF

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JP2009545320A
JP2009545320A JP2009522881A JP2009522881A JP2009545320A JP 2009545320 A JP2009545320 A JP 2009545320A JP 2009522881 A JP2009522881 A JP 2009522881A JP 2009522881 A JP2009522881 A JP 2009522881A JP 2009545320 A JP2009545320 A JP 2009545320A
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トーマス ジェイ. ガーデラ
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Abstract

本発明は、新しい副甲状腺ホルモンポリペプチド誘導体に関し、同ポリペプチドを含む薬学的組成物、ならびに同ポリペプチドを製造するための合成法および組換え法に関する。本発明のポリペプチドを含む治療的に有効な薬学的組成物を使用する、骨量の減少を特徴とする哺乳類条件を治療する方法も開示する。本発明はさらに、ポリペプチド誘導体を使用する診断法および治療法を提供する。

Description

連邦政府資金による研究および開発によってなされた発明に対する権利に関する記述
本発明の開発中に実施された研究の一部には米国政府の資金が使用された。米国政府は、本発明に一定の権利を有しうる。
本発明は、新しい副甲状腺ホルモン(PTH)ペプチド誘導体、PTH誘導体をコードする核酸、ならびにPTH誘導体の作製法および使用法に関する。PTH誘導体は、ポリペプチド中の特定の位置に1か所もしくは複数のアミノ酸置換を有する場合がある。
背景
副甲状腺ホルモン
84アミノ酸のペプチドである副甲状腺ホルモン(PTH)は、ヒトの身体内におけるイオン化された血中カルシウムの主要な調節因子である(Kronenberg, H.M., et al., In Handbook of Experimental Pharmacology, Mundy, G.R., and Martin, T.J., (eds), pp.185-201, Springer-Verlag, Heidelberg (1993)(非特許文献1))。カルシウム濃度の調節は、消化器、骨格、神経、神経筋、および心血管系の正常な機能に必要である。PTHの合成および放出は、主に血清カルシウムレベルによって制御されており;低レベルであれば、ホルモンの合成と放出の両方が促進され、高レベルであれば、ホルモンの合成と放出の両方が抑制される。PTHは次に、血清カルシウムレベルを、3つのカルシウム交換部位である腸、骨、および腎臓におけるカルシウムの血中への侵入を直接的または間接的に促進することで維持する。PTHは、腎臓における活性型ビタミンDの合成を高めることで、消化器からの正味のカルシウム吸収に寄与する。PTHは骨からのカルシウムの再吸収を、骨吸収細胞(破骨細胞)の分化を間接的に促すことで促進する。これには、腎臓に対する以下の少なくとも3つの主な作用も関与する:管からのカルシウム再吸収の刺激、リン酸クリアランスの増強、および活性型ビタミンDの合成を完了する酵素の上昇の促進。PTHは、これらの作用を主に、アデニル酸シクラーゼおよび/またはホスホリパーゼCの受容体による活性化を介して発揮すると考えられている。
カルシウム恒常性維持の破壊は、多くの臨床的異常(例えば、重度の骨疾患、貧血、腎機能障害、潰瘍、筋障害、および神経障害)を生じる場合があり、通常は、副甲状腺ホルモンのレベルの変化を生じる条件から生じる。高カルシウム血症は、血清カルシウムレベルの上昇を特徴とする条件である。これはしばしば、過剰なPTH産生が、副甲状腺の病変(例えば、腺腫、過形成、または癌)の結果として生じる原発性副甲状腺機能亢進症と関連する。別のタイプの高カルシウム血症である悪性腫瘍体液性高カルシウム血症(HHM)は、最も一般的な腫瘍随伴症候群である。これは、腫瘍(例えば、扁平上皮癌、腎癌、卵巣癌、または膀胱癌)による、アミノ酸の相同性をPTHと共有する一群のタンパク質ホルモンの産生に由来する多くの状況を招くようである。これらのPTH関連タンパク質(PTHrP)は、PTHの腎臓および骨格への一部の作用に似ているようであり、これらの組織におけるPTH受容体と相互作用すると考えられている。
骨粗鬆症
骨粗鬆症は、高齢成人集団の実質的な部分に、妊娠女性に、およびさらには若年者に見られる、潜在的に骨格を変形させる疾患である。骨粗鬆症という表現は、異質の疾患のグループを意味する。臨床的には、骨粗鬆症はI型とII型に分けられる。I型の骨粗鬆症は、もっぱら中年女性に生じ、閉経に伴うエストロゲンの喪失と関連し、一方でII型骨粗鬆症は加齢と関連する。骨粗鬆症患者は、骨折の修復を促進するように設計された新たな治療法から、または同疾患に関連する骨折を予防もしくは緩和させるように設計された治療法から、利益を得ると考えられる。
同疾患は、骨量の減少、骨密度(BMD)の低下、骨強度の低下、および骨折リスクの上昇を特徴とする。現在、骨粗鬆症の有効な治療法はないが、エストロゲン、カルシトニン、ならびにビスホスホン酸塩、エチドロン酸塩、およびアレンドロン酸塩が、成功率はさまざまなものの、同疾患の治療に使用されている。これらの薬剤は骨吸収を低下させるように作用する。副甲状腺ホルモンは、間欠的に投与されると、動物において(Shen, V., et al., Calcif. Tissue Int. 50:214-220 (1992)(非特許文献2);Whitefild, J.F., et al., Calcif. Tissue Int. 56:227-231 (1995)(非特許文献3)、およびWhitfield, J.R, et al., Calcif. Tissue Int. 60:26-29 (1997)(非特許文献4))、ならびにヒトにおいて(Slovik, D.M., et al., J. Bone Miner. Res. 1:377-381 (1986)(非特許文献5);Dempster, D.W., et al., Endocr. Rev. 14:690-709 (1993)(非特許文献6)、およびDempster, D.W., et al., Endocr. Rev. 15:261 (1994)(非特許文献7))、血中のカルシウムおよびリン酸のレベルを調節し、骨格に対して強力な同化(骨形成)作用を有するので、PTHまたはPTH誘導体は、骨粗鬆症の新規かつ有効な治療法の第一候補とされている。
PTH誘導体
PTH誘導体は、完全長分子に対してアミノ酸置換を有するポリペプチドか、または切断されたポリペプチドを含む。14アミノ酸と34アミノ酸の両方のアミノ末端切断型のPTH、ならびにC末端切断型のPTHが研究されている。加えて、切断型ポリペプチド中におけるアミノ酸置換についても研究が行われている。
合成PTH(1-34)は、大半の細胞ベースのアッセイ系で完全な生理活性を示し、動物の骨量に対して強力な同化作用を有し、閉経後骨粗鬆症女性における骨折リスクを低下させることが報告されている(Neer, R.M., et al., N.E.J.M. 344:1434-1441 (2001)(非特許文献8);Dempster, D.W., et al., Endocr Rev 14:690-709 (1993)(非特許文献9))。PTHは、アデニル酸シクラーゼ/cAMPおよびホスホリパーゼC/イノシトールリン酸(IP)のシグナル伝達経路と共役するクラスIIのGタンパク質-共役型7本ヘリックス型受容体であるPTH/PTHrP受容体(P1R)に作用する(Rippner, H., et al., Science 254:1024-1026 (1991)(非特許文献10))。欠失解析研究から、PTHのアミノ末端残基が、P1Rを刺激してcAMPシグナル伝達経路およびIPシグナル伝達経路を活性化する段階に重要な役割を果たしていることが報告されている(Tregear, G.W., et al., Endocrinology 93:1349-1353 (1973)(非特許文献11);Takasu, H., et al., Biochemistry 38:13453-13460 (1999)(非特許文献12))。架橋試験および受容体変異誘発試験では、PTHのアミノ末端部中の残基が、受容体の膜近傍領域内に存在する7回膜貫通ヘリックスの細胞外ループおよび細胞外末端と相互作用することが報告されている(Bergwitz, C., et al., J. Biol. Chem. 271:26469-26472 (1996)(非特許文献13);Hoare, S.R.J., et al., J. Biol Chem 276:7741-7753 (2001)(非特許文献14);Behar, V., et al., J. Biol Chem. 275:9-17 (1999)(非特許文献15);Shimizu, M., et al., J. Biol. Chem. 275:19456-19460 (2000)(非特許文献16);Luck, M.D., et al., Molecular Endocrinology 13:670-680 (1999)(非特許文献17))。
したがって当技術分野では、骨関連障害または疾患などの、副甲状腺ホルモンが関与する疾患の治療を必要とする患者を治療するのに使用可能な新たなPTH誘導体、このような誘導体の作製法および使用法、ならびに副甲状腺ホルモンに関連するさまざまな障害または疾患の患者を治療するための誘導体の使用法が求められている。
Kronenberg, H.M., et al., In Handbook of Experimental Pharmacology, Mundy, G.R., and Martin, T.J., (eds), pp.185-201, Springer-Verlag, Heidelberg (1993) Shen, V., et al., Calcif. Tissue Int. 50:214-220 (1992) Whitefild, J.F., et al., Calcif. Tissue Int. 56:227-231 (1995) Whitfield, J.R, et al., Calcif. Tissue Int. 60:26-29 (1997) Slovik, D.M., et al., J. Bone Miner. Res. 1:377-381 (1986) Dempster, D.W., et al., Endocr. Rev. 14:690-709 (1993) Dempster, D.W., et al., Endocr. Rev. 15:261 (1994) Neer, R.M., et al., N.E.J.M. 344:1434-1441 (2001) Dempster, D.W., et al., Endocr Rev 14:690-709 (1993) Rippner, H., et al., Science 254:1024-1026 (1991) Tregear, G.W., et al., Endocrinology 93:1349-1353 (1973) Takasu, H., et al., Biochemistry 38:13453-13460 (1999) Bergwitz, C., et al., J. Biol. Chem. 271:26469-26472 (1996) Hoare, S.R.J., et al., J. Biol Chem 276:7741-7753 (2001) Behar, V., et al., J. Biol Chem. 275:9-17 (1999) Shimizu, M., et al., J. Biol. Chem. 275:19456-19460 (2000) Luck, M.D., et al., Molecular Endocrinology 13:670-680 (1999)
本発明は、ポリペプチド中の選択された位置におけるアミノ酸置換を含む、新たな副甲状腺ホルモンポリペプチド誘導体を提供する。いくつかの態様では本発明は、本質的に以下の式からなるペプチドと少なくとも90%が同一な、生物学的に活性のあるペプチドを提供する:(a)
Figure 2009545320
;(b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;(c)薬学的に許容されるそれらの塩;または(d)該ペプチドがhPTH(1-31)NH2ではないという条件で、X01がSerもしくはAlaであり;X02がGluもしくはArgであり;X03がAla、Glu、Gln、もしくはChaであり;X04がValもしくはGluであり;X05がTrp、Ala、Glu、もしくはChaであり;X06がLeu、Ala、Glu、もしくはChaであり;およびX07がLeuもしくはGluである、それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
いくつかの態様では本発明は、生物学的に活性のある、本質的に以下の式からなるペプチドを提供する:(a)
Figure 2009545320
;(b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;(c)薬学的に許容されるそれらの塩;または(d)該ペプチドがhPTH(1-31)NH2ではないという条件で、X01がSerもしくはAlaであり;X02がGluもしくはArgであり;X03がAla、Glu、Gln、もしくはChaであり;X04がValもしくはGluであり;X05がTrp、Ala、Glu、もしくはChaであり;X06がLeu、Ala、Glu、もしくはChaであり;およびX07がLeuもしくはGluである、それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
いくつかの態様では本発明は、本質的に以下の式からなるペプチドを提供する:(a)
Figure 2009545320
;(b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;(c)薬学的に許容されるそれらの塩;または(d)それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
本発明のいくつかの態様では、ペプチドは、放射標識、蛍光標識、生物発光標識、および化学発光標識からなる群より選択される標識によって標識され得る。
本発明は、薬学的に許容される担体、および本質的に以下の式からなるペプチドと少なくとも90%が同一な、生物学的に活性のあるペプチドを含む薬学的組成物も提供する:(a)
Figure 2009545320
;(b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;(c)薬学的に許容されるそれらの塩;または(d)該ペプチドがhPTH(1-31)NH2ではないという条件で、X01がSerもしくはAlaであり;X02がGluもしくはArgであり;X03がAla、Glu、Gln、もしくはChaであり;X04がValもしくはGluであり;X05がTrp、Ala、Glu、もしくはChaであり;X06がLeu、Ala、Glu、もしくはChaであり;およびX07がLeuもしくはGluである、それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
また本発明は、本質的に、本質的に以下の式からなるペプチドと少なくとも90%が同一な生物学的に活性のあるペプチドをコードするポリヌクレオチドからなる核酸分子を提供する:(a)
Figure 2009545320
;(b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;(c)薬学的に許容されるそれらの塩;または(d)該ペプチドがhPTH(1-31)NH2ではないという条件で、X01がSerもしくはAlaであり;X02がGluもしくはArgであり;X03がAla、Glu、Gln、もしくはChaであり;X04がValもしくはGluであり;X05がTrp、Ala、Glu、もしくはChaであり;X06がLeu、Ala、Glu、もしくはChaであり;およびX07がLeuもしくはGluである、それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。本発明は、このような核酸を含む組換えベクターも提供する。
本発明は、以下を含む組換えDNA分子にも関する:(1)機能的に(2)に連結された発現制御領域、(2)本質的に以下の式からなるペプチドと少なくとも90%が同一な、生物学的に活性のあるペプチドをコードするポリヌクレオチド配列:(a)
Figure 2009545320
;(b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;(c)薬学的に許容されるそれらの塩;または(d)該ペプチドがhPTH(1-31)NH2ではないという条件で、X01がSerもしくはAlaであり;X02がGluもしくはArgであり;X03がAla、Glu、Gln、もしくはChaであり;X04がValもしくはGluであり;X05がTrp、Ala、Glu、もしくはChaであり;X06がLeu、Ala、Glu、もしくはChaであり;およびX07がLeuもしくはGluである、それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。本発明は、このような組換えDNA分子を宿主細胞に導入する段階、および該分子の発現を引き起こす段階を含む、生物学的に活性のあるペプチドを作製する方法も提供する。また本発明は、組換えDNA分子を含む原核生物または真核生物の宿主細胞を提供する。本発明のいくつかの態様では、宿主細胞は細菌である。本発明のいくつかの態様では、組換えDNA分子の発現制御領域は、細菌、ウイルス、真菌、または哺乳類のプロモーターを含む。
本発明は、本質的に以下の式からなるペプチドと少なくとも90%が同一な生物学的に活性のあるペプチドをコードするポリヌクレオチドから本質的になる核酸分子をベクター中に挿入する段階を含む、組換えベクターを作製する方法も提供する:
(a)
Figure 2009545320
;(b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;(c)薬学的に許容されるそれらの塩;または(d)該ペプチドがhPTH(1-31)NH2ではないという条件で、X01がSerもしくはAlaであり;X02がGluもしくはArgであり;X03がAla、Glu、Gln、もしくはChaであり;X04がValもしくはGluであり;X05がTrp、Ala、Glu、もしくはChaであり;X06がLeu、Ala、Glu、もしくはChaであり;およびX07がLeuもしくはGluである、それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
本発明はさらに、骨量を高めるのに有効な量の生物学的に活性のあるペプチド、および薬学的に許容される担体を、治療を必要とする対象に投与する段階を含む、骨量の減少を特徴とする哺乳類条件を治療する方法を提供する(該生物学的に活性のあるペプチドは、本質的に以下の式からなるペプチドと少なくとも90%が同一である):(a)
Figure 2009545320
;(b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;(c)薬学的に許容されるそれらの塩;または(d)該ペプチドがhPTH(1-31)NH2ではないという条件で、X01がSerもしくはAlaであり;X02がGluもしくはArgであり;X03がAla、Glu、Gln、もしくはChaであり;X04がValもしくはGluであり;X05がTrp、Ala、Glu、もしくはChaであり;X06がLeu、Ala、Glu、もしくはChaであり;およびX07がLeuもしくはGluである、それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
本発明のいくつかの態様では、骨量を高めるのに有効な量のペプチドは、ペプチドをコードするDNAを患者に提供してペプチドがインビボで発現されるように投与される。
治療対象となる条件は、例えば加齢に伴う骨粗鬆症および閉経に伴う骨粗鬆症を含む骨粗鬆症でありうる。
本発明のいくつかの態様では、骨量を高めるペプチドの有効量は約0.01 μg/kg/日〜約1.0 μg/kg/日である。
本発明のいくつかの態様では、本発明のペプチドの投与法は、非経口的、皮下、または鼻内吸入の場合があるが、これらに限定されない。
本発明は、本質的に以下の式からなるペプチドと少なくとも90%が同一な、有効量の生物学的に活性のあるペプチドを患者に投与する段階;(a)
Figure 2009545320
;(b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;(c)薬学的に許容されるそれらの塩;または(d)ペプチドがhPTH(1-31)NH2ではないという条件で、X01がSerもしくはAlaであり;X02がGluもしくはArgであり;X03がAla、Glu、Gln、もしくはChaであり;X04がValもしくはGluであり;X05がTrp、Ala、Glu、もしくはChaであり;X06がLeu、Ala、Glu、もしくはChaであり;およびX07がLeuもしくはGluである、それらのN-誘導体もしくはC-誘導体;ならびに患者の骨中へのペプチドの取り込みを判定する段階を含む、骨形成、骨吸収、および/または骨リモデリングの速度を決定する方法も提供する。
本発明の別の態様、特性、および利点、ならびに本発明のさまざまな態様の構造および操作について、添付の図面を参照しながら以下に詳述する。
本明細書に組み入れられ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の1つもしくは複数の態様を説明し、説明とともにさらに本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作製して使用することを可能にする。
PTH(1-31)NH2の(17-31)ドメインのアラニン-スキャンを示す。PTH(1-31)NH2の(17-31)ドメイン中の残基はアラニンと個別に置換され、完全なPTHR(図1Aおよび図1B)に対する、およびPTHR-delNt(図1Cおよび図1D)に対する結合に対する影響が競合法によって評価された。図1Aおよび図1Bのアッセイ法では、安定にトランスフェクトされたHKRK-B7細胞および125I-[Nle8,21,Tyr34]rPTH(1-34)NH2){125I-PTH(1-34)}トレーサー放射性リガンドが使用された。図1Cおよび図1Dのアッセイ法では、PTHR-delNtが一過的にトランスフェクトされたCOS-7細胞から調製された膜、および125I-[Aib13,Nle8,Gln10,Har11,Ala12,Trp14,Tyr15]PTH(1-15)NH2{125I-[Aib13,M]PTH(1-15)トレーサー放射性リガンドが使用された。125I-[Aib13,M]PTH(1-15)の総結合を高めるために、COS-7細胞をGαsドミナントネガティブ変異体とともに、本明細書に記載された手順で同時にトランスフェクトした。データは、非標識競合リガンドの非存在下で観察される特異的な結合(SB)に対するパーセンテージで表す。パネル1Cおよび1Dに示すPTH(1-31)類似体に関する曲線は、データを、最大濃度の非標識の[Aib13,M]PTH(1-15)によって決定された非特異的な結合に外挿することで得られた。親PTH(1-31)NH2ペプチド(●、点線)に関するデータを各グラフに示し、ならびに[Aib13,M]PTH(1-15)NH2(◇、実線)に関するデータを参照用に、パネル1Cおよび1Dに示す。データは、それぞれ2つ組で実施された3回または3回以上の実験の平均(±s.e.m.)である。 アラニン置換されたPTH(1-31)NH2類似体の円二色性分光法を示す。親ペプチドPTH(1-31)NH2ペプチド、および(17-31)ドメイン中の1か所にアラニン置換を有するこの誘導体をCD分光法で解析した。スペクトルの209 nmおよび222 nmの領域中の平均残基分子楕円率[θ]における負の偏差はα-ヘリックス構造を意味する。各ペプチドに関して、ペプチド鎖1本あたりのヘリックス残基の数を[θ]222から計算し、結果として得られた値を表1および表2に記載する。 [Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2の(17-31)ドメインのシクロヘキシルアラニン-スキャンを示す。[Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2の(17-31)中の残基を、シクロヘキシルアラニン(Cha)と個別に置換し、ならびに完全なPTHR(図3Aおよび図3B)に対する結合、およびPTHR-delNt(図3Cおよび図3D)に対する結合に対する作用を、図1の説明文に記載された手順で評価した。データは、それぞれ2つ組で実施された3回または3回以上の実験の平均(±s.e.m.)である。 [Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2の(19-28)領域中におけるグルタミン酸置換の影響を示す。[Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2の(19-28)領域中の残基をグルタミン酸と置換し、ならびに完全なPTHR(図4Aおよび図4B)に対する結合、およびPTHR-delNt(図4Cおよび図4D)に対する結合に対する影響を、図1の説明文に記載された手順で評価した。データは、それぞれ2つ組で実施された3回または3回以上の実験の平均(±s.e.m.)である。 アルギニン-20の置換解析を示す。さまざまなコードアミノ酸(Gln、Glu、Lys)または非コードアミノ酸(Nle、Cit、Orn、Apa、Gph、およびPipGly)による、PTH(1-31)NH2の20位における高度に保存されたアルギニンの置換が、完全なPTHR(図5Aおよび図5B)に対する結合、ならびにPTHR-delNt(図5Cおよび図5D)に対する結合に及ぼす影響を競合法によって、図1の説明文に記載された手順で評価した。データは、それぞれ2つ組で実施された3回または3回以上の実験の平均(±s.e.m.)である。 ROS 17/2.8細胞における結合およびcAMP-刺激活性を示す。親ペプチド[Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2、およびこのGlu置換類似体またはCha置換類似体を、ROS 17/2.8細胞における内因性PTHRに対する結合能、ならびにこれらの細胞におけるcAMP形成の促進能に関して評価した(図6B)。競合結合試験を、完全な細胞を対象に、トレーサー放射性リガンドとして125I-PTH(1-34)を使用して実施した(図6A)。データは、それぞれ2つ組で実施された3回の実験から統合されたデータの平均(±s.e.m.)である。 PTH(1-31)NH2および[Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2類似体を対象とした円二色性分光法を示す。PTH(1-31)NH2、ならびに19位および/または22位において置換されたこの類似体(図7A)、もしくは[Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2、および(17-31)ドメイン中でシクロヘキシルアラニン(図7B)もしくはグルタミン酸(図7C)と置換されたこの類似体をCD分光法によって、図2の説明文に記載された手順で評価した。 イノシトールリン酸の蓄積が促進されることを示す。野生型PTHRが一過的にトランスフェクトされた完全なCOS-7細胞を緩衝液のみ(ベース)、PTH(1-31)NH2(親)、または記載のアラニン置換を含むこの類似体で処理し、イノシトールリン酸の蓄積に対する影響を評価した。データは、それぞれ2つ組で実施された3回の実験で得られた値の平均(±s.e.m.)である。
発明の詳細な説明
定義
明細書および請求項の、より明瞭な理解を可能とすることを目的として、以下の定義を提供する。
アミノ酸配列:本出願におけるアミノ酸配列は、1文字または3文字のいずれかのアミノ酸表記を使用する。これらの表記法は当業者に周知であり、例えば、Cooper, G.M., The Cell 1997, ASM Press, Washington, D.C.、またはAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, 1994などの数多くの容易に入手可能な参考文献に記載されている。配列中の置換が例えばSer-3→Alaのように表記される場合、これは、ポリペプチドのN末端から3番目の位置のセリンが別のアミノ酸と置換され得ることを意味する。
タンパク質の生物学的活性:この表現は、ポリペプチドの任意の生物学的活性を意味する。このような活性の例は、類似の活性もしくは改善された活性、または望ましくない副作用の低下を伴う活性を含む、ポリペプチドまたはこの誘導体の化合物の代謝機能もしくは生理機能を含むが、これらに限定されない。該化合物、またはこの誘導体の抗原活性および免疫原性活性も含まれる。
クローニングベクター:宿主細胞内で自律的に複製可能であり、およびDNA配列が確定可能な様式で切断され得る、ならびに取り込まれたDNA断片が、その複製およびクローニングを引き起こすためにスプライスされ得る1か所または少数の箇所の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を有することを特徴とするプラスミドもしくはファージのDNAまたは他のDNAの配列。クローニングベクターにはさらに、クローニングベクターによって形質転換された細胞の同定における使用に適したマーカーを含めることもできる。マーカーは例えば、テトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性を提供する。
DNAコンストラクト:本明細書で用いる「DNAコンストラクト」は、組換え型の人工DNA(直鎖状または環状のいずれか)を意味すると理解されるべきである。
誘導体または機能性誘導体:「誘導体」または「機能性誘導体」という表現は、PTH分子の「バリアント」、「誘導体」、または「化学的誘導体」を含むことが意図される。分子の「バリアント」またはこの誘導体は、分子全体またはこの断片のいずれかと実質的に類似の分子を意味する。分子の「類似体」またはこの誘導体は、分子またはこの断片のいずれかと実質的に類似の非天然の分子を意味する。
PTH誘導体は、同じサイズの天然のPTHポリペプチドに対するポリペプチドの変化を含む。分子は、2つの分子中のアミノ酸の配列が実質的に同じ場合、および2つの分子が類似の生物学的活性を有する場合に、別の分子に対して「実質的に類似している」と言われる。したがって、類似の活性を有する2つの分子は、たとえ一方の分子がもう一方の分子中には存在しないか、またはアミノ酸残基の配列が同一ではない場合に、追加のアミノ酸残基を含む場合であっても、本明細書で使用されるように、バリアント、誘導体、もしくは類似体であると見なされる場合がある。しかしながら、PTH誘導体は、天然の分子と実質的に類似の生物学的活性を有する必要はない。場合によってはPTH誘導体は、天然のPTHと実質的に異なる活性を有する場合がある。例えば誘導体は、PTH受容体のアンタゴニストまたはアゴニストのいずれかの場合がある。
本明細書で用いる分子は、通常は同分子の一部分ではない追加の化学的部分(chemical moiety)を含む場合に、別の分子の「化学的誘導体」であると言われる。化学的部分は、分子の溶解性、吸収性、生物学的半減期などを改善する場合がある。化学的部分はあるいは、分子の毒性を低減したり、分子の任意の望ましくない副作用を除去または減弱させたりることが可能である。このような作用に関与可能な化学的部分の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences (1980)に記載されており、当業者に明らかであろう。
発現ベクター:本明細書で用いる「発現ベクター」は、発現ベクターによって適切な宿主細胞が形質転換される場合に構造遺伝子が発現され得るように、発現制御配列に機能的に連結された構造遺伝子を含むDNAコンストラクトである。2つのDNA配列は、一方の領域の生物学的活性がもう一方の領域に影響する場合に、および2つのDNA配列間の連結の性質が、(1)フレームシフト突然変異の導入を生じないか、(2)プロモーター領域の配列が所望の配列の転写を誘導する能力に干渉しないか、または(3)所望の配列が、プロモーター領域の配列によって転写され得る能力に干渉しない場合に、「機能的に連結されている」と言われる。したがってプロモーター領域は、プロモーターが、DNA配列の転写を引き起こすことが可能な場合に、所望のDNA配列に機能的に連結される場合がある。
断片:例えば、SEQ ID NO:1またはこの誘導体などの分子の「断片」は、これらの分子の任意のポリペプチドの一部分を意味する。
融合タンパク質:「融合タンパク質」という表現は、追加のアミノ酸のリーダーポリペプチド配列に連結されることになる、そのN末端に「選択的切断部位」が連結されている場合もあれば連結されていない場合もある、例えばSEQ ID NO:1もしくはこの誘導体などの化合物を含む融合タンパク質を意味する。
遺伝子治療:本明細書で用いる「遺伝子治療」は特に、対象遺伝子もしくは対象遺伝子によって発現される産物を変化させることで、対象となる細胞もしくは生物体の遺伝子型を変化させることで、または生物体の遺伝子発現の正常なパターンを変化させることで、障害もしくは疾患を改善させる、除去する、または緩和する能力を意味する。例えばこれは、対象遺伝子を変異遺伝子と置換することで、対象遺伝子をノックアウトすることで、または対象遺伝子を阻害もしくは促進する産物を産生する異なる遺伝子を挿入することで、または当業者に既知の他の方法を使用することで達成され得る。一般に、遺伝子発現に変化を生じさせるためには、組換えポリヌクレオチドは生物体の細胞または組織中に導入される。遺伝的材料の操作は、インビボまたはエクスビボのいずれかにおいて達成することができる。上記の例は、遺伝子治療が実施され得る異なる方法を制限する意図はない。遺伝子治療の分野の当業者に既知の任意の手法を、主張された発明とともに使用することができる。
宿主動物:トランスジェニック動物という表現は、生殖細胞および体細胞が本発明のDNAコンストラクトを含む動物を意味する。このようなトランスジェニック動物は一般に脊椎動物である。好ましい宿主動物は、非ヒト霊長類、マウス、ヒツジ、ブタ、ウシ、ヤギ、モルモット、齧歯類(例えばラット)などの哺乳類である。「宿主動物」という表現には、胚形成期および胎仔形成期を含むあらゆる発生期にある動物も含まれる。
%同一性:任意の2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチドが例えば、少なくとも90%が「同一である」か否かは、例えばPearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)に記載されているような、デフォルトのパラメータを使用する「FASTA」プログラムなどの既知のコンピューターアルゴリズムで判定することができる。あるいは、National Center for Biotechnology InformationのデータベースのBLAST関数を使用して同一性を判定することができる。
相同性と同一性という表現は、しばしば互換的に使用される。この点に関して、パーセント相同性またはパーセント同一性は、当業者に既知の方法で決定され得る。例えば配列情報を、ウィスコンシン大学Genetics Computer Group (UWGCG)から利用可能なGAPコンピュータープログラム、バージョン6.0を使用して比較することができる。GAPプログラムでは、SmithおよびWaterman (Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)によって改変された、NeedlemanおよびWunsch(J. Mol. Biol. 48:443 (1970))のアラインメント法が使用されている。簡単に説明すると、GAPプログラムでは類似性は、アラインメント時に類似の記号(すなわちヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を、2つの配列の短い方の記号の総数で割った値として定義される。
一般に配列は、最高の対応が得られるようにアラインメントされる。「同一性」それ自体は当技術分野で認識された意味を有し、公開された手法で計算可能である(例えば、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988;Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993;Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994;Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987;およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991を参照)。2つのポリヌクレオチド配列間、または2つのポリペプチド配列間の同一性を測定する方法はいくつか存在するが、「同一性」という表現は当業者に周知である(Carillo, H. & Lipton, D., SIAM J Applied Math 48:1073 (1988))。2つの配列間における同一性または類似性の判定に一般に用いられる方法は、Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, ed., Academic Press, San Diego, 1994、およびCarillo, H. & Lipton, D., SIAM J Applied Math 48:1073 (1988)に記載された方法を含むが、これらに限定されない。同一性および類似性を判定する方法は、コンピュータープログラムに書き込まれている。2つの配列間の同一性および類似性を判定する好ましいコンピュータープログラム法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al., Nucleic Acids Research 12(i):387 (1984))、BLASTP、BLASTN、FASTA (Atschul, S.F., et al., J Molec Biol 215:403 (1990))を含むが、これらに限定されない。
したがって、本明細書で用いる「同一性」という表現は、試験ポリペプチドまたは試験ポリヌクレオチドと標準ポリペプチドまたは参照ポリヌクレオチドとの間の比較を意味する。具体的には、試験ポリペプチドは、90%またはこれ以上が標準ポリペプチドと同一な任意のポリペプチドと定義され得る。本明細書で用いる、少なくとも「90%が同一である」という表現は、標準ポリペプチドに対して90〜99.99のパーセント同一性を意味する。90%またはこれ以上のレベルの同一性は、例示目的で、試験ポリヌクレオチドおよび標準ポリヌクレオチドの長さが100アミノ酸であると仮定した場合に、試験ポリペプチドの10%(すなわち100残基中10残基)未満のアミノ酸が標準ポリペプチドと異なるという事実を意味する。このような差は、本発明のアミノ酸配列の全長にランダムに分布する点突然変異によって表される場合があるほか、または最大可能なアミノ酸の差(約90%の同一性)の1か所もしくは複数の位置に、さまざまな長さでクラスターを形成している場合がある。差は、アミノ酸の置換または欠失と定義される。
単離された:天然の状態から変化したことを意味する表現である。例えば、生きている動物個体中に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは「単離されて」いないが、その天然の状態で共存する材料から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、同表現が本明細書で使用されるように、「単離されて」いる。したがって、組換え宿主細胞内で産生されたか、および/または組換え宿主細胞内に存在するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドは本発明の目的に鑑みて、単離されていると見なされる。「単離されたポリペプチド」または「単離されたポリヌクレオチド」には、組換え宿主細胞から、または天然供給源から部分的もしくは実質的に精製されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドも含まれる。例えば、例えばSEQ ID NO:1およびこの誘導体の組換え的に作製されたバージョンの化合物は、Smith and Johnson, Gene 67:31-40 (1988)に記載された1ステップの方法で実質的に精製され得る。単離された、および精製されたという表現は、時に互換的に使用される。
「単離された」という表現は、DNAが、その遺伝子のコード配列を、本発明のDNAをコードする遺伝子に直接隣接する本発明のDNAが由来する生物体の天然のゲノム(存在する場合)中に含まないことを意味する。単離されたDNAは1本鎖もしくは2本鎖の場合があり、およびゲノムDNA、cDNA、組換え型のハイブリッドDNA、または合成DNAの場合がある。これは、例えばSEQ ID NO:1およびこの誘導体の化合物をコードする天然のDNA配列と同一な場合があるほか、そのような配列とは1残基もしくは複数のヌクレオチドの欠失、付加、または置換が異なる場合がある。本発明の1本鎖DNAは一般に、最長ではSEQ ID NO:1およびこの誘導体の化合物をコードする完全長のDNA分子となる、少なくとも8ヌクレオチドの長さ(好ましくは少なくとも18ヌクレオチドの長さ、およびより好ましくは少なくとも30ヌクレオチドの長さ)である;これらは好ましくは、ハイブリダイゼーション用のプローブとして使用される場合には検出可能に標識され、またアンチセンスの場合がある。
生物学的な細胞または宿主から作製された調製物に関して言及される、単離されたまたは精製されたという表現は、対象となるDNAもしくはタンパク質の粗抽出物を含む記載のDNAまたはタンパク質を含む任意の細胞抽出物を意味すると理解されるべきである。例えばタンパク質の場合、精製された調製物は、個別の手法、または一連の調製法もしくは生化学的手法によって得られ、および対象となるDNAもしくはタンパク質は、さまざまな程度の純度で、このような調製物中に存在する可能性がある。手順は例えば、硫酸アンモニウム分画、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、および電気泳動を含むが、これらに限定されない場合がある。
「純粋」であるか、または「単離された」DNAもしくはタンパク質の調製物は、このようなDNAもしくはタンパク質が天然において通常結合した状態にある天然の材料を含まない調製物を意味すると理解されるべきである。「本質的に純粋である」という表現は、対象となるDNAまたはタンパク質の少なくとも95%を含む「高度に」精製された調製物を意味すると理解されるべきである。
対象となるDNAまたはタンパク質を含む細胞抽出物は、タンパク質を発現するか、または対象DNAを含む細胞から得られるホモジネート調製物または無細胞調製物を意味すると理解されるべきである。「細胞抽出物」という表現は、培地、特に細胞が除去された後の使用済みの培地を含むことが意図される。
リーダー配列:「リーダー配列」という表現は、化合物(例えばSEQ ID NO:1)に連結され、ならびに宿主細胞内で、選択的切断部位とSEQ ID NO:1の化合物に融合した融合タンパク質として発現されるポリヌクレオチド配列を意味する。「リーダーポリペプチド」という表現は、融合タンパク質中に得られる、「リーダー配列」の発現された形状を意味する。
しばしば不溶性であり、および過剰に発現されると封入体中に存在する融合タンパク質は、他の細菌タンパク質から当技術分野で周知の方法で精製される。好ましい態様では、不溶性の融合タンパク質は遠心分離され、および細胞溶解後に洗浄され、ならびに塩酸グアニジンによって再溶解される。これは、透析による変性剤の除去後に溶解状態で留まる場合がある(回収することが可能なタンパク質の精製に関しては、Jones、米国特許第4,512,922号;Olson、米国特許第4,518,526号;ならびにBuilder et al.、米国特許第4,511,502号および米国特許第4,620,948号を参照されたい)。
例えばSEQ ID NO:1またはこの誘導体の組換え的に作製された化合物は、可溶化した融合タンパク質から、任意のさまざまな方法によって、天然の混入物を実質的に含まないように精製することができる。本明細書で用いる化合物は、細菌宿主細胞または真核宿主細胞における発現後に共存する材料から実質的に精製されている場合に、「天然の混入物質を実質的に含まない」と言われる。SEQ ID NO:1の化合物、またはこの誘導体の化合物は、標準的なクロマトグラフィー分離法によって精製され得る。
あるいはペプチドは、イムノアフィニティクロマトグラフィーによって精製され得る(Rotman, A. et al., Biochim. Biophys. Acta 641:114-121 (1981);Sairam, M.R.J, Chromatog 215:143-152 (1981);Nielsen, L.S. et al., Biochemistry 21:6410-6415 (1982);Vockley, J. et al., Biochem. J. 217:535-542 (1984);Paucha, E. et al., J. Virol. 51:670-681 (1984);およびChong, P. et al., J. Virol. Meth. 10:261-268 (1985))。
部分的または実質的な精製後に、融合タンパク質は、切断部位に対応する酵素によって酵素的に処理される。あるいは、より純度の低い状態の融合タンパク質、さらには回収可能な状態の融合タンパク質を酵素で処理することができる。必要であれば、例えばSEQ ID NO:1またはこの誘導体の、結果として得られる成熟化合物をさらに精製することができる。酵素処理の条件は当業者に既知である。
機能的に連結された:2つのDNA配列(プロモーター領域の配列と、PTH誘導体をコードする配列など)は、2つのDNA配列間の連結の性質が、(1)フレームシフト突然変異の導入を生じないか、(2)プロモーター領域の配列が所望の配列の転写を誘導する能力に干渉しないか、または(3)所望の配列が、プロモーター領域の配列によって転写され得る能力に干渉しない場合に、機能的に連結されていると言われる。したがってプロモーター領域は、プロモーターが、DNA配列の転写を引き起こすことが可能な場合に、所望のDNA配列に機能的に連結される場合がある。
ポリヌクレオチド:この表現は一般に、非修飾型のRNAもしくはDNA、または修飾型のRNAもしくはDNAの場合のある、任意のポリリボヌクレオチドもしくはポリデオキシリボヌクレオチドを意味する。「ポリヌクレオチド」は、1本鎖および2本鎖のDNA、1本鎖領域と2本鎖領域の混合物であるDNA、1本鎖および2本鎖のRNA、および1本鎖領域と2本鎖領域の混合物であるRNA、1本鎖、もしくはより典型的には2本鎖の場合のあるDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子、または1本鎖領域と2本鎖領域の混合物を含むが、これらに限定されない。また「ポリヌクレオチド」は、RNAもしくはDNA、またはRNAとDNAの両方を含む3本鎖領域を意味する。「ポリヌクレオチド」という表現は、1残基もしくは複数の残基の修飾塩基を含むDNAまたはRNA、および安定性のために、または他の理由のために修飾された骨格を有するDNAもしくはRNAも含む。「修飾された」塩基は例えば、トリチル化塩基およびイノシンなどの通常とは異なる塩基を含む。さまざまな修飾がDNAおよびRNAに導入されており;したがって「ポリヌクレオチド」は、典型的には天然に見出されるような、化学的に、酵素的に、または代謝的に修飾された形状のポリヌクレオチド、ならびにウイルスおよび細胞に特徴的な化学的な形状のDNAおよびRNAのポリヌクレオチドを含む。「ポリヌクレオチド」は、オリゴヌクレオチドとしばしば呼ばれる比較的短いポリヌクレオチドも含む。
ポリペプチド:ポリペプチドとペプチドという表現は互換的に使用される。ポリペプチドという表現は、ペプチド結合または修飾型ペプチド結合、すなわちペプチドアイソスターによって相互に連結された2個もしくは2個以上のアミノ酸を含む、任意のペプチドまたはタンパク質を意味する。「ポリペプチド」は、ペプチド、オリゴペプチド、またはオリゴマーと一般に呼ばれる短い鎖と、一般にタンパク質と呼ばれる、より長い鎖の両方を意味する。ポリペプチドは、遺伝子によってコードされる20種類のアミノ酸以外のアミノ酸を含む場合があり、翻訳後プロセシングなどの天然の過程によって、または当技術分野で周知の化学修飾法のいずれかによって修飾されたアミノ酸配列を含む場合がある。このような修飾は、基本的な教科書に、および詳細なモノグラフに、ならびに研究論文に詳しく記載されている。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノ末端またはカルボキシル末端を含む、ポリペプチド中のどの部位にでも生じさせることができる。同じタイプの修飾が、任意のポリペプチド中の複数の部位に同じ程度または異なる程度で存在する場合があることが理解されるであろう。任意のポリペプチドは、多様な修飾を含む場合もある。
ポリペプチドは分枝状の場合があり、および分枝を含む場合もあれば含まない場合もある環状の場合がある。環状、分枝状、および分枝状で環状のポリペプチドは、翻訳後修飾によって生じる場合があるほか、合成法で作製することもできる。修飾は、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、共有結合によるフラビンの付加、共有結合によるヘム部分の付加、共有結合によるヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の付加、共有結合による脂質または脂質誘導体の付加、共有結合によるホスファチジルイノシトールの付加、架橋、環状化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有結合による架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク分解性のプロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などの転移RNAによるアミノ酸のタンパク質への付加、およびユビキチン化を含む。これについては例えば、Proteins-Structure and Molecular Properties, 2nd Ed., T.E. Creighton, W.H. Freeman and Company, New York, 1993、およびWold, F., Posttranslational Protein Modifications: Perspectives and Prospects, pgs. 1-12 in Posttranslational Covalent Modification of Proteins, B.C. Johnson, Ed., Academic Press, New York, 1983;Seifter et al.、「Analysis for protein modifications and nonprotein cofactors」、Methods in Enzymol. 182:626-646 (1990)およびRattan et al.、「Protein Synthesis: Posttranslational Modifications and Aging」、Ann NY Acad Sci 663:48-62 (1992)を参照されたい。
プロモーター:開始コドンの近位に位置する、遺伝子の5'領域と一般に記載されるDNA配列。隣接する遺伝子の転写は、プロモーター領域において開始される。仮にプロモーターが誘導性プロモーターであれば、転写の速度は誘導剤に反応して速まる。対照的に、プロモーターが構成的プロモーターであれば、転写の速度は誘導剤による調節を受けない。プロモーターの例は、CMVのプロモーター(Invitrogen, San Diego, Calif.)、SV40、MMTV、およびhMTIIaのプロモーター(米国特許第5,457,034号)、HSV-1の4/5プロモーター(米国特許第5,501,979号)、ならびに初期中間体HCMVプロモーター(WO92/17581)を含む。組織特異的なエンハンサーエレメントを使用することもできる。加えて、このようなプロモーターには、生物の組織特異的および細胞特異的なプロモーターを含めてもよい。
組換え宿主:本発明では、組換え宿主は、発現ベクターまたはクローニングベクター上の所望のクローニングされた遺伝子を含む任意の原核生物もしくは真核生物の宿主細胞の場合がある。この表現は、生物の染色体上またはゲノム中に所望の遺伝子を含むように遺伝的に改変された原核細胞または真核細胞を含むことも意味する。このような宿主の例については、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)を参照されたい。好ましい組換え宿主は、本発明のDNAコンストラクトによって形質転換された真核細胞である。特に、哺乳類細胞が好ましい。
選択的切断部位:「選択的切断部位」という表現は、化合物もしくは酵素のいずれかによって所定の様式で選択的に切断され得るアミノ酸残基を意味する。選択的な酵素切断部位は、タンパク質分解酵素によって認識されて加水分解されるアミノ酸配列またはペプチド配列である。このような部位の例は、トリプシン切断部位またはキモトリプシン切断部位を含むが、これらに限定されない。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション。本明細書で用いる「ストリンジェントなハイブリダイゼーション」条件は、DNAまたはDNAとRNAの相補的部分の間に少なくとも95%の相同性を確立するための、当業者によって常用される条件と理解されるべきである。
変性したDNA鎖がハイブリダイゼーションを生じるための要件は3つだけである。(1)試料中に相補的な1本鎖が存在しなければならないこと。(2)1本鎖DNAの溶液のイオン強度が、塩基が相互に接近可能となるように極めて高くなければならないこと(操作上、0.2 Mを上回る強度を意味する)。(3)DNAの濃度が、妥当な頻度で分子間の衝突が起きるように十分に高くなければならないこと。第3の条件のみが、再生/ハイブリダイゼーションが生じるか否かに関わらず速度に影響する。
当業者によって常用されている条件は、手順に関する入手が容易な教科書、例えば、文書の全体が参照により本明細書に組み入れられる、Ausubel. F. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Chap. 2.10, John Wiley & Sons, Publishers (1994)、またはSambrook et al., Molecular Cloning, Cold Spring Harbor (1989)に記載されている。当業者には既知なように、最終的なハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、実際のハイブリダイゼーション条件と、ハイブリダイゼーション後の洗浄条件の両方を反映し、当業者であれば、望ましい結果を得るために、こうした条件を変更する適切な様式を理解するであろう。
例えば、プレハイブリダイゼーション溶液には、望ましい温度で、および望ましいプレハイブリダイゼーション時間で、固相基質上の非特異的な部位に対するハイブリダイゼーションを可能とするための、十分な塩および非特異的なDNAを含めるべきである。例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの場合、このようなプレハイブリダイゼーション溶液には、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(1×SSCは0.15 M NaCl、0.015 Mクエン酸Na;pH 7.0)、5×デンハート液、0.05%ピロリン酸ナトリウム、および100 μg/mlのニシン精子DNAを含めることができる。適切なストリンジェントなハイブリダイゼーション混合物には次に、6×SSC、1×デンハート液、100 μg/mlの酵母tRNA、および0.05%ピロリン酸ナトリウムを含めてもよい。
DNAに対する他の条件−DNAの解析は以下を必要とする場合がある:1)室温におけるプレハイブリダイゼーション、および68℃におけるハイブリダイゼーション;2)0.2×SSC/0.1% SDSによる室温における洗浄;3)望ましいならば、42℃で0.2×SSC/0.1% SDS(中程度のストリンジェンシーの洗浄)による追加の洗浄;または4)望ましいならば、68℃で0.1×SSC/0.1% SDS(高いストリンジェンシー)による追加の洗浄。
既知のハイブリダイゼーション混合物、例えば以下の組成物を含む、Church and Gilbert, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:1991 1995 (1984)に記載の混合物を使用することもできる:1%の結晶グレードのウシ血清アルブミン/1 mM EDTA/0.5M NaHPO4、pH 7.2/7% SDS。加えて、別の類似の反応条件は、Sambrook et al., Molecular Cloning, Cold Spring Harbor (1989)にも記載されている。望ましいならば、プレハイブリダイゼーション/ハイブリダイゼーション溶液にホルムアミドを含めてもよい。本発明には、PTH誘導体をコードする核酸配列にストリンジェントにハイブリダイズするDNA配列を含めることもできる。
トランスジェニック:本明細書で用いる「トランスジェニック」生物は、生物体または生物体の子孫に、出生前の時期に、例えば胚形成期に導入された導入遺伝子を含む生物である。導入遺伝子は、その生殖系列に、通常は野生型の生物体には見出されない特定の変化を生じる。このような変化は、生物体の子孫に受け継がれる可能性があり、したがって、子孫もトランスジェニック動物となる。生物体の生殖細胞系列に対する変化は、対象遺伝子中における挿入、置換、または欠失の場合がある。非ヒト動物は、導入遺伝子が当技術分野で既知の手法で導入され得る生物体であり、このような動物は、マウス、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、および他の家畜動物を含むが、これらに限定されない。トランスジェニック動物の作製法は当技術分野で周知であり、例えば、Hogan B. et al., A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, N.Y. (1986)、または米国特許第5,922,927号もしくは第5,917,123号に記載されている。1つの導入遺伝子を有するトランスジェニック動物をさらに、第2の導入遺伝子を有する別のトランスジェニック動物と交配させることで、2つの導入遺伝子を有する「ダブルトランスジェニック」動物を作製することができる。
本発明の化合物
このセクションでは、SEQ ID NO:1のポリペプチドに何度も言及する。これは単なる説明目的であり、いかなる場合においても、本発明の他のポリペプチド配列に制限されないことを意味する。タンパク質産物として、本発明の化合物は、液相または固相のペプチド合成または組換え生物学の手法による産生に適している。
固相ペプチド合成法は特に、ヒトPTHの作製に良好に応用されており、SEQ ID NO:1の化合物およびこの誘導体の作製に使用可能である(手引きとして、前掲のKimura et al.を参照、また、Fairwell et al., Biochem. 22:2691 (1983)も参照)。比較的大きな規模におけるヒトPTHの作製の成功が、Goud et al.によって、参照により本明細書に組み入れられる、J. Bone Min. Res. 6:781 (1991)に報告されている。合成ペプチドの合成法は一般に、自動合成装置、およびSEQ ID NO:1の所望の化合物またはこの誘導体のC末端のアミノ酸が結合する固相としての適切な樹脂の使用を必要とする。次に、N末端の方向へのペプチドの伸長は、FMOCベースまたはBOCベースの化学的プロトコルのいずれかを使用して、適切に保護された形状の次の望ましいアミノ酸を連続的に、典型的には合成が完了するまでカップリングさせることで達成される。次に保護基がペプチドから、通常は樹脂からのペプチドの切断と同時に切り離され、ならびに次にペプチドは、溶媒としてアセトニトリルを使用し、およびイオン対合剤としてトリフルオロ酢酸を使用する逆相HPLCなどの従来の手法で単離および精製される。このような手順は一般に、数多くの出版物に記載されており、例えば、Stewart and Young、「Solid Phase Peptide Synthesis」、2nd Edition, Pierce Chemical Company, Rockford,Ill. (1984)が参考になろう。ペプチド合成法は、例えばシクロヘキシルアラニン(Cha)などの遺伝子にコードされていないアミノ酸を組み入れる、SEQ ID NO:1およびこの誘導体の作製に必要なことが理解されるであろう。
本発明の1つの局面では、PTHの17〜31位における任意のアミノ酸の置換、特に19位、20位、21位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、および/または31位のアミノ酸におけるアミノ酸置換、ならびに特に、(当業者に既知のアッセイ法、および本明細書に記載されたアッセイ法によって決定される)PTH-1/PTH-2受容体に拮抗または作用するPTHポリペプチドの生物学的活性を破壊しない20位、21位、23位、24位、および/または28位のアミノ酸におけるアミノ酸置換も本発明の範囲に含まれる。
ウシPTHの合成類似体であるPTH(3-34)は、インビトロにおける強力なPTHアンタゴニストであると認識されている。N末端のアミノ酸1〜2および1〜7を欠くPTHのバリアントについては、アゴニスト活性を欠き、かつアンタゴニスト活性を発揮可能なことが報告されている(Born, W. et al., Endocrinol. 23:1848-1853 (1988))。本発明のSEQ ID NO:1の好ましい潜在的なアンタゴニストバリアントは、N末端が切断されたバリアントである。
本発明の別の局面では、例えばSEQ ID NO:1またはこの誘導体などの化合物のN末端のアミノ酸の遊離のアミンに置換基を、当技術分野で既知の標準的な方法で結合可能である。例えばアルキル基、例えばC1-12アルキルを、還元的アルキル化によって結合させることができる。ヒドロキシアルキル基、例えばC1-12ヒドロキシアルキルも、遊離のヒドロキシ基がt-ブチルエステルによって保護される還元的アルキル化によって結合させることができる。アシル基、例えばCOE1は、遊離酸、例えばE1COOHをN末端のアミノ酸の遊離のアミノにカップリングさせることで結合させることができる。加えて、ポリペプチドのC末端を対象とした化学修飾が本発明の範囲に含まれる。このような修飾は、受容体に対する結合親和性を修飾する場合がある。
例えば、SEQ ID NO:1、または生物学的活性を依然として保持するこの誘導体などの化合物の二次構造もしくは三次構造、または安定性を変化させる、SEQ ID NO:1およびこの誘導体などの化合物も本発明の範囲に含まれる。このような誘導体は、ラクタム環化、ジスルフィド結合、または当業者に既知の他の手段によって達成可能である。
本発明のペプチドは標識することもできる。標識分子は、色素源、触媒、酵素、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、常磁性イオン、他の核標識(nuclear tag)を含む放射性同位元素、および直接的な視覚的な標識を含む群から選択することができる。
直接的な視覚的な標識の場合は、コロイド状の金属粒子または非金属粒子、色素粒子、酵素もしくは基質、有機ポリマー、ラテックス粒子、リポソーム、またはシグナル発生基質を含む他の小胞などが使用される場合がある。
常用されている放射標識は、3H、125I、35S、14C、および32Pなどの放射標識を含む。放射性同位元素を取り込ませる手法は、当技術分野で周知である(Current Protocols in Protein Science, Coligan et al. eds., John Wiley Sons Inc. 2002を参照)。
分子の標識としての使用に適した多数の酵素は、米国特許第4,366,241号、第4,843,000号、および第4,849,338号に開示されている。本発明に有用な適切な酵素は、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、リゾチーム、リンゴ酸デヒドロゲナーゼなどを含む。酵素は単独で使用可能なほか、溶液中に含まれる第2の酵素と組み合わせて使用することができる。
適切な蛍光標識(または蛍光色素)は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、R-フィコエリトリン(RPE)、およびテキサスレッドを含むが、これらに限定されない。他の例示的な蛍光色素は、Dower et al., International Publication No. WO 93/06121で論じられている蛍光色素を含む。蛍光色素については、米国特許第5,573,909号(Singer et al)、米国特許第5,326,692号(Brinkley et al)も参考になるであろう。あるいは蛍光色素については、米国特許第5,227,487号、第5,274,113号、第5,405,975号、第5,433,896号、第5,442,045号、第5,451,663号、第5,453,517号、第5,459,276号、第5,516,864号、第5,648,270号、および第5,723,218号が参考になるであろう。
ベクター、宿主細胞、および組換え体の発現
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、および本発明のベクターによって遺伝的に改変される宿主細胞、ならびに組換え法による本発明のポリペプチドの産生にも関する。無細胞翻訳系を利用して、本発明のDNAコンストラクトに由来するRNAを使用して、このようなタンパク質を産生させることができる。
組換え体の産生については、宿主細胞を、本発明のポリヌクレオチドの発現系またはこの一部分を取り込むように遺伝学的に改変することができる。宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストランによるトランスフェクション、トランスベクション(transvection)、マイクロインジェクション、陽イオン性脂質によるトランスフェクション、エレクトロポレーション、形質移入、スクレイプローディング(scrape loading)、遺伝子銃による導入、または感染などの、多くの標準的な実験マニュアル(Davis et al., Basic Methods in Molecular Biology (1986)、およびSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)など)に記載された方法で達成することができる。
適切な宿主の代表的な例は、連鎖球菌(Streptococci)、ブドウ球菌(Staphylococci)、大腸菌(E. coli)、ストレプトミセス(Streptomyces)、および枯草菌(Bacillus subtilis)の細胞などの細菌細胞;酵母細胞やアスペルギルス(Aspergillus)の細胞などの真菌細胞;ショウジョウバエのS2細胞やヨトウガ(Spodoptera)のSf9細胞などの昆虫細胞;CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、C127細胞、3T3細胞、BHK細胞、293細胞、およびBowes黒色腫細胞などの動物細胞;ならびに植物細胞を含む。
極めて多様な発現系を使用することが可能である。このような系は特に、染色体、エピソーム、およびウイルス由来の系、例えば、細菌のプラスミドに由来するベクター、バクテリオファージに由来するベクター、トランスポゾンに由来するベクター、酵母のエピソームに由来するベクター、挿入因子に由来するベクター、酵母の染色体エレメントに由来するベクター、バキュロウイルス、SV40などのパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、およびレトロウイルスなどのウイルスに由来するベクター、ならびにコスミドやファジミドなどのプラスミドやバクテリオファージの遺伝エレメントに由来するベクターなどの、これらの組み合わせに由来するベクターを含む。発現系には、発現を調節し、ならびに発現を引き起こす制御領域を含めることができる。一般に、宿主においてポリペプチドを産生させるために、ポリヌクレオチドの維持、複製、または発現に適した任意の系またはベクターを使用することができる。適切なヌクレオチド配列を、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual(前掲)に記載された手法などの任意のさまざまな周知かつ常用の手法で、発現系に挿入することができる。
RNAベクターを、本発明において開示された本発明の化合物またはこの誘導体をコードする核酸の発現に利用することもできる。このようなベクターは、さまざまな真核細胞内で天然において複製する、プラス鎖またはマイナス鎖のRNAウイルスに基づく(Bredenbeek, P.J. & Rice, C.M., Virology 3:297-310, 1992)。レトロウイルスとは異なり、これらのウイルスは、DNA中間体のライフサイクル相を欠き、ほぼRNAの形状で存在する。例えばアルファウイルスが、外来タンパク質用の発現ベクターとして使用される。というのは、これらは、広範囲の宿主細胞で利用可能であり、および高レベルの発現を可能とするからであり;このタイプのウイルスの例は、シンドビス(Sindbis)ウイルスおよびセムリキ森林熱ウイルスを含む(Schlesinger, S., TIBTECH 11:18-22, 1993;Frolov, I., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 93:11371-11377, 1996)。InvitrogenのSinbis発現系によって例示されるように、研究者は、利便性を考慮して、実験室において組換え分子をDNA(pSinrep5プラスミド)の形状で維持することができるが、RNAの形状における複製も容易である。発現に使用される宿主細胞では、対象遺伝子を含むベクターは完全にRNAの形状で存在し、望ましいならば、この状態で連続的に複製され得る。
翻訳されたタンパク質の、小胞体の内腔への分泌、細胞膜周辺腔への分泌、または細胞外環境への分泌に関しては、適切な分泌シグナルを、所望のポリペプチド中に組み入れることができる。このようなシグナルは、ポリペプチドに対して内因性の場合があるほか、異種のシグナルの場合がある。
DNA配列の発現には、DNA配列が、転写および翻訳の調節情報を含むDNA配列に「機能的に連結」されていることが必要である。機能的な連結は、制御用または調節用のDNA配列、および発現される対象のDNA配列が、遺伝子発現を可能とするように結合される連結である。遺伝子発現に必要な「制御領域」の正確な性質は、生物体によって異なる場合があるが、一般に、原核細胞ではプロモーター(RNA転写の開始を誘導する)ならびにRNAへの転写時にタンパク質合成の開始のシグナルを発するDNA配列の両方を含むプロモーター領域を含むべきである。真核細胞における調節領域は一般に、RNA合成の開始を誘導するのに十分なプロモーター領域を含む。
本発明の発現ベクターを作製するための、さまざまなDNA断片の結合は、連結に平滑末端または突出末端を利用する従来の手法、適切な末端を提供するための制限酵素による切断、適切であれば付着末端の充填、望ましくない結合を避けるためのアルカリおよびホスファターゼによる処理、ならびに適切なリガーゼによる連結で実施される。融合タンパク質の場合は、遺伝的コンストラクトは、融合タンパク質の効率的な発現を可能とするために、融合タンパク質の遺伝子配列の5'側に機能的に連結される誘導性プロモーターをコードする。
本発明の化合物またはこの誘導体を原核細胞(例えば、大腸菌、枯草菌、緑膿菌(Pseudomonas)、ストレプトミセスなど)で発現させるためには、例えばSEQ ID NO:1にコードされたDNA配列を、機能性の原核プロモーターに機能的に連結させることが必要である。このようなプロモーターは構成的か、またはより好ましくは調節され得る(すなわち誘導され得るか、もしくは抑制され得る)プロモーターのいずれかの場合がある。構成的プロモーターの例は、バクテリオファージλのintプロモーター、pBR322のβ-ラクタマーゼ遺伝子のblaプロモーター、およびpBR325のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のCATプロモーターなどを含む。誘導され得る原核プロモーターの例は、バクテリオファージλの左右の主要プロモーター(PLおよびPR)、大腸菌のtrp、recA、lacZ、lacI、およびgalのプロモーター、α-アミラーゼ(Ulmanen, I. et al., J. Bacteriol. 162:176-182 (1985))、および枯草菌のσ-28特異的プロモーター(Gilman, M.Z. et al., Gene 32:11-20 (1984))、バチルス属のバクテリオファージのプロモーター(Gryczan, T.J., In: The Molecular Biology of the Bacilli, Academic Press, Inc., NY (1982))、ならびにストレプトミセスのプロモーター(Ward, J.M. et al., Mol. Gen. Genet. 203:468-478 (1986))を含む。原核生物のプロモーターについては、Glick, B.R., J. Ind. Microbiol. 1:277-282 (1987);Cenatiempo, Y., Biochimie 68:505-516 (1986));およびGottesman, S., Ann. Rev. Genet. 18:415-442 (1984))で概説されている。
本発明に好ましい原核プロモーターは、インドールアクリル酸によって誘導される、大腸菌のtrpプロモーターである。
酵母、真菌、哺乳類の細胞、または植物細胞などの真核細胞における発現が望ましいならば、このような真核宿主において転写を誘導可能なプロモーターを使用することが必要である。好ましい真核プロモーターは、マウスのメタロチオネインI遺伝子のプロモーター(Hamer, D. et al., J. Mol. Appl. Gen. 1:273-288 (1982));ヘルペスウイルスのTKプロモーター(McKnight, S., Cell 31:355-365 (1982));SV40の初期プロモーター(Benoist, C., et al., Nature (London) 290:304-310 (1981));および酵母gal4遺伝子のプロモーター(Johnston, S.A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 79:6971-6975 (1982);Silver, P.A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 81:5951-5955 (1984))を含む。
好ましくは、導入される遺伝子配列は、レシピエント宿主における自律的な複製が可能なプラスミドまたはウイルスベクター中に組み入れられる。この目的で、任意のさまざまなベクターを使用することができる。特定のプラスミドベクターまたはウイルスベクターの選択時における重要な因子は、以下を含む:ベクターを含むレシピエント細胞が容易に認識され得ること、およびベクターを含まないレシピエント細胞から容易に選択され得ること;特定の宿主において望ましいベクターのコピー数;ならびにベクターを、異なる種の宿主細胞間で「行き来させる」ことが望ましいか否か。
好ましい原核ベクターは、大腸菌で複製可能なプラスミド(例えば、pBR322、ColE1、pSC101、pACYC184、πVXなど)などのプラスミドを含む。このようなプラスミドは例えば、Maniatis, T., et al., In: Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1982))に記載されている。好ましいプラスミド発現ベクターは、Gardella et al., J. Biol. Chem. 265:15854-15859 (1989)に記載されたpGFP-1プラスミドか、またはStudier and Dunn, Methods in Enzymology 185:60-89 (1990)に記載されたpETベクターの1つに基づく修飾されたプラスミドを含む。バチルスのプラスミドは、pC194、pC221、pT127などを含む。このようなプラスミドは、Gryczan, T. In: The Molecular Biology of the Bacilli, Academic Press, NY pp. 307-329 (1982)に記載されている。適切なストレプトミセスのプラスミドは、pIJIOI (Kendall, K.J. et al., J. Bacteriol. 169:4177-4183 (1987))、およびΦC31などのストレプトミセスのバクテリオファージ(Chater, K.F. et al., In: Sixth International Symposium on Actinomycetales Biology, Akademiai Kaido, Budapest, Hungary, pp.45-54 (1986))を含む。シュードモナスのプラスミドは、John, J.F. et al., Rev. Infect. Dis. 8:693-704 (1986))、およびIzaki, K., Jon. J. Bacteriol. 33:729-742 (1978))で概説されている。
好ましい真核発現ベクターは、BPV、ワクシニア、2-ミクロンサークルなどを含むが、これらに限定されない。このような発現ベクターは当技術分野で周知である(Botstein, D., et al., Miami Wntr. Symp. 19:265-274 (1982);Broach, J.R., In: The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces: Life Cycle and Inheritance, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. pp. 445-470 (1981);Broach, J.R., Cell 28:203-204 (1982);Bollon, D.P., et al., J. Clin. Hematol. Oncol. 10:39-48 (1980);Maniatis, T., In: Cell Biology: A Comprehensive Treatise, Vol. 3, Gene Expression, Academic Press, NY, pp. 563-608 (1980))。
微生物のほかに、多細胞生物に由来する細胞の培養物を宿主として使用することもできる。原理的には、任意のこのような細胞培養物が、細胞供給源が脊椎動物に由来するか無脊椎動物に由来するかに関わらず使用可能である。しかしながら、脊椎動物供給源に由来する細胞に大きな関心が寄せられている。有用な脊椎動物宿主細胞系列の例は、VERO細胞およびHeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系列、WI38、BHK、COS-7、ならびにMDCKの細胞系列である。このような細胞用の発現ベクターは通常、(必要であれば)複製起点、発現される遺伝子の前方すなわち上流に位置するプロモーターとともに、任意の必要なリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、および転写ターミネーター配列を含む。
哺乳類細胞を使用する際は、発現ベクターに対する制御機能はしばしば、ウイルス材料によって提供される。例えば、一般に使用されているプロモーターは、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2型、シミアンウイルス40(SV40)、およびサイトメガロウイルスに由来する。SV40ウイルスの初期および後期のプロモーターは、いずれもウイルスから、SV40のウイルスの複製起点も含む断片として容易に得られることから特に有用である(Fiers et al., Nature 273:113 (1978))。
複製起点は、SV40や他のウイルス(例えば、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、VSV、BPV)の供給源に由来する場合のある起点などの外来性の起点を含むようなベクターの構築物によって提供され得るか、または宿主細胞の染色体の複製機構によって提供され得る。仮にベクターが宿主細胞の染色体中に組み込まれるのであれば、後者がしばしば十分である。
仮に、破壊されやすい細胞膜障壁を有しない細胞が宿主細胞として使用されるならば、トランスフェクションが、Graham and Van der Erb, Virology 52:546 (1978)に記載されたリン酸カルシウム沈殿法によって実施される。しかしながら、核内への注入やプロトプラスト融合などの、DNAを細胞に導入する他の方法を使用することもできる。遺伝子治療の場合は、リポソームなどがあるがこれらに限定されないトランスフェクション促進剤を使用する場合もあれば使用しない場合もある、裸のプラスミドまたはウイルスDNAの直接注入法が、哺乳類細胞のインビボまたはインビトロにおけるトランスフェクションの現行の方法に代わるアプローチとなる。仮に、原核細胞、または実質的な細胞壁構築物を含む細胞が使用される場合は、トランスフェクションの好ましい方法は、Cohen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:2110 (1972)に記載された、塩化カルシウムを使用するカルシウム処理である。
遺伝子治療
PTHを必要とする骨粗鬆症や他の疾患などの疾患の症状を呈する患者(ヒトまたは非ヒト)を遺伝子治療で治療することができる。この方法を実施することで、疾患の症状を緩和することができるはずである。遺伝子治療は、有効であることが証明されているほか、特定の型のヒト血友病(Bontempo, F.A., et al., Blood 69:1721-1724 (1987);Palmer, T.D., et al., Blood 73:438-445 (1989);Axelrod, J.H., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:5173-5177 (1990);Armentano, D., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6141-6145 (1990))の治療に、ならびに嚢胞性線維症(Drumm, M.L., et al., Cell 62:1227-1233 (1990);Gregory, R.J., et al., Nature 347:358-363 (1990);Rich, D.P., et al., Nature 347:358-363 (1990))、ゴーシェ病(Sorge, J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:906-909 (1987);Fink, J.K., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2334-2338 (1990))、筋ジストロフィー症(Partridge, T.A., et al., Nature 337:176-179 (1989);Law, P.K., et al., Lancet 336:114-115 (1990);Morgan, J.E., et al., J. Cell Biol. 111:2437-2449 (1990))および転移性黒色腫(Rosenberg, S.A., et al., Science 233:1318-1321 (1986);Rosenberg, S.A., et al., N. Eng. J. Med. 319:1676-1680 (1988);Rosenberg, S.A., et al., N. Eng. J. Med. 323:570-578 (1990))などの他の哺乳類疾患の治療に有望であると見なされている。最近では遺伝子治療は、前立腺癌(Herman, J.R. et al., Hum. Gene Ther. 10:1239-1249 (1999))、および転移性黒色腫(Nemunaitis, J. et al., Hum. Gene Ther. 20:1289-1298 (1999))の患者に抗癌作用または抗腫瘍作用を提供することが報告されている。加えて、遺伝子治療の方法に関する複数の特許が発行されている。例えば、米国特許第5,836,905号、第5,741,486号、第5,871,486号、および第5,656,465号。
好ましいアプローチでは、PTHポリペプチド誘導体のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを、治療対象の哺乳類の細胞内への核酸分子の導入に適したベクター中に組み入れて、トランスフェクションベクターを作製することができる。
遺伝子の輸送、および候補となる遺伝子治療用に、さまざまなベクターが開発されている。この目的に適したベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)を含む。あるいは本発明の核酸分子を、ウイルス(例えばアデノウイルス)とともに、またはウイルス成分(例えばウイルスのキャプシドタンパク質)とともに分子コンジュゲート中に配合させることができる。ベクターは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、およびレトロウイルスのコンストラクトに由来する(総説として、Friedmann, T., Trends Genet 10:210-214 (1994);Jolly, D., Cancer Gene Therapy 1 (1994);Mulligan, R.C, Science 260:926-932 (1993);Smith, F. et al., Rest. Neurol. Neurosci. 8:21-34 (1995)を参照)。組換えウイルスベクターとアンプリコンベクターの両方を含む、HSV-1に基づくベクターならびにアデノウイルスベクターは、細胞の核内において染色体外の状態として存在可能であり、有糸分裂細胞ではなく、有糸分裂後の細胞において限定的で長期に及ぶ遺伝子発現に関与する場合がある。HSV-1アンプリコンベクターは、比較的高い力価(107形質導入単位/ml)に増やすことが可能であり、および外来DNAの大きな断片(少なくとも15 kb、ビリオン1個あたり10個の鎖状中間体のコピー)の存在を可能とする能力を有する。アンプリコンベクターに匹敵する力価を有するAAVベクター(rAAV)は遺伝子(<4.5 kb)を、有糸分裂細胞だけでなく有糸分裂後の細胞に、アデノウイルスまたはヘルペスウイルスをヘルパーウイルスとして組み合わせて輸送可能である。導入遺伝子の長期にわたる発現は、「エピソーム」エレメントの複製および形成によって、および/またはランダムか、もしくは特定の部位における宿主細胞のゲノム中への組み込みによって達成される(総説として、Samulski, R.J., Current Opinion in Genetics and Development 3:74-80 (1993);Muzyczka, N., Curr. Top. Microbiol. Immunol. 158:97-129 (1992)を参照)。HSV、アデノウイルス、およびrAAVのベクターはいずれも、安定な粒子中にパッケージされる。レトロウイルスベクターは7〜8 kbの外来DNAを収容可能であり、および宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得るが、これは有糸分裂細胞のみに言えることであり、粒子は比較的不安定で力価は低い。最近の研究では、さまざまなウイルスに由来するエレメントを組み合わせることで、ベクターの輸送能力を高めることが可能なことが証明されている。例えば、マトリックスタンパク質およびインテグラーゼを含む、HIVビリオンのエレメントをレトロウイルスベクター中に組み入れることによって、導入遺伝子カセットが、非分裂細胞ならびに分裂細胞の核内に侵入可能となり、および潜在的には、これらの細胞のゲノム中に組み入れられ(Naldini, L. et al., Science 272:263-267 (1996));ならびに水疱性口内炎ウイルスのエンベロープ糖タンパク質(VSV-G)を含めることによって、レトロウイルス粒子の安定性が高められる(Emi, N. et al., J. Virol. 65:1202-1207 (1991))。
HSV-1は、細胞の核内で複製して転写される2本鎖DNAウイルスである。HSV-1は、溶解サイクルと潜在サイクル(latent cycle)をとる。HSV-1は宿主域が広く、ならびに哺乳類および鳥類(ニワトリ、ラット、マウス、サル、およびヒトを含む)の多くの細胞タイプに感染する。Spear et al., DNA Tumor Viruses, J. Tooze, Ed. (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y., 1981, pp. 615-746)。HSV-1は、ニューロン、線維芽細胞、およびマクロファージを含むさまざまな細胞に溶解的に感染可能である。またHSV-1は、動物成体の分裂終了後のニューロンに感染し、潜伏状態で無制限に維持され得る。Stevens, Current Topics in Microbiology and Immunology 70:31(1975)。潜伏状態のHSV-1は遺伝子を発現可能である。
AAVも広い宿主域を有し、大半のヒト細胞に注入可能と考えられている。組み込みの宿主域は同等に広いと考えられている。AAVは、ヒト集団に内因性の1本鎖DNA型のパルボウイルスであり、適切な遺伝子治療用のベクターの候補である。AAVはどの疾患とも関連しないので、遺伝子輸送の応用において安全である(Cukor et al., The Parvoviruses, Ed. K.I. Berns, Plenum, N.Y., (1984) pp. 33-36;Ostrove et al., Virology 113:521 (1981))。AAVは感染後に宿主ゲノム中に組み込まれ、導入遺伝子が無制限に発現可能となる(Kotin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:221 (1990);Samulski et al., EMBO J. 10:3941 (1991))。細胞ゲノムへのAAVの組み込みは、AAVが遺伝子を休止細胞に輸送可能なことから特に重要な細胞複製に依存しない(Lebkowski et al., Mol. Cell. Biol. 8:3988 (1988))。
HSVもAAVも、遺伝子を分裂細胞および非分裂細胞に輸送可能である。一般にHSVのビリオンはAAVのビリオンより感染性が高いと見なされており、ウイルス粒子:感染単位の比は、HSVで10であり(Browne, H. et al., J. Virol 70:4311-4316 (1996))、およびAAVでは最大で数千に及び(Snyder, R.O. et al., In Current Protocols in Human Genetics, Eds. Dracopoli, N. et al., John Wiley and Sons: New York (1996), pp. 1-24)、ならびに、いずれも種の範囲は広い。それでも個々のビリオンは、特定の細胞タイプの感染効率に影響する特異的なトロフィズム(trophism)を有する。腫瘍壊死因子アルファファミリーの成員である対HSV-1膜受容体が最近同定されており(Montgomery, R.I. et al., 21st Herpes Virus Workshop Abstract #167 (1996))、この受容体の分布が、大半の哺乳類細胞タイプがHSV-1によって注入可能であるにもかかわらず、細胞の相対的な感染力に影響することがわかっている。AAVも、極めて広い宿主域および細胞タイプの範囲(cell type range)を有する。AAVに対する細胞受容体は不明であるが、150 kDaの糖タンパク質について、培養細胞内におけるその存在がAAVに対するその結合能力と相関することが報告されている(Mizukami, H. et al., Virology 217:124-130 (1996))。
このようなベクターの作製法は当技術分野で周知であり、一般に「Working Toward Human Gene Therapy」、Chapter 28 in Recombinant DNA, 2nd Ed., Watson, J.D. et al., eds., New York: Scientific American Books, pp.567-581 (1992)に記載されている。加えて、遺伝子治療用ベクターの一般的な構築法、および治療目的での罹患動物へのその一般的な導入法は、内容の全体が特異的に参照により本明細書に組み入れられる上記の出版物に記載されている。
1つの一般的な方法では、PTH誘導体の遺伝子をコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、罹患個体の細胞または組織中に、好ましくは注射、吸入、摂取、または溶液を介した粘膜への導入によって直接導入され;このような方法は一般に「インビボ」遺伝子治療と呼ばれる。あるいは、細胞または組織、例えば骨髄由来の造血細胞を、当業者に周知の方法で罹患動物から除去して培養物中に移すことが可能であり;ポリヌクレオチドを含むベクターを次に、単離されたポリヌクレオチドの細胞または組織への導入に関して上記の文献に全般的に記載された任意の方法で、これらの細胞または組織中に導入することが可能であり、ならびにポリヌクレオチドの組み入れを可能とする十分な時間の経過後に、細胞または組織を罹患動物か、もしくは治療を必要とする第2の動物に再挿入することができる。対象となるDNAの導入は、罹患動物の体外で実施されるので、この方法は一般に「エクスビボ」遺伝子治療と呼ばれる。
インビボ遺伝子治療でもエクスビボ遺伝子治療でも、本発明のポリヌクレオチドは代替的に、異種の調節DNA配列の場合がある調節DNA配列に機能的に連結して、上述の遺伝的コンストラクトを形成させることが可能である。次に、この遺伝的コンストラクトをベクター中に挿入し、続いてインビボ遺伝子治療法では罹患動物に直接導入するか、またはエクスビボ法では罹患動物の細胞もしくは組織に導入することができる。別の好ましい態様では、遺伝的コンストラクトを動物の細胞または組織にインビボかエクスビボのいずれかにおいて、ウイルス(例えばアデノウイルス)またはウイルス成分(例えばウイルスのキャプシドタンパク質)との分子コンジュゲートの形状で導入することができる。
上記のアプローチは、(a)罹患動物の細胞内における核酸分子と欠損遺伝子の間における相同組換え;(b)宿主細胞ゲノム中への遺伝子のランダムな挿入;または(c)染色体外の遺伝エレメントとして存在する可能性のある、細胞の核内への遺伝子の組み込みにつながる。遺伝子治療に関するこのような方法およびアプローチの概要は例えば、米国特許第5,578,461号;WO 94/12650;およびWO 93/09222に記載されている。
あるいは、同種または異種の場合のあるトランスフェクトされた宿主細胞を、半透性の障壁装置内に封入して罹患動物に移植することで、動物の免疫系とトランスフェクトされた細胞の間の接触を妨げながら、例えばPTHポリペプチド誘導体を動物の組織中および循環血中に通過させることができる(WO 93/09222を参照)。
本発明の化合物の有用性および投与
本発明の化合物、またはこの誘導体には多様な用途がある。用途には特に、PTH受容体のアゴニストもしくはアンタゴニスト、骨量の減少によって現れるさまざまな哺乳類条件の予防および治療、診断用のプローブ、診断用プローブとして、さらには分子量マーカーとして使用される抗体を調製するための抗原などがある。PTHポリペプチド中の1個もしくは複数のアミノ酸の特異的に置換することができれば、必要に応じて特定の分子量のポリペプチドの構築が可能となる。
特に本発明の化合物は、ヒトの骨粗鬆症および骨減少症の予防的処置および治療的処置に処方される。また本発明の化合物は、他の骨疾患の予防的処置および治療的処置に処方される。本発明の化合物は、副甲状腺機能低下症の予防的処置および治療的処置にも処方される。さらに本発明の化合物は、骨折修復のアゴニストとして、および高カルシウム血症のアンタゴニストとしての使用に処方される。
一般に、例えばSEQ ID NO:1もしくはこの誘導体、またはこの塩の化合物は、約0.01〜1 μg/kg体重/日の量で、好ましくは約0.07〜約0.2 μg/kg体重/日の量で投与される。50 kgの女性対象の場合、生物学的に活性のある化合物の1日用量は約0.5〜約50 μgであり、好ましくは約3.5〜約10 μgである。ウマ、イヌ、およびウシなどの他の哺乳類では、より高い用量が必要な場合がある。この投与量は、従来の薬学的組成物を溶媒として、単回投与によって、複数回投与によって、または最も効果的な結果を達成するのに達成するために必要な制御放出を介して、好ましくは1日に1回もしくは複数回の注射によって輸送され得る。例えば、この投与量は、従来の薬学的組成物を溶媒として鼻内吸入によって輸送され得る。
正確な用量および組成物、ならびに最も適切な輸送レジメンの選択は、選択される本発明の化合物の薬理学的特性、治療対象条件の性質および重症度、ならびにレシピエントの身体条件および精神的明瞭度(mental acuity)の影響を特に受ける。
代表的な好ましい輸送レジメンは、経口、非経口、皮下、経皮(transcutaneous)、筋肉内および静脈内、直腸内、頬内(舌下を含む)、経皮(transdermal)、ならびに鼻内吸入を含むが、これらに限定されない。
薬学的に許容される塩は、有毒な副作用を生じることなく、本発明の化合物の望ましい生物学的活性を保持する。このような塩の例は、(a)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などによって形成される酸付加塩;および、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロ酸などの有機酸によって形成される塩;(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウムなどの多価金属陽イオンによって形成されるか;またはN,N'-ジベンジルエチレンジアミンもしくはエチレンジアミンによって形成される有機陽イオンによって形成される塩基付加塩;または(c)(a)と(b)の組み合わせ、例えば亜鉛のタンニン酸塩などである。薬学的に許容される緩衝液は、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水を含むが、これらに限定されない。これらの溶液には、当業者に既知の許容される保存剤を含めることもできる。
本発明の別の局面は、活性成分として、本発明の化合物または本発明のこの誘導体、または薬学的に許容されるこの塩を、薬学的に許容される非毒性担体との混合物中に含む薬学的組成物に関する。上述したように、このような組成物は、非経口(皮下、経皮、筋肉内、または静脈内)投与用に、特に溶液もしくは懸濁物の状態で調製することが可能であり;経口投与または頬粘膜投与用に、特に錠剤もしくはカプセルの形状で調製することが可能であり;直腸内投与、経皮投与用に調製することが可能であり;ならびに鼻内投与用に、特に粉末、点鼻薬、またはエアゾルの状態で調製することが可能である。
組成物は、利便性を考慮して、単位投与剤形で投与することが可能なほか、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., (1985)に記載された、薬学分野で周知の任意の方法で調製することができる。非経口投与用の製剤には、賦形剤として滅菌水または生理食塩水、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物由来の油、水素化ナフタレンなどを含めることができる。経口投与の場合は、胆汁酸塩またはアシルカルニチンを添加することで製剤を改善することができる。鼻内投与用の製剤は固体の場合があり、および賦形剤、例えば乳糖もしくはデキストランを含めることができるほか、点鼻薬または定量噴霧剤(metered spray)の形状で使用される場合には、水性もしくは油性の溶液の場合がある。頬粘膜投与の場合は、典型的な賦形剤は、糖、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、アルファ化デンプンなどを含む。
最も好ましい投与経路用に製剤化される場合は、鼻粘膜からの吸収である鼻内投与は、約0.2〜15重量パーセント、好ましくは約0.5〜4重量パーセントの範囲の量、最も好ましくは約2重量パーセントの量の、例えばグリココール酸、コール酸、タウロコール酸、エトコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸、グリコデオキシコール酸、シクロデキストリンなどの界面活性性の酸によって促進することができる。
長期間、例えば1週間〜1年間に及ぶ対象への本発明の化合物の輸送は、所望の放出期間に十分な活性成分を含む放出制御系の単回投与によって達成することができる。一体型(monolithic)またはリザーバー型のマイクロカプセル、デポインプラント(depot implant)、浸透圧ポンプ、小胞、ミセル、リポソーム、経皮パッチ、イオントフォトレーシス装置、および他の注射可能な投与剤形などの、さまざまな放出制御系をこの目的で利用することができる。活性成分の輸送が望まれる部位における局在は、一部の疾患の治療に有用であることが証明される可能性のある、一部の放出制御装置の追加的な特性である。
放出制御製剤の1つの形状は、Kent、Lewis、Sanders、およびTiceによる先駆的な研究(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,675,189号)で明らかにされたコポリ(乳酸/グリコール)酸などの、緩やかに分解し、毒性がなく、抗原性のないポリマー中に分散またはカプセル化されたポリペプチドもしくはその塩を含む。このような化合物、または好ましくは、それらの比較的不溶性の塩は、コレステロールもしくは他の脂質マトリックスペレット、またはシラストマー(silastomer)マトリックスインプラントを溶媒として製剤化することもできる。他の徐放性デポインプラントまたは注射可能な製剤は、当業者に明らかであろう。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978、およびR.W. Baker, Controlled Release of Biologically Active Agents, John Wiley & Sons, New York, 1987を参照されたい。
PTHと同様にPTHのバリアントは、任意の臨床的条件の治療に有用な他の薬剤と組み合わせて投与することができる。例えば、骨粗鬆症および他の骨関連障害を治療する場合は、PTHのバリアントを食用のカルシウムサプリメントとともに、またはビタミンD類似体とともに投与することができる(米国特許第4,698,328号を参照)。あるいは、PTHのバリアントは好ましくは、周期的な治療レジメンを使用して、例えば米国特許第4,761,406号に記載されているビスホスホン酸塩と組み合わせて、またはカルシトニンやエストロゲンなどがあるがこれらに限定されない1種類もしくは複数の骨治療用薬剤と組み合わせて投与することができる。
本発明の化合物およびこの誘導体の受容体-シグナル伝達活性
ホルモン作用の発現における重要な段階は、ホルモンと、標的細胞の形質膜の表面上の受容体との相互作用である。ホルモン-受容体の複合体が形成されることで、細胞外シグナルが細胞内へ伝達され、さまざまな生物学的反応の誘導が可能となる。
本発明のポリペプチドを、そのアゴニスト特性またはアンタゴニスト特性に関して、cAMP蓄積アッセイ法でスクリーニングすることができる。細胞表面上でPTH-1受容体を発現する細胞を、2 mMのIBMX(3-イソブチル-1-メチル-キサンチン、Sigma, St. Louis, Mo.)の存在下で、天然のPTH(1-84)と37℃で5〜60分間インキュベートする。環状AMPの蓄積は、特定のラジオイムノアッセイ法で測定される。PTH-1受容体に対する結合をめぐって天然のPTH(1-84)またはPTH(1-34)と競合し、およびcAMPの蓄積に対する天然のPTH(1-84)またはPTH(1-34)の作用を阻害する本発明の化合物は、競合的アンタゴニストであると見なされる。このような化合物は、高カルシウム血症の治療に有用な可能性がある。
逆に、PTH-1受容体に対する結合をめぐって天然のPTH(1-84)またはPTH(1-34)と競合しないものの、天然のPTH(1-84)またはPTH(1-34)によるcAMPの蓄積の活性化を(おそらくは受容体の活性化部位をブロックすることによって)防ぐ本発明の化合物またはこの誘導体は、非競合的アンタゴニストであると見なされる。このような化合物は、高カルシウム血症の治療に有用な可能性がある。
PTH-1受容体に対する結合をめぐって天然のPTH(1-84)またはPTH(1-34)と競合し、および天然のPTH(1-84)またはPTH(1-34)の存在下もしくは非存在下でcAMPの蓄積を促進する本発明の化合物またはこの誘導体は、競合的アゴニストである。PTH-1受容体に対する結合をめぐって天然のPTH(1-84)もしくはPTH(1-34)と競合しないものの、天然のPTH(1-84)もしくはPTH(1-34)の存在下もしくは非存在下でcAMPの蓄積を促進可能か、または本発明の化合物またはこの誘導体のみによって見られる蓄積より高いcAMP蓄積を促進する本発明の化合物またはこの誘導体は、非競合的アゴニストであると見なされる場合がある。
同様に、本発明のポリペプチドを、そのアゴニスト特性またはアンタゴニスト特性に関して、イノシトールリン酸蓄積アッセイ法でスクリーニングすることができる。細胞表面にPTH-1受容体を発現する細胞を天然のPTH(1-84)とインキュベートし、およびイノシトールリン酸の蓄積を、特異的なラジオイムノアッセイ法で測定する。PTH-1受容体に対する結合をめぐって天然のPTH(1-84)またはPTH(1-34)と競合し、および天然のPTH(1-84)またはPTH(1-34)による、イノシトールリン酸の蓄積に対する作用を阻害する本発明の化合物は、競合的アンタゴニストであると見なされる。このような化合物は、高カルシウム血症の治療に有用な可能性がある。
逆に、PTH-1受容体に対する結合をめぐって天然のPTH(1-84)またはPTH(1-34)と競合しないものの、天然のPTH(1-84)またはPTH(1-34)によるイノシトールリン酸の蓄積の活性化を(おそらくは受容体の活性化部位をブロックすることによって)妨げる本発明の化合物またはこの誘導体は、非競合的アンタゴニストであると見なされる。このような化合物は、高カルシウム血症の治療に有用な可能性がある。
PTH-1受容体に対する結合をめぐって天然のPTH(1-84)またはPTH(1-34))と競合し、および天然のPTH(1-84)またはPTH(1-34)の存在下もしくは非存在下でイノシトールリン酸の蓄積を促進する本発明の化合物またはこの誘導体は、競合的アゴニストである。PTH-1受容体に対する結合をめぐって天然のPTH(1-84)もしくはPTH(1-34)と競合しないものの、天然のPTH(1-84)もしくはPTH(1-34)の存在下もしくは非存在下においてイノシトールリン酸の蓄積を促進可能か、または本発明の化合物もしくはこの誘導体のみによって観察される蓄積より高いイノシトールリン酸の蓄積を促進する本発明の化合物またはこの誘導体は、非競合的アゴニストであると見なされる場合がある。
本発明の化合物またはこの誘導体の治療的使用
一部の状態の高カルシウム血症および低カルシウム血症は、PTHおよびPTHrPとPTH-1受容体およびPTH-2受容体との相互作用と関連する。高カルシウム血症は、血清カルシウムレベルが異常に上昇する条件であり;これはしばしば、副甲状腺機能亢進症、骨粗鬆症、乳腺、肺、および前立腺の癌、頭頸部および食道の類表皮癌、多発性骨髄腫、ならびに副腎腫を含む他の疾患と関連する。血清カルシウムレベルが異常に低い条件である低カルシウム血症は、例えば甲状腺手術後における有効なPTHの不足に起因する場合がある。
本発明の化合物およびこの誘導体をコードする本発明の核酸を、選択された組織特異的なプロモーターおよび/またはエンハンサーに連結し、ならびに結果として得られたハイブリッド遺伝子を標準的な方法(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Leder et al.、米国特許第4,736,866号に記載されている方法)で、発生初期(例えば受精卵母細胞期)の動物胚に導入して、高レベルの本発明の化合物またはこの誘導体を選択された組織で発現するトランスジェニック動物を作製することもできる(例えば、骨の場合はオステオカルシンプロモーター)。このようなプロモーターは、トランスジェニック動物における本発明の化合物またはこの誘導体の組織特異的な発現を誘導するために使用される。
加えて、PTH誘導体によるPTH-1/PTH-2受容体を拮抗または作用する能力(当業者に既知であり、および後述するアッセイ法によって決定される)を損なわない任意の他の天然のアミノ酸置換は本発明の範囲に含まれる。
「アゴニスト」は、PTH-1受容体が関与する細胞応答を促進または強化することが可能なリガンドを意味する。「アンタゴニスト」は、PTH-1受容体が関与する細胞応答を阻害可能なリガンドを意味する。本発明の任意の候補「アゴニスト」または候補「アンタゴニスト」が、そのような細胞応答を促進可能または阻害可能であるかは、本出願に記載されたアッセイ法を含む、当技術分野で既知のタンパク質リガンド/受容体細胞応答アッセイ法もしくは結合アッセイ法で判定することができる。
本発明のさらに別の局面では、患者のPTH-1受容体の活性化を阻害するのに十分な治療的有効量の本発明の化合物またはこの誘導体を該患者に投与する段階を含む、PTH-1受容体の作用の変化または過剰な作用に起因する医学的疾患を治療する方法が提供される。
この態様では、PTH-1受容体の作用の変化に起因する障害を有することが疑われる患者は、PTH-1受容体の選択的アンタゴニストである本発明の化合物または本発明の誘導体を使用することで治療され得る。このようなアンタゴニストは、PTH-1受容体による細胞の活性化に干渉することが(本明細書に記載されたアッセイ法によって)確認されている本発明の化合物または本発明のこの誘導体、または類似の特性を有する他の誘導体を含む。
アンタゴニストを投与する際には、本発明の適切な化合物またはこの誘導体が、一般に例えば生理食塩水などの適切な担体または賦形剤によって製剤化されることで薬物の製造に使用され、および好ましくは、静脈内に、筋肉内に、皮下に、経口的に、または鼻腔内に、PTH-1受容体に対する本発明の化合物またはこの誘導体の結合の適切な阻害を可能とする投与量で投与される。典型的な投与量は、1日あたり体重1 kgあたりのペプチド量として1 ng〜10 mgの場合がある。
本発明のさらに別の局面では、患者のPTH-1受容体を活性化するのに十分な治療的有効量の本発明の化合物またはこの誘導体を患者に投与する段階を含む、骨粗鬆症を治療する方法が提供される。PTH/PTHrPアンタゴニストの同等の投与および上述した投与を、PTH/PTHrPアゴニストの投与に、例えば骨粗鬆症、他の代謝性骨疾患、ならびに副甲状腺機能低下症および関連障害などの条件の治療に使用することができる。
当業者には本発明が、本発明の趣旨もしくは範囲、またはこの任意の態様から逸脱することなく、組成、濃度、投与様式、および条件の等価なパラメータの広い範囲で実施可能なことが理解されるであろう。
副甲状腺ホルモンと副甲状腺ホルモン受容体の相互作用
ペプチドホルモンとGタンパク質共役型受容体が相互作用する機構を理解することは、生物学的に基本的に重要である。カルシウム、リン酸、および骨代謝の重要な調節因子である副甲状腺ホルモン(PTH)は、骨および腎臓の細胞で発現されるクラス2のGPCRであるPTH受容体すなわちPTHRと相互作用する。15種類程度のクラス2のGPCRのそれぞれが、ペプチド鎖の長さが約30アミノ酸の薬理作用団領域を有するペプチドホルモンと結合する。これらのペプチドは一般に、それらの受容体と、受容体のアミノ末端の細胞外(N)ドメインと、細胞外ループおよび7回膜貫通ドメインのヘリックスを含む、その膜近傍(J)領域の両方に対するリガンドの接触を含む多段階の機構を介して相互作用すると考えられている。発生関連タンパク質であるPTH関連タンパク質にも結合するPTHRの場合、リガンド-相互作用過程の基礎となる分子機構を理解することは、ヒトの健康に直接的な意義がある。というのは、PTH(1-34)やPTH(1-31)などのPTHアゴニストリガンドは骨形成を強力に刺激可能であり、ひいては骨粗鬆症を治療する有効な治療法であるからである(Neer, R., Arnaud, et al. (2001) N.E.1M. 344, 1434-1441;Whitfield, J.F., et al. (1997) Calcif Tissue Int 60, 26-29)。
主に変異試験および光親和性の架橋試験から得られた膨大なデータから、PTH(1-34)、または本研究で使用されるPTH(1-31)がPTHRと相互作用する機構が2つの主要な、かつある程度は自律的な成分を含むことが示唆されている(Gensure, R.C, et al. (2005) Biochem Biophys Res Commun 328, 666-78の総説を参照)。第1の要素は、分子のカルボキシル末端部分に含まれるリガンドの主要な受容体結合ドメイン(Rosenblatt, M., et al. (1980) Endocrinology 107, 545-550)と、ジスルフィド結合によって安定化されていると推定される球状構造の受容体のアミノ末端の細胞外ドメイン(Grace, C.R., et al. (2004) Proc Natl Acad Sci USA 101:12836-41)との間の相互作用である。第2の要素は、分子のアミノ末端部分に含まれるリガンドの主要シグナル伝達ドメインと、7本ヘリックスのコアの受容体の膜近傍領域との間の相互作用である。このモデルでは、PTHRのNドメインへのリガンドの初期のドッキングは、リガンドを受容体に留めることで、リガンドのアミノ末端部分が受容体のJドメインと係合し、および受容体の活性化に関与するコンフォメーション変化を誘導することを可能とする(Hoare, S., J. Biol. Chem 276, 7741-7753)。
液相NMR試験では一般に、PTHリガンドのカルボキシル末端の結合ドメイン部分が安定なα-ヘリックスを形成する一方で、リガンドのアミノ末端部分が大きく歪むことが報告されている(Chen, Z., et al. (2000) Biochemistry 39, 12766-12777;Pellegrini, M., et al. (1998) J. Biol. Chem. 273, 10420-10427)。修飾型のアミノ末端のPTH断片類似体を使用した機能試験では、リガンドN末端のドメインと受容体のJドメインの結合が、リガンドドメインのα-ヘリックスへの折りたたみと共役していることが示唆されている。したがって、天然のPTH(1-14)断片のcAMP-刺激能は、ペプチドを強固にα-ヘリックスとする、1位および3位におけるAibなどの置換によって大きく改善される(Shimizu, M., et al. (2001) Endocrinology 142, 3068-3074;Tsomaia, N., et al. (2004) Biochemistry 43:690-9)。さらに、[Aib1,3,Gln10,Har11,Ala12,Trp14]PTH(1-14)NH2などのアミノ末端の断片は、受容体のN-ドメインを欠くことでNドメインとの相互作用がないために非修飾型のPTH(1-34)の活性が極めて弱い変異型PTHRコンストラクトPTHR-delNtを発現する細胞において十分かつ強力なcAMP応答を刺激する(Shimizu, N., et al. (2001) J Biol Chem 276, 49003-49012;Shimizu, M., et al. (2002) Biochemistry 41:13224-13233)。修飾型のPTH(1-14)類似体およびPTHR-delNtに関するこれらの知見によって、PTH-PTHR相互作用機構におけるJドメイン成分の自律的な能力の存在も説明できる。
完全なPTHRに作用する天然のホルモンの場合、(Ser17-Val31)領域内に含まれるリガンドのカルボキシル末端の結合ドメインは、相互作用過程に明らかに重要な役割を果たしている。このドメイン内には、機能試験によって、Arg20、Trp23、Leu24、およびLeu28が重要なPTHR結合決定基であることが確認されている(Gardella, T.J., et al. (1993) Endocrinology 132:2024-2030;Oldenburg, K.R., et al. (1996) Journal Of Biological Chemistry 271:17582-17591;Barbier, J., et al. (2001) Biochemistry 40:8955-8961;Reidhaar-Olson, J., et al. (2000) Mol Cell Endocrinol 160:135-147)。この(17-31)セグメント内に含まれるα-ヘリックスは両親媒性を有し(Neugebauer, W., (1992) Biochemistry 31:2056-2063;Epand, R.E. (1983) Mol and Cell Biol 57, 41-47;Barbier, J.R., et al. (2005) J Biol Chem. 280:23771-23777)、主にTrp23、Leu24、およびLeu28によって形成されるその疎水性面は、上記の置換試験によれば、PTHR結合過程に極めて大きく寄与しているようである。PTH-PTHR相互作用機構の2ドメインモデルでは、これらの残基がPTHRのNドメインと特異的に相互作用することが推定されるが、これは明確に確認されているわけではない。さらに、Lys27の側鎖アミンが光反応性のベンゾフェノン基によって修飾された[Lys27(Bp)2]PTH(1-34)NH2が、PTHRの第1の細胞外ループと架橋を形成するという最近の知見(Greenberg, Z., (2000) Biochemistry 39:8142-8152)からは、カルボキシル末端のヘリックスとPTHRのJドメインの間に、ある程度の相互作用が生じている可能性があることが指摘されている。この可能性と矛盾することなく、最近の機能試験では、PTH(1-31)の(17-31)ドメイン中の骨格を構成する窒素原子の一部のメチル化が、わずかではあるが、PTHR-delNtを発現する細胞におけるリガンドのcAMP-シグナル伝達活性を損なっていることが明らかにされている(Barbier, J.R., et al. (2005) J Biol Chem. 280:23771-23777)。このように、PTHのカルボキシル末端の結合ドメインがPTHRとの相互作用過程に寄与する機構は現時点では不明な点が多い。
PTHRに関しては、本明細書で紹介した新たなPTH類似体を、Nドメイン中の候補部位が改変された受容体変異体を探索し、機能的に重要な細胞間相互作用にかかわる部位を、上位性の救済効果(epistatic rescue effect)を介して同定するために使用することができる。
以上のように本発明について十分説明したが、同じことは、説明目的で提供され、かつ特に明記されない限り、本発明を制限することが意図されない特定の実施例を参照することで、さらに容易に理解されるであろう。
これらの条件は、決定的であるか、または制限することを意味しないことが理解されるべきであり、および所望の目的を達成するために、必要に応じて当業者によって調節が可能である。
実施例
実施例序説
副甲状腺ホルモンとホルモン受容体間の相互作用の機構をさらに調べるための試験を設計した。このドメイン中のアミノ酸側鎖が、受容体結合過程に果たす役割、推定両親媒性α-ヘリックスの機能的関与、およびPTHRのJドメインに対する相互作用の可能性を調べた。保存的および非保存的ないくつかの置換をPTH(1-31)類似体の(17-31)領域に導入して、完全なPTHRとPTHR-delNtの両方に対する結合に対するその影響を評価することを戦略とした。後者の受容体に対する結合の解析は、トレーサー放射性リガンドとして125I-[Aib1,3,Nle8,Gln10,Har11,Trp14,Tyr15]PTH(1-15)を使用することで、および切断型の変異型PTHRを受容体と、より効率的に共役することで全体的な結合シグナルを改善するドミナントネガティブなGαsサブユニットによって同時にトランスフェクトされた細胞内で発現させることで可能となった(Dean, T., (2006) Mol Endocrinol 20:931-942)。この一般的なアプローチによって、比較的修飾されていないPTHリガンドのカルボキシル末端の結合ドメインにおける修飾が、PTHR-delNtコンストラクトによって決定される、PTHRのJドメインとの相互作用に及ぼす影響の検討が初めて可能となった。全体的な結果は、PTHのカルボキシル末端ドメイン中の特定のアミノ酸側鎖がPTHR結合過程に果たす役割を明瞭にするために、およびPTH-PTHR複合体の全体的なトポロジーに新たな光を当てるために役立つ。
材料および方法
ペプチド合成−ペプチドはヒトPTH(1-31)NH2配列(
Figure 2009545320
)に基づく。このPTH(1-31)NH2を足場としてアラニン置換を導入した。PTHR-delNtに対する結合を高めるために、Ser1→Ala(Shimizu, M., et al. (2000) J. Biol. Chem. 275:21836-21843)の置換、およびGlu19→Arg(Shimizu, M., et al. (2002) Biochemistry 41:13224-13233)の置換を導入して[Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2を得た。この足場ペプチドを、Cha置換およびGlu置換に関する試験に使用した。これらのPTH(1-31)NH2ペプチド、および[Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2ペプチド、ならびにこれらのAla置換誘導体、Glu置換誘導体、およびCha置換誘導体は、M.G.H. Biopolymerの中核施設において、多重ペプチド合成装置(Advanced Chemtech Model 396 MBS)、および固相のFmocをベースとしたカップリング/脱保護化学的手法を使用して合成された。ペプチドは、C18 Sep-Pakカートリッジ、およびアセトニトリルによる溶出を使用して脱塩された。この段階で少なくとも90%が均一であることがHPLC解析で明らかとなったAla置換PTH(1-31)類似体を、さらなる精製を行うことなく使用した。Cha置換ペプチドおよびGlu置換ペプチドをさらに逆相HPLCで精製した。20位に追加の置換を有するPTH(1-31)NH2の類似体は、Barbier et al.による過去の研究((2001) Biochemistry 40:8955-8961)の一環として作製された。凍結乾燥状態のペプチドは、10 mM酢酸を溶媒とするストック溶液として再生した。全てのペプチドは、分析HPLC、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)質量分析法、およびアミノ酸解析によって検証された。ペプチド濃度はアミノ酸解析によって決定された。放射性リガンドの125I-[Nle8,21,Tyr34]ラットPTH(1-34)NH2および125I-[Aib1,3,Nle8,Gln10,Har11,Ala12,Trp14,Tyr15]ラットPTH(1-15)NH2(それぞれ125I-PTH(1-34)NH2125I-[Aib1,3,M]PTH(1-15)NH2)は、Na125I(比活性:2,200 Ci/mmol、Perkin Elmer/NEN Life Science Products, Boston, MA)を使用する酸化的クロラミンT法で作製し、ならびに逆相HPLCで精製した。
円二色性−CDスペクトルをJASCO J-600分光偏光計によって20℃で得た。4本のスペクトルを平均化し、データをJASCOソフトウェアによって平滑化した。同装置は、アンモニウム(+)-10-カンファースルホン酸によって較正された。ペプチド濃度は、1個のトリプトファンに関する5700 M-1の吸光係数を使用して280 nmにおける吸光度から検証された。データは、-[θ]222×30/28,000から計算されるペプチド鎖1本あたりのヘリックス残基の数として表す。同式で[θ]222は、222 nmにおける平均残基分子楕円率([θ])であり、これは文献(Barbier, J.R., et al. (2005) J Biol Chem. 280:23771-23777)に記載されている。
細胞培養−細胞は37℃で、5% CO2を含む加湿大気中で、10%ウシ胎仔血清(HyClone, Logan UT)、100単位/mlのペニシリンG、および100 μg/mlのストレプトマイシン・ペニシリンG/ストレプトマイシン(Invitrogen Corp. Carlsbad, CA)が添加されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。完全なPTHRを対象に実施された結合試験およびcAMP試験では、HKRK-B7細胞系列およびROS 17/2.8細胞系列を使用した。HKRK-B7細胞はブタ腎細胞系列LLC-PK1に由来し、および安定なDNAトランスフェクションを介して、野生型のヒトPTHRを、細胞1個あたり約950,000か所のPTH結合部位の表面密度で発現する。ROS 17/2.8細胞はラットの骨肉腫細胞であり、および内因性のPTHRを細胞1個あたり約80,000か所のPTH結合部位の表面密度で発現する。細胞を24ウェルのプレートにプレーティングしてアッセイ法を行った。
PTHR-delNtは、アミノ末端の細胞外ドメインの大部分(Ala24〜Arg181)を欠くヒトPTHRの誘導体である(Shimizu, M., et al. (2001) Endocrinology 142:3068-3074)。このPTHRコンストラクトをCOS-7細胞で、一過的なDNAトランスフェクションを介して発現させた。cAMPアッセイ法に関しては、細胞を24ウェルプレート中で、1ウェルあたり0.2 μgのプラスミドDNAおよび0.6 μlのFugene-6試薬(Roche Diagnostics, Indianapolis IN)を使用してトランスフェクトし、ならびにアッセイ法を、完全な細胞を対象に、トランスフェクションの3〜4日後に実施した。結合アッセイ法では、トランスフェクトされたCOS-7細胞から細胞膜を調製した。これらの膜中におけるPTHR-delNtに対する125I-[Aib1,3,M]PTH(1-15)NH2の最大結合率を高めるために、細胞をドミナントネガティブな変異型Gαsタンパク質(Gαs ND)で同時にトランスフェクトした。この変異型Gαsサブユニットは同族の受容体と共役していると考えられており、したがって高親和性受容体のコンフォメーションを、基礎cAMPレベルを高めることなく、野生型のGαsより効果的に安定化させる(Berlot, C.H. (2002) J Biol Chem 277:21080-5)。この変異型Gαsの前駆体であるGαs(α3β5)は最近、COS-7細胞の膜中のPTHR-delNtに対する125I-[Aib1,3,M]PTH(1-15)NH2の結合を高めるために使用されている(Dean, T., (2006) Mol Endocrinol 20:931-942)。Gβ/γに対する親和性を高めるGly226→Alaの点突然変異、およびGDPに対する親和性を低めるAla366→Serの点突然変異が加えられたGαs(α3β5)としてα3β5ループ中の対応するGαi残基の同じ5個のアミノ酸の置換を含むGαs NDは、Gαs(α3β5)より約2倍高いレベルの特異的な125I-[Aib1,3,M]PTH(1-15)NH2の結合を生じる(データは提示していない)。今回の膜調製物に関しては、6ウェルプレート中のCOS-7細胞に、1ウェルあたり、PTHR-delNtおよびGαs NDをコードする1 μgの各プラスミドDNAならびに6 μlのFugene-6試薬(Roche Diagnostics, Indianapolis IN)を使用して同時にトランスフェクションを行った。トランスフェクションの3日後に細胞を回収し、膜を文献(Dean, T., et al. (2006) Mol Endocrinol 20:931-942)に記載された手順で調製した。
受容体結合−完全なHKRK-B7細胞およびROS 17/2.8細胞内における野生型ヒトPTHRに対する結合を、トレーサー放射性リガンドとして125I-PTH(1-34)を使用して、文献(Shimizu, M., (2001) Endocrinology 142:3068-3074)に記載された手順で評価した。簡単に説明すると、24ウェルプレート中の細胞(1ウェルあたり約500,000個の細胞)を、非標識のペプチドリガンド(3×10-9〜1×10-5 M)が添加または非添加の放射性リガンド(1ウェルあたり約100,000 cpm)を含む結合用緩衝液中で、15℃で4時間インキュベートした。次に、結合混合物を吸引によって除去し、細胞を結合用緩衝液で3回洗浄し、1 M NaOHに溶解し、全溶解物を対象に、ガンマ線照射をガンマカウンターでカウントした。COS-7細胞の膜中におけるPTHR-delNtに対する結合を96ウェル中で評価し、トレーサー放射性リガンドとして125I-[Aib1,3,M]PTH(1-15)NH2を使用して、文献(Dean, T., (2006) Mol Endocrinol 20:931-942)に記載された手順で、プレートの減圧濾過を行った(Multiscreen-Durapore HV, 0.65 μMの膜、Millipore Corp., Millford, MA)。簡単に説明すると、細胞膜(20 μg/ウェル)を非標識ペプチドリガンド(3×10-9〜1×10-5 M)が添加または非添加の放射性リガンド(30,000 cpm/ウェル)を含む膜結合用緩衝液中で、21℃で90分間インキュベートした。次にプレートを対象に速やかな真空濾過を行い、フィルターを緩衝液で1回洗浄し、プレートから剥がしてガンマ線照射をガンマカウンターでカウントした。非特異的な結合は、HKRK-B7細胞およびROS 17/2.8細胞に関しては1×10-6 MのPTH(1-31)NH2の存在下で、ならびにPTHR-delNtに関しては1x10-6 M[Aib1,3,M]PTH(1-15)NH2の存在下で観察される結合と定義した。特異的に結合した放射活性を、競合リガンドの非存在下で特異的に結合した状態の放射活性のパーセンテージとして算出した。
細胞内cAMPおよびイノシトールリン酸の刺激−リガンドがアデニル酸シクラーゼ活性を刺激する能力を、完全なROS 17/2.8細胞を対象に、文献(Shimizu, M., (2001) Endocrinology 142:3068-3074)に記載された手順で評価した。簡単に説明すると、24ウェルプレート中の細胞を、ペプチドリガンド(3×10-9〜1×10-5 M)が添加または非添加の、ホスホジエステラーゼ阻害剤IBMXを含む結合用緩衝液中で室温で30分間インキュベートした。培地を除去し、細胞を、50 mMのHClを添加することで溶解し、プレートをドライアイス上で凍結した。次に、解凍後の溶解物中のcAMPをラジオイムノアッセイ法で定量した。完全なヒトPTHRがトランスフェクトされたCOS-7細胞内におけるイノシトールリン酸(IP1+IP2+IP3)の産生の刺激を、文献(Shimizu, M., (2001) Endocrinology 142:3068-3074)に記載された手順で評価した。簡単に説明すると、24ウェルプレート中の完全なトランスフェクトされたCOS-7細胞を、3H-myo-イノシトール(比活性:25 Ci/mmol、Perkin Elmer/NEN Life Science Products, Boston, MA)によって16時間かけて標識し、LiCl2(30 mM)の存在下でリガンドで30分間処理し、氷冷トリクロロ酢酸(5%)で2時間処理し;次に、この酸性溶解液をエーテル抽出し、イオン交換クロマトグラフィーで分離し、および溶出された3H-イノシトールリン酸を液体シンチレーションカウンターで定量した。
データおよび統計的計算−データを、曲線フィッティング用に、またIC50値およびEC50値を得るために、最小二乗の非直線回帰分析、ならびに、y=ymin +(Vmax-ymin)/1+(IC50/x)nの4パラメータ・ロジスティック方程式で処理した。同式中、y、ymin、およびymaxはそれぞれ、観察された反応値、最小反応値、および最大反応値であり;xはリガンド濃度であり、およびnはスロープファクター(slope factor)である。結合の阻害が不完全な場合は:すなわちPTHR-delNtに結合する特定のPTH(1-31)類似体による場合は、曲線フィットおよびIC50値を、データを、[Aib1,3,M]PTH(1-15)NH2によって達成された最大阻害に外挿することで得た。対のあるデータ群を、両側スチューデントt検定で、2群の分散が等しくないと仮定して統計学的に比較した。
実施例1
PTH(17-31)ドメインのアラニン-スキャン−PTH(1-31)NH2の(17-31)領域中の各残基をアラニンと個別に置換し、およびHKRK-B7細胞内で安定に発現された完全なヒトPTHRに対する結合に対する置換の影響を評価した。競合結合試験を、細胞全体、およびトレーサー放射性リガンドとして125I-PTH(1-34)(125I-[Nle8,21,Tyr34]ラットPTH(1-34)NH2)を使用して実施した。非置換型の親PTH(1-31)NH2ペプチドは、このトレーサーの結合を完全に阻害し、IC50は68±10 nMであった(図1A;表1)。さまざまなアラニン置換が、この見かけのPTHR結合親和性に、さまざまな範囲の影響を及ぼした。驚くべきことに、Arg20→Alaの置換は、検出可能な結合を完全に消失させた(図1A)。Trp23およびLeu24におけるアラニン置換は、結合親和性をそれぞれ19倍および12倍低下させ(P≦0.05)、ならびにVal21、Arg25、Lys27、Leu28、およびVal31におけるアラニン置換は、親和性を3〜4倍低下させた(図1AおよびB;表1)。残りのアラニン置換は結合親和性を2倍または2倍未満変化させた。Glu19、Glu22、およびGln29におけるアラニン置換は、Glu19→Arg置換と同様に、それぞれわずかな(2倍以下の)見かけのPTHR結合親和性の強化を生じ、これは同置換に関して、過去にPTH(1-34)ペプチドおよびPTH(1-20)ペプチドを対象にcAMP刺激アッセイ法(Shimizu, M., et al. (2002) Biochemistry 41:13224-13233)による評価によって確認された力価促進効果と矛盾がない。Ala22置換をAla19置換またはArg19置換のいずれかと組み合わせても、PTHR結合親和性がさらに改善されることはなかった(表1)。
次に、任意のアラニン置換が、受容体のJドメインに対する結合相互作用に影響を及ぼすか否かを、PTHR-delNtを使用して評価した。この実験では、PTHR-delNtが一過的にトランスフェクトされたCOS-7細胞から調製された膜、およびトレーサー放射性リガンドとして、もっぱらJドメインに結合する125I-[Aib1,3,M]PTH(1-15)(125I-[Aib1,3,Nle8,Gln10,ホモアルギニン11,Ala12,Trp14,Tyr15]PTH(1-15)NH2)を使用した(Shimizu, N., et al. (2005) J Biol Chem 280:1797-807)。この膜に対する、125I-[Aib1,3,M]PTH(1-15)の特異的な結合を全体的に高めるために、細胞にドミナントネガティブなGαs変異型サブユニットであるGαs3β5、Gly226Ala、Ala366Ser)を同時にトランスフェクトした;このGαs ND変異型は同族受容体と共役すると考えられているので、その高親和性のコンフォメーションを野生型Gαsより効率的に安定化させる(Berlot, C.H. (2002) J Biol Chem 277:21080-5)。したがって、PTHR-delNtおよび125I-[Aib1,3,M]PTH(1-15)NH2を使用して実施されたこれらのアッセイ法において、PTH類似体に関して観察された見かけの親和性は、リガンドとPTHRのJドメインの間に生じる相互作用の全体的な強度を反映している。
標識されていない[Aib1,3,M]PTH(1-15)NH2対照ペプチドは、これらの膜に高い見かけの親和性で結合したが、非修飾型のPTH(1-31)NH2は、かなり弱い親和性で結合した(IC50sはそれぞれ、2.2±0.5 nMと3,700±400 nM、P=0.001;図1CおよびD;表1)。PTH(1-31)NH2がPTHR-delNtに対して示す弱い結合は、この非最適化リガンドが野生型PTHRに結合する全体的な親和性の決定にPTHRのNドメインが重要であることを意味している。PTH(1-31)NH2足場中のアラニン置換で、PTHR-delNtに対する結合に強く影響したものはなかった。最も注目すべき点は、PTHRに対する結合を消失させたArg20→Ala置換は、PTHR-delNtに対する親和性に約5倍の低下しか生じなかったことである(図1A対C)。同様に、PTHRに対する親和性をそれぞれ19倍および12倍低下させたTrp23およびLeu24におけるAla置換は、PTHR-delNtに対する親和性を2倍しか低下させなかった。したがって、これらの知見は、Arg20、Trp23、およびLeu24におけるAla置換が、完全なPTHRに対する結合を阻害する機構が、リガンドとPTHRのJドメインの相互作用にほとんど依存していないことを示唆する。
円二色性(CD)分光法による解析の結果、ペプチドの二次構造に大きな影響を及ぼした置換はなかった。したがって、各類似体のCDスペクトルは、α-ヘリックス構造に特徴的な209 nmおよび222 nmの領域に明瞭な負の偏差(negative deflection)を示した(図2)。PTH(1-31)の場合は、この負の偏差は、ペプチド断片の解析によって、(17-31)領域中のα-ヘリックスに主に由来することが報告されている(Neugebauer, W., et al. (1992) Biochemistry 31:2056-2063;Barbier, J.R., et al. (2005) J Biol Chem. 280:23771-23777)。222 nmにおけるCDシグナルから計算された、ペプチド鎖1本あたりのヘリックス型残基の数は、検討した各ペプチドについて7〜10個であった(表1)。これらの研究でわかったように、置換がペプチドの二次構造に影響しなかったことは、アラニンについて既知であるヘリックス形成傾向と矛盾しない(Chakrabartty, A., Nature 351:586-8)。
(表1)PTH(1-31)NH2類似体のヘリックス量とPTHR結合特性
Figure 2009545320
置換はhPTH(1-31)NH2中に導入された。ヘリックス型残基の値は、222 nmにおけるCDスペクトルで観察された平均残基分子楕円率である[θ]222から計算した。競合結合試験は、hPTHRによって安定にトランスフェクトされた完全なHKRK-B7細胞を対象に、125I-[Nle8,21,Tyr34]ラットPTH(1-34)NH2トレーサー放射性リガンドを使用して、ならびにPTHR-delNtおよびドミナントネガティブなGαsが一過的にトランスフェクトされたCOS-7細胞から調製された膜を対象に、125I-[Aib1,3,Nle8,Gln10,Har11,Ala12,Trp14,Tyr15]ラットPTH(1-15)NH2トレーサー放射性リガンドを使用して実施した。結合値(nM)は、記載の回数(n)の実験で得られたデータの平均(±s.e.m.)である。
実施例2
シクロヘキシルアラニンによる置換−本明細書に示すデータ、および文献(Gardella, T.J., et al. (1993) Endocrinology 132:2024-2030;Oldenburg, K.R., et al. (1996) Journal Of Biological Chemistry 271:17582-17591;Reidhaar-Olson, J., et al. (2000) Mol Cell Endocrinol 160:135-147)に報告されたデータから、Trp23、Leu24、およびLeu28の側鎖によって主に提供されるPTH(17-31)領域の疎水性が、受容体に対する高親和性結合に重要な役割を果たすドメインの物理化学的な特性であることが示唆されている。リガンドのこの領域における疎水性そのものの一般的な重要性をさらに評価するために、PTH(17-31)領域中の各残基を、側鎖の化学的および位相的な特性を変化させながら、標的部位において嵩の大きな側鎖に疎水性を付与する可能性のある非コード型のアミノ酸類似体であるシクロヘキシルアラニン(Cha)と置換し、これらの置換がPTHRおよびPTHR-delNtに対する結合に及ぼす影響を評価した。これらの実験では、PTHR-delNtに対する結合を評価する能力を高めることを目的として、[Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2を足場ペプチドとして使用した。なぜならGlu19→ArgおよびSer1→Alaの置換は、切断型の受容体との相互作用を改善することがわかっているからである(Shimizu, M., et al. (2002) Biochemistry 41:13224-13233;Shimizu, M., et al. (2000) J. Biol. Chem. 275:21836-21843)。
CD分析からは、ペプチドのα-ヘリックス量を破壊するCha置換はないが、209 nmおよび222 nmにおけるヘリックス量の偏差は、Cha20類似体およびCha27類似体では高められ、親ペプチドの場合の8残基に対して、それぞれ16残基および18残基のヘリックス量の値が生じることが判明した(図8;表2)。機能的活性の平行的変化によって達成されなかった、Cha20類似体およびCha27類似体に見られる、このような、より強いCD上の偏差の基礎は現時点では不明である。
Cha置換が、HKRK-B7細胞内における完全なPTHRに対する結合に及ぼす影響は一般に、アラニン置換による影響より軽度であった。Arg20におけるCha置換は、見かけの結合親和性を120倍(P=0.005)低下させ、ならびにTrp23およびLeu24におけるCha置換は親和性をそれぞれ14倍および11倍低下させた(P<0.002;図3AおよびB;表2)。軽度ではあるものの、Trp23およびLeu24におけるCha置換の影響は、疎水性そのものが、PTHR結合親和性に対する寄与を決定するこのようなこれら2つの側鎖の主な構造的特徴ではないことを示唆している。他の位置におけるCha置換は、PTHR結合親和性を6倍か、またはこれ未満にしか変化させなかった。
PTHR-delNtの場合は、Arg25およびLys26におけるCha置換は結合活性を約5〜7倍低下させ;Arg20、Trp23、およびLeu24における置換を含む他のCha置換は、PTHR-delNtに対する親和性を3倍か、またはこれ未満変化させた(図3CおよびD;表2)。Cha置換に関する以上の結果は、対応するAla置換について得られた結果と密接に関連しており、ならびに20位、23位、および24位におけるCha置換がPTHR結合親和性に対して及ぼす有害な結果が、PTHRのJドメインとの相互作用の変化に起因するものではないことが示唆される。
(表2)[Ala1,Arg19]hPTH(1-31)NH2類似体のヘリックス量およびPTHR結合特性
Figure 2009545320
シクロヘキシルアラニンおよびグルタミンとの置換を、[Ala1,Arg19]hPTH(1-31)NH2中に導入した。ヘリックス残基の値は、222 nmにおけるCDスペクトルで観察された平均残基分子楕円率[θ]222から計算した。競合結合試験は、hPTHRが安定にトランスフェクトされた完全なHKRK-B7細胞を対象に、125I-[Nle8,21,Tyr34]rPTH(1-34)NH2トレーサー放射性リガンドを使用して実施し、ならびにhPTHR-delNtおよびドミナントネガティブなGαsが一過的にトランスフェクトされたCOS-7細胞から調製された膜を対象に、125I-[Aib1,3,Nle8,Gln10,Har11,Ala12,Trp14,Tyr15]rPTH(1-15)NH2トレーサー放射性リガンドを使用して実施した。結合値(nM)は、記載の回数(n)の実験で得られたデータの平均(±s.e.m.)である。
実施例3
非保存的なGlu置換−完全なPTHRに対する結合を、より強く破壊すると考えられる置換を導入したが、PTHR-delNtに対する結合に対する影響は、わずかであった。このため、非保存的な単一置換としてグルタミン酸を、疎水性または正に帯電したアミノ酸によって通常は占有されている[Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2のカルボキシル末端のセグメント中の各位置に導入した。この類似体の評価を、完全なPTHRに対する結合、およびPTHR-delNtに対する結合に関して再び行った。複数のGlu置換が、完全なPTHRに対する結合親和性を大きく損なった。したがって、Arg20およびLeu24におけるGlu置換は、検出可能な結合を消失させ、ならびにLeu28、Trp23、およびVal21におけるGlu置換は、見かけの親和性をそれぞれ270倍、160倍、および12倍、低下させた(図4AおよびB;表2)。中程度のPTHR結合親和性の2〜5倍の低下は、Arg19、Arg25、Lys26、およびLys27におけるGlu置換について認められた。ペプチドのCDプロファイルを実質的に変化させたGlu置換はなかった(表2)。
個々のGlu置換は、PTHR-delNtに対する結合に対して、軽度の影響しか及ぼさなかった。したがって、PTHRに対する見かけの親和性を150倍またはこれ以上低下させた、Arg20、Trp23、Leu24、およびLeu28におけるGlu置換は、切断型PTHRに対する親和性を3倍未満低下させた(図4CおよびD;表2)。Val21およびArg25におけるGlu置換はそれぞれ、PTHR-delNtに対する親和性を約4倍低下させ(P<0.01);これは同じ置換が、完全なPTHRに対する結合に対して有する影響と同等であった。Arg19→Glu置換は、PTHR-delNtに対する親和性を50倍低下させた(IC50=19,00±10,00 nM、vs 400±40 nM)。この有害な影響は、COS-7 PTHR-delNtを発現する細胞内におけるPTH(1-20)類似体およびPTH(1-34)類似体における相反的なGlu19→Arg置換に見られるcAMP-刺激能の強化と全く矛盾しない(Shimizu, M., et al. (2002) Biochemistry 41:13224-13233)。
実施例4
アルギニン-20の解析−PTHリガンドおよびPTHrPリガンド中で最も高度に保存された残基の1つであるアルギニン-20は、PTHR-相互作用機構の極めて重要な決定因子であることが複数の研究で報告されている(Oldenburg, K. et al. (1996) Journal Of Biological Chemistry 271:17582-17591;Barbier, J., et al. (2001) Biochemistry 40:8955-8961;Reidhaar-Olson, J., et al. (2000) Mol Cell Endocrinol 160:135-147)が、この残基が果たす機構的な役割は未だ明らかにされていない。Barbierらは、PTH(1-31)NH2中のこの位置における11種類の異なるアミノ酸類似体の置換が、ROS 17/2.8細胞内のペプチドのcAMP刺激能に及ぼす作用を解析しており、刺激能を保存した置換はないことを明らかにしている。したがって、たとえ非常に近いアルギニン相同体であるシトルリン、4-ピペリジル-(N-アミジノ)グリシン(PipGly)、および4-ピペリジル-(N-アミジノ)アラニン(PipAla)であっても、刺激能をそれぞれ8倍に、5倍に、および21倍を越えて低下させ、リシンは活性を完全に消失させた(Barbier, J., et al. (2001) Biochemistry 40:8955-8961)。Arg20が果たす機能的役割をさらに解明するために、同じ20位が修飾されたPTH(1-31)NH2類似体を、それらの、完全なPTHRおよびPTHR-delNtに対して結合する能力に関して検討した。
Arg20とGln、Glu、Lys、(S)-2-アミノ-4[(2-アミノ)ピリミジニル]メチルアラニン(Apa)、またはL-4-グアニジノフェニルアラニン(Gph)とのいずれかの置換は、完全なPTHRに対する検出可能な結合親和性の完全な消失を招いた(図5AおよびB;表1)。PipGly、ノルロイシン、およびシトルリンとの置換は、見かけのPTHR結合親和性を、親ペプチドの場合に対して約200倍低下させた。個々の20位置換は、PTHR-delNtに対する結合に比較的軽度の影響を及ぼし、個々の類似体のIC50は、親PTH(1-31)NH2ペプチドのIC50の約4倍未満であった(図5CおよびD;表1)。これらの影響は、20位におけるAla、Cha、およびGluとの置換について認められた影響と矛盾せず、結合に及ぼす置換の影響が、PTHRのJドメインとの相互作用にほとんど依存しないことがわかる。PTH(1-31)NH2中におけるArg20→Glu置換は、PTHR-delNtに対する見かけの結合親和性の約4倍という小規模の低下を招いたことから、この位置における変化が、PTHRのJドメインに対して生じるリガンドとの相互作用に、直接的または間接的に影響を及ぼし得ることが示唆される。
実施例5
cAMPシグナル伝達およびIPシグナル伝達に対する影響−HKRK-B7細胞に対する結合を大きく損なう置換を有する[Ala1,Arg19]hPTH(1-31)NH2の選択された類似体を対象に、ROS 17/2.8細胞内でPTHRに結合する能力、および同細胞におけるcAMP-シグナル応答を刺激する能力に関する評価を行った。このような骨由来細胞はラットのPTHRを、HKRK-B7細胞において見られる場合より生理学的なレベルで内因的に発現しており(細胞1個あたり約80,000個のPTHRと、細胞1個あたり950,000個のPTHR)、および一般に、PTH類似体の結合親和性と、cAMP-シグナル伝達能の間に、おそらくそれらの低いPTHR発現レベルのために、HKRK-B7細胞における場合より密接な相関を示すことがわかっている(データは提示していない)。これらの細胞を対象に、125I-PTH(1-34)トレーサー放射性リガンドを使用して実施した競合結合アッセイ法の結果、置換がPTHR結合親和性に及ぼす影響が、HKRK-B7細胞において見られる対応する作用と平行していることが判明した。したがってROS 17/2.8細胞では、Arg20、Trp23、Leu24、およびLeu28におけるGlu置換は、親和性を20,000〜150倍低下させ、ならびにArg20、Trp23、およびLeu24におけるCha置換は、親和性を10〜120倍低下させた(図6A;表3)。ROS 17/2.8細胞における結合親和性に対するこれらの作用は、cAMP刺激能の平行した低下を伴っていたが、cAMPシグナル伝達能に対する影響は一般に、結合親和性に対する対応する影響ほど大きくなかった(図6B;表3)。個々の置換型類似体は、親ペプチドと同様に、同じ最大cAMP応答も生じた。個々のアラニン置換PTH(1-31)NH2類似体については、PTHRがトランスフェクトされたCOS-7細胞においてイノシトールリン酸(IP)の産生を高める能力を見るために、1×10-6 Mの濃度における検討も行った(HKRKB7細胞およびROS 17/2.8細胞においてPTHによって誘導されるIP応答は一般に低すぎて検出されない。データは提示していない)。各類似体は、合計のIPレベルに関して親ペプチドと同様に、同じ4倍の上昇を刺激した。したがって総合されたデータから、PTHR結合親和性に強い影響を生じた置換は、リガンドのcAMPシグナル伝達能またはイノシトールリン酸シグナル伝達能のいずれをも大きく低下させなかったことがわかる。この知見は、受容体活性化の主要なリガンド決定基が、GαsによるcAMPシグナル伝達、およびGaqによるIP3シグナル伝達に関して、リガンドのアミノ末端のドメイン中に存在し(Shimizu, M., et al. (2000) J. Biol. Chem. 275:21836-21843;Takasu, H., et al. (1999) J Bone Miner Res. 14:11-20)、およびPTH(1-31)類似体のカルボキシル末端における置換による影響を受けないという見解と矛盾しない。
(表3)ROS 17/2.8細胞における活性
Figure 2009545320
ペプチドは、[Ala1,Arg19]hPTH(1-31)NH2の類似体である。競合結合は、細胞を対象に、125I-[Nle8,21,Tyr34]rPTH(1-34)NH2トレーサー放射性リガンドを使用して評価した。値(nM)は、それぞれ2つ組で実施された3回の実験で得られたデータの平均(±s.e.m.)である。
結論
主要な受容体結合ドメインであるPTHの(17-31)ドメイン中のアミノ酸側鎖が、受容体との相互作用過程に重要な役割を果たす特定の機能的役割に関する情報は、現時点では極めて少ない。本研究は、(17-31)ドメインが修飾された複数の新たなPTH(1-31)類似体を使用して、リガンドの置換が、受容体のアミノ末端の細胞外(N)ドメインに対する相互作用を、または細胞外ループおよび膜貫通ヘリックスを含むその膜近傍(J)ドメインに対する相互作用を変化させるか否かを明らかにするための手段としてPTHR-delNtを利用する新たなPTH-受容体結合アッセイ法と組み合わせて、こうした役割を探索するように設計された。以上の研究で得られたデータの全体は、一般に、主要な結合相互作用がリガンドのカルボキシル末端部分の残基と受容体のNドメインとの間に見られることを示唆する、クラス2のGPCRに関してだけでなく、PTH-PTHR相互作用機構に関しても提案されている2ドメインモデルとほとんど矛盾しない。
(17-31)領域に変化が導入された多数のPTH(1-31)NH2類似体または[Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2類似体を対象とした研究では、完全なPTHRに対する結合に対する最強の作用が、いずれもPTHR結合親和性を少なくとも150倍低下させるArg20、Trp23、Leu24、およびLeu28における非保存的なGlu置換について見られることが判明した。したがって、これらのデータは、完全なPTHRに対する結合に、これら同じ残基が重要であることが明らかにされた過去のPTH置換研究(Gardella, T.J., et al. (1993) Endocrinology 132:2024-2030;Oldenburg, K.R., et al. (1996) Journal Of Biological Chemistry 271:17582-17591;Reidhaar-Olson, J., et al. (2000) Mol Cell Endocrinol 160:135-147;Neugebauer, W., et al. (1992) Biochemistry 31:2056-2063)と一致する。今回、同じGlu置換が、PTHR-delNtに対する結合にわずかな影響しか示さないか、または全く影響せず、ならびにリガンドのヘリックス構造に大きな変化を引き起こさないことが判明したことから、Arg20、Trp23、Leu24、およびLeu28の側鎖が実際に、受容体のN末端のドメインに対する相互作用に、完全とは言わないまでも大きく関与する機構によって、PTHR結合過程に寄与していると結論できる。
Trp23、Leu24、およびLeu28の側鎖は、PTHの(17-31)領域と推定される両親媒性のα-ヘリックスの疎水性面を形成する(Neugebauer, W., et al. (1992) Biochemistry 31:2056-2063;Epand, R.E. (1983) Mol and Cell Biol 57:41-47)。PTH(Pellegrini, M., et al. (1998) Biochemistry 37:12737-12743)を含む、一般的なペプチドリガンド(Sargent, D., and Schwyzer, R. (1986) Proc Natl Acad Sci USA 83:5774-5778)に関しては、このような両親媒性のα-ヘリックスが、細胞膜の脂質成分との非特異的な疎水性相互作用によって、さらには受容体に対する2次元の拡散の促進を可能とすることによって、受容体結合過程に寄与し得ることが示唆されている。しかしながら、Trp23、Leu24、およびLeu28におけるGlu置換が、PTHR-delNtに対する結合を軽度にしか損なわなかったという事実は、これらの置換の作用が、細胞膜との非特異的な相互作用の破壊に基づくのではなく、そのような作用が、完全なPTHRに対して、およびPTHR-delNtに対して、見かけ上は同等である可能性があることを強く示唆する。この結論は、疎水性を保存し、ひいては脂質膜との非特異的な相互作用の能力を保存する、Trp23およびLeu24のシクロヘキシルアラニン(Cha)との置換が、完全なPTHRに対する結合を約12倍減じ、またこの場合も、PTHR-delNtに対する結合にわずかにしか影響しなかったか、または全く影響しなかったという知見によって、さらに支持される(表2)。したがって、疎水性そのものではなく、トリプトファン-23およびロイシン-24の側鎖の、より特異的な物理化学的特性が、受容体との高親和性の相互作用に必要であると考えられる。
今回得られたデータから、および文献(Oldenburg, K.R., et al. (1996) Journal Of Biological Chemistry 271:17582-17591;Barbier, J., et al. (2001) Biochemistry 40:8955-8961;Reidhaar-Olson, J., et al. (2000) Mol Cell Endocrinol 160:135-147)に記載されたデータから、PTHの20位に高度に保存されたアルギニンが、PTHR結合過程に重要な役割を果たしていることは明らかである。PTH(1-31)NH2足場ペプチド中の、この位置について検討された10種類の置換のうち、シトルリン、PipGly、およびノルロイシンは、PTHRに対する親和性を約200倍低下させ、他の置換は結合を完全に消失させた。これらの個々の置換は、PTHR-delNtに対する結合にわずかな作用しか及ぼさなかったため、Arg20の側鎖は、Trp23、Leu24、およびLeu28の側鎖と同様に、PTHRのNドメインとの相互作用に主に関与する機構を介してPTHR結合過程に寄与しているに違いない。しかしながら、相当数の構造的に多様なアミノ酸に基づく全体的なデータは、グアジニノ基および脂肪族側鎖のリンカーの陽イオン性およびH-結合窒素原子を含むアルギニン側鎖の多数の成分が相互作用に関与し、受容体中の同族官能基と正確にアライメントしなければならないという見解と矛盾しない(Barbier, J., et al. (2001) Biochemistry 40:8955-8961)。いずれにせよ、このような同族の官能基が、排他的とは言わないまでも大部分は、受容体のNドメイン領域中に位置することは明らかなようである。
20位のアルギニンとは対照的に、PTHの19位の残基が主にPTHRのJドメインと相互作用するようである。これは、検討された置換の中でPTHR-delNtに対する結合に対する最強の影響である、[Ala1,Arg19]PTH(1-31)NH2中のArg19→Glu置換に起因する、PTHR-delNtに対する結合親和性が90倍低下したという今回のデータに見られる。結合親和性のこの低下は、PTH(1-34)類似体およびPTH(1-20)類似体におけるGlu19→Arg置換が、PTHR-delNtを発現するCOS-7細胞における類似体のcAMP-刺激能に対して有する促進効果を反映している(Shimizu, M., et al., (2002) Biochemistry 41:13224-13233)。19位の残基の側鎖が、PTHRのJドメインの近傍に位置するという事実はさらに、[Bpa19]PTHrP(1-36)類似体および[Bpa19]PTH(1-20)類似体と、PTHRの膜貫通ヘリックス2の細胞外末端の架橋によって明らかである(Gensure, R.C, et al., (2003) Mol Endocrinol 17:2647-58)。19位の残基に関するこれらのデータを、Arg20に関して上述したデータと考え合わせると、興味深いことにリガンドの19/20位が、受容体のNドメイン領域とJドメイン領域、すなわちそれぞれPTHセグメント(20-31)と(1-19)が相互作用するPTHのセグメント間の境界を含む可能性があることが示唆される。
最後に本研究から、受容体に結合した状態のPTHリガンドのトポロジー、ならびにリガンドが結合した状態のPTHRのNドメインとJドメインの空間的関係のトポロジーに関する知見が得られる。21位、25位、26位、および27位における置換が、リガンドとPTHR-delNtの相互作用に対する、わずかではあるが一貫した影響が明らかとなり、これらの作用は、完全なPTHRとの相互作用に対して、ほぼ比例的な効果を伴っていた。以上の知見から、これらの残基の側鎖が、全体的な結合エネルギーに大きく寄与しないものの、PTHRのJドメインに対しては見られるリガンド結合の相互作用には影響し得るという可能性が指摘される。Arg25、Lys26、およびLys27の陽イオン性の側鎖は、リガンドの両親媒性のα-ヘリックスの親水性面を形成すると考えられ、Val21は、この面の縁に存在すると考えられる(Barbier, J.R., et al. (2005) J Biol Chem. 280:23771-23777)。これらの側鎖が結合親和性を間接的に、例えば上述したように、細胞膜の二重層のリン脂質の頭部基と相互作用して受容体への拡散を促すことで調節することはあり得る。しかしながら、受容体の細胞外ループおよび/または膜貫通ドメイン領域中のおそらく陰イオン性および/または疎水性の官能基との、より直接的な相互作用もあり得る。実際に、[Lys27(Bpz)]PTH(1-34)と、PTHRの第1の細胞外ループとの架橋(Greenberg, Z., et al. (2000) Biochemistry 39:8142-8152)は、この後者の可能性を支持する。というのは、PTH(1-31)NH2中のSer17、Trp23、およびLys26における骨格のメチル化が、中程度ではあるが、リガンドがPTHR-delNtを介してcAMPシグナル伝達を刺激する能力を損なうという最近の知見では、これが見られるからである(Barbier, J.R., et al. (2005) J Biol Chem. 280:23771-23777)。
仮に、リガンドのカルボキシル末端のα-ヘリックスドメインが、そのアミノ末端のPTH(1-19)ドメイン(前述)に加えて、PTHRのJドメインと相互作用するのであれば、結合したリガンドのアミノ末端ドメインとカルボキシル末端ドメインの間の折りたたみまたは曲がりは、両方の相互作用を可能とするために必要であると考えられる。PTHリガンドおよびPTHrPリガンドを対象とした大半の液相NMR試験では実際に、アミノ末端ドメインとカルボキシル末端ドメインの間のヒンジ領域またはフレキシブル領域が、そのような曲がりを促す可能性があることが報告されている(Chen, Z., et al. (2000) Biochemistry 39:12766-12777;Pellegrini, M., et al. (1998) J. Biol. Chem. 273:10420-10427;Barden, J.A., and Kemp, B.E. (1994) Biochim Biophys Acta 1208:256-262;Peggion, E., et al. (2002) Biochemistry 41:8162-8175)。受容体に結合したリガンドが中間領域の折りたたみを許容するということは、[Bpa11]PTH(1-34)類似体および[Bpa21]PTH(1-34)類似体が相互に、2つの接触点が直線状のリガンド構造と容易に折り合わないことから、PTHRのNドメインの同じセグメント(Ala165-Asn176)と架橋を形成するという知見によってさらに示唆されている(Wittelsberger, A., et al. (2006) Biochemisty 45:2027-34)。PTHが、受容体の結合状態中の中間領域の曲がりを許容するという見解は、下垂体のアデニル酸シクラーゼ-活性化ペプチドが、その関連するクラス2のGPCRと結合するという最近のモデルとは異なる。というのは、このモデルではリガンドは、受容体のNドメインに対する広範囲に及ぶ接触を可能とする直線状に伸びたヘリックスであると想定されているからである(Tan, Y.V., et al.(2006) J Biol Chem 281:12792-8)。
仮に、PTHのカルボキシル末端のヘリックスドメインが受容体のJドメインならびにNドメイン領域と、それぞれ、その疎水性および親水性の面を介して実際に相互作用し、かつこれらの相互作用が同時に生じるのであれば、リガンドが結合した状態の受容体のNドメインおよびJドメインは、両方の相互作用を可能とするためには相互に接近しなければならないはずである。この可能性は、ベンゾイルフェニルアラニンと置換されたLys27を有する[Bpa27]PTH(1-34)が受容体のNドメインと架橋を形成すること(Gensure, R., et al. (2001) J Biol Chem 276:28650-28658)、および[Lys27(Bpz)]PTH(1-34)が受容体の第1の細胞外ループと架橋を形成すること(Greenberg, Z., et al. (2000) Biochemistry 39:8142-8152)によって支持される。
本発明のさまざまな態様について、以上のように説明してきたが、それらは例示する目的でのみ提示され、制限する意図はないと理解されるべきである。形状および詳細に関するさまざまな変更が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく成され得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の幅および範囲は、任意の上記の例示的な態様によって制限されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびその同等物によってのみ定義されるべきである。本明細書に引用された全ての出版物、特許、および特許出願は、それらの全体が参照により本開示に組み入れられる。

Claims (33)

  1. 本質的に以下の式からなるペプチドと少なくとも90%が同一な、生物学的に活性のあるペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)該ペプチドがhPTH(1-31)NH2ではないという条件で、X01がSerもしくはAlaであり;X02がGluもしくはArgであり;X03がAla、Glu、Gln、もしくはChaであり;X04がValもしくはGluであり;X05がTrp、Ala、Glu、もしくはChaであり;X06がLeu、Ala、Glu、もしくはChaであり;およびX07がLeuもしくはGluである、それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  2. 本質的に以下の式からなる生物学的に活性のあるペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)該ペプチドがhPTH(1-31)NH2ではないという条件で、X01がSerもしくはAlaであり;X02がGluもしくはArgであり;X03がAla、Glu、Gln、もしくはChaであり;X04がValもしくはGluであり;X05がTrp、Ala、Glu、もしくはChaであり;X06がLeu、Ala、Glu、もしくはChaであり;およびX07がLeuもしくはGluである、それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  3. 本質的に以下の式からなる、請求項1記載のペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  4. 本質的に以下の式からなる、請求項1記載のペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  5. 本質的に以下の式からなる、請求項1記載のペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  6. 本質的に以下の式からなる、請求項1記載のペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  7. 本質的に以下の式からなる、請求項1記載のペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  8. 本質的に以下の式からなる、請求項1記載のペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  9. 本質的に以下の式からなる、請求項1記載のペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  10. 本質的に以下の式からなる、請求項1記載のペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  11. 本質的に以下の式からなる、請求項1記載のペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  12. 本質的に以下の式からなる、請求項1記載のペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  13. 本質的に以下の式からなる、請求項1記載のペプチド:
    (a)
    Figure 2009545320

    (b)アミノ酸1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、もしくは1〜30を含む、その断片;
    (c)薬学的に許容されるそれらの塩;または
    (d)それらのN-誘導体もしくはC-誘導体。
  14. 放射標識、蛍光標識、生物発光標識、および化学発光標識からなる群より選択される標識によって標識される、請求項1記載のペプチド。
  15. 請求項1記載のペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
  16. 本質的に、請求項1記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドからなる、核酸分子。
  17. 請求項16記載の核酸分子を含む組換えベクター。
  18. (1)機能的に(2)に連結された発現制御領域と、(2)請求項1記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド配列とを含む、組換えDNA分子。
  19. 請求項18記載の組換えDNA分子を宿主細胞に導入する段階、および該分子の発現を引き起こさせる段階を含む、生物学的に活性のあるペプチドを作製する方法。
  20. 請求項16記載の核酸分子をベクター中に挿入する段階を含む、組換えベクターの作製法。
  21. 制御領域が、細菌、ウイルス、真菌、または哺乳類のプロモーターを含む、請求項18記載の組換えDNA分子。
  22. 請求項18記載の組換えDNA分子を含む、原核生物または真核生物の宿主細胞。
  23. 細菌である、請求項22記載の細胞。
  24. 治療を必要とする対象に、骨量を高める有効量の請求項1記載のペプチドおよび薬学的に許容される担体を投与する段階を含む、骨量の減少を特徴とする哺乳類条件の治療法。
  25. 骨量を高める有効量のペプチドが、該ペプチドをコードするDNAを患者に提供して該ペプチドをインビボで発現させることによって投与される、請求項24記載の方法。
  26. 治療対象の条件が骨粗鬆症である、請求項24記載の方法。
  27. 治療対象の条件が加齢に伴う骨粗鬆症である、請求項24記載の方法。
  28. 治療対象の条件が閉経に伴う骨粗鬆症である、請求項24記載の方法。
  29. 骨量を高めるペプチドの有効量が約0.01 μg/kg/日〜約1.0 μg/kg/日である、請求項24記載の方法。
  30. 投与法が非経口的である、請求項24記載の方法。
  31. 投与法が皮下である、請求項24記載の方法。
  32. 投与法が鼻からの吸入である、請求項24記載の方法。
  33. 有効量の請求項1記載のペプチドを患者に投与する段階、ならびに該患者の骨中への該ペプチドの取り込みを判定する段階を含む、骨形成、骨吸収、および/または骨リモデリングの速度を決定する方法。
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